(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】二次電池及びその製造方法、共重合体、並び装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20240530BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240530BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20240530BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240530BHJP
C08F 220/52 20060101ALI20240530BHJP
C09J 133/24 20060101ALI20240530BHJP
C09J 133/02 20060101ALI20240530BHJP
C09J 129/04 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/13
H01M50/42
H01M50/489
C08F220/52
C09J133/24
C09J133/02
C09J129/04
(21)【出願番号】P 2022520237
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(86)【国際出願番号】 CN2019122725
(87)【国際公開番号】W WO2021108990
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲鐘▼ ▲澤▼
(72)【発明者】
【氏名】董 浩
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-039862(JP,A)
【文献】特表2020-531649(JP,A)
【文献】特開2016-012484(JP,A)
【文献】特開2015-070089(JP,A)
【文献】国際公開第2019/065370(WO,A1)
【文献】特開2012-238488(JP,A)
【文献】国際公開第2015/146787(WO,A1)
【文献】特開昭61-186598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
H01M 10/05-10/0587
H01M 50/40-50/497
C08F 220/52
C09J 133/24
C09J 133/02
C09J 129/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池であって、
第1の物質と第2の物質を接着するための接着剤を含み、
前記接着剤は、共重合体を含み、
前記共重合体は、少なくとも式(I)で表される第1のモノマー単位、式(II)で表される第2のモノマー単位及び式(III)で表される第3のモノマー単位を含み、
【化1】
ここで、前記R
1、R
2、R
3、R
5、R
6、R
7、R
9、R
10及びR
11は、それぞれ独立して水素又はC1~C8アルキル基から選択され、
前記R
4は、水素、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、
前記R
8は、-COOM、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基から選択される少なくとも1種類であり、ここで、Mは、水素又は+1価のアルカリ金属イオンであり、
前記R
12は、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、n
は1であり、
前記第1のモノマー単位と前記第3のモノマー単位の含有量のモル比は1:0.15~0.5であ
り、
前記第1のモノマー単位、第2のモノマー単位及び第3のモノマー単位の合計モル数に対して、前記第1のモノマー単位の含有量は、45mol%~85mol%である、
二次電池。
【請求項2】
前記第1のモノマー単位、第2のモノマー単位及び第3のモノマー単位の合計モル数に対して、前記第2のモノマー単位の含有量は、6mol%~28mol%である、
請求項
1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記第1のモノマー単位、第2のモノマー単位及び第3のモノマー単位の合計モル数に対して、前記第3のモノマー単位の含有量は、7.5mol%~30mol%である、
請求項1
又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記第2のモノマー単位と前記第3のモノマー単位の含有量のモル比は1:1.05~2である、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記第2のモノマー単位と前記第3のモノマー単位の含有量のモル比は、1:1.1~1.6である、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記R
1、R
2、R
3、R
5、R
6、R
7、R
9、R
10及びR
11は、それぞれ独立して水素又はC1~C4アルキル基から選択され、及び/又は、
前記R
4は、水素、非置換又は置換のC1~C4アルキル基から選択され、前記Mは、Li、Na及びKから選択される少なくとも1種類であり、及び/又は、
前記R
12は、非置換又は置換のC1~C4アルキル基から選択される、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記第1のモノマー単位はA1~A3モノマーに由来するモノマー単位のうちの少なくとも1種類を含む、
【化2】
請求項1から
6のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記第2のモノマー単位はB1~B3モノマーに由来するモノマー単位のうちの少なくとも1種類を含む、
【化3】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記第3のモノマー単位はC
2~C3モノマーに由来するモノマー単位のうちの少なくとも1種類を含む、
【化4】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記共重合体は、下記(1)~(3)のうちの1種類又は複数種類をさらに満たし、
(1)前記共重合体の10重量%濃度水溶液のpHは、>7であり、
(2)前記共重合体のガラス転移温度Tgは、30℃~80℃であり、
(3)前記共重合体の分子量は、10万~100万である、
請求項1から
9のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項11】
前記二次電池は、正極シート、負極シート及びセパレータを含み、前記正極シート、負極シート及びセパレータのうちの一つ又は複数に前記共重合体が含まれている、
請求項1から
10のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項12】
前記負極シートは、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に設置された負極フィルムを含み、前記負極フィルムに前記共重合体が含まれている、
請求項
11に記載の二次電池。
【請求項13】
前記共重合体の前記負極フィルムにおける質量比は、≧0.2%である、
請求項
12に記載の二次電池。
【請求項14】
二次電池の製造方法であって、前記方法には、
正極シート、負極シート及びセパレータのうちの一つ又は複数に、少なくとも式(I)で表される第1のモノマー単位、式(II)で表される第2のモノマー単位及び式(III)で表される第3のモノマー単位を含む共重合体を使用するステップが含まれ、
【化5】
ここで、前記R
1、R
2、R
3、R
5、R
6、R
7、R
9、R
10及びR
11は、それぞれ独立して水素又はC1~C8アルキル基から選択され、
前記R
4は、水素、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、
前記R
8は、-COOM、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基から選択される少なくとも1種類であり、ここで、Mは、水素又は+1価のアルカリ金属イオンであり、
前記R
12は、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、n
は1であり、
前記第1のモノマー単位と前記第3のモノマー単位の含有量のモル比は1:0.15~0.5であ
り、
前記第1のモノマー単位、第2のモノマー単位及び第3のモノマー単位の合計モル数に対して、前記第1のモノマー単位の含有量は、45mol%~85mol%である、
二次電池の製造方法。
【請求項15】
共重合体であって、
少なくとも式(I)で表される第1のモノマー単位、式(II)で表される第2のモノマー単位及び式(III)で表される第3のモノマー単位を含み、
【化6】
ここで、前記R
1、R
2、R
3、R
5、R
6、R
7、R
9、R
10及びR
11は、それぞれ独立して水素又はC1~C8アルキル基から選択され、
前記R
4は、水素、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、
前記R
8は、-COOM、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基から選択される少なくとも1種類であり、ここでMは水素又は+1価のアルカリ金属イオンであり、
前記R
12は、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、n
は1であり、
前記第1のモノマー単位と前記第3のモノマー単位の含有量のモル比は1:0.15~0.5であ
り、
前記第1のモノマー単位、第2のモノマー単位及び第3のモノマー単位の合計モル数に対して、前記第1のモノマー単位の含有量は、45mol%~85mol%である、
共重合体。
【請求項16】
請求項1から
13のいずれか一項に記載の二次電池を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は二次電池の技術分野に属し、特に、二次電池及びその製造方法、共重合体、並び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵の分野において、二次電池はエネルギー密度が高く、サイクル寿命が長く、安全で信頼性が高く、メモリ効果がないなどの利点を有するため、様々なデジタル製品、携帯機器、電気自動車、エネルギー貯蔵電源などに広く応用される。
【0003】
二次電池の使用過程において、電極シート内の活物質層はサイクル過程においてある程度の膨張が発生し、それにより電極集電体と活物質層との間の接着力が低下して、二次電池のサイクル寿命に影響を与える。
【発明の概要】
【0004】
上記技術的問題を解決するために、本願は二次電池及びその製造方法、共重合体、並び装置を提供する。本願の技術案を採用することにより、接着剤の二次電池における接着力を効果的に増加させることができる。
【0005】
上記目的を達成するために、本願の第1の態様は第1の物質及び第2の物質を接着用の接着剤を含む二次電池を提供し、前記接着剤は共重合体を含み、前記共重合体は少なくとも式(I)で表される第1のモノマー単位、式(II)で表される第2のモノマー単位及び式(III)で表される第3のモノマー単位を含み、
【0006】
【0007】
ここで、前記R1、R2、R3、R5、R6、R7、R9、R10及びR11は、それぞれ独立して水素又はC1~C8アルキル基から選択され、
【0008】
前記R4は、水素、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、
【0009】
前記R8は、-COOM、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基から選択された少なくとも1種類であり、ここで、Mは水素又は+1価のアルカリ金属イオンであり、
【0010】
前記R12は、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、nは1である。
【0011】
本出願の第2の態様は二次電池の製造方法を提供し、前記方法は、正極シート、負極シート及びセパレータのうちの一つ又は複数に、少なくとも式(I)で表される第1のモノマー単位、式(II)で表される第2のモノマー単位及び式(III)で表される第3のモノマー単位を含む共重合体を使用し、好ましくは負極シートに前記共重合体を使用し、
【0012】
【0013】
ここで、前記R1、R2、R3、R5、R6、R7、R9、R10及びR11は、それぞれ独立して水素又はC1~C8アルキル基から選択され、
【0014】
前記R4は、水素、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、
【0015】
前記R8は、-COOM、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基から選択された少なくとも1種類であり、ここで、Mは、水素又は+1価のアルカリ金属イオンであり、
【0016】
前記R12は、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、nは1である。
【0017】
本願の第3の態様は共重合体を提供し、前記共重合体は少なくとも式(I)で表される第1のモノマー単位、式(II)で表される第2のモノマー単位及び式(III)で表される第3のモノマー単位を含み、
【0018】
【0019】
ここで、前記R1、R2、R3、R5、R6、R7、R9、R10及びR11は、それぞれ独立して水素又はC1~C8アルキル基から選択され、
【0020】
前記R4は、水素、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、
【0021】
前記R8は、-COOM、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基から選択された少なくとも1種類であり、ここで、Mは水素又は+1価のアルカリ金属イオンであり、
【0022】
前記R12は、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、nは1である。
【0023】
本願の第4の態様は装置を提供し、前記装置は上記の本願により提供される二次電池を含む。
【0024】
本願により提供される二次電池は、特定の接着剤を含むことにより、第1の物質と第2の物質との間の接着力を効果的に増加させ、それにより二次電池の電気化学的性能を改善することができる。
【0025】
本出願の他の特徴及び利点は後の具体的な実施形態部分において詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本出願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下は本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0027】
【
図1】本出願の実施例に係る二次電池の概略図である。
【
図2】本出願の実施例に係る電池モジュールの概略図である。
【
図3】本出願の実施例に係る電池パックの概略図である。
【0028】
ここで、図面符号の説明は、以下のとおりである。
1 電池パック
2 上部筐体
3 下部筐体
4 電池モジュール
5 二次電池
【発明を実施するための形態】
【0029】
本願の発明目的、技術案及び有益な技術的効果をより明確にするために、以下に実施例を参照して本願をさらに詳細に説明する。理解すべきことは、本明細書に記述された実施例は単に本願を説明するためのものであり、本願を限定するものではない。
【0030】
組成物が特定の成分を含むか又は備えると説明される場合、本発明に言及されていない選択可能な成分を該組成物から排除するものではなく、かつ該組成物が関する成分で構成され又は組み合わせられると予想されるか、または、方法が特定のプロセスステップを含むか又は備えると説明される場合、本発明に言及されていない選択可能なプロセスステップを該方法から排除するものではなく、かつ該方法が関するプロセスステップで構成され又は組み合わせられると予想される。
【0031】
簡単のために、本明細書にはいくつかの数値範囲のみが明確に開示されている。しかしながら、任意の下限は任意の上限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成することができる。また、任意の下限は他の下限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成することができる。同様に、任意の上限は任意の他の上限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成することができる。また、明確に記載されていないが、範囲の端点間の各点又は単一の数値はいずれも該範囲内に含まれる。したがって、各点又は単一の数値は自身の下限又は上限として、任意の他の点又は単一の数値との組み合わせ、又は他の下限又は上限と組み合わせることで、明確に記載されない範囲を形成することができる。
【0032】
本明細書の説明において、特に説明しない限り、「以上」、「以下」は対象となる数字を含み、「1種類又は複数種類」のうち「複数種類」は、2種類又は2種類以上を意味することに留意すべきである。
【0033】
用語「好ましい」及び「好ましくは」はいくつかの場合にいくつかの利点を提供することができる本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況で、他の実施形態も好ましいものである可能性がある。また、一つ又は複数の好ましい実施形態を説明した場合、他の実施形態が使用不可であることを意味せず、かつ他の実施形態を本発明の範囲外に排除することを意図しない。
【0034】
本願の上記発明の概要は、本願における各実施形態や各種の実現形態を説明することを意図するものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示して説明する。全体の出願における複数の箇所において、一連の実施形態によりガイダンスを提供する。これらの実施形態は様々な組み合わせ形で使用することができ、かつ組み合わせた後の実施形態は本明細書に開示された具体的な実施形態又は実例として考えられるべきである。各実施例において、列挙は、代表的なグループとしてのみ使用され、網羅的であると解釈されてはいけない。
【0035】
二次電池
【0036】
本願の第1の態様は二次電池を提供するが、前記二次電池は、接着剤を含み、前記接着剤は第1の物質及び第2の物質を接着するために用いられ、前記接着剤は共重合体を含み、前記共重合体は少なくとも式(I)で表される第1のモノマー単位、式(II)で表される第2のモノマー単位及び式(III)で表される第3のモノマー単位を含み、
【0037】
【0038】
ここで、前記R1、R2、R3、R5、R6、R7、R9、R10及びR11はそれぞれ独立して水素又はC1~C8アルキル基から選択され、
【0039】
前記R4は水素、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、
【0040】
前記R8は-COOM、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基から選択された少なくとも1種類であり、ここで、Mは水素又は+1価のアルカリ金属イオンであり、
【0041】
前記R12は非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、nは1である。
【0042】
本願によれば、前記R1、R2、R3、R5、R6、R7、R9、R10及びR11はそれぞれ独立して水素又はC1~C8アルキル基から選択される。前記R1、R2、R3、R5、R6、R7、R9、R10及びR11の選択は互いに独立している。例えば、R1の基の種類の選択はR2の基の種類の選択と無関係である。
【0043】
本出願において、前記C1~C8アルキル基は鎖状C1~C8アルキル基であってもよく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基のうちの少なくとも1種類であってもよい。
【0044】
好ましい実施形態によれば、前記R1、R2、R3、R5、R6、R7、R9、R10及びR11はそれぞれ独立して水素又はC1~C4アルキル基から選択され、例えば、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基から選択される少なくとも1種類であり、より好ましくは水素、メチル基、エチル基のうちの少なくとも1種類であり、最も好ましくは水素である。
【0045】
本出願によれば、第1のモノマー単位において、前記R4は水素、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択される。前記C1~C8アルキル基は前記のような鎖状C1~C8アルキル基であってもよい。好ましい実施形態によれば、前記R4は水素、非置換又は置換のC1~C4アルキル基から選択され、例えば、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基から選択される少なくとも1種類であり、より好ましくは水素、メチル基、エチル基のうちの少なくとも1種類であり、最も好ましくは水素である。
【0046】
本願によれば、非置換のC1~C8アルキル基は、アルキル基以外の置換基を含まない炭素数が8以下のアルキル基を意味する。置換のC1~C8アルキル基は、アルキル基以外の置換基を有するC1~C8アルキル基を意味する。前記置換のC1~C8アルキル基であるR4は、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、-CH2CH(OH)CH3、-(CH2)2N(CH3)2、-C(CH3)2CH2COCH3のうちの少なくとも1種類であってもよい。
【0047】
本出願の好ましい実施形態によれば、前記第1のモノマー単位はA1~A3モノマーに由来するモノマー単位のうちの少なくとも1種類を含み、より好ましくは、前記第1のモノマー単位はA1モノマーに由来するモノマー単位を含む。
【0048】
【0049】
本願によれば、第2のモノマー単位において、前記R8は-COOM、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基から選択された少なくとも1種類であり、ここでMは水素イオン又は+1価のアルカリ金属イオンである。
【0050】
好ましくは、前記R8は-COOMから選択され、ここで、Mは水素イオン又は+1価のアルカリ金属イオンである。
【0051】
好ましくは、前記Mは+1価のアルカリ金属イオンから選択される。
【0052】
好ましくは、前記+1価のアルカリ金属イオンはLi、Na及びKから選択される少なくとも1種類であり、より好ましくは、前記MはNaから選択される。
【0053】
本出願の好ましい実施形態によれば、前記第2のモノマー単位はB1~B3モノマーに由来するモノマー単位のうちの少なくとも1種類を含み、より好ましくは、前記第2のモノマー単位はB1モノマーに由来するモノマー単位を含む。
【0054】
【0055】
本出願によれば、第3のモノマー単位において、前記R12は非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、nは0又は1である。nが0である場合、前記R12は存在しない。前記C1~C8アルキル基は前記のような鎖状C1~C8アルキル基であってもよい。一つの具体的な実施形態によれば、nは0である。一つの具体的な実施形態によれば、前記R12は、非置換又は置換のC1~C4アルキル基から選択され、例えば-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、-CH2CH(OH)CH2-から選択される少なくとも1種類である。好ましい実施形態によれば、nが0であるか又はR12が-CH2-である。
【0056】
本出願の好ましい実施形態によれば、前記第3のモノマー単位はC2~C3モノマーに由来するモノマー単位のうちの少なくとも1種類を含み、より好ましくは、前記第3のモノマー単位はC2モノマーに由来するモノマー単位を含む。
【0057】
【0058】
本願によれば、前記第1のモノマー単位、前記第2のモノマー単位及び前記第3のモノマー単位の合計モル数に対して、前記第1のモノマー単位の含有量は≧40mol%であってもよく、好ましくは40mol%~90mol%であり、より好ましくは45mol%~85mol%であり、さらに好ましくは60mol%~80mol%である。発明者は、第1のモノマー単位の含有量が所定の範囲内にある場合、共重合体の強度を効果的に向上させることができることを見出した。
【0059】
本願によれば、前記第1のモノマー単位、前記第2のモノマー単位及び前記第3のモノマー単位の合計モル数に対して、前記第2のモノマー単位の含有量は≦29.5mol%であってもよく、好ましくは4.5mol%~29.5mol%であり、より好ましくは6mol%~28mol%であり、さらに好ましくは8mol%~18mol%である。
発明者は、第2のモノマーの含有量が所定の範囲内にある場合、共重合体の使用過程におけるスラリーの安定性を効果的に改善し、さらに加工性能を改善することができることを見出した。
【0060】
本願によれば、前記第1のモノマー単位、前記第2のモノマー単位及び前記第3のモノマー単位の合計モル数に対して、前記第3のモノマー単位の含有量は≦30.5mol%であってもよく、好ましくは5.5mol%~30.5mol%であり、より好ましくは7.5mol%~30mol%であり、さらに好ましくは12mol%~24mol%である。発明者は、第3のモノマーの含有量が所定の範囲内にある場合、共重合体の柔軟性を効果的に改善することができ、共重合体の接着性を効果的に向上させることができることを見出した。
【0061】
本出願の好ましい実施形態によれば、前記共重合体において、前記第1のモノマー単位と前記第3のモノマー単位の含有量のモル比は1:0.15~0.5であり、好ましくは1:0.2~0.35である。第1のモノマー単位及び第3のモノマー単位の含有量の割合が所定の範囲内にある場合、本願の共重合体は強度と柔軟性をよりよく両立させることができ、前記共重合体が電極シートに用いられる場合、電池のサイクル過程での膨張問題をよりよく改善することができる。
【0062】
本出願の好ましい実施形態によれば、前記共重合体において、前記第2のモノマー単位と前記第3のモノマー単位の含有量のモル比は1:1.05~2であり、好ましくは1:1.1~1.6である。第2のモノマー単位と第3のモノマー単位の含有量の割合が所定の範囲内にある場合、本願の共重合体は分散性及び柔軟性をよりよく両立させることができ、それにより共重合体の使用中の加工性能をよりよく改善することができる。
【0063】
本出願の好ましい実施形態によれば、前記共重合体の分子量は10万~100万であってもよく、より好ましくは20万~80万である。上記分子量は、重量平均分子量である。
【0064】
本願によれば、前記共重合体の分子量は本分野の一般的な方式を採用して測定することができる。例えば、前記共重合体の分子量はレーザー光散乱技術を利用して測定することができ、該技術は当業者に周知である。
【0065】
本願によれば、前記共重合体のガラス転移温度Tgは、好ましくは30℃~80℃であり、より好ましくは40℃~70℃である。
【0066】
本願によれば、前記共重合体のガラス転移温度Tgは本分野の一般的な方式を採用して測定することができる。例えば、前記共重合体のガラス転移温度Tgは示差走査熱量法(DSC)を用いて測定することができ、該測定方法は当業者に周知である。例えば、型番がSTA449F3であるNETZSCH装置を採用して測定することができる。
【0067】
本願によれば、前記共重合体の10重量%濃度水溶液のpHは>7、好ましくは8~9である。本願の共重合体のpH値を所定の範囲内に制御する場合、前記共重合体は一般的にエステル化合物(例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリセリン等)を含まない。これは、前記共重合体のpH>7である場合、エステル類化合物が緩やかな加水分解反応を起こし、共重合体の安定性を悪化させるためである。
【0068】
本願の二次電池は正極シート、負極シート及びセパレータを含み、前記正極シート、負極シート及びセパレータのうちの一つ又は複数が前記共重合体を含み、好ましくは、前記負極シートが前記共重合体を含む。本出願によれば、負極シートは負極集電体と負極集電体の少なくとも一つの表面に設置された負極フィルムを含む。
【0069】
いくつかの実施例において、負極集電体は、その厚さ方向において対向する二つの表面を有し、負極フィルムは負極集電体における対向する二つの表面のうちのいずれか一面又は両面に積層される。負極集電体は、良好な導電性及び機械的強度を有する材質を採用することができる。いくつかの実施例において、負極集電体は銅箔を採用する。
【0070】
負極フィルムは、負極活性材料を含む。本願は負極活性材料の具体的な種類を具体的に制限せず、本分野の既知の二次電池負極に用いることができる活性材料を採用することができ、当業者は実際の需要に応じて選択することができる。
【0071】
いくつかの実施例において、前記負極活性材料は黒鉛、メソカーボンボール(MCMBと略称する)、ハードカーボン、ソフトカーボン、シリコン系材料及びスズ系材料のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施例において、負極フィルムは導電剤をさらに含んでもよい。例として、負極フィルムに用いられる導電剤は、黒鉛、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの1種類又は複数種類から選択することができる。
【0073】
本出願の二次電池はさらに正極シートを含み、前記正極シートは正極集電体及び正極集電体の少なくとも一つの表面に設置されかつ正極活性材料を含む正極フィルムを含む。
【0074】
例として、正極集電体は、その自身の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、正極フィルムは正極集電体における対向する二つの表面のうちのいずれか一面又は両面に積層される。正極集電体は、良好な導電性及び機械的強度を有する材質を採用することができる。いくつかの実施例において、正極集電体はアルミニウム箔を採用することができる。
【0075】
本願は正極活性材料の具体的な種類を具体的に制限せず、本分野の既知の二次電池正極に用いることができる活性材料を採用することができ、当業者は実際の需要に応じて選択することができる。
【0076】
いくつかの実施例において、前記正極活性材料はリチウム遷移金属酸化物及びその改質材料を含み、改質材料はリチウム遷移金属酸化物にドープ改質及び/又は被覆改質を行うことができる。例えば、リチウム遷移金属酸化物はリチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物及びオリビン構造のリチウム含有リン酸塩のうちの1種類又は複数種類である。
【0077】
例として、二次電池の正極活性材料はLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM333)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(NCM523)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM622)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2(NCM811)、LiNi0.85Co0.15Al0.05O2、LiFePO4(LFP)及びLiMnPO4のうちの1種類又は複数種類から選択される。
【0078】
いくつかの実施例において、正極フィルムには導電剤がさらに含まれてもよい。導電剤の種類を具体的に制限せず、当業者は実際の需要に応じて選択することができる。例として、正極フィルムに用いられる導電剤は、黒鉛、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの1種類又は複数種類を含むことができる。
【0079】
本開示に係る二次電池は、電解質をさらに含む。電解質は、正極シートと負極シートとの間でイオンを伝導する役割を果たす。本願は電解質の種類に具体的な制限がなく、需要に応じて選択することができる。例えば、電解質は固体電解質及び液体電解質(即ち電解液)から選択される少なくとも1種類であってもよい。
【0080】
いくつかの実施例において、電解質は電解液を採用する。電解液は、電解質塩および溶媒を含む。
【0081】
いくつかの実施例において、電解質塩は、LiPF6(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiBF4(テトラフルオロホウ酸リチウム)、LiClO4(過塩素酸リチウム)、LiAsF6(ヘキサフルオロヒ酸リチウム)、LiFSI(ジフルオロスルホニルイミドリチウム)、LiTFSI(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム)、LiTFS(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)、LiDFOB(ジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウム)、LiBOB(ジシュウ酸ホウ酸リチウム)、LiPO2F2(ジフルオロリン酸リチウム)、LiDFOP(ジフルオロジシュウ酸リン酸リチウム)及びLiTFOP(テトラフルオロシュウ酸リン酸リチウム)のうちの1種類又は複数種類から選択される。
【0082】
いくつかの実施例において、溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、メチルエチルスルホン(EMS)及びジエチルスルホン(ESE)のうちの1種類又は複数種類から選択することができる。
【0083】
いくつかの実施例において、電解液は、選択的に、添加剤をさらに含むことができる。
例えば添加剤は負極成膜添加剤を含んでもよく、正極成膜添加剤を含んでもよく、さらに二次電池のある性能を改善できる添加剤、例えば二次電池の過充電性能を改善する添加剤、二次電池の高温性能を改善する添加剤、二次電池の低温性能を改善する添加剤等を含んでもよい。
【0084】
電解液を用いる二次電池、及び固体電解質を採用するいくつかの二次電池において、セパレータをさらに含む。セパレータは、正極シートと負極シートとの間に設けられ、隔離の作用を果たす。前記セパレータは基材を含み、選択的に、機能塗布層をさらに含むことができる。本願はセパレータの種類には特に制限がなく、任意の周知の良好な化学的安定性及び機械的安定性を有する多孔質構造セパレータを選択することができる。いくつかの実施例において、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンから選択される1種類又は複数種類であってもよい。セパレータは単層フィルムであってもよく、多層複合フィルムであってもよい。セパレータが多層複合フィルムである場合、各層の材料は同じであってもよく異なってもよい。
【0085】
本願の二次電池によれば、上記正極シート、負極シート及びセパレータのうちの一つ又は複数が本願の共重合体を含む。いくつかの実施例において、前記正極シート、負極シート及びセパレータのうちの一つ又は複数が本出願の共重合体を含む場合、それは他の接着剤をさらに含むことができる。他の接着剤は油性接着材料及び水性接着材料のうちの1種類又は複数種類であってもよい。例として、他の接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリメタクリル酸及びカルボキシメチルキトサンのうちの1種類又は複数種類から選択することができる。
【0086】
本願の共重合体が正極シート、負極シートに用いられる場合、それは以下の(1)~(3)の使用方式を含むが、それらに限定されない。
【0087】
(1)本願の共重合体は、正、負極フィルムに添加されることができ、正極フィルム又は負極フィルムの接着剤として使用され、この場合、第1の物質及び第2の物質はそれぞれ正、負極フィルム中の各成分(例えば活物材料、導電剤及び選択可能な添加剤のうちの少なくとも1種類)を構成することができ、第1の物質と第2の物質は正極フィルムと正極集電体、又は負極フィルムと負極集電体であってもよい。
【0088】
(2)本願の共重合体は、正、負極集電体の表面に機能塗布層を形成してもよく、この場合、第1の物質と第2の物質は、正極フィルムと正極集電体、又は負極フィルムと負極集電体であってもよい。
【0089】
(3)本願の共重合体は、さらに、正極フィルム又は負極フィルムの表面に機能塗布層を形成することができ、この場合、第1の物質と第2の物質は、正極フィルムと機能塗布層中の各成分、又は負極フィルムと機能塗布層中の各成分であってもよい。
【0090】
本願の共重合体がセパレータに用いられる場合、それはセパレータの機能塗布層に用いられることができ、この場合、前記第1の物質と第2の物質は、セパレータ基材と機能塗布層における各成分であってもよい。
【0091】
いくつかの好ましい実施例において、前記負極フィルムが前記共重合体を含む。
【0092】
いくつかの実施例において、前記負極フィルムにおける前記共重合体の質量比は、≧0.2%であり、好ましくは0.6%~4.0%である。
【0093】
本願は二次電池の製造方法を提供し、前記方法は、正極シート、負極シート及びセパレータのうちの一つ又は複数に、少なくとも式(I)で表される第1のモノマー単位、式(II)で表される第2のモノマー単位及び式(III)で表される第3のモノマー単位を含む共重合体を使用し、好ましくは負極シートに前記共重合体を使用し、
【0094】
【0095】
ここで、前記R1、R2、R3、R5、R6、R7、R9、R10及びR11はそれぞれ独立して水素又はC1~C8アルキル基から選択され、
【0096】
前記R4は水素、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、
【0097】
前記R8は-COOM、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基から選択された少なくとも1種類であり、ここでMは水素又は+1価のアルカリ金属イオンであり、
【0098】
前記R12は非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、nは1である。
【0099】
いくつかの実施例において、前記負極シートが本願の共重合体を含む。
【0100】
いくつかの好ましい実施例において、前記負極フィルムが本願の共重合体を含む。
【0101】
いくつかの実施例において、前記負極フィルムにおける前記共重合体の質量比は、≧0.2%であり、好ましくは0.6%~4.0%である。
【0102】
いくつかの好ましい実施例において、本願の共重合体を用いて負極シートを製造するステップは以下を含むことができる。負極活性材料、本願の共重合体を含む接着剤、及び選択可能な他の接着剤及び導電剤を溶媒に分散させ、溶媒は脱イオン水であってもよく、均一な負極スラリーを形成する。負極スラリーを負極集電体に塗布し、乾燥、冷間圧延等の工程を経た後、負極シートを得る。
【0103】
いくつかの実施例において、二次電池の製造方法はさらに負極シート、正極シート、セパレータ及び電解質を組み立てて二次電池を形成するステップを含む。いくつかの実施例において、セパレータが正極シートと負極シートとの間に位置して隔離の役割を果たすように、正極シート、セパレータ、負極シートを順に巻き取るか又は積層して、セルを得る。セルを外装内に置き、電解液を注入して封止し、本願の第1の態様の二次電池を得る。
【0104】
いくつかの実施例において、二次電池におけるセルの数は一つ又は複数であってもよく、需要に応じて調整することができる。
【0105】
いくつかの実施例において、二次電池の外装はソフトパック(例えば、袋状のソフトパックであり、その材質は、プラスチックであってもよく、例えば、ポリプロピレンPP、ポリブチレンテレフタレートPBT、ポリブチレンサクシネートPBSなどのうちの1種類又は複数種類である)であってもよく、ハードケース(例えばアルミニウムケースなど)であってもよい。
【0106】
本願の二次電池の形状は特に限定されず、円柱形、四角形又は他の任意の形状であってもよい。
図1は、一例としての四角形構造の二次電池5である。
【0107】
いくつかの実施例において、二次電池は組み立てられて、電池モジュールを形成することができ、電池モジュールに含まれる二次電池の数は複数であってもよく、具体的な数は電池モジュールの応用及び容量に応じて調整することができる。
【0108】
図2は、一例としての電池モジュール4である。
図2を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は電池モジュール4の長さ方向に沿って順に配列して設置されてもよい。当然のことながら、他の任意の方式で配列することもできる。この複数の二次電池5は、さらに締結具によって固定されてもよい。
【0109】
選択的に、電池モジュール4は収容空間を有するケースをさらに含み、複数の二次電池5は該収容空間に収容される。
【0110】
いくつかの実施例において、上記電池モジュールはさらに組み立てられて、電池パックを形成することができ、電池パックに含まれる電池モジュールの数量は電池パックの応用及び容量に応じて調整することができる。
【0111】
図3及び
図4は、一例としての電池パック1である。
図3及び
図4を参照すると、電池パック1には、電池ボックスと、電池ボックスに設置された複数の電池モジュール4とが含まれることができる。電池ボックスは上部筐体2及び下部筐体3を含み、上部筐体2は下部筐体3にカバーするように設けられ、かつ電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成することができる。複数の電池モジュール4は、電池ボックス内に任意に配置されることができる。
【0112】
共重合体
【0113】
本願の第2の態様は共重合体を提供し、前記共重合体は少なくとも式(I)で表される第1のモノマー単位、式(II)で表される第2のモノマー単位及び式(III)で表される第3のモノマー単位を含み、
【0114】
【0115】
ここで、前記R1、R2、R3、R5、R6、R7、R9、R10及びR11はそれぞれ独立して水素又はC1~C8アルキル基から選択され、
【0116】
前記R4は水素、非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、
【0117】
前記R8は-COOM、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基から選択された少なくとも1種類であり、ここでMは水素又は+1価のアルカリ金属イオンであり、
【0118】
前記R12は非置換又は置換のC1~C8アルキル基から選択され、nは1である。
【0119】
ここで、R1~R12及びその様々な好ましい実施形態は既に詳細に説明されており、ここでは説明を省略する。
【0120】
本願の共重合体は、ランダム共重合体であってもよい。「ランダム」とは、本願においてランダム共重合体のコモノマーが共重合体内にランダムに分布されていることを意味する。用語のランダムはIUPAC(高分子科学的基礎用語の用語集、(Glossary
of basic terms in polymer science)、IUPAC推奨、1996)に基づいて理解される。
【0121】
前記共重合体は本分野の一般的な重合方法を採用して製造されることができる。一つの具体的な実施形態によれば、第1のモノマー、第2のモノマー及び第3のモノマーを含むモノマー混合物を開始剤の存在下で反応させる。前記開始剤の種類は特に限定されず、本分野の一般的な選択であってもよい。前記開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、アゾビスイソブチルイミダゾリン塩酸塩、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソプロピルイミダゾリンのうちの少なくとも1種類であってもよい。前記重合条件及び開始剤の使用量は特に限定されず、モノマー及び開始剤の具体的な種類に応じて選択することができる。一つの具体的な実施形態によれば、モノマー混合物はA1、B1及びC2を含み、開始剤はアゾジイソブチルアミジン塩酸塩であり、モノマー混合物100重量部に対して、開始剤の使用量は0.05~0.15重量部である。重合温度は25℃~45℃であり、重合は常圧(大気圧)で行い、重合時間は2~8時間である。
【0122】
本願において、前記第1のモノマー単位、前記第2のモノマー単位及び前記第3のモノマー単位の割合は第1のモノマー、第2のモノマー及び第3のモノマーの割合に応じて換算することができ、すなわち第1のモノマー単位、前記第2のモノマー単位及び前記第3のモノマー単位の割合は第1のモノマー、第2のモノマー及び第3のモノマーの供給割合とほぼ等しいと考えられる。
【0123】
装置
【0124】
本願の第3発明は、装置を提供する。前記装置は本願の第1の態様に係る二次電池を含み、前記二次電池は前記装置に電源を提供する。前記装置はモバイル機器(例えば携帯電話、ノートパソコン等)、電動車両(例えば、純粋な電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電気トラック等)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システム等であってもよいがこれらに限定されない。
【0125】
前記装置はその使用需要に応じて二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0126】
図5は、一例としての装置である。該装置は純粋な電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車等である。二次電池の高電力及び高エネルギー密度に対する該装置の需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを採用することができる。
【0127】
他の例としての装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン等であってもよい。該装置は、一般的に薄型化が要求されるため、電源として二次電池を採用することができる。
【実施例】
【0128】
以下の実施例は本願の開示する内容をより具体的に説明し、これらの実施例は単に説明を説明するために用いられ、本願の開示する内容の範囲内で様々な修正及び変更を行うことは当業者にとって明らかである。他の説明がある場合を除き、以下の実施例に報告された全ての部、百分率、及び比はいずれも重量に基づいて計算し、かつ実施例で使用された全ての試薬は、購入して取得するか又は従来の方法に従って合成して取得することができ、かつ直接使用することができさらに処理する必要がない。かつ、他の説明がある場合を除き、実施例で使用された機器はいずれも購入して取得することができる。
【0129】
選択された第1のモノマーはA1、A2及びA3である。
【0130】
選択された第2のモノマーはB1、B2及びB3である。
【0131】
選択された第3のモノマーはC2及びC3である。
【0132】
実施例1
【0133】
一. 二次電池の製造
【0134】
(1)共重合体の製造
【0135】
第1のモノマーA1、第2のモノマーB1及び第3のモノマーC2を75:10:15のモル比で供給し、開始剤としてのアゾジイソブチルアミジン塩酸塩の存在下で重合反応を行い、100重量部のA1、B1及びC2に対して、開始剤の使用量は0.1重量部である。重合温度は25℃~35℃であり、重合圧力は101KPaであり、重合時間は4時間である。調製した共重合体においてA1、B1、C2のモル比は75:10:15であった。
【0136】
(2)負極シートの製造
【0137】
負極活物質としての人造黒鉛、導電剤としてのアセチレンブラック、上記ステップ(1)で製造された共重合体、分散剤としてのCMC-Na及び接着剤としてのSBRを重量比96:1:1:1.5:0.5で脱イオン水溶媒系で十分に撹拌して均一に混合し、負極スラリーを製造する。次に、負極スラリーを集電体Cu箔に塗布し、乾燥、冷間圧延を行い、負極シートを得る。
【0138】
(3)正極シートの製造
【0139】
正極活物質としてのLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2、導電剤としてのアセチレンブラック、接着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を重量比96:2:2でN-メチルピロリドン(NMP)に十分に撹拌して均一に混合し、正極スラリーを製造する。次に、正極スラリーを集電体Al箔に均一に塗布し、乾燥、冷間圧延を行い、正極シートを得る。
【0140】
(4)セパレータ
【0141】
セパレータとしてPE多孔質高分子フィルムを用いた。
【0142】
(5)電解液の調製
【0143】
アルゴンガスで充填されたグローブボックスにおいて、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:1:1で混合し、次に、LiPF6を上記溶液に均一に溶解して電解液を得るが、ここでLiPF6の濃度は1mol/Lである。
【0144】
(6)二次電池の組み立て
【0145】
上記正極シート、セパレータ、負極シートを順に積層することにより、セパレータが正極シートと負極シートの間に位置して隔離の役割を果たすようにする。巻き取った後、ベアセルを得て、タブを溶接する。ベアセルを外装内に置き、上記製造された電解液を注入する。パッケージ化、静置、化成、エージング等の工程を経て、本願の二次電池を得る。
【0146】
実施例2-26及び比較例1-2
【0147】
実施例1の方法に応じて行い、異なる点は表1に示すとおりである。
【0148】
【0149】
性能テスト方法
【0150】
(一)負極フィルムと負極集電体との間の接着力テスト
【0151】
塗布され且つ冷間圧延された負極シートを取り、長さが100mm、幅が10mmのテストサンプルを製造する。幅が25mmのステンレス鋼板を取り、両面テープ(幅が11mmである)を貼り付け、テストサンプルをステンレス鋼板上の両面テープに貼り付け、2000gのプレスローラでその表面に三回(300mm/min)往復圧延する。テストサンプルを180度折り曲げ、手動でテストサンプルの負極フィルムと集電体を25mm剥離し、該テストサンプルを試験機に固定し、剥離面と試験機の力線を一致させ、試験機を300mm/minで連続的に剥離し、剥離力曲線を得て、安定部分の平均値を剥離力F0とすると、テストサンプルにおける負極フィルムと集電体との間の接着力F=F0/テストサンプルの幅(Fの計量単位:N/m)である。
【0152】
(二)二次電池のサイクル寿命性能テスト
【0153】
25℃の環境で、一回目の充電及び放電を行い、上限電圧が4.25Vになるまで、0.5C(即ち2h内に理論容量の電流値を完全に放電する)の充電電流で定電流及び定電圧の充電を行う。その後、最終的な電圧が2.8Vになるまで、0.5Cの放電電流で定電流放電を行い、初回放電容量値を記録する。その後、500回の充電及び放電サイクルを行い、サイクル過程での放電容量値を記録し、かつサイクル容量維持率を計算する。
【0154】
500回目のサイクル容量維持率=(500回目のサイクルの放電容量/初回サイクルの放電容量)×100%。
【0155】
(三)二次電池サイクルテスト膨張力テスト
【0156】
電池を鋼板治具に取り付け、電池の底部及び側面の4つの面を鋼板治具に密着させ、鋼板のプレ引き締め力を2000Nに調整し、鋼板治具と電池との間に圧力センサを配置し、コンピュータに接続することで、電池の500回サイクル後の膨張力の数値をテストする。
【0157】
実施例1~26及び比較例1~2の結果を表2に示す。
【0158】
【0159】
表2の接着力結果から分かるように、本願により提供される共重合体は負極シートの接着力に対して顕著な改善効果を有し、CMC-Na、SBRの一部又は全部を代替することができる。
【0160】
表2のサイクル寿命結果から分かるように、本願により提供される共重合体を採用すると、電池のサイクル寿命を効果的に改善することができる。
【0161】
表2のサイクル膨張力の結果から分かるように、本願により提供される共重合体を採用することにより、電池サイクル中の膨張力を効果的に低減することができる。
【0162】
さらに、表2の結果から分かるように、第1のモノマー単位、第2のモノマー単位及び/又は第3のモノマー単位の種類及び/又は含有量が本出願の好ましい範囲内にある場合、電池はサイクル寿命及び膨張力の改善によりよい効果を有する。
【0163】
上記の説明は、本出願の具体的な実施形態に過ぎず、本出願の保護範囲はこれらに限定されるものではなく、当業者は本願に開示された技術的範囲内で、様々な等価な修正又は置換を容易に想到でき、これらの修正又は置換はいずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は請求項の保護範囲を基準とすべきである。