(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】無線通信システム、搬送台車側の通信デバイス、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 74/08 20240101AFI20240531BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20240531BHJP
H01L 21/67 20060101ALI20240531BHJP
H04W 4/35 20180101ALI20240531BHJP
H04W 4/70 20180101ALI20240531BHJP
【FI】
H04W74/08
B65G1/04 543
B65G1/04 551A
H01L21/68 Z
H04W4/35
H04W4/70
(21)【出願番号】P 2021177548
(22)【出願日】2021-10-29
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】大島 宗訓
(72)【発明者】
【氏名】木股 友也
(72)【発明者】
【氏名】桑原 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高原 弘慶
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/138802(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/059861(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
B65G 1/04
H01L 21/67
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道に沿って走行することにより搬送物を搬送する搬送台車と、
前記搬送台車に接続される搬送台車側の通信デバイスと、
前記搬送台車により前記搬送物が移載されるポートに接続され、前記搬送台車側の通信デバイスからペアリング信号を受信することをトリガとして、前記搬送台車側の通信デバイスとの間で、前記ポート及び前記搬送台車の間で前記搬送物を移載するためのインターロック通信を所定の周期で無線通信により行うポート側の通信デバイスと、を備え、
前記搬送台車側の通信デバイスは、
前記ペアリング信号の送信前に、前記ポート側の通信デバイスとの間での無線通信に用いる予定のチャネルと同一のチャネルを用いて他の搬送台車が前記インターロック通信を行っているか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記同一のチャネルを用いて前記他の搬送台車が前記インターロック通信を行っていると判断した場合、前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングを、前記他の搬送台車の前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御する処理部と、を備える、
無線通信システム。
【請求項2】
前記処理部は、
前記判断部が前記同一のチャネルを用いて前記他の搬送台車が前記インターロック通信を行っていると判断した場合、前記ペアリング信号の送信タイミングを、前記他の搬送台車の前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記搬送台車側の通信デバイスは、
前記他の搬送台車の前記インターロック通信に係る無線通信の信号強度を検出する検出部を備え、
前記処理部は、前記判断部が前記同一のチャネルを用いて前記インターロック通信を行っている前記他の搬送台車が複数存在すると判断した場合、前記検出部が検出した前記信号強度に基づいて、前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングをずらす対象となる前記他の搬送台車である優先ターゲットを決定する、
請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記処理部は、
前記検出部が検出した前記信号強度が大きい前記他の搬送台車から優先的に前記優先ターゲットに決定する、
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記処理部は、
前記検出部が検出した前記信号強度が最も大きい前記他の搬送台車を前記優先ターゲットに決定する、
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記処理部は、
前記検出部が検出した前記信号強度が所定の閾値以上となる前記他の搬送台車を前記優先ターゲットに決定する、
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記処理部は、
前記判断部が前記同一のチャネルを用いて前記インターロック通信を行っている前記他の搬送台車が複数存在すると判断した場合、前記他の搬送台車における前記インターロック通信の進行状況に基づいて、前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングをずらす対象となる前記他の搬送台車である優先ターゲットを決定する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記進行状況は、前記搬送物を移載する前の移載前手順、前記搬送物を移載している途中である移載中手順、及び前記搬送物を移載した後の移載後手順のうちのいずれかの手順の実行段階であって、
前記処理部は、
前記進行状況が前記移載前手順の実行段階である前記他の搬送台車を優先的に前記優先ターゲットに決定する、
請求項7に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記進行状況は、前記搬送物を移載する前の移載前手順、前記搬送物を移載している途中である移載中手順、及び前記搬送物を移載した後の移載後手順のうちのいずれかの手順の実行段階であって、
前記処理部は、
前記進行状況が前記移載前手順の実行段階である前記他の搬送台車、及び前記進行状況が前記移載中手順の実行段階である前記他の搬送台車を優先的に前記優先ターゲットに決定する、
請求項7に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記進行状況は、前記搬送物を移載する前の移載前手順、前記搬送物を移載している途中である移載中手順、及び前記搬送物を移載した後の移載後手順のうちのいずれかの手順の実行段階であって、
前記処理部は、
前記進行状況が前記移載後手順の実行段階である前記他の搬送台車を前記優先ターゲットから除外する、
請求項7に記載の無線通信システム。
【請求項11】
軌道に沿って走行することにより搬送物を搬送する搬送台車に接続される搬送台車側の通信デバイスであって、
前記搬送台車により前記搬送物が移載されるポートに接続されるポート側の通信デバイスが、前記搬送台車側の通信デバイスとの間で、前記ポート及び前記搬送台車の間で前記搬送物を移載するためのインターロック通信を所定の周期で無線通信により行うトリガとなるペアリング信号の送信前に、前記ポート側の通信デバイスとの間での無線通信に用いる予定のチャネルと同一のチャネルを用いて他の搬送台車が前記インターロック通信を行っているか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記同一のチャネルを用いて前記他の搬送台車が前記インターロック通信を行っていると判断した場合、前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングを、前記他の搬送台車の前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御する処理部と、を備える、
搬送台車側の通信デバイス。
【請求項12】
軌道に沿って走行することにより搬送物を搬送する搬送台車に接続される搬送台車側の通信デバイスの通信方法であって、
前記搬送台車により前記搬送物が移載されるポートに接続されるポート側の通信デバイスが、前記搬送台車側の通信デバイスとの間で、前記ポート及び前記搬送台車の間で前記搬送物を移載するためのインターロック通信を所定の周期で無線通信により行うトリガとなるペアリング信号の送信前に、前記ポート側の通信デバイスとの間での無線通信に用いる予定のチャネルと同一のチャネルを用いて他の搬送台車が前記インターロック通信を行っているか否かを判断し、
前記同一のチャネルを用いて前記他の搬送台車が前記インターロック通信を行っていると判断した場合、前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングを、前記他の搬送台車の前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、搬送台車側の通信デバイス、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送物を搬送するための複数の搬送台車と、搬送物が載置される複数のポートのそれぞれに、それぞれが一対一で接続されている複数の通信デバイスと、を備える搬送システムが開示されている。この搬送システムでは、搬送台車と、ポートに一対一で接続されている通信デバイスとの間で、ポートに搬送物を移載するためのインターロック通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている搬送システムでは、以下のような課題が生じ得る。例えば、複数の搬送台車と複数の通信デバイスとの間でそれぞれ同一のチャネルでインターロック通信を行っていることとする。この場合、複数の通信デバイスが互いに比較的近い間隔で設置されていると、複数の搬送台車の各々から送信された複数の通信データが互いに衝突して通信エラーが発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされており、搬送台車とポート側の通信デバイスとの間のインターロック通信における通信エラーを低減することができる無線通信システム、搬送台車側の通信デバイス、及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る無線通信システムは、軌道に沿って走行することにより搬送物を搬送する搬送台車と、前記搬送台車に接続される搬送台車側の通信デバイスと、前記搬送台車により前記搬送物が移載されるポートに接続され、前記搬送台車側の通信デバイスからペアリング信号を受信することをトリガとして、前記搬送台車側の通信デバイスとの間で、前記ポート及び前記搬送台車の間で前記搬送物を移載するためのインターロック通信を所定の周期で無線通信により行うポート側の通信デバイスと、を備える。前記搬送台車側の通信デバイスは、前記ペアリング信号の送信前に、前記ポート側の通信デバイスとの間での無線通信に用いる予定のチャネルと同一のチャネルを用いて他の搬送台車が前記インターロック通信を行っているか否かを判断する判断部と、前記判断部が前記同一のチャネルを用いて前記他の搬送台車が前記インターロック通信を行っていると判断した場合、前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングを、前記他の搬送台車の前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御する処理部と、を備える。
【0007】
本態様によれば、比較的近傍に同一のチャネルを用いてインターロック通信を行う複数の搬送台車が存在する場合でも、インターロック通信に係る信号の送信タイミングが互いにずれることで、無線通信の干渉が生じにくい。つまり、本態様によれば、搬送台車とポート側の通信デバイスとの間のインターロック通信における通信エラーを低減することができる。
【0008】
例えば、前記処理部は、前記判断部が前記同一のチャネルを用いて前記他の搬送台車が前記インターロック通信を行っていると判断した場合、前記ペアリング信号の送信タイミングを、前記他の搬送台車の前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御するように構成してもよい。
【0009】
本態様によれば、比較的近傍に同一のチャネルを用いてインターロック通信を行う複数の搬送台車が存在する場合でも、ペアリング信号の送信タイミングが互いにずれることで、無線通信の干渉が生じにくくすることができる。
【0010】
例えば、前記搬送台車側の通信デバイスは、前記他の搬送台車の前記インターロック通信に係る無線通信の信号強度を検出する検出部を備え、前記処理部は、前記判断部が前記同一のチャネルを用いて前記インターロック通信を行っている前記他の搬送台車が複数存在すると判断した場合、前記検出部が検出した前記信号強度に基づいて、前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングをずらす対象となる前記他の搬送台車である優先ターゲットを決定するように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、無線干渉が発生する可能性を示す指標となる信号強度に基づいて優先ターゲットを決定するので、無線干渉の発生を効果的に抑制できる。
【0012】
例えば、前記処理部は、前記検出部が検出した前記信号強度が大きい前記他の搬送台車から優先的に前記優先ターゲットに決定するように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、無線干渉が発生する可能性が比較的高い他の搬送台車を優先ターゲットに決定するので、無線干渉の発生をより効果的に抑制できる。
【0014】
例えば、前記処理部は、前記検出部が検出した前記信号強度が最も大きい前記他の搬送台車を前記優先ターゲットに決定するように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、無線干渉が発生する可能性が最も高い他の搬送台車を優先ターゲットに決定するので、無線干渉の発生をより効果的に抑制できる。
【0016】
例えば、前記処理部は、前記検出部が検出した前記信号強度が所定の閾値以上となる前記他の搬送台車を前記優先ターゲットに決定するように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、無線干渉が発生する可能性のある他の搬送台車に絞って優先ターゲットに決定するので、無線干渉の発生をより効果的に抑制できる。
【0018】
例えば、前記処理部は、前記判断部が前記同一のチャネルを用いて前記インターロック通信を行っている前記他の搬送台車が複数存在すると判断した場合、前記他の搬送台車における前記インターロック通信の進行状況に基づいて、前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングをずらす対象となる前記他の搬送台車である優先ターゲットを決定するように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、無線通信の干渉が発生し得る期間の長さを示す指標となるインターロック通信の進行状況に基づいて優先ターゲットを決定するので、無線干渉の発生を効果的に抑制できる。
【0020】
例えば、前記進行状況は、前記搬送物を移載する前の移載前手順、前記搬送物を移載している途中である移載中手順、及び前記搬送物を移載した後の移載後手順のうちのいずれかの手順の実行段階であって、前記処理部は、前記進行状況が前記移載前手順の実行段階である前記他の搬送台車を優先的に前記優先ターゲットに決定するように構成してもよい。
【0021】
本態様によれば、インターロック通信の完了までに比較的時間を要する、つまり無線干渉が発生し得る期間が比較的長い他の搬送台車を優先ターゲットに決定するので、無線干渉の発生をより効果的に抑制できる。
【0022】
例えば、前記進行状況は、前記搬送物を移載する前の移載前手順、前記搬送物を移載している途中である移載中手順、及び前記搬送物を移載した後の移載後手順のうちのいずれかの手順の実行段階であって、前記処理部は、前記進行状況が前記移載前手順の実行段階である前記他の搬送台車、及び前記進行状況が前記移載中手順の実行段階である前記他の搬送台車を優先的に前記優先ターゲットに決定するように構成してもよい。
【0023】
本態様によれば、インターロック通信の完了までに比較的時間を要する、つまり無線干渉が発生し得る期間が比較的長い他の搬送台車を優先ターゲットに決定するので、無線干渉の発生をより効果的に抑制できる。
【0024】
例えば、前記進行状況は、前記搬送物を移載する前の移載前手順、前記搬送物を移載している途中である移載中手順、及び前記搬送物を移載した後の移載後手順のうちのいずれかの手順の実行段階であって、前記処理部は、前記進行状況が前記移載後手順の実行段階である前記他の搬送台車を前記優先ターゲットから除外するように構成してもよい。
【0025】
本態様によれば、インターロック通信の完了までに要する時間が比較的短い、つまり無線干渉が発生し得る期間が比較的短い他の搬送台車を優先ターゲットから除外するので、無線干渉が発生する可能性が比較的高い他の搬送台車を優先ターゲットに決定しやすくなり、無線干渉の発生をより効果的に抑制できる。
【0026】
本発明の一態様に係る搬送台車側の通信デバイスは、軌道に沿って走行することにより搬送物を搬送する搬送台車に接続される搬送台車側の通信デバイスであって、前記搬送台車により前記搬送物が移載されるポートに接続されるポート側の通信デバイスが、前記搬送台車側の通信デバイスとの間で、前記ポート及び前記搬送台車の間で前記搬送物を移載するためのインターロック通信を所定の周期で無線通信により行うトリガとなるペアリング信号の送信前に、前記ポート側の通信デバイスとの間での無線通信に用いる予定のチャネルと同一のチャネルを用いて他の搬送台車が前記インターロック通信を行っているか否かを判断する判断部と、前記判断部が前記同一のチャネルを用いて前記他の搬送台車が前記インターロック通信を行っていると判断した場合、前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングを、前記他の搬送台車の前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御する処理部と、を備える。
【0027】
本態様によれば、比較的近傍に同一のチャネルを用いてインターロック通信を行う複数の搬送台車が存在する場合でも、インターロック通信に係る信号の送信タイミングが互いにずれることで、無線通信の干渉が生じにくい。つまり、本態様によれば、搬送台車とポート側の通信デバイスとの間のインターロック通信における通信エラーを低減することができる。
【0028】
本発明の一態様に係る通信方法は、軌道に沿って走行することにより搬送物を搬送する搬送台車に接続される搬送台車側の通信デバイスの通信方法であって、前記搬送台車により前記搬送物が移載されるポートに接続されるポート側の通信デバイスが、前記搬送台車側の通信デバイスとの間で、前記ポート及び前記搬送台車の間で前記搬送物を移載するためのインターロック通信を所定の周期で無線通信により行うトリガとなるペアリング信号の送信前に、前記ポート側の通信デバイスとの間での無線通信に用いる予定のチャネルと同一のチャネルを用いて他の搬送台車が前記インターロック通信を行っているか否かを判断し、前記同一のチャネルを用いて前記他の搬送台車が前記インターロック通信を行っていると判断した場合、前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングを、前記他の搬送台車の前記インターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御する。
【0029】
本態様によれば、比較的近傍に同一のチャネルを用いてインターロック通信を行う複数の搬送台車が存在する場合でも、インターロック通信に係る信号の送信タイミングが互いにずれることで、無線通信の干渉が生じにくい。つまり、本態様によれば、搬送台車とポート側の通信デバイスとの間のインターロック通信における通信エラーを低減することができる。
【0030】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様に係る無線通信システム等によれば、搬送台車とポート側の通信デバイスとの間のインターロック通信における通信エラーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る無線通信システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、FOUPを荷掴みする際におけるE84インターロックシーケンスの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、FOUPを荷降ろしする際におけるE84インターロックシーケンスの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る無線通信システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、インターロック通信に係る通信フレームの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、管理テーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る無線通信システムにおけるモニタリング動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る無線通信システムにおけるターゲットの決定動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る無線通信システムにおけるインターロック通信動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る無線通信システムの動作の具体例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る無線通信システムの動作の具体例の流れを示すシーケンス図である。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る無線通信システムの利点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0034】
(実施の形態)
[1.無線通信システムの概要]
まず、
図1~
図3を参照しながら、実施の形態に係る無線通信システム10の概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る無線通信システム10の概要を示す図である。
図2は、FOUP(Front Opening Unified Pod)5を荷掴みする際におけるE84インターロックシーケンスの一例を示す図である。
図3は、FOUP5を荷降ろしする際におけるE84インターロックシーケンスの一例を示す図である。ここで、「E84インターロックシーケンス」とは、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)に関するE84規格に規定されたシーケンスである。
【0035】
図1に示すように、無線通信システム10は、例えば半導体製造工場内に構築されたシステムである。
図1に示す例では、無線通信システム10が構築された半導体製造工場内には、第1の搬送台車1aと、第2の搬送台車1bと、第1の半導体処理装置2aと、第2の半導体処理装置2bと、が設けられている。また、第1の搬送台車1a及び第2の搬送台車1bには、それぞれ第1の搬送台車側の通信デバイス11a及び第2の搬送台車側の通信デバイス11bと、が搭載されている。さらに、第1の半導体処理装置2a及び第2の半導体処理装置2bには、それぞれ第1のポート側の通信デバイス3a及び第2のポート側の通信デバイス3bが搭載されている。
【0036】
なお、半導体製造工場には、実際には多数(例えば数百台)の搬送台車が配置されているが、説明の都合上、
図1では第1の搬送台車1a及び第2の搬送台車1bのみを図示している。また、半導体製造工場には、実際には多数(例えば数千台)の半導体処理装置が設置されているが、説明の都合上、
図1では第1の半導体処理装置2a及び第2の半導体処理装置2bのみを図示している。
【0037】
第1の搬送台車1aは、半導体ウエハが格納されたFOUP5を搬送するための天井走行式の搬送台車であり、いわゆるOHT(Overhead Hoist Transfer)である。ここで、FOUP5は、搬送台車1(後述する)が搬送する対象の物品の一例である。以下では、特に断りのない限り、搬送物がFOUP5であることとして説明する。第1の搬送台車1aは、半導体製造工場の天井側に設置された軌道Lに沿って無人走行する。この軌道Lは、例えば半導体製造工場の天井から吊り下げられて設けられている。なお、実施の形態の軌道Lは、
図1に示すとおり直線形状で示しているが、これに限られない。例えば、軌道Lは、直線及び曲線から成る形状であってもよいし、格子状であってもよい。
【0038】
第1の搬送台車1aの内部には、FOUP5を把持するための把持部14aが搭載されている。把持部14aは、第1の搬送台車1aに対して昇降可能である。例えば第1の搬送台車1aと第1の半導体処理装置2aの第1のポート4a(後述する)との間でFOUP5を移載する際には、第1の搬送台車1aが第1のポート4aの直上の位置で停止している状態で、把持部14aは、第1の搬送台車1aの内部に格納されている位置から第1のポート4aの近傍位置まで下降する。また、FOUP5の移載が完了した際には、把持部14aは、第1のポート4aの近傍位置から第1の搬送台車1aまで上昇して、第1の搬送台車1aの内部に格納される。
【0039】
また、第1の搬送台車1aの側面には、第1の搬送台車側の通信デバイス11aが配置されている。第1の搬送台車側の通信デバイス11aは、第1のポート側の通信デバイス3a及び第2のポート側の通信デバイス3bの各々との間で無線通信するように構成されている。
【0040】
第2の搬送台車1bは、第1の搬送台車1aと同様に、半導体ウエハが格納されたFOUP5を搬送するための天井走行式の搬送台車である。第2の搬送台車1bは、第1の搬送台車1aと同様に、半導体製造工場の天井に設置された軌道Lに沿って無人走行する。なお、第1の搬送台車1aの走行する軌道と、第2の搬送台車1bの走行する軌道とは互いに異なっていてもよい。さらに言えば、第1の搬送台車1a及び第2の搬送台車1bは、同じ軌道を走行することもあれば、互いに異なる軌道を走行することもあり、複数の軌道が交差する箇所で走行する軌道を変更することが可能である。
【0041】
第2の搬送台車1bの内部には、第1の搬送台車1aと同様に、FOUP5を把持するための把持部14bが搭載されている。把持部14bは、第2の搬送台車1bに対して昇降可能である。
【0042】
また、第2の搬送台車1bの側面には、第2の搬送台車側の通信デバイス11bが配置されている。第2の搬送台車側の通信デバイス11bは、第1の搬送台車側の通信デバイス11aと同様に、第1のポート側の通信デバイス3a及び第2のポート側の通信デバイス3bの各々との間で無線通信するように構成されている。
【0043】
なお、後述するように、第1の搬送台車側の通信デバイス11aは、他の搬送台車すなわち当該第1の搬送台車1a以外の搬送台車と、第1のポート4a又は第2のポート4bとの間で行われている無線通信を傍受するように構成されている。
【0044】
第1の半導体処理装置2a及び第2の半導体処理装置2bは、いずれもFOUP5に格納された半導体ウエハを処理又は仮置き等するための装置である。
図1に示す例では、第1の半導体処理装置2a及び第2の半導体処理装置2bは、軌道Lの直下にて並ぶように設置されている。なお、第1の半導体処理装置2a及び第2の半導体処理装置2bは、互いに異なる軌道の直下にそれぞれ設置されていてもよい。
【0045】
第1の半導体処理装置2aは、FOUP5に格納された半導体ウエハを半導体処理装置に対して搬入及び搬出するための第1の搬入出口40aと、第1の搬入出口40aの近傍に配置された第1のポート4aと、を有している。また、第2の半導体処理装置2bは、FOUP5に格納された半導体ウエハを半導体処理装置に対して搬入及び搬出するための第2の搬入出口40bと、第2の搬入出口40bの近傍に配置された第2のポート4bと、を有している。
【0046】
第1のポート4aは、FOUP5を載置するためのロードポートである。第1の搬送台車1aの把持部14a(又は第2の搬送台車1bの把持部14b)は、第1のポート4aとの間でFOUP5を移載する。第1のポート4aは、第1の搬入出口40aを通して第1の半導体処理装置2aとの間でFOUP5に格納された半導体ウエハの受け渡しを行う。
【0047】
第2のポート4bは、第1のポート4aと同様に、FOUP5を載置するためのロードポートである。第1の搬送台車1aの把持部14a(又は第2の搬送台車1bの把持部14b)は、第2のポート4bとの間でFOUP5を移載する。第2のポート4bは、第2の搬入出口40bを通して第2の半導体処理装置2bとの間でFOUP5に格納された半導体ウエハの受け渡しを行う。
【0048】
第1のポート側の通信デバイス3aは、第1の搬送台車側の通信デバイス11a及び第2の搬送台車側の通信デバイス11bの各々と、第1の半導体処理装置2aの第1のポート4aとの間の通信を仲介するためのデバイスサーバである。第1のポート側の通信デバイス3aは、第1の半導体処理装置2aの天面に配置されており、パラレルケーブルCaを介して、第1の半導体処理装置2aの第1のポート4aと接続されている。これにより、第1のポート側の通信デバイス3aは、パラレルケーブルCaを介して、第1の半導体処理装置2aの第1のポート4aと有線通信することができる。また、第1のポート側の通信デバイス3aは、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)による近距離無線通信等により、第1の搬送台車側の通信デバイス11a及び第2の搬送台車側の通信デバイス11bの各々と無線通信することができる。実施の形態では、無線通信に用いる周波数帯は、例えば2.4GHz帯又は5.8GHz帯である。また、当該近距離無線通信等には、マスタ及びスレーブ間でペアリングを確立し、無線通信を行う無線通信規格が含まれてもよい(例えば、ANT通信など)。
【0049】
第2のポート側の通信デバイス3bは、第1の搬送台車側の通信デバイス11a及び第2の搬送台車側の通信デバイス11bの各々と、第2の半導体処理装置2bの第2のポート4bとの間の通信を仲介するためのデバイスサーバである。第2のポート側の通信デバイス3bは、第2の半導体処理装置2bの天面に配置されており、パラレルケーブルCbを介して、第2の半導体処理装置2bの第2のポート4bと接続されている。これにより、第2のポート側の通信デバイス3bは、パラレルケーブルCbを介して、第2の半導体処理装置2bの第2のポート4bと有線通信することができる。また、第2のポート側の通信デバイス3bは、例えばBLEによる近距離無線通信等により、第1の搬送台車側の通信デバイス11a及び第2の搬送台車側の通信デバイス11bの各々と無線通信することができる。
【0050】
ここで、例えば、第1のポート4aに載置されたFOUP5を第1の搬送台車1aにより荷掴みする場合、及び、第1の搬送台車1aから第1のポート4aにFOUP5を荷降ろしする場合について説明する。この場合、上述した無線通信システム10では、SEMIのE84インターロックシーケンスに係るインターロック通信により、第1の搬送台車側の通信デバイス11aと、第1のポート側の通信デバイス3aとの間で制御信号(以下、「通信データ」ともいう)が授受される。ここで、インターロック通信は、ポート(第1のポート4a又は第2のポート4b)及び搬送台車(第1の搬送台車1a又は第2の搬送台車1b)の間で搬送物(FOUP)5を移載するための通信である。E84インターロックシーケンスでは、第1の搬送台車1aと第1のポート4aとの間でFOUP5を移載する際に、特定の制御信号(例えば「L_REQ」)がオフとならないと次の手順には移行しないような、複数の手順からなるインターロックシーケンスが採用されている。
【0051】
図2に示すように、FOUP5を荷掴みする際におけるE84インターロックシーケンスは、移載前手順、移載中手順及び移載後手順の3つのステップから成り立っている。また、
図3に示すように、FOUP5を荷降ろしする際におけるE84インターロックシーケンスは、
図2と同様に、移載前手順、移載中手順及び移載後手順の3つのステップから成り立っている。なお、移載前手順、移載中手順及び移載後手順は、例えば第1の搬送台車1aがFOUP5を移載すべき第1のポート4aの直上の位置に到着した後に、当該位置で停止した状態で実行される。あるいは、移載前手順は、第1の搬送台車1aがFOUP5を移載すべき第1のポート4aの直上よりも手前(上流)側の位置を走行しながら実行されるものであってもよい。また、移載後手順は、第1の搬送台車1aがFOUP5を移載すべき第1のポート4aの直上よりも後方(下流)側の位置を走行しながら実行されるものであってもよい。
【0052】
図2及び
図3に示すように、移載前手順では、第1の搬送台車側の通信デバイス11aと第1のポート側の通信デバイス3a(第1のポート4a)との間で、これからFOUP5の移載を開始する旨を示す制御信号が授受される。移載中手順では、第1の搬送台車側の通信デバイス11aと第1のポート側の通信デバイス3a(第1のポート4a)との間で、FOUP5の移載を実行するための制御信号が授受され、実際にFOUP5の移載が行われる。移載後手順では、第1の搬送台車側の通信デバイス11aと第1のポート側の通信デバイス3a(第1のポート4a)との間で、FOUP5の移載が完了した旨を示す制御信号が授受される。
【0053】
[2.無線通信システムの機能構成]
以下、
図4~
図6を参照しながら、実施の形態に係る無線通信システム10の機能構成について説明する。
図4は、実施の形態に係る無線通信システム10の機能構成を示すブロック図である。
図5は、インターロック通信に係る通信フレーム61の一例を示す図である。
図6は、管理テーブル62の一例を示す図である。
【0054】
なお、以下の説明において、第1の搬送台車1a及び第2の搬送台車1b等を特に区別しない場合には、「搬送台車1」と称する。また、以下の説明において、第1の搬送台車1aの把持部14a及び第2の搬送台車1bの把持部14b等を特に区別しない場合には、「把持部14」と称する。また、以下の説明において、第1の半導体処理装置2a及び第2の半導体処理装置2b等を特に区別しない場合には、「半導体処理装置2」と称する。また、以下の説明において、第1の搬送台車側の通信デバイス11a及び第2の搬送台車側の通信デバイス11b等を特に区別しない場合には、「搬送台車側の通信デバイス11」と称する。また、以下の説明において、第1のポート側の通信デバイス3a及び第2のポート側の通信デバイス3b等を特に区別しない場合には、「ポート側の通信デバイス3」と称する。また、以下の説明において、第1のポート4a及び第2のポート4b等を特に区別しない場合には、「ポート4」と称する。
【0055】
図4に示すように、無線通信システム10は、機能構成として、搬送台車1と、搬送台車側の通信デバイス11と、ポート側の通信デバイス3と、を備えている。なお、
図4では、搬送台車側の通信デバイス11は、搬送台車1の構成要素に含まれているが、搬送台車1と別体である。もちろん、搬送台車側の通信デバイス11は、搬送台車1と一体に構成されていてもよい。また、
図4では、ポート側の通信デバイス3は、半導体処理装置2の構成要素に含まれているが、半導体処理装置2とは別体である。もちろん、ポート側の通信デバイス3は、半導体処理装置2と一体に構成されていてもよい。
【0056】
ここでは、1つの搬送台車1及び1つのポート4に焦点を当てて説明するが、無線通信システム10が対象とする搬送台車1及びポート4は複数であってもよい。この場合、無線通信システム10は、複数の搬送台車1と、複数の搬送台車側の通信デバイス11と、複数のポート側の通信デバイス3と、を備えることになる。
【0057】
搬送台車側の通信デバイス11は、搬送台車1に接続され、ポート側の通信デバイス3との間で、無線通信によりインターロック通信に係る通信データを送受信する。
【0058】
ここで、一例として、搬送台車側の通信デバイス11とポート側の通信デバイス3との間で授受されるインターロック通信に係る通信データについて説明する。このインターロック通信に係る通信データは、例えば
図5に示すような通信フレーム61である。
図5に示す通信フレーム61は、「SYNC」、「Message Length」、「Message ID」、「搬送台車側無線ID」、「半導体処理装置側無線ID」、「Option/Message Status」、「PI/O IN 8bit」、「PI/O OUT 8bit」、及び、「CHECK SUM」の各フィールドを含む。
【0059】
「SYNC」は、通信フレーム61のSYNC部である。「Message Length」は、通信フレーム61の「Message ID」から「PI/O OUT 8bit」までのデータ長である。「Message ID」は、通信フレーム61のユニークな識別子である。「搬送台車側無線ID」は、搬送台車側の通信デバイス11の識別情報、言い換えれば搬送台車1の識別情報である。「半導体処理装置側無線ID」は、ポート側の通信デバイス3の識別情報、言い換えれば半導体処理装置2のポートの識別情報である。「Option/Message Status」は、オプション指示、及び、通信フレーム61の送信方向(搬送台車側の通信デバイス11→ポート側の通信デバイス3、又は、ポート側の通信デバイス3→搬送台車側の通信デバイス11)である。「PI/O IN 8bit」は、ポート4に入力されるパラレルI/Oデータである。「PI/O OUT 8bit」は、ポート4から出力されるパラレルI/Oデータである。「CHECK SUM」は、通信フレーム61のCHECK SUM部である。
【0060】
図4に戻って、搬送台車側の通信デバイス11は、判断部111と、処理部112と、検出部113と、を備えている。なお、判断部111、処理部112、及び検出部113は、例えばプロセッサがハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0061】
判断部111は、ペアリング信号の送信前に、ポート側の通信デバイス3との間での無線通信に用いる予定のチャネル(無線チャネル)と同一のチャネルを用いて他の搬送台車1がインターロック通信を行っているか否かを判断する。ここで、ペアリング信号は、搬送台車側の通信デバイス11とポート側の通信デバイス3との間で同期方式の無線通信を確立するための信号である。搬送台車側の通信デバイス11は、ポート側の通信デバイス3に向けてペアリング信号を送信し、ポート側の通信デバイス3との無線通信を確立させた後に、搬送台車1とポート4との間でのFOUP5の移載に関する各種通信を実行する。
【0062】
また、ここでいう「他の搬送台車1がインターロック通信を行っている」とは、具体的には、他の搬送台車1に設けられた他の搬送台車側の通信デバイス11が送信及び受信するインターロック通信に係る信号と、搬送台車(自車)側の通信デバイス11が送信及び受信するインターロック通信に係る信号とが干渉し得る状態にある、ことをいう。
【0063】
つまり、判断部111は、ペアリング信号を送信する前段階において、同一のチャネルを用いてインターロック通信を行っている他の搬送台車側の通信デバイス11が、無線通信が干渉し得る範囲内に存在するか否かをモニタリングする。判断部111の動作については、後述する[3.無線通信システムの動作]にて詳細に説明する。
【0064】
処理部112は、判断部111が同一のチャネルを用いて他の搬送台車1がインターロック通信を行っていると判断した場合、インターロック通信に係る信号の送信タイミングを、他の搬送台車1のインターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御する。ここで、インターロック通信に係る信号は、搬送台車側の通信デバイス11とポート側の通信デバイス3との間での無線通信が確立している状態において、搬送台車側の通信デバイス11から送信されるコマンド信号、及びコマンド信号を受信したポート側の通信デバイス3から送信される応答信号を含む。
【0065】
処理部112は、判断部111が他の搬送台車1がインターロック通信を行っていないと判断した場合、ペアリング信号を送信し、モニタリングが終了してから既定の送信タイミング時間である所定時間が経過すると、所定の周期でコマンド信号の送信を開始する。一方、処理部112は、判断部111が他の搬送台車1がインターロック通信を行っていると判断した場合、ペアリング信号を送信した後に、ターゲットである他の搬送台車1の送信タイミングから所定の遅延時間の経過を待った後、所定の周期でコマンド信号の送信を開始する。ここでいう「ターゲット」は、インターロック通信に係る信号の送信タイミングをずらす対象となる他の搬送台車1(他の搬送台車側の通信デバイス11)である。つまり、処理部112は、他の搬送台車1がインターロック通信を行っていると判断した場合、インターロック通信に係る信号の送信タイミングを、当該他の搬送台車1のインターロック通信に係る信号の送信タイミングから所定の遅延時間だけずらす。
【0066】
実施の形態では、処理部112は、判断部111が同一のチャネルを用いてインターロック通信を行っている他の搬送台車1が複数存在すると判断した場合、所定のアルゴリズムに基づいて優先ターゲットを決定する。ここでいう「優先ターゲット」は、同一のチャネルを用いてインターロック通信を行っている他の搬送台車1が複数存在する場合におけるターゲットに相当する。優先ターゲットとなる他の搬送台車1は、例えば複数の他の搬送台車1のうち、無線通信の干渉が生じる可能性が最も高い搬送台車1である。
【0067】
なお、実施の形態では、処理部112は、判断部111が他の搬送台車1がインターロック通信を行っていると判断した場合、ペアリング信号の送信タイミングもずらしている。処理部112の動作については、後述する[3.無線通信システムの動作]にて詳細に説明する。
【0068】
検出部113は、他の搬送台車1のインターロック通信に係る無線通信(同一チャネル)の信号強度を検出する。実施の形態では、検出部113は、搬送台車側の通信デバイス11が受信した無線信号のうち、他のポート側の通信デバイス3が送信した無線信号のRSSI(Received Signal Strength Indicator)値を検出する。
【0069】
搬送台車1は、制御部12と、記憶部13と、把持部14と、を備えている。
【0070】
制御部12は、記憶部13を参照し、かつ、搬送台車側の通信デバイス11を制御することにより、各種の処理を実行する。なお、制御部12は、例えばプロセッサがハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0071】
記憶部13は、管理テーブル62を記憶するメモリである。管理テーブル62は、例えば
図6に示すように、半導体処理装置2ごとに(言い換えれば、ポート4ごとに)、半導体処理装置2のステーション番号と、ポート側の通信デバイス3の無線チャネルと、ポート側の通信デバイス3のデバイス番号(識別情報)との対応関係を示すデータテーブルである。
図6に示す例では、管理テーブル62の1行目には、半導体処理装置2のステーション番号「00001」と、ポート側の通信デバイス3の無線チャネル「001」と、ポート側の通信デバイス3のデバイス番号「00001」とが対応付けられて格納されている。
【0072】
ポート側の通信デバイス3は、ポート4に有線接続される。ポート側の通信デバイス3は、搬送台車側の通信デバイス11からペアリング信号を受信することをトリガとして、搬送台車側の通信デバイス11との間でインターロック通信を所定の周期で無線通信により行う。これにより、通信デバイス3に有線接続されたポート4と搬送台車側の通信デバイス11との間でインターロック通信が行われる。ポート側の通信デバイス3は、通信部31と、制御部32と、を有している。
【0073】
通信部31は、搬送台車側の通信デバイス11との間で、無線通信によりインターロック通信に係る通信データを送信及び受信する。具体的には、通信部31は、搬送台車側の通信デバイス11から送信されるコマンド信号を受信し、かつ、搬送台車側の通信デバイス11に向けて応答信号を送信する。また、通信部31は、パラレルケーブルを介して、ポート4との間で通信データを送信及び受信する。
【0074】
制御部32は、通信部31を制御することにより、各種の処理を実行する。なお、制御部32は、例えばプロセッサがハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0075】
ポート4は、搬送台車1により搬送物(FOUP)5が移載される。ポート4は、通信部41と、制御部42と、を有している。
【0076】
通信部41は、パラレルケーブルを介して、ポート側の通信デバイス3との間で通信データを送信及び受信する。
【0077】
制御部42は、通信部41を制御することにより、各種の処理を実行する。具体的には、制御部42は、ポート側の通信デバイス3からの通信データに基づいて、搬送台車1との間でFOUP5を移載するためのインターロック処理を実行する。また、制御部42は、搬入出口を通して半導体処理装置2との間でFOUP5に格納される半導体ウエハの受け渡しを行うための処理を実行する。なお、制御部42は、例えばプロセッサがハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0078】
[3.無線通信システムの動作]
以下、実施の形態に係る無線通信システム10、特には搬送台車側の通信デバイス11の動作について説明する。
【0079】
[3-1.基本動作]
まず、無線通信システム10(搬送台車側の通信デバイス11)の基本動作について、
図7~
図9を参照しながら説明する。
図7は、実施の形態に係る無線通信システム10におけるモニタリング動作の一例を示すフローチャートである。
図8は、実施の形態に係る無線通信システム10におけるターゲットの決定動作の一例を示すフローチャートである。
図9は、実施の形態に係る無線通信システム10におけるインターロック通信動作の一例を示すフローチャートである。
【0080】
搬送台車側の通信デバイス11の判断部111は、対象とするポート4との間でのFOUP5の移載を開始する前段階、例えば搬送台車1が対象とするポート4の手前の位置又は直上の位置まで移動してきた段階で、
図7に示すモニタリング動作を開始する。モニタリング動作を開始するに際し、判断部111は、最初に搬送台車側の通信デバイス11に内蔵されたメモリにおけるモニタリング記録エリアをクリア(リセット)する(S11)。そして、判断部111は、ソフトウェアタイマを起動する(S12)。これにより、判断部111によるモニタリング動作が開始される。
【0081】
モニタリング動作において、判断部111は、他の搬送台車1と他のポート(対象とするポート4以外のポート)側の通信デバイス3との間の無線通信の有無を判断する(S13)。無線通信がある場合(S13:Yes)、取得した通信フレーム61に含まれる他の搬送台車のID(「搬送台車側無線ID」)が新規であれば(S14:Yes)、判断部111は、当該搬送台車側無線IDをモニタリング記録エリアに書き込む(S15)。一方、搬送台車側無線IDが既にモニタリング記録エリアに書き込まれている場合(S14:No)、判断部111はステップS15を実行しない。
【0082】
次に、判断部111は、搬送台車側無線IDごとに、モニタリング動作の経過時間と、検出部113が検出したRSSI値とをモニタリング記録エリアに書き込む(S16)。さらに、判断部111は、搬送台車側無線IDごとに、モニタリング動作の経過時間と、取得した通信フレーム61のPI/O IN(8bit)値及びPI/O OUT(8bit)値とをモニタリング記録エリアに書き込む(S17)。なお、他の搬送台車側の通信デバイス11と他のポート側の通信デバイス3との間の無線通信が無い場合(S13:No)、判断部111は、ステップS14~S17を実行しない。
【0083】
以下、ソフトウェアタイマを起動してからモニタリング時間が経過するまでの間(S18:No)、判断部111はステップS13~S17を繰り返す。そして、ソフトウェアタイマを起動してからモニタリング時間が経過すると(S18:Yes)、判断部111は、モニタリング動作を終了する。
【0084】
このようにして、判断部111は、他の搬送台車1ごとに、インターロック通信に係る信号の送信タイミング、受信タイミング、所定の周期、インターロック通信の進行状況、及びRSSI値を取得する。ここでいう「インターロック通信の進行状況」は、他の搬送台車側の通信デバイス11と他のポート側の通信デバイス3との間の通信に基づく、他の搬送台車1と他のポート4との間で行われる搬送物(FOUP)5の移載の進捗をいう。実施の形態では、インターロック通信の進行状況は、搬送物5を移載する前の移載前手順、搬送物5を移載している途中である移載中手順、及び搬送物5を移載した後の移載後手順のうちのいずれかの手順の実行段階である。
【0085】
次に、搬送台車側の通信デバイス11の処理部112は、
図8に示すターゲットの決定動作を開始する。まず、処理部112は、判断部111の判断結果に基づいて、インターロック通信中の他の搬送台車1の有無を確認する(S21,S22)。インターロック通信中の他の搬送台車1が存在しない場合(S21:No)、処理部112は、ターゲットを決定せずに、ターゲットの決定動作を終了する。この場合、処理部112は、後述するインターロック通信動作におけるステップS36を実行する。
【0086】
インターロック通信中の他の搬送台車1が1台である場合(S21:Yes、S22:No)、処理部112は、当該他の搬送台車1をターゲットに決定し(S28)、ターゲットの決定動作を終了する。一方、インターロック通信中の他の搬送台車1が2台以上である場合(S22:Yes)、処理部112は、以下のステップS23~S27を実行することにより、優先ターゲットを決定する。
【0087】
まず、処理部112は、検出部113が検出したRSSI値が高い上位2つの搬送台車側無線IDをモニタリング記録エリアから読み出す(S23)。つまり、処理部112は、インターロック通信中の複数の他の搬送台車1のうち、最もRSSI値の高い他の搬送台車1と、2番目にRSSI値の高い他の搬送台車1とを選択する。なお、インターロック中の複数の他の搬送台車1が2台である場合、処理部112は、これら2台の搬送台車側無線IDをモニタリング記録エリアから読み出すことになる。
【0088】
次に、処理部112は、選択した上位2つの搬送台車1から取得した通信フレーム61のうち、最後(つまり最新)の通信フレーム61に含まれるPI/O IN(8bit)値及びPI/O OUT(8bit)値と、をモニタリング記録エリアから読み出す(S24)。
【0089】
ここで、PI/O IN(8bit)値及びPI/O OUT(8bit)値には、インターロック通信の進行状況を示す情報が含まれている。具体的には、
図2及び
図3に示すように、E84インターロックシーケンスにおける特定の制御信号(ここでは、「CS_0」、「BUSY」、及び「COMPT」)に基づいて、他の搬送台車1が移載前手順、移載中手順、及び移載後手順のうちのいずれかの手順の実行段階にあることが判断可能である。例えば、「CS_0」がオン、「BUSY」がオフ、及び「COMPT」がオフの場合、処理部112は、他の搬送台車1が移載前手順の実行段階にあると判断する。また、例えば、「CS_0」がオン、「BUSY」がオン、及び「COMPT」がオフの場合、処理部112は、他の搬送台車1が移載中手順の実行段階にあると判断する。また、例えば、「CS_0」がオン、「BUSY」がオフ、及び「COMPT」がオンの場合、処理部112は、他の搬送台車1が移載後手順の実行段階にあると判断する。なお、「CS_0」、「BUSY」、及び「COMPT」がいずれもオフである場合、処理部112は、他の搬送台車1によるFOUP5の移載が完了していると判断する。
【0090】
そして、処理部112は、選択した上位2つの搬送台車1のうち一方の搬送台車1の手順の進行が他方の搬送台車1の手順よりも前の状態にあれば(S25:Yes)、一方の搬送台車1を優先ターゲットに決定する(S26)。また、処理部112は、選択した上位2つの搬送台車1のうち他方の搬送台車1の手順の進行が一方の搬送台車1の手順よりも前の状態にあれば(S25:No)、他方の搬送台車1を優先ターゲットに決定する(S27)。ここで、移載前手順は、移載中手順の前の手順であり、移載中手順は、移載後手順の前の手順である。つまり、処理部112は、FOUP5の移載を完了するまでに要する時間が長い他の搬送台車1を、無線通信が干渉し得る期間が長い、つまり無線通信が干渉する可能性が高いと判断し、このような他の搬送台車1を優先ターゲットに決定する。処理部112は、優先ターゲットを決定すると、ターゲットの決定動作を終了する。
【0091】
次に、処理部112は、
図9に示すインターロック通信動作を開始する。処理部112は、ターゲット又は優先ターゲットを決定している場合、つまりインターロック通信中の他の搬送台車1が存在する場合、以下のステップS31~S34を実行した後に、ステップS35,S37~S39を実行する。
【0092】
まず、処理部112は、ターゲット又は優先ターゲットの送信タイミングまでの時間に所定の遅延時間を加算した送信時間を設定する(S31)。次に、処理部112は、ソフトウェアタイマを起動し(S32)、ペアリング信号を送信することでポート側の通信デバイス3とのペアリングを実行する(S33)。
【0093】
ソフトウェアタイマを起動してから(つまり、ペアリング信号を送信してから)送信時間が経過するまでの間(S34:No)、処理部112は、特に何も実行せずに待機する。そして、ソフトウェアタイマを起動してから送信時間が経過すると(S34:Yes)、処理部112は、コマンド信号をポート側の通信デバイス3に向けて送信する(S35)。これにより、搬送台車側の通信デバイス11は、ポート側の通信デバイス3との間でインターロック通信を開始する。コマンド信号の通信フレーム61には、搬送台車1の制御部12から受信した制御データが「PI/O IN 8bit」に書き込まれる。
【0094】
処理部112は、コマンド信号の送信後、ポート側の通信デバイス3からの応答信号を受信するまでの間(S37:No)、応答信号を待ち受ける。そして、ポート側の通信デバイス3からの応答信号を受信すると(S37:Yes)、処理部112は、受信した応答信号に含まれる「PI/O OUT 8bit」のデータを読み出し、搬送台車1の制御部12へ送信する(S38)。
【0095】
以下、ポート側の通信デバイス3との間のインターロック通信が終了するまでの間(S39:No)、処理部112はステップS35,S37~S39を繰り返す。そして、ポート側の通信デバイス3との間のインターロック通信が終了すると(S39:Yes)、処理部112は、インターロック通信動作を終了する。
【0096】
なお、処理部112は、ターゲット又は優先ターゲットを決定していない場合、つまりインターロック通信中の他の搬送台車1が存在しない場合(S21:No)、ステップS31~S34を実行せずに、ペアリング信号を送信することでポート側の通信デバイス3とのペアリングを実行する(S36)。そして、処理部112は、ターゲット又は優先ターゲットを決定している場合と同様に、ステップS35,S37~S39を実行する。
【0097】
[3-2.具体例]
以下、実施の形態に係る無線通信システム10(搬送台車側の通信デバイス11)の動作の具体例について、
図10及び
図11を参照しながら説明する。
図10は、実施の形態に係る無線通信システム10の動作の具体例を説明するための図である。
図11は、実施の形態に係る無線通信システム10の動作の具体例の流れを示すシーケンス図である。
【0098】
以下、
図10に示すように、半導体製造工場内に、第1の半導体処理装置2a、第2の半導体処理装置2b、及び第3の半導体処理装置2cがこの順に並んで設置されている場合を考える。なお、半導体製造工場内には、これらの半導体処理装置2a~2cの他にも半導体処理装置2が設置されている。以下の説明において、第1の搬送台車1a及び第2の搬送台車1b、第1の半導体処理装置2a及び第2の半導体処理装置2b、第1のポート側の通信デバイス3a及び第2のポート側の通信デバイス3b、並びに第1のポート4a及び第2のポート4bについては、既に
図1を参照して説明しているため、ここでは説明を省略する。
【0099】
図10に示す例では、半導体製造工場内には、第1の搬送台車1a及び第2の搬送台車1bの他に、第3の搬送台車1cが更に設けられている。また、第3の半導体処理装置2cは、第3のポート4cを有している。第3のポート4cには、第3のポート側の通信デバイス3cが接続されている。
【0100】
第3の搬送台車1cは、
図1に示した他の搬送台車1a、1bと同様に、半導体ウエハが格納されたFOUP5を搬送するための天井走行式の搬送台車である。第3の搬送台車1cは、他の搬送台車1a、1bと同様に、半導体製造工場の天井に設置された軌道Lに沿って無人走行する。なお、各搬送台車1a~1cが走行する軌道は、互いに異なっていてもよい。さらに言えば、各搬送台車1a~1cは、同じ軌道を走行することもあれば、互いに異なる軌道を走行することもあり、複数の軌道が交差する箇所で走行する軌道を変更することが可能である。
【0101】
第3の搬送台車1cの内部には、他の搬送台車1a、1bと同様に、FOUP5を把持するための把持部(図示せず)が搭載されている。把持部は、第3の搬送台車1cに対して昇降可能である。
【0102】
また、第3の搬送台車1cの側面には、第3の搬送台車側の通信デバイス11cが配置されている。第3の搬送台車側の通信デバイス11cは、他の搬送台車側の通信デバイス11a、11bと同様に、各ポート側の通信デバイス3a~3cとの間で無線通信するように構成されている。
【0103】
なお、第3の搬送台車側の通信デバイス11cは、他の搬送台車すなわち当該第3の搬送台車1c以外の搬送台車と、いずれかのポート4a~4cとの間で行われている無線通信を傍受するように構成されている。
【0104】
第3の半導体処理装置2cは、
図1に示した他の半導体処理装置2a、2bと同様に、FOUP5に格納された半導体ウエハを処理又は仮置き等するための装置である。
図10に示す例では、第3の半導体処理装置2cは、軌道Lの直下にて並ぶように設置されている。なお、各半導体処理装置2a~2cは、互いに異なる軌道の直下にそれぞれ設置されていてもよい。
【0105】
第3の半導体処理装置2cは、FOUP5に格納された半導体ウエハを半導体処理装置に対して搬入及び搬出するための第3の搬入出口と、搬入出口の近傍に配置された第3のポート4cと、を有している。
【0106】
第3のポート4cは、FOUP5を載置するためのロードポートである。各搬送台車1a~1cの把持部は、第3のポート4cとの間でFOUP5を移載する。第3のポート4cは、第3の搬入出口を通して第3の半導体処理装置2cとの間でFOUP5に格納された半導体ウエハの受け渡しを行う。
【0107】
第3のポート側の通信デバイス3cは、各搬送台車側の通信デバイス11a~11cと、第3の半導体処理装置2cの第3のポート4cとの間の通信を仲介するためのデバイスサーバである。第3のポート側の通信デバイス3cは、第3の半導体処理装置2cの天面に配置されており、パラレルケーブルを介して、第3の半導体処理装置2cの第3のポート4cと接続されている。これにより、第3のポート側の通信デバイス3cは、パラレルケーブルを介して、第3の半導体処理装置2cの第3のポート4cと有線通信することができる。また、第3のポート側の通信デバイス3cは、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)による近距離無線通信等により、各搬送台車側の通信デバイス11a~11cの各々と無線通信することができる。
【0108】
また、以下では、第1の搬送台車1a、第2の搬送台車1b、及び第3の搬送台車1cが、上位コントローラ(図示せず)より、FOUP5を移載するように指示された場合について説明する。
【0109】
具体的には、第1の搬送台車1aは、軌道Lに沿って走行し、FOUP5を移載すべき第1のポート4aの直上の位置で停止している。第2の搬送台車1bは、軌道Lに沿って走行し、FOUP5を移載すべき第2のポート4bの直上の位置で停止している。第3の搬送台車1cは、軌道Lに沿って走行し、FOUP5を移載すべき第3のポート4cの直上の位置で停止している。第1の搬送台車1a、第2の搬送台車1b、及び第3の搬送台車1cは、それぞれ第1の搬送台車側の通信デバイス11a、第2の搬送台車側の通信デバイス11b、及び第3の搬送台車側の通信デバイス11cを備えている。
【0110】
さらに、以下では、第1の搬送台車側の通信デバイス11aと第1のポート側の通信デバイス3aとの間のインターロック通信、第2の搬送台車側の通信デバイス11bと第2のポート側の通信デバイス3bとの間のインターロック通信、及び第3の搬送台車側の通信デバイス11cと第3のポート側の通信デバイス3cとの間のインターロック通信には、いずれも同一の無線チャネルを使用することとして説明する。つまり、これらのインターロック通信は、場合によっては干渉し得ることになる。なお、
図10では、第1の搬送台車1a、第2の搬送台車1b、及び第3の搬送台車1cが同時にインターロック通信を行っている状態を表している。
【0111】
図11に示す例では、まず、第1の搬送台車側の通信デバイス11a(図示では、「第1通信デバイス11a」)が第1のポート側の通信デバイス3a(図示では、「第1通信デバイス3a」)との間でのインターロック通信を開始する。続いて、第2の搬送台車側の通信デバイス11b(図示では、「第2通信デバイス11b」)が第2のポート側の通信デバイス3b(図示では、「第2通信デバイス3b」)との間でのインターロック通信を開始する。最後に、第3の搬送台車側の通信デバイス11c(図示では、「第3通信デバイス11c」)が第3のポート側の通信デバイス3c(図示では、「第3通信デバイス3c」)との間でのインターロック通信を開始する。
【0112】
まず、第1の搬送台車側の通信デバイス11aは、モニタリング時間TMの間、モニタリングを実行する(S101)。モニタリング時間TMは、例えば数百msである。ここでは、インターロック通信中の他の搬送台車1が存在しないので、第1の搬送台車側の通信デバイス11aは、モニタリングが終了すると、ペアリング信号P1を送信し(S102)、所定時間の経過後、コマンド信号C1を送信する(S103)。これにより、第1の搬送台車側の通信デバイス11aは、第1のポート側の通信デバイス3aとの間でインターロック通信を開始する。インターロック通信中においては、第1の搬送台車側の通信デバイス11aは、コマンド信号C1を送信し(S103)、一定時間T1後に第1のポート側の通信デバイス3aからの応答信号R1を受信する(S104)という一連の通信を、所定の周期T2で繰り返す。一定時間T1は、遅延時間T3(後述する)よりも短い時間であって、例えば数百μsである。また、所定の周期T2は、遅延時間T3よりも長く、モニタリング時間TMよりも短い時間であって、例えば数十msである。
【0113】
次に、第2の搬送台車側の通信デバイス11bは、モニタリング時間TMの間、モニタリングを実行する(S201)。ここでは、インターロック通信中の他の搬送台車1(第1の搬送台車1a)が存在するので、第2の搬送台車側の通信デバイス11bは、第1の搬送台車1aをターゲットに決定する。そして、第2の搬送台車側の通信デバイス11bは、ペアリング信号P2を送信した後(S202)、第1の搬送台車側の通信デバイス11aによるコマンド信号C1の送信タイミングから遅延時間T3だけずらしたタイミングで、コマンド信号C2を送信する(S203)。遅延時間T3は、一定時間T1よりも長く、所定の周期T2よりも短い時間であって、例えば1msである。これにより、第2の搬送台車側の通信デバイス11bは、第2のポート側の通信デバイス3bとの間でインターロック通信を開始する。なお、ここでは、ペアリング信号P2の送信タイミングとコマンド信号C2の送信タイミングとの間隔は一定であるため、コマンド信号C2の送信タイミングをずらすのに呼応して、結果的にペアリング信号P2の送信タイミングもずらしている。
【0114】
インターロック通信中においては、第2の搬送台車側の通信デバイス11bは、コマンド信号C2を送信し(S203)、一定時間T1後に第2のポート側の通信デバイス3bからの応答信号R2を受信する(S204)という一連の通信を、所定の周期T2で繰り返す。このため、第1の搬送台車1aにおけるインターロック通信に係る信号の送信タイミングと、第2の搬送台車1bにおけるインターロック通信に係る信号の送信タイミングとは、基本的に遅延時間T3だけずれることになり、無線通信の干渉が生じにくい。
【0115】
最後に、第3の搬送台車側の通信デバイス11cは、モニタリング時間TMの間、モニタリングを実行する(S301)。ここでは、インターロック通信中の他の搬送台車1が2台(第1の搬送台車1a及び第2の搬送台車1b)存在する。したがって、第3の搬送台車側の通信デバイス11cは、第1の搬送台車1a及び第2の搬送台車1bのいずれか一方を優先ターゲットに決定する。ここでは、第3の搬送台車側の通信デバイス11cは、第2の搬送台車1bを優先ターゲットに決定したこととして説明する。
【0116】
そして、第3の搬送台車側の通信デバイス11cは、ペアリング信号P3を送信した後(S302)、第2の搬送台車側の通信デバイス11bによるコマンド信号C2の送信タイミングから遅延時間T3だけずらしたタイミングで、コマンド信号C3を送信する(S303)。これにより、第3の搬送台車側の通信デバイス11cは、第3のポート側の通信デバイス3cとの間でインターロック通信を開始する。なお、ここでは、ペアリング信号P3の送信タイミングとコマンド信号C3の送信タイミングとの間隔は一定であるため、コマンド信号C2の送信タイミングをずらすのに呼応して、結果的にペアリング信号P3の送信タイミングもずらしている。
【0117】
インターロック通信中においては、第3の搬送台車側の通信デバイス11cは、コマンド信号C3を送信し(S303)、一定時間T1後に第3のポート側の通信デバイス3cからの応答信号R3を受信する(S304)という一連の通信を、所定の周期T2で繰り返す。このため、第2の搬送台車1bにおけるインターロック通信に係る信号の送信タイミングと、第3の搬送台車1cにおけるインターロック通信に係る信号の送信タイミングとは、基本的に遅延時間T3だけずれることになり、無線通信の干渉が生じにくい。
【0118】
なお、搬送台車1の所定の周期T2と、ターゲット又は優先ターゲットである他の搬送台車1の所定の周期T2とが互いに異なる場合、複数回のインターロック通信のいずれかのタイミングで無線通信の干渉が生じ得る。しかしながら、複数回のインターロック通信において1回の無線通信の干渉が生じても、連続して無線通信の干渉が生じるわけではなく、インターロック通信全体としては支障はない。
【0119】
[4.利点]
以下、実施の形態に係る無線通信システム10(特に、搬送台車側の通信デバイス11)の利点について、
図12を参照して説明する。
図12は、実施の形態の無線通信システムの利点を説明するための図である。
図12に示す例では、複数の半導体処理装置2が半導体製造工場内に配置されており、各半導体処理装置2が4つのポート側の通信デバイス3を有している(言い換えれば、各半導体処理装置2が4つのポート4(図示せず)を有している)。各通信デバイス3を示す矩形の内側に記載されている数字は、当該通信デバイス3が使用する無線チャネルを表している。
図12に示す例では、同一の無線チャネルを用いる複数のポート側の通信デバイス3を、互いに所定距離以上離れるように設置している。具体的には、無線チャネル「1」を用いるポート側の通信デバイス3が設置されている領域A1,A2,A3は、互いに所定距離以上離れるように設置し、これにより無線通信の干渉を防ぐように試みている。以下、領域A1と領域A3との間の距離を「第1所定距離」、領域A1と領域A2との間の距離を「第2所定距離」と称する。
【0120】
なお、
図12において、例えば領域A1のように同一の無線チャネルを用いる2つのポート側の通信デバイス3が隣接して設置されている箇所が存在するが、これは、隣接する2つのポート側の通信デバイス3が同時に無線通信を行うことがなく、無線通信の干渉が起こらないためである。
【0121】
例えば、隣接する2つのポート側の通信デバイス3のうちの一方のポート側の通信デバイス3の上方に搬送台車1(図示せず)が配置されている、と仮定する。この場合、当該搬送台車1の寸法に起因して、他方のポート側の通信デバイス3の上方に他の搬送台車1を配置するためのスペースが確保できない。つまり、隣接する2つのポート側の通信デバイス3の各々の上方に搬送台車1が2台並んで配置されることがない。このため、隣接する2つのポート側の通信デバイス3のうちの一方のポート側の通信デバイス3が無線通信を行っている状態では、他方のポート側の通信デバイス3が無線通信を行うことができず、隣接する2つのポート側の通信デバイス3が同時に無線通信を行うことがない。
【0122】
ここで、第1所定距離程度、複数のポート側の通信デバイス3を離して設置することができれば、無線通信の干渉を防ぐことが可能である。しかしながら、半導体製造工場内に設置可能なスペース如何によっては、全てのポート側の通信デバイス3について第1所定距離程度、離して設置することが難しい場合もある。例えば、
図12に示す例では、複数のポート側の通信デバイス3を第2所定距離(<第1所定距離)程度しか離して設置できない場合があり、無線通信の干渉が生じる可能性がある。なお、使用する無線チャネルの数を増やすことで上記課題を解消することが考えられるが、使用可能な無線チャネルの数にも限りがあることから、やはり無線通信の干渉を防ぎきれない、という課題がある。
【0123】
そこで、実施の形態に係る無線通信システム10では、搬送台車側の通信デバイス11は、ポート側の通信デバイス3との間での無線通信に用いる予定のチャネルと同一のチャネルを用いて他の搬送台車1がインターロック通信を行っているか否かを判断している。そして、搬送台車側の通信デバイス11は、同一のチャネルを用いて他の搬送台車1がインターロック通信を行っていると判断した場合、インターロック通信に係る信号の送信タイミングを、他の搬送台車1のインターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御している。
【0124】
このため、実施の形態に係る無線通信システム10では、比較的近傍に同一のチャネルを用いてインターロック通信を行う複数の搬送台車1(言い換えれば、複数のポート側の通信デバイス3)が存在する場合でも、インターロック通信に係る信号の送信タイミングが互いにずれることで、無線通信の干渉が生じにくい。つまり、実施の形態に係る無線通信システム10では、搬送台車1(つまり、搬送台車側の通信デバイス11)とポート側の通信デバイス3との間のインターロック通信における通信エラーを低減することができる。
【0125】
換言すると、実施の形態に係る無線通信システム10では、複数のポート側の通信デバイス3を互いに第1所定距離以上離す必要がないため、ポート側の通信デバイス3の台数を増やしても半導体製造工場内のスペースを有効に利用しやすい。さらに、実施の形態に係る無線通信システム10では、チャネルの数を増やす必要がないため、使用するチャネルの数を抑えることができ、使用可能なチャネルを有効に利用しやすい。
【0126】
また、実施の形態に係る無線通信システム10では、搬送台車側の通信デバイス11は、同一のチャネルを用いて他の搬送台車1がインターロック通信を行っていると判断した場合、ペアリング信号の送信タイミングも、他の搬送台車1のインターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御している。このため、実施の形態に係る無線通信システム10では、比較的近傍に同一のチャネルを用いてインターロック通信を行う複数の搬送台車1が存在する場合でも、ペアリング信号の送信タイミングが互いにずれることで、無線通信の干渉が生じにくくすることができる。その結果、搬送台車側の通信デバイス11とポート側の通信デバイス3との間のペアリングが失敗しにくい。
【0127】
また、実施の形態に係る無線通信システム10では、搬送台車側の通信デバイス11は、同一のチャネルを用いてインターロック通信を行っている他の搬送台車1が複数存在すると判断した場合、検出部113が検出した信号強度に基づいて優先ターゲットを決定している。このため、実施の形態に係る無線通信システム10では、無線干渉が発生する可能性を示す指標となる信号強度に基づいて優先ターゲットを決定するので、無線干渉の発生を効果的に抑制できる。
【0128】
また、実施の形態に係る無線通信システム10では、搬送台車側の通信デバイス11は、検出部113が検出した信号強度が大きい他の搬送台車1(ここでは、特に信号強度の大きい上位2つの他の搬送台車1)から優先的に優先ターゲットに決定している。このため、実施の形態に係る無線通信システム10では、無線干渉が発生する可能性が比較的高い他の搬送台車1を優先ターゲットに決定するので、無線干渉の発生をより効果的に抑制できる。
【0129】
また、実施の形態に係る無線通信システム10では、搬送台車側の通信デバイス11は、同一のチャネルを用いてインターロック通信を行っている他の搬送台車1が複数存在すると判断した場合、他の搬送台車1におけるインターロック通信の進行状況に基づいて優先ターゲットを決定している。このため、実施の形態に係る無線通信システム10では、無線通信の干渉が発生し得る期間の長さを示す指標となるインターロック通信の進行状況に基づいて優先ターゲットを決定するので、無線干渉の発生を効果的に抑制できる。
【0130】
(その他の変形例等)
以上、本発明の無線通信システム及び通信方法について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態に対して当業者が思い付く変形を施して得られる形態、及び、上記実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
【0131】
実施の形態において、搬送台車側の通信デバイス11は、検出部113が検出した信号強度が最も大きい他の搬送台車1を優先ターゲットに決定してもよい。これによれば、無線干渉が発生する可能性が最も高い他の搬送台車1を優先ターゲットに決定するので、無線干渉の発生をより効果的に抑制できる。この場合、搬送台車側の通信デバイス11は、インターロック通信の進行状況に基づいて優先ターゲットを決定せずともよい。
【0132】
また、実施の形態において、搬送台車側の通信デバイス11は、検出部113が検出した信号強度が所定の閾値以上となる他の搬送台車1を優先ターゲットに決定してもよい。これによれば、無線干渉が発生する可能性のある他の搬送台車1に絞って優先ターゲットに決定するので、無線干渉の発生をより効果的に抑制できる。
【0133】
実施の形態において、搬送台車側の通信デバイス11は、インターロック通信の進行状況が移載前手順の実行段階である他の搬送台車1を優先ターゲットに決定してもよい。また、実施の形態において、搬送台車側の通信デバイス11は、インターロック通信の進行状況が移載前手順の実行段階である他の搬送台車1、及び移載中手順の実行段階である他の搬送台車1を優先ターゲットに決定してもよい。これらによれば、インターロック通信の完了までに比較的時間を要する、つまり無線干渉が発生し得る期間が比較的長い他の搬送台車1を優先ターゲットに決定するので、無線干渉の発生をより効果的に抑制できる。
【0134】
また、実施の形態において、搬送台車側の通信デバイス11は、インターロック通信の進行状況が移載後手順の実行段階である他の搬送台車1を優先ターゲットから除外してもよい。これによれば、インターロック通信の完了までに要する時間が比較的短い、つまり無線干渉が発生し得る期間が比較的短い他の搬送台車1を優先ターゲットから除外するので、無線干渉が発生する可能性が比較的高い他の搬送台車1を優先ターゲットに決定しやすくなり、無線干渉の発生をより効果的に抑制できる。
【0135】
ところで、実施の形態において、搬送台車側の通信デバイス11は、無線通信システム10の構成要素の1つであるが、これに限られない。例えば、搬送台車側の通信デバイス11は、単独で市場に流通可能である。すなわち、搬送台車側の通信デバイス11は、軌道Lに沿って走行することにより搬送物5を搬送する搬送台車1に接続される通信デバイスである。そして、搬送台車側の通信デバイス11は、判断部111と、処理部112と、を備える。判断部111は、搬送台車1により搬送物5が移載されるポート4に接続されるポート側の通信デバイス3が、ペアリング信号の送信前に、ポート側の通信デバイス3との間での無線通信に用いる予定のチャネルと同一のチャネルを用いて他の搬送台車1がインターロック通信を行っているか否かを判断する。ペアリング信号は、搬送台車側の通信デバイス11との間で、ポート4に対して搬送物5を移載するためのインターロック通信を所定の周期で無線通信により行うトリガとなる信号である。処理部112は、判断部111が同一のチャネルを用いて他の搬送台車1がインターロック通信を行っていると判断した場合、インターロック通信に係る信号の送信タイミングを、他の搬送台車1のインターロック通信に係る信号の送信タイミングからずらすように制御する。
【0136】
実施の形態では、半導体処理装置2が1つのポート4を有する場合について説明したが、これに限られない。例えば、半導体処理装置2は、複数のポート4を有していてもよい。この場合、複数のポート4に対して複数のポート側の通信デバイス3がそれぞれ一対一で接続される。
【0137】
実施の形態では、搬送台車側の通信デバイス11は、信号強度及びインターロック通信の進行状況の両方を参照して優先ターゲットを決定しているが、これに限られない。例えば、搬送台車側の通信デバイス11は、信号強度のみを参照して優先ターゲットを決定してもよいし、インターロック通信の進行状況のみを参照して優先ターゲットを決定してもよい。後者の場合、搬送台車側の通信デバイス11は、検出部113を備えていなくてもよい。
【0138】
実施の形態において、優先ターゲットとなる他の搬送台車1の台数は、1台に限らず、複数台であってもよい。この場合、遅延時間T3は、優先ターゲットである複数の他の搬送台車1の送信タイミングと重ならないように設定される。一例として、優先ターゲットである他の搬送台車1が2台存在する場合、一方の搬送台車1についての遅延時間と、他方の搬送台車1についての遅延時間との最小公倍数に基づいて、遅延時間T3が設定される。
【0139】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明に係る無線通信システムは、例えば天井に設置された軌道に沿って走行する搬送台車によりFOUPを搬送するための半導体製造システム等に適用することができる。
【符号の説明】
【0141】
1,1a~1c 搬送台車
10 無線通信システム
11,11a~11c 搬送台車側の通信デバイス
111 判断部
112 処理部
113 検出部
12,32,42 制御部
13 記憶部
14,14a,14b 把持部
2,2a~2c,100 半導体処理装置
3,3a~3c ポート側の通信デバイス
31,41 通信部
4,4a~4c ポート
40a,40b 搬入出口
5 FOUP(搬送物)
61 通信フレーム
62 管理テーブル
A1~A3 領域
L 軌道