(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】適応性光学画像取得方法
(51)【国際特許分類】
H04N 25/50 20230101AFI20240530BHJP
G02B 26/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
H04N25/50
G02B26/00
(21)【出願番号】P 2021516403
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 FR2019052160
(87)【国際公開番号】W WO2020058623
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-05
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510309020
【氏名又は名称】セントレ ナショナル デ ラ リシェルシェ サイエンティフィック(セ・エン・エル・エス)
(73)【特許権者】
【識別番号】518059934
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
【氏名又は名称原語表記】SORBONNE UNIVERSITE
(73)【特許権者】
【識別番号】508192245
【氏名又は名称】エコル ノルマル スペリュール
(73)【特許権者】
【識別番号】520053762
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・パリ・シテ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS CITE
(73)【特許権者】
【識別番号】517347805
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ドゥ ブルゴーニュ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE BOURGOGNE
(73)【特許権者】
【識別番号】515289646
【氏名又は名称】オブザヴァトワール ドゥ パリ
【氏名又は名称原語表記】OBSERVATOIRE DE PARIS
【住所又は居所原語表記】61 avenue de l’Observatoire F-75014 Paris France
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ダルソン,ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】デュボワ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】コラ,フランソワ
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-134799(JP,A)
【文献】特表2014-530362(JP,A)
【文献】特開2004-303827(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0233087(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
G02B 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像器により画像を取得する方法であって、
前記撮像器は、波面補正素子内に配置された光路を介して進行する入射光束に露出された際に電気的応答を生成するように構成された画素のマトリクスを有し、前記撮像器は、前記露出の間、前記画素の電気的応答の非破壊的な読み出しが可能となるように適合され、
当該方法は、
1)前記入射光束に対する画素の前記マトリクスの前記画素の前記露出を開始するステップと、
2)前記画素の前記露出の間、複数回の繰り返しのため、
2.1)関心領域の画素の前記電気的応答の非破壊的な読み出しを行うステップと、
2.2)本繰り返しと前の繰り返しとの間の前記入射光束の波面における変動を表す、前記関心領域の前記画素の前記電気的応答に基づいて、対数モードにおいて、前記前の繰り返しに対する、画素
の空間分布の進展を定めるステップと、
2.3)前記光束の前記波面を補正するため、前記進展に基づいて、前記波面補正素子のコマンドを構築するステップと、
2.4)前記コマンドを介して、前記波面補正素子を構成するステップと、
3)前記画素のマトリクスの前記画素の前記電気的応答を読み出し、画像を得るステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
ステップ1)の前に、前記マトリクスの画素をリセットする事前ステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対数モードにおいて、画素の前記空間分布の前記進展を定めるステップは、対数モードにおいて、前記画素を同定するステップを有し、
前記同定するステップは、前記電気的応答の各々と、閾値とを比較するステップを有し、画素の前記電気的応答による前記閾値の交差は、前記画素が対数モードにあることを表す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
対数モードにおいて、画素の前記空間分布の前記進展を定めるステップは、対数モードにおける画素を同定し、対数モードにおけるこれらの画素の位置を、前記前の繰り返しの間の対数モードにおける画素の位置と比較するステップを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
対数モードにおける画素の前記空間分布の前記進展を定めるステップは、
対数モードにおける画素と、リニアモードにおける画素とを分離する輪郭を同定するステップと、
前記輪郭の位置と、前の繰り返しの間の前記輪郭の前の位置との間で比較を行うステップと、
を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記波面補正素子のコマンドは、2つの繰り返しの間で、対数モードにおける画素の前記空間分布を安定化するように定められる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記関心領域では、前記マトリクスの画素の半分未満がまとめてグループ化される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
当該方法は、ステップ2.1)から2.4)を少なくとも5回繰り返す、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記関心領域は、前記画素の露出の前に定められる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ1)とステップ2)の間に、前記関心領域を同定する事前ステップを有し、
前記関心領域は、全ての画素の前記電気的応答の非破壊的な読み出しステップの後に定められ、
前記関心領域は、前記関心領域の外側の画素の電気的応答よりも、平均的に高い電気的応答を有する画素の組をまとめてグループ化するように定められる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ2.1)の間、前記関心領域の外側の画素の前記電気的応答は、読み出されない、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
非一過性媒体に記録されたプログラムコード指令を有するコンピュータプログラ
ムであって、
前記非一過性媒体を用いて前記プログラムがコンピュータで実行される際に、前記非一過性媒体は、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法のステップの実行のため、コンピュータにおいて使用される、コンピュータプログラ
ム。
【請求項13】
画像取得システムであって、
入射光束に露出された際に、電気的応答を生成するように構成された、光起電力モードにおける画素のマトリクスを有する撮像器であって、前記露出の間、画素の前記電気的応答の非破壊的な読み出しが可能となるように適合された、撮像器と、
前記撮像器に至る光路と、
前記光路の前記撮像器から下流に配置された、波面補正素子と、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法によるステップ2.1)乃至2.4)を実施するように構成された、データ処理ユニットと、
を有する、画像取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像器による画像取得の分野に関する。より正確には、本発明は、適応性光学技術を実施するため、波面補正素子を有する光学システムの光路を介して進行する入射光束に露出された撮像器により、画像を取得する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学システムの解像度は、撮像器により観察される対象物の最も微細な細部を分離する能力と密接に関連している。開口直径Dを有する完全な光学系では、Δφ=1.44λ/D(ここでλは波長)の2つの細部の間の最小観察角度での回折により、レイリー基準により、解像度(分解能)が制限される。実際には、多くの素子が、この理論分離能力、またはシステム光学機器-撮像器の空間インパルス応答として知られるPSF(点像分布関数)を低下し得る。第一に、光学システム自体により生じる全ての光学的欠陥および収差、さらには光の伝播媒体から生じる全ての欠陥および収差がある。技術的進歩により、実質的に固有の光学的静的欠陥または収差を有さない光学システムを形成することは可能になったものの、光学機械システム自体または伝播媒体のいずれかの動的特性を変更することは、依然として難しい。
【0003】
光源から撮像器への移動中に、光束は、伝播媒体の乱れにより、特に、前記媒体の不均一性の結果、その波面に歪みが生じる。全ての静的欠陥に加えて、光学-機械システムの全ての動的欠陥(膨張-収縮、振動など)もまた、群光学撮像器のPSFを劣化させる可能性がある。欠陥または収差のない完全なシステムでは、PSFは、考慮されるシステムの回折限界にのみ影響を受ける。
【0004】
例えば、天文学では、星からの1回限りの光は、真空中で直線的に地球に伝播する。次に、光束の波面は、平面であり、真空中で平面が残る。宇宙の真空中の軌道に配置された各種望遠鏡の場合、原理上、この光を受け取る望遠鏡内の回折により制限されるスポットを与えることができる。
【0005】
しかしながら、地球上の望遠鏡のような撮像器の場合、光束は、地球の大気を介しても移動する。大気は、気体で構成され、この気体の組成、および特に密度は、時間および空間で変化する。従って、屈折率の変動が生じ、その結果、光束が影響を受ける大気の乱れが生じる。
【0006】
同様に、眼の結像化の分野では、目は常時動いている。我々の目は、凝視の際であっても、無意識の動きにより動いている。これらの「凝視(fixation)」と呼ばれる動きは、視覚を維持するために不可欠なものである。従って、光束が移動する媒体は、動いている。また、照射光束は、いくつかの媒体(角膜、水晶体、または硝子体)を介して進行し、これらは、波面を変化させ得る各種組成、密度および減衰指数を有する。また、例えば、水晶体の微細適応、または涙液膜の流れにより、他の動的収差が生じ得る。
【0007】
これは、ほとんどの用途において、光束の伝播媒体の特性が絶えず変化する結果となる。これにより、光束の波面に歪みが生じ、これが変化する。これは、特に、画像を取得するプロセスにおいて、撮像器の露光中に変化する。撮像器における回折スポットのサイズは、相応に増加し、PSFが劣化し、その結果、この撮像器により取得された画像の解像度が低下する。画像取得中の露出が長くなるほど、その効果が強調される。
【0008】
取得画像の品質を改善するため、入射光束の波面の歪みを測定し、補正する対策が開発された。これらの解決策の1つは、適応性光学機器であり、これは、波面の変化および非予測的な変形をリアルタイムで補正することができる。
図1には、適応性光学技術を実施する従来技術の光学システムの典型的な例を示す。
【0009】
次に、システムは、光路11を介して光を受容する撮像器10を有する。光路11は、ビームスプリッタ13の下流に波面補正素子12(典型的には、変形可能ミラー)を有する。ビームスプリッタ13は、波面14を測定する装置(例えば、Shack-Hartmann型のセンサのような波面分析器)に、光束の一部を分岐させる。データ処理ユニット15を有する制御ループは、波面14を測定する装置からの測定値を用いて、波面補正素子13のコマンドを決定する。このコマンドに従って、波面補正素子13の構成が変更され、撮像器10に到達する前に、光路11を通過する光束の波面が補正される。
【0010】
従って、そのようなシステムは、2つの画像取得装置を必要とする:画像を取得する必要がある撮像器10と、波面の歪みを測定する必要がある、波面14の測定装置である。これは、システムの複雑性、および相応の重厚さをもたらす。また、2つの画像取得装置が空間的に離れているため、例えば振動のような、これらのデバイスに影響を及ぼす外乱に関する、異なる機械的制約が生じ得る。
【0011】
また、光束を分割するビームスプリッタ13の存在は、撮像器10が画像を取得する際に、この光束の一部のみを受け取ることを意味し、これにより、光束の一部のずれを補正するため、長い露出時間が必要となり、光束の変動の問題が高まり、あまり明るくないある対象物の撮像が妨げられ、例えば、測定ノイズに対する十分な識別が難しくなる。
【0012】
従って、波面を測定する専用の装置を使用せずに、適応性光学機器を実装するシステムが開発された。この場合、波面の解析に使用されるデータを収集するのは、撮像器である。より正確には、撮像器により取得された第1の画像を用いて、波面補正素子13に適用されるコマンドが決定される。従って、適用される補正を決定するため、第1の画像は、破棄される。また、このアプローチでは、前の画像から定められた補正が使用されるため、波面の歪みは、画像の取得中にほとんど変化しないことが仮定される。従って、補正は、考慮された乱流の可干渉時間内に維持される必要があり、これは、1秒当たりの画像に関する取得速度を十分に高めることを含み、これにより個々の画像に使用され得る信号が、同程度に減少する。あるシステムでは、同じマトリクス内の波面を測定するための装置と、撮像器とが組み合わされる。この場合、適応性光学機器による解像度の改善を目指すことができても、取得された画像の解像度は低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明では、露出の間の入射光束の波面の補正により、光束または露出時間の損失を生じさせず、かつ波面の歪みの解析のため、特別な専用の波面測定装置を必要とせずに、改善された解像度を有し、PSFの改善につながる信号対ノイズ比(SNR)が増大された画像の取得を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題のため、波面補正素子が配置された光路を介して進行する入射光束に露出された際に、電気的応答を生成するように構成された画素のマトリクスを有する撮像器により、画像を取得する方法が提案される。撮像器は、露出の間、画素の電気的応答の非破壊的な読み出しが可能となるように構成される。当該方法は、以下のステップを有する:
1)前記入射光束に対する画素の前記マトリクスの前記画素の前記露出を開始するステップと、
2)前記画素の前記露出の間、複数回の繰り返しのため、
2.1)関心領域の画素の前記電気的応答の非破壊的な読み出しを行うステップと、
2.2)本繰り返しと前の繰り返しとの間の前記入射光束の波面における変動を表す、前記関心領域の前記画素の前記電気的応答に基づいて、対数モードにおいて、前記前の繰り返しに対する、画素の前記空間分布の進展を定めるステップと、
2.3)前記光束の前記波面を補正するため、前記進展に基づいて、前記波面補正素子のコマンドを構築するステップと、
2.4)前記コマンドを介して、前記波面補正素子を構成するステップと、
3)前記画素のマトリクスの前記画素の前記電気的応答を読み出し、画像を得るステップ。
【0015】
当該方法は、以下の特徴を個々に、または任意の技術的に可能な組み合わせにより有することが有意である:
-当該方法は、ステップ1)の前に、前記マトリクスの画素をリセットする事前ステップを有する;
-対数モードにおいて、画素の前記空間分布の前記進展を定めるステップは、対数モードにおいて、前記画素を同定するステップを有し、
前記同定するステップは、前記電気的応答の各々と、閾値とを比較するステップを有し、画素の前記電気的応答による前記閾値の交差は、前記画素が対数モードにあることを表す;
-対数モードにおいて、画素の前記空間分布の前記進展を定めるステップは、対数モードにおける画素を同定し、対数モードにおけるこれらの画素の位置を、前記前の繰り返しの間の対数モードにおける画素の位置と比較するステップを有する;
-対数モードにおける画素の前記空間分布の前記進展を定めるステップは、
対数モードにおける画素と、リニアモードにおける画素とを分離する輪郭を同定するステップと、
前記輪郭の位置と、前の繰り返しの間の前記輪郭の前の位置との間で比較を行うステップと、
を有する;
-前記波面補正素子のコマンドは、2つの繰り返しの間で、対数モードにおける画素の前記空間分布を安定化するように定められる;
-前記関心領域では、前記マトリクスの画素の半分未満がまとめてグループ化される;
-当該方法は、ステップ2.1)から2.4)を少なくとも5回繰り返す;
-前記関心領域は、前記画素の露出の前に定められる;
-ステップ1)とステップ2)の間に、前記関心領域を同定する事前ステップを有し、
前記関心領域は、全ての画素の前記電気的応答の非破壊的な読み出しステップの後に定められ、
前記関心領域は、前記関心領域の外側の画素の電気的応答よりも、平均的に高い電気的応答を有する画素の組をまとめてグループ化するように定められる;
-ステップ2.1)の間、前記関心領域の外側の画素の前記電気的応答は、読み出されない;
また、本発明は、非一過性媒体に記録されたプログラムコード指令を有するコンピュータプログラム製品であって、
前記非一過性媒体を用いて前記プログラムがコンピュータで実行される際に、前記非一過性媒体は、本発明による方法のステップの実行のため、コンピュータにおいて使用される、コンピュータプログラム製品に関する。
【0016】
また、本発明は、画像取得システムであって、
入射光束に露出された際に、電気的応答を生成するように構成された、光起電力モードにおける画素のマトリクスを有する撮像器であって、前記露出の間、画素の前記電気的応答の非破壊的な読み出しが可能となるように適合された、撮像器と、
前記撮像器に至る光路と、
前記光路の前記撮像器から下流に配置された、波面補正素子と、
本発明による方法によるステップ2.1)乃至2.4)を実施するように構成された、データ処理ユニットと、
を有する、画像取得システムに関する。
【0017】
本発明は、本発明による実施形態および代替形態に関する以下の記載により、より良く理解される。説明は、非限定的な実施例として与えられ、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】前述のように、従来技術の光学システムを概略的に示した図である。
【
図2】本発明の想定される実施形態による光学システムを概略的に示した図である。
【
図3】本発明の想定される実施形態による方法のステップを示した図である。
【
図4】撮像器の取得視野および関心領域の一例を示した図である。
【
図5a】2つの繰り返し間の対数モードにおける画素の空間分布の変化の一例を概略的に示した図である。
【
図5b】2つの繰り返し間の対数モードにおける画素の空間分布の変化の一例を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に記載の実施形態は、限定的なものではなく、本発明の代替例を考慮することが可能である。特に、記載されまたは例示された他の特徴から離れた、記載されまたは例示された特徴の選択のみを有する本発明の代替例も、(この選択肢が、これらの他の特徴を含む文章内で隔離されていても)、この特徴の選択が、技術的利点を十分に提供し、または先行技術との関係で本発明を識別するのに十分である場合、想定され得る。この選択は、この一部のみで、技術的利点を十分に提供し、または先行技術との関係で本発明を識別するのに十分である場合、構造的詳細を伴わずに、および/または構造的詳細の一部のみを伴って、少なくとも1つのより好適に機能する特徴を含むことができる。
【0020】
図2を参照すると、取得方法は、画像取得システムにより実施される。画像取得システムは、
-露出の間、画素の電気的応答の非破壊的読み出しを可能にするように適合された、ピクセルのマトリクスを有する撮像器20と、
-撮像器20に通じる光路21と、
-撮像器20から下流の光路21に配置された波面補正素子22と、
-データ処理ユニット25と、
を有する。
【0021】
撮像器20という用語は、画像の取得が可能な画像撮影装置、すなわち、撮像器20が露出される入射光束からの光強度の空間分布情報を得る画像撮影装置を意味する。非限定的な例では、撮像器20を使用して、仏国のVerrieres-le-BuissonにあるNew Imaging Technologies社のNSC1601T-SIセンサと同様の可能性が提供できる。これは、グローバルシャッタを備えた15μmのピッチを有するアクティブ画素のマトリクスを有するCMOS技術に基づくInGaAsセンサであり、例えば、ITR/IWR(Integrate then Read/Integrate While Read)のような、破壊的な読み出しおよび非破壊的な読み出しの異なるモードが可能となる、読み出し集積回路(ROIC)アーキテクチャを有する。1秒当たり最大350画像の画像周波数で、0.9~1.7μmのスペクトル応答を有し、120dBを超える典型的な動的範囲を有する。
【0022】
撮像器20は、アクティブ画素のマトリクスを有し、各々は、光起電力モードで使用される光ダイオードにより、光束を検出し、電気信号に変換する機能において、瞬間入射光束に従った固有の対数応答が可能となり、さらに、その接合容量が飽和しない限り、接合容量から生じる線形応答が可能になる。マトリクスは、画素が線形モードにあるか、対数モードにあるかによらず、画素の電気的応答の読み出しが可能となるように適合される。光束の影響下、PN接合において、電荷キャリア(電子-正孔対)が生じる。光ダイオードの端子での電圧は、変動VDにより変化する:
【0023】
【数1】
ここで、V
T=κT/qであり、kはボルツマン定数、TはK単位の温度、qは素電荷、tは露出時間、I
Sは光ダイオードの接合の飽和電流、I
λは光電流、C
Dは接合容量である。
【0024】
画素の構成により、電気的応答は、各種値を取り得る。例えば、画素の光ダイオードは、最初、逆バイアスであり、露光前のリセットの間、光ダイオードに導入された初期電圧を有する。この初期電圧より、光ダイオードの使用範囲を決定することが可能となり、より正確には、受ける光度およびこの初期化に続く使用条件に従って、線形モードから対数モードへの移動を調整することが可能となる。
【0025】
露出の間、電荷キャリアにより光ダイオードに誘起された光電流は、光ダイオード内の電圧を徐々に放電させる。露出の開始時には、受光量が少ないため、光ダイオードは、逆バイアスに留まり、画素の電気的応答は、直線的に変化する:
【0026】
【数2】
これらの画素は、線形モードであると称される。露出時間が長くなると、強い光束を受ける画素の光ダイオードが完全に放電される。その後、画素は飽和する。画素が飽和すると、光ダイオードの端子での電圧の電気的応答が対数応答となり、以下のように変化する:
【0027】
【数3】
これらの 画素は、対数モードにあると称される。
【0028】
入射光束は、光路21に沿って進行し、撮像器20に到達する。従来技術のシステムの光路11とは逆に、この光路21では、ビームスプリッタ13により、波面の歪みの解析に専用の波面14の測定装置に、光束の一部を偏向させる必要はない。伝播媒体および光学機器の通過に固有の異なる損失を除き、入射光束の全てが、撮像器20に到達できる。その結果、撮像器20は、より大量の光束を受け取る。従って、露出時間を抑制することができ、これにより、多くの問題を回避することができる。
【0029】
撮像器20から下流の光路21に配置された波面補正素子22は、後者が撮像器20に到達する前に、入射光束の波面を補正する。通常、波面補正素子22は、例えば、変形可能ミラーのような、電気機械的マイクロシステムである。そのような変形可能ミラーは、例えば、ミラーの可撓性の反射表面の下の、複数のアクチュエータから形成される。アクチュエータの位置を変更することにより、ミラーの表面、さらにはその構成が変更される。変形可能ミラーに到達する光束は、該光束全体にわたって同じようには反射されず、波面が修正される。従って、変形可能ミラーの表面を修正して、波面の歪みを補正することができる。なお、例えば、液晶を用いた、他の波面補正素子22も可能である。
【0030】
その構成を修正するため、波面補正素子22は、データ処理ユニット25からコマンドを受信する。データ処理ユニット25は、通常、プロセッサおよびメモリを有し、(例えば測定)データを受信し、それらを処理し、データ(例えばコマンド)を送信するように構成される。データ処理ユニット25は、撮像器20および波面補正素子22と動作的に接続され、撮像器20および波面補正素子22とデータを通信することができる。データ処理ユニット25は、いくつかのサブシステムから形成された複合体であり、各々がデータ処理ユニット25の機能の一部を提供してもよい。データ処理ユニット25は、そのオンボードシステムにより自律的であり、あるいは、例えば、キーボードおよびスクリーンを含むヒューマンマシンインターフェースを有し、データを入力して表示することが可能になってもよい。
【0031】
図3を参照すると、撮像器20により画像を取得する方法は、いくつかのステップを有する。この方法は、撮像器20の画素のマトリクスの画素をリセットする事前ステップ(S01)を有し得る。このリセットは、リセット信号を作動させることを含む。リセット信号は、リセットトランジスタを導電性にし、画素の光ダイオードに初期電圧を付与する電気経路を形成する。いったんリセットが実行されると、リセット信号は非アクティブにされ、電気経路は遮断される。次に、入射光束に対する画素のマトリクスの画素の露出が開始される(ステップS02)。光路21を通って撮像器20に到達する光束は、前述のように、画素の電気的応答を修正する。
【0032】
露出の間、本方法は、複数の繰り返しを実施し、入射光束の波面が補正される。これらの繰り返しの各々の間、同じステップが繰り返される。繰り返しの第1のステップ(ステップS03)は、関心領域の画素の電気的応答の非破壊的読み出しを有する。撮像器20により、この非破壊的な読み出しが実行される。非破壊的な読み出しは、画素の電気的特性を実質的に変更することなく、画素の電気的応答を測定することができる読み出しである。特に、非破壊的な読み出しは、画素内に蓄積された電荷を除去することを含まず、画素をリセットするステップを含まない(リセットしない)。
【0033】
関心領域は、互いに隣接する画素の組である。関心領域は、互いに隣接したいくつかの画素の組を有し得る。関心領域は、撮像器20のマトリクスの全ての画素を、まとめてグループ化できる。しかしながら、好ましくは、関心領域は、マトリクスの画素の一部のみをグループ化する。好ましくは、関心領域は、マトリクスの画素の半分未満、好ましくはマトリクスの画素の20%未満、好ましくはマトリクスの画素の10%未満、さらにはマトリクスの画素の5%未満をまとめてグループ化する。関心領域外の外側の他の画素の電気的応答は、読み取られない。関心領域の外部の他の画素は、非破壊的な読み出しの間、入射光束の変換から生じる電気信号を蓄積し続ける。
【0034】
この方法は、好ましくは少なくとも5回の繰り返し、より好ましくは少なくとも10回の繰り返し、さらに好ましくは少なくとも20回の繰り返しを有する。実際には、露出の間、可能な限り多くの繰り返しが実施される。実際、繰り返しは、波面の歪みを補正する上で弊害となり、露出中の繰り返し回数が多いほど、より良い補正が可能になる。さらに、繰り返しの周期は、これらの歪みの変動周期よりも少ないことが好ましい。大気乱流の結果、生じる歪みの場合、これは、大気乱流の可干渉時間と呼ばれる。実施可能な繰り返し回数、およびそれらの速度、1秒あたりの回数は、撮像器20の読取能力、特に関心領域のサイズに依存する。例えば、撮像器が、毎秒300画像の読取能を有する場合(しばしば、「毎秒フレーム」のFPSにより指定される)、これは、毎秒300回、全てのその画素に等価な、多数の画素を読み取ることができることを意味する。従って、300FPSでの320画素×256画素(すなわち、81,920画素)の撮像器20の場合、撮像器20は、24,576,000画素/秒の読み出しを実施できる。
【0035】
従って、ゾーン読み出しのサイズを制限することにより、このゾーンをより頻繁に読み出すことが可能となる。なぜなら、撮像器20の単位秒あたりの画素においてバンド幅を維持したまま、より少ない画素しか読み取られないからである。前述の実施例を再度採用すると、マトリクスの画素の10%のみをまとめてグループ化して、関心領域の画素のみを読み出すことは、各読み出しにおいて、8,192画素のみを読み出すことに戻る。単位秒当たり24,576,000画素の読み出し能力に照らして、関心領域は、毎秒3,000回読み出すことができる。従って、関心領域の読み出し速度は、完全なマトリクスの読み出し速度よりも10倍大きいことが観察される。その結果、繰り返しの数は、関心領域が小さいほど、より大きくなり得る。前述の実施例では、マトリクスの10%の関心領域では、例えば、同じ露出時間の場合、マトリクス全体が読み取られる場合よりも、10倍多い繰り返しの実施が可能となる。
【0036】
さらに、前述の理由は、撮像器20の最大読み出し速度に従う。しかしながら、画素の露出は、実際には、センサの読み出し能力により許容される最小周期よりも、常に長くなる(より長い場合もある)。前述の実施例のセンサを再度取り上げ、(例えば天文学において)露出時間を30秒と仮定すると、露出中、本方法のほぼ90,000回の繰り返しが実施できる。いずれの場合も、本方法は、画像の取得中に、好ましくは少なくとも10回、好ましくは少なくとも20回、より好ましくは少なくとも100回の繰り返しを有する。
【0037】
しかしながら、繰り返しの間、それぞれの機能を実施する上で、システムの他の部材の能力に制限があることが留意される。しかしながら、通常、波面補正装置22は、数十ミリ秒未満の応答周期を有し、単純なデータ処理ユニット25は、要求よりもはるかに速く計算することができる。従って、通常、撮像器20が制限要因である。
【0038】
関心領域は、露光の間、最大量の光を受光する画素、すなわち、入射光束が最も多い画素をまとめてグループ化することが好ましい。関心領域は、画素の露出前に定めることができる。例えば、ユーザが撮像器20の取得フィールドにおける光強度の空間分布を事前に把握している場合、ユーザは、最も多くの光を受光するゾーンに対応する関心領域を画定することができる。光強度の空間分布の事前知識は、例えば、事前に取得された画像から得ることができる。
【0039】
あるいは、本方法は、露出の開始と最初の繰り返しとの間に介在する関心領域を同定する事前ステップを有し得る。関心領域は、全ての画素の電気的応答の非破壊的な読み出しステップの後に定められる。関心領域は、関心領域の外側の画素の電気的応答に比べて、平均的に大きな電気的応答を有する画素の組を、まとめてグループ化するように定められる。この関心領域では、露光の間、全体的に一定である光条件の下、補正により生じる変化を除き、線形応答の飽和の後、より多くの光束により、画素がより迅速に対数応答に変化し、従って、瞬間的な入射光束に従う、非破壊的な読み出しの速度でサンプリングされた、リアルタイムの応答が提供される。
【0040】
図4には、非限定的な例として、天文学の分野における撮像器20の取得フィールド30を示す。この取得フィールド30は、極めて明るい第1の対象物31、および明るくない第2の対象物32である。第1の対象物31から光束を受光するマトリクスのゾーンの画素は、第2の対象物32から光束を受光するマトリクスのゾーンの画素よりも、多くの量の光を受光する。従って、関心領域は、第1の対象物31からの光束を受光するマトリクスのゾーンの画素を含むように選択される。好ましくは、関心領域は、第1の対象物31からの光束を受光するマトリクスのゾーンの全ての画素を包含する。この画像を取得するユーザは、第1の対象物31の位置を把握しており、従って、関心領域33を事前に定めることができる。事前知識がない場合、露出の開始時の強い光強度のため、第1の対象物31の位置を識別することが容易となり、従って、露出の開始時の全ての画素の非破壊的な読み出しに基づいて、関心領域を定めることができる。
【0041】
関心領域の画素の電気的応答の非破壊的な読み出しにより、電気的応答、典型的には画素の各々の電圧またはその変化、を補正することが可能になる。各繰り返しにおいて、関心領域の画素のみに対応する部分画像が得られる。関心領域の画素の電気的応答に基づいて、以前の繰り返しに関する繰り返し前の対数モードにおける画素の空間分布の進展が定められる(ステップS04)。実際には、撮像器20は、非破壊的な読み出しの結果、すなわち部分画像を処理ユニット25に送信し、処理ユニット25により、対数モードにおける画素の空間分布の進展が定められる。
【0042】
前述のように、最も多くの光を受光する画素が飽和し、対数モードに切り替わっても、他の画素は、線形モードのままである。示された例では、第1の対象物31に対応する画素は、迅速に飽和し、対数モードに切り替わる一方、第2の対象物32に対応する画素は、線形モードのままである。線形応答は、露出の開始以降に画素が受けた光の量を示すだけであるが、対数応答は、読み出しの時点で画素が受けた光束の力をリアルタイムで変換する。
【0043】
従って、強い光束を受け、飽和に達した画素は、もはや光を受けなくても、飽和したままである。光を受光すると、その応答は、光束の対数関数となり、画素は、読み出しの時間で露出される。従って、対数モードにおける画素の空間分布は、画素が受ける光束の瞬間的空間分布に従う。この瞬間的な空間分布は、主に波面の歪みにより、繰り返しによって変化する。波面の適切な補正がなされない場合、光束の強度の空間分布の変位が生じる。
図4の例では、第1の対象物31から来る光束は、撮像器20のマトリクスの表面で位置ずれする。この位置ずれは、
図5aおよび5bに示されている。
【0044】
図5aにおいて、形状35は、対数モードにおいて、繰り返しnの読み出しのため、関心領域33のゾーンにおける画素をまとめてグループ化する。これらは、この繰り返しnの非破壊的な読み出しの時点において、第1の対象物31から来る光を受光する画素である。従って、この形状35は、繰り返しnの時点で、撮像器20により知覚された第1の対象物31の位置、すなわち、部分画像上の位置に対応する。
図5bにおいて、形状36は、繰り返しn+1の読み出しのため、対数モードにおいて、関心領域33内の画素をまとめてグループ化する。これらは、繰り返しn+1の非破壊的な読み出しの時点において、第1の対象物31から来る光を受光する画素である。従って、この形状36は、繰り返しn+1の時点において、撮像器20により知覚される第1の対象物31の位置に対応する。
図5bでは、形状35は、破線で仕切られている。形状36が、形状35に対して移動したことが観察される。これにより、対数モードにおける画素の空間分布が、繰り返しnと繰り返しn+1の間で変化したこと、さらには、画素が受ける光束の瞬間的空間分布が、繰り返しnと繰り返しn+1の間で同様に変化したことがわかる。従って、撮像器20により知覚される第1の対象物31の位置は、繰り返しnと繰り返しn+1との間で変化している。同様に、撮像器20により知覚される第1の対象物31は、繰り返しとともに変化する歪みを有し、これもまた、光束の瞬間的な空間分布の変化をもたらす。
【0045】
しかしながら、光束の瞬間的な空間分布におけるこの変化は、主に大気乱流による波面の歪み、または他の任意の変動、例えば、2つの繰り返し間の光路21における振動によるものである。その結果、対数モードにおける画素の空間分布の進展は、繰り返しnと繰り返しn+1の間の入射光束の波面における変動を表す。波面補正素子22のコマンドは、処理ユニット25により定められ(ステップS05)、これは、撮像器20からの非破壊的な読み出しの結果を受信し、空間分布におけるこの変化を補償し、すなわち、繰り返しnと繰り返しn+1との間の輪郭の位置ずれを補償する。
【0046】
詳細には、対数モードにおいて画素の空間分布の進展を定めるステップは、対数モードにおいて、繰り返しの間に応答が読み出された関心ゾーンの画素の中から、前記画素を同定するステップを有し得る。このため、同定するステップは、これらの画素の電気的応答の各々と、閾値との間を比較するステップを有することができ、画素の電気的応答による閾値の交差は、前記画素が対数モードにあることを示す。前述のように、画素は、飽和したときにのみ、対数モードに切り替わる。この飽和の前では、電気的応答は線形的であり、飽和値まで、光束に対する露光とともに上昇する。この飽和値の僅か上に閾値を配置することにより、対数モードの画素と線形モードの画素とを識別することが可能となる。各繰り返しにおいて、対数モードにおける画素を同定することにより、それらの空間分布の変化を定めることが可能となり、従って、波面補正素子22のコマンドを決定することが可能となる。
【0047】
次に、対数モードにおける画素の空間分布の進展を定めるステップは、対数モードにおいて画素を同定するステップと、対数モードにおけるこれらの画素の位置と前の繰り返しの間の対数モードにおける画素の位置との間を比較するステップと、を有し得る。比較の間、対数における画素のすべての位置を使用することができる。また、比較は、対数モードにおける画素の一部のみに限定することができ、その位置には、高い関心が生じる。これは、画素が、対数モードにおける画素と線形モードにおける画素を分離する輪郭に属する場合、特に重要である。
【0048】
実際、対数モードにおける画素の空間分布の進展を定めるステップは、特に、対数モードにおける画素の同定後に、対数モードにおける画素と線形モードにおける画素とを分離する輪郭を同定するステップを有する。
図5aにおいて、この輪郭は、
図5bにおける形状35の端部、および形状36の端部に対応する。次に、対数モードにおける画素の空間分布の進展を定めるステップは、1回の繰り返し(例えば、繰り返しn)における輪郭の位置と、前の繰り返し(例えば、繰り返しn+1)中の輪郭の先行位置との間を比較するステップを有することができ、これは、対数モードにおける画素の空間分布の進展に対応し、コマンドを定めることが可能になる。
【0049】
部分画像(関心領域に限定される)を伴うことにより、例えば、輝度が撮像器20の対数応答に配置される、前の繰り返しの部分画像の画素の一部または全ての応答の単純な選択のような、結像に使用される、各種検出およびセグメンテーション方法を使用することが可能となる。次に、空間パターンが得られる。次に、この選択に引き続き、現在の繰り返しの画像におけるこの空間パターンの探索が行われる。(例えば、星に対応する第1の対象物31の場合、ディスクのような)被検出物の形状に関する事前知識を含む、より洗練されたセグメンテーション方法を考慮することができる。これらの方法では、関心ゾーンの画素の全て、またはセンサの対数応答において輝度が配置された画素のみを、考慮することができる。
【0050】
いずれの場合も、波面補正素子のコマンドは、互いに続く2つの繰り返しの間の対数モードにおける画素の空間分布を安定化するように定められる。このコマンドは、処理ユニット25により定められ、波面補正素子22に送信される。波面補正素子22の構成は、コマンドに応じて変更される(ステップS06)。例えば、波面補正素子22が変形可能ミラーである場合、波面を補正するために、各種ミラー素子の配向が修正される。
【0051】
このプロセスは、各繰り返し数で繰り返され(最初の繰り返しの間には、いかなる比較も存在しなくてもよい)、補正は、波面の歪みの変動に従う。従って、撮像器20に到達する光束は、露出の間、関心領域33の使用に基づいて、常時補正される。方法の最後には、露出が十分であるとみなされ、露出の間、いくつかの繰り返しが実施された際に、画素のマトリクスの画素の電気的応答が読み出され(ステップS07)、画像が得られる。再度
図4の例を採用すると、第1の対象物31により飽和された、関心領域33からの画素を用いることにより、対象物32の高品質の表現を含む画像を取得することが可能となり、光束は、絶えず補正され、結像器の画素の2つのリセットの間の露出の間の、信号の蓄積の間のPSFにおける改善のため、依然、線形応答における画像のゾーンにおいて、信号対ノイズ比および解像度の相応の改善が可能となる。
【0052】
本発明は、添付の図面に記載され、示された実施形態に限定されるものではない。本発明の保護の範囲から逸脱せずに、特に、各種技術的特徴を構成する観点から、または技術的等価物の置換により、変更が依然として可能である。