IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンソル アイワンス カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ コリア インスティチュート オブ セラミック エンジニアリング アンド テクノロジーの特許一覧

<>
  • 特許-耐プラズマガラス及びその製造方法 図1
  • 特許-耐プラズマガラス及びその製造方法 図2
  • 特許-耐プラズマガラス及びその製造方法 図3
  • 特許-耐プラズマガラス及びその製造方法 図4
  • 特許-耐プラズマガラス及びその製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】耐プラズマガラス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/112 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
C03C3/112
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023522500
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 KR2021013593
(87)【国際公開番号】W WO2022075687
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0130481
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0070398
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523130855
【氏名又は名称】ハンソル アイワンス カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】517434736
【氏名又は名称】コリア インスティチュート オブ セラミック エンジニアリング アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ダエ ジーン キム
(72)【発明者】
【氏名】ヘ ウォン セオク
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ジュン キム
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-041852(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031507(WO,A1)
【文献】特開2002-212733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO粉末、Al粉末、MgO粉末及びMgF粉末を混合して耐プラズマガラス原料を準備する段階;
前記耐プラズマガラスの原料を溶融させる段階;
溶融された結果物をガラス転移温度(T)より高い温度で徐冷する段階;
徐冷した結果物を室温まで炉冷する段階;及び
炉冷した耐プラズマガラスを収得する段階を含み、
収得された耐プラズマガラスは、SiO:40~75モル%、Al:5~20モル%、MgO:10~40モル%及びMgFを0.01~10モル%を含むことを特徴とする、耐プラズマガラスの製造方法。
【請求項2】
前記MgOと前記MgFは、90:10~80:20のモル比を有することを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマガラスの製造方法。
【請求項3】
前記収得された耐プラズマガラスのガラス転移温度(T)は、700℃~800℃であることを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマガラスの製造方法。
【請求項4】
前記収得された耐プラズマガラスの軟化点(Tdsp)は、750℃~850℃であることを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマガラスの製造方法。
【請求項5】
前記収得された耐プラズマガラスは、フッ素(fluorine)とアルゴン(Ar)の混合プラズマ環境に用いられるガラスであり、前記収得された耐プラズマガラスは、フッ素とアルゴンの混合プラズマに対して蝕刻率が15nm/minより低い耐プラズマ特性を有することを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマガラスの製造方法。
【請求項6】
前記溶融させる段階は、1300℃~1650℃の温度で行われることを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマガラスの製造方法。
【請求項7】
前記徐冷する段階は、700℃~900℃の温度で行われることを特徴とする、請求項1に記載の耐プラズマガラスの製造方法。
【請求項8】
SiO:40~75モル%、Al:5~20モル%、MgO:10~40モル%及びMgFを0.01~10モル%を含むことを特徴とする、耐プラズマガラス。
【請求項9】
前記MgOと前記MgFは、90:10~80:20のモル比を有することを特徴とする、請求項8に記載の耐プラズマガラス。
【請求項10】
前記耐プラズマガラスのガラス転移温度(T)は、700℃~800℃であることを特徴とする、請求項8に記載の耐プラズマガラス。
【請求項11】
前記耐プラズマガラスの軟化点(Tdsp)は、750℃~850℃であることを特徴とする、請求項8に記載の耐プラズマガラス。
【請求項12】
前記耐プラズマガラスは、フッ素(fluorine)とアルゴン(Ar)の混合プラズマ環境に用いられるガラスであり、前記耐プラズマガラスは、フッ素とアルゴンの混合プラズマに対して蝕刻率が15nm/minより低い耐プラズマ特性を有することを特徴とする、請求項8に記載の耐プラズマガラス。
【請求項13】
前記耐プラズマガラスは、半導体製造用工程チャンバの内部部品であることを特徴とする、請求項8に記載の耐プラズマガラス。
【請求項14】
前記内部部品は、フォーカスリング(focus ring)、エッジリング(edge ring)、カバーリング(cover ting)、リングシャワー(ring shower)、インシュレーター(insulator)、EPDウィンドウ(window)、電極(electrode)、ビューポート(view port)、インナーシャッター(inner shutter)、静電チャック(electro static chuck)、ヒーター(heater)、チャンバライナー(chamber liner)、シャワーヘッド(shower head)、CVD(Chemical Vapor Deposition)用ボート(boat)、ウォールライナー(wall liner)、シールド(shield)、コールドパッド(cold pad)、ソースヘッド(source head)、アウターライナー(outer liner)、デポジションシールド(deposition shiled)、アッパーライナー(upper liner)、排出プレート(exhaust plate)及びマスクフレーム(mask frame)のうちいずれか一つであることを特徴とする、請求項13に記載の耐プラズマガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、耐プラズマガラス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体及び/又はディスプレイの製造時にプラズマ蝕刻工程が適用されている。最近、ナノ工程が適用されるに従って蝕刻の難易度が増加し、高密度プラズマ環境に露出される工程チャンバの内部部品は、耐食性を有するアルミナ(Al)、イットリア(Y)のような酸化物系セラミックスが主に用いられている。
【0003】
多結晶素材がフッ素系ガスを用いる高密度プラズマ蝕刻環境に長期間露出される場合、局所的な浸食によって粒子が脱落し、それによる汚染粒子の発生確率が高くなる。これは、半導体/ディスプレイの欠陥を誘発して生産収率に悪影響を及ぼす。
【0004】
このような発明の背景となる技術に開示された上述した情報は、本発明の背景に対する理解度を向上させるためのものに過ぎず、したがって、従来技術を構成しない情報を含むこともできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例による解決しようとする課題は、耐プラズマ特性を向上させた耐プラズマガラス及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例による耐プラズマガラスの製造方法は、SiO粉末、Al粉末、MgO粉末及びMgF粉末を混合して耐プラズマガラスの原料を準備する段階;前記耐プラズマガラスの原料を溶融させる段階;溶融された結果物をガラス転移温度(T)より高い温度で徐冷する段階;徐冷した結果物を室温まで炉冷する段階;及び炉冷した耐プラズマガラスを収得する段階を含み、収得された耐プラズマガラスは、SiO:40~75モル%、Al:5~20モル%、MgO:10~40モル%及びMgFを0.01~10モル%を含むことができる。
【0007】
前記MgOと前記MgFは、90:10~80:20のモル比を有することができる。
【0008】
前記収得された耐プラズマガラスのガラス転移温度(T)は、700℃~800℃であってもよい。
【0009】
前記収得された耐プラズマガラスの軟化点(Tdsp)は、750℃~850℃であってもよい。
【0010】
前記収得された耐プラズマガラスは、フッ素(fluorine)とアルゴン(Ar)の混合プラズマ環境に用いられるガラスであり、前記収得された耐プラズマガラスは、フッ素とアルゴンの混合プラズマに対して蝕刻率が15nm/minより低い耐プラズマ特性を有することができる。
【0011】
前記溶融させる段階は、1300℃~1650℃の温度で行われ得る。
【0012】
前記徐冷する段階は、700℃~900℃の温度で行われ得る。
【0013】
本発明の実施例による耐プラズマガラスは、SiO:40~75モル%、Al:5~20モル%、MgO:10~40モル%及びMgFを0.01~10モル%を含むことができる。
【0014】
前記耐プラズマガラスは、半導体製造用工程チャンバの内部部品であってもよい。
【0015】
前記内部部品は、フォーカスリング(focus ring)、エッジリング(edge ring)、カバーリング(cover ting)、リングシャワー(ring shower)、インシュレーター(insulator)、EPDウィンドウ(window)、電極(electrode)、ビューポート(view port)、インナーシャッター(inner shutter)、静電チャック(electro static chuck)、ヒーター(heater)、チャンバライナー(chamber liner)、シャワーヘッド(shower head)、CVD(Chemical Vapor Deposition)用ボート(boat)、ウォールライナー(wall liner)、シールド(shield)、コールドパッド(cold pad)、ソースヘッド(source head)、アウターライナー(outer liner)、デポジションシールド(deposition shiled)、アッパーライナー(upper liner)、排出プレート(exhaust plate)及びマスクフレーム(mask frame)のうちいずれか一つであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施例は、耐プラズマ特性を向上させた耐プラズマガラス及びその製造方法を提供する。一例で、本発明の実施例による耐プラズマガラスは、フッ素(fluorine)とアルゴン(Ar)の混合プラズマ環境に用いられるガラスであってもよいが、このとき、耐プラズマガラスは、フッ素とアルゴンの混合プラズマに対して蝕刻率(nm/min)が約15より低いことがある。また、本発明の実施例による耐プラズマガラスの硬度(Gpa)は約6.5~約7.5、誘電定数(F/m)は約4~約6、密度(g/cm)は約2~約3を有することによって、通常のプラズマ蝕刻装備内で適切に用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例による耐プラズマガラスの製造方法を示したフローチャートである。
図2】本発明の実施例による耐プラズマガラスの製造のための組成比を示した表である。
図3】本発明の実施例による耐プラズマガラスを示した写真である。
図4】本発明の実施例による耐プラズマガラスの多様な特性を示した表である。
図5】本発明の実施例による耐プラズマガラスに対する非晶質パターン測定結果を示したグラフである。
【発明を実施するための最先の形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。
【0019】
本発明の実施例は、当該技術分野において通常の知識を有した者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、下記実施例は、互いに異なる多様な形態に変形され得、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されるものではない。むしろ、これら実施例は、本開示を一層充実させ且つ完全となるようにし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0020】
本明細書で用いられたように、用語「及び/又は」は、該当する列挙された項目のうちいずれか一つ及び一つ以上のすべての組み合わせを含む。また、本明細書で用いられた用語は、特定実施例を説明するために用いられ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で用いられたように、単数形態は、文脈上異なる場合を明白に指摘するものではない場合、複数の形態を含むことができる。また、本明細書で用いられる場合、「含む(comprise、include)」及び/又は「含む(comprising、including)」は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素及び/又はこれらグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素及び/又はグループの存在又は付加を排除するものではない。
【0021】
本明細書で、第1、第2などの用語が多様な部材、部品、領域、層及び/又は部分を説明するために用いられるが、これら部材、部品、領域、層及び/又は部分は、これら用語によって限定されてはならないことは自明である。これら用語は、一つの部材、部品、領域、層又は部分を他の領域、層又は部分と区別するためにのみ用いられる。したがって、以下に詳述する第1部材、部品、領域、層又は部分は、本発明の定義から脱しなくても第2部材、部品、領域、層又は部分を指称することができる。
【0022】
図1を参照すると、本発明の実施例による耐プラズマガラスの製造方法に対するフローチャートが示されている。
【0023】
図1に示したように、本発明の実施例による耐プラズマガラスの製造方法は、耐プラズマガラス原料の準備段階S1、溶融段階S2、徐冷段階S3、炉冷段階S4及び耐プラズマガラスの収得段階S5を含むことができる。
【0024】
耐プラズマガラス原料の準備段階S1で、SiO粉末、Al粉末、MgO粉末及びMgF粉末を混合して耐プラズマガラスの原料を準備することができる。
【0025】
一例で、Alは、前駆体として、例えば、Al(OH)を含むことができ、MgOは、前駆体として、例えば、Mg(OH)を含むことができ、MgFは、前駆体として、例えば、MgClと無水(anhydrous)HFの反応で形成された溶液を含むことができる。
【0026】
溶融段階S2で、耐プラズマガラスの原料を溶融させ得る。
【0027】
一例で、溶融段階は、酸化雰囲気で約1300℃~約1650℃の温度で行われ得る。
【0028】
徐冷段階S3で、溶融された耐プラズマガラスの原料を徐冷又はアニーリングすることができる。
【0029】
一例で、徐冷又はアニーリング段階は、酸化雰囲気で約700℃~約900℃の温度で行われ得る。
【0030】
炉冷段階S4で、徐冷された耐プラズマガラスの原料を徐徐に冷却させ得る。
【0031】
一例で、炉冷は、炉内の温度が自然的に室温(例えば、20℃)に到達するまで放置して行われ得る。
【0032】
耐プラズマガラスの収得段階S5で、炉冷した結果物、すなわち、本発明の実施例によって製造された耐プラズマガラスを収得することができる。
【0033】
一例で、収得された耐プラズマガラスのガラス転移温度(T)は、約700℃~約800℃であってもよい。
【0034】
一例で、収得されたネ耐プラズマガラスの軟化点(Tdsp)は、約700℃~約800℃であってもよい。
【0035】
一例で、収得された耐プラズマガラスは、SiO約40モル%~約75モル%、Al約5モル%~約20モル%、MgO約10モル%~約40モル%及びMgF約0.01モル%~約10モル%を含むことができる。
【0036】
一例で、収得された耐プラズマガラスのうちMgOとMgFは、90:10~80:20のモル比を含むことができる。
【0037】
一例で、収得された耐プラズマガラスは、フッ素(fluorine)とアルゴン(Ar)の混合プラズマ環境に用いられるガラスであり、収得された耐プラズマガラスは、フッ素とアルゴンの混合プラズマに対して蝕刻率が約5nm/min~約15nm/minであってもよい。
【0038】
図2を参照すると、本発明の実施例による耐プラズマガラスの製造のための組成比に対する表が示されている。
【0039】
実施例1(MASF9505)
耐プラズマガラス原料の準備段階S1で、SiO粉末59.267モル%、Al粉末10.305モル%、MgO粉末28.907モル%及びMgF粉末1.521モル%を混合して、耐プラズマガラスの原料を準備した。
【0040】
一例で、化学成分の総合を600g重量で配置し、ジルコニアボールミリング方式で約1時間の間耐プラズマガラスの原料を混合した。一例で、原料600g:ジルコニアボール1800g(重量比1:3)で耐プラズマガラスの原料を乾式混合した後、24時間の間乾燥した。他の例で、化学成分の総合を600g重量で配置し、ジルコニアボールミリング方式で約1時間の間耐プラズマガラスの原料を混合することができる。一例で、原料600g:エタノール2400g:ジルコニアボール5400g(重量費1:4:9)で耐プラズマガラスの原料を湿式混合した後、24時間の間乾燥することができる。
【0041】
溶融段階S2で、乾式混合方式又は湿式混合方式で混合した耐プラズマガラスの原料をスーパーカンタル炉を利用して1400℃の温度に到逹するまで10℃/minの速度で温度を増加し、1400℃の温度で約2時間30分間維持した。
【0042】
徐冷段階S3で、溶融された耐プラズマガラスが820℃の温度に到逹するまで徐徐に冷却し、820℃の温度で約3時間の間維持した。
【0043】
炉冷段階S4で、徐冷された耐プラズマガラスが室温(例えば、20℃)に到達するまで自然冷却した。
【0044】
その後、耐プラズマガラスの収得段階S5で、MgO及びMgFを含む炉冷された耐プラズマガラスを得た。ここで、MgOとMgFのモル比は、約95:5であってもよい。
【0045】
実施例2(MASF9010)
耐プラズマガラス原料の準備段階(S1)で、SiO粉末59.267モル%、Al粉末10.305モル%、MgO粉末27.385モル%及びMgF粉末3.043モル%を混合して、耐プラズマガラスの原料を準備した。その外の段階S2~段階S5は、実施例1と類似であるか同一である。ここで、収得された耐プラズマガラスのうちMgOとMgFのモル比は、約90:10であってもよい。
【0046】
実施例3(MASF8515)
耐プラズマガラス原料の準備段階S1で、SiO粉末59.267モル%、Al粉末10.305モル%、MgO粉末25.864モル%及びMgF粉末4.564モル%を混合して、耐プラズマガラスの原料を準備した。その外の段階S2~段階S5は、実施例1と類似であるか同一である。ここで、収得された耐プラズマガラスのうちMgOとMgFのモル比は、約85:15であってもよい。
【0047】
実施例4(MASF8020)
耐プラズマガラス原料の準備段階S1で、SiO粉末59.267モル%、Al粉末10.305モル%、MgO粉末24.342モル%及びMgF粉末6.086モル%を混合して、耐プラズマガラスの原料を準備した。その外の段階S2~段階S5は、実施例1と類似であるか同一である。ここで、収得された耐プラズマガラスのうちMgOとMgFのモル比は、約80:20であってもよい。
【0048】
比較例(MAS)
耐プラズマガラス原料の準備段階S1で、SiO粉末59.267モル%、Al
粉末10.305モル%、MgO粉末30.428モル%を混合して、耐プラズマガラスの原料を準備した。その外の段階S2~段階S5は、実施例1と類似であるか同一である。ここで、収得された耐プラズマガラス中にMgFはない。
【0049】
図3を参照すると、本発明の実施例による耐プラズマガラスに対する写真が示されている。ここで、MASは比較例、MASF9505は実施例1、MASF9010は実施例2、MASF8515は実施例3、MASF8020は実施例4によって製造された耐プラズマガラスの写真である。図3に示したように、比較例及び実施例1~4による耐プラズマガラスは、全て透明であり、特定の色相(例えば、黄色や白色)を有しなかった。
【0050】
図4を参照すると、本発明の実施例による耐プラズマガラスの多様な特性に対する表が示されている。
【0051】
まず、耐プラズマガラスの熱物性(T、Tc1C2及びT)が測定された。Labsys evoに完成された耐プラズマガラスを位置させた後、10℃/分の速度で1400℃まで温度を増加させた。このとき、アルゴンガス(40-50cc/分)を利用した。
【0052】
実施例1(MASF9505)によって製造された耐プラズマガラスのガラス転移温度(T)は、約774.4℃、1次変曲点温度(Tc1)は、約1034.1℃、2次変曲点温度(Tc2)は、約1100.2℃、液状温度(T)は、1366.1℃と測定された。
【0053】
実施例2(MASF9010)によって製造された耐プラズマガラスのガラス転移温度(T)は、約764.4℃、1次変曲点温度(Tc1)は、約1026.3℃、2次変曲点温度(Tc2)は、約1060.7℃、液状温度(T)は、1362.9℃と測定された。
【0054】
実施例3(MASF8515)によって製造された耐プラズマガラスのガラス転移温度(T)は、約729.6℃、1次変曲点温度(Tc1)は、約996.6℃、2次変曲点温度(Tc2)は、約1030.3℃、液状温度(T)は、1356.5℃と測定された。
【0055】
実施例4(MASF8020)によって製造された耐プラズマガラスのガラス転移温度(T)は、約734.0℃、1次変曲点温度(Tc1)は、約1027.8℃、2次変曲点温度(Tc2)は、約1063.3℃、液状温度(T)は、1358.6℃と測定された。
【0056】
比較例(MAS)によって製造された耐プラズマガラスのガラス転移温度(T)は、約799.4℃、1次変曲点温度(Tc1)は、約1056.6℃、2次変曲点温度(Tc2)は、約1253.6℃、液状温度(T)は、1368.6℃と測定された。
【0057】
このようにして、大体、MgFの含量が増加するほどT、Tc1C2及びTが減少したが、MgO:MgFの割合が約80:20ではT、Tc1c2及びTが再び増加した。
【0058】
次に、耐プラズマガラスの熱膨脹係数(CTE:×10-6m/(m℃))、ガラス転移温度(T)及び軟化点(Tdsp)が測定された。Labsys evoに完成された耐プラズマガラスを位置させた後、10℃/分の速度で1000℃まで温度を増加させた。このとき、ガスは使われなかった。
【0059】
実施例1(MASF9505)によって製造された耐プラズマガラスのCTEは、約4.68、ガラス転移温度(T)は、約774.4℃、軟化点(Tdsp)は、約827.5℃と測定された。
【0060】
実施例2(MASF9010)によって製造された耐プラズマガラスのCTEは、約4.74、ガラス転移温度(T)は、約764.4℃、軟化点(Tdsp)は、約811.4℃と測定された。
【0061】
実施例3(MASF8515)によって製造された耐プラズマガラスのCTEは、約5.58、ガラス転移温度(T)は、約729.6℃、軟化点(Tdsp)は、約771.8℃と測定された。
【0062】
実施例4(MASF8020)によって製造された耐プラズマガラスのCTEは、約5.63、ガラス転移温度(T)は、約734.0℃、軟化点(Tdsp)は、約784.1℃と測定された。.
【0063】
比較例(MAS)によって製造された耐プラズマガラスのCTEは、約5.44、ガラス転移温度(T)は、約799.4℃、軟化点(Tdsp)は、約837.0℃と測定された。
【0064】
このようにして、大体、MgFの含量が増加するほどCTE、Tdsp、Tが減少したが、MgFの含量が一定値以上では再び増加した。
【0065】
次に、耐プラズマガラスの硬度(GPa)が測定された。HMV、マイクロ硬度テスター(SHIMADZU)に完成された耐プラズマガラスを位置させた後、300g.f(2.94199N)の力で5回測定後に平均値を出した。
【0066】
完成された耐プラズマガラスの硬度(GPa)は、実施例1(MASF9505)の場合、約6.9、実施例2(MASF9010)の場合、約6.3、実施例3の場合、約6.9、実施例4の場合、約6.9、比較例(MAS)の場合、約6.9と測定された。
【0067】
このようにして、大体、MgFの含量増加による硬度の変化はなかった。参考として、クオーツの硬度は約20であり、合成クオーツの硬度は約8.23であり、サファイアの硬度は約17.9であり、Alコーティング層の硬度は約17.1である。
【0068】
次に、耐プラズマガラスの誘電定数(F/m)が測定された。1MHzの周波数で1分間測定するが、5回測定後に平均値を出した。
【0069】
完成された耐プラズマガラスの誘電定数(F/m)は、実施例1(MASF9505)の場合、約4.859、実施例2(MASF9010)の場合、約4.810、実施例3の場合、約5.161、実施例4の場合、約5.162、比較例(MAS)の場合、約4.714である。
【0070】
このようにして、大体、MgFの含量が増加するほど誘電定数値が大きくなった。
【0071】
次に、耐プラズマガラスの蝕刻率(nm/min)が測定された。surfcorder ET3000(Kosakalaboratory Ltd.、Japan)に完成された耐プラズマガラスが位置された後、3回測定の後に平均値を出した。このとき、蝕刻条件は、下の通りである。
【0072】
RF power(W):600
RF power、bias(W):150
CF(SCCM):30
Ar(SCCM):10
O2(SCCM):5
Pressure(mTorr):10
Time(min):60
【0073】
耐プラズマガラスの蝕刻率(nm/min)は、実施例1(MASF9505)の場合、約7.6、実施例2(MASF9010)の場合、約14.12、実施例3の場合、約11.09、実施例4の場合、約12.03、比較例(MAS)の場合、約9.49と測定された。
【0074】
このようにして、MgFの含量が増加するほど蝕刻率が大概減少したが、実施例1(MASF9505)では特に蝕刻率が減少した。参考として、サファイアの蝕刻率は約29.37、クオーツの蝕刻率は約214.01、合成クオーツの蝕刻率は約212.49である。
【0075】
次に、耐プラズマガラスの密度(g/cm)が測定された。Archimedes/Pycnometerにより完成された耐プラズマガラスの密度が測定された。
【0076】
耐プラズマガラスの密度(g/cm)は、実施例1(MASF9505)の場合、約2.59、実施例2(MASF9010)の場合、約2.59、実施例3(MASF8515)の場合、約2.59、実施例4(MASF8020)の場合、約2.59、比較例(MAS)の場合、約2.6と測定された。
【0077】
このようにして、大体、MgFの含量増加に関係なく密度は類似であった。
【0078】
図5を参照すると、本発明の実施例による耐プラズマガラスに対する非晶質パターン測定結果に対するグラフが示されている。図5で、X軸は、2θ(deg.)であり、Y軸は、強度(a.u.)であり、約10°~80°の間で10°/分の速度で本発明の実施例及び比較例によって製造された耐プラズマガラスの結晶構造がXRD(X-ray diffraction)装備により測定された。図5に示したように、実施例1~4及び比較例によって製造された耐プラズマガラスは、全て2θ値が20°~30°の間でピーク値を有することによって、特定の結晶構造を有しない、すなわち、非晶質構造であることを確認することができた。
【0079】
このようにして、耐プラズマガラスは、MgFを含む場合、ガラス転移温度(T)及び軟化点(Tdsp)が低くなることが分かる。したがって、MgFを含む耐プラズマガラスは、粘度と融点が減少するので、結局、加工が容易な低融点耐プラズマガラスを提供することになる。
【0080】
また、耐プラズマガラスは、MgFを含む場合、耐プラズマガラス特性が向上する。一例で、耐プラズマガラスがCF系プラズマ環境に露出された場合、相互間反応して耐プラズマガラスにフッ素化合物層が形成される。このようなフッ素化合物層は、蝕刻速度を低下させる。しかし、本発明の実施例では、耐プラズマガラスに既にフッ素(F)元素が含まれているので、前記耐プラズマガラスがCF系プラズマ環境に露出された場合、耐プラズマガラスの表面にフッ素化合物層が一層早く厚く形成され、それによって、耐プラズマガラス特性が一層向上され得る。ここで、MgOとMgFが所定の割合(例えば、90:10~80:20)のモル比を有する場合、耐プラズマガラス特性が一層向上され得る。
【0081】
また、MgOとMgFを含む耐プラズマガラスは、硬度、誘電定数及び密度がプラズマ蝕刻装備内で既存部品と異質感なしにマッチングされる値を有することによって、既存のプラズマ蝕刻装備に容易に採択され得る。
【0082】
一例で、上述した耐プラズマガラスは、半導体又はディスプレイ製造用工程チャンバの内部部品であってもよい。一例で、内部部品は、フォーカスリング(focus ring)、エッジリング(edge ring)、カバーリング(cover ting)、リングシャワー(ring shower)、インシュレーター(insulator)、EPDウィンドウ(window)、電極(electrode)、ビューポート(view port)、インナーシャッター(inner shutter)、静電チャック(electro static chuck)、ヒーター(heater)、チャンバライナー(chamber liner)、シャワーヘッド(shower head)、CVD(Chemical Vapor Deposition)用ボート(boat)、ウォールライナー(wall liner)、シールド(shield)、コールドパッド(cold pad)、ソースヘッド(source head)、アウターライナー(outer liner)、デポジションシールド(deposition shiled)、アッパーライナー(upper liner)、排出プレート(exhaust plate)及び/又はマスクフレーム(mask frame)を含むことができる。ここで、上述した内部部品は、上述した耐プラズマガラスパウダーを溶融、圧縮成形、圧縮焼結などの多様な方法を通じて製造され得る。
【0083】
以上で説明した内容は、本発明による耐プラズマガラス及びその製造方法を実施するための一つの実施例に過ぎず、本発明は、上記した実施例によって限定されない。以下の特許請求の範囲で請求するように、本発明の要旨を脱することなく当該発明が属する分野において通常の知識を有した者であれば、誰でも多様な変更実施が可能な範囲まで本発明の技術的精神があると言える。
図1
図2
図3
図4
図5