(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】商品販売データ処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/24 20190101AFI20240531BHJP
G07D 11/36 20190101ALI20240531BHJP
【FI】
G07D11/24
G07D11/36
(21)【出願番号】P 2020099309
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【氏名又は名称】平野 昌邦
(72)【発明者】
【氏名】沖 裕之
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を
オーバーフロー用の貨幣収容器に収容させるように排出可能な釣銭機に対応する商品販売データ処理装置であって、
前記貨幣収容器に収容されている貨幣の計算を行
う計算手段と、
前記貨幣の計算に際して、前記釣銭機に収納されている貨幣の枚数と、前記貨幣収容器に収容されているとして管理されている貨幣の枚数との関係に基づいて、前記釣銭機に収納される貨幣の枚数の調整が行われるように制御する制御手段と
を備える商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記貨幣収容器に収容されている貨幣が前記釣銭機に投入されている状況において、前記釣銭機に収納される貨幣の枚数が上限となったことに応じて、前記釣銭機に収納される貨幣の枚数の調整が行われるように制御する
請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記貨幣収容器に収容されている貨幣の前記釣銭機への投入が行われる前の段階にて、前記貨幣収容器に収容されている貨幣が前記釣銭機に収納可能か否かの判定を行い、当該判定の結果に基づいて前記釣銭機に収納される貨幣の枚数の調整が行われるように制御する
請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
貨幣をオーバーフロー用の貨幣収容器に収容させるように排出可能な釣銭機に対応する商品販売データ処理装置としてのコンピュータを、
前記貨幣収容器に収容されている貨幣の計算を行う計算手段
前記貨幣の計算に際して、前記釣銭機に収納されている貨幣の枚数と、前記貨幣収容器に収容されているとして管理されている貨幣の枚数との関係に基づいて、前記釣銭機に収納される貨幣の枚数の調整が行われるように制御する制御手段
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金銭払出装置(釣銭機)の収納部に収納された金銭のオーバーフローを判断した金種の金銭を収納袋に払い出すようにされた技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
店舗業務においては、所定の機会でオーバーフローによって釣銭機から排出された貨幣が収容されるオーバーフロー用の貨幣収容器を店員が扱う業務がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、オーバーフロー用の貨幣収容器を扱う業務についての効率の向上が図られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、貨幣を貨幣収容器に収容させるように排出可能な釣銭機に対応する商品販売データ処理装置であって、前記貨幣収容器が規定の位置から取り外されたか否かを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、過去に前記釣銭機が前記貨幣収容器に貨幣を収容させてから現在までの間において、前記貨幣収容器が取り外されていた場合に、前記貨幣収容器に収容されている貨幣の計算を行うことの報知を行う報知手段とを備える商品販売データ処理装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態におけるPOSシステムのネットワーク構成図である。
【
図2】本実施形態におけるPOS端末の設置例を示す図である。
【
図3】本実施形態におけるPOS端末の外観例を示す図である。
【
図4】本実施形態におけるPOS端末の構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態における貨幣入出画面の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態における精査画面の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態における精査画面の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態における回収結果伝票の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態におけるPOS端末が貨幣回収に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態におけるPOS端末が実行する入金受付処理としての処理手順例を示すフローチャートである。
【
図11】本実施形態における収納不可報知画面の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態の第2変形例における精査案内画面、待機画面、案内画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
[POSシステムの構成例]
図1は、本発明の一実施形態に係るPOS(Point Of Sales)システムのネットワーク構成図である。
図1に示すPOSシステム1は、3台のPOS端末20-1、POS端末20-2、POS端末20-3と、ストアコントローラ(ストアコンピュータ、管理装置)10を備え、夫々はLAN11を介して通信可能に接続されている。以下、POS端末20-1、20-2、20-3について特に区別しない場合には、POS端末20と総称する。
【0009】
POSシステム1は、種々の店舗に導入可能であるが、以下の説明では、POSシステム1がコンビニエンスストアに導入される場合を例に説明する。
【0010】
図2は、POS端末の設置例を示す図である。
図2(A)は、POS端末20等を客側から見た斜視図である。
図2(B)は、POS端末20等を店員側から見た斜視図である。
図2(A)に示すように客側から見てPOS端末20の右側にカウンタが置かれている。
【0011】
図3は、POS端末の外観例を示す図である。
図3(A)は、POS端末20を客側から見た斜視図である。
図3(B)は、POS端末20を店員側から見た斜視図である。
図4は、POS端末20の構成例を示す図である。
図3及び
図4において、同一部分には同一符号を付している。
【0012】
以下、
図3を参照しつつ、
図4に示したPOS端末20の構成例を説明する。POS端末20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM202と、RAM203と、ハードディスク204と、客側表示部205と、客側スキャナ部206と、カードリーダ208と、釣銭機209と、店員側表示部210と、キー操作部211と、店員側スキャナ部212と、印刷部213と、音声出力部214と、通信部215とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能である。
【0013】
CPU201は、中央演算処理装置であり、ROM202に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、POS端末20の動作を制御する。
ROM202は、読み出し専用メモリであり、プログラムをはじめとしてCPU201が利用する各種の情報を記憶する。
【0014】
RAM203は、読み出し書き込みメモリであり、種々の情報を記憶する。例えば、RAM203は、外部から取得した情報(例えば、ストアコントローラ10から取得した商品マスタ等)や、処理において生成した情報(例えば、登録処理において生成した登録情報、精算処理において生成した精算情報等)を記憶する。なお、以下の説明において、登録情報と精算情報のいずれか一方又は両方を取引情報と称する場合がある。
【0015】
ハードディスク204は、種々の情報を記憶する。ハードディスク204は、例えば、ROM202に代えて、CPU201が実行するプログラム等を記憶してもよい。また、RAM203に代えて、外部から取得した情報や、処理において生成した情報を記憶してもよい。
【0016】
客側表示部205は、客用のタッチディスプレイであり、客に種々の情報を表示するとともに、客から種々の入力を受け付ける。
客側スキャナ部206は、客用のスキャナ部であり、例えば、商品に付されているバーコード(商品コード等)等を光学的に読み取る。
【0017】
なお、客側スキャナ部206は、客が商品を登録する際に用いられるが、客は他の方法によって商品を登録してもよい。例えば、客側表示部205に、商品の注文ボタン等が表示されている場合、客は、注文ボタンを操作(押下)し、商品を登録することができる。
【0018】
カードリーダ208は、各種カード(クレジットカード、交通系カード等)から情報を読み取って決済に対応する処理を実行可能とされる。また、カードリーダ208は、会員カード、ポイントカード等の情報を読み取ることが可能とされる。本実施形態のカードリーダ208は、例えばカード認識部(読取部)や表示部や操作部を備えてよいが、少なくとも、カード認識部を備えるものであればよい。
【0019】
釣銭機209(現金決済部)は、現金による決済機構であり、紙幣や硬貨の投入口、紙幣や硬貨の排出口を有し、投入口への投入金額を算出し、投入金額と買上金額の差分である釣銭金額を算出し、釣り銭を排出口から排出する。
【0020】
店員側表示部210は、店員用のタッチディスプレイであり、店員に種々の情報を表示するとともに、店員から種々の入力を受け付ける。
キー操作部211は、各種のキー(ボタン)から構成され、店員から種々の入力を受け付ける。
店員側スキャナ部212は、店員用のスキャナ部であり、例えば、商品に付されているバーコード(商品コード等)や店員の名札に付された店員コード等を光学的に読み取る。
【0021】
なお、店員側スキャナ部212は、店員が商品を登録する際に用いられるが、店員は他の方法によって商品を登録してもよい。例えば、キー操作部211に、商品に対応するキー(例えば、スポーツ新聞に対応するキー等)が配置されている場合、店員は、当該キーを操作(押下)し、当該商品を登録することができる。また、店員側表示部210に、商品に対応するプリセットキーが表示されている場合、店員は、当該プリセットキーを操作し、当該商品を登録することができる。
【0022】
印刷部213は、媒体を排出する印刷部であり、例えば、レシート等の種々の媒体を印刷、発行する。印刷部213は、店員側から客側、客側から店員側に向き(媒体発行口の方向)を回転自在に変更可能な1台の印刷部である。印刷部の向きは、手動で変更してもよいし、例えば動作モードの移行に応じて自動的に変更(メカ的に制御等)してもよい。なお、印刷部の向きの正誤をセンサなどで検出してもよい。
【0023】
音声出力部214は、音声を出力する。例えば、音声出力部214は、音声ガイダンス等を出力する。
通信部215は、他の装置(他のPOS端末20、ストアコントローラ10)との間において情報を送受信する。
【0024】
また、POS端末20には、オーバーフロー庫220(
図3(B))が設けられる。釣銭機209は、現金による精算に際して客の支払いに応じて投入された貨幣を収納するが、或る段階で収納された貨幣枚数が上限に到達してしまう場合がある。このような状態のもとで、さらに貨幣が投入されても釣銭機209がこれ以上貨幣を収納することができないオーバーフローの状態が生じてしまう。
そこで、釣銭機209は、自己が収納する貨幣の枚数が所定の閾値を越えたことが判定されると、例えば投入された貨幣枚数に応じた所定枚数の貨幣をオーバーフロー庫220に排出するようにされる。このようなオーバーフロー回避のための貨幣の排出は、貨幣の種別(金種)ごとに閾値が設定されたうえで、貨幣ごとに対応して実行されてよい。あるいは、釣銭機209は、投入された貨幣によってオーバーフローの状態とならないように、事前に所定のタイミングで所定枚数の貨幣をオーバーフロー庫220に排出するようにされてもよい。
このように、オーバーフロー庫220は、釣銭機209のオーバーフローの状態を回避するために釣銭機209から排出された貨幣を収容するのに用いられる。
【0025】
また、オーバーフロー庫220は、閉店処理に際して店員が釣銭機209に収納されている貨幣の回収(貨幣回収)を行う際にも利用される。店員は、釣銭機209から回収対象の貨幣をオーバーフロー庫に排出させ、回収対象の貨幣が収容されたオーバーフロー庫220をPOS端末20から取り出して金庫にまで持ち運び、金庫に貨幣を収納する。
【0026】
閉店処理に際して行われる釣銭機209からの貨幣回収には、全回収と残置回収とがある。全回収は、釣銭機209に収納されている全ての貨幣を回収することである。残置回収は、残置される以外の貨幣を回収することである。残置とは、閉店処理に際して、例えば次の営業日の開始にあたって釣銭として釣銭機209に収納しておくように定められた金種ごとの貨幣の枚数を、回収することなく釣銭機209の収納庫に残しておくことをいう。
【0027】
本実施形態において、オーバーフロー庫220は、
図3(B)に示されるように、POS端末20内の規定の位置に取り付けられるようにして設けられている。そのうえで、オーバーフロー庫220は、POS端末20からの取り出し、取り付けが可能なようにされている。
POS端末20は、オーバーフロー庫センサ221を備える。オーバーフロー庫センサ221は、例えば、現在においてオーバーフロー庫220がPOS端末20に取り付けられた状態と取り出された状態とのいずれであるのかを検出する。
POS端末20は、オーバーフロー庫センサ221の検出出力に基づいて、過去においてオーバーフロー庫220がPOS端末20から取り外されたことについての履歴(取り外し履歴)を記憶(管理)することができる。
【0028】
[各動作モードの概要]
続いて、POS端末20の動作モードについて説明する。POS端末20は、複数の動作モードを有する。具体的には、POS端末20は、4種類の動作モード(通常モード、フルセルフモード、ダブルスキャンモード、セミセルフモード)を有する。なお、以下に説明する動作モードは、通常業務中での会計に関する動作モード(商品登録処理や精算処理に係る動作モード)であり、売上や在高等を集計、照会等する集計モード、店員や保守員等が設定作業や保守作業を行う際のメンテナンスモード、新人がトレーニングを行う際のトレーニングモード等は含まない。
なお、本実施形態において「会計」は、例えば一取引における商品登録から、登録された商品についての精算(決済)までを含む概念である。
なお、以下の説明において、上述の4つの動作モードの分類とは別の切り口として、POS端末20が、商品登録処理を実行するモードを登録モード、精算処理を実行するモードを精算モードと称する場合がある。
【0029】
[通常モード]
通常モードは、店員側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モードである。即ち、通常モードの場合、店員側が登録モードになり、客側が精算モードになる。つまり、POS端末20は、登録処理~精算処理の全体を通して見た場合、登録精算モードとして動作する。
【0030】
通常モードの場合、店員は、客の買上商品を店員側(店員側スキャナ部212、店員側表示部210、キー操作部211)にて登録する。つまり、POS端末20は、店員の操作(店員側スキャナ部212、店員側表示部210、キー操作部211等の操作)により、買上商品の登録処理を実行する。
【0031】
店員による登録処理が完了した場合、客は、店員側表示部210において買上商品の合計金額を確認し、釣銭機209に貨幣を投入、または、カードリーダ208を操作し、精算する。つまり、POS端末20は、客の操作等(釣銭機209への貨幣の投入、カードリーダ208の操作)により、精算処理を実行する。
【0032】
なお、客は、店員による登録処理が完了するまで(合計金額が確定するまで)、待機していてもよいが、登録処理が完了する前に釣銭機209に貨幣を投入してもよい。つまり、POS端末20は、登録処理中において入金を受付可能である。
【0033】
また、店員は、客による精算が完了するまで(客がお釣りやレシートを取るまで)、待機していてもよいが、次の客の買上商品を登録してもよい。つまり、POS端末20は、精算処理中において次客の買上商品を登録可能である。また、店員は、客による精算中に不在であってもよい。つまり、当該客の精算中には、当該客の応対を終えてもよい。
【0034】
また、POS端末20は、お釣りがある場合には、お釣りの取り忘れを防止するため、釣銭機209による釣銭・釣札の払出しを制御し、客が釣銭・釣札を取り除いたことをセンサ等で認識した上で、印刷部213によるレシートの発行を制御する。他の動作モードにおいても同様である。なお、上述したように、通常モード(ダブルスキャンモードも同様)では、お釣りを受け取る客の前に店員がいる場合といない場合とがあるが、店員がいる場合は、必ずしも上述した制御を行わなくてもよい(即ち、釣銭・釣札の払出しとレシートの発行とを同時に行ってもよいし、先にレシートを発行してもよい)。また、現在の動作モードや店員の存在/不在(例えば、店員の存在/不在はセンサにより認識)に応じて、釣銭・釣札の払出しとレシートの発行のタイミング等を制御してもよい。
【0035】
[フルセルフモード]
フルセルフモードは、客側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モードである。即ち、フルセルフモードの場合、客側が登録モードにも精算モードにもなる。つまり、POS端末20は、登録処理~精算処理の全体を通して見た場合、登録精算モードとして動作する。
【0036】
フルセルフモードの場合、客は、買上商品を客側(客側スキャナ部206、客側表示部205)にて登録する。つまり、POS端末20は、客の操作等(客側スキャナ部206によるスキャン、客側表示部205へのタッチ)により、買上商品の登録処理を実行する。
【0037】
登録処理が完了した場合、客は、客側表示部205において買上商品の合計金額を確認し、釣銭機209に貨幣を投入、または、クレジットカード決済の場合にはカードリーダ208を操作し、精算する。つまり、POS端末20は、客の操作等(釣銭機209への貨幣の投入、カードリーダ208の操作)により、精算処理を実行する。
【0038】
なお、フルセルフモードは、上述したように、客側にて登録処理も精算処理も実行するが、店員側は何もできないという訳ではない。つまり、POS端末20は、フルセルフモードで動作しているときであっても、店員側スキャナ部212にて店員コードのスキャンが可能である。また、POS端末20は、フルセルフモードで動作しているときであっても、店員側表示部210における種々の情報の表示が可能である。
例えば、フルセルフモードでの動作中において、店員側表示部210には、客側にて行われている登録処理や精算処理に応じて客側表示部205に表示されているのと同様の画面が表示されるようにしてよい。つまり、店員側表示部210にて、客側表示部205にて表示される内容がミラーリングされるように表示されてよい。これにより、店員は、フルセルフモードにおいて、客がどのような操作を行っており、また、POS端末20がどのような処理状況にあるのかを把握できる。
【0039】
[ダブルスキャンモード]
ダブルスキャンモードは、店員側及び客側の両側にて登録処理を実行し、客側にて精算処理を実行する動作モードである。即ち、ダブルスキャンモードの場合、店員側及び客側の両側が登録モードになり、客側が精算モードになる。つまり、POS端末20は、登録処理~精算処理の全体を通して見た場合、登録精算モードとして動作する。
【0040】
ダブルスキャンモードの場合、店員は、買上商品を店員側(店員側スキャナ部212、店員側表示部210、キー操作部211)にて登録し、客は、買上商品を客側(客側スキャナ部206、客側表示部205)にて登録する。つまり、POS端末20は、店員の操作等(店員側スキャナ部212によるスキャン、店員側表示部210へのタッチ、キー操作部211等の押下)、及び、客の操作等(客側スキャナ部206によるスキャン、客側表示部205へのタッチ)により、買上商品の登録処理を実行する。
【0041】
登録処理が完了した場合、客は、客側表示部205において買上商品の合計金額を確認し、釣銭機209に貨幣を投入、または、クレジットカード決済の場合にはカードリーダ208を操作し、精算する。つまり、POS端末20は、客の操作等(釣銭機209への貨幣の投入、カードリーダ208の操作)により、精算処理を実行する。
【0042】
なお、店員は、客による精算が完了するまで(客がお釣りやレシートを取るまで)、待機していてもよいが、次の客の買上商品を登録してもよい。つまり、POS端末20は、精算処理中において次客の買上商品を登録可能である。また、店員は、客による精算中に不在であってもよい。つまり、当該客の精算中には、当該客の応対を終えてもよい。
【0043】
[セミセルフモード]
セミセルフモードは、2台以上のPOS端末20による動作モードであって、少なくとも1台のPOS端末20の店員側にて登録処理を実行し、他の1台のPOS端末20の客側にて精算処理を実行する動作モードである。即ち、セミセルフモードの場合、1台以上のPOS端末20が登録専用モードになり、他の1台以上のPOS端末20が精算専用モードになる。
【0044】
セミセルフモードの場合、店員は、登録専用モードのPOS端末20において、客の買上商品を店員側(店員側スキャナ部212、店員側表示部210、キー操作部211)にて登録する。つまり、POS端末20は、店員の操作(店員側スキャナ部212、店員側表示部210、キー操作部211等の操作)により、買上商品の登録処理を実行する。
【0045】
店員による登録処理が完了した場合、客は、精算専用モードのPOS端末20に移動し、店員側表示部210において買上商品の合計金額を確認し、釣銭機209に貨幣を投入、または、カードリーダ208を操作し、精算する。つまり、POS端末20は、客の操作等(釣銭機209への貨幣の投入、カードリーダ208の操作)により、精算処理を実行する。
【0046】
登録専用モードのPOS端末20において登録処理が完了した場合、客は、登録専用モードのPOS端末20から精算専用モードのPOS端末20に移動するが、移動先のPOS端末20には、精算処理に必要な情報(登録専用モードのPOS端末20において生成された登録情報等)が供給される。
【0047】
なお、移動先のPOS端末20(精算専用モードのPOS端末20のうち精算処理を実行させるPOS端末20)は、登録専用モードのPOS端末20において指定してもよい。あるいは、登録専用モードのPOS端末20において媒体(精算処理に必要な情報を取得するためのバーコード等が印刷された媒体)を発行し、当該媒体を読み取らせた精算専用モードのPOS端末20を移動先のPOS端末20としてもよい。
【0048】
なお、セミセルフモードにおいて、店員は、登録情報を送信した後は、次の客の買上商品を登録可能である。また、店員は、登録情報を送信した後は、不在であってもよい。
【0049】
[閉店処理における貨幣回収について]
上記のように、店員は、店舗営業中にオーバーフロー庫220からの貨幣入出(貨幣の回収あるいは貨幣の補充)を行う。貨幣入出を行う店員は、POS端末20に対して貨幣入出を宣言する操作(貨幣入出宣言操作)を行う。貨幣入出宣言操作が行われたことに応じて、POS端末20は、店員側表示部210(客側表示部205でもよい)に、貨幣入出画面を表示させる。
貨幣入出画面は、釣銭機209からの貨幣入出にあたって店員が操作する操作画面である貨幣入出画面として最初に表示される画面である。
【0050】
図5は、貨幣入出画面の一例を示している。同図の貨幣入出画面においては、貨幣枚数エリアAR1、処理指示操作エリアAR2、精査実行操作エリアAR3が配置されている。なお、精査実行操作エリアAR3は、貨幣入出画面が最初に表示されたときには表示されていないエリアである。
【0051】
貨幣枚数エリアAR1は、現時点におけるオーバーフロー庫220に対応する金種ごとの貨幣枚数の情報を提示するエリアである。貨幣枚数エリアAR1においては、金種ごとに収納枚数、精査枚数、差分枚数が示される。
【0052】
収納枚数は、釣銭機209からオーバーフロー庫220に排出されたことで、オーバーフロー庫220に収容されている貨幣枚数を示す。
精査枚数は、貨幣枚数をカウントする精査処理により現時点において計上されている貨幣の枚数を示す。
【0053】
精査処理は、オーバーフロー庫220に収容されていた貨幣を計算する処理である。POS端末20に精査処理を実行させるにあたり、店員は、オーバーフロー庫220をPOS端末20から取り出し、オーバーフロー庫220に収容されている貨幣を釣銭機209に投入していくようにされる。POS端末20は、釣銭機209に投入される貨幣の枚数を金種ごとにカウント(計上)する。このように計上される金種ごとの貨幣枚数が精査枚数として示される。貨幣入出画面が表示されている段階では、未だ精査処理は開始されていないので、金種ごとの精査枚数はゼロを示す。
【0054】
差分枚数は、現在においてオーバーフロー庫に収容されている金種ごとの貨幣枚数の理論値を示す。同図においては、差分枚数としてのオーバーフロー庫に収容されている貨幣枚数の理論値は、負の値によって示された例を挙げている。この場合、オーバーフロー庫220に収容されていた貨幣枚数が理論値通りである場合には、精査枚数から差分枚数を減算した値が収納枚数と等しくなる。
【0055】
処理指示操作エリアAR2は、閉店処理における釣銭機209の貨幣管理に関する処理を指示する操作が行われるエリアである。
処理指示操作エリアAR2には、回収指示ボタンBT1が配置されている。回収指示ボタンBT1は、オーバーフロー庫220からの貨幣回収に応じた処理の実行をPOS端末20に指示する操作が行われるボタンである。
【0056】
また、同図の処理指示操作エリアAR2においては、さらに補充指示ボタンBT2が配置されている。例えば、釣銭機209に収納されている貨幣の枚数が所定以下となるまでに少なくなってきたような状態の解消のためオーバーフロー庫220から貨幣を補充する場合や、釣銭を残置すべきとして設定されている場合において、残置に必要な貨幣枚数が不足している場合などは、オーバーフロー庫220に収容されている貨幣のうちから必要な分を釣銭機209に補充させることができる。補充指示ボタンBT2は、このようにオーバーフロー庫220に収容されている貨幣を釣銭機209に補充させる場合に、POS端末20に貨幣の補充に対応する処理の実行を指示する操作が行われるボタンである。なお、補充指示ボタンBT2は、釣銭機209の収納庫について貨幣の補充が必要な状態である場合に表示され、補充が不要の場合には表示されないようにしてよい。
【0057】
貨幣入出画面においては、終了ボタンBT4が配置されている。終了ボタンBT4が操作された場合、貨幣入出画面が消去され、例えば所定の前画面に戻るようにされる。
【0058】
貨幣回収を行うにあたり、店員は、処理指示操作エリアAR2の回収指示ボタンBT1を操作する。回収指示ボタンBT1が操作されると、POS端末20は、当営業日の稼働中にオーバーフロー庫220の取り外しがあったか否かについて判定する。
ここで、オーバーフロー庫220の取り外しがあったとしても、POS端末20にて取り外しが適正に行われたことの確認操作が行われた取り外しに関しては判定の対象から除外されてよい。
つまり、POS端末20は、当営業日にて稼働中に、店員による確認操作が行われていないオーバーフロー庫220の取り外し(確認未済の取り外し)あったか否かについて判定してよい。以降においては、POS端末20が確認未済の取り外しがあったか否かを判定する場合を例に挙げて説明する。
【0059】
確認未済の取り外しがあった場合には、オーバーフロー庫220に収容されている貨幣の枚数についての信用性が喪失することになる。つまり、確認未済の取り外しがあった場合には、店員のミスや不正等によりオーバーフロー庫220に収容されている貨幣が増減して理論値と一致しなくなったとしても、これが是正されないままの状態となっている可能性がある。
【0060】
そこで、本実施形態のPOS端末20は、貨幣回収にあたって確認未済の取り外しがあった場合には、貨幣を回収する処理の前に、オーバーフロー庫220に収容されている貨幣枚数を確認(精査)するようにされる。
このため、POS端末20は、回収指示ボタンBT1が操作された場合に、オーバーフロー庫220の取り外しがあったと判定した場合には、貨幣入出画面に精査実行操作エリアAR3が新たに配置されるようにして表示を行う。
【0061】
精査実行操作エリアAR3には精査実行ボタンBT3が配置されている。精査実行ボタンBT3は、オーバーフロー庫220に収容されている貨幣枚数についての精査に応じた処理の実行を指示する操作が行われるボタンである。店員は、表示された精査実行操作エリアAR3にて配置された精査実行ボタンBT3に対する操作を行う。
【0062】
精査実行ボタンBT3に対する操作が行われたことに応じて、貨幣入出画面は、精査画面に遷移する。
図6は、精査画面の一例を示している。同図の精査画面においては、貨幣枚数エリアAR1、メッセージエリアAR12、釣銭機ステータスエリアAR13、貨幣移動指示ボタンBT11、投入完了確認ボタンBT12、及び戻るボタンBT13が配置される。
【0063】
メッセージエリアAR12には、店員に向けたメッセージとして、例えば、精査のための操作の仕方を案内するメッセージが表示される。メッセージエリアAR12において表示されるメッセージは、例えば操作に応じた釣銭機209の処理の進行に応じて適宜変更されてよい。
釣銭機ステータスエリアAR13においては、現在の釣銭機209の状態(ステータス)が示される。同図においては、釣銭機209が入金待ちの状態であることが示されている。入金待ちの状態とは、釣銭機209が、精査処理のもとでオーバーフロー庫220に収容されていた貨幣(精査対象貨幣)の投入口への投入(入金)を待機している状態である。
精査対象貨幣の投入口への投入は、硬貨と紙幣との両方が行われてよい。店員は、硬貨については硬貨投入口に投入し、紙幣については紙幣投入口に差し入れるようにして投入してよい。
【0064】
このような精査画面が表示された状態のもとで、店員は、オーバーフロー庫220をPOS端末20から取り外し、精査対象貨幣を釣銭機209の投入口に投入していくようにされる。釣銭機209は、投入された貨幣の枚数を金種ごとにカウントしていき、カウントされた金種ごとの枚数を、釣銭機ステータスエリアAR13の精査枚数のフィールドに示すようにされる。
【0065】
精査画面における貨幣枚数エリアAR1は、上記のように釣銭機209に投入された金種ごとの貨幣についてのカウントした結果を精査枚数のフィールドにて示すようにされる。この場合、精査枚数のフィールドにおいては、貨幣が投入されてカウントアップされていくごとに貨幣枚数が変化していくように表示されてよい。
【0066】
貨幣移動指示ボタンBT11は、後述のように、精査処理のもとで釣銭機209に収容されている貨幣を排出させる貨幣移動を行う必要のある場合に操作されるボタンである。
投入完了確認ボタンBT12は、オーバーフロー庫220に収容されていた全ての貨幣を釣銭機209の投入口に投入したことの確認のために操作されるボタンである。
戻るボタンBT13は、精査処理の実行をキャンセルして前画面に戻す場合に操作されるボタンである。
【0067】
本実施形態の釣銭機209は、精査処理のもとで投入された精査対象貨幣を収納庫に収納するようにされている。精査対象貨幣における或る金種の枚数が、釣銭機209の収納庫に収納されている同じ金種の貨幣の残りの収納可能枚数より多い場合がある。この場合、全ての精査対象貨幣の投入が完了する前に、釣銭機209の収納庫における当該金種の精査対象貨幣の収納枚数が上限に達し、これ以上収納させることができなくなる。このような状態となれば、精査対象貨幣のカウントも行えなくなる。
そこで、POS端末20は、精査処理のもとで釣銭機209に精査対象貨幣が投入されている状況において、釣銭機209の収納庫に収納された少なくとも1の金種の貨幣枚数が上限(あるいは閾値であってもよい)に達した状態(収納不可状態)となった場合、その旨の報知(上限到達報知)を精査画面にて報知するようにされる。
【0068】
図7は、上限到達報知が行われた精査画面の一例を示している。同図の精査画面では、金種が1円の貨幣が収納不可状態となったことに応じて、貨幣枚数エリアAR1の1円の金種の行において、例えば「フル」と表示された報知フィールドFLが追加して表示された例が示されている。報知フィールドFLは、例えば背景色が他のフィールドとは異なる色に設定されるなどして、他のフィールドに対して強調表示されてよい。
【0069】
なお、上限到達報知の態様は報知フィールドFLに限定されない。上限到達報知は、例えば収納不可状態となった金種に対応するフィールドを含む行全体に所定の強調表示が施されてもよい。
【0070】
このように上限到達報知が行われた場合、店員は、代替収容器をPOS端末20におけるオーバーフロー庫220の規定位置に配置させる。代替収容器は、精査対象貨幣が収容されているのとは異なるオーバーフロー庫220またはオーバーフロー庫220に代わる所定の容器であってよい。
そのうえで、店員は、貨幣移動指示ボタンBT11を操作する。これにより、POS端末20は、釣銭機209から代替収容器に貨幣を排出させる貨幣移動の制御を実行する。ここで、貨幣移動により釣銭機209から排出させる貨幣の枚数は、予め定められていてもよいし、例えば貨幣移動指示ボタンBT11の操作後において表示される操作画面に対する操作によって店員が指定可能とされてもよい。また、収納不可状態となった段階で未だオーバーフロー庫220に残っている該当貨幣の枚数に基づいて、貨幣移動により釣銭機209から排出させる貨幣の枚数を決定してよい。
【0071】
このようにして貨幣移動が行われた結果、釣銭機209の収納庫における1円の収納部分に空きが形成され、1円の貨幣を収納可能となる。また、貨幣移動が行われたことに応じて、精査画面における上限到達報知は消去される。店員は、このような精査画面を見ることで収納不可状態が解消されたことを把握できる。そこで、店員は、残りの精査対象貨幣の投入口への投入を再開する。
【0072】
全ての精査対象貨幣の投入を完了させると、店員は、精査画面の貨幣枚数エリアAR1を見て、各金種について、精査結果が正常か否かを確認する。金種ごとに精査枚数から差分枚数を減算した値が収納枚数と等しければ、精査枚数は正しい。精査枚数が正しければ、オーバーフロー庫220に収容されていた貨幣の枚数は正しく、正常との精査結果が得られたことになる。また、精査枚数が正しくないエラーが生じた場合には、精査画面において所定の態様によりエラーとなったことが報知されてよい。
【0073】
精査結果が正常であることを確認した場合、店員は、オーバーフロー庫220を再びPOS端末20における規定の位置に設置したうえで、精査画面の投入完了確認ボタンBT12を操作する。
投入完了確認ボタンBT12が操作されたことに応じて、POS端末20は、釣銭機209から回収対象の貨幣を排出させる。これにより、オーバーフロー庫220には、回収対象の貨幣が収容される。
この際、POS端末20は、全回収が設定されている場合には、釣銭機209に収納されている全ての貨幣を排出させ、残置回収が設定されている場合には、金種ごとに残置させておくべき貨幣枚数を収納庫に残したうえで、収納庫に残した以外の貨幣を排出させる。
【0074】
貨幣回収として、全回収と残置回収のいずれとするのかについては予め設定されていてもよいし、今回の回収にあたって店員が操作により選択可能とされていてもよい。この場合、残置回収が選択された場合には、金種ごとの残置枚数を設定する操作も可能とされてよい。
【0075】
POS端末20は、上記のように回収対象の貨幣を釣銭機209からオーバーフロー庫220に排出させたことに応じて、回収結果伝票を発行する。回収結果伝票は、
図8に例示するように、回収対象の貨幣の排出枚数を金種ごとに示す。同図の回収結果伝票においては、金種ごとの排出枚数とともに排出枚数に応じた金種単位排出金額と、金種単位金額を合計した合計排出金額も示されている。
【0076】
また、POS端末20は、貨幣入出画面における回収指示ボタンBT1が操作された際に、確認未済の取り外しがなかったことを判定した場合には、オーバーフロー庫220に収容された貨幣についての精査を行わずに、回収対象の貨幣を釣銭機209から排出させる制御を行う。確認未済の取り外しがなかった場合とは、オーバーフロー庫220の取り外し自体がなかった場合と、オーバーフロー庫220の取り外しはあったが、その際に店員による確認操作が行われている場合である。
このように、確認未済の取り外しがなかった場合、貨幣入出画面から精査画面への遷移は行われなくともよい。このため、回収指示ボタンBT1が操作されても、精査実行操作エリアAR3は表示されなくともよい。
また、この場合のPOS端末20は、貨幣入出画面における回収指示ボタンBT1が操作されたことに応じて、貨幣枚数エリアAR1において、貨幣の金種及び合計金額のそれぞれに対応する収納枚数及び差分枚数は、釣銭機209から排出された貨幣の金種ごとの枚数が反映されるようにして変更される。
また、補充に関しては、オーバーフロー庫220に収容されていた貨幣の全てを釣銭機209に収納させる運用としてよい。この場合において、確認未済の取り外しがなかった状況のもとで補充指示ボタンBT2が操作された場合にも、貨幣枚数エリアAR1において、オーバーフロー庫220に収容されていた貨幣の金種と合計金額とに対応する、収納枚数及び差分枚数は、それぞれ「0」を示すように変更される。
また、このように確認未済の取り外しがなかった場合にも、回収対象の貨幣が釣銭機209から排出されたことに応じて、POS端末20は、回収結果伝票を発行する。
【0077】
[処理手順例]
図9のフローチャートを参照して、本実施形態のPOS端末20が貨幣回収に関連して実行する処理手順例について説明する。
ステップS101:閉店処理のもとで、POS端末20は、貨幣回収宣言操作が行われるのを待機している。
ステップS102:貨幣回収宣言操作が行われたことに応じて、POS端末20は、店員側表示部210にて貨幣入出画面を表示させる。
【0078】
ステップS103:店員は、閉店処理にあたり、貨幣回収と、オーバーフロー庫220から釣銭機209への貨幣の補充とのいずれかを作業として行うようにされる。店員は、自分が行う作業に応じて、処理指示操作エリアAR2の回収指示ボタンBT1と補充指示ボタンBT2のいずれかを操作する。
POS端末20は、回収指示ボタンBT1と補充指示ボタンBT2とのうち、回収指示ボタンBT1に対する操作が行われたか否かについて判定する。
【0079】
ステップS104:回収指示ボタンBT1に対する操作が行われた場合、POS端末20は、オーバーフロー庫220についての取り外し履歴に基づいて、当営業日において確認未済の取り外しがあったか否かを判定する。
【0080】
ステップS105:確認未済の取り外しが行われていたことが判定された場合、POS端末20は、精査処理に移行し、貨幣入出画面に精査実行操作エリアAR3を表示させる。
ステップS106:店員は、表示された精査実行操作エリアAR3において配置される精査実行ボタンBT3に対する操作(精査実行指示操作)を行う。POS端末20は、店員により行われた精査実行指示操作を受け付ける。
【0081】
ステップS107:ステップS106にて精査実行指示操作が受け付けられたことに応じて、POS端末20は、貨幣入出画面に代えて精査画面を表示させる。
ステップS108:精査画面が表示された状態のもとで、POS端末20は、釣銭機209の投入口に精査対象貨幣が投入されることに応じて、入金受付処理を実行する。
【0082】
図10のフローチャートは、ステップS108の入金受付処理としての処理手順例を示している。
ステップS201:POS端末20において、釣銭機209は、投入口に投入された貨幣の枚数を金種ごとにカウントする。
ステップS202:釣銭機209は、ステップS201によりカウントした貨幣を収納庫に収納する。
【0083】
ステップS203:釣銭機209は、ステップS202により貨幣を収納した結果、収納庫における収納枚数が上限に到達した金種があるか否かを判定する。
ステップS204:ステップS203にて収納枚数が上限に到達した金種があると判定された場合、釣銭機209は、貨幣枚数のカウントを中断する。この際、釣銭機209は、例えば貨幣の投入口を閉じるなどして、貨幣の投入が行えないようにしてもよい。
ステップS205:また、POS端末20は、精査画面にて上限到達報知を行う。
【0084】
ステップS206:店員は、上限到達報知が行われた精査画面に対して、貨幣移動指示ボタンBT11に対する操作(貨幣移動指示操作)と投入完了確認ボタンBT12に対する操作(投入完了確認操作)とのいずれかを行う。店員は、投入していない精査対象貨幣が未だ残っている場合には貨幣移動指示操作を行い、ちょうど全ての精査対象貨幣を投入し終えた場合には、この段階で投入完了操作を行う。
POS端末20は、上限到達報知が行われた精査画面が表示されている状態のもとで、貨幣移動指示操作が行われたか否かを判定する。
ステップS207:貨幣移動指示操作が行われた場合、POS端末20は、収納枚数が上限に達している金種の所定枚数の貨幣を、釣銭機209から排出させる制御を実行する。これにより、収納枚数が上限に達していた金種の収納枚数が上限未満となり、釣銭機209は、再び精査対象貨幣を投入可能な状態となる。
【0085】
ステップS208:店員は、全ての精査対象貨幣の投入口への投入を終えると、投入完了確認操作を行う。POS端末20は、投入完了確認操作が行われたか否かについて判定する。
投入完了確認操作の行われないことが判定された場合には、ステップS201に処理が戻される。投入完了確認操作の行われたことが判定されると、同図の処理が終了される。
【0086】
説明を
図9に戻す。
ステップS109:POS端末20は、精査結果が正常であるか否かの判定を行う。つまり、POS端末20は、ステップS108による入金受付処理によってカウントされた精査対象貨幣の金種ごとの枚数が正常であるか否かの判定を行う。POS端末20は、当営業日においてオーバーフロー回避のために釣銭機209からオーバーフロー庫220に排出させた各金種の貨幣枚数の履歴(オーバーフロー排出履歴)を記憶している。
POS端末20は、オーバーフロー排出履歴により示される金種ごとの貨幣枚数と、ステップS108によりカウントされた金種ごとの貨幣枚数とを比較する。POS端末20は、比較結果が一致していれば、精査結果が正常であったと判定し、比較結果が一致していなければ精査結果がエラーであったと判定する。
【0087】
ステップS110:ステップS109により精査結果がエラーであったことが判定された場合、POS端末20は、エラー報知を行う。エラー報知は、例えば精査画面上にポップアップウィンドウ等を表示させることによって行われてよい。
【0088】
ステップS111:ステップS104にて確認未済の取り外しがないと判定された場合、あるいはステップS109にて精査結果が正常であると判定された場合、POS端末20は、釣銭機209から回収対象の貨幣を排出させる制御を行う。
ステップS112:ステップS111により回収対象の貨幣を排出させたことに伴い、POS端末20は、回収結果伝票を印刷部213により印刷させる。これにより、回収結果伝票の発行が行われる。
【0089】
ステップS113:ステップS103にて補充指示ボタンBT2の操作されたことが判定された場合、POS端末20は、貨幣補充対応処理を実行する。
補充指示ボタンBT2を操作した店員は、オーバーフロー庫220に収容されている貨幣を釣銭機209に補充するために、釣銭機209の投入口にオーバーフロー庫220に収容されている貨幣を投入する。POS端末20は、貨幣補充対応処理として、投入口に投入された貨幣が釣銭機209の収納庫に収納されるように制御する。
また、POS端末20は、投入口に投入された(補充された)各金種の貨幣枚数をカウントしてよい。POS端末20は、補充された各金種の貨幣枚数、補充により釣銭機209に収納された各金種の貨幣枚数等が示される補充結果伝票を発行してよい。
【0090】
<変形例>
以上、本発明の実施形態等について説明したが、機器の構成、データの構成、処理の流れ、表示及び出力の態様などは、例えば下記変形例のように、適宜変更が可能である。また、下記の変形例は適宜組み合わされてよい。
【0091】
[第1変形例]
上記実施形態において、ステップS108の入金受付処理では、精査対象貨幣を釣銭機209の投入口に投入していく過程において、収納庫に収納される貨幣枚数が上限に到達したことに応じて、釣銭機209からの貨幣排出が行われるようにされていた。
これに対して本変形例では、精査処理において精査対象貨幣の投入が行われる前の段階で、POS端末20が、全ての精査対象貨幣を釣銭機209に収納可能か否かの判定(収納可否判定)を行うようにされる。
【0092】
この場合、POS端末20は、現在においてオーバーフロー庫220に収容されている各金種の貨幣枚数の理論値(オーバーフロー庫収容枚数)と、釣銭機209に収納されている各金種の貨幣枚数(釣銭機収納枚数)とに基づいて、収納可否判定を行ってよい。具体的に、POS端末20は、金種ごとに、釣銭機収納枚数にオーバーフロー庫収容枚数を加算して求められる合計貨幣枚数が、収納枚数の上限を超えるか否かを判定してよい。
【0093】
例えばPOS端末20は、貨幣入出画面の回収指示ボタンBT1が操作されたことに応じて、上記の収納可否判定を行うようにされてよい。そして、POS端末20は、収納可否判定の結果、収納が不可であると判定された場合には、その旨の報知(収納不可報知)を店員に向けて行うようにしてよい。収納不可報知は、画面(収納不可報知画面)の表示により行われてよい。
【0094】
図11は、収納不可報知画面WD20の一例を示している。同図の収納不可報知画面WD20は、貨幣入出画面上に表示されるウィンドウ形式である例を示している。
同図の収納不可報知画面WD20においては、オーバーフロー庫220に収容されている精査対象貨幣の枚数(理論値)では、全ての精査対象貨幣を釣銭機209に投入できないことを店員に報知するメッセージが示されている。また、同図の収納不可報知画面WD20においては、回収継続指示ボタンBT21と中止ボタンBT22とが配置されている。
店員は、このまま精査処理を実行させることなく貨幣回収を行う場合には、回収継続指示ボタンBT21を操作する。回収継続指示ボタンBT21が操作された場合、POS端末20は、以降において精査処理を行うことなく、釣銭機209から回収対象の貨幣を排出させる制御を実行する。
中止ボタンBT22が操作された場合には、収納不可報知画面WD20が表示される前の貨幣入出画面が表示された状態に戻される。
【0095】
また、本変形例のもとで、釣銭機209に全ての精査対象貨幣を収納できない金種のあることが判定された場合に、例えば店員の操作に応じて、精査対象貨幣の収納不可の状態を解消させるための、釣銭機209からの貨幣の排出を行わせるようにしてもよい。この場合のPOS端末20は、貨幣を排出させた後、POS端末20は、精査対象貨幣の投入を受け付けるようにされてよい。
【0096】
[第2変形例]
上記実施形態においては、貨幣回収宣言操作に応じて貨幣入出画面を表示した状態のもとで回収指示ボタンBT1が操作されると、POS端末20が確認未済の取り外しの有無を判定するようにされている。そして、POS端末20は、確認未済の取り外しがあった場合には精査実行操作エリアAR3を表示し、操作に応じて精査を実行するようにされていた。また、POS端末20は、確認未済の取り外しがなかった場合には、精査実行操作エリアAR3を表示することなく、回収対象の貨幣を釣銭機209から排出させるようにされていた。
【0097】
これに対して、本変形例においては、POS端末20は、貨幣回収宣言操作が行われたタイミングで確認未済の取り外しの有無を判定するようにされてよい。
この場合のPOS端末20は、確認未済の取り外しがあった場合には、貨幣回収宣言操作に応じて表示させる貨幣入出画面において、補充指示ボタンBT2とともに、はじめから精査実行ボタンBT3を含む精査実行操作エリアAR3を配置させてよい。この場合、表示された貨幣入出画面において回収指示ボタンBT1は配置されていなくともよい。
また、本変形例の貨幣入出画面においては、例えば貨幣回収にあたってはまず収容された貨幣についての精査を行うことになるので、精査実行ボタンBT3を操作することを店員に案内するメッセージが表示されてよい。
この場合、店員は、貨幣回収を指示するにあたり、精査実行ボタンBT3を操作する。精査実行ボタンBT3が操作されたことに応じて、POS端末20は、
図6の精査画面を表示させる。
また、本変形例のPOS端末20は、確認未済の取り外しがなかった場合には、上記実施形態と同様に、処理指示操作エリアAR2は配置されているが、精査実行操作エリアAR3が配置されていない貨幣入出画面を表示させてよい。この場合、店員は、処理指示操作エリアAR2の回収指示ボタンBT1を操作して、POS端末20に回収対象の貨幣をオーバーフロー庫220に排出させ、貨幣回収を行うことができる。
【0098】
[第3変形例]
POS端末20の稼働中において、オーバーフロー回避のための貨幣の排出(オーバーフロー回避排出)が行われる。つまり、釣銭機209は、収納庫における或る金種の貨幣の収納枚数が所定の閾値に達すると、オーバーフロー回避のために、オーバーフロー庫220に所定枚数の該当金種の貨幣を排出するようにされる。
このようなオーバーフロー回避排出が実行される前の段階で、オーバーフロー庫220について確認未済の取り外しが行われている場合がある。このような状態のまま、オーバーフロー回避のための貨幣の排出が行われてしまうことは、オーバーフロー庫220にて収容される貨幣枚数の信用性が損なわれている状態でありながら、貨幣が追加的に収容されることとなる。このような状況は、オーバーフロー庫220に収容される貨幣枚数の信用性をさらに損なう場合があり好ましくないとの考え方を採ることができる。
【0099】
そこで、本変形例においては、POS端末20の稼働中においてオーバーフロー回避排出を実行する前の段階において、確認未済の取り外しが行われていた場合には、オーバーフロー庫220に収容されている貨幣についての精査処理を実行するようにされる。
本変形例を上記実施形態と組み合わせる場合、POS端末20の稼働中における或る段階での精査処理による精査結果が正常と判定された後、確認未済の取り外しが行われることなく閉店処理に移行した場合、閉店処理における貨幣回収段階での精査処理は実行されなくともよい。
【0100】
本変形例のPOS端末20は、稼働中において、釣銭機209における或る金種の収納枚数が閾値以上となったことに応じて、最後の精査処理後において、あるいは精査処理が未だ行われていない場合には開店処理後において、確認未済の取り外しがあったか否かを判定する。
確認未済の取り外しがなかったと判定した場合、POS端末20は、精査処理を実行することなく、オーバーフロー回避排出を実行する。
一方、確認未済の取り外しがあったと判定した場合、POS端末20は、精査処理を実行して、精査結果が正常であったことが確認されたうえで、オーバーフロー回避排出を実行する。
【0101】
本変形例における精査処理とオーバーフロー回避排出は、POS端末20の稼働中に実行されることから、POS端末20は、精査処理が実行中であることの報知と、オーバーフロー回避排出が実行中であることの報知を行ってよい。
【0102】
ここで、稼働中のPOS端末20は、通常モード、フルセルフモード、ダブルスキャンモード、セミセルフモードでの登録専用モードまたは精算専用モード、としてのいずれかの動作モードが設定される。
【0103】
通常モード、ダブルスキャンモード、セミセルフモードでの登録専用モードなど動作モードでは、POS端末20を操作する店員が存在する。そこで、このような動作モードのもとでは、確認未済の取り外しがあったとして精査処理を実行するにあたっては、
図12(A)に例示するようにして、精査処理の実行の指示を店員に促す精査案内画面を店員側表示部210に表示させてよい。
【0104】
同図の精査案内画面においては、精査実行指示ボタンBT31と続行指示ボタンBT32とが配置されている。店員は、精査処理を実行させる場合には精査実行指示ボタンBT31を操作する。また、例えば確認未済の取り外しが行われたものの、その際に貨幣枚数についての確認が店員によって行われているなどで、精査処理を行わずにオーバーフロー回避排出を行ってよいような場合がある。このような場合には、店員は続行指示ボタンBT32を操作する。続行指示ボタンBT32の操作により、精査処理を行うことなくオーバーフロー回避排出を実行することが指示される。
【0105】
オーバーフロー回避排出が実行中のとき、POS端末20は、
図12(B)に示されるような待機画面を店員側表示部210に表示させてよい。同図の待機画面は、現在においてオーバーフロー回避排出を実行中であることに応じた待機中の状態であることを店員に報知する内容を有する。
【0106】
また、フルセルフモードのように店員が介在せずに客がPOS端末20を操作する動作モードでは、POS端末20は、例えば、会計に応じた処理を実行していない状態となったことに応じて、オーバーフロー回避排出を実行するようにされてよい。
この際、オーバーフロー回避排出にあたり精査処理が必要な場合には、POS端末20は、
図12(C)に示されるような案内画面を表示させてよい。同図の案内画面は、精査処理を実行すべきメンテナンスモードとなったことで、店員呼び出しが必要になったことを客に報知する内容を有する。
店員は、上記のようにメンテナンスモードとなったPOS端末20に赴き、オーバーフロー庫220に収容された貨幣を釣銭機209の投入口に投入し、POS端末20に精査処理を実行させる。POS端末20は、精査処理による精査結果が正常であることを確認したうえで、オーバーフロー回避排出を実行する。
【0107】
[第4変形例]
なお、オーバーフロー庫220の確認未済の取り外しが行われたか否かに関わらず、精査処理を行うように、あるいは精査処理を実行するか否かを店員に確認するダイアログ等の表示が行われるようにされてよい。
【0108】
[第5変形例]
精査処理の実行開始の際、あるいは精査処理を実行するか否かを店員に確認するダイアログ等の表示に際して、例えばオーバーフロー庫220に収容されている貨幣の金種の内訳が示されるようにしてよい。
【0109】
[第6変形例]
オーバーフロー庫220を取り外した場合には、必ずオーバーフロー庫220に収容されている貨幣を取り出して空とするようにされた運用のもとで、オーバーフロー庫220をPOS端末20の規定位置に取り付ける際には、オーバーフロー庫220が空の状態であることの確認を店員に促す報知が行われるようにされてよい。このような報知は、表示、音声等によって行われてよい。
【0110】
[第7変形例]
POS端末20は、規定位置に取り付けられたオーバーフロー庫220を個別に識別するようにされてよい。このためには、例えばオーバーフロー庫220にRFID(Radio Frequency IDentifier)を設け、RFIDには、対応のオーバーフロー庫220に固有の識別情報(オーバーフロー庫識別子)を記憶させておくようにする。POS端末20のオーバーフロー庫センサ221は、RFIDを読み取り可能なリーダライタを備える。
POS端末20は、オーバーフロー庫センサ221が規定位置に取り付けられたオーバーフロー庫220のRFIDから読み取ったオーバーフロー庫識別子を取得することができる。このように取得されるオーバーフロー庫識別子に基づいて、POS端末20は、規定位置から取り外されたオーバーフロー庫220と、この後に規定位置に取り付けられたオーバーフロー庫220とが同じものであるか否かを判定できる。
また、例えばPOS端末20に備えられるRFID対応のリーダライタにより、オーバーフロー庫220のRFIDに対するデータの書き換えが可能なようにされてよい。例えば、POS端末20は、オーバーフロー庫220のRFIDに対して、POS端末20の識別情報や、オーバーフロー庫220に対する貨幣制御結果の情報(例えば、オーバーフロー庫220に排出させた貨幣やオーバーフロー庫220から補充された貨幣等についての金種ごとの枚数等の履歴)を書き込むようにされてよい。
あるいは、オーバーフロー庫220を個別に識別可能な構成としては、オーバーフロー庫220の所定位置にコード(バーコードまたは2次元コード等)を付し、オーバーフロー庫センサ221は、コードを読み取り可能なコードリーダを備えるようにされてもよい。
【0111】
[第8変形例]
なお、本実施形態のPOS端末20の構成は、例えば店員が登録を行う登録専用の装置と客が精算を行う精算専用の装置とを含む商品販売データ処理システム(本実施形態のセミセルフモードに特化された構成のPOSシステム)における精算専用の装置に適用できる。
また、本実施形態のPOS端末20の構成は、店員が商品登録の操作と精算に対応する操作とを行うようにされたPOSレジスタに適用できる。
また、本実施形態のPOS端末20の構成は、店員が商品登録の操作を行い、店員と対面する客が精算に対応する操作を行うようにされたPOSレジスタ(つまり、本実施形態のPOS端末20の通常モードに特化された構成のPOSレジスタ)に適用できる。
また、本実施形態のPOS端末20の構成は、店員が商品登録の操作を行い、店員と対面する客が精算に対応する操作を行うようにされたPOSレジスタ(つまり、本実施形態のPOS端末20の通常モードに特化された構成のPOSレジスタ)に適用できる。
また、本実施形態のPOS端末20の構成は、フルセルフに特化された構成のPOSレジスタに適用できる。
また、本実施形態のPOS端末20の構成は、券売機に適用できる。
【0112】
[第9変形例]
なお、これまでに説明したPOS端末20により実現される機能は、POS端末20と、ネットワーク経由で接続された外部装置とが連携して実行するようにされてよい。この場合、外部装置は、これまの説明においてPOS端末20が実行する処理のうちの所定の処理を実行するようにされてよい。
【0113】
<実施形態の総括>
[技術分野]
本発明は、商品販売データ処理装置に関する。
[背景技術]
金銭払出装置(釣銭機)の収納部に収納された金銭のオーバーフローを判断した金種の金銭を収納袋に払い出すようにされた技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2017-162023号公報
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
店舗業務においては、所定の機会でオーバーフローによって釣銭機から排出された貨幣が収容されるオーバーフロー用の貨幣収容器を店員が扱う業務がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、オーバーフロー用の貨幣収容器を扱う業務についての効率の向上が図られるようにすることを目的とする。
[課題を解決するための手段]
(1)本実施形態の一態様は、貨幣を貨幣収容器(例えば、オーバーフロー庫220)に収容させるように排出可能な釣銭機(209)に対応する商品販売データ処理装置であって、前記貨幣収容器が規定の位置から取り外されたか否かを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、過去に前記釣銭機が前記貨幣収容器に貨幣を収容させてから現在までの間において、前記貨幣収容器が取り外されていた場合に、前記貨幣収容器に収容されている貨幣の計算を行うことの報知を行う報知手段とを備える商品販売データ処理装置(例えば、POS端末20)である。
ここで、前記貨幣収容器に収容されている貨幣の計算は、精査処理としての金種ごとの貨幣枚数の計算を含む。また、前記貨幣収容器に収容されている貨幣の計算は、例えば貨幣枚数の計算結果に基づく金額の計算を含んでよい。このような精査処理としての金種ごとの貨幣枚数の計算により、オーバーフロー庫220に収容されている貨幣の実枚数と理論値とが一致しているか否かを確認できる。
また、前記貨幣収容器に収容されている貨幣の計算を行うことの報知は、例えば精査実行操作エリアAR3(
図5)の表示、
図12(A)の精査案内画面、
図12(C)の案内画面等である。
上記構成によれば、オーバーフロー庫220が規定位置から取り外されたことがあるか否かに応じて、POS端末20が前記貨幣収容器に収容されている貨幣の計算を行うことの報知を行うようにされる。これにより、店員は、オーバーフロー庫220が規定位置から取り外されたことがある場合には、オーバーフロー庫220に収容された貨幣の計算として、オーバーフロー庫220に収容されている貨幣の実枚数と理論値とが一致しているか否かの確認が確実に行われる。これにより、貨幣の実枚数と理論値とが一致しないまま、以降の作業が無駄に進められることがないので、オーバーフロー庫220を扱う業務についての効率の向上が図られる。
(2)本実施形態の一態様は、(1)に記載の商品販売データ処理装置であって、前記貨幣収容器が取り外されていない場合には、前記貨幣収容器に収容されている貨幣の計算を行うことの報知を行わない。
上記構成によれば、オーバーフロー庫220が規定位置から取り外されたことがない場合には、精査処理を行うことの報知は行われない。つまり、このような場合にも精査処理は行わなくともよいものであり、精査処理のための無駄な報知が行わないようにされる。
(3)本実施形態の一態様は、(1)または(2)に記載の商品販売データ処理装置であって、前記報知手段は、前記貨幣収容器が取り外されていた場合に対応して店員による所定の操作が行われていた場合には、前記貨幣収容器に収容されている貨幣の計算を行うことの報知を行わない。
上記構成によれば、オーバーフロー庫220が取り外されていた場合であっても、これに応じて店員の確認操作等の所定の操作が行われていた場合には、精査処理を行うことの報知は行われない。つまり、このような場合には精査処理は行わなくともよいものであり、精査処理のための無駄な報知が行わないようにされる。
(4)本実施形態の一態様は、(1)から(3)のいずれか1つに記載の商品販売データ処理装置であって、前記報知手段は、前記貨幣収容器が取り外されていない場合には、前記貨幣の計算に際して、前記釣銭機に収納されている貨幣の枚数と、前記貨幣収容器に収容されているとして管理されている貨幣の枚数との関係に基づいて、前記釣銭機に収納される貨幣の枚数の調整が行われるように制御する。
上記構成によれば、例えば、
図10のステップS203~S207の処理、第1変形例のように、精査処理に際して、オーバーフロー庫220に収容される貨幣の枚数のほうが、釣銭機209に収納される貨幣の枚数より多いとの関係にある場合、釣銭機209に収納される貨幣を排出させることで枚数が減少するように調整することができる。
これにより、例えば店員は、精査処理においてオーバーフロー庫220に収容された全ての貨幣を釣銭機209の投入口に投入してPOS端末20に計算を行わせることが可能になる。
【0114】
なお、以上に説明したPOS端末20等の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述のPOS端末20等の処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 POSシステム、10 ストアコントローラ、20(20-1、20-2、20-3) POS端末、201 CPU、202 ROM、203 RAM、204 ハードディスク、205 客側表示部、206 客側スキャナ部、208 カードリーダ、209 釣銭機、210 店員側表示部、211 キー操作部、212 店員側スキャナ部、213 印刷部、214 音声出力部、215 通信部