(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】加飾フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20240531BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240531BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240531BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240531BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240531BHJP
C09J 133/08 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
B32B27/30 101
B32B27/00 M
B32B27/18 A
B32B27/30 A
C09J7/38
C09J11/06
C09J133/08
(21)【出願番号】P 2019153734
(22)【出願日】2019-08-26
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】右近 文宣
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-108399(JP,A)
【文献】特開2019-123814(JP,A)
【文献】特開2014-001318(JP,A)
【文献】特開平09-137143(JP,A)
【文献】特開2017-141343(JP,A)
【文献】特開2019-089946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00- 43/00
C09J1/00- 5/10
7/00- 7/50
9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ塩化ビニルフィルム層、粘着剤層、セパレーターの順に積層され
る加飾フィルムであって、
前記加飾フィルムは、インクジェットメディアであり、
前記粘着剤層は、重量平均分子量が100万~200万のアクリル系粘着剤
(ただし、前記アクリル系粘着剤が複数のアクリル系粘着剤の混合物である場合は、混合物としての重量平均分子量をいう)、ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤を含有する粘着剤組成物からなり、
前記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、前記アクリル系粘着剤100重量部に対して0.5~3.2重量部であり、
前記紫外線吸収剤の含有量は、前記アクリル系粘着剤100重量部に対して0.5~4.2重量部であり、
前記ヒンダードアミン系光安定剤と前記紫外線吸収剤の総含有量は、前記アクリル系粘着剤100重量部に対して2重量部以上である
ことを特徴とする加飾フィルム。
【請求項2】
前記アクリル系粘着剤は、重量平均分子量が150万以上の第一のアクリル系粘着剤と、重量平均分子量が100万以下の第二のアクリル系粘着剤とを含有することを特徴とする請求項1に記載の加飾フィルム。
【請求項3】
前記第一のアクリル系粘着剤と前記第二のアクリル系粘着剤との配合比は、25:75~99:1であることを特徴とする請求項2に記載の加飾フィルム。
【請求項4】
前記ヒンダードアミン系光安定剤は、N-CH
3型、NO-アルキル型及びN-アシル型からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の加飾フィルム。
【請求項5】
前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の加飾フィルム。
【請求項6】
透明基材に使用されることを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載の加飾フィルム。
【請求項7】
前記透明基材は、ガラスであることを特徴とする請求項
6に記載の加飾フィルム。
【請求項8】
前記透明基材の内貼りに使用されることを特徴とする請求項
6又は
7に記載の加飾フィルム。
【請求項9】
前記アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、130万~180万であることを特徴とする請求項1~
8のいずれかに記載の加飾フィルム。
【請求項10】
前記ヒンダードアミン系光安定剤と前記紫外線吸収剤の総含有量は、前記アクリル系粘着剤100重量部に対して2重量部以上、8重量部以下であることを特徴とする請求項1~
9のいずれかに記載の加飾フィルム。
【請求項11】
前記粘着剤組成物は、エポキシ系硬化剤を含むことを特徴とする請求項1~
10のいずれかに記載の加飾フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
基材(被着体)に意匠性を付与する方法として、加飾フィルムを基材に貼り付ける方法が従来から用いられている。
【0003】
また、建築物のガラス等からなる窓や自動車等の車両のガラス等からなる窓に、日射遮蔽性などの所定の機能を持つ機能性フィルムが施工されている。このような機能性フィルムには施工後の窓への高い密着性(耐久性)が要求されている。例えば、特許文献1には、高温環境下に置かれた後でも、施工後における窓への高い密着性を満足する光学フィルム用粘着剤組成物および光学フィルムが開示されている。また、該光学フィルム用粘着剤組成物に、光安定剤を添加することにより、耐候性が向上し、光照射等による経時的な特性の低下が抑えられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加飾フィルムは、高温環境下(例えば、直射日光が当たる環境下)に曝されると、加飾フィルムの熱収縮力によって、窓等の基材(被着体)から剥がれてしまい、結果的に、意匠性が失われてしまうことがあった。
【0006】
また、窓への装飾は、加飾フィルムを窓の外側から貼る外貼りと、加飾フィルムを窓の内側から貼る内貼りとがある。内貼りの場合、高層階であっても足場を組む必要がないため、施工費の軽減につながるというメリットがあるが、窓を介して加飾フィルムの粘着剤層面に直射日光が当たるため、粘着剤層により優れた耐候性が要求されていた。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、耐候性に優れた加飾フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、加飾フィルムの構成部材として、ポリ塩化ビニルフィルム層、粘着剤層及びセパレーターがこの順に積層された加飾フィルムに関し、粘着剤層を形成する組成物について検討した結果、特定の粘着剤を利用したうえで、さらに、粘着剤層中に特定量のヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤を含有させることにより、熱収縮性が抑制され、結果的に優れた耐候性が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
本発明の加飾フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルム層、粘着剤層、セパレーターの順に積層され、上記粘着剤層は、重量平均分子量が50万~200万のアクリル系粘着剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤を含有する粘着剤組成物からなり、上記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部に対して0.5~3.2重量部であり、上記紫外線吸収剤の含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部に対して0.5~4.2重量部であり、上記ヒンダードアミン系光安定剤と上記紫外線吸収剤の総含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部に対して2重量部以上であることを特徴とする。
【0010】
上記アクリル系粘着剤は、重量平均分子量が150万以上の第一のアクリル系粘着剤と、重量平均分子量が100万以下の第二のアクリル系粘着剤とを含有することが好ましい。
【0011】
上記第一のアクリル系粘着剤と上記第二のアクリル系粘着剤との配合比は、25:75~99:1であることが好ましい。
【0012】
上記ヒンダードアミン系光安定剤は、N-CH3型、NO-アルキル型及びN-アシル型からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0013】
上記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0014】
本発明の加飾フィルムは、インクジェットメディアであることが好ましい。
【0015】
本発明の加飾フィルムは、透明基材に使用されることが好ましい。
【0016】
上記透明基材は、ガラスであることが好ましい。
【0017】
本発明の加飾フィルムは、透明基材の内貼りに使用されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の加飾フィルムによれば、耐候性に優れた加飾フィルムを実現することができる。そのため、基材に貼り付けて用いられる場合、高温環境下であっても、意匠性が長期間保持される。また、本発明の加飾フィルムは、窓等の透明基材に内貼りにより用いられ、加飾フィルムの粘着剤層に窓等を介して直射日光が当たるような場合であっても、熱収縮が生じず、意匠性が長期間保持される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の加飾フィルムの一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(加飾フィルム)
本発明の加飾フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルム層、粘着剤層、セパレーターの順に積層され、上記粘着剤層は、重量平均分子量が50万~200万のアクリル系粘着剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤を含有する粘着剤組成物からなり、上記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部に対して0.5~3.2重量部であり、上記紫外線吸収剤の含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部に対して0.5~4.2重量部であり、上記ヒンダードアミン系光安定剤と上記紫外線吸収剤の総含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部に対して2重量部以上であることを特徴とする。
【0021】
本明細書中、「フィルム」は「シート」と同義であり、厚みによって両者を区別しない。
【0022】
本明細書中、「X~Y」は、「X以上、Y以下」を意味する。
【0023】
図1は、本発明の加飾フィルムの一例を示す断面模式図である。
図1に示すように、加飾フィルム1は、ポリ塩化ビニルフィルム層2、粘着剤層3及びセパレーター4が積層されてなる。本明細書中、「AとBとが積層されてなる」や、「A及びBが積層されてなる」とは、AとBとが接する場合の他に、AとBとの間に別の層が配置されている場合も含む。加飾フィルム1をこのような積層構造とすることで、加飾フィルム1のポリ塩化ビニルフィルム層2側に印刷層を有する場合でも、加飾フィルムの粘着剤層側から印刷層を視認した場合でも、印刷層の色が透けて見えやすくなるため、加飾フィルム1を用いて所望の意匠性が得られやすくなる。
【0024】
(ポリ塩化ビニルフィルム層)
上記ポリ塩化ビニルフィルム層2は、ポリ塩化ビニル系樹脂からなるフィルム層である。ポリ塩化ビニルフィルムは、伸びがよく、破断し難いことから、3次元曲面への貼り付けが容易である。また、印刷性に優れること、比較的低温(約100℃)で軟化することから、加飾成形用フィルムの支持体として好適である。上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニルに可塑剤を添加することで得られる。上記ポリ塩化ビニルは、重合度が800~1200のものが好適に用いられる。
【0025】
上記可塑剤としては、フィルムの分野において通常使用されるものを用いることができ、例えば、フタル酸オクチル(ジ-2-エチルヘキシルフタレート)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸ジエステル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸ジエステル、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸トリエステル、エポキシ化大豆油やエポキシ樹脂等エポキシ系可塑剤、高分子ポリエステル可塑剤等が挙げられる。上記塩化ビニル100重量部に対する、上記可塑剤の添加量の好ましい下限は10重量部であり、好ましい上限は30重量部である。
【0026】
上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、熱安定剤を含有してもよい。上記熱安定剤としては、フィルムの分野において通常使用されるものを用いることができ、例えば、鉛(Pb)、バリ
ウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カルシウム(Ca)、錫(Sn)等を含有する金属有機酸化合物等が挙げられる。
【0027】
上記ポリ塩化ビニルフィルム層2の厚みの好ましい下限は40μmであり、好ましい上限は200μmであり、より好ましい下限は50μmであり、より好ましい上限は150μmであり、更に好ましい下限は70μmであり、更に好ましい上限は120μmである。上記ポリ塩化ビニルフィルム層2の厚みが40μm未満であると、インクジェットインクが十分に吸収できず、にじみが発生し、作画性を損なう可能性がある。また、上記ポリ塩化ビニルフィルム層の厚みが200μmを超えると、フィルムの柔軟性が損なわれ、施工性が悪化する可能性がある。
【0028】
(粘着剤層)
上記粘着剤層3は、主剤として重量平均分子量が50万~200万のアクリル系粘着剤を含有し、さらに、ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤を含有する粘着剤組成物からなる。主剤として特定の重量平均分子量のアクリル系粘着剤と、特定量のヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤とを含む粘着剤組成物を用いることで、耐候性に優れたものとなる。
【0029】
上記アクリル系粘着剤は、その重量平均分子量が50万~200万である。上記アクリル系粘着剤の重量平均分子量が上記範囲にあると、充分な粘着力を発現することができるとともに、寸法安定性にも優れる点で有利である。これに対して、アクリル系粘着剤の重量平均分子量が50万未満では、高温環境や溶剤インクの影響により寸法が変化してしまうことがある。一方、アクリル系粘着剤の重量平均分子量が200万を超えると、所望の粘着力を発現することが難しいことがある。
上記アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、100万~200万が好ましく、130万~180万がより好ましい。
【0030】
上記アクリル系粘着剤は、重量平均分子量が150万以上の第一のアクリル系粘着剤と、重量平均分子量が100万以下の第二のアクリル系粘着剤とを含有することが好ましい。重量平均分子量が異なる複数種類のアクリル系粘着剤を含有することで、アクリル系粘着剤の粘着特性を調整しやすい為である。
【0031】
上記第一のアクリル系粘着剤と上記第二のアクリル系粘着剤との配合比は、25:75~99:1であることが好ましい。アクリル系粘着剤の重量平均分子量が、100万~200万であることで、粘着剤層の耐候性が向上するためである。
上記第一のアクリル系粘着剤と上記第二のアクリル系粘着剤との配合比は、25:75~80:20がより好ましく、25:75~70:30がさらに好ましく、30:70~50:50が最も好ましい。
【0032】
上記重量平均分子量50万~200万のアクリル系粘着剤としては、例えば、重量平均分子量50万~200万のアクリル酸エステル系重合体等が挙げられる。
【0033】
上記アクリル酸エステル系重合体としては、例えば、官能基を有さない(メタ)アクリル系モノマー、官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー、及び、必要に応じてこれらのモノマーと共重合可能な他のモノマーを共重合することより得られるポリマー等が挙げられる。
【0034】
上記官能基を有さない(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコールエステル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メチルフェニル等の(メタ)アクリル酸のアリールエステル類等が挙げられる。
【0035】
上記官能基(カルボキシル基、水酸基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、メチロール基、エポキシ基等)を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の水酸基含有モノマー;アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等のアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基及びメチロール基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
【0036】
上記共重合可能な他のモノマーとしては、特に限定されず、例えば、スチレン系モノマー、ビニル系モノマー等が挙げられる。上記スチレン系モノマーとしては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレン等のハロゲン化スチレン等を挙げることができる。上記ビニル系モノマーとしては、ビニルピロリドン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、アクリロニトリル;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンモノマー等が挙げられる。
上述したモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
上記アクリル酸エステル系重合体としては、上記官能基を有さない(メタ)アクリル系モノマーとして、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル、又は、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルを含むものを用いることが好ましい。
【0038】
上記アクリル系粘着剤の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定によるポリスチレン換算の測定値である。なお、測定条件は以下の通りである。
装置名:HLC-8120(東ソー社製)
カラム:G7000HXL 7.8mmID×30cm 1本 GMHXL 7.8mmID×30cm 2本 G2500HXL 7.8mmID×30cm 1本(東ソー社製)
サンプル濃度:1.5mg/mlになるようにテトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
【0039】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、N-H型、N-CH3型、NO-アルキル型及びN-アシル型のヒンダードアミン系光安定剤が挙げられ、なかでも、N-CH3型、NO-アルキル型及びN-アシル型からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。塩基性の低いヒンダードアミン系光安定剤は、加工性に優れ、取扱が容易であるためである。
また、上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、N-CH3型及び/又はN-アシル型がより好ましく、N-CH3型がさらに好ましい。
【0040】
上記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部(固形分)に対して、0.5~3.2重量部である。上記含有量が0.5重量部未満であると、ヒンダードアミン系光安定剤による耐候性の向上が不充分となる。上記含有量が3.2重量部を超えると、粘着剤層3の透明性が低下し、本発明の加飾フィルムを窓に内貼りした場合に、窓の外からの視認性が低下する可能性がある。ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部(固形分)に対して、1.0~4.0重量部であることが好ましい。
【0041】
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、アクリル系粘着剤との相溶性が充分に確保されることから、耐候性の良好な粘着剤層3が得られる。
本発明で用いる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がより好ましい。紫外線吸収効果が高いためである。
【0042】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’ -メチレンビス(4-tert-オクチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2-[2-ヒドロキシ-3-(2-アクリロイルオキシエチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-オクチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3-tert-アミル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシメチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、1種のみの単独で用いられてもよいし、2種以上で併用されてもよい。
【0043】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等が挙げられる。これらのベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、1種のみの単独で用いられてもよいし、2種以上で併用されてもよい。
【0044】
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部(固形分)に対して、0.5~4.2重量部である。上記含有量が0.5重量部未満であると、紫外線吸収剤による耐候性の向上が不充分となる。上記含有量が4.2重量部を超えると、粘着剤層3の透明性が低下し、本発明の加飾フィルム1を窓に内貼りした場合に、窓の外からの視認性が低下する可能性がある。紫外線吸収剤の含有量は、アクリル系粘着剤100重量部(固形分)に対して、1.0~4.0重量部であることが好ましい。
【0045】
上記粘着剤層3における上記ヒンダードアミン系光安定剤と上記紫外線吸収剤との総含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部(固形分)に対して、2重量部以上である。上記ヒンダードアミン系光安定剤と上記紫外線吸収剤との総含有量が、2重量部未満であると、充分な耐候性が得られない可能性が生じるためである。
上記粘着剤層3における上記ヒンダードアミン系光安定剤と上記紫外線吸収剤との総含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部(固形分)に対して、3.5重量部以上であることが好ましく、5重量部以上であることがより好ましい。また、上記粘着剤層における上記ヒンダードアミン系光安定剤と上記紫外線吸収剤との総含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部(固形分)に対して、10重量部以下であることが好ましく、8重量部以下であることがより好ましい。上記ヒンダードアミン系光安定剤と上記紫外線吸収剤との総含有量が10重量部を超えると、粘着剤層3における透明性が低下する可能性を生じるためである。
【0046】
上記粘着剤組成物は、硬化剤を含有してもよい。硬化剤を含有することで、上記加飾フィルムの寸法安定性を良好なものとすることができる。上記硬化剤としては、特に限定されず、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系硬化剤、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン等のエポキシ系硬化剤、Al、Ni、Zn等の金属キレート剤、メラミン化合物等のアミノ樹脂系硬化剤が挙げられる。
【0047】
上記硬化剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール時グリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン等のエポキシ系硬化剤が好ましい。
【0048】
上記硬化剤の含有量は、アクリル系粘着剤100重量部(固形分)に対して0.01~0.1重量部(固形分)であることが好ましく、0.025~0.04重量部(固形分)であることがより好ましい。
硬化剤の添加量が0.01重量部(固形分)未満の場合、寸法安定性、耐候性が低下し、目開き量が大きくなる可能性がある。また、硬化剤添加量が0.1重量部(固形分)以上の場合、粘着剤の弾性が高くなりすぎるため、粘着剤層3の基材に対する密着性が悪化する可能性が生じ、浮きや剥がれが発生する恐れを招く。
【0049】
上記粘着剤組成物は、必要に応じて、安定剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、粘着付与剤、染料、顔料、無機フィラー等の各種添加剤が添加されていてもよい。
【0050】
上記粘着剤層3の厚さは、10~40μmが好ましい。10μm未満では、充分な粘着性を得ることができない場合があり、一方、40μmを超えると、初期粘着力が高くなるため、貼り直しが困難となることがある。また、粘着剤組成物を多く用いるため経済的ではない。上記粘着剤層3の厚みのより好ましい下限は15μmであり、より好ましい上限は30μmである。
【0051】
粘着剤層3の形成方法は特に限定されず、例えば、セパレーター4上に直接バーコーター等を用いて、粘着剤組成物を塗工し、乾燥させる方法等の従来公知の方法を用いることができる。この場合、セパレーター4上に形成した粘着剤層3を、ポリ塩化ビニルフィルム層2に貼り合わせることで加飾フィルム1を製造することができる。加飾フィルムは、更に、必要に応じて、裁断、ロール状への巻き取り等の処理が行われる。
【0052】
(セパレーター)
上記セパレーター4としては、フィルムの分野において通常使用されるものを用いることができる。上記セパレーター4は、離型フィルムであってもよいし、離型紙であってもよい。上記離型フィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の樹脂フィルムに易剥離処理を施したものが挙げられる。上記離型紙としては、例えば、上質紙又はグラシン紙等の紙に、易剥離処理を施したものが挙げられる。上記易剥離処理としては、例えば、上記樹脂フィルム又は紙の上記粘着剤層と接触する面に、シリコーン系、アルキド系、フッ素系剥離剤等でコーティングする方法が挙げられる。上記セパレーター4は、上記粘着剤層側の表面だけ表面処理が施されてもよい。セパレーターの厚さは、12~200μmであることが好ましく、25~150μmであることがより好ましい。
【0053】
上記ポリ塩化ビニルフィルム層2は、粘着剤層3と反対側の表面に印刷が施されてもよい。ポリ塩化ビニルフィルム層2への印刷は、例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、静電印刷等により行うことができる。また、上記ポリ塩化ビニルフィルム層は、粘着剤層と反対側の表面に、エンボス加工等により微細な凹凸を有してもよい。
【0054】
上記ポリ塩化ビニルフィルム層2は、粘着剤層3と反対側の表面にインクジェット印刷による印刷層が施されるものであることが好ましい。すなわち、上記加飾フィルム1は、インクジェットメディアであることが好ましい。一般的に加飾フィルムにインクジェット印刷が施されるとインクジェットで用いられる溶剤が加飾フィルムに浸透し、加飾フィルムの寸法安定性、及び、粘着剤層の耐熱性・耐候性が悪化する。しかし、上記加飾フィルム1は、インクジェットメディアとしても充分な寸法安定性、耐熱性・耐候性を発揮する。
【0055】
なお、インクジェットで用いられる溶剤系インクの具体例としては、例えば、SS21インク、ES3インク(共にミマキエンジニアリング社製)、Eco Sol MAX(Roland社製)等が挙げられる。
【0056】
上記ポリ塩化ビニルフィルム層2は、粘着剤層3と反対側に、保護フィルム層を有してもよい。上記保護フィルムとしては、フィルムの分野において通常使用されるものを用いることができる。上記保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
【0057】
上記加飾フィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、上記ポリ塩化ビニルフィルム層2は、バンバリーミキサー等を用いて、上記ポリ塩化ビニル系樹脂を溶融混練した後、カレンダー加工等により形成することができる。
【0058】
上記加飾フィルム1は、上記セパレーター4を剥離した状態で粘着剤層3を介して基材に貼り付けられて用いられる。上記加飾フィルム1は、窓のような透明基材に対して好適に用いられる。
【0059】
上記加飾フィルム1は、常温及び高温環境下で優れた粘着力と寸法安定性を有するため、常温だけではなく、例えば、65℃を超える環境下で使用した場合でも、加飾フィルム1の浮き、剥がれ等が発生し難い。
【0060】
上記加飾フィルム1の施工方法は、例えば、加飾フィルム1からセパレーター4を剥離し、粘着剤層3を介して基材に貼り付ける方法が挙げられる。加飾フィルム1は、常温で貼り付けることができ、ドライヤー等で加熱しながら貼り付けてもよい。また、加飾フィルム1は、手やスキージーを用いて基材に張り付けることができる。加飾フィルム1は、本発明の属する技術分野で通常用いられる方法(ラミネート法等)により張り付けられてもよい。
【0061】
上記透明基材の材質は、特に限定されず、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等の樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)等が挙げられ、ガラスであることが好ましい。
【0062】
上記基材としては、特に限定されないが、例えば、自転車、バイク、自動車、バス、電車等の車両;ヘルメット;船;飛行機、ヘリコプター等の航空機;家具、家電製品等の家庭用品;キャビネット、事務机、パソコン等のオフィス用品;建造物の壁面、床面、天井、屋根、柱、看板、ドア、門;若しくは建築現場の建築材料等、又は、これらの部品が挙げられる。上記加飾フィルムは内貼りにより使用されることが好ましく、上記基材として透明基材であることが好ましい。透明基材としては、例えば、建築物等の窓;自動車、バス、電車等の車両の窓;飛行機、ヘリコプター等の航空機の窓;展示用パネル;間仕切り用パネル等のように、建築材料や車両材料で用いられる透明部材や透明部品が挙げられる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
平均重合度が800の塩化ビニル樹脂100重量部に対して、可塑剤としてフタル酸ジイソノニル28重量部添加し、ポリ塩化ビニル系樹脂を得た。得られたポリ塩化ビニル系樹脂をバンバリーミキサーで溶融混練後、カレンダー加工により、ポリ塩化ビニルフィルム層を作製した。ポリ塩化ビニルフィルム層の膜厚は、100μmであった。次に、主剤として重量平均分子量が64万のアクリル系粘着剤(SK1506A 綜研化学社製)100重量部(固形分)に、エポキシ系硬化剤(E-5C 綜研化学社製)0.04重量部(固形分)、ヒンダードアミン系光安定剤(以下、HALSともいう。)(LA-52 綜研化学社製)3.2重量部、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(アデカ1413 ADEKA社製)(融点47-49℃、分子量326)2.1重量部を添加し、粘着剤組成物を調製した。セパレーターとして、上質紙に両面ポリエチレンラミネートされシリコーン系離型剤でコーティングされた離型紙を用い、得られた粘着剤組成物を、コンマコーターを用いて乾燥後の粘着剤層の厚みが20μmになるように上記セパレーター上に塗工した。その後、ポリ塩化ビニルフィルム層に転写し、実施例1の加飾フィルムを得た。
【0065】
(実施例2~4)
主剤であるアクリル系粘着剤(100重量部)の平均分子量が、下記表1に記載の重量平均分子量となるように、重量平均分子量が64万のアクリル系粘着剤(SK1506A 綜研化学社社製)及び重量平均分子量が200万のアクリル系粘着剤(SK2006HE 綜研化学社製)の含有量を下記表1に記載の含有量に変えた以外は実施例1と同様にして、実施例2~4に係る加飾フィルムを得た。
【0066】
(比較例1~5)
主剤であるアクリル系粘着剤(100重量部)の種類と、硬化剤の含有量とを下記表2に記載の内容に変更し、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)及び紫外線吸収剤(UVA)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1~5に係る加飾フィルムを得た。
なお、表2に記載のSK1435は、重量平均分子量が50万のアクリル系粘着剤(綜研化学社製)である。
【0067】
(実施例5~11及び比較例6)
実施例3で用いた紫外線吸収剤(UVA)の種類をベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(LA-29 ADEKA社製)(融点102-106℃、分子量323)に変更し、HALSの含有量とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量を下記表3に記載の含有量に変更し、硬化剤の含有量を下記表3の含有量に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例5~11及び比較例6に係る加飾フィルムを得た。
【0068】
(実施例12及び13)
実施例3で用いたHALS(LA-52)の含有量を、下記表4に記載の含有量に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例12及び13に係る加飾フィルムを得た。
【0069】
(実施例14及び15)
実施例3で用いたHALSの種類をLA-52(N-CH3型)からLA-81(ADEKA社製)(NO-アルキル型)に変更し、HALSの含有量を下記表4に記載の含有量に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例14及び15に係る加飾フィルムを得た。
【0070】
(加飾フィルムの評価)
実施例及び比較例で得られた加飾フィルムについて、下記の方法により、(1)耐候性の評価、(2)寸法安定性の評価、(3)粘着力(初期、促進条件下、印刷後)の評価を行った。評価結果を下記表1~表4に示す。
【0071】
(1)耐候性クロスカット試験
得られた実施例及び比較例に係る各加飾フィルムのポリ塩化ビニルフィルム層の粘着剤層とは反対側の面に、インクジェットプリンター(ミマキエンジニアリング社製の「JV33」)、及び、溶剤系インク(ミマキエンジニアリング社製の「SS21」)を使用し、CMYK各100%でインクの噴射量400%のベタ印刷を2度行い、2時間乾燥させて印刷層を形成した。続いて、印刷層が形成された面に、トップフィルム(PVC粘着シート)をラミネートした後、印刷層とトップフィルムが積層された加飾フィルムのセパレーターを剥離し、ガラス板に貼り付けた。その後、ガラス板上のサンプルを50mm角にカットした。次に、サンプル中央部分に縦横長さ40mmのクロスカットを施し、実施例及び比較例に係るサンプルを得た。
【0072】
実施例及び比較例に係るサンプルの粘着面に対して、ガラス板を介して以下の条件でメタルウェザー試験(促進耐候性試験)を行った。
【0073】
(試験条件)
メタルウェザー試験機:水平式メタリングウエザーメーター(M6t)スガ試験機社製
放射照度(kW/m2)(300~400nm):120
BPT(℃):53
湿度:50%
試験サイクル:24時間連続照射
【0074】
以上の処理を1サイクルとして、実施例及び比較例の各サンプルに対して、メタルウェザー試験を、48時間、96時間、144時間実施した。なお、一部サンプルについては、144時間の試験を実施していない。試験後、各サンプルの目開きを測定した。測定結果を表1~表4に示す。
【0075】
(耐光性評価基準)
耐候性クロスカット試験の目開き量が、メタルウェザー試験48時間、及び、96時間において流れ方向及び幅方向のいずれも0.6mm以下であった場合、耐候性評価を「〇」とし、メタルウェザー試験48時間、及び/又は、96時間において流れ方向及び幅方向のいずれかが0.6mmを超えて1mm未満であった場合、耐候性評価を「△」とし、メタルウェザー試験48時間、及び/又は、96時間において流れ方向及び幅方向のいずれも1mm以上であった場合、耐候性評価を「×」とした。
【0076】
(2)寸法安定性試験
次に、得られた実施例及び比較例に係る各加飾フィルムのポリ塩化ビニルフィルム層の粘着剤層とは反対側の面に、インクジェットプリンター(ミマキエンジニアリング社製の「JV33」)、及び、溶剤系インク(ミマキエンジニアリング社製の「SS21」)を使用し、CMYK各100%でインクの噴射量400%のベタ印刷を2度行い、2時間乾燥させて印刷層を形成した。続いて、印刷層が形成された面に、トップフィルム(PVC粘着シート)をラミネートした後、印刷層とトップフィルムが積層された加飾フィルムのセパレーターを剥離し、ガラス板及びアルミ板のそれぞれに貼り付けた。その後、ガラス板上及びアルミ板上の加飾フィルムを150mm角にカットし、これをサンプルとした。次に、サンプル中央部分に縦横長さ100mmのクロスカットを施し、実施例1~15及び比較例6に係る、寸法安定性クロスカット試験サンプルを得た。
【0077】
得られた寸法安定性クロスカット試験サンプルを65℃のオーブンで48時間加熱し、取り出し後の目開き量を測定した。測定結果を表1、表3及び表4に示す。
【0078】
(寸法安定性評価基準)
寸法安定性クロスカット試験の目開き量が、流れ方向及び幅方向で0.5mm以下である場合、寸法安定性評価を「〇」とし、流れ方向及び/又は幅方向で0.5mmを超えて0.8mm未満である場合、寸法安定性評価を「△」とし、流れ方向又は幅方向で0.8mm以上である場合、寸法安定性評価を「×」とした。
【0079】
(3)粘着力試験
(初期粘着力)
実施例3及び5~15及び比較例6で得られた加飾フィルムを、縦180mm、横25mmに裁断し、試験片とした。各試験片からセパレーターを剥離し、縦125mm、横50mmのガラス板に2Kgの圧着ローラーにより貼り付けた。それぞれについて、常温(温度23±2℃)、湿度50%で24時間放置後、JIS Z 0237に準拠した方法で180°剥離試験を行い、粘着力を測定した(剥離速度、300/minの条件下)。測定結果として二回測定して得られた測定結果の平均値を初期粘着力として、下記表3及び表4に示す。
【0080】
(経時ガラス板貼り付け粘着力)
実施例3及び5~15及び比較例6に係る各加飾フィルムを、縦180mm、横25mmに裁断し、試験片とした。各試験片からセパレーターを剥離し、縦125mm、横50mmのガラス板に2Kgの圧着ローラーにより貼り付けた。次に、試験片が貼付されているガラス板を、60℃のオーブンに168時間入れ、取り出した。常温に戻した後24時間後、JIS Z 0237に準拠した方法で180°剥離試験を行い、粘着力を測定した(剥離速度、300/min)。測定結果として二回測定して得られた測定結果の平均値を経時ガラス板貼り付け粘着力として、下記表3及び表4に示す。
【0081】
(経時セパレーター付き粘着力)
実施例3及び5~15及び比較例6に係る各加飾フィルムを、縦180mm、横25mmに裁断し、試験片とした。次に、試験片を、60℃のオーブンに168時間入れ、取り出した。試験片を常温に戻した後、縦125mm、横50mmのガラス板に2Kgの圧着ローラーにより貼り付けた。24時間後、JIS Z 0237に準拠した方法で180°剥離試験を行い、粘着力を測定した(剥離速度、300/min)。測定結果として二回測定して得られた測定結果の平均値を経時セパレーター付き粘着力として、下記表3及び表4に示す。
【0082】
(粘着力評価基準)
測定した各粘着力(初期粘着力、経時ガラス板貼り付け粘着力、経時セパレーター付き粘着力)(N/25mm)が、いずれも12以上である場合、粘着力評価を「〇」とし、いずれか1種が8未満である場合、粘着力評価を「×」とし、これら以外の場合、粘着力評価を「△」とした。
【0083】
(印刷後粘着力)
得られた実施例3及び12~15に係る各加飾フィルムのポリ塩化ビニルフィルム層の粘着剤層とは反対側の面に、インクジェットプリンター(ミマキエンジニアリング社製の「JV33」)、及び、溶剤系インク(ミマキエンジニアリング社製の「SS21」)を使用し、CMYK各100%でインクの噴射量400%のベタ印刷を2度行い、2時間乾燥させて印刷層を形成した。続いて、印刷層が形成された面に、トップフィルム(PVC粘着シート)をラミネートし、印刷層を有する各サンプルを得た。実施例3及び12~15に係る各サンプルを、縦180mm、横25mmに裁断し、試験片とした。各試験片からセパレーターを剥離し、縦125mm、横50mmのガラス板に2Kgの圧着ローラーにより貼り付けた。それぞれについて、常温(温度23±2℃)、湿度50%で24時間放置後、JIS Z 0237に準拠した方法で180°剥離試験を行い、粘着力を測定した(剥離速度、300/minの条件下)。測定結果として二回測定して得られた測定結果の平均値を印刷後粘着力として、下記表4に示す。
【0084】
(印刷後加飾フィルムの粘着力評価基準)
測定した各粘着力(N/25mm)が5以上である場合、粘着力評価を「〇」とし、3以上5未満である場合、粘着力評価を「△」とし、3未満である場合、粘着力評価を「×」とした。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
実施例及び比較例の結果から、加飾フィルムの粘着剤組成物が、重量平均分子量が50万~200万のアクリル系粘着剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤を含有し、上記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部(固形分)に対して0.5~3.2重量部であり、上記紫外線吸収剤の含有量は、上記アクリル系粘着剤100重量部(固形分)に対して0.5~4.2重量部であり、上記ヒンダードアミン系光安定剤と上記紫外線吸収剤の総含有量を、上記アクリル系粘着剤100重量部(固形分)に対して2重量部以上とすることで、透明基材を通して粘着剤層に直射日光が当たるような環境においても優れた粘着力と寸法安定性に加え、優れた耐候性を有する加飾フィルムが得られることが分かった。
【符号の説明】
【0090】
1:加飾フィルム
2:ポリ塩化ビニルフィルム層
3:粘着剤層
4:セパレーター