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  • 特許-遠心噴霧装置及び遠心噴霧方法 図1
  • 特許-遠心噴霧装置及び遠心噴霧方法 図2
  • 特許-遠心噴霧装置及び遠心噴霧方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】遠心噴霧装置及び遠心噴霧方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/10 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
B22F9/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020087219
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181597
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】米虫 悠
(72)【発明者】
【氏名】中本 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】津田 正徳
(72)【発明者】
【氏名】中井 泰弘
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-062573(JP,A)
【文献】登録実用新案第3113511(JP,U)
【文献】特開平04-311508(JP,A)
【文献】特開平04-063204(JP,A)
【文献】特開昭56-142805(JP,A)
【文献】特開昭63-033508(JP,A)
【文献】特開2008-084733(JP,A)
【文献】特開2008-240059(JP,A)
【文献】特開2009-275269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/00-9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属を回転ディスクに供給し、前記溶融金属に遠心力を与えることで前記回転ディスクの外方へと噴霧して固化させることにより、金属微粉末を製造する遠心噴霧装置であって、
前記溶融金属を前記回転ディスクに供給する供給部と、
前記回転ディスクの温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出温度に応じ、前記供給部から前記回転ディスクに供給される前記溶融金属の時間当たり供給量を増減するよう前記供給部を制御する供給制御部と、を備える遠心噴霧装置。
【請求項2】
前記回転ディスクは、上下方向に延びる軸回りで回転し、
前記供給部は、前記溶融金属を前記回転ディスクの上面に供給し、
前記温度検出部は、前記回転ディスクにおける前記上面以外の面の温度を検出する、請求項1に記載の遠心噴霧装置。
【請求項3】
前記供給部は、金属を溶解させる溶融金属生成部と、前記溶融金属生成部に設けられた供給口と、前記供給口に対して移動することにより、前記供給口の開度を増減させる開閉体とを備える、請求項1または2に記載の遠心噴霧装置。
【請求項4】
前記供給部は、金属を溶解し、貯留する溶融金属生成部と、前記溶融金属生成部に設けられた供給口と、前記溶融金属生成部内の圧力を調整する圧力調整部とを備え、前記溶融金属生成部内の圧力を上昇または下降させることで前記溶融金属の供給量を増減させる、請求項1または2に記載の遠心噴霧装置。
【請求項5】
溶融金属を回転ディスクに供給し、前記溶融金属に遠心力を与えることで前記回転ディスクの外方へと噴霧して固化させることにより、金属微粉末を製造する遠心噴霧方法であって、
前記溶融金属を前記回転ディスクに供給する供給ステップと、
前記回転ディスクの温度を検出する温度検出ステップと、
前記温度検出ステップでの検出温度に応じ、前記回転ディスクに供給される前記溶融金属の時間当たり供給量を、前記検出温度が所定の範囲よりも低い場合は前記供給量を増加させ、前記検出温度が前記所定の範囲よりも高い場合は前記供給量を減少させるように制御する供給制御ステップと、を含む遠心噴霧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の微粉末を製造するための遠心噴霧装置及び遠心噴霧方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、溶湯(溶融金属)から金属微粉末を製造する遠心噴霧法のうち、高速回転するディスクに溶湯が供給されて、ディスクの回転による遠心力により溶湯がディスクの上面を伝って、ディスクの周縁から噴霧されて固化されるディスクアトマイズ法が開示されている。
【0003】
ここで従来、溶湯は、溶湯容器において金属を溶解した後、ディスクに対して直接的に出湯していた。このため、出湯開始直後は、溶湯容器内に溶湯が多く貯留されているため、ディスクへの溶湯供給量は多くなる。よって、製造された金属微粉末のサイズは相対的に大きくなる。一方、出湯開始から時間が経過すると、溶湯容器内に貯留されている溶湯が少なくなるため、ディスクへの溶湯供給量は少なくなる。よって、製造された金属微粉末のサイズは相対的に小さくなる。このように、均一な大きさで金属微粉末を製造することが困難であった。
【0004】
この問題に対して特許文献1に記載の発明では、溶湯容器とディスクとの間に中間容器を設け、この中間容器に溶湯の液面高さを測定する検出手段を設けている。そしてこの検出手段により検知される液面高さが一定になるように、溶湯容器から中間容器への出湯量を調整している。このような構成により、均一な大きさで金属微粉末を製造することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-63204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の発明では、溶湯容器とは別に中間容器を設ける必要があることから、遠心噴霧装置が大型化してしまうという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、大型化を抑制できる遠心噴霧装置及び遠心噴霧方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、溶融金属を回転ディスクに供給し、前記溶融金属に遠心力を与えることで前記回転ディスクの外方へと噴霧して固化させることにより、金属微粉末を製造する遠心噴霧装置であって、前記溶融金属を前記回転ディスクに供給する供給部と、前記回転ディスクの温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部の検出温度に応じ、前記溶湯貯留部から前記回転ディスクに供給される前記溶融金属の時間当たり供給量を増減するよう前記供給部を制御する供給制御部と、を備える遠心噴霧装置である。
【0009】
また本発明は、溶融金属を回転ディスクに供給し、前記溶融金属に遠心力を与えることで前記回転ディスクの外方へと噴霧して固化させることにより、金属微粉末を製造する遠心噴霧方法であって、前記溶融金属を前記回転ディスクに供給する供給ステップと、前記回転ディスクの温度を検出する温度検出ステップと、前記温度検出ステップでの検出温度に応じ、前記回転ディスクに供給される前記溶融金属の時間当たり供給量を制御する供給制御ステップと、を含む遠心噴霧方法である。
【0010】
前記構成の遠心噴霧装置または遠心噴霧方法によれば、温度検出部の検出温度に応じ、供給部から回転ディスクに供給される前記溶融金属の時間当たり供給量を増減するよう供給部が制御される。よって、従来の中間容器のような、遠心噴霧装置の大型化の原因となる構成が不要である。
【0011】
そして、前記回転ディスクは、上下方向に延びる軸回りで回転し、前記供給部は、前記溶融金属を前記回転ディスクの上面に供給し、前記温度検出部は、前記回転ディスクにおける前記上面以外の面の温度を検出するものとできる。
【0012】
この構成によれば、温度検出部を設けても回転ディスクに対する溶融金属の供給に支障が生じない。
【0013】
そして、前記供給部は、金属を溶解させる溶融金属生成部と、前記溶融金属生成部に設けられた供給口と、前記供給口に対して移動することにより、前記供給口の開度を増減させる開閉体とを備えるものとできる。
【0014】
そして、前記供給部は、金属を溶解し、貯留する溶融金属生成部と、前記溶融金属生成部に設けられた供給口と、前記溶融金属生成部内の圧力を調整する圧力調整部とを備え、前記溶融金属生成部内の圧力を上昇または下降させることで前記溶融金属の供給量を増減させるものとできる。
【0015】
これらの構成によれば、溶融金属の時間当たり供給量を増減することを簡単な構成で実現できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、遠心噴霧装置の大型化の原因となる構成が不要である。よって、遠心噴霧装置の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る遠心噴霧装置の構成を簡略的に示す図である。
図2】前記遠心噴霧装置の構成を、制御に係る構成を含めて簡略的に示す図である。
図3】前記遠心噴霧装置の回転ディスクに溶湯(溶融金属)が供給された状態を示し、(a)は正常な状態、(b)は回転ディスクの温度が低くて溶湯が回転ディスクから跳ねてしまう状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明につき、一実施形態を取り上げて、図面とともに以下説明を行う。
【0019】
本実施形態の遠心噴霧装置1は、図1に簡略的に示すように、下方に噴霧部2、上方に溶湯供給部3を備える。噴霧部2は、回転ディスク21、回転軸22、駆動部23を備える。回転ディスク21は円盤状体であって、上面211が平坦な水平面とされている。この上面211に溶湯供給部3から溶湯(溶融金属)Mが供給される。回転軸22は、回転ディスク21における下面212の中央から下方に延びる軸である。つまり回転軸22は、上下方向に延びる軸である。ただし、回転軸22の延びる方向は上下方向に限定されない。回転軸22は軸心周りに回転可能とされている。この回転軸22は回転ディスク21と一体に形成されている。このため、回転軸22が回転させられると回転ディスク21は同じ回転数で回転する(図3(a)(b)参照)。回転ディスク21の回転方向は一定とされている。駆動部23は、本実施形態ではボックス内に設けられていて回転軸22に対して駆動力を供給する。駆動部23は、例えばモータ、減速手段から構成されている。駆動力を受けて回転軸22が回転することにより、回転ディスク21が回転する。
【0020】
溶湯供給部3は、主に、溶湯貯留部31と出湯部(供給部)32とを備える。溶湯Mは、金属を溶解した液状のものである。溶湯Mは、溶湯貯留部31で金属を溶解することで生成される。この場合、溶湯貯留部31は溶融金属生成部として機能する。また、溶湯貯留部31の外部で溶湯Mが生成され、この溶湯Mが溶湯貯留部31に供給されるものであってもよい。溶解する金属は種々のものを用いることができる。例えばチタンである。溶湯貯留部31は、加熱により溶湯Mを流動性が保たれた状態で貯留する部分である。溶湯貯留部31としては、るつぼや種々形式の炉を用いることができる。溶湯貯留部31は誘導コイル等の加熱手段(図示しない)が設けられており、溶湯Mを回転ディスク21に供給するのに適した一定温度に保つことができる。
【0021】
出湯部32は、溶湯貯留部31から溶湯Mを取り出して、溶湯供給部3の下方に位置する回転ディスク21に供給する部分である。溶湯Mは回転ディスク21に比べて高温である。このため、溶湯Mが供給された回転ディスク21は、温度が上昇する。出湯部32は、溶湯貯留部31に設けられた出湯口(供給口)321と、出湯口321に対して移動する開閉体322とを備える。この構成により、溶湯Mの時間当たり供給量を増減することを簡単な構成で実現できる。
【0022】
出湯口321は、溶湯貯留部31の底部に上下方向に貫通した穴である。本実施形態では底面視で真円である丸穴とされている。図1に示すように、出湯口321は、回転ディスク21における上面211の中央、つまり回転ディスク21の回転中心の直上に、回転ディスク21の上面211から距離をおいて設けられている。開閉体322を移動させることで、出湯口321から下方に溶湯Mを落下(重力による自然落下)させることができる。
【0023】
開閉体322は、本実施形態では上下方向に延びる棒状体である。開閉体322は、溶湯貯留部31の内部に設けられており、図示しない駆動手段によって上下方向に移動する。開閉体322の下端部3221は下に尖った円錐状体とされている。開閉体322が移動することにより、下端部3221が丸穴である出湯口321を覆うことで、下端部3221と出湯口321との上下方向の距離に応じて、出湯口321の開度を増減させることができる。出湯口321の開度に応じて回転ディスク21への溶湯Mの供給量が増減する。
【0024】
また、溶湯貯留部31はコールドクルーシブル炉を用いてもよい。コールドクルーシブル炉を用いた場合、炉の壁面内部に冷却機構を設けておき、溶湯にスカルを形成させることで、金属の溶解時に、溶湯に不純物が加わらないようにすることができる。
【0025】
溶湯貯留部31にコールドクルーシブル炉を用いる場合、開閉体322の変形例として、溶湯貯留部31内の圧力を調整する圧力調整部を設けてもよい。圧力調整部は、回転ディスク21の温度が低い場合、溶湯貯留部31内の圧力(気圧等)を上昇させることで溶湯Mを加圧することによって、溶湯貯留部31から回転ディスク21への溶湯Mの供給量を増加させられる。一方、回転ディスク21の温度が高い場合、溶湯貯留部31内の圧力を下降させることで、溶湯貯留部31から回転ディスク21への溶湯Mの供給量を減少させる。
【0026】
以上のように構成された遠心噴霧装置1により、溶湯Mを、上下方向に延びる軸回りで回転する回転ディスク21の上面211に供給する。回転ディスク21に供給された溶湯Mには遠心力が与えられる。これにより、図3(a)に示すように、溶湯Mを回転ディスク21の外方へと噴霧して固化させることにより、金属微粉末を製造できる。固化は、回転ディスク21周囲に存在する気体に噴霧された(微細化された)溶湯Mが触れて冷却されることでなされる。気体は、例えば不活性ガスである。
【0027】
本実施形態の遠心噴霧装置1は、図2に示すように、更に、温度検出部4と出湯制御部(供給制御部)5とを備える。温度検出部4は、回転ディスク21の温度を検出する。温度検出部4は、回転ディスク21における上面211以外の面の温度を検出する。本実施形態では、回転ディスク21における下面212の温度を検出する。回転ディスク21における上面211以外の面の温度を検出することで、温度検出部4を設けても回転ディスク21(上面211)に対する溶湯Mの供給に支障が生じない。温度検出部4は非接触型のセンサ等の検出手段が用いられている。本実施形態の温度検出部4は放射温度計である。出湯制御部5は、温度検出部4の検出温度、つまり、回転ディスク21における下面212の温度に応じ、供給部32から回転ディスク21に供給される溶湯Mの時間当たり供給量を増減するよう出湯部32を制御する。出湯制御部5は、回転ディスク21の温度(検出される温度は、回転ディスク21における下面212の温度である)が低い場合は、出湯口321に対して開閉体322を上昇させることで、出湯部32の開度を大きくして溶湯Mの時間当たり供給量を増加させる。一方、回転ディスク21の温度が高い場合は、出湯口321に対して開閉体322を下降させることで、出湯部32の開度を小さくして溶湯Mの時間当たり供給量を減少させる。このため、温度検出部4の検出温度が所定の範囲内になるように出湯部32を制御することにより、回転ディスク21の上面211に対する溶湯Mの出湯状態を一定化できる。
【0028】
出湯制御部5はまた、温度検出部4の検出温度の値が所定の限界値を超えた場合には、出湯口321に対して開閉体322を下降させることにより出湯口321を閉じる。よって、出湯部32からの溶湯Mの回転ディスク21の供給が停止され、回転ディスク21が昇温されなくなる。これにより、回転ディスク21が高温のために破損することが防止される。
【0029】
なお、温度検出部4の検出温度に関する前記所定の範囲及び前記限界値は、溶湯Mの材料である金属種、生成される金属微粒子の粒径の許容範囲、回転ディスク21の材質及び大きさ及び回転数、回転ディスク21における上面211の温度と温度検出部4の検出値との差等の公知の情報をもとに定められる。
【0030】
本実施形態のように、回転ディスク21の温度を検出して出湯部32を制御することによるメリットとして、以下の2点が挙げられる。1点目は、回転ディスク21の上面211の濡れ性が高い状態で金属粉末を生成することができることである。本実施形態では、回転ディスク21の温度が所定の範囲内になるように、出湯制御部5が出湯量を調整する。ここで、回転ディスク21の温度が低過ぎると、図3(b)に示すように回転ディスク21の上面211から溶湯Mが跳ねてしまう。そうなると、金属微粉末がうまく生成されない。これに対し、回転ディスク21の温度が適正な高さの温度であると、図3(a)に示すように溶湯Mが回転ディスク21の上面211で膜状に広がりやすい。このように溶湯Mが膜状に広がりやすい状態がすなわち濡れ性が高い状態である。この膜状に広がった溶湯Mは、図示のように回転ディスク21の径外に飛び散ることで霧状となって冷却され固化する。このように噴霧と固化が安定して行われることで、均一な(所定範囲内の)大きさの金属微粉末が生成されやすくなる。従って、回転ディスク21の温度を検出して出湯部32を制御すること、回転ディスク21のコンディションが良い状態(濡れ性が高く、溶湯Mが回転ディスク21の上面211で広がる状態)を保ったまま、金属微粉末を連続的に生成することができる。
【0031】
2点目は、回転ディスク21の破損を防止できることである。もし回転ディスク21に過多な出湯を行った場合、回転ディスク21が溶湯Mに触れて加熱されることにより、回転ディスク21の温度が上がり過ぎてしまう。そうなると、回転ディスク21が破損する可能性がある。これに対し、本実施形態では、回転ディスク21の上面211に対する溶湯Mの出湯状態を一定化できることから、回転ディスク21の温度を一定範囲内におさめることができる。このため、回転ディスク21の破損を防止できる。
【0032】
以上、本実施形態の遠心噴霧装置1では、温度検出部4の検出温度に応じ、溶湯貯留部31から回転ディスク21に供給される溶湯Mの時間当たり供給量を増減するよう出湯部32が制御される。よって、従来の中間容器のような、遠心噴霧装置1の大型化の原因となる構成が不要である。従って、遠心噴霧装置1の大型化を抑制できる。
【0033】
また、例えば本実施形態の遠心噴霧装置1を用いることにより、溶融金属Mを回転ディスク21に供給する供給ステップと、回転ディスク21の温度を検出する温度検出ステップと、温度検出ステップでの検出温度に応じ、回転ディスク21に供給される溶融金属Mの時間当たり供給量を制御する供給制御ステップと、を含む遠心噴霧方法が実施される。ただし、この遠心噴霧方法は、本実施形態の遠心噴霧装置1以外の装置によっても実施可能である。
【0034】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明してきたが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0035】
例えば、開閉体322を例えば板状とし、開閉体322が水平方向に移動することで、出湯口321を開閉するように構成することもできる。
【0036】
また、出湯部32が開閉体322を備えず(つまり、出湯口321の開度は一定で)、溶湯供給部3に設けたピストン等により、溶湯Mに与える圧力を増減させることで出湯量を調整する構成とされていてもよい。
【0037】
また、前記実施形態では溶湯貯留部31に溶湯Mを貯留した上で、溶湯Mを回転ディスク21へ供給したが、溶湯貯留部31を設けず、例えば金属のインゴットをコイル等で加熱し、回転ディスク21へ直接供給するようにしてもよい。具体的には、上部からつるされた円筒形等のインゴットの周面に、インゴットに直接触れないように所定の間隔を開けて加熱手段(誘導加熱用のコイル等)を設け、インゴットの下部に回転ディスク21と、回転ディスク21の温度を計測する温度検出部4を設ける。インゴットは、加熱手段に対して挿入及び抜出可能につるされる。また、インゴットは、加熱手段に対して回転可能につるされる。このようにすると、コイルの誘導加熱によってインゴットが溶解し、溶湯Mとなって下部の回転ディスク21へ供給される。このとき、温度検出部4の検出温度によって、コイルへの供給電力、インゴットのコイル内への挿入速度や回転速度を調整することで、前記実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 遠心噴霧装置
2 噴霧部
21 回転ディスク
211 回転ディスクの上面
3 溶湯供給部
31 溶融金属生成部、溶湯貯留部
32 供給部、出湯部
321 出湯口
322 開閉体
4 温度検出部
5 供給制御部、出湯制御部
M 溶融金属、溶湯
図1
図2
図3