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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】電気保護装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/00 20060101AFI20240531BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20240531BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240531BHJP
   G01B 7/14 20060101ALI20240531BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
G08B21/00 U
B66F9/24 Y
E02F9/24 H
G01B7/14
G08B21/24
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2020545399
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 AU2018051218
(87)【国際公開番号】W WO2019095008
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】2017904669
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520168929
【氏名又は名称】プロテクティブ イノベーションズ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】ローズウォーン,カール ロバート
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】丸山 高政
【審判官】上田 翔太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0033258(US,A1)
【文献】特開平8-165090(JP,A)
【文献】特開2000-113349(JP,A)
【文献】特開平11-272901(JP,A)
【文献】特開2007-276947(JP,A)
【文献】特開2003-37550(JP,A)
【文献】特開2003-201090(JP,A)
【文献】特開2006-52547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B
B66F
E02F
G01B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機械用の電気保護装置であって、
電気導体の近くで動作可能な前記機械の一部の動作可能な装備品として構成され、かつ前記導体内の電気から電磁誘導を介して信号を生成するように構成されたセンサと、
前記センサを電気的に絶縁するように構成された信号アイソレータと、
前記信号が所定の閾値に達したときおよび/またはそれを超えたときを示すように構成されたインジケータと、
前記アイソレータと信号で通信するように配置され、かつ前記機械の制御システムと動作可能にインターフェースされたコントローラとを備え、前記コントローラは、前記信号を監視するように、および、
i)前記制御システムによって実行された移動コマンドのログを記録し、
ii)前記信号が所定の閾値に達した場合、前記機械の前記一部が前記信号を前記所定の閾値未満に下げるために単に操作可能であるように前記制御システムを無効にし、
iii)前記信号が前記所定の閾値を超えた場合、前記制御システムを無効にして、最新の移動コマンドを逆に実行して、前記機械の前記一部を前記導体から離れるように自動的に操作し、そして
iv)前記信号が前記所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合、前記インジケータを起動する
ように構成される、電気保護装置。
【請求項2】
前記センサが、前記機械の一部の長さに沿って取り付けるための適切な導波管を備えることによって前記機械の前記一部の動作可能な装備品として構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記導波管が前記機械の前記一部を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記センサが、45Hzから65Hzの周波数範囲における電磁誘導に基づいて前記信号を生成し、他の周波数範囲における電磁誘導干渉を最小限にするフィルタリング回路を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記信号アイソレータが、前記コントローラから前記センサを電気的に絶縁するための光アイソレータまたは光ダイオードを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記インジケータが、警報状態の視覚的指示を提供するための視覚的インジケータを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記インジケータが、警報状態の可聴指示を提供するための音響インジケータを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記インジケータが、警報状態の段階的な指示を提供するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記警報状態が、注意状態から警告状態および限界状態まで段階付けられ、各状態は、前記所定の閾値に対する前記信号の関係性によって決定される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラが、前記信号が前記所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合に、通信ネットワークを介して警報信号を送信するように動作可能に構成されたネットワークインターフェースを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記インジケータが、前記信号が前記所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合に警報信号を送信するための適切な送信機を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラが、前記所定の閾値を構成するようにプログラム可能である、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置の動作状態に関する遠隔指示を提供するように構成された無線状態モニタを含み、かつ/またはそれと通信するように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記状態モニタが、前記コントローラとインターフェースして、前記機械の前記一部の遠隔操作を可能にするように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
電気導体の近くで動作可能な一部を有する移動機械であって、
電気導体の近くで動作可能な前記機械の一部の動作可能な装備品として構成され、かつ前記導体内の電気から電磁誘導を介して信号を生成するように構成されたセンサと、
前記センサを電気的に絶縁するように構成された信号アイソレータと、
前記信号が所定の閾値に達したときおよび/またはそれを超えたときを示すように構成されたインジケータと、
前記アイソレータと信号で通信するように配置され、かつ前記機械の制御システムと動作可能にインターフェースされたコントローラとを備え、前記コントローラは、前記信号を監視するように、および、
i)前記制御システムによって実行された移動コマンドのログを記録し、
ii)前記信号が所定の閾値に達した場合、前記機械の前記一部が前記信号を前記所定の閾値未満に下げるために単に操作可能であるように前記制御システムを無効にし、
iii)前記信号が前記所定の閾値を超えた場合、前記制御システムを無効にして、最新の移動コマンドを逆に実行して、前記機械の前記一部を前記導体から離れるように自動的に操作し、そして
iv)前記信号が前記所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合、前記インジケータを起動する
ように構成される、移動機械。
【請求項16】
前記導体の近くで動作可能な前記一部が、地面係合ツール、高所作業プラットフォーム、およびブームからなる群から選択される、請求項15に記載の移動機械。
【請求項17】
前記機械の前記一部が導波管を含む、請求項15または16に記載の移動機械。
【請求項18】
前記センサが、45Hzから65Hzの周波数範囲における電磁誘導に基づいて前記信号を生成し、他の周波数範囲における電磁誘導干渉を最小限に抑えるためのフィルタリング回路を含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の移動機械。
【請求項19】
前記信号アイソレータが、前記センサを前記コントローラから電気的に絶縁するための光アイソレータまたは光ダイオードを含む、請求項15~18のいずれか一項に記載の移動機械。
【請求項20】
前記インジケータが、警報状態の視覚的指示を提供するための視覚的インジケータを含む、請求項15~19のいずれか一項に記載の移動機械。
【請求項21】
前記インジケータが、警報状態の可聴指示を提供するための音響インジケータを含む、請求項15~20のいずれか一項に記載の移動機械。
【請求項22】
前記インジケータが、警報状態の段階的な指示を提供するように構成される、請求項15~21のいずれか一項に記載の移動機械。
【請求項23】
前記警報状態が、注意状態から警告状態および限界状態まで段階付けされ、各状態は、前記所定の閾値に対する前記信号の関係性によって決定される、請求項22に記載の移動機械。
【請求項24】
前記コントローラが、前記信号が前記所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合に通信ネットワークを介して警報信号を送信するように動作可能に構成されたネットワークインターフェースを備える、請求項15~23のいずれか一項に記載の移動機械。
【請求項25】
前記インジケータが、前記信号が所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合に警報信号を送信するための適切な送信機を備える、請求項15~24のいずれか一項に記載の移動機械。
【請求項26】
前記コントローラが、前記所定の閾値を構成するようにプログラム可能である、請求項15~25のいずれか一項に記載の移動機械。
【請求項27】
前記コントローラが、前記移動機械の動作状態に関する遠隔指示を提供するように構成された無線状態モニタを含み、かつ/またはそれと通信するように構成されている、請求項15~26のいずれか一項に記載の移動機械。
【請求項28】
前記状態モニタが、前記コントローラとインターフェースして、前記機械の前記一部の遠隔操作を可能にするように構成されている、請求項27に記載の移動機械。
【請求項29】
移動機械を操作するための方法であって、
電気導体の近くで動作可能な前記機械の一部の動作可能な装備品として構成されたセンサを介して信号を生成するステップであって、前記信号は、前記導体内の電気から電磁誘導を介して生成されるステップと、
前記機械の制御システムと動作可能にインターフェースされたコントローラを介して、
i)前記信号を監視し、かつ前記制御システムによって実行された移動コマンドのログを記録するステップと、
ii)前記信号が所定の閾値に達した場合、前記機械の前記一部が前記信号を前記所定の閾値未満に下げるために単に操作可能であるように前記制御システムを無効にするステップと、
iii)前記信号が前記所定の閾値を超えた場合、前記制御システムを無効にし、最新の移動コマンドを逆に実行して、前記機械の前記一部を前記導体から離すように自動的に操作するステップと
を含む方法。
【請求項30】
前記コントローラを介して、前記信号が所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えたときを示すように構成されたインジケータを起動するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記信号が前記所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合、前記コントローラを介して、通信ネットワークを介して警報信号を送信するステップを含む、請求項29または30に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動機械の電気保護装置およびそのような電気保護装置を含む関連する移動機械、ならびに移動機械の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本背景技術の以下の考察は、もっぱら本発明の理解を容易にすることを意図している。本考察は、言及した材料が本出願の優先日時点で共通の一般知識の一部である、または一部であったという同意でも承認でもない。
【0003】
電気導体の近くで動作する移動機械を保護する必要性は、電気工学の分野で知られている。移動機械は特に問題があり、いわゆる「非注意性盲目」が存在する可能性があり、機械のオペレータは特定の作業タスクに集中し、周囲で起こっていることに一時的に「盲目」になる。架空送電線に接触することは、移動機械に関連する死者の最大の原因の1つである。
【0004】
剥き出しの架空送電線導体に機械が接触すると、そのフレームは、しばしば数百ボルトから100,000ボルトを超える範囲の、ほぼ対地電圧まで通電される。このような状況下では、様々なシナリオが起こり、怪我をする可能性がある。1つのシナリオでは、吊り荷を誘導する、または別の方法で機械と地面の両方に直接接触する作業員は、すぐに電流の経路になる。別のシナリオでは、機器のオペレータが、送電線との接触に気づいておらず、または差し迫った危険にさらされていることを自覚して、機器から降りることを試みると、同時に機器と大地との間の高電圧を橋渡しする可能性がある。
【0005】
この理由により、機械と電気導体との間の偶発的な接触を試み、防止するためのいくつかの従来技術の解決策が存在する。例えば、米国特許第6,170,607号明細書には、空中作業台の作業員が電気的危険にさらされたときに警報信号を発する空中装置用の警告システムが記載されている。空中装置は、上端で作業台を支持する絶縁ブームを有する。静電荷が作業台近くの全ての導電性構成要素に導入される。静電荷は作業員に無害であり、通電されている電線または接地された物体と接触すると消散する。次に、電荷がないことは、警報信号を発する警告装置によって感知される。しかしながら、従来技術の解決策のほとんどと同様に、このシステムは望ましくない電気的接触の後に警報を発し、これは、導体との接触を防止し怪我または死亡から保護する働きをしない。
【0006】
同様に、米国特許出願公開第2013/0033258号明細書は、クレーンで使用するための、複数の電界センサおよび監視システムベースユニットを有する電界監視システムを開示している。センサはクレーンブームの長さに沿って取り付け可能であり、システムはブームの近くの電界の存在を検出して、安全な閾値を超えたときにオペレータに警告することができる。システムは、電界を検出しつつあるときにクレーン制御システムを停止することもでき、その後、オペレータはシステムを無視して継続の動きを許容する可能性があり、潜在的に危険なオペレータのミスを許容する。
【0007】
本発明は、これらの欠点を念頭に置いて着想された。
【発明の概要】
【0008】
本明細書における移動機械への言及は、特定の仕事を実行するための建設機械、荷役機械および/または農業機械への言及を含み、その非限定的な例は、掘削機、ローダー、ブルドーザ、バックホー、ダンプトラック、クレーン、ドリル、コンクリートポンプ、フォークリフト、高所作業プラットフォーム、その他を含むことを当業者は理解されたい。特に、本明細書で言及する移動機械には、架空送電線および地下電気ケーブルなどの電力分配システムおよび/または電力網システムで一般的に使用される電気導体の近くで動作および/またはそれと接触し得る構成部品を有する機械が含まれる。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、移動機械用の電気保護装置が提供され、前記装置は、
電気導体の近くで動作可能な機械の一部の動作可能な装備品として構成され、かつ導体内の電気から電磁誘導を介して信号を生成するように構成されたセンサと、
センサを電気的に絶縁するように構成された信号アイソレータと、
信号が所定の閾値に達したときおよび/またはそれを超えたときを示すように構成されたインジケータと、
アイソレータと信号で通信するように配置され、かつ機械の制御システムと動作可能にインターフェースされたコントローラとを備え、コントローラは、信号を監視するように、および、
i)制御システムによって実行された移動コマンドのログを記録し、
ii)信号が所定の閾値に達した場合、機械の前記一部が信号を所定の閾値未満に下げるために単に操作可能であるように制御システムを無効にし、
iii)信号が所定の閾値を超えた場合、制御システムを無効にして、最新の移動コマンドを逆に実行して、機械の前記一部を導体から離れるように自動的に操作し、そして
iv)信号が所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合、インジケータを起動する
ように構成される。
【0010】
当業者は、最新の移動コマンドが通常、所定の閾値を超えることにつながる可能性がある、機械の前記一部を電気導体の近くに置いた移動を示していることを理解するはずである。したがって、そのような記録された移動を自動的に逆に実行することは、一般に、機械の前記一部を前記導体から離れるように安全に操作する。
【0011】
一例では、センサは、機械の一部の長さに沿って取り付けるための適切な導波管を備えることによって機械の前記一部の動作可能な装備品として構成される。
【0012】
さらなる例では、導波管は機械の前記一部を含む。
【0013】
典型的には、センサは、45Hzから65Hzの周波数範囲における電磁誘導に基づいて信号を生成し、他の周波数範囲における電磁誘導干渉を最小限にするフィルタリング回路を含む。
【0014】
典型的には、信号アイソレータは、コントローラからセンサを電気的に絶縁するための光アイソレータまたは光ダイオードを含む。
【0015】
典型的には、インジケータは、警報状態の視覚的指示を提供するための視覚的インジケータ、例えば警告灯を含む。
【0016】
典型的には、インジケータは、警報状態の可聴指示を提供するための音響インジケータ、すなわち、音を発するための音響エミッタを含む。
【0017】
通常、インジケータは、警報状態の段階的な指示を提供するように構成される。
【0018】
したがって、警報状態は、注意状態から警告状態および限界状態まで段階付けられてもよく、各状態は、所定の閾値に対する信号の関係性によって決定される。
【0019】
典型的には、コントローラは、信号が所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合に、通信ネットワークを介して警報信号を送信するように動作可能に構成されたネットワークインターフェースを備える。
【0020】
したがって、一実施形態では、インジケータは、信号が所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合に警報信号を送信するための適切な送信機を備えてもよい。
【0021】
典型的には、コントローラは、所定の閾値を構成するようにプログラム可能である。
【0022】
一例では、装置は、装置の動作状態に関する指示を提供するように構成された無線状態モニタを含み、かつ/またはそれと通信するように構成されている。
【0023】
一例では、状態モニタは、コントローラとインターフェースして、機械の前記一部の遠隔操作を可能にするように構成される。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、電気導体の近くで動作可能な一部を有する移動機械が提供され、前記機械は、
電気導体の近くで動作可能な機械の一部の動作可能な装備品として構成され、かつ導体内の電気から電磁誘導を介して信号を生成するように構成されたセンサと、
センサを電気的に絶縁するように構成された信号アイソレータと、
信号が所定の閾値に達したときおよび/またはそれを超えたときを示すように構成されたインジケータと、
アイソレータと信号で通信するように配置され、かつ機械の制御システムと動作可能にインターフェースされたコントローラとを備え、コントローラは、信号を監視するように、および、
i)制御システムによって実行された移動コマンドのログを記録し、
ii)信号が所定の閾値に達した場合、機械の前記一部が信号を所定の閾値未満に下げるために単に操作可能であるように制御システムを無効にし、
iii)信号が所定の閾値を超えた場合、制御システムを無効にして、最新の移動コマンドを逆に実行して、機械の前記一部を導体から離れるように自動的に操作し、そして
iv)信号が所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合、インジケータを起動する
ように構成される。
【0025】
一例では、導体の近くで動作可能な前記一部は、地面係合ツール、高所作業プラットフォーム、およびブームからなる群から選択される。
【0026】
さらなる例では、導波管は機械の前記一部を含む。
【0027】
典型的には、センサは、45Hzから65Hzの周波数範囲における電磁誘導に基づいて信号を生成し、他の周波数範囲における電磁誘導干渉を最小限に抑えるためのフィルタリング回路を含む。
【0028】
通常、信号アイソレータは、センサをコントローラから電気的に絶縁するための光アイソレータまたは光ダイオードを含む。
【0029】
通常、インジケータは、警報状態の視覚的指示を提供するための視覚的インジケータを含む。
【0030】
典型的には、インジケータは、警報状態の可聴指示を提供するための音響インジケータ、すなわち、音を発するための音響エミッタを含む。
【0031】
通常、インジケータは、警報状態の段階的な指示を提供するように構成される。
【0032】
したがって、警報状態は、注意状態から警告状態および限界状態まで段階付けされてもよく、各状態は、所定の閾値に対する信号の関係性によって決定される。
【0033】
典型的には、コントローラは、信号が所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合に通信ネットワークを介して警報信号を送信するように動作可能に構成されたネットワークインターフェースを備える。
【0034】
したがって、一実施形態では、インジケータは、信号が所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合に警報信号を送信するための適切な送信機を備えることができる。
【0035】
典型的には、コントローラは、所定の閾値を構成するようにプログラム可能である。
【0036】
一例では、コントローラは、前記移動機械の動作状態に関する指示を提供するように構成された無線状態モニタを含み、かつ/またはそれと通信するように構成されている。
【0037】
一例では、状態モニタは、コントローラとインターフェースして、機械の前記一部の遠隔操作を可能にするように構成されている。
【0038】
本発明の第3の態様によれば、移動機械を操作するための方法が提供され、前記方法は、
電気導体の近くで動作可能な機械の一部の動作可能な装備品として構成されたセンサを介して信号を生成するステップであって、信号は、導体内の電気から電磁誘導を介して生成されるステップと、
機械の制御システムと動作可能にインターフェースされたコントローラを介して、
i)信号を監視し、かつ制御システムによって実行された移動コマンドのログを記録するステップと、
ii)信号が所定の閾値に達した場合、機械の前記一部が信号を所定の閾値未満に下げるために単に操作可能であるように制御システムを無効にするステップと、
iii)信号が所定の閾値を超えた場合、制御システムを無効にし、最新の移動コマンドを逆に実行して、機械の前記一部を導体から離すように自動的に操作するステップと
を含む。
【0039】
典型的には、方法は、コントローラを介して、信号が所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えたときを示すように構成されたインジケータを起動するステップを含む。
【0040】
一例では、方法は、信号が所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合、コントローラを介して、通信ネットワークを介して警報信号を送信するステップを含む。
【0041】
図面の簡単な説明は添付の図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の一態様による電気保護装置の一実施形態の概略斜視図である。
図2】電気保護装置のさらなる実施形態の概略側面図である。
図3図1および2の電気保護装置の概略的な概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明のさらなる特徴は、そのいくつかの非限定的な実施形態の以下の記載の中でより完全に記載される。この記載はもっぱら本発明を当業者に例示するために含まれている。これは、上記の本発明の広範な要約、開示または記載に対する制限として理解されるべきではない。1つまたは複数の例示的な実施形態の特徴を示すために組み込まれた図面では、全体を通して同様の部品を識別するために同様の参照番号が使用されている。
【0044】
ここで添付図面を参照すると、移動機械8用の電気保護装置10の例が示されている。上述のように、移動機械へのそのような言及は、特定の仕事を実行するための建設機械、荷役機械、および/または農業機械への言及を含む。図1では、装置10は掘削機に組み込まれ、図2では、装置10は、高所作業車またはバケットトラックとも呼ばれる移動式高所作業プラットフォームに組み込まれる。
【0045】
本発明の主な目的は、電気導体14の近くで動作する移動機械8の保護である。例示の実施形態では、そのような電気導体14は、図1に示す埋設電気ケーブル14、または図2に示す架空送電線14を含むことができる。
【0046】
一般に、および図2を参照すると、装置10は、通常、センサ16、信号アイソレータ18、コントローラ22、および適切なインジケータ20を備える。これらの構成要素の特徴は、以下でより詳細に記載される。
【0047】
センサ16は、典型的には、電気導体14の近くで動作可能な機械8の一部12に動作可能に適合するように構成される。図1の例では、この一部12は、掘削機バケットまたは同様の地面係合ツールを含み得る。図2の例では、一部12は、高所作業プラットフォームのバケットを含み得る。当業者はさらに、ブームアーム、運転室、またはさらには機械8全体など、機械8の他の部分が同じくセンサ16を含み、または組み込むことができることをさらに理解するであろう。
【0048】
したがって、一例では、センサ16は、一部12の長さに沿って取り付けるための適切な導波管26を備えることによって、機械8の一部12に動作可能に取り付けるように構成され、例えば、ブームアーム全体が、適切な導波管またはアンテナ26、あるいはそれに類するものを含み得る。さらに別の例では、導波管26は、機械8の実際の一部12を含むことができ、そのような一部は、例えば、適切に導電性である。様々な構成が可能であり、本発明の範囲内にある。
【0049】
センサ16は、図1および2の矢印で示されるように、導体14中の電気から電磁誘導を介して信号を動作可能に生成するように一般に構成される。そのような電磁誘導原理は、電気工学の分野でよく知られており、ここでは詳しく記載しない。
【0050】
典型的な例では、装置10はフィルタリング回路28も含む(例示的な実施形態ではコントローラ22の一部として示されるが、そのようなフィルタリング回路28は、例えば、センサ16または信号アイソレータ18に組み込まれてもよい)。このフィルタリング回路28は、センサ16が45Hzから65Hzの周波数範囲の電磁誘導に基づいて信号を生成して、他の周波数範囲の電磁誘導干渉を最小限に抑えることができるように構成されている。ほとんどの大規模発電スキームは、50Hzまたは60Hzのいずれかの周波数で動作し、フィルタリング回路28は、これらの周波数の外側の電磁信号をフィルタリングして干渉を最小限に抑えるように構成され得る。このようなフィルタリング回路技術は、スタンドアロン型電界センサなど、他の用途向けの感知回路で利用することもできる。このようにして、5%の許容範囲を持つインテリジェントな周波数固有の50hzおよび60hzモニタリングを実現して、誤ったトリガリングを排除することができる。
【0051】
装置10はまた、センサ16を電気的に絶縁するように一般に構成される信号アイソレータ18も含む。通常、信号アイソレータ18は、コントローラ22からセンサ16を電気的に絶縁するための光アイソレータ18または光ダイオードを含む。当業者は、そのような光アイソレータが、センサ16と装置10の他の構成要素との間に直接の電気的接続がない場合に高レベルの電子的分離を保証することを理解するであろう。
【0052】
装置10は、信号が所定の閾値、すなわち警報状態に達したときおよび/またはそれを超えたときを示すように構成されたインジケータ20をさらに含む。通常、インジケータ20は、警報状態の視覚的指示を提供するための視覚的インジケータ20、例えば警告灯またはそれに類するものを含む。同様に、インジケータ20はまた、警報状態の可聴指示を提供するための音響インジケータ20、すなわち、音を発するための音響エミッタを備えてもよい。
【0053】
特定の例では、インジケータ20は、警報状態の段階的な指示を提供するように構成される。例えば、警報状態は、注意状態から警告状態および限界状態まで段階的に分けることができ、各状態は、所定の閾値に対する信号の関係性によって決定される。そのような状態は、視覚的インジケータ20を介して異なる色で、例えば、緑色光、橙色光、赤色光で示されてもよい。同様に、そのような状態は、可聴警報を介して異なるトーンで指示されてもよく、例えば間欠的な警報音と、それに続く高音の警報等で指示されてもよい。一実施形態では、インジケータ20はまた、信号が所定の閾値に達したおよび/またはそれを超えた場合に警報信号を送信するための適切な送信機を備えてもよいことを理解されたい。
【0054】
装置10はまた、アイソレータ18と信号通信するように一般に配置され、機械8の既存の制御システム24と動作可能にインターフェースされるコントローラ22を含む。このような制御システム24は、従来技術でよく知られており、通常、機械8を操作するためのマイクロコントローラまたはPLCベースの油圧および/または空気圧制御システムを備える。当業者によって容易に理解されるように、コントローラ22は、通常、適切な命令セットで論理演算および算術演算を実行するように構成された任意の適切なプロセッサを備える。
【0055】
重要なことに、コントローラ22は、信号を監視し、i)通常、適切なユーザ入力を受信すると、制御システム24によって実行された移動コマンドのログを記録し、ii)信号が所定の閾値に達した場合、機械8の一部12が信号を所定の閾値未満に下げるために単に操作可能であるように制御システム24を無効にし、iii)信号が所定の閾値を超えた場合、制御システム24を無効にし、最新の移動コマンドを逆に実行し、機械8の一部12を導体14から離れるように自動的に操作するように構成される。さらに、信号が所定の閾値に到達したおよび/またはそれを超えた場合、コントローラ22は一般にインジケータ20を起動する。
【0056】
例えば、このようにして、所定の閾値は、所定の閾値に到達したときの「立入禁止ゾーン検出」閾値、および、所定の閾値を超過したときの「潜在的な電気接触検出」閾値など、2つの異なる閾値に対して構成することができる。特に、コントローラ22は、典型的には、信号が所定の閾値に到達/超過するそれぞれのいわゆる「検出イベント」の詳細を記録またはログし、1か月間のそのようなイベント、検出イベントの日時、検出イベント時にアクティブだった機械8の動き、ならびにアクティブな検出時間中に起動された動きを記憶するように構成される。
【0057】
コントローラ22は、移動コマンドをログするように構成され、危険信号がセンサ16によって感知されたときに制御システム24を無効にできることが特に有利であると考えられている。例えば、機械8の一部12が電気導体14の特定の距離内に来ると、コントローラ22は、一部12を電気導体14から遠ざける、すなわち、信号が所定の閾値に対して低減する制御システム24の動き等をもっぱら許容する。
【0058】
同様に、例えば前記一部が何らかの理由で電気導体14におそらく触れていることを示唆する所定の閾値を信号が超えると、コントローラ22は、制御システム24を自動的に無効にし、一部12を電気導体14から遠ざける。論理的には、移動のログは、通常の状況下で一部12を電気導体14から離れた安全な位置に導く検証済みで安全な移動経路を提供すると見なされる。少なくとも、移動のログをこのように逆に辿ることは、感電によって能力を奪われている可能性がある高所作業プラットフォーム上のオペレータを、緊急時応答要員がより簡単に到達できる場所に連れて行くはずである、すなわちオペレータにホーム位置に戻る機能をもたらすはずである。
【0059】
例えば、Hiab(商標)は、移動機械コントローラおよび制御システムのよく知られた製造業者である。以下のI/O構成でHiab(商標)コントローラを使用する実施形態において:
【表1】
【0060】
動作は以下のように構成されてもよい:通常の動作において、出力1が活性化される。入力5での検出が登録されると、その時の対応するアクティブな入力方向(順方向または逆方向)がログされ、入力5での検出が活性化されなくなるまで、問題のある入力と呼ばれる。
【0061】
検出時間中、問題のある入力が係合されるときはいつでも、eストップ制御は不活性化され、機械の油圧動作を停止する。同様に、検出時間中に問題のある入力と相補的な動き以外のいずれかの他の動きが係合されると、eストップ制御出力が係合される。検出時間中、入力がアクティブ化されていない場合、eストップ制御が活性化され、機械の油圧の動作を可能にする。問題のある入力に対する相補的な制御を操作しても、Eストップ出力は操作されないため、この動きの方向のみを(危険から離れるように)操作することが可能になる。入力5が不活性化されると、システムは通常の動作に戻る。
【0062】
一実施形態では、コントローラ22はまた、信号が所定の閾値に到達したおよび/またはそれを超えた場合に通信ネットワークを介して警報信号を送信するように動作可能に構成されたネットワークインターフェース30を備える。例えば、無線送信機、GSMまたは同様の送信機等を使用して、信号が所定の閾値に到達したおよび/またはそれを超えたこと、すなわち救援の要請を第三者に警告することができる。別の例は、CANバスインターフェースモジュール等を特徴とし得る。したがって、一実施形態では、インジケータ20は、信号が所定の閾値に到達したおよび/またはそれを超えた場合に警報信号を送信するための適切な送信機またはネットワークインターフェース30を備えることができる。
【0063】
当業者はまた、コントローラ22が通常、所定の閾値を構成するようにプログラム可能である、すなわち、要件、地域の法律または環境条件、その他に従って所定の閾値を設定するように装置10を較正することを理解するであろう。
【0064】
一例では、センサ16は、カスタムの低出力900MHzおよび2.4GHz範囲で無線で動作する適切なセンサモジュールまたは複数のそのようなモジュールを含み、各モジュールは、送信ライセンスも操作の許可も一般に不要である低出力40m範囲とともに、プログラミングレベルで周波数選択可能である。センサ16を構成する各センサモジュールは、通常、アラート機能、センサ障害アラート、センサ充電障害アラート、センサワイヤレスリンク障害アラート、センサバッテリ低電圧アラートを備えたセンサステータス監視、5V 160maソーラーパネルなどの車載ソーラー充電システムを、適切な電気化学セル、例えば並列接続されたデュアルパナソニック(商標)リチウムイオン18650 3500mahセルとともに、ならびにインテリジェントなバッテリ監視および充電回路を含む。例えば、センサ16は、動きで起動されてもよい、すなわち、センサ16は、電力を節約するために移動機械8がプログラム可能な時間、移動を停止するとオフに切り替わるかまたは低電力状態に入り、機械8が再び移動するとすぐにオンに戻る。
【0065】
同様に、コントローラ22は、出力モジュールを備えた12ch 24モーション制御ボードを、ソレノイドを制御するための供給を遮断するための全ての出力に使用されるソリッドステートリレー、ならびに12ボルトと24ボルトの車載入力電圧調整とともに、外部の可聴および視覚アラート用の出力、高輝度LEDの2ステージの緑と赤のステータスライト、および可聴90dbアラートサイレンを備える。
【0066】
一例では、コントローラ22は、前記移動機械8および/またはコントローラ22の動作状態に関する指示を提供するように構成された無線ステータスモニタ32を含み、および/またはそれと通信するように構成される。一例では、ステータスモニタ32は、コントローラ22とインターフェースして機械8の一部12の遠隔操作を可能にするように構成される。一例では、リモートステータスモニタ32は通常、タブレットコンピュータ等など、装置10の残りの部分として同じ無線通信プロトコルを利用するポケットサイズの可聴および視覚デバイスである。
【0067】
当業者は、本発明が、上述のように、装置10を含む任意の移動機械8を提供することをさらに理解するであろう。
【0068】
加えて、本発明は、移動機械8を操作するための方法も提供する。この方法は、一般に、一部12への動作可能な取り付けのために構成されるセンサ16およびコントローラ22を介して信号を生成するステップと、i)信号を監視し、制御システム24によって実行された移動コマンドのログを記録するステップと、ii)信号が所定の閾値に達した場合、機械8の一部12が信号を所定の閾値未満に下げるために単に操作可能であるように制御システム24を無効にするステップと、iii)信号が所定の閾値を超えた場合、制御システム24を無効にして、最新の移動コマンドを逆に実行して、機械8の一部12を導体14から離れるように自動的に操作するステップとを含む。
【0069】
典型的には、方法は、コントローラ22を介して、信号が所定の閾値に到達したとき、および/またはそれを超えたときを示すように構成されたインジケータ20を起動するステップを含む。同様に、一例では、方法は、コントローラ22を介して、信号が所定の閾値に到達した場合、および/またはそれを超えた場合に通信ネットワークを介して警報信号を送信するステップを含む。
【0070】
本発明の任意選択の実施形態はまた、本明細書で言及または示された部品、要素および特徴に、個々にまたは集合的に、2つ以上の部品、要素または特徴のいずれかまたは全ての組み合わせで広く含まれるとも言え、ここで本発明が関連する技術において既知の同等物を有する特定の整数が本明細書で言及され、そのような既知の同等物はあたかも個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれると見なされる。例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、および周知の技術は、当業者によって容易に理解されるため、詳細には記載されない。
【0071】
様々な実施形態を記載する文脈において(特に特許請求される主題の文脈において)、「a」、「an」、「前記(said)」、「前記(the)」という用語、および/または類似の指示対象の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方をカバーすると解釈される。「備える」、「有する」、「含む」、および「含有する」という用語は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「を含むがそれに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含む。本明細書における言語は、特許請求されていない主題を、特許請求されている主題の実施に不可欠であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0072】
本発明の「一例」または「例」、または本明細書における同様の例示的な言語(例えば、「など」)への言及は、排他的な意味で作られていないことを理解されたい。特許請求された主題の様々な実質的かつ具体的に実用的で有用な例示的な実施形態が、特許請求された主題を実行するために、文字および/または図を使って本明細書に記載される。
【0073】
したがって、一例は本発明の特定の態様を例示し得るが、他の態様は異なる例で例示される。これらの例は、当業者が本発明を実施する一助となることを意図しており、文脈が他に明確に示さない限り、本発明の全体的な範囲を決して限定することを意図しない。本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態の変形(例えば、修正形態および/または強化形態)は、本出願を読むと当業者に明らかになるかもしれない。本発明者(ら)は、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待し、本発明者(ら)は、本明細書に具体的に記載された以外の方法で特許請求された主題が実施されることを意図する。
【0074】
本明細書に記載された方法のステップ、プロセス、および操作は、実施の順序として具体的に特定されない限り、考察または図示された特定の順序での実施を必ず必要とすると解釈されるべきではない。また、追加または代替のステップを使用できることも理解されたい。
図1
図2
図3