(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】男性用下着
(51)【国際特許分類】
A41B 9/02 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
A41B9/02 F
A41B9/02 H
A41B9/02 Q
(21)【出願番号】P 2023215133
(22)【出願日】2023-12-20
【審査請求日】2023-12-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522009396
【氏名又は名称】株式会社エスピース
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】木村 政治
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-117968(JP,A)
【文献】実開平5-51901(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0006812(US,A1)
【文献】特開2008-196078(JP,A)
【文献】登録実用新案第3145169(JP,U)
【文献】登録実用新案第3139306(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臀部に対応する後身頃と、
下腹部に対応する前身頃と、
男性器を被覆する被覆部と、
前記被覆部の左右に配置されて鼠径部に沿って下腹部から
股間に向かって伸びて密着する左右の密着部と、を備え、
前記左右の密着部は、前記後身頃、前記前身頃、及び前記被覆部と比べて伸縮性の小さい生地によって構成されるとともに、
前記左右の密着部は、伸縮性の小さい生地と、少なくとも一部がアコーディオン状にされた冷感効果を有する生地と、によって二重に構成されている、男性用下着。
【請求項2】
前記被覆部は、前記後身頃、前記前身頃、及び前記密着部と比べて吸水性と速乾性の大きい生地によって構成されている、請求項1に記載された、男性用下着。
【請求項3】
臀部に対応する後身頃と、
下腹部に対応する前身頃と、
男性器を被覆する被覆部と、
前記被覆部の左右に配置されて鼠径部に沿って下腹部から
股間に向かって伸びて密着する左右の密着部と、を備え、
前記左右の密着部は、前記後身頃、前記前身頃、及び前記被覆部と比べて伸縮性の小さい生地によって構成されるとともに、
前記左右の密着部は、左右に配置されている前記前身頃、及び/又は、前記被覆部と一部のみが縫着されて
おり、縫着されていない部分は連続しておらず数か所に分散している、男性用下着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性用下着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、トランクス型やボクサー型の男性用下着が知られている。このような男性用下着は、生地が大腿部まで延びているため、両太腿間の蒸れや、擦れによる不快感を軽減することができる。しかしながら、従来の男性用下着は、男性器を保持する構造にはなっていないため、陰嚢と股間部皮膚が密着して蒸れ、不快感を生じるおそれがある。
【0003】
このような問題を解決するために、メッシュ生地を用い、自然通風に依存して乾燥状態の確保を目的とした技術が開発されている。例えば、特許文献1の男性用下着は、前身頃の下部中央に開口部を設け、かつ開口部の前方を覆うように、ほぼ逆三角形の伸縮性メッシュ地よりなる覆布の両側部と下縁とを、前身頃の両側部と下縁部とに縫着するようにして形成される。このような構成であれば、前身頃の前下部の通気性がよく、蒸れにくいだけでなく、小用にも便利である、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1を含む従来の男性用下着では、男性器と周辺部の皮膚とが完全には隔離されていない。したがって、高気温、高湿度などの環境的な要因、肥満などの身体的要因、歩行などの運動的要因、長時間の着席、仰臥、起立状態など静止時の姿勢的要因によって発生する、発汗、蒸れ、それらに起因する不快感、および男性器と周辺部の皮膚との擦れを解決できない、という問題があった。
【0006】
そこで、本発明は前述のような問題点に鑑みて開発されたものであり、男性器と周辺部の皮膚とを隔離することで、上記課題における問題点を解決する男性用下着を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の男性用下着は、臀部に対応する後身頃と、下腹部に対応する前身頃と、男性器を被覆する被覆部と、前記被覆部の左右に配置されて鼠径部に沿って下腹部から股関に向かって伸びて密着する左右の密着部と、を備え、前記左右の密着部は、前記後身頃、前記前身頃、及び前記被覆部と比べて伸縮性の小さい生地によって構成されるとともに、前記左右の密着部は、伸縮性の小さい生地と、少なくとも一部がアコーディオン状にされた冷感効果を有する生地と、によって二重に構成されている。
【0008】
さらに、本発明の別形態の男性用下着は、臀部に対応する後身頃と、下腹部に対応する前身頃と、男性器を被覆する被覆部と、前記被覆部の左右に配置されて鼠径部に沿って下腹部から股関に向かって伸びて密着する左右の密着部と、を備え、前記左右の密着部は、前記後身頃、前記前身頃、及び前記被覆部と比べて伸縮性の小さい生地によって構成されるとともに、前記左右の密着部は、左右に配置されている前記前身頃、及び/又は、前記被覆部と一部のみが縫着されている。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明の男性用下着は、後身頃と、前身頃と、被覆部と、左右の密着部と、を備え、左右の密着部は、後身頃、前身頃、及び被覆部と比べて伸縮性の小さい生地によって構成されるとともに、左右の密着部は、伸縮性の小さい生地と、少なくとも一部がアコーディオン状にされた冷感効果を有する生地と、によって二重に構成されている。このような構成であれば、左右の密着部の冷感効果を有する生地に、直接又は間接に接することで、発汗、蒸れ、それらに起因する不快感を抑制できる。
【0010】
また、本発明の別形態の男性用下着は、後身頃と、前身頃と、被覆部と、左右の密着部と、を備え、左右の密着部は、後身頃、前身頃、及び被覆部と比べて伸縮性の小さい生地によって構成されるとともに、左右の密着部は、左右に配置されている前身頃、及び/又は、被覆部と一部のみが縫着されている。このような構成であれば、縫合されていない部分(隙間)を介して通気できるため、発汗、蒸れ、それらに起因する不快感を抑制できる。加えて、縫合されていない部分があることで、密着部が、左右に配置されてる前身頃と被覆部の生地に引っ張られる影響をより小さくできるため、鼠径部への密着力が増加して、より隔離効果が向上して不快感を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】実施例1の男性用下着の密着部の断面図である。
【
図4】実施例1の男性用下着を装着した状態図である。
【
図6】実施例2の男性用下着の密着部を構成する部品図である。
【
図8】実施例3の男性用下着の密着部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0013】
(構成)
まず、本実施例では
図1~
図4を用いて、冷却素材を用いない密着部(14、15)を備えた男性用下着1について説明する。本実施例の男性用下着1は、
図1、
図2に示すように、いわゆるボクサーブリープ(ボクサーパンツ)であるが、本発明は、他の形式の男性用下着(例えば、ブリーフやミッドウェイブリーフなど)にも適用可能である。この男性用下着1は、主に、着圧や締め付けの強い素材を用いた男性器周辺部14、15、16と、その他の部分11~13、17~19と、から構成されている。
【0014】
より具体的に言うと、男性用下着1は、臀部を覆う後身頃19と、下腹部を覆う前身頃としての右前身頃12及び左前身頃13と、男性器を被覆する被覆部17と、被覆部17の左右に配置されて鼠径部(大腿部の付け根)に密着する右密着部14及び左密着部15と、押上部16と、股下まち身頃18と、を備えている。
【0015】
男性器周辺の右密着部14及び左密着部15並びに押上部16は、その周辺部である前身頃12、13、被覆部17、股下まち身頃18、後身頃19と比べると、伸縮性が小さいが故に、着圧や締め付けが強い生地によって形成されている。
【0016】
左右の密着部14、15は、鼠径部に沿って、下腹部から股間に向かって伸びている。押上部16は、股間部(男性器の下部に相当する位置)に配置されている。
【0017】
前面の中央近傍において、押上部16は筒状に形成されて、左右方向に開口するように横向きに配置される。そして、押上部16の左右の両端部と密着部14、15の内側部とが縫合される。さらに、被覆部17の左右の外側部と密着部14、15の内側部、被覆部17の下端部と押上部16の上端部、股下まち身頃18の上端部と密着部14、15の下端部、及び、押上部16の下端部とが縫合される。
【0018】
他にも、前面において、ウェストゴム11の下端部と、左右の前身頃12、13、左右の密着部14、15の上端部、及び、被覆部17の上端部と、が縫合されている。また、左右の前身頃12、13の内側部と左右の密着部14、15の外側部とが縫合されている。さらに左右の前身頃12、13の内側下部と股下まち身頃18の左右の外側部とが縫合されている。
【0019】
後面において、ウェストゴム11の下端部と後身頃19の上端部とが縫合され、かつ、後身頃19の下端部と股下まち身頃18の上端部及び外側両端部とが縫合されている。
【0020】
左右の側面においては、後身頃19と前身頃12、13は、それぞれの外側部で縫合されている。
【0021】
したがって、高着圧、高い締め付け効果を有する素材を用いた密着部14、15による男性器への左右からの着圧と、同じく、伸縮性が小さいことで、高着圧、高い締め付け効果を有する素材を用いた押上部16による男性器への下部からの着圧によって、自動的に前方へ押し出された男性器全体を被覆部17によって覆うことで、男性器と男性器周辺部皮膚とを隔離するような形態を成す。
【0022】
そして、本実施例の男性用下着1において、左右の密着部14、15は、高着圧、高い締め付け効果とともに、冷感効果を有する生地によって構成されている。ここにおいて、冷感効果を有する生地とは、いわゆる「接触冷感素材」であり、触るとヒンヤリと感じる生地のことを言うものとする。
【0023】
接触冷感素材として、化学繊維では、レーヨンやキュプラがこの接触冷感に優れた性質を持っていることが知られている。生地(素材)としては、具体的には、芯にポリエステル、鞘にエバール(ポリエチレン樹脂とポリビニルアルコール樹脂との複合樹脂)を用いた芯鞘複合繊維が知られている。
【0024】
さらに、本実施例の左右の密着部14、15は、
図3に示すように、外側の伸縮性の小さい生地141と、内側の冷感効果を有する生地142と、によって二重構成とすることもできる。ただし、後述するように、これとは逆に、外側を冷感効果を有する生地とし、内側を伸縮性の小さい生地とすることもできる。
【0025】
すなわち、冷感効果を有する生地142の伸縮性が乏しい場合に、これをアコーディオン状に形成することによって伸縮性を担保している。なお、内側の生地142の形状としては、図示したアコーディオン状の他、波形状、ジグザグ形状、折り返し形状であってもよい。すなわち、生地が伸びる方向に対して、所定の長さの余裕がある形状であればどのような形状も含まれる。
【0026】
この他、被覆部17は、後身頃19、前身頃12、13、及び、密着部14、15と比べて、吸水性と速乾性の大きい生地によって構成することも好ましい。
【0027】
(効果)
次に、本実施例の男性用下着1の奏する効果を列挙して説明する。
【0028】
(1)上述してきたように、本実施例の男性用下着1は、臀部を覆う後身頃19と、下腹部を覆う前身頃12、13と、男性器を被覆する被覆部17と、被覆部17の左右に配置されて鼠径部に密着する左右の密着部14、15と、を備え、左右の密着部14、15は、後身頃19、前身頃12、13、及び被覆部17と比べて伸縮性を小さくすることで、着圧や締め付けを強くした生地によって構成されている。このような構成であれば、
図4に示すように、男性器と周辺部の皮膚とを隔離することで、発汗、蒸れ、それらに起因する不快感、および男性器と周辺部の皮膚との擦れを解消できる。
【0029】
(2)また、左右の密着部14、15は、さらに冷感効果を有する生地によって構成されている。そうすると、伸縮性が小さいが故に、着圧や締め付けが強い生地を密着部14、15に配置することで、鼠径部に冷感効果のある生地でできた密着部14、15が密着するため、冷感による快適性がきわめて高くなる。つまり、単に冷感効果のある生地を配置するのではなく、伸縮性が小さいが故に、着圧や締め付けが強まることで鼠径部に密着する密着部14、15に冷感効果のある生地を適用することで、冷感効果のある生地が確実に広い面積でもって鼠径部に密着することで、効率よく体全体を冷却できるのである。
【0030】
(3)さらに、左右の密着部14(15)は、外側の伸縮性の小さい生地141と、内側のアコーディオン状にされた冷感効果を有する生地142と、によって構成されていることが好ましい。このように、密着部14(15)を二重構成にすることで、伸縮性(密着性)と冷感による快適性の2つの利点を同時に実現することができる。特に、冷感効果を有する生地の伸縮性が乏しい場合に二重構成にすることが有効である。
【0031】
(4)また、被覆部17は、後身頃19、前身頃12、13、及び密着部14、15と比べて吸水性と速乾性の大きい生地によって構成されているため、尿漏れ、残尿対策としても効果が高い。この場合、被覆部17に男性器が収まることで、周囲へ尿が漏れ出にくくなるため、いっそう効果が高くなる。
【実施例2】
【0032】
以下、
図5、
図6を用いて、実施例1とは別の形態の密着部24、25を備える男性用下着1Aについて説明する。なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0033】
(構成)
まず、構成について説明すると、実施例2の男性用下着1Aは、
図5に示すように、全体としては実施例1の男性用下着1と略同様の構成を備えている。すなわち、本実施例の男性用下着1Aは、臀部を覆う後身頃19と、下腹部を覆う前身頃としての右前身頃12及び左前身頃13と、男性器を被覆する被覆部17と、被覆部17の左右に配置されて鼠径部に密着する右密着部24及び左密着部25と、押上部16と、股下まち身頃18と、を備えている。
【0034】
そして、本実施例の男性用下着1Aは、左右の密着部24、25に冷却素材30が収納されている点において、実施例1と大きく異なっている。例えば、右密着部24(左密着部25も同様)は、筒状に構成された筒状部としての二重の生地241、242と、筒状部の内部に収容された冷却剤30と、によって構成されている。
【0035】
すなわち、右密着部24は、細長い外側の生地241と、同じ細長い形状の内側の生地242と、によって二重に構成されており、両側縁を互いに縫合することによって、筒状に構成される。同様に、左密着部25も、細長い外側の生地251と、同じ細長い形状の内側の生地252と、によって二重に構成されており、両側縁を互いに縫合することによって、筒状に構成される。
【0036】
そして、これらの左右の密着部24、25の筒状部241、242及び251、252は、着用した状態の上部が縫合されていないことで、上部に開口部243、253を有している。そして、この開口部243、253を通じて、冷却剤30を収納・交換できるようになっている。したがって、あらかじめ複数本の冷却剤30を冷蔵庫等で冷やして準備しておくことで、常に温度の低い冷却剤30によって鼠径部を長時間にわたって冷却し続けることができるようになっている。
【0037】
冷却剤30は、細長い棒状に形成されており、収納部に収納しやすくなっている。冷却剤30としては、市販されているものを用いることができ、水と高吸収性ポリマーによって構成され、ポリエチレン製の袋に収容されている。もちろん、収納部に収納しやすい大きさになっている専用の冷却剤30を用いることもできる。
【0038】
(効果)
次に、本実施例の男性用下着1Aの奏する効果を列挙して説明する。
【0039】
(1)上述したように、本実施例の男性用下着1Aは、臀部を覆う後身頃19と、下腹部を覆う前身頃12、13と、男性器を被覆する被覆部17と、被覆部17の左右に配置されて鼠径部に密着する左右の密着部24、25と、を備え、左右の密着部24、25は、後身頃19、前身頃12、13、及び被覆部17と比べて伸縮性を小さくすることで、着圧や締め付けを強くした生地によって構成されている点は実施例1と同様である。したがって、男性器と周辺部の皮膚とを隔離することで、発汗、蒸れ、それらに起因する不快感、および男性器と周辺部の皮膚との擦れを解消できる。
【0040】
(2)そして、左右の密着部24(25)は、筒状に構成された筒状部を構成する二重の生地241、242(251、252)と、筒状部の内部に収容された冷却剤30と、によって構成されている。このような構成であれば、あらかじめ冷蔵庫等で冷やしておいた冷却剤30を収納部に収納することで、冷却剤30によって鼠径部を冷却することができる。すなわち、鼠径部(大腿部の付け根)を温度の低い冷却剤30で冷却することで、血管(動脈及び静脈)を冷やすことによって体全体を効率よく冷却することができる。
【0041】
(3)さらに、この左右の密着部24、25の筒状部を構成する二重の生地241、242(251、252)は、着用した状態における上部に開口部243(253)を有するとともに、開口部243(253)を通じて冷却剤30を交換できるようになっていることが好ましい。このように構成すれば、開口部243(253)を通じて冷却剤30を交換できるため、あらかじめ複数本の冷却剤30を準備しておくことで、長時間にわたって鼠径部―ひいては体全体―を冷却し続けることができる。
【0042】
なお、この他の構成および作用効果については、実施例1と略同様であるため説明を省略する。
【実施例3】
【0043】
以下、
図7、
図8を用いて、実施例1、2とは別形態の密着部34、35を備える男性用下着1Bについて説明する。なお、実施例1、2で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0044】
(構成)
実施例1、2と略同様に、男性用下着1Bは、臀部を覆う後身頃19と、下腹部を覆う前身頃としての右前身頃12及び左前身頃13と、男性器を被覆する被覆部17と、被覆部17の左右に配置されて鼠径部(大腿部の付け根)に密着する右密着部34及び左密着部35と、押上部16と、股下まち身頃18と、を備えている。
【0045】
そして、本実施例の男性用下着1Bの男性器周辺の右密着部34及び左密着部35は、実施例1と同様に、その周辺部である前身頃12、13、被覆部17、股下まち身頃18、後身頃19と比べると、伸縮性の小さい生地によって形成されている。
【0046】
さらに、本実施例の左右の密着部34、35は、伸縮性の小さい生地341、351と、少なくとも一部がアコーディオン状にされた冷感効果を有する生地342、352と、によって二重に構成されている。なお、「少なくとも一部がアコーディオン状」は、その全体がアコーディオン状にされた態様を含むことはもちろん、ごく一部のみがアコーディオン状にされた態様も含む。
【0047】
ここにおいて、二層構造の密着部34、35は、
図8(a)に示すように、内側が伸縮性の小さい生地341(351)とされ、外側が冷感効果を有する生地342(352)とされる構成であってもよいし、その逆に、
図8(b)に示すように、外側が伸縮性の小さい生地341(351)とされ、内側が冷感効果を有する生地342(352)とされる構成のいずれであってもよい。
【0048】
(作用・効果)
次に、本実施例の男性用下着1Bの奏する効果を説明する。
【0049】
(1)上述してきたように、本実施例の男性用下着1Bは、臀部に対応する後身頃19と、下腹部に対応する前身頃12、13と、男性器を被覆する被覆部17と、被覆部17の左右に配置されて鼠径部に沿って下腹部から股関に向かって伸びて密着する左右の密着部34、35と、を備え、左右の密着部34、35は、後身頃19、前身頃12、13、及び被覆部17と比べて伸縮性の小さい生地によって構成されるとともに、左右の密着部34、35は、伸縮性の小さい生地341と、少なくとも一部がアコーディオン状にされた冷感効果を有する生地342と、によって二重に構成されている。このような構成であれば、左右の密着部の冷感効果を有する生地に、直接又は間接に接することで、発汗、蒸れ、それらに起因する不快感を抑制できる。
【0050】
なお、この他の構成および作用効果については、実施例1、2と略同様であるため説明を省略する。
【実施例4】
【0051】
以下、
図9を用いて、実施例1-3とは別形態の密着部44、45を備える男性用下着1Cについて説明する。なお、実施例1-3で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0052】
(構成)
実施例1-3と略同様に、男性用下着1Cは、臀部を覆う後身頃19と、下腹部を覆う前身頃としての右前身頃12及び左前身頃13と、男性器を被覆する被覆部17と、被覆部17の左右に配置されて鼠径部(大腿部の付け根)に密着する右密着部44及び左密着部45と、押上部16と、股下まち身頃18と、を備えている。
【0053】
そして、本実施例の男性用下着1Cの男性器周辺の右密着部44及び左密着部45は、実施例1と同様に、その周辺部である前身頃12、13、被覆部17、股下まち身頃18、後身頃19と比べると、伸縮性の小さい生地によって形成されている。
【0054】
さらに、本実施例の左右の密着部44、45は、
図9に示すように、左右に配置されている前身頃12、13、及び/又は、被覆部17と一部のみが縫着されている。換言すると、左右の密着部44、45は、周囲の部材と縫着されていない部分(図中に白点線で囲んだ楕円形)があり、この部分が隙間となっている。なお、前身頃12、13と左右の密着部44、45の一部のみが逢着され、かつ、被覆部17と左右の密着部44、45の一部のみが逢着される場合を含むことはもちろんであるが、いずれか一方の一部のみが逢着される場合も含む。
【0055】
より具体的に言うと、被覆部17と密着部44(45)の間、及び/又は、密着部44(45)と前身頃12(13)の間には、少なくとも一部分は縫い合わされていない部分があり、その部分が隙間となるため、隙間を通じて下着内外の通気性を保持できるのである。なお、縫着されていない部分は、一か所にまとまって連続していてもよいが、数か所に分散(離散)していてもよいことは言うまでもない。
【0056】
(作用・効果)
次に、本実施例の男性用下着1Cの奏する効果を説明する。
【0057】
(1)上述してきたように、本実施例の男性用下着1Cは、臀部を覆う後身頃19と、下腹部を覆う前身頃としての右前身頃12及び左前身頃13と、男性器を被覆する被覆部17と、被覆部17の左右に配置されて鼠径部(大腿部の付け根)に密着する右密着部44及び左密着部45と、押上部16と、股下まち身頃18と、を備えている。このうち、左右の密着部44、45は、左右に配置されている前身頃12、13、及び/又は、被覆部17と一部のみが縫着されている。このような構成であれば、縫合されていない部分(隙間)を介して通気できるため、発汗、蒸れ、それらに起因する不快感を抑制できる。加えて、縫合されていない部分があることで、密着部44、45が、左右に配置されてる前身頃12、13と被覆部17の生地に引っ張られる影響をより小さくできるため、鼠径部への密着力が増加して、より隔離効果が向上して不快感を抑制できる。
【0058】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0059】
例えば、実施例では、股下まち身頃18を有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、股下まち身頃18を有しない男性用下着であっても、本発明を提供することができる。
【0060】
また、実施例では、左右の側面で後身頃と前身頃が縫合されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、他の形態-例えば、左右でなく、後ろのお尻の割れ目辺りで縫合-を採用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
1、1A 男性用下着
1B、1C 男性用下着
11 ウエストゴム
12 右前身頃
13 左前身頃
14 右密着部
141 (外側の)生地
142 (内側の)生地
15 左密着部
151 (外側の)生地
152 (内側の)生地
16 押上部
17 被覆部
18 股下まち身頃
19 後身頃
24 右密着部
241 (外側の)生地
242 (内側の)生地
243 開口部
25 左密着部
251 (外側の)生地
252 (内側の)生地
253 開口部
30 冷却剤
34、44 (右)密着部
35、45 (左)密着部
【要約】
【課題】男性器と周辺部の皮膚とを隔離し、冷却機能を有する男性用下着を提供する。
【解決手段】男性用下着1は、臀部を覆う後身頃19と、下腹部を覆う前身頃12、13と、男性器を被覆する被覆部17と、被覆部17の左右に配置されて鼠径部に密着する左右の密着部34、35と、を備え、左右の密着部34、35は、後身頃19、前身頃12、13、及び被覆部17と比べて伸縮性の小さい生地によって構成されるとともに、左右の密着部34、35は、伸縮性の小さい生地と、少なくとも一部がアコーディオン状にされた冷感効果を有する生地と、によって二重に構成されている。
【選択図】
図1