(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】棚板支持構造
(51)【国際特許分類】
A47B 57/44 20060101AFI20240531BHJP
A47B 7/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
A47B57/44 Z
A47B7/00 Z
(21)【出願番号】P 2020182674
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】594187105
【氏名又は名称】倉敷レーザー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】難波 敢
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実公第024885(大正15年)(JP,Y1T)
【文献】特開2007-125162(JP,A)
【文献】実開平01-114832(JP,U)
【文献】実開昭57-082771(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 57/44
A47B 7/00
A47B 57/08-57/10
A47B 55/00
A47B 96/02
A47B 47/02
H05K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立分離自在に棚板を柱に支持させる棚板支持構造であって、
連結手段により棚板に連結分離自在な本体部と、柱に掛合させる鍵部と、本体部及び鍵部を繋ぐ括れた接続部とから構成される抜止具を加え、
柱は、棚板の厚みで、棚板の角部又は辺部が差し込める第1開口と、第1開口から差し込まれた角部又は辺部が収納される第1空間と、抜止具の接続部の幅の第2開口と、抜止具の
鍵部が収納される第2空間とが設けられ、
第1開口と第2開口とは第2開口の幅で連通し、
第1空間と第2空間とは少なくとも第2空間の範囲で連通しており、
接続部を第2開口に嵌め込んで鍵部を第2空間に収納させた状態で柱から突出させた本体部と、角部又は辺部を第1開口から差し込んで第1空間に収納させた状態の棚板とを連結手段により連結してなる棚板支持構造。
【請求項2】
柱は、中空の内部空間を有し、内部空間を連通する第1空間及び第2空間とする請求項1記載の棚板支持構造。
【請求項3】
柱は、第2開口及び第2空間が第1開口及び第1空間から共に柱の下方にある請求項1又は2いずれか記載の棚板支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立分離自在に棚板を柱に支持させる棚板支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
組立分離自在に棚板を柱に支持させる棚板支持構造として、例えば特許文献1に見られるように、中空の柱(円筒状脚)の側面に棚板(多角形状受け台)の厚みの切れ込みを設け、棚板の角部を切れ込みより薄くすると共に、柱の内側面及び外側面に接面する円弧状溝を角部に形成した構成がある(特許文献1・実用新案登録請求の範囲)。特許文献1が開示する棚板支持構造は、棚板の角部を切れ込みに差し込み、そのままおろして円弧状溝に切れ込みの下縁部に嵌合させれば、水平方向の移動を拘束した状態で、棚板を柱に支持させることができる(特許文献1・第1図~第3図)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する棚板支持構造は、角部を切れ込みに差し込んで降ろせば、棚板と柱との組立が完了し、棚板を持ち上げて角部を切れ込みから引き出せば、棚板と柱との分離が完了する。このように、特許文献1が開示する棚板支持構造は、棚板と柱との組立分離が容易でありながら、棚板が柱から確実に外れなくなる利点がある。しかし、特許文献1が開示する棚板支持構造は、重量物であるスピーカーを棚板に載せるため、あまり問題にならないが、収納棚の棚板と考えた場合、次のような問題がある。
【0005】
柱に支持させる棚板の角部は、切れ込みに差し込でから下ろす必要から切れ込みより薄く形成され、円弧状溝を切れ込みの下縁部に嵌合させると、どうしても上部に切れ込みとの隙間が形成される。これは、棚板がガタつく問題を招く。また、棚板全体に比べて、角部が薄く形成されるところ、角部は棚板に加わる荷重が集中するので、耐久性に疑問が残る。特に、瞬間的な衝撃が角部に加わった場合、破損しやすいと考えられる。このほか、棚板の角部の加工が複雑に過ぎて、製品全体の加工コストを増加させる懸念もある。
【0006】
このように、特許文献1が開示する棚板支持構造は、組立分離が容易で棚板が柱から外れない点で優れているが、棚板の安定性、棚板の耐久性、そして製品全体の加工コスト増といった問題が散見される。これら問題は、棚板支持構造を様々な製品に適用しようとした場合、無視できない。そこで、特許文献1が開示する棚板支持構造が有する組立分離が容易である利点を活かしつつ、棚板の安定性、棚板の耐久性、そして製品全体の加工コスト増といった問題を解決すべく、棚板支持構造について検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検討の結果開発したものが、組立分離自在に棚板を柱に支持させる棚板支持構造であって、連結手段により棚板に連結分離自在な本体部と、柱に掛合させる鍵部と、本体部及び鍵部を繋ぐ括れた接続部とから構成される抜止具を加え、柱は、棚板の厚みで、棚板の角部又は辺部が差し込める第1開口と、第1開口から差し込まれた角部又は辺部が収納される第1空間と、抜止具の接続部の幅の第2開口と、抜止具の鍵部が収納される第2空間とが設けられ、第1開口と第2開口とは第2開口の幅で連通し、第1空間と第2空間とは少なくとも第2空間の範囲で連通しており、接続部を第2開口に嵌め込んで鍵部を第2空間に収納させた状態で柱から突出させた本体部と、角部又は辺部を第1開口から差し込んで第1空間に収納させた状態の棚板とを連結手段により連結してなる棚板支持構造である。第2開口及び第2空間は、第1開口及び第1空間から共に柱の上方又は下方にある。
【0008】
棚板は、棚板の厚みである第1開口に隙間なく差し込まれるから、ガタつかない。柱は、抜止具の括れた接続部の幅の第2開口に連通して、抜止具の鍵部が収納される第2空間が内部に設けられるから、第2開口脇に壁が形成される。抜止具は、第1開口を通して第1空間に鍵部を収納させ、鍵部を第1空間から第2空間へ移動させて接続部を第2開口に嵌合させると、鍵部を第2開口脇の壁に掛合させ、柱から抜け出なくなる。鍵部は、接続部より幅が広いので第2開口より広いが、第1開口から差し込むことから、第1開口より狭い方が望ましい。棚板は、抜止具の本体部と連結手段により連結され、抜止具を介して柱から外れなくなる。抜止具は、第2開口が接続部の厚みに関係なく、本体部を棚板に連結するから、ガタつかない。
【0009】
連結手段は、棚板と抜止具の本体部とを連結できる従来公知の各種手段、好ましくは棚板と抜止具がガタつきなく一体化できる従来公知の各種手段が用いられる。具体的には、棚板(又は抜止具の本体部)に頭を掛合させて突出させた雄ネジを、抜止具の本体部(又は棚板)に設けた雌ネジに螺合するネジ接合手段や、棚板(又は抜止具の本体部)に頭を掛合させて抜止具の本体部(又は棚板)から突出させたボルトにナットを締め込むボルト接合手段や、棚体と抜止具の本体部とをクリップやクランプで挟む挟持接合手段が例示される。
【0010】
柱は、中空の内部空間を有し、内部空間を連通する第1空間及び第2空間とすると、柱に第1開口及び第2開口を形成するだけで、第1開口及び第2開口に連通し、かつ互いが連通する第1空間及び第2空間が柱の内部空間により構成される。そして、第1開口及び第2開口も中空の柱の壁を切除するだけで済む。また、柱は、第2開口及び第2空間が第1開口及び第1空間から共に柱の下方にある構成であると、抜止具は、棚板を下方から支える支持具としての働きを発揮する。この場合、抜止具は、棚板の下面に接面する本体部、鍵部及び接続部を有する構造であるとよく、特に本体部が棚板の下面に広く接面する構造であるとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の棚板支持構造は、抜止具の接続部を第2開口に嵌め込んだ状態で棚板の角部又は辺部を第1開口から差し込んで第1空間に収納させ、棚板と抜止具の本体部とを連結手段により連結するだけなので、組立分離が容易である。しかし、棚板を差し込む第1開口は棚板の厚みしかないので、棚板がガタつかない安定性が得られる。また、棚板は、柱に支持させる加工を要せず、厚みがそのままなので、耐久性も確保される。そして、抜止具は簡易な構造で製造コストが掛からず、第1開口ほかの柱の加工や、連結手段のための棚板の加工も簡単なものなので、製品全体の加工コスト増がない。このように、本発明の棚板支持構造は、特許文献1が開示する棚板支持構造の利点を有しながら、問題点を解決している。
【0012】
内部が中空である柱の内部空間を第1空間や第2空間とすると、柱に第1開口及び第2開口を形成するだけで、第1開口及び第2開口に連通し、かつ互いが連通する第1空間及び第2空間が柱の内部空間により構成されるため、柱の加工コストを低減できる。また、第1空間及び第2空間を大きくできるので、例えば第1開口から差し込む棚板の角部や辺部の仕様が変わっても対応しやすく、また第2空間に収容できる鍵部の形状に自由度が生まれ、抜止具の加工コストを低減できる。
【0013】
第2開口及び第2空間が第1開口及び第1空間から共に柱の下方にある柱であると、抜止具は、棚板を下方から支える支持具としての働きを発揮することから、棚板のガタつきが抑制され、棚板の安定性が増す効果が得られる。この場合、抜止具が棚板の下面に接面する本体部、鍵部及び接続部を有する構造であると、棚板のガタつきを抑える働きがよりよく発揮される。また、抜止具の本体部が棚板の下面に広く接面する構造であると、棚板から抜止具に掛かる負荷が分散され、抜止具による棚板の支持が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明を適用した棚の一例を表す斜視図である。
【
図2】本例の棚における
図1中A矢視部分における棚板支持構造を表す拡大斜視図である。
【
図3】本例の棚における
図1中A矢視部分における棚板支持構造の組み付け関係を表す拡大分解相斜視図である。
【
図4】本例の棚における
図1中B矢視部分における棚板支持構造の拡大斜視図である。
【
図5】本例の棚における
図1中B矢視部分における棚板支持構造の組み付け関係を表す拡大分解相斜視図である。
【
図6】本例の棚における
図1中A矢視部分における棚板支持構造の組み付け手順1を表す(a)縦断面図、(b)横断面図である。
【
図7】本例の棚における
図1中A矢視部分における棚板支持構造の組み付け手順2を表す(a)縦断面図、(b)横断面図である。
【
図8】本例の棚における
図1中A矢視部分における棚板支持構造の組み付け手順3を表す(a)縦断面図、(b)横断面図である。
【
図9】本例の棚における
図1中A矢視部分における棚板支持構造の組み付け手順4を表す(a)縦断面図、(b)横断面図である。
【
図10】抜止具を棚板の上方に配置した別例1の棚における
図1中A矢視部分相当における棚板支持構造の拡大斜視図である。
【
図11】本体部が大きい抜止具を用いた別例2の棚における
図1中A矢視部分相当における棚板支持構造の拡大斜視図である。
【
図12】連結手段としてボルト及びナットを用いた別例3の棚における
図1中A矢視部分相当における棚板支持構造の拡大斜視図である。
【
図13】連結手段としてクリップを用いた別例4の棚における
図1中A矢視部分相当における棚板支持構造の拡大斜視図である。
【
図14】本発明を適用した別例5のテーブルを表す斜視図である。
【
図15】別例5のテーブルにおける
図14中C矢視部分における棚板支持構造の拡大斜視図である。
【
図16】別例5のテーブルにおける
図14中C矢視部分における棚板支持構造を利用した天板の組み付け関係を表す拡大分解相斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明の棚板支持構造は、例えば
図1に見られるように、四隅及び背面側左右中央に配置した柱12に、上下方向等間隔に4枚の棚板11を支持させた本例の棚1に適用される。本例の棚1は、説明の便宜上、前面、背面、左右側面がすべて開放された構造を採用しているが、従来同種の棚同様に、左右側面及び背面に壁板を設けて閉鎖された構造にしてもよいし、前面に開閉する扉を設けてもよい。壁板や扉は、棚板11に支持させても、柱12に支持させてもよい。壁板や扉の支持構造は、従来公知のネジ、ボルトやヒンジが利用される。
【0016】
本例の棚1は、断面円形の中空パイプである金属製の柱12に、透明な強化ガラス製又は強化樹脂製の棚板11を支持させている。このため、棚板支持構造を構成した棚板11の角部及び辺部には、下方から本体部131を当てがった抜止具13が、棚板11を通して見えている。抜止具13を隠したい場合、少なくとも棚板11の角部及び辺部を着色したり、模様をつけたりして不透明にするか、棚板11全体を着色したり、模様をつけたりして不透明にするとよい。
【0017】
棚板11は、一定の厚みDsbで横長な平面視長方形で、棚板支持構造を構成する角部及び辺部に、皿ネジ134の頭を埋め込むザグリ加工を施したネジ貫通孔111を設けている(
図2~
図5参照)。ネジ貫通孔111は、棚板11の角部を第1空間122に収納させた状態で、鍵部133を第2開口脇125に掛合させた抜止具13の本体部131の雌ネジ134に連通する位置に設ける。本例のネジ貫通孔111は、辺部が第1開口121の側縁に当接するまで棚板11の角部を第1空間122に収納させた状態で、鍵部133を第2開口脇125に掛合させた抜止具13の本体部131の雌ネジ134に連通する位置に設けている。
【0018】
本例の棚板11は、取り扱い時の安全性を考慮して、柱12の第1空間122に収納させる角部(
図3中、棚板11のハッチング部位)を丸く加工している。角部の半径は、連結された抜止具13の鍵部132の外縁に倣った大きさで、鍵部132の上面がすべて棚板11の下面に接面するようにしている。角部は、第1空間122に収納されて見えなくなるので、特に丸く加工する必要はない。辺部は、第1空間122にそのまま収納されるだけなので、特に加工していない(
図5中、棚板11のハッチング部位)。
【0019】
柱12は、棚板11の角部又は辺部を差し込む第1開口121を上段に、抜止具13の接続部133の幅である第2開口123を下段にして、第1開口121及び第2開口123を上下方向に連通状態で設けている。棚板11の角部及び辺部を支持する柱12に設けられる第1開口121及び第2開口123は、いずれも左右中心を揃え、左右対称に設けられている。これにより、棚板11の下面に下方から当てがわれる抜止具13は、左右均等に棚板11を安定に支持できる。
【0020】
棚板11の角部を支持する柱12に設けられる第1開口121は、柱12の周方向に延びる1/4円弧の横と、棚板11の厚みDsbに等しい厚みD1の高さとに囲まれた正面視長方形の開口である(
図3参照)。棚板11の辺部を支持する柱12に設けられる第1開口121は、柱12の周方向に延びる1/2円弧の横と、棚板11の厚みDsbに等しい厚みD1の高さとに囲まれた正面視長方形の開口である(
図5参照)。第1開口121の下方で、第2開口123を挟む柱12の周壁が、抜止具13の鍵部132が掛合する左右一対の第2開口脇125となる。
【0021】
抜止具13の接続部133を嵌め込む第2開口123は、柱12の周方向に伸びる円弧で、第2開口脇125の縁部を結ぶ直線間隔が抜止具13の接続部163の幅に等しくなる長さの横と、抜止具13の厚みDfsに等しい厚みD2の正面視長方形の開口であり、第1開口121とは横の長さの範囲で連通している。第1空間122及び第2空間124は、柱12が中空であることから第1開口121又は第2開口123に連続する内部空間が相当し、当然に第2空間124の範囲で上下方向に連通している(後掲
図6ほか参照)。
【0022】
抜止具13は、柱12がすべて同じ構造であることから、棚板11の角部又は辺部に対して同じものを用いる。本例の抜止具13は、平面視円形を柱12の外周面に倣って切除した外形の本体部131と、円弧状の外縁を有する平面視略菱形の鍵部132とを、柱12の板厚の円弧状で、柱12の板厚相当の隙間を左右に有し、本体部131及び鍵部132に対して括れた接続部132により繋いで構成される平坦な板金部材である(
図3参照)。本体部131は、平面視円形の中心付近に、皿ネジ14が捻じ込まれる雌ネジ134を設けている。鍵部132は、柱12の内周面に当接する前縁を有している。鍵部132の幅Wrkは、第1開口121の幅W1より狭く、第2開口123の幅W2より広くなっている。
【0023】
本例の棚1について、棚板12の角部に構成される棚板支持構造の組み付け手順を説明する。組み付け手順1では、
図6に見られるように、まず抜止具13の鍵部132を、第1開口121から差し込み第1空間122に収納させる。このとき、鍵部132の幅Wrkが第1開口121の幅W1より狭いので、鍵部132を容易に第1空間122に差し込める。仮に鍵部132の幅Wrkが第1開口121の幅W1より広ければ、鍵部132を左右に傾けて最初に端を第1開口121に差し込んでから、徐々に姿勢を変化させて鍵部132を第1空間122に収納させるとよい。
【0024】
組み付け手順2では、
図7に見られるように、鍵部132を第1空間122に収納させた抜止具13の接続部133を第2開口123の直上に位置合わせをした状態で、抜止具13を降ろして接続部133を第2開口123に嵌め込む。このとき、本例の抜止具13は、柱12の板厚相当の隙間を挟んで本体部131の後縁と鍵部132の前縁とが対向しており、第2開口脇125を本体部131の後縁と鍵部132の前縁とが挟み、鍵部132の前縁を第2開口脇125である柱12の内周面に掛合させる。本例の抜止具13は、更に本体部131の後縁も柱12の外周面に掛合させ、柱12に対して抜止具13を位置固定する。
【0025】
組み付け手順3では、
図8に見られるように、棚板11の角部を第1開口121から差し込んで第1空間122に収納させる。第1開口121は、棚板11の厚みDsbと同じ厚みD1であるため、第1開口121から差し込んだ角部を第1空間122に収納させると、棚板11の上下方向のガタつきがなくなる。また、辺部が第1開口121の左右縁部に当接するまで棚板11を第1開口121に差し込んでいるため、棚板11の左右方向のガタつきもなく、柱12に対して棚板11が隙間を残すこともないので審美性にも優れる。
【0026】
棚板11は、上面を棚板11の下面に接面させる抜止具13によっても、上下方向のガタつきが抑制又は防止される。具体的には、抜止具13の厚みDfsが第2開口123の厚みD2と同じであるから、棚板11は、下面を抜止具13の上面に接面させ、抜止具13の上下方向のガタつきが抑制又は防止される。抜止具13は、同幅の接続部133を第2開口123に嵌め込んでいるため、左右方向のガタつきもない。こうして、棚板11の角部を第1開口121から第1空間122に収納させた組み付け手順3の段階では、棚板11及び抜止具13いずれも安定して柱に組み付けられるが、棚板11は角部を第1空間122からまだ引き抜ける状態にある。
【0027】
組み付け手順4では、
図9に見られるように、棚板11のネジ貫通孔111を通して上方から差し込んだ皿ネジ14を、抜止具13の本体部131に設けた雌ネジ134に捻じ込んで、棚板11と抜止具13とを一体化する。棚板11は、角部を第1空間122に収納させただけでは簡単に柱12から分離できていた。しかし、皿ネジ14による抜止具13との一体化により、棚板11は、抜止具13の鍵部132が第2開口脇125に掛合する限り、柱12から容易に分離しなくなる。こうして、本発明による棚板支持構造が完成する。棚板12の辺部に構成される棚板支持構造も組み付け手順は同じであるため、図示及び説明を省略する。
【0028】
第2開口123は、第1開口121に対して柱12の上方又は下方のいずれにあってもよい。棚板11は、基本的に第1開口121の下縁に下面を当接させて支持される。これに加えて、抜止具13と同厚とした第2開口を第1開口より柱12の下方に設ければ、第2開口123に接続部133を嵌め込んだ抜止具13が棚板11の下面に上面を接面させ、抜止具13が棚板11を下方から支持する働きを有する(本例参照)。しかし、抜止具13は棚板11の角部又は辺部を柱12から分離させなければよいので、
図10に見られるように、第2開口を第1開口より柱12の上方に設け、抜止具13の下面を棚板11の上面に接面させた別例1の棚板支持構造を構成することもできる。
【0029】
別例1の棚板支持構造を構成する第1開口121、第1空間122、第2開口123、第2空間124は、本例と同仕様で、単に第2開口123、第2空間124がそれぞれ第1開口12、第1空間122より柱12の上方に設けられているに過ぎない。また、棚板11及び抜止具13も、基本的に本例と同仕様であるが、連結手段として丸ネジ15を抜止具13の本体部131から棚板11に捻じ込む関係から、抜止具13の本体部131にネジ貫通孔(図示略)を、棚板11に雌ネジ(図示略)を設けている。棚板11の加工を避ける場合、後述するように、ボルト17及びナット171を利用して(後掲
図12参照)、抜止具13の本体部131と棚板11とを締め付けてもよい。
【0030】
第1開口121の下方に第2開口123を設ける棚板支持構造では、既述したとおり、抜止具13が棚板11を支持する働きを有する。これから、
図11に見られるように、本体部161が棚板11の辺部に沿って扇状に広がった大きさの抜止具16を用い、棚板11の下面に接面する本体部161の上面を広くし、抜止具16による棚板11の支持の働きがより発揮される別例2の棚における棚板支持構造としてもよい。抜止具16は、大きくした本体部161以外、鍵部162及び接続部163の構造は本例の抜止具13と同じで、本例の第1開口121及び第2開口123を設けた同じ柱12に利用できる。これは、鍵部132及び接続部133が同じであれば、本体部131の形状が自由であることを意味する(後掲
図13参照)。
【0031】
本体部161の大きな抜止具16は、広い本体部161の上面を棚板11の下面に均等に接面させることにより、棚板11を安定して支持する。これから、別例2の棚における棚板支持構造は、棚板11と抜止具16とは、本体部161に左右対称で4箇所に配置された皿ネジ14を連結手段として一体化している。このように、本体部161を大きくすると、それだけ連結手段を大きく又は複数用いることができ、棚体11と抜止具16とをより強固に一体化できる。また、大きな本体部161は、抜止具16の存在を強く認識させ、例えば棚板11が透明な場合、柱12に支持される棚板11の角部又は辺部を意匠的に特徴的なものにすることができる(
図2及び
図11の比較対照)。
【0032】
連結手段は、ネジ以外も利用される。例えば
図12に見られるように、別例3の棚における棚板支持構造は、棚板11から抜止具13の本体部131まで貫通するボルト17にナット171を螺着する連結手段を用いている。抜止具13の本体部131から突出するボルト17の先端やナット171は、棚板11の下方に位置するため、邪魔にならない。しかし、ボルト17の頭が棚板11の上面に突出すると邪魔になることから、別例3の棚板11は、ボルト17の頭を収めるボルト埋込穴112を設けている。これにより、ボルト17の頭が邪魔になることなく、棚板11の上面を広く利用できる。
【0033】
棚板11に何ら加工を施さない場合、
図13に見られるように、棚板11の辺部に達する円弧状の本体部181を有する抜止具18を用い、棚板11及び本体部181を一体にクリップ19で挟み込む連結手段を用いる別例4の棚における棚板支持構造が利用される。抜止具18は、円弧状とした本体部181以外、鍵部182及び接続部183の構造は本例の抜止具13と同じで、本例の第1開口121及び第2開口123を設けた同じ柱12に利用できる。別例4の棚における棚板支持構造は、棚板11及び本体部181を一体に側面視コ字状のクリップ19で挟むだけなので、棚板11及び本体部181いずれにもネジを挿通させる孔等の加工が不要な利点がある。
【0034】
ネジやボルト及びナットを用いた連結手段は、物理的に棚板11と抜止具13(本例の場合)とが一体化され、抜止具13に対して棚板11が位置固定されている。これに対して、クリップ19を用いた連結手段は、鍵部182を第2開口脇125に掛合させた抜止具18に棚板11が位置固定されていないため、クリップ19の外れることが懸念される。しかし、実際の棚板11は、四隅の柱12に角部を支持されており(
図1参照)、大きく動かすことができず、クリップ19の外れる虞はない。こうして、クリップ19を連結手段として用いた棚板支持構造でも、棚板11は柱12に対して安定して支持される。
【0035】
本発明の棚板支持構造は、柱の上端に支持される棚板を天板とすることにより、テーブルや机にも応用される。別例5のテーブル2は、
図14にみられるように、四隅に配置した柱22の上端に、天板21を支持させた構成である。別例5のテーブル2は、天板21の直下に、四隅の柱22を結ぶ平面視略X字状の連結フレーム24を、本発明の棚板支持構造を利用して柱22に支持させている。柱22は、上下方向に離れた天板21及び連結フレーム24とそれぞれ連結することにより、直立姿勢を安定させ、テーブル2の設置安定性を確保している。
【0036】
別例5のテーブル2は、
図15及び
図16に見られるように、断面方形の中空パイプである金属製の柱22に、透明な強化ガラス製又は強化樹脂製の天板21と、金属板である接続フレーム24とをそれぞれ支持させている。また、天板21の角部を差し込む柱22の第1開口221は、柱22の開放された上端面に連通しており、天板21は柱22の上端に載せた格好で組み付けられ、隙間を角部キャップ226で塞いだだけで、柱22の内部が覗けるようになっている。これから、天板21と一体化される抜止具23は、天板21の角部を通して上方から視認されるのに対し、接続フレーム24と一体化される抜止具23は、接続フレーム24の角部を通して抜止具23が見えなくなっている。
【0037】
天板21及び接続フレーム24は、同じ抜止具23を用いて同様の棚板支持構造を構成することから、以下では天板21を挙げて別例5の棚板支持構造を説明する。天板21は、一定の厚みで横長な平面視長方形で、棚板支持構造を構成する角部に、皿ネジ134の頭を埋め込むザグリ加工を施したネジ貫通孔211を設けている。ネジ貫通孔211は、辺部を第1開口121の側縁に当接させて天板21の角部を第1空間222に収納させた状態で、鍵部233を第2開口脇225に掛合させた抜止具23の本体部231の雌ネジ234に連通する位置に設けている。別例5の天板21は、柱22の第1空間222に収納させる角部(
図16中、天板21のハッチング部位)を丸く加工している。
【0038】
柱22は、天板21の角部を差し込む第1開口221を上段に、抜止具23の接続部233と同幅である第2開口123を下段にして、第1開口121及び第2開口123を上下方向に連通状態で設けている。別例5の第1開口221は、開放された柱22の上端面に連通通しており、天板21は上方から降ろして角部を第1空間222に収納させることもできる。また、別例5の第1開口221及び第2開口223は、いずれも左右中心を揃え、左右対称に設けられている。これにより、天板21の下面に下方から当てがわれる抜止具23は、左右均等に天板21を安定に支持できる。
【0039】
第1開口221は、柱22の隣り合う側面を合わせた長さで横断する横と、天板21の厚みに等しい厚みの高さとに囲まれた正面視長方形の開口である。第1開口221の下方で、第2開口223を挟む柱22の周壁が、抜止具23の鍵部232が掛合する左右一対の第2開口脇225となる。第2開口223は、柱22の隣り合う側面の半分の長さで横断する横と、抜止具23の厚に等しい厚みの正面視長方形の開口であり、第1開口221とは横の長さの範囲で連通している。第1空間222及び第2空間224は、第1開口221又は第2開口223に連続する柱22の内部空間が相当し、上下方向に連通している。
【0040】
別例5の抜止具23は、柱22の側面に倣って折れ曲がった平面視くの字状の本体部231と、柱22の側面内側に当接する辺部と柱22の側面内側に交差する辺部とに囲まれた平面視変形七角形の鍵部232とを、柱22の板厚の平面視くの字状で、柱22の板厚相当の隙間を左右に有し、本体部131及び鍵部132に対して括れた接続部232により繋いで構成される平坦な板金部材である。本体部231は、皿ネジ14が捻じ込まれる雌ネジ234を左右一対に設けている。鍵部232は、柱22の側面内側に当接する前縁を有している。また、別例5の抜止具23は、鍵部232の内側をくり抜いている。
【0041】
天板21及び接続フレーム24は、下段に位置する接続フレーム24を先行して組みつけるものの、それぞれの組み付け手順が本例と同じである。例えば天板21は、先行して抜止具23の鍵部232を第1開口221から差し込み、接続部233を第2開口223に嵌め込み、鍵部232を第2開口脇225に掛合させてから、天板21の角部を第1開口221から差し込んで第1空間222に収納させ、皿ネジ14をネジ貫通孔211から挿入して天板21の雌ネジ234に捻じ込み、棚板支持構造を構成する。説明を省略するが、接続フレーム24の棚板支持構造も同様に組みつける。
【0042】
別例5のテーブル2は、柱22の開放された上端面に第1開口221が連通していることから、天板21の角部と柱22の側面内側との隙間を埋める角部キャップ226を装着して、組み付けを完了する。角部キャップ226は、天板21の角部と柱22の側面内側との隙間を埋めるだけで、天板21を強固に柱22と一体化するものではないが、天板21を柱22の直上まで広く連続する平坦面として利用できるようにする。柱22の直上まで広く連続する平坦面が不要な場合、天板21を差し込む第1開口221は、本例のように、柱22の上端面に連通させることなく、側面に設けるとよい。
【符号の説明】
【0043】
1 棚
11 棚板
111 ネジ貫通孔
112 ボルト埋込穴
12 柱
121 第1開口
122 第1空間
123 第2開口
124 第2空間
125 第2開口脇
13 抜止具
131 本体部
132 鍵部
133 接続部
134 雌ネジ
14 皿ネジ
15 丸ネジ
16 大型の抜止具
161 本体部
162 鍵部
163 接続部
17 ボルト
171 ナット
18 幅広の抜止具
181 本体部
182 鍵部
183 接続部
19 クリップ
2 テーブル
21 天板
211 ネジ貫通孔
22 柱
221 第1開口
222 第1空間
223 第2開口
224 第2空間
225 第2開口脇
226 角部キャップ
23 抜止具
231 本体部
232 鍵部
233 接続部
234 雌ネジ
24 接続フレーム
D1 第1開口の厚み
W1 第1開口の幅
D2 第2開口の厚み
W2 第2開口の幅
Dsb 棚板の厚み
Dfs 抜止具の厚み
Wrk 鍵部の幅