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特許7496484車両運行情報表示システム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】車両運行情報表示システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240531BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240531BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20240531BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240531BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240531BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240531BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240531BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240531BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/16 F
G08G1/13
G01C21/26 C
G08B21/00 U
G08B21/02
G06Q50/10
G06Q50/40
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021537553
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2019031528
(87)【国際公開番号】W WO2021024496
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-01-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】324001734
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公則
(72)【発明者】
【氏名】南雲 秀明
(72)【発明者】
【氏名】石山 圭
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055445(JP,A)
【文献】特開2017-204104(JP,A)
【文献】特開2017-194872(JP,A)
【文献】特開2013-143002(JP,A)
【文献】国際公開第2016/114324(WO,A1)
【文献】特開2018-084935(JP,A)
【文献】特開2008-210375(JP,A)
【文献】特開2014-027961(JP,A)
【文献】特開2018-061580(JP,A)
【文献】特開2010-079665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 ~ 1/16
G01C 21/26 ~ 21/36
G08B 21/00 ~ 21/02
G06Q 50/10
G06Q 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転中のドライバーの生体情報を取得する第1取得手段と、
前記運転中の車両の運行情報を取得する第2取得手段と、
前記取得された生体情報を解析して、前記ドライバーの体調を検出する第1検出手段と、
前記取得された運行情報を、前記検出された体調に応じて注目度を変更して、地図上にアイコンで表示する表示手段と、
を備え
前記アイコンは、前記車両の位置を示すアイコンと、前記ドライバーの体調を示すアイコンを含み、
前記車両の位置を示すアイコンは、車両番号と共に表示され、積載率に応じた表示がされる車両運行情報表示システム。
【請求項2】
前記積載率に応じた表示は、前記車両の位置を示すアイコンの色による表示である請求項1に記載の車両運行情報表示システム
【請求項3】
前記ドライバーの体調を示すアイコンは、前記注目度に応じた表示がされる
請求項1に記載の車両運行情報表示システム
【請求項4】
前記注目度に応じた表示は、前記ドライバーの体調を示すアイコンの色、サイズ、形、又はマークによる表示である請求項1に記載の車両運行情報表示システム
【請求項5】
前記表示手段は、車両が属する拠点毎に一覧表示する請求項1~4のいずれか1項に記載の車両運行情報表示システム。
【請求項6】
前記ドライバーの体調が所定の条件を満たしたときに、運転中のドライバーの様子を確認する第1確認手段と、
を備える請求項1~5のいずれか1項に記載の車両運行情報表示システム。
【請求項7】
前記ドライバーの動作情報を取得する第3取得手段と、
取得された動作情報を解析して、ドライバーの動作を検出する第2検出手段と、
を備え、
前記表示手段は、前記取得された運行情報を、前記検出されたドライバーの動作に応じて注目度を変更して、前記地図上に表示する請求項1~のいずれか一項に記載の車両運行情報表示システム。
【請求項8】
前記ドライバーが運転している車両の挙動情報を取得する第4取得手段と、
取得された挙動情報を解析して、車両の挙動を検出する第3検出手段と、
検出された車両の挙動を道路標識情報と照合して法令遵守の度合いを判定する判定手段と、
を備え、
前記表示手段は、取得された運行情報を、判定された度合いに応じて注目度を変更して地図上に表示する請求項1~のいずれか一項に記載の車両運行情報表示システム。
【請求項9】
前記判定手段により、法令遵守していないと判定されたときに、運転中の車両の様子を確認する第2確認手段と、
を備える請求項記載の車両運行情報表示システム。
【請求項10】
前記ドライバーの労務情報を取得する第5取得手段と、
を備え、
前記表示手段は、取得した労務情報を、注目度の変更に加味する請求項1~のいずれか一項に記載の車両運行情報表示システム。
【請求項11】
車両を運転中のドライバーの生体情報を取得するステップと、
前記運転中の車両の運行情報を取得するステップと、
前記取得された生体情報を解析して、前記ドライバーの体調を検出するステップと、
前記取得された運行情報を、前記検出された体調に応じて注目度を変更して、地図上にアイコンで表示するステップと、
を備え
前記アイコンは、前記車両の位置を示すアイコンと、前記ドライバーの体調を示すアイコンを含み、
前記車両の位置を示すアイコンは、車両番号と共に表示され、積載率に応じた表示がされる車両運行情報表示方法。
【請求項12】
コンピュータに、
車両を運転中のドライバーの生体情報を取得するステップと、
前記運転中の車両の運行情報を取得するステップと、
前記取得された生体情報を解析して、前記ドライバーの体調を検出するステップと、
前記取得された運行情報を、前記検出された体調に応じて注目度を変更して、地図上にアイコンで表示するステップと、
を実行させるための車両運行情報表示プログラムであって、
前記(表示する)アイコンは、前記車両の位置を示すアイコンと、前記ドライバーの体調を示すアイコンを含み、
前記車両の位置を示すアイコンは、車両番号と共に表示され、積載率に応じた表示がされる車両運行情報表示プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を運転中のドライバーの体調を管理者にも見えるようにした車両運行情報表示システム、方法及びプログラムに関する。本発明は、IoT(Internet of Things)に関連し、技術分野はIPC分類においてG06Q等に該当する。
【背景技術】
【0002】
近年、事故を未然に防ぐためのIT技術が注目されている。例えば、遭遇する蓋然性の高いインシデントが発生した地点に対する注意を喚起するために、運転者の生体情報から、運転者のインシデントの遭遇の有無を判定し、インシデントに遭遇している場合、現在位置がインシデント地点として1回カウントして、現在位置が所定距離以内に接近中の地点がインシデント地点として登録されているカウントが所定値以上の場合に、地図上の、存在したインシデントデータのインシデント地点に対応する位置に注意マークを表示する技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-037359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
事故を未然に防ぐためには、運転中のドライバーの体調を考慮したインシデントを管理者に通知することが重要である。しかしながら、特許文献1の技術では、運転中のドライバーの体調を管理者にも見えるようにすることができない。
【0005】
本発明は、以上の課題に鑑み、運転中のドライバーの体調を管理者にも見えるようにする車両運行情報表示システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両を運転中のドライバーの生体情報を取得する第1取得手段と、前記運転中の車両の運行情報を取得する第2取得手段と、前記取得された生体情報を解析して、前記ドライバーの体調を検出する第1検出手段と、前記取得された運行情報を、前記検出された体調に応じて注目度を変更して、地図上にアイコンで表示する表示手段と、を備え、前記アイコンは、前記車両の位置を示すアイコンと、前記ドライバーの体調を示すアイコンを含み、前記車両の位置を示すアイコンは、車両番号と共に表示され、積載率に応じた表示がされる車両運行情報表示システム(システムは単体のコンピュータであってもよい)を提供する。
【0007】
また、本発明は、車両を運転中のドライバーの生体情報を取得するステップと、前記運転中の車両の運行情報を取得するステップと、前記取得された生体情報を解析して、前記ドライバーの体調を検出するステップと、前記取得された運行情報を、前記検出された体調に応じて注目度を変更して、地図上にアイコンで表示するステップと、を備え、前記アイコンは、前記車両の位置を示すアイコンと、前記ドライバーの体調を示すアイコンを含み、前記車両の位置を示すアイコンは、車両番号と共に表示され、積載率に応じた表示がされる車両運行情報表示方法を提供する。
【0008】
更に、本発明は、コンピュータに、車両を運転中のドライバーの生体情報を取得するステップと、前記運転中の車両の運行情報を取得するステップと、前記取得された生体情報を解析して、前記ドライバーの体調を検出するステップと、前記取得された運行情報を、前記検出された体調に応じて注目度を変更して、地図上にアイコンで表示するステップと、を実行させるための車両運行情報表示プログラムであって、前記(表示する)アイコンは、前記車両の位置を示すアイコンと、前記ドライバーの体調を示すアイコンを含み、前記車両の位置を示すアイコンは、車両番号と共に表示され、積載率に応じた表示がされる車両運行情報表示プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両を運転中のドライバーの生体情報を取得して、運転中の車両の運行情報を取得して、取得された生体情報を解析して、ドライバーの体調を検出して、取得された運行情報を、検出された体調に応じて注目度を変更して、地図上に表示することとした。このため、運転中のドライバーの体調を管理者にも見えるようにすることができ、管理者によるフォローが可能となり事故を未然に防止するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の車両運行情報表示システムを用いた全体構成を示す概念図である。
図2】前記実施形態の車両の構成を示すブロック図である。
図3】前記実施形態のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】前記実施形態のサーバの機能構成を示すブロック図である。
図5】前記実施形態の管理者端末の構成を示すブロック図である。
図6】前記実施形態の車両運行情報表示処理の一例を示すフローチャートである。
図7】前記実施形態の車両運行情報表示処理の他の一例を示すフローチャートである。
図8】前記実施形態の車両運行情報表示処理の他の一例を示すフローチャートである。
図9】管理者端末に表示される車両運行情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、車両を運転中のドライバーの生体情報を取得して、運転中の車両の運行情報を取得して、取得された生体情報を解析して、ドライバーの体調を検出して、取得された運行情報を、検出された体調に応じて注目度を変更して、地図上に表示することで、運転中のドライバーの体調を管理者にも見えるようにし、管理者によるフォローを可能にして事故を未然に防止するのに役立つものである。
【0012】
<全体構成>・・・図1は、本実施形態に係る車両運行情報表示システムの概要を示す概念図である。車両運行情報表示システム100(以下「システム」とする)は、サーバ50と、車両10に搭載された端末20と、管理者90の端末とがインターネットを含むネットワークを介して相互にデータ通信可能となっている。車両10には、ドライバー生体情報センシング部40、車両情報センシング部42、ドライバー動作センシング部44が搭載されており、これらによって検知された情報が、近距離無線通信によって端末20に送信され、端末20は、受信した情報を、通信部およびネットワークを介してサーバ50に送信する。
【0013】
ドライバー生体情報センシング部40は、例えば、ハンドルカバー型心電計22や、シートカバー型心電計24が含まれ、これらによってドライバー12の生体情報である心電波形が得られる。また、ドライバー生体情報センシング部40は、心電波形のほかに、脈波、脳波、血圧、体温などの生体情報を取得してもよい。取得された運転中のドライバー12の生体情報は、例えば、端末20を介してサーバ50に送信される(ステップS1)。サーバ50では、取得された生体情報を解析して、ドライバー12の体調(例えば、疲労度、眠気、痴呆、抑鬱、集中力、急変可能性、アレルギー症状など)を検出する。
【0014】
次に、サーバ50は、運転中の車両10の運行情報(例えば、運行時刻、運行位置、運行経路、運行車両番号、積載率など)を取得する(ステップS2)。車両10の運行情報は、例えば、車両10に搭載された端末20による入力を受け付けたり、管理者90の端末による入力を受け付けたり、端末20から自動的に送信される情報(例えば、GPSで得られた運行位置など)を受信することにより取得する。
【0015】
サーバ50は、取得された運行情報を、検出されたドライバー12の体調に応じて注目度(色、サイズ、形、マークなど)を変更して、地図上に表示する(ステップS3)。例えば、管理者90の端末(PCやタブレットなど)の表示部に表示させる。これにより、運転中のドライバーの体調を管理者90にも見えるようにすることができる。このような表示は、車両10が属する拠点毎に一覧表示してもよい。
【0016】
また、サーバ50は、ドライバー12の体調が所定の条件を満たした時に、運転中のドライバー12の様子を確認できるようにしてもよい。運転中のドライバー12の様子は、例えば、IoT(Internet of Things)ドライブレコーダ30A、30Bの車内向カメラの画像を確認することにより実現可能である。
【0017】
サーバ50は、ドライバー12の動作情報(車内インカメラ画像、ハンドルセンサ、モーションセンサ情報など)を取得して、取得された動作情報を解析して、ドライバー12の動作を検出し、取得された運行情報を、検出された動作に応じて注目度を変更して、地図上に表示してもよい。
【0018】
ドライバー12の動作情報は、具体的には、ドライバー動作センシング部44により得られる。ドライバー動作センシング部44は、例えば、車外向けカメラや車内向けカメラを含むIoTドライブレコーダ30A、30Bを含み、ドライバー12の動作情報である車内向けカメラの画像が得られる。また、ドライバー動作センシング部44は、車内向け画像のほかに、図示しないハンドルセンサ、モーションセンサなどからドライバー12の動作情報を取得してもよい。取得されたドライバー12の動作情報は、例えば、IoTドライブレコーダ30A、30Bの通信部を介してサーバ50に送信されもよいし、端末20を介してサーバ50に送信されてもよい。なお、IoTドライブレコーダ30A、30Bは、後述するように車両挙動検知にも使用され、また、常時録画や動画切出し等も行う。
【0019】
また、サーバ50は、ドライバー12が運転している車両10の挙動情報(走行速度、一時停止など)を取得して、取得された挙動情報を解析して、車両の挙動を検出して、検出された挙動を道路標識情報と照合して(車外向けカメラの画像解析による道路標識特定、地図情報からの道路標識特定など)、法令遵守の度合いを判定し、取得された運行情報を、判定された度合いに応じて注目度を変更して地図上に表示してもよい。
【0020】
車両10の挙動情報は、具体的には、車両挙動センシング部42により得られる。車両挙動センシング部42は、例えば、車外向きドライブレコーダ26、危険通知ボタン28や、前記IoTドライブレコーダ30A、30Bを含み、これらによって車間距離、車線逸脱、押下日時、常時録画、動画切出しなどを行うとともに、車両10の挙動情報(例えば、速度、加速度、ブレーキ、位置情報など)を取得する。取得した車両10の挙動情報は、例えば、端末20を介してサーバ50に送信されてもよいし、センサ類に通信機能が備わっている場合には、センサ類から直接サーバ50に送信してもよい。
【0021】
さらに、サーバ50は、法令遵守していない場合に、運転中の車両10の様子を確認できるようにしてもよい。運転中の車両10の様子は、車外向カメラの画像を確認することにより実現可能である。
【0022】
また、サーバ50は、ドライバー12の労務情報(例えば、連続運行時間、休息時間など)を取得して、注目度の変更に加味してもよい。ドライバー12の労務情報は、例えば、車両10に搭載された端末20による入力を受け付けたり、管理者90の端末による入力を受け付けたりすることで取得する。むろん、他の端末やコンピュータから労務情報を取得してもよい。
【0023】
以上説明したサーバ50は、単体のコンピュータであってもよく、例えば、端末であってもよい。また、後述する機能構成が、それぞれ異なるコンピュータで実行されるコンピュータシステム(クラウド)であってもよい。さらに、本実施形態では、多くの処理をサーバ50で実行することとしたが、エッジ(センサ類など)側で情報の取得、解析・検出、表示を行うようにしてもよい。エッジ側で多くの処理を行うことにより、サーバ50へのデータ送信量を減らすことができる。
【0024】
<車両の構成>・・・次に、図2を参照して、車両10の構成を説明する。車両10は、ドライバー12の生体情報を得るためのドライバー生体情報センシング部40、ドライバー12が運転している車両10の挙動情報を得るための車両挙動センシング部42、ドライバー12の動作情報を得るためのドライバー動作センシング部44を備えている。ドライバー生体情報センシング部40には、ハンドル型心電計22やシートカバー型心電計24などが含まれる。車両挙動センシング部42には、車外向きドライブレコーダ26や危険通知ボタン28、IoTドライブレコーダ30A、30Bなどが含まれる。危険通知ボタン28は、各種センシング機器によらず、ドライバー12が車内外で気づいたインシデント発生時に押下可能なボタンであって、ドライバー12の判断によってインシデント発生情報を得るためのものである。例えば運転車両の前方で割り込みがあった場合や、落下物・飛散物があった場合など、車載装置では検知できない危険につながりそうな事象があったときにドライバー12自身が判断して押下する。危険通知ボタン28が押下されると、その時刻や位置がインシデント発生の情報として記録され、例えば、ドライブレコーダで撮像された画像(動画または静止画)が切り出されてサーバ50に送信される。ドライバー動作センシング部44には、車外向けカメラや車内向けカメラを備えたIoTドライブレコーダ30A、30Bなどが含まれる。通信部46は、ネットワークを介して、各種センサで得られた情報やドライブレコーダで撮像された画像(動画または静止画)をサーバ50に送信して提供するものである。むろん、必要に応じて、他の情報の提供などを行うようにしてもよい。
【0025】
<サーバのハードウェア構成>・・・次に、図3を参照して、サーバ50の機能構成を説明する。サーバ50は、プロセッサ52、メモリ54、ストレージ56、通信部66を備え、これらは図示しないバスにより接続されている。プロセッサ52は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成され、メモリ54に記憶された各種プログラムを読み出して実行することで、各種処理を行う。前記メモリ54は、プロセッサ52により実行させるプログラムを記憶するものであり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成される。例えば、図4に示す各種手段が記憶されている。ストレージ56は、取得情報58、道路標識情報60、判定条件62、地図情報64や、図示しない制御プログラムなどを記憶するものである。
【0026】
取得情報58は、例えば、運転中のドライバー12の生体情報(心電、脈波、脳波、血圧、体温など)や、運転中の車両10の運行情報(運行時刻、運行位置、運行経路、運行車両番号、積載率など)や、ドライバー12の動作情報(車内向カメラ画像、ハンドルセンサ情報、モーションセンサ情報など)や、ドライバー12が運転している車両10の挙動情報(速度、加速度、ブレーキ、位置情報など)や、ドライバー12の労務情報(連続運行時間、休息時間など)である。
【0027】
道路標識情報60は、取得されたドライバー12の挙動情報を解析して車両10の挙動を検出し、検出された挙動が法令遵守している度合いを判定するための基準である。例えば、車外向カメラの画像解析による道路標識特定や、地図情報からの道路標識特定などにより、車両10の挙動が法令遵守している度合いを判定する。
【0028】
判定条件62は、ドライバー12の体調が所定の条件を満たしているか否かを判定するための判定基準である。
【0029】
地図情報64は、管理者90の端末に、取得された運行情報を、検出されたドライバー12の体調に応じて注目度を変更して表示するときに用いられる情報である。また上述したように、道路標識情報60を特定するためにも、地図情報64を用いてもよい。また、事故や渋滞が生じやすい場所など、交通に関する情報が付加されたものを用いた場合には、運行ルートを選択する際にも用いることができる。
【0030】
次に、通信部66は、ネットワークを介して、車両10の各種センサで得られた情報やドライブレコーダで撮像された画像(動画または静止画)を受信して取得するものである。むろん、必要に応じて、他の情報の取得を行うようにしてもよい。
【0031】
<サーバの機能構成>・・・次に、図4を参照して、サーバ50の機能構成を説明する。サーバ50は、第1取得手段70と、第2取得手段71と、第1検出手段72と、表示手段73と、第1確認手段74と、第3取得手段75と、第2検出手段76と、第4取得手段77と、第3検出手段78と、判定手段79と、第2確認手段80と、第5取得手段81を備えている。
【0032】
第1取得手段70は、運転中のドライバー12の生体情報(心電、脈波、脳波、血圧、体温など)を取得するものである。例えば、車両10のドライバー生体情報センシング部40で得られた生体情報が、端末20を介してサーバ50に送信され、サーバ50は送信された情報を受信することで生体情報を取得する。取得した生体情報は、ストレージ56の取得情報58に記憶される。
【0033】
第2取得手段71は、運転中の車両10の運行情報(運行時刻、運行位置、運行経路、運行車両番号、積載率など)を取得するものである。車両10の運行情報は、例えば、車両10に搭載された端末20による入力を受け付けたり、管理者90の端末による入力を受け付けたり、端末20から自動的に送信される情報(例えば、GPSで得られた運行位置など)を受信することにより取得する。
【0034】
第1検出手段72は、第1取得手段70によって取得された生体情報を解析して、ドライバー12の体調(疲労度、眠気、痴呆、抑鬱、集中力、急変可能性、アレルギー判定など)を検出するものである。
【0035】
表示手段73は、第2取得手段71によって取得された運行情報を、第1検出手段72によって検出された体調に応じて注目度(色、サイズ、形、マークなど)を変更して、地図上に表示するものである。例えば、管理者90の端末(PCやタブレットなど)の表示部に地図を表示させることにより、運転中のドライバー12の体調を管理者にも見えるようにすることができる。このような車両運行情報表示は、車両10が属する拠点毎に一覧表示してもよい。
【0036】
第1確認手段74は、第1検出手段72によって検出されたドライバー12の体調が所定の条件を満たしたときに、運転中のドライバー12の様子を確認するものである。所定を条件を満たしたどうかの判断は、判定条件62を満たすか否かにより行う。また、運転中のドライバー12の様子の確認は、例えば、IoTドライブレコーダ30A、30Bの車内向カメラの画像を確認することにより実現可能である。
【0037】
第3取得手段75は、ドライバー12の動作情報(車内向カメラの画像、ハンドルセンサ情報、モーションセンサ情報など)を取得するものである。例えば、車両10のドライバー動作センシング部44で得られたドライバー12の動作情報が、IoTドライブレコーダ30A、30Bによって直接、あるいは、端末20を介してサーバ50に送信され、サーバ50は送信された情報を受信することでドライバー12の動作情報を取得する。取得した動作情報は、ストレージ56の取得情報58に記憶される。
【0038】
第2検出手段76は、第3取得手段75によって取得された動作情報を解析して、ドライバー12の動作を検出するものである。ドライバー12の動作が検出されると、表示手段73は、第2取得手段71で取得された運行情報を、第2検出手段76で検出された動作に応じて注目度を変更して、地図上に表示する。例えば、管理者90の端末の表示部に地図を表示させることにより、運転中のドライバー12の体調に加え、ドライバー12の動作も管理者にも見えるようにすることができる。
【0039】
第4取得手段77は、ドライバー12が運転している車両10の挙動情報(速度、加速度、ブレーキ、位置情報など)を取得するものである。例えば、車両10の車両挙動センシング部42で得られた車両10の挙動情報が、端末20を介してサーバ50に送信される。あるいは、センサ類に通信機能が備わっている場合には、エッジ側(センサ類)から直接サーバ50に車両10の挙動情報を送信してもよい。サーバ50は、送信された情報を受信することで、車両10の挙動情報を取得する。取得した挙動情報は、ストレージ56の取得情報58に記憶される。
【0040】
第3検出手段78は、第4取得手段77によって取得された挙動情報を解析して、車両10の挙動を検出するものである。
【0041】
判定手段79は、第3検出手段78により検出された車両10の挙動を道路標識情報60と照合して、法令遵守の度合いを判定するものである。例えば、車外向カメラの画像解析による道路標識特定や、地図情報からの道路標識特定などにより、車両10の挙動が法令遵守している度合いを判定する。
【0042】
法令遵守の度合いが判定されると、表示手段73は、第2取得手段71で取得された運行情報を、第3検出手段78で判定された法令遵守の度合いに応じて注目度を変更して、地図上に表示する。例えば、管理者90の端末の表示部に地図を表示させることにより、運転中のドライバー12の体調に加え、法令遵守の度合いも管理者にも見えるようにすることができる。
【0043】
第2確認手段80は、第3検出手段78によって判定された法令遵守の度合いから、法令遵守していないと判断された場合に、運転中の車両10の様子を確認するものである。運転中の車両10の様子は、車外向カメラの画像を確認することにより実現可能である。
【0044】
第5取得手段81は、ドライバー12の労務情報(連続運行時間、休息時間など)を取得するものである。取得した労務情報は、ストレージ56の取得情報58に記憶される。ドライバー12の労務情報は、例えば、車両10に搭載された端末20による入力を受け付けたり、管理者90の端末による入力を受け付けたりすることで取得する。むろん、他の端末やコンピュータから労務情報を取得してもよい。
【0045】
第5取得手段81により労務情報が取得されると、表示手段73は、取得したドライバー12の労務情報を注目度の変更に加味して、地図上に表示する。例えば、管理者90の端末の表示部に地図を表示させることにより、運転中のドライバー12の体調に加え、ドライバー12の労務情報も管理者にも見えるようにすることができる。
【0046】
<管理者端末の構成>・・・次に、図5を参照して、管理者90の管理者端末92の構成を説明する。管理者端末92は、例えば、PCやタブレットが好ましい。また、これらと併せてスマートフォンを用いてもよい。管理者端末92は、表示部94、入力部96、通信部98を備えている。表示部94および入力部96は、例えば、液晶ディスプレイやタッチパネルであるが、これに限定されない。通信部98は、ネットワークを介してサーバ50から地図情報を受信するものである。むろん、他の情報の受信を行ってもよいし、サーバ50へ情報の提供(送信)を行ってもよい。
【0047】
<車両運行情報表示処理1>・・・次に、本システム100による車両運行情報表示処理の一例について、図6を参照して説明する。まず、サーバ50の第1取得手段70は、車両10を運転中のドライバー12の生体情報(心電、脈波、脳波、血圧、体温など)を取得する(ステップS10)。例えば、車両10のドライバー生体情報センシング部40で得られた生体情報が、端末20を介してサーバ50に送信され、サーバ50は送信された情報を受信することで生体情報を取得する。取得した生体情報は、ストレージ56の取得情報58に記憶される。
【0048】
次に、サーバ50の第2取得手段71は、運転中の車両10の運行情報(運行時刻、運行位置、運行経路、運行車両番号、積載率など)を取得する(ステップS12)。車両10の運行情報は、例えば、車両10に搭載された端末20による入力を受け付けたり、管理者90端末による入力を受け付けたり、端末20から自動的に送信される情報(例えば、GPSで得られた運行位置など)を受信することにより取得する。取得した運行情報は、ストレージ56の取得情報58に記憶される。
【0049】
次に、サーバ50の第1検出手段72は、第1取得手段70によって取得された生体情報を解析して、ドライバー12の体調(疲労度、眠気、痴呆、抑鬱、集中力、急変可能性、アレルギー判定など)を検出する(ステップS14)。
【0050】
そして、サーバ50の表示手段73は、第2取得手段71によって取得された運行情報を、第1検出手段72によって検出された体調に応じて注目度(色、サイズ、形、マークなど)を変更して、地図上に表示する(ステップS16)。例えば、管理者端末92の表示部94に表示させることにより、運転中のドライバー12の体調を管理者にも見えるようにすることができる。このような表示は、車両10が属する拠点毎に一覧表示してもよい。
【0051】
図9には、管理者端末92に表示される車両運行情報の一例が示されている。図9に示すように、管理者端末92の表示部94には、地図102が表示されており、地図102上には、車両10の位置を示すアイコン110A~110Eと、車両10を運転中のドライバー12の体調を示すアイコン120A~120Eが表示されている。車両10の位置を示すアイコン110A~110Eは、図示の例では、積載率に応じて色分けがされており、体調を示すアイコン120A~120Eは、正常か異常かにより色分けがされている。
【0052】
また、車両10の位置を示すアイコン110A~110Eには、車両番号が併せて表示されており、特定の拠点に属する運行中の全車両10およびドライバー12を地図102上で一括確認することができる。また、体調に異常のあるドライバー12は、色分けされているため、一目で確認可能となる。
【0053】
<車両運行情報表示処理2>・・・次に、本システム100による車両運行情報表示処理の他の例について、図7を参照して説明する。図7に示す処理は、図6に示す処理と平行して行われる。サーバ50の第3取得手段75は、ドライバー12の動作情報(車内向カメラの画像、ハンドルセンサ情報、モーションセンサ情報など)を取得する(ステップS20)。例えば、車両10のドライバー動作センシング部44で得られたドライバー12の動作情報が、IoTドライブレコーダ30A、30Bによって直接、あるいは、端末20を介してサーバ50に送信され、サーバ50は送信された情報を受信することでドライバー12の動作情報を取得する。取得した動作情報は、ストレージ56の取得情報58に記憶される。
【0054】
次に、サーバ50の第2検出手段76は、第3取得手段75によって取得された動作情報を解析して、ドライバー12の動作を検出する(ステップS22)。
【0055】
そして、サーバ50の表示手段73は、第2取得手段71で取得された運行情報を、第2検出手段76で検出された動作に応じて注目度を変更して、地図上に表示する(ステップS24)。例えば、管理者90の端末の表示部に地図を表示することにより、運転中のドライバー12の体調に加え、ドライバー12の動作も管理者にも見えるようにすることができる。
【0056】
<車両運行情報表示処理3>・・・次に、本システム100による車両運行情報表示処理の他の例について、図8を参照して説明する。図8に示す処理は、図6に示す処理と平行して行われる。サーバ50の第4取得手段77は、ドライバー12が運転している車両10の挙動情報(速度、加速度、ブレーキ、位置情報など)を取得する(ステップS30)。例えば、車両10の車両挙動センシング部42で得られた車両10の挙動情報が、端末20を介してサーバ50に送信される。あるいは、センサ類に通信機能が備わっている場合には、エッジ側から直接サーバ50に車両10の挙動情報を送信してもよい。サーバ50は、送信された情報を受信することで、車両10の挙動情報を取得する。取得した挙動情報は、ストレージ56の取得情報に記憶される。
【0057】
次に、サーバ50の第3検出手段78は、第3取得手段77によって取得された挙動情報を解析して、車両10の挙動を検出する(ステップS32)。
【0058】
次に、サーバ50の判定手段79は、第3検出手段78により検出された車両10の挙動を道路標識情報60と照合して、法令遵守の度合いを判定する(ステップS34)。例えば、車外向カメラの画像解析による道路標識特定や、地図情報からの道路標識特定などにより、車両10の挙動が法令遵守している度合いを判定する。
【0059】
法令遵守の度合いが判定されると、表示手段73は、第2取得手段71で取得された運行情報を、第3検出手段78で判定された法令遵守の度合いに応じて注目度を変更して、地図上に表示する(ステップS36)。例えば、管理者90の端末の表示部に地図を表示させることで、運転中のドライバー12の体調に加え、法令遵守の度合いも管理者にも見えるようにすることができる。
【0060】
なお、本実施形態において、第1確認手段74により、第1検出手段72によって検出されたドライバー12の体調が所定の条件を満たしたときに、運転中のドライバー12の様子を確認してもよい。所定の条件を満たしたどうかの判断は、判定条件62を満たすか否かにより行う。また、運転中のドライバー12の様子の確認は、例えば、IoTドライブレコーダ30A、30Bの車内向カメラの画像を確認することにより実現可能である。
【0061】
また、本実施形態において、第2確認手段80により、第3検出手段78によって判定された法令遵守の度合いから、法令遵守していないと判断された場合に、運転中の車両10の様子を確認してもよい。運転中の車両10の様子は、車外向カメラの画像を確認することにより実現可能である。
【0062】
さらに、本実施形態において、第5取得手段81により、ドライバー12の労務情報(連続運行時間、休息時間など)を取得してもよい。取得した労務情報は、ストレージ56の取得情報58に記憶される。ドライバー12の労務情報は、例えば、車両10に搭載された端末20による入力を受け付けたり、管理者90の端末による入力を受け付けたりすることで取得する。むろん、他の端末やコンピュータから労務情報を取得してもよい。
【0063】
第5取得手段81により労務情報が取得されると、表示手段73は、取得したドライバー12の労務情報を注目度の変更に加味して、地図上に表示する。例えば、管理者90の端末の表示部に地図を表示させることにより、運転中のドライバー12の体調に加え、ドライバー12の労務情報も管理者に見えるようにすることができる。
【0064】
<効果>・・・以上説明した実施形態によれば、車両10を運転中のドライバー12の生体情報を取得して、運転中の車両10の運行情報を取得して、取得された生体情報を解析して、ドライバー12の体調を検出して、取得された運行情報を、検出されたドライバー12の体調に応じて注目度を変更して、地図上に表示する。このため、運転中のドライバー12の体調を管理者にも見えるようにすることができ、管理者90によるフォローが可能となり事故を未然に防止するのに役立つ。
【0065】
なお、上述した実施形態は一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更が可能である。また、サーバ50は、単体のコンピュータであってもよく、例えば、端末であってもよい。また、上述した機能構成が、それぞれ異なるコンピュータで実行されるコンピュータシステム(クラウド)であってもよい。更に、本実施形態では、多くの処理をサーバ50で実行することとしたが、エッジ(センサ類など)側で情報の取得、解析・検出、インシデントの判定を行うようにしてもよい。エッジ側で多くの処理を行うことにより、サーバ50へのデータ送信量を減らすことができる。
【0066】
また、図9に示した注目度の変更の例も一例であり、色、サイズ、形、マークなど、必要に応じて適宜変更可能である。更に、本発明は、サーバ50やエッジ側で実行されるプログラムとして提供されてもよい。このプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録された状態で提供されていてもよいし、ネットワークを介してダウンロードしてもよい。また、本発明は、方法の発明として提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、車両を運転中のドライバーの生体情報を取得して、運転中の車両の運行情報を取得して、取得された生体情報を解析して、ドライバーの体調を検出して、取得された運行情報を、検出された体調に応じて注目度を変更して、地図上に表示することとした。このため、運転中のドライバーの体調を管理者にも見えるようにすることができるため車両運行情報表示システムとして好適である。
【符号の説明】
【0068】
10:車両
12:ドライバー
20:端末
22:ハンドルカバー型心電計
24:シートカバー型心電計
26:車外向きドライブレコーダ
28:危険通知ボタン
30A、30B:IoTドライブレコーダ
40:ドライバー生体情報センシング部
42:車両情報センシング部
44:ドライバー動作センシング部
46:通信部
50:サーバ
52:プロセッサ
54:メモリ
56:ストレージ
58:取得情報
60:道路標識情報
62:判定条件
64:地図情報
66:通信部
70:第1取得手段
71:第2取得手段
72:第1検出手段
73:表示手段
74:第1確認手段
75:第3取得手段
76:第2検出手段
77:第4取得手段
78:第3検出手段
79:判定手段
80:第2確認手段
81:第5取得手段
90:管理者
92:管理者端末
94:表示部
96:入力部
98:通信部
100:車両運行情報表示システム
102:地図
110A~110E、120A~120E:アイコン

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9