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特許7496356凍結乾燥薬剤内の夾雑物を同定するためのレーザー誘起破壊分光法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】凍結乾燥薬剤内の夾雑物を同定するためのレーザー誘起破壊分光法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/71 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
G01N21/71
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021530846
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 US2019063433
(87)【国際公開番号】W WO2020112894
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】62/835,970
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/773,955
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ノーリス,アンドリュウ,デヴィッド
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-189351(JP,A)
【文献】特開平07-092108(JP,A)
【文献】特開2017-072399(JP,A)
【文献】特表2015-534639(JP,A)
【文献】特開2014-085178(JP,A)
【文献】特開2005-069826(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0234800(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/62 - G01N 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥薬品のケーキを含むバイアル内に見出される夾雑物の材料同定を検査及び実行する方法であって、
前記凍結乾燥薬品中の夾雑物の存在を特定することと、
前記バイアル内に拡大開口部を形成するために、前記バイアルの一部を取り外すことと、
前記拡大開口部を通して凍結乾燥薬品のケーキ全体を取り出すことと、
原子発光分光法(AES)技術を使用して前記夾雑物を分析することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記AES技術が、レーザー誘起破壊分光法(LIBS)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記夾雑物が、LIBS装置によって分析されている間、前記ケーキ上に残ったままである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記夾雑物が小片である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記小片がステンレス鋼を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記バイアルの一部を取り外すステップが、前記バイアルのヒールに刻み目を付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
固定具を使用して、前記バイアルを穿刺具に対して配置する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記固定具が、前記バイアルが前記穿刺具に対して回転されることを可能にする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記バイアルが、中央長手軸を有し、前記固定具が、前記軸が前記穿刺具に対して非垂直角度になるように前記バイアルを保持する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記非垂直角度が約75度である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記バイアルの一部を取り外すステップが、前記バイアルの基部の直径よりも小さい直径において前記基部に力を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記力が、前記基部の直径の約半分の直径において前記基部に加えられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
力ゲージを使用して、前記基部に加えられている前記力を測定する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記力ゲージが、前記バイアルに対して前記力ゲージを移動させるように構成されたプレスに取り付けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記バイアルの一部を取り外すステップが、前記バイアルのヒールをタップすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記夾雑物の発生を少なくとも3回確認することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記夾雑物を分析するステップが、前記夾雑物に関連する信号を、調剤処理装置の構成要素から採取された試料に関連する信号と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記夾雑物信号は、前記調剤処理装置の異なる構成要素から採取された少なくとも10個の試料を含むライブラリと比較される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記バイアルがチュービングバイアルであり、前記バイアルの基部が取り外される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記バイアルが成形バイアルであり、前記バイアルの基部又は上部のいずれかが取り外される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773,955号及び2019年4月18日に出願された米国仮特許出願第62/835,970号に関し、そのそれぞれは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照による援用
本明細書で述べられる全ての刊行物及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、又は特許出願が参照によって組み込まれることが具体的且つ個別に示されるかのように、参照によってそれらの全体が同様に本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、検査システムに関し、特に、ガラスバイアルの内容物を検査し、その中に見出される材料を特定するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
薬品などの様々な製品は、ガラスバイアルに提供される。薬品は、多くの場合、凍結乾燥形態で提供される。凍結乾燥は、凍結されて真空下に配置された後に生成物から水を除去する凍結乾燥プロセスである。凍結乾燥を受ける典型的な医薬製品のいくつかは、バルク調剤/生物薬剤成分(自然界で見出される化学物質又は生物製剤)、タンパク質、コラーゲン、ペプチド、オリゴヌクレオチド、化学API、酵素、及びモノクローナル抗体を含む。バルク薬物成分が液体又は凍結形態で安定でない場合、凍結乾燥が非常に有利である。これは、化学反応、分解、凝集、生物学的成長、熱感受性などに起因することができる。凍結乾燥は、多くの場合、2年~5年の長い貯蔵寿命を可能にし、製品の輸送をはるかに容易にする。さらに、製品は、室温で保存されることができる。
【0005】
調剤品の製造、バイアル充填及び/又は凍結乾燥プロセス中に、夾雑粒子が意図せずにバイアルに導入されることがある。これらの粒子は、それらの供給源を同定し、処理される後のバイアルに同様の粒子が導入されるのを防ぐために分析される必要がある。夾雑粒子の典型的な分析は、分析用に粒子を単離するために凍結乾燥製品の再構成及び濾過を含む。この従来のプロセスは、さらなる異物粒子の導入の可能性を有し、分析される粒子の損失をもたらす可能性があり、時間がかかる可能性がある。
【0006】
従来技術によって必要とされて提供されていないものは、ガラスバイアル内の凍結乾燥薬品に見られる夾雑物を検査するための改良されたシステム及び方法である。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、ガラスバイアルの内容物を検査/特定するシステム及び方法に関する。本開示は、ガラス破壊力学の原理を使用して凍結乾燥ケーキにアクセスする新たな方法を提供し、原子発光分光法(AES)/レーザー誘起破壊分光法(LIBS)が使用されて、凍結乾燥タンパク質ケーキ中の疑わしい粒子の特定カテゴリを特定する方法を示す。
【0008】
本開示の態様によれば、凍結乾燥薬品のケーキを含むバイアル内に見出される夾雑物の材料同定を検査及び実行する方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、凍結乾燥薬品中の夾雑物の存在を特定することと、バイアルの基部又は他の部分を取り外してバイアルに拡大開口部を形成することと、拡大開口部を通して凍結乾燥薬品の実質的にケーキ全体を取り出すことと、原子発光分光法(AES)技術を使用して夾雑物を分析することとを含む。
【0009】
上記方法のいくつかの実施形態では、AES技術は、レーザー誘起破壊分光法(LIBS)を含む。いくつかの実施形態では、夾雑物は、LIBS装置によって分析されている間、凍結乾燥ケーキ上に残ったままである。いくつかの実施形態では、夾雑物は、小片であり、ステンレス鋼を含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、バイアルの一部を取り外すステップは、バイアルのヒールに刻み目を付けることを含む。固定具を使用して、バイアルを穿刺具に対して配置することができる。いくつかの実施形態では、固定具は、バイアルが穿刺具に対して回転されることを可能にする。バイアルは、中央長手軸を有し、固定具は、その軸が穿刺具に対して非垂直角度になるようにバイアルを保持することができる。いくつかの実施形態では、非垂直角度は約75度である。バイアルの一部を取り外すステップは、バイアルの基部の直径よりも小さい直径において基部に力を加えることを含み得る。いくつかの実施形態では、力は、基部の直径の約半分の直径において基部に加えられる。力ゲージを使用して、基部に加えられている力を測定することができる。いくつかの実施形態では、力ゲージは、バイアルに対して力ゲージを移動させるように構成されたプレスに取り付けられる。バイアルの一部を取り外すステップは、バイアルのヒールをタップすることを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、本方法は、夾雑物の発生を少なくとも3回確認することをさらに含む。夾雑物を分析するステップは、夾雑物に関連する信号を、調剤処理装置の構成要素から採取された試料に関連する信号と比較することを含み得る。いくつかの実施形態では、夾雑物信号は、調剤処理装置の異なる構成要素から採取された少なくとも10個の試料を含むライブラリと比較される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の新規の特徴は、以下の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、及びその添付の図面を参照することによって得られるであろう:
【0013】
図1】その内容物が分析される従来技術のガラスバイアルを示す側面図である。
【0014】
図2】本開示の態様に従って実行されるバイアル内容物検査及び分析方法の例示的な実施形態のステップを示す図である。
【0015】
図3】その内容物が照射されているバイアルの側面図である。
【0016】
図4図3のバイアル内の夾雑粒子を示す拡大図である。
【0017】
図5】バイアルの側面図であり、バイアルの拡大部分を示す挿入図である。
【0018】
図6】バイアル刻み装置の正面図である。
【0019】
図7図7のバイアル及び装置の一部を示す拡大正面図である。
【0020】
図8】バイアルの基部又は他の部分に力を加えるように構成された装置の正面図である。
【0021】
図9図8の拡大図である。
【0022】
図10】刻み目が付けられたバイアル及び破断線をタップするために使用されるツールの平面図である。
【0023】
図11】レンズ加工バイアルを示す平面図である。
【0024】
図12】その内容物が照射されているレンズ加工バイアルを示す側面図である。
【0025】
図13】その内容物が取り出された図12のバイアルを示す斜視図である。
【0026】
図14】スライドに移された図13のバイアルの内容物を示す斜視図である。
【0027】
図15】LIBSシステムに配置された図14のスライド及びその内容物を示す斜視図である。
【0028】
図16】目的の粒子を表示するLIBSシステムのモニタ画面を示している。
【0029】
図17】正規化振幅を有する目的の粒子からの信号を表示するLIBSシステムのモニタ画面を示している。
【0030】
図18】非正規化振幅を有するステンレス鋼粒子からの信号を表示するLIBSシステムのモニタ画面を示している。
【0031】
図19】非正規化振幅を有するlyoケーキからの信号を表示するLIBSシステムのモニタ画面を示している。
【0032】
図20】lyoケーキからの信号及び画像を表示するLIBSシステムのモニタ画面を示している。
【0033】
図21】その基部付近が開放された成形バイアルを示す側面図である。
【0034】
図22】そのカラー付近が開放された成形バイアルを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明がさらに説明される前に、本開示は、説明された特定の実施形態に限定されず、したがって当然のことながら変化することができることを理解されたい。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本開示の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定することを意図しないことも理解されたい。
【0036】
ある範囲の値が提供される場合、文脈が別段明確に示さない限り、その範囲の上限と下限との間における、下限の単位の10分の1までの、各介在値、及び、その記載された範囲内の任意の他の記載値又は介在値は、本発明に包含されることと理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立してより小さい範囲に含まれてもよく、また、記載された範囲内のいずれかの具体的に除外された制限に従うことを条件として、本発明に包含される。記載された範囲が制限の一方又は双方を含む場合は、包含された制限の一方又は双方を除いた範囲もまた、本発明に含まれる。
【0037】
別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるのと同様又は均等な任意の方法及び材料もまた、本発明の実施又は試験に使用されることができるが、好ましい方法及び材料がここで記載される。本明細書で言及される全ての刊行物は、刊行物が引用される関連する方法及び/又は材料を開示及び説明するために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0038】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の言及を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「構成要素」への言及は、1つ以上の構成要素などへの言及を含む。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように作成されることができることにさらに留意されたい。したがって、この言及は、特許請求の範囲の要素の列挙、又は「否定的な」限定事項の使用に関連して、「もっぱら」、「のみ」などのような排他的な用語を使用するための先行詞としての役割を果たすことを意図している。
【0039】
本明細書に記載される刊行物は、本特許出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書中のいかなるものも、本開示が先行発明によってそのような刊行物に先行する権利がないことの承認として解釈されるべきではない。さらに、提供された公開日は、独立して確認される必要があり得る実際の公開日とは異なる場合がある。
【0040】
図1を参照すると、例示的なガラス薬品バイアル10が示されている。薬品バイアルは、様々な形状及びサイズで製造されるが、典型的には、一定の直径の主要部12と、縮径されたネック14と、ネック14の上部のバイアル開口部(図示せず)の周りに配置されたリップ16又はフランジとを有する。フランジ16は、アンダーカット部又はカラー18を提供するために、ネック14の直径よりも大きい直径を有することができる。バイアル10が薬品によって充填された後、上部は、クラウン20、フランジ16及びカラー18の一部を覆う金属バンド、圧着、シール又は仕上げ部22によって適所に保持されたセプタム材料又はクラウン20によって封止されることができる。クラウン20が皮下注射針をよって穿刺されて、凍結乾燥された薬品を再構成し、バイアルからシリンジに薬品を取り出すことができる。側壁24がバイアルの底面又は基部26に移行するときに主要部12の底部に位置する湾曲した縁部は、バイアルのヒール28と呼ばれることがある。
【0041】
レンズ加工(本体から取り外されたバイアルの基部によって特定可能である)がガラスバイアル内で起こることができる。これは、バイアルのヒールに裂け目などの欠陥が形成されたときに意図せずに起こることができる。裂け目は、バイアルが薬品によって充填されているとき、並びに製造環境と一致する製造及び物流プロセス中などに、バイアルに加えられる熱的及び/又は機械的応力によって形成される可能性がある。さらなる応力は、欠陥をバイアルのヒール全体の周りに伝播させ、基部26をバイアル10の本体12から取り外すことを引き起こす(レンズのような形状の別個のガラス片を形成する)可能性がある。レンズ加工は、一般に、ガラス薬品バイアルにおいて回避されるべきものと見なされ、それが起こらないことを確実にするために、通常、設計、製造及び流通の様々な段階でステップが行われる。しかしながら、本開示の態様によれば、レンズ加工が積極的に使用されてバイアル内容物の検査及び特定を支援することができる。
【0042】
図2を参照して、本開示の態様に従って実行されるバイアル内容物検査及び特定方法100の例示的な実施形態が記載される。この例示的な実施形態では、検査及び特定方法100は、以下のステップを含む:
110-凍結乾燥薬品中の夾雑物の存在を特定すること;
120-バイアル内に拡大開口部を形成するために、バイアルの基部又は他の部分をレンズ加工又は取り外すこと;
130-拡大開口部を通して凍結乾燥薬品のケーキの実質的に全体を取り出すこと;及び
140-原子発光分光法(AES)技術を使用して夾雑物を分析すること。
【0043】
これらの各ステップについては、以下の説明において詳細に記載される。
【0044】
図3及び図4を参照して、凍結乾燥薬品中の夾雑物の存在を特定する例示的な検査方法100のステップ110が記載される。夾雑物は、小片、繊維、ガラスの3つのカテゴリに分類されることができる。繊維は、4:1などの大きなアスペクト比を有する粒子、及び典型的には浮くか又は中立浮力を有する粒子として定義されることができる。ガラス夾雑物は、典型的には、透明ガラスから作製された粒子である。小片は、繊維又はガラスではない任意の粒子として定義されることができる。小片は、具体的には、金属粒子及びゴム粒子を含む。以下の説明は、小片として分類される粒子に焦点を当てるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0045】
疑われる夾雑物を含有する1つ以上のバイアルは、バイアルの検査プロセス中にバイアルのより大きなバッチから選別されることができる。これは、バイアルが充填されて凍結乾燥された直後に起こることができる。バイアルの上部もまた、この時点で密封されることができる。
【0046】
例示的な検査方法100のいくつかの実装では、1つ以上の小片又は他の夾雑物が発生したことの確認は、少なくとも3回実行される。第1に、バイアルがレンズ加工される前に、バイアル内の凍結乾燥ケーキ上の小片の存在が確認される。第2に、バイアルがレンズ加工された後に小片の確認が行われる。第3に、分光計での小片の確認が行われる。これらの少なくとも3つの確認は、同じ又は異なる技術者/分析者によって実行されることができる。小片の例示的な第1の確認が図3及び図4に示されている。図3に示すように、光が後方からバイアル10を透過して、凍結乾燥(lyo)ケーキ152の上の不透明粒子150を強調することができる。図4は、較正された測定能力(バイアル10を通して観察される)を有するデジタル顕微鏡を用いて見たときの、上部からの照明がlyoケーキ152上にある粒子150を示している。この例では、粒子150は、細長い形状を有し、幅が201マイクロメートルである。粒子150のこの第1の確認中に、図3及び図4などの画像が撮影されることができ、粒子150の形態、色、位置及び他の特性が後続の分析者のために記録されることができる。この時点で粒子の存在が確認されることができない場合、以前の検査に関連する人員に問い合わせが行われ、選別された理由を再評価又は説明することができる。粒子150の例示的な第2及び第3の確認が、方法100の後のステップの説明と共に、続いてより詳細に記載される。
【0047】
図5図11を参照して、例示的な検査方法100のステップ120、バイアル内に拡大開口部を形成するためにバイアルの基部又は他の部分をレンズ加工又は取り外すことについて記載される。まず図5を参照して、バイアル10の基部26を破砕する力学について記載される。裂け目154などの欠陥が(意図せずに又は意図的に)ヒール28に導入された場合、これは、特定の応力がバイアル10に加えられた場合にヒール28全体の周りに延在する亀裂の開始点を形成することができる。バイアル10が平坦面上に着座し、充填、凍結乾燥又は圧着装置又はパレット装填などから上方から下向きの垂直力156を受けると、図示のように法線接触直径において上向きの反作用力158が加えられる。この力は、ヒール28から比較的小さい距離で生じるため、欠陥154を形成するのに十分であり得るが、典型的には、欠陥を伝播させるのに十分ではない。しかしながら、小さい接触直径において基部26の中心付近に同じ上向きの力(図5に示す力160)が加えられる場合、これは、裂け目154の周りにより長いてこ又はモーメントを形成し、ヒール28を通って横断方向に及びその円周の周りで横方向にそれを伝播させることができる。通常動作中、これは、初期裂け目154を引き起こした可能性がある同じ装置によって意図せずに引き起こされる可能性がある。しかしながら、本開示の態様によれば、初期裂け目154及び小さな接触直径での上向きの荷重力160は、レンズ加工バイアル10からlyoケーキを実質的に無傷で取り出すために、レンズ加工バイアルの制御された条件下でバイアル10に意図的に加えられてもよい。
【0048】
図6及び図7を参照すると、バイアル10のヒール28に裂け目を導入するための装置及び固定具が示されている。検査方法100のいくつかの実装では、力ゲージ162(NIDEC-SHIMPO Corporationによって販売されているモデルFGV-200XYデジタル力ゲージなど)が垂直プレス164に取り付けられることができる。図示のように、炭化した先端穿刺具166が力ゲージ162に取り付けられることができる。固定具168は、1つ以上のバイアルを穿刺具166の下方にしっかりと保持するために設けられることができる。いくつかの実施形態では、固定具168は、熱可塑性樹脂から作製され、3D印刷などの積層造形プロセスによって製造されることができる。いくつかの実施形態では、固定具168は、バイアル10を水平よりも約15度上などの角度で保持する。この向きでは、バイアル10の中心長手軸は、穿刺具166に対して約75度の角度を形成する。いくつかの実施形態では、この角度は、約85度から約60度の間である。バイアルのサイズ及び形状ごとに別個の固定具が設けられてもよく、又はV字形の固定具が使用されて様々なバイアルタイプを保持してもよい。図6に示すプレス164のクランク又はホイール170は、図7に示すように、バイアル10のヒール28上の下側穿刺具166に向けられる。いくつかの実施形態では、バイアル10が固定具168内で回転されてヒール28に刻み線又は他の表面欠陥を形成するとき、力ゲージ162上で読み取られるように、バイアル10上への穿刺具166の所定の下向きの力が維持される。いくつかの実施形態では、この表面欠陥は、基部26の周囲に連続的に形成される。
【0049】
図8及び図9を参照すると、バイアル10が上述したように刻み目を付けられた後、所定の力がその基部26に加えられて、表面欠陥をヒールガラスにわたって伝播させることができる。いくつかのバイアルでは、この力は、少なくとも2.3ポンドである。他のバイアルでは、30ポンドの力が加えられる。他の実施形態では、可聴スナップ音又はポッピング音などの表面欠陥が十分に伝播した証拠が得られるまで、力を遅くすることができる。バイアルに刻み目を付けるために使用されるのと同じ垂直プレス164及び力ゲージ162が使用されて、その基部に力を加えることができる。しかしながら、穿刺具は、力ゲージ162から取り出され、バイアル10の上部に均等に接触するように構成されたマンドレル172と置き換えられる。また、図6及び図7に示す固定具168は、小径の管状の台座174と置き換えられる。台座174は、マンドレル172の下方でプレス164の基部に固定されることができる。図5に関連して前述したように、台座174の直径が小さいほど、ヒール28に配置されるてこが大きくなる。いくつかの実施形態では、台座174の直径は、バイアル10の直径の約半分である。
【0050】
図10を参照すると、バイアル10が上述したように刻み目が付けられ、及び/又はその基部に力が加えられた後、バイアルは、拭き取られて、ガラス粒子又は油などの、刻み目処理中にバイアルに蓄積した可能性がある任意の夾雑物を取り出すことができる。ツール176が使用されて、ヒール28を穏やかにタップしてバイアル10の本体からさらに離すことができる。図11は、レンズ加工された後の(すなわち、基部26は、本体12から分離されている)バイアル10を示している。図10及び図11は、明確にするために空のバイアルを示しているが、実際の検査プロセスでは、バイアル10は、この時点で目的のlyoケーキ及び粒子を依然として含有する。
【0051】
図12図15を参照して、レンズ加工されたバイアルの拡大開口部を通して凍結乾燥薬品の実質的にケーキ全体を取り出す例示的な検査方法100のステップ130について記載される。最初に図12を参照すると、レンズ加工されたバイアル10が再びライトテーブル上に配置されて、粒子150の発生を2回目に確認することができる。lyoケーキ152上の粒子150の位置が記録されるべきである。具体的には、ケーキの中心からの距離、並びに計時が記録されることができる。ケーキ152が操作されて、粒子150を3時又は12時の位置に置くことができる。これは、装置を使用するときに見つけやすくする分析装置の水平軸又は垂直軸上に粒子150を配置する。
【0052】
図13及び図14に示すように、ピンセットが使用されて、適切な固定具上にlyoケーキ152を穏やかに移すことができる。いくつかの実施形態では、ケーキ152が厚すぎてレーザーがスライドから透過してスペクトルを生成することができない場合であっても、金めっきガラススライド178が使用される。粒子150のクロック位置及びおおよその位置が同様に記録されるべきである。次に、図15に示すように、スライド178が分光計180内に配置されることができる。いくつかの実施形態では、次に、図16に示すように、分光計180の視覚システムを使用して粒子150が見つけられる。粒子150のこの第3の確認では、その形態が分析されるべきである。いくつかの実施形態では、形態が以前の画像と一致し、ステンレス鋼として以前に特定された他の粒子と一致する場合、検査要員は、レーザー誘起破壊分光法(LIBS)分析などの原子発光分光法(AES)技術を継続する必要がある。いくつかの実施形態では、この時点でラマン分光法が実行されることができる。しかしながら、粒子150が金属である場合、それは、良好な信号を与えない可能性が高く、ラマン分光法は、金属を加熱し、小片をケーキ152内に沈ませる可能性がある。
【0053】
図17図20を参照して、原子発光分光法(AES)技術を使用して夾雑物を分析する例示的な検査方法100のステップ140について記載される。この例示的な実施形態では、レーザー誘起破壊分光法(LIBS)分析が、使用されるAES技術である。いくつかの実施形態では、粒子が上に載っているlyoケーキが、それが見出されたバイアルから取り出されてLIBS装置に配置されるため、試料粒子は全く触れられない。分析全体は、試料粒子がlyoケーキ上で乱されないままで実行されることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、LIBS装置は、試料の表面の小領域にレーザー(典型的には、Nd:YAG固体レーザー)を集束させることによって動作する。レーザーが放電されると、ナノグラムからピコグラムの範囲の非常に少量の材料がアブレーションされ、これは、100,000Kを超える温度のプラズマプルームを発生させる。データ収集中、典型的には局所的な熱力学的平衡が確立された後、プラズマ温度は、5,000~20,000Kの範囲である。初期プラズマ中の高温では、アブレーションされた材料は、励起されたイオン種及び原子種に解離(分解)する。この時間の間、プラズマは、存在する種に関するいかなる有用な情報も含まない連続した放射線を放出するが、非常に短い時間枠内で、プラズマは、超音速で膨張して冷却する。この時点で、元素の特徴的な原子発光線が観察されることができる。連続放射線の放射と特性放射との間の遅延は、10μs程度であり、これは、検出器が典型的に時間的にゲート制御される理由である。
【0055】
例示的な検査方法100のステップ140において、LIBS装置によって研究されている粒子によって生成された原子発光線は、参照試料のライブラリ内の発光線と比較される。いくつかの実施形態では、ライブラリは、標準的な元素からのスペクトルだけでなく、調剤処理装置において見られる粒子から形成された参照試料も含む。例えば、粒子は、それぞれがその供給源に関して分類された状態で、調剤製造装置、バイアル充填装置などの特定の部分からサンプリングされることができる。分析される粒子のスペクトルがライブラリ参照のスペクトルと一致する場合、バイアル夾雑物の供給源が迅速に同定されて修復されることができる。
【0056】
最初に図17を参照すると、ライブラリ参照スペクトルと比較された2つのLIBS試料スペクトルの例が図の右側に示されている。図の左側には、ライブラリ参照の例示的なリストが示されている。いくつかの実施形態では、LIBS装置は、試料とライブラリ参照との間にある一致がどれだけ近いかのランキングを提供する。
【0057】
いくつかの実施形態では、lyoケーキのスペクトルは、非有機材料と比較された場合、本質的にLIBS分析の論拠とすることができる。しかしながら、ライブラリの一致だけでなく、実際のスペクトル自体を見ることが依然として重要であり得る。これは、いくつかの実施形態ではライブラリ参照が正規化されることができるためである。図18及び図19に関連する以下の説明は、この点を増幅する。
【0058】
図18を参照すると、ステンレス鋼粒子試料のLIBS分析の例が提供されている。この例では、信号の振幅は高い。生信号が処理/正規化されて参照ライブラリと比較され、強い信号をもたらす。
【0059】
図19を参照すると、lyoケーキ自体のLIBS分析の例が提供されている。ここで、信号振幅は低いが、信号対雑音比は許容可能である。この例では、LIBS装置は、そのライブラリからのシリコン試料との高い一致を示している。この誤一致は、ここでは、lyoケーキ信号の低振幅が増加/正規化されているため、及びlyoケーキ信号が汚い/ノイズが多いために発生する。特に、実際に一方が他方よりもはるかに高い実際の振幅を有することがある場合、試料信号及びライブラリ信号は、双方とも、正規化されるときに0から1にスケーリングされる。図18(ステンレス鋼粒子)を図19(lyoケーキ)と比較すると、信号は、同様の振幅を有するように見えるが、ステンレス鋼信号は、lyoケーキの振幅よりもはるかに高い実際の振幅を有する。したがって、LIBSを使用して、lyoケーキ上に載っている試料粒子を分析する場合、信号の振幅に注意すべきである。LIBS装置の標的が外れている場合、図20に示すように、粒子の代わりにケーキが分析されることができる。
【0060】
図21及び図22を参照すると、バイアルの基部をレンズ加工又は取り外すための代替方法が提供されている。医薬産業で使用するためのガラスバイアルは、「チュービングバイアル」又は「成形バイアル」のいずれかであることが多い。チュービングバイアルの製造は、典型的には、バイアルの底部を閉じてバイアルの上部に特徴を形成するために、フレーム、ツール、及びケーン/チューブの回転を使用してガラスケーン(チューブ)をバイアルに変換することによって行われる。チュービングバイアルとは対照的に、成形バイアルは、典型的には、ダイに挿入された後にダイの内側と同じ形状をとるように圧縮空気を使用して膨張される溶融ガラスの「グローブ」を使用して製造される。チュービングバイアルが製造される方法のために、それらの寸法は、非常に一貫している傾向があり、ガラス壁厚の変動は僅かにすぎない。したがって、チュービングバイアルをレンズ加工する場合、反復可能な結果が予想されることができる。一方、成形バイアルの寸法は、それらの外側部分がダイと嵌合する場合にのみ一致する傾向がある。しかしながら、典型的には、バイアル全体の壁厚に大きな変動がある。成形バイアルにおけるこれらのガラス壁厚の変動は、前述した手順を使用した基部のレンズ加工中にあまり予測できない結果を引き起こす可能性がある。したがって、図2図11を参照して上述した手順は、チュービングバイアルに最も適しており、図21及び図22を参照して以下に記載される手順は、成形バイアルに最も適している。しかしながら、いずれのタイプのバイアルにもいずれの手順が使用されることができる。
【0061】
スペクトル分析のための成形ガラスバイアル200内の凍結乾燥ケーキへのアクセスを可能にするために、まずバイアルの全周の周りの壁厚を部分的に貫通するパターンを切断し、次いで壁厚の切断されていない部分を破壊するためにパターンを張力下に置くことによって基部が取り出されることができる。成形バイアルガラスの壁厚の差に起因して、それは夾雑物を導入する可能性があるため、バイアルの内部への切断を防止するように注意すべきである。いくつかの実装では、ガラスを切断するように適合された帯鋸が使用されて、バイアルの周囲の所望の位置に制御された切断部を形成する。図21に示すように、分析される粒子202が凍結乾燥ケーキ204の上部にある場合、最初にケーキ204をバイアル200の上部に向かって移動させ、次に図示のようにバイアル200の底部の近くに切断パターン206を形成することが推奨される。バイアル200を粒子202からケーキ204の反対側に切断することにより、凍結乾燥ケーキ上に夾雑物を導入する可能性を最小限に抑える。一方、図22に示すように粒子202がケーキ204の底部にある場合、図示のようにバイアルの肩部の近くにパターン206を切断することが望ましい場合がある。
【0062】
切断パターン206が上述したように成形バイアル200の周囲に形成されると、適切な個人用保護具が着用されてから、マイナスドライバー又は他の適切なツールを切断部206に挿入し、制御された方法でツールをねじることにより、ガラスを張力下に置くべきである。破壊は、最も抵抗/強度が低く、したがって切断パターン206に沿った経路をたどることが予想されるが、成形バイアルガラスの壁厚の変動に起因して、破壊は、別の方向をとることがある。全体的な意図は、粒子の分析のためにケーキを取り出すことを可能にすることである。きれいな破砕が好ましいが、ケーキの取り出しには必要ではない。
【0063】
本明細書に記載のバイアル内容物検査及び特定方法100並びにその変形によって提供される利点は、以下を含む。本方法は、分析が、選別中に特定される粒子に対してのみ行われていることを保証することができ、決定的な方法である。凍結乾燥されたバイアル内容物中の粒子状物質を分析する従来技術の方法は、注射用水(WFI)を添加することによってバイアル内容物を再構成することと、バイアルから再構成された内容物を取り出すことと、濾過によって粒子状物質を単離することとを含む。これは、典型的には、バイアル及び濾過装置の複数回のすすぎを伴い、バイアルごとに1から2時間かかる可能性がある。本例示的な方法は、ストッパからのゴム、圧着中のシールとの相互作用からのガラス、シリンジからのステンレス鋼、シールからのアルミニウム、及び/又は濾過プロセスに固有のものなどによる再構成中の夾雑の可能性を低減する。本方法はまた、濾過に必要な時間を1~2時間から6~10分に短縮し、濾過のコストを低減/排除する。本方法はまた、目的の粒子に対して複数の分析を行うことを可能にする。LIBSは、「破壊」試験と考えることができるが、多くの場合、粒子は、LIBSレーザーによってフィルタから単に「遊離」されるだけであり、完全に破壊されるわけではない。さらに、いくつかの試験では、lyoケーキに何かが隠れている場合がある。本明細書に開示されるように、lyoケーキの上部の目的の粒子のみを分析するためにLIBSを使用することは、そのような隠れた元素が分析を妨げることを防止する。
【0064】
検査及び特定方法のいくつかの実装では、lyoケーキがバイアルから取り出された後、ケーキのより小さい部分が単離され、LIBS及び/又は従来の再構成方法を用いて分析される。いくつかの実装では、粒子は、バイアルから取り出された後であるが分析される前に、ケーキから直接採取されることができる。
〔付記1〕
凍結乾燥薬品のケーキを含むバイアル内に見出される夾雑物の材料同定を検査及び実行する方法であって、
前記凍結乾燥薬品中の夾雑物の存在を特定することと、
前記バイアル内に拡大開口部を形成するために、前記バイアルの一部を取り外すことと、
前記拡大開口部を通して凍結乾燥薬品のケーキの実質的に全体を取り出すことと、
原子発光分光法(AES)技術を使用して前記夾雑物を分析することと、を含む、方法。
〔付記2〕
前記AES技術が、レーザー誘起破壊分光法(LIBS)を含む、付記1に記載の方法。
〔付記3〕
前記夾雑物が、LIBS装置によって分析されている間、前記凍結乾燥ケーキ上に残ったままである、付記2に記載の方法。
〔付記4〕
前記夾雑物が小片である、付記1に記載の方法。
〔付記5〕
前記小片がステンレス鋼を含む、付記4に記載の方法。
〔付記6〕
前記バイアルの一部を取り外すステップが、前記バイアルのヒールに刻み目を付けることを含む、付記1に記載の方法。
〔付記7〕
固定具を使用して、前記バイアルを穿刺具に対して配置する、付記6に記載の方法。
〔付記8〕
前記固定具が、前記バイアルが前記穿刺具に対して回転されることを可能にする、付記7に記載の方法。
〔付記9〕
前記バイアルが、中央長手軸を有し、前記固定具が、前記軸が前記穿刺具に対して非垂直角度になるように前記バイアルを保持する、付記7に記載の方法。
〔付記10〕
前記非垂直角度が約75度である、付記9に記載の方法。
〔付記11〕
前記バイアルの一部を取り外すステップが、前記バイアルの基部の直径よりも小さい直径において前記基部に力を加えることを含む、付記1に記載の方法。
〔付記12〕
前記力が、前記基部の直径の約半分の直径において前記基部に加えられる、付記11に記載の方法。
〔付記13〕
力ゲージを使用して、前記基部に加えられている前記力を測定する、付記11に記載の方法。
〔付記14〕
前記力ゲージが、前記バイアルに対して前記力ゲージを移動させるように構成されたプレスに取り付けられる、付記13に記載の方法。
〔付記15〕
前記バイアルの一部を取り外すステップが、前記バイアルのヒールをタップすることを含む、付記1に記載の方法。
〔付記16〕
前記夾雑物の発生を少なくとも3回確認することをさらに含む、付記1に記載の方法。
〔付記17〕
前記夾雑物を分析するステップが、前記夾雑物に関連する信号を、調剤処理装置の構成要素から採取された試料に関連する信号と比較することを含む、付記1に記載の方法。
〔付記18〕
前記夾雑物信号は、前記調剤処理装置の異なる構成要素から採取された少なくとも10個の試料を含むライブラリと比較される、付記17に記載の方法。
〔付記19〕
前記バイアルがチュービングバイアルであり、前記バイアルの基部が取り外される、付記1に記載の方法。
〔付記20〕
前記バイアルが成形バイアルであり、前記バイアルの基部又は上部のいずれかが取り外される、付記1に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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