(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】イオン源バッフル、イオンエッチング装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240530BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240530BHJP
H01J 37/08 20060101ALI20240530BHJP
H01J 27/16 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H05H1/46 L
H01J37/08
H01J27/16
H01L21/302 101C
(21)【出願番号】P 2022570370
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2021094607
(87)【国際公開番号】W WO2021233337
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】202010440876.3
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519453825
【氏名又は名称】江蘇魯▲もん▼儀器股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU LEUVEN INSTRUMENTS CO. LTD
【住所又は居所原語表記】Liaohe West Road 8, Pizhou Economic Development Zone Xuzhou, Jiangsu 221300, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 瑶瑶
(72)【発明者】
【氏名】胡 冬冬
(72)【発明者】
【氏名】劉 海洋
(72)【発明者】
【氏名】張 軍
(72)【発明者】
【氏名】李 娜
(72)【発明者】
【氏名】程 実然
(72)【発明者】
【氏名】朱 治友
(72)【発明者】
【氏名】許 開東
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108428611(CN,A)
【文献】特開平08-250055(JP,A)
【文献】特表2009-544839(JP,A)
【文献】特開2002-270598(JP,A)
【文献】特表2017-526179(JP,A)
【文献】特開2012-142398(JP,A)
【文献】特開2016-225508(JP,A)
【文献】特開平06-028996(JP,A)
【文献】特開平06-124920(JP,A)
【文献】国際公開第2007/029777(WO,A1)
【文献】特開2001-160368(JP,A)
【文献】特開2015-146355(JP,A)
【文献】特開2020-181745(JP,A)
【文献】特開2020-071907(JP,A)
【文献】特開2020-167107(JP,A)
【文献】特開2002-216653(JP,A)
【文献】特開2008-130430(JP,A)
【文献】特開2003-031175(JP,A)
【文献】特開昭60-264032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
H01J 37/08
H01J 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造のバッフル本体を含み、
前記バッフル本体の内壁には対称に設けられるバッフルが固定されており、前記バッフルは前記バッフル本体の中心に向かって延在しており、
前記バッフル本体の内壁から前記バッフル本体の中心への方向において、前記バッフルによる遮断領域は小さくな
り、
前記バッフルは扇形であることを特徴とするイオン源バッフル。
【請求項2】
前記バッフル本体は環状であることを特徴とする請求項1に記載のイオン源バッフル。
【請求項3】
前記バッフルの内段は多角形又は円形であることを特徴とする請求項1に記載のイオン源バッフル。
【請求項4】
前記扇形に対応する扇形の中心角が3°~15°であることを特徴とする請求項
1に記載のイオン源バッフル。
【請求項5】
前記バッフルの材料は石英材料又はセラミックス材料であることを特徴とする請求項1に記載のイオン源バッフル。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のイオン源バッフルに基づくものであり、放電室と反応室を含み、
前記反応室は接続チャンバと、前記接続チャンバに連通している反応チャンバと、を含み、
前記放電室は前記接続チャンバ内に位置し、前記反応チャンバに連通しており、
前記接続チャンバ内にはプラズマを集束してプラズマビームを形成するイオン源Gridモジュールが設けられ、前記イオン源Gridモジュールは放電室のうち反応チャンバに連通している側に近く、
前記イオン源Gridモジュールは、内孔と外孔が設けられ、前記内孔の直径が前記外孔の直径よりも小さいスクリーングリッドを含むイオンエッチング装置であって、
前記イオン源バッフルは前記放電室の内壁に係着され、前記プラズマは前記イオン源バッフル及び前記イオン源Gridモジュールを順次通過することを特徴とするイオンエッチング装置。
【請求項7】
前記イオン源バッフルと前記イオン源Gridモジュールとの間の距離が0よりも大きいことを特徴とする請求項
6に記載のイオンエッチング装置。
【請求項8】
請求項
6に記載のイオンエッチング装置に基づくイオンエッチング装置の使用方法であって、
前記放電室のうち前記イオン源Gridモジュールに近い側に前記イオン源バッフルを係着するステップ(1)と、
前記放電室内で前記プラズマを発生させるステップ(2)と、
前記プラズマが前記イオン源バッフルで遮断されると、前記放電室のエッジ領域から前記放電室の中心領域まで、前記プラズマの数が徐々に多くなるステップ(3)と、
前記プラズマは前記イオン源Gridモジュールのスクリーングリッド内に入射されてから、前記スクリーングリッドを順次透過してプラズマビームを形成し、前記プラズマビームは
前記イオン源Gridモジュールの加速グリッドを透過して前記反応チャンバ内に入射されるステップ(4)と、を含むことを特徴とするイオンエッチング装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械加工設備の分野に属し、特にイオン源バッフル、イオンエッチング装置及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン源はイオンビームエッチングの重要な部品であり、イオン源の優劣はエッチング性能に直接影響する。イオンビームエッチングの具体的なプロセスは以下のとおりである。RFイオン源では、例えば、ArやO2のプラズマ化ガスは、特別に設計されたガス均一化絶縁装置を介して石英放電室に入り、RFコイルから発生する高周波により励起され、プラズマ化ガスにおける電子がプラスイオンと混合してプラズマが形成され、Gridモジュールは対象基板にプラズマをイオンビームとして送り、対象基板(ウエハ)の表面をエッチングする。ここで、イオン源Gridモジュールは、一般にスクリーングリッド、加速グリッド及び減速グリッド(減速グリッドを省略したものもある)で構成され、トリプルグリッドシステムによって、イオン源が低エネルギーの流れの下でより優れたパフォーマンスを示し、ビーム発散角が比較的小さく、グリッドからの汚染を低減できる。スクリーングリッドは放電室の陽極として放電電子を吸収することができ、放電回路となり、焦点調整の役割を果たし、加速グリッドは正イオンを引き抜くことができ、減速グリッドはイオン分布を効果的に調整することができる。
【0003】
従来技術では、ガスが放電室内でイオン化するときに、プラズマ密度は中心領域から半径方向にエッジ領域に向かって徐々に減少し、対象基板のエッチングの均一性を確保するために、スクリーングリッドの孔の大きさは中心領域から半径方向にエッジ領域に向かって徐々に増加し、これによって、イオン源のエッチングの均一性を確保する。
図1(a)~(c)に示すように、r1~r4(座標X)はスクリーングリッドの孔が位置する領域からスクリーングリッドの中心までの距離であり、φ
1~φ
4(座標Y)はグリッドの孔径であり、エッジ領域のエッチング速度が速いため、対象基板全体が不均一にエッチングされ、
図2(a)~(b)に示すように、対象基板のエッジ領域のエッチング速度が最も速い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、イオンエッチング装置にイオン源バッフルが増設されることによって、放電室内で発生させたプラズマがイオン源バッフル、スクリーングリッド及び加速グリッドを順次通過し、プラズマがイオン源バッフルで遮断されると、放電室のエッジ領域から放電室の中心領域まで、プラズマの数が徐々に増加し、放電室の中心領域よりも、放電室のエッジ領域でのプラズマ密度が低下し、これによって、スクリーングリッドの外孔が内孔よりも大きいという構造の設計に対して補償を行い、プラズマがスクリーングリッドを透過してなるプラズマビームの均一性が確保されるイオン源バッフル、イオンエッチング装置、及びその使用方法を提供することを目的とする。上記の目的を達成させるために、本発明は下記技術的解決手段を採用する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
中空構造のバッフル本体を含み、
前記バッフル本体の内壁には対称に設けられるバッフルが固定されており、前記バッフルは前記バッフル本体の中心に向かって延在しており、
前記バッフル本体の内壁から前記バッフル本体の中心への方向において、前記バッフルによる遮断領域は小さくなるイオン源バッフルを提案している。
【0006】
好ましくは、前記バッフル本体は環状である。
【0007】
好ましくは、前記バッフルの内段は多角形又は円形である。
【0008】
好ましくは、前記バッフルは扇形である。
【0009】
好ましくは、前記扇形に対応する扇形の中心角が3°~15°である。
【0010】
好ましくは、前記バッフルの材料は石英材料又はセラミックス材料である。
【0011】
本発明はまた、
前記イオン源バッフルに基づくものであり、放電室と反応室を含み、
前記反応室は接続チャンバと、前記接続チャンバに連通している反応チャンバと、を含み、
前記放電室は前記接続チャンバ内に位置し、前記反応チャンバに連通しており、
前記接続チャンバ内にはプラズマを集束してプラズマビームを形成するイオン源Gridモジュールが設けられ、前記イオン源Gridモジュールは放電室のうち反応チャンバに連通している側に近く、
前記イオン源Gridモジュールは、内孔と外孔が設けられ、前記内孔の直径が前記外孔の直径よりも小さいスクリーングリッドを含むイオンエッチング装置であって、
前記イオン源バッフルは前記放電室の内壁に係着され、前記プラズマは前記イオン源バッフル及び前記イオン源Gridモジュールを順次通過するイオンエッチング装置を提案している。
【0012】
好ましくは、前記イオン源バッフルと前記イオン源Gridモジュールとの間の距離が3mmよりも大きい。
【0013】
本発明はまた、
前記イオンエッチング装置に基づくイオンエッチング装置の使用方法であって、
前記放電室のうち前記イオン源Gridモジュールに近い側に前記イオン源バッフルを係着するステップ(1)と、
前記放電室内で前記プラズマを発生させるステップ(2)と、
前記プラズマが前記イオン源バッフルで遮断されると、前記放電室のエッジ領域から前記放電室の中心領域まで、前記プラズマの数が徐々に多くなるステップ(3)と、
前記プラズマは前記イオン源Gridモジュールのスクリーングリッド内に入射されてから、前記スクリーングリッドを順次透過してプラズマビームを形成し、前記プラズマビームはGridモジュールの加速グリッドを透過して前記反応チャンバ内に入射されるステップ(4)と、を含むイオンエッチング装置の使用方法を提案している。
【発明の効果】
【0014】
従来技術に比べて、本発明の利点は以下のとおりである。
(1)バッフル本体の内壁からバッフル本体の中心への方向において、バッフルによる遮断領域は小さくなり、これによって、バッフル本体のエッジ領域で遮断されるプラズマがバッフル本体の中心領域で遮断されるプラズマよりも多く、プラズマがバッフルで遮断されると、このバッフルの作用により、放電室のエッジ領域から放電室の中心領域まで、プラズマの数が徐々に増加し、すなわち、放電室の中心領域よりも、放電室のエッジ領域のプラズマ密度が低下する。
(2)イオンエッチング装置にイオン源バッフルが増設されることによって、放電室内で発生させたプラズマがイオン源バッフル、スクリーングリッド及び加速グリッドを順次通過し、プラズマがイオン源バッフルで遮断されると、放電室のエッジ領域から放電室の中心領域まで、プラズマの数が徐々に増加し、放電室の中心領域よりも、放電室のエッジ領域でのプラズマ密度が低下し、これによって、スクリーングリッドの外孔が内孔よりも大きいという構造の設計に対して補償を行い、プラズマがスクリーングリッド及び加速グリッドを通過してから均一に分布する傾向にあるプラズマビームを形成することで、プラズマがイオン源Gridモジュールを透過してなるプラズマビームの均一性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1(a)】従来技術のスクリーングリッドの上面図である。
【
図1(b)】
図1(a)におけるスクリーングリッドの内孔の部分概略図である。
【
図1(c)】
図1(a)におけるスクリーングリッドの内孔及び外孔の直径変化の概略図である。
【
図2(a)】従来技術の対象基板のエッチング速度の分布図である。
【
図2(b)】従来技術の対象基板のエッチング速度の分布図である。
【
図3(a)】本発明の実施例1のイオン源バッフルの構造図である。
【
図3(b)】本発明の他の実施例のイオン源バッフルの構造図である。
【
図3(c)】本発明の他の実施例のイオン源バッフルの構造図である。
【
図3(d)】本発明の他の実施例のイオン源バッフルの構造図である。
【
図3(e)】本発明の他の実施例のイオン源バッフルの構造図である。
【
図4(a)】本発明の実施例1のイオンエッチング装置の概略図である。
【
図4(d)】本発明の他の実施例のイオンエッチング装置へのイオン源バッフルの取り付けの概略図である。
【
図4(e)】本発明の他の実施例のイオンエッチング装置へのイオン源バッフルの取り付けの概略図である。
【
図5】本発明の実施例1のイオン源バッフルの内径の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、概略図を参照して本発明をさらに詳細に説明し、本発明の好適な実施例は記載されるが、当業者にとって明らかなように、本発明の有利な効果を果たしたままここで説明される本発明を修正できると理解すべきである。このため、以下の説明は当業者にとって公知のものとして理解すべきであり、本発明を限定するものではない。
【0017】
図3(a)に示すように、イオン源バッフル1であって、中空構造のバッフル本体11を含み、バッフル本体11の内壁には対称に設けられるバッフル12が固定されており、バッフル12はバッフル本体11の中心に向かって延在しており、バッフル本体11の内壁からバッフル本体11の中心への方向において、バッフル12による遮断領域は徐々に小さくなる。好ましくは、バッフル本体11は環状である。バッフル12は中央が大きく両端が小さい構造であってもよい。
【0018】
本実施例では、バッフル12は水平に設けられ、バッフル12による遮断領域とはバッフル12の幅領域で遮断される部分を指す。バッフル12の幅はエッジ領域から中心領域に向かって線形的に減少し、このため、エッジ領域で遮断されるプラズマが中心領域で遮断されるプラズマよりも多い。当業者が理解できるように、バッフル本体11、バッフル12、放電室2という3つの部材に対応するエッジ領域は同じであり、この3つの部材に対応する中心領域も同じである。
【0019】
本実施例では、バッフル12は扇形である。エッジ領域と中心領域のエッチング速度の差に応じて、扇形に対応する扇形中心角は3°~15°である。エッジ領域のエッチング速度が中心領域よりも僅かに高い場合、扇形に対応する中心角は3度としてもよく、エッジ領域のエッチング速度が中心領域よりも明らかに高い場合、エッチング均一性の要件に対応するように、扇形に対応する中心角は徐々に増加する。
【0020】
好ましくは、加工のし易さから、バッフル本体11及びバッフル12の厚さは3mm~6mmとしてもよく、隣接するバッフル12の間のバッフル本体11部分の円周長は8mm~15mmである。バッフル12の材料は石英材料又はセラミックス材料である。
【0021】
図3(a)に示すように、バッフル12の数は6であり、
図3(b)に示すように、他の実施例では、バッフル12の数は2である。
【0022】
図3(c)~(d)に示すように、他の実施例では、バッフル12の内段はそれぞれ多角形、円形である。プロセスの効果から、エッチングが速い領域が半径r1~r4の間にある場合、
図1(b)に示すように、エッチング全体のプラズマ分布を均一にするために中心領域のプラズマ密度を下げる必要があり、このため、バッフル12の形状は、平行四辺形又は楕円形などの、中央が大きく外側部が小さい形状であってもよい。
【0023】
平行四辺形を例にして、半径r2~r3にあるエッチング領域のエッチング速度が他の領域よりも明らかに速い場合、該領域のプラズマを下げる必要があり、これによって、バッフル12は半径r2~r3ではより多くのプラズマを遮断する。エッチング速度の差によって、平行四辺形のバッフル12のサイズはプロセステスト構造に応じて変更してもよい。
【0024】
本実施例では、また、イオンエッチング装置を提案しており、
図4(a)~4(c)に示すように、このイオンエッチング装置は、前述したイオン源バッフル1に基づくものであり、従来のイオンエッチング装置を基にして、イオン源バッフル1を増設することにより、改良イオンエッチング装置が形成されており、この改良イオンエッチング装置は主に、放電室2と、反応室3と、イオン源バッフル1との3つの部分を含み、具体的には、反応室3は接続チャンバ31と、接続チャンバ31に連通している反応チャンバ32と、を含み、放電室2は接続チャンバ31内に位置し、反応チャンバ32に連通している構成となっている。
【0025】
接続チャンバ31は内側寄りにプラズマを集束してプラズマビームを形成するイオン源Gridモジュール4が設けられ、イオン源Gridモジュール4は放電室2のうち反応チャンバ32に連通している側に近い。
【0026】
イオン源Gridモジュール4は内孔と外孔411が設けられ、内孔の直径が外孔411の直径よりも小さいスクリーングリッド41を含み、該イオン源Gridモジュール4は従来技術であり、該イオン源Gridモジュール4のスクリーングリッド41は
図1(a)のスクリーングリッド41の構造と同じである。
【0027】
イオン源バッフル1は放電室2の内壁に係着され、プラズマはイオン源バッフル1及びイオン源Gridモジュール4を順次通過する。
【0028】
本実施例では、イオン源バッフル1とイオン源Gridモジュール4との間の距離が0よりも大きければよい。
【0029】
スクリーングリッド41では、中心からエッジに向かって、孔の孔径のサイズが区分関数的に増加するので、
図1(b)に示すように、N段階で変化するとすれば、プロセスにおいては、エッジエッチング速度が速い領域によって、
図5に示すように、バッフル1の内径φは好ましくはR/N~(N-1)*R/N(Rは放電室2の内径)の間であり、エッジ速度が他の領域よりも明らかに速い場合、扇形の内径は(N-1)*R/Nであり、これによって、扇形バッフル12による遮断面積が多すぎて、中心領域のエッチング速度に影響することを回避し、エッジエッチング速度が速い領域が絶えずに増加する場合、遮断面積を増大するために、扇形のイオン源バッフル1の内径は絶えずに減少すべきである。ここで、扇形のイオン源の形態は単段又は多段としてもよく、ここでは、
図3(e)に示すように、多段式のものは複数回の加工を回避しつつ、実験データによって扇形バッフル12の長さを自在に調整することができ、他の実施例では、イオン源は多段構造である。
放電室2のエッジ領域のプラズマの密度を効果的に調整し、対象基板5のエッジ領域及び中心領域に至るプラズマの密度分布を均一にするために、イオン源バッフル1のバッフル12の数は好ましくは2~20個であってもよく、イオンエッチング装置の様々なエッチング速度、イオン源バッフル1については、各イオン源バッフル1のバッフル12の数は以下の作業状況を参照する。
【0030】
(1)対象基板5のエッジ領域のエッチング速度が対象基板5の中心領域よりも変化が小さい場合、
図3(b)に示すように、2個のバッフル12しかないイオン源バッフル1は個別に設計されて取り付けられてもよい。
【0031】
(2)
図3(a)、
図4(d)に示すように、対象基板5のエッジ領域と対象基板5の中心領域のエッチング速度の差が増加するに伴い、バッフル12の数は最高6個まで徐々に増加する。
【0032】
(3)
図4(e)に示すように、対象基板5のエッジ領域と対象基板5の中心領域のエッチング速度の差がさらに増加すると、イオン源バッフル1はペアをなして取り付けられてもよい。対象基板5のエッジ領域のエッチング速度が対象基板5の中心領域のエッチング速度よりも明らかに速く、単一のイオン源バッフル1が要件を満たさない場合、2つ以上のイオン源バッフル1を取り付ける必要があり、これによって、対象基板5のエッチングの均一性が確保される。
【0033】
本実施例では、また、前述したイオンエッチング装置に基づくイオンエッチング装置の使用方法であって、
放電室2のうちイオン源Gridモジュール4に近い側にイオン源バッフル1を係着するステップ(1)と、
放電室2内でプラズマを発生させるステップ(2)と、
プラズマがイオン源バッフル1で遮断されると、放電室2のエッジ領域から放電室2の中心領域まで、プラズマの数が徐々に多くなるステップ(3)と、
プラズマはイオン源Gridモジュール4のスクリーングリッド41内に入射されてから、スクリーングリッド41を順次透過してプラズマビームを形成し、プラズマビームはGridモジュールの加速グリッド42を透過して反応チャンバ32内に入射されるステップ(4)と、を含むイオンエッチング装置の使用方法を提案している。
【0034】
上記は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。当業者であれば、本発明の技術的解決手段を逸脱しない範囲内で、本発明で開示された技術的解決手段及び技術内容について行う任意の形態の等同置換や修正などの変化は全て本発明の技術的解決手段を逸脱しない内容であり、本発明の特許範囲に属する。
【符号の説明】
【0035】
1 イオン源バッフル
11 バッフル本体
12 バッフル
2 放電室
3 反応室
31 接続チャンバ
32 反応チャンバ
4 イオン源Gridモジュール
41 スクリーングリッド
42 加速グリッド
411 外孔
5 対象基板