(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】パーティション及びパーティションの組立方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20240531BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
E04B2/74 561H
A47G5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021022432
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】521069548
【氏名又は名称】株式会社天王
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】天王 淳雄
(72)【発明者】
【氏名】上本 寛子
(72)【発明者】
【氏名】込山 宏美
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3206164(JP,U)
【文献】登録実用新案第3227269(JP,U)
【文献】特開2004-159700(JP,A)
【文献】特許第6782471(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3228861(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72- 2/82
A47G 5/00
A47B 96/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間を2つの領域に仕切るパーティションであって、
厚み方向が水平方向に向くとともに下方に開放するスリット部が形成された少なくとも1つの仕切
部と、
該仕切
部を着脱可能に支持する支持体とを備え、
該支持体は、上下に延びる支柱部と、該支柱部から側方に延びる少なくとも1つの延出部とを備え、該延出部に前記スリット部における開放部分の反対側奥端を引っ掛けることにより前記仕切
部を支持するよう構成されていることを特徴とするパーティション。
【請求項2】
請求項1に記載のパーティションにおいて、
前記仕切
部は、複数設けられ、それぞれ外周形状が異なっており、
前記延出部は、前記仕切
部と同数以上設けられていることを特徴とするパーティション。
【請求項3】
請求項2に記載のパーティションにおいて、
前記延出部の上面には、上方に向かって突出する突起部が前記延出部の延出方向において1つ以上設けられ、前記支柱部と前記突起部との間、或いは、前記各突起部の間の寸法は、前記仕切
部の厚みに対応する値に設定されていることを特徴とするパーティション。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のパーティションにおいて、
前記支柱部は、水平方向に所定の間隔をあけて一対設けられ、
前記延出部は、前記両支柱部を橋絡するように延びており、
前記支持体は、前記延出部に前記スリット部を引っ掛ける際、当該スリット部を開放部分から前記延出部に外嵌合させるようになっていることを特徴とするパーティション。
【請求項5】
請求項4に記載のパーティションにおいて、
前記仕切
部は、非透明材で形成され、
前記両支柱部は、当該両支柱部の並設方向に貫通する開口部がそれぞれ形成され、
該各開口部は、前記支持体が前記仕切
部を支持した状態において当該仕切
部のスリット部に対応する位置になっていることを特徴とするパーティション。
【請求項6】
請求項4に記載のパーティションにおいて、
前記延出部の下方には、前記両支柱部を橋絡する橋絡部が更に備えられていることを特徴とするパーティション。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか1つに記載のパーティションにおいて、
前記支持体は、床面に載置可能な円盤状の支持部を更に備え、
一対の前記支柱部は、前記支持部の中央部分から上方に直線状に延びていることを特徴とするパーティション。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のパーティションにおいて、
前記スリット部は、上下方向に直線状に延び、かつ、前記仕切部の下端に開放していることを特徴とするパーティション。
【請求項9】
所定の空間を2つの領域に仕切るパーティションの組立方法であって、
上下に延びる支柱部、及び、該支柱部から側方に延びる少なくとも1つの延出部を備える支持体を前記所定の空間の床面に設置し、その後、
厚み方向が水平方向に向くとともにスリット部が形成された仕切部を、前記スリット部の開放部分が下方に向く姿勢で前記延出部に向けて下方に移動させて前記スリット部の開放部分から前記延出部に外嵌合させ、その後、
前記延出部に前記スリット部における開放部分の反対側奥端を引っ掛けることを特徴とするパーティションの組立方法。
【請求項10】
所定の空間を2つの領域に仕切るパーティションの組立方法であって、
上下に延びる支柱部、及び、該支柱部から側方に延びる少なくとも1つの延出部を備える支持体を前記所定の空間の床面に設置し、その後、
厚み方向が水平方向に向くとともにスリット部が形成された仕切部を、前記スリット部の開放部分が斜め下方を向く姿勢で前記延出部に向けて斜め下方に移動させて前記スリット部の開放部分から前記延出部に外嵌合させ、その後、
前記スリット部が下方に開放する位置となるように前記仕切部を回転させ、その後、
前記仕切部を下方に移動させて、前記延出部に前記スリット部における開放部分の反対側奥端を引っ掛けることを特徴とするパーティションの組立方法。
【請求項11】
所定の空間を2つの領域に仕切るパーティションの組立方法であって、
上下に延びる支柱部、該支柱部から側方に延びる第1延出部、及び、前記第1延出部の下方において前記支柱部から側方に延びる第2延出部を備える支持体を前記所定の空間の床面に設置し、その後、
厚み方向が水平方向に向くとともに第1スリット部が形成された第1仕切部を、前記第1スリット部の開放部分が斜め下方を向く姿勢で前記第2延出部に向けて斜め下方に移動させて前記第1スリット部の開放部分から前記
第2延出部に外嵌合させ、その後、
前記第1スリット部が下方に開放する位置となるように前記第1仕切部を回転させ、その後、
前記第1仕切部を下方に移動させて、前記第2延出部に前記第1スリット部における開放部分の反対側奥端を引っ掛け、その後、
厚み方向が水平方向に向くとともに第2スリット部が形成された第2仕切部を、前記第2スリット部の開放部分が下方に向く姿勢で前記第1延出部に向けて下方に移動させて前記第2スリット部の開放部分から前記第1延出部に外嵌合させ、その後、
前記第1延出部に前記第2スリット部における開放部分の反対側奥端を引っ掛けることを特徴とするパーティションの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、屋内外の所定の空間を2つの領域に仕切るパーティション及びパーティションの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、移設可能なパーティションを用いて屋内外の所定の空間を2つ以上の領域に仕切る場合がある。例えば、特許文献1に開示されているパーティションは、組立分解可能になっていて、矩形板状をなす透明樹脂製の仕切板と、当該仕切板を支持する支持体とを備えている。支持体は、正面視で略T字状をなしており、上下に真っ直ぐに延びる支柱部と、水平方向に直線状に延びるとともにその中央部分が支柱部の上端に固定された支持棒部とを備えている。一方、仕切板の上部には、ボルトを挿通可能な挿通孔が水平方向に所定の間隔をあけて複数形成され、各挿通孔に挿通させたボルトを支持体の支持棒部に螺合連結して仕切板を支持棒部に固定することにより、支持体が仕切板をその板面が水平方向に向く姿勢で支持するようになっていて、これにより、仕切板が所定の空間を2つの領域に仕切るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されたパーティションは、組み立てる際には、各ボルトを仕切板の各挿通孔に挿通させるとともに支持体の支持棒部に1つずつ螺合連結させていく必要がある一方、分解する際には、支持体の支持棒部からボルトを1つずつ取り外していく必要があるので、パーティションを移設する際の組立分解作業が煩雑であるとともに、移設に時間が掛かってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、移設を簡単に、且つ、短時間で行うことが可能なパーティション及びパーティションの組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、支持体に設けた延出部に仕切部を引っ掛けることにより、支持体が仕切部を支持するような構造にしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、所定の空間を2つの領域に仕切るパーティションにおいて、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、厚み方向が水平方向に向くとともに下方に開放するスリット部が形成された少なくとも1つの仕切部と、該仕切部を着脱可能に支持する支持体とを備え、該支持体は、上下に延びる支柱部と、該支柱部から側方に延びる少なくとも1つの延出部とを備え、該延出部に前記スリット部における開放部分の反対側奥端を引っ掛けることにより前記仕切部を支持するよう構成されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記仕切部は、複数設けられ、それぞれ外周形状が異なっており、前記延出部は、前記仕切部と同数以上設けられていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、前記延出部の上面には、上方に向かって突出する突起部が前記延出部の延出方向において1つ以上設けられ、前記支柱部と前記突起部との間、或いは、前記各突起部の間の寸法は、前記仕切部の厚みに対応する値に設定されていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記支柱部は、水平方向に所定の間隔をあけて一対設けられ、前記延出部は、前記両支柱部を橋絡するように延びており、前記支持体は、前記延出部に前記スリット部を引っ掛ける際、当該スリット部を開放部分から前記延出部に外嵌合させるようになっていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第4の発明において、前記仕切部は、非透明材で形成され、前記両支柱部は、当該両支柱部の並設方向に貫通する開口部がそれぞれ形成され、該各開口部は、前記支持体が前記仕切部を支持した状態において当該仕切部のスリット部に対応する位置になっていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明では、第4の発明において、前記延出部の下方には、前記両支柱部を橋絡する橋絡部が更に備えられていることを特徴とする。
【0014】
第7の発明では、第4から第6のいずれか1つの発明において、前記支持体は、床面に載置可能な円盤状の支持部を更に備え、一対の前記支柱部は、前記支持部の中央部分から上方に直線状に延びていることを特徴とする。
【0015】
第8の発明では、第1から第7のいずれか1つの発明において、前記スリット部は、上下方向に直線状に延び、かつ、前記仕切部の下端に開放していることを特徴とする。
【0016】
上記の目的を達成するために、第9の発明では、所定の空間を2つの領域に仕切るパーティションの組立方法であって、上下に延びる支柱部、及び、該支柱部から側方に延びる少なくとも1つの延出部を備える支持体を前記所定の空間の床面に設置し、その後、厚み方向が水平方向に向くとともにスリット部が形成された仕切部を、前記スリット部の開放部分が下方に向く姿勢で前記延出部に向けて下方に移動させて前記スリット部の開放部分から前記延出部に外嵌合させ、その後、前記延出部に前記スリット部における開放部分の反対側奥端を引っ掛けることを特徴とする。
【0017】
上記の目的を達成するために、第10の発明では、所定の空間を2つの領域に仕切るパーティションの組立方法であって、上下に延びる支柱部、及び、該支柱部から側方に延びる少なくとも1つの延出部を備える支持体を前記所定の空間の床面に設置し、その後、厚み方向が水平方向に向くとともにスリット部が形成された仕切部を、前記スリット部の開放部分が斜め下方を向く姿勢で前記延出部に向けて斜め下方に移動させて前記スリット部の開放部分から前記延出部に外嵌合させ、その後、前記スリット部が下方に開放する位置となるように前記仕切部を回転させ、その後、前記仕切部を下方に移動させて、前記延出部に前記スリット部における開放部分の反対側奥端を引っ掛けることを特徴とする。
【0018】
上記の目的を達成するために、第11の発明では、所定の空間を2つの領域に仕切るパーティションの組立方法であって、上下に延びる支柱部、該支柱部から側方に延びる第1延出部、及び、前記第1延出部の下方において前記支柱部から側方に延びる第2延出部を備える支持体を前記所定の空間の床面に設置し、その後、厚み方向が水平方向に向くとともに第1スリット部が形成された第1仕切部を、前記第1スリット部の開放部分が斜め下方を向く姿勢で前記第2延出部に向けて斜め下方に移動させて前記第1スリット部の開放部分から前記第2延出部に外嵌合させ、その後、前記第1スリット部が下方に開放する位置となるように前記第1仕切部を回転させ、その後、前記第1仕切部を下方に移動させて、前記第2延出部に前記第1スリット部における開放部分の反対側奥端を引っ掛け、その後、厚み方向が水平方向に向くとともに第2スリット部が形成された第2仕切部を、前記第2スリット部の開放部分が下方に向く姿勢で前記第1延出部に向けて下方に移動させて前記第2スリット部の開放部分から前記第1延出部に外嵌合させ、その後、前記第1延出部に前記第2スリット部における開放部分の反対側奥端を引っ掛けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明では、使用者は、2つの領域に仕切りたい空間に支持体を設置した後、仕切部を把持するとともに、支持体の延出部に仕切部のスリット部を引っ掛けるだけで支持体と仕切部とが組み立てられて当該仕切部が空間を2つの領域に仕切るようになる。一方、使用者は、仕切部を把持するとともに、仕切部を持ち上げてスリット部を延出部から離間させるだけで支持体と仕切部とを分解して支持体と仕切部とをそれぞれ別々に運搬することができるようになる。このように、組立分解が簡単であり、短時間で組立分解作業を行うことができるようになるので、所望する空間を2つの領域に仕切る際のパーティションの移設を簡単に行うことができる。
【0020】
第2の発明では、延出部が複数設けられているので、支持体に対して外形の異なる各仕切部のスリット部の引っ掛ける位置を多くのパターンにて変更可能になる。したがって、使用者が各仕切部を支持体に対して自分の好みの意匠となる位置に取り付けて楽しむことができる。
【0021】
第3の発明では、延出部において突起部により隔てられた位置に各仕切部のスリット部を引っ掛けることができるようになるので、支持体は各仕切部をその板厚方向において重なるような位置関係で支持可能になる。したがって、パーティションの意匠が奥行きにおいて変化のあるものになり、さらに特徴的な意匠を持つパーティションにすることができる。
【0022】
第4の発明では、パーティションを組み立てた際、各仕切部の板厚方向両側に同形状の支柱部が位置するようになる。したがって、パーティションによって仕切られた各領域から見たパーティションの形状が略同じになるので、仕切った各領域の雰囲気に差を生じさせないようにすることができる。
【0023】
第5の発明では、パーティションを組み立てた際、当該パーティションにより仕切られた各領域が各支柱部の開口部と各仕切部のスリット部とで連通するようになり、当該部分が一方の領域から他方の領域を視認可能な窓が形成されたようになる。したがって、パーティションの意匠をさらに高めることができるだけでなく、パーティションによって仕切られた各領域における閉塞感を緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態1に係るパーティションの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るパーティションの正面図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係るパーティションの平面図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係るパーティションを構成する仕切板の正面図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係るパーティションを構成する支持体の側面図である。
【
図7】1つ目の仕切板を支持体に取り付けている途中の状態を示す
図2相当図である。
【
図8】
図7の後、2つ目の仕切板を支持体に取り付けている途中の状態を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る
図2相当図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係るパーティションを構成する一方の仕切板の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
《発明の実施形態1》
図1乃至
図3は、本発明の実施形態1に係る木製のパーティション1を示す。該パーティション1は、例えば、オフィスや展示会場等の所定の空間を2つの領域に仕切るものであり、板面が水平方向に向く略円盤形状をなす一対の仕切板2と、該両仕切板2を着脱可能に支持する支持体3とを備えている。
【0027】
仕切板2には、
図4に示すように、板面が水平方向に向くとともに、仕切板2の中央部分から下方に直線状に延びて下端に開放するスリット部2aが形成され、該スリット部2aにおける開放部分の反対側奥端には、正面視で半円形状をなす切欠凹部2bが形成されている。
【0028】
支持体3は、
図5に示すように、中心線が上下方向に延び、且つ、床面に載置可能な円盤形状の支持板部4と、該支持板部4の中央部分から上方に直線状に延びる支柱部5とを備え、該支柱部5は、水平方向に所定の間隔をあけて一対設けられている。
【0029】
支柱部5は、正面視で略長方形枠状をなしており、水平方向に互いに所定の間隔をあけるとともに上下方向に平行に延びる一対の垂直棒部5aと、該両垂直棒部5aの上端同士を繋ぐ正面視で下方に開放する略C字状をなす上端部5bと、両垂直棒部5aの下端同士を繋ぐ正面視で上方に開放する略C字状をなす下端部5cとで構成されている。
【0030】
両垂直棒部5a、上端部5b及び下端部5cで囲われた部分には、両支柱部5の並設方向に貫通する開口部5dが形成され、該開口部5dの幅寸法は、スリット部2aの幅寸法より小さく設定されている。
【0031】
また、上端部5bの内周縁部は、仕切板2の切欠凹部2bの内周縁部に対応する形状になっている。
【0032】
両支柱部5における上端寄りの間と上下略中央下寄りの間とには、水平方向に延びて両支柱部5を橋絡する延出部6がそれぞれ設けられている。
【0033】
該延出部6は、
図5及び
図6に示すように、各支柱部5の一方の垂直棒部5a同士を橋絡する第1棒状部6aと、他方の垂直棒部5a同士を橋絡する第2棒状部6bとを有し、第1棒状部6a及び第2棒状部6bの上面における各長手方向中央部には、それぞれ上方に向かって突出する突起部6c,6dが設けられている。
【0034】
一方の支柱部5と各突起部6c,6dとの間、及び、他方の支柱部5と各突起部6c,6dとの間の寸法は、各仕切板2の板厚に対応する値に設定されている。
【0035】
そして、各仕切板2を支持体3に取り付ける際、
図7及び
図8に示すように、各仕切板2のスリット部2aを開放部分から各延出部6にそれぞれ外嵌合させて当該各延出部6にスリット部2aにおける開放部分の反対側奥端を引っ掛けることにより、支持体3が2つの仕切板2を支持するようになっている。
【0036】
具体的には、支持体3は、下側に位置する延出部6の第1棒状部6a及び第2棒状部6bにおける突起部6c,6dを境とした一方の支柱部5側で一方の仕切板2を支持する一方、上側に位置する延出部6の第1棒状部6a及び第2棒状部6bにおける突起部6c,6dを境とした他方の支柱部5側で他方の仕切板2を支持するようになっており、支持体3に支持された2つの仕切板2は、正面視で一部の領域が重なり合うようになっている。
【0037】
また、支持体3が各仕切板2を支持すると、
図2に示すように、各支柱部5の開口部5dが各仕切板2のスリット部2aに対応する位置となるよう構成され、両支柱部5の開口部5dと各仕切板2のスリット部2aとでパーティション1に2つの窓部7が形成されるようになっている。
【0038】
次に、本発明の実施形態1のパーティション1を用いて所定の空間を2つの領域に仕切る手順について詳述する。
【0039】
まず、使用者は、
図7に示すように、2つの領域に仕切る空間の床面に支持体3を設置した後、一方の仕切板2をスリット部2aの開放部分が斜め下方を向く姿勢で把持し、その後、一方の仕切板2を両支柱部5に向かって斜め下方に移動させてそのスリット部2aを開放部分から下方に位置する支柱部5に外嵌合させる。
【0040】
次に、使用者は、
図8に示すように、切欠凹部2bを中心として一方の仕切板2を
図8の紙面上において時計回りに回転させてスリット部2aが下方に開放する位置となるようにした後、下降させて下方の延出部6の第1棒状部6a及び第2棒状部6bにおける突起部6c,6dを境とした一方の支柱部5側にスリット部2aにおける開放部分の反対側奥端を引っ掛ける。すると、支持体3が一方の仕切板2を支持した状態になる。
【0041】
次いで、使用者は、支持体3の上方において他方の仕切板2をスリット部2aの開放部分が下方に向くように把持した後、下方に移動させてそのスリット部2aを開放部分から上方に位置する支柱部5に外嵌合させる。
【0042】
しかる後、使用者は、上方の延出部6の第1棒状部6a及び第2棒状部6bにおける突起部6c,6dを境とした他方の支柱部5側にスリット部2aにおける開放部分の反対側奥端を引っ掛ける。すると、支持体3が他方の仕切板2を支持してパーティション1が完成する。このとき、パーティション1により仕切られた各領域が各支柱部5の開口部5dと各仕切板2のスリット部2aとで連通するようになり、当該部分が一方の領域から他方の領域を視認可能な窓部7となる。したがって、パーティション1の意匠を高めることができるだけでなく、パーティション1によって仕切られた各領域における閉塞感を緩和させることができる。
【0043】
尚、パーティション1の分解作業は、上述のパーティション1の組立作業の順番を反対に行うだけであるので詳細な説明を省略する。
【0044】
以上より、本発明の実施形態1によると、支持体3の延出部6に仕切板2のスリット部2aを引っ掛けるだけで仕切板2と支持体3とが組み立てられて当該仕切板2が所定の空間を2つの領域に仕切るようになる。一方、使用者は、仕切板2を把持するとともに、仕切板2を持ち上げてスリット部2aを延出部6から離間させるだけで仕切板2と支持体3とを分解して仕切板2と支持体3とをそれぞれ別々に運搬することができるようになる。このように、組立分解が簡単であり、短時間で組立分解作業を行うことができるようになるので、所望する空間を2つの領域に仕切る際のパーティション1の移設を簡単に行うことができる。
【0045】
また、延出部6において突起部6c,6dにより隔てられた位置に各仕切板2のスリット部2aを引っ掛けることができるようになるので、支持体3は各仕切板2をその板厚方向において重なるような位置関係で支持可能になる。したがって、パーティション1の意匠が奥行きにおいて変化のあるものになり、さらに特徴的な意匠を持つパーティション1にすることができる。
【0046】
また、パーティション1を組み立てた際、各仕切板2の板厚方向両側に同形状の支柱部5が位置するようになる。したがって、パーティション1によって仕切られた各領域から見たパーティション1の形状が略同じになるので、仕切った各領域の雰囲気に差を生じさせないようにすることができる。
【0047】
《発明の実施形態2》
図9及び
図10は、本発明の実施形態2のパーティション1を示す。この実施形態2では、一方の仕切板2の構造が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0048】
実施形態2の一方の仕切板2は、正面視で略正方形状をなしており、実施形態1の各仕切板2と外周形状が異なっている。
【0049】
実施形態2の一方の仕切板2におけるスリット部2aは、仕切板2の中央部分から下方に直線状に延び、且つ、仕切板2において水平方向に延びる下端縁部の中央部分に開放している。
【0050】
尚、パーティション1の組立作業及び分解作業は、一方の仕切板2の外周形状が異なっている以外は、実施形態1と同じ作業であるので、詳細な説明を割愛する。
【0051】
以上より、本発明の実施形態2によると、2つ設けられた延出部6に対して外形の異なる2つの仕切板2の引っ掛ける位置を2種類のパターンに変更可能になる。したがって、使用者が各仕切板2を支持体3に対して自分の好みの意匠となる位置に取り付けて楽しむことができる。
【0052】
尚、本発明の実施形態1,2では、支持体3の支柱部5が一対設けられているが、これに限らず、1つの支柱部5から延出部6が側方に延びるような構造であってもよい。
【0053】
また、本発明の実施形態1,2では、延出部6が2つ設けられ、仕切板2が2つ用意されているが、延出部6は3つ以上設けてもよいし、仕切板2も3つ以上用意してもよい。延出部6を仕切板2よりも多く設けると、各仕切板2を各延出部6に引っ掛けるパターンが増えて使用者が各仕切板2を支持体3に対して自分の好みの意匠となる位置に取り付けて楽しむことができる。
【0054】
また、本発明の実施形態1,2では、第1棒状部6a及び第2棒状部6bに突起部6c,6dがそれぞれ1つずつ設けられているが、これに限らず、第1棒状部6a及び第2棒状部6bの延長方向にそれぞれ2つ以上設けるとともに、各突起部6c間の寸法を仕切板2の板厚に対応する値に設定するようにしてもよい。
【0055】
また、本発明の実施形態1,2では、支柱部5が長方形枠状をなしているが、仕切板2を支持できるのであれば、その他の形状であってもよい。
【0056】
また、本発明の実施形態1,2では、各仕切板2及び支持体3が被透明材である木材で形成されているが、例えば、透明樹脂材で形成してもよいし、金属材やガラス材で形成してもよい。
【0057】
また、本発明の実施形態1,2では、仕切板2の外周形状が円形状や正方形状であるが、これに限らず、長方形状や三角形状であってもよいし、星型形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、例えば、屋内外の所定の空間を2つの領域に仕切るパーティション及びパーティションの組立方法に適している。
【符号の説明】
【0059】
1 パーティション
2 仕切板
2a スリット部
3 支持体
5 支柱部
5d 開口部
6 延出部
6c 突起部
6d 突起部