(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】表面保護物質を用いた薄膜形成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20240531BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240531BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240531BHJP
C23C 16/02 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 B
C23C16/455
C23C16/02
(21)【出願番号】P 2022528185
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 KR2020016102
(87)【国際公開番号】W WO2021096326
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0146643
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518176264
【氏名又は名称】イージーティーエム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,グン ス
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェ ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハ ナ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウン ジン
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0040172(US,A1)
【文献】特表2019-504509(JP,A)
【文献】特開2012-235125(JP,A)
【文献】特開2017-201653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
C23C 16/455
C23C 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエーテル基を有する表面保護物質を用いた薄膜形成方法において,
金属前駆体を基板が置かれたチャンバーの内部に供給し,前記金属前駆体を前記基板に吸着する金属前駆体供給段階;
前記チャンバーの内部をパージする段階;と
前記チャンバーの内部に反応物質を供給して吸着された前記金属前駆体と反応して薄膜を形成する薄膜形成段階を含むが,
前記方法は,前記薄膜形成段階の前に,
前記表面保護物質を供給して前記基板に吸着する表面保護物質供給段階;と
前記チャンバーの内部をパージする段階を含
み,
前記表面保護物質は,下記<化学式1>として表される,表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式1>において,n=0~5の整数であり,
R1,R2は炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【請求項2】
複数のエーテル基を有する表面保護物質を用いた薄膜形成方法において,
金属前駆体を基板が置かれたチャンバーの内部に供給し,前記金属前駆体を前記基板に吸着する金属前駆体供給段階;
前記チャンバーの内部をパージする段階;と
前記チャンバーの内部に反応物質を供給して吸着された前記金属前駆体と反応して薄膜を形成する薄膜形成段階を含むが,
前記方法は,前記薄膜形成段階の前に,
前記表面保護物質を供給して前記基板に吸着する表面保護物質供給段階;と
前記チャンバーの内部をパージする段階を含み,
前記表面保護物質は,下記<化学式2>として表される
,表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式2>において,n=0~5の整数であり,m=1~5の整数であり,
Rは,炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基を含む複数のエーテル官能基から選択される。
【請求項3】
前記表面保護物質が,MTHPまたはMMTHFである,請求項2記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項4】
複数のエーテル基を有する表面保護物質を用いた薄膜形成方法において,
金属前駆体を基板が置かれたチャンバーの内部に供給し,前記金属前駆体を前記基板に吸着する金属前駆体供給段階;
前記チャンバーの内部をパージする段階;と
前記チャンバーの内部に反応物質を供給して吸着された前記金属前駆体と反応して薄膜を形成する薄膜形成段階を含むが,
前記方法は,前記薄膜形成段階の前に,
前記表面保護物質を供給して前記基板に吸着する表面保護物質供給段階;と
前記チャンバーの内部をパージする段階を含み,
前記表面保護物質は,下記<化学式3>として表される
,表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式3>において,n1,n2=0~5の整数であり,m
1=1~5の整数であり,
Rは,炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基を含む複数のエーテル官能基から選択される。
【請求項5】
前記反応物質は水蒸気(H
2O),酸素(O
2),及びオゾン(O
3)の中から選択される,請求項
1~4いずれか1項記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項6】
前記金属前駆体は,Alを含む3族金属,Zr及びHfを含む4族金属,Nb及びTaを含む5族金属のいずれかを含む化合物である,請求項1
~4いずれか1項記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項7】
前記金属前駆体は,下記<化学式4>として表される,請求項1
~4いずれか1項記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式4>において,R1,R2及びR3は互いに異なり,それぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基,炭素数1~6のジアルキルアミン又は炭素数1~6のシクロアミン基の中から選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,薄膜形成方法に関し,特に,非常に薄い厚さの薄膜を形成することにより,薄膜の厚さ及びステップカバレッジの制御が容易な薄膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAMデバイスは革新的な技術開発によって微細化され,10nm時代に達しました。したがって,性能と信頼性を向上させるためにキャパシタのサイズが小さくなっても,高い静電容量と低い漏れ電流特性は十分に維持されなければならず,降伏電圧も高くなければならない。
【0003】
従来のMIMキャパシタの誘電膜として単一のジルコニウム酸化膜を誘電膜として用いる場合,等価酸化膜厚特性(Toxeq)は良いが漏れ電流特性が脆弱であった。この点を克服するために,ZrO2/Al2O3/ZrO2などの複合高誘電体膜(combined high dielectric layer)が広く用いられている。
【0004】
しかし,これらの誘電体膜は単一のZrO2誘電体膜よりも厚くなるため,等価酸化膜厚特性(Toxeq)が悪い。また,ZAZ構造のAl2O3は,キャパシタの漏れ電流を防ぐ役割であり,厚さが大きすぎると静電容量が小さくなり,厚みが小さすぎると漏れ電流が増加するため,適切な厚さ制御が必要である。
【0005】
したがって,一定のキャパシタンス及び漏れ特性を維持するためには,特性に合った材料の開発だけでなく,キャパシタ誘電膜の超薄膜化が必要である。
【0006】
発明の詳細な説明
技術的課題
本発明の目的は,極めて薄い厚さの薄膜を形成することができる薄膜形成方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は,ステップカバレッジが良好な薄膜を形成することができる方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は,以下の詳細な説明からより明確になるだろう。
【0009】
課題解決手段
本発明の一実施例によれば,複数のエーテル基を有する表面保護物質を用いた薄膜形成方法は,金属前駆体を基板が置かれたチャンバーの内部に供給し,前記金属前駆体を前記基板に吸着する金属前駆体供給段階;前記チャンバーの内部をパージする段階;前記チャンバーの内部に反応物質を供給して吸着された前記金属前駆体と反応して薄膜を形成する薄膜形成段階を含むが,前記方法は,前記薄膜形成段階の前に,前記表面保護物質を供給して前記基板に吸着する表面保護物質供給段階;前記チャンバーの内部をパージする段階を含んでいる。
【0010】
前記表面保護物質は,下記<化学式1>として表されることができる。
【化1】
前記<化学式1>において,n=0~5の整数であり,
R1,R2は炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0011】
前記表面保護物質は,下記<化学式2>として表されることができる。
【化2】
前記<化学式2>において,n=0~5の整数であり,m=1~5の整数であり,
Rは,炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基を含む複数のエーテル官能基から選択される。
【0012】
前記表面保護物質は,下記<化学式3>として表されることができる。
【化3】
前記<化学式3>において,n1,n2=0~5の整数であり,m
1=1~5の整数であり,
Rは,炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基を含む複数のエーテル官能基から選択される。
【0013】
前記反応物質は水蒸気(H2O),酸素(O2),及びオゾン(O3)の中から選択されることができる。
【0014】
前記金属前駆体は,Alを含む3族金属,Zr及びHfを含む4族金属,Nb及びTaを含む5族金属のいずれかを含む化合物であることができる。
【0015】
前記金属前駆体は,下記<化学式4>として表されることができる。
【化4】
【0016】
前記<化学式4>において,R1,R2及びR3は互いに異なり,それぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基,炭素数1~6のジアルキルアミン又は炭素数1~6のシクロアミン基の中から選択される。
【0017】
発明の効果
本発明の一実施形態によれば,既存のALD工程によって得られる1つのモノレイヤー厚より薄く不純物なしで純度の高い薄膜を形成することができ,これにより非常に低い薄膜成長速度を有するので薄膜の厚さの調整が容易でステップカバレッジ制御が可能であるだけでなく,素子の電気的特性及び信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例による薄膜形成方法を概略的に示すフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例に係る供給サイクルを概略的に示すグラフである。
【
図3】本発明の比較例1によるアルミニウム酸化膜のGPCを工程温度に応じて示したグラフである。
【
図4】本発明の比較例1によるアルミニウム酸化膜の表面を分析するための二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)を示すグラフである。
【
図5】本発明の比較例1,2及び実施例1によるアルミニウム酸化膜のGPCを工程温度に応じて示したグラフである。
【
図6】本発明の実施例1によるアルミニウム酸化膜の表面を分析するための二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)を示すグラフである。
【
図7】本発明の比較例1,2及び実施例1,2によるアルミニウム酸化膜のGPCを工程温度に応じて示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下,本発明の好ましい実施例を添付した
図1~
図7を参照してより詳細に説明する。本発明の実施例は様々な形態に変形されてもよく,本発明の範囲が以下で説明する実施例に限ると解釈されてはならない。本実施例は,該当発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより詳細に説明するために提供されるものである。よって,図面に示した各要素の形状はより明確な説明を強調するために誇張されている可能性がある。
【0020】
従来の,高アスペクト比(例えば40:1以上)のトレンチ構造における単一前駆体を用いた成膜工程では,上部(又は入口側)は薄膜が厚くなって,下部(又は内部側)は薄膜が薄くなるなどの薄膜が均一でなくてステップカバレッジが不良の問題がある。
【0021】
しかし,以下で説明する表面保護物質は,金属前駆体と同様に挙動し,トレンチの下部より上部に高い密度で吸着された状態で,後工程である金属前駆体が吸着されていることを妨げることにより,トレンチ内に均一な厚さの薄膜を形成できるようにする。
【0022】
図1は,本発明の実施例による薄膜形成方法を概略的に示すフローチャートであり,
図2は,本発明の実施例に係る供給サイクルを概略的に示すグラフである。基板は,工程チャンバーの内部にロードされ,以下のALD工程条件は調整される。ALD工程条件は,基板又は工程チャンバーの温度,チャンバー圧力,ガス流量を含むことができ,温度は50~600℃である。
【0023】
基板は,チャンバーの内部に供給された表面保護物質にさらされており,表面保護物質は,基板の表面に吸着される。表面保護物質は,工程進行中の金属前駆体と同様の挙動を持ち,高アスペクト比(例えば,40:1以上)のトレンチ構造で,上部(又は入口側)に高い密度で吸着され,下部(又は内部側)に低密度で吸着され,その後の工程で金属前駆体が吸着されていることを妨害する。
【0024】
表面保護物質は複数のエーテル(ether)基を有し,下記<化学式1>として表されることができる。
【化5】
前記<化学式1>において,n=0~5の整数であり,
R1,R2は炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基の中から選択される。
【0025】
また,前記表面保護物質は,下記<化学式2>として表されることができる。
【化6】
前記<化学式2>において,n=0~5の整数であり,m=1~5の整数であり,
Rは,炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基を含む複数のエーテル官能基から選択される。
【0026】
また,前記表面保護物質は,下記<化学式3>として表されることができる。
【化7】
前記<化学式3>において,n1,n2=0~5の整数であり,m
1=1~5の整数であり,
Rは,炭素数1~10のアルキル基,炭素数1~10のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基を含む複数のエーテル官能基から選択される。
【0027】
以後,チャンバーの内部にパージ(purge)ガス(例えば,Arのような不活性ガス)を供給して,未吸着表面保護物質又は副産物を除去し,清潔にしたりする。
【0028】
以後,基板は,チャンバーの内部に供給された金属前駆体にさらされており,基板の表面に金属前駆体が吸着される。金属前駆体は,Alのような3族を含むかZr,Hfなどの4族を含むか,Nb,Taなどの5族を含むことができる。
【0029】
また,前記金属前駆体は,下記<化学式4>として表されることができる。
【化8】
【0030】
前記<化学式4>において,R1,R2及びR3は互いに異なり,それぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基,炭素数1~6のジアルキルアミン又は炭素数1~6のシクロアミン基の中から選択される。
【0031】
例えば説明すると,前述した表面保護物質は,トレンチの上部に下部より密に吸着され,金属前駆体は表面保護物質が吸着された位置に吸着することができない。すなわち,従来の金属前駆体は,トレンチの上部に下部より密に吸着されて,高い密度を示したが,本実施例のように,表面保護物質がトレンチの上部に密に吸着されて,金属前駆体の吸着を妨害するので,金属前駆体はトレンチの上部に過吸着されず,トレンチの上部/下部に均一に吸着することができ,後述する薄膜のステップカバレッジを向上させることができる。
【0032】
以後,チャンバーの内部にパージガス(例えば,Arのような不活性ガス)を供給して,未吸着の金属前駆体又は副産物を除去し,清潔にする。
【0033】
以後,基板は,チャンバーの内部に供給された反応物質にさらされており,基板の表面に薄膜が形成される。反応物質は,金属前駆体層と反応して薄膜を形成し,反応物質はO3,O2,H2Oガスであることができ,反応物質を使用して,金属酸化膜が形成されることができる。この際,反応物質は,吸着された表面保護物質を酸化させ,基板の表面から分離して除去する。
【0034】
以後,チャンバーの内部にパージガス(例えば,Arのような不活性ガス)を供給して,未吸着表面保護物質/未反応物質又は副産物を除去し,清潔にしたりする。
【0035】
一方,先に表面保護物質が金属前駆体よりも先に供給されるものとして説明したが,これとは異なり,表面保護物質は,金属前駆体の後に供給され、又は,金属前駆体は,表面保護物質の先及び後の両方に供給することができる。
【0036】
-比較例1
前述した表面保護物質を使用せずに,シリコン基板上にアルミニウム酸化膜を形成した。ALD工程を使用してアルミニウム酸化膜を形成し,ALD工程温度は250~350℃,反応物質は,O3ガスを使用した。
【0037】
ALD工程を通じたアルミニウム酸化膜の形成過程は,以下の通りで,下の過程を1サイクルとして行った。
1)Arをキャリア(carrier)ガスとして,常温でアルミニウム前駆体TMA(Trimethylaluminium)を反応チャンバーに供給して,基板にアルミニウム前駆体を吸着
2)反応チャンバー内にArガスを供給して未吸着アルミニウム前駆体又は副産物を除去
3)O3ガスを反応室に供給してモノレイヤー(monolayer)を形成
4)反応チャンバー内にArガスを供給して未反応物質又は副産物を除去
【0038】
上記のような過程により得られたアルミニウム酸化膜の厚さを測定した結果,ALD工程の1サイクル毎に得られたアルミニウム酸化膜の厚さは,300~350℃で約1.0Å/サイクルであった。
【0039】
図3は,本発明の比較例1に係るアルミニウム酸化膜のGPC(サイクル当たりの成長率,Growth Per Cycle)を工程温度に応じて示したグラフである。
図3に示すように,基板の温度250~350℃の範囲内で基板の温度上昇に伴うGPC変化がほとんどない理想的なALD挙動を示した。
【0040】
図4は,本発明の比較例1によるアルミニウム酸化膜の表面を分析するための二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)を示すグラフである。
図4に示すように,酸化膜内にはアルミニウム前駆体であるTMAに由来する不純物(例えば炭素原子など)が残留しないことを確認した。
【0041】
-比較例2
表面保護物質で1つのエーテル基を有する物質を使用して,シリコン基板上にアルミニウム酸化膜を形成した。ALD工程を使用してアルミニウム酸化膜を形成し,ALD工程温度は300~360℃,反応物質は,O3ガスを使用した。
【0042】
ALD工程を通じたアルミニウム酸化膜の形成過程は,以下の通りで,下の過程を1サイクルとして行った(
図1及び2参照)。
1)反応チャンバー内に表面保護物質を供給して基板に吸着
2)反応チャンバー内にArガスを供給して未吸着表面保護物質又は副産物を除去
3)Arをキャリア(carrier)ガスとして,常温でアルミニウム前駆体TMA(Trimethylaluminium)を反応チャンバーに供給して,基板にアルミニウム前駆体を吸着
4)反応チャンバー内にArガスを供給して未吸着アルミニウム前駆体又は副産物を除去
5)O
3ガスを反応室に供給してモノレイヤー(monolayer)を形成
6)反応チャンバー内にArガスを供給して未反応物質又は副産物を除去
【0043】
表面保護物質で1つのエーテル基を有する物質を使用した結果,GPC減少率は320℃及び350℃でそれぞれ10.42%,13.81%であり,結論的に表面保護物質として1つのエーテル基を有する物質を使用する場合10~13%程度の低いGPC減少率を示した。
【0044】
-実施例1
表面保護物質を1つのエーテル基を有する物質から複数のエーテル基を有するMTHP(Methoxy Tetrahydropyran)に変更することを除いて,比較例2と同様の方法でアルミニウム酸化膜を形成した。
【0045】
図5は,本発明の比較例1,2及び実施例1によるアルミニウム酸化膜のGPCを工程温度に応じて示したグラフである。表面保護物質でMTHPを使用した結果,GPC減少率は300℃及び350℃でそれぞれ33.19%,34.78%であり,結論的に表面保護物質として複数のエーテル基を有する物質を使用する場合33~34%程度の高いGPC減少率を示した。複数のエーテル基を有する表面保護物質の場合,1つのエーテル基を有する表面保護物質に比べて基板と吸着力が増加し(又は密度増加),高いGPC低減効果を示すと考えられる。
【0046】
図6は,本発明の実施例1によるアルミニウム酸化膜の表面を分析するための二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)を示すグラフである。
図6に示すように,酸化膜内にはアルミニウム前駆体であるTMA及び表面保護物質に由来する不純物(例えば炭素原子など)が残留しないことを確認した。
【0047】
- 実施例2
表面保護物質をMTHPからMMTHF(Methoxymethyl Tetrahydrofuran)に変更することを除いて,比較例2と同様の方法でアルミニウム酸化膜を形成した。
【0048】
図7は,本発明の比較例1,2及び実施例1,2によるアルミニウム酸化膜のGPCを工程温度に応じて示したグラフである。表面保護物質でMMTHFを使用した結果,GPC減少率は300℃及び350℃でそれぞれ35.35%,29.86%であり,結論的に表面保護物質としてMMTHFを使用する場合29~35%程度の高いGPC減少率を示した。
【0049】
結論として,表面保護物質は高い吸着性能により高いGPC低減効果を示し,これにより既存のALDプロセスによって得られる1つのモノレイヤー厚より薄く不純物なしで純度の高い薄膜を形成することができる。また,これにより非常に低い薄膜成長速度を有するため,薄膜の厚さを調整しやすく,ステップカバレッジ制御が可能であるだけでなく,素子の電気的特性及び信頼性を向上させることができる。
【0050】
これまで本発明の詳細を実施例に基づいて詳細に説明したが,これとは異なる形態の実施例も可能である。よって,以下に記載する請求項の技術的思想と範囲は実施例に限らない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は,多様な形態の半導体の製造方法に応用される。