(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】自走式掃除ロボット
(51)【国際特許分類】
A47L 11/18 20060101AFI20240530BHJP
B08B 1/32 20240101ALI20240530BHJP
【FI】
A47L11/18
B08B1/32
(21)【出願番号】P 2021089747
(22)【出願日】2021-05-28
【審査請求日】2021-05-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509264268
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・メンテナンス北陸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100210295
【氏名又は名称】宮田 誠心
(74)【代理人】
【識別番号】100088133
【氏名又は名称】宮田 正道
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲瀬▼ 浩一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 壮一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友哉
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】関口 哲生
【審判官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-248591(JP,A)
【文献】特開2021-614(JP,A)
【文献】特開2010-99401(JP,A)
【文献】登録実用新案第3220612(JP,U)
【文献】実公昭56-17002(JP,Y2)
【文献】特開2017-131355(JP,A)
【文献】特開2019-136486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L11/00-11/40
B08B1/00-1/36
A47K17/00
A47L9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレの床面と平行に全方位移動可能な本体と、
トイレの床面近傍を洗浄するブラシユニットとを有する自走式掃除ロボットであって、
ブラシユニットは、ブラシがトイレの床面から離間してトイレの床面の上方に変位可能となっており、
トイレの床面から浮かせた状態を維持できるように、壁面に掛けた状態で男性用小便器が設置される場合に、
トイレの床面、及び、壁面に向かって男性用小便器の正面からは目視できない下端底面の両方を、ブラシユニットがトイレの床面及びトイレの床面上方の男性用小便器との隙間に侵入して洗浄可能となっていることを特徴とする自走式掃除ロボット。
【請求項2】
ブラシユニットは、本体からの離隔及び本体への接近が可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の自走式掃除ロボット。
【請求項3】
ブラシユニットで洗浄した箇所の洗剤及び水分を除去する水分除去ユニットをさらに有することを特徴とする請求項
1又は2に記載の自走式掃除ロボット。
【請求項4】
水分除去ユニットは、本体からの離隔及び本体への接近が可能となっていることを特徴とする請求項
3に記載の自走式掃除ロボット。
【請求項5】
水分除去ユニットは、その一部がトイレの床面から離間してトイレの床面の上方に変位可能となっていることを特徴とする請求項
3又は4に記載の自走式掃除ロボット。
【請求項6】
本体にハンドルユニットを着脱可能となっていることを特徴とする請求項1から
5のいずれかに記載の自走式掃除ロボット。
【請求項7】
壁面及びトイレの床面の上方の掃除箇所を検出する検出手段をさらに有することを特徴とする請求項1から
6のいずれかに記載の自走式掃除ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式掃除ロボットに関し、特に、水を使ってトイレの床面近傍を掃除できる自走式掃除ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が多い公共施設やビルディング等は掃除が行き届いていることが望ましい。
【0003】
特に、公共施設やビルディング等のトイレは、汚れやすいため定期的な掃除を行う必要がある。このようなトイレの床面は、水を使って掃除ができるようになっている。トイレの床面を掃除するロボットの例として、特許文献1に示すトイレの床面清掃ロボットがある。
【0004】
例えば、公共施設の男性用トイレでは、複数の男性用小便器が壁面に沿って設置されている。従来の公共施設の男性用トイレでは、男性用小便器がトイレの床面に載置されていることが多かった。男性小便器とトイレの床面との取り合い部に汚れがたまりやすく、その汚れがたまった取り合い部の掃除が難しかった。
【0005】
特に、屋外から外履きで直接入ることができる公共施設の男性用トイレでは、雨水や泥が持ち込まれやすい。そのため、男性用小便器とトイレの床面との取り合い部に汚れがさらに悪化してしまうこととなった。このような汚れが、男性用トイレの悪臭を引き起こしてしまう。
【0006】
最近では、男性用小便器自体がトイレの床面から浮かせた状態を維持できるように、男性用小便器が壁面に掛けた状態で設置される公共施設の男性用トイレが増えてきた。
【0007】
この壁掛けタイプの男性用小便器が設置された公共施設の男子トイレでは、掃除がし易くなり、汚れの溜まりにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
人の手作業で男性用小便器の下方のトイレの床面を掃除する場合、トイレの床面近くに手が届くように、しゃがんだり、腰を曲げたりしなければならない。
【0010】
さらに、トイレの床面から浮いている男性用小便器の下端底面もトイレの床面と併せて掃除しなければならない。
【0011】
この男性用小便器の下方のトイレの床面や男性用小便器の底部などのトイレの床面近傍の掃除は、例えば、人の手作業で行う場合に、たわしによる工程、モップによる工程、スポンジによる工程、タオルによる工程の順に行われる。
【0012】
掃除後にすぐに男性用トイレを使用可能とするために、前述の多くの工程が必要となる。そのため、トイレの床面近傍の掃除には時間がかかり、掃除をする人の身体的な負担が大きいという問題があった。
【0013】
男性用トイレに限らず、水を使ってトイレの床面近傍を掃除して、掃除後にすぐに使用可能であることが望ましい場所では、同様の問題が存在する。
【0014】
そこで、上記問題を解決するために、水を使ってトイレの床面近傍を掃除できる自走式掃除ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の自走式掃除ロボットは、トイレの床面と平行に全方位移動可能な本体と、トイレの床面近傍を洗浄するブラシユニットとを有する自走式掃除ロボットであって、ブラシユニットは、ブラシがトイレの床面から離間してトイレの床面の上方に変位可能となっており、トイレの床面から浮かせた状態を維持できるように、壁面に掛けた状態で男性用小便器が設置される場合に、トイレの床面、及び、壁面に向かって男性用小便器の正面からは目視できない下端底面の両方を、ブラシユニットがトイレの床面及びトイレの床面上方の男性用小便器との隙間に侵入して洗浄可能となっていることを特徴とする自走式掃除ロボット。
【0016】
請求項1の自走式掃除ロボットによれば、トイレの床面、及び、壁面に向かって男性用小便器の正面からは目視できない下端底面の両方を、ブラシユニットがトイレの床面及びトイレの床面上方の男性用小便器との隙間に侵入して洗浄可能となっている。
【0017】
また、請求項1の自走式掃除ロボットによれば、トイレの床面だけでなく、例えば、壁掛けタイプの男性用小便器の壁面に向かって正面からは目視できない下端底面も、ブラシユニットがトイレの床面と男性用小便器の底部との隙間に侵入して洗浄することができる。
【0018】
請求項2の自走式掃除ロボットは、請求項1の自走式掃除ロボットにおいて、ブラシユニットは、本体からの離隔及び本体への接近が可能となっている。
【0019】
請求項2の自走式掃除ロボットによれば、請求項1の自走式掃除ロボットと同様の作用に加えて、本体から離隔した位置でブラシユニットがトイレの床面近傍を洗浄できる。これにより、トイレの床面近傍を洗浄で使用する水及び洗剤が本体に付着することを最小限に抑えることができる。水及び洗剤によって本体がトイレの床面に対して滑らないので、自走式掃除ロボットの自走精度が向上する。さらに、ブラシユニットによる洗浄で生じる反作用の力に負けることなく、自走式掃除ロボットの姿勢を保持することができる。
【0020】
トイレの床面の上方に本体自体が侵入できない障害物があるような箇所は、人の手作業では、掃除をする人の身体的な負担が大きくなる。請求項2の自走式掃除ロボットによれば、トイレの床面の上方に本体自体が侵入できない障害物があるような箇所であったとしても、本体よりも薄型化が可能なブラシユニットが本体から離隔して侵入して自動で洗浄できる。人の手作業による掃除と比較して、身体的な負担を極めて小さくすることができる。
【0021】
請求項3の自走式掃除ロボットは、請求項1又は2の自走式掃除ロボットにおいて、ブラシユニットで洗浄した箇所の洗剤及び水分を除去する水分除去ユニットをさらに有する。
【0022】
請求項3の自走式掃除ロボットによれば、請求項1又は2の自走式掃除ロボットと同様の作用に加えて、ブラシユニットで洗浄した箇所の洗剤及び水分を自動かつ速やかに除去することができる。
【0023】
請求項4の自走式掃除ロボットは、請求項3の自走式掃除ロボットにおいて、本体からの離隔及び本体への接近が可能となっている。
【0024】
請求項4の自走式掃除ロボットによれば、請求項3の自走式掃除ロボットと同様の作用に加えて、トイレの床面の上方に本体自体が侵入できない障害物があるような箇所は、人の手作業では、掃除をする人の身体的な負担が大きくなる。請求項5の自走式掃除ロボットによれば、トイレの床面の上方に本体自体が侵入できない障害物があるような箇所であったとしても、本体よりも薄型化が可能な水分除去ユニットが本体から離隔して侵入して自動で水分を除去できる。人の手作業による掃除と比較して、身体的な負担を極めて小さくすることができる。
【0025】
請求項5の自走式掃除ロボットは、請求項3又は4の自走式掃除ロボットにおいて、水分除去ユニットは、その一部がトイレの床面から離間してトイレの床面の上方に変位可能となっている。
【0026】
請求項5の自走式掃除ロボットは、請求項3又は4の自走式掃除ロボットと同様の作用に加えて、トイレの床面だけでなく、例えば、壁掛けタイプの男性用小便器の底部も、ブラシユニットがトイレの床面と男性用小便器の底部との隙間に侵入して、洗剤及び水分を除去することができる。
【0027】
請求項6の自走式掃除ロボットは、請求項1から5のいずれかの自走式掃除ロボットにおいて、本体にハンドルユニットを着脱可能となっている。
【0028】
請求項6の自走式掃除ロボットは、請求項1から5の自走式掃除ロボットと同様の作用に加えて、ハンドルユニットを取り付けた自走式掃除ロボットを手押しで操作できる。
【0029】
請求項7の自走式掃除ロボットは、請求項1から6のいずれかの自走式掃除ロボットにおいて、壁面及びトイレの床面の上方の掃除箇所を検出する検出手段をさらに有する。
【0030】
請求項7の自走式掃除ロボットは、請求項1から6の自走式掃除ロボットと同様の作用に加えて、必要に応じて、トイレの床面のみ掃除と、トイレの床面及びトイレの床面の上方の掃除箇所の掃除とを切り替えることができる。
【発明の効果】
【0031】
請求項1から7のいずれかに記載の自走式掃除ロボットは、トイレの床面近傍の掃除において、掃除をする人の身体的な負担を軽減するとともに、掃除時間を短縮する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明に係る一実施形態の自走式掃除ロボットの概略斜視図である。
【
図2】
図1の自走式掃除ロボットの側面側からの概略斜視図である。
【
図3】
図1の自走式掃除ロボットの男性用小便器付近での洗浄の様子を示す概略側面図である。
【
図4】
図1の自走式掃除ロボットの掃除の様子を示す概略斜視図である。
【
図5】
図1の自走式掃除ロボットの掃除の様子を示す概略斜視図である。
【
図6】
図1の自走式掃除ロボットの掃除の様子を示す概略斜視図である。
【
図7】
図1の自走式掃除ロボットの掃除の様子を示す概略斜視図である。
【
図8】ハンドルユニットを取り付けた
図1の自走式掃除ロボットの男性用小便器付近での洗浄の様子を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の自走式掃除ロボットは、例えば、利用者が多い公共施設やビルディング等のトイレなどの水を使って掃除可能な床面近傍の掃除に適している。
【0034】
以下、本発明に係る一実施形態の自走式掃除ロボット1について、図面を参照して説明する。
【0035】
自走式掃除ロボット1は、本体2と、トイレの床面近傍を洗浄するブラシユニット3と、ブラシユニット3で洗浄した箇所の洗剤及び水分を除去する水分除去ユニット4とを有する。説明の便宜上、
図1においてブラシユニット3が設けられている側を前方側、
図1において水分除去ユニット4が設けられている側を後方側とする。
【0036】
本体2にはバッテリーが内蔵されており、自走式掃除ロボット1による掃除作業中はバッテリーから電力が供給されるようになっている。よって、バッテリーを充電しておけば、掃除作業中に自走式掃除ロボット1に電源コード等の接続は不要である。利用者が多い公共施設やビルディング等においては、トイレなどの掃除中にトイレを立ち入り禁止にできないこともある。この場合に、自走式掃除ロボット1に電源コード等の接続は不要であれば、電源コード等に利用者の足が引っかかるリスクをなくすことができる。
【0037】
本体2は、車輪21を有している。各車輪21は駆動輪である。各車輪21の駆動が制御されることによって、自走式掃除ロボット1は、トイレの床面と平行に全方位移動可能となっている。
【0038】
本体2は、ブラシユニット3での洗浄で使用するための水を貯めておく水タンク22及び洗剤を貯める洗剤タンク23を有する。
【0039】
図2に示すように、本体2は、その軸線方向に沿って前方側に出し入れ可能な棒体24と、その軸線方向に沿って後方側に出し入れ可能な棒体25を有する。
【0040】
棒体24の先端には、ブラシユニット3が設けられている。
【0041】
棒体25の先端には、水分除去ユニット4が設けられている。
【0042】
図2中の矢印A及びBに示すように、ブラシユニット3及び水分除去ユニット4は、本体2からの離隔及び本体2への接近が可能となっている。
【0043】
具体的には、本体2から棒体24がその軸線方向に沿って前方側に出されると、棒体24の先端が本体2から離れていくこととなる。
図2に示すように、その棒体24の先端に設けられているブラシユニット3は本体2から離隔する。本体2へと棒体24が軸線方向に沿って後方側に入っていくと、その棒体24の先端に設けられているブラシユニット3は本体2へ接近する。
【0044】
本体2から棒体25がその軸線方向に沿って後方側に出されると、棒体25の先端が本体2から離れていくこととなる。
図2に示すように、その棒体25の先端に設けられている水分除去ユニット4は本体2から離隔する。本体2へと棒体25が軸線方向に沿って前方側に入っていくと、その棒体25の先端に設けられている水分除去ユニット4は本体2へ接近する。
【0045】
本体2は、ブラシユニット3及び水分除去ユニット4に比べて構成が複雑とならざるを得ない。また、ブラシユニット3の洗浄中の反作用の力、及び、水分除去ユニット4の水分除去中の反作用の力によって本体2の位置がずれることがない方が望ましい。そのため、本体2の外形寸法のコンパクト化には限界がある。
【0046】
本体2と比べて、ブラシユニット3及び水分除去ユニット4は、外形寸法のコンパクト化の障害が少ない。そのため、ブラシユニット3及び水分除去ユニット4の高さは、本体2の高さに比べて小さくできる。
【0047】
例えば、
図3に示すように、トイレの床面10と壁掛けタイプの男性用小便器11の底部の間の隙間のような、トイレの床面10の上方に本体2自体が侵入できない障害物があるような箇所であったとしても、本体2から離隔した状態のブラシユニット3がトイレの床面10と男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面との隙間に侵入して洗浄することができる。
【0048】
自走式掃除ロボット1は、本体2が水及び洗剤で洗浄されたトイレの床面近傍から離れた位置にありながら、掃除箇所を掃除することができる。
【0049】
本体2が水及び洗剤で洗浄されたトイレの床面近傍から離れた位置にあれば、水及び洗剤が本体2の車輪21に付着する可能性を低くすることができる。これにより、水及び洗剤によって、本体2の車輪21が滑ることを抑制することができる。
【0050】
特に、自走式掃除ロボット1を自動制御して任意の範囲の掃除を行う場合では、本体2の車輪21が滑らないことで、自動制御における自走式掃除ロボット1の移動精度向上を実現できる。
【0051】
同様に水分除去ユニット4も、本体2から離隔した状態で除去できるので、水及び洗剤が本体2の車輪21に付着することを抑制することができる。
【0052】
ブラシユニット3は、トイレの床面10と接触する補助車輪31と、トイレの床面近傍の掃除箇所に押し当てられるブラシ32と、ブラシ32を支持する支持体33と有する。
【0053】
補助車輪31は、非駆動輪である。
【0054】
ブラシ32は、回転軸がトイレの床面10に平行な回転ブラシである。ブラシ32が回転した状態でトイレの床面近傍の掃除箇所に押し当てられることによって、掃除箇所から汚れを引きはがすことができるようになっている。
【0055】
支持体33は、
図2中の矢印C及び
図3に示すように、基端の中心軸周りにブラシ32が設けられている先端が回動可能となっている。
【0056】
図3(b)に示すように、ブラシユニット3は、ブラシ32がトイレの床面10から離間してトイレの床面10の上方に変位可能となっている。
【0057】
自走式掃除ロボット1は、
図3(a)に示すようなトイレの床面10の洗浄、および、
図3(b)に示すような壁掛けタイプの男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面の洗浄において、ブラシユニット3がトイレの床面10と男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面との隙間に侵入して行うことができる。
【0058】
本体2の水タンク22及び洗剤タンク23からブラシユニット3まで、水及び洗剤を送る経路が設けられている。水及び洗剤はブラシユニット3から吐出可能となっている。
【0059】
水分除去ユニット4は、トイレの床面10と接触する補助車輪41と、トイレの床面近傍の掃除箇所に押し当てるタオル、スポンジ、スクレーパー等を保持可能な保持体42と有する。
【0060】
補助車輪41は、非駆動輪である。
【0061】
図2中の矢印Dに示すように、保持体42は、基端の中心軸周りに先端が回動可能となっている。
【0062】
水分除去ユニット4は、タオル、スポンジ、スクレーパー等が面10から離間してトイレの床面10の上方に変位可能となっている。
【0063】
ブラシユニット3と同様に、水分除去ユニット4もトイレの床面10の水分除去と、壁掛けタイプの男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面の水分除去とを、水分除去ユニット4がトイレの床面10と男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面との隙間に侵入して行うことができる。
【0064】
以下、本実施形態の自走式掃除ロボット1での、利用者が多い公共施設やビルディング等のトイレでの掃除の一例について、
図4-
図7を用いて説明する。
【0065】
図4-
図7のトイレでは、複数の壁掛けタイプの男性用小便器11が設置されている。このようなトイレにおいて、
図4-
図7は、掃除をする人の身体的な負担が大きい場所である壁掛けタイプの男性用小便器11の下のトイレの床面近傍を掃除する様子を示す。
【0066】
図4(a)では、複数の壁掛けタイプの男性用小便器が設置されている壁面12の一端において、自走式掃除ロボット1はブラシユニット3が設けられている前方側が、男性用小便器11が設置されている壁面12に向いている状態を示す。
【0067】
図4(a)の状態から、自走式掃除ロボット1は、本体2からブラシユニット3を壁面12に向かって離隔させて
図4(b)の状態になる。
【0068】
図4(b)の状態から、
図5(a)、
図5(b)の順に、自走式掃除ロボット1は、ブラシユニット3の回転するブラシ32をトイレの床面10に押し当てながら壁面12に向かって前進する。これにより、
図3(a)に示すように、壁掛けタイプの男性用小便器11の下のトイレの床面10を洗浄することができる
【0069】
男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面も洗浄する場合は、一旦、
図5(b)の状態から
図4(b)の状態に自走式掃除ロボット1が壁面12から後退する。ブラシユニット3のブラシ32をトイレの床面10から離間してトイレの床面10の上方に変位させた状態で、自走式掃除ロボット1が壁面12に向かって再び前進する。
図3(b)に示すように、壁掛けタイプの男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面を洗浄することができる。
【0070】
図5(b)の状態から
図4(b)の状態へと自走式掃除ロボット1が壁面12から後退して、所定幅の男性用小便器11の下のトイレの床面近傍を洗浄が完了する。
【0071】
次いで、
図6(a)及び(b)に示すように、自走式掃除ロボット1が壁面12に平行に横に移動して、次の所定幅の男性用小便器11の下のトイレの床面近傍の洗浄を行う。
【0072】
複数の壁掛けタイプの男性用小便器11が設置されている壁面12の一端から他端まで、所定幅の男性用小便器11の下のトイレの床面近傍の洗浄を繰り返すことによって、全男性用小便器11の下のトイレの床面近傍の洗浄を行うことができる。
【0073】
複数の壁掛けタイプの男性用小便器11が設置されている壁面12の他端まで洗浄が完了すると、自走式掃除ロボット1は水分除去ユニット4が設けられている後方側が、男性用小便器11が設置されている壁面12に向いている状態となるように旋回して、さらに、本体2から水分除去ユニット4を壁面12に向かって離隔させて
図7(a)の状態になる。
【0074】
図7(a)の状態から、
図7(b)に示すように、自走式掃除ロボット1は、本図面では図示を省略しているが、水分除去ユニット4が保持体42の先端に取り付けられるタオル、スポンジ、スクレーパー等をトイレの床面10に押し当てながら壁面12に向かって前進する。これにより、壁掛けタイプの男性用小便器11の下の水分を除去することができる。
【0075】
男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面も水分除去する場合は、一旦、
図7(b)の状態から
図7(a)の状態に自走式掃除ロボット1が壁面12から後退する。水分除去ユニット4の保持体42の先端に取り付けられるタオル、スポンジ、スクレーパー等をトイレの床面10から離間してトイレの床面10の上方に変位させた状態で、自走式掃除ロボット1が壁面12に向かって再び前進する。これにより、壁掛けタイプの男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面の水分を除去することができる。
【0076】
複数の壁掛けタイプの男性用小便器が設置されている壁面12の他端から一端まで、所定幅の男性用小便器11の下のトイレの床面近傍の水分除去を繰り返すことによって、全男性用小便器11の下のトイレの床面近傍の水分除去を行うことができる。
【0077】
なお、自走式掃除ロボット1は、壁面12、及び、男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面のようなトイレの床面上方の掃除箇所を検出する検出手段を有していてもよい。
【0078】
自走式掃除ロボット1は、壁面12の検出に基づいて、所定幅の男性用小便器11の下のトイレの床面近傍の洗浄及び水分除去を行う方向が判断できる。
【0079】
自走式掃除ロボット1は、その検出手段での検出結果に基づいて、トイレの床面上方の掃除箇所の洗浄および水分除去が必要かどうか自動で判断してもよい。例えば、検出手段は、ブラシユニット3に設けられていてもよいが、トイレの床面上方の掃除箇所を検出できるのであれば、ブラシユニット3以外に設けられていてもよい。
【0080】
以下、自走式掃除ロボット1を利用した手押し作業用について説明する。
【0081】
本体2には、ハンドルユニット5が取り付け可能となっている。
【0082】
図8は、本体2にハンドルユニット5を取り付けた状態を示す。
【0083】
ハンドルユニット5は、下端に補助車輪51が設けられている。補助車輪51は非駆動輪である。
【0084】
ハンドルユニット5が取り付けられると、ブラシユニットの補助車輪31とハンドルユニット5の補助車輪51が接地する。本体2の車輪21は、トイレの床面10から離間して、宙に浮いた状態となる。
【0085】
非駆動輪であるブラシユニットの補助車輪31とハンドルユニット5の補助車輪51が接地しているので、ハンドルユニット5を把持して自走式掃除ロボット1を押し引きするときの抵抗を減らすことができる。
【0086】
ハンドルユニット5を取り付けた自走式掃除ロボット1は、
図8(a)に示すようなトイレの床面10の洗浄と、
図8(b)に示すような壁掛けタイプの男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面の洗浄とを、ブラシユニット3がトイレの床面10と男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面との隙間に侵入して行うことができる。
【0087】
上記実施形態では、自走式掃除ロボットでトイレの掃除の例について説明したが、これに限定されることはない。自走式掃除ロボットは、水を使って掃除可能なトイレの床面であれば、トイレ以外の掃除箇所の掃除に使用することができる。
【0088】
上記実施形態では、本体2と、トイレの床面近傍を洗浄するブラシユニット3と、ブラシユニット3で洗浄した箇所の洗剤及び水分を除去する水分除去ユニット4とを有する場合について説明したが、これに限定されることはない。自走式掃除ロボットは、本体と、ブラシユニット又は水分除去ユニットのいずれか一方を有していてもよい。
【0089】
上記実施形態では、本体2が車輪21を有している場合ついて説明したが、これに限定されることはない。自走式掃除ロボットは、例えばクローラ等の車輪以外の機構でトイレの床面と平行に全方位移動可能であってもよい。
【0090】
上記実施形態では、ブラシユニット3及び水分除去ユニット4は、本体2からの離隔及び本体2への接近が可能となっている場合について説明したが、これに限定されることはない。ブラシユニットは、本体からの離隔及び本体への接近をせずに、ブラシがトイレの床面から離間してトイレの床面の上方に変位可能となっていてもよく、水分除去ユニットは、保持体に保持されるタオル、スポンジ、スクレーパー等がトイレの床面から離間してトイレの床面の上方に変位可能となっていてもよい。
【0091】
上記実施形態では、本体2が車輪21を有している場合ついて説明したが、これに限定されることはない。自走式掃除ロボットは、例えばクローラ等の車輪以外の機構でトイレの床面と平行に全方位移動可能であってもよい。
【0092】
上記実施形態では、本体2は、出し入れ可能な棒体24及び棒体25によって、それぞれの先端に設けられたブラシユニット3及び水分除去ユニット4が本体2からの離隔及び本体2への接近が可能となる場合ついて説明したが、これに限定されることはない。自走式掃除ロボットは、例えばパンダグラフ機構等の棒体の出し入れ以外の機構でブラシユニット及び水分除去ユニットが本体からの離隔及び本体への接近が可能であってもよい。
【0093】
上記実施形態では、ブラシ32は回転軸がトイレの床面に平行な回転ブラシである場合ついて説明したが、これに限定されることはない。ブラシは、例えば、往復運動ブラシ、振動ブラシ、回転軸がトイレの床面に直角な回転ブラシ等であってもよい。
【0094】
上記実施形態では、ブラシユニット3は、支持体33が基端の中心軸周りにブラシ32が設けられている先端が回動可能となっていることで、ブラシがトイレの床面から離間してトイレの床面の上方に変位可能となっている場合ついて説明したが、これに限定されることはない。ブラシユニット3は、例えば、ブラシ32が上下にスライドする等の別の機構でブラシがトイレの床面から離間してトイレの床面の上方に変位可能となっていてもよい。
【0095】
上記実施形態では、水及び洗剤はブラシユニット3から吐出可能である場合ついて説明したが、これに限定されることはない。例えば、ブラシユニット以外からトイレの床面近傍の掃除箇所に向かって水及び洗剤が吐出可能であってもよく、事前にトイレの床面近傍の掃除箇所に水及び洗剤を散布しておいてもよい。
【0096】
上記実施形態では、水分除去ユニット4は、保持体42が基端の中心軸周りに先端が回動可能となっていることで、タオル、スポンジ、スクレーパー等がトイレの床面から離間してトイレの床面の上方に変位可能となっている場合ついて説明したが、これに限定されることはない。水分除去ユニット4は、例えば、タオル、スポンジ、スクレーパー等が上下にスライドする等の別の機構でタオル、スポンジ、スクレーパー等がトイレの床面から離間してトイレの床面の上方に変位可能となっていてもよい。
【0097】
上記実施形態では、自走式掃除ロボット1を使用して、
図4-
図7において、掃除をする人の身体的な負担が大きい場所である壁掛けタイプの男性用小便器の下のトイレの床面近傍を掃除する場合について説明したが、これに限定されることはない。自走式掃除ロボットは、壁掛けタイプの洋式便器の下のトイレの床面近傍や、便器が設置されていないトイレの床面の掃除に使用してもよい。
【0098】
上記実施形態では、自走式掃除ロボット1を使用して、
図4-
図5において、男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面の洗浄もする場合は、一旦、
図5(b)の状態から
図4(b)の状態に自走式掃除ロボット1が壁面12から後退する場合について説明したが、これに限定されることはない。
図4(b)の状態から、
図5(a)、
図5(b)の順に、自走式掃除ロボット1は、ブラシユニット3の回転するブラシ32をトイレの床面10に押し当てながら壁面12に向かって前進し、ブラシユニット3の回転するブラシ32を
図5(b)の状態から
図4(b)の状態に自走式掃除ロボット1が男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面にブラシ32を押し当てながら壁面12から後退して、壁掛けタイプの男性用小便器11の下のトイレの床面10と男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面とを自走式掃除ロボットの往復で洗浄してしまってもよい。男性用小便器11の壁面12に向かって正面からは目視できない下端底面の水分除去もする場合も同様である。
【符号の説明】
【0099】
1 自走式掃除ロボット
2 本体
3 ブラシユニット
4 水分除去ユニット
5 ハンドルユニット
10 トイレの床面
11 男性用小便器
12 壁面
21 車輪
22 水タンク
23 洗剤タンク
24 棒体
25 棒体
31 補助車輪
32 ブラシ
33 支持体
41 補助車輪
42 保持体
51 補助車輪