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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】床構造及び該床構造に用いる床パネル
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/20 20060101AFI20240531BHJP
   E04B 1/82 20060101ALI20240531BHJP
   E04B 1/84 20060101ALI20240531BHJP
   E04B 5/02 20060101ALI20240531BHJP
   E04B 5/43 20060101ALI20240531BHJP
   E04B 1/98 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
E04F15/20
E04B1/82 J
E04B1/84 A
E04B5/02 F
E04B5/43 H
E04B1/98 G
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022088089
(22)【出願日】2022-05-30
(65)【公開番号】P2023143581
(43)【公開日】2023-10-06
【審査請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2022050791
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593207787
【氏名又は名称】ツカ・カナモノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】針谷 義昭
(72)【発明者】
【氏名】穴澤 綾子
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-120090(JP,A)
【文献】米国特許第04967529(US,A)
【文献】特開2012-062715(JP,A)
【文献】特開昭63-247466(JP,A)
【文献】特開2021-172976(JP,A)
【文献】特開2013-217032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
E04B 1/82、1/84、1/98
E04B 5/02、5/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴差し又は床梁で構成される横架材に架設され敷き並べられて固定された針葉樹構造用合板を有する床構造であって、
敷き並べられた前記針葉樹構造用合板は、木目が延びる繊維方向と略平行な一側縁に沿って該側縁からはみ出すはみ出し部を形成するように固定された連結用帯板と、木目が延びる繊維方向と略平行であって前記連結用帯板と間隔をあけて並列状に固定された少なくとも一本の補強用帯板と、を備え、
前記針葉樹構造用合板は、木目が延びる繊維方向が、前記床梁の長さ方向と略直交するように前記横架材に架設されて固定され、
前記床梁の長さ方向に沿って隣接する一方の前記針葉樹構造用合板の前記連結用帯板の前記はみ出し部に、隣接する他方の前記針葉樹構造用合板の側縁の載置部が載置されて連結固定され、
前記針葉樹構造用合板と前記横架材との間、前記針葉樹構造用合板と前記連結用帯板との間、及び、前記針葉樹構造用合板と前記補強用帯板と間に、其々、制振材が挟持されている、前記床構造。
【請求項2】
前記横架材と前記載置部と間に、通気するための通気用通路を備える、請求項に記載の床構造。
【請求項3】
前記載置部に取り付けられた前記制振材が間隙を備えることにより、前記通気用通路が形成されている、請求項2に記載の床構造。
【請求項4】
前記針葉樹構造用合板の裏面に吸音材が取り付けられている、請求項1に記載の床構造。
【請求項5】
前記横架材がボルト孔を有する形鋼であり、前記ボルト孔に通したボルトによって前記針葉樹構造用合板が前記横架材に固定されている、請求項1に記載の床構造。
【請求項6】
前記針葉樹構造用合板に鬼目ナットが埋設されており、前記ボルトが前記鬼目ナットに螺入されている、請求項5に記載の床構造。
【請求項7】
前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記補強用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記補強用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、
前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記補強用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通されている、
請求項1に記載の床構造。
【請求項8】
前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記連結用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記連結用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、
前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記連結用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通されている、
請求項1に記載の床構造。
【請求項9】
前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、
前記補強用帯板は、前記フランジ部が摺動可能に嵌るスリット溝が形成されている、
請求項1に記載の床構造。
【請求項10】
前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、
前記連結用帯板は、前記フランジ部が摺動可能に嵌るスリット溝が形成されている、
請求項1に記載の床構造。
【請求項11】
胴差し又は床梁で構成される横架材に架設され敷き並べられて固定される床パネルであって、
針葉樹構造用合板と、
前記針葉樹構造用合板の裏側に、木目が延びる繊維方向と略平行な一側縁に沿って該一側縁からはみ出すはみ出し部を形成すうようにして釘留めされ、隣接配置される他の床パネルを釘留め連結するための連結用帯板と、
前記針葉樹構造用合板の裏面に、木目が延びる繊維方向と略平行に前記連結用帯板と間隔をあけて並列状に釘留めされた少なくとも一本の補強用帯板と、
前記連結用帯板の一側面に設けられ、前記針葉樹構造用合板と前記連結用帯板との間に挟まれた制振材と、
前記針葉樹構造用合板の裏面の木目が延びる繊維方向と略直交する方向に延在し、前記横架材に載置される載置部に取り付けられた制振材と、
前記補強用帯板の一側面に設けられ、前記針葉樹構造用合板と前記補強用帯板との間に挟まれた制振材と、
を備える、前記床パネル。
【請求項12】
前記針葉樹構造用合板の裏側であって、木目が延びる繊維方向と略平行な他の一側縁に、制振材が更に取り付けられている請求項11に記載の床パネル。
【請求項13】
前記載置部と前記横架材との間を通気するための通気用通路を更に有する、請求項11に記載の床パネル。
【請求項14】
前記載置部に取り付けられた前記制振材が間隙を備えることにより、前記通気用通路が形成されている、請求項13に記載の床パネル。
【請求項15】
前記針葉樹構造用合板の裏面に取り付けられた吸音材を更に有する、請求項11に記載の床パネル。
【請求項16】
前記針葉樹構造用合板の前記載置部に鬼目ナットが埋設されている、請求項11に記載の床パネル。
【請求項17】
前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記補強用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記補強用帯板の長さ方向に沿って前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、
前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記補強用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通されている、
請求項11に記載の床パネル。
【請求項18】
前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記連結用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記連結用帯板の長さ方向に沿って前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、
前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記連結用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通されている、
請求項11に記載の床パネル。
【請求項19】
前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、
前記補強用帯板は、前記フランジ部が長さ方向に摺動可能に嵌る凹部が形成されている、
請求項11に記載の床パネル。
【請求項20】
前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、
前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、
前記連結用帯板は、前記フランジ部が長さ方向に摺動可能に嵌る凹部が形成されている、
請求項11に記載の床パネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根太レス工法の床組みによる床構造及びその床パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2階以上の上層階において、根太を使用せず、下地の合板を厚くし、梁に直接留め付ける床組の工法、即ち、根太レス工法が知られている。根太レス工法による床組みの改良として、小梁を省略し得る床構造が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-62715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている従来の床構造は、施工性において優れるが、遮音性については十分に考慮されていなかった。また、コストの軽減も要望されていた。
【0005】
そこで、本発明は、根太レス工法の床組みによる床構造及び該床構造に用いる床パネルであって、小梁を省略可能で且つ遮音性に優れ、コスト軽減が可能な床構造及びそれに用いる床パネルを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係る床構造は、胴差し又は床梁で構成される横架材に架設され敷き並べられて固定された針葉樹構造用合板を有する床構造であって、敷き並べられた前記針葉樹構造用合板は、木目が延びる繊維方向と略平行な一側縁に沿って該側縁からはみ出すはみ出し部を形成するように固定された連結用帯板と、木目が延びる繊維方向と略平行であって前記連結用帯板と間隔をあけて並列状に固定された少なくとも一本の補強用帯板と、を備え、前記針葉樹構造用合板は、木目が延びる繊維方向が、前記床梁の長さ方向と略直交するように前記横架材に架設されて固定され、前記床梁の長さ方向に沿って隣接する一方の前記針葉樹構造用合板の前記連結用帯板の前記はみ出し部に、隣接する他方の前記針葉樹構造用合板の側縁の載置部が載置されて連結固定され、前記針葉樹構造用合板と前記横架材との間、前記針葉樹構造用合板と前記連結用帯板との間、及び、前記針葉樹構造用合板と前記補強用帯板と間に、其々、制振材が挟持されている。
【0007】
前記横架材と前記載置部と間に、通気するための通気用通路を備えることができる。
【0008】
前記載置部に取り付けられた前記制振材が間隙を備えることにより、前記通気用通路が形成され得る。
【0009】
前記針葉樹構造用合板の裏面に吸音材が取り付けられ得る。
【0010】
前記横架材がボルト孔を有する形鋼であり、前記ボルト孔に通したボルトによって前記針葉樹構造用合板が前記横架材に固定され得る。
【0011】
前記針葉樹構造用合板に鬼目ナットが埋設されており、前記ボルトが前記鬼目ナットに螺入され得る。
【0012】
ある実施態様において、前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記補強用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記補強用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記補強用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通されている。
【0013】
ある実施態様において、前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記連結用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記連結用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記連結用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通される。
【0014】
ある実施態様において、前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、前記補強用帯板は、前記フランジ部が摺動可能に嵌るスリット溝が形成される。
【0015】
ある実施態様において、前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、前記連結用帯板は、前記フランジ部が摺動可能に嵌るスリット溝が形成される。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係る床パネルは、胴差し又は床梁で構成される横架材に架設され敷き並べられて固定される床パネルであって、針葉樹構造用合板と、前記針葉樹構造用合板の裏側に、木目が延びる繊維方向と略平行な一側縁に沿って該一側縁からはみ出すはみ出し部を形成すうようにして釘留めされ、隣接配置される他の床パネルを釘留め連結するための連結用帯板と、前記針葉樹構造用合板の裏面に、木目が延びる繊維方向と略平行に前記連結用帯板と間隔をあけて並列状に釘留めされた少なくとも一本の補強用帯板と、前記連結用帯板の一側面に設けられ、前記針葉樹構造用合板と前記連結用帯板との間に挟まれた制振材と、前記針葉樹構造用合板の裏面の木目が延びる繊維方向と略直交する方向に延在し、前記横架材に載置される載置部に取り付けられた制振材と、前記補強用帯板の一側面に設けられ、前記針葉樹構造用合板と前記補強用帯板との間に挟まれた制振材と、を備える。
【0017】
前記床パネルは、前記針葉樹構造用合板の裏側であって、木目が延びる繊維方向と略平行な他の一側縁に、制振材が更に取り付けられ得る。
【0018】
前記床パネルは、前記載置部と前記横架材との間を通気するための通気用通路を更に有することができる。
【0019】
前記床パネルは、前記載置部に取り付けられた前記制振材が間隙を備えることにより、前記通気用通路が形成され得る。
【0020】
前記床パネルは、前記針葉樹構造用合板の裏面に取り付けられた吸音材を更に有することができる。
【0021】
前記床パネルは、前記針葉樹構造用合板の前記載置部に鬼目ナットが埋設され得る。
【0022】
前記床パネルは、前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記補強用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記補強用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記補強用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通され得る。
【0023】
前記床パネルは、前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されて前記連結用帯板の両側面に沿って延びるフランジ部と、前記連結用帯板の長さ方向に沿って延び前記ウェブ部に形成された長孔と、を備え、前記針葉樹構造用合板に前記制振材及び前記連結用帯板を連結する釘が、前記長孔に挿通され得る。
【0024】
前記床パネルは、前記補強用帯板と前記制振材との間に、前記補強用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記補強用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、前記補強用帯板は、前記フランジ部が長さ方向に摺動可能に嵌る凹部が形成され得る。
【0025】
前記床パネルは、前記連結用帯板と前記制振材との間に、前記連結用帯板の金属プレートが介在され、前記金属プレートは、溝状であって、前記連結用帯板と前記制振材との間に長さ方向に沿って延びて挟まれるウェブ部と、前記ウェブ部の両側に曲げ形成されたフランジ部と、を備え、前記連結用帯板は、前記フランジ部が長さ方向に摺動可能に嵌る凹部が形成され得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、胴差し及び床梁で構成される横架材と前記載置部との間、前記針葉樹構造用合板と前記連結用帯板との間、及び、前記針葉樹構造用合板と前記補強用帯板と間に、其々、制振材を挟持することにより、高い制振性能を得ることができ、遮音性を高めることができる。また、制振材を設ける箇所を限定することにより、制振材を構造用合板の全面に設ける場合に比して制振材の使用量を抑え、制振材のコスト増を抑制しつつ遮音性能を高めることができる。
【0027】
床下地に用いられる針葉樹構造用合板は、木目が延びる繊維方向と直交する撓み曲線が、木目が延びる繊維方向と平行な撓み曲線より、曲率が大きくなるという性質がある。木目が延びる繊維方向と略直交する一対の載置部を前記横架材に釘留めすることにより、針葉樹構造用合板の撓みを効果的に抑制することができる。
【0028】
そして、針葉樹構造用合板の木目の延びる繊維方向と平行な断面の撓みは、連結用帯板及び補強用帯板によって、抑制することができる。補強用帯板は、その厚み等の寸法や本数を適宜設定することにより、針葉樹構造用合板の適切な撓み、即ち、踏み心地よく歩きやすい撓みを得られるようにすることができる。
【0029】
また、連結用帯板及び補強用帯板を設けることにより、針葉樹構造用合板の厚さを薄くして、従来と同等の撓みや強度を得ることができ、コスト削減が可能となる。
【0030】
また、針葉樹構造用合板と胴差し又は床梁との間を通気するための通気用通路を設けることにより、空気伝搬音の通り道ができ、太鼓現象による騒音を低減することができる。
【0031】
更に、前記針葉樹構造用合板の裏面に吸音材が取り付けられることにより、空気伝搬音を吸収して遮音性能の高めることができる。
【0032】
軽量形鋼やH形鋼等の形鋼製の横架材については、型鋼製の横架材にボルト孔を設けて、該ボルト孔に通したボルトによって針葉樹構造用合板を横架材に固定することができる。その場合、針葉樹構造用合板に鬼目ナットを埋設しておくことで、固定しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明に係る床パネルの一実施形態を表面側から視た斜視図である。
図2図1の床パネルを裏面側から視た斜視図である。
図3図1の床パネルを用いた床構造の施工態様を示す斜視図である。
図4図2の床パネルの変更態様を示す斜視図である。
図5図4の床パネルの変更態様を示す斜視図である。
図6図2の床パネルの変更態様を示す斜視図である。
図7図2の床パネルの変更態様を示す斜視図である。
図8】本発明に係る床構造の一実施形態を示す平面図である。
図9図2の床パネルの変更態様を示す斜視図である。
図10図9の床パネルを用いた床構造の施工態様を示す斜視図である。
図11図9の床パネルの変更態様を示す斜視図である。
図12図11の床パネルを用いた床構造の施工態様を示す斜視図である。
図13図11の床構造の一部を拡大して示す断面図である。
図14図9の床パネルの変更態様を示す斜視図である。
図15】本発明に係る床パネルの他の実施形態を裏側から視た分解斜視図である。
図16図15の床パネルを表側から視た斜視図である。
図17図15の床パネルの金属プレートを拡大して示す斜視図である。
図18図15の床パネルの部分拡大断面図である。
図19図15の床パネルの一部を切欠いて示す部分拡大図である。
図20図15の床パネルの平常時(a)と撓み時(b)とを示す部分拡大側面図である。
図21図15の床パネルを用いた床構造の施工状態を示す平面図である。
図22図15の床パネルの変更態様を用いた床構造の施工状態を示す平面図である。
図23図17の金属プレートの変更態様を示す斜視図である。
図24図23の金属プレートを連結用帯板又は補強用帯板に嵌めた状態を示す斜視図である。
図25図23の金属プレートを備える床パネルの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る床パネル及び床構造の実施形態について、以下に図1図25を参照して説明する。なお、全図及び全実施形態を通じて同一又は類似の構成部分に同符号を付した。
【0035】
本発明の第1実施形態に係る床パネル1Aは、図1図3を参照して、胴差しT又は床梁(大梁)Fで構成される横架材(F,T)に架設され敷き並べられて固定される床パネル1Aであって、針葉樹構造用合板2と、針葉樹構造用合板2の裏側に、木目が延びる繊維方向Xと略平行な一側縁2cからはみ出すはみ出し部3aを形成するようにして釘留めされた連結用帯板3と、木目が延びる繊維方向Xと略平行であって連結用帯板3と間隔をあけて並列状に釘留めされた少なくとも一本の補強用帯板4と、連結用帯板3の一側面に設けられ、針葉樹構造用合板2と連結用帯板3との間に挟まれた制振材5と、針葉樹構造用合板2の裏面の木目が延びる繊維方向Xと略直交する方向に延在し、横架材(F,T)に載置される載置部2a、2bに取り付けられた制振材6と、補強用帯板4の一側面に設けられ、針葉樹構造用合板2と補強用帯板4との間に挟まれた制振材7と、を備える。繊維方向Xは、針葉樹構造用合板2の表層部における繊維方向である。
【0036】
図1に示す針葉樹構造用合板2は、縦908mm×横908mmの正方形、厚さ15mmである。針葉樹構造用合板は、縦908mm×横1816mmの長方形とし、厚さ15mmのものを用いることもできる。針葉樹構造用合板2は、図3に示すように木目が延びる繊維方向Xが、床梁Fの長さ方向Yと略直交するように横架材(T,F)に架設されて固定される。
【0037】
連結用帯板3は、制振材5を挟んで針葉樹構造用合板2に釘留めされるが、接着剤を介在させることもできる。連結用帯板3は、木製とすることができ、好ましくは、LVL(単板積層材)が用いられるが、針葉樹構造用合板2と同じ針葉樹合板とすることもできる。連結用帯板3は、両側の載置部2a、2b上の制振材6、6の近傍まで延在しているが、両側の制振材6、6と接触しないように隙間が形成される。図示例の連結用帯板3は、長さ800mm、幅90mm、厚さ40mmである。
【0038】
連結用帯板3の針葉樹構造用合板2からはみ出したはみ出し部3aは、図示例では、連結用帯板3の幅の略半分の幅寸法である。はみ出した部3aに、並列する床梁Fの長さ方向Yに沿って隣接配置される床パネル1Aの側縁の載置部2dが載せられ、釘留めされることにより、隣り合う床パネル1A、1Aが連結固定される。
【0039】
制振材5、6、7は、床下地の遮音性を高めるために用いられる制振材として公知の材料を使用することができる。制振材は、一般に、音源等に貼り付けて、音により振動が伝播する物体の振動を減衰させて振動そのものを抑え込み、いわゆる固体伝播音を低減するものである。従来、建築分野における制振材は、主として床下地としての針葉樹構造用合板の全面に敷き詰めて用いられ、例えば、ゴム系制振材、樹脂系制振材、アスファルト系制振材、石膏ボード等が知られている。ゴム系或いは樹脂系の制振材の材質としては、例えば、ブチルゴム、硬質ポリウレタンフォーム、酢酸ビニル等が知られている。アスファルト系制振材としては、例えば、金属等の無機材料を混入したアスファルトシートであって高密度で粘弾性を有するものが知られている。制振材5、6、7は、例えば、厚さ3~10mmのものを用いることができる。
【0040】
制振材5は、連結用帯板3の一側面(図1の上面)の略全面を覆うように配設されている。連結用帯板3を針葉樹構造用合板2に釘留めすることにより、制振材5が連結用帯板3と針葉樹構造用合板2との間に挟まれて固定される。制振材5は、接着剤によって、連結用帯板3に接着しておくこともできる。また、制振材5と針葉樹構造用合板2の間にも接着剤を介在させることができる。
【0041】
針葉樹構造用合板2と連結用帯板3との間に制振材5を挟んだサンドイッチ構造による一体構造とすることにより、床パネル1の振動を減衰させ、床パネル1から横架材(F,T)への固体伝播音の低減による遮音効果を発揮することができる。それにより、階下への遮音性能を高めることができる。
【0042】
また、制振材5、6,7は、針葉樹構造用合板2の全面に取り付けるわけではなく、限定された範囲に設けられるので、高価な制振材の材料費を削減することができる。さらに、制振材5、6,7は、床パネル1Aに予め挟持された状態で施工現場に搬入されるので、施工現場で制振材を敷設する作業が不要となる。
【0043】
補強用帯板4は、木製とすることができ、連結用帯板3と同じ材料及び同じ寸法のものを用いることができるが、他の材質及び寸法とすることもできる。補強用帯板4は、両側の載置部2a、2b上の制振材6、6の近傍まで延在しているが、両側の載置部2a,2b上の制振材6、6と接触しないように隙間が形成される。針葉樹構造用合板2に補強用帯板4を釘留めすることにより、制振材6は針葉樹構造用合板2と補強用帯板4との間に挟まれて固定され、サンドイッチ構造となることにより、床パネル1の振動を減衰させ、遮音効果が高められる。図4図5に示すように、床パネル1B、1Cは、補強用帯板4を並列状に間隔をあけて複数本設けることができる。
【0044】
制振材6は、針葉樹構造用合板2の裏側の載置部2a、2bに釘留め、タッカー、接着剤等によって固定される。図6及び図8を参照して、床梁Fと直角な胴差しTに載置される床パネル1Dは、針葉樹構造用合板2の裏側に、木目が延びる繊維方向Xと略平行な側縁の載置部2dも胴差しTへの載置部となるため、載置部2dにも制振材6dが固定される。
【0045】
また、図7及び図8を参照して、針葉樹構造用合板2が縦908mm×横1818mmの場合、載置部2a、2bと、それらの中間部の載置部2eとが、横架材(床梁T、F)に載置されるため、床パネル1Eは、各載置部2a、2b、2eに制振材6が固定される。載置部2eに取り付けられる制振材6の幅は、載置部2a、2bに取り付けられる制振材6の約2倍になっており、床梁Fの幅と同等とされている。なお、図8において、符号P1は柱、符号P2は間柱であり、床パネル1D、1Eは、柱P1、間柱P2の位置に切欠きが形成されている。
【0046】
針葉樹構造用合板2の載置部2a、2b、2eが胴差しT又は床梁Fに釘留めされることにより、制振材6は、針葉樹構造用合板2と胴差しT又は床梁Fとの間にサンドイッチ状体で固定される。そのため、制振材6は、タッカー等を用いて針葉樹構造用合板2に仮止めしておくだけでもよい。
【0047】
針葉樹構造用合板2の載置部2a、2b、2dは、横架材(T、F)に所定ピッチで釘留めされて固定される。また、連結用帯板3も針葉樹構造用合板2に所定ピッチで釘留めされ、隣接配置される床パネルを連結固定する。本実施例においては、木造梁の場合、例えば、直径3.8mmの釘を130mmピッチで打つことにより、必要な水平構面が確保される。連結用帯板3の長さ寸法は、並列する床梁Fの間に入る長さに設定されており、床梁Fと干渉しないように隙間が設けられる。連結用帯板3及び補強用帯板4は、小梁(中間梁)の役割も兼ねるため、小梁は省略される。
【0048】
針葉樹構造用合板2の載置部2a、2b、2dが胴差しT又は床梁Fに載置されて所定ピッチで釘留めにより固定されることにより、制振材6は、胴差し又は床梁Fと針葉樹構造用合板2との間に挟まれたサンドイッチ構造となり、一体構造となる。それにより、床パネル1A~1Eで生じた振動は、制振材6によって胴差しT又は床梁Fに伝わる際に減衰され、いわゆる固体伝播音を減衰させることができる。その結果、2階の床の振動音を、階下へ伝わる際にいっそう低減させることができる。制振材5、6、7の制振作用が付加されることにより、主として衝撃音の減衰による遮音性能が高められる。
【0049】
また、連結用帯板3及び少なくとも一本の補強用帯板4を設けることにより、床パネル1Aの撓み量をコントロールすることができる。針葉樹構造用合板2は、木目が延びる繊維方向Xと直交する撓み曲線が、木目が延びる繊維方向Xと平行な撓み曲線より、曲率が大きくなるという性質がある。例えば、針葉樹構造用合板の中心部(重心位置)に点荷重をかけた場合、中心部を通る断面は、繊維方向Xと平行な断面より、繊維方向Xと直交する断面の方が、撓みが大きくなる傾向がある。従って、木目が延びる繊維方向Xと略直交する一対の載置部2a、2bを横架材(F,T)に釘留めすることにより、針葉樹構造用合板2の撓みを効果的に抑制することができる。
【0050】
そして、針葉樹構造用合板2の木目の延びる繊維方向Xと平行な断面の撓みは、連結用帯板3及び少なくとも1本の補強用帯板4によって、抑制することができる。補強用帯板4は、その厚み等の寸法や本数を適宜設定することにより、針葉樹構造用合板2の適切な撓み、即ち、踏み心地よく歩きやすい撓みを得られるように、撓み量をコントロールすることができる。
【0051】
また、連結用帯板3及び少なくとも1本の補強用帯板4を設けることにより、針葉樹構造用合板2の厚さを薄くして、従来と同等の撓みや強度を得ることができ、コスト削減が可能となる。例えば、厚さ12mm或いは15mmの針葉樹構造用合板2に連結用帯板3及び補強用帯板4を釘留めして固定することにより、厚さ24mmの針葉樹構造用合板と同等の撓み量に抑えることができ、コスト削減が可能となる。針葉樹構造用合板2を薄板化しても、横架材(F,T)に釘打ちする釘の径やピッチを適宜設定することにより、必要な水平構面も確保できる。
【0052】
針葉樹構造用合板2の薄板化することにより、床パネルが軽量化される。本発明に係る床パネルは、建物の2階以上の上層階に使用されるが、軽量化することによって、1階の床パネルを薄板化することが可能となる。一般に、建築作業を行う場合に、1階の床組みを施工した後に2階の床組みを施工するが、1階の床組みを終えた後に2階の床組みに使用される床パネルが1階の床上に仮置きされるため、1階の床はその荷重に耐えるように厚みのある合板が用いられる。2階の床パネルを軽量化すれば、1階の床パネルの耐荷重を下げることができるため、1階の床パネルを薄くして軽量化を図ることができるとともにコストを削減することが可能となる。1階と2階の床パネルの双方を軽量化することで、運搬コストも低減することができる。
【0053】
次に、図9図10を参照して、床パネル1Fは、針葉樹構造用合板2と胴差しT又は床梁Fとの間を通気するための通気用通路6aを備えている。
【0054】
通気用通路7aは、針葉樹構造用合板2の載置部2a、2bを横架材(T、F)に載置固定したときに、針葉樹構造用合板2の載置部2a、2bと横架材(T、F)との間を通気できるようにする。図示例では、制振材6が飛び石状に間隙をおいて配置されることにより、その間隙が通気用通路6aとなる。なお、図示しないが、載置部2dに制振材6が設けられる場合は、載置部2dにも通気用通路6aが設けられる。
【0055】
また、図11図13を参照して、軽量形鋼やH形鋼等、プレハブ建築の形鋼製の鉄骨梁F’(横架材)に適用する床パネル1Gでは、制振材6にボルトBを通すための貫通孔6cを設け、貫通孔6cと同一軸線の鬼目ナットNを針葉樹構造用合板2の載置部2a、2bに埋設固定しておくことができる。鉄骨梁F’には、ボルト孔Hを所定ピッチで穿設しておき、鉄骨梁F’のボルト孔Hに通したボルトBを、制振材6の貫通孔6cを通して針葉樹構造用合板2に埋設固定した鬼目ナットNに螺入させることで、針葉樹構造用合板2と鉄骨梁F’との間に制振材6を挟んだサンドイッチ構造として一体的に固定することができる。例えば、ボルトBのサイズをM8、ボルトBのピッチを390mmとすることができ、それにより必要な水平構面が得られる。なお、図示しないが、載置部2dに制振材6が設けられる場合は、載置部2dにも通気用通路6aが設けられる。
【0056】
通気用通路6aは、種々の形態を採用することができ、例えば、制振材6に通孔を形成してもよいし、制振材6に凹溝を形成してもよい。
【0057】
通気用通路6aを設けることにより、床パネル1への衝撃等による振動によって床パネル1F、1Gの裏面で生じた空気振動は、横架材(T、F)に遮られずに、通気用通路6aを通じて逃げることができるので、いわゆる太鼓現象による衝撃音の空気伝番を減衰させることができる。なお、鬼目ナットに代えて通常のナットを針葉樹構造用合板2に載せることもできる。また、鉄骨梁への適用は、床パネル1A、1B等の他の構成の床パネルにも同様に適用することができる。
【0058】
次に、図14を参照して、床パネル1Hは、針葉樹構造用合板2の裏面に吸音材8が取り付けられている。床パネル1Eのその他の構成は、図9の床パネル1Fと同様である。吸音材8は、空気伝播音を吸収する効果の高い素材であり、グラスウール、フェルト、発泡ウレタン、スポンジ、セルロースファイバー等の公知の吸音材を用いることができる。吸音材8は、針葉樹構造用合板2の裏面に接着剤等により固定することができる。
【0059】
吸音材8は、針葉樹構造用合板2の裏面に直接取り付けられ、補強用帯板4、連結用帯板3、胴差しT又は床梁Fがある場合にそれらと干渉しないように、それらの残余スペースに取り付けられる。
【0060】
床パネル1Hは、吸音材8を設けることにより、空気伝播音を低減し、上階の床で生じる歩行音や衝撃音等の騒音が階下に伝わるのをいっそう低減することができる。
【0061】
次に、図15図22を参照して、床パネル1Jは、連結用帯板3と制振材5との間、及び、補強用帯板4と制振材7との間に、金属プレート9が挟持される。金属プレート9は、好ましくは、板厚0.4~1.6mmの鋼板を溝形にプレス加工したプレス鋼板で形成することができる。図示例において、針葉樹構造用合板2は板厚15mm、連結用帯板3及び補強用帯板4は、LVL(単層積層材)で板厚28mm、金属プレート9は板厚0.8mmである。
【0062】
金属プレート9は、図17図19に示すように、ウェブ部9aと、ウェブ部9aの両側に曲げ形成されたフランジ部9b、9bと、ウェブ部9aに形成された長孔9cと、を備える。ウェブ部9aは、連結用帯板3と制振材5との間、及び、補強用帯板4と制振材7との間に、それぞれ挟まれる。フランジ部9b、9bは、連結用帯板3及び補強用帯板4のそれぞれの側面に沿うように配置される。
【0063】
針葉樹構造用合板2に補強用帯板4及び連結用帯板3を釘留めするための釘10が、長孔9cに挿通される。図19を参照して、長孔9cの幅寸法Wは、好ましくは釘10の直径の2~3倍の長さとされる。また、長孔9cの長さ寸法Lは、床パネル1Jが撓み変形を生じた際に、釘10と長孔9cとが緩衝しない長さに設定されている。釘留め用の釘10と長孔9cとの寸法関係を上記のように設定することにより、釘10と長孔9cとの緩衝による、こすれ音や衝突音の発生を防止することができる。
【0064】
図20を参照して、床パネル1Jは、荷重がかかると撓むが、金属プレート9にフランジ部9bを設けて床パネルの曲げ弾性率を向上させて、ずり変形Sによる床パネル1Jの撓み振動の早期減衰を行い、床パネル1Jの撓み振動による音圧の発生を低減し、振動音を抑制することができる。また、床パネル1Jの面密度並びに強度を向上させることで、遮音性能を向上させることができる。
【0065】
床パネルの針葉樹構造用合板2は胴差し又は床梁で構成される横架材によって両側が支持されるため、補強用帯板4及び連結用帯板3の長さ方向両端部は、中間部に比べて撓み量は小さい。そのため、金属プレート9は、連結用帯板3及び補強用帯板4の長さより短めにしておき、連結用帯板3及び補強用帯板4の中間部に配置することができる。
【0066】
補強用帯板4は、図22に示すように、一枚の床パネル1Jに、2本以上設けることもでき、其々の補強用帯板4に金属プレート9が配設される。一枚の床パネル1Jに補強用帯板4を複数本設ける場合は、全ての補強用帯板4に金属プレート9を設けることもできるし、一部の補強用帯板4にのみ金属プレート9を設けることもできる。補強用帯板4の本数や金属プレート9の数の増減により、床パネル1Jの撓み量を制御することができる。
【0067】
また、金属プレート9を設けることにより、連結用帯板3及び補強用帯板4を薄くして、床パネル1Jを軽量化し、低コスト化を図ることができる。
【0068】
床パネル1Jは、金属プレート9を介在させることにより、針葉樹構造用合板2の木目の延びる繊維方向Xと平行な断面の撓みをいっそう抑制し、床パネル1Jの振動を抑え込むことにより、振動音の抑制効果を高めることができる。
【0069】
次に、図23図25を参照して、上記金属プレートの変更態様について説明する。変更態様に係る金属プレート9Aは、図23に示すように、ウェブ部9aの幅が図17に示した実施形態のものより狭くなっている。そのため、連結用帯板3及び補強用帯板4には、金属プレート9Aのフランジ部9b、9bが嵌るスリット溝11、11が平行に形成されている。ウェブ部9aが、連結用帯板3と制振材5との間、及び、補強用帯板4と制振材7との間に挟まれる。
【0070】
ウェブ部9aの幅を連結用帯板3及び補強用帯板4の幅より小さくすることにより、連結用帯板3及び補強用帯板4は、スリット溝11、11に沿って金属プレート9の両側に釘10を打つスペースが確保されるため、金属プレート9のような長孔9cを設けなくて良い。スリット溝11は、フランジ部9bより例えば2~5cm程度長く形成されてあって、フランジ部9bがスリット溝11内でその長さ方向に摺動可能となっており、床パネル1Jが撓み変形した場合に、フランジ部9bがスリット溝11の端部と干渉しないようになっている。金属プレート9Aのその他の構成は、上記金属プレート9と同様である。
【0071】
本発明は、上記の実施形態に限定解釈されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J 床パネル
2 針葉樹構造用合板
3 連結用帯板
4、6、6a、7 制振材
5 補強用帯板
8 吸音材
9、9A 金属プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図25