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特許7496598密封バンド装着治具及び密封バンド設置方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】密封バンド装着治具及び密封バンド設置方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20240531BHJP
   F16L 55/18 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
F16L55/00 C
F16L55/18 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020102450
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021195987
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】戸次 浩之
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-249386(JP,A)
【文献】特開平11-108285(JP,A)
【文献】特開平03-272390(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0153593(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/00
F16L 55/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されている密封バンドを、互いに離間した一対の前記流体管の間に装着するための密封バンド装着治具であって、
前記密封バンドが収容され、前記流体管を密封状態で覆う筐体本体と、
前記筐体本体に形成された貫通孔に密封状態で挿入され、前記分割部材を前記流体管に向かって押し込むように移動自在に構成された複数の棒状部材と、
複数の前記棒状部材を連結する連結部材と、
前記連結部材を前記流体管に向かって移動させる移動機構と、を備え、
前記棒状部材の前記筐体本体の内部に位置する一端部には、複数の前記分割部材を接合する締結部材を保持する保持部が形成され
複数の前記棒状部材の前記筐体本体の外部に位置する他端部には、前記締結部材を回転させる操作部が形成されており、
前記移動機構は、前記筐体本体の内部の流体により作動するピストン機構で構成されている密封バンド装着治具。
【請求項2】
流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されている密封バンドを、互いに離間した一対の前記流体管の間に装着するための密封バンド装着治具であって、
前記密封バンドが収容され、前記流体管を密封状態で覆う筐体本体と、
前記筐体本体に形成された貫通孔に密封状態で挿入され、前記分割部材を前記流体管に向かって押し込むように移動自在に構成された複数の棒状部材と、を備え、
前記棒状部材の前記筐体本体の内部に位置する一端部には、複数の前記分割部材を接合する締結部材を保持する保持部が形成されており、
前記棒状部材の前記筐体本体の外部に位置する他端部には、前記締結部材を回転させる操作部が形成され、
前記筐体本体には、前記分割部材を保持すると共に前記分割部材の移動を案内する案内レールが設けられている密封バンド装着治具。
【請求項3】
流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されている密封バンドを、互いに離間した一対の前記流体管の間に装着するための密封バンド装着治具であって、
前記密封バンドが収容され、前記流体管を密封状態で覆う筐体本体と、
前記筐体本体に形成された貫通孔に密封状態で挿入された棒状部材と、
前記分割部材の中央部分を保持する保持金具と、を備え、
前記棒状部材の前記筐体本体の内部に位置する一端部には、複数の前記分割部材を接合する締結部材を保持する保持部が形成されており、
前記棒状部材の前記筐体本体の外部に位置する他端部には、前記締結部材を回転させる操作部が形成されている密封バンド装着治具。
【請求項4】
前記筐体本体は、前記分割部材の割面と平行な重力方向に沿う割面で二分割されている請求項1~3の何れか一項に記載の密封バンド装着治具。
【請求項5】
外部に設けられた操作ハンドルにより前記保持金具を移動させるねじ機構を更に備えた請求項3に記載の密封バンド装着治具。
【請求項6】
密封バンド装着治具を用いて流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されている密封バンドを前記流体管に設置する密封バンド設置方法であって、
前記密封バンド装着治具は、筐体本体と、当該筐体本体に形成された貫通孔に密封状態で挿入され、前記分割部材を前記流体管に向かって押し込むように移動自在に構成された複数の棒状部材と、複数の前記棒状部材を連結する連結部材と、前記連結部材を前記流体管に向かって移動させる移動機構と、を備え、
前記移動機構は、前記筐体本体の内部の流体により作動するピストン機構で構成されており、
複数の前記棒状部材の前記筐体本体の内部に位置する一端部に締結部材を保持すると共に前記筐体本体に前記密封バンドが収容された前記密封バンド装着治具を、前記流体管に密封状態で装着する治具装着工程と、
複数の前記棒状部材と共に前記密封バンドを前記移動機構によって前記流体管の側に移動させる密封バンド移動工程と、
複数の前記棒状部材の前記筐体本体の外部に位置する他端部を回転させて、複数の前記分割部材を前記締結部材により締結する締結工程と、を含む密封バンド設置方法。
【請求項7】
密封バンド装着治具を用いて流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されている密封バンドを前記流体管に設置する密封バンド設置方法であって、
前記密封バンド装着治具は、筐体本体と、当該筐体本体に形成された貫通孔に密封状態で挿入され、前記分割部材を前記流体管に向かって押し込むように移動自在に構成された複数の棒状部材と、を備え、
前記筐体本体には、前記分割部材を保持すると共に前記分割部材の移動を案内する案内レールが設けられており、
複数の前記棒状部材の前記筐体本体の内部に位置する一端部に締結部材を保持すると共に前記筐体本体に前記密封バンドが収容された前記密封バンド装着治具を、前記流体管に密封状態で装着する治具装着工程と、
複数の前記棒状部材と共に前記密封バンドを前記案内レールに沿って前記流体管の側に移動させる密封バンド移動工程と、
複数の前記棒状部材の前記筐体本体の外部に位置する他端部を回転させて、複数の前記分割部材を前記締結部材により締結する締結工程と、を含む密封バンド設置方法。
【請求項8】
密封バンド装着治具を用いて流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されている密封バンドを前記流体管に設置する密封バンド設置方法であって、
前記密封バンド装着治具は、筐体本体と、当該筐体本体に形成された貫通孔に密封状態で挿入された棒状部材と、前記分割部材の中央部分を保持する保持金具と、外部に設けられた操作ハンドルにより前記保持金具を移動させるねじ機構と、を備え、
前記棒状部材の前記筐体本体の内部に位置する一端部に締結部材を保持すると共に前記筐体本体に前記密封バンドが収容された前記密封バンド装着治具を、前記流体管に密封状態で装着する治具装着工程と、
前記保持金具により前記分割部材の中央部分を保持した状態で、前記密封バンドを前記ねじ機構によって前記流体管の側に移動させる密封バンド移動工程と、
前記棒状部材の前記筐体本体の外部に位置する他端部を回転させて、複数の前記分割部材を前記締結部材により締結する締結工程と、を含む密封バンド設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されている密封バンドを、互いに離間した一対の流体管の間に装着するための密封バンド装着治具及び密封バンド設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホールソーで流体管としての水道管を切断して形成された円弧状切断面を有する一対の水道管と、一対の水道管の円弧状切断面の間に弁体を収容する弁箱と、の間を密封状態で覆う密封バンド(文献では両継ぎ輪)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の密封バンド設置方法は、内周面に環状シール材が配置された両継ぎ輪を予め水道管に装着しておき、筐体本体(文献はハウジング)により水道管及び弁箱を密封状態で囲んだ状態で、フィダー装置により両継ぎ輪を水道管の外周面に沿って管軸方向に摺動させて、一対の水道管と弁箱との間に両継ぎ輪を装着している。次いで、筐体本体を撤去した後、両継ぎ輪の一対の連結板部に亘って挿通された固定用ボルトをロックナットで締付け固定することにより、両継ぎ輪が水圧で移動しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-170681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の密封バンド設置方法は、両継ぎ輪を管軸方向に移動させているため、水道管の外周面にバリ等があった場合、両継ぎ輪の内周面に配置された環状シール材がバリ等に当接して環状シール材の機能が損なわれるおそれがある。このため、密封バンドとしての両継ぎ輪の耐久性が低下してしまう。また、筐体本体を撤去してから両継ぎ輪を固定するまで漏水しないように、継ぎ輪の内周面に配置された環状シール材を水道管に圧接させる必要があることから、両継ぎ輪を管軸方向に移動させ難く、作業効率が悪い。
【0006】
そこで、密封バンドの耐久性を高めることが可能な作業効率の高い密封バンド装着治具及び密封バンド設置方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る密封バンド装着治具の特徴構成は、流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されている密封バンドを、互いに離間した一対の前記流体管の間に装着するための密封バンド装着治具であって、前記密封バンドが収容され、前記流体管を密封状態で覆う筐体本体と、前記筐体本体に形成された貫通孔に密封状態で挿入された棒状部材と、を備え、前記棒状部材の前記筐体本体の内部に位置する一端部には、複数の前記分割部材を接合する締結部材を保持する保持部が形成されており、前記棒状部材の前記筐体本体の外部に位置する他端部には、前記締結部材を回転させる操作部が形成されている点にある。
【0008】
本構成では、密封バンドを流体管の周方向に分割された分割部材で形成していることから、複数の分割部材を流体管の径方向から装着することが可能となる。つまり、密封バンドを管軸方向に沿って移動させる必要がないため、流体管の外周面に形成されたバリ等に密封バンドの内周面が損傷することなく、密封バンドの耐久性を高めることができる。
【0009】
しかも、本構成では、棒状部材の一端部に複数の分割部材を接合する締結部材を保持する保持部が形成されており、棒状部材の筐体本体の外部に位置する他端部に該締結部材を回転させる操作部が形成されていることから、密封バンド装着治具を撤去する前に、密封バンドを一対の流体管の間に固定することができる。つまり、筐体本体の外部からの操作により複数の分割部材の間から流体が漏洩しないように密封バンドを流体管に固定することができるため、作業効率が高い。よって、密封バンドの耐久性を高めることが可能な作業効率の高い密封バンド装着治具を提供できた。
【0010】
他の特徴構成として、前記筐体本体は、前記分割部材の割面と平行な重力方向に沿う割面で二分割されている点にある。
【0011】
本構成のように、筐体本体を分割部材の割面と平行な重力方向に沿う割面で二分割すれば、一対の筐体本体に跨って分割部材を保持する必要がなく、また、掘削範囲も小さくすることが可能となるため、作業効率を高めることができる。
【0012】
他の特徴構成として、前記棒状部材は、前記分割部材を前記流体管に向かって押し込むように移動自在に構成されている点にある。
【0013】
本構成のように、棒状部材が分割部材を流体管に向かって押し込むように移動自在に構成されていれば、分割部材を流体管に向かって移動させるプッシャ部材として棒状部材を機能させることが可能となるため、作業効率を高めることができる。
【0014】
他の特徴構成として、前記棒状部材を複数有しており、複数の前記棒状部材を連結する連結部材と、前記連結部材を前記流体管に向かって移動させる移動機構と、を更に備えた点にある。
【0015】
本構成のように、連結部材にて複数の棒状部材を連結し、この連結部材を移動機構により流体管に向かって移動させれば、複数の棒状部材を一体的に移動させることができるため、作業効率が高い。
【0016】
他の特徴構成として、前記移動機構は、前記筐体本体の内部の流体により作動するピストン機構で構成されている点にある。
【0017】
本構成のように、移動機構を筐体本体の内部の流体により作動するピストン機構で構成すれば、ピストン機構の外部駆動源を設ける必要が無く、効率的である。
【0018】
他の特徴構成として、前記筐体本体の底部には、前記分割部材を保持すると共に前記分割部材の移動を案内する案内レールが設けられている点にある。
【0019】
本構成のように、分割部材の移動を案内する案内レールを設ければ、分割部材を流体管に向かって円滑に移動させることができる。
【0020】
他の特徴構成として、前記分割部材の中央部分を保持する保持金具を更に備えた点にある。
【0021】
本構成のように、分割部材の中央部分に保持金具を設ければ、分割部材を安定した姿勢で移動させることができる。
【0022】
他の特徴構成として、外部に設けられた操作ハンドルにより前記保持金具を移動させるねじ機構を更に備えた点にある。
【0023】
本構成のように、外部に設けられた操作ハンドルによりねじ機構を介して保持金具を移動させれば、作業効率を高めることができる。
【0024】
本発明に係る密封バンド設置方法の特徴は、密封バンド装着治具を用いて流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されている密封バンドを前記流体管に設置する密封バンド設置方法であって、前記密封バンド装着治具は、筐体本体と、当該筐体本体に形成された貫通孔に密封状態で挿入された棒状部材と、を備え、前記棒状部材の前記筐体本体の内部に位置する一端部に締結部材を保持すると共に前記筐体本体に前記密封バンドが収容された前記密封バンド装着治具を、前記流体管に密封状態で装着する治具装着工程と、前記棒状部材と共に前記密封バンドを前記流体管の側に移動させる密封バンド移動工程と、前記棒状部材の前記筐体本体の外部に位置する他端部を回転させて、複数の前記分割部材を前記締結部材により締結する締結工程と、を含む点にある。
【0025】
本方法のように、密封バンドを流体管の周方向に分割された分割部材で形成し、棒状部材と共に密封バンドを流体管の側に移動させれば、密封バンド移動工程において複数の分割部材を流体管の径方向から装着することが可能となる。つまり、密封バンドを管軸方向に沿って移動させる必要がないため、流体管の外周面に形成されたバリ等に密封バンドの内周面が損傷することなく、密封バンドの耐久性を高めることができる。
【0026】
しかも、本方法では、棒状部材の一端部で一対の分割部材を接合する締結部材を保持し、棒状部材の筐体本体の外部に位置する他端部を回転させて該締結部材により複数の分割部材を締結することから、締結工程において、密封バンド装着治具を撤去する前に、密封バンドを一対の流体管の間に固定することができる。つまり、筐体本体の外部からの操作により複数の分割部材の間から流体が漏洩しないように固定することができるため、作業効率が高い。よって、密封バンドの耐久性を高めることが可能な作業効率の高い密封バンド設置方法を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】密封バンドが装着された仕切弁の斜視図である。
図2】一方の分割部材を取外した状態の側面図である。
図3図1のIII-III線断面図である。
図4】弁箱の斜視図である。
図5】底面側から見た弁箱の斜視図である。
図6】密封バンド装着治具を示す斜視図である。
図7】密封バンド装着治具の管軸方向中央部分を示す断面図である。
図8】保持金具を示す斜視図である。
図9】棒状部材の断面図である。
図10】密封バンド装着治具の第二ケースの内面図である。
図11】他の実施形態に係る密封バンド装着治具を示す斜視図である。
図12】治具装着工程を示す概念図である。
図13】流体管切断工程を示す概念図である。
図14】弁箱設置工程を示す概念図である。
図15】密封バンド移動工程を示す概念図である。
図16】締結工程を示す概念図である。
図17】別実施形態1に係る密封バンド装着治具を示す斜視図である。
図18】別実施形態1に係るピストン機構を示す断面図である。
図19】別実施形態2に係る密封バンド装着治具を示す斜視図である。
図20】別実施形態3に係る密封バンド装着治具を示す斜視図である。
図21】他の実施形態に係る密封バンドが装着された仕切弁の側面図である。
図22】他の実施形態に係る密封バンドが装着された仕切弁の断面図である。
図23】他の実施形態に係る弁箱の斜視図である。
図24】他の実施形態に係る密封バンド装着治具の断面図である。
図25】他の実施形態に係る密封バンド装着治具の下部ケースを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る密封バンド装着治具及び密封バンド設置方法の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、密封バンド装着治具の一例として、仕切弁1の密封バンド13を水道管W(流体管の一例)に設置するための密封バンド装着治具3として説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、重力方向を下、重力方向と反対方向を上として説明する場合がある。
【0029】
[密封バンドを含む仕切弁の基本構成]
図1に示すように、仕切弁1は、弁蓋11と弁箱12と密封バンド13と移動防止機構14とを備えている。また、図2に示すように、仕切弁1は、弁箱12に収容される弁体15を備えている。
【0030】
図1に示すように、弁蓋11は、弁箱12の弁箱フランジ12aにボルト,ナットにより締結される弁蓋フランジ11aと、開弁状態の弁体15を収容する弁蓋側収容部11bと、弁蓋側収容部11bの上部に設けられ、不図示の操作具を用いて回転操作される被操作部11cとを有している。弁蓋11には、被操作部11cが回転操作されることにより、弁体15を直進移動させる直動機構が構成されている。この直動機構は、弁体15が水道管Wを閉塞するための前進移動、又は、弁体15が水道管Wを開放するための後進移動の何れかで弁体15を直進移動させる。
【0031】
図2及び図3に示すように、弁箱12は、水道管Wが切断されることにより形成される一対の水道管W1,W2の円弧状切断面20間に挿入される。図4及び図5に示すように、弁箱12は、弁体15を収容する弁箱本体12Aと、水道管Wの管軸方向X(以下、「管軸方向X」と言う)に交差する平面となる一対の交差面12Aaから管軸方向Xに沿うように水道管W1,W2に向かって突出する一対の突出管部12Bとを有している。
【0032】
弁箱本体12Aは、管軸方向Xに交差する平面となる一対の交差面12Aaと、管軸方向Xに沿う平面となる一対の側面12Abとを有するボックス状に形成されている。一対の交差面12Aaは、弁蓋11側にあり管軸方向Xの幅が一定である一対の基端面12Aa1と、基端面12Aa1との接続部位よりも先端方向(下方向)に行くほど次第に管軸方向Xの幅が狭くなる一対のテーパ面12Aa2と、テーパ面12Aa2との接続部位から先端までの領域において管軸方向Xと直交する一対の先端面12Aa3と、で構成されている。また、夫々の先端面12Aa3におけるテーパ面12Aa2との接続部位近傍の内側には、夫々の先端面12Aa3を接続する補強板21が形成されている。一対の側面12Abには、外側に突出させたU字状の突出部12Ab1が形成されている。この突出部12Ab1の一対の外側端には、側面12Abに向かうほど(水道管Wの中心に向かうほど)管軸方向Xの幅が大きくなる傾斜面12Ab2が形成されている。
【0033】
図5に示すように、弁箱本体12Aの底面には、中央部分に位置決め用の底面凹部12Acと、運搬時の載置部位となる一対の支持脚部12Adとが形成されている。また、一対の支持脚部12Adと底面凹部12Acと一対の先端面12Aa3とで囲まれる領域には空間となる肉抜き部12Aeが形成されている。
【0034】
夫々の突出管部12Bは水道管Wと同一径の円柱状に形成されており、夫々の突出管部12Bには、一対の水道管W1,W2の円弧状切断面20に対向するフラット端面12Baが形成されている。詳細は後述するが、回転するホールソー5により切断された水道管Wには、弁体15の挿抜方向Yに対して水道管Wの側面視中間位置に行くほど近付く側面視円弧状である一対の円弧状切断面20が形成されている(図2も参照)。
【0035】
図3に示すように、密封バンド13は、一対の水道管W1,W2と弁箱12との間を密封状態で覆っている。密封バンド13は、一対の水道管W1,W2の円弧状切断面20(水道管W)と夫々の円弧状切断面20に対向する一対のフラット端面12Ba(弁箱12の両端部)とを個別に覆うように、管軸方向Xに垂直な面で分割された一対の環状分割体Bで構成されている。図1図3に示すように、夫々の環状分割体Bは、水道管Wの周方向に更に分割された一対の分割部材Baで構成されており、夫々の分割部材Baは互いに接合される一対の半円筒部材で構成されている。夫々の分割部材Baは同一形状で形成されており、一方の分割部材Baを管軸方向X周りに180度回転させた状態で他方の分割部材Baに接合される。この構成により、夫々の分割部材Baの割面が重力方向(上下方向)に沿って設けられている。
【0036】
一対の分割部材Baが接合された環状分割体Bは、水道管Wと弁箱12とを密封状態に覆う本体部B1と、弁箱12の側面12Abに対向するように本体部B1から延出した延出部B2とを有している。
【0037】
本体部B1は、環状部22と、環状部22の周方向両端部から外側に突出し、一対の分割部材Baを締結ボルト16a及び締結ナット16b(締結部材の一例)により接合するための一対の接合部23とを有している(図1参照)。
【0038】
図3に示すように、環状部22の内面には、シール部材Sが装着されるシール溝22aが形成されている。シール部材Sは、水道管W及び弁箱12の突出管部12Bの対向部位の外周面に密着する密着部Saを有している。密着部Saには、弁箱12の突出管部12Bの外周面に当接する側面視直線状の第一環状凸部Sa1と、水道管Wの外周面に当接する2つの第二環状凸部Sa2,Sa3とが突出形成されている。水道管Wの外周面に当接する2つの第二環状凸部Sa2,Sa3のうち、弁箱12側にある一方の第二環状凸部Sa2は、水道管Wの円弧状切断面20に沿うように側面視円弧状に形成されており、移動防止機構14側にある他方の第二環状凸部Sa3は側面視直線状に形成されている。このように、環状分割体Bの本体部B1の内面に配置されたシール部材Sに、弁箱12の突出管部12Bの外周面に当接する第一環状凸部Sa1と、水道管Wの外周面に当接する2つの第二環状凸部Sa2,Sa3とを設ければ、水道管Wと突出管部12Bとの間からの漏水を確実に防止することができる。なお、第二環状凸部Sa2,Sa3の何れか1つを省略しても良い。
【0039】
環状分割体Bの環状部22の外側端には、移動防止機構14が一体形成されている。移動防止機構14は、弁箱12とは反対側に位置しており、環状分割体Bの管軸方向Xの移動を防止する。この移動防止機構14は、環状部22に一体形成される半割状の一対の分割押え体14Aと、水道管Wの外周面に喰い込み可能な複数(本実施形態では6つ)の抜止め部材14Bとを有している。一対の分割押え体14Aの周方向端部に形成された接合部23に亘って、一対の分割押え体14Aを連結する連結ボルト14Ab1及び連結ナット14Ab2(締結部材の一例)が設けられている(図1参照)。また、分割押え体14Aには、複数(本実施形態では6つ)の押ボルト14Ab3が螺合されている。抜止め部材14Bは、分割押え体14Aの内周面の周方向複数箇所に形成された凹状収容部14Ba内で移動自在に装着されていて、押ボルト14Ab3の締付け操作に伴って、各抜止め部材14Bが径方向内側に移動して水道管Wの外周面に喰い込むように構成されている。なお、移動防止機構14を環状分割体Bとは別体で設けても良い。
【0040】
図1に示すように、一対の接合部23は、延出部B2とは管軸方向Xの反対側に形成されており、複数(本実施形態では夫々の環状分割体Bに2つずつ)の締結ボルト16a及び締結ナット16bにより締結されている。また、接合部23の外側面には、後述する密封バンド装着治具3(第一ケース3C及び第二ケース3D)に設けられた案内レール33の突起33Aに係合する複数(本実施形態では1つの接合部23に2つ)の係合溝23cが凹状に形成されている(図10参照)。
【0041】
図3に示すように、延出部B2は、環状部22に接続された基端部24と、基端部24の先端側に形成され、弁箱12の突出部12Ab1に係合する係合部25とを有している。係合部25は、凹状溝部25aを有しており、この凹状溝部25aには、突出部12Ab1の傾斜面12Ab2に対向する対向傾斜面25a1が形成されている。一対の分割部材Baを径方向外側から径方向内側に向けて移動させて弁箱12に装着する際、対向傾斜面25a1が突出部12Ab1の傾斜面12Ab2と当接して、分割部材Baが案内される。
【0042】
[密封バンド装着治具の基本構成]
続いて、密封バンド装着治具3を含む仕切弁設置装置10について説明する。図13図14に示すように、仕切弁設置装置10は、上述した仕切弁1と、水道管Wを切断する切断装置2と、作業弁4が連結された状態で水道管Wを覆う密封バンド装着治具3と、弁体15が収容された弁箱12を下降操作可能な昇降装置Cとを備えている。
【0043】
図13に示すように、切断装置2は、電動モータやエンジン等で構成される原動部27と、作業弁4に連結される連結ケース30と、連結ケース30に連結されるケーシング28と、ケーシング28により支持され、原動部27により回転駆動される駆動回転軸29と、駆動回転軸29の先端部の連結フランジ部29Aに他種のものと付替え自在に連結されたホールソー5とを有している。ケーシング28の下側連結フランジ部28Aには、ホールソー5の一部を収納可能な連結ケース30の上側連結フランジ部30Aがボルト,ナット等により固定連結されている。ホールソー5は、水道管Wの外径よりも大径に形成されている。このホールソー5は、先端部に切削チップが設けられている円筒状ボディー5Aと、円筒状ボディー5Aの中心位置を通して切削チップよりも前方に突出するセンタードリル5Bとから構成されている。また、センタードリル5Bには、円筒状ボディー5A内に入り込んだ切断除去管部の抜け出しを防止する起伏揺動自在な一対の抜止め片5Cが設けられている。切断装置2は、原動部27の駆動により駆動回転軸29に対して駆動回転力と送り力とを付与し、駆動回転軸29に連結されたホールソー5を、開き操作された作業弁4を通して管軸方向Xと直交する鉛直方向(挿抜方向Y)に沿って回転させながら送り込むことにより、水道管Wを円筒状に切断するように構成されている。これにより、図14に示すように、水道管Wには、弁体15の挿抜方向Yに対して水道管Wの側面視中間位置に行くほど近付く側面視円弧状である一対の円弧状切断面20が形成される。
【0044】
図6及び図12に示すように、密封バンド装着治具3は、一対の分割部材Baの上下方向の割面と平行な面で分割された半割り状の第一ケース3Cおよび第二ケース3Dを有している。両ケース3C,3Dは、ボルト7A,ナット7B等の接合部材7で脱着自在にフランジ接合され、両ケース3C,3Dの内面の両シール溝50,50に装着された両シール部材51,51が互いに圧接及び水道管Wの外周面に密着することにより密封状態となっている。また、両ケース3C,3Dの管軸方向X中央部に一体形成された半割状の両連結筒部3Ca,3Daには、作業弁4の弁ケース4Aが密封状態で取付けられている(図13参照)。
【0045】
図6には図示を省略しているが、第一ケース3Cの内部には一方の分割部材Baが収容され、第二ケース3Dの内部には他方の分割部材Baが収容される(図12参照)。図10には、第二ケース3Dの内部に他方の分割部材Baを収容した状態が示されており、分割部材Baの本体部B1の係合溝23cと案内レール33の突起33Aとを係合させることにより、案内レール33に分割部材Baが載置されている(図12に示す第一ケース3Cも同様)。この第二ケース3Dの下部には、上述した弁箱本体12Aの底面に形成された底面凹部12Acに挿入される位置決めピン3Dbが一体的に突出形成されている。この位置決めピン3Dbは、第一ケース3Cと第二ケース3Dとの境界位置となるように、第二ケース3Dの外部に半分が露出している。また、第二ケース3Dの中央部分には、分割部材Baの一対の延出部B2を内側に(水道管Wの方向に)押込み可能な平板状の保持金具Pbが設けられており、この保持金具Pbには、密封バンド装着治具3の外部から操作ハンドルHdを回転操作することにより保持金具Pbを内側に移動させるねじ機構Paが設けられている(第一ケース3Cも同様)。なお、位置決めピン3Dbを、第一ケース3C及び第二ケース3Dの夫々に対して設け、弁箱本体12Aの底面に形成された底面凹部12Acを2つ設けても良い。この場合、第一ケース3C及び第二ケース3Dに設けられる夫々の位置決めピン3Dbは、左右対称の位置に1つ又は複数設けられることが好ましく、2点又は4点以上で弁箱12が位置決めされるため、設置位置が安定する。
【0046】
図7及び図8に示すように、保持金具Pbは、分割部材Baの外面に対向する対向板部71と、対向板部71から分割部材Baを囲むように立設する立設部72と、対向板部71の中央に設けられ、ねじ機構Paのねじコマ74を保持するねじコマ保持部73とを有している。ねじ機構Paは、ねじコマ74と、ねじコマ74の雌ねじに螺合される雄ねじが形成された雄ねじ棒75と、筐体本体31に固定され、雄ねじ棒75を支持する支持部材76とを有している。
【0047】
対向板部71には、分割部材Baの一対の延出部B2の間に挿入される複数(本実施形態では2箇所)のブロック部71aが、ねじコマ保持部73の上下方向両側で分割部材Baに向かって突出形成されている。立設部72には、分割部材Baの本体部B1を位置固定する止めねじ72bが螺合される複数(本実施形態では8箇所)の貫通孔部72aが形成されている。また、ねじコマ保持部73には、ねじコマ74を位置固定する止めねじ73bが螺合される複数(本実施形態では2箇所)の貫通孔部73aが形成されている。雄ねじ棒75の外端部には操作ハンドルHdが固定されており、操作ハンドルHdを回転操作することによりねじコマ74が水道管Wに向かって径方向内側に直進移動し、ねじコマ74が位置固定されたねじコマ保持部73を有する保持金具Pbも水道管Wに向かって径方向内側に直進移動する。このとき、ブロック部71aが分割部材Baの一対の延出部B2の間に位置決めされた対向板部71が一対の延出部B2に当接しているため、分割部材Baも水道管Wに向かって径方向内側に直進移動する。
【0048】
図7に示すように、密封バンド装着治具3(第一ケース3C及び第二ケース3D)は、分割部材Baが収容される筐体本体31と、筐体本体31に形成された貫通孔31aに密封状態で挿入された複数(図11に示す第一ケース3Cは8本、図6に示す第二ケース3Dは8本)の棒状部材32と、を備えている。これら複数の棒状部材32は、分割部材Baを水道管Wに向かって押し込むように移動自在に構成されている。本実施形態では、第一ケース3Cの筐体本体31と第二ケース3Dの筐体本体31とが水道管Wに対して左右対称に形成されており、第一ケース3C及び第二ケース3Dの筐体本体31に挿入される複数の棒状部材32が同一形状で構成されている。
【0049】
筐体本体31は、上述した両連結筒部3Ca,3Daが開口したボックス状に形成されており、一対の分割部材Baの割面と平行な重力方向に沿う割面31bで二分割されている。この筐体本体31の底部には、分割部材Baを保持すると共に分割部材Baの移動を案内する案内レール33が溶接、ねじ止め、はめ込み等により固定されている。密封バンド装着治具3が一対の分割部材Baの割面と平行な重力方向に沿う割面31bを有することから、一対の筐体本体31に跨って分割部材Baを保持する必要がなく、また、掘削範囲も小さくすることが可能となる。
【0050】
図7及び図9に示すように、棒状部材32は、筐体本体31の内部に位置する一端部32aと、筐体本体31の外部に位置する他端部32bと、一端部32a側で筐体本体31に密封状態で固定されている固定棒32cと、他端部32bと固定棒32cとの間に着脱自在に接続される接続棒32dと、を有している。
【0051】
図6に示すように、第一ケース3Cに挿入された棒状部材32の一端部32aには、一方の分割部材Baの接合部23に挿入される締結ボルト16a及び連結ボルト14Ab1の頭部を回転不能に保持する保持部32a2が形成されている。締結ボルト16a及び連結ボルト14Ab1の頭部が保持される一対の棒状部材32の一端部32aは、板状部材32a1により連結されており、複数の棒状部材32が回転不能となっている。図9に示すように、第二ケース3Dに挿入された棒状部材32の一端部32aには、他方の分割部材Baの接合部23に当接する締結ナット16b及び連結ナット14Ab2を、棒状部材32と共に回転可能に保持する保持部32a2が形成されている。この保持部32a2は、締結ボルト16a及び連結ボルト14Ab1の頭部と締結ナット16b及び連結ナット14Ab2との六角形状に沿う内面形状を有しており、これらボルト16a,14Ab1及びナット16b,14Ab2が径方向に移動できる空間が形成されている。なお、第一ケース3Cに挿入された棒状部材32の一端部32aに、締結ナット16b及び連結ナット14Ab2を回転不能に保持する保持部32a2を設け、第二ケース3Dに挿入された棒状部材32の一端部32aに、締結ボルト16a及び連結ボルト14Ab1を棒状部材32と共に回転可能に保持する保持部32a2を設けても良い。
【0052】
図6に示すように、第一ケース3C及び第二ケース3Dに挿入された棒状部材32の他端部32bは、格子板状の連結板6b(連結部材の一例)により連結されている。第二ケース3Dに挿入された棒状部材32の他端部32bには、工具(不図示)により操作可能な六角柱状の操作部32b2が形成されている。なお、図11に示すように、第一ケース3C及び第二ケース3Dに挿入された棒状部材32の他端部32bは、中央が開口した矩形板状の連結板6a(連結部材の一例)により連結しても良い。図11の例では、棒状部材32が第一ケース3C及び第二ケース3Dに夫々4本となっており、第一ケース3C及び第二ケース3Dの何れか一方に適用しても良い。
【0053】
図9に示すように、固定棒32cには、筐体本体31を密封状態で挟み込む挟持部材61が外挿されている。挟持部材61は、頭部内周面に一対のOリング61a1を有する挟持ボルト61aと、挟持ボルト61aに螺合される挟持ナット61bと、挟持ボルト61a及び挟持ナット61bと筐体本体31との間に介装された一対の環状シール部材61cとを有している。挟持ボルト61aの頭部は筐体本体31の内部に位置し、挟持ナット61bは筐体本体31の外部に位置しており、一対のOリング61a1により固定棒32cと挟持ボルト61aとの間が密封状態となり、一対の環状シール部材61cにより、挟持ボルト61a及び挟持ナット61bと筐体本体31との間が密封状態となっている。
【0054】
接続棒32dは、筐体本体31の外部に位置する固定棒32cの外端部に形成された係合凹部32c1及び棒状部材32の他端部32bに形成された係合凹部32b1に一体回転可能に内挿される一対の係合突部32d1を両端に有している。この接続棒32dが固定棒32cとの間で着脱自在となっていることから、棒状部材32の一端部32a及び固定棒32cを装着した状態の筐体本体31を水道管Wに固定した後、接続棒32dと棒状部材32の他端部32bを有する連結板6bとを筐体本体31に装着することが可能となっている。このため、本実施形態における密封バンド装着治具3は、水道管Wの周囲が狭隘な状況下においても装着することが可能となっている。
【0055】
図6に示すように、密封バンド装着治具3は、第一ケース3Cの連結板6bを径方向内側に(水道管Wの方向に)移動させる第一ピストン機構62a(移動機構の一例)と、第二ケース3Dの連結板6bを径方向内側に(水道管Wの方向に)移動させる第二ピストン機構62b(移動機構の一例)とを有している。第一ピストン機構62aは、第一ケース3Cの連結板6bの管軸方向Xの両端に固定され、先端に受圧面62a1を含む第一ピストン62a2と、第一ピストン62a2の受圧面62a1を内部に収容した円筒状の第一シリンダ62a3とを有している。同様に、第二ピストン機構62bは、第二ケース3Dの連結板6bの管軸方向Xの両端に固定され、先端に受圧面62b1を含む第二ピストン62b2と、第二ピストン62b2の受圧面62b1を内部に収容した円筒状の第二シリンダ62b3とを有している。第一シリンダ62a3及び第二シリンダ62b3は、不図示の留め金具により筐体本体31に固定されている。
【0056】
また、第一ピストン機構62a及び第二ピストン機構62bは、筐体本体31の内部の流体を導入可能な導入口63a,63bを有している。この導入口63a,63bに導入された流体の圧力が受圧面62a1,62b1に作用することにより、第一ケース3C及び第二ケース3Dの一対の連結板6b,6bを径方向内側に移動させる。これに伴って、複数の棒状部材32を同時に径方向内側に移動させると共に棒状部材32の一端部32aに当接した一対の分割部材Baも同時に径方向内側に移動させることができる。このピストン機構62a,62bに加え、操作ハンドルHdの操作による保持金具Pbの径方向内側への移動に伴って、一対の分割部材Baが互いに近接するように径方向内側に移動する(図15も参照)。そして、第二ケース3Dの筐体本体31に挿通された棒状部材32の他端部32bの操作部32b2を工具で回転させることにより、締結ナット16b及び連結ナット14Ab2を回転させて締結ボルト16a及び連結ボルト14Ab1に螺合させ、一対の分割部材Baの接合部23を締結することができる(図16も参照)。なお、ピストン機構62a,62bを作動させる流体は、空気や水を外部からポンプ等の外部駆動源により導入する形態であっても良い。
【0057】
図14に示すように、昇降装置Cは、作業弁4に密封状態で連結される上部ハウジングHと、上部ハウジングHの蓋体34に支持され、レーンやウインチ等の昇降駆動部に対する連結部36Aを有する昇降操作軸36と、昇降操作軸36に接続され、弁箱12を脱着自在に吊下げ支持する吊下げ治具37と、蓋体34の内面との当接により、弁箱12を上部ハウジングHと共に一体的に吊下げ搬送する鍔部38とを有している。
【0058】
[密封バンド設置方法を含む仕切弁の設置方法]
続いて、密封バンド設置方法を含む仕切弁1の設置方法について説明する。
【0059】
(1)治具装着工程
まず、図12に示すように、本体部B1の係合溝23cと案内レール33の突起33Aとを係合させることにより、案内レール33に一対の分割部材Baを第一ケース3Cおよび第二ケース3Dの内部に夫々収容する。このとき、第一ケース3Cに挿入された棒状部材32の一端部32aには、一方の分割部材Baの接合部23に挿入された締結ボルト16a及び連結ボルト14Ab1の頭部が、回転不能に保持されている。また、第二ケース3Dに挿入された棒状部材32の一端部32aには、他方の分割部材Baの接合部23に当接する締結ナット16b及び連結ナット14Ab2が、棒状部材32と共に回転可能に保持されている(図10参照)。そして、第一ケース3Cおよび第二ケース3Dを水道管Wに当接させ、接合部材7により脱着自在にフランジ接合する。その結果、両ケース3C,3Dの内面の両シール溝50,50に装着された両シール部材51,51が互いに圧接及び水道管Wの外周面に密着することにより密封状態となる。なお、図7を用いて上述したように、棒状部材32の一端部32a及び固定棒32cを装着した状態の筐体本体31を水道管Wに固定した後、接続棒32dと棒状部材32の他端部32bを有する一対の連結板6b,6bとを筐体本体31に装着しても良い。
【0060】
(2)流体管切断工程
次いで、図13に示すように、作業弁4及び切断装置2を密封バンド装着治具3に密封状態で装着し、作業弁4を開いた状態の密封バンド装着治具3の内部でホールソー5を回転させて、水道管Wを切断する。その結果、弁体15の挿抜方向Yに対して水道管Wの側面視中間位置に行くほど近付く側面視円弧状である一対の円弧状切断面20が形成される。これにより、密封バンド装着治具3(第一ケース3C及び第二ケース3D)の内部には、水道管W内部の水が充填される。
【0061】
(3)弁箱設置工程
次いで、図14に示すように、作業弁4を閉じ操作して、水道管Wの切断除去管部と共に切断装置2を撤去し、作業弁4に昇降装置Cを密封状態で装着する。そして、作業弁4を開き操作して、昇降装置Cにより、密封バンド装着治具3の内部で、一対の円弧状切断面20の間に弁体15が収容された弁箱12を挿入する。このとき、弁箱12の底面に位置決め用の底面凹部12Acを形成しているので、水道管Wに対する弁箱12の装着位置が正確なものとなる(図5も参照)。
【0062】
(4)密封バンド移動工程
次いで、図15に示すように、操作ハンドルHdを回転操作してねじ機構Paを介して保持金具Pbを水道管Wに向かって径方向内側に直進移動させることにより、一対の分割部材Baも水道管Wに向かって径方向内側に直進移動させる。このとき、ピストン機構62a,62bの導入口63a,63bから密封バンド装着治具3内部に充填された水(流体の一例)を導入して受圧面62a1,62b1に水圧を作用させる。その結果、複数の棒状部材32が連結された一対の連結板6b,6bが径方向内側に移動し、棒状部材32の一端部32aに当接した一対の分割部材Baも同時に径方向内側に移動するため、ピストン機構62a,62bは、操作ハンドルHdによる分割部材Baの移動をアシストする。つまり、操作ハンドルHdの回転操作及びピストン機構62a,62bにより一対の分割部材Baを水道管W1,W2に向かって径方向内側に移動させ、一対の接合部23を当接させる。このとき、本体部B1の係合溝23cと案内レール33の突起33Aとが係合しているため、分割部材Baが所定の位置まで正確に案内される(図12も参照)。また、弁箱12の突出部12Ab1に傾斜面12Ab2を設け、環状分割体Bの係合部25に対向傾斜面25a1を設けているため、傾斜面12Ab2及び対向傾斜面25a1により弁箱12に対する環状分割体Bの装着が案内される(図3も参照)。その結果、弁箱12に環状分割体Bを装着する作業が容易なものとなる。
【0063】
(5)締結工程
次いで、図16に示すように、第二ケース3Dの筐体本体31に挿通された棒状部材32の他端部32bを工具で回転させることにより、この棒状部材32の一端部32aに保持された締結ナット16b及び連結ナット14Ab2を回転させる。これにより、これら締結ナット16b及び連結ナット14Ab2を、第一ケース3Cの筐体本体31に挿通された棒状部材32の一端部32aに回転不能に保持された締結ボルト16a及び連結ボルト14Ab1に螺合させ、一対の分割部材Baの接合部23を締結する(図1も参照)。その結果、一対の水道管W1,W2と弁箱12との間が密封バンド13により密封状態で覆われる。次いで、水道管Wから密封バンド装着治具3及び昇降装置Cを取外す。そして、図1に示すように、残りの締結ボルト16aと締結ナット16bとを螺合すると共に、移動防止機構14の押ボルト14Ab3を締付け操作して、抜止め部材14Bを水道管Wの外周面に喰い込ませて環状分割体Bの管軸方向Xの移動を防止し、仕切弁1が完成する。
【0064】
上述した実施形態では、弁体15と、弁箱12と、一対の水道管W1,W2と弁箱12との間を密封状態で覆う密封バンド13とで仕切弁1を構成しているため、密封バンド装着治具3等を残置することなく、仕切弁1のコンパクト化を図ることができる。また、本実施形態における環状分割体Bは、水道管Wの周方向に分割された複数の分割部材Baで構成されている。つまり、複数の分割部材Baを水道管Wの径方向から装着することが可能となるため、密封バンド13を管軸方向Xに沿って移動させる必要がない。その結果、水道管Wの外周面に形成されたバリ等により分割部材Baの内周面に装着されたシール部材Sが損傷することなく、密封バンド13の耐久性を高めることができる。
【0065】
しかも、棒状部材32の一端部32aの保持部32a2で一対の分割部材Baを接合する締結ナット16b及び連結ナット14Ab2と締結ボルト16a及び連結ボルト14Ab1とを保持し、棒状部材32の筐体本体31の外部に位置する他端部32bに締結ナット16b及び連結ナット14Ab2を回転させる操作部32b2が形成されていることから、締結工程において、密封バンド装着治具3を撤去する前に、密封バンド13を一対の水道管W1,W2の間に固定することができる。
【0066】
以下、密封バンド装着治具3の別実施形態について説明する。なお、第一実施形態と同様の部材については、図面の理解を容易にするため、同一の符号及び名称を用いて説明する。
【0067】
[別実施形態1]
図17及び図18に示すように、ピストン機構62a,62bを、二重筒構造としても良い。本実施形態におけるピストン機構62a,62bは、可動筒64と固定筒65とを有しており、固定筒65の外端部65aから筐体本体31の内部の流体が導入される。可動筒64は、筐体本体31に固定された受け台66に沿って径方向に移動可能に構成されており、複数の棒状部材32が連結された連結板6bと接続プレート67により接続されている。この可動筒64は、内筒64aと内筒64aの先端で接続された外筒64bとを有しており、内筒64aの基端に受圧面64a1が形成されている。固定筒65は、内筒64aと外筒64bとの間に介装されており、内端部65bの内周面にOリング65b1が装着されることにより可動筒64と固定筒65との間が密封状態となっている。固定筒65の外端部65aから導入された流体の圧力が可動筒64の受圧面64a1に作用することにより、可動筒64が径方向内側に移動し、これに伴って接続プレート67により可動筒64と接続された連結板6bも径方向内側に移動する。他の構成及び作用効果は、上述した実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
[別実施形態2~3]
図19に示すように、連結部材の他の一例として一対の連結板6c,6cを操作ハンドルHd操作に必要となる部位のみ丸孔60Aを形成した平板部材で構成しても良い。また、図20に示すように、連結部材の他の一例として一対の連結板6d,6dを複数のリンク部材60Bを連結したタスキ掛け状に構成しても良い。他の構成及び作用効果は、上述した実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0069】
[密封バンドの他の実施形態]
図21に示すように、仕切弁1は、弁蓋11と弁箱12と密封バンド13と移動防止機構14とを備えている。弁蓋11と弁箱12と移動防止機構14とは、上述した仕切弁1と同様であるので説明を省略する。
【0070】
図21及び図22に示すように、本実施形態における密封バンド13は、夫々の水道管W1,W2及び弁箱12の突出管部12Bを密封状態に覆う一対の本体部B1と、弁箱本体12Aの管軸方向Xに沿う側面12Abに対向した状態で一対の本体部B1を接続する接続部B3とが一体形成され、水道管Wの周方向に分割された複数(本実施形態では2つ)の分割部材Baで構成されている。
【0071】
本体部B1は、環状部22と、環状部22の両端部から外側に突出し、一対の分割部材Baを締結ボルト16a及び締結ナット16bにより接合するための一対の接合部23とを有している。本体部B1の構成は、第一実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0072】
接続部B3は、一対の本体部B1の環状部22どうしを接続しており、環状部22から外方に屈曲する屈曲部43と、屈曲部43から管軸方向Xに沿った外面を有し、一対の屈曲部43を一体化させた一体部44とを備えている。一体部44の内面には、弁箱12の突出部12Ab1に係合する複数(本実施形態では2つ)の係合凹部44aが形成されている。この係合凹部44aには、突出部12Ab1の傾斜面12Ab2に対向する対向傾斜面を形成しても良い。一対の分割部材Baを径方向外側から径方向内側に向けて移動させて弁箱12に装着する際、突出部12Ab1と係合凹部44aとを係合させることにより、分割部材Baの弁箱12に対する装着位置が案内される。また、一体部44の中央には、上述したねじ機構Paの雄ねじ棒75が貫挿される孔部44bが形成されている。上述したように、水道管W及び弁箱12の突出管部12Bの対向部位の外周面に密着するシール部材Sにより、孔部44bを介して漏水することがない。
【0073】
本実施形態における密封バンド13は、一対の本体部B1と一対の本体部B1を接続する接続部B3とで構成される一体型であるため、強度が高いものとなっている。しかも、密封バンド13が水道管Wの周方向に分割された複数の分割部材Baで構成されており、複数の分割部材Baを水道管Wの径方向から装着することが可能となるため、密封バンド13を管軸方向Xに沿って移動させる必要がない。その結果、水道管Wの外周面に形成されたバリ等に密封バンド13の内周面が損傷することなく、密封バンド13の耐久性を高めることができる。
【0074】
[弁箱の他の実施形態]
図23に示すように、弁箱12の両端部には、一対の水道管W1,W2の円弧状切断面20に沿うように対向する円弧状端面12Bbが形成されている。そして、本実施形態における一対の円弧状端面12Bbは、弁体15の挿抜方向Yに対して水道管Wの側面視中間位置に行くほど近付くように側面視円弧状に形成されている。弁箱本体12Aの交差面12Aaの形状及び突出管部12Bの円弧状端面12Bbの形状により、突出管部12Bの上壁の管軸方向Xの幅Wtは、下壁の管軸方向Xの幅Wbよりも小さく形成されており、側壁の管軸方向Xの幅Wsよりも大きく形成されている。このように、弁箱12の突出管部12Bに水道管Wの円弧状切断面20に対向する円弧状端面12Bbを設ければ、突出管部12Bを円弧状切断面20に接近させることが可能となり、仕切弁1のコンパクト化が図られる。しかも、水道管Wに流通する水が弁箱12の突出管部12Bにより円滑に案内されるため、圧力損失を低減できる。
【0075】
[その他の実施形態]
(1)図24に示すように、密封バンド装着治具3は、下方から外嵌装着される半割り状の下部ケース3A(筐体本体の一例)と、水道管Wに対して上方から外嵌装着される半割り状の上部ケース3B(筐体本体の一例)と、で構成しても良い。両ケース3A,3Bは、不図示のボルト,ナット等の締結部材で脱着自在に密封状態でフランジ接合され、上部ケース3Bの管軸芯方向中央部に一体形成された連結筒部3Baには、作業弁4の弁ケース4Aが密封状態で取付けられている。図25に示すように、下部ケース3Aは、側壁3Aaと底壁3Abとを有する上部が開口したボックス状に形成されている。長手方向の(管軸方向Xに沿う)一対の側壁3Aaと底壁3Abとの間には、内側に屈曲した一対の段差部3Acが形成されている。密封バンド装着治具3を水道管Wに密封状態で装着する際、段差部3Acには、分割部材Baの本体部B1が支持された状態となる。図24及び図25に示すように、段差部3Acの側面には、分割部材Baを内側に(水道管Wの方向に)押込み可能なプッシャ部材P(棒状部材の一例)が挿入される複数(本実施形態では6つ)の貫通部3Ac1が形成されている。このプッシャ部材Pの一端部P1(保持部の一例)には、締結ボルト16a及び連結ボルト14Ab1の頭部、又は締結ナット16b及び連結ナット14Ab2が保持されている。プッシャ部材Pの他端部P2(操作部の一例)を工具で回転させることにより、締結ナット16b及び連結ナット14Ab2を回転操作して締結ボルト16a及び連結ボルト14Ab1に螺合させ、一対の接合部23を締結することができる。なお、上述した実施形態における連結板6a~6dのように、複数のプッシャ部材Pを連結する連結部材を設けても良いし、連結板6a~6dを水道管Wに向かって移動させるピストン機構62a,62bを設けても良い。
【0076】
底壁3Abには、分割部材Baの接合部23を保持する案内レール33が溶接、ねじ止め、はめ込み等により固定されている。この案内レール33は、水道管Wと弁箱12との間の所定位置に分割部材Baが装着されるように、一対の段差部3Acの間の領域で径方向に沿って設けられている。案内レール33の上面の中央部分には、接合部23の外側面に形成された係合溝23cに係合する複数(本実施形態では2つ)の突起33Aが、一対の段差部3Acで挟まれた領域に亘り径方向に沿って設けられている。これら係合溝23cと突起33Aとによって、分割部材Baが所定の位置に位置決めされ、プッシャ部材Pにより水道管Wの側方から分割部材Baがスライド移動する際の案内機構が構成されている。また、底壁3Abには、弁箱本体12Aの底面に形成された底面凹部12Acに挿入される位置決めピン3Ab1が一体的に突出形成されている。弁箱12を密封バンド装着治具3内部における一対の水道管W1,W2の間に配置する際、位置決めピン3Ab1が底面凹部12Acに挿入されることにより、弁箱12と密封バンド装着治具3との相対位置が位置決めされる。
【0077】
(2)図24に示すように、上述した実施形態における密封バンド13は、一対の分割部材Baの接合部23の対向する端面に、夫々凸部23b1と凹部23b2とを設け、これら凸部23b1と凹部23b2とを係合させることにより、一対の分割部材Baの位置決めをしても良い。
(3)上述した実施形態のように一対の分割部材Baの割面は上下方向に限定されず、左右方向、斜め方向等であっても良い。一対の分割部材Baの割面を左右方向とした場合、上側の分割部材Baを突出管部12Bに予め装着させた弁箱12を一対の水道管W1,W2の間に挿入し、その後、下部ケース3Aの底壁3Abに設けられたジャッキ機構により下側の分割部材Baを押し上げて装着しても良い。
(4)弁体15の挿抜方向Yは、上下方向ではなく、斜め方向又は左右方向として仕切弁1を配置しても良い。
(5)密封バンド装着治具3により、一対の水道管W1,W2と仕切弁1との間に密封バンド13を設置する例を示したが、互いに離間した一対の水道管W1,W2の間に密封バンド13を装着する形態であれば良く、特に限定されない。
(6)流体管は水道管に限定されず、ガス管等の流体を流通させる管であれば特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、流体管の周方向に分割された複数の分割部材で構成されている密封バンドを、互いに離間した一対の流体管の間に装着するための密封バンド装着治具及び密封バンド設置方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
3 :密封バンド装着治具
6b :連結板(連結部材)
13 :密封バンド
14Ab1 :連結ボルト(締結部材)
14Ab2 :連結ナット(締結部材)
16a :締結ボルト(締結部材)
16b :締結ナット(締結部材)
31 :筐体本体
31a :貫通孔
31b :割面
32 :棒状部材
32a :一端部
32a2 :保持部
32b :他端部
32b2 :操作部
33 :案内レール
62a :第一ピストン機構(移動機構)
62b :第二ピストン機構(移動機構)
Ba :分割部材
Hd :操作ハンドル
P :プッシャ部材(棒状部材)
P1 :一端部(保持部)
P2 :他端部(操作部)
Pa :ねじ機構
Pb :保持金具
W :水道管(流体管)
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