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特許7496620腹起し支柱用固定具および腹起し支柱用固定具を備えた親綱支柱
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  • 特許-腹起し支柱用固定具および腹起し支柱用固定具を備えた親綱支柱 図1
  • 特許-腹起し支柱用固定具および腹起し支柱用固定具を備えた親綱支柱 図2
  • 特許-腹起し支柱用固定具および腹起し支柱用固定具を備えた親綱支柱 図3
  • 特許-腹起し支柱用固定具および腹起し支柱用固定具を備えた親綱支柱 図4
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  • 特許-腹起し支柱用固定具および腹起し支柱用固定具を備えた親綱支柱 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】腹起し支柱用固定具および腹起し支柱用固定具を備えた親綱支柱
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20240531BHJP
   E04G 5/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
E04G21/32 D
E04G5/00 301B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021177124
(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公開番号】P2023066496
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】392031572
【氏名又は名称】キョーワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶原 幸治
(72)【発明者】
【氏名】岩本 泰毅
(72)【発明者】
【氏名】杉本 明
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-098551(JP,A)
【文献】実公平07-032764(JP,Y2)
【文献】特開2017-057688(JP,A)
【文献】実開昭63-089052(JP,U)
【文献】特開2018-042701(JP,A)
【文献】実公平05-002738(JP,Y2)
【文献】特許第6001314(JP,B2)
【文献】特開平08-333752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
E04G 5/00
E04B 1/48
F16B 5/07
E02D 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹起し支柱に親綱支柱を固定するために使用される、腹起し支柱用固定具であって、
前記腹起し支柱は、その表面に複数の孔を有し、
前記腹起し支柱用固定具は、平板部と前記平板部の一方側の面に固定され、前記親綱支柱を保持するU字状部材とを含み、
前記平板部は、その他方面側に設けられた一対の突起部を有し、
前記一対の突起部は前記腹起し支柱の表面に設けられた複数の孔に係合可能である、腹起し支柱用固定具。
【請求項2】
前記平板部は、幅方向に広がった部分を有し、前記一対の突起部は、前記幅方向に広がった部分に設けられる、請求項1に記載の腹起し支柱用固定具。
【請求項3】
前記一対の突起部は、円柱状である、請求項1または2に記載の腹起し支柱用固定具。
【請求項4】
腹起し支柱に固定するための固定具を有する親綱支柱であって、
前記腹起し支柱は、その表面に複数の孔を有し、
前記親綱支柱は、親綱を支持するための保持金具を有し、
前記固定具は、前記親綱支柱の下部に設けられた平板部を有し、
前記平板部は一対の突起部を有し、前記一対の突起部は、前記腹起し支柱の表面に設けられた複数の孔に係合可能である、親綱支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は腹起し支柱用固定具、および腹起し支柱用固定具を備えた親綱支柱に関し、特に、親綱を支持する親綱保持金具を有する、腹起し支柱用固定具、および腹起し支柱用固定具を備えた親綱支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄骨梁のフランジ部に取り付けて使用する親綱支柱としては、長方形又は正方形の断面を有する角管からなる支柱本体と、この支柱本体の下端部に設けられた万力等の機能を有する固定部材と、支柱本体の上端部に取り付けられた親綱保持金具とを有しているものが一般的であり、H形鋼等からなる鉄骨梁の上部フランジに万力等の機能を有する固定部材で把持固定することで親綱支柱を立設していた。そして、1本の鉄骨梁には2本以上の親綱支柱が取り付けられ、隣り合う親綱支柱間には各々の親綱保持金具を介して親綱が架け渡されていた。
【0003】
これにより、作業者は腰に取り付けた安全帯ランヤードの一端に設けたフックを、隣り合う親綱支柱間に架け渡された親綱に掛着することで、作業者が誤って鉄骨梁から足を踏み外して鉄骨梁から落下しても安全帯ランヤードが親綱に引き留められることになるから、鉄骨梁から地上に落下する心配がなく、安全に高所作業を行うことができる。なお、作業者は親綱支柱間に架け渡された親綱に沿って親綱支柱まで歩行した後に、その親綱に掛着したフックを外し、次の親綱支柱間に架け渡された隣の親綱にフックを掛着し直してから次の親綱支柱間を歩行することになる。
【0004】
このような場合の対策として、土木工事用構造体の連結構造が、例えば、特許第6001314号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6001314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の、安全に高所作業を行うことができる親綱支柱や、その保持金具は、上記のように構成されていた。一方で、建築工事の地下工事を行なう際、掘削時の土砂崩壊を防ぐために、腹起しと呼ばれる擁壁を作り、土砂の崩壊を防いでいた。この腹起しを行なう際、擁壁を固定するため、通常のH鋼とは異なる腹起し支柱が使用される。
【0007】
図7は、腹起し支柱30を示す斜視図である。図7を参照して、腹起し支柱30は、図中点線で示すように、H鋼のフランジが垂直に立った構成を有し、そのH形のフランジに板31a,31bが取り付けられた構成を有している。板31a,31bには、2列の丸孔32,33が形成されている。ここで、2列の孔は、それぞれ相互にaだけ間隔をあけて設けられている。
【0008】
このような、腹起し支柱30を用いて地下工事を行なう際、作業者が工事中の地下へ転落しないように、地上部に支柱が設けられ、その支柱の上端部に親綱が通される、従来の高所作業を行うことができる親綱支柱やその保持金具等が必要とされる。
【0009】
しかしながら、腹起し支柱は上記のようにH形鋼とは異なるため、通常のH鋼に取付ける親綱支柱は装着することができず、腹起し支柱に取付けることができる支柱が必要であった。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、親綱支柱のように、腹起し支柱に取付けることができる、腹起し支柱用固定具、および腹起し支柱用固定具を備えた親綱支柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る、腹起し支柱用固定具は、腹起し支柱に親綱支柱を固定するために使用され、腹起し支柱は、その表面に複数の孔を有し、腹起し支柱用固定具は、平板部と平板部の一方側の面に固定され、親綱支柱を保持するU字状部材とを含み、平板部は、その他方面側に設けられた一対の突起部を有し、一対の突起部は腹起し支柱の表面に設けられた複数の孔に係合可能である。
【0012】
その結果、腹起し支柱に取付けることができる親綱支柱を提供することができる。
【0013】
好ましくは、平板部は、幅方向に広がった部分を有し、一対の突起部は、幅方向に広がった部分に設けられる。
【0014】
さらに好ましくは、一対の突起部は、円柱状である。
【0015】
この発明の他の局面においては、親綱支柱は、腹起し支柱に固定するための固定具を有する。腹起し支柱は、その表面に複数の孔を有し、親綱支柱は、親綱を支持するための保持金具を有し、固定具は、親綱支柱本体の下部に設けられた平板部を有し、平板部は一対の突起部を有し、一対の突起部は、腹起し支柱の表面に設けられた複数の孔に係合可能である。
【発明の効果】
【0016】
親綱支柱の下部には、一対の突起部を有する平板部が設けられ、一対の突起部は腹起し支柱の表面に設けられた複数の孔に係合可能であるため、通常の親綱支柱のように、腹起し支柱に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の一実施の形態に係る、腹起し支柱に取付けることができる親綱支柱を示す斜視図である。
図2図1に示した親綱支柱の下部を示す斜視図である。
図3】腹起し支柱に取付けた親綱支柱を示す斜視図である。
図4】腹起し支柱に取付け治具を示す斜視図である。
図5】腹起し支柱に取付けた治具の他の例を示す斜視図である。
図6図5において、矢印VI-VIで示す矢視図である。
図7】腹起し支柱を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係る、腹起し支柱に取付けることができる親綱支柱10を示す斜視図である。図1を参照して、腹起し支柱に取付けることができる親綱支柱10は、四角管状の支柱本体11と、支柱本体11の上端部に設けられた親綱保持金具12と、支柱本体11の下端部に設けられた腹起し支柱用固定具20と、を含む。
【0019】
支柱本体11は、上方に向かって断面が幅狭となるテーパ管であり、内面の隅部に補強材が縦方向に溶接により取付けられていても良い。また、四角管状の基部は直管であってもよい。
【0020】
図2は、図1において、IIで示した、腹起し支柱用固定具20の拡大図である。図2を参照して、腹起し支柱用固定具20は、横方向に突出した一対の突出部22a,22bを有する平板21と、平板21の突出部22a,22bに設けられた一対のちくわ状の突起部23a,23bと、を含む。一対のちくわ状の突起部23a,23bの中央部にはネジ孔が貫通している。
【0021】
ここで、平板21の突出部22a,22bに設けられた一対の突起部23a,23bは、図7で説明した腹起し支柱30の孔32,33の間隔aの複数倍(例えば、2倍)と等しい間隔bを有している。例えば、a=100mmであれば、b=200mmである。
【0022】
したがって、このような突起部23a,23bを有する腹起し支柱用固定具20を有している親綱支柱10は、腹起し支柱30の孔32,33に係合可能である。
【0023】
このように、突起部23a,23bを腹起し支柱30の孔32,33に挿入して、その後、突起部23a,23bの中央部に設けられたネジ孔に反対側から座金を介してボルトを挿入し、腹起し支柱用固定具20を腹起し支柱30に固定する。
【0024】
なお、突起部23a,23bの長さは、腹起し支柱30の孔32,33よりも短い。また、この、腹起し支柱用固定具20を腹起し支柱30に固定する具体的な構成については、後に、図6を参照して説明する。
【0025】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図3は、この発明の他の実施の形態に係る支柱用固定具と、支柱用固定具で親綱支柱を固定した状態を示す斜視図である。図3を参照して、ここでは、腹起し支柱30の孔32,33に腹起し支柱用固定具40が固定され、固定された腹起し支柱用固定具40に、親綱支柱50が挿入されている。
【0026】
次に、腹起し支柱用固定具40について説明する。図4は、腹起し支柱用固定具40を示す斜視図である。図4を参照して、腹起し支柱用固定具40は、腹起し支柱30に面する平板41と、平板41の裏面側に設けられ、平板41とともに親綱支柱50を保持するU字状部材45と、を含む。
【0027】
ここで、平板41は基本的に平板21と同様の構成を有し、平板41は、横方向に突出した一対の突出部42a,42bを有し、平板41の突出部42a,42bには、一対の突起部43a,43bが設けられている。
【0028】
ここで、平板41の突出部42a,42bに設けられた一対の突起部43a,43bは、図7で説明した腹起し支柱30の孔32,33の間隔aの複数倍と等しい間隔bを有している。
【0029】
一対の突起部43a,43bの中央部にはネジ孔が貫通し、突起部43a,43bの中央部に設けられたネジ孔に反対側からボルトを挿入して腹起し支柱用固定具40を腹起し支柱30に固定するのは、先の実施の形態と同様である。
【0030】
したがって、腹起し支柱用固定具40は、図7に示した腹起し支柱30に取り付け可能であり、腹起し支柱用固定具40には、親綱支柱50を取り付けることができる。
【0031】
次に、腹起し支柱に取付けた治具の他の例について説明する。図5は、腹起し支柱に取付ける治具の他の例を示す斜視図である。図5を参照して、腹起し支柱30に取付ける腹起し支柱用固定具25は、従来の、コの字状のクランプ部35を有する親綱支柱61を取付け可能な平板状のフランジ部27と、フランジ部27を有する取付部26とを有する。
【0032】
腹起し支柱用固定具25は、図4に示した平板41と同様の平板状の取付部26を有し、その突出部28には、一対の突起部29aが設けられている(図においては、平板26の一方側の突出部28と、一方側の突起部29aのみを示している)。また、平板状のフランジ部27と、取付部26との間には、一対の補強部材34が設けられている(なお、図5では、その一方側のみが示されている)。
【0033】
図6は、親綱支柱61を腹起し支柱用固定具25の平板状のフランジ部27に取付けた状態を示す図であり、図5において、矢印VI-VIで示す矢視図である。図6に示すように、コの字状のクランプ部35を有する親綱支柱61には、フランジ部27を下側から支持しながら、上側から締め付けるための、一対の締め付けネジ36a(図5参照)、36bが設けられており、この一対の締め付けネジ36a,36bで親綱支柱61は腹起し支柱用固定具25に固定される。
【0034】
また、ここには、具体的な突起部23a,23bを腹起し支柱30に固定する構成が示されている。すなわち、ちくわ状の突起部23a,23bの中央部にはネジ孔が貫通しており、突起部23a,23bの中央部に設けられたネジ孔に反対側から座金38を介してボルト37を挿入して、腹起し支柱用固定具25を腹起し支柱30に固定する。
【0035】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示する実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明にかかる腹起し支柱に取付けることができる腹起し支柱用固定具は、親綱支柱のように使用できるため、有利に使用される。
【符号の説明】
【0037】
10、50、61 親綱支柱
11 支柱本体
12 親綱保持金具
20、25、40 腹起し支柱用固定具
21、41 平板
22a,22b,42a,42b 突出部
23a,23b,43a,43b 突起部
26 取付部
30 腹起し支柱
32、33 孔
35 クランプ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7