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特許7496635放射線不透過性要素を含む複数の検出モダリティを介して検出可能な複合組織マーカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】放射線不透過性要素を含む複数の検出モダリティを介して検出可能な複合組織マーカー
(51)【国際特許分類】
   A61K 49/00 20060101AFI20240531BHJP
   A61K 49/22 20060101ALI20240531BHJP
   A61K 49/18 20060101ALI20240531BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240531BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240531BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240531BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240531BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240531BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20240531BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20240531BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
A61K49/00
A61K49/22
A61K49/18
A61K9/48
A61K47/42
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/34
A61B8/14
A61B6/00
A61B5/055 383
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022530998
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020062322
(87)【国際公開番号】W WO2021108629
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】63/073,285
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/941,337
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519357903
【氏名又は名称】ビュー ポイント メディカル, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】VIEW POINT MEDICAL, INC.
【住所又は居所原語表記】5621 Palmer Way, Carlsbad, California 92010, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ブレイヤー,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,マイク
(72)【発明者】
【氏名】メリット,ジョーン
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0289444(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0116806(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0209601(US,A1)
【文献】国際公開第2001/010302(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2019/0176372(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0173848(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 49/00
A61K 49/22
A61K 49/18
A61K 9/48
A61K 47/42
A61K 47/38
A61K 47/32
A61K 47/34
A61B 8/14
A61B 90/00
A61B 6/00
A61B 6/12
A61L 31/06
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合マーカーであって、
外面を有するゲル体と、
前記ゲル体内にコロイド分散状態で担持された第1の複数の超音波反射要素であって、各超音波反射要素は、超音波イメージング信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティと、前記少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体と、不規則な表面を有する本体をそれぞれ含み、前記超音波反射要素の前記少なくとも1つのキャビティは、超音波イメージング信号の反射を提供するために、閉じ込められた気体又は液体を含み、各超音波反射要素が多孔質であり、各超音波反射要素が、その前記不規則な表面上に、その1つ又は複数の細孔を少なくとも一時的に封止する疎水性コーティングを含み、前記複合マーカーが哺乳動物被験体の身体組織内で少なくとも9ヶ月の期間持続するように前記ゲル体が部分的に架橋された、該第1の複数の超音波反射要素と、
前記ゲル体内に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素と、を含み、
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素は前記ゲル体の前記外面の外側に配置されない、複合マーカー。
【請求項2】
前記ゲル体は少なくとも1つ又は複数の造影剤をさらに含み、前記少なくとも1つ又は複数の造影剤の各々は、超音波イメージング及びX線イメージングと異なるとともに相互に異なるそれぞれの検出モダリティを介して検出可能であり、前記少なくとも1つ又は複数の造影剤が、視覚的に検出可能な染料又は顔料、常磁性、超常磁性、フェリ磁性、又は強磁性化合物、あるいは、磁気共鳴イメージング(MRI)を介して検出可能な水素以外の非ゼロスピン核を含む化合物、又は核ベースのイメージングを介して検出可能な放射性材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の複合マーカー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が、開放コイル、閉鎖コイル、蛇行ループ、レムニスケート、又は波状円の形態をとる少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドを含む、請求項1に記載の複合マーカー。
【請求項4】
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が、少なくとも1つの放射線不透過性クリップを含み、前記少なくとも1つの放射線不透過性クリップが、ボウタイ形状、U字形状、又はダンベル形状を有する、請求項1に記載の複合マーカー。
【請求項5】
前記ゲル体が、チューブ、ロールもしくは層状もしくはスパイラル状のロール、又はロッドの形態をとる、請求項1に記載の複合マーカー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素の少なくとも一部が、前記ゲル体に埋め込まれている、請求項1に記載の複合マーカー。
【請求項7】
前記ゲル体が中空チューブの形態をとり、前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が前記中空チューブの中空内部にあり、前記中空チューブの2つの端部が封止されている、請求項1に記載の複合マーカー。
【請求項8】
前記ゲル体の少なくとも1つの端部に物理的に結合されたゲルエンドキャップをさらに含む、請求項1に記載の複合マーカー。
【請求項9】
前記ゲルエンドキャップ内に担持された第2の複数の超音波反射要素をさらに含む、請求項8に記載の複合マーカー。
【請求項10】
前記ゲルエンドキャップが前記ゲル体の前記外面を少なくとも部分的に取り囲み、前記ゲル体の前記外面から半径方向外向きに延在する、請求項8又は9に記載の複合マーカー。
【請求項11】
前記ゲル体が第1の材料からなり、前記ゲルエンドキャップが第2の材料からなり、前記第2の材料が前記第1の材料とは異なる、請求項8又は9に記載の複合マーカー。
【請求項12】
前記ゲル体がゼラチンからなり、前記ゲルエンドキャップがポリエチレングリコールからなる、請求項11に記載の複合マーカー。
【請求項13】
前記ゲル体が前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体の一対の対向する端部が、前記キャビティを封止するように圧着される、請求項1に記載の複合マーカー。
【請求項14】
前記ゲル体は前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体は、前記ゲル体の一対の対向する端部の各々における、前記キャビティへのアクセスを提供するそれぞれの開口部を有し、前記各開口部は、前記ゲル体が体液に曝されて水和されたときに閉じられる、請求項1に記載の複合マーカー。
【請求項15】
前記ゲル体は前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体は、前記ゲル体の1つの端部に配置された開口部を有する、請求項1に記載の複合マーカー。
【請求項16】
前記ゲル体の1つの第1の端部の前記開口部を閉鎖するように配置されたゲルプラグをさらに含む、請求項15に記載の複合マーカー。
【請求項17】
前記放射線不透過性要素が、ステンレス鋼、白金、金、イリジウム、チタン、タンタル、タングステン、銀、ロジウム、ニッケル、ビスマス、及びバリウムからなる群から選択される放射線不透過性金属、前記放射線不透過性金属の合金、前記放射線不透過性金属の酸化物、前記放射線不透過性金属の硫酸塩、前記放射線不透過性金属の炭酸塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~9又は13~16のいずれか1項に記載の複合マーカー。
【請求項18】
前記ゲル体が天然ゼラチン状材料、合成ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~9又は13~16のいずれか1項に記載の複合マーカー。
【請求項19】
前記ゲル体が、
i)コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブロネクチン、及びアルブミンからなる群より選択されるタンパク質;
ii)セルロース又はメチルセルロース、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、及びアルギン酸カルシウムからなる群から選択される多糖;
iii)ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール-co-乳酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアミン、ポリオキサアミド、ポリオキサエステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びそれらのコポリマーからなる群から選択される合成ポリマー、又は
i)、ii)、ii)、もしくはiii)の任意の2つ以上の要素の混合物
を含む、請求項18に記載の複合マーカー。
【請求項20】
前記ゲル体が、受容哺乳動物被験体の組織における複合マーカーの分解速度に基づいて予め決定された架橋度を有する、請求項1に記載の複合マーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、組織マーカー(又は、tissue marker)及び組織マーカーの検出の分野に関し、特に、少なくとも1つの放射線不透過性要素(radiopaque element)(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又はクリップ)及び1つ又は複数の他の造影剤(又は、コントラスト材料/contrast material)を担持するゲルキャリアを含む複合組織マーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
経時的に身体組織を識別し、位置決めし、マーキングするため、及びマーキングされた身体組織の生検、切除、又は切除を補助するために、様々なタイプの組織マーカーが存在する。癌の診断及び治療(例えば、外科的処置、放射線治療)を含む現在の診断及び治療プロトコルは、病変の局在化のための既存の組織マーカー技術によって妨げられている。例えば、臨床現場では診断段階の間、関心のある組織病変が効率的に画像化され、放射線学的マーカーによってマーキングされることがあるが、これらの放射線学的マーカーは全ての外科的シナリオにおいて術中に外科医に視認されない。別の例として、蛍光染料(又は、蛍光色素/fluorescent dye)マーカーは、生物医学的診断及び画像化において広く使用されている。しかしながら、インドシアニングリーンのような典型的な蛍光染料はその迅速なクリアランス、濃度依存性凝集、迅速なタンパク質結合、及び種々の物理化学的属性による漂白効果のために、インビボでの組織マーカーとしてのその利用について依然として大きな制限を受ける。特定の臨床手順に利用可能な検出モダリティ(又は、検出様式/検出手法/detection modality)が、検出される組織の型と適合しない場合、他の困難が生じ得る。例えば、肺組織は高密度の空気と組織との界面を有する多孔性であり、これは、超音波エネルギー伝播を妨害する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、当技術分野では、複数のモダリティを介して検出可能であり、組織マーカー中の各マーカー要素の検出可能性を保持及び保存し、適切な期間にわたって組織中に存続する、組織マーカーに対する単純化された、しかし汎用性があり、かつ耐久性のある解決法溶液を開発することが引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
少なくとも1つの態様では、複合マーカーが、外面を有するゲル体(又は、ゲル本体/gel body)と、ゲル体内又はゲル体上に担持された第1の複数の超音波反射要素と、ゲル体内又はゲル体上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ、放射線不透過性バンド及び/又は放射線不透過性クリップ)とを含むものとして要約することができる。少なくとも1つの放射線不透過性要素は、有利には、ゲル体の外面の周りに配置されない。各超音波反射要素は超音波イメージング信号の反射(又は、反射率/reflectivity)を提供するために、少なくとも1つのキャビティ(又は、空洞)と、少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体(例えば、気体、液体、又は気体と液体又は蒸気との組合せ)とを有する本体をそれぞれ含むことができる。
【0005】
ゲル体は、ロッド、又はロール、例えば円筒ロール又はスパイラル(例えば渦巻き)ロールの形態をとることができる。ゲル体は、放射線不透過性要素が配置される又は置かれるキャビティを含んでもよい。ゲル体のキャビティはその一端又は両端が開放されていてもよい。あるいは、ゲル体のキャビティはその一端又は両端が閉鎖されていてもよい。例えば、ゲル体は、その一端又は両端がある期間体液に暴露されたときに膨潤して閉じるような大きさであってもよい。また、例えば、ゲル体の一端又は両端をクリンプして閉じてもよい。追加的に又は代替的に、プラグ(例えば、ゲルプラグ)をゲル体の一端又は両端に配置して、その端部を閉じることができる。追加的に又は代替的に、ゲル体の一端又は両端の上にエンドキャップ(例えば、ゲルエンドキャップ)を配置して、ゲル体の端部を閉じてもよい。
【0006】
ゲル体は第1の組の物理的特性を有することができ、一方、複合マーカーの別の部分、例えば、プラグ、エンドキャップは、第2の組の物理的特性を有することができ、第2の組の物理的特性の少なくとも1つの物理的特性は、第1の組の物理的特性の少なくとも1つの物理的特性とは異なる。例えば、ゲル体及び複合マーカーの別の部分は、互いに異なる材料から作製されてもよく、互いに異なるレベル又は広がりの架橋、異なる水和速度及び/又は関連する膨潤、ならびに/あるいは、互いに異なるタイプ及び/又は分布の超音波反射要素1102a、1102cを有することができる。例えば、ゲル体は凍結乾燥されたゼラチンを含んでもよく、一方、1つ又は複数のエンドキャップ又はプラグはPEGから形成されてもよい。
【0007】
別の態様では、複合マーカーが、外面を有するゲル体と、前記ゲル体内又はゲル体上に担持された活性化及び/又は加水分解された蛍光染料と、前記ゲル体内又はゲル体上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ、放射線不透過性バンド及び/又は放射線不透過性クリップ)とを含むものとして要約することができる。少なくとも1つの放射線不透過性要素は、有利には、ゲル体の外面の周りに配置されない。
【0008】
さらに別の態様では、複合マーカーが、外面を有する第1のゲル体と、第1のゲル体の外面の少なくとも一部の周りに配置され、これに接触する少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又は放射線不透過性バンド)と、X線イメージングとは異なる検出モダリティによって検出可能な第2のゲル体内又は上に少なくとも1つの造影剤を担持する該第2のゲル体とを含むものとして要約することができる。第2のゲル体は、第1のゲル体に物理的に結合される。
【0009】
少なくとも1つの態様では、複合マーカーを形成するための方法が、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ、放射線不透過性バンド、及び/又は放射線不透過性クリップ)をゲル体に組み込むステップと、少なくとも1つの放射線不透過性要素を組み込むゲル体を鋳造(又は、キャスティング/casting)して複合マーカーを形成するステップとを含むものとして要約することができる。本方法は、組み込むステップの前に、ゲル又はゲル形成材料を、X線イメージングとは異なるモダリティを介して検出可能な少なくとも1つの造影剤と混合して、ゲル体内又はゲル体上に少なくとも1つの造影剤を担持するゲル体をもたらすステップをさらに含むことができる。
【0010】
少なくとも1つの態様において、哺乳動物被験体において標的部位をマーキングする方法は、外面を有するゲル体と、ゲル体内又はゲル体上に担持された第1の複数の超音波反射要素であって、各超音波反射要素が超音波撮像信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティと、少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体(例えば、気体、液体、又は気体と液体もしくは蒸気との組み合わせ)を有する第1の複数の超音波反射要素と、ゲル体内又はゲル体上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ、放射線不透過性バンド、及び/又は放射線不透過性クリップ)と、を含み、前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が前記ゲル体の外面の周りに配置されていない複合マーカーを、哺乳動物被験体の標的部位に非経口的に投与するステップを含むものとして要約されてもよい。この方法はまた、超音波イメージング又はX線イメージングを用いて標的部位及び複合ゲルマーカーを検出するステップを包含する。
【0011】
少なくとも1つの態様において、哺乳動物被験体において標的部位をマーキングする方法は、以下を含む複合マーカーを哺乳動物被験体に非経口的に投与するステップを含むとして要約され得る:外面を有するゲル体;ゲル体中又は上に担持される活性化及び/又は加水分解蛍光染料;ならびにゲル体中又は上に担持される少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ、放射線不透過性バンド、及び/又は放射線不透過性クリップ)であって、少なくとも1つの放射線不透過性要素はゲル体の外面の周りに配置されない、複合マーカー。この方法はまた、X線イメージング又は蛍光を検出するモダリティを用いて標的部位及び複合ゲルマーカーを検出するステップを包含する。
【0012】
少なくとも1つの態様において、哺乳動物被験体において標的部位をマーキングする方法は、以下を含む複合マーカーを哺乳動物被験体に非経口的に投与するステップを含むとして要約され得る:外面を有する第1のゲル体;第1のゲル体の外面の少なくとも一部の周囲に配置され、これに接触する少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ、放射線不透過性バンド);及びX線イメージングとは異なるモダリティによって検出可能な少なくとも1つの造影剤を第2のゲル体内又はその上に担持し、第2のゲル体が第1のゲル体に物理的に結合された第2のゲル体。この方法はまた、標的部位及び複合ゲルマーカーを、X線イメージング又は前記少なくとも1つの造影剤を検出することができる検出モダリティで検出するステップを含む。
【0013】
本発明の様々な実施形態及び実装形態のさらなる態様、利点、及び特徴は本明細書に記載されており、一部は、以下の考察により当業者に明らかになるか、又は本発明の実施によって学習され得る。本出願で開示される発明の様々な実施形態及び実装形態は、態様、利点、及び特徴の任意の特定のセット又は組み合わせに限定されない。記載された態様、利点、及び特徴の様々な組み合わせが、本出願で開示される本発明の様々な実施形態及び実装を構成することが企図される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は特定の例示的な実施形態を示すことを意図しており、限定するものではない。図面において、同一の参照番号は、同様の要素又は作用を示す。図面における要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない。例えば、さまざまな要素の形状及び角度は一定の縮尺で描かれず、これらの要素のいくつかは、図面を見やすくするために、随時適当に拡大及び配置されている。さらに、描かれた要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関するいかなる情報も伝えることを意図しておらず、図面における認識を容易にするために単に選択されたものである。
【0015】
図1A図1Aは少なくとも1つの例示された実施形態による複合マーカーの異性体図であり、外面を有するゲル体と、複数の超音波反射要素と、放射線不透過性ワイヤ又はバンドとして例示される少なくとも1つの放射線不透過性要素とを含み、超音波反射要素がゲル体内に分散され、少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドがゲル体内に配置された複合マーカーを示す。
【0016】
図1B】超音波画像信号の反射を提供するために少なくとも1つのキャビティ及び少なくとも1つのキャビティ内に少なくとも1つの流体を有する本体を備え、本体がキャビティを形成する外壁を有するシェルとして示された、少なくとも1つの例示としての実施による超音波反射要素の断面図である。
【0017】
図1C図1Cは超音波イメージング信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティを有する本体と、少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体とを備え、複数のキャビティを有する多孔質粒子として図示される、少なくとも1つの図示される実施形態による超音波反射要素の概略図である。
【0018】
図2A図2A図1Bのものと少なくともいくつかの点で類似した超音波反射要素の断面図であり、超音波反射要素上に疎水性コーティングが追加され、別の例示された実施形態による超音波反射要素のキャビティ内に造影剤が追加されている。
【0019】
図2B図2B図1Bのものと少なくともいくつかの点で類似した超音波反射要素の断面図であり、超音波反射要素上に疎水性コーティングが追加され、別の例示された実施形態による超音波反射要素内に埋め込まれた造影剤が追加されている。
【0020】
図2C図2C図1Cのものと少なくともいくつかの点で類似した超音波反射要素の断面図であり、超音波反射要素上に疎水性コーティングが追加され、別の例示された実施形態による超音波反射要素のキャビティ内に造影剤が追加されている。
【0021】
図2D図2D図1Cのものと少なくともいくつかの点で類似した超音波反射要素の断面図であり、超音波反射要素上に疎水性コーティングが追加されており、別の例示された実施形態による超音波反射要素内に埋め込まれた造影剤が追加されている。
【0022】
図3図3は、例示された一実施形態による、シェルの任意のコーティング又はカプセル化を伴う、様々な例示及び/又は説明された実施形態と共に使用するのに適した造影剤の拡大図である。
【0023】
図4A図4Aは少なくとも1つの例示された実施による放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素の側面図であり、放射線不透過性ワイヤ又はバンドは螺旋形状を有する。
【0024】
図4B図4Bは少なくとも1つの例示された実施による放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素の側面図であり、放射線不透過性ワイヤ又はバンドは、蛇行形状又は/及び回旋形状を有する。
【0025】
図4C図4Cは少なくとも1つの例示された実施形態による放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素の端面図であり、放射線不透過性ワイヤ又はバンドは、閉じた形状、例えば楕円形又は円形を有する。
【0026】
図4D図4Dは少なくとも1つの例示された実施による放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素の端面図であり、放射線不透過性ワイヤ又はバンドは閉じた形状、例えば、波状又は波状の楕円形又は波状又は波状の円形を有する。
【0027】
図4E図4Eは少なくとも1つの例示された実施による放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素の端面図であり、放射線不透過性ワイヤ又はバンドは閉じた形状、例えば、レムニスケート形状を有する。
【0028】
図4F図4Fは少なくとも1つの例示された実施による放射線不透過性クリップの形態の放射線不透過性要素の側面図であり、放射線不透過性クリップは例えば砂時計形状を有するか、又はねじれを含み、ボウタイに似ている、挟まれたネック領域を有する形状を有する。
【0029】
図4G図4Gは少なくとも1つの例示された実施形態による放射線不透過性クリップの形態の放射線不透過性要素の側面図であり、放射線不透過性クリップは、例えばダンベルに似た、対向する球根状端部を有する。
【0030】
図4H図4Hは少なくとも1つの例示された実施による放射線不透過性クリップの形態の放射線不透過性要素の側面図であり、放射線不透過性クリップは、例えばU字形、V字形、又はW字形を有する対向する脚部を有する。
【0031】
図4I図4Iは少なくとも1つの例示された実施による放射線不透過性クリップの形態の放射線不透過性要素の等角立面図であり、放射線不透過性クリップはT字形を有する。
【0032】
図4J図4Jは少なくとも1つの図示された実施形態による放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素の側面図であり、放射線不透過性ワイヤ又はバンドは、その中心に近接する直線距離の単位当たりのコイルの総数に対して、直線距離の単位当たりのコイルの総数がその対向する端部の近傍でより大きい、螺旋形状を有する。
【0033】
図4K図4Kは少なくとも1つの図示された実施形態による放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素の側面図であり、放射線不透過性ワイヤ又はバンドは、単位直線距離当たりのコイルの総数がその対向する端部近傍の単位直線距離当たりのコイルの総数に対して、その中心近傍でより大きい螺旋形状を有する。
【0034】
図4L図4Lは少なくとも1つの図示された実施形態による放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素の側面図であり、放射線不透過性ワイヤ又はバンドはその全長に沿った直線距離の単位当たり一定の総数のコイルを有する螺旋形状を有し、直線距離の単位当たり一定の総数のコイルは比較的高い。
【0035】
図4M図4Mは少なくとも1つの図示された実施形態による放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素の側面図であり、放射線不透過性ワイヤ又はバンドはその全長に沿った直線距離の単位当たり一定の総数のコイルを有する螺旋形状を有し、直線距離の単位当たりの一定の総数のコイルは比較的少ない。
【0036】
図4N図4Nは少なくとも1つの図示された実施形態による放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素の側面図であり、放射線不透過性ワイヤ又はバンドはその全長に沿った直線距離の単位当たりのコイルの総数が一定であり、直線距離の単位当たりのコイルの総数が比較的中間の数で螺旋形状を有する。
【0037】
図5A図5Aは少なくとも1つの例示された実施形態による複合マーカーの異性体図であり、外面、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料、放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の少なくとも1つの放射線不透過性要素、及び任意選択で1つ又は複数の他の造影剤を有し、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料及び任意選択で他の造影剤がゲル担体中に分散された複合マーカー、ならびにゲル体中に配置されたものとして例示された少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドを示す。
【0038】
図5B図5Bは少なくとも1つの例示された実施形態による複合マーカーの異性体図であり、外面を有するゲル体と、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料と、放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の少なくとも1つの放射線不透過性要素と、1つ又は複数の他の造影剤とを含み、1つ又は複数の他の造影剤がゲル体内に分散され、少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドがゲル体内に配置された複合マーカーを示す。拡大図は、1つ又は複数の他の造影剤に埋め込まれた活性化及び/又は加水分解された蛍光染料を示す。
【0039】
図6A図6Aは、複合マーカーのゲル体の外面の周りに巻かれた放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素の一部を示す、少なくとも1つの例示された実施による複合マーカーの側面図である。
【0040】
図6B】ゲル体に埋め込まれた放射線不透過性ワイヤ又はバンドの少なくとも一部を示す、図6Aの複合マーカーの端面図である。
【0041】
図7A図7Aは複合マーカーの長手方向軸を通る断面線に沿った、少なくとも1つの例示された実施形態による複合マーカーの断面図であり、中空管(又は、中空チューブ)の形態をとる複合マーカーのゲル体と、中空管の中空内部に配置された放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素とを示し、中空管の端部は任意選択的に密封されている。
【0042】
図7B図7Bは、図7Aの複合マーカーのQ-Q’断面図である。
【0043】
図8A図8Aは、ロールの内部キャビティに配置された放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素を有するオープンロールの形態をとる複合マーカーのゲル体を示す、少なくとも1つの例示された実施による複合マーカーの立面端面図である。
【0044】
図8B図8Bは、ロールの内部キャビティに配置された放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素を有する、閉鎖又は部分的に閉鎖されたロールの形態をとる複合マーカーのゲル体を示す、少なくとも1つの例示された実施形態による複合マーカーの立面端面図である。
【0045】
図8C図8Cは、ロールの内部キャビティに配置された放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の放射線不透過性要素を有する、閉鎖された層状又は渦巻き状又は螺旋状ロールの形態をとる複合マーカーのゲル体を示す、少なくとも1つの例示された実施形態による複合マーカーの立面端面図である。
【0046】
図9A図9Aは複合マーカーの長手方向軸を通る断面線に沿って取られた少なくとも1つの例示された実施形態による複合マーカーの断面図であり、外面を有する第1のゲル体と、第1のゲル体の外面の周りに配置され、その外面の少なくとも一部に接触する放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の少なくとも1つの放射線不透過性要素と、第2のゲル体内又はその上に少なくとも1つの造影剤を担持する第2のゲル体とを含み、第2のゲル体は内面を有し、第2のゲル体の内面を第1のゲル体の外面及び放射線不透過性ワイヤ又はバンドと少なくとも部分的に接触させることによって第1のゲル体に物理的に結合される、複合マーカーを示す。
【0047】
図9B図9Aの複合マーカーの端部立面図である。
【0048】
図10図10は少なくとも1つの図示された実施形態による複合マーカーの側面図であり、外面を有する第1のゲル体と、第1のゲル体の外面の少なくとも一部の周りに配置され、それに接触する放射線不透過性ワイヤ又はバンドの形態の少なくとも1つの放射線不透過性要素と、第2のゲル体内又は上に少なくとも1つの造影剤を担持する第2のゲル体と、任意選択で第3のゲル体とを含み、第2のゲル体及び任意選択で第1のゲル体に物理的に結合されるように図示され、任意選択の第3のゲル体が任意選択で第3のゲル体内又は上に少なくとも1つの造影剤を担持する複合マーカーを示す。
【0049】
図11A図11Aは少なくとも1つの図示された実施形態による複合マーカの一部を示す側面図であり、特に、第1の複数の超音波反射要素が分散されたゲル体と、複合マーカの製造の一部として形成することができるゲル体と超音波反射要素とを示す。
【0050】
図11B図11Aの複合マーカーの部分の端部立面図である。
【0051】
図11C図11Cは少なくとも1つの図示された実施形態による複合マーカの一部を示す側面図であり、特に、図11A及び11Bの第1の複数の超音波反射要素を有するゲル体を示し、ゲル体内に形成されたキャビティと、キャビティ内に配置された放射線不透過性ワイヤ又はバンドとして図示された少なくとも1つの放射線不透過性要素と、ゲル体と、超音波反射要素と、複合マーカの製造の一部として形成することができる少なくとも1つの放射線不透過性要素とを有する。
【0052】
図11D図11Cの複合マーカーの部分の端部立面図である。
【0053】
図11E図11Eは少なくとも1つの例示された実施による複合マーカーの一部を示す側面図であり、特に、図11C及び11Dの第1の複数の超音波反射要素及び少なくとも1つの放射線不透過要素を有するゲル体を示し、キャップはエンドキャップとしてゲル体の端部に取り付けられ、第2の複数の超音波反射要素はエンドキャップ内に分散され、ゲル体、超音波反射要素、少なくとも1つの放射線不透過要素、及び複合マーカーの製造の一部として形成することができるエンドキャップを有する。
【0054】
図11F図11Fは、図11Eの複合マーカーの部分の端部立面図である。
【0055】
図11G図11Gは少なくとも1つの図示された実施形態による複合マーカーを示す側面図であり、特に、第1の複数の超音波反射要素と、少なくとも1つの放射線不透過性要素とを有するゲル体を示し、それぞれのエンドキャップはゲル体のそれぞれの端部に取り付けられ、それぞれの複数の超音波反射要素はエンドキャップ内に分散されている。
【0056】
図11H図11Hは少なくとも1つの例示された実施による複合マーカーを示す側面図であり、特に、ゲル体の一方の端部に取り付けられたエンドキャップと、ゲル体の他方の端部に取り付けられたゲルプラグとを有する、第1の複数の超音波反射要素と、少なくとも1つの放射線不透過性要素とを有するゲル体を示し、エンドキャップ及びゲルプラグは、それぞれの複数の超音波反射要素が分散されている。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下の説明において、種々の開示の実施形態が正しく理解されるように、ある特定の詳細を説明する。但し、当業者ならば、これら特定の詳細の1つ又は2つ以上を欠いても、又は他の方法、他の構成部材、他の材料でも実施が可能であることは容易に理解するところであろう。他の例では、マーカー、生検デバイス、及び/又は医療撮像技術(例えば、超音波撮像装置、MRI撮像装置、X線撮像装置)に関連する周知の構造は実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、詳細には示されず、又は説明されていない。
【0058】
文脈がそうでないことを要求しない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲全体にわたって、「含む(comprise)」という語及び「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などのその変形は例えば「含むが、これに限定されない」といった、オープンエンドの包括的な意味で解釈されるべきである。
【0059】
本明細書全体を通して、「一実施形態」又は「実施形態」という言及は、実施形態に関連して説明した特定の機能、構成、又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書における表現”一実施形態における”又は”実施形態における”の全てが、必ずしも同様の実施形態について記載されてはいない。さらに、特別な特徴、構造又は特質は1以上の実施形態において任意の適当な方法で組み合わせられ得る。
【0060】
本明細書及び同時提出の特許請求の範囲で用いられているように、単数表現はコンテンツが明確に定められていない限り、複数の存在を包含するものである。また、表現”又は”は一般に、コンテンツが明確に定められていない限り、”及び/又は”を包含する意味で用いられる。
【0061】
発明の名称及び要約は便宜上のものであり、本発明の範囲を表すものではなく、又は実施形態を意味するものでもない。
【0062】
患者の身体内の特徴を識別し、位置特定し、マーキングする能力は、多くの有用な適用例(又は、指標/indication)を有する。後に検出され得るマーカーで患者の体内の特定領域を同定することは、経時的に領域をマーキングするモニタリング、その後の研究のために腫瘍又は他のタイプの組織病変又は異常の位置を特定すること、アブレーション、アジュバント療法、又は外科的除去などの治療又は外科的処置を行うことを含む様々な目的に有用であり得る。特定の臨床状況において、関心のある組織病変は第一の検出モダリティを用いて最も効率的に検出され、かつマークされるが、組織病変の外科的除去については第二の検出モダリティを用いて最も良く達成される場合に、困難が生じることがある。そのような場合、組織内に残存し、展開後のある期間にわたって位置が安定しており、少なくとも2つの別個のモダリティによって検出することができるマーカーが有用であり得る。蛍光染料マーカー(例えば、インドシアニングリーン)のようないくつかの造影剤は生物医学的診断及び画像化において広く使用されているが、インビボでの組織マーカーとしてのその利用には依然として大きな制限がある。例えば、インドシアニングリーンの場合、限界は、その迅速なクリアランス、濃度依存性凝集、迅速なタンパク質結合、及び種々の物理化学的属性による漂白効果に起因する。そのような場合、造影剤をカプセル化し、造影剤をその活性化形態に「ロック」することができるマーカーが有用であり得る。それに加えて、又はその代わりに、造影剤をカプセル化し、身体に挿入され、(例えば、体液からの水和によって)活性化されるまで、非活性化形態で造影剤を保持することができるマーカーが有用であり得る。
【0063】
本明細書に記載される構造、物品、及び方法は様々な目的のために患者の身体内の特徴を識別し、位置特定し、マーキングするための有用な解決策を提供する。ここでは、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップ)及び1つ又は複数の他の造影剤(各々が互いに異なるモダリティによって検出可能)を担持するためにゲル担体を使用する新規な複合組織マーカーが提供される。
【0064】
複合マーカーは外面を有するゲル体と、ゲル体内又はゲル体上に担持された複数の超音波反射要素と、ゲル体内又はゲル体上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップ)とを含むことができる。少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップ)はゲル体の外面の周りに配置されず、例えば、有利には、放射線不透過性要素をゲル体内に封入する。各超音波反射要素は超音波イメージング信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティ(例えば、シェル)と、少なくとも1つのキャビティ内に少なくとも1つの流体(例えば、気体、液体、気体と液体又は蒸気との組合せ)とを有する本体をそれぞれ備えることができる。
【0065】
図1Aは、哺乳動物被験体における標的部位をマーキングするために使用され得る、少なくとも1つの例示される実施形態による複合マーカー100を示す。図示されるように、複合マーカー100は、複数の超音波反射要素102(1つだけを示す)と、ゲル体104内又はその上に担持される放射線不透過性ワイヤ又はバンド110として図示される少なくとも1つの放射線不透過性要素とを備える。ゲル体104は、複数の超音波反射要素102と少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンド110とを一緒に結合する。
【0066】
本明細書で説明するように、ゲル体は種々の形態のいずれか、例えば、天然ゼラチン状材料、合成ポリマー、又はそれらの組み合わせをとることができる。好適な材料としては、例えば、i)コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブロネクチン、及びアルブミンからなる群から選択されるタンパク質;ii)セルロース又はメチルセルロース、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、及びアルギン酸カルシウムからなる群から選択される多糖類;iii)ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸-コ-乳酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアミン、ポリオキサアミド、ポリオキサエステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、又はそれらのコポリマー;又はi)、ii)又はiii)からいずれか2つ以上の構成要素の混合物のうち任意の1つ又は複数を含む。ゲル体は、いくつかの実施態様では少なくとも部分的に架橋されてもよく、任意選択で、物理的プロセス、化学修飾によって、及び/又は架橋剤を使用して処理されてもよい。例えば、ゲル体は、アルデヒド、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、ジアルデヒド、デンプン、エポキシド、ジメチルアジピミデート、グルコセパン、カルボジイミド、ペントシジン、イソシアネート又はポリイソシアネート、金属架橋剤、イオン架橋剤、アクリル化合物、アルギン酸塩、スルフヒドリル、ゲニピン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される架橋剤を使用することによって、少なくとも部分的に架橋される。あるいは又はさらに、ゲル体は凍結及び/又は解凍によって少なくとも部分的に架橋される。
【0067】
超音波反射要素
超音波反射要素102は、超音波信号の反射を提供するための構造特性を有する。例えば、各超音波反射要素102は、少なくとも1つのキャビティと、少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体とを有する本体を備えることができる。超音波反射要素102は例えば、超音波エネルギーの散乱又は分散を引き起こす粗い外面を有する不規則な表面を有する可能性がある。
【0068】
超音波反射要素102は、多種多様な形態をとることができる。いくつかの実施形態では、各超音波反射要素102がキャビティを形成する外壁を有するシェル、又は2つ以上のキャビティを有する多孔質粒子から形成される。
【0069】
少なくとも1つの実装形態では、超音波反射要素102がキャビティを形成する外壁を有するシェルを備える。シェルは多層中空シェル、例えば、内層及び外層を有するシェルであってもよい。図1Bは超音波信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティ102cと、少なくとも1つのキャビティ102c内の少なくとも1つの流体105とを有する本体102aを備える超音波反射要素102の例示的な実施形態を示す。本体102aはキャビティ102cを形成する外壁を有するシェルであり、外壁は外面及び内面を有し、内面は、内部又はキャビティ102cを画定する。
【0070】
少なくとも1つの実装形態において、超音波反射要素102は、2つ以上のキャビティを有する多孔質粒子である。図1Cは、超音波信号の反射を提供するために、複数のキャビティ102c(1つだけを示す)とキャビティ102c内の少なくとも1つの流体とを有する本体102aを備える超音波反射要素102の例示的な実装形態を示す。
【0071】
超音波反射要素102aの本体102aは、規則的な形状又は不規則な形状を有することができる。超音波反射要素102の本体102aは、球形状又は非球形状を有することができる。特に、2つ以上の超音波反射要素102aの本体102aは互いに同じ形状を有してもよく、又は2つ以上の超音波反射要素102aの本体102aは互いに異なる形状を有してもよい。
【0072】
超音波反射要素の本体は、アモルファス(又はガラス)状態、又は結晶状態、又はアモルファス形態と結晶形態の混合物で存在し得る様々な無機材料から作製され得る。適切な無機材料としては、ホウ酸塩、アルミナ、炭酸塩、重炭酸塩、シリカ、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、二酸化チタン、及びリン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。これらの無機材料のいずれも、モノマー塩の形態であっても、ポリマー又は縮合形態であってもよい。これらの無機材料のいずれかは、1つ又は複数の他の無機材料と混合されてもよい。例示的な無機材料は、シリカ及び二酸化チタンである。少なくともいくつかの実施態様では、超音波反射要素102の本体102aは、被験体(例えば、患者)の身体によって一般に拒絶されたり、望ましくない反応を引き起こしたりする傾向がない生体適合性材料又は生体適合性材料を含む。
【0073】
少なくともいくつかの実装形態では、超音波反射要素のシェル又は多孔質粒子がシリカ又は二酸化チタンを含む。少なくとも1つの実施において、シェル又は多孔質粒子は、シリカシェル又はシリカ粒子である。
【0074】
超音波反射要素に適したシェル(シリカシェルなど)を形成するための様々な技術は例えば、米国特許第8,440,229号、米国特許第9,220,685号、米国特許第10,328,160号、米国特許出願第15/706446号、米国特許出願第15/559764号、及び米国特許出願第15/946,479号に見出すことができ、これらのすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。超音波反射要素に適した多孔質粒子を形成する技術は例えば、米国特許第6,254,852号に見出すことができ、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0075】
超音波反射要素の少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体105は超音波信号の反射を提供するために、気体もしくは液体、又は気体と液体の組み合わせ(例えば、蒸気)であってもよい。キャビティはキャビティの内容物と超音波反射要素の本体との間の音響差のために、気体又は液体、又は気体と液体との組み合わせを捕捉することができ、音波反射器として作用することができる。閉じ込められた流体(気体又は液体)は、超音波信号を強化するための適切なエコー源性界面を提供することができる。本明細書でより詳細に説明するように、少なくともいくつかの実装形態では気体又は液体、又は気体と液体の組合せは本体102aの外側又は外面を覆うコーティング又は層を介してキャビティ内に閉じ込められてもよい。
【0076】
超音波反射要素を調製するプロセス中に存在し得る任意の流体(気体もしくは液体、又は気体もしくは液体の組み合わせ)が適切であり得るが、超音波に対して良好な応答(例えば、戻り又は反射)を提供するものは超音波に対して良好な応答を提供しないものよりも好ましい場合がある。例えば、閉じ込められた気体はO,H,CO、不活性ガス(例えば、N、ヘリウム、アルゴン、又は他の希ガス)のような、元素ガス(elemental gas)、又は化合物ガス(compound gas)であってもよい。例示の閉じ込められた流体はまた、体温未満(例えば、37℃未満)の沸点を有する揮発性流体、例えば、有用な超音波造影性を提供すると予想される、フルオロカーボン(例えば、CF4、6、8、10、シクロ-C8、12、シクロ-C10、シクロ-C(1-トリフルオロメチル)、2-(トリフルオロメチル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-(トリフルオロメチル)-1,1,3,3,3,4,4-ノナフルオロブタン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロ-2-メチルペンタン、ペルフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロデカリン、又はペルフルオロメチルデカリン)を含む。閉じ込められた流体は、前述の流体の混合物、例えば空気であってもよい。適切な液体のさらなる例は米国特許第5,595,723号に見出されることができ、これはその全体が参照により本明細書中に援用される。少なくともいくつかの実装形態では気体もしくは液体、又は気体と液体の組み合わせは生体適合性材料又は複数の生体適合性材料を含み、これらは一般に、被験体(例えば、患者)の身体によって拒絶されたり、望ましくない反応を引き起こしたりする傾向がない。
【0077】
図1Bに示す例示的な実施態様では、シェル本体102a又は多孔質粒子本体102aのキャビティ102cが流体105(気体又は液体、又は気体と液体の組合せ)を含む。超音波反射要素102のキャビティ102c内の適切な流体は上述されている。
【0078】
少なくとも1つの実装形態では、少なくとも1つの流体が、少なくとも1つの流体の液体-気体転移(liquid-gas transition)が音響エネルギーによってトリガーされ得る蒸発閾値(vaporization threshold)を有する。例えば、液体の気化の物理的プロセスは、過熱された液体ナノ液滴に気泡を形成させる超音波の圧力波によって誘発することができ、これが超音波イメージングコントラストを提供することができる。この音響蒸発(acoustic vaporization)の典型的な候補は、フルオロカーボン流体である。適切なフルオロカーボン流体は上述されている。流体の音響蒸発は、高強度集束超音波(HIFU)又は低強度集束超音波(LIFU)によって誘発されてもよい。
【0079】
いくつかの実装形態では、超音波反射要素が1つ又は複数の層をさらに含んでもよく、層は超音波反射要素の本体と同じ材料から、又は超音波反射要素の本体とは異なる材料から作製されてもよい。
【0080】
少なくともいくつかの実装態様では、各超音波反射要素は多孔質であってもよい。例えば、超音波反射要素は例えば図1Cに示すように、1つ又は複数のキャビティを有する多孔質粒子であってもよい。超音波反射要素が、例えば図1Bに示されるようなシェルである場合、シェル102aの本体は多孔質であってもよい。したがって、各超音波反射要素は、その1つ又は複数の細孔を少なくとも一時的に封止するために、任意選択でコーティングを含むことができ、その結果、超音波反射要素の少なくとも1つのキャビティ内の流体が超音波反射要素のキャビティ又は細孔内に閉じ込められる。図2A、2B、2C、及び2Dは超音波反射要素上に任意選択のコーティング106(例えば、疎水性コーティング)を有する超音波反射要素102の例示的な実装を示す。図2A、2B、2C、及び2Dはまた、1つ又は複数の造影剤103a、103bを備える超音波反射要素102の例示的な実装形態を示す。特に、図2Aは少なくともいくつかの点で図1Bのものと同様の超音波反射要素を示し、超音波反射要素102の本体102aの少なくとも外側表面上に疎水性コーティング106が追加され、少なくとも1つの図示された実装形態による超音波反射要素102のキャビティ102cの内側に配置された造影剤103aが追加されている。図2B図1Bのものと少なくともいくつかの点で類似した超音波反射要素102を示しており、超音波反射要素の本体102aの少なくとも外側表面上に疎水性コーティング106が追加され、別の例示された実装形態による、キャビティ102c内ではなく超音波反射要素102の本体102a内に埋め込まれた造影剤103bが追加されている。図2C図1Cのものと少なくともいくつかの点で類似した超音波反射要素102を示し、超音波反射要素102の本体102aの少なくとも外側表面上に疎水性コーティング106が追加され、別の例示された実装形態による超音波反射要素102のキャビティ又は細孔102cの内側に造影剤103aが追加されている。図2D図1Cのものと少なくともいくつかの点で類似した超音波反射要素102を示し、超音波反射要素102の本体102aの少なくとも外側表面上に疎水性コーティングを追加し、別の例示された実施形態による、キャビティ又は細孔102c内ではなく、超音波反射要素102の本体102a内に埋め込まれた造影剤103bを追加する。
【0081】
コーティング106はタンパク質(例えば、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブロネクチン、又はアルブミン)、又は多糖類(例えば、セルロース又はメチルセルロース、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、又はアルギン酸カルシウム)などの天然材料であってもよい。コーティングは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸-コ-乳酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアミン、ポリオキサアミド、ポリオキサエステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は前述のポリマーのいずれかのコポリマーなどの合成ポリマーであってもよい。コーティング106は、任意の2つ以上の前述の材料の混合物であってもよい。
【0082】
コーティング106は、任意選択で疎水性コーティングであってもよい。例えば、コーティングは、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘプタデキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデキシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、m,p-エチルフェネチルトリメトキシシラン、2-[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]-トリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、及びグリシドキシプロピルトリメトキシシランを含むがこれに限定されない、モノ-、ジ-、トリ-、又はテトラ-アルコキシシランであってよい。少なくとも1つの実施形態において、疎水性コーティングは疎水性ポリマー、例えば、オクチルトリエトキシシランを含む疎水性ポリマーの形態をとる。
【0083】
粒子をコーティングする方法は、Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy(Lea & Febiger, 1986)に記載されている。約100ミクロン未満の粒子をコーティングするための技術は、典型的には空気懸濁(air suspension)、コアセルベーション相分離(coacervation-phase separation)、マルチオリフィス遠心分離(multi-orifice centrifugal)、及び溶媒蒸発(solvent evaporation)を含む。
【0084】
超音波反射要素102は、ドップラー超音波イメージングでのような超音波において別個の信号を有することができる。いくつかの実装形態では、そのような超音波反射要素102を含む複合マーカー100が哺乳動物被験体の標的部位に投与される場合、従来のワイヤを用いた位置特定(wire localization)と比較して、有意に少ないマーカー移動を提供することができる。少なくとも1つの実施形態では、超音波反射要素102が術中設定において、カラードップラー超音波イメージング及びBモード超音波イメージングを用いて術中に識別されてもよい。
【0085】
Bモード超音波イメージングの下では、本明細書に記載及び/又は図示されるいくつかの複合ゲルマーカー実装形態における超音波反射要素102が他の市販の超音波マーカーと同様に見えることがある。場合によっては、ドップラーモード下では本明細書に記載及び/又は図示されるいくつかの複合ゲルマーカー実装形態における超音波反射要素102がロバストで高度に着色された信号を生成することができる。従って、超音波反射要素102はドップラー超音波の下で容易に識別可能な領域を生成することができ、適切に構成された超音波機械及びトランスデューサによる迅速な識別及び可視化(例えば、色の可視化又は表現)を可能にする。
【0086】
超音波反射要素102はそれぞれ、約50nm~約20ミクロンの範囲のサイズを有することができる。例えば、超音波反射要素102は、約50nm~約500nm、50nm~約350nm、約100nm~約2.2ミクロン、又は約200nm~約2ミクロンの範囲であってもよい。超音波反射要素102はそれぞれ、約1ミクロンから約20ミクロン、例えば、約1ミクロンから約5ミクロン、又は約1.8ミクロンから約2.2ミクロンの範囲の、より強い反射超音波信号を促進する(promote)ことができるより大きなサイズを有することができるが、経皮的に送達可能なゲル体に組み込むのに十分に小さくなければならない。
【0087】
いくつかの実装形態では、複数の超音波反射要素102がゲル体104内又はその上に、例えば、その中に分散させて、例えば、コロイド分散させて(in a dispersion therein, for instance in a colloidal dispersion)担持される。図1Aは、複数の超音波反射要素102が例えばゲル体104内又はその上に、その中に分散させて、例えばコロイド分散させて担持される複合マーカー100の例示的な実装形態を示す。
【0088】
その他の造影剤
複合マーカー100はまた、1つ又は複数の造影剤103(図1Aには図示せず)をさらに含んでもよく、造影剤の各々は、互いに異なり、超音波イメージング及びX線イメージングとは異なる、それぞれのモダリティを介して検出可能である。適切な造影剤103は周囲組織のものとは異なるリターン信号を生成することができ、視覚観察、蛍光透視法、MRI、核ベースのイメージングなどを含むが、これらに限定されない、超音波イメージング(超音波反射要素を検出する)及びX線イメージング(放射線不透過性ワイヤ又はバンドを検出する)とは異なる様々な対応する検出モダリティを介して検出することができる、多種多様な材料を含むことができる。
【0089】
造影剤103は2つ以上の異なる造影剤を含むことができ、各造影剤は互いに異なり、超音波イメージングとは異なるかつ/又はX線イメージングとは異なるそれぞれの検出モダリティによって検出可能である。
【0090】
造影剤は例えば、染料又は顔料などの視覚的に検出可能な材料を含むことができる。例示的な視覚的に検出可能な材料は、顔料、可視染料、蛍光染料、近赤外染料、及びUV染料である。いくつかの実施態様では、造影剤がカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニン、及びメロシアニンからなる群より選択されるシアニン染料を含む。いくつかの実装形態では、造影剤がメチレンブルー、インジゴ染料、又はインドシアニングリーンのうちの少なくとも1つを含む。少なくとも1つの実装形態では、造影剤はインドシアニングリーンを含む。
【0091】
造影剤は例えば、常磁性、超常磁性、フェリ磁性又は強磁性化合物、又は水素以外の非ゼロスピン核を含有する化合物などの、磁気共鳴イメージング(MRI)によって検出可能な材料を含むことができる。例示的なMRI検出可能な材料はマンガン又はマンガンベースの化合物;ガドリニウム又はガドリニウムベースの化合物(例えば、ガドリニウムDTPA);及びグルコン酸第一鉄、硫酸第一鉄、酸化鉄、又は白金鉄である。
【0092】
造影剤は例えば、核ベースのイメージング(例えば、シンチグラフィー、陽電子放出断層撮影法、又は単光子放射型コンピュータ断層撮影法)を介して検出可能な放射性物質を含んでもよい。例示的な放射性物質は放射性ヨウ素化化合物、111インジウム標識物質、99mTc標識化合物(例えば、99mTcDTPA、99mTcHIDA及び99mTc標識ポリホスホネート)、及び51Cr標識化合物(例えば、51CrEDTA)である。
【0093】
任意選択の造影剤103はゲル体104(図1A)の中又は上に、その中に分散させて、任意選択でコロイド分散させて担持することができる。少なくともいくつかの実装形態では、複数の超音波反射要素102及び造影剤103が例えばゲル体104内又はその上に、その中に分散させて、例えばコロイド分散させて担持される。
【0094】
造影剤103がゲル体104内に分散されている場合、造影剤103がゲル体104から流出するのを防止するために、造影剤103は、シェルのコーティング又はカプセル(又は、カプセル化)をさらに含んでもよい。図3は造影剤103の例示的な実施態様を示し、造影剤103の外面上にシェルの任意のコーティング又はカプセル107を有する。シェルのこの任意のコーティング又はカプセル107は、ホウ酸塩、アルミナ、炭酸塩、重炭酸塩、シリカ、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、二酸化チタン、及びリン酸塩を含むがこれらに限定されない様々な無機材料から形成することができる。これらの無機材料のいずれも、モノマー塩の形態であっても、ポリマー又は縮合形態であってもよい。これらの無機材料のいずれかは、1つ又は複数の他の無機材料と混合されてもよい。例示的な無機材料は、シリカ及び二酸化チタンである。少なくとも1つの実施態様では、造影剤103がシリカ又は二酸化チタンコーティング、又はシリカ又は二酸化チタンシェルのカプセル化をさらに含む。
【0095】
少なくともいくつかの実装形態では、任意選択の造影剤103が超音波反射要素102によって担持されてもよい。少なくとも1つの実装形態では、少なくとも1つの造影剤が存在してもよく、超音波反射要素のキャビティ内にあってもよい。例えば、図2A及び図2Cに示されるように、造影剤103aは流体105と共に、超音波反射要素102の本体102aのキャビティ102cの内側にある。少なくとも1つの実施態様では、少なくとも1つの造影剤103が存在してもよく、超音波反射要素102の本体102aに埋め込まれてもよい。例えば、図2B及び図2Dにおいて、造影剤103bは、超音波反射要素102の本体102a内に担持される。
【0096】
超音波反射要素102が1つ又は複数の層を含む場合、少なくとも1つの造影剤103は、超音波反射要素102の層内にない。例えば、超音波反射要素102が外層(すなわち、超音波反射要素102の外面上に形成された層、例えば、外側シリカ層)を有する場合、造影剤103は超音波反射要素の外層に含まれないか、又はさもなければ、超音波反射要素の外層から除かれる。
【0097】
あるいは超音波反射要素102が1つ又は複数の層を含む場合、少なくとも1つの造影剤103は超音波反射要素102の1つ又は複数の層に配置されてもよい。例えば、超音波反射要素102が外層(すなわち、超音波反射要素102の外面上に形成された層、例えば、外側シリカ層)を有する場合、造影剤103は超音波反射要素102の外層に含まれてもよく、あるいは超音波反射要素102の内層に代替的に又は追加的に含まれてもよい。
【0098】
少なくとも1つの実装形態において、任意の造影剤はシングルエマルジョン法を使用して、流体(例えば、ペルフルオロカーボン流体)と一緒に超音波反射要素(例えば、シリカシェル又はシリカ粒子)中に捕捉され得る。
【0099】
放射線不透過性要素
ゲル体104内又はその上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素110はX線イメージング(例えば、コンピュータ断層撮影、蛍光透視法)によって検出可能な放射線不透過性材料を含む。適切な放射線不透過性材料には、ステンレス鋼、白金、金、イリジウム、チタン、タンタル、タングステン、銀、ロジウム、ニッケル、ビスマス、及びバリウムなどの放射線不透過性金属が含まれる。適切な放射線不透過性材料はまた、2つ以上の放射線不透過性金属の合金、放射線不透過性金属の酸化物、放射線不透過性金属の硫酸塩、及び放射線不透過性金属の炭酸塩を含む。適切な放射線不透過性材料はまた、放射線不透過性セラミックを含んでもよい。任意の2つ以上の前述の放射線不透過性材料の組み合わせを使用して、放射線不透過性要素を形成することができる。
【0100】
少なくともいくつかの実施態様では、放射線不透過性要素110が放射線不透過性ワイヤ又はバンド、又は放射線不透過性クリップ(例えば、生検クリップ)の形態をとることができる。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、放射線不透過性クリップという用語は、放射線不透過性クリップを組織に物理的に結合することができる他の何らかの要素(例えば、複合マーカー、ゲル体)とは対照的に、放射線不透過性クリップ自体を組織の部分に物理的に取り付けることができるかどうかにかかわらず、X線イメージングを使用して組織の一部を識別するために使用することができる放射線不透過性マーカー本体を指す。
【0101】
複合マーカー100(図1)の一部として使用される少なくとも1つの放射線不透過性要素110は、当業者に利用可能な任意の形状をとり得る。例えば、放射線不透過性のワイヤ又はバンドは、直線、螺旋、開コイル、閉コイル、蛇行ループ、レムニスケート、円、波状円などの形態をとることができる。また、例えば、放射線不透過性クリップは、ねじれ、ボウタイ(bowtie)、ダンベル(dumbbell)、T字形、U字形、V字形、W字形、又は様々な方向のいずれかからのX線を受けたときに別個の画像シグネチャを生成することができるほぼ任意の他の三次元形状の形態をとることができる。
【0102】
例えば、図4Aは、螺旋形状を有する放射線不透過性ワイヤ又はバンド110aを示す。比較的広く離間したコイルを有するように図示されているが、少なくとも幾つかの実装形態では放射線不透過性ワイヤ又はバンド110aのコイルが互いに狭く離間していてもよいし、さらには互いに隣接するものに接触しているものであってもよい。加えて、コイルのピッチは、図示のものとは異なる場合がある。いくつかの実装形態では、コイルのピッチが放射線不透過性ワイヤ又はバンド110aの長さに沿って変化又は変動してもよい。図4Bは、回旋状又は蛇行状のループ形状を有する放射線不透過性のワイヤ又はバンド110bを示す。図4Cは、閉じた形状、例えば楕円形又は円形の形状を有する放射線不透過性ワイヤ又はバンド110cを示す。図4Dは閉じた形状、例えば、波状又は波状の楕円形又は円形を有する放射線不透過性ワイヤ又はバンド110dを示す。図4Eは閉鎖形状、例えば、レムニスケート形状を有する放射線不透過性ワイヤ又はバンド110cを示す。
【0103】
放射線不透過性のワイヤ又はバンド110a~110eは、約0.1mm~約0.2mmのサイズ(ワイヤの断面の直径、又はバンドの厚さ)を有していてもよい。例えば、約1mmの断面直径を有するゲル体104の外面の周りにコイル構成を形成する場合、複合マーカーのコイル構成(ゲル体104の外面の周りを包む放射線不透過性ワイヤ又はバンド110a~110eを有する)は約1.2~1.4mmのコイル直径を有し得、これは17ゲージ針に適合し得る。
【0104】
図4Jは少なくとも1つの図示された実施形態による放射線不透過性ワイヤ又はバンド110jの形態の放射線不透過性要素を示し、放射線不透過性ワイヤ又はバンド110jは、その中心に近接する直線距離の単位当たりのコイルの総数に対して、その対向する端部の近傍での直線距離の単位当たりのコイルの総数がより大きい螺旋形状を有する。放射線不透過性ワイヤ又はバンド110jは閉じた(closed)端部を有し、各端部の最も外側のコイルは、それぞれの内側に隣接するコイルに接触する。図4Kは少なくとも1つの図示された実施形態による放射線不透過性ワイヤ又はバンド110kの形態の放射線不透過性要素を示し、放射線不透過性ワイヤ又はバンド110kは、単位直線距離当たりのコイルの総数がその対向する端部近傍の単位直線距離当たりのコイルの総数に対して、その中心近傍でより大きい螺旋形状を有する。放射線不透過性のワイヤ又はバンド110kjは開放(open)端部を有し、各端部で最外側のコイルが、それぞれの内方に隣接するコイルに接触しない。図4Lは少なくとも1つの実装形態に係る放射線不透過性ワイヤ又はバンド110lの形態の放射線不透過性要素を示し、その全長に沿って線距離の単位あたりのコイル総数が一定である放射線不透過性ワイヤ又はバンド110lであり、線距離の単位あたりのコイル総数が比較的高いか、比較的締まったピッチ(例えば、長さに沿って連続するコイルが相互に接触している)を有する。放射線不透過性ワイヤ又はバンド110lは閉じており、各端の外側のコイルがそれぞれの内側に隣接するコイルに接触している。図4Mは少なくとも1つの図示された実施形態による放射線不透過性ワイヤ又はバンド110mの形態の放射線不透過性要素を示し、放射線不透過性ワイヤ又はバンド110mはその全長に沿った直線距離の単位当たりのコイルの総数が一定である螺旋形状を有し、直線距離の単位当たりのコイルの一定の総数が比較的少ないか、又は比較的緩いピッチを有する(例えば、長さに沿った連続するコイルは互いに接触せず、広く離間している)。放射線不透過性のワイヤ又はバンド110mは開放端部を有し、各端部で最外側のコイルが、それぞれの内方に隣接するコイルに接触しない。図4Nは少なくとも1つの図示された実施形態による放射線不透過性ワイヤ又はバンド110nの形態の放射線不透過性要素を示し、放射線不透過性ワイヤ又はバンド110nはその全長に沿った直線距離の単位当たりのコイルの総数が一定である螺旋形状を有し、直線距離の単位当たりのコイルの総数が一定であるか、比較的中間の数であるか、又は比較的中間のピッチを有する(例えば、長さに沿って連続するコイルが互いに接触せず、互いに中間に離間している)。放射線不透過性のワイヤ又はバンド110mは開放端部を有し、各端部で最外側のコイルが、それぞれの内方に隣接するコイルに接触しない。
【0105】
例として、放射線不透過性ワイヤ又はバンド110j~110nは生体適合性金属ワイヤ、例えば、チタンワイヤから形成されてもよく、生体適合性金属ワイヤは約0.003インチの半径を有し、螺旋は、約0.03インチの外径及び約0.06インチ~0.12インチの長さを有する。異なる形状又は構成を使用することは、例えば、腫瘍、他の塊、又は疑わしい組織が身体の一部分上の2つ以上の位置でマーキングされている場合、様々な画像化技術を使用して、異なる複合マーカーが互いに識別されることを有利に可能にし得る。
【0106】
また、例えば、図4Fは例えば砂時計形状を有するか、又はねじれを含み、ボウタイに似ている、挟まれたネック領域を有する形状を有する放射線不透過性クリップ110fを示す。図4Gは、例えばダンベルに似た、対向する球根状端部を有する放射線不透過性クリップの形態の放射線不透過性クリップ110gを示す。図4Hは例えば、U字形、V字形、又はW字形を有する、対向する脚部を有する放射線不透過性クリップ110hを示す。図4Iは、T字形を有する放射線不透過性クリップ110iを示す。
【0107】
放射線不透過性クリップ110f~110iは、放射線不透過性ワイヤ又はバンド110a~110e、又は放射線不透過性ワイヤ又はバンド110j~110nを参照して上述したものと同様の寸法を有することができる。
【0108】
ゲル体
先に説明したように、複合マーカー100はゲル体104を含み、これは、天然ゼラチン材料、合成ポリマー、又はそれらの組み合わせを含み得る。適切な天然ゼラチン状材料としては、タンパク質(例えば、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブロネクチン、及びアルブミン)、及び多糖類(例えば、セルロース又はメチルセルロース、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、及びアルギン酸カルシウム)が挙げられる。適切な合成ポリマーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸-コ-乳酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアミン、ポリオキサアミド、ポリオキサエステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及び前述のポリマーのいずれかのコポリマーが挙げられる。任意の前述の天然ゼラチン状材料及び合成ポリマーから選択される任意の2つ以上の材料の混合物を、ゲル体として使用することができる。少なくとも1つの実施形態において、ゲル体は、天然コラーゲン又はゼラチンを含む。少なくとも1つの実施形態では、ゲル体が合成PVA又はPEGを含む。
【0109】
ゲル体104は短期間(数週間~数ヶ月)内に受容哺乳動物被験体(又は、宿主哺乳動物被験体/host mammalian subject)の組織においてインビボで分解し得るか、又は長期間(例えば、60年以上)にわたって受容哺乳動物被験体の組織において持続し得る。ゲル体は分解速度を低下させ、受容哺乳動物被験体の組織中に長期間、例えば、数時間、数日、1週間もしくは数週間、1ヶ月もしくは数か月間、又はさらには1年もしくは数年にわたってさえも持続するように、少なくとも部分的に架橋されてもよい。分解性である場合、受容哺乳動物被験体の組織における複合マーカーの分解速度は、ゲル体の架橋の程度によって制御され得る。生物学的分解は、架橋の程度が増加することにつれて、より遅い速度で起こる。
【0110】
いくつかの実施態様では、ゲル体が超音波反射要素、放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップ)、又はゲル体内又はゲル体上に担持された造影剤(存在する場合)の少なくともいくつか又は一部を身体組織に曝露する、ある期間にわたって少なくとも部分的に分解されていてもよい。これらの暴露された(又は、曝された)マーカー要素は短期間(数週間~数ヶ月)内に受容哺乳動物被験体の組織においてインビボで分解し得るか、又は長期間(例えば、60年以上)にわたって受容哺乳動物被験体の組織において持続し得る。
【0111】
いくつかの実施態様では、ゲル体の架橋度が受容哺乳動物被験体の組織における複合マーカーの所望の又は規定された分解速度によって決定される。少なくとも1つの実施において、分解速度は、複合マーカーが受容哺乳動物被験体の組織において、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、又は少なくとも9ヶ月の期間持続するような速度である。
【0112】
ゲル体の架橋又は部分架橋は、物理的プロセス又は化学的修飾(架橋剤を使用して、又は使用せずに)によって達成することができる。適切な物理的プロセスは乾燥(例えば、凍結乾燥、臨界点乾燥、又は空気乾燥)、熱脱水、及び放射線(例えば、UV放射線又はγ線放射線)を含むが、これらに限定されない当業者に公知のものである。適切な化学的修飾は液相架橋(例えば、ゲルを架橋剤の溶液に浸漬して反応させ、未反応の架橋剤を洗浄除去する)、気相架橋(例えば、ゲルの架橋反応を架橋剤の蒸気下で行い、未反応の架橋剤を空気流で洗い流す)、及び超臨界流体架橋(例えば、ゲルを架橋剤を含有する超臨界流体と接触させて反応させる)を含むが、これらに限定されない当業者に公知のものである。
【0113】
少なくとも1つの実施において、ゲル体は、凍結及び/又は解凍によって少なくとも部分的に架橋される。
【0114】
少なくとも1つの実施態様では、ゲル体が架橋剤を使用することによって少なくとも部分的に架橋される。適切な架橋剤はアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、ジアルデヒド、デンプン、エポキシド、ジメチルアジピミデート、グルコセパン、カルボジイミド、ペントシジン、イソシアネート又はポリイソシアネート、金属架橋剤、イオン性架橋剤、アクリル化合物、アルギネート、スルフヒドリル、ゲニピン、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないポリマーの架橋に使用するための当業者に公知のものである。
【0115】
ゲル体の架橋度は、架橋処理時間(物理的プロセスの場合)、架橋反応時間(化学的プロセスの場合)、架橋剤の濃度(化学的プロセスの場合)、操作温度又は圧力、及び他のプロセスパラメータ又は反応条件を変更することによって調整され得る。
【0116】
ゲル体は、ゲル又はゲル形成材料から調製することができる。例えば、乾燥ゲル又はゲル形成材料を様々な濃度で蒸留水と混合して、得られた特性を特定の指標又は使用に合わせることができ、例えば、約1wt%(すなわち、100mlの蒸留水当たり1gのゲル又はゲル形成材料)~約50wt%、例えば、約1wt%~約10wt%、約4wt%~約10wt%、又は約4wt%~約6wt%の濃度である。
【0117】
少なくともいくつかの実施態様では、複合マーカーが、外面を有するゲル体と、ゲル体内又はゲル体上に担持された活性化及び/又は加水分解された蛍光染料と、ゲル体内又はゲル体上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤもしくはバンド又は放射線不透過性クリップ)とを含むことができる。蛍光染料は、視覚的検出のモダリティを提供し得る。染料(又は、色素/dye)によって提供される検出モダリティは例えば、超音波検出及び/又はX線検出モダリティに加えてもよい。少なくともいくつかの実施態様では、少なくとも1つの放射線不透過性要素がゲル体の外面の周りに配置されない。
【0118】
図5Aは、哺乳動物被験体における標的部位をマーキングするために使用され得る複合マーカー500aの例示的な実施を示す。少なくとも1つの実施態様では、複合マーカー500aが活性化及び/又は加水分解された蛍光染料503と、放射線不透過性ワイヤ又はバンド510として示される、ゲル体504の中又は上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素とを含む。ゲル体504は、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料503と少なくとも1つの放射線不透過性要素とを一緒に結合する。
【0119】
蛍光染料
活性化及び/又は加水分解された蛍光染料503は複合マーカーを形成する際、蛍光染料をゲル体に暴露するときに、蛍光染料を活性化及び/又は加水分解することによって形成されてもよい。語句「活性化及び/又は加水分解された蛍光染料」は蛍光染料材料をゲル体に曝露して複合マーカーを調製する際に形成される蛍光染料分子の形態を指し、その過程中に蛍光染料分子が活性化及び/又は加水分解されて蛍光を発することができる。ゲル体を使用して複合マーカーを形成することによって、蛍光染料分子は光退色効果が最小化され得るように、その活性化及び/又は加水分解形態で「ロックされる」(又は少なくとも延長される)。ICGを例に取ると、水溶液中では、ICGは780nmで最大吸収を有し、蛍光については比較的低い量子収率を有する。それにもかかわらず、遊離形態のICGは、血流から迅速に除去され、光退色し得る。複合マーカーを形成するためにICGをゲル体に組み込む場合、ICGはゲル体中の水成分に曝露されて活性化及び/又は加水分解され、これは溶液中のICGと同じ又は類似の吸収シグネチャを提供し得る。さらに、活性化及び/又は加水分解されたICGを複合マーカーに組み込むことは、ICG染料の漂白効果を減少させ、ICG染料を検出及びモニターすることができる有効時間を増加させることができる。
【0120】
適切な蛍光染料にはカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニン、及びメロシアニンなどのシアニン染料が含まれるが、これらに限定されない。例示的なシアニン染料は、インドシアニングリーンである。
【0121】
活性化及び/又は加水分解された蛍光染料503は、ゲル体504中又はその上に、その中に分散させて、例えばコロイド分散させて、担持されてもよい。図5Aは複合マーカー500aの例示を示している。ここで、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料503はゲル体504内又はゲル体上に、その中に分散させて、例えば、コロイド分散させて、担持される。
【0122】
蛍光染料がゲル体中に分散される場合、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料がゲル体から流出するのを防止するために、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料は、シェルのコーティング又はカプセル(又は、カプセル化/encapsulation)をさらに含んでもよい。シェルのこのコーティング又はカプセル化は、ホウ酸塩、アルミナ、炭酸塩、重炭酸塩、シリカ、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、二酸化チタン、及びリン酸塩を含むがこれらに限定されない様々な無機材料から形成することができる。これらの無機材料のいずれも、モノマー塩の形態であっても、ポリマー又は縮合形態であってもよい。これらの無機材料のいずれかは、1つ又は複数の他の無機材料と混合されてもよい。例示的な無機材料は、シリカ及び二酸化チタンである。少なくとも1つの実施において、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料は、シリカ又は二酸化チタンコーティング又はシリカ又は二酸化チタンシェルのカプセル化をさらに含む。
【0123】
複合マーカー500aはまた、1つ又は複数の造影剤502をさらに含み得る。造影剤502は2つ以上の異なる造影剤を含むことができ、各造影剤は互いに異なり、蛍光の検出及びX線イメージングとは異なるそれぞれの検出モダリティによって検出可能である。
【0124】
いくつかの実装形態では、任意選択の造影剤502が超音波イメージング信号の反射性を提供するために、少なくとも1つのキャビティを有する本体と、少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体とをそれぞれ含む複数の超音波反射要素102を備える。いくつかの実施態様では、造影剤502は、超音波イメージング信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティを有する本体と、少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体105とをそれぞれ含む複数の超音波反射要素102を備える。
【0125】
これらの活性化及び/又は加水分解された蛍光染料の実施態様では、超音波反射要素102がとり得る様々な形態、超音波反射要素の本体102aの形状及び材料、超音波反射要素を形成する技術、超音波反射要素のキャビティ又は細孔内に捕捉された流体105、超音波反射要素上のコーティング106、超音波反射要素のサイズ、及び図1B-1C及び図2A~2Dに示される例示的な実施態様を含む、超音波反射要素102に関するすべての上記の説明及び実施態様は、すべて、複合マーカー500a内の任意選択の造影剤502に関する実装形態に適用可能である。
【0126】
いくつかの実施態様では任意選択の造影剤502が複数の超音波反射要素102を含み、各超音波反射要素はキャビティ102cを形成する外壁を有するシェル102a、又は1つ又は複数のキャビティ102c又は細孔を有する多孔質粒子102aから形成される(図1B及び図1Cに示すように)。いくつかの実施態様では、シェル又は多孔質粒子がシリカ又は二酸化チタンを含む。少なくとも1つの実装形態において、シェル又は多孔質粒子は、シリカシェル又はシリカ粒子である。
【0127】
いくつかの実施態様では、任意選択の造影剤502が複数の超音波反射要素102を含み、各超音波反射要素は超音波イメージング信号の反射を提供するために、閉じ込められた流体(例えば、気体又は液体、又は気体と流体との組合せ、又は蒸気)105を含む少なくとも1つのキャビティを有する本体をそれぞれ含む。少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの流体が少なくとも1つの流体の液体-気体転移が音響エネルギーによってトリガーされ得るという蒸発閾値を有する。流体の音響蒸発は、高強度集束超音波(HIFU)又は低強度集束超音波(LIFU)によって誘発されてもよい。
【0128】
いくつかの実施態様では、任意選択の造影剤502が蛍光染料ではない染料又は顔料などの、蛍光の検出以外の検出モダリティで視覚的に検出可能な材料を含む。例示的な視覚的に検出可能な材料は、顔料、可視染料、及びUV染料である。少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの造影剤がメチレンブルー及びインジゴ染料のうちの少なくとも1つを含む。
【0129】
いくつかの実施態様では、任意選択の造影剤502が磁気共鳴イメージング(MRI)を介して検出可能な材料を含む。適切なMRI検出可能な材料は、造影剤103に関連して上述されている。
【0130】
いくつかの実施態様では、任意選択の造影剤502が核ベースのイメージング(例えば、シンチグラフィー、陽電子放出断層撮影、又は単光子放射型コンピュータ断層撮影)を介して検出可能な放射性物質を含む。適切な放射性物質は、造影剤103に関連して上述されている。
【0131】
いくつかの実施態様では、任意選択の造影剤502及び活性化及び/又は加水分解された蛍光染料503が、ゲル体504内又はその上に、その中に分散させて、任意選択でコロイド分散させて、担持される。図5Aは複合マーカー500aの例示的な実施を示し、ここで、任意選択の造影剤502及び活性化及び/又は加水分解された蛍光染料503はゲル体504中又はゲル体504上に、その中に分散させて(例えば、コロイド分散させて)で担持される。
【0132】
任意選択の造影剤がゲル体中に分散される場合、造影剤は、造影剤がゲル体から流出するのを防止するために、シェルのコーティング又はカプセル化をさらに含んでもよい。シェルのコーティング又はカプセル化は、様々な無機材料から形成することができる。適切な無機材料は、造影剤103及びシェル107の任意のコーティング又はカプセル化に関連して上述されている。
【0133】
いくつかの実装形態では、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料は、造影剤502上に担持されても、又はその中に埋め込まれてもよい。例えば、図5Bでは、複合マーカー500bは、造影剤502上に担持された、又は埋め込まれた活性化及び/又は加水分解された蛍光染料503を含む。
【0134】
少なくとも1つの実施において、任意選択の造影剤502は複数の超音波反射要素102を含み、各々は超音波イメージング信号の反射性を提供するために、封入された流体(例えば、気体又は液体、又は気体及び液体の組み合わせ)105を含む少なくとも1つのキャビティをそれぞれ有する本体を含み、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料は、造影剤502上に担持されても、又はその中に埋め込まれてもよい。例えば、図5Bでは、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料503が超音波反射要素502(又は102)上に担持されるか、又はその中に埋め込まれる。この実施態様では、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料が図2A-2Dに示す例示的な実施態様と同様に、超音波反射要素のキャビティ内にあってもよく、及び/又は超音波反射要素の本体内に埋め込まれてもよい。
【0135】
少なくとも1つの実装形態において、活性化及び/又は加水分解された蛍光染料(例えば、ICG)はシングルエマルジョン法を使用して、流体(例えば、ペルフルオロカーボン流体)と一緒に超音波反射要素(例えば、シリカシェル又はシリカ粒子)中に捕捉され得る。
【0136】
複合マーカー500a,500bはまた、少なくとも1つの放射線不透過性要素を含んでおり、この例では、X線イメージング(例えば、コンピュータ断層撮影、蛍光透視法)を介して検出可能な放射線不透過性材料を含む、ゲル本体504内又は上に担持される放射線不透過性ワイヤ又はバンド510として説明される。
【0137】
少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップ)110に関連して論じられ、かつ/又は例示された上記の説明及び実施はすべて、少なくとも1つの放射線不透過性要素のための適切な放射線不透過性材料、ならびに少なくとも1つの放射線不透過性要素の形態、形状、及びサイズを含み、複合マーカー500a,500b内の少なくとも1つの放射線不透過性要素510に関連する実施にすべて適用可能である。
【0138】
複合マーカー500a,500bはまた、天然ゼラチウム材料、合成ポリマー、又はその組合せからなるゲル体504を含む。
【0139】
ゲル体のための適切な材料、ゲル体の架橋、ゲル体の形態及びサイズ、ならびにゲル体の調製を含む、ゲル体104に関連して論じられ、かつ/又は図示された上記のすべての説明及び実施は、複合マーカー500a,500bにおけるゲル体504に関連する実装形態にすべて適用可能である。
【0140】
それぞれの複合マーカー100又は500a,500bにおけるゲル体104又は504は例えば、ゲル体を成形又は形成する際に使用される型又はマンドレル、ならびに複合マーカーを構築又は作製するために使用される特定の構築技術に依存して、種々の形態をとり得る。
【0141】
いくつかの実施態様では、ゲル体104又は504が細長い構造、例えば「中実」ロッド又は中空ロッド又は部分的に中空のロッドの形態をとることができる。本明細書で使用されるとき、用語「中実ロッド」は全体的に又は部分的にそこを通って延在する長手方向通路を含まないロッドを指し、用語「中実ロッド」は、ゲル体104又は504のコンシステンシーに影響を与えない。したがって、「中実ロッド」は長手方向の通路を有さないが、実際には接触に対して柔らかく、例えば、架橋されていないか、又は軽く架橋されたゲルロッドであり得る。本明細書で使用されるとき、用語「中空ロッド」はそれを通って全体的に延在する長手方向通路を含むロッドを指し、用語「部分的に中空のロッド」は、それを通って部分的にのみ延在する長手方向通路を含むロッドを指す。中空及び部分的に中空のロッドは管又は管状構造のクラスに入ることができ、それぞれは、少なくとも部分的にそこを通って延びる長手方向通路を有する。
【0142】
いくつかの実施態様では、ゲル体104又は504がロール、層状ロール、渦巻き、又はスパイラルロールの形態をとることができる。例えば、ゲル材料の1つ又は複数のシートが例えば、ロールを形成するためにマンドレルの周りに巻かれ得、マンドレルは、ロールを形成した後に除去される。ゲル材料のシート(単数又は複数)の対向する端部は、相対的に一緒に引っ張られて、閉鎖構造又は対向する端部間にギャップを有する開放構造を形成してもよい。また、例えば、ゲル材料の1つ又は複数のシートは例えば、半径を増加又は減少させて圧延されて、層状ロール、渦巻き(例えば、インボリュート)、又は螺旋プロフィールを有するロールを形成し得る。ロール、層状ロール、渦巻き及び/又はスパイラルロールは管又は管状構造のクラスに属し得、各々はそれを通って少なくとも部分的に延在する長手方向通路を有する。
【0143】
本明細書で使用される「管」又は管状という用語は中空断面(例えば、少なくとも部分的に中を通って延びる長手方向通路)を有する細長い輪郭を指す。本明細書で使用される「管状鋳型」という用語は中空断面(例えば、少なくとも部分的に中を通って延びる長手方向通路)を有する細長い輪郭を有する物品(例えば、ゲル体)を製造するために使用される鋳型又はマンドレルを指す。管、管状構造、又は管状金型の断面の外周又は外形及び/又は内周又は内形の形状は任意の形態又は形状、例えば、円形、六角形、八角形、三角形、正方形、長方形、卵形、又は楕円形をとることができる。外周又は外輪郭及び内周又は内輪郭は、互いに同じ形状を有してもよく、又は互いに異なる形状を有することもできる。
【0144】
例えば、ゲル体104又は504は、ロッドの形態をとってもよい。図6Aは、ロッドの形態をとるゲル体604を有する複合マーカー100又は500a,500bの例示的な実施を示す。ロッドの形状は、ゲル体を成形する際に使用される金型の形状によって調整及び制御することができる。例えば、内側円筒形又は直方体キャビティを有する管状金型は、ゲル体をそれぞれ円筒形又は直方体ロッドに成形することができる。ロッドは例えば、「中実ロッド」、すなわち、長手方向通路を有しないロッドであってもよい。
【0145】
典型的には複合マーカーが1つのゲル体のみを含む場合、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップ)はゲル体の外面の周りに完全には配置されない。その代わりに、少なくとも1つの放射線不透過性要素の1つの部分をゲル体の外面の周りに巻き付け、放射線不透過性要素の少なくとも別の部分をゲル体に埋め込むことができる。図6A及び6Bは、放射線不透過性ワイヤ又はバンド610として示される少なくとも1つの放射線不透過性要素を担持するゲル体604を有する複合マーカー100又は500a,500bの例示的な実装形態を示す。ゲル体内又はその上に担持された造影剤(超音波反射要素102、又は蛍光染料503、又は他のタイプの造影剤)は標識されていない(not labeled)。図6A及び6Bはゲル体604の外面の周りに巻き付けられた放射線不透過性ワイヤ又はバンド610の一部を示し、放射線不透過性ワイヤ又はバンド610の別の部分はゲル体604に埋め込まれている。
【0146】
上記のように、ゲル体104又は504は、チューブの形態をとってもよい。図7Bは、チューブの形態をとるゲル体704を有する複合マーカー100又は500a,500bの例示的な実装形態を示す。チューブの形状は、ゲル体を成形するとき、又は他の方法で形成するときに使用されるモールド又はマンドレルの形状によって調節及び制御することができる。
【0147】
少なくともいくつかの実施態様では、放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップ)は管の中空の内部又は通路(例えば、長手方向通路)内に配置され、置かれ、又はさもなければ存在し得る。チューブの一端又は両端は、開放されたままであってもよい。あるいは、チューブの一端又は両端が例えば、ゲルプラグ又はゲル形成材料で、又はクリンプされ、圧搾され、又は挟まれて閉じられることによって、少なくとも部分的にシールされてもよい。ゲルプラグ又はゲル形成材料は、ゲル体を形成するゲル材料と同じ材料であっても、異なる材料であってもよい。ゲルプラグは、摩擦嵌めによって、材料間の融合による化学的引力によって、ゲル体に結合することができる。ゲルプラグは、ゲル体の内周によって密接に受容されるように設計された外周を有することができる。外周は一方の端部から他方の端部に向かって先細になっていてもよく、あるいはフレア状になっていてもよく、テーパ状又はフレア状はゲル体の内周の相補的なフレア状又はテーパ状に一致している。
【0148】
図7A及び7Bは、放射線不透過性ワイヤ又はバンド710として示される少なくとも1つの放射線不透過性要素を担持するゲル体704を有する複合マーカー100又は500a,500bの例示的な実装形態を示す。ゲル体内又はその上に担持された造影剤(超音波反射要素102、又は蛍光染料503、又は他のタイプの造影剤)は標識されていない。図7A及び図7Bはゲル体704が2つの端部を有する管の形態をとり、放射線不透過性ワイヤ又はバンド710が管704の中空内部707内に配置され、置かれ、又は存在することを示す。図7Aはまた、チューブ704の一端又は両端がゲル714で少なくとも部分的に封止され得る選択肢を示す。ゲル714は、ゲル体704の材料と同じ材料であっても、異なる材料であってもよい。適切なゲル又はゲル形成材料は、ゲル体104に関連して上述されている。
【0149】
上述したように、ゲル体104又は504は、ロール、層状ロール、渦巻き又はスパイラルロールの形態をとることができる。ロールは、キャビティ又は通路を残してその長手方向軸に沿って部分的に開いていてもよく(例えば、C字形の断面又は輪郭)、又は閉じていてもよい(例えば、O字形、0字形、D字形の断面又は輪郭)。キャビティ又は通路は、ゲル体の長さにわたって互いに対向する一対の端部を有する。本明細書に記載されるように、キャビティ又は通路は一端が開いていてもよく、又は両端が開いていてもよく、又はキャビティ又は通路は一端が閉じていてもよく、又は両端が閉じていてもよい。例えば、一方又は両方の端部は、クリンプされて(又は、両端を引き寄せて重ねられて/crimp)閉じられ、水和され、膨潤されて閉じられ、プラグによって閉塞され、及び/又はエンドキャップによってキャップされてもよい。放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)はロール、層状ロール、渦巻き、又は螺旋ロールの内部キャビティ又は通路807内に配置されるか、又は他の方法で存在してもよい。図8A~8Cは少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)810を担持するゲル体804を有する複合マーカー100又は500a,500bの例示的な実装形態を示す。ゲル体内又はその上に担持された造影剤(超音波反射要素102、又は蛍光染料503、又は他のタイプの造影剤)は標識されていない(又は、符号が付されていない)。図8Aはゲル体804が開いたロールの形態をとり、放射線不透過性要素810がゲル体804の内部キャビティ内に配置されるか、置かれるか、又は存在することを示す。図8Bは、ゲル体804がロール804の内部キャビティ内に放射線不透過性要素810を有する部分的に閉じた又は閉じたロールの形態をとることを示す。図8Cは、ゲル体804がゲル体804の内部キャビティ内に放射線不透過性要素810を有する、閉鎖された層状ロール、渦巻きロール、又は螺旋ロールの形態をとることを示す。
【0150】
複合マーカーは、外面を有する第1のゲル体と、第1のゲル体の外面の少なくとも一部の周りに配置され、それに接触する少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップ)と、X線イメージングとは異なる検出モダリティによって検出可能な、第2のゲル体内又は上に少なくとも1つの造影剤を担持する第2のゲル体とを含むことができる。第2のゲル体は、第1のゲル体に物理的に結合される。
【0151】
いくつかの実施態様では第1のゲル体が外面を有し、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップ)は第1のゲル体の外面の少なくとも一部の周りに配置され、その外面の少なくとも一部と接触する。第2のゲル体は内面を有する管の形態をとり、第1のゲル体の外面は第2のゲル体の内面と少なくとも部分的に接触し、放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップ)は、第2のゲル体の内面の少なくとも一部と接触する。
【0152】
図9A及び9Bは、哺乳動物被験体における標的部位をマーキングするために使用され得る複合マーカー900の例示的な実施を示す。少なくとも1つの実装形態では、複合マーカー900が外面を有する第1のゲル体904aと、第1のゲル体904aの外面の少なくとも一部の周りに配置され、それに接触する、放射線不透過性ワイヤ又はバンド910として示される少なくとも1つの放射線不透過性要素と、X線イメージングとは異なるモダリティによって検出可能な第2のゲル体904b内又はその上に少なくとも1つの造影剤903を担持する第2のゲル体904bとを備える。第2のゲル体904bは内面を有するチューブの形態をとり、第1のゲル体904aの外面と少なくとも部分的に接する形で第2のゲル体904bの内面を有することにより第1のゲル体904aに物理的に連結されている。放射線不透過性ワイヤ又はバンド910は、第2のゲル体904bの内面の少なくとも一部と接触する。第2のゲル体904bは少なくとも1つの造影剤903と少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、ワイヤ又はバンド910)とを一緒に結合する。
【0153】
いくつかの実装形態では第1のゲル体が外面を有し、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップ)は第1のゲル体の外面の少なくとも一部の周りに配置され、その外面の少なくとも一部と接触する。第2のゲル体は、任意の形態をとることができる。例えば、第2のゲル体は、ロッド、ロールもしくは層状ロール、渦巻きロールもしくはスパイラルロール、又はチューブの形態をとることができる。第2のゲル体の一端は、第1のゲル体の一端に物理的に結合される。
【0154】
いくつかの実装形態では、複合マーカーが第1及び第2のゲル体に加えて、1つ又は複数の追加のゲル体をさらに含むことができる。1つ又は複数の追加のゲル体のそれぞれは、任意選択で、それぞれの追加のゲル体の中又は上に、互いに異なる、第2のゲル体とは異なる、及びX線イメージングとは異なるモダリティを介して検出可能な少なくとも1つの造影剤を担持することができる。追加のゲル体の各々は、任意の形態をとることができる。例えば、追加のゲル体の各々は、ロッド、ロールもしくは層状ロール、又は渦巻きもしくはスパイラルロール、又はチューブの形態をとってもよい。追加のゲル体の各々は、第1のゲル体、第2のゲル体、又は異なる追加のゲル体に物理的に結合される。
【0155】
図10は、哺乳動物被験体における標的部位をマーキングするために使用され得る複合マーカー1000の例示的な実装形態を示す。少なくとも1つの実装形態では、複合マーカー1000が外面を有する第1のゲル体1004aと、第1のゲル体1004aの外面の少なくとも一部の周りに配置され、それに接触する、放射線不透過性ワイヤ又はバンド1010として示される少なくとも1つの放射線不透過性要素と、X線イメージングとは異なるモダリティによって検出可能な第2のゲル体1004b内又は上に少なくとも1つの造影剤1003を担持する第2のゲル体1004bとを備える。第2のゲル体1004bは2つの端部を有するチューブ、渦巻き又はスパイラルロール又はロッド、ロール又は層状ロールの形態をとり、第2のゲル体1004bの一方の端部は、第1のゲル体1004aの一方の端部に物理的に結合される。図10はまた、任意選択で追加の第3のゲル体1004cを含む複合マーカー1000の任意選択の実装形態を示す。任意選択の第3のゲル体1004cは、2つの端部を有する、ロッド、ロール又は層状ロール、渦巻き又はスパイラルロール、又は管の形態をとり、任意選択の第3のゲル体1004cの一方の端部は、第1のゲル体1004aの一方の端部に物理的に結合される。任意選択の第3のゲル体1004cは任意選択で、X線イメージングとは異なり、第2のゲル体1004bとは異なるモダリティによって検出可能な少なくとも1つの造影剤1003を第3のゲル体1004c内又はその上に担持することができる。
【0156】
図11A及び図11Bは、少なくとも1つの例示された実装形態による複合マーカー1100の一部を示す。特に、図11A及び11Bは、第1の複数の超音波反射要素1102a(1つだけを示す)が分散されたゲル体1104を示す。ゲル体1104及び超音波反射要素1102aは、複合マーカー1100の製造の一部として形成することができる。したがって、図11A及び11Bは、複合マーカー1100を製造する際の操作又は動作を示す。
【0157】
図11C及び図11Dは、少なくとも1つの例示された実装形態による複合マーカー1100の一部を示す。特に、図11C及び11Dは、図11A及び11Bの第1の複数の超音波反射要素1102aを有するゲル体1104を示し、ゲル体1104に形成されたキャビティ又は通路1107と、キャビティ又は通路1107に配置された、放射線不透過性ワイヤ又はバンド1110として示される少なくとも1つの放射線不透過性要素とを有する。ゲル体1104、超音波反射要素1102a、及び少なくとも1つの放射線不透過性要素1110は、複合マーカー1100の製造の一部として形成することができる。したがって、図11C及び11Dは複合マーカー1100を製造する際の操作又は動作、例えば、図11A及び11Bに示す操作又は動作の後に生じる操作又は動作を示す。
【0158】
図11E及び図11Fは、少なくとも1つの例示された実装形態による複合マーカー1100を示す。特に、図11E及び11Fは、図11C及び11Dの第1の複数の超音波反射要素1102a及び少なくとも1つの放射線不透過性要素1110を有するゲル体1104を示し、キャップが、エンドキャップ1124aとしてゲル体1104の端部1104aに取り付けられている。エンドキャップ1124aは、エンドキャップ1124a内に分散された第2の複数の超音波反射要素1102bを含んでもよい。ゲル体1104、超音波反射要素1102a、1102b、少なくとも1つの放射線不透過性要素1110、及びエンドキャップ1124aは、複合マーカー1100の製造の一部として形成することができる。したがって、図11E及び11Fは複合マーカー1100を製造する際の操作又は動作、例えば、図11C及び11Dに示す操作又は動作の後に生じる操作又は動作を示す。
【0159】
図11Eはゲル体1104の既に閉鎖された端部の上に配置されたエンドキャップ1124aを示すが、いくつかの実装形態ではエンドキャップ1124aがゲル体1104の開放端の上に配置されてもよい。また、図11Eは1つの開放端及び1つの閉鎖端を有するものとしてゲル体を示すが、いくつかの実装形態ではゲル体がそれぞれのエンドキャップ1124a、1124b(図11G参照)によって閉鎖される2つの開放端、又は2つの閉鎖端を有することができ、その一方又は両方はそれぞれのエンドキャップ1124a、1124b(図11G参照)を含むことができる。
【0160】
図11Gは、少なくとも1つの例示された実装形態による複合マーカー1100を示す。特に、図11G図11E及び11Fの第1の複数の超音波反射要素1102a、少なくとも1つの放射線不透過性要素1110、及びエンドキャップ1124aを有するゲル体1104を示し、ゲル体1104の他端1104bに配置された、第3の複数の超音波反射要素1102cが中に分散された第2のエンドキャップ1124bを追加する。互いに同じ全体形状及びサイズを有するものとして示されているが、エンドキャップ1124aのうちの1つはエンドキャップ1124bのうちの他の1つとは異なるサイズ及び形状を有してもよく、これは身体組織の一部分内の複合マーカー1100の姿勢(例えば、位置及び配向)の検出を容易にし得る。ゲル体1104、超音波反射要素1102a、1102b、1102c、少なくとも1つの放射線不透過性要素1110、及びエンドキャップ1124a、1124bは、複合マーカー1100の製造の一部として形成することができる。したがって、図11Gは複合マーカー1100を製造する際の操作又は動作、例えば、図11C及び11Dに示す操作又は動作の後に生じる操作又は動作を示す。
【0161】
図11E、11F、及び11Gの実施形態に関して、エンドキャップ1124a、1124bは、有利にはゲル体1104とは異なる物理的特性を有する可能性がある。例えば、エンドキャップ1124a、1124bは、ゲル体1104とは異なる材料で形成されてもよい。例えば、エンドキャップ1124a、1124bはポリエチレングリコール(PEG)から形成されてもよく、ゲル体1104はゼラチンから形成されてもよい。また、例えば、エンドキャップ1124a、1124bは、ゲル体1104の架橋度又は架橋度とは異なる架橋度又は架橋の広がり(extensiveness)を有する可能性がある。追加的に又は代替的に、エンドキャップ1124a、1124bは、ゲル体1104内の超音波反射要素1102aの種類及び/又は分布とは異なる種類及び/又は分布の超音波反射要素1102b、1102cを有することができる。追加的に又は代替的に、エンドキャップ1124a、1124bは有利には例えば、互いに異なる材料、互いに異なるレベル又は広がりの架橋及び/又は互いに異なるタイプ及び/又は分布の超音波反射要素1102b、1102cで形成された、互いに異なる物理的特性を有することができる。複合マーカー1100の構成要素のうちの任意の1つ又は複数は超音波及びX線に加えてモダリティを介して検出可能性を提供するために、造影剤を全く含まなくてもよく、1つ又は複数のタイプを含んでもよい。
【0162】
図11Hは、少なくとも1つの例示された実装形態による複合マーカー1100を示す。特に、図11Hは、図11E及び11Fの第1の複数の超音波反射要素1102a、少なくとも1つの放射線不透過性要素1110、及びエンドキャップ1124aを有するゲル体1104を示し、ゲル体1104の他端1104bに配置された第3の複数の超音波反射要素1102cが分散されたゲルプラグ1114を追加する。ゲル体1104、超音波反射要素1102a、1102b、1102c、少なくとも1つの放射線不透過性要素1110、エンドキャップ1124a、及びゲルプラグ1114は、複合マーカー1100の製造の一部として形成することができる。したがって、図11Hは複合マーカー1100を製造する際の操作又は動作、例えば、図11C及び11Dに示す操作又は動作の後に生じる操作又は動作を示す。
【0163】
図11Hの実施形態に関して、エンドキャップ1124aは、有利にはゲル体1104及び/又はゲルプラグ1114とは異なる物理的特性を有する可能性がある。例えば、エンドキャップ1124aは、ゲル体1104及び/又はゲルプラグ1114とは異なる材料で形成されてもよい。例えば、エンドキャップ1124aはポリエチレングリコール(PEG)から形成されてもよく、ゲル体1104及び/又はゲルプラグ1114はゼラチンから形成されてもよい。また、例えば、エンドキャップ1124aは、ゲル体1104及び/又はゲルプラグ1114とは異なる架橋度又は架橋の広がりを有する可能性がある。追加的に又は代替的に、エンドキャップ1124aは、ゲル体1104内の超音波反射要素1102a及び/又はゲルプラグ1114内の超音波反射要素1102cのタイプ及び/又は分布とは異なるタイプ及び/又は分布の超音波反射要素1102bを有することができる。追加的に又は代替的に、ゲル体1104及びゲルプラグ1114は有利には互いに異なる物理的特性、例えば、互いに異なる材料、互いに異なる水和速度及び/又は関連する膨潤速度、及び/又は互いに異なる種類及び/又は分布の超音波反射要素1102a、1102cから形成される。複合マーカー1100の構成要素のうちの任意の1つ以上は超音波及びX線に加えてモダリティを介して検出可能性を提供するために、造影剤を全く含まなくてもよく、1つ又は複数のタイプを含んでもよい。
【0164】
異なる材料、架橋の異なる程度又は広がり、超音波反射要素の異なるタイプ及び/又は分布のうちの1つ又は複数に起因するかどうかにかかわらず、複合マーカー1100の部分の異なる物理的特性は、均質な複合マーカーを超える明確な利点を提供することができる。このようなものは、例えば、超音波エネルギーに対する異なる応答を、複合マーカー1100の異なる部分に提供することができる。例えば、特定の材料及び/又はより高度に架橋された部分は、異なる材料及び/又は比較的低度に架橋された部分とは異なる戻り信号を生成する。例えば、超音波反射粒子を含む1つの部分は第1のゲル材料を含み、又は架橋されて、ドップラーモード超音波動作中に別の部分よりも相対的に良好な応答を提供してもよく、一方、超音波反射粒子を含む別の部分は第2のゲル材料を含みかつ/又は架橋されて、Bモード超音波動作中に別の部分よりも良好な応答を提供してもよい。これに加えて、又は代替的に、例えば、複合マーカー1100の異なる部分の異なる水和速度及び/又は膨潤速度、ゼラチン部分よりも迅速なPEG部分の水和及び膨潤を提供し、体内への最初の挿入後の複合材料マーカーの一部の迅速な検出を可能にし、同時に、体内への最初の挿入後の長期間(例えば、数ヶ月)にわたる複合マーカーの別の部分の検出を可能にする比較的長い持続性を提供してもよい。これに加えて、又はこれに代えて、例えば、複合マーカー1100の異なる部分の異なる持続時間、天然材料よりも長く持続する合成材料及び/又はより高度に架橋された部分、及び/又は比較的低度に架橋された部分を提供してもよい。
【0165】
また、例えば、PEGは例えば、ゼラチン又は凍結乾燥ゼラチンよりもはるかに迅速に水和し得る。これにより、複合マーカーのゼラチン部分と比較して、体液への暴露後(例えば、生検中の挿入又は移植時)、複合マーカーのPEG部分を超音波を介して非常に迅速に検出可能にすることができるので有利である。複合マーカーのゼラチン部分は水和及び検出可能になるのにより長い時間を要し得るが、長期間にわたって有利に持続し得、最初の挿入(例えば、生検の間の挿入)の数ヶ月後でさえ、外科的処置の間、複合マーカーが超音波を介して検出可能であることを可能にする。複合マーカーのライフサイクル全体にわたる超音波の使用は、イメージングのための電離放射線の使用と比較して、コスト、時間、人員、及び安全性に関して特に有利であり得る。
【0166】
複合マーカー900、1000、及び/又は1100はまた、第1のゲル体904a、1004a、1104の中又は上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)910、1010、1110を含み、これは、X線イメージング(例えば、コンピュータ断層撮影、蛍光透視法)を介して検出可能な放射線不透過性材料を含む。
【0167】
少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド110、放射線不透過性クリップ)に関連して議論又は図示された、少なくとも1つの放射線不透過性要素のための適切な放射線不透過性材料、ならびに少なくとも1つの放射線不透過性要素の形態、形状、及びサイズを含む、上記のすべての説明及び実装形態は複合マーカー900、1000、1100における少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド910、1010、1110、又は放射線不透過性クリップ(図4F~4Iを参照のこと))に関連する実施形態又は実装にすべて適用可能である。
【0168】
複合マーカー900、1000、1100はまた、天然ゼラチン材料、合成ポリマー、又はその組合せから成る、第1ゲル体904a、1004a、1104、及び任意に第2ゲル体904b、1004b及び任意に追加のゲル体(例えば1004c、1114)を含む。
【0169】
ゲル体のための適切な材料、ゲル体の架橋、ゲル体の形態及びサイズ、ならびにゲル体の調製を含む、ゲル体104に関して論じられ、又は例示された上記のすべての説明及び実装形態は、それぞれの複合マーカー900、1000、1100におけるゲル体(第1のゲル体904a、1004a、1104、第2のゲル体904b又は1004b、あるいは任意選択で1004c、1114などの追加のゲル体を含む)に関する実施にすべて適用可能である。
【0170】
第1のゲル体、例えば、それぞれの複合マーカー900、1000、1100における第1のゲル体904a、1004a、1104は例えば、ゲル体を成形又は他の方法で形成する際に使用される型又はマンドレルに応じて、様々な形態をとることができる。いくつかの実施形態では第1のゲル体904a、1004a、1104は管(図7Bに示されるよう)、ロール、層ロール、渦巻き又はスパイラルロール(図8A~8Cに示されるよう)、又はロッド(図6Aに示されるよう)の形態をとってもよい。
【0171】
複合マーカー1000、1100内の第2のゲル体1004b及び任意選択で追加のゲル体(1004c、1114など)のそれぞれは、例えば、ゲル体を成形するか、又は他の方法で形成するときに使用される金型又はマンドレルに応じて、様々な形態をとることができる。いくつかの実施態様では第2のゲル体1004b及び任意選択で追加のゲル体(1004c、1114など)のそれぞれは管(図7Bに示すよう)、ロール、層状ロール、渦巻きロール又はスパイラルロール(図8A~8Cに示すよう)、又はロッド(図6Aに示すよう)の形態をとることができる。
【0172】
いくつかの実施態様では、第1のゲル体がいかなる造影剤も含まない。例えば、複合マーカー900の第1のゲル体904aは、いかなる造影剤も含まない。例えば、複合マーカー1000の第1のゲル体1004aは、いかなる造影剤も含まない。
【0173】
第2のゲル体、例えば、それぞれの複合マーカー900、1000中の第2のゲル体904b、1004bは、少なくとも1つの造影剤903又は1003を含む。任意に追加されたゲル体の各々(1004c、1114など)もまた、少なくとも1つの造影剤1003を有することができる。造影剤903、1003は2つ以上の異なる造影剤を含むことができ、各造影剤は互いに異なり、X線撮像とは異なるそれぞれの検出モダリティによって検出可能である。
【0174】
いくつかの実装形態では、造影剤903、1003は超音波画像信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティと、少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体とを有する本体をそれぞれ備える複数の超音波反射要素102を備える。これらの実装形態では、超音波反射要素102がとる様々な形態、超音波反射要素の本体102aの形状及び材料、超音波反射要素を形成するための技術、超音波反射要素のキャビティ内に捕捉される流体105、超音波反射要素上のコーティング106、超音波反射要素のサイズ、及び図1B-1C及び図2A-2Dに示される例示的な実施形態を含む、超音波反射要素102に関する上記全ての説明及び実施形態はすべて、それぞれの複合マーカー900、1000、1100内の造影剤903又は1003に関連する実装形態に適用可能である。
【0175】
いくつかの実装形態では、造影剤903又は1003が染料又は顔料などの視覚的に検出可能な材料を含む。適切な視覚的に検出可能な材料は、造影剤103に関連して上述されている。
【0176】
いくつかの実装形態では、造影剤903又は1003が磁気共鳴イメージング(MRI)を介して検出可能な材料を含む。適切なMRI検出可能な材料は、造影剤103に関連して上述されている。
【0177】
いくつかの実装形態では、造影剤903又は1003が核ベースの撮像(例えば、シンチグラフィー、陽電子放出断層撮影、又は単光子放射型コンピュータ断層撮影)を介して検出可能な放射性物質を含む。適切な放射性物質は、造影剤103に関連して上述されている。
【0178】
いくつかの実装形態では1つ又は複数の造影剤903又は1003がゲル体(例えば、第2のゲル体904b又は1004b、又は任意選択で1004c、1114などの追加のゲル体)内又は上に存在する場合、造影剤903又は1003は、中又は上に、その中に分散させて、任意選択でコロイド分散させて担持される(図1A及び図5Aに示す例示的実施形態を参照されたい)。
【0179】
造影剤903又は1003がゲル体に分散される場合(例えば、ゲル体104、1104、第2のゲル体904b又は1004b、又は任意選択で追加のゲル体、例えば、1004c)、造影剤はまた、ゲル体からの造影剤の流出を防ぐため、シェルのコーティング又は封止を更に含むことができる。シェルのコーティング又はカプセル化は、様々な無機材料から形成することができる。適切な無機材料は、造影剤103及びシェル107の任意のコーティング又はカプセル化に関連して上述されている。
【0180】
いくつかの実装形態では2つ以上の造影剤がゲル体(例えば、ゲル体104、1104、第2のゲル体904b又は1004b、又は任意選択で追加のゲル体、例えば1004c)内又は上に存在する場合、1つの造影剤は別の造影剤上に担持されてもよく、又は別の造影剤に埋め込まれてもよい。例えば、ゲル体内又はその上に存在する2つ以上の造影剤は蛍光染料503を含むことができ、蛍光染料は、別の造影剤502(図5Bに示される例示的実施形態を参照)上に担持されるか、又はその中に埋め込まれることができる。
【0181】
少なくとも1つの実装形態において、ゲル体内又はその上に存在する2つ以上の造影剤は蛍光染料503及び複数の超音波反射要素502(又は102)をそれぞれ含み、それらはそれぞれ、超音波画像信号の反射性を提供するために、捕捉された流体(気体又は液体)105を含む少なくとも1つのキャビティを有する本体を含み、蛍光染料503は造影剤502(又は102)(図5B及び図2A図2Dに示される例示的実施形態を参照)上に担持されても、又はその中に埋め込まれてもよい。
【0182】
複合マーカー100、500a,500b、900、1000、1100に関する実装形態では、複合マーカー100、500、900、1000、1100の各ゲル体は例えば、身体組織に移植されたときに拡張(又は、膨張)可能であってもよい。複合マーカーのゲル体は急速に水和することができ、場合によっては24時間以内に水性環境内に配置された場合に完全な水和を達成することができる。
【0183】
いくつかの実装形態では複合マーカー100、500a,500b、900、1000、1100の各ゲル体は非拡張状態で、約2mm~約40mmの長さ及び約0.5mm~約2mmの横断寸法を有する可能性がある。複合マーカー100、500a,500b、900、1000、1100のゲル体は、乾燥した非膨張状態から水飽和膨張状態へのサイズ膨張比が約1:1.5~約1:10であってもよい。複合マーカー100、500a,500b、900、1000、1100のゲル体は、乾燥した非膨張状態から水飽和膨張状態へのサイズ膨張比が約1:2~約1:3であってもよい。
【0184】
いくつかの実装形態では複合マーカー100、500a,500b、900、1000、1100の各ゲル体は約1cm~約10cm、例えば約2cm~約8cmの軸方向長さを有することができる。例示的な実施態様では、2mmシリコーンチューブに成形されたゲル体の外側横断寸法が約0.025~約0.031インチ、約0.026~約0.030インチ、又は約0.027~約0.028インチであってもよい。ゲル体は、約7~約7.8mgの乾燥重量、及び場合によっては約22mm~約24mmの軸方向長さを有する可能性がある。複合マーカーを水中に浸漬すると、ゲル体は、場合によっては約23mm~約25mmの軸方向長さを有する約1.5mmの外側横断寸法まで膨張することができる。例示的な実装形態では、2.4mmシリコーン管に成形されたゲル体の外側横断寸法が凍結乾燥され、続いて圧縮された後、約0.026~約0.034インチ、約0.029~約0.033インチ、又は約0.031~約0.032インチであってもよい。ゲル体は、約6.2mg~約8mgの乾燥重量を有する可能性がある。
【0185】
いくつかの実装形態では複合マーカー100、500a,500b、900、1000、1100はペレット形状、すなわち比較的短い軸方向長さを有するペレット形状を有することができる。例えば、ゲル体は、約1mm~約3mmの横断寸法及び約2mm~約10mmの軸方向長さを有し得る。
【0186】
複合マーカーを形成する方法は、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)をゲル体に組み込むステップと、少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドを組み込むゲル体を鋳造して複合マーカーを形成するステップとを含むことができる。複合マーカーを形成するための方法は、ゲル体を鋳造すること、及び少なくとも1つの放射線不透過性要素をゲル体に組み込んで複合マーカーを形成することを含み得る。この方法は、ゲル又はゲル形成材料を、X線イメージングとは異なるモダリティを介して検出可能な少なくとも1つの造影剤と混合し、その結果、ゲル体内又はゲル体上に少なくとも1つの造影剤を担持するゲル体をもたらすステップを、組み込む及び/又は鋳造するステップの前にさらに含むことができる。
【0187】
ゲル体(104、504、1104、第1のゲル体、第2のゲル体、及び追加のゲル体)に関するゲル又はゲル形成材料、少なくとも1つの放射線不透過性要素(110、510、910、1010、1110)、及び少なくとも1つの造影剤(超音波反射要素102、蛍光染料503、及び他の造影剤103)に関する説明及び実装を含む、複合マーカー(100、500a,500b、900、1000、1100)に関する上記の態様で論じられ、又は例示された上記の説明及び実装形態はすべて、複合マーカーを形成するための方法に適用可能である。
【0188】
少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)は、商業的に入手可能であり得、複合マーカーを形成するためにゲル体に組み込む前に最小限の処置を必要とし得る。
【0189】
あるいは、この方法は、放射線不透過性材料を含有する液体又はコロイド懸濁液から、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)を形成するステップをさらに包含し得る。適切な放射線不透過性材料は、少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンド110に関連して上述されている。これは、放射線不透過性材料がワイヤ又はバンド形態でない場合、例えば、放射線不透過性金属の多くの酸化物又は塩形態が粉末又は粒子形態で存在する場合に使用され得る。
【0190】
いくつかの実装形態では、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)を形成するステップは、複合マーカーのゲル体をもたらすゲル又はゲル形成材料と同じか又は異なる、天然ゼラチン状材料、合成ポリマー、又はそれらの組み合わせを含むゲル又はゲル形成材料中に放射線不透過性材料を溶解又は懸濁させ、それによって放射線不透過性材料を含有する液体又はコロイド懸濁液を形成することを含む。適切なゲル又はゲル形成材料は、ゲル体104に関連して上述されている。少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドを形成するステップは、放射線不透過性材料を含有する液体又はコロイド懸濁液からファイバ又はバンドを紡糸又は延伸することをさらに含む。
【0191】
ゲル又はゲル形成材料は乾燥ゲル又はゲル形成材料を、種々の濃度、例えば、約1wt%(すなわち、100mlの蒸留水当たり1gのゲル又はゲル形成材料)~約50wt%、例えば、約1wt%~約10wt%、約4wt%~約10wt%、又は約4wt%~約6wt%の濃度で蒸留水と混合することから調製され得る。放射線不透過性材料は約1wt%(すなわち、100mlの蒸留水当たり1gの放射線不透過性材料)~約50wt%の濃度で添加され得る。
【0192】
いくつかの実装形態では、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)を形成するステップは、約1~50重量%のゲル又はゲル形成材料及び約1~50重量%の放射線不透過性材料を含有する、水性である液体又はコロイド懸濁液からファイバ又はバンドを紡糸又は延伸することを含む。
【0193】
少なくとも1つの実装形態では、放射線不透過性材料は硫酸バリウムである。少なくとも1つの実施形態において、ゲル又はゲル形成材料は、PVA又はPEGである。
【0194】
少なくとも1つの実装形態において、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)を形成するステップは、約1~5%の加水分解PVA及び約1~5%の硫酸バリウムを含有する、水性である液体又はコロイド懸濁液からファイバ又はバンドをスピニング(又は、紡糸)又は引き出す(又は、延伸する)ことを含む。
【0195】
少なくとも1つの実装形態において、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)を形成するステップは、約40~50%の加水分解PVA及び約40~50%の硫酸バリウムを含有する、水性である液体又はコロイド懸濁液からファイバ又はバンドをスピニング又は引き出すことを含む。
【0196】
放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)を形成するための例示的な実装形態において、5wt%PVA水溶液(99%加水分解;MW 78,000)は、PVAを蒸留水に溶解することによって調製される。5wt%硫酸バリウム粉末をこのPVA溶液に添加し、撹拌して完全に混合する。この溶液/コロイド懸濁液を紡糸口金ノズルを通してゆっくり分注することによって、ファイバをスピニングし又は引き出す。得られたファイバ又はバンド又はクリップは、自然蒸発によって、又は乾燥を促進するための強制空気によって乾燥される。
【0197】
任意選択で、少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンド又は放射線不透過性クリップを形成するときに、少なくとも1つの他の造影剤を液体又はコロイド懸濁液に添加することができる。この場合、形成された放射線不透過性ワイヤ又はバンドは、それ自体、少なくとも1つの他の造影剤を含む。
【0198】
得られるファイバ又はバンド又はクリップは、物理的プロセス又は化学的修飾(架橋剤を用いて又は用いずに)によって少なくとも部分的に架橋されてもよい。適切な架橋プロセス及び架橋剤は、ゲル体104に関連して上述されている。少なくとも1つの実施において、得られるファイバ又はバンド又はクリップは、凍結及び/又は解凍によって少なくとも部分的に架橋され得る。少なくとも1つの実施において、得られるファイバ又はバンド又はクリップは、架橋剤を使用することによって、少なくとも部分的に架橋される。
【0199】
得られたファイバ又はバンド又はクリップは任意の所望の形状、例えば、直線、螺旋、開コイル、閉コイル、蛇行ループ、レムニスケート、円形、波状円形、T字形、U字形、V字形、W字形等に成形することができる。成形は、架橋の前又は後に行うことができる。
【0200】
いくつかの実装形態では、本方法は、組み込み及び/又は鋳造又はラッピングステップの前に、ゲル又はゲル形成材料を、X線イメージングとは異なるモダリティを介して検出可能な少なくとも1つの造影剤と混合して、ゲル体内又はゲル体上に少なくとも1つの造影剤を担持するゲル体をもたらすステップをさらに含むことができる。
【0201】
いくつかの実装形態では、少なくとも1つの造影剤が2つ以上の異なる造影剤を含む。少なくとも1つの実装形態では、2つ以上の異なる造影剤が複数の超音波反射要素を含む。複数の超音波反射要素は少なくとも1つの他の造影剤とまず混合されてもよく、その結果、少なくとも1つの他の造影剤は超音波反射要素によって担持され得る。複数の超音波反射要素はまた、超音波反射要素を調製するプロセス中に少なくとも1つの他の造影剤と混合されてもよく、その結果、少なくとも1つの他の造影剤は、超音波反射要素によって担持され得る。混合ステップは、少なくとも1つの他の造影剤を超音波反射要素のキャビティ内に注入することができる。混合ステップは、超音波反射要素の本体内に少なくとも1つの他の造影剤を注入することができる。次いで、少なくとも1つの他の造影剤を担持する複数の超音波反射要素をゲル又はゲル形成材料と混合して、ゲル体内又はゲル体上に複数の超音波反射要素及び少なくとも1つの他の造影剤を担持するゲル体をもたらす。
【0202】
いくつかの実装形態では、少なくとも1つの造影剤及びゲル又はゲル形成材料が1つの操作又は動作で一緒に混合され、その結果、造影剤はゲル体内又はゲル体上に、その中に分散させて、任意選択でコロイド分散させて担持されてもよい。
【0203】
いくつかの実装形態では、すべての造影剤及びゲル又はゲル形成材料がすべて、1つの操作又は動作で一緒に混合され、その結果、すべての造影剤はゲル体内又はゲル体上に、その中に分散させて、任意選択でコロイド分散させて担持されてもよい。
【0204】
いくつかの実装形態では、少なくとも1つの造影剤が蛍光染料材料を含む。混合ステップは、蛍光染料をゲル又はゲル形成材料に曝露して、ゲル体内又はゲル体上に担持された活性化及び/又は加水分解蛍光染料を形成することをさらに含んでもよい。
【0205】
いくつかの実装形態では、ゲル又はゲル形成材料を少なくとも1つの造影剤と混合するステップは約1~20%のゲル又はゲル形成材料及び少なくとも1つの造影剤を約1~5mg/mlで含有する液体又はコロイド懸濁液を混合することを含む。
【0206】
少なくとも1つの実装形態では、ゲル又はゲル形成材料がPVA又はPEGである。少なくとも1つの実装形態では、少なくとも1つの造影剤が複数の中空シリカシェルを含む。
【0207】
少なくとも1つの実施において、ゲル又はゲル形成材料を少なくとも1つの造影剤と混合するステップは、約5~10%の加水分解PVAを含有する水溶液又は水性コロイド懸濁液を、複数の中空シリカシェルを含む少なくとも1つの造影剤と約1~3mg/mlで混合することを含む。
【0208】
この方法は、ゲル体を少なくとも部分的に架橋するために、ゲル体に物理的プロセス又は化学的修飾を実施するステップをさらに含み得る。
【0209】
いくつかの実装形態では、本方法が、乾燥(例えば、凍結乾燥、臨界点乾燥、又は空気乾燥)、熱脱水、又は放射(例えば、UV放射又はγ線放射)ステップをさらに含み、ゲル体を少なくとも部分的に架橋する。少なくとも1つの実装形態において、本方法は、ゲル体を少なくとも部分的に架橋するために凍結及び/又は解凍するステップをさらに含む。
【0210】
いくつかの実装形態では、本方法が、ゲル又はゲル形成材料に架橋剤を添加して、ゲル体を少なくとも部分的に架橋するステップをさらに含む。適切な架橋剤は、上記で議論されている。
【0211】
いくつかの実装形態では、2つ以上の同じ又は異なる架橋プロセスを、本方法の様々な段階で実施することができる。例えば、ゲル体を少なくとも部分的に架橋するために、1つの架橋プロセスが、ゲル体を組み込む及び/又は鋳造又はラッピングする前にゲル体に対して実行されてもよく、ゲル体を少なくとも部分的に架橋するために、より多くの架橋プロセス(以前の架橋プロセスと同じであっても異なっていてもよい)が、ゲル体を組み込む及び/又は鋳造又はラッピングした後にゲル体に対して実行されてもよい。
【0212】
いくつかの実施態様では、本方法が所望の形状に基づく鋳型又はマンドレル(例えば、管状鋳型、又はマンドレル)によってゲル体を成形/鋳造するステップをさらに含むことができる。例えば、ゲル体は、シリコーンチューブの内側円筒形キャビティ内に成形されてもよく、ゲル体は凍結及び/又は凍結乾燥されてもよく、ゲル体は内側円筒形キャビティから押し出されてもよく、ゲル体は押圧(又は圧縮)されて、空気を除去し、複合マーカーがシリンジアプリケータのカニューレの内側管腔内に適合するように、体積及び外側プロファイルを低減されてもよい。ゲル体はまた、凍結乾燥された後、シリコーンチューブの内腔内に配置されたまま、圧縮され、脱気されてもよい。
【0213】
いくつかの実施態様では、凍結乾燥ゲル体が2つのシリコーンシート表面の間で凍結乾燥ゲル体を回転させることによって圧縮して、エアポケットを除去し、輪郭(又は、大きさ)を縮小することができる。
【0214】
次いで、凍結乾燥ゲル体は鋳型(例えば、シリコーンチューブ)から除去されることができ、そして正確かつタイムリーな展開のために十分な干渉を伴って、種々のサイズのシリンジアプリケーターデバイス(例えば、標準14ゲージ、又は19ゲージもしくは20ゲージ)に適合するように、サイズ決定及び構成され得る。
【0215】
別の例として、ゲル体はマンドレル上に成形又は鋳造されてもよく、又はマンドレルの外周(例えば、外径)の周りに巻かれてもよい。マンドレルは、任意の所望の形状又は形態をとることができる。例えば、予め成形された及び/又は予め切断されたゲル体はマンドレルの上に配置されるか、又はマンドレルの周りに部分的に巻き付けられてもよく、ゲル体及びマンドレルはマンドレルがゲル体の長手方向軸を完全に通って延在して両端が開放されたゲル体内に中空管を形成するように、又はマンドレルがゲル体の長手方向軸を部分的に通って延在して一端が開放され一端が閉鎖されたゲル体内に中空内部を形成するように、互いに押し付けられてもよく、ゲル体は例えば、マンドレルの周りに巻き付けられる前又は後に、凍結及び/又は凍結乾燥されてもよい。
【0216】
すべてのタイプの造影剤(超音波反射要素、蛍光染料、及び他の造影剤を含む)及びゲル体を形成するためのゲル又はゲル形成材料の総量は約0.1mg/ml(すなわち、1mlのゲル又はゲル形成材料あたり0.1mgの造影剤)~約10mg/ml、例えば、約0.1mg/ml~約8mg/ml、又は約2mg/ml~約5mg/mlの範囲の比率で使用され得る。
【0217】
少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)は、放射線不透過性要素がゲル体に対してとる位置に応じて、多種多様な方法によってゲル体に組み込まれてもよい。例えば、少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドは、ゲル体の外面の周りに巻き付けられてもよく、又は放射線不透過性ワイヤバンド又はクリップがゲル体に埋め込まれてもよく、ゲル体の内部キャビティに落とされてもよい。
【0218】
少なくとも1つの放射線不透過性要素はゲル体が鋳造/成形される前又は後、ゲル体が架橋される前又は後(例えば、凍結及び/又は凍結乾燥によって)、ゲル体がプレスされる(又は圧縮される)前又は後、及びゲル体が巻かれる前又は後に、ゲル体に組み込まれてもよい。
【0219】
例示的な実装形態では、図7A及び7Bに示す複合マーカーが複数の中空シリカシェルを含有するゲル体(例えば、ゼラチン)を充填可能な管に鋳造することによって調製することができる。次に、チューブを凍結乾燥する。放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド)は、凍結乾燥チューブの中空内部に配置される。次いで、チューブは任意選択で、ゲル又はゲル形成材料で、一端又は両端で密封される。凍結乾燥は、チューブを密封した後に行ってもよい。任意選択で、1つ又は複数のエンドキャップ1124a、1124bを適用することができる。
【0220】
例示的な実装形態では、複合マーカーは、シートとして複数の中空シリカシェルを含有するゲル体(例えば、ゼラチン)を鋳造することによって調製することができる。次に、シートは、所望の形状に成形又は鋳造される。シートは、マンドレルの外周に巻き付けることができる。シート及びマンドレルは互いに押し付けられて中空管としてゲルシートを形成してもよい。マンドレルはゲルシートの長手方向軸に沿って全体的に延在し、そのいずれかの縁部を越えて延在し、中空管が両対向端部が開放されて形成されるようにすることができる。あるいはマンドレルがゲルシートの長手方向軸に沿って部分的に延在し、その一方の縁部のみを越えて延在し、その結果、中空管は一端が開放され、反対側の端部が閉鎖されて形成される。次いで、ゲルシートを凍結及び/又は凍結乾燥することができる。あるいは、ゲルシートがマンドレルの周りに巻き付けられる前に凍結及び/又は凍結乾燥されてもよい。放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)は、凍結乾燥ゲル体の中空内部に配置される。ゲル体の開放端は、ゲル又はゲル形成材料で任意選択密封されてもよい。凍結乾燥はまた、ゲル体の端部が密封された後に実施されてもよい。
【0221】
例示的な実装形態では、図8A~8Cに示されている複合マーカーは、複数の中空シリカシェルを含むゲル体(例えば、ゼラチン)をU字形(図8A)オープンロールに鋳造することによって調製することができる。次に、チューブを凍結乾燥する。放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)を、凍結乾燥ロールの内部キャビティに滴下する。次に、ロールはロールの開口部を閉鎖又は部分的に閉鎖するために、任意選択でプレス及び/又は圧延され、図8B又は図8Cのいずれかの形状を形成する。放射線不透過性要素はロールの一部(軸方向)のみを占有してもよく、放射線不透過性要素によって占有されないロールの端部は圧潰又は圧着されてもよい。また、凍結乾燥は、放射線不透過性要素をロールに落とし入れた後に行ってもよい。
【0222】
例示的な実施形態では、複合マーカーが図に示されている。9A-9Bは第1のゲル体(例えば、ゼラチン)をロッドに鋳造し、次いで凍結乾燥することによって調製することができる。放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)が、第1のゲル体の外面の周りに巻き付けられる。次いで、第1のゲル体を、複数の中空シリカシェルを含有するゲル又はゲル形成材料と混合し、ロッドに鋳造し、第1のゲル体及び第2のゲル体の内側の放射線不透過性ワイヤ又はバンドと共に第2のゲル体を形成する。次に、第2のゲル体を凍結乾燥する。
【0223】
哺乳動物被験体において標的部位をマーキングする方法は、哺乳動物被験体における標的部位に非経口的に複合マーカーを投与することを含み得、複合マーカーは、外面を有するゲル体と、ゲル体内又はゲル体上に担持された複数の超音波反射要素であって、各超音波反射要素は超音波イメージング信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティ及び少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体を有する本体をそれぞれ含む該複数の超音波反射要素と、ゲル体内又はゲル体上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)と、を含み、少なくとも1つの放射線不透過性要素は、ゲル体の外面の周りに配置されない。この方法はまた、超音波イメージング又はX線イメージングを用いて標的部位及び複合ゲルマーカーを検出するステップを包含する。
【0224】
超音波反射要素102、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド110、放射線不透過性クリップ)、及びゲル体104に関する説明及び実施形態を含む、複合マーカー100に関する上記の態様で論じられ、又は例示された上記のすべての説明及び実施は、すべて、哺乳動物被験体における標的部位をマーキングする方法に適用可能である。
【0225】
いくつかの実施態様では、標的部位は腫瘍を含む。本方法は検出ガイダンス(又は、検出のガイド/detection guidance)として超音波イメージング又はX線イメージングを使用して腫瘍を外科的に切除することをさらに含み、検出ガイダンスは、標的部位及び複合ゲルマーカーを検出する際に使用される検出モダリティとは異なる。
【0226】
哺乳動物被験体において標的部位をマーキングする方法は、外面を有するゲル体と、ゲル体内又は上に担持された活性化及び/又は加水分解蛍光染料と、ゲル体内又は上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)とを含み、少なくとも1つの放射線不透過性要素がゲル体の外面の周りに配置されていない複合マーカーを哺乳動物被験体に非経口的に投与するステップを含んでもよい。この方法はまた、X線イメージング又は蛍光を検出する検出モダリティを用いて標的部位及び複合ゲルマーカーを検出するステップを包含する。
【0227】
蛍光染料503、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド510、放射線不透過性クリップ)、及びゲル体504に関する説明及び実装形態を含む、複合マーカー500a,500bに関する上記の態様で論じられ、又は例示された上記の説明及び実装形態はすべて、哺乳動物被験体における標的部位をマーキングする方法に適用可能である。
【0228】
いくつかの実装形態では、標的部位は腫瘍を含む。この方法は検出ガイダンスとしてX線イメージング又は蛍光を検出する検出モダリティを使用して腫瘍を外科的に切除することをさらに含み、この検出ガイダンスは、標的部位及び複合ゲルマーカーを検出する際に使用される検出モダリティとは異なる。
【0229】
哺乳動物被験体において標的部位をマーキングする方法は、外面を有する第1のゲル体と、第1のゲル体の外面の少なくとも一部の周りに配置され、第1のゲル体の外面の少なくとも一部と接触する少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド、放射線不透過性クリップ)と、X線イメージングとは異なるモダリティによって検出可能な第2のゲル体内又は上に少なくとも1つの造影剤を担持する第2のゲル体であって、第1のゲル体に物理的に結合された第2のゲル体と、を含む複合マーカーを哺乳動物被験体に非経口的に投与することを含んでもよい。この方法はまた、標的部位及び複合ゲルマーカーを、X線イメージング又は少なくとも1つの造影剤を検出することができるモダリティで検出するステップを含む。
【0230】
ゲル体1104、第1のゲル体904a又は1004a、第2のゲル体904b又は1004b、少なくとも1つの放射線不透過性要素(例えば、放射線不透過性ワイヤ又はバンド910又は1010、放射線不透過性クリップ)、及び少なくとも1つの造影剤903又は1003に関する説明及び実施形態を含む、複合マーカー900、1000、1100に関する上記の態様で論じられ、又は例示されたすべての上記の説明及び実施は、すべて、哺乳動物被験体の標的部位をマーキングする方法に適用可能である。
【0231】
いくつかの実装形態では、標的部位は腫瘍を含む。この方法はX線イメージング又は検出ガイダンスとして少なくとも1つの造影剤を検出することができる検出モダリティを使用して腫瘍を外科的に切除することをさらに含み、この検出ガイダンスは、標的部位及び複合ゲルマーカーを検出する際に使用される検出モダリティとは異なる。
【0232】
哺乳動物被験体において標的部位をマーキングする方法に関するこれら全ての実装形態において、複合マーカーは、当業者に公知の任意の投与経路を介して、哺乳動物被験体における標的部位に非経口的に投与され得る。例えば、複合マーカーの非経口投与は注射によって、例えば、針及び注射器を使用することによって、又は留置カテーテルの挿入によって実施され得る。この場合、複合マーカーのサイズ及び形状は、針、シリンジ、又はカテーテルの内部サイズ及び形状に適合するように調節され得る。ゼラチンマーカーを組織及び適切なアプリケーターに投与及び送達するために使用され得る特定の技術についてのより詳細な説明は例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第15/946,479号に見出され得る。
【0233】
別段の指示がない限り、本明細書における複合マーカーの「検出すること(detecting)」又は「検出(detection)」という用語の使用は、複合マーカーの周囲又は隣接する標的部位における組織(又は他の物質)のリターンシグナルとは異なる複合マーカーからのリターンシグナルの認識を指す。例えば、複合マーカーの直接的な視覚的検出は例えば、マーカーと周囲組織との間の色又は蛍光コントラストの差異に起因して、周囲組織に対して複合マーカーを見る観察者の能力を含み得る。超音波によって検出された複合マーカーは、そのような複合マーカーの周囲又は近傍の組織によって反射された超音波信号に対して、強度、波長、位相などが異なる超音波信号を反射することができる。加えて、多くの場合、有効な検出は、典型的には蛍光透視法、超音波、及び磁気共鳴イメージング(MRI)の場合のようにオペレータが見るためのディスプレイスクリーン上への画像投影を含む必要がない。複合マーカーの検出は三角測量などの方法によって、三次元空間内の複合マーカーの位置を特定するために、原点の複数の点から投影され得る複合マーカーによる何らかのタイプの高エネルギー信号の反射又は戻り(又は、リターン)を含んでもよい。このような技術は、高エネルギー信号の原点の複数の点の位置に対する複合マーカーの位置情報を提供することができる。オーディオ検出に関して、可聴音は、複合マーカーに対するプローブの近接度及び/又は複合マーカーに対するプローブの適切な方向性の関数として、ピッチ、強度、周波数などを増加させるように構成されてもよい。
【0234】
いくつかの例では、複合マーカーが2つ以上の異なるモダリティによって、異なる時間に連続して、又は現在同時に検出される。X線透視、コンピュータ断層撮影(CT)画像診断、及び/又はMRIなどの特定の検出モダリティは、組織病変の位置を同定するために放射線科医などの専門家によって使用される。視覚イメージング(色又は蛍光によるマーカーの直接観察)及び/又は超音波イメージング(例えば、カラーフロードップラー超音波イメージング)などの特定の異なる検出モダリティを外科医などの専門家が使用して、おそらくは組織病変の外科的除去又は他のタイプの治療中に、後続の治療手順を容易にすることができる。特定の異なるモダリティを使用して、患者から外科的に除去した後、又は任意の他の適切な適応症(indication)について、切除された組織を評価し得る。
【0235】
本明細書に例示的に記載される実装形態は、本明細書に具体的に開示されていない要素が存在しない場合に適切に実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各例において、用語「含む」、「本質的に含む」、及び「からなる」のいずれも、他の2つの用語のいずれかと置き換えることができる。使用された用語及び表現は説明の用語として使用され、限定の用語ではなく、そのような用語及び表現の使用は示され、説明された特徴又はその一部のいかなる均等物も除外せず、様々な修正が可能である。用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」はそれが文脈上明らかでない限り、それが改変する要素の1つ又は複数を指すことができる(例えば、「試薬」は、1つ又は複数の試薬を意味することができる)。したがって、実施形態は代表的な実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されたが、本明細書で開示された概念の修正及び変形は当業者に頼ることができ、そのような修正及び変形は本開示の範囲内であると考えられることを理解されたい。
【0236】
米国特許出願第62/941,336号、2019年11月27日出願、「COMPOSITE TISSUE MARKERS DECTABLE VIA MULTIPLE DETECTION MODALITIES」、第62/941,337号、2019年11月27日出願、「COMPOSITE TISSUE MARKERS DETECTABLE VIA MULTIPLE DETECTION MODALITIES INCLUDING RADIOPAQUE WIRE」、第63/073,285、2020年9月1日出願「COMPOSITE TISSUE MARKERS DETECTABLE VIA MULTIPLE DETECTION MODALITIES INCLUDING RADIOPAQUE WIRE」、及び米国特許出願第15/946,479号の教示を、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0237】
上記の詳細な説明に関して、その中で使用される同様の参照番号は、同じ又は同様の寸法、材料、及び構成を有し得る同様の要素を指す。特定の形態の実施形態を図示し説明してきたが、本発明の実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることは明らかであろう。したがって、本発明は、前述の詳細な説明によって限定されることを意図するものではない。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
外面を有するゲル体と、
前記ゲル体内又はゲル体上に担持された第1の複数の超音波反射要素であって、各超音波反射要素は、超音波イメージング信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティと、前記少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体を有する本体をそれぞれ含む、該第1の複数の超音波反射要素と、
前記ゲル体内又はゲル体上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素と、を含む複合マーカーであって、前記少なくとも1つの放射線不透過性要素は前記ゲル体の前記外面の周りに配置されない、複合マーカー。
<請求項2>
各超音波反射要素が、キャビティを形成する外壁を有するシェル、又は2つ以上のキャビティを有する多孔質粒子から形成され、前記シェル又は多孔質粒子がシリカ又は二酸化チタンを含む、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項3>
前記超音波反射要素の前記少なくとも1つのキャビティは、超音波イメージング信号の反射を提供するために、閉じ込められた気体又は液体を含む、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項4>
各超音波反射要素が多孔質である、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項5>
各超音波反射要素が、その1つ又は複数の細孔を少なくとも一時的に封止する疎水性コーティングを含む、請求項4に記載の複合マーカー。
<請求項6>
前記第1の複数の超音波反射要素が、ゲル体内又はゲル体上に、その中に分散させて、任意選択でコロイド分散させて担持される、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項7>
前記ゲル体は少なくとも1つ又は複数の造影剤をさらに含み、前記造影剤の各々は、超音波イメージング及びX線イメージングと異なるとともに相互に異なるそれぞれの検出モダリティを介して検出可能である、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項8>
前記少なくとも1つの造影剤が、視覚的に検出可能な染料又は顔料、常磁性、超常磁性、フェリ磁性、又は強磁性化合物、あるいは、磁気共鳴イメージング(MRI)を介して検出可能な水素以外の非ゼロスピン核を含む化合物、又は核ベースのイメージングを介して検出可能な放射性材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の複合マーカー。
<請求項9>
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が、開放コイル、閉鎖コイル、蛇行ループ、レムニスケート、又は波状円の形態をとる少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドを含む、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項10>
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が、少なくとも1つの放射線不透過性クリップを含む、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項11>
前記少なくとも1つの放射線不透過性クリップが、ボウタイ形状、U字形状、又はダンベル形状を有する、請求項10に記載の複合マーカー。
<請求項12>
前記ゲル体が、チューブ、ロールもしくは層状もしくはスパイラル状のロール、又はロッドの形態をとる、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項13>
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素の少なくとも一部が、前記ゲル体に埋め込まれている、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項14>
前記ゲル体が中空チューブの形態をとり、前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が前記中空チューブの中空内部にあり、前記中空チューブの端部が封止されている、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項15>
前記ゲル体の少なくとも1つの端部に少なくとも近接して物理的に結合されたゲルエンドキャップをさらに含む、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項16>
前記ゲルエンドキャップ内又はその上に担持された第2の複数の超音波反射要素をさらに含む、請求項15に記載の複合マーカー。
<請求項17>
前記ゲルエンドキャップが前記ゲル体の前記外面を少なくとも部分的に取り囲み、そこから半径方向外向きに延在する、請求項15又は16のいずれかに記載の複合マーカー。
<請求項18>
前記ゲルエンドキャップはさらに前記ゲル体の端部の長手方向外側に延在する、請求項17に記載の複合マーカー。
<請求項19>
前記ゲル体が第1の材料からなり、前記ゲルエンドキャップが第2の材料からなり、前記第2の材料が前記第1の材料とは異なる、請求項15又は16のいずれかに記載の複合マーカー。
<請求項20>
前記ゲル体がゼラチンからなり、前記ゲルエンドキャップがポリエチレングリコールからなる、請求項19に記載の複合マーカー。
<請求項21>
前記ゲル体が前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体の一対の対向する端部が、前記キャビティを封止するように圧着される、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項22>
前記ゲル体は前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体は、体液に曝されたときの前記ゲル体の水和に応答して、前記ゲル体の一対の対向する端部の各々におけるそれぞれの開口部を閉じるようなサイズである、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項23>
前記ゲル体は前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体は、その第1の端部に配置された開口部を有する、請求項1に記載の複合マーカー。
<請求項24>
前記ゲル体の前記第1の端部の前記開口部を閉鎖するように配置されたゲルプラグをさらに含む、請求項23に記載の複合マーカー。
<請求項25>
前記ゲル体の第2の端部に少なくとも近接して物理的に結合されたゲルエンドキャップをさらに含む、請求項24に記載の複合マーカー。
<請求項26>
前記放射線不透過性要素が、ステンレス鋼、白金、金、イリジウム、チタン、タンタル、タングステン、銀、ロジウム、ニッケル、ビスマス、及びバリウムからなる群から選択される放射線不透過性金属、前記放射線不透過性金属の合金、前記放射線不透過性金属の酸化物、前記放射線不透過性金属の硫酸塩、前記放射線不透過性金属の炭酸塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~16又は21~25のいずれか1項に記載の複合マーカー。
<請求項27>
前記放射線不透過性要素が放射線不透過性セラミックを含む、請求項1~16又は21~25のいずれか1項に記載の複合マーカー。
<請求項28>
ゲル体が天然ゼラチン状材料、合成ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~16又は21~25のいずれか1項に記載の複合マーカー。
<請求項29>
前記ゲル体が、
i)コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブロネクチン、及びアルブミンからなる群より選択されるタンパク質;
ii)セルロース又はメチルセルロース、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、及びアルギン酸カルシウムからなる群から選択される多糖;
iii)ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール-co-乳酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアミン、ポリオキサアミド、ポリオキサエステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びそれらのコポリマーからなる群から選択される合成ポリマー、又は
i)、ii)、ii)、もしくはiii)の任意の2つ以上の要素の混合物
を含む、請求項28に記載の複合マーカー。
<請求項30>
前記ゲル体が、少なくとも部分的に架橋され、任意選択で物理的プロセス、化学修飾によって、及び/又は架橋剤を使用して処理される、請求項28に記載の複合マーカー。
<請求項31>
前記ゲル体が、アルデヒド、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、ジアルデヒド、デンプン、エポキシド、ジメチルアジピミデート、グルコセパン、カルボジイミド、ペントシジン、イソシアネート又はポリイソシアネート、金属架橋剤、イオン架橋剤、アクリル化合物、アルギン酸塩、スルフヒドリル、ゲニピン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される架橋剤を使用することによって、少なくとも部分的に架橋される、請求項30に記載の複合マーカー。
<請求項32>
ゲル体が、乾式凍結及び/又は解凍によって少なくとも部分的に架橋される、請求項30に記載の複合マーカー。
<請求項33>
ゲル体の架橋度が、受容哺乳動物被験体の組織における複合マーカーの分解速度によって予め決定される、請求項30に記載の複合マーカー。
<請求項34>
前記受容哺乳動物被験体の組織における前記複合マーカーの前記分解速度は、前記複合マーカーが前記受容哺乳動物被験体の組織において、少なくとも3週間の期間、及び任意選択で約9ヶ月以上の期間持続するようなものである、請求項33に記載の複合マーカー。
<請求項35>
外面を有するゲル体と、
前記ゲル体内又はゲル体上に担持された活性化及び/又は加水分解された蛍光染料と、
前記ゲル体内又はゲル体上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素と、を含む複合マーカーであって、
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が前記ゲル体の前記外面の周りに配置されていない、複合マーカー。
<請求項36>
前記活性化及び/又は加水分解された蛍光染料が、前記複合マーカーを形成する際に、前記蛍光染料を前記ゲル体に曝すときに蛍光染料を活性化及び/又は加水分解することによって形成される、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項37>
前記活性化及び/又は加水分解された蛍光染料が、カルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニン、及びメロシアニンからなる群から選択されるシアニン染料である、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項38>
シアニン染料がインドシアニングリーンである、請求項37に記載の複合マーカー。
<請求項39>
前記活性化及び/又は加水分解された蛍光染料が、シリカ又は二酸化チタンコーティング又はシリカ又は二酸化チタンシェルのカプセル化をさらに含む、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項40>
前記活性化及び/又は加水分解された蛍光染料が、前記ゲル体中又はゲル体上に、その中に分散させて、任意選択でコロイド分散させて担持される、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項41>
前記ゲル体は、少なくとも1つ又は複数の造影剤をさらに含み、前記造影剤の各々は、蛍光及びX線イメージングの検出と異なるとともに互いに異なるそれぞれのモダリティによって検出可能である、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項42>
前記少なくとも1つの造影剤が、
前記ゲル体内又はゲル体上に担持された複数の超音波反射要素であって、各超音波反射要素が超音波イメージング信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティと、前記少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体とを有する本体をそれぞれ含む、該複数の超音波反射要素と、
常磁性、超常磁性、フェリ磁性、又は強磁性化合物と、又は、磁気共鳴イメージング(MRI)を介して検出可能な水素以外の非ゼロスピン核を含む化合物、又は、核ベースのイメージングを介して検出可能な放射性材料
のうちの少なくとも1つを含む、請求項41に記載の複合マーカー。
<請求項43>
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が、開放コイル、閉鎖コイル、蛇行ループ、レムニスケート、又は波状円の形態をとる少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドを含む、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項44>
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が、少なくとも1つの放射線不透過性クリップを含む、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項45>
前記少なくとも1つの放射線不透過性クリップが、ボウタイ形状、U字形状、又はダンベル形状を有する、請求項44に記載の複合マーカー。
<請求項46>
ゲル体が、チューブ、ロールもしくは層状ロール、又はロッドの形態をとる、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項47>
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素の少なくとも一部が、前記ゲル体に埋め込まれている、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項48>
前記ゲル体の少なくとも1つの端部に少なくとも近接して物理的に結合されたゲルエンドキャップをさらに含む、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項49>
前記ゲルエンドキャップ内又はその上に担持された第2の複数の超音波反射要素をさらに含む、請求項48に記載の複合マーカー。
<請求項50>
前記ゲルエンドキャップは、前記ゲル体の前記外面を少なくとも部分的に取り囲み、そこから半径方向外向きに延在する、請求項48又は49のいずれかに記載の複合マーカー。
<請求項51>
前記ゲルエンドキャップはさらに前記ゲル体の端部の長手方向外側に延在する、請求項48に記載の複合マーカー。
<請求項52>
前記ゲル体が第1の材料からなり、前記ゲルエンドキャップが第2の材料からなり、前記第2の材料が前記第1の材料とは異なる、請求項48又は49のいずれかに記載の複合マーカー。
<請求項53>
前記ゲル体がゼラチンからなり、前記ゲルエンドキャップがポリエチレングリコールからなる、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項54>
前記ゲル体が前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体の一対の対向する端部が、前記キャビティを封止するように圧着される、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項55>
前記ゲル体は前記少なくとも1つの放射線不透過要素が配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体は体液への暴露を介して水和されたときに、前記ゲル体の膨張に応答して、前記ゲル体の一対の対向する端部の各々におけるそれぞれの開口部を閉じるようなサイズである、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項56>
前記ゲル体は前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体は、その第1の端部に配置された開口部を有する、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項57>
前記ゲル体の前記第1の端部の前記開口部を閉鎖するように配置されたゲルプラグをさらに含む、請求項56に記載の複合マーカー。
<請求項58>
前記ゲル体の第2の端部に少なくとも近接して物理的に結合されたゲルエンドキャップをさらに含む、請求項57に記載の複合マーカー。
<請求項59>
前記ゲル体が中空チューブの形態をとり、前記放射線不透過性要素が前記中空チューブの中空内部にあり、前記中空チューブの端部が封止されている、請求項35に記載の複合マーカー。
<請求項60>
前記放射線不透過性要素が、ステンレス鋼、白金、金、イリジウム、チタン、タンタル、タングステン、銀、ロジウム、ニッケル、ビスマス、及びバリウムからなる群から選択される放射線不透過性金属、放射線不透過性金属の合金、放射線不透過性金属の酸化物、放射線不透過性金属の硫酸塩、放射線不透過性金属の炭酸塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項35~48のいずれか1項に記載の複合マーカー。
<請求項61>
前記放射線不透過性要素が放射線不透過性セラミックを含む、請求項35~48のいずれか1項に記載の複合マーカー。
<請求項62>
前記ゲル体が、天然ゼラチン状材料、合成ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、請求項35~48のいずれか1項に記載の複合マーカー。
<請求項63>
前記ゲル体が、
i)コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブロネクチン、及びアルブミンからなる群より選択されるタンパク質;
ii)セルロース又はメチルセルロース、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、及びアルギン酸カルシウムからなる群から選択される多糖;
iii)ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール-co-乳酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアミン、ポリオキサアミド、ポリオキサエステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びそれらのコポリマーからなる群から選択される合成ポリマー、又は
i)、ii)、もしくはiii)からの任意の2つ以上の要素の混合物
を含む、請求項62に記載の複合マーカー。
<請求項64>
前記ゲル体が、少なくとも部分的に架橋され、任意選択で物理的プロセス、化学修飾によって、及び/又は架橋剤を使用して処理される、請求項62に記載の複合マーカー。
<請求項65>
前記ゲル体が、アルデヒド、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、ジアルデヒド、デンプン、エポキシド、ジメチルアジピミデート、グルコセパン、カルボジイミド、ペントシジン、イソシアネート又はポリイソシアネート、金属架橋剤、イオン架橋剤、アクリル化合物、アルギン酸塩、スルフヒドリル、ゲニピン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される架橋剤を使用することによって少なくとも部分的に架橋される、請求項64に記載の複合マーカー。
<請求項66>
前記ゲル体が、凍結及び/又は解凍によって少なくとも部分的に架橋される、請求項64に記載の複合マーカー。
<請求項67>
前記ゲル体の架橋度が、受容哺乳動物被験体の組織における複合マーカーの分解速度によって予め決定される、請求項64に記載の複合マーカー。
<請求項68>
前記受容哺乳動物被験体の組織における前記複合マーカーの前記分解速度は、前記複合マーカーが前記受容哺乳動物被験体の組織において、少なくとも3週間の期間、及び任意選択で約9ヶ月以上の期間持続するようなものである、請求項64に記載の複合マーカー。
<請求項69>
外面を有する第1のゲル体と、
前記第1のゲル体の前記外面の少なくとも一部の周りに配置され、当該外面の少なくとも一部に接触する少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドと、
第2のゲル体内又は第2のゲル体の上にX線イメージングと異なる検出モダリティによって検出可能な少なくとも1つの造影剤を担持する前記第2のゲル体であって、前記第1のゲル体に物理的に結合された、該第2のゲル体と、を含む複合マーカー。
<請求項70>
前記第2のゲル体は内面を有するチューブの形態をとり、前記第1のゲル体の前記外面は前記第2のゲル体の前記内面と少なくとも部分的に接触し、前記放射線不透過性ワイヤ又はバンドは、前記第2のゲル体の前記内面の少なくとも一部と接触する、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項71>
前記第2のゲル体がロッド、ロール又は層状ロール、又はチューブの形態をとり、前記第2のゲル体の一端が、前記第1のゲル体の一端に物理的に結合される、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項72>
前記第2のゲル体が、前記第1のゲル体の少なくとも1つの端部に少なくとも近接して物理的に結合されたゲルエンドキャップの形態をとる、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項73>
前記第1のゲル体及び前記ゲルエンドキャップの中又は前記ゲルエンドキャップの上に担持された第2の複数の超音波反射要素さらに含む、請求項72に記載の複合マーカー。
<請求項74>
前記ゲルエンドキャップが少なくとも部分的に前記第1のゲル体の前記外面を取り囲み、そこから半径方向外向きに延在する、請求項72又は73のいずれかに記載の複合マーカー。
<請求項75>
前記ゲルエンドキャップはさらに前記第1のゲル体の端部の長手方向外側に延在する、請求項74に記載の複合マーカー。
<請求項76>
前記第1のゲル体が第1の材料からなり、前記ゲルエンドキャップが第2の材料からなり、前記第2の材料が前記第1の材料とは異なる、請求項72又は73のいずれかに記載の複合マーカー。
<請求項77>
前記第1のゲル体がゼラチンからなり、前記ゲルエンドキャップがポリエチレングリコールからなる、請求項72に記載の複合マーカー。
<請求項78>
前記ゲル体が前記少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドが配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体の一対の対向する端部が、前記キャビティを封止するように圧着される、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項79>
前記ゲル体は前記少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドが配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体は、体液に曝されたときに前記ゲル体が水和することに応答して、前記ゲル体の一対の対向する端部のそれぞれにおけるそれぞれの開口部を閉鎖するようなサイズである、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項80>
前記ゲル体は前記少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドが配置されるキャビティを形成し、前記ゲル体は、その第1の端部に配置された開口部を有する、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項81>
前記ゲル体の前記第1の端部の前記開口部を閉鎖するように配置されたゲルプラグをさらに含む、請求項80に記載の複合マーカー。
<請求項82>
前記ゲル体の第2の端部に少なくとも近接して物理的に結合されたゲルエンドキャップをさらに含む、請求項81に記載の複合マーカー。
<請求項83>
前記複合マーカーは前記第1及び第2のゲル体に加えて、1つ又は複数の追加のゲル体をさらに含み、前記追加のゲル体のそれぞれはロッド、ロール又は層状ロール、又はチューブの形態をとり、前記追加のゲル体のそれぞれは前記第1のゲル体の他端、前記第2のゲル体の他端、又は異なる追加のゲル体の他端に物理的に結合される、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項84>
前記1つ又は複数の追加のゲル体のそれぞれが、それぞれの追加のゲル体の中又は追加のゲル体の上に、X線イメージングと異なるとともに互いに異なるモダリティを介して検出可能な少なくとも1つの造影剤を担持する、請求項83に記載の複合マーカー。
<請求項85>
前記第1のゲル体が、チューブ、ロールもしくは層状ロール、又はロッドの形態をとる、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項86>
前記第1のゲル体はいかなる造影剤も含まない、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項87>
前記少なくとも1つの造影剤が前記第2のゲル体の中又は前記第2のゲル体の上に、その中に分散させて、任意選択でコロイド分散させて担持される、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項88>
前記少なくとも1つの造影剤が2つ以上の異なる造影剤を含み、その各々が、X線イメージングと異なるとともに互いに異なるそれぞれの検出モダリティによって検出可能である、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項89>
前記少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドが、開放コイル、閉鎖コイル、レムニスケート、又は波状円の形態をとる、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項90>
前記放射線不透過性ワイヤ又はバンドが、ステンレス鋼、白金、金、イリジウム、チタン、タンタル、タングステン、銀、ロジウム、ニッケル、ビスマス、及びバリウムからなる群から選択される放射線不透過性金属、前記放射線不透過性金属の合金、前記放射線不透過性金属の酸化物、前記放射線不透過性金属の硫酸塩、前記放射線不透過性金属の炭酸塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項91>
各ゲル体が、天然ゼラチン状材料、合成ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、請求項69~90のいずれか1項に記載の複合マーカー。
<請求項92>
各ゲル体が、
i)コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブロネクチン、及びアルブミンからなる群より選択されるタンパク質;
ii)セルロース又はメチルセルロース、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、及びアルギン酸カルシウムからなる群から選択される多糖;
iii)ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール-co-乳酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアミン、ポリオキサアミド、ポリオキサエステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びそれらのコポリマーからなる群から選択される合成ポリマー、又は
i)、ii)、もしくはiii)からの任意の2つ以上の要素の混合物
を含む、請求項91に記載の複合マーカー。
<請求項93>
各ゲル体が、少なくとも部分的に架橋され、任意選択で物理的プロセス、化学修飾によって、及び/又は架橋剤を使用して処理される、請求項91に記載の複合マーカー。
<請求項94>
各ゲル体が、アルデヒド、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、ジアルデヒド、デンプン、エポキシド、ジメチルアジピミデート、グルコセパン、カルボジイミド、ペントシジン、イソシアネート又はポリイソシアネート、金属架橋剤、イオン架橋剤、アクリル化合物、アルギン酸塩、スルフヒドリル、ゲニピン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される架橋剤を使用することによって少なくとも部分的に架橋される、請求項93に記載の複合マーカー。
<請求項95>
ゲル体が、凍結及び/又は解凍によって少なくとも部分的に架橋される、請求項93に記載の複合マーカー。
<請求項96>
各ゲル体の架橋度が、受容哺乳動物被験体の組織における前記複合マーカーの分解速度によって予め決定される、請求項93に記載の複合マーカー。
<請求項97>
前記受容哺乳動物被験体の組織における前記複合マーカーの分解速度は、前記複合マーカーが前記受容哺乳動物被験体の組織において、少なくとも3週間の期間、及び任意選択で約9ヶ月以上の期間持続するようなものである、請求項96に記載の複合マーカー。
<請求項98>
前記少なくとも1つの造影剤は前記ゲル体の中又は前記ゲル体の上に担持された複数の超音波反射要素を含み、各超音波反射要素はそれぞれ、超音波イメージング信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティと、前記少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体とを有する本体を含む、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項99>
前記少なくとも1つの造影剤が、視覚的に検出可能な染料又は顔料のうちの少なくとも1つを含む、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項100>
前記少なくとも1つの造影剤が、磁気共鳴イメージング(MRI)によって検出可能な、常磁性、超常磁性、フェリ磁性、又は強磁性化合物、又は水素以外の非ゼロスピン核を含有する化合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項101>
前記少なくとも1つの造影剤が、核ベースのイメージングによって検出可能な放射性物質を含有する、請求項69に記載の複合マーカー。
<請求項102>
ゲル体内又はゲル体上に前記少なくとも1つの造影剤を担持する前記ゲル体を生じさせるように、ゲル又はゲル形成材料をX線イメージングと異なる検出モダリティを介して検出可能な少なくとも1つの造影剤と混合するステップと、
少なくとも1つの放射線不透過性要素を前記ゲル体に組み込むステップと、
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素を組み込んだ前記ゲル体をキャスティングして複合マーカーを形成するステップと、を含む複合マーカーの製造方法。
<請求項103>
前記少なくとも1つの放射線不透過性要素を、放射線不透過性材料を含有する液体又はコロイド懸濁液から形成するステップをさらに含む、請求項102に記載の方法。
<請求項104>
形成するステップが、前記複合マーカーの前記ゲル体をもたらす前記ゲル又はゲル形成材料と同じか又は異なる、天然ゼラチン状材料、合成ポリマー、又はそれらの組み合わせを含むゲル又はゲル形成材料から、ファイバ又はバンドをスピニングし又は引き出すステップを含む、請求項103に記載の方法。
<請求項105>
形成するステップが、約1~50%のゲル又はゲル形成材料及び約1~50%の放射線不透過性材料を含有する、水性であるコロイド懸濁液又は液体からファイバ又はバンドをスピニングし又は引き出すステップを含む、請求項103に記載の方法。
<請求項106>
前記ゲル又はゲル形成材料が、
i)コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブロネクチン、及びアルブミンからなる群より選択されるタンパク質;
ii)セルロース又はメチルセルロース、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、及びアルギン酸カルシウムからなる群から選択される多糖;
iii)ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール-co-乳酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアミン、ポリオキサアミド、ポリオキサエステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びそれらのコポリマーからなる群から選択される合成ポリマー、又は
i)、ii)、もしくはiii)からの任意の2つ以上の要素の混合物
を含む、請求項102~105のいずれか1項に記載の方法。
<請求項107>
ゲル又はゲル形成材料がPVAである、請求項106に記載の方法。
<請求項108>
前記放射線不透過性材料が、ステンレス鋼、白金、金、イリジウム、チタン、タンタル、タングステン、銀、ロジウム、ニッケル、ビスマス、及びバリウムからなる群から選択される放射線不透過性金属、前記放射線不透過性金属の合金、前記放射線不透過性金属の酸化物、前記放射線不透過性金属の硫酸塩、前記放射線不透過性金属の炭酸塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項102~105のいずれか1項に記載の方法。
<請求項109>
前記放射線不透過性材料が硫酸バリウムである、請求項108に記載の方法。
<請求項110>
形成するステップが、約1~5%の加水分解PVA及び約1~5%の硫酸バリウムを含有する、水性であるコロイド懸濁液又は液体からファイバ又はバンドをスピニングし又は引き出すステップを含む、請求項103に記載の方法。
<請求項111>
形成するステップが、約40~50%の加水分解PVA及び約40~50%の硫酸バリウムを含有する、水性であるコロイド懸濁液又は液体からファイバ又はバンドをスピニングし又は引き出すステップを含む、請求項103に記載の方法。
<請求項112>
前記ファイバ又はバンドを凍結及び/又は解凍し、前記ファイバ又はバンドを成形して、前記少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドを形成するステップをさらに含む、請求項104又は105及び109~110のいずれか1項に記載の方法。
<請求項113>
前記ファイバ又はバンドは、開放コイル、閉鎖コイル、レムニスケート、又は波状円の形態をとるように成形される、請求項112に記載の方法。
<請求項114>
前記少なくとも1つの造影剤は、X線イメージングと異なるとともに互いに異なるそれぞれの検出モダリティを介してそれぞれ検出可能な2つ以上の異なる造影剤を含む、請求項102に記載の方法。
<請求項115>
前記少なくとも1つの造影剤は複数の超音波反射要素を含み、各超音波反射要素はそれぞれ、超音波イメージング信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティと、前記少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体とを有する本体を含む、請求項102に記載の方法。
<請求項116>
混合するステップが、約1~20%のゲル又はゲル形成材料、及び少なくとも1つの造影剤を約1~5mg/mlで含有する液体又はコロイド懸濁液を混合するステップを含む、請求項102に記載の方法。
<請求項117>
前記液体又はコロイド懸濁液が、水性であり、約5~10%の加水分解PVAを含有し、前記少なくとも1つの造影剤が、約1~3mg/mlで複数の中空シリカシェルを含む、請求項116に記載の方法。
<請求項118>
哺乳動物被験体において標的部位をマーキングする方法であって、
哺乳動物被験体の標的部位に非経口的に、
外面を有するゲル体と、
前記ゲル体内又はゲル体上に担持された複数の超音波反射要素であって、各超音波反射要素は、超音波イメージング信号の反射を提供するために、少なくとも1つのキャビティ及び前記少なくとも1つのキャビティ内の少なくとも1つの流体を有する本体をそれぞれ備える、該複数の超音波反射要素と、
前記ゲル体内又はゲル体上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素であって、前記少なくとも1つの放射線不透過性要素は前記ゲル体の前記外面の周りに配置されない、該少なくとも1つの放射線不透過性要素を含む複合マーカーを投与するステップと、
超音波イメージング又はX線イメージングを用いて前記標的部位及び前記複合ゲルマーカーを検出するステップ、
を含む方法。
<請求項119>
前記標的部位が腫瘍を含み、前記方法が超音波イメージング又はX線イメージングを検出ガイダンスとして使用して前記腫瘍を外科的に切除するステップをさらに含み、前記検出ガイダンスが、前記標的部位及び前記複合ゲルマーカーを検出する際に使用される検出モダリティとは異なる、請求項118に記載の方法。
<請求項120>
哺乳動物被験体において標的部位をマーキングする方法であって、
哺乳動物被験体に非経口的に、
外面を有するゲル体と、
前記ゲル体内又は前記ゲル体上に担持された活性化及び/又は加水分解された蛍光染料と、
前記ゲル体内又は前記ゲル体上に担持された少なくとも1つの放射線不透過性要素であって、前記少なくとも1つの放射線不透過性要素が前記ゲル体の前記外面の周りに配置されていない、該少なくとも1つの放射線不透過性要素
を含む複合マーカーを投与するステップと、
X線イメージング又は蛍光を検出する検出モダリティを用いて前記標的部位及び前記複合ゲルマーカーを検出するステップと、を含む方法。
<請求項121>
前記標的部位が腫瘍を含み、前記方法がX線イメージング又は蛍光を検出する検出モダリティを検出ガイダンスとして使用して前記腫瘍を外科的に切除するステップをさらに含み、前記検出ガイダンスが、前記標的部位及び前記複合ゲルマーカーを検出する前記ステップにおいて使用される検出モダリティとは異なる、請求項120に記載の方法。
<請求項122>
哺乳動物被験体において標的部位をマーキングする方法であって、
前記哺乳動物被験体に非経口的に、
外面を有する第1のゲル体と、
前記第1のゲル体の前記外面の少なくとも一部の周りに配置され、前記外面の少なくとも一部に接触する少なくとも1つの放射線不透過性ワイヤ又はバンドと、
第2のゲル体内又は第2のゲル体の上にX線イメージングと異なるモダリティによって検出可能な少なくとも1つの造影剤を担持する第2のゲル体であって、前記第1のゲル体に物理的に結合される、該第2のゲル体
を含む複合マーカーを投与するステップと、
X線イメージング又は前記少なくとも1つの造影剤を検出することができる検出モダリティを用いて前記標的部位及び前記複合ゲルマーカーを検出するステップと、を含む方法。
<請求項123>
前記標的部位が腫瘍を含み、前記方法が、X線イメージング又は前記少なくとも1つの造影剤を検出することができる検出モダリティを検出ガイダンスとして使用して前記腫瘍を外科的に切除するステップをさらに含み、前記検出ガイダンスが、前記標的部位及び前記複合ゲルマーカーを検出するステップにおいて使用される検出モダリティとは異なる、請求項122に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H