(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】SNS相談を支援するための装置、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20240101AFI20240530BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
(21)【出願番号】P 2020548525
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2019036434
(87)【国際公開番号】W WO2020059724
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2018173445
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514197692
【氏名又は名称】エースチャイルド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174078
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】永坂 武城
(72)【発明者】
【氏名】西谷 雅史
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-022326(JP,A)
【文献】マルチプラットフォームSNS相談システム「つながる相談」をリリース,[online],[2019年12月6日検索],2018年03月30日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SNSを用いた悩み相談を支援するための方法であって、
コンピュータが、前記SNSを介した相談者端末との通信に基づいて、新たな悩み相談に関する発言がされたこと又は相談窓口のアカウントが友達登録されたことを検知するステップと、
前記コンピュータが、前記検知の後に、前記SNSを介して、前記相談者端末に相談前質問を送信するステップと、
前記コンピュータが、前記SNSを介して、前記相談者端末から、前記相談前質問に対する1又は複数の回答を受信するステップと、
前記コンピュータが
、1又は複数の回答とカテゴリとの対応づけを参照して、前記
相談前質問に含まれる1又は複数の質問に対する回答に対応するカテゴリを付与するステップと、
前記コンピュータが、各相談員が対応可能なカテゴリを参照して、前記カテゴリの悩み相談に対応可能な相談員の割り当てを行うステップと
を含む。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記コンピュータが、前記相談前質問を送信する前に、前記相談者端末に心理テストを送信するステップをさらに含む。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記相談前質問は、複数の質問である。
【請求項4】
コンピュータに、SNSを用いた悩み相談を支援するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記SNSを介した相談者端末との通信に基づいて、新たな悩み相談に関する発言がされたこと又は相談窓口のアカウントが友達登録されたことを検知するステップと、
前記検知の後に、前記SNSを介して、前記相談者端末に相談前質問を送信するステップと、
前記SNSを介して、前記相談者端末から、前記相談前質問に対する1又は複数の回答を受信するステップと、
1又は複数の回答とカテゴリとの対応づけを参照して、前記
相談前質問に含まれる1又は複数の質問に対する回答に対応するカテゴリを付与するステップと、
前記コンピュータが、各相談員が対応可能なカテゴリを参照して、前記カテゴリの悩み相談に対応可能な相談員の割り当てを行うステップと
を含む。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムであって、前記方法は、前記相談前質問を送信する前に、前記相談者端末に心理テストを送信するステップをさらに含む。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のプログラムであって、
前記相談前質問は、複数の質問である。
【請求項7】
SNSを用いた悩み相談を支援するための装置であって、
前記SNSを介した相談者端末との通信に基づいて、新たな悩み相談に関する発言がされたこと又は相談窓口のアカウントが友達登録されたことを検知し、
前記検知の後に、前記SNSを介して、前記相談者端末に相談前質問を送信して、前記SNSを介して、前記相談者端末から、前記相談前質問に対する1又は複数の回答を受信し、
1又は複数の回答とカテゴリとの対応づけを参照して、前記
相談前質問に含まれる1又は複数の質問に対する回答に対応するカテゴリを付与し、
各相談員が対応可能なカテゴリを参照して、前記カテゴリの相談に対応可能な相談員の割り当てを行う。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記相談前質問を送信する前に、前記相談者端末に心理テストを送信する。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の装置であって、
前記相談前質問は、複数の質問である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SNS相談を支援するための装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
中高生を中心とした若者へのSNSの急速な浸透を受けて、これまでさまざまな団体が電話によって提供してきた若者に対する悩み相談は時代に合わないものとなっている。若者のコミュニケーションは電話からSNSに軸足が移っており、電話で相談するという行為の敷居は高い。
【0003】
このような中、いくつかの団体ではSNSを用いた悩み相談(以下「SNS相談」とも呼ぶ。)が試みられている。たとえば、2017年には長野県でLINE(登録商標)による悩み相談が実施された(非特許文献1参照)。また、2018年3月には厚生労働省の「自殺対策強化月間」の取組みとして広く若者一般を対象としてSNS相談による自殺相談を受けつけ、1月で約1万件の相談対応が行われた(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】“LINEを利用したいじめ・自殺相談の結果について”、[online]、平成30年5月、長野県教育委員会、[平成30年9月14日検索]、インターネット〈https://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/kyoiku/shido/sodan/documents/shikoukekkanogaiyou.pdf〉
【文献】“自殺対策強化月間(3月)SNS相談事業の実施結果を公表します”、[online]、平成30年4月27日、厚生労働省、[平成30年9月14日検索]、インターネット〈https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000204757.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、SNSによって敷居が下がり、より多くの相談が寄せられるようになるとすべての相談に即座に対応する相談体制を整えることが容易ではなくなる。混雑時に「只今混雑しており、しばらく経ってからご相談ください。」といったメッセージを自動応答で送信したり、相談者からのメッセージに既読を付けつつも返信をすることが出来なかったりすれば、勇気を出して相談をしてきてくれた若者を落胆させ、二度と相談をしようとおもわなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、SNS相談を支援するための装置、方法及びそのためのプログラムにおいて、混雑時における相談者に対する相談員の効率的な割り当てを行うことにあり、より一般には、相談者に対する相談員の効率的な割り当てを行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、SNS相談を支援するための方法であって、相談者端末との通信に基づいて、新たな相談が発生したこと又は発生し得ることを検知するステップと、前記検知の後に、前記相談者端末に相談前質問を送信するステップと、前記相談者端末から、前記相談前質問に対する回答を受信するステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記相談前質問は、階層的な複数の質問であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記相談前質問に対する1又は複数の回答に対応するカテゴリを前記相談内容に付与するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記相談者端末の相談者に前記相談内容に付与された前記カテゴリの相談に対応可能な相談員を割り当てるステップをさらに含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第5の態様は、第3又は第4の態様において、相談内容に付与可能な複数のカテゴリには優先順位が設定されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第6の態様は、第3の態様において、前記相談者端末の相談者に割り当て可能な相談員がいない場合に前記相談内容のスコアリングを行うステップをさらに含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記スコアリングは、前記相談者が前記相談内容について入力した内容に基づいて行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記スコアリングは、前記相談者が前記相談内容について入力した内容に含まれる1又は複数のキーワードに予め定められたスコアの合計値又はこれに対応する値を算出することにより行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第9の態様は、第6から第8のいずれかの態様において、前記カテゴリを付与した後に、前記相談者端末に前記相談内容についての入力を促すメッセージを送信するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第10の態様は、第6から第9のいずれかの態様において、前記スコアリングは、前記相談者が追加で入力を行った場合にスコアを更新することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第11の態様は、第6から第10のいずれかの態様において、前記相談内容に付与された前記カテゴリの相談に対応可能な相談員が割り当て可能となった場合、前記相談内容のスコアが前記カテゴリが付与された他の相談内容のスコアよりも高いとき、前記相談者端末の相談者に前記相談員を割り当てるステップをさらに含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の第12の態様は、第6から第11のいずれかの態様において、前記相談内容のスコアが所定の閾値に達した場合又は閾値を超えた場合、管理者端末又は相談員端末に緊急通知を送信するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の第13の態様は、第1から第12のいずれかの態様において、前記相談前質問を送信する前に、前記相談者端末に相談者が自らの相談内容について理解を深めるためのコンテンツを送信するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の第14の態様は、コンピュータに、SNS相談を支援するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、相談者端末との通信に基づいて、新たな相談が発生したこと又は発生し得ることを検知するステップと、前記検知の後に、前記相談者端末に相談前質問を送信するステップと、前記相談者端末から、前記相談前質問に対する回答を受信するステップとを含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の第15の態様は、SNS相談を支援するための装置であって、相談者端末との通信に基づいて、新たな相談が発生したこと又は発生し得ることを検知し、前記検知の後に、前記相談者端末に相談前質問を送信し、前記相談者端末から、前記相談前質問に対する回答を受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、相談者端末に対して相談前質問を送信することによって、相談者から相談内容に関する反応を引き出し、相談員の割り当てを効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態にかかるSNS相談支援装置を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態にかかるSNS相談支援方法を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態にかかるカテゴリ付与までの流れを示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態において管理者端末に表示する相談者リストの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態にかかるSNS相談支援装置を示す。装置100は、SNSサービスを提供するためのSNSサーバ110を介して相談者の相談者端末120と通信を行い、また、相談員の相談員端末130、そして必要に応じて相談窓口管理者のための管理者端末140と通信を行う。各端末の数はあくまで図示のための例示である。
【0026】
SNSサーバ110が提供するSNS(Social Network Service)では、ユーザ間でメッセージの送受信を行うことができ、SNSサーバ110が一方のユーザから送信されたメッセージを他方のユーザに送信し、当該他方のユーザからの返信のメッセージを当該一方のユーザに送信することができる。
【0027】
本実施形態では、ユーザとして相談窓口のアカウントと各相談者のアカウントがあり、相談者が相談窓口を宛先としてメッセージの送信を行い、当該相談窓口から返信を受信する。相談窓口宛てのメッセージは、装置100がSNSサーバ110からたとえばAPIを用いて受信し、相談員端末130において表示又は表示可能とする。当該相談者と会話を行う相談員の相談員端末130から送信されたメッセージは、装置100がたとえばAPIを用いてSNSサーバ110に渡し、SNSサーバ110から相談者端末120に送信される。管理者端末140においても相談窓口宛てのメッセージを表示可能であり、相談員端末130と管理者端末140とは直接的又は装置100を介して間接的に通信可能である。
【0028】
以下、SNSサーバ110とは別個に支援サーバ100が存在する例を説明するが、支援サーバ100自体がSNSサービスを提供する場合もあり、この場合には、以下で説明する支援サーバ100とSNSサーバ110との間のデータの送受信は、同一サーバにおけるデータの取得又は読み出しになる。
【0029】
支援サーバ又は装置100は、通信インターフェースなどの通信部101と、プロセッサ、CPU等の処理部102と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部103とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができ、1又は複数の装置ないしサーバを含むことがある。また、当該プログラムは1又は複数のプログラムを含むことがあり、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。
【0030】
まず、相談者端末120からSNSサーバ110を介して支援サーバ100に相談者による発言が送信される(S201)。発言としては、「相談してもよいですか?」「いじめられています。」等さまざまな内容が考えられる。相談者端末120から当該発言を受信した支援サーバ100は、相談員の稼働状況を参照して、割り当て可否を判定することができる(S202)。割り当て可否の判定は、ここでは相談者端末120からの発言の受信に応じて行うが、相談者端末120において相談窓口のアカウントが友達登録されたことなど、相談者端末120との通信に基づいて行う新たな相談が発生したこと又は発生し得ることの検知に応じて行うようにしてもよい。
【0031】
支援サーバ100は、各相談員の稼働状況を記憶しておき、新たな相談者からの相談が発生した際にこれを参照して相談員の当該相談者への割り当てを行うことができる。稼働状況は、支援サーバ100の記憶部103ではなく、支援サーバ100からアクセス可能な記憶媒体又は記憶装置に記憶してもよい。相談員の割り当てが可能である場合、支援サーバ100は当該相談員の相談員端末130に割り当て通知(図示せず)を送信し、当該相談員は当該相談者との会話を開始する。割り当てを支援サーバ100が自動的に行う代わりに、管理者端末140に上記稼働状況が表示可能であり、かつ、相談員を割り当てるべき新たな1又は複数の相談者のリストを表示可能であれば、管理者が割り当ての判断を行って、判断結果を支援サーバ100を通じて割り当てた相談員の相談員端末130に割り当て通知として送信することもできる。
【0032】
割り当て可能な相談員がいない場合、支援サーバ100は、相談者端末120に対し、相談前質問を送信する(S203)。相談前質問は、自動的に送信する質問によって相談者との間に会話を発生させ、即座に対応可能な相談員がいないことを理由に相談者が離脱してしまう可能性を低下させるとともに、相談者から相談内容に関する反応を引き出して(S204)、相談員の割り当てを効率化する。SNSは電話と異なり本来非同期であることから、このように相談員が直接最初から対応をしないかたちでのコミュニケーションを自然に始めることができる。
【0033】
相談前質問は、
図2では一往復の質問と回答のみを示しているが、相談内容を特徴づけるカテゴリの付与が可能な階層的な複数の質問とすることができる。たとえば、「どんなことを話したいの?」という質問をして、「友だち・学校のこと」「家族・自分のこと」「勉強・進学のこと」「ちょっと話がしたい」「心がモヤモヤする」といった回答を得ることができる。「友だち・学校のこと」という回答を得た場合、「友だち・学校のことでどんな悩みがあるの?」という質問をして、「いじめ」「先生のこと」「学校での出来事」といった回答を得ることができる。「いじめ」という回答を得た場合、「いじめのことでどうしたの?」という質問をして、「自分がいじめられている」「友だちがいじめられている」「友だちをいじめてしまう」「いじめて来いと言われる」「相談できる大人がいない」といった回答を得ることができる。
【0034】
このような相談前質問に対する1又は複数の回答に基づいて、支援サーバ100は、相談内容に当該回答に対応する「いじめ」といったカテゴリ、あるいはさらに細分したカテゴリを付与することができる(S205)。カテゴリとしては、「自殺」「いじめ」「自己の悩み」「虐待」などが考えられ、相談者に対して行う階層的な複数の質問への回答毎の分岐により、いずれかのカテゴリを付与することができる。1又は複数の質問に対する1又は複数の回答とカテゴリとの対応づけは、事前に定めた分岐ではなく、機械学習による学習済みモデルによって得るようにしてもよく、記憶部103又は装置100からアクセス可能な記憶媒体又は記憶装置に記憶しておけばよい。
【0035】
カテゴリ付与の後にいずれかの相談員の相談が終了した場合、支援サーバ100は、当該相談員の相談員端末130から終了通知を受信する(S206)。支援サーバ100は、終了通知に応じて各相談員の稼働状況を更新し、当該相談員を当該相談者に割り当て可能である場合(S207)、相談員端末130に対し、割り当て通知を送信する(S208)。相談員は、相談者に割り当てられた場合、当該相談者にメッセージを送信する(S209)。
【0036】
割り当て可否の判断及び割り当て通知は支援サーバ100ではなく管理者が行うこともできる点は上述のとおりである。あるいは、終了通知と共に又はその後に相談を終了した相談員がその相談員端末130に表示される相談員を割り当てるべき1又は複数の相談者のリストを見て、自ら対応する相談者を選択してもよい。
【0037】
各相談員の対応可能なカテゴリを記憶部103又は装置100からアクセス可能な記憶媒体又は記憶装置に記憶しておけば、相談内容にカテゴリを付与することで、当該相談内容に適切に対応可能な相談員の割り当てを行うことができる。
【0038】
より一般には、上述の説明では、相談前質問は新たな相談に割り当て可能な相談員がいない場合に行うものとして行ったが、相談対応中ではない相談員がいる場合においても、相談前質問によって相談者から相談内容に関する反応を引き出して、当該相談に適切に対応可能な能力を有する相談員を当該相談者に効率的に割り当てることができる。
【0039】
支援サーバ100における処理に着目すれば、カテゴリが付与されるまでの流れは
図3に示すようになる。
【0040】
なお、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「Aの場合にBする」という記載は、「Aの場合に常にBする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。
【0041】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【0042】
(第2の実施形態)
第1の実施形態によって相談内容に付与可能な複数のカテゴリには、優先順位を設定することが可能である。当該優先順位は、記憶部103又は装置100からアクセス可能な記憶媒体又は記憶装置に記憶しておくことができる。たとえば子どもを対象とした場合、「自殺」を1位、「いじめ」を2位、「自己の悩み」及び「虐待」を3位とする例が考えられる。
【0043】
本実施形態においては、支援サーバ100が相談員の割り当てを行う場合には、優先順位の高いカテゴリの相談を求める相談者への相談員の割り当てを優先する。より具体的には、いずれかの相談者の相談内容に付与されたカテゴリを含む複数のカテゴリの相談に対応可能な相談員が割り当て可能となった場合、当該相談者の相談内容に付与されたカテゴリが他の相談者の相談内容に付与されたカテゴリよりも高い優先順位であるとき、当該相談者に当該相談員を割り当てる。
【0044】
支援サーバ100ではなく管理者が割り当てを行う場合には、管理者端末140に優先順位の高いカテゴリの1又は複数の相談者のリストを強調して表示し(
図4参照)、支援サーバ100ではなく相談対応が終了した相談員が自ら相談者を選択する場合には、相談者端末130に優先順位の高いカテゴリの1又は複数の相談者のリストを強調して表示することができる。強調表示は、一例として優先順位の高いカテゴリの1又は複数の相談者の上方への表示とすることができる。
【0045】
(第3の実施形態)
第1又は第2の実施形態において付与されるカテゴリに属する相談内容を抱える相談者の数が当該カテゴリに属する相談内容に割り当て可能な相談員の数を超える場合は、相談員を割り当てるべき1又は複数の相談者が待ち状態になる。本実施形態においては、各相談内容の重要度をスコアリングして、各カテゴリの待ち状態の相談者の序列化を行う。これによって、深い悩みを抱えた相談者に対して早期に相談員を割り当て可能となる。
【0046】
スコアリングは、一例としてカテゴリ付与の後に引き続き割り当て可能な相談員がいない場合に相談者端末120において入力された内容に基づいて行うことができる。具体的には、キーワードに対してカテゴリ毎のスコアを予め定めておき、入力された内容に含まれる1又は複数のキーワードのスコアの合計値又はこれに対応する値を当該相談内容のスコアとしてもよい。相談者が追加で入力を行った場合にはスコアを更新すればよく、入力が増えるにつれてスコアが0から上がっていくことになる。相談前質問に対する回答は選択式とすることができるが記述式とする場合には、相談前質問に対する回答として記述された内容をスコアリングに用いることもできる。
【0047】
図4のように管理者端末140に相談員を割り当てるべき1又は複数の相談者を表示する場合には、スコアの高い相談者を強調表示することができ、スコアは各相談者の入力に応じて更新可能である。強調表示は、一例としてスコアの高い相談者の上方への表示とすることができる。このことは、相談員端末130に表示を行う場合も同様である。
【0048】
いずれかの相談者の相談内容に付与されたカテゴリの相談に対応可能な相談員が割り当て可能となった場合、当該相談内容のスコアが当該カテゴリが付与された他の相談内容のスコアよりも高いとき、当該相談者に当該相談員を割り当てることができる。
図4の例で自殺カテゴリについてみれば、ユーザAAのスコアは40でユーザBBのスコアは21であるから、自殺カテゴリの相談に対応可能な相談員が相談を終了して割り当て可能となった場合、支援サーバ100は、ユーザAAに当該相談員を割り当てることができる。この際、支援サーバ100は、当該相談員の相談員端末130に割り当て通知を送信してもよい。
【0049】
スコアが所定の閾値に達した場合又は閾値を超えた場合、支援サーバ100は、管理者端末140に緊急通知を送信することができる。緊急通知は、深刻な悩みを抱えた相談者が待ち状態にあることを伝えるもので、これを受けて管理者は、当該相談に対応可能な相談員に対応中の相談を終了させて又は対応中の相談を他の相談員に交代させて、当該相談者に相談員を割り当てることが望ましい。あるいは、当該相談に対応可能な相談員の相談員端末130に緊急通知を送信して、当該相談員に当該相談への対応を促すことが望ましい。
【0050】
相談前質問の後に「待っている間に自由に悩んでいることを書いてくれると相談員がしっかりとお話を聞きやすくなります。」といったメッセージを支援サーバ100から相談者端末120に送信して、発言、すなわち相談内容についての入力を引き出すのが好ましい。
【0051】
相談者による入力が得られた場合、支援サーバ100は、入力された内容に対する感情分析を行って心理状態を推測し、心理状態に応じたメッセージを相談者端末120に送信して、一層発言を引き出すことが考えられる。一例として「つもり」「したい」「できる」などの語が入力された内容に含まれる場合に各語に対応する心理状態に相談者はあると推測することが挙げられる。
【0052】
(第4の実施形態)
想定される相談数に応じて十分な数の相談員を揃えることが好ましいが、一定の予算の中で悩み相談を実施していくためには、相談員による実相談対応が必要な件数を減らすことも有益である。そのために、本実施形態では、相談前質問を支援サーバ100から相談者端末120に送信する前に心理テストを送信して提供する。心理テストを受ける過程で気持ちの整理がつき、自己解決することが考えられ、待ち状態の相談者のリストを短くすることができる。より一般に、本実施形態では、心理テストに限らず、相談者が自らの相談内容について理解を深めるためのコンテンツを送信して提供する。コンテンツの提供は、相談前質問の送信前ではなく、送信後であって相談員の割り当て前としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
100 支援サーバ
101 通信部
102 処理部
103 記憶部
110 SNSサーバ
120 相談者端末
130 相談員端末
140 管理者端末