(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】一体型ヒューズを含む締め付け装置を有する電気式空気加熱装置、電気式空気加熱装置を含むエンジン及び車両
(51)【国際特許分類】
F02M 31/13 20060101AFI20240530BHJP
H05B 1/02 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
F02M31/13 301K
H05B1/02
(21)【出願番号】P 2021576702
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2020067486
(87)【国際公開番号】W WO2020260274
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-02-22
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521559544
【氏名又は名称】ヒドリア ディー.オー.オー.
【住所又は居所原語表記】Spodnja Kanomlja 23,5281 Spodnja Idrija,Slovenija
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】カベルシチェク,マティファ
(72)【発明者】
【氏名】ザガル,ウロス
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-217508(JP,A)
【文献】特開2007-239645(JP,A)
【文献】特表2016-540343(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0159855(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104234881(CN,A)
【文献】中国実用新案第204476643(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 31/13
H05B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面(13)と外面(7)を有する壁(2)によって区分されたハウジングと、
前記ハウジング内を流れる空気流の空気を加熱し、加熱空気流を形成するように適応された前記ハウジングの内空間(4)に配置された少なくとも1つの抵抗リボン(3)と、
前記壁(2)の前記内面(13)及び前記外面(7)と連係して、前記抵抗リボン(3)を前記壁(2)に固定する締め付け装置(5)であって、
前記壁(2)にわたって延在する締め付け軸(9)と、
前記壁(2)の前記外面(7)に面し、前記締め付け軸(9)と導電接触する前記締め付け装置(5)の締め付け座金(8)と、を少なくとも含む締め付け装置(5)と、
前記少なくとも1つの抵抗リボン(3)に電流を供給する電気回路を開き、前記壁(2)の温度が所定温度を超えた電気式空気加熱装置(1)の状態(過熱状態と呼ばれる)で前記少なくとも1つの抵抗リボン(3)の加熱を中止するためのカットオフ(6)と、を備え、
前記カットオフ(6)が、前記締め付け座金(8)及び前記壁(2)と導電接触で配置されたヒューズ(10)を含むタイプの電気式空気加熱装置(1)であって、
前記締め付け装置(5)が、
前記締め付け座金(8)と前記壁(2)の間で長手方向に締め付けられ、
少なくとも前記過熱状態で前記抵抗リボン(3)と前記壁(2)を互いに締め付け、
前記締め付け座金(8)と前記壁(2)の間に導電接触を提供しない少なくとも1つの締め付けスペーサを含む、ことを特徴とする、電気式空気加熱装置(1)。
【請求項2】
前記締め付けスペーサが、
前記電気式空気加熱装置(1)の前記過熱状態で、前記少なくとも1つの抵抗リボン(3)を前記壁(2)に締め付けるように適応された非溶融材料で作成された少なくとも1つの金属管(11)と、
非溶融材料で作成された前記少なくとも1つの金属管(11)を前記ヒューズ(10)から半径方向に電気的に絶縁する少なくとも1つの管状絶縁体(12)と、
前記壁(2)と非溶融材料で作成された前記少なくとも1つの金属管(11)との間で長手方向に延在し、非溶融材料で作成された前記少なくとも1つの金属管(11)を前記壁(2)から長手方向に電気的に絶縁するリング(14)と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の電気式空気加熱装置(1)。
【請求項3】
前記締め付け座金(8)、前記ヒューズ(10)、非溶融材料で作成された前記少なくとも1つの金属管(11)、及び前記少なくとも1つの管状絶縁体(12)が、前記締め付け軸(9)に同軸で延在することを特徴とする、請求項2に記載の電気式空気加熱装置(1)。
【請求項4】
前記カットオフ(6)が、高い圧縮強度を有する電気絶縁材料で作成され、前記壁(2)と前記締め付けスペーサとの間で長手方向に延在するリング(14)を有することを特徴とする、請求項1又は3に記載の電気式空気加熱装置(1)。
【請求項5】
前記リング(14)が、少なくとも1つのセラミックス材料で作成されることを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の電気式空気加熱装置(1)。
【請求項6】
前記ヒューズ(10)の溶融材料を集めるために前記締め付け装置(5)の外部を包むカバー(15)を有し、前記締め付け装置(5)が如何なる位置でも前記ヒューズ(10)の溶融材料が前記
カバー(15)内に捕らえられるようにすることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気式空気加熱装置(1)。
【請求項7】
前記締め付け座金(8)が、平座金とばね座金からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の電気式空気加熱装置(1)。
【請求項8】
前記締め付け装置(5)が、ねじ(22)と、前記ねじ(22)の前記
締め付け軸(9)のねじ部分(23)と連係して前記抵抗リボン(3)を前記ハウジングの前記壁(2)に固定する少なくとも1つのナット(24)とを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の電気式空気加熱装置(1)。
【請求項9】
前記締め付け装置(5)が、リベットを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の電気式空気加熱装置(1)。
【請求項10】
前記締め付け装置の前記締め付け軸(9)が、前記ハウジングの壁(2)に形成されたボア(21)にわたって延在するように配置されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の電気式空気加熱装置(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電気式空気加熱装置(1)を含むエンジン。
【請求項12】
請求項11に記載のエンジンを含む車両。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電気式空気加熱装置(1)を含む請求項12に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体型保護ヒューズを含む締め付け装置、特にねじ接続を備えたディーゼルエンジン用の電気式空気加熱装置に関する。本発明は、また、一体型保護ヒューズを含む少なくとも1つの締め付け装置を有する電気式空気加熱装置を備えたディーゼルエンジン、及び電気式空気加熱装置を含む車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この文では、表現「ヒューズ」と「温度ヒューズ」は、前記「ヒューズ」要素の過熱状態で前記「ヒューズ」要素を含む電気回路内の電流を遮断できるように定められた電気回路の要素を意味また意図し、前記「ヒューズ」要素は、電流が電気回路内を流れる第1の固体導電形態で電気回路を閉じ、第1の固体導電形態の過熱によって起こる電気回路内に電流が流れない第2の固体非導電形態で電気回路を開く熱溶融固体材料の部品を含む。
【0003】
ディーゼルエンジンの始動を容易にするには、ディーゼルエンジンに入る空気流を加熱することが望ましい。この目的のため、ディーゼルエンジンの吸気マニホルド内に電気式空気加熱装置が収容されることがある。一般に、そのような電気式空気加熱装置は、加熱される空気流をハウジングの内容積内に通すように適応されたハウジングを含み、また、ハウジングの内容積内に配置された少なくとも1つの抵抗リボンを含み、抵抗リボンは、抵抗リボンを収容するハウジングの内容積内で加熱される空気流を加熱できる。電流が抵抗リボンを流れるとき、抵抗リボンの温度がジュール効果によって上昇し、熱が、抵抗リボンから抵抗リボンと接触する空気流の空気に伝わり、高温空気流をエンジンに提供する。しかしながら、抵抗リボンが加熱されて、空気がハウジングの内容積内を流れない場合は、抵抗リボンの温度が上昇し、これに対応する熱が、ハウジングと空気加熱装置に伝わる。その結果、電気式空気加熱装置のハウジングは、ディーゼルエンジンの吸気マニホルドに固定された電気式空気加熱装置を作動させる電流によって過熱される。ハウジングの加熱によって、電気式空気加熱装置のハウジングの近くに延在するエンジンの幾つかの構成要素が溶融又は発火する危険がある。これは、エンジンが作動できない場合、空気が電気ヒータのハウジングの内容積内を流れない場合、及び空気加熱装置の制御システムが誤動作し、空気加熱装置が動作モードのままになる場合である。制御システムによって、ヒータが、エンジンの作動前でも制御システムの不調により正常に機能し、エンジンが作動停止した後でも空気加熱装置が機能することがある。そのとき、空気加熱装置の加熱要素からの放熱が不十分になるので、ハウジングを含む空気加熱装置の構成部品が加熱される。何らかの不適切な動作によってハウジングが過度温度に達したとき、ハウジングを含む空気加熱装置の構成部品が燃焼又は溶融し始める。空気加熱装置、車両又は機械の近くの構成部品が発火及び/又は溶融する。この問題は、車両又は機械がガレージ又は船上の閉空間内にあるときにより重要になる。
【0004】
空気加熱装置及び空気加熱装置のハウジングの過熱(特に200℃を超える過熱)を防ぐための解決策が必要である。
【0005】
特許文献1は、締付ねじによってハウジングに固定された2つの抵抗リボンを収容するハウジングを含む空気加熱装置を開示しており、締付ねじの1つは、ヒューズを組み込む締付ねじである。ヒューズを組み込む締付ねじの軸には、ハウジングの外被に形成されたボアと連係する長手方向部分があり、前記長手方向部分は、ハウジングの外被から電気的に絶縁されている。ヒューズは、締付ねじの軸と同じ縦軸を有し長手方向に延在する同軸管を有し、その一端はハウジングと電気接続し、一端は軸に接する導電性座金と電気接続する。ヒューズを組み込む締付ねじは、また、締付ねじの軸とヒューズとの間に半径方向に挟まれた電気絶縁材料の管(絶縁スペーサを形成する)を有し、電気絶縁材料の前記管は、ねじの軸の軸方向に自由に動くことができる。したがって、ヒューズは、締付ねじの軸から半径方向に電気的に絶縁され、抵抗リボンとハウジングとの間に閉電気回路ができ、前記電気回路は、直列に電気接続された締付ねじの軸、導電性座金及びヒューズを含む。
【0006】
しかしながら、特許文献1のヒューズを組み込む締付ねじには幾つかの欠点ある。ハウジングの温度が上昇し、ハウジングに固定されたヒューズの温度がヒューズの材料の溶融温度より高い値になったとき、ヒューズが溶ける。その結果、ハウジングと締付ねじのナットの間に印加されるプレテンション力がゼロになり、空気加熱装置が落下する可能性がある。空気加熱装置の部品がエンジンの燃焼室内に落下し、エンジンを深刻に破損させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2014/159855号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、これらの欠点を克服することを目的とする。
【0009】
本発明は、これらの欠点を克服する頑強な解決策を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、一体型ヒューズを含む締め付け装置を有する固定された電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、ヒューズの材料の溶融後に締め付け強度を明確に維持する一体型ヒューズを含む締め付け装置を有する電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【0012】
本発明は、製造が単純な一体型ヒューズを含む締め付け装置を有する固定電気式空気加熱装置を提供することを目的とし、一体型ヒューズを含む前記締め付け装置は、電気式空気ヒータ内に容易に取り付けられる。
【0013】
本発明は、少数の構成要素から組み立てできかつ製造が単純な電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、低い製造コストを有する一体型ヒューズを含む締め付け装置を有する固定電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、電気式空気加熱装置を組み立てる時間を制限できる一体型ヒューズを含む固定ねじ接続を提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、固定式締め付け装置ヒューズの溶融後でも電気式空気加熱装置の組立体を維持できる一体型ヒューズを含む締め付け装置を有する固定電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【0017】
本発明は、正確に製造できる一体型ヒューズを含む固定式締め付け装置を提供することを目的とする。
【0018】
本発明は、ディーゼル機械及び機械(特にディーゼル機械)のエンジン室内に配置された、安価で頑強でかつ過酷な振動プロファイルに耐える一体型ヒューズを含む固定式締め付け装置を有する電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【0019】
本発明は、特許文献1のヒューズの溶融後の締め付け強度の低下の問題を解決するような電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【0020】
本発明は、特許文献1のヒューズの溶融後に電気式空気加熱装置の固体要素の分解の問題を解決するような電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【0021】
本発明は、ヒューズが溶けた後に締め付け強度を維持するような電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【0022】
本発明は、車両のエンジン内の電気式空気加熱装置の要素の分散の危険性を回避するとはいわないまでも、制限するような電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【0023】
本発明は、車両のエンジンを破損させる危険を回避するとはいわないまでも、制限するような電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【0024】
本発明は、電気式空気加熱装置の温度を管理し、かつ電気式空気加熱装置及び電気式空気加熱装置の環境を過熱及び発火の危険から保護できるような電気式空気加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、
内面と外面を有する壁によって区分されたハウジングと、
前記ハウジング内を流れる空気流の空気を加熱し、加熱空気流を形成するように適応された前記ハウジングの内空間に配置された少なくとも1つの抵抗リボンと、
前記壁の前記内面及び前記外面と連係して、前記抵抗リボンを前記壁に固定する締め付け装置であって、
前記壁にわたって延在する締め付け軸と、
前記壁の前記外面に面し、前記締め付け軸と導電接触する前記締め付け装置の締め付け座金とを少なくとも含む締め付け装置と、
前記少なくとも1つの抵抗リボンに電流を供給する電気回路を開き、前記壁の温度が所定温度を超えた前記電気式空気加熱装置の状態(過熱状態と呼ばれる)で前記少なくとも1つの抵抗リボンの加熱を中止するためのカットオフとを備え、
前記カットオフが、前記締め付け座金及び前記壁と導電接触で配置されたヒューズを含むタイプの電気式空気加熱装置であって、
前記締め付け装置が、
前記締め付け座金と前記壁の間で長手方向に締め付けられ、
少なくとも前記過熱状態で前記抵抗リボンと前記壁を互いに締め付け、
前記締め付け座金と前記壁の間の電気接触を提供しない少なくとも1つの締め付けスペーサを含むことを特徴とする、電気式空気加熱装置に関する。
【0026】
本発明は、空気流の空気を加熱する少なくとも1つの電気抵抗リボンを含む電気式空気加熱装置に関し、前記電気式空気加熱装置は、特に空気流が中断されたときと前記ハウジングの前記壁の温度が危険なほど上昇した場合に、過熱から保護される。その場合、前記抵抗リボンの前記電気供給は、前記ヒューズの溶融により遮断される。前記抵抗リボンは、前記ハウジングの前記内空間内で前記ハウジングの前記壁に確実に固定されたままである。前記電気式空気加熱装置の部材が分解し、前記エンジンの隔室及び/又は前記エンジンの燃焼室内に落下し前記エンジンを破損させる危険がない。更に、本発明による電気式空気加熱装置を修理するために、前記電気式空気加熱装置全体を交換せずにヒューズを交換すれば十分である。
【0027】
本発明による電気式空気加熱装置は、前記締め付け装置に組み込まれたカットオフ(第1の締め付け装置と呼ばれる)を含む。前記第1の締め付け装置は、前記少なくとも1つの抵抗リボンを前記ハウジングの前記壁に固定し、前記少なくとも1つの抵抗リボンを前記蓄電池の負(-)端子に電気接続するように配置される。本発明による電気式空気加熱装置の好ましい実施形態では、前記第1の締め付け装置は、前記ハウジングの前記壁を通って前記蓄電池の負(-)端子に接続される。
【0028】
前記締め付けスペーサは、前記ヒューズが前記締め付け座金と前記ハウジングの前記壁の両方と電気接触している前記電気式空気加熱装置の作動状態と、前記ヒューズを形成する材料が溶け、前記締め付け座金と前記ハウジングとの間の電気回路を中断する前記電気式空気加熱装置の前記過熱状態の両方で、前記少なくとも1つの抵抗リボンを前記ハウジングの前記壁に締め付けることを可能にするように選択され適応される。
【0029】
前記電気式空気加熱装置の前記カットオフは、前記過熱状態で前記電気回路を開き、前記ハウジングの前記壁の温度が所定温度より低い温度に低下したときに前記電気回路を開いたままにするように適応される。
【0030】
前記電気式空気加熱装置の前記ヒューズは、前記ハウジングの外に延在し、前記電気回路内に直列に取り付けられる。
【0031】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、前記ヒューズは、前記締め付け軸に同軸で延在する管形ヒューズである。
【0032】
本発明による前記電気式空気加熱装置は、第1の締め付け装置と別に、前記少なくとも1つの抵抗リボンを前記ハウジングに固定し、前記少なくとも1つの抵抗リボンを蓄電池の正(+)端子に電気接続して閉電気回路が形成されるようにする第2の締め付け装置を含み、電流は、前記蓄電池から、前記第2の締め付け装置を通り、次に前記少なくとも1つの抵抗リボンを通り、次に前記第1の締め付け装置を通り、次にハウジングを通って前記蓄電池に戻る。
【0033】
有利には本発明によれば、前記電流は、前記締め付け装置の前記締め付け軸を通り、前記締め付け装置が前記抵抗リボンを固定する前記締め付け軸の内側端から、前記締め付け軸の外側端、前記カットオフと連係する前記外側端、及び締め付けナットまで流れる。
【0034】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、抵抗リボンは、前記電気回路内で直列に接続される。
【0035】
本発明による前記電気式空気加熱装置の締め付けスペーサは、前記電流が、前記第1の締め付け装置内で、前記第1の締め付け装置に固定された前記抵抗リボンから、前記第1の締め付け装置の前記締め付け軸を通り、次に前記締め付け座金を通り、次に前記ヒューズを通り、前記ハウジングの前記壁に戻るように選択され配置される。本発明による前記電気式空気加熱装置の前記締め付けスペーサは、前記締め付け軸と前記ハウジングの前記壁の間の互いの直接電気接触を回避するように選択され配置される。前記電気式空気加熱装置の前記締め付けスペーサは、前記過熱状態でも、前記抵抗リボンを前記ハウジングの前記壁に互いに締め付けたままにするように選択され配置される。有利には、前記締め付けスペーサは、前記締め付け軸に関して同軸で延在する管である。
【0036】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、前記締め付けスペーサは、少なくとも1つの非溶融材料で作成される。前記締め付けスペーサの材料の前記溶融温度は、前記ヒューズの材料の溶融温度より高い。有利には、前記締め付けスペーサは、銅、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、銀、金、鉛からなる群から選択された少なくとも1つの金属で作成されうる。有利には、前記締め付けスペーサは、金属合金、ケイ素青銅、インコネル、黄銅、アマルガム及びアルミニウム合金からなる群から選択された少なくとも1つの材料で作成されうる。前記締め付けスペーサが、セラミックス材料で作成されてもよく剛性ゴム材料や他のプラスチックで作成されてもよい。前記締め付けスペーサは、少なくとも1つの絶縁材料の表面層で包まれた金属材料で作成されてもよい。本発明による前記電気式空気加熱装置の前記締め付けスペーサは、前記第1の締め付け装置によって提供される長手方向の圧縮強度に機械的に耐えるように選択され配置される。
【0037】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの実施形態では、前記締め付けスペーサは、前記締め付け軸に同軸で延在し前記締め付け軸と密着する管形締め付けスペーサである。
【0038】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの実施形態では、前記少なくとも1つの締め付けスペーサは、前記電気式空気加熱装置の前記過熱状態で前記壁上の前記少なくとも1つの抵抗リボンを締め付けるように適応された非溶融金属材料で作成された少なくとも1つの管と、
前記ヒューズと前記締め付け軸の間で半径方向に延在しかつ非溶融金属材料で作成された管と前記締め付け座金と前記ハウジングの前記壁の少なくとも一方との間で長手方向に延在するように形成され、非溶融金属材料で作成された前記少なくとも1つの管を前記ハウジングの前記壁から半径方向に絶縁する少なくとも1つの絶縁体(L形又はU字形絶縁体(縦断面)と呼ばれる)とを含み、とりわけこれらから形成される。
【0039】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの実施形態では、非溶融金属材料で作成された前記少なくとも1つの管と前記少なくとも1つの管状絶縁体が、前記締め付け軸に同軸で延在する。
【0040】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、前記締め付けスペーサは、
前記電気式空気加熱装置の前記過熱状態で前記少なくとも1つの抵抗リボンを前記壁に締め付けるように適応された非溶融材料で作成された少なくとも1つの金属管と、
非溶融材料で作成された前記少なくとも1つの金属管を前記ヒューズから半径方向に電気的に絶縁する少なくとも1つの管状絶縁体と、
前記壁と非溶融材料で作成された前記少なくとも1つの金属管の間で長手方向に延在し、前記非溶融材料で作成された前記少なくとも1つの金属管を前記壁から長手方向に電気的に絶縁するリングとを含み、とりわけこれらから形成される。
【0041】
前記ヒューズを形成する材料の溶融温度は、前記締め付けスペーサを形成する材料の溶融温度より低い。前記ヒューズを形成する材料の溶融温度は、前記金属管の非溶融材料の溶融温度より低い。
【0042】
前記ヒューズを形成する材料は、金属合金、黄銅、アルミニウム/亜鉛合金、マグネシウム/亜鉛合金、マグネシウム/アルミニウム合金、シリコン/マグネシウム合金、すず/亜鉛合金及び鉛/亜鉛合金からなる群から選択されうる。他の材料が可能である。前記ヒューズを形成する材料は、所望の所定温度に適合するように選択される。
【0043】
前記金属管を形成する材料は、金属及び金属合金からなる群から選択されうる。前記金属管を形成する材料は、銅、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、銀、金、鉛、及びこれらの許容可能な比率の合金(例えば、ケイ素青銅、インコネル、黄銅及びアマルガムのような)からなる群から選択される。従って、前記ヒューズの溶融温度を様々な空気加熱装置に適応させることができる。
【0044】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、前記締め付け座金、前記ヒューズ、非溶融材料で作成された前記少なくとも1つの金属管、及び前記少なくとも1つの管状絶縁体は、前記締め付け軸に同軸で延在する。
【0045】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、前記カットオフは、高い圧縮強度を有する電気絶縁材料で作成され、前記ハウジングの前記壁と前記締め付けスペーサの間、特に前記ハウジングの前記壁と、非溶融材料で作成された前記少なくとも1つの金属管と前記少なくとも1つの管状絶縁体の少なくとも一方の間で長手方向に延在するリングを含む。
【0046】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、前記リングは、十分な圧縮性、高い耐熱性及び低い電気伝導率を有する材料で作成される。本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、前記リングは、セラミックス、高い圧縮強度、高い耐熱性及び低い電気伝導率を有する高分子材料、及びマイカからなる群から選択された少なくとも1つの材料で作成される。
【0047】
幾つかの好ましい実施形態及び本発明によれば、前記電気式空気加熱装置は、前記締め付け装置の外部を包んで、前記締め付け装置が如何なる位置でも前記ヒューズの溶融材料を集めて前記ヒューズの溶融材料が前記保護カバー内に捕らえられるようにするカバーを含む。
【0048】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、前記締め付け座金は、平座金とばね座金からなる群から選択される。しかしながら、前記締め付け装置が、平座金、フェンダー座金、ベルビル座金、湾曲座金及びばね座金からなる群から選択された少なくとも1つの追加の座金を含んでもよい。
【0049】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、前記締め付け座金は、鋼で作成された座金又はステンレス鋼で作成された座金でよい。
【0050】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、前記締め付け装置は、前記ねじの前記導電性軸のねじ部分と連係して前記抵抗リボンを前記ハウジングの前記壁に固定するねじ及び少なくとも1つのナットを含む。前記ねじの前記ねじ軸と少なくとも1つのナットは、前記ハウジングの前記壁の前記内面に延在する前記ねじの頭端に締め付ける力を加えるように配置されうる。
【0051】
本発明による電気式空気加熱装置の他の幾つかの実施形態では、前記締め付け装置は、前記抵抗リボンを前記ハウジングの壁に固定するリベットを含む。
【0052】
本発明による電気式空気加熱装置の幾つかの好ましい実施形態では、前記締め付け装置の前記締め付け軸は、前記ハウジングの前記壁に形成されたボアにわたって延在するように配置される。前記締め付け軸は、前記ボアに同軸で配置され、前記ボアの内壁から電気的に絶縁されるように配置される。前記締め付け装置は、前記抵抗リボンを前記ハウジングの壁の前記内面から電気的に絶縁し、かつ前記抵抗リボンを遠隔外部蓄電池の正極に接続するように配置される。前記締め付け軸は、前記ハウジングの前記壁を横切り、前記ボアに対して電気的に絶縁され、前記ボア及び前記ハウジングの前記壁と接触することなく固定され、前記締め付け軸の一方の長手方向(内部)端が、前記抵抗リボンの一方と電気接続し、前記締め付け軸の他方の長手方向(外側)端が前記カットオフを含む。
【0053】
本発明は、また、本発明による少なくとも1つの電気式空気加熱装置を含むエンジン(特にディーゼルエンジン)に拡張する。本発明は、また、本発明による少なくとも1つの電気式空気加熱装置がエンジン(特にディーゼルエンジン)の空気吸気マニホルド内に挟まれたエンジンに拡張する。
【0054】
本発明は、また、本発明によるエンジン(特にディーゼルエンジン)を含む機械(特に車両)に拡張する。本発明は、また、前記機械のエンジン室内に固定された電気式空気加熱装置を備えた機械(特に車両)に拡張する。本発明は、また、前記機械(特に前記車両)の前記エンジン室内に固定された電気式空気加熱装置を含む機械(特に車両)に拡張する。
【0055】
本発明は、更に、以上又は以下に明示する特徴の全て又は幾つかを組み合わせ又は個々を特徴とする、電気式空気加熱装置、前記電気式空気加熱装置を装備したディーゼルエンジン、前記電気式空気加熱装置を含む車両に関する。提供される形式的表現に関係なく、特に断らない限り、以上又は以下で明示される特徴は、互いに密接又は不可分に関連付けられるとみなされるべきでなく、本発明は、これらの構造的又は機能的特徴のうちの1つのみ、又はこれらの構造的又は機能的特徴のうちの幾つかのみ、又はこれらの構造的又は機能的特徴のうちの1つの一部のみ、更にはこれらの構造的又は機能的特徴の全て又は幾つかの任意の群、組み合わせ、又は並置に関連できる。
【0056】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、その可能な実施形態のうちの幾つかの非限定的な例によって提供される以下の説明を、添付図面を参照して読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本発明の特定の第1の実施形態による空気加熱装置の一体型サーマルカットオフを有する締め付け装置の断面図である。
【
図2】本発明の特定の第2の実施形態による空気加熱装置の一体型サーマルカットオフを有する締め付け装置の断面図である。
【
図3】
図2に示された実施形態による空気加熱装置の一体型サーマルカットオフを含む締め付け装置の断面図であり、空気加熱装置の過熱が起きた状態である。
【
図4】本発明による空気加熱装置のハウジングに固定された締め付け装置の詳細の斜視図である。
【
図5】本発明の特定の第1の実施形態による一体型サーマルカットオフを含む締め付け装置を有する電気式空気加熱装置の詳細の分解断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による空気加熱装置の全体的斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態による空気加熱装置の詳細の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の目的は、空気加熱装置の過熱を防ぐ単純で安価で頑強な解決策を提供することである。
【0059】
図1と
図2に、本発明による電気式空気加熱装置1の特定の第1及び第2の実施形態のヒューズ10を含む一体型カットオフ6を有する締め付け装置5の詳細の断面図をそれぞれ示す。
図1と
図2では、ヒューズ10は、前記ヒューズ10を形成する材料の溶融温度よりも高い温度にまだ晒されておらず、電気回路は閉回路であり、電気式空気加熱装置は動作状態である。一体型電気カットオフ6を含む締め付け装置5は、ハウジング2に固定され、ハウジング2に作成されたボア21内を長手方向に延在しハウジング2を横切る軸9を備える。ハウジング2に固定された締め付け装置5は、加熱リボン3をハウジング2に固定するためのナット24と連係するねじ軸23を備えたねじ22を有する。ねじ22の頭付き長手方向端は、ハウジング2の内空間4に延在する加熱リボン3の長手方向端と導電接触を形成し、加熱リボン3の前記長手方向端は、ねじ22の頭と連係する中心穴を有する座金を形成する。導電性座金18は、加熱リボン3の座金形長手方向端と、電気絶縁材料で作成された(例えばマイカで作成された)座金19との間に挟まれ、前記マイカ座金19は、ハウジング2と接触し、加熱リボン3、導電性座金18及びねじ22をハウジング2から電気的に絶縁する。導電性座金18の厚さは、加熱リボン3と軸9の間の導電率を改善するように選択される。締め付け装置5は、ボア21の内端に形成された皿穴43内に配置され、ボア21からの空気の漏れを防ぐように適応されたOリングシール20を有する。また、Oリングシール20は、ねじ22を適切な位置に維持するように適応され、軸9,23は、ボア21内に、ボア21の壁との導電接触が生じるのを防ぐように軸方向に中心決めされる。締め付け装置5は、電気回路が必然的にカットオフ6を介して確立するように配置される。
【0060】
しかしながら、本発明により、締め付け装置5はヒーターリボン3をハウジング2に固定するリベットでよい。
【0061】
締め付け装置5に組み込まれたカットオフ6は、電気式空気加熱装置及び/又はハウジング2の温度が、ヒューズ10の構成材料の溶融温度を超えたときに電気回路を開くカットオフである。
【0062】
図1と
図2で表された特定の第1及び第2の実施形態において、ヒューズ10は、管形ヒューズである。しかしながら、ヒューズ10は違うふうに形成されてもよい。ヒューズ10は、様々な材料で作成されうる。有利には、ヒューズ10の材料は、サーマルカットオフが様々な電気式空気加熱装置1に適応可能なように溶融温度を調整するように選択される。ヒューズ10は、電気式空気加熱装置1の使用条件に適応した溶融温度を有する合金原料で作成される。
【0063】
図1と
図2に表わされた特定の第1及び第2の実施形態において、締め付け装置5は、ねじ22の軸23に固定されたカバー15も含む。カバー15は、塑性材料で作成されうる。カバー15は、ハウジング2の外面7と連係して締め付け装置5がエンジンからの汚れを受けるのを防ぎ、またヒューズ材料をカバー15に受け止めてエンジン室内に分散しないようにする。カバー15は、前記カバー15を締め付け装置5の軸23と空気加熱装置1に固定するための手段と、
ナット24とカバーの間に挟まれ、カバー15の位置をハウジング2に対して適応させるように寸法決めされた第1のウェッジ座金26と、
ばね座金28及びナット42と連係してカバー15を空気加熱装置1に固定する第2の座金27とを備える。
【0064】
図1に示された本発明による電気式空気加熱装置1の特定の第1の実施形態のカットオフ6は、締め付け要素として、
ナット24と連係して加熱リボン3をハウジング2の内側面13に固定するねじ22と、
軸9,23に対して同軸で延在し、ボア21内に形成された端ぐり17の底25と当接して配置された管を形成する締め付けスペーサ46と、
ねじ軸23と連係するナット24によって提供される圧縮強度を締め付けスペーサ46に伝達するように適応された締め付け座金8と、
締め付け座金8を締め付け管11に弾性的に押し付け、ナット24の自動巻き戻しを防ぐように配置されたばね座金16と、
を含む。
締め付けスペーサ46は、高い圧縮強度と高い電気絶縁特性を有する材料で作成され、有利にはセラミックス材料で作成される。締め付けスペーサ46は、高い締め付けトルクに耐えるように選択される。締め付けスペーサ46は、軸9,23に隣接して径方向内方にヒューズ10に隣接して外方に延在し、ねじ22のねじ軸23と連係するナット24によって提供された圧縮強度を加熱リボン3に伝達し、加熱リボン3をハウジング2の外面13に固定できるように長手方向に寸法決めされる。
【0065】
ヒューズ10と締め付けスペーサ46は、締め付け装置5をハウジング2に締め付けた際に、ヒューズ10が、最初に締め付け座金8とハウジング2の間で圧縮されて電流のための電気接点を形成し、次に締め付けスペーサ46が、締め付け座金8と、ハウジング2のボア21内に形成された端ぐり17の底25との間に圧縮されるように選択され寸法決めされる。
【0066】
カットオフ6は、導電/絶縁要素として、
ねじ22の導電性軸9,23と、
締め付け装置5の軸9,23と電気接触するように寸法決めされた導電性締め付け座金8と、
締め付け座金8とハウジング2の外面7の間で長手方向に延在し、締め付けスペーサ46の外面に対して半径方向に面するヒューズ10と、
ねじ22の導電性軸9,23と導電性ヒューズ10との間に半径方向に挟まれた締め付けスペーサ46とを備える。
【0067】
締め付けスペーサ46は、ねじ22の軸9,23とハウジング2との間の如何なる直接導電接触も防ぐように選択され、寸法決めされ配置される。締め付けスペーサ46は、加熱リボン3を流れる電流が、必然的にヒューズ10を流れて接地されたハウジング2に達するように選択され配置される。
【0068】
しかしながら、本発明によれば、一体型締め付けスペーサ46は、複数の要素から構成されてもよい。
図2に、本発明による電気式空気加熱装置1の特定の第2の実施形態のヒューズ10を含む一体型カットオフ6を備えた締め付け装置5の詳細の断面図を示す。
【0069】
図2に示された本発明による電気式空気加熱装置1の特定の第2の実施形態のカットオフ6は、締め付け要素として、
ナット24と連係して加熱リボン3をハウジング2の内側面13に固定するねじ22と、
軸9,23に同軸で延在しボア21内に形成された端ぐり17の底25に当接して配置された厚座金を形成するリング14と、
軸9,23に同軸でかつ軸9,23に隣接して半径方向に延在する締め付け管11と、
リング14と締め付け座金8との間に長手方向に延在し、圧縮強度の伝達で締め付け管11と連係できる管状絶縁体12と、
ねじ軸23と連係するナット24によって提供される圧縮強度を締め付け管11に伝達するように適応された締め付け座金8と、
締め付け座金8を締め付け管11に弾性的に押し付け、ナット24の自動巻き戻しを防ぐように配置されたばね座金16と、を備える。
リング14は、高い圧縮強度と高い電気絶縁特性を有する材料で作成され、有利にはセラミックス材料で作成され、高い圧縮強度を有する材料で作成されたリング14は、高い締め付けトルクに耐えるように適応される。
締め付け管11は、ねじ22のねじ軸23と連係するナット24によって提供される圧縮強度を加熱リボン3に伝達し、加熱リボン3をハウジング2の外面13に固定できるように寸法決めされ、好ましい実施形態では、締め付け管11は、金属材料で作成され、締め付け管11が、金属又は金属合金で作成されてもよい。
好ましい実施形態では、管状絶縁体12は、少なくとも1つの高分子絶縁材料で作成される。
【0070】
ヒューズ10と締め付け管11は、締め付け装置5をハウジング2に締め付けたときに、ヒューズ10が、最初に締め付け座金8とハウジング2との間に圧縮されて電流の電気接点を形成し、更に締め付け管11を締め付け圧縮するように選択され寸法決めされる。
【0071】
カットオフ6は、導電/絶縁要素として、
ねじ22の導電性軸9,23と、
締め付け装置5の軸9,23と電気接触するように寸法決めされた導電性締め付け座金8と、
締め付け座金8とハウジング2の外面7との間で長手方向に延在し、管状絶縁体12の外面に半径方向に面するヒューズ10と、
電気絶縁リング14と、
締め付け管11と導電性ヒューズ10の間に挟まれ半径方向に延在する管状絶縁体12とを有する。
【0072】
しかしながら、管状絶縁体12と電気絶縁リング14が同じ材料から形成されてもよい。また、管状絶縁体12と電気絶縁リング14が1つの材料で一体形成されてもよい。
【0073】
電気絶縁リング14と管状絶縁体12は、ねじ22の軸9,23とハウジング2の間の如何なる直接導電接触も防ぐように選択され配置される。電気絶縁リング14と管状絶縁体12は、加熱リボン3に流れる電流が、必然的にヒューズ10内を流れて接地ハウジング2に達するように選択され配置される。
【0074】
図3に、本発明による電気式空気加熱装置1の特定の実施形態の一体型カットオフ6を有する締め付け装置5の詳細の断面図を示す。
図3で、電気式空気加熱装置とハウジング2の過熱により、ヒューズ10は、ヒューズを形成する材料の溶融温度より高い温度に晒され、その結果、ヒューズ10が溶けている。溶けるとき、ヒューズを構成する高温溶融材料が流れ出して、締め付け座金8とハウジング2の間の接触をなくし、次に固化する。ヒューズを構成する材料のほとんどの部分、特に合金のほとんどは、カバー15内に閉じ込められたままである。
【0075】
ヒューズ10を構成する材料が、締め付け座金8とハウジング2の外面7の間に電気接点を形成しないので、加熱リボン3を含む電気回路が開き、電気式空気加熱装置が非作動状態で切り替えられた。しかしながら、電気式空気加熱装置1が非作動状態でも、ばね座金16と連係するねじ22によって提供される圧縮強度は、締め付け座金8とリング14の間に長手方向に延在する締め付け管11によって、溶融後に保持される。締め付け装置5は、作動中にエンジンによって提供される振動に耐え続け、電気式空気加熱装置のどの部分もエンジン室内で分解し落下しない。更に、ヒューズ材料は、電気式空気加熱装置1がどの向きでもカバー15内に閉じ込められたままである。ヒューズ10の交換は、カバー15を取り外し、ナット15を緩め、ばね座金16と締め付け座金8と変形したヒューズ材料を取り出し、新しいヒューズを交換することによって可能である。この交換は、電気式空気加熱装置全体の交換を回避する。
【0076】
図4に示された本発明による電気式空気加熱装置の詳細では、カバーが示されておらず、ハウジング2には、ハウジング2を横切り、蓄電池(図示せず)の正(+)端子に接続された締め付け装置5(締め付け装置(+)と呼ばれる)を収容するように適応されたボア21が示されている。
図4に示された電気式空気加熱装置は、一体型カットオフ6を含む締め付け装置5を有する。
図4に示された電気式空気加熱装置では、カバー15が取り外されている。締め付け装置5は、ハウジング2に形成されたボアを横切るねじ軸23を有するねじを含む。加熱リボン3は、ハウジング2の内空間4に、加熱リボン3がねじの軸9に電気接続されかつハウジング2から電気的に絶縁されるように固定される。この目的のため、締め付け装置5は、加熱リボン3の座金形長手方向端(加熱リボン3とねじの軸との間の電気接触面を大きくし、加熱リボン3と軸の間の導電性を改善する)と、電気絶縁材料で作成された(例えば、マイカで作成された)座金19との間に挟まれた導電性座金18を含み、前記マイカ座金19は、ハウジング2と接触し、加熱リボン3をハウジング2の内側面13から電気的に絶縁する。
【0077】
図4に示された締め付け装置5は、一方の長手方向端でハウジング2と接触し、その反対の長手方向端で締め付け座金8と接触してその間に延在し、ナット24及びばね座金16と連係するねじによって長手方向に圧縮維持された導電材料のヒューズ10を示す。
【0078】
図5に縦断面で示された電気式空気加熱装置は、ヒューズ10を含む一体型カットオフ6を備えた締め付け装置5を表わす。締め付け装置5は、ハウジング2に固定され、ハウジング2に形成されたボア21と連係する。ボア21は、ボア21の外端に端ぐり17と、ボア21の内端に皿穴43とを有する。端ぐり17は、ねじ22の軸9、ヒューズ10、締め付け座金8、締め付け管11、及び管状絶縁体12と共に軸方向に延在するリング14を収容するアバットメントを形成する。締め付け装置5内で、締め付け管11とねじ22の軸9は、絶縁体12によって半径方向に電気的に絶縁され、リング14によって長手方向に電気的に絶縁され、その結果、電流が、必然的に加熱リボン3から、軸9、締め付け座金8、ヒューズ10を通って、ハウジング2の外面7に達する。
【0079】
図6に、ヒューズ管10を含む一体型サーマルカットオフ6を有する本発明の特定の実施形態による締め付け装置5を備えた電気式空気加熱装置1を示す。
【0080】
一般に、電気式空気加熱装置1は、ディーゼル機械のエンジン室内に固定された空気吸気マニホルド内に挟まれる。その結果、電気式空気加熱装置が過熱した場合、特に電気式空気加熱装置のハウジングが過熱した場合、電気式空気加熱装置又は電気式空気加熱装置を取り囲む構成要素(例えば、空気フィルタ、ホース...)が減損し始める前に、電気式空気加熱装置1への電気供給を中止する必要がある。
【0081】
したがって、本発明は、ハウジングが過熱した場合に加熱リボンへの電力供給が中止され、作動エンジンによって提供された振動によって空気加熱装置の構成要素が壊れ、エンジンの燃焼室内に落下してエンジンを破損させる危険を制限する電気式空気加熱装置に関する。
【0082】
主な利点の1つは、溶融を引き起こすハウジング2の過熱に続くヒューズ管10の構成材料の溶融後を含む、締め付け装置5によって印加される長手方向の締め付け力が維持されることである。この場合、電気式空気加熱装置1の動作は、電気式空気加熱装置1の加熱リボン3の電気供給回路が開くことにより中断される。しかしながら、締め付け装置5と電気式空気加熱装置1の構成要素は、締め付け装置5によって加えられる締め付け力によって保持され、動作中のモータと場合によっては空気流によって提供される振動にもかかわらず、モータが破損する危険がない。
【0083】
図6に示された実施形態では、電気式空気加熱装置1は、ハウジングに作成されたボア21を通ってハウジング2を横切り加熱リボン3をハウジング2に固定する4つの締め付け装置5を備える。締め付け装置5の1つは、締め付け装置(+)30と呼ばれ、車両の電力源を構成する蓄電池(図示せず)の正(+)端子に接続される。一体型カットオフ6を含む締め付け装置(+)30は、電気式空気加熱装置1の最上部に取り付けられる。締め付け装置(+)30は、電気式空気加熱装置1のハウジング2に作成された横断ボアを通ってハウジング2を横切る。締め付け装置(+)30は、ハウジング2を通るボアの内壁から電気的に絶縁され、ハウジング2の内空間4に延在する第1の加熱リボン31の1つの長手方向端に接続され、それにより、電流が、第1の加熱リボン31を通って第1の加熱リボン31の第2の長手方向端32に流れる。第1の加熱リボン31の第2の長手方向端32は、ハウジング2を横切る第2の締め付け装置33によってハウジング2に固定され、ハウジング2から電気的に絶縁される。
図6に示された電気式空気加熱装置1は、第3の締め付け装置35によってハウジング2に固定された第1の長手方向端36を有する第2の加熱リボン34を含む。第2の締め付け装置33と第3の締め付け装置35は、ハウジング2から、第2の締め付け装置33、第1の加熱リボン31の第2の長手方向端32、第2の加熱リボン34の第1の長手方向端36及び第3の締め付け装置35を絶縁する電気絶縁材料の板37を含む。第2の締め付け装置33と第3の締め付け装置35は、また、導電材料36で作成されかつ第1の加熱リボン31と第2の加熱リボン34を電気接続するブリッジ38を含む。第2の加熱リボン34の第2の長手方向端39は、導電性ヒューズ材料で作成された管10を含む一体型サーマルカットオフ6を有する第4の締め付け装置5によってハウジング2に固定される。第4の締め付け装置5は、ハウジング2に作成されたボアを通ってハウジング2を横切り、かつハウジング2のボアから電気的に絶縁され、その結果、締め付け装置(+)30に接続された電力源(蓄電池(図示せず))によって供給された電流が、本発明による第4の締め付け装置5まで加熱リボン31,34内で循環し、必然的に第4の締め付け装置5の軸に沿って流れ、ヒューズ管10を含む導電接続によってハウジング2に達し、その結果、電流が、ハウジング2に接触し延在するヒューズ管10を通って流れる。ハウジング2は、ハウジング2に形成された穴29(-)と係合する接続によって接地される(負端子)。
【0084】
図6に示された本発明による電気式空気加熱装置1の実施形態は、加熱される空気流を通過させるための内空間4を区切るハウジング2を含む。2つの蛇行形加熱リボン31,34は、内空間4内で、加熱される空気流中に横断的に延在する。前記蛇行形加熱リボン31,34には、曲がり部分41(又は、曲がり目、折り目)で互いに長手方向に分離された複数の線形部分40が示される。電気式空気加熱装置1は、ハウジング2の対向する内面に固定された絶縁体用の2つのホルダ44を有する。ホルダ44はそれぞれ絶縁材料の固体片45を収容する。前記少なくとも2つの絶縁体45には、位置合わせされた窪みが示され、位置合わせされた窪みはそれぞれ、1つの蛇行形加熱リボン31,34の曲がり部分41を受け収容するように適応される。
【0085】
図7に示された電気式空気加熱装置1の詳細は、蓄電池(図示せず)の正(+)端子に接続されるように適応された締め付け装置5(締め付け装置(+)30と呼ばれる)を示す。前記締め付け装置(+)30は、ハウジング2のボアを横切り、電気式空気加熱装置1の内空間4に固定された加熱リボン31に電気接続された内端がある。電気式空気加熱装置は、また、電気式空気加熱装置1の内空間4に固定され、ヒューズ10のみを介してハウジング2と電気接触して配置された締め付け装置5(-)に電気接続された加熱リボン34を有する。蓄電池(図示せず)の負(-)端子に接続されるように適応された締め付け装置(+)30、加熱リボン31,34、締め付け装置5(-)、ハウジング2、及び穴29(-)は、ジュール効果による加熱リボン3の加熱を可能にする電気回路の一部を構成する。
【0086】
本発明は、前述したもの以外の多数の変形及び応用を対象にしうる。詳細には、特に断らない限り、前述した各実施形態の様々な構造的及び機能的特徴は、組み合わせされかつ/又は互いに密接及び/又は不可分に結合されるように見なされるべきでなく、それどころか単純な並置であると見なされるべきであることは明らかである。更に、前述した様々な実施形態の構造的及び/又は機能的特徴は、全体又は一部において、任意の異なる並置又は任意の異なる組み合わせを対象としうる。