(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】循環式空気除菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20240531BHJP
F24F 7/00 20210101ALI20240531BHJP
C01B 13/10 20060101ALI20240531BHJP
A61L 9/015 20060101ALN20240531BHJP
【FI】
A61L9/20
F24F7/00 Z
C01B13/10 D
A61L9/015
(21)【出願番号】P 2020080824
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】308022922
【氏名又は名称】株式会社ワークソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】荻原 真二
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 清美
(72)【発明者】
【氏名】宮本 治彦
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-504139(JP,A)
【文献】特開2012-000216(JP,A)
【文献】特開昭61-244367(JP,A)
【文献】特開平11-003616(JP,A)
【文献】特開2007-209468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 ー 9/22
F24F 7/00 ー 7/007
C01B 13/10 ー 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプと、
両端部が開口となっており、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを収納する筒状筐体と、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの一方の端部に設けられ、外部の空気を前記筒状筐体の内部に吸引する第1ファンと、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの他方の端部に設けられ、前記筒状筐体の内部の空気を前記筒状筐体の外部に排出する第2ファンと、
を備え、
前記第1ファンによって吸引した空気を前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通させたのち、前記第2ファンによって前記筒状筐体の外部に排出させる循環式空気除菌装置
であって、
前記循環式空気除菌装置の動作設定を行う動作設定部と、当該動作設定部によって設定された設定内容に応じて前記循環式空気除菌装置の動作を制御する制御部とを、さらに備え、
前記制御部は、前記動作設定部による設定に基づいて、前記第1ファンの単位時間当たりの吸引量及び前記第2ファンの単位時間当たりの排出量を制御する機能を有することを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項2】
直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプと、
両端部が開口となっており、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを収納する筒状筐体と、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの一方の端部に設けられ、外部の空気を前記筒状筐体の内部に吸引する第1ファンと、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの他方の端部に設けられ、前記筒状筐体の内部の空気を前記筒状筐体の外部に排出する第2ファンと、
を備え、
前記第1ファンによって吸引した空気を前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通させたのち、前記第2ファンによって前記筒状筐体の外部に排出させる循環式空気除菌装置
であって、
前記循環式空気除菌装置の動作設定を行う動作設定部と、当該動作設定部によって設定された設定内容に応じて前記循環式空気除菌装置の動作を制御する制御部とを、さらに備え、
前記制御部は、前記動作設定部による設定に基づいて、前記第1ファン及び前記第2ファンを間欠的に動作させるための制御を行う機能をさらに有することを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項3】
直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプと、
両端部が開口となっており、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを収納する筒状筐体と、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの一方の端部に設けられ、外部の空気を前記筒状筐体の内部に吸引する第1ファンと、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの他方の端部に設けられ、前記筒状筐体の内部の空気を前記筒状筐体の外部に排出する第2ファンと、
を備え、
前記第1ファンによって吸引した空気を前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通させたのち、前記第2ファンによって前記筒状筐体の外部に排出させる循環式空気除菌装置
であって、
前記循環式空気除菌装置の動作設定を行う動作設定部と、当該動作設定部によって設定された設定内容に応じて前記循環式空気除菌装置の動作を制御する制御部とを、さらに備え、
前記制御部は、前記動作設定部による設定に基づいて、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを選択的に動作させるための制御を行う機能をさらに有することを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項4】
直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプと、
両端部が開口となっており、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを収納する筒状筐体と、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの一方の端部に設けられ、外部の空気を前記筒状筐体の内部に吸引する第1ファンと、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの他方の端部に設けられ、前記筒状筐体の内部の空気を前記筒状筐体の外部に排出する第2ファンと、
を備え、
前記第1ファンによって吸引した空気を前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通させたのち、前記第2ファンによって前記筒状筐体の外部に排出させる循環式空気除菌装置
であって、
前記循環式空気除菌装置の動作設定を行う動作設定部と、当該動作設定部によって設定された設定内容に応じて前記循環式空気除菌装置の動作を制御する制御部とを、さらに備え、
前記制御部は、前記動作設定部による設定に基づいて、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプのうちの少なくとも1本の直管型除菌ランプを間欠的に動作させるための制御を行う機能をさらに有することを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれかに記載の循環式空気除菌装置において、
前記少なくとも2本の直管型除菌ランプは、当該少なくとも2本の直管型除菌ランプの全てが紫外線発生用ランプであることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項6】
請求項
1~4のいずれかに記載の循環式空気除菌装置において、
前記少なくとも2本の直管型除菌ランプは、紫外線発生用ランプとオゾン発生用ランプとの組み合わせでなることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の循環式空気除菌装置において、
前記オゾン発生用ランプは、紫外線発生用ランプよりも、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通する空気の流れの下流側に配置されていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれかに記載の循環式空気除菌装置において、
前記第1ファン及び前記第2ファンは、前記循環式空気除菌装置の運転開始時における初期設定として、前記第1ファンの単位時間当たりの吸引量が前記第2ファンの単位時間当たりの排出量よりも大きく設定されていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載の循環式空気除菌装置において、
前記少なくとも2本の直管型除菌ランプの各直管型除菌ランプの境界部には、
当該境界部での空気の流通を維持しながら、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプがそれぞれ発する光を前記境界部において遮光する少なくとも1枚の遮光板が、前記筒状筐体の長手方向を横切って設けられていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれかに記載の循環式空気除菌装置において、
前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿った位置には、当該少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通する空気を蛇行させて流通させる流通制御板が、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプの各直管型除菌ランプに沿って流通する空気を横切るように設けられており、
前記流通制御板は、当該流通制御板の先端部が前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに対して所定間隔を有するように位置し、当該流通制御板の後端部が前記筒状筐体の内壁に取り付けられていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれかに記載の循環式空気除菌装置において、
前記少なくとも2本の直管型除菌ランプのうちの前記第2ファン側に位置する直管型除菌ランプと前記第2ファンとの間には、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通する空気の流量を前記第2ファンの直前の位置で抑制する流量抑制板が設けられていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれかに記載の循環式空気除菌装置において、
前記筒状筐体の内壁面には、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプが発する光を反射する反射部材が設けられていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項13】
直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプと、
両端部が開口となっており、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを収納する筒状筐体と、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの一方の端部に設けられ、外部の空気を前記筒状筐体の内部に吸引する第1ファンと、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの他方の端部に設けられ、前記筒状筐体の内部の空気を前記筒状筐体の外部に排出する第2ファンと、
を備え、
前記第1ファンによって吸引した空気を前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通させたのち、前記第2ファンによって前記筒状筐体の外部に排出させる循環式空気除菌装置
であって、
前記少なくとも2本の直管型除菌ランプの各直管型除菌ランプの境界部には、
当該境界部での空気の流通を維持しながら、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプがそれぞれ発する光を前記境界部において遮光する少なくとも1枚の遮光板が、前記筒状筐体の長手方向を横切って設けられていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項14】
請求項
13に記載の循環式空気除菌装置において、
前記遮光板は、第1遮光板及び第2遮光板でなり、当該第1遮光板及び第2遮光板は、互いに所定の間隔を有し、かつ、前記第1遮光板と第2遮光板とが対面するように前記筒状筐体の長手方向を横切って設けられており、
前記第1遮光板は、当該第1遮光板の外周縁部が前記筒状筐体の内壁面に接した状態で取り付けられており、当該第1遮光板には第1空気流通孔が設けられ、
前記第2遮光板は、当該第2遮光板の外周縁部が前記筒状筐体の内壁面に接した状態で取り付けられており、当該第2遮光板には第2空気流通孔が設けられており、
前記第1空気流通孔及び第2空気流通孔は、前記筒状筐体の長手方向に沿って前記一方の端部から前記他方の端部に向かって見たときに、前記第1空気流通孔と前記第2空気流通孔とが重畳しない位置に存在していることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項15】
請求項
13に記載の循環式空気除菌装置において、
前記遮光板は、第1遮光板及び第2遮光板でなり、当該第1遮光板及び第2遮光板は、互いに所定の間隔を有し、かつ、前記第1遮光板と第2遮光板とが対面するように前記筒状筐体の長手方向を横切って設けられており、
前記第1遮光板は、当該第1遮光板の外周縁部のうちの一部の外周縁部が、前記筒状筐体の内壁面のうちの一部の内壁面との間に第1空気流通空間を形成し、前記第1遮光板の前記一部の外周縁部以外の外周縁部が前記筒状筐体の前記所定の内壁面以外の内壁面に接した状態で前記筒状筐体に取り付けられており、
前記第2遮光板は、当該第2遮光板の外周縁部のうちの一部の外周縁部が、前記筒状筐体の内壁面のうちの一部の内壁面との間に第2空気流通空間を形成し、前記第1遮光板の前記一部の外周縁部以外の外周縁部が前記筒状筐体の前記一部の内壁面以外の内壁面に接した状態で前記筒状筐体に取り付けられており、
前記第1空気流通空間及び第2空気流通空間は、前記筒状筐体の長手方向に沿って前記一方の端部から前記他方の端部に向かって見たときに、前記第1空気流通空間と前記第2空気流通空間とが重畳しない位置に存在していることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項16】
直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプと、
両端部が開口となっており、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを収納する筒状筐体と、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの一方の端部に設けられ、外部の空気を前記筒状筐体の内部に吸引する第1ファンと、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの他方の端部に設けられ、前記筒状筐体の内部の空気を前記筒状筐体の外部に排出する第2ファンと、
を備え、
前記第1ファンによって吸引した空気を前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通させたのち、前記第2ファンによって前記筒状筐体の外部に排出させる循環式空気除菌装置
であって、
前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿った位置には、当該少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通する空気を蛇行させて流通させる流通制御板が、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプの各直管型除菌ランプに沿って流通する空気を横切るように設けられており、
前記流通制御板は、当該流通制御板の先端部が前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに対して所定間隔を有するように位置し、当該流通制御板の後端部が前記筒状筐体の内壁に取り付けられていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項17】
請求項
16に記載の循環式空気除菌装置において、
前記流通制御板は、複数枚存在し、当該複数枚の流通制御板には、前記先端部から前記後端部までの長さが異なる流通制御板が含まれていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項18】
直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプと、
両端部が開口となっており、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを収納する筒状筐体と、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの一方の端部に設けられ、外部の空気を前記筒状筐体の内部に吸引する第1ファンと、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの他方の端部に設けられ、前記筒状筐体の内部の空気を前記筒状筐体の外部に排出する第2ファンと、
を備え、
前記第1ファンによって吸引した空気を前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通させたのち、前記第2ファンによって前記筒状筐体の外部に排出させる循環式空気除菌装置
であって、
前記少なくとも2本の直管型除菌ランプのうちの前記第2ファン側に位置する直管型除菌ランプと前記第2ファンとの間には、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通する空気の流量を前記第2ファンの直前の位置で抑制する流量抑制板が設けられていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項19】
直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプと、
両端部が開口となっており、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを収納する筒状筐体と、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの一方の端部に設けられ、外部の空気を前記筒状筐体の内部に吸引する第1ファンと、
前記筒状筐体の前記両端部のうちの他方の端部に設けられ、前記筒状筐体の内部の空気を前記筒状筐体の外部に排出する第2ファンと、
を備え、
前記第1ファンによって吸引した空気を前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通させたのち、前記第2ファンによって前記筒状筐体の外部に排出させる循環式空気除菌装置
であって、
前記筒状筐体の内壁面には、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプが発する光を反射する反射部材が設けられていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項20】
請求項13~19のいずれかに記載の循環式空気除菌装置において、
前記少なくとも2本の直管型除菌ランプは、当該少なくとも2本の直管型除菌ランプの全てが紫外線発生用ランプであることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項21】
請求項13~19のいずれかに記載の循環式空気除菌装置において、
前記少なくとも2本の直管型除菌ランプは、紫外線発生用ランプとオゾン発生用ランプとの組み合わせでなることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項22】
請求項
21に記載の循環式空気除菌装置において、
前記オゾン発生用ランプは、紫外線発生用ランプよりも、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通する空気の流れの下流側に配置されていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項23】
請求項13~22のいずれかに記載の循環式空気除菌装置において、
前記循環式空気除菌装置の動作設定を行う動作設定部と、当該動作設定部によって設定された設定内容に応じて前記循環式空気除菌装置の動作を制御する制御部とを、さらに有することを特徴とする循環式空気除菌装置。
【請求項24】
請求項13~23のいずれかに記載の循環式空気除菌装置において、
前記第1ファン及び前記第2ファンは、前記循環式空気除菌装置の運転開始時における初期設定として、前記第1ファンの単位時間当たりの吸引量が前記第2ファンの単位時間当たりの排出量よりも大きく設定されていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気を循環させながら除菌する循環式空気除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店、食品工場、調理場、老人施設、医療施設などにおいては、厳しい衛生管理が求められている。特に、飛沫感染及び空気感染する可能性のあるウイルスなどの対策のためには、室内の空気を除菌して清浄化することが重要となる。
【0003】
室内の空気の除菌効果が期待できる除菌装置としては、室内の空気を循環させながら除菌する循環式空気除菌装置が存在する(例えば、非特許文献1参照。)。非特許文献1に記載されている循環式空気除菌装置(従来の循環式空気除菌装置とする。)は、室内の空気を筒状筐体内に並列配置された2本の直管型の紫外線ランプに沿って流通させて、ファンで筒状筐体の外部に排出するものであり、室内の天井などに取り付けることにより、室内の空気を循環させながら除菌を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】岩崎電気株式会社 空気循環式紫外線清浄機 エアーリアシーリング、[online]、インターネット<URL:<<https://www.iwasaki.co.jp/optics/sterilization/air/air01.html>>>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の循環式空気除菌装置は、直管型の紫外線ランプを2本並列配置している。このため、筒状筐体内を流通する空気の流通路の長さは、直管型の紫外線ランプ1本分の長さ(600mm~700mm程度)にほぼ相当するため、筒状筐体内での空気の流通路が短いことから、高い除菌能力が得られにくいという課題を有している。なお、直管型の紫外線ランプを2本並列配置した場合には、当該並列配置した2本の紫外線ランプに沿って流通した空気に対する紫外線の有効な照射量は、必ずしも、1本の紫外線ランプの2倍にはならないことが経験則からいえる。また、従来の循環式空気除菌装置は、1つのファンで空気を循環させている。このため、従来の循環式空気除菌装置は、高い循環能力で室内の空気を循環させることができないという課題も有している。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の循環式空気除菌装置が有する課題、すなわち、高い除菌能力が得られないという課題及び高い循環能力で室内の空気を循環させることができないという課題のうちの少なくとも1つの課題を解決することができる循環式空気除菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の循環式空気除菌装置(本発明の第1循環式空気除菌装置とする。)は、直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプと、両端部が開口となっており、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを収納する筒状筐体と、前記筒状筐体の前記両端部のうちの一方の端部に設けられ、外部の空気を前記筒状筐体の内部に吸引する第1ファンと、前記筒状筐体の前記両端部のうちの他方の端部に設けられ、前記筒状筐体の内部の空気を前記筒状筐体の外部に排出する第2ファンと、を備え、前記第1ファンによって吸引した空気を前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通させたのち、前記第2ファンによって前記筒状筐体の外部に排出させることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1循環式空気除菌装置によれば、室内の空気は、第1ファンにより筒状筐体内に吸引されて、筒状筐体内を流通したのち、第2ファンによって筒状筐体の外部に排出される。このとき、筒状筐体内を流通する空気は、直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通することとなる。このため、流通する空気には、それぞれの直管型除菌ランプから発せられる光が有効に照射される。これにより、本発明の循環式空気除菌装置は、高い除菌能力を有し、それによって、高い除菌効果が期待できる。また、本発明の循環式空気除菌装置は、空気を吸引する第1ファンと空気を排出する第2ファンとを備えられているため、高い循環能力で室内の空気を循環させることができ、それによって、室内の除菌を短時間で効率的に行うことができる。
【0009】
このように、本発明の循環式空気除菌装置は、従来の循環式空気除菌装置が有する課題、すなわち、高い除菌能力が得られないという課題及び高い循環能力で室内の空気を循環させることができないという課題のいずれをも解決することができる。
【0010】
[2]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプは、当該少なくとも2本の直管型除菌ランプの全てが紫外線発生用ランプであることが好ましい。
【0011】
これにより、筒状筐体内を流通する空気は、直列配置された少なくとも2本の紫外線発生用ランプに沿って流通することとなる。このため、流通する空気には、それぞれの紫外線発生用ランプから発せられる紫外線が有効に照射される。このため、本発明の循環式空気除菌装置は、高い除菌能力を有し、それによって、高い除菌効果が期待できるものとなる。
【0012】
[3]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプは、紫外線発生用ランプとオゾン発生用ランプとの組み合わせでなることが好ましい。
【0013】
これにより、筒状筐体内を流通する空気は、紫外線発生用ランプとオゾン発生用ランプとの組み合わせでなる少なくとも2本以上の直管型除菌ランプの合計の長さに相当する長い流路を流通することとなり、しかも、紫外線とオゾンとによる除菌がなされる。このため、本発明の循環式空気除菌装置は、高い除菌能力を有し、それによって、高い除菌効果が期待できるものとなる。
【0014】
[4]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記オゾン発生用ランプは、紫外線発生用ランプよりも、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通する空気の流れの下流側に配置されていることが好ましい。
【0015】
このように、本発明の第1循環式空気除菌装置においては、オゾン発生用ランプは、紫外線発生用ランプよりも下流側に配置されているため、除菌効果をより高めることが期待できる。
【0016】
[5]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記循環式空気除菌装置の動作設定を行う動作設定部と、当該動作設定部によって設定された設定内容に応じて前記循環式空気除菌装置の動作を制御する制御部とを、さらに有することが好ましい。
【0017】
このように、本発明の第1循環式空気除菌装置は、動作設定部と制御部を有とすることにより、循環式空気除菌装置をどのように動作させるかを、状況に応じて種々設定することができ、動作設定部によって設定した内容に応じて循環式空気除菌装置を制御することができるため、本発明の循環式空気除菌装置は、状況に応じた適切な除菌動作が可能となる。
【0018】
[6]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記制御部は、前記動作設定部による設定に基づいて、前記第1ファンの単位時間当たりの吸引量及び前記第2ファンの単位時間当たりの排出量を制御する機能を有することが好ましい。
【0019】
これにより、空気を吸引する第1ファンによる空気の単位時間当たりの吸引量と第2ファンによる空気の単位時間当たりの排出量とを状況に応じて設定することができる。
【0020】
[7]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記制御部は、前記動作設定部による設定に基づいて、前記第1ファン及び前記第2ファンを間欠的に動作させるための制御を行う機能をさらに有することが好ましい。
【0021】
これにより、第1ファン及び第2ファンを間欠的に動作させることができるため、状況に応じた適切な除菌動作が可能となり、電力消費量も抑制できる。
【0022】
[8]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記制御部は、前記動作設定部による設定に基づいて、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを選択的に動作させるための制御を行う機能をさらに有することが好ましい。
【0023】
これにより、少なくとも2本の直管型除菌ランプを選択的に動作(点灯)させることができるため、状況に応じた適切な除菌動作が可能となり、電力消費量も抑制できる。
【0024】
[9]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記制御部は、前記制御部は、前記動作設定部による設定に基づいて、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプのうちの少なくとも1本の直管型除菌ランプを間欠的に動作させるための制御を行う機能をさらに有することが好ましい。
【0025】
これにより、少なくとも2本の直管型除菌ランプのうちの少なくとも1本の直管型除菌ランプを間欠的に動作(点灯)させることができるため、状況に応じた適切な除菌動作が可能となり、電力消費量も抑制できる。
【0026】
[10]本発明第1循環式空気除菌装置においては、前記第1ファン及び前記第2ファンは、前記循環式空気除菌装置の運転開始時における初期設定として、前記第1ファンの単位時間当たりの吸引量が前記第2ファンの単位時間当たりの排出量よりも大きく設定されていることが好ましい。
【0027】
このように、本発明の第1循環式空気除菌装置の運転開始時における初期設定として、第1ファンの単位時間当たりの吸引量が第2ファンの単位時間当たりの排出量よりも大きく設定されていることにより、本発明の循環式空気除菌装置は、筒状筐体内に多くの量の空気を吸引して少ない量で排出するといった動作を行うこととなる。このため、筒状筐体内には、より多くの空気が滞留することとなり、効率の良い除菌が可能となる。
【0028】
[11]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプの各直管型除菌ランプの境界部には、当該境界部での空気の流通を維持しながら、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプがそれぞれ発する光を前記境界部において遮光する少なくとも1枚の遮光板が、前記筒状筐体の長手方向を横切って設けられていることが好ましい。
【0029】
このような遮光板を少なくとも2本の直管型除菌ランプの各直管型除菌ランプの境界部に設けることにより、空気の流通を維持しながら、境界部を挟んで隣り合う2本の直管型除菌ランプがそれぞれ発する光の干渉を抑制できる。ここで、遮光板は複数枚であってもよいが1枚であってもよい。遮光板を1枚とした場合には、例えば、隣り合う除菌ランプから発する光の通過を抑制できるような開口を形成することにより、空気の流通を維持しながら、境界部を挟んで隣り合う2本の直管型除菌ランプがそれぞれ発する光の干渉を抑制できる。なお、ここで用いる遮光板は、光を反射させることによって光を遮光する遮光板であることが好ましい。
【0030】
[12]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記遮光板は、第1遮光板及び第2遮光板でなり、当該第1遮光板及び第2遮光板は、互いに所定の間隔を有し、かつ、前記第1遮光板と第2遮光板とが対面するように前記筒状筐体の長手方向を横切って設けられており、前記第1遮光板は、当該第1遮光板の外周縁部が前記筒状筐体の内壁面に接した状態で取り付けられており、当該第1遮光板には第1空気流通開口が設けられ、前記第2遮光板は、当該第2遮光板の外周縁部が前記筒状筐体の内壁面に接した状態で取り付けられており、当該第2遮光板には第2空気流通開口が設けられており、前記第1空気流通開口及び第2空気流通開口は、前記筒状筐体の長手方向に沿って前記一方の端部から前記他方の端部に向かって見たときに、前記第1空気流通開口と前記第2空気流通開口とが重畳しない位置に存在していることが好ましい。
【0031】
このような第1遮光板及び第2遮光板を、少なくとも2本の直管型除菌ランプの各直管型除菌ランプの境界部に設けることにより、空気の流通を維持しながら、境界部を挟んで隣り合う2本の直管型除菌ランプがそれぞれ発する光の干渉を確実に防ぐことができる。
【0032】
また、第1遮光板には第1空気流通開口が設けられており、第2遮光板には第2空気流通開口が設けられているため、境界部での空気の流通は維持される。そして、第1空気流通開口及び第2空気流通開口は、筒状筐体の長手方向に沿って一方の端部から他方の端部に向かって見たときに、第1空気流通開口と第2空気流通開口とが重畳しない位置に存在している。このため、境界部を流通する空気は蛇行して流通することとなり、第1遮光板及び第2遮光板は、空気の流れを蛇行させる流通制御板としての機能をも有する。これにより、筒状筐体内を流通する空気は、境界部において、蛇行して流通することとなり、筒状筐体内において空気の流れに淀みを生じさせることができる。これにより、筒状筐体内での空気の滞留時間を長くすることができるため、除菌効果をより高めることができる。
【0033】
[13]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記遮光板は、第1遮光板及び第2遮光板でなり、当該第1遮光板及び第2遮光板は、互いに所定の間隔を有し、かつ、前記第1遮光板と第2遮光板とが対面するように前記筒状筐体の長手方向を横切って設けられており、前記第1遮光板は、当該第1遮光板の外周縁部のうちの一部の外周縁部が、前記筒状筐体の内壁面のうちの一部の内壁面との間に第1空気流通開口を形成し、前記第1遮光板の前記一部の外周縁部以外の外周縁部が前記筒状筐体の前記所定の内壁面以外の内壁面に接した状態で前記筒状筐体に取り付けられており、前記第2遮光板は、当該第2遮光板の外周縁部のうちの一部の外周縁部が、前記筒状筐体の内壁面のうちの一部の内壁面との間に第2空気流通開口を形成し、前記第1遮光板の前記一部の外周縁部以外の外周縁部が前記筒状筐体の前記一部の内壁面以外の内壁面に接した状態で前記筒状筐体に取り付けられており、前記第1空気流通開口及び第2空気流通開口は、前記筒状筐体の長手方向に沿って前記一方の端部から前記他方の端部に向かって見たときに、前記第1空気流通開口と前記第2空気流通開口とが重畳しない位置に存在していることが好ましい。
【0034】
第1遮光板及び第2遮光板が、このように構成となっていることにより、境界部を挟んで隣り合う2本の直管型除菌ランプがそれぞれ発する光は、互いに隣り合う他方の直管型除菌ランプには到達できないこととなる。このため、境界部を挟んで隣り合う2本の直管型除菌ランプがそれぞれ発する光の干渉を確実に防ぐことできる。第1遮光板及び第2遮光板はこのような構成であってもよく、これによっても上記[12]の本発明の循環式空気除菌装置によって得られる効果と同様の効果が得られる。
【0035】
[14]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿った位置には、当該少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通する空気を蛇行させて流通させる流通制御板が、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプの各直管型除菌ランプに沿って流通する空気を横切るように設けられており、前記流通制御板は、当該流通制御板の先端部が前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに対して所定間隔を有するように位置し、当該流通制御板の後端部が前記筒状筐体の内壁に取り付けられていることが好ましい。
【0036】
このように、少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿った位置には、当該少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通する空気を蛇行させて流通させる流通制御板が設けられていることから、少なくとも2本の直管型除菌ランプの各直管型除菌ランプに沿った位置においても、空気の流れに淀みを生じさせることができる。これにより、各直管型除菌ランプに沿った位置においても空気の滞留時間を長くすることができるため、除菌効果をより高める効果が得られる。
【0037】
[15]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記流通制御板は、複数枚存在し、当該複数枚の流通制御板には、前記先端部から前記後端部までの長さが異なる流通制御板が含まれていることが好ましい。
【0038】
これにより、少なくとも2本の直管型除菌ランプの各直管型除菌ランプに沿った位置において生じる空気の淀みが複雑となり、空気がより滞留し易くなることから、除菌効果をより高める効果が得られる。
【0039】
[16]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプのうちの前記第2ファン側に位置する直管型除菌ランプと前記第2ファンとの間には、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通する空気の流量を前記第2ファンの直前の位置で抑制する流量抑制板が設けられていることが好ましい。
【0040】
このような流量抑制板が第2ファン側に位置する直管型ランプと第2ファンとの間(第2ファンの直前の位置)に設けられていることにより、筒状筐体内には、より多くの空気が滞留することとなり、効率の良い除菌が可能となる。
【0041】
[17]本発明の第1循環式空気除菌装置においては、前記筒状筐体の内壁面には、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプが発する光を反射する反射部材が設けられていることを特徴とする循環式空気除菌装置。
【0042】
このように、少なくとも2本の直管型除菌ランプが発する光を反射する反射部材が設けられていることにより、流通する空気により多くの光を照射することができ、より高い除菌効果が得られる。
【0043】
[18]本発明の循環式空気除菌装置(本発明の第2循環式空気除菌装置とする。)は、両端部が開口となっており、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプを収納する筒状筐体と、外部の空気を前記筒状筐体の両端部のうちの一方の端部から前記筒状筐体の内部に吸引して前記筒状筐体の前記両端部のうちの他方の端部から前記筒状筐体の外部に排出する1つのファンと、を備え、前記ファンによって吸引した空気を前記少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通させたのち、前記ファンによって前記筒状筐体の外部に排出させることを特徴とする。
【0044】
本発明の第2循環式空気除菌装置は、ファンの数は1つとしているが、筒状筐体には直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプを有する。このため、本発明の第2の循環式空気除菌装置においては、筒状筐体内を流通する空気は、直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプに沿って流通することとなることから、流通する空気には、それぞれの直管型除菌ランプから発せられる光が有効に照射される。これにより、本発明の循環式空気除菌装置は、高い除菌能力を有し、それによって、高い除菌効果が期待できる。
【0045】
このように、本発明の循環式空気除菌装置によれば、従来の循環式空気除菌装置が有している課題、すなわち、高い除菌能力が得られにくいという課題及び高い循環能力で室内の空気を循環させることができないという課題のうちの高い除菌能力が得られにくいという課題は解決できる。なお、本発明の第2循環式空気除菌装置においても、前述した本発明の第1循環式空気除菌装が有する[2]~[17]に示した各特徴のうち、本発明の第2循環式空気除菌装置において適用可能な各特徴を有することが好ましい。
【0046】
[19]本発明の第2の循環式空気除菌装置においては、前記ファンは、前記筒状筐体の前記他方の端部の側に設けられていることが好ましい。
【0047】
このように、ファンを筒状筐体の前記他方の端部の側に設けることにより、1つのファンで吸引と排出の両方の機能を持たせることができる。
【0048】
[20]本発明の第2の循環式空気除菌装置においては、前記ファンは、前記少なくとも2本の直管型除菌ランプのうちの隣り合う2本の直管型除菌ランプの境界部に設けられていることも好ましい。
【0049】
このように、ファンを少なくとも2本の直管型除菌ランプのうちの隣り合う2本の直管型除菌ランプの境界部に設けることにより、当該ファンは、空気の吸引及び排出の機能だけなく、空気の流通を維持しながら、境界部を挟んで隣り合う2本の直管型除菌ランプがそれぞれ発する光の干渉を抑制する機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】実施形態1に係る循環式空気除菌装置10を説明するために示す図である。
【
図2】実施形態1に係る循環式空気除菌装置10を動作させるための電気的な制御系を説明するために示す図である。
【
図4】実施形態2に係る循環式空気除菌装置20を説明するために示す図である。
【
図5】実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第1変形例を説明するために示す図である。
【
図6】実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第2変形例を説明するために示す図である。
【
図7】実施形態3に係る循環式空気除菌装置30を説明するために示す図である。
【
図8】実施形態4に係る循環式空気除菌装置40を説明するために示す図である。
【
図9】実施形態4に係る循環式空気除菌装置40の変形例を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0052】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10を説明するために示す図である。
図1(a)は実施形態1に係る循環式空気除菌装置10の外観斜視図であり、
図1(b)は実施形態1に係る循環式空気除菌装置10の内部構造を模式的に示す図であり、
図1(c)は
図1(b)のy-y矢視断面図である。
【0053】
実施形態1に係る循環式空気除菌装置10は、
図1に示すように、直列配置された2本の直管型除菌ランプ110,120と、両端部(一方の端部131及び他方の端部132)に開口を有しており、直列配置された2本の直管型除菌ランプ110,120を収納する筒状筐体130と、筒状筐体130の一方の端部131に設けられ、外部の空気を筒状筐体の内部に吸引する第1ファン(以下、吸引ファンと表記する場合もある。)140と、筒状筐体130の他方の端部132に設けられ、筒状筐体130の内部の空気を外部に排出する第2ファン(以下、排出ファンと表記する場合もある。)150と、を備えている。
【0054】
なお、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10においては、筒状筐体130は、全体的には細長い直方体形状をなしているものとする。また、筒状筐体130は、4つの側面を形成する側面体133a~133dのうちの1つの側面体(例えば、下面に位置する側面体133b)が開閉可能となっており、筒状筐体130の内部の点検及び部品交換などが可能となっている。
【0055】
また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10においては、
図1(b)に示すように、2本の直管型除菌ランプ110,120は、筒状筐体130の長手方向の中心軸Ox1に当該2本の直管型除菌ランプ110,120の長手方向の中心軸Ox2が一致するように筒状筐体130内に配置されている。なお、2本の直管型除菌ランプ110,120の長手方向の中心軸Ox2は、必ずしも、筒状筐体130の長手方向の中心軸Ox1に一致させる必要はなく、例えば、上下方向に多少ずれた位置であってもよいが、この場合、筒状筐体130の中心軸Ox1と2本の直管型除菌ランプ110,120の中心軸Ox2とは平行であることが好ましい。
【0056】
また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10においては、2本の直管型除菌ランプ110,120は、紫外線発生用ランプ及びオゾン発生用ランプであるとする。このためのうち、直管型除菌ランプ110は紫外線発生用ランプ110(紫外線ランプ110と略記する場合もある。)であるとし、直管型除菌ランプ120はオゾン発生用ランプ120(オゾンランプ120と略記する場合もある。)であるとする。これら紫外線ランプ110及びオゾンランプ120は、それぞれに対応して設けられているソケット161,162に取り付けられている。
【0057】
そして、紫外線ランプ110は、筒状筐体130における一方の端部131側(吸引ファン140側)に配置されており、オゾンランプ120は、筒状筐体130における他方の端部132側(排出ファン150側)に配置されている。すなわち、吸引ファン140の側を、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通する空気の流れの上流側とし、排出ファン150の側を、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通する空気の流れの下流側としたとき、オゾンランプ120は、紫外線ランプ110よりも下流側に配されている。なお、
図1において、破線で示す矢印は、空気の流れを示しており、これは、後述する他の実施形態を説明するために示す各図においても同様である。
【0058】
実施形態1に係る循環式空気除菌装置10において用いる紫外線ランプ110としては、200nm~300nmの波長の紫外線を発する紫外線ランプを用いることができるが、260nm前後の波長を有する紫外線が高い除菌効果を有するとされている。このため、260nmに近い254nmの波長の紫外線を発する紫外線ランプ(低圧水銀UVランプ)を用いることが好ましい。
【0059】
一方、オゾンランプ120としては、185nmの波長の紫外線を発する紫外線ランプを使用することができる。波長が185nmの紫外線を発生する紫外線ランプから発する光は、オゾン発生線と呼ばれる光であり、この光を空気中の酸素分子に照射することにより、オゾンが発生することが知られている。
【0060】
ところで、上述したように、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10においては、オゾンランプ120は、紫外線ランプ110よりも下流側に配置されているが、この理由は、紫外線ランプ110とオゾンランプ120とを併用して除菌を行う場合、オゾンランプ120を紫外線ランプ110よりも下流側に配置した場合は、その逆の配置、ずなわち、オゾンランプ120を紫外線ランプ110よりも上流側に配置した場合に比べて、より高い殺菌効率が得られる。
【0061】
また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10において用いる紫外線ランプ110及びオゾンランプ120のそれぞれの長手方向の長さは共に400mm~500mmであるとする。また、筒状筐体130の長手方向の長さは1400mm~1500mmである。また、筒状筐体130の断面のサイズ、すなわち、筒状筐体130を中心軸Ox1に直交する方向に切断したときの筒状筐体130の断面のサイズは、縦方向が150mm程度であり、横方向が170mm程度であるとする。なお、紫外線ランプ110、オゾンランプ120及び筒状筐体130のサイズは一例であり、上述のサイズに限定されるものではない。
【0062】
また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10は、筒状筐体130の内壁面(上内壁面134a、下内壁面134b、左内壁面134c、右内壁面134d)には、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120が発する光を反射させる反射部材170(
図1(c)参照。)が設けられている。反射部材170としては、例えばアルミニウムシートを用いることができる。反射部材170は、筒状筐体130の内壁面の形状に沿うように当該内壁面のほぼ全面に張り付けることが好ましい。なお、反射部材170として、アルミニウムシートの代わりに、筒状筐体130の内壁面にアルミニウム蒸着を施すようにしてもよく、こうすることによっても、アルミニウムシートと同等の機能を持たせることができる。
【0063】
また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10は、当該循環式空気除菌装置10を動作させるための電装部200を有しており、当該電装部200には、紫外線ランプ110、オゾンランプ120、吸引ファン140及び排出ファン150の動作を制御する制御部210(後述する。)が含まれている。
【0064】
また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10は、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10を動作させる際に各種の設定を行う動作設定部300(
図3参照。)を有する。なお、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10は、室内の天井など手の届きにくい場所に設置することが一般的である。このため、動作設定部300は、ユーザーの操作し易さを考慮して、リモートコントロール式の動作設定部であることが好ましい。
【0065】
このように構成されている実施形態1に係る循環式空気除菌装置10は、吸引ファン140によって吸引した空気を紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通させたのち、排出ファン150によって外部に排出させるといった動作を絶え間なく行うことによって、室内の空気を除菌する循環式空気除菌装置である。
【0066】
図2は、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10を動作させるための電気的な制御系を説明するために示す図である。制御部210は、
図2に示すように、動作設定部300(
図3参照。)において設定された内容に基づいて紫外線ランプ110、オゾンランプ120、吸引ファン140及び排出ファン150の動作を制御する。
【0067】
ここで、制御部210による紫外線ランプ110、オゾンランプ120、吸引ファン140及び排出ファン150の動作制御の一例について説明する。制御部210は、動作設定部300による設定に基づいて、紫外線ランプ110、オゾンランプ120、吸引ファン140及び排出ファン150の動作を制御する機能を有している。
【0068】
具体的には、吸引ファン140の単位時間当たりの吸引量及び排出ファン150の単位時間当たりの排気量を制御する機能(吸引量/排気量制御機能)と、吸引ファン140及び排出ファン150を間欠的に動作させるための制御を行う機能(ファン間欠動作制御機能)と、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120を選択的に動作させるための制御を行う機能(ランプ選択制御機能)と、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120の少なくとも一方を間欠的に動作させるための制御を行う機能(ランプ間欠動作制御機能)とを有する。
【0069】
これら各機能は、ユーザーが動作設定部300によって設定することができる。なお、これら各機能は一例であって、不必要な機能を省くことも可能であり、また、他の機能を追加することも可能である。
【0070】
なお、吸引ファン140の単位時間当たりの吸引量を制御するということは、吸引ファン140の回転速度を制御することであり、排出ファン150の単位時間当たりの吸引量を制御するということは、排出ファン150の回転速度を制御することであるとする。また、「単位時間当たりの吸引量」は単に「吸引量」と表記する場合もあり、「単位時間当たりの排出量」は単に「排出量」と表記する場合もある。
【0071】
図3は、動作設定部300の一例を示す図である。動作設定部300は、
図3に示すように、循環式空気除菌装置10の電源をON/0FFする電源スイッチ(運転開始/終了スイッチ)310、標準的な動作での運転を指示する標準運転ボタン320、各種動作モードの設定を行うことができる動作モード設定部330、運転時間などを設定可能なタイマー340などを有する。
【0072】
動作モード設定部330は、状況に応じた動作を行わせるために、ユーザーが適宜設定可能とするものであり、吸引ファン140の吸引量設定ボタン331、排出ファン150の排出量設定ボタン332、吸引ファン140及び排出ファン150を間欠動作させるためのファン間欠動作設定ボタン333、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120を選択的に動作可能とする紫外線ランプ選択ボタン334及びオゾンランプ選択ボタン335、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120を間欠動作(間欠点灯)させるためのランプ間欠動作設定ボタン336などを有する。
【0073】
なお、吸引ファン140の吸引量を設定する吸引量設定ボタン331及び排出ファン150の排出量を設定する排出量設定ボタン332は、例えば、「1(弱)」から「5(強)」といった5段階設定であってもよく、また、「強」・「中」・「弱」などの3段階設定をであってもよく、吸引量及び排出量の設定の仕方は限定されるものではない。
【0074】
また、ランプ間欠動作設定ボタン336は、紫外線ランプ選択ボタン334及びオゾンランプ選択ボタン335によって選択されているランプを間欠点灯させることが可能である。したがって、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120の両方が選択されていれば、これら紫外線ランプ110及びオゾンランプ120が間欠動作する。また、間欠動作を行う場合、動作及び非動作の時間も任意に設定可能とすることが好ましい。これは、吸引ファン140及び排出ファン150を間欠動作させる場合においても同様である。
【0075】
続いて、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10の機能及び動作について説明する。ここでは、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10は室内の天井に設置されているものとする。
【0076】
ここで、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10の動作例について説明する。以下に説明する動作例は、動作設定部300によって設定された内容に応じた制御を制御部210が行うことによりなされるものである。
【0077】
まず、動作設定部300において、電源スイッチ310をONとしたのち、標準運転ボタン320が操作されると、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10は標準的な運転を行う。例えば、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120は共に連続点灯し、吸引ファン140及び排出ファン150は共に標準的な吸引量及び排出量での動作を連続的に行う。なお、ここでの標準的な吸引量及び排出量というのは、吸引量及び排出量が、例えば「1(弱)」から「5(強)」といった5段階設定である場合には、「3」に相当するものとする。
【0078】
これにより、室内の空気は吸引ファン140により筒状筐体130内に標準的な吸引量で吸引されて、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通したのち、排出ファン150によって筒状筐体130の外部に標準的な排出量で排出される。このような動作が循環式空気除菌装置10の運転中に絶え間なく行われるため、室内の空気は循環しながら除菌されて行く。
【0079】
また、動作設定部300の動作モード設定部330によって、その時の状況に応じた種々の動作設定が可能となる。例えば、吸引量設定ボタン331及び排出量設定ボタン332において、吸引量及び排出量を共に「4」に設定したとすれば、吸引ファン140及び排出ファン150は共に標準的な回転速度よりもやや高速回転する。これにより、室内の空気の循環は、標準運転の場合よりも促進され、室内の除菌が標準運転の場合に比べて短時間で行うことができる。
【0080】
また、吸引ファン140を排出ファン150よりも高速回転で動作させることも可能である。例えば、吸引ファン140の吸引量を吸引量設定ボタン331によって「4」に設定し、排出ファンの排出量を排出量設定ボタン332によって「2」に設定すれば、筒状筐体130内に吸引される空気の量が筒状筐体130内から排出される空気の量よりも多くなる。すなわち、筒状筐体130内に多くの量の空気を吸引して少ない量で排出するといった動作を行うこととなる。このため、筒状筐体130内には、より多くの空気が取り込まれて滞留することとなる。これにより、吸引ファン140と排出ファン150とを同等の回転で動作させる場合よりも多くの量の空気を除菌することができることから、除菌効率を向上させることができる。
【0081】
なお、上述した標準運転ボタン320の操作による標準運転の場合も、吸引ファン140を排出ファン150よりも高速回転で動作させるような設定としておいてもよい。すなわち、標準運転とした場合の初期設定としては、例えば、吸引ファン140は「4」、排出ファンは「3」をデフォルト値として設定しておく。これによって、標準運転とした場合も、吸引ファン140を排出ファン150よりも多少高速回転で動作する。
【0082】
このようにすることにより、標準運転とした場合でも、自動的に、吸引ファン140の吸引量が排出ファン150の排出量よりも大きくなるため、筒状筐体130内に多くの量の空気を吸引して少ない量で排出するといった動作を行うこととなる。このため、筒状筐体130内には、より多くの空気が取り込まれて滞留することとなり、吸引ファン140と排出ファン150とを同等の回転速度で動作させる場合よりも多くの量の空気を除菌することができることから、効率の良い除菌が期待できる。なお、吸引ファン140の吸引量及び排出ファン150の排出量を変更したい場合には、動作モード設定部330によって適宜行うことができる。
【0083】
このように、吸引ファン140を排出ファン150よりも高速回転で動作させるといった設定は、標準運転の場合だけでなく、循環式空気除菌装置10の運転開始時における初期設定としておいてもよい。これにより、標準運転の設定を行うか否かに関係なく、循環式空気除菌装置10の運転を開始すれば、自動的に、吸引ファン140の吸引量が排出ファン150の排出量よりも大きくなるため、筒状筐体130内に多くの量の空気を吸引して少ない量で排出するといった動作を行うこととなる。なお、この場合も、吸引ファン140の吸引量及び排出ファン150の排出量の変更は、動作モード設定部330によって適宜行うことができる。
【0084】
また、動作モード設定部330において、ファン間欠動作設定ボタン333が操作されることにより、吸引ファン140及び排出ファン150が所定時間間隔で動作と停止とを繰り返す。この場合、動作時間及び停止時間を設定可能としておけば、例えば、1時間ごとに動作と停止とを繰り返すというように、同じ時間間隔で動作と停止とを繰り返すことも可能であり、また、2時間動作して10分停止するというように、動作時間と停止時間とを異ならせることも可能である。
【0085】
また、動作モード設定部330において、紫外線ランプ選択ボタン334及びオゾンランプ選択ボタン335が操作されることによって、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120を選択的に動作(点灯)させることができる。例えば、紫外線ランプ選択ボタン334を操作すると、紫外線ランプ110のみが点灯し、紫外線ランプ110のみによる除菌動作がなされる。また、オゾンランプ選択ボタン335を操作すると、オゾンランプ120のみが点灯し、オゾンランプ120のみによる除菌動作がなされる。
【0086】
また、動作モード設定部330において、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120を間欠動作させるためのランプ間欠動作設定ボタン336が操作されることにより、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120が所定時間間隔で点灯と消灯とを繰り返す。この場合、点灯時間及び消灯時間を設定可能としておけば、例えば、1時間ごとに点灯と消灯とを繰り返すというように、同じ時間間隔で点灯と消灯とを繰り返すことも可能であり、また、2時間動作して10分停止するというように点灯時間と消灯時間とを異ならせることも可能である。
【0087】
なお、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120の間欠動作は、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120の両方を間欠動作させることも可能であるが、紫外線ランプ選択ボタン334及びオゾンランプ選択ボタン335によって選択されているランプのみを間欠動作させることも可能であり、また、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120を個々に間欠動作させることができるように設定しておけば、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120の一方は連続動作で他方は間欠動作させるということも可能である。
【0088】
また、紫外線ランプ110の間欠動作の時間及びオゾンランプ120の間欠動作の時間を個々のランプごとに設定可能としておけば、紫外線ランプ110の間欠動作の時間及びオゾンランプ120の間欠動作の時間を個々のランプごとに設定することもできる。
【0089】
また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10の運転時間をタイマー340により設定することも可能である。例えば、12時間の設定を行った場合には、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10は運転開始から12時間経過すると自動的に停止する。また、運転開始時間と運転停止時間とを設定可能としてもよく、この場合、運転開始時間に達すると自動的に運転を開始し、運転停止時間に達すると自動的に運転を停止する。
【0090】
以上説明したように、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10においては、室内の空気は、吸引ファン140により筒状筐体130内に吸引されて、筒状筐体130内を流通したのち、排出ファン150によって筒状筐体130の外部に排出される。このとき、筒状筐体130内を流通する空気は、直列配置された2本の直管型除菌ランプ(紫外線ランプ110及びオゾンランプ120)の合計の長さに相当する長い流路を流通し、その流通過程でまずは、紫外線ランプ110が発する紫外線によって除菌され、続いて、オゾンランプ120から発する光により発生するオゾンによってさらに除菌されるというように、2段階での除菌がなされる。従って、流通する空気には、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120それぞれから発せられる光が有効に照射される。これにより、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10は、高い除菌能力を有し、それによって、高い除菌効果が期待できる。
【0091】
また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10においては、吸引ファン140と排出ファン150とが備えられており、当該循環式空気除菌装置10が設置されている室内の空気を、吸引ファン140によって吸引し、直列配置された紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通させたのち、排出ファン150によって排出するようにしている。このように、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10においては、吸引ファン140及び排出ファンを150備えているため、室内の空気を循環させるための循環能力を高めることができ、室内の除菌を短時間で効率的に行うことができる。
【0092】
このように、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10によれば、従来の循環式空気除菌装置が有する課題、すなわち、高い除菌能力が得られないという課題及び高い循環能力で室内の空気を循環させることができないという課題のいずれをも解決することができる。
【0093】
また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10においては、オゾンランプ120は、紫外線ランプ110よりも下流側に配置されているため、殺菌効率をより高めることが期待できる。
【0094】
また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10においては、動作設定部300を有するとともに、当該動作設定部300によって設定された内容に応じて、循環式空気除菌装置10の動作を制御する制御部210を有している。このため、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10においては、状況に応じた適切な除菌動作が可能となる。
【0095】
例えば、吸引ファン140を排出ファン150よりも高速回転で動作させることも可能であり、これにより、循環式空気除菌装置10は、筒状筐体130内に多くの量の空気を吸引して少ない量で排出するといった動作を行うこととなる。このため、筒状筐体130内には、より多くの空気が滞留することとなり、吸引ファン140と排出ファン150と同等の回転速度で動作させる場合よりも多くの量の空気を除菌することができることから、効率のよい除菌が可能となる。
【0096】
また、吸引ファン140、排出ファン150、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120をそれぞれ間欠的に動作可能としたり、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120を選択的に動作可能としたり、タイマー340により循環式空気除菌装置10そのものの運転時間を設定できるようにしているため、状況に応じた適切な除菌動作が可能となり、電力消費量も抑制できる。
【0097】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20を説明するために示す図である。なお、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の外観構成は、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10(
図1(a)参照。)と同じであるため、外観構成の図示は省略する。
【0098】
実施形態2に係る循環式空気除菌装置20においては、当該実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の内部構成を
図4(a)として示している。また、
図4(b)は、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20における紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180付近を拡大して示す斜視図である。なお、
図4(b)においては、境界部180付近に存在する紫外線ランプ110、オゾンランプ120、反射部材(アルミシート)170などの図示は省略している。以下、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20について説明する。
【0099】
実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の内部構成は、基本的には実施形態1に係る循環式空気除菌装置10と同じであり、同一構成要素には同一符号が付されている。実施形態2に係る循環式空気除菌装置20が実施形態1に係る循環式空気除菌装置10と異なる点は、紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180には、当該境界部180での空気の流通を維持しながら、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120がそれぞれ発する光を境界部180において遮光する少なくとも1枚の遮光板が、筒状筐体130の長手方向を横切って設けられている点である。
【0100】
実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の内部構成においては、遮光板としては、第1遮光板410及び第2遮光板420の2枚であるとする。第1遮光板410及び第2遮光板420は、境界部180を流通する空気の流通を維持しながら、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120がそれぞれ発する光を境界部180において遮光する。なお、ここで用いる遮光板(第1遮光板410及び第2遮光板420)は、光を反射させることによって遮光する遮光板であることが好ましい。
【0101】
第1遮光板410及び第2遮光板420は、互いに所定の間隔を有し、かつ、第1遮光板410と第2遮光板420とが対面するように筒状筐体130の長手方向を横切って設けられている。この場合、筒状筐体130の長手方向の中心軸Ox1に直交するように設けられている。なお、第1遮光板410及び第2遮光板420は、それぞれ平面形状が四角形をなしているものとする。具体的には、第1遮光板410及び第2遮光板420は、筒状筐体130を中心軸Ox1に直交する方向に切断したときの筒状筐体130の断面形状(内部断面形状)にほぼ合致する形状(四角形状)をなしている。
【0102】
第1遮光板410は、当該第1遮光板410の外周縁部が筒状筐体130の内壁面に接した状態で取り付けられており、第2遮光板420は、当該第2遮光板420の外周縁部が筒状筐体130の内壁面に接した状態で取り付けられている。
【0103】
なお、この場合、第1遮光板410及び第2遮光板420は、四角形状をなしているため、第1遮光板410の外周縁部は、4つの辺(上端辺410a、下端辺410b、左端辺410c及び右端辺410d)で構成されているため、これら4つの辺が筒状筐体130の4つの内壁面(上内壁面134a、下内壁面134b、左内壁面134c及び右内壁面134d)に接した状態で取り付けられている。
【0104】
一方、第2遮光板420の外周縁部も、4つの辺(上端辺420a、下端辺420b、左端辺420c及び右端辺420d)で構成されている。これら4つの辺が筒状筐体130の4つの4つの内壁面(上内壁面134a、下内壁面134b、左内壁面134c及び右内壁面134d)に接した状態で取り付けられている。
【0105】
そして、第1遮光板410には第1空気流通開口411が設けられており、第2遮光板には第2空気流通開口421が設けられている。これら第1空気流通開口411及び第2空気流通開口421は、筒状筐体130の長手方向に沿って一方の端部から他方の端部に向かって見たときに、第1空気流通開口411と第2空気流通開口421とが重畳しない位置に設けられている。すなわち、これら第1空気流通開口411及び第2空気流通開口421は、筒状筐体130の長手方向に沿って一方の端部から第1空気流通開口411と第2空気流通開口421とを通して他方の端部が目視できない位置に設けられている。
【0106】
なお、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20においては、第1空気流通開口411及び第2空気流通開口421は、筒状筐体130の中心軸Ox1を挟んで互い違いの位置で、かつ、筒状筐体130の中心軸Ox1から離間した位置(筒状筐体130の対面する2つの内壁面(上内劇面134a及び下内壁面134bに近い位置)に設けられている。
【0107】
このように構成されている第1遮光板410及び第2遮光板420が、紫外線ランプ110とオゾンランプ120との間の境界部180に配置されていることにより、紫外線ランプ110から発する光はオゾンランプ120の側には到達できず、また、オゾンランプ120から発する光は紫外線ランプ110側には到達できない。このため、紫外線ランプ110が発する光とオゾンランプ120が発する光との干渉を防止することできる。
【0108】
なお、紫外線ランプ110が発する光とオゾンランプ120が発する光との干渉を防止するようにした理由は、紫外線ランプ110が発する紫外線の波長が、仮に、254nmであるとすると、当該254nmの紫外線はオゾンの分解に作用し、オゾンの濃度低下を招くことになることが知られているからである。この点を考慮すると、紫外線ランプ110が発する光とオゾンランプ120が発する光との干渉を可能な限り防ぐことが好ましい。
【0109】
実施形態2に係る循環式空気除菌装置20においては、上述したように、紫外線ランプ110とオゾンランプ120との間の境界部180に第1遮光板410及び第2遮光板420を設けている。これにより、紫外線ランプ110が発する光とオゾンランプ120が発する光との干渉を防ぐことができ、オゾンランプによって発せられるオゾンの濃度低下を抑制できる。
【0110】
また、第1遮光板410には第1空気流通開口411が設けられており、第2遮光板420には第2空気流通開口421が設けられているため、境界部180での空気の流通は維持される。なお、第1遮光板410に設けられている第1空気流通開口411及び第2遮光板420に設けられている第2空気流通開口421は、筒状筐体130の中心軸Ox1を挟んで互い違いに設けられている。これにより、境界部180を流通する空気は蛇行することとなるため、第1遮光板410及び第2遮光板420は、空気の流れを蛇行させる流通制御板としての機能をも有する。
【0111】
このように、第1遮光板410及び第2遮光板420は、空気の流れを蛇行させる流通制御板としての機能をも有することにより、筒状筐体130内を流通する空気(紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通する空気)は、紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180において、蛇行して流通することとなり、筒状筐体130内において空気に淀みが生じる。筒状筐体130内で流通する空気に淀みが生じると、筒状筐体130内での空気の滞留時間を長くすることができるため、除菌効果をより高めることができる。
【0112】
以上説明したように、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20によれば、紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180に第1遮光板410及び第2遮光板420を設けることにより、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10によって得られる効果に加えて、紫外線ランプ110が発する光とオゾンランプ120が発する光の干渉を防ぐことができる効果と、筒状筐体130内での空気の滞留時間を長くできることにより除菌効果をより高めることができる効果とが得られる。
【0113】
[実施形態2に係る循環式空気除菌装置の第1変形例]
図5は、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第1変形例を説明するために示す図である。
図5(a)は実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第1変形例としての循環式空気除菌装置(循環式空気除菌装置21とする。)の内部構成を示す図であり、
図5(b)は循環式空気除菌装置21における紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180付近を拡大して示す斜視図である。なお、
図5(b)においては、境界部180付近に存在する紫外線ランプ110、オゾンランプ120、反射部材(アルミシート)170などの図示は省略している。以下、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第1変形例としての循環式空気除菌装置21について説明する。
【0114】
循環式空気除菌装置21においては、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20と同様に、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120の境界部180に第1遮光板(第1遮光板430とする。)及び第2遮光板(第2遮光板440とする。)が設けられている。この場合も第1遮光板430及び第2遮光板440は四角形であるとする。但し、循環式空気除菌装置21において用いる第1遮光板430及び第2遮光板440は、筒状筐体130の内部断面のサイズよりもやや小さいサイズとなっている。
【0115】
また、第1遮光板430及び第2遮光板440は、互いに所定の間隔を有し、かつ、第1遮光板430と第2遮光板440とが対面するように筒状筐体130の長手方向を横切って設けられている。なお、第1遮光板430及び第2遮光板440は、筒状筐体130内の上下方向にずれを有して対面するように筒状筐体130に設けられている。
【0116】
具体的には、第1遮光板430の上下方向の高さ(上端辺430aと下端辺430bとの間の高さ)h1は、筒状筐体130の内部断面の上下方向の高さ(上内壁面134aと下内壁面134bとの間の高さ)h2よりも低いものとなっている。第2遮光板440も同様に、上下方向の高さ(上端辺440aと下端辺440bとの間の高さ)h1は、筒状筐体130の内部断面の上下方向の高さ(上内壁面134aと下内壁面134bとの間の高さ)h2よりも低いものとなっている。
【0117】
そして、第1遮光板430は、当該第1遮光板430の外周縁部(上端辺430a、下端辺430b、左端辺430c及び右端辺430d)のうちの一部の縁部(上端辺430aとする。)が、筒状筐体130の上内壁面134aとの間に第1空気流通開口431を形成し、当該第1遮光板430の上端辺430a以外の下端辺430b、左端辺430c及び右端辺430dが筒状筐体130の下内壁面134b、左内壁面134c及び右内壁面134dに接した状態で筒状筐体130に取り付けられている。
【0118】
一方、第2遮光板440は、当該第2遮光板440の外周縁部(上端辺440a、下端辺440b、左端辺440c及び右端辺440d)のうちの一部の縁部(下端辺440bとする。)が、筒状筐体130の下内壁面134bとの間に第2空気流通開口441を形成し、当該第2遮光板440の下端辺440b以外の上端辺440a、左端辺440c及び右端辺440dが筒状筐体130の上内壁面134a、左内壁面134c及び右内壁面134dに接した状態で筒状筐体130に取り付けられている。
【0119】
これにより、第1遮光板430は、上端辺430aと筒状筐体130の上内壁面134aとの間に第1空気流通開口431を形成し、第2遮光板440は、下端辺440bと筒状筐体130の下内壁面134bとの間に第2空気流通開口441を形成することとなる。
【0120】
第1遮光板430及び第2遮光板440が、紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180においてこのように設けられていることによって、第1空気流通開口431及び第2空気流通開口441は、筒状筐体130の中心軸Ox1を挟んで互い違いの位置に設けられることとなる。なお、この場合も、筒状筐体130の長手方向に沿って一方の端部131から他方の端部132に向かって見たときに、当該第1空気流通開口431と第2空気流通開口441とが重畳しない位置に存在することとなる。
【0121】
循環式空気除菌装置21においては、第1遮光板430及び第2遮光板440が紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180において、このように設けられていることから、紫外線ランプ110から発する光はオゾンランプ120の側には到達できず、また、オゾンランプ120から発する光は紫外線ランプ110の側には到達できない。このため、紫外線ランプ110が発する光とオゾンランプ120が発する光との干渉を防ぐことができる。
【0122】
また、第1遮光板430と筒状筐体130の内壁面との間に第1空気流通開口431が形成され、第2遮光板440と筒状筐体130の内壁面との間に第2空気流通開口441が形成されている。このため、境界部180での空気の流通は維持される。なお、第1空気流通開口431及びに第2空気流通開口441は、筒状筐体130の中心軸Ox1を挟んで互い違いに設けられていることによって、境界部180を流通する空気は蛇行して流通することとなり、第1遮光板430及び第2遮光板440は、空気の流れを蛇行させる流通制御板としての機能をも有する。
【0123】
これにより、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通する空気は、紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180において、蛇行して流通することとなり、筒状筐体130内において空気に淀みが生じる。筒状筐体130内で流通する空気に淀みが生じると、筐体130内での空気の滞留時間を長くすることができるため、除菌効果をより高めることができる。
【0124】
なお、循環式空気除菌装置21においては、第1空気流通開口431は第1遮光板430の上端辺430aと筒状筐体130の上内壁面134aとの間に形成し、第2空気流通開口441は第2遮光板440の下端辺440bと筒状筐体130の下内壁面134bとの間に形成した場合を例示したが、第1空気流通開口431は第1遮光板430の例えば左端辺430cと筒状筐体130の左内壁面134cとの間に形成し、第2空気流通開口441は第2遮光板440の右端辺440dと筒状筐体130の右内壁面134dとの間に形成してもよい。
【0125】
以上説明したように、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第1変形例1としての循環式空気除菌装置21によれば、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20と同様の効果が得られる。
【0126】
[実施形態2に係る循環式空気除菌装置の第2変形例]
図6は、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第2変形例を説明するために示す図である。
図6(a)は実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第2変形例としての循環式空気除菌装置(循環式空気除菌装置22とする。)の内部構成を示す図であり、
図6(b)は、循環式空気除菌装置22における排出ファン150の直前付近を拡大して示す斜視図である。なお、
図6(a)においては、排出ファン150、当該排出ファン150の近くに存在するオゾンランプ120、反射部材(アルミシート)170などの図示は省略している。以下、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第2変形例としての循環式空気除菌装置22について説明する。
【0127】
循環式空気除菌装置22においては、オゾンランプ120と排出ファン150との間、すなわち排出ファン150の直前の位置には、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通する空気の流量を排出ファン150の直前の位置で抑制する流量抑制板450を設けた構成となっている。
【0128】
流量抑制板450は、例えば、
図6(b)示すように、筒所筐体130の内部断面形状に合致する四角形状をなしており、当該四角形状をなす流量抑制板450には所定サイズの貫通孔451が設けられている。なお、貫通孔451は、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通する空気の流量を抑制する(絞り込む)ことができればよいため、円形孔に限られるものではなく、角形の孔であってもよい。また、貫通孔は1つであることに限られるものではなく、複数の孔が流量抑制板450に散在していてもよい。
【0129】
このように構成された流量抑制板450が排出ファン150の直前の位置に設けられていることによって、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通する空気の流量を排出ファン150の直前の位置で抑制する(絞り込む)ことができ、排出ファン150よりも上流側で空気の滞留時間を長くすることができる。
【0130】
特に、第1遮光板410及び第2遮光板420に加えて、流量抑制板450が排出ファン150の直前の位置に設けられていることにより、第1遮光板410及び第2遮光板420を設けることによって得られる効果に加えて、排出ファン150の上流側(第1遮光板410及び第2遮光板420と排出ファン150との間)においても空気の滞留時間を長くすることができるといった効果を得ることができる。
【0131】
これにより、循環式空気除菌装置22においては、紫外線ランプ110に沿って流通する空気は、第1遮光板410及び第2遮光板420の存在によって滞留時間が長くなり、滞留時間が長い状態で当該紫外線ランプ110による除菌が行われる。そして、第1遮光板410及び第2遮光板420を流通した空気は、オゾンランプ120に沿って流通するが、オゾンランプ120に沿って流通する空気は、流量抑制板450の存在によって滞留時間が長くなり、滞留時間が長い状態で当該オゾンランプ120による除菌が行われる。このように、循環式空気除菌装置22においては、紫外線ランプ110に沿って流通する空気及びオゾンランプ120を流通する空気は、それぞれにおいて滞留時間が長い状態で除菌されるため、紫外線ランプ110とオゾンランプ120とによる除菌効果をより高めることができる。
【0132】
なお、
図6においては、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20に流量制御板450を設けた場合を例示したが、このような流量抑制板450は、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第1変形例としての循環式空気除菌装置21(
図5参照。)及び実施形態1に係る循環式空気除菌装置10(
図1参照。)においてもそれぞれ適用できる。
【0133】
すなわち、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第1変形例としての循環式空気除菌装置21においては、当該循環式空気除菌装置21における排出ファン150の直前の位置に流量抑制板450を設けることにより、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20における排出ファン150の直前の位置に流量抑制板450を設けた場合と同様の効果が得られる。
【0134】
また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10においては、当該実施形態1に係る循環式空気除菌装置10における排出ファン150の直前位置に流量抑制板450を設けることにより、排出ファン150よりも上流側全体(筒状筐体130内部全体)で空気に淀みが生じて、筒状筐体130内での空気の滞留時間がながくなるため、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120による除菌効果を高めることができる。
【0135】
[実施形態3]
図7は、実施形態3に係る循環式空気除菌装置30を説明するために示す図である。なお、実施形態3に係る循環式空気除菌装置30の外観構成は、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10(
図1(a)参照。)と同じであるため、外観構成の図示は省略する。
図7は実施形態3に係る循環式空気除菌装置30の内部構造を模式的に示す図である。実施形態3に係る循環式空気除菌装置30は、基本的には、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20(
図4参照。)と同じであり、同一構成要素には同一符号が付されている。
【0136】
上述の実施形態2に係る循環式空気除菌装置20(
図4参照。)においては、紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180に、第1遮光板410及び第2遮光板420を設けた構成としたが、実施形態3に係る循環式空気除菌装置30においては、第1遮光板410及び第2遮光板420に加えて、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通する空気を蛇行させて流通させる流通制御板510,520をさらに設けた構成としている。
【0137】
具体的には、流通制御板510は、紫外線ランプ110に沿って流通する空気を横切るように配置されており、流通制御板520は、オゾンランプ120に沿って流通する空気を横切るように配置されている。そして、実施形態3に係る循環式空気除菌装置30においては、流通制御板510は、紫外線ランプ110に沿った位置において、紫外線ランプ110を挟むように4枚ずつ設けられており、流通制御板520は、オゾンランプ120を挟むように4枚ずつ設けられている場合が例示されている。
【0138】
流通制御板510,520は、実施形態3に係る循環式空気除菌装置30においては、それぞれ四角形状をなしている。流通制御板510は、当該流通制御盤510の先端部510aが紫外線ランプ110との間に所定間隔d1を有するように位置している。そして、当該流通制御板510の後端部510bが筒状筐体130の上内壁面134a(
図1(c)参照。)又は下内壁面134b(
図1(c)参照。)に取り付けられている。一方、流通制御板520は、当該流通制御盤520の先端部520aがオゾンランプ120との間に所定間隔d1を有するように位置している。そして、当該流通制御板520の後端部520bが筒状筐体130の上内壁面134a(
図1(c)参照。)又は下内壁面134b(
図1(c)参照。)に取り付けられている。
【0139】
なお、実施形態3に係る循環式空気除菌装置30においては、流通制御板510,520は、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120を中心として、筒状筐体130の上内壁面134a及び下内壁面134bそれぞれに4枚ずつ取り付けられている場合が例示されているが、枚数は適宜最適な数を設定可能であり、また、筒状筐体130の内壁面への取り付け位置も、上内壁面134a及び下内壁面134bではなく、筒状筐体130の左内壁面134c及び右内壁面134dに取り付けるようにしてもよく、また、4つの内壁面(上内壁面134a、下内壁面134b、左内壁面134及び右内壁面134d)に取り付けるようにしてもよい。
【0140】
また、流通制御板510は、先端部510aから後端部510bまでの長さが異なる流通制御板が含まれていてもよく、流通制御板520も同様に、先端部520aから後端部520bまでの長さが異なる流通制御板が含まれていていてもよい。例えば、流通制御板510を例に取れば、流通制御板510の先端部510aから後端部510bまでの長さを1つおきに変えることも可能であり、また、ランダムに変えるようにしてもよい。また、種々の長さを有する流通制御板510を適宜配置するようにしてもよい。
【0141】
このように、実施形態3に係る循環式空気除菌装置30は、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20において、紫外線ランプ110とオゾンランプ120に沿った位置には、第1遮光板410及び第2遮光板420に加えて、紫外線ランプ110とオゾンランプ120に沿って流通する空気を蛇行させて流通させる流通制御板510,520をさらに設けた構成としている。
【0142】
このため、実施形態3に係る循環式空気除菌装置30は、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20において得られる効果に加えて、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿った位置においても、空気の流れに淀みが生じて空気が滞留し易くなり、紫外線ランプ110とオゾンランプ120による除菌効果をより高める効果が得られる。
【0143】
また、実施形態3に係る循環式空気除菌装置30は、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20に適用した場合を例示したが、実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第1変形例としての循環式空気除菌装置21(
図5参照。)及び実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の第2変形例としての循環式空気除菌装置22(
図6参照。)にも適用でき、また、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10(
図4参照。)においても適用できる。
【0144】
また、
図7に示す実施形態3に係る循環式空気除菌装置30においては、流通制御板510,520は、四角形としたが、四角形に限られるものではなく、四角形以外の多角形、さらには、円形、楕円形などであってもよい。また、筒状筐体130の内部断面と同様のサイズを有する四角形(例えば、実施形態2において示した第1遮光板410及び第2遮光板420と同様のサイズの四角形)として、中央部に紫外線ランプ110及びオゾンランプ120を非接触で貫通可能な空間(孔)を形成したものであってもよい。このような流通制御板の場合、中央部に形成されている空間(孔)の縁部が当該流通制御板の先端部であり、当該流通制御板の外周縁部が当該流通制御板の後端部となる。
【0145】
[実施形態4]
図8は、実施形態4に係る循環式空気除菌装置40を説明するために示す図である。なお、実施形態4に係る循環式空気除菌装置30の外観構成は、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10(
図1(a)参照。)と同じであるため、外観構成の図示は省略する。
図8は実施形態3に係る循環式空気除菌装置30の内部構造を模式的に示す図である。実施形態4に係る循環式空気除菌装置40における内部構造において、実施形態1に係る循環式空気除菌装置10の内部構造(
図1参照。)と同一構成要素には同一符号が付されている。
【0146】
実施形態4に係る循環式空気除菌装置40が上述した各実施形態と異なる主な点は、上述した各実施形態においては、第1ファン(吸引ファン140)及び第2ファン(排出ファン150)を筒状筐体130の両端部(一方の端部131及び他方の端部132)にそれぞれ設けた場合を例示したが、実施形態4に係る循環式空気除菌装置40においては、ファンを1つとしている。当該1つのファンを「ファン190」とする。
【0147】
すなわち、実施形態4に係る循環式空気除菌装置40においては、ファン190は、筒状筐体130の他方の端部132に設けられており、当該ファン190によって、外部の空気を筒状筐体130に吸引して、筒状筐体130において紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通させたのちに、筒状筐体130の外部に排出させることができる。すなわち、実施形態4に係る循環式空気除菌装置40においては、1つのファン190によって室内の空気を循環させている。
【0148】
このような構成となっている実施形態4に係る循環式空気除菌装置40によれば、空気の循環能力という点では、上述の各実施形態には及ばないが、筒状筐体130内を流通する空気は、直列配置された少なくとも2本の直管型除菌ランプ(この場合、紫外線ランプ110及びオゾンランプ120)に沿って流通することとなることから、流通する空気には、それぞれの直管型除菌ランプから発せられる光が有効に照射される。これにより、本発明の循環式空気除菌装置は、高い除菌能力を有し、それによって、高い除菌効果が期待できる。
【0149】
このように、実施形態4に係る循環式空気除菌装置40によれば、従来の循環式空気除菌装置が有している課題、すなわち、高い除菌能力が得られにくいという課題及び高い循環能力で室内の空気を循環させることができないという課題のうちの高い除菌能力が得られにくいという課題は解決できる。
【0150】
なお、実施形態4に係る循環式空気除菌装置40においても、上述の各実施形態において説明した機能及び構成のうち、実施形態4に係る循環式空気除菌装置40において採用可能な機能及び構成を有することが好ましい。
【0151】
[実施形態4に係る循環式空気除菌装置40の変形例]
図9は、実施形態4に係る循環式空気除菌装置40の変形例を説明するために示す図である。なお、
図9は実施形態2に係る循環式空気除菌装置20の変形例としての循環式空気除菌装置(循環式空気除菌装置41とする。)の内部構成を示す図であり、実施形態4に係る循環式空気除菌装置40と同一構成要素には同一符号が付されている。
【0152】
循環式空気除菌装置41においては、ファン190は、紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180に設けられている。このように、ファン190を紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180に設けることによっても、
図8に示した循環式空気除菌装置40と同様に、ファン190によって、外部の空気を筒状筐体130に吸引して、筒状筐体130において紫外線ランプ110及びオゾンランプ120に沿って流通させたのちに、外部に排出させることができる。これにより、循環式空気除菌装置41において得られる効果と同様の効果が得られる。
【0153】
また、循環式空気除菌装置41においては、ファン190を紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180に設けているため、空気を循環させる機能だけなく、空気の流通を維持しながら、境界部180を挟んで隣り合う2本の直管型除菌ランプ(紫外線ランプ110及びオゾンランプ120)がそれぞれ発する光の干渉を抑制する機能を有するものとなる。
【0154】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0155】
(1)上記各実施形態においては、直管型除菌ランプとしては、紫外線ランプ110とオオゾンランプ120とを用い、これら紫外線ランプ110とオゾンランプ120とを直列配置した場合を例示したが、直管型除菌ランプとしては、2本とも紫外線を発する紫外線ランプであってもよく、また、2本ともオゾンランプであってもよい。
【0156】
(2)上記各実施形態においては、直列配置する直管型除菌ランプの数は、1本の紫外線ランプ110及び1本のオゾンランプ120の合計2本である場合を例示したが、2本であることに限られるものではなく、3本以上であってもよい。そして、3本以上の直管型除菌ランプとして、紫外線ランプとオゾンランプとを用いる場合には、紫外線ランプ及びオゾンランプの本数を適宜組み合わせることが可能である。例えば、直列配置する直管型除菌ランプの数を3本とした場合、2本が紫外線ランプで1本がオゾンランプといった組み合わせ、又は、1本が紫外線ランプで2本がオゾンランプといった組み合わせなど、使用する本数に応じて、紫外線ランプとオゾンランプとの組み合わせを適宜設定できる。
【0157】
(4)上記実施形態2においては、紫外線ランプ110とオゾンランプ120との境界部180には、第1遮光板410及び第2遮光板420の2枚の遮光板を設けた場合を例示したが、1枚の遮光板であってもよい。例えば、1枚の遮光板に、隣り合う除菌ランプから発する光を通過させにくい開口(例えば複数の小孔)を形成するようにしてもよい。これにより、この場合、多少の光の通過はあるが、隣り合う2本の直管型除菌ランプがそれぞれ発する光の干渉を抑制できるといった効果は得られる。
【0158】
(5)上記各実施形態においては、筒状筐体の形状は細長い直方体とした場合を例示したが、細長い直方体に限られるものではない。例えば、断面が半円形状の細長い半円筒形状、断面が楕円形状の細長い筒形状とすることができる。
【符号の説明】
【0159】
10,20,21,22,30,40,41・・・循環式空気除菌装置、110・・・紫外線ランプ(直管型除菌ランプ)、120・・・オゾンランプ(直管型除菌ランプ)、130・・・筒状筐体、134a・・・上内壁面(内壁面の一部)、134b・・・下内壁面(内壁面の一部)、134c・・・左内壁面(内壁面の一部)、134d・・・右内壁面(内壁面の一部)、140・・・吸引ファン(第1ファン)、150・・・排出ファン(第2ファン)、170・・・アルミシート(反射部材)、180・・・境界部、190・・・ファン、200・・・電装部、210・・・制御部、300・・・動作設定部、410,430・・・第1遮光板、410a,430a・・・上端辺(外周縁部の一部)、410b、430b・・・下端辺(外周縁部の一部)、410c,430c・・・左端辺(外周縁部の一部)、410d,430d・・・右端辺(外周縁部の一部)、411・・・第1空気流通開口、420,440・・・第2遮光板、420a、440a・・・上端辺(外周縁部の一部)、420b、440b・・・下端辺(外周縁部の一部)、420c,440c・・・左端辺(外周縁部の一部)、420d,440d・・・右端辺(外周縁部の一部)、421・・・第2空気流通開口、450・・・流量抑制板、451・・・流量抑制板450の空気流通開口、510,520・・・流通制御板、Ox1・・・筒状筐体130の長手方向の中心軸、Ox2・・・紫外線ランプ110及びオゾンランプ120の長手方向の中心軸