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特許7496559鋼管部材の連結構造および鋼管部材の連結方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】鋼管部材の連結構造および鋼管部材の連結方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240531BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
E04B1/58 503H
E04B1/24 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022111404
(22)【出願日】2022-07-11
(65)【公開番号】P2024009699
(43)【公開日】2024-01-23
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】593071971
【氏名又は名称】株式会社ユニテック
(73)【特許権者】
【識別番号】594162515
【氏名又は名称】阪和興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】内藤 勤伍
(72)【発明者】
【氏名】内藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】平田 研二
(72)【発明者】
【氏名】坂井 秀彰
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-115368(JP,A)
【文献】特開平07-207770(JP,A)
【文献】特開2020-143430(JP,A)
【文献】特開平08-060740(JP,A)
【文献】特開2001-262700(JP,A)
【文献】特開平06-180026(JP,A)
【文献】特開2018-071251(JP,A)
【文献】特開2016-153593(JP,A)
【文献】特開2016-153579(JP,A)
【文献】特開2001-003459(JP,A)
【文献】特開平11-293786(JP,A)
【文献】特開2004-084251(JP,A)
【文献】特開2001-200596(JP,A)
【文献】特開平5-106274(JP,A)
【文献】登録実用新案第3180610(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/24
F16L 21/02
F16L 21/06
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在する第1鋼管部材の第1側端部に固定される第1継手部材と、前記第1鋼管部材に対向配置されて前記第1方向に延在する第2鋼管部材の第2側端部に固定される第2継手部材とを有する第1連結部材と、
前記第1連結部材に対して着脱可能に構成される複数の第2連結部材と、を備え、
前記第1継手部材は、前記第1側端部に固定される第1固定端部と、前記第1固定端部に対して前記第1方向における反対側に位置して前記第1方向に直交する第2方向の外向きに突出する第1連結端部と、前記第1固定端部と前記第1連結端部との間の外側面に設けられて周方向に沿って延在する第1周回溝とを有し、
前記第2継手部材は、前記第2側端部に固定される第2固定端部と、前記第2固定端部に対して前記第1方向における反対側に位置して前記第2方向の外向きに突出する第2連結端部と、前記第2固定端部と前記第2連結端部との間の外側面に設けられて周方向に沿って延在する第2周回溝とを有し、
前記第2連結部材は、前記第1連結端部および前記第2連結端部を対面させた対面状態において、前記第1周回溝に挿入されて係合する第1凸部と、前記第2周回溝に挿入されて係合する第2凸部と、前記第1凸部および前記第2凸部を前記第1方向につなぐ係合接続部とを有し、
前記第1連結端部と前記第2連結端部と前記第1周回溝と前記第2周回溝とは、前記第1連結部材の外側面において全周にわたって延在しており、
前記第2連結部材は、直線状に延在する連結辺部と、前記連結辺部に連なるとともに湾曲形状を有する連結コーナー部とを有し、
前記第1連結部材の内側コーナー部は、前記連結コーナー部を収容可能に切り欠かれた切欠部を有し、
前記複数の前記第2連結部材を前記第1連結部材に装着することによって、前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材を連結させることを特徴とする、鋼管部材の連結構造。
【請求項2】
前記対面状態にある前記第1連結端部および前記第2連結端部によって、外側に向けて突出する連結凸部が形成され、
前記第2連結部材は、前記連結凸部に係合する凹部を有することを特徴とする、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項3】
前記第1継手部材または前記第2継手部材のうち、下方に位置するいずれ一方はガイド部を有し、上方に位置するいずれか他方は前記ガイド部によってガイドされることを特徴とする、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項4】
前記第1継手部材および前記第2継手部材は、前記第2連結部材が抜け出ることを防止する抜け止め部を有することを特徴とする、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項5】
前記第2連結部材の前記連結コーナー部と、隣接する前記第2連結部材の前記連結辺部とは、ジョイント部材を介して連結されることを特徴とする、請求項に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項6】
前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材は、中空の角形鋼管であることを特徴とする、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の連結構造を用いて構築されることを特徴とする、建造物。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の連結構造を用いる鋼管部材の連結方法であって、
前記第1連結部材および前記第2連結部材を連結して一体化するステップと、
一体化した前記第1連結部材および前記第2連結部材を、互いに対向する前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材の間にセットするステップと、
エレクションピースを用いて前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材を仮固定するステップと、
前記第1継手部材を前記第1鋼管部材に固定するとともに前記第2継手部材を前記第2鋼管部材に固定するステップと、
前記第1連結部材から前記第2連結部材を取り外すステップと、
前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材を現場で組み立てるステップと、
前記エレクションピースを用いて前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材を仮固定するステップと、
前記第2連結部材を前記第1連結部材に装着するステップと、
前記エレクションピースを除去するステップと、を備えることを特徴とする、鋼管部材の連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鋼管部材の連結構造および鋼管部材の連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
柱などに用いられる鋼管部材を上下方向に連結(接合)する構造として、例えば特許文献1に示すように、上鋼管部材の端部と下鋼管部材の端部とを工事現場で溶接して連結する溶接継手構造が広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-327397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される溶接継手構造では、工事現場における屋外作業(以下、単に屋外作業という)による溶接を必要とする。そのため、天候の影響を受けて工期が長くなること、熟練した溶接工を必要とすること、溶接品質が安定しないこと、溶接部に対する超音波探傷試験等の現場検査を必要とすることなどの課題を有する。
【0005】
また、近年、地球温暖化を防止するために、工事現場においても、温室効果ガスとして働く二酸化炭素の排出量を削減することが求められている。溶接作業では、二酸化炭素がシールドガスとして用いられるともに、溶接自体に多量の電気を消費する。化石燃料を用いた発電では、多くの二酸化炭素が排出される。屋外作業による溶接は、工場における屋内作業(以下、単に屋内作業という)による溶接よりも溶接時間が長くなるため、二酸化炭素の排出量が多くなるという課題を有する。
【0006】
そこで、この発明の課題は、屋外作業による溶接を不要とする、鋼管部材の連結構造および鋼管部材の連結方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る鋼管部材の連結構造は、
第1方向に延在する第1鋼管部材の第1側端部に固定される第1継手部材と、前記第1鋼管部材に対向配置されて前記第1方向に延在する第2鋼管部材の第2側端部に固定される第2継手部材とを有する第1連結部材と、
前記第1連結部材に対して着脱可能に構成される複数の第2連結部材と、を備え、
前記第1継手部材は、前記第1側端部に固定される第1固定端部と、前記第1固定端部に対して前記第1方向における反対側に位置して前記第1方向に直交する第2方向の外向きに突出する第1連結端部と、前記第1固定端部と前記第1連結端部との間の外側面に設けられて周方向に沿って延在する第1周回溝とを有し、
前記第2継手部材は、前記第2側端部に固定される第2固定端部と、前記第2固定端部に対して前記第1方向における反対側に位置して前記第2方向の外向きに突出する第2連結端部と、前記第2固定端部と前記第2連結端部との間の外側面に設けられて周方向に沿って延在する第2周回溝とを有し、
前記第2連結部材は、前記第1連結端部および前記第2連結端部を対面させた対面状態において、前記第1周回溝に挿入されて係合する第1凸部と、前記第2周回溝に挿入されて係合する第2凸部と、前記第1凸部および前記第2凸部を前記第1方向につなぐ係合接続部とを有し、
前記複数の前記第2連結部材を前記第1連結部材に装着することによって、前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材を連結させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、複数の第2連結部材を第1連結部材に装着することによって第1鋼管部材および第2鋼管部材を連結できるので、屋外作業による溶接が不要になり、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の第1実施形態に係る鋼管部材の連結構造を示す模式的断面図である。
図2】連結構造を説明する模式的斜視図である。
図3】連結構造を説明する模式的平面図である。
図4】エレクションピースを用いた鋼管部材の仮固定を説明する模式的平面図である。
図5図4に示した仮固定の要部を説明する模式的側面図である。
図6】第2実施形態に係る連結構造の要部を示す拡大側面図である。
図7図6のVII-VII線に沿った断面図である。
図8】この発明に係る鋼管部材の連結方法を説明するフローチャートである。
図9】第3実施形態に係る連結構造を示す模式的断面図である。
図10図9に示した連結構造を説明する模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る鋼管部材1,2の連結構造10の実施の形態を説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向あるいは位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は、図面を参照した本開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、単なる例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各部材や部分の寸法比率などは、現実のものとは必ずしも合致するものではない。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1から図3を参照しながら、第1実施形態に係る鋼管部材1,2の連結構造10を説明する。
【0012】
図1は、この発明の第1実施形態に係る鋼管部材1,2の連結構造10を示す模式的断面図である。図2は、連結構造10を説明する模式的斜視図である。図3は、連結構造10を説明する模式的平面図である。
【0013】
工事現場において第1鋼管部材1の端部および第2鋼管部材2の端部を突き合わせて鋼管部材1,2を第1方向(例えば、長手方向、上下方向)に順次連結(接合)することで建造物の柱を構築する場合において、この発明に係る連結構造10を適用する実施の形態を説明する。
【0014】
図1から図3に示すように、連結構造10は、第1連結部材7と、複数の第2連結部材5と、を備える。第1連結部材7は、連結構造10の内側に位置して、第1継手部材3および第2継手部材4を有する。複数の第2連結部材5は、連結構造10の外側に位置して、第1連結部材7に対して着脱可能に構成される。第1連結部材7および第2連結部材5は、例えば、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2と同じ材質であり、鋼材からなる。
【0015】
図1および図2において、第1鋼管部材1は、柱の上側部分に対応して第1方向(長手方向、上下方向)に延びる中空の角形鋼管であり、第2鋼管部材2は、柱の下側部分に対応して第1方向(長手方向、上下方向)に延びる中空の角形鋼管である。工事現場では、第2鋼管部材2は、第1方向(長手方向、上下方向)において第1鋼管部材1に対向配置される。第1鋼管部材1および第2鋼管部材2は、第1方向(長手方向、上下方向)に対して直交する第2方向(例えば、長手直交方向、左右方向)の断面が同じ形状および同じ寸法を有する。第1鋼管部材1および第2鋼管部材2は、直線状の柱辺部および湾曲形状の柱コーナー部を有する多角形断面形状を有し、例えば、4つの柱辺部および4つの柱コーナー部を有する大略四角形断面形状を有する。なお、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の概略断面形状は、正方形や長方形の四角形に限らず、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形などであってもよい。
【0016】
第1連結部材7は、直線状に延在する内側辺部と、内側辺部に連なるとともに湾曲形状を有する内側コーナー部とを有する。第1連結部材7の内側コーナー部は、第2連結部材5の連結コーナー部5bを収容可能に切り欠かれた切欠部7mを有する。第1連結部材7は、第1継手部材3および第2継手部材4の連結によって構成される。
【0017】
第1継手部材3は、第1鋼管部材1の下端に位置する第1側端部1aの内側面に対して、例えば全周に形成される溶接部8によって固定される。第2継手部材4は、第2鋼管部材2の上端に位置する第2側端部2aの内側面に対して、例えば全周に形成される溶接部8によって固定される。なお、後述するように、溶接部8を形成するための溶接は、天候の影響を受ける屋外作業ではなくて、天候の影響を受けない屋内作業によって行われる。
【0018】
第1継手部材3は、第1鋼管部材1の第1側端部1aでの第2方向(長手直交方向、左右方向)の断面形状に対応した多角形断面形状を有する。第1継手部材3は、第1方向(長手方向、上下方向)の断面が、外側に向けて開口するU字形状を有する。第1継手部材3は、第1固定端部3cと、第1中央部3dと、第1連結端部3eとを有する。
【0019】
第1固定端部3cは、第1鋼管部材1の第1側端部1aの側に位置する。第1固定端部3cは、第2方向(長手直交方向、左右方向)の外向きに突出した形状を有するが、第1固定端部3cの外側面は、第1鋼管部材1の外側面と面一になるように構成される。第1固定端部3cの上端部は、第1鋼管部材1の第1側端部1aとの溶接に使用される。第1連結端部3eは、第1固定端部3cに対して第1方向(長手方向、上下方向)における反対側に位置して第2方向の外向きに突出する。第1中央部3dは、第1固定端部3cと第1連結端部3eとを第1方向(長手方向、上下方向)につなぐように第1継手部材3の第1方向(長手方向、上下方向)の中央部に位置する。第1中央部3dは、第1固定端部3cと第1連結端部3eとの間の外側面に設けられて周方向に沿って延在する第1周回溝3fを有する。
【0020】
第2継手部材4は、第2鋼管部材2の第2側端部2aでの第2方向(長手直交方向、左右方向)の断面形状に対応した多角形断面形状を有する。第2継手部材4は、第1方向(長手方向、上下方向)の断面が、外側に向けて開口するU字形状を有する。第2継手部材4は、第2固定端部4cと、第2中央部4dと、第2連結端部4eとを有する。
【0021】
第2固定端部4cは、第2鋼管部材2の第2側端部2aの側に位置する。第2固定端部4cは、第2方向(長手直交方向、左右方向)の外向きに突出した形状を有するが、第2固定端部4cの外側面は、第2鋼管部材2の外側面と面一になるように構成される。第2固定端部4cの下端部は、第2鋼管部材2の第2側端部2aとの溶接に使用される。第2連結端部4eは、第2固定端部4cに対して第1方向(長手方向、上下方向)における反対側に位置して第2方向の外向きに突出する。第2中央部4dは、第2固定端部4cと第2連結端部4eとを第1方向(長手方向、上下方向)につなぐように第2継手部材4の第1方向(長手方向、上下方向)の中央部に位置する。第2中央部4dは、第2固定端部4cと第2連結端部4eとの間の外側面に設けられて周方向に沿って延在する第2周回溝4fを有する。
【0022】
第1継手部材3および第2継手部材4が連結される場合、第1連結端部3eおよび第2連結端部4eが対面する対面状態にあるとともに、第1連結端部3eおよび第2連結端部4eが実質的に当接する当接状態になる。第1連結端部3eおよび第2連結端部4eの対面によって、外側に向けて突出するとともに周方向に沿って延在する、断面が矩形の連結凸部7eが形成される。
【0023】
第2継手部材4は、ガイド部6をさらに有する。ガイド部6は、上方に位置する第1鋼管部材1に固定された第1継手部材3を第2継手部材4に対してガイドする。これにより、下方の第2鋼管部材2に対する、上方の第1鋼管部材1の位置決めが容易になる。ガイド部6は、図1に示すように、第1方向(長手方向、上下方向)に延在する板形状を有して、第2継手部材4の内側面に固定される。ガイド部6は、例えば溶接によって固定される。ガイド部6は、図3に示すように、第2継手部材4のコーナー部付近に配設される。例えば、第2継手部材4のコーナー部付近のそれぞれに対して2個のガイド部6が離間して配設され、合計8個のガイド部6が配設される。
【0024】
ガイド部6の外側上部は、上部が下部よりも大きく開口するように斜めに切り欠かれた傾斜部6aを有する。ガイド部6の傾斜部6aは、第1継手部材3を第2継手部材4に対して位置決めするときに、第1継手部材3の内側面に摺接して第1継手部材3を所定の位置に案内することを容易にする。
【0025】
図3に示すように、複数の第2連結部材5は、連結構造10の外側に位置して、第1連結部材7の形状に対応して配設される。複数の第2連結部材5として、例えば4個の第2連結部材5が配設される。第2連結部材5のそれぞれは、第1連結部材7に対して着脱可能に構成されるように、言い換えると、第1連結部材7に装着したり、第1連結部材7から取り外したりすることができるように構成される。第2連結部材5に対して係合状態にある第1連結部材7から第2連結部材5を引き出すための引っ掛かり部(例えば凹部)を第2連結部材5の外側面に配設することもできる。
【0026】
図2に示すように、第2連結部材5は、第1連結部材7での第2方向(長手直交方向、左右方向)の断面形状に対応した形状を有する。第2連結部材5は、第1連結部材7に対応する直線状の連結辺部5aおよび湾曲形状の連結コーナー部5bを有する。したがって、第2連結部材5は、直線状に延在する連結辺部5aと、連結辺部5aに連なるとともに湾曲形状を有する連結コーナー部5bとを有する。
【0027】
図1および図2に示すように、第2連結部材5は、第1方向(長手方向、上下方向)の断面が、内側に向けて開口するU字形状を有する。第2連結部材5は、第1凸部5cと、係合接続部5dと、第2凸部5eとを有する。第1凸部5cは、第1鋼管部材1の第1側端部1aの側に位置する。第1凸部5cは、第2方向(長手直交方向、左右方向)の内側に突出した凸形状を有する。第2凸部5eは、第2鋼管部材2の第2側端部2aの側に位置する。第2凸部5eは、第2方向(長手直交方向、左右方向)の内側に突出した凸形状を有する。係合接続部5dは、第1凸部5cと第2凸部5eとを第1方向(長手方向、上下方向)につなぐように第2連結部材5の第1方向(長手方向、上下方向)の中央部に位置する。
【0028】
第2連結部材5の外側面は、第1固定端部3cの外側面および第2固定端部4cの外側面と面一になるように構成される。したがって、第1鋼管部材1、第1継手部材3、第2連結部材5、第2継手部材4および第2鋼管部材2の各外側面が面一になるように構成される。好ましくは、第2連結部材5の厚みは、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の厚みに対して同じ厚みかそれ以上の厚みである。厚みを同じ厚みにすることにより、建築基準法で要求される所定の強度を確保できる。また、厚みをそれ以上の厚みにすることにより、厚みが異なる様々な鋼管部材1,2にも対応でき、第2連結部材5の標準化が可能になる。
【0029】
第2連結部材5は、内側に突出する第1凸部5cと、第1方向(長手方向、上下方向)に延在する係合接続部5dと、内側に突出する第2凸部5eによって形成される凹部5fとを有する。凹部5fは、対面状態にある第1連結端部3eおよび第2連結端部4eによって構成される連結凸部7eに対して着脱可能に係合する着脱係合部として働く。凹部5fは、第1連結部材7の矩形状の連結凸部7eにおける第2方向(長手直交方向、左右方向)の外形形状に沿って延在する矩形状の溝である。したがって、矩形状の凹部5fは、対面状態にある第1連結端部3eおよび第2連結端部4eによって形成される矩形状の連結凸部7eに係合するように構成されている。
【0030】
図1および図2に示すように、連結構造10は、抜け止め構造を有する。抜け止め構造は、第1継手部材3の第1張り出し部3hおよび第2継手部材4の第2張り出し部4hと、第2連結部材5の面取り部5hとの組み合わせによって構成される。第1張り出し部3hは、外側下方に向けて斜めに張り出しており、抜け止め部として働く。第2張り出し部4hは、外側上方に向けて斜めに張り出しており、抜け止め部として働く。
【0031】
上側の面取り部5hは、外側下方に向けて斜めに切り欠かれた形状を有し、第1張り出し部3hに係合する。下側の面取り部5hは、外側上方に向けて斜めに切り欠かれた形状を有し、第2張り出し部4hに係合する。これにより、係合状態にある第2連結部材5が第1連結部材7に対して第2方向(長手直交方向、左右方向)の外側から抜け出ることを防止できる。
【0032】
第1継手部材3の第1張り出し部3hには、第1切欠部3mが配設される。第2継手部材4の第2張り出し部4hにも、第2切欠部4mが配設される。第1切欠部3mおよび第2切欠部4mは、第2連結部材5の連結コーナー部5bに対応する部分を切り欠くことで形成される。第1切欠部3mおよび第2切欠部4mからなる切欠部7mが、第1連結部材7に配設される。これにより、第2連結部材5の連結コーナー部5bは、切欠部7mと干渉することなく、第1連結部材7の内側コーナー部に装着される。
【0033】
図2および図3に示すように、複数の第2連結部材5のそれぞれは、第2方向(長手直交方向、左右方向)における挿入方向Fに沿って第1連結部材7に装着される。例えば、図3において、各第2連結部材5は、1の挿入方向Fから4の挿入方向Fの順番で装着される。すなわち、第1の第2連結部材5を1の挿入方向Fに装着し、第2の第2連結部材5を2の挿入方向Fに装着し、第3の第2連結部材5を3の挿入方向Fに装着し、最後に第4の第2連結部材5を4の挿入方向Fに装着する。
【0034】
1の挿入方向Fに係る第1の第2連結部材5の連結辺部5aの端面5mは、2の挿入方向Fに係る第2の第2連結部材5の連結コーナー部5bの端面5mに対向して当接する。1の挿入方向Fに係る第1の第2連結部材5の連結コーナー部5bの端面5mは、4の挿入方向Fに係る第4の第2連結部材5の連結辺部5aの端面5mに対向して当接する。このとき、隣接する第2連結部材5の端面5m同士が干渉するように、端面5mを第1方向(長手方向、上下方向)に対して傾斜している傾斜面にすることができる。これにより、第2連結部材5が第1連結部材7から抜け出にくくなる。
【0035】
〔第2実施形態〕
図6および図7を参照しながら、第2実施形態に係る連結構造10を説明する。図6は、第2実施形態に係る連結構造10の要部を示す拡大側面図である。図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【0036】
第2実施形態に係る連結構造10では、ジョイント部材9の使用が上記第1実施形態と相違しているだけであり、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。したがって、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0037】
図6に示すように、或る第2連結部材5と、隣接する第2連結部材5とを接続するために、ジョイント部材9が使用されている。ジョイント部材9は、或る第2連結部材5の連結コーナー部5bに対応するジョイントコーナー部と、隣接する第2連結部材5の連結辺部5aに対応するジョイント辺部とを有する板状体である。ジョイント部材9のジョイントコーナー部およびジョイント辺部のそれぞれには、厚み方向に貫通する座ぐり穴9aが形成される。
【0038】
或る第2連結部材5の連結コーナー部5bの端面5mの側と、隣接する第2連結部材5の連結辺部5aの端面5mの側には、ジョイント凹部29が形成されている。ジョイント凹部29は、ジョイント部材9を収容可能なように構成されている。ジョイント部材9をジョイント凹部29に収容した状態では、例えば、ジョイント部材9の外側面は、第2連結部材5の外側面と面一である。また、連結コーナー部5bの端面5mおよび連結辺部5aの端面5mは、第1方向(長手方向、上下方向)に延在する。
【0039】
ジョイント部材9の座ぐり穴9aに対応するネジ穴が、例えば、或る第2連結部材5の連結コーナー部5bの係合接続部5dおよび隣接する第2連結部材5の連結辺部5aの係合接続部5dにそれぞれ形成される。ジョイント部材9をジョイント凹部29に収容した状態で、複数のジョイントボルト19を用いてジョイント部材9を第2連結部材5の連結コーナー部5bおよび連結辺部5aに対して、ボルト止めで固定できる。これにより、或る第2連結部材5と隣接する第2連結部材5とを確実に接続して、係合状態にある第2連結部材5が第1連結部材7に対して第2方向(長手直交方向、左右方向)の外側に抜け出ることを防止できる。
【0040】
〔第3実施形態〕
図9および図10を参照しながら、第3実施形態に係る連結構造10を説明する。図9は、第3実施形態に係る連結構造10を示す模式的断面図である。図10は、図9に示した連結構造10を説明する模式的平面図である。
【0041】
第3実施形態に係る連結構造10では、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2が丸形鋼管であることと、第2連結部材5の使用数とが上記第1実施形態と相違しており、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。したがって、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0042】
図9および図10に示すように、連結構造10は、第1連結部材7と、2つの第2連結部材5と、を備える。第1連結部材7は、連結構造10の内側に位置して、第1継手部材3および第2継手部材4を有する。2つの第2連結部材5は、連結構造10の外側に位置して、第1連結部材7に対して第2方向(長手直交方向、左右方向)の挿入方向Fから着脱可能に構成される。
【0043】
図9および図10に示すように、第1鋼管部材1は、柱の上側部分に対応して第1方向(長手方向、上下方向)に延びる中空の丸形鋼管であり、第2鋼管部材2は、柱の下側部分に対応して第1方向(長手方向、上下方向)に延びる中空の丸形鋼管である。
【0044】
第1連結部材7は、図10に示すように、平面視で、大略円形状を有する。第1連結部材7の外側面は、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の外側面と面一である。第1連結部材7の上側部分および下側部分のそれぞれは、中心側にシフトした状態で第2方向(長手直交方向、左右方向)に直線状に延在している。
【0045】
第2連結部材5は、図10に示すように、平面視で、大略半円形状を有する。第2連結部材5の外側面は、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の外側面と面一である。第2連結部材5の一側および他側の先端部分のそれぞれは、中心側にシフトした状態で第2方向(長手直交方向、左右方向)に直線状に延在している。一側および他側の先端部分のそれぞれには、ジョイント凹部29が形成される。左側に位置する第2連結部材5と、右側に位置する第2連結部材5とが、左右対称に構成されている。
【0046】
2つの第2連結部材5は、第2方向(長手直交方向、左右方向)の挿入方向Fから第1連結部材7に装着される。これにより、第2連結部材5が第1連結部材7に係合して連結構造10を構成できる。上記第2実施形態と同様に、ジョイント部材9をジョイント凹部29に収容した状態で、図示しない複数のジョイントボルトを用いてジョイント部材9を第2連結部材5の一側および他側の先端部分に対して、ボルト止めで固定できる。これにより、左側に位置する第2連結部材5と右側に位置する第2連結部材5とを確実に接続して、係合状態にある第2連結部材5が第1連結部材7に対して第2方向(長手直交方向、左右方向)の外側に抜け出ることを防止できる。
【0047】
〔鋼管部材の連結方法〕
図4図5および図8を参照しながら、この発明に係る鋼管部材1,2の連結方法を説明する。図4は、エレクションピース11,12を用いた鋼管部材1,2の仮固定を説明する模式的平面図である。図5は、図4に示した仮固定の要部を説明する模式的側面図である。図8は、この発明に係る鋼管部材1,2の連結方法を説明するフローチャートである。
【0048】
図8に示すように、ステップS1では、連結構造10による第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の連結工程が開始される。
【0049】
ステップS3では、第2連結部材5の凹部5fが第1連結部材7の連結凸部7eに係合することによって、第1連結部材7と複数の第2連結部材5とを着脱可能に一体化させる一体化工程が行われる。
【0050】
ステップS5では、第2連結部材5および第1連結部材7の一体化物を、互いに対向する第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の間にセットするセッティング工程が行われる。第1連結部材7の一方を構成する第1継手部材3の第1固定端部3cが第1鋼管部材1の第1側端部1aに対面し、第1連結部材7の他方を構成する第2継手部材4の第2固定端部4cが第2鋼管部材2の第2側端部2aに対面するように一体化物がセットされる。このとき、第1鋼管部材1と第2鋼管部材2とが、非常に正確に第1方向(長手方向、上下方向)に延在するように、高精度に位置決めされる。
【0051】
ステップS7では、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12を用いた第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の仮固定工程が行われる。ここで、図4および図5を参照しながら、仮固定工程について説明する。
【0052】
図4および図5に示すように、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12のそれぞれが、高精度に位置決めされた状態にある第1鋼管部材1および第2鋼管部材2に対して、例えば溶接で固定される。第1エレクションピース11および第2エレクションピース12は、第1方向(長手方向、上下方向)に延在する板形状を有する。第1エレクションピース11および第2エレクションピース12は、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の各側面部から垂直に突出するとともに、非常に正確に第1方向(長手方向、上下方向)に延在するように配設される。第1エレクションピース11および第2エレクションピース12のそれぞれには、複数のボルト挿通孔が形成される。ボルト挿通孔は、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12の板厚方向を貫通するように形成される。
【0053】
第1エレクションピース11および第2エレクションピース12のそれぞれは、一対のスプライスプレート13,13で挟持されて、ボルト挿通孔に挿通される仮ボルト15と、仮ボルト15に螺合する仮ナット16とによってボルト止めされる。第1エレクションピース11の外側には第1フランジ11aが配設され、第2エレクションピース12の外側には第2フランジ12aが配設される。第1フランジ11aおよび第2フランジ12aは、連結ボルト17および連結ナット18によってボルト止めされる。これらのボルト止めによって、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12は、一体的に仮固定される。仮ボルト15および連結ボルト17には、例えば高力ボルトが使用される。
【0054】
ステップS9では、上記の仮固定状態で、第1連結部材7の第1継手部材3を第1鋼管部材1に溶接で固定するとともに、第1連結部材7の第2継手部材4を第2鋼管部材2に溶接で固定するという固定工程が行われる。このとき、第1継手部材3の第1固定端部3cと第1鋼管部材1の第1側端部1aとの間で溶接部8が形成されるとともに、第2継手部材4の第2固定端部4cと第2鋼管部材2の第2側端部2aとの間で溶接部8が形成される。これにより、連結構造10を介して高精度に位置決めされた第1鋼管部材1および第2鋼管部材2は、非常に正確に第1方向(長手方向、上下方向)に延在する。
【0055】
なお、ステップS3からステップS9のいずれかのステップにおいて、第1連結部材7の各辺に対する各第2連結部材5の対応関係が直ちに分かるように、対応関係の目印となるマーキングを第2連結部材5に付すマーキング作業が行われる。これにより、第2連結部材5を第1連結部材7の正しい所定の位置に着脱可能になる。
【0056】
ステップS11では、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を一体的に連結した連結構造10において、全ての第2連結部材5を第1連結部材7から取り外して展開する展開工程が行われる。
【0057】
ステップS13では、展開された第1鋼管部材1と第2鋼管部材2と全ての第2連結部材5とを工事現場に運搬して、工事現場においてこれらを組み立てる組立工程が行われる。組立工程は、例えば、上方に位置する第1鋼管部材1と下方に位置する第2鋼管部材2とを第1方向(長手方向、上下方向)に立設させる立設工程と、この状態で全ての第2連結部材5を第1連結部材7に装着する装着工程を含む。
【0058】
ステップS15では、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12を用いた鋼管部材1,2の仮固定工程が行われる。ステップS15の仮固定工程は、マーキングを付した第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を連結構造10によって一体的に連結したステップS9の状態に戻す(言い換えると、一体的な連結状態を再現する)ことを目的としている。したがって、ステップS7の仮固定工程のうち、スプライスプレート13で挟持された第1エレクションピース11および第2エレクションピース12のボルト止めによる仮固定工程が行われる。
【0059】
ステップS17では、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を仮固定した状態で、マーキングを付した全ての第2連結部材5を、対応する第1連結部材7に装着することによって第2連結部材5および第1連結部材7を連結させる装着連結工程が行われる。
【0060】
ステップS19では、仮固定に使用したスプライスプレート13のボルト止めを解除し、その後、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12のそれぞれを第1鋼管部材1および第2鋼管部材2から溶断などによって切り離して除去する除去工程が行われる。
【0061】
ステップS21では、連結構造10による第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の連結工程を終了する。
【0062】
上記一連の工程において、少なくともステップS9の固定工程における溶接が、屋内作業によって行われる。屋外作業による溶接が行われないので、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。上記一連の工程において、好ましくはステップS3からステップS11での全ての工程が、屋内作業によって行われる。これにより、屋外作業による溶接よりも、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。また、非常に正確に第1方向(長手方向、上下方向)に延在して垂直度の高い柱を立設できる。
【0063】
高層ビルや高架橋などの高くそびえる建造物における柱は、上述した連結構造10を用いて構築することができる。これにより、複数の第2連結部材5を第1連結部材7に装着することによって、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を連結できるので、屋外作業による溶接が不要になり、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0064】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0065】
一例として、この発明に係る連結構造10を、鋼管部材1,2を第1方向(例えば、上下方向)に順次連結(接合)する建造物の柱に適用した場合について説明した。この発明に係る連結構造10は、鋼管部材1,2を第2方向(例えば、左右方向)に順次連結(接合)する建造物の梁にも適用することができる。
【0066】
第1実施形態では、一例として、第2連結部材5が連結辺部5aと連結コーナー部5bとを連続してつなげた構成を開示している。しかしながら、第2連結部材5は、連結辺部5aと連結コーナー部5bとを分離して別体にした構成にすることができる。この場合、連結辺部5aの端面5mと連結コーナー部5bの端面5mのそれぞれには、互いに係合するための凹凸状の係合部が形成される。連結辺部5aおよび連結コーナー部5bの各端面5mにおける凹凸を係合させることによって第2連結部材5が組み立てられ、次の第2連結部材5もさらに組み立てられる。
【0067】
最後の組立対象となる第2連結部材5の連結コーナー部5bの各端面5mと、最初の組立対象となった第2連結部材5の連結辺部5aの端面5mとの係合構造は、それ以外の第2連結部材5における係合構造と若干相違している。すなわち、最初の連結辺部5aおよび最後の連結コーナー部5bの各端面5mを、凹凸の無い平坦面にするととともに、最初の連結辺部5aおよび最後の連結コーナー部5bを第2実施形態で説明したジョイント部材9を用いて接続することができる。これにより、最初の第2連結部材5と最後の第2連結部材5とを確実に接続して、係合状態にある第2連結部材5が第1連結部材7に対して第2方向(長手直交方向、左右方向)の外側に抜け出ることを防止できる。
【0068】
また、第3実施形態において、第2連結部材5を三等分や四等分などの複数に等分された円弧形状にして、隣接する第2連結部材5同士をジョイント部材9を用いて接続する構成にすることができる。
【0069】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0070】
この発明の第1態様に係る鋼管部材1,2の連結構造10は、
第1方向に延在する第1鋼管部材1の第1側端部1aに固定される第1継手部材3と、前記第1鋼管部材1に対向配置されて前記第1方向に延在する第2鋼管部材2の第2側端部2aに固定される第2継手部材4とを有する第1連結部材7と、
前記第1連結部材7に対して着脱可能に構成される複数の第2連結部材5と、を備え、
前記第1継手部材3は、前記第1側端部1aに固定される第1固定端部3cと、前記第1固定端部3cに対して前記第1方向における反対側に位置して前記第1方向に直交する第2方向の外向きに突出する第1連結端部3eと、前記第1固定端部3cと前記第1連結端部3eとの間の外側面に設けられて周方向に沿って延在する第1周回溝3fとを有し、
前記第2継手部材4は、前記第2側端部2aに固定される第2固定端部4cと、前記第2固定端部4cに対して前記第1方向における反対側に位置して前記第2方向の外向きに突出する第2連結端部4eと、前記第2固定端部4cと前記第2連結端部4eとの間の外側面に設けられて周方向に沿って延在する第2周回溝4fとを有し、
前記第2連結部材5は、前記第1連結端部3eおよび前記第2連結端部4eを対面させた対面状態において、前記第1周回溝3fに挿入されて係合する第1凸部5cと、前記第2周回溝4fに挿入されて係合する第2凸部5eと、前記第1凸部5cおよび前記第2凸部5eを前記第1方向につなぐ係合接続部5dとを有し、
前記複数の前記第2連結部材5を前記第1連結部材7に装着することによって、前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2を連結させることを特徴とする。
【0071】
上記態様によれば、複数の第2連結部材5を第1連結部材7に装着することによって第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を連結できるので、屋外作業による溶接が不要になり、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0072】
また、第2態様に係る連結構造10は、上記第1態様において、
前記対面状態にある前記第1連結端部3eおよび前記第2連結端部4eによって、外側に向けて突出する連結凸部7eが形成され、
前記第2連結部材5は、前記連結凸部7eに係合する凹部5fを有する。
【0073】
上記態様によれば、着脱可能な係合状態を容易に実現できる。
【0074】
また、第3態様に係る連結構造10は、上記第1態様において、
前記第1鋼管部材1または前記第2鋼管部材2のうち、下方に位置するいずれ一方は、上方に位置するいずれか他方をガイドするためのガイド部6を有する。
【0075】
上記態様によれば、下方に位置する第2鋼管部材2に対する、上方に位置する第1鋼管部材1の位置決めが容易になる。
【0076】
また、第4態様に係る連結構造10は、上記第2態様において、
前記第1継手部材3および前記第2継手部材4は、前記第2連結部材5が抜け出ることを防止する抜け止め部3h,4hを有する。
【0077】
上記態様によれば、係合状態にある第2連結部材5が第1連結部材7に対して外側に抜け出ることを防止できる。
【0078】
また、第5態様に係る連結構造10は、上記第2態様において、
前記第2連結部材5は、直線状に延在する連結辺部5aと、前記連結辺部5aに連なるとともに湾曲形状を有する連結コーナー部5bとを有し、
前記第1連結部材7の内側コーナー部は、前記連結コーナー部5bを収容可能に切り欠かれた切欠部7mを有する。
【0079】
上記態様によれば、第2連結部材5の連結コーナー部5bは、切欠部7mと干渉することなく、第1連結部材7の内側コーナー部に装着される。
【0080】
また、第6態様に係る連結構造10は、上記第5態様において、
前記第2連結部材5の前記連結コーナー部5bと、隣接する前記第2連結部材5の前記連結辺部5aとは、ジョイント部材9を介して連結される。
【0081】
上記態様によれば、或る第2連結部材5と隣接する第2連結部材5とを確実に接続して、係合状態にある第2連結部材5が第1連結部材7に対して外側に抜け出ることを防止できる。
【0082】
また、第7態様に係る連結構造10は、上記第1態様において、
前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2は、中空の角形鋼管または中空の円形鋼管である。
【0083】
上記態様によれば、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2が汎用的な鋼管であるので、連結構造10を様々な建造物に適用できる。
【0084】
また、第8態様に係る建造物は、第1態様から第7態様の連結構造10を用いて構築される。
【0085】
上記態様によれば、複数の第2連結部材5を第1連結部材7に装着することによって第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を連結できるので、屋外作業による溶接が不要になり、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0086】
また、第9態様に係る、上述した連結構造10を用いる鋼管部材1,2の連結方法は、
前記第1連結部材7および前記第2連結部材5を連結して一体化するステップと、
一体化した前記第1連結部材7および前記第2連結部材5を、互いに対向する前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2の間にセットするステップと、
エレクションピース11,12を用いて前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2を仮固定するステップと、
前記第1継手部材3を前記第1鋼管部材1に固定するとともに前記第2継手部材4を前記第2鋼管部材2に固定するステップと、
前記第1連結部材7から前記第2連結部材5を取り外すステップと、
前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2を現場で組み立てるステップと、
前記エレクションピース11,12を用いて前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2を仮固定するステップと、
前記第2連結部材5を前記第1連結部材7に装着するステップと、
前記エレクションピース11,12を除去するステップと、を備える。
【0087】
上記態様によれば、複数の第2連結部材5を第1連結部材7に装着することによって第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を連結できるので、屋外作業による溶接が不要になり、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。また、非常に正確に第1方向(長手方向、上下方向)に延在して垂直度の高い柱を立設できる。
【符号の説明】
【0088】
1…第1鋼管部材(鋼管部材)
1a…第1側端部
2…第2鋼管部材(鋼管部材)
2a…第2側端部
3…第1継手部材
3c…第1固定端部
3d…第1中央部
3e…第1連結端部
3f…第1周回溝
3h…第1張り出し部(抜け止め部)
3m…第1切欠部
4…第2継手部材
4c…第2固定端部
4d…第2中央部
4e…第2連結端部
4f…第2周回溝
4h…第2張り出し部(抜け止め部)
4m…第2切欠部
5…第2連結部材
5a…連結辺部
5b…連結コーナー部
5c…第1凸部
5d…係合接続部
5e…第2凸部
5f…凹部
5h…面取り部
5m…端面
6…ガイド部
6a…傾斜部
7…第1連結部材
7m…切欠部
7e…連結凸部
8…溶接部
9…ジョイント部材
9a…座ぐり穴
10…連結構造
11…第1エレクションピース(エレクションピース)
12…第2エレクションピース(エレクションピース)
13…スプライスプレート
15…仮ボルト
16…仮ナット
17…連結ボルト
18…連結ナット
19…ジョイントボルト
29…ジョイント凹部
F…挿入方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10