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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】タイヤ・ホイール組立体及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60B 21/12 20060101AFI20240531BHJP
   B60C 13/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
B60B21/12 Z
B60C13/00 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019137244
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2021020512
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-07-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業、「第三世代ワイヤレスインホイールモータを開発と実証」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】桑山 勲
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-167831(JP,A)
【文献】特開2010-254044(JP,A)
【文献】特開2008-105544(JP,A)
【文献】特開2019-047691(JP,A)
【文献】特開2009-018716(JP,A)
【文献】特開2010-041824(JP,A)
【文献】特開平08-126106(JP,A)
【文献】特開2009-106136(JP,A)
【文献】特開2004-242380(JP,A)
【文献】特開2006-081304(JP,A)
【文献】特開2005-119543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 21/12
B60C 1/00-19/12
B60L 5/00-5/42
H02J 7/00-7/12,7/34-7/36、50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク部とリム部とを備えるホイールであって、
前記リム部の外周面に取り付けられ、前記リム部よりも前記ホイールの径方向外側から無線によって供給される電力を受電する、受電装置を有する、ホイールと、
前記ホイールの外周面を覆うように取り付けられ、一対のサイドウォール部を備えるタイヤであって、
前記サイドウォール部のゲージは、1.5mm以上である、タイヤと、
を備え、
前記リム部は、前記受電装置が受電した電力を内周側に伝送する配線を通す貫通孔を有し、
前記リム部の内周面側に、前記配線に電気的に接続された中継装置を有し、
前記タイヤのトレッド部が非磁性材料のみで形成されている、タイヤ・ホイール組立体。
【請求項2】
前記リム部は、非磁性材料により構成される、
請求項1に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項3】
前記中継装置は、前記リム部の内周面に取り付けられた中継コイルにより構成される、
請求項1に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項4】
前記中継装置は、前記ディスク部の中心軸と同軸となるように配置された、導電性のリングにより構成される、
請求項1に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項5】
ディスク部とリム部とを備えるホイールであって、
前記リム部の外周面に取り付けられた中子と、
前記中子の外周面に取り付けられ、前記中子よりも前記ホイールの径方向外側から無線によって供給される電力を受電する、受電装置と、
を有する、ホイールと、
前記ホイールの外周面を覆うように取り付けられ、一対のサイドウォール部を備えるタイヤであって、
前記サイドウォール部のゲージは、1.5mm以上である、タイヤと、
を備え、
前記リム部は、前記受電装置が受電した電力を内周側に伝送する配線を通す貫通孔を有し、
前記リム部の内周面側に、前記配線に電気的に接続された中継装置を有する、タイヤ・ホイール組立体。
【請求項6】
前記受電装置は、電磁誘導方式によって供給される電力を受電する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のタイヤ・ホイール組立体に用いられる前記タイヤであって、
前記ホイールの外周面を覆うように取り付けられた、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ・ホイール組立体及びタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路又は駐車場等に設けられた送電装置が、車両に搭載された受電装置に、無線で電力を供給する無線給電技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両の下側に受電装置を備えることによって、路面に設けられた送電装置による充電が可能な車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-068077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された車両の下側に設置された受電装置が、道路等に設けられた送電装置から無線で電力の供給を受ける際に、受電装置と送電装置との間の空間に、金属又は小動物等の障害物が入り込むことで、受電効率が低下するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、無線給電における受電効率を向上可能な、タイヤ・ホイール組立体及びタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明のタイヤ・ホイール組立体は、ディスク部とリム部とを備えるホイールであって、前記リム部の外周面に取り付けられ、前記リム部よりも前記ホイールの径方向外側から無線によって供給される電力を受電する、受電装置を有する、ホイールと、前記ホイールの外周面を覆うように取り付けられ、一対のサイドウォール部を備えるタイヤであって、前記サイドウォール部のゲージは、1.5mm以上である、タイヤと、を備える。本発明に係るタイヤ・ホイール組立体によれば、ホイールの外周面に取り付けられた受電装置において、電磁誘導方式等による無線給電における受電効率が向上する。
【0007】
(2)本発明のタイヤ・ホイール組立体では、前記リム部は、前記受電装置が受電した電力を内周側に伝送する配線を通す貫通孔を有することが好ましい。この構成によれば、受電装置が受電した電力を内周側の内部機構に伝送できる。
【0008】
(3)本発明のタイヤ・ホイール組立体では、前記リム部は、非磁性材料により構成され、前記受電装置が受電した電力を内周側に伝送する配線を有することが好ましい。この構成によれば、受電装置が受電した電力を内周側の内部機構に伝送できるとともに、ホイールを軽量化できる。
【0009】
(4)本発明のタイヤ・ホイール組立体は、前記リム部の内周面側に、前記配線に電気的に接続された中継装置を有することが好ましい。この構成によれば、中継装置を介して、受電装置が受電した電力を内部機構に伝送できる。
【0010】
(5)本発明のタイヤ・ホイール組立体では、前記中継装置は、前記リム部の内周面に取り付けられた中継コイルにより構成されることが好ましい。この構成によれば、中継コイルを介して、受電装置が受電した電力を内部機構に伝送できる。
【0011】
(6)本発明のタイヤ・ホイール組立体では、前記中継装置は、前記ディスク部の中心軸と同軸となるように配置された、導電性のリングであることが好ましい。この構成によれば、スリップリングを用いて、受電装置が受電した電力を内部機構に伝送できる。
【0012】
(7)本発明のタイヤ・ホイール組立体は、ディスク部とリム部とを備えるホイールであって、前記リム部の外周面に取り付けられた中子と、前記中子の外周面に取り付けられ、前記中子よりも前記ホイールの径方向外側から無線によって供給される電力を受電する、受電装置と、を有する、ホイールと、前記ホイールの外周面を覆うように取り付けられ、一対のサイドウォール部を備えるタイヤであって、前記サイドウォール部のゲージは、1.5mm以上である、タイヤと、を備える。本発明に係るタイヤ・ホイール組立体によれば、中子の外周面に取り付けられた受電装置において、電磁誘導方式等による無線給電における受電効率が向上する。
【0013】
(8)本発明のタイヤ・ホイール組立体では、前記受電装置は、電磁誘導方式によって供給される電力を受電することが好ましい。この構成によれば、電磁誘導方式による無線給電における受電効率が向上する。
【0014】
(9)本発明のタイヤ・ホイール組立体では、前記タイヤのトレッド部が非磁性材料で形成されていることが好ましい。この構成によれば、無線給電における受電効率がさらに向上する。
【0015】
(10)本発明のタイヤは、上述のタイヤ・ホイール組立体に用いられる前記タイヤであって、前記ホイールの外周面を覆うように取り付けられている。本発明に係るタイヤによれば、ホイールの外周面に取り付けられた受電装置において、電磁誘導方式等による無線給電における受電効率が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、無線給電における受電効率を向上可能な、タイヤ・ホイール組立体及びタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るタイヤ・ホイール組立体を備える車両の給電方法の一例について説明する概念図である。
図2図1のタイヤの詳細を示すタイヤ幅方向断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体の概略構成を示す断面の模式図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体の概略構成を示す断面の模式図である。
図5図3のタイヤ・ホイール組立体の一変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して例示説明する。
【0019】
図1は、本発明に係るタイヤ・ホイール組立体を備える車両の給電方法について説明する概念図である。本明細書で説明する給電方法は、例えば電気自動車等の、電気をエネルギー源とし、電動機を動力源として走行する車両100に適用することができる。以下、車両100は、コンピュータにより車両の走行が制御される、自動運転により走行するとして説明する。
【0020】
図1には、説明を簡潔にするため、車両100の給電に関連する機構のみが図示されている。本例では、車両100には、いわゆる電磁誘導方式で電力が供給されるとして説明する。車両100による電磁誘導方式での給電について、車両100の構成とともに、図1を参照して説明する。
【0021】
車両100は、タイヤ・ホイール組立体110を備えている。車両100は、例えばタイヤ・ホイール組立体110を4つ備えるが、図1には2つのみが図示されている。
【0022】
車両100は、路面200上を走行する。路面200の内部、つまり地中には、送電装置210が配置されている。車両100が電磁誘導方式で電力の供給を受ける場合には、送電装置210は、送電コイル210aにより構成される。送電装置210は、車両100のタイヤ幅、つまり車両100に取り付けられた左右のタイヤ・ホイール組立体110間の幅と略同じ幅で、路面200内に配置されている。送電装置210には、系統電源220から出力された電力が、電力変換回路230を介して供給される。例えば、系統電源220から出力された電力は、電力変換回路230で、例えば電圧、電流又は周波数等が変換され、変換後の交流電力が送電装置210に供給される。送電装置210に交流電力が供給されることにより、送電コイル210aに磁界が発生する。
【0023】
タイヤ・ホイール組立体110は、受電装置111を備えている。なお、図1において、受電装置111の位置は、説明しやすいように画かれており、正確な位置を示すものではない。車両100が電磁誘導方式で電力の供給を受ける場合には、受電装置111は、受電コイル111aにより構成される。タイヤ・ホイール組立体110が送電コイル210a上に位置するように、車両100が走行することにより、タイヤ・ホイール組立体110に設けられた受電コイル111aには、送電コイル210aにより発生する磁界に応じた誘導起電力が発生する。このようにして、受電コイル111aを介して、受電装置111は、電力の供給を受けることができる。
【0024】
すなわち、送電装置210が、磁界を発生させることによって、受電装置111に無線によって電力を供給する。より具体的には、受電装置111がタイヤ・ホイール組立体110のタイヤ径方向内側に収容され、タイヤ・ホイール組立体110の接地面が、路面200に設けられた送電装置210の上を通過するように車両100が走行し、あるいは、タイヤ・ホイール組立体110の接地面が送電装置210の上に位置するように車両100が停止することで、送電装置210から略垂直上向きに発生する磁界によって、受電装置111が電力を受電することができる。この際に、タイヤ・ホイール組立体110のトレッド部が路面と接触しているため、受電装置111と送電装置210との間に障害物が入り込むおそれを低減させ、ひいては、受電装置111の無線給電における受電効率を向上させることができる。
【0025】
タイヤ・ホイール組立体110は、内部に、タイヤを回転させるための駆動機構(以下、「内部機構」ともいう)として、電力変換回路120と、インホイールモータ(IWM)121と、を備える。受電装置111で受電した電力は、各タイヤ・ホイール組立体110に対応して設けられている電力変換回路120に供給され、例えば直流電力に変換される。電力変換回路120で変換された電力は、各タイヤ・ホイール組立体110に対応して設けられているIWM121に供給される。IWM121は、タイヤ・ホイール組立体110を回転させて車両100を走行させるための電気モータである。タイヤ・ホイール組立体110は、内部に、電力変換回路120により変換された電力を充電するために用いられるキャパシタを、さらに備えていてもよい。
【0026】
電力変換回路120で変換された電力のうち、IWM121で消費されなかった電力は、車両100が備える車載バッテリ130に供給され、充電されてもよい。このとき、車載バッテリ130には、電力変換回路131を介して電力が供給され、充電されてよい。車載バッテリ130に充電された電力は、例えば、車両100における多様な機器を動作させるために用いられる。
【0027】
図2には、図1のタイヤ11を、タイヤ幅方向に沿って、タイヤ11の回転軸を通る面で切断した、タイヤ幅方向断面図が示されている。本明細書において、タイヤ幅方向とは、タイヤ11の回転軸と平行な方向をいう。図2において、タイヤ幅方向は、矢印Wで示される。また、タイヤ径方向とは、タイヤ11の回転軸と直交する方向をいう。図2において、タイヤ径方向は、矢印Rで示される。本実施形態において、タイヤ11は、タイヤの赤道面CLに対して対称な構成であるとして説明するが、これに限られず、タイヤ11は、タイヤの赤道面CLに対して非対称な構成とすることができる。
【0028】
本明細書において、タイヤ径方向に沿ってタイヤ11の回転軸に近い側を「タイヤ径方向内側」又は「タイヤ内周側」と称し、タイヤ径方向に沿ってタイヤ11の回転軸から遠い側を「タイヤ径方向外側」又は「タイヤ外周側」と称する。一方、タイヤ幅方向に沿ってタイヤの赤道面CLに近い側を「タイヤ幅方向内側」と称し、タイヤ幅方向に沿ってタイヤの赤道面CLから遠い側を「タイヤ幅方向外側」と称する。
【0029】
図2に示すように、タイヤ11は、一対のビード部21と、それぞれビード部21からタイヤ径方向外側に連続する一対のサイドウォール部22と、一対のサイドウォール部22どうしの間にあるトレッド部23と、を有している。トレッド部23は、一対の接地端どうしの間のタイヤ幅方向部分である。
【0030】
トレッド部23は、例えば、非磁性材料のみで形成されている。これにより、仮にトレッド部23が磁性材料(例えば、スチール)を含む場合に比べて、受電効率を向上できる。
【0031】
トレッド部23は、受電の際に送電装置210と受電装置111との間に位置する(ひいては、電力(本実施形態において、具体的には、磁界)が主に通る位置にある)ため、トレッド部23の材料をこのように適切化することは、受電効率向上への寄与が高い。
【0032】
非磁性材料には、透磁率が小さい、常磁性体及び反磁性体が含まれる。非磁性材料として、例えば、ポリエステル及びナイロン等の熱可塑性樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、並びにその他の合成樹脂を含む、樹脂材料を用いることができる。樹脂材料には、更に、補強繊維として、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等の繊維を含ませることができる。非磁性材料として、樹脂に限らず、ゴム、ガラス、カーボン、グラファイト、アラミド、ポリエチレン、及びセラミック等を含む、任意の非金属材料を用いることができる。さらに、非磁性材料として、アルミ等の常磁性体、又は銅等の反磁性体を含む、金属材料を用いることができる。
【0033】
タイヤ11は、カーカス24を有している。カーカス24は、一対のビードコア21A間にトロイダル状に延在しており、タイヤの骨格を形成している。カーカス24の端部側はビードコア21Aに係止されている。具体的には、カーカス24は、ビードコア21A間に配置されたカーカス本体部24Aと、ビードコア21Aの周りにタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側へ折り返されているカーカス折返し部24Bと、を有している。カーカス折返し部24Bの長さは、任意とすることができる。また、カーカス24は、カーカス折返し部24Bを有していない構造、或いはカーカス折返し部24Bをビードコア21Aに巻きつけている構造とすることができる。
【0034】
カーカス24は、1枚以上(図2の例では、1枚)のカーカス層によって構成することができる。例えば、カーカス24は、タイヤの赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層して配置された2枚のカーカス層によって構成することもできる。図2において一部拡大して示すように、各カーカス層は、1本又は複数本のカーカスコード24cと、カーカスコード24cを被覆する被覆ゴム24rと、を含んでいる。カーカスコード24cは、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。
【0035】
カーカスコード24cは、例えば非磁性材料で形成されている。これにより、仮にカーカスコードが磁性材料(例えば、スチール)で形成された場合に比べて、受電効率を向上できる。あるいは、カーカスコード24cは、カーカス24のうち、トレッド部23を構成する部分を含む一部分のみが、非磁性材料で形成され、それ以外の部分が磁性材料で形成されていてもよい。
【0036】
カーカス24は、主にトレッド部23を構成する部分が、受電の際に送電装置210と受電装置111との間に位置するため、カーカス24の材料をこのように適切化することは、受電効率向上への寄与が高い。
【0037】
カーカスコード24cが、非磁性材料で形成される場合、カーカスコード24cは、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、及びアラミド等の、任意の樹脂材料、並びにその他の任意の非磁性材料で構成することができる。
【0038】
カーカス24は、ラジアル構造でもよいし、あるいは、バイアス構造でもよい。なお、カーカス24は、カーカスコード24cを用いることなく、全体を上述した樹脂材料等によって、一体に形成してもよい。また、カーカス24は、トレッド部23を構成する部分を含む一部分のみが、非磁性材料で形成され、それ以外の部分が磁性材料を含んで形成されていてもよい。
【0039】
トレッド部23におけるカーカス24のタイヤ径方向外側には、トレッド部23を補強するベルト25が設けられている。ベルト25のタイヤ径方向外周側には、トレッドゴムが設けられている。
【0040】
ベルト25は、例えば、タイヤ径方向に積層された1枚以上(図2の例では、2枚)のベルト層25a及び25bによって構成することができる。図2において一部拡大して示すように、各ベルト層25a及び25bは、1本又は複数本のベルトコード25cと、ベルトコード25cを被覆する被覆ゴム25rと、を含んでいる。ベルトコード25cは、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。
【0041】
ベルトコード25cは、例えば、非磁性材料で形成されている。これにより、仮にベルトコード25cが磁性材料(例えば、スチール)で形成された場合に比べて、受電効率を向上できる。あるいは、ベルトコード25cは、ベルト25のうち、トレッド部23を構成する部分を含む一部分のみが、非磁性材料で形成され、それ以外の部分が磁性材料で形成されていてもよい。
【0042】
ベルト25は、そのほとんど又は全部がトレッド部23に位置しており、受電の際に送電装置210と受電装置111との間に位置するため、ベルト25の材料をこのように適切化することは、受電効率向上への寄与が高い。
【0043】
ベルトコード25cが、非磁性材料で形成される場合、ベルトコード25cは、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、及びアラミド等の、任意の樹脂材料、並びにその他の任意の非磁性材料で構成することができる。
【0044】
なお、ベルト25は、ベルトコード25cを用いることなく、全体を上述した樹脂材料等によって、一体に形成してもよい。また、ベルト25は、トレッド部23を構成する部分を含む一部分のみが、非磁性材料で形成され、それ以外の部分が磁性材料を含んで形成されていてもよい。
【0045】
一対のビード部21は、ビードコア21Aと、ビードフィラ21Bと、をそれぞれ有している。図2において一部拡大して示すように、ビードコア21Aは、周囲をゴムにより被覆された複数のビードワイヤ21cを備える。ビードワイヤ21cは、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。ビードフィラ21Bは、ゴム等で構成され、ビードコア21Aに対してタイヤ径方向外側に位置している。本実施形態では、ビードフィラ21Bは、タイヤ径方向外側に向けて厚みが減少している。ただし、タイヤ11は、ビードフィラ21Bを設けない構造とすることができる。ビード部21は、タイヤ11をリムに装着したときに、タイヤ径方向内側及びタイヤ幅方向外側においてリムに接するように構成される。
【0046】
ビード部21は、受電の際に送電装置210及び受電装置111よりもタイヤ幅方向外側に位置する傾向にあるため、トレッド部23よりは、受電効率への影響が少ない部分である。
【0047】
従って、ビードワイヤ21cは、非磁性材料又は磁性材料(例えば、スチール)のいずれで形成されても、良好な受電が可能である。
【0048】
ビードワイヤ21cが、非磁性材料で形成される場合、ビードワイヤ21cは、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、及びアラミド等の、任意の樹脂材料、並びにその他の任意の非磁性材料で構成することができる。
【0049】
サイドウォール部22は、受電の際に送電装置210及び受電装置111よりもタイヤ幅方向外側に位置する傾向にあるため、トレッド部23よりは、受電効率への影響が少ない部分である。
【0050】
従って、サイドウォール部22は、非磁性材料(例えば、ゴム)のみで形成されていても、あるいは、磁性材料を含んで形成されていても、良好な受電が可能である。なお、サイドウォール部22が磁性材料を含んで形成される場合、送電装置210から受電装置111に伝送される磁界が、サイドウォール部22よりもタイヤ幅方向外側に存在し得る金属及び他の磁界の影響によって減衰するのを抑制でき、受電効率を向上できる。
【0051】
サイドウォール部22に含まれ得る磁性材料は、例えば、フェライトが挙げられる。
【0052】
タイヤ11は、インナーライナー26を有している。インナーライナー26は、タイヤ11の内壁面を覆うように配置されている。インナーライナー26は、タイヤの赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層された複数のインナーライナー層によって構成することができる。インナーライナー26は、例えば、空気透過性の低いブチル系ゴムで構成される。ブチル系ゴムには、例えばブチルゴム、及びその誘導体であるハロゲン化ブチルゴムが含まれる。インナーライナー26は、ブチル系ゴムに限られず、他のゴム組成物、樹脂、又はエラストマで構成することができる。
【0053】
次に、本発明に係るタイヤ・ホイール組立体110のいくつかの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0054】
(第1実施形態)
図3は、本発明の第1実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体の概略構成を示す断面の模式図である。第1実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体10は、タイヤ11と、ホイール12と、内部機構140としての電力変換回路120及びIWM121と、を備える。図3では、タイヤ11とホイール12との模式的な断面を示している。また、図3では、電力変換回路120とIWM121とを機能ブロックとして示している。
【0055】
ホイール12は、概略円盤形状のディスク部12aと、ディスク部12aの中心軸Oを中心とした環状に形成されるリム部12bとを有している。
【0056】
図3に示すように、ホイール12には、リム部12bにおいて、中心軸Oを中心とした径方向外側の面(以下、単に「外周面」ともいう)に、受電装置13が取り付けられている。受電装置13は、例えば受電コイル13aにより構成されている。受電コイル13aは、例えばリム部12bの外周面に接着されることにより、リム部12bに取り付けられている。受電コイル13aは、環状に形成されており、環の軸方向(環状面に垂直な方向)が、ホイール12の径方向(図3の断面では上下方向)を向くように、リム部12bに取り付けられている。ただし、図1から図5では、模式化されており、受電コイル13aの環状面の方向は、必ずしも正確に記載したものではない。なお、このことは、送電コイル210a、並びに、後述する中継コイル14a及び内部受電コイル122についても同様である。
【0057】
受電コイル13aは、円環形状のリム部12bの円周に沿って、1つ以上取り付けられていてよい。リム部12bに取り付けられる受電コイル13aの数は、必要な受電量や車両の仕様等に応じて、適宜決定されてよい。受電装置13は、リム部12bよりもホイール12の径方向外側から無線によって供給される電力を受電する。本明細書において、「無線によって供給される電力を受電する」とは、外部から無線によって電力そのものが伝送され、当該電力そのものを受電側が受電する場合のみならず、外部からの無線による作用により、受電側にはじめて電力(電流及び/又は電圧)が発生する場合も含む。従って、「無線によって供給される電力を受電する」には、電磁誘導方式によって供給される電力を受電すること、即ち、外部からの磁界の作用により、受電側にはじめて起電力が発生することを含む。本実施形態では、受電装置13は、受電コイル13aにより、図1を参照して説明した受電コイル111aと同様に、路面200に設けられた送電コイル210aの磁界に応じて誘導起電力が発生することによって、電力の供給を受けることができる。
【0058】
本実施形態において、受電装置13が送電装置210から受電した電力は、中継装置14を介して電力変換回路120に伝達されてよい。本実施形態では、中継装置14は、中継コイル14aにより構成されている。図3に示す例において、中継コイル14aは、リム部12bのタイヤ径方向内側の面(以下、単に「内周面」ともいう)に取り付けられている。中継コイル14aは、受電コイル13aに対して、1対1に対応させて取り付けられていてよい。つまり、リム部12bには、同数の受電コイル13aと中継コイル14aとが取り付けられていてよい。
【0059】
受電コイル13aと中継コイル14aとは、金属配線15に接続されている。受電コイル13aで発生した電力は、金属配線15を介して中継コイル14aに伝達される。受電コイル13aで発生した電力が中継コイル14aに供給されることにより、中継コイル14aに磁界が発生する。
【0060】
本実施形態において、リム部12bは、受電コイル13aに発生した電力を、リム部12bのタイヤ径方向内側(つまり内周側)に伝送する金属配線15を通すための貫通孔30を有する。本実施形態において、リム部12bは、金属製又は非金属製(例えば樹脂製)であってよい。すなわち、本実施形態では、受電コイル13aがリム部12bの外周面に配置されているため、リム部12bが金属製、特に磁性金属製であっても、送電コイル210aに発生した磁界が妨げられることなく、受電コイル13aにより効率的に受電がおこなわれる。
【0061】
タイヤ・ホイール組立体10は、図3に示すように、内部機構140として、さらに内部受電コイル122を備えている。内部受電コイル122には、中継コイル14aにより発生する磁界に応じた誘導起電力が発生する。このようにして、内部受電コイル122は、送電コイル210aから供給される電力を、中継コイル14aを介して間接的に受電することができる。内部受電コイル122は、受電した電力を電力変換回路120に供給する。電力変換回路120では、受電した電力が直流電力に変換されて、タイヤ・ホイール組立体10を備える車両で消費される。なお、図3に示すタイヤ・ホイール組立体10は、中継装置14及び金属配線15を備えていなくてもよい。この場合、リム部12bは、非磁性材料製、特に非金属製(例えば樹脂製)とすることが好ましい。この場合、受電コイル13aが受電した電力が、中継装置14を介さずに、内部受電コイル122に伝達される。
【0062】
ホイール12には、ホイール12の外周面を覆うようにタイヤ11が取り付けられている。タイヤ11の詳細は、図2を参照して説明した通りである。タイヤ11は、少なくともトレッド部が、磁性材料を含まず、非磁性材料により構成されている。タイヤ11は、スチールを含まない、いわゆるスチールレスタイヤとして構成されていてよい。これにより、送電コイル210aに発生した磁界がトレッド部により妨げられることがなく、受電コイル13aが送電コイル210aから電力を効率的に受電することができる。
【0063】
このように、本実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体10によれば、リム部12bの外周面に取り付けられた受電装置13により、リム部12bよりもホイール12の径方向外側に位置する送電装置210から、無線によって電力を受電できる。また、受電装置13により受電した電力を、中継装置14を介して、内部機構140に伝送することができる。このようにして、タイヤ・ホイール組立体10は、路面200から電力供給を受けることができる。この際に、タイヤ・ホイール組立体110のトレッド部が路面と接触しているため、受電装置13と送電装置210との間に障害物が入り込むおそれを低減させ、ひいては、受電装置13の無線給電における受電効率を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体10では、リム部12bが金属製(例えばスチール製やアルミ製)であってよいため、ホイール12として、従来から大量生産可能な金属製のホイールを使用することができる。そのため、本実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体10で使用されるホイール12のコストの上昇を抑えることができる。
【0065】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体の概略構成を示す断面の模式図である。第2実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体20は、第1実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体10と同様に、タイヤ11と、ホイール12と、内部機構140としての電力変換回路120及びIWM121と、を備える。図4では、タイヤ11とホイール12との模式的な断面を示している。また、図4では、電力変換回路120とIWM121とを機能ブロックとして示している。
【0066】
第2実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体20は、中継装置14として、中継コイル14a及び内部受電コイル122に代えて、スリップリングを用いるという点で、第1実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体10と異なる。第2実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体20について、第1実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体10と共通する内容については適宜説明を省略しながら、説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と共通する構成部材については、同一の符号を付す。
【0067】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、ホイール12には、リム部12bにおいて、中心軸Oを中心とした外周面に、受電装置13が取り付けられている。
【0068】
本実施形態において、第1実施形態と異なり、受電コイル13aが送電コイル210aから受電した電力は、スリップリングを用いて、内部機構140に伝達される。スリップリングは、従来公知の金属製のリングとブラシとを備えるスリップリングが使用されてよい。スリップリングを構成する、中継装置14としてのリング16は、図4に示すように、ホイール12に固定される。例えば、リング16は、ディスク部12aにおいて、内部機構140が設けられている側に固定される。リング16は、ディスク部12aの中心軸Oと同軸となるように配置されていてよい。一方、スリップリングを構成するブラシ17は、内部機構140に固定されている。ブラシ17は、電力変換回路120に電気的に接続されている。ブラシ17は、タイヤ11が回転する際に、リング16とこすれる位置に配置されている。
【0069】
受電コイル13aとリング16とは、金属配線15に接続されている。これにより、受電コイル13aで発生した電力は、金属配線15を介してリング16に伝達され、リング16からさらにブラシ17を介して、電力変換回路120に供給される。なお、金属配線15は、第1実施形態と同様に、リム部12bに設けられた貫通孔30を通って、受電装置13とリング16とを接続している。
【0070】
このように、本実施形態では、第1実施形態と異なり、リング16とブラシ17とを備えるスリップリングを用いることによって、受電コイル13aで受電した電力が内部機構140に伝達される。本実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体20によっても、リム部12bの外周面に取り付けられた受電装置13により、送電コイル210aから電力を受電できる。また、受電装置13により受電した電力を、スリップリングを介して、内部機構140に伝送することができる。これにより、タイヤ・ホイール組立体20も、路面200から電力供給を受けることができる。このとき、第1実施形態と同様の原理で、受電装置13の無線給電における受電効率を向上させることができる。
【0071】
本実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体20においても、リム部12bが金属製(例えばスチール製又はアルミ製)であってよいため、ホイール12として、従来から大量生産可能な金属製のホイールを使用することができ、コストの上昇を抑えることができる。
【0072】
上記実施形態において、リム部12bが非磁性材料(例えば樹脂)により構成される場合、非磁性材料製のリム部12bの内部に、受電コイル13aで受電した電力を内周側の中継コイル14a又はリング16に電気的に接続する配線を構成することができる。この場合、ホイール12を軽量化し得る。例えば、磁性金属製のホイールと比較し、樹脂製のホイールは、軽量化され得る。
【0073】
また、上記実施形態では、受電装置13がリム部12bに固定されると説明した。しかしながら、受電装置13は、必ずしもリム部12bに固定されていなくてもよい。例えば、受電装置13は、タイヤ11の内部でホイール12に取り付けられた中子に取り付けられていてよい。
【0074】
図5は、図3のタイヤ・ホイール組立体10の一変形例である。図5は、受電装置13が中子18に取り付けられている場合の例を示す図である。中子18は、環状の部材であり、リム部12bの外周面に沿って取り付けられる。中子18は、例えば金属製又は非金属製(例えば樹脂製)であってよい。本変形例においては、中子18の外周面に受電装置13が取り付けられている。他の構造については、図3と同様である。
【0075】
このように、本実施形態のように、中子18に受電装置13が取り付けられている場合であっても、受電装置13により路面200に配置された送電装置210から送電される電力を受電できる。また、本実施形態のように、中子18を用いる場合、中子18を用いない場合と比較して、送電装置210との距離が近づくため、より電力を受電しやすい。
【0076】
なお、図5は、図3のタイヤ・ホイール組立体10の一変形例を示すものであるが、同様の構成が、図4のタイヤ・ホイール組立体20に対しても適用可能である。つまり、中子18の外周面に受電装置13を取り付けるという構成は、スリップリングにより電力を内部機構140に伝達するタイヤ・ホイール組立体に対しても適用可能である。
【0077】
また、上記実施形態では、電磁誘導方式により、車両100に無線で電力が伝送される場合の例について説明したが、電力の伝送方式は、電磁誘導方式に限られない。例えば、電界結合方式により、無線で電力を伝送してもよい。この場合、例えば、路面200に、送電装置としての送電側の電極を埋め込み、ホイール組立体のリム部12b、又はホイール組立体のリム部12bに取り付けられた中子18に、受電装置としての受電側の電極を取り付ける。送電側の電極と受電側の電極とが対面したときキャパシタが形成されるため、送電側の電極に電力を供給すると、受電側電極にも電力が発生し、これによって電力を伝送することができる。なお、この場合、タイヤ11の少なくともトレッド部が、金属材料を含まない非金属製であることが好ましい。
【0078】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0079】
本発明においては、タイヤは、タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合には、タイヤの断面幅SW(mm)及び外径OD(mm)は、
OD(mm)≧2.135×SW(mm)+282.3(mm)
(以下、関係式(1)と称する)
を満たすことが好ましい。
上記比SW/OD又は関係式(1)を満たすことにより、タイヤの外径ODに対してタイヤの断面幅SWが相対的に小さくなり、空気抵抗を低減し、また、断面幅が狭い分、車両スペースを確保することができ、特にタイヤの車両装着内側近傍に駆動部品の設置スペースを確保することができる。
また、上記比SW/OD又は関係式(1)を満たすことにより、タイヤの断面幅SWに対してタイヤの外径が相対的に大きくなり、転がり抵抗を低減し、また、タイヤの大径化によって車輪軸が高くなり、床下のスペースが拡大されるため、車両のトランク等のスペースや、駆動部品の設置スペースを確保することができる。
以上のように、上記比SW/OD又は関係式(1)を満たすことにより、給電された電気エネルギーに対して低燃費性を達成することができ、また、車両スペースを大きく確保することもできる。
本発明においては、タイヤは、タイヤの断面幅SW(mm)及び外径OD(mm)が、
OD(mm)≧-0.0187×SW(mm)2+9.15×SW(mm)-380(mm)
(以下、関係式(2)と称する)
を満たすことが好ましい。
上記関係式(2)を満たすことにより、タイヤの外径ODに対してタイヤの断面幅SWが相対的に小さくなり、空気抵抗を低減し、また、断面幅が狭い分、車両スペースを確保することができ、特にタイヤの車両装着内側近傍に駆動部品の設置スペースを確保することができる。
また、上記関係式(2)を満たすことにより、タイヤの断面幅SWに対してタイヤの外径が相対的に大きくなり、転がり抵抗を低減し、また、タイヤの大径化によって車輪軸が高くなり、床下のスペースが拡大されるため、車両のトランク等のスペースや、駆動部品の設置スペースを確保することができる。
以上のように、上記関係式(2)を満たすことにより、給電された電気エネルギーに対して低燃費性を達成することができ、また、車両スペースを大きく確保することもできる。
本発明では、タイヤは、上記比SW/OD及び/又は関係式(2)を満たすことが好ましく、あるいは、上記関係式(1)及び/又は関係式(2)を満たすことが好ましい。
【0080】
なお、上述の各例では、タイヤ11は、内圧が250kPa以上であるときに、上記比SW/OD及び/又は関係式(2)を満たすことが好ましく、あるいは、上記関係式(1)及び/又は関係式(2)を満たすことが好ましい。
【0081】
上述の各例では、タイヤ11は、内圧250kPa以上で使用されることが好ましい。この場合、特に、タイヤ11は、内圧が250kPa以上であるときに、上記比SW/OD及び/又は関係式(2)を満たすもの、あるいは、上記関係式(1)及び/又は関係式(2)を満たすものであると、好適である。これにより、タイヤの転がり抵抗値とタイヤ重量とを共に低減することができる。よって、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0082】
上述の各例において、タイヤ11は、ビードフィラ21Bのタイヤ幅方向断面積が、ビードコア21Aのタイヤ幅方向断面積の1倍以上8倍以下であると、好適である。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0083】
なお、カーカスをタイヤ幅方向内側及び外側から挾持する、挟み込みビードコア構造である場合には、上記タイヤ幅方向断面積に代えて、当該カーカスの幅方向内側及び外側のビードコアの合計面積を用いることができる。
【0084】
ビードフィラ21Bのタイヤ幅方向断面積を上記の範囲とすることにより、高剛性部材であるビードフィラの体積を小さくして、タイヤの縦バネ係数を低減し、乗り心地性を向上させることができる。また、ビードフィラを軽量化して、タイヤを軽量化することもでき、従って、タイヤの転がり抵抗値がさらに低減される。
【0085】
特に、上記関係式(1)又は関係式(2)を満たす、狭幅・大径タイヤにおいては、ベルトの張力剛性が高く、タイヤサイド部の張力剛性がベルト対比で低くなるため、上記のようにビードフィラ21Bのタイヤ幅方向断面積を所定の範囲とすることによる縦バネ係数の低減効果が非常に高くなる。
【0086】
ここで、ビードフィラ21Bのタイヤ幅方向断面積を、ビードコア21Aのタイヤ幅方向断面積の8倍超とすると、高剛性部材であるビードフィラの体積が大きくなり、タイヤの縦バネ係数が十分に低減されず、乗り心地性が低下してしまうおそれがある。
【0087】
一方で、ビードフィラ21Bのタイヤ幅方向断面積を、ビードコア21Aのタイヤ幅方向断面積の1倍未満とすると、ビード部21の剛性が著しく低下し、横バネ係数が減少しすぎて、操縦安定性を確保することができなくなるおそれがある。
【0088】
上述の各例において、タイヤ11は、ビードフィラ21Bのタイヤ径方向中央位置におけるタイヤ幅方向の幅をBFW(図2)とし、ビードコア21Aのタイヤ幅方向の最大幅をBDW(図2)とするとき、
0.1≦BFW/BDW≦0.6
を満たすことが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0089】
比BFW/BDWを0.6以下とすることにより、ビードフィラ高さを維持しつつもビードフィラの体積を減少させることにより、タイヤ回転方向に対する剛性を確保しつつも、縦バネ係数を低減させて、乗り心地性を向上させ、また、タイヤを軽量化することができる。
【0090】
一方で、比BFW/BDWを0.1以上とすることにより、ビード部21の剛性を確保して、横バネ係数を維持し、操縦安定性をより確保することができる。
【0091】
上述の各例において、タイヤ11は、ビードフィラ21Bのタイヤ径方向の高さをBFH(図2)とし、タイヤのセクションハイト(タイヤ断面高さ)をSH(図2)とするとき、
0.1≦BFH/SH≦0.5
を満たすことが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0092】
上記比BFH/SHを0.5以下とすることにより、高剛性部材であるビードフィラの径方向高さを小さくして、タイヤの縦バネ係数を効果的に低減し、乗り心地性を向上させることができる。
【0093】
一方で、上記比BFH/SHを0.1以上とすることにより、ビード部21の剛性を確保して、横バネ係数を維持し、操縦安定性をより確保することができる。
【0094】
ここで、タイヤセクションハイトSHとは、タイヤをリムに組み込み、タイヤを装着する車両毎に規定される内圧を充填したときの無負荷状態でのタイヤの外径とリム径との差の1/2をいうものとする。
【0095】
ビードフィラ21Bのタイヤ径方向の高さBFH(図2)は、45mm以下とすることが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0096】
上述の各例において、タイヤ11は、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部22のゲージTs(図2)と、ビードコア21Aのタイヤ径方向中心位置におけるビード幅Tb(ビード部21のタイヤ幅方向の幅、図2)との比Ts/Tbが、15%以上60%以下であると、好適である。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0097】
なお、「タイヤ最大幅部」とは、リムにタイヤを組み込み、無負荷状態としたときの、タイヤ幅方向断面内の最大幅位置をいう。
【0098】
ゲージTsはゴム、補強部材、インナーライナーなどすべての部材の厚みの合計である。
【0099】
また、ビードコアがカーカスによって複数の小ビードコアに分割されている構造の場合には、全小ビードコアのうち幅方向最内側端部と最外側端部の距離をTbとすればよい。
【0100】
比Ts/Tbを上記の範囲とすることにより、タイヤ荷重時の曲げ変形の大きいタイヤ最大幅部における剛性を適度に低下させて、縦バネ係数を低減して乗り心地性を向上させることができる。
【0101】
すなわち、上記比Ts/Tbが60%超であると、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部22のゲージが大きくなり、サイドウォール部22の剛性が高くなって縦バネ係数が高くなってしまうおそれがある。一方で、上記比Ts/Tbが15%未満であると、横バネ係数が低下し過ぎて、操縦安定性が確保できなくなるおそれがある。
【0102】
上述の各例において、タイヤ11は、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部22のゲージTs(図2)が、1.5mm以上であることが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0103】
1.5mm以上とすることにより、タイヤ最大幅部における剛性を適度に保って、横バネ係数の低下を抑え、操縦安定性をより確保することができる。
【0104】
上述の各例において、タイヤ11は、ビードコア21Aの径Tbc(本例ではビードコアのタイヤ幅方向の最大幅、図2)が、3mm以上16mm以下であることが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0105】
3mm以上とすることにより、リムフランジ上での曲げ剛性及びねじれ剛性を確保しつつ、軽量化を実現することができ、一方で、16mm以下とすることにより、重量増大を抑えつつ、操縦安定性を確保することができる。
【0106】
上述の各例において、タイヤ11は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷した際、タイヤ11の接地面積が、8000mm2以上であることが好ましい。これにより、タイヤの転がり抵抗値の低減とタイヤ重量の低減とを両立させることができ、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。また、タイヤ軸力を確保して車両の安定性や安全性を高めることができる。
【0107】
上述の各例において、タイヤ11は、ベルトコード25cのヤング率が40000MPa以上であることが好ましい。これにより、カーカス構造やベルト剛性を適切化して、高内圧でも使用可能なタイヤの強度を確保することができる。また、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0108】
上述の各例において、タイヤ11は、インナーライナー26の厚さが0.6mm以上であることが好ましい。これにより、高内圧状態での空気漏れを抑制することができる。また、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0109】
上述の各例において、タイヤ11は、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部22のゲージTs(図2)と、カーカスコード24cの径Tc(図2)との比Ts/Tcが、4以上12以下であると、好適である。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0110】
比Ts/Tcを上記の範囲とすることにより、タイヤ荷重時の曲げ変形の大きいタイヤ最大幅部における剛性を適度に低下させて、縦バネ係数を低減して乗り心地性を向上させることができる。
【0111】
すなわち、上記比Ts/Tcが12超であると、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部22のゲージTsが大きくなり、この部分の剛性が高くなって縦バネ係数が高くなってしまうおそれがある。一方で、上記比Ts/Tcが4未満であると、横バネ係数が低下しすぎて、操縦安定性が確保できなくなるおそれがある。
【0112】
上述の各例において、タイヤ11は、タイヤ最大幅部における、カーカスコード24cの表面からタイヤ外面までのタイヤ幅方向の距離をTa(図2)とするとき、距離Taとカーカスコード24cの径Tc(図2)との比Ta/Tcが2以上8以下であることが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0113】
上記比Ta/Tcを8以下とすることにより、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部22のゲージTsを小さくして、サイドウォール部22の剛性を低下させて、縦バネ係数を低減し、乗り心地性をより向上させることができる。一方で、上記比Ta/Tcを2以上とすることにより、横バネ係数を確保して、より操縦安定性が確保することができる。
【0114】
なお、Ta(図2)は、タイヤ最大幅部において、幅方向最外側のカーカスコード24cの表面からタイヤ外面までのタイヤ幅方向の距離をいう。
【0115】
すなわち、カーカス折返し部24Bがタイヤ最大幅部より径方向外側まで延びている場合には、カーカス折返し部24Bをなす部分のカーカスコード24cの表面からタイヤ外面までのタイヤ幅方向の距離をTaとする。
【0116】
上述の各例において、タイヤ11は、カーカスコード24cの径Tc(図2)が、0.2mm以上1.2mm以下であることが好ましい。これにより、給電効率と低燃費性を好適に両立させることができる。
【0117】
1.2mm以下とすることにより、カーカスコード径Tcに対するサイドウォール部22のゲージTsを小さくして、縦バネ係数を低減することができ、一方で、0.2mm以上とすることにより、カーカスコード径Tcに対するサイドウォール部22のゲージTsを確保して、横バネ係数を大きくして操縦安定性を確保することができる。
【符号の説明】
【0118】
10,20,110:タイヤ・ホイール組立体、 11:タイヤ、 12:ホイール、 12a:ディスク部、 12b:リム部、 13,111:受電装置、 13a,111a:受電コイル(受電装置)、 14:中継装置、 14a:中継コイル(中継装置)、 15:金属配線、 16:リング(中継装置)、 17:ブラシ、 18:中子、 21:ビード部、 21A:ビードコア、 21B:ビードフィラ、 21c:ビードワイヤ、 22:サイドウォール部、 23:トレッド部、 24:カーカス、 24A:カーカス本体部、 24B:カーカス折返し部、24c:カーカスコード、 24r,25r:被覆ゴム、 25:ベルト、 25a:ベルト層、 25c:ベルトコード、 26:インナーライナー、 30:貫通孔、 100:車両、 120,131,230:電力変換回路、 121:インホイールモータ(IWM)、 122:内部受電コイル、 130:車載バッテリ、 140:内部機構、 200:路面、 210:送電装置、 210a:送電コイル(送電装置)、 220:系統電源、 O:中心軸
図1
図2
図3
図4
図5