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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】スポットライト
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/233 20160101AFI20240531BHJP
   F21K 9/65 20160101ALI20240531BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20240531BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20240531BHJP
   F21V 3/04 20180101ALI20240531BHJP
   F21V 11/04 20060101ALI20240531BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20240531BHJP
   F21V 11/06 20060101ALI20240531BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20240531BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240531BHJP
   F21V 29/506 20150101ALI20240531BHJP
   F21V 29/77 20150101ALI20240531BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20240531BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240531BHJP
【FI】
F21K9/233
F21K9/65
F21V3/00 320
F21V3/02 500
F21V3/04
F21V11/04 100
F21V9/08 100
F21V11/06
F21V33/00 400
F21V29/503
F21V29/506
F21V29/77
A01G7/00 601C
F21S2/00 350
F21S2/00 375
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023207586
(22)【出願日】2023-12-08
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】523015884
【氏名又は名称】株式会社パクマケ
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】木村 正彦
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-16743(JP,A)
【文献】特開2008-147044(JP,A)
【文献】特開2019-153426(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113432061(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
F21V 23/00-99/00
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性を持つ光を照射する照射部と、着脱可能なフィルタと、該フィルタを保持するフィルタ保持部と、該フィルタ保持部を覆うフィルタカバー部と、を備え、
該照射部は、光源と、レンズと、レンズ押え部と、を持ち、
該フィルタ保持部は、フィルタ載置部と、フィルタ規制部と、を持ち、
該レンズ押え部の外側は、円環状のフィルタ載置部であり、
該フィルタ載置部の周囲に、フィルタの位置を規制する環状の突出したフィルタ規制部があり、
該フィルタカバー部は、円環部分と円筒部分とから成り、該円筒部分はフィルタ規制部の外周に螺合し、
該レンズの外側の広面は平面であり、
該フィルタは、板状であり、光の拡散、減衰、均一化、透過波長のいずれかを調整するものであることを特徴とするスポットライト。
【請求項2】
前記フィルタは、透明部材若しくは半透明部材であり、いずれか一方若しくは両方の面が粗面であり、該フィルタを装着することで、照射部からの光が装着前よりも広範囲に広がることを特徴とする請求項1に記載のスポットライト。
【請求項3】
前記フィルタの粗面の粗さ、凹凸の量及び大きさによって、光の拡散量を調整することを特徴とする請求項2に記載のスポットライト。
【請求項4】
前記フィルタは、照射部から遠い方の面が粗面であることを特徴とする請求項2に記載のスポットライト。
【請求項5】
前記フィルタは、面にスモーク処理を施していることを特徴とする請求項1に記載のスポットライト。
【請求項6】
前記フィルタは、ルーバー構造であることを特徴とする請求項1に記載のスポットライト。
【請求項7】
前記フィルタは、色フィルタであることを特徴とする請求項1に記載のスポットライト。
【請求項8】
厚さの異なる複数のフィルタを持ち、
厚さの薄いフィルタは、広面の周囲とフィルタ載置部とが当接し、
厚さの厚いフィルタは、広面と前記レンズの外側の面とが当接し、
フィルタカバー部の円環部分の内径よりも厚さの厚いフィルタの外径の方が大きく、厚さの厚いフィルタの外径よりも、フィルタ載置部の内径の方が大きいことを特徴とする請求項1に記載のスポットライト。
【請求項9】
厚さの薄いフィルタは磨り硝子フィルタであり、厚さの厚いフィルタは、ハニカムルーバーフィルタであることを特徴とする請求項8に記載のスポットライト。
【請求項10】
前記照射部の周囲には、外方向に突出する複数のフィンを持ち、
該フィンは、先端部分で環状のフィン枠に固定され、
前記フィルタ規制部の周囲には、フィンとフィン枠とで作られる複数の孔を持ち、
前記フィルタカバー部をフィルタ規制部に螺合した際、該孔が塞がれないことを特徴とする請求項1に記載のスポットライト。
【請求項11】
電球ソケットに装着する金具部を持つことを特徴とする請求項1に記載のスポットライト。
【請求項12】
植物生育用光源であり、少なくとも、赤色と青色の波長を含む光を照射することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載のスポットライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポットライトに関し、詳しくは、スポットライトの照射範囲を変える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、植物栽培等のための照明として、コンパクトで、高出力であるLEDのスポットライトが用いられてきた。
しかしながら、一般的なスポットライトは、配光範囲(照射範囲)が決められており、調整することができなかった。
また、配光範囲を調整するアダプタを用いる場合、アダプタが大きく、扱いが不便になることもあった。
そこで、光源であるスポットライトに比べ、配光範囲調整のための部品が小さく、配光範囲を適宜変更できる技術が求められていた。
【0003】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、用途に応じて配光の範囲を調節できる照明器具(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、指向性のある光源であるLEDと、このLEDを覆うように、このLEDに対し着脱可能に取り付けられる拡散透過カバーとを備え、この拡散透過カバーは、光を拡散透過する素材よりなる、照明器具を構成する技術である。
しかしながら、光源から大きく突出したカバーを光源に取り付ける技術であり、光源に比べカバーが小さいとは言えず、上記問題の解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-238442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡易的な各種フィルタ交換によって、配光範囲や色合い等を適宜変更することが可能なスポットライトを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、指向性を持つ光を照射する照射部と、着脱可能なフィルタと、該フィルタを保持するフィルタ保持部と、該フィルタ保持部を覆うフィルタカバー部と、を備え、該照射部は、光源と、レンズと、レンズ押え部と、を持ち、該フィルタ保持部は、フィルタ載置部と、フィルタ規制部と、を持ち、該レンズ押え部の外側は、円環状のフィルタ載置部であり、該フィルタ載置部の周囲に、フィルタの位置を規制する環状の突出したフィルタ規制部があり、該フィルタカバー部は、円環部分と円筒部分とから成り、該円筒部分はフィルタ規制部の外周に螺合し、該レンズの外側の広面は平面であり、該フィルタは、板状であり、光の拡散、減衰、均一化、透過波長のいずれかを調整するものである手段を採る。
【0007】
また、本発明は、前記フィルタが、透明部材若しくは半透明部材であり、いずれか一方若しくは両方の面が粗面であり、該フィルタを装着することで、照射部からの光が装着前よりも広範囲に広がる手段を採る。
【0008】
さらに、本発明は、前記フィルタの粗面の粗さ、凹凸の量及び大きさによって、光の拡散量を調整する手段を採る。
【0009】
またさらに、本発明は、前記フィルタについて、照射部から遠い方の面が粗面である手段を採る。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記フィルタについて、面にスモーク処理が施されている手段を採る。
【0011】
またさらに、本発明は、前記フィルタが、ルーバー構造である手段を採る。
【0012】
さらにまた、本発明は、前記フィルタが、色フィルタである手段を採る。
【0013】
またさらに、本発明は、厚さの異なる複数のフィルタを持ち、厚さの薄いフィルタは、広面の周囲とフィルタ載置部とが当接し、厚さの厚いフィルタは、広面と前記レンズの外側の面とが当接し、フィルタカバー部の円環部分の内径よりも厚さの厚いフィルタの外径の方が大きく、厚さの厚いフィルタの外径よりも、フィルタ載置部の内径の方が大きい手段を採る。
【0014】
さらにまた、本発明は、厚さの薄いフィルタが磨り硝子フィルタであり、厚さの厚いフィルタは、ハニカムルーバーフィルタである手段を採る。
【0015】
またさらに、本発明は、前記照射部の周囲に、外方向に突出する複数のフィンを持ち、該フィンは、先端部分で環状のフィン枠に固定され、前記フィルタ規制部の周囲には、フィンとフィン枠とで作られる複数の孔を持ち、前記フィルタカバー部をフィルタ規制部に螺合した際、該孔が塞がれない手段を採る。
【0016】
さらにまた、本発明は、電球ソケットに装着する金具部を持つ手段を採る。
【0017】
そしてまた、本発明は、植物生育用光源であり、少なくとも、赤色と青色の波長を含む光を照射する手段を採る。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るスポットライトによれば、当該スポットライトの大小に関わらず、フィルタ交換によって配光範囲や色合い等を適宜変更できるため、スポットライトを配置する際の制約もなく、自在に配光範囲や色合い等の調整が可能である。しかも、フィルタ交換は簡易的手段であって、その場で適当なフィルタへ容易に交換することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るスポットライトの実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明に係るスポットライトの作用効果を説明する模式図である。
図3】本発明に係るスポットライトのフィルタ装着位置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るスポットライトは、簡易的な各種フィルタ交換によって、配光範囲を適宜調整可能であることを最大の特徴とする。以下、本発明に係るスポットライトの実施形態を、図面に基づいて説明する。
尚、以下に示されるスポットライトの全体構成及び各部の構成は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で適宜変更することができるものである。
また、前後方向の表現は、特に記載のない場合、スポットライトの照射部のある方、照射方向を前とし、その反対で金具部分のある方を後とする。さらに、照射部のある方を先端とし、金具部分のある方を基端とする。
【0021】
図1から図3に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明に係るスポットライトの実施形態を示し、(a)はフィルタを装着した状態を示す全体斜視図、(b)は分解斜視図である。
図2は、本発明に係るスポットライトの作用効果、即ちフィルタの効果を説明する模式図であり、(a)は拡散効果の無いフィルタの場合の配光例、(b)は磨り硝子により光の拡散の効果を示し、(c)はハニカムルーバーによる拡散効果を示している。
図3は、本発明に係るスポットライトのフィルタ装着位置を示す断面図であり、(a)は厚さの薄いフィルタを装着した場合、(b)は厚さの厚いフィルタを装着した場合を示している。
【0022】
スポットライト1は、配光範囲や色合い等を調整可能なスポットライトである。
照射する光について、赤色と青色を含む光とすることで、植物生育用光源として用いることができる。
スポットライト1は、主に本体10と、フィルタ保持部50と、フィルタカバー部60と、フィルタ70と、から構成されている。フィルタ70は、着脱可能である。
本体10は、指向性のある光を照射するスポットライトである。
本体10は、照射部20とフレーム30と駆動部31と金具部32とフィン40とから成る。
【0023】
(照射部)
照射部20は、光を発生させ、指向性のある光を照射する部分である。
照射部20は、光源21と、反射板22と、レンズ23と、レンズ押え部24と、から成る。
光源21は、光を発生させる部分であり、ハロゲンライトやLEDである。本実施形態では、LEDを用いている。LEDは、比較的小さな半導体素子で高輝度を発生させることができるので、コンパクトなスポットライトを構成できる。発熱量が大きいので、フィン40を用いて熱を発散させる。光源21の周囲には、光を拡散させる拡散部を配置することもある。
反射板22は、光源21で発生した光のうち、裏面や側面へ照射される光を反射させ、前方向に進める部分である。
レンズ23は、前方向へ照射された光が所定の配光範囲になるように光を屈折させる部分である。配光範囲が適切であれば、単なる硝子板でも良い。レンズ23の外側の広面は、フィルタ70の配置のために平面となっている。
レンズ23は、フレーム30の端部にあるレンズ押え部24によって固定されている。レンズ押え部24は、レンズ23の広面の周囲を押さえる構造であり、円環状である(図1図3)。
【0024】
(フレーム等)
フレーム30は、本体10の外観を形づくる部分であり、強度があって耐熱性に優れたプラスチックや金属等の素材で成形される。駆動部31は、光源21に適切な電圧、電流値の電力を供給する部分である。LEDを直流で使用する場合、交流である商用電力を直流にし、所定の電圧値に変換する。
金具部32は、電球ソケットに装着する部分である。規格のサイズとすることによって、汎用的にスポットライトを用いることができる(図1)。
【0025】
(フィン)
フレーム30の周囲には、外方向に突出する形でフィン40が配置されている。フィン40は、照射部20を囲むように、周方向に隣接するように複数配置されている。
フィン40の数は、20個から30個程度である。伝熱性の高い素材で作られている。また、フレーム30と一体化することで、放熱効果を高めることができる。フィン40の先端部は、フィン枠41で全てのフィン40が接続されている。フィン40の端部の保護と、使用者がフィン40の端部で傷つくことを防止するためである。
フィン40と環状のフィン枠41とにより、先端部には、フィン40の数と同じ数の孔42が形成される。孔42が存在することによって、該孔42を介してフレーム30及びフィン40に沿う様に、照射部20から発生する熱が効率よく排出可能な空気の流れを発生し得る(図1(a)矢印)。
言い換えれば、照射部20の周囲には、外方向に突出する複数のフィン41を持ち、該フィン41は、先端部分で、環状のフィン枠41に固定され、フィルタ規制部52の周囲には、フィン40とフィン枠41とで作られる孔42を複数持ち、フィルタカバー部60をフィルタ規制部52に螺合した際、孔42を塞がないことによって、空気の流れを妨げない構造としている。
孔42が無かった場合、空気の流れは、フィン枠41部分で、一旦滞留するので、放熱の効率が下がってしまう。
【0026】
(フィルタ保持部)
フィルタ保持部50は、フィルタカバー部60と共に、フィルタ70を本体10に取り付ける構造である。
フィルタ保持部50は、フィルタ70を保持する部分であり、フィルタ載置部51とフィルタ規制部52とから成る。フィルタ載置部51は、フィルタ70を本体10に密着して固定するための面構造であり、円環状である。フィルタ70の広面の周囲が当接する構造で、レンズ押え部24の反対面である外側に形成されている。従って、レンズ押え部24及びフィルタ載置部51によって、レンズ23とフィルタ70は、重ね合わせる位置に配置される。
フィルタ規制部52は、フィルタ70の径方向の位置ずれを規制する部分である。
フィルタ規制部52は、フィルタ載置部51の周囲に、フィルタ70の位置を規制するための環状に突出した形状である。
フィルタ規制部52があることによって、本体10にフィルタ70を付ける際、フィルタ70の位置が容易に確定し、位置ずれの心配が無いので、フィルタ70の装着、交換を容易に行うことが可能となる。
フィルタ規制部52には、外ネジ53が設けられており、フィルタカバー部60の内ネジ61と螺合する。
【0027】
(フィルタカバー部)
フィルタカバー部60は、フィルタ保持部50に配置させたフィルタ70が落下しないように押さえる部分であり、フィルタ保持部50を覆う。フィルタ規制部52と螺合するための円筒部分と、フィルタ70の外側の広面の周囲と当接する円環部分を持つ。円筒部分の端部と円環部分の外周が接続されている。
円環部分の内径は、フィルタ載置部51の外径よりも小さい。フィルタ70の種類によっては、フィルタ載置部51を用いず、フィルタ70の広面を直接、レンズ23の広面に当接することがあるからである。
円環部分の内径を、フィルタ載置部51の外径よりも小さくすることによって、レンズ23の広面に当接するようなフィルタ70についても、落下を防止することができる。
【0028】
(フィルタ)
フィルタ70は、本体10から照射させる光の拡散量を調整したり、光量を減衰させたり、光の均一度を向上させたり、光の透過波長を変えることで、光の色を調整したりするものであり、板状である。本体10に対して、着脱可能である。
光の拡散量を調整する一例としては、磨り硝子フィルタ71が挙げられる。
磨り硝子フィルタ71の素材は、透明部材若しくは半透明部材であり、いずれか一方の面あるいは両方の面が粗面である。磨り硝子フィルタ71を装着することで、照射部20からの光は、装着前よりも広範囲に広げることができる。
また、別のフィルタ70の一例として、ハニカムルーバーフィルタ74が挙げられる。
ハニカムルーバーフィルタ74は、ルーバー構造をハニカム状(蜂の巣模様)に組んだものである。数ミリの幅を持ち、磨り硝子フィルタ71よりも厚く、黒色である。
さらに、光を減衰するフィルタ70として、面にスモーク処理したものも考えられる。面に塗料を塗布したり、蒸着したりすることで、光量を減らすことができる。
そしてまた、透過する光の波長を制限するために、色フィルタを用いても良い。例えば、植物を生育する際、赤色と青色を含む光とするために、緑の波長を吸収する色フィルタを用いることが考えられる。
【0029】
図2に沿って、フィルタ70の作用効果を説明する。
図2(a)は、フィルタ70が光拡散効果を持たない場合である。フィルタ70は、両広面とも滑面73である。
光源21からの光は、フィルタ70に到達し、フィルタ内で、若干の屈折はあるものの、ほぼ直進する。従って、指向性のある光は、その特性のまま照射される。
【0030】
図2(b)は、磨り硝子フィルタ71の例である。フィルタ70の内側(光源側)は滑面73であり、外側は粗面72である。粗面とは、ざらざらした面である。透明若しくは半透明の素材の表面に、細かな凹凸を付けることで、ざらざらな面としている。一般的な磨り硝子が該当する。
光を照射した際、滑面73では、光がほぼそのまま直進し、粗面72では、表面の凹凸に応じて光が拡散する。そのため、配光範囲は、フィルタ70無しの場合よりも広域となる。拡散量は、粗面の粗さ、凹凸の量及び大きさによって変わる。それらを変えることで、光の拡散量を調整することができる。粗面の粗さを粗くすると、拡散量は増大する。凹凸の量を多くしたり、凹凸の大きさを大きくしたりすることによって、拡散量は増大する。
また、粗面72が、照射部20から遠い方の面にあることによって、より効果的に拡散することができる。粗面72が照射部20に近い方の面にあると、粗面72で乱反射した光が、光源21の方向に戻ってしまい、照射効率が下がる場合も想定されるからである。
磨り硝子を例として挙げたが、素材は、プラスチック、樹脂等でも良い。
【0031】
図2(c)は、ハニカムルーバーフィルタ74の例である。ハニカムルーバーフィルタ74とは、ルーバーをハニカム状(蜂の巣模様)に配置したものである。磨り硝子フィルタ71よりも厚く、黒色である。
ハニカムルーバーフィルタ74を用いることによって、光源からの光の一部は、ハニカムルーバーに遮られるので、光の広がりを抑制することができ、周囲へのまぶしさを軽減する効果がある。
【0032】
(装着方法)
図1(b)に沿って、フィルタ70の装着方法を説明する。
フィルタ70として、磨り硝子フィルタ71とハニカムルーバーフィルタ74の二種類を例に採る。
本体10の配光範囲を変更するために、フィルタ70として、磨り硝子フィルタ71又はハニカムルーバーフィルタ74を選択する。
選択したフィルタ70をフィルタ規制部52の環状に突出した部分に合わせて、フィルタ載置部51の上に載置する。
次に、フィルタカバー部60を、フィルタ規制部52に螺合し、フィルタ70を固定する。
フィルタ70は、フィルタ載置部51とフィルタカバー部60に挟み付けられる状態であるので、安定して固定される。
【0033】
次に、図3に沿って、厚さの異なるフィルタの装着方法を説明する。図3は、照射部20付近の断面図である。
図3(a)は、厚さの薄いフィルタ70の場合で、例えば磨り硝子フィルタ71の場合である。上述のように、フィルタ70をフィルタ規制部52の環状に突出した部分に合わせて、フィルタ載置部51の上に、載置する。その後、フィルタカバー部60を、フィルタ規制部52に螺合し、フィルタ70を固定した状態である。
言い換えれば、フィルタ70の広面の周囲と、フィルタ載置部51とが当接し、フィルタカバー部60で覆う構造である。
図3(b)は、厚さの厚いフィルタ70、例えばハニカムルーバーフィルタ74の場合である。この場合は、フィルタ載置部51及びフィルタ規制部52を用いず、フィルタ70を直接、レンズ23に当接させ、フィルタカバー部60で固定する。
レンズ23の広面とフィルタカバー部60の円環の内側との距離は、ハニカムルーバーフィルタ74の厚さ程度である。
また、フィルタカバー部60の円環部分の内径よりも、厚さの厚いハニカムルーバーフィルタ74の外径の方が大きくなっており、厚さの厚いハニカムルーバーフィルタ74の外径よりも、フィルタ載置部51の内径の方が大きくなっている。
このように、形状を調整することで、厚さの厚いフィルタ70についても、フィルタカバー部60によって固定できる。
【0034】
(まとめ)
本発明に係るスポットライト1によれば、大きさを変えること無く、フィルタ70を交換するだけで、スポットライト1の配光範囲を適宜変更できるため、スポットライト1を配置する際の制約が増えることなく、配光範囲の調整が容易に可能となる。
【0035】
また、フィルタ70は、粗面により光を拡散することから、比較的均一に光を拡散することが可能であり、さらに、粗面の粗さや凹凸の量、凹凸の大きさによって、拡散量を細かく調整することも可能である。
尚、フィルタ70の粗面を外側にすることによって、粗面での乱反射による光の戻り量を抑えることができ、拡散の効率を向上させることができる。
【0036】
フィルタ70として、ハニカムルーバーフィルタ74を用いることで、調光作用として無用なまぶしさを軽減する眩光作用も発揮し得る。
【0037】
さらに、フィルタ70として、スモーク処理、ルーバー構造、色フィルタを選択できるので、各種調整の範囲を拡大することができる。
同様に、シンプルな構造でありながら、異なる厚さのフィルタ70を装着できるので、フィルタ70選択の幅が拡がり、それにより調整範囲も拡大することができる。
【0038】
またさらに、フィン40とフィン枠41の間に孔42があり、フィルタカバー部60で、孔42が塞がれないことから、フィルタ70を装着しながら、効率よく放熱を行うことができる。
【0039】
さらにまた、電球ソケット用金具を持つことによって、汎用の器具を用いることができ、利便性が高まる。
【0040】
そしてまた、植物生育用光源とすることによって、植物に応じて、配光範囲や色合い等を適宜調整・設定可能であるため、生育管理が容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るスポットライトは、配光範囲や色合い、光量等を自由に調整できるスポットライトであり、植物生育用光源やディスプレイ用光源として採用し得るほか、各種室内光・室外光におけるあらゆる光源として利用することが可能である。従って、本発明の産業上の利用可能性は大きいものと思料される。
【符号の説明】
【0042】
1 スポットライト
10 本体
20 照射部
21 光源
22 反射板
23 レンズ
24 レンズ押え部
30 フレーム
31 駆動部
32 金具部
40 フィン
41 フィン枠
42 孔
50 フィルタ保持部
51 フィルタ載置部
52 フィルタ規制部
53 外ネジ
60 フィルタカバー部
61 内ネジ
70 フィルタ
71 磨り硝子フィルタ
72 粗面
73 滑面
74 ハニカムルーバーフィルタ
【要約】
【課題】簡易的な各種フィルタ交換によって、配光範囲や色合い等を適宜変更することが可能なスポットライトを提供する。
【解決手段】指向性を持つ光を照射する照射部と、着脱可能なフィルタと、該フィルタを保持するフィルタ保持部と、該フィルタ保持部を覆うフィルタカバー部と、を備え、該照射部は、光源と、レンズと、レンズ押え部と、を持ち、該フィルタ保持部は、フィルタ載置部と、フィルタ規制部と、を持ち、該レンズ押え部の外側は、円環状のフィルタ載置部であり、該フィルタ載置部の周囲に、フィルタの位置を規制する環状の突出したフィルタ規制部があり、該フィルタカバー部は、円環部分と円筒部分とから成り、該円筒部分はフィルタ規制部の外周に螺合し、該レンズの外側の広面は平面であり、該フィルタは、板状であり、光の拡散、減衰、均一化、透過波長のいずれかを調整する手段を採る。
【選択図】図1
図1
図2
図3