(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症及び貧血を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/17 20060101AFI20240531BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240531BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240531BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240531BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20240531BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20240531BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20240531BHJP
【FI】
A61K38/17 ZNA
A61P7/00
A61P35/02
A61P43/00 105
A61P7/06
C07K19/00
C07K14/705
(21)【出願番号】P 2019569312
(86)(22)【出願日】2018-06-13
(86)【国際出願番号】 US2018037213
(87)【国際公開番号】W WO2018231905
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-11
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509307635
【氏名又は名称】セルジーン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】アブデラフマネ ラアデム
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ガレ
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/192111(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0037100(US,A1)
【文献】国際公開第2017/091706(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0243743(US,A1)
【文献】Blood, 2016.12.02, Vol.128, No.22, pp.478,https://ashpublications.org/blood/article/128/22/478/99423/Phase-2-Study-of-Sotatercept-ACE-011-in
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
A61K 39/00-39/44
A61K 45/00
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための医薬組成物であって、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を含み、ここで
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
前記医薬組成物は、前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬
の初回用量が21日の治療サイクルにつき1回、約
1mg/kgの量で投与されるように使用され;かつ
前記対象がヒトであ
り、ルキソリチニブで以前に治療されたことがある、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記対象が、貧血を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
ActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物が、前記対象の前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の1つ以上の症状を軽減または緩和し;
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
前記医薬組成物は、前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬
の初回用量が21日の治療サイクルにつき1回、約
1mg/kgの量で投与されるように使用され;かつ
前記対象がヒトであ
り、ルキソリチニブで以前に治療されたことがある、前記医薬組成物。
【請求項4】
前記1つ以上の症状が、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または骨痛のうちの1つ以上である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
ActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む、貧血の治療を必要とする対象においてそれを治療するための医薬組成物であって、前記対象が、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有し;
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり;
前記医薬組成物は、前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬
の初回用量が21日の治療サイクルにつき1回、約
1mg/kgの量で投与されるように使用され;かつ
前記対象がヒトであ
り、ルキソリチニブで以前に治療されたことがある、前記医薬組成物。
【請求項6】
前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症が、原発性骨髄線維症である、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症が、真性多血症後の骨髄線維症である、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症が、本態性血小板血症後の骨髄線維症である、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記対象が赤血球輸血非依存性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記対象が、前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与する前の84日の期間中に、0単位の赤血球を受容している場合、前記対象は赤血球輸血非依存性である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記対象が、赤血球輸血依存性である、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記対象が、前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与する前の少なくとも84日の期間中に、28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、前記対象は赤血球輸血依存性である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が
、1.0mg/kgの量で投与されるように用いられる、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、前記対象に21日の治療サイクルの1日目に皮下投与されるように用いられる、請求項1~
13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、前記対象に静脈内または皮下投与されるように用いられる、請求項1~
13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、前記対象に少なくとも3回の21日の治療サイクルにわたり投与されるように用いられる、請求項
1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、配列番号11からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項1~
16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項1~
16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は
、約1mg/k
gの用量の前記ポリペプチドが、前記対象に、少なくとも約
1回の21日の治療サイクルにわたり、21日の治療サイクルの1日目に1回皮下投与されるように用いられ、かつ前記対象が
ヒトであり、ルキソリチニブで以前に治療されたことがある、前記医薬組成物。
【請求項20】
配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は
、約1mg/k
gの用量の前記ポリペプチドが、前記対象に、少なくとも約
1回の21日の治療サイクルにわたり、21日の治療サイクルの1日目に1回皮下投与されるように用いられ、かつ前記対象が
ヒトであり、ルキソリチニブで以前に治療されたことがある、前記医薬組成物。
【請求項21】
配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は
、約1mg/k
gの用量の前記ポリペプチドが、前記対象に、少なくとも約
1回の21日の治療サイクルにわたり、21日の治療サイクルの1日目に1回皮下投与されるように用いられ、かつ前記対象が
ヒトであり、ルキソリチニブで以前に治療されたことがある、前記医薬組成物。
【請求項22】
前記用量が
、1.0mg/kgである、請求項
19~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記対象が
、前記医薬組成物の初回投与前に少なくとも112日間、ルキソリチニブで以前に治療されたことがある、請求項1~
22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月14日に出願された米国仮出願第62/519,725号、及び2018年6月1日に出願された同第62/679,210号の利益を主張する。
【0002】
本出願は、2018年6月6日に作成され、81キロバイトのサイズを有する「14247-306-228_SEQ_LISTING.txt」と題されたテキストファイルとして本出願と共に提出された配列表を参照により組み込む。
【0003】
1. 技術分野
ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む、対象の骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を治療するための方法が、本明細書に提供される。骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含み、該治療することが該対象の骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の1つ以上の症状を軽減または緩和する。薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む、貧血の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、この対象は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する。
【背景技術】
【0004】
2. 背景技術
貧血は、赤血球の数の減少または血液中のヘモグロビンが正常よりも少ない量であることである。貧血はまた、ヘモグロビンの低下した酸素結合能力によって引き起こされ得る。貧血は、血液の最も一般的な障害である。貧血は、無効造血によって引き起こされることもある。無効造血は、有効な造血が行われるが、成熟赤血球が適切な速度で発達できない場合に存在する。前駆細胞は、成熟赤血球の段階に達する前にアポトーシスを起こす。
【0005】
骨髄増殖性腫瘍-(MPN-)関連骨髄線維症は、直接発生し得る(原発性骨髄線維症(特発性骨髄化生、慢性突発性骨髄線維症、骨髄化生を伴う骨髄硬化症、突発性骨髄線維症としても知られる))か、または他の骨髄性腫瘍に端を発し得る(真性多血症及び本態性血小板血症)、骨髄機能障害及び線維症、髄外造血、及び炎症状態の増加によって特徴付けられる、クローン性骨髄性腫瘍を説明するために使用される総称である。MPN関連骨髄線維症は、骨髄中の過剰な線維組織の形成を結果として生じ、これが重度の貧血、疲労、衰弱、及び脾臓ならびに肝臓の肥大をもたらし得る。MPN関連骨髄線維症の現在の治療には、ヒドロキシ尿素、脾臓摘出術、及び同種造血幹細胞の移植が挙げられる。しかしながら、ヒドロキシ尿素処置は、貧血を悪化させる場合があり、長期使用によるその変異原性の可能性が懸念されており、脾臓摘出術は、媒体の短い奏功期間を有し、脾臓摘出後の生存期間を短くする場合があり、かつ術後罹患率が高く、同種造血幹細胞の移植は、白血病性形質転換をもたらし得る(Sochacki et al.,2016,Therapeutic approaches in myelofibrosis and myelodysplastic/myeloproliferative overlap syndromes,Onco Targets Ther,2016(9):2273-286)。したがって、MPN関連骨髄線維症の治療のための治療薬が依然として必要とされている。
【0006】
2つの関連するII型受容体、ActRIIA及びActRIIBは、アクチビンに対するII型受容体として同定されている(Mathews and Vale,1991,Cell 65:973-982;Attisano et al.,1992,Cell 68:97-108)。アクチビンのほかにも、ActRIIA及びActRIIBは、BMP7、Nodal、GDF8、及びGDF11を含む、いくつかの他のTGF-ベータファミリータンパク質と生化学的に相互作用することができる。(Yamashita et al.,1995,J.Cell Biol.130:217-226;Lee and McPherron,2001,Proc.Natl.Acad.Sci.98:9306-9311;Yeo and Whitman,2001,Mol.Cell 7:949-957;Oh et al.,2002,Genes Dev.16:2749-54)。ALK4は、アクチビン、特にアクチビンAに対する主なI型受容体であり、ALK-7は、アクチビンに対して、特にアクチビンBに対して同様に受容体として機能することができる。ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、無効造血及び骨髄異形成症候群の治療に関して記載されている(例えば、国際特許出願公開第WO2013/059347号、同第WO2011/020045号、及び同第WO2016/090077号を参照されたい)。
【発明の概要】
【0007】
3. 発明の概要
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法が本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、1mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。具体的な実施形態では、薬学的有効量は1mg/kgであり、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインを含む融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号4と90%同一、(b)配列番号4と95%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d)配列番号4、(e)配列番号7と90%同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)配列番号7と98%同一、(h)配列番号7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配列番号8と95%同一、(k)配列番号8と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列番号11と90%同一、(n)配列番号11と95%同一、(o)配列番号11と98%同一、及び(p)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号11と90%同一、(b)配列番号11と95%同一、(c)配列番号11と98%同一、及び(d)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0008】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含み、該治療することが該対象の骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の1つ以上の症状を軽減または緩和する。具体的な実施形態では、症状は、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または骨痛のうちの1つ以上である。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、1mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。具体的な実施形態では、薬学的有効量は1mg/kgであり、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインを含む融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号4と90%同一、(b)配列番号4と95%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d)配列番号4、(e)配列番号7と90%同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)配列番号7と98%同一、(h)配列番号7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配列番号8と95%同一、(k)配列番号8と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列番号11と90%同一、(n)配列番号11と95%同一、(o)配列番号11と98%同一、及び(p)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号11と90%同一、(b)配列番号11と95%同一、(c)配列番号11と98%同一、及び(d)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0009】
薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む、貧血の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、この対象は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、1mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。具体的な実施形態では、薬学的有効量は1mg/kgであり、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインを含む融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号4と90%同一、(b)配列番号4と95%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d)配列番号4、(e)配列番号7と90%同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)配列番号7と98%同一、(h)配列番号7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配列番号8と95%同一、(k)配列番号8と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列番号11と90%同一、(n)配列番号11と95%同一、(o)配列番号11と98%同一、及び(p)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号11と90%同一、(b)配列番号11と95%同一、(c)配列番号11と98%同一、及び(d)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0010】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与される。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0011】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与される。具体的な実施形態では、用量は、1mg/kgである。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0012】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプチドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与される。具体的な実施形態では、用量は、1mg/kgである。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0013】
4. 用語及び略語
本明細書で使用される場合、「ActRII」とはアクチビン受容体II型を指す。本明細書で使用される場合、「ActRIIA」とはアクチビン受容体IIA型を指す。例えば、Mathews and Vale,1991,Cell 65:973-982を参照されたい。GenBank(商標)登録番号NM_001278579.1は、例示的なヒトActRIIAの核酸配列を提供している。GenBank(商標)登録番号NP_001265508.1は、例示的なヒトActRIIAのアミノ酸配列を提供している。本明細書で使用される場合、「ActRIIB」とはアクチビン受容体IIB型を指す。例えば、Attisano et al.,1992,Cell 68:97-108を参照されたい。GenBank(商標)登録番号 NM_001106.3は、例示的なヒトActRIIBの核酸配列を提供している。GenBank(商標)登録番号NP_001097.2は、例示的なヒトActRIIBのアミノ酸配列を提供している。
【0014】
本明細書で使用される場合、「Hb」及び「Hgb」とは、ヘモグロビンを指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量に関する「mg/kg」とは、ActRIIBシグナル伝達阻害薬が投与される対象の体重1キログラム当たりのActRIIBシグナル伝達阻害薬のミリグラムを指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「MF」とは、骨髄線維症を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「PMF」とは、原発性骨髄線維症を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「PV後MF」とは、真性多血症後の骨髄線維症を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「ET後MF」とは、本態性血小板血症後の骨髄線維症を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「MPN」とは、骨髄増殖性腫瘍を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「RBC」とは、赤血球を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「RBC-TI」とは、赤血球輸血依存性を指す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
5. 発明を実施するための形態
5.1 概要
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法が本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号4と90%同一、(b)配列番号4と95%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d)配列番号4、(e)配列番号7と90%同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)配列番号7と98%同一、(h)配列番号7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配列番号8と95%同一、(k)配列番号8と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列番号11と90%同一、(n)配列番号11と95%同一、(o)配列番号11と98%同一、及び(p)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号11と90%同一、(b)配列番号11と95%同一、(c)配列番号11と98%同一、及び(d)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0026】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含み、該治療することが該対象の骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の1つ以上の症状を軽減または緩和する。具体的な実施形態では、症状は、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または骨痛のうちの1つ以上である。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号4と90%同一、(b)配列番号4と95%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d)配列番号4、(e)配列番号7と90%同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)配列番号7と98%同一、(h)配列番号7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配列番号8と95%同一、(k)配列番号8と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列番号11と90%同一、(n)配列番号11と95%同一、(o)配列番号11と98%同一、及び(p)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号11と90%同一、(b)配列番号11と95%同一、(c)配列番号11と98%同一、及び(d)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0027】
薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む、貧血の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、この対象は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号4と90%同一、(b)配列番号4と95%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d)配列番号4、(e)配列番号7と90%同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)配列番号7と98%同一、(h)配列番号7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配列番号8と95%同一、(k)配列番号8と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列番号11と90%同一、(n)配列番号11と95%同一、(o)配列番号11と98%同一、及び(p)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号11と90%同一、(b)配列番号11と95%同一、(c)配列番号11と98%同一、及び(d)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0028】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプチドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与される。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が1日当たり2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0029】
5.2 治療方法
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法が本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0030】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0031】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部として投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される組成物である。
【0032】
具体的な実施形態では、薬学的有効用量は、セクション5.6に記載される用量である。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgのActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象にセクション5.6に記載される頻度で投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回投与される。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。
【0033】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象にセクション5.6に記載される投与の経路で投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。
【0034】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0035】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含み、該治療することが該対象の骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の1つ以上の症状を軽減または緩和する。具体的な実施形態では、症状は、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または骨痛のうちの1つ以上である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0036】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0037】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部として投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される組成物である。
【0038】
具体的な実施形態では、薬学的有効用量は、セクション5.6に記載される用量である。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgのActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象にセクション5.6に記載される頻度で投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回投与される。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。
【0039】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象にセクション5.6に記載される投与の経路で投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。
【0040】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0041】
薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む、貧血の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、この対象は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0042】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0043】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部として投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される組成物である。
【0044】
具体的な実施形態では、薬学的有効用量は、セクション5.6に記載される用量である。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgのActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象にセクション5.6に記載される頻度で投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回投与される。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。
【0045】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象にセクション5.6に記載される投与の経路で投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。
【0046】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0047】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与される。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0048】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0049】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部として投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される組成物である。
【0050】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与される。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0051】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0052】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部として投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される組成物である。
【0053】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプチドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与される。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0054】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0055】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部として投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される組成物である。
【0056】
5.3 患者集団
本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、齧歯類及び霊長類などの任意の哺乳動物とすることができ、好ましい実施形態では、ヒトとすることができる。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、齧歯類及び霊長類などの任意哺乳動物における、好ましい実施形態ではヒト対象における骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症及び/または貧血を治療するために使用することができる。
【0057】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、任意の年齢の対象とすることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、18歳未満である。1つの具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、13歳未満である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、12歳未満、11歳未満、10歳未満、9歳未満、8歳未満、7歳未満、6歳未満、または5歳未満である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、1~3歳、3~5歳、5~7歳、7~9歳、9~11歳、11~13歳、13~15歳、15~20歳、20~25歳、25~30歳であるか、または30歳を超える。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、30~35歳、35~40歳、40~45歳、45~50歳、50~55歳、55~60歳であるか、または60歳を超える。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、60~65歳、65~70歳、70~75歳、75~80歳であるか、または80歳を超える。
【0058】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する。ある特定の実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0059】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、貧血を有する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症及び貧血を有する。ある特定の実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0060】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、ルキソリチニブで以前に治療されたことがある。1つの具体的な実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、治療の直前少なくとも112日間、ルキソリチニブの安定した投与を受けていた。
【0061】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、少なくとも112日間のルキソリチニブの安定した投与を受ける、ルキソリチニブで以前に治療されたことはない。
【0062】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の対象への第1回目の投与前に、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。
【0063】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の対象への第1回目の投与前に、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0064】
5.4 ACTRIIBシグナル伝達の阻害薬
本明細書で使用される場合、用語「ActRIIB」とは、任意の種からのアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)タンパク質のファミリー、または突然変異誘発もしくは他の改変により、このようなActRIIBタンパク質から誘導された多様体を指す。本明細書のActRIIBへの言及は、この受容体の現在同定されている形態のうちのいずれか1つへの言及であると理解される。ActRIIBファミリーのメンバーは、一般的に、高システイン領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
【0065】
本明細書に記載の組成物及び方法において使用することができるActRIIBシグナル伝達阻害薬としては、アクチビン結合可溶性ActRIIBポリペプチド、アクチビン(特に、アクチビンAまたはBサブユニット、βAまたはβBとも称される)に結合し、かつActRIIB結合を破壊する抗体、ActRIIBに結合し、かつアクチビン結合を破壊する抗体、アクチビンまたはActRIIB結合に対して選択される非抗体タンパク質、及びFcドメインに複合化され得るアクチビンまたはActRIIB結合に対して選択されるランダム化ペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
ある特定の実施形態では、アクチビンまたはActRIIB結合活性を有する2つ以上の異なるタンパク質(または他の部分)、特に、I型(例えば、可溶性I型アクチビン受容体)及びII型(例えば、可溶性II型アクチビン受容体)結合部位をブロックするアクチビンバインダーは、それぞれ、一緒に結合して、ActRIIBを阻害する二官能性または多官能性結合分子を形成することができるため、本明細書に記載の組成物及び方法で使用され、含まれ得る。ある特定の実施形態では、ActRIIBを阻害するアクチビン-ActRIIBシグナル伝達軸拮抗薬には、核酸アプタマー、小分子及び他の薬剤が挙げられ、本明細書に記載の組成物及び方法で使用され、含まれる。
【0067】
5.4.1 ActRIIBポリペプチドを含むActRIIBシグナル伝達阻害薬
本明細書で使用される場合、用語「ActRIIBポリペプチド」とは、ActRIIBファミリーメンバーの天然型ポリペプチドならびに有用な活性を保持するそれらの任意の多様体(変異体、断片、融合体、及びペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを指す。例えば、ActRIIBポリペプチドは、ActRIIBポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一の配列を有し、任意に、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有する任意の既知のActRIIB受容体の配列に由来するポリペプチドを含む。例えば、ActRIIBポリペプチドは、ActRIIBタンパク質及び/またはアクチビンに結合することができ、かつそれらの機能を阻害することができる。ActRIIBポリペプチドの一例としては、ヒトActRIIB前駆体ポリペプチド(配列番号3または配列番号14)が挙げられる。そのアミノ酸配列が配列番号3もしくは配列番号14として表示されるActRIIB前駆体ポリペプチド(すなわち、ヒトActRIIB前駆体ポリペプチド)に関して、ActRIIB前駆体ポリペプチドのシグナルペプチドは、アミノ酸1~18に位置し、細胞外ドメインは、アミノ酸19~134に位置し、N結合グリコシル化可能部位は、アミノ酸位置42及び65に位置している。配列番号3のヒトActRIIB前駆体ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号6として開示されている(配列番号6は、アミノ酸位置64に相当するコドンにおいてアラニンを提供するが、アミノ酸位置64に相当するコドンにおいて代わりにアルギニンを提供するように、当該技術分野において既知の方法を用いて当業者によって容易に改変され得る)。この配列の説明については、表2を参照されたい。
【0068】
本明細書に記載のActRIIB関連ポリペプチドの全てについてのアミノ酸の番号付けは、別段の定めがない限り、配列番号3及び配列番号14(位置64で表されたアミノ酸のみが異なる)についてのアミノ酸番号付けに基づいている。例えば、ActRIIBポリペプチドが、アミノ酸位置79において置換/変異を有するものとして記載される場合、位置79が、ActRIIBポリペプチドがそれから誘導される配列番号3もしくは配列番号14中の第79番目のアミノ酸を指すと理解されるべきである。同様に、ActRIIBポリペプチドが、アミノ酸位置64においてアラニンまたはアルギニンを有するものとして記載される場合、位置64が、ActRIIBポリペプチドがそれから誘導される配列番号3もしくは配列番号14中の第64番目のアミノ酸を指すと理解されるべきである。
【0069】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達の阻害薬は、ActRIIBのアクチビン結合ドメインを含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ActRIIBのアクチビン結合ドメインは、ActRIIBの細胞外ドメイン、またはその一部分を含む。具体的な実施形態では、ActRIIBの細胞外ドメインまたはその一部分は、可溶性である。ActRIIBポリペプチドの例示的な改変形態は、米国特許出願公開第20090005308号及び同第20100068215号に開示されており、各々の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。ActRIIBポリペプチドの例示的な改変形態はまた、国際特許出願公開第WO2008/097541号及び同第WO2010/019261号に開示されており、各々の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0070】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBポリペプチドは、可溶性ActRIIBポリペプチドである。用語「可溶性ActRIIBポリペプチド」とは、一般的に、ActRIIBタンパク質の任意の天然型細胞外ドメインを含むActRIIBタンパク質の細胞外ドメインならびにその任意の多様体(変異体、断片及びペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを指す。可溶性ActRIIBポリペプチドは、アクチビンに結合することができるが、野生型ActRIIBタンパク質は、GDF8/11と対比して、アクチビンへの結合における顕著な選択性を示さない。ある特定の実施形態では、異なる結合特性を有するActRIIBの変更形態を、本明細書に提供される方法で使用することができる。このような変更形態は、例えば、国際特許出願公開第WO2006/012627号及び同第WO2010/019261号に開示されており、各々の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。天然のまたは変更ActRIIBタンパク質は、それらを第2のアクチビン選択的結合剤と結合させることによって、付加されたアクチビンに対する特異性が供与されてもよい。例示的なActRIIBポリペプチドは、ヒトActRIIBポリペプチド(例えば、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29)の細胞外ドメインを含む。
【0071】
ActRIIB細胞外配列を有するFc融合タンパク質(Hilden et al.(Blood,1994,83(8):2163-70)に開示)で、ActRIIB前駆体アミノ酸配列のアミノ酸64に相当する位置においアラニンを有するもの、すなわち、配列番号3(本明細書では「A64」と称される)ものは、アクチビン及びGDF-11に比較的低い親和性を有することが実証されている。対照的に、ActRIIB前駆体アミノ酸配列の64位にアルギニンを有するFc融合タンパク質(本明細書では「R64」と称される)は、低ナノモルから高ピコモル範囲のアクチビン及びGDF-11に対する親和性を有する(例えば、その開示が、その全体で本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20100068215号を参照されたい)。また、その開示が、その全体で本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2010/019261号を参照されたい。64位にアルギニンを有するActRIIB前駆体のアミノ酸配列は、配列番号14に提示されている。したがって、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法に従って使用されるActRIIBポリペプチドは、(i)ActRIIB前駆体アミノ酸配列のアミノ酸64に相当する位置でアラニンを含む、すなわち配列番号3を含むか、または(ii)ActRIIB前駆体アミノ酸配列のアミノ酸64にアルギニンを含む、すなわち配列番号14を含むかのいずれかであり得る。他の特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法に従って使用されるActRIIBポリペプチドは、ActRIIB前駆体アミノ酸配列のアミノ酸64に相当する位置でアラニンまたはアルギニンではない、すなわち、配列番号3もしくは配列番号14ではないアミノ酸を含んでもよい。
【0072】
ActRIIBの細胞外ドメインのC末端におけるプロリンノットの欠失が、アクチビンに対する受容体の親和性を低下させることが示されている(例えば、Attisano et al.,Cell,1992,68(1):97-108を参照されたい)。配列番号14のアミノ酸20~119を含有するActRIIB-Fc融合タンパク質(すなわち、配列番号18)、「ActRIIB(20~119)-Fc」は、プロリンノット領域及び完全な膜近傍ドメインを含む、配列番号14のアミノ酸20~134を含有するActRIIB-Fc融合タンパク質(すなわち、配列番号17)、「ActRIIB(20~134)-Fc」と比べて、GDF-11及びアクチビンへの結合を低下させた。しかしながら、配列番号14のアミノ酸20~129を含有するActRIIB-Fc融合タンパク質、「ActRIIB(20~129)-Fc」は、ActRIIBの切断されていない細胞外ドメインと比べて、プロリンノット領域が破壊されているにもかかわらず、同様ではあるが、いくらか低下した活性を保持する。したがって、配列番号14(もしくは配列番号3)のアミノ酸134、133、132、131、130、及び129で停止する細胞外ドメインを含むActRIIBポリペプチドは、すべて、活性であると予想されるがアミノ酸134または133で停止する構築物が最も活性であり得る。同様に、配列番号14のP129及びP130の変異が、リガンド結合を実質的減少させないという事実によって示されるように、残基129~134のいずれにおける変異も、リガンド結合親和性を大幅に変更することは予想されない。したがって、本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドは、配列番号14(もしくは配列番号3)の早くもアミノ酸109(すなわち、最後のシステイン)で終了し得るが、配列番号14(または配列番号3)のアミノ酸109位及び119位で、またはこれらの間で終了する形態が、低減したリガンド結合能力を有すると予想される。
【0073】
配列番号3及び配列番号14のアミノ酸29は、ActRIIB前駆体配列の最初のシステインを表す。配列番号3もしくは配列番号14のN末端のアミノ酸29で、またはこれらのアミノ酸位置の前で開始するActRIIBポリペプチドが、リガンド結合活性を保持するであろうことが予想される。配列番号3もしくは配列番号14の24位でのアラニンのアスパラギンへの変異は、リガンド結合に実質的に影響を与えることなく、N結合グリコシル化配列を導入する。これは、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~29に相当する、シグナル切断ペプチドとシステイン架橋領域との間の領域における変異が、十分に耐容性があること裏付けている。特に、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置20、21、22、23及び24で開始するActRIIBポリペプチドは、活性を保持することになり、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置25、26、27、28及び29で開始するActRIIBポリペプチドもまた、活性を保持すると予想される。配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置22、23、24または25で開始するActRIIBポリペプチドは、最高の活性を有するであろう。
【0074】
まとめると、本明細書に記載の方法及び組成物に従って使用されるActRIIB前駆体タンパク質(すなわち、配列番号3または配列番号14)の活性部分(すなわち、ActRIIBポリペプチド)は、一般的に、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸29~109を含み、このようなActRIIBポリペプチドは、例えば、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸19~29のうちのいずれか1つに相当する残基で開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸109~134のうちのいずれか1つに相当する位置で終了することができる。本明細書に包含されるActRIIBポリペプチドの具体的な例としては、配列番号3もしくは配列番号14の19~29、20~29または21~29からのアミノ酸位置で開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14の119~134、119~133または129~134、129~133からのアミノ酸位置で終了するものが挙げられる。本明細書に包含されるActRIIBポリペプチドの他の具体的な例としては、配列番号3もしくは配列番号14の20~24(または21~24、または22~25)からのアミノ酸位置で開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14の109~134(もしくは109~133)、119~134(もしくは119~133)または129~134(もしくは129~133)からのアミノ酸位置で終了するものが挙げられる。これらの範囲内に入る多様体ActRIIBポリペプチドもまた企図され、特に配列番号3もしくは配列番号14の対応する部分と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性もしくは配列相同性を有するものも企図される。
【0075】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達の阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメインの切断型を含む。切断は、ActRIIBポリペプチドのカルボキシ末端及び/またはアミノ末端にあり得る。ある特定の実施形態では、切断は、成熟ActRIIBポリペプチドの細胞外ドメインに対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸長であり得る。ある特定の実施形態では、切断は、成熟ActRIIBポリペプチドの細胞外ドメインの、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のN-末端アミノ酸であり得る。ある特定の実施形態では、切断は、成熟ActRIIBポリペプチドの細胞外ドメインの、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のC末端アミノ酸であり得る。例えば、ActRIIBの切断型は、アミノ酸20~119、20~128、20~129、20~130、20~131、20~132、20~133、20~134、20~131、21~131、22~131、23~131、24~131、及び25~131を有するポリペプチドを含み、これらのアミノ酸位置は、配列番号3もしくは配列番号14中のアミノ酸位置を指す。
【0076】
ActRIIBの追加の例示的な切断型としては、(i)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸21~29のいずれかのアミノ酸で開始し(任意に、配列番号3もしくは配列番号14の22~25で開始し)かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸109~134のいずれかで終了するポリペプチド、(ii)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~29のいずれかで開始し(任意に、配列番号3もしくは配列番号14の22~25で開始し)かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸109~133のいずれかで終了するポリペプチド、(iii)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~24のいずれかで開始し(任意に、配列番号3もしくは配列番号14の22~25で開始し)かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸109~133のいずれかで終了するポリペプチド、(iv)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸21~24のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸109~134のいずれかで終了するポリペプチド、(v)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~24のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸118~133のいずれかで終了するポリペプチド、(vi)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸21~24のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸118~134のいずれかで終了するポリペプチド、(vii)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~24のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸128~133のいずれかで終了するポリペプチド、(viii)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~24のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸128~133のいずれかで終了するポリペプチド、(ix)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸21~29のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸118~134のいずれかで終了するポリペプチド、(x)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~29のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸118~133のいずれかで終了するポリペプチド、(xi)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸21~29のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸128~134のいずれかで終了するポリペプチド、及び(xii)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~29のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸128~133のいずれかで終了するポリペプチドが挙げられる。具体的な実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置25で開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置131で終了するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。別の具体的な実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号4、18、23、26、27、29、30、31、32、または33のアミノ酸配列からなるか、またはそれから本質的になる。
【0077】
本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBポリペプチドのいずれも、ホモダイマーとして生成されてもよい。本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBポリペプチドのいずれも、FcドメインなどのIgG重鎖からの定常領域を含む異種部分を有する融合タンパク質として配合されてもよい。本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBポリペプチドのいずれも、任意に配列番号3もしくは配列番号14に対する1つ以上の追加のアミノ酸置換、欠失または挿入と組み合わせて、配列番号3もしくは配列番号14の79位に相当する位置において酸性アミノ酸を含んでもよい。
【0078】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達の阻害薬は、1つ以上のアミノ酸置換/変異を有するActRIIBの細胞外ドメインを含む。このようなアミノ酸置換/変異は、例えば、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置79でのロイシンから、酸性アミノ酸への、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸への交換であり得る。例えば、配列番号3もしくは配列番号14のL79位は、ActRIIB細胞外ドメインポリペプチド中で変更されて、変更されたアクチビン-ミオスタチン(GDF-11)結合特性を付与してもよい。L79A及びL79P変異は、GDF-11結合をアクチビン結合よりも大きな程度まで低下させる。L79E及びL79D変異は、GDF-11結合を保持すると同時に、大幅に低下したアクチビン結合を実証している。
【0079】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達の阻害薬は、アミノ酸置換、例えば、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置79でのロイシンからアスパラギン酸またはグルタミン酸などの酸性アミノ酸への交換も担持するActRIIB細胞外ドメインの切断型を含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用される、アミノ酸置換も担持するActRIIBポリペプチドの細胞外ドメインの切断型は、配列番号9である。切断された、及び/また1つ以上のアミノ酸置換を担持するActRIIBの形態は、上述したような抗体のFcドメインに連結することができる。
【0080】
ActRIIBポリペプチドの機能的に活性な断片は、例えば、ActRIIBポリペプチドをコードする核酸の対応する断片から組換え生成されたポリペプチドをスクリーニングすることにより、得ることができる。加えて、断片は、従来のメリフィールド固相f-Mocまたはt-Boc化学合成法などの当該技術分野において既知の技術を使用して、化学的に合成することができる。断片は、(組換えまたは化学合成により)生成され、ActRIIBタンパク質の、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の拮抗薬(阻害薬)として機能し得るこれらのペプチジル断片を特定するために試験することができる。
【0081】
加えて、ActRIIBポリペプチドの機能的に活性な多様体は、例えば、ActRIIBポリペプチドをコードする対応する変異誘発核酸から組換え生成された修飾ポリペプチドのライブラリをスクリーニングすることにより、得ることができる。多様体は、生成され、ActRIIBタンパク質の、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の拮抗薬(阻害薬)として機能し得るものを特定するために試験することができる。ある特定の実施形態では、ActRIIBポリペプチドの機能的多様体は、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、機能的多様体は、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する。
【0082】
機能的多様体は、例えば、治療有効性、または安定性(例えば、エクスビボの貯蔵寿命及びインビボでのタンパク質分解に対する耐性)を向上させるなどの目的で、ActRIIBポリペプチドの構造を修飾することによって産生されてもよい。アクチビン結合を保持するように選択された場合のこのような修飾ActRIIBポリペプチドは、天然型ActRIIBポリペプチドの機能的同等物と見なされる。修飾ActRIIBポリペプチドはまた、例えば、アミノ酸置換、欠失、または付加により生成することができる。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの、アスパラギン酸のグルタミン酸との、スレオニンのセリンとの単離された置換、またはアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸との類似した置換(例えば、保存的変異)は、得られた分子の生物学的活性に対して主要な影響を有さないと予想することが妥当である。保存的置換は、それらの側鎖において関連するアミノ酸のファミリー内で起こる置換である。ActRIIBポリペプチドのアミノ酸配列における変化が機能的相同体をもたらすかどうかは、多様体ActRIIBポリペプチドの、野生型ActRIIBポリペプチドと同様な様式で細胞内での応答を生じさせる能力を評価することによって容易に判定することができる。
【0083】
ActRIIBポリペプチド変異体、特にActRIIBポリペプチドのコンビナトリアル変異体のセット、ならびに切断変異体、コンビナトリアル変異体のプールは、本明細書に記載の方法及び組成物で使用され得る機能的多様体配列を特定するために特に有用である。このようなコンビナトリアルライブラリをスクリーニングする目的は、例えば、作動薬もしくは拮抗薬として作用し得るActRIIBポリペプチド多様体、または代替的に、全体で新規活性を保有するActRIIBポリペプチド多様体を産生するためであり得る。
【0084】
ActRIIBのリガンド結合ポケットが、配列番号3もしくは配列番号14の残基Y31、N33、N35、L38~T41、E47、E50、Q53~K55、L57、H58、Y60、S62、K74、W78~N83、Y85、R87、A92、及びE94~F101によって定義されることが証明されている。これらの位置において、保存的変異は耐容性であるが、K74A変異は耐容性良好であり、R40A、K55A、F82A及びL79位での変異も同様である。R40は、アフリカツメガエルではKであり、この位置における塩基性アミノ酸が耐容されることを示している。Q53は、ウシActRIIBではRであり、アフリカツメガエルActRIIBではKであり、したがって、R、K、Q、N及びHを含むアミノ酸は、この位置で耐容されるであろう。したがって、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するためのActRIIBポリペプチドについての一般式は、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸29~109を含むが、任意に、配列番号3もしくは配列番号14の20~24または22~25の範囲のアミノ酸位置で開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14の129~134の範囲のアミノ酸位置で終了し、リガンド結合ポケット内の1、2、5、または15個を超えない保存的アミノ酸変化と、リガンド結合ポケット内の、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置40、53、55、74、79及び/または82でのゼロの、1つ以上の非保存的変更を含む一般式である。このようなActRIIBポリペプチドは、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸29~109と、80%、90%、95%または99%を超える配列同一性または配列相同性を保持することができる。変化性が特に良好に耐容され得る結合ポケットの外側の部位には、ActRIIBの細胞外ドメインのアミノ末端及びカルボキシ末端、及び42~46位ならびに65~73位が挙げられる。配列番号3もしくは配列番号14の65位でのアスパラギンのアラニンへの変更(N65A)は、A64のバックグラウンドにおいてリガンド結合を実際に改善し、したがって、R64バックグラウンドにおけるリガンド結合に及ぼす有害な影響を有さないと予想される。この変化は、おそらく、A64バックグラウンドにおけるN65でのグリコシル化を排除し、したがって、この領域で著しい変化は耐容される可能性が高いことを証明している。R64Aの変化は、耐容性が低いが、R64Kは、良好に耐容され、したがって、Hなどの別の塩基性残基は、64位で耐容される可能性がある。
【0085】
リガンド結合ドメインに変異を有するActRIIBポリペプチドの具体的な例として、ActRIIBのリガンド結合ドメインの正に荷電したアミノ酸残基Asp(D80)は、多様体ActRIIBポリペプチドがGDF8に優先的に結合するが、アクチビンには優先的に結合しないように、異なるアミノ酸残基に変異することができる。具体的な実施形態では、D80残基は、非荷電アミノ酸残基、負荷電アミノ酸残基、及び疎水性アミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基に変えられる。さらなる具体的な例として、GDF11結合を保持しながらアクチビン結合を大幅に低減させるために、疎水性残基L79は、酸性アミノ酸のアスパラギン酸またはグルタミン酸に変更され得る。当業者によって認識されるように、記載した変異、多様体または修飾の大部分は、核酸レベルで行われ得るか、または場合によっては、翻訳後修飾もしくは化学合成によって行われ得る。このような技法は、当該技術分野において既知である。
【0086】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達の阻害薬は、抗体のFc部分に連結したActRIIB受容体の細胞外ドメイン(例えば、アクチビン結合ドメイン)を含む複合/融合タンパク質を含む。このような複合/融合タンパク質は、本明細書に開示されるActRIIBポリペプチドのうちのいずれか(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33のうちのいずれか)、当該技術分野において既知の任意のActRIIBポリペプチド、または当該技術分野において既知の方法及び/または本明細書に提供される方法を使用して産生された任意のActRIIBポリペプチドを含んでもよい。
【0087】
ある特定の実施形態では、細胞外ドメインは、リンカー、例えば、ペプチドリンカーを介して抗体のFc部分に連結される。例示的なリンカーとしては、2~10、2~5、2~4、2~3個のアミノ酸残基(例えば、グリシン残基)などの短いポリペプチド配列が挙げられ、例えば、Gly-Gly-Glyリンカーなどである。具体的な実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列Gly-Gly-Gly(GGG)を含む。別の具体的な実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列Thr-Gly-Gly-Gly(TGGG)を含む。任意に、Fcドメインは、Asp-265、リジン322、及びAsn-434などの残基で1つ以上の変異を有する。ある特定の場合には、これらの変異のうちの1つ以上(例えば、Asp-265変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比べて、Fcγ受容体に結合する能力が低減する。他の場合には、これらの変異のうちの1つ以上(例えば、Asn-434変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比べて、MHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)に結合する能力が増大する。Fcドメインに融合したActRIIBの可溶性細胞外ドメインを含む例示的な融合タンパク質は、配列番号20、21、24、25、または34に記載されている。
【0088】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達阻害薬は、抗体のFc部分に連結したActRIIBの細胞外ドメイン、またはその一部分を含み、該ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号20、21、24、25、34から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達阻害薬は、抗体のFc部分に連結したActRIIBの細胞外ドメイン、またはその一部分を含み、該ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号20、21、24、25、及び34から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0089】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるためのActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ヒトActRIIB受容体の細胞外ドメインとIgG1のFc部分との間の融合タンパク質である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるためのActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ヒトActRIIB受容体の細胞外ドメインとIgG1のFc部分との間の融合タンパク質である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるためのActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ヒトActRIIB受容体の切断型細胞外ドメインとIgG1のFc部分との間の融合タンパク質であり、ヒトActRIIB受容体の切断型細胞外ドメインは、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸79に相当するアミノ酸位置でアミノ酸置換を有する。一実施形態では、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸79に相当するアミノ酸位置でアミノ酸置換は、ロイシンのアスパラギン酸への置換(すなわち、L79D変異)である。
【0090】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるためのActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号10または11であり、これはヒトActRIIB受容体の細胞外ドメインとIgG1のFc部分との間の融合タンパク質を表し、該ActRIIB細胞外ドメインは、L79D変異を有する配列番号14のアミノ酸25~131を含む。配列番号10のActRIIB-Fc融合タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号31に提示されている。
【0091】
別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるためのActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号20または21であり、これはヒトActRIIB受容体の細胞外ドメインとIgG1のFc部分との間の融合タンパク質を表し、該ActRIIB細胞外ドメインは、L79D変異を有する配列番号3のアミノ酸25~131を含む。
【0092】
アスパラギン結合型グリコシル化認識部位は、一般的に、適切な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識される、トリペプチド配列の、アスパラギン-X-スレオニン(またはアスパラギン-X-セリン)(式中、「X」は、任意のアミノ酸である)を含む。改変は、(O連結グリコシル化部位のための)野生型ActRIIBポリペプチドの配列への1つ以上のセリンまたはスレオニン残基の付加、またはそれによる置換によっても行われ得る。グリコシル化認識部位の第1番目もしくは第3番目のアミノ酸位置の1つまたは両方での様々なアミノ酸置換または欠失(及び/または第2の位置でのアミノ酸欠失)は、修飾トリペプチド配列における非グリコシル化をもたらす。ActRIIBポリペプチド上の炭水化物部分の数を増加させるための別の手段は、グリコシドのActRIIBポリペプチドへの化学的または酵素的カップリングによるものである。使用されるカップリングモードに応じて、糖(複数可)は、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基(システインのものなど)、(d)遊離ヒドロキシル基(セリン、スレオニン、またはヒドロキシプロリンのものなど)、(e)芳香族残基(フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンのものなど)、または(f)グルタミンのアミド基に取り付けられてもよい。これらの方法は、参照により、本明細書に組み込まれる、国際特許出願第WO87/05330号(1987年9月11に公開)、及びAplin and Wriston(1981)CRC Crit.Rev.Biochem., pp. 259-306に記載されている。ActRIIBポリペプチド上に存在する1つ以上の炭水化物部分の除去は、化学的及び/または酵素的に達成することができる。化学的脱グリコシル化は、例えば、ActRIIBポリペプチドを、化合物のトリフルオロメタンスルホン酸に、または同等の化合物に曝露することを伴い得る。この処理は、アミノ酸配列をインタクトのまま残しながら、結合糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除く大部分またはすべての糖の開裂をもたらす。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddin et al.(1987) Arch.Biochem.Biophys.259:52により、及びEdge et al.(1981) Anal.Biochem.118:131によりさらに記載されている。ActRIIBポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的開裂は、Thotakura et al.(1987) Meth.Enzymol.138:350により記載されるように、様々なエンド-及びエキソ-グリコシダーゼの使用によって達成され得る。ActRIIBポリペプチドの配列は、適宜、哺乳動物、酵母、昆虫及び植物細胞などの使用される発現系の種類に応じて、ペプチドのアミノ酸配列によって影響され得る様々なグリコシル化パターンをその後、すべて導入することができる。一般的に、ヒトで使用するためのActRIIBタンパク質は、HEK293またはCHO細胞株などの、適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞株で発現されるであろうが、他の哺乳動物発現細胞株、操作されたグリコシル化酵素を有する酵母細胞株、及び昆虫細胞などの他の発現系も同様に有用であると予想される。
【0093】
具体的な実施形態では、ActRIIB(R64)-Fcの形態と比べて、ActRIIB-Fc融合タンパク質の血清半減期を増加させるさらなるN結合型グリコシル化部位(N-X-S/T)の付加を含む変異したActRIIBポリペプチドを、本明細書に記載の方法及び組成物で使用することができる。具体的な実施形態では、配列番号3もしくは配列番号14の24位でのアスパラギンの導入(A24N)は、より長い半減期を付与するNXT配列の形成をもたらす。他のNX(T/S)配列は、42~44(NQS)及び65~67(NSS)で見出すことができるが、後者は64位でのRで(すなわち、R64ポリペプチドで)効率的にグリコシル化され得ない。N-X-S/T配列は、一般的に、ActRIIBのリガンド結合ポケットの外側の位置に導入されてもよく、これは、上で詳説されている。非内因性N-X-S/T配列の導入に特に好適な部位としては、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~29、20~24、22~25、109~134、120~134または129~134が挙げられる。N-X-S/T配列はまた、ActRIIB配列とFcまたは他の融合成分との間のリンカーに導入されてもよい。このような部位は、Nを既存のSもしくはTに対する正確な位置に導入することによって、またはSもしくはTを、既存のNに相当する位置に導入することによって、最小限の努力だけで導入することができる。したがって、N結合型グリコシル化部位を作り出すことになる所望の改変は、A24N、R64N、S67N(おそらく、N65A改変と組み合わせて)、E106N、R112N、G120N、E123N、P129N、A132N、R112S及びR112T(すべてのアミノ酸位置は、これらが配列番号3もしくは配列番号14で見出すことができる位置に相当する)である。グリコシル化されていると予想されるいかなるSも、グリコシル化によって保護が提供されているために、免疫原性部位を作り出すことなくTに変更され得る。同様に、グリコシル化されていると予想されるいかなるTも、Sに変更され得る。したがって、改変S67T及びS44Tは本明細書に包含される。同様に、A24N多様体において、S26T改変が使用され得る。したがって、ActRIIBポリペプチドは、1つ以上の追加の、非内因性N結合型グリコシル化コンセンサス配列を含んでもよい。
【0094】
様々なスクリーニングアッセイを用いて、ActRIIBポリペプチド多様体を評価することができる。例えば、ActRIIBポリペプチド多様体は、ActRIIBリガンドに結合する能力、ActRIIBリガンドのActRIIBポリペプチドへの結合を阻む能力、またはActRIIBリガンドによって引き起こされるシグナル伝達を干渉する能力についてスクリーニングされてもよい。ActRIIBポリペプチドまたはその多様体の活性はまた、細胞ベースのアッセイまたはインビトロアッセイで試験されてもよい。
【0095】
天然型ActRIIBポリペプチドと比べて、選択的または概ね増大した効力を有する、コンビナトリアル誘導多様体を産生することができる。同様に、突然変異誘発は、対応する野生型ActRIIBポリペプチドとは劇的に異なる細胞内半減期を有する多様体を生じさせることができる。例えば、改変タンパク質は、タンパク質分解または天然ActRIIBポリペプチドの破壊、ないしは別の方法での不活性化をもたらす他の細胞プロセスに対してより安定に、またはより不安定のいずれかにすることができる。このような多様体、及びそれらをコードする遺伝子は、ActRIIBポリペプチドの半減期を調節することによって、ActRIIBポリペプチドレベルを変更するように利用することができる。例えば、短い半減期は、より一過性の生物学的効果を生じさせることができ、対象内の組換えActRIIBポリペプチドレベルのより厳密な制御を可能にすることができる。Fc融合タンパク質において、タンパク質の半減期を変更するために、変異はリンカー(もしあるなら)で、及び/またはFc部分で行うことができる。
【0096】
コンビナトリアルライブラリは、それぞれが可能性のあるActRIIBポリペプチド配列の少なくとも一部を含むポリペプチドのライブラリをコードする遺伝子の縮重ライブラリとして生成され得る。例えば、可能性のあるActRIIBポリペプチドヌクレオチド配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして発現可能であるか、あるいはより大きな融合タンパク質のセットとして発現可能である(例えば、ファージディスプレイのために)ように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的に連結することができる。
【0097】
可能性のある相同体ライブラリが縮重オリゴヌクレオチド配列から産生され得る多くの方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNAシンセサイザーで実行することができ、次いで、合成遺伝子は、発現のために、適切なベクター中に連結することができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当該技術分野において周知である(例えば、Narang,S A(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al.,(1981)Recombinant DNA,Proc.3rd Cleveland Sympos.Macromolecules,ed.AG Walton,Amsterdam:Elsevier pp273-289;Itakura et al.,(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakura et al.,(1984)Science 198:1056;Ike et al.,(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照されたい)。このような技法は、他のタンパク質の指向性進化法で採用されている(例えば、Scott et al.,(1990)Science 249:386-390;Roberts et al.,(1992)PNAS USA 89:2429-2433;Devlin et al.,(1990)Science 249:404-406;Cwirla et al.,(1990)PNAS USA 87:6378-6382;ならびに米国特許第5,223,409号、同第5,198,346号、及び同第5,096,815号を参照されたい)。
【0098】
あるいは、突然変異誘発の他の形態を利用して、コンビナトリアルライブラリを産生することができる。例えば、ActRIIBポリペプチド多様体は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発などを使用するスクリーニングによって(Ruf et al.,(1994)Biochemistry 33:1565-1572;Wang et al.,(1994)J.Biol.Chem.269:3095-3099;Balint et al.,(1993)Gene 137:109-118;Grodberg et al.,(1993)Eur.J.Biochem.218:597-601;Nagashima et al.,(1993)J.Biol.Chem.268:2888-2892;Lowman et al.,(1991)Biochemistry 30:10832-10838;及びCunningham et al.,(1989)Science 244:1081-1085)、リンカースキャニング突然変異誘発によって(Gustin et al.,(1993)Virology 193:653-660;Brown et al.,(1992)Mol.Cell Biol.12:2644-2652;McKnight et al.,(1982)Science 232:316)、飽和突然変異誘発によって(Meyers et al.,(1986)Science 232:613)、PCR突然変異誘発によって(Leung et al.,(1989)Method Cell Mol Biol 1:11-19)、または化学的突然変異誘発などを含むランダム突然変異誘発によって(Miller et al.,(1992)A Short Course in Bacterial Genetics,CSHL Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;及びGreener et al.,(1994)Strategies in Mol Biol 7:32-34)、ライブラリから産生し単離することができる。特に、コンビナトリアル設定におけるリンカースキャニング突然変異誘発は、ActRIIBポリペプチドの切断(生物活性)型を特定するために魅力的な方法である。
【0099】
点変異及び切断によって作製されたコンビナトリアルライブラリの遺伝子産物をスクリーニングするための、さらに言うなら、特定の特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリをスクリーニングするための、広範囲の技法が当該技術分野において既知である。このような技法は、一般的に、ActRIIBポリペプチドのコンビナトリアル突然変異誘発によって産生された遺伝子ライブラリの迅速なスクリーニングに適用可能であろう。大きな遺伝子ライブラリをスクリーニングするために最も広く使用されている技法は、典型的には、遺伝子ライブラリを複製可能な発現ベクターにクローニングし、適切な細胞を得られたライブラリベクターで形質転換し、そして所望の活性の検出が、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離を促進する条件下でコンビナトリアル遺伝子を発現することを含む。好ましいアッセイとしては、アクチビン結合アッセイ及びアクチビン媒介細胞シグナル伝達アッセイが挙げられる。
【0100】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドは、ActRIIBポリペプチド中に自然に存在するいずれかの修飾に加えて、翻訳後修飾をさらに含む。このような修飾としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、及びアシル化が挙げられるが、これらに限定されない。その結果として、修飾ActRIIBポリペプチドは、ポリエチレングリコール、脂質、多糖類もしくは単糖類、及びリン酸塩などの非アミノ酸要素を含有し得る。このような非アミノ酸要素のActRIIBポリペプチドの機能性に及ぼす効果は、当業者に既知の任意の方法によって試験することができる。ActRIIBポリペプチドが、ActRIIBポリペプチドの初期形態を切断することによって細胞中で産生される場合、翻訳後処理もまた、タンパク質の正確な折り畳み及び/または機能に重要であり得る。異なる細胞(CHO、HeLa、MDCK、293、W138、NIH-3T3またはHEK293など)は、このような翻訳後活性のための特異的な細胞機構及び特徴的なメカニズムを有し、ActRIIBポリペプチドの正確な修飾及び処理を確実にするように選択することができる。
【0101】
ある特定の態様では、ActRIIBポリペプチドの機能的多様体または修飾型は、ActRIIBポリペプチドの少なくとも一部分と、1つ以上の融合部分とを有する融合ドメインを含む。このような融合ドメインのよく知られた例としては、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、タンパク質G、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。融合ドメインが、所望の特性を付与するように選択されてもよい。例えば、一部の融合ドメインは、親和性クロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。親和性精製の目的のために、グルタチオン-、アミラーゼ-、及びニッケル-もしくはコバルト-複合樹脂などの親和性クロマトグラフィーに関連したマトリックスが使用される。このようなマトリックスの多くは、「キット」形態として入手可能であり、例えば、Pharmacia GST精製システム及び(HIS6)融合パートナーで有用なQIAexpress TMシステム(Qiagen)がそうである。別の例として、融合ドメインは、ActRIIBポリペプチドの検出を容易にするように選択されてもよい。このような検出ドメインの例としては、様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)、ならびに通常、特異的抗体が使用可能である短いペプチド配列である「エピトープタグ」が挙げられる。特異的モノクローナル抗体が容易に使用可能であるよく知られたエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルス血球凝集素(HA)、及びc-mycタグが挙げられる。場合によっては、融合ドメインは、第Xa因子またはトロンビンなどのプロテアーゼ切断部位を有し、これは、関連するプロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化することを可能にし、それにより組換えタンパク質をそこから遊離させる。次いで、遊離されたタンパク質は、その後のクロマトグラフィー分離によって、融合ドメインから単離することができる。ある特定の好ましい実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、インビボでActRIIBポリペプチドを安定化させるドメイン(「スタビライザードメイン」)と融合される。「安定化させる」とは、血清半減期を延ばすいかなるものも意味し、これが、破壊の減少、腎臓によるクリアランスの減少、または他の薬物動態作用によるものであるかどうかに無関係である。免疫グロブリンのFc部分との融合は、広範囲のタンパク質に所望の薬物動態特性を付与することが知られている。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合も所望の特性を付与することができる。選択され得る他のタイプの融合ドメインとしては、多量体化(例えば、二量体化、四量体化)ドメイン及び機能的ドメイン(必要に応じて、骨成長または筋肉成長のさらなる刺激などの追加の生物学的機能を付与する)が挙げられる。
【0102】
融合タンパク質の異なる要素は、所望の機能性と一致する方法で配置され得ることが理解される。例えば、ActRIIBポリペプチドは、異種ドメインに対してC末端に配置されてもよく、または代替的に、異種ドメインが、ActRIIBポリペプチドに対してC末端に配置されてもよい。ActRIIBポリペプチドドメイン及び異種ドメインは、融合体タンパク質中で隣接する必要はなく、追加のドメインまたはアミノ酸配列が、いずれかのドメインに対してC末端もしくはN末端に含まれてもよく、またはこれらのドメインの間に含まれてもよい。
【0103】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドは、ActRIIBポリペプチドを安定化することができる1つ以上の修飾を含有する。例えば、このような修飾は、ActRIIBポリペプチドのインビトロ半減期を向上させ、ActRIIBポリペプチドの循環半減期を向上させるか、またはActRIIBポリペプチドのタンパク質分解を低減させる。このような安定化修飾としては、融合タンパク質(例えば、ActRIIBポリペプチドと安定化ドメインとを含む融合タンパク質を含む)、グリコシル化部位の修飾(例えば、グリコシル化部位のActRIIBポリペプチドへの付加を含む)、及び炭水化物部分の修飾(例えば、炭水化物部分のActRIIBポリペプチドからの除去を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。融合タンパク質の場合、ActRIIBポリペプチドは、IgG分子などのスタビライザードメイン(例えば、Fcドメイン)に融合される。本明細書で使用される場合、「スタビライザードメイン」という用語は、融合タンパク質の場合の融合ドメイン(例えば、Fc)を指すだけではなく、炭水化物部分などの非タンパク質性修飾、またはポリエチレングリコールなどの非タンパク質性ポリマーも含む。
【0104】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物は、単離された、または精製されたActRIIBポリペプチドを使用し、すなわち、単離形態であるか、ないしは別の方法で他のタンパク質を実質的に含まないActRIIBポリペプチドを、本明細書に記載の方法及び組成物で使用することができる。ActRIIBポリペプチドは、一般的に、組換え核酸からの発現によって生成されるであろう。
【0105】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドは、単離及び/または組換え核酸によってコードされ、本明細書に開示される断片、機能的多様体、及び融合タンパク質を含む。例えば、配列番号6は、天然型ヒトActRIIB前駆体ポリペプチドをコードする。対象の核酸は、一本鎖または二本鎖であることができる。このような核酸は、DNAまたはRNA分子であり得る。これらの核酸は、例えば、ActRIIBポリペプチドを作製するための方法で、または直接治療薬として(例えば、遺伝子療法アプローチにおいて)使用されてもよい。
【0106】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するために好適なActRIIBポリペプチドを生成するために使用され得る核酸は、配列番号6の多様体ならびに可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列の多様体(配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸)である核酸を含むことがさらに理解される。多様体ヌクレオチド配列は、対立遺伝子多様体などの、1つ以上のヌクレオチド置換、付加または欠失によって異なる配列を含む。
【0107】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するために好適なActRIIBポリペプチドを生成するために使用され得る単離または組換え核酸は、配列番号6もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(例えば、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸)と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である。配列番号6もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(例えば、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸)に相補的な核酸配列、及び配列番号6もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(例えば、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸)の多様体は、本明細書に記載の方法及び組成物で使用することができることを当業者であれば理解されるであろう。さらなる実施形態では、核酸配列は、単離核酸配列、組換え核酸配列、及び/または異種ヌクレオチド配列と融合された核酸配列とすることができるか、あるいはDNAライブラリ中の核酸配列とすることができる。
【0108】
他の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するために好適なActRIIBポリペプチドを生成するために使用され得る核酸は、高度にストリンジェントな条件下で、配列番号6で表示されたヌクレオチド配列もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(例えば、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸)、配列番号6もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(例えば、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸)の相補配列、またはこれらの断片にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェントな条件は変化し得ることは、当業者であれば理解するであろう。例えば、ハイブリダイゼーションを、約摂氏45度にて6.0倍希釈の塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)で実施し、続いて摂氏50度にて2.0倍希釈のSSCで洗浄することができる。例えば、洗浄工程での塩濃度は、摂氏50度での約2.0倍希釈のSSCの低ストリンジェンシーから摂氏50度での約0.2倍希釈のSSCの高ストリンジェンシーまで選択することができる。加えて、洗浄工程での温度は、室温の約摂氏22度での低ストリンジェンシー条件から、約摂氏65度での高ストリンジェンシー条件まで上昇させることができる。温度及び塩の両方を変化させてもよく、または他の変数を変化させながら、温度もしくは塩濃度を一定に保持してもよい。一実施形態では、室温にて6倍希釈のSSCの低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、続いて室温にて2倍希釈のSSCで洗浄する核酸を、本明細書に記載の方法及び組成物で使用することができる。
【0109】
遺伝暗号の縮重のために、配列番号6で記載された核酸もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(例えば、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸)とは異なる単離核酸もまた、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するために好適なActRIIBポリペプチドを生成するために使用することができる。例えば、多くのアミノ酸は、2つ以上のトリプレットにより表示される。同じアミノ酸を指定するコドン、またはシノニム(例えば、CAU及びCACは、ヒスチジンについてのシノニムである)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」変異をもたらし得る。しかしながら、対象のタンパク質のアミノ酸配列の変化に確かにつながるDNA配列多型は、哺乳動物細胞の間に存在するであろうことが予想される。当業者であれば、特定のタンパク質をコードする核酸の1つ以上のヌクレオチドにおけるこれらの変動(最大で約3~5%のヌクレオチド)が、自然の対立遺伝子変動のために、所与の種の個体間で存在し得ることを理解されるであろう。ありとあらゆるこのようなヌクレオチド変異及び得られたアミノ酸多型は、本明細書に記載の方法及び組成物で使用することができる。
【0110】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIBポリペプチドを生成するために使用され得る組換え核酸は、発現構築物内の1つ以上の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結されてもよい。調節ヌクレオチド配列は、一般的に、発現に使用される宿主細胞に適切な配列であろう。様々な宿主細胞に対する多くのタイプの適切な発現ベクター及び好適な調節配列が、当該技術分野において既知である。典型的には、該1つ以上の調節ヌクレオチド配列としては、プロモーター配列、リーダーもしくはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始ならびに終了配列、翻訳開始及び終了配列、及びエンハンサーもしくはアクチベータ配列を挙げることができるが、これらに限定されない。当該技術分野において既知であるような構成的プロモーターまたは誘導生プロモーターは、本明細書に記載の方法及び組成物で使用することができる。これらのプロモーターは、天然型プロモーター、または2つ以上のプロモーターの要素を組み合わせるハイブリッドプロモーターのいずれかであってもよい。発現構築物は、プラスミドのように、エピソーム上に細胞内に存在してもよく、または発現構築物は、染色体中に挿入されてもよい。好ましい実施形態では、発現ベクターは、形質転換宿主細胞の選択を可能にするために、選択可能なマーカー遺伝子を含有する。選択可能なマーカー遺伝子は、当該技術分野において周知であり、使用される宿主細胞により様々であろう。
【0111】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIBポリペプチドを生成するために使用され得る核酸は、ActRIIBポリペプチドをコードし、かつ少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結されたヌクレオチド配列をふくむ発現ベクター中に提供される。調節配列は、当該技術分野において承認されており、ActRIIBポリペプチドの直接発現のために選択される。したがって、調節配列という用語は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御要素を含む。例示的な調節配列は、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)に記載されている。例えば、DNA配列に作動的に連結されるとDNA配列の発現を制御する、多種多様な発現制御配列のいずれも、ActRIIBポリペプチドをコードするDNA配列を発現するために、これらのベクター中で使用されてもよい。このような有用な発現制御配列としては、例えば、SV40の初期及び後期プロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルスの最初期プロモーター、RSVプロモーター、lacシステム、trpシステム、TACまたはTRCシステム、その発現がT7 RNAポリメラーゼにより指向されるT7プロモーター、ラムダファージのメジャーオペレーター及びプロモーター領域、fdコートタンパク質のための制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素のためのプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、例えば、Pho5、酵母のプロモーター、アルファ-接合因子、バキュロウイルス系の多面体プロモーター、ならびに原核細胞もしくは真核細胞または他のウイルスの発現を制御することが知られている他の配列、及びこれらの様々な組み合わせが挙げられる。発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択及び/または発現されように望まれるタンパク質の種類などの因子に依存し得ることを理解されたい。さらに、ベクターのコピー数、このコピー数を制御するための能力、及び抗生物質マーカーなどのベクターによりコードされる任意の他のタンパク質の発現も考慮されるべきである。
【0112】
組換え核酸は、クローンされた遺伝子、またはその一部分を、原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫または哺乳動物)、またはその両方のいずれかの発現に好適なベクターに連結することによって生成することができる。組換えActRIIBポリペプチドの生成のための発現ビヒクルには、プラスミド及び他のベクターが含まれる。例えば、好適なベクターとしては、これらの種のプラスミド:pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、及びE.coliなどの原核細胞中の発現用のpUC由来プラスミドが挙げられる。
【0113】
一部の哺乳動物発現ベクターは、細菌中のベクターの伝搬を容易にするための原核細胞配列、及び真核細胞中で発現される1つ以上の真核細胞転写ユニットの両方を含有する。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neo及びpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに好適な哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターのうちのいくつかは、原核細胞及び真核細胞の両方での複製及び薬物耐性選択を容易にするために、pBR322などの細菌プラスミドからの配列で修飾されている。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV-1)、またはエプスタイン・バールウイルス(pHEBo、pREP由来及びp205)などのウイルスの派生物は、真核細胞中でのタンパク質の一過性発現に使用することができる。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、以下の遺伝子療法送達系の説明で見出すことができる。プラスミドの調製及び宿主生物の形質転換で使用される様々な方法は、当該技術分野において周知である。原核細胞及び真核細胞の両方のための他の好適な発現系、ならびに一般的な組換え手順については、Molecular Cloning A Laboratory Manual,3rd Ed.,ed.Sambrook,Fritsch and Maniatis (Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001)を参照されたい。場合によっては、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現することが望ましいこともある。このようなバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来のベクター(pVL1392、pVL1393及びpVL941)、pAcUW由来のベクター(pAcUW1など)、及びpBlueBac由来のベクター(ベータ-gal含有pBlueBac IIIなど)が挙げられる。
【0114】
一実施形態では、ベクターは、CHO細胞中での本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドの生成のため設計することができ、例えば、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene,La Jolla,Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen,Carlsbad,Calif.)及びpCI-neoベクター(Promega,Madison,Wis.)である。明らかなように、対象の遺伝子構築物は、例えば、精製のための、融合タンパク質または多様体タンパク質を含むタンパク質を生成するために、培養で増殖した細胞中での対象のActRIIBポリペプチドの発現を引き起こすために使用することができる。
【0115】
対象のActRIIBポリペプチドのうちの1つ以上についてのコード配列(例えば、配列番号6もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(例えば、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸))は、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するために好適なActRIIBポリペプチドを生成するために使用することができる。ホスト細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であってもよい。例えば、ActRIIBポリペプチドは、E.coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用して)、酵母、または哺乳動物細胞中で発現されてもよい。他の好適な宿主細胞は、当業者に既知である。
【0116】
したがって、本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドを生成する方法が、本明細書に提供される。例えば、ActRIIBポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞は、ActRIIBポリペプチドの発現を可能にする適切な条件下で培養することができる。ActRIIBポリペプチドは、分泌され、細胞とActRIIBポリペプチドを含有する培地の混合物から単離することができる。あるいは、ActRIIBポリペプチドは、細胞質で、または膜画分中に保持され、細胞が採取され、溶解されてタンパク質が単離され得る。細胞培養物は、宿主細胞、培地及び他の副産物を含む。細胞培養に好適な培地は、当該技術分野において周知である。対象のActRIIBポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、ActRIIBポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を用いる免疫親和性精製、及びActRIIBポリペプチドに融合したドメインに結合する薬剤を用いる親和性精製(例えば、プロテインAカラムを使用して、ActRIIB-Fc融合を精製することができる)を含む、タンパク質を精製するための当該技術分野において既知の技法を使用して、細胞培養培地、宿主細胞、またはこれらの両方から単離することができる。好ましい実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、その精製を容易にするドメインを含有する融合タンパク質である。好ましい実施形態では、精製は、例えば、以下の:任意の順序で、プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、及びカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つ以上を含む一連のカラムクロマトグラフィー工程によって達成される。精製は、ウイルス濾過及び緩衝液交換により完了することができる。本明細書で実証されたように、ActRIIB-hFcタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーで決定されるとき、>98%の純度まで、及びSDS PAGEで決定されるとき、>95%の純度まで精製される。この純度のレベルは、マウスでの骨に対する所望の効果、及びマウス、ラットならびに非ヒト霊長類での許容できる安全性プロファイルを達成するのに十分なものであった。
【0117】
別の実施形態では、組換えActRIIBポリペプチドの所望の部分のN末端におけるポリ-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などの精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を使用する親和性クロマトグラフィーによる発現された融合タンパク質の精製を可能にする。次いで、精製リーダー配列は、エンテロキナーゼによる処理でその後除去され、精製ActRIIBポリペプチドを提供する(例えばHochuli et al.,(1987)J.Chromatography 411:177;及びJanknecht et al.,PNAS USA 88:8972を参照されたい)。
【0118】
融合遺伝子を作製するための技法は、周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする様々なDNA断片の接合は、ライゲーションのための平滑端またはジグザグ端の末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じての粘着末端の埋め込み、望ましくない接合を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、及び酵素ライゲーションを使用する従来の技法に従って実施される。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動DNAシンセサイザーを含む従来の技法により合成することができる。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅は、2つの連続した遺伝子断片間の相補的オーバーハングを生じさせるアンカープライマーを使用して実行し、その後、アニールされて、キメラ遺伝子配列を産生することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubel et al.,John Wiley & Sons:1992を参照されたい)。
【0119】
ActRIIB-Fc融合タンパク質は、配列番号2の組織プラスミノーゲンリーダー配列を使用して、pAID4ベクター(SV40 ori/エンハンサー、CMVプロモーター)から安定してトランスフェクトされたCHO-DUKX Bl1細胞で発現することができる。Fc部分は、配列番号1に示されるように、ヒトIgG1 Fc配列を含むことができる。ある特定の実施形態では、発現時に、含まれるタンパク質は、ActRIIB-Fc融合タンパク質の分子当たり、平均で約1.5~2.5モルのシアル酸を有する。
【0120】
ある特定の実施形態では、ActRIIB-Fc融合タンパク質の長い血清半減期は、ヒト対象において、25~32日であり得る。さらに、CHO細胞発現物質は、ヒト293細胞中で発現されたActRIIB-hFc融合タンパク質について報告されたものよりもアクチビンBに対してより高い親和性を有し得る(del Re et al.,J BiolChem.2004Dec 17;279(51):53126-35)。さらに、理論に束縛されるものではないが、TPAリーダー配列の使用は、他のリーダー配列よりも大きな生成をもたらし、天然のリーダー配列で発現されたActRIIB-Fcとは異なり、非常に純粋なN末端配列を提供することができる。天然のリーダー配列の使用は、それぞれが異なるN末端配列を有する、ActRIIB-Fcの2つの主要な種をもたらし得る。
【0121】
ある好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである(医薬品国際一般的名称(International Nonproprietary Names for Pharmaceutical Substances(INN))、WHO Drug Information,Vol.27,No.4,2013,Proposed INN:List 110-458,422を参照されたい)。
【0122】
5.5 組成物
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、本明細書に記載の方法で使用するために、薬学的に許容される担体と共に製剤化される。例えば、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、単独で、または医薬製剤(治療用組成物)の成分として投与することができる。対象の化合物は、ヒト向けまたは動物向けの医薬品で使用するための任意の従来の方法での投与用に製剤化され得る。
【0123】
好ましい実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬は、皮下投与用に製剤化される。
【0124】
別の好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、無菌の防腐剤フリーの凍結乾燥粉末またはケークとして容器内に包装される。ある特定の実施形態では、容器は、25mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む。ある特定の実施形態では、25mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む容器は、合計で37.5mgのタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、25mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む容器内のActRIIBシグナル伝達阻害薬は、0.68mLの注射用水で再構成される。ある特定の実施形態では、容器は、75mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む。ある特定の実施形態では、75mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む容器は、合計で87.5mgのタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、75mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む容器内のActRIIBシグナル伝達阻害薬は、1.6mLの注射用水で再構成される。ある特定の実施形態では、容器内のActRIIBシグナル伝達阻害薬は、注射用水中の再構成されたActRIIBシグナル伝達阻害薬の最終濃度がおよそ6.5のpHで50mg/mLであるような水の容量で再構成される。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に再構成後10時間以内に投与される。ある特定の実施形態では、容器は、10mMのクエン酸緩衝液ベースの溶液中に50mg/mLの濃度でActRIIBシグナル伝達阻害薬を含み、10mMのクエン酸緩衝液ベースの溶液は、10mMのクエン酸塩、pH6.5、9%のスクロース、及び0.02%のポリソルベート80を含む。ある特定の実施形態において、容器は、2℃~8℃で保管される。ある特定の実施形態では、容器は、2℃~8℃で18ヶ月間保存される。ある特定の実施形態では、容器は、灰色ブチルコーティングが施されたストッパーを備えた3mLのガラスバイアルである。ある特定の実施形態では、容器は、灰色ゴムストッパーを備えた3mLのガラスバイアルである。ある特定の実施形態では、ゴムストッパーは、着色プラスチックボタンを備えた圧着アルミニウムフリップキャップで定位置に固定される。ある特定の実施形態では、3mLのガラスバイアルは、25mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含み、着色プラスチックボタンは赤色である。ある特定の実施形態では、3mLのガラスバイアルは、75mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含み、着色プラスチックボタンは白色である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
【0125】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、無菌の防腐剤フリーの凍結乾燥粉末またはケークとして容器内に包装される。具体的な実施形態では、容器は、10mMのクエン酸緩衝液、pH6.5中に50mg/mLのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む。具体的な実施形態では、容器は、56mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬、0.19mgのクエン酸一水和物、3.03mgのクエン酸三ナトリウム無水物、0.24mgのポリソルベート80、及び100.80mgのスクロースを含む。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
【0126】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される治療方法は、組成物(ActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む)を全身投与するか、またはインプラントもしくはデバイスとして局所投与することを含む。投与される場合、本明細書に提供される使用のための治療用組成物は、パイロジェンフリーの生理学的に許容される形態である。任意に上記の組成物中に含まれてもよいActRIIBシグナル伝達阻害薬以外の治療的に有用な薬剤は、対象の化合物(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIBポリペプチドなどのActRIIポリペプチド)と同時にまたは逐次的に投与されてもよい。
【0127】
典型的には、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、非経口投与されるであろう。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、皮下投与されるであろう。非経口投与に好適な医薬組成物は、1つ以上のActRIIBポリペプチドを、1つ以上の薬学的に許容される滅菌等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、あるいは使用の直前に滅菌注射可能な溶液もしくは分散液に再構成され得る滅菌粉末と組み合わせて含むことができ、医薬組成物は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、製剤を対象レシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含んでもよい。本明細書に記載の方法で使用するための医薬組成物において使用され得る好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの好適な混合物、オリーブ油等の植物油、ならびにオレイン酸エチル等の注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合は必要な粒径の維持により、かつ表面活性剤の使用により、維持することができる。
【0128】
本明細書に記載の組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントを含むことができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸など、を含めることによって確保することができる。糖、塩化ナトリウムなどのような等張剤を組成物に含有させることもまた、望ましいことであり得る。加えて、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤の含有によってもたらすことができる。
【0129】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、医薬組成物中で実質的に純粋である。具体的には、医薬組成物中の化合物の最大で20%、10%、5%、2.5%、1%、0.1%、または最大で0.05%は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬以外の化合物及び薬学的に許容される担体である。
【0130】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、本明細書に提供される方法に従って、室温で患者に投与される。
【0131】
5.6 投与の用量及び経路
本明細書に記載の治療の方法(例えば、セクション5.2を参照されたい)と関連付けて対象に投与するための、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量も本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、用量は、薬学的有効用量である。
【0132】
ある特定の実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の1つ以上の症状を軽減または緩和するのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の少なくとも1つの症状が悪化するのを予防するのに十分な用量である。骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の非限定的な例としては、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または骨痛が挙げられる。
【0133】
ある特定の実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症によって引き起こされるか、またはこれに関連する貧血の1つ以上の症状を軽減または緩和するのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、貧血の少なくとも1つの症状が悪化するのを予防するのに十分な用量である。貧血の非限定的な例としては、疲労、エネルギー損失、頻拍、息切れ、頭痛、集中力欠如、めまい、蒼白、下肢痙攣、及び不眠症が挙げられる。
【0134】
ある特定の実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、貧血の1つ以上の症状及び骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の1つ以上の症状を軽減または緩和するのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、貧血の少なくとも1つの症状が悪化するのを予防し、かつ骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の少なくとも1つの症状が悪化するのを予防するのに十分な用量である。貧血の非限定的な例としては、疲労、エネルギー損失、頻拍、息切れ、頭痛、集中力欠如、めまい、蒼白、下肢痙攣、及び不眠症が挙げられる。骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の非限定的な例としては、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または骨痛が挙げられる。
【0135】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、0.2mg/kg以上の血清濃度、例えば、1mg/kgまたは2mg/kg以上の血清濃度を達成するのに十分な間隔及び量で投与される。投与レジメンは、0.2~15mg/kg、及び任意に1~5mg/kgの血清濃度に達するように設計することができる。ヒトでは、0.1mg/kg以上の単回用量で、0.2mg/kgの血清濃度を達成することができ、0.3mg/kgの単回用量で1mg/kgの血清濃度を達成することができる。分子の観察された血清半減期は、大部分のFc融合タンパク質よりも実質的に長い約20~30日であり、したがって、例えば、0.2~0.4mg/kgを週1回の頻度でまたは2週間に1回の頻度で投与することによって、持続的に有効な血清レベルを達成することができ、またはより高い用量を投与間のより長い間隔で使用してもよい。例えば、1~3mg/kgの用量を、1ヶ月に1回または2ヶ月に1回の頻度で使用することもでき、骨に及ぼす効果が、投与が3、4、5、6、9、12ヶ月、またはそれ以上毎に1回の投与だけが必要であるように十分に持続的であり得る。ActRIIBシグナル伝達阻害薬の血清レベルは、当業者に既知の任意の手段によって測定することができる。例えば、ActRIIBシグナル伝達阻害薬に対する抗体は、例えば、ELISAを使用してActRIIBシグナル伝達阻害薬の血清レベルを決定するために用いることができる。具体的な実施形態では、本明細書に提供される方法は、骨密度及び強度に著しい効果も達成する。
【0136】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.45mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、0.75mg/kg、約0.8mg/kg、約1.0mg/kg、約1.25mg/kg、約1.33mg/kg、約1.5mg/kg、約1.75mg/kg、約2.0mg/kg、または約2.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.1mg/kg~2.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.1mg/kg~1mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.3mg/kg~1.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.5mg/kg~1.5mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.1mg/kg~2.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kg~2.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.75mg/kg~1.0mg/kg、1.0mg/kg~1.25mg/kg、1.25mg/kg~1.5mg/kg、1.5mg/kg~1.75mg/kg、または1.75mg/kg~2.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、薬学的有効用量である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.45mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.8mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.75mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、2.00mg/kgである。本明細書に提供される用量(例えば、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量または第2の活性薬剤の用量)と関連して使用される場合、「約」という単語は、参照された数値の1、5、または10%内の任意の数値を指す。
【0137】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、薬学的有効用量である。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.45mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、0.75mg/kg、約0.8mg/kg、約1.0mg/kg、約1.25mg/kg、約1.33mg/kg、約1.5mg/kg、約1.75mg/kg、約2.0mg/kg、または約2.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、0.1mg/kg~2.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、0.1mg/kg~1mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、0.3mg/kg~1.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、0.5mg/kg~1.5mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、0.1mg/kg~2.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、0.33mg/kg~2.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、0.75mg/kg~1.0mg/kg、1.0mg/kg~1.25mg/kg、1.25mg/kg~1.5mg/kg、1.5mg/kg~1.75mg/kg、または1.75mg/kg~2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.45mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.8mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.75mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、2.00mg/kgである。
【0138】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインにおける対象のヘモグロビン
のレベルと比べて、対象のヘモグロビンのレベルを増加させるのに十分な用量である。対象のヘモグロビンのレベルの増加の評価に関して、「ベースライン」とは、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の対象への初回投与直前の時間を指す。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後に、ベースラインでの対象のヘモグロビンのレベルと比較して、任意の連続した84日の期間にわたって、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、対象のヘモグロビンのレベルを増加させるのに十分な用量であり、この対象は、連続した84日の期間中に0単位の赤血球単位を輸血されていた。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後に、ベースラインでの対象のヘモグロビンのレベルと比較して、任意の連続した84日の期間にわたって、最大で5%、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%、または最大で100%、対象のヘモグロビンのレベルを増加させるのに十分な用量であり、この対象は、連続した84日の期間中に0単位の赤血球単位を輸血されていた。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後に、ベースラインでの対象のヘモグロビンのレベルと比較して、任意の連続した84日の期間にわたって、少なくとも1.5g/dL、少なくとも1.8g/dL、少なくとも2.0g/dL、少なくとも2.2g/dL、少なくとも2.4g/dL、少なくとも2.6g/dL、少なくとも2.8g/dL、少なくとも3.0g/dL、少なくとも3.2g/dL、少なくとも3.4g/dL、少なくとも3.6g/dL、少なくとも3.8g/dL、少なくとも4.0g/dL、少なくとも5.0g/dL、または少なくとも6.0g/dL、ヘモグロビンのレベルを増加させるのに十分な用量であり、この対象は、連続した84日の期間中に0単位の赤血球単位を輸血されていた。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後に、ベースラインでの対象のヘモグロビンのレベルと比較して、任意の連続した84日の期間にわたって、最大で1.5g/dL、最大で1.8g/dL、最大で2.0g/dL、最大で2.2g/dL、最大で2.4g/dL、最大で2.6g/dL、最大で2.8g/dL、最大で3.0g/dL、最大で3.2g/dL、最大で3.4g/dL、最大で3.6g/dL、最大で3.8g/dL、最大で4.0g/dL、最大で5.0g/dL、または最大で6.0g/dL、対象のヘモグロビンのレベルを増加させるのに十分な用量であり、この対象は、連続した84日の期間中に0単位の赤血球単位を輸血されていた。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の投与後、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、または少なくとも48ヶ月間、対象のヘモグロビンレベルの増加をもたらすのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の投与後無期限に、対象のヘモグロビンレベルの増加をもたらすのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kg~2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.45mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.8mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.75mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、2.00mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。
【0139】
対象が赤血球輸血依存性である、ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後に、任意の連続した84日の期間にわたって、対象の赤血球輸血非依存性をもたらすのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、対象が、任意の連続した60日、61日、62日、63日、64日、65日、66日、67日、68日、69日、70日、71日、72日、73日、74日、75日、76日、77日、78日、79日、80日、81日、82日、83日、84日、85日、86日、87日、88日、89日、または90日の期間中に、0の赤血球単位を受容している場合、対象は赤血球輸血非依存性である。ある特定の実施形態では、対象が、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の対象への初回投与前に、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の投与後、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、または少なくとも48ヶ月間、対象の赤血球輸血非依存性をもたらすのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の投与後無期限に、対象の赤血球輸血非依存性をもたらすのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kg~2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.45mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.8mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.75mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、2.00mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。
【0140】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインにおける対象の赤血球輸血の頻度と比べて、対象の赤血球輸血の頻度を減少させるのに十分な用量である。対象の赤血球輸血の頻度の減少の評価に関して、「ベースライン」とは、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の対象への初回投与直前の時間を指す。対象の赤血球輸血の頻度における減少を、ベースラインでの対象の赤血球輸血の頻度と比べて評価するために、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後、4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数を、ベースラインで4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数と比較する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインで4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数と比べて、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後、4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%、低減させるのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインで4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数と比べて、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後、4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数を、最大で10%、最大で20%、最大で30%、最大で40%、最大で50%、最大で60%、最大で70%、最大で80%、最大で90%、または最大で100%、低減させるのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインで4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数と比べて、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後、4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数を、少なくとも1単位、少なくとも2単位、少なくとも3単位、少なくとも4単位、少なくとも5単位、少なくとも6単位、少なくとも7単位、または少なくとも8単位、低減させるのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインで4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数と比べて、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後、4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数を、最大で1単位、最大で2単位、最大で3単位、最大で4単位、最大で5単位、最大で6単位、最大で7単位、または最大で8単位、低減させるのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、1RBC単位は、約150mL、200mL、250mL、300mL、350mL、100~200mL、150~250mL、200~300mL、250~300mL、または250~350mLのRBCである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kg~2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.45mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.8mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.75mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、2.00mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。
【0141】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインでの対象の輸血負荷と比べて、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後の任意の期間にわたって、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、対象の輸血負荷を減少させるのに十分な用量である。対象の輸血負荷の減少の評価に関して、「ベースライン」とは、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の対象への初回投与直前の時間を指す。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインでの対象の輸血負荷と比べて、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後の任意の期間にわたって、最大で5%、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%、または最大で100%、対象の輸血負荷を減少させるのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、対象の輸血負荷が減少される期間は、少なくとも4週、少なくとも5週、少なくとも6週、少なくとも7週、少なくとも8週、少なくとも9週、少なくとも10週、少なくとも11週、または少なくとも12週である。ある特定の実施形態では、対象の輸血負荷が減少される期間は、12週(すなわち、84日)である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインでの対象の輸血負荷と比べて、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後の任意の連続した84日の期間にわたって、少なくとも50%、対象の輸血負荷を減少させるのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の投与後、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、または少なくとも48ヶ月間、対象の輸血負荷を減少させるのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の投与後無期限に、対象の輸血負荷を減少させるのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kg~2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.45mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.8mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.75mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、2.00mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。
【0142】
ある特定の実施形態では、貧血応答が測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それがヘモグロビン(Hgb)の増加に関連しているとき、例えば、RBC輸血なしに任意の連続した84日の期間にわたって、ベースラインからの≧1.5g/dLのヘモグロビンの増加を達成する対象の(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)比率に関連しているときに、測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それが赤血球(RBC)輸血の非依存性に関連しているとき、例えば、任意の連続した84日の期間にわたって、RBC輸血を受けないようになる対象の(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)比率に関連しているときに、測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それが貧血応答までの時間に関連しているとき、例えば、ルスパテルセプトの初回投与から貧血応答の最初の発症までの時間(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)関連しているときに、測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それが貧血応答の持続時間に関連しているとき、例えば、対象での(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)貧血応答の最長持続時間に関連しているときに、測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それがRBC輸血の頻度に関連しているとき、例えば、4週当たりの対象ごとの(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)輸血されたRBC単位の平均数に関連しているときに、測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それがRBC輸血依存性の頻度に関連しているとき、例えば、任意の連続した84日の期間にわたって、ベースラインから≧50%の対象の輸血負荷を低減させるRBC輸血依存性対象の(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)比率に関連しているときに、測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それが改訂骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(Modified Myeloproliferative Neoplasm Symptom Assessment Form(MPN-SAF))により記録され評価されたとき、疲労症状の軽減を達成する対象の(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象において、例えば、MPN-SAFで測定された疲労症状の≧50%の軽減を達成する対象において)比率に関連しているときに測定され(Emanual et al.,“Myeloproliferative Neoplasm (MPN) Symptom Assessment Form Total Symptom Score:Prospective International Assessment of an Abbreviated Symptom Burden Scoring System Among Patients With MPNs,”J.Clin.Oncol.30(33):4098-4103(2012)を参照されたい)、MPN-SAFは、例えば、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、及び骨痛を測定する。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それが改訂骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(MPN-SAF)により記録され評価されたとき、総症状スコア(TSS)の≧50%を達成する対象の(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)比率に関連しているときに測定され(Emanual et al.,“Myeloproliferative Neoplasm (MPN) Symptom Assessment Form Total Symptom Score:Prospective International Assessment of an Abbreviated Symptom Burden Scoring System Among Patients With MPNs,”J.Clin.Oncol.30(33):4098-4103(2012)を参照されたい)、MPN-SAFは、例えば、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、及び骨痛を測定する。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それが健康に関連する生活の質(HRQoL)尺度に関連しているとき、例えば、ベースラインスコアと比較されたHRQoLアンケートドメインスコアにおける尺度平均変化(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)に関連しているときに測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それがEQ-5D-5Lアンケートスコア(EuroQol,Rotterdam,The Netherlands)に関連しているとき、例えば、ベースラインスコアと比較されたEQ-5D-5Lアンケートドメインスコアにおける尺度平均変化(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)に関連しているときに測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それが、有害事象(AE)に関連しているとき、例えば、有害事象の種類、頻度、及び重症度(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)に関連しているときに測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、抗薬物抗体(ADA)を使用して測定される(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象における抗薬物抗体の頻度及び有効性、安全性または薬物動態に及ぼす効果)。いくつかの実施形態では、貧血応答は、薬物動態パラメータ、例えば、血漿濃度-時間曲線、薬物濃度曲線下面積(AUC)、Cmax(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象についての)を使用して測定される。
【0143】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、注射を介して投与される。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、皮下投与される。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、3週ごとに1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。
【0144】
アッセイ
様々なActRIIBポリペプチド多様体、または可溶性ActRIIBポリペプチド多様体を、それらのActRIIBシグナル伝達を阻害する能力について試験することができる。加えて、化合物を、それらのActRIIBシグナル伝達を阻害する能力について試験することができる。ActRIIBシグナル伝達の阻害薬の活性が確認されれば、これらの化合物は、本明細書に提供される方法で使用することができる。以下のアッセイは、ActRIIAについて記載されているが、ActRIIBについても同様に実行することができる。
【0145】
例えば、骨の生成及び骨の破壊に関与するActRIIAポリペプチド多様体の遺伝子の発現に及ぼす効果が評価されてもよい。これは、必要に応じて、1つ以上の組換えActRIIAリガンドタンパク質(例えば、アクチビン)の存在下で実行されてもよく、細胞は、ActRIIAポリペプチド及び/またはその多様体、ならびに任意にActRIIAリガンドを生成するようにトランスフェクトされ得る。同様に、ActRIIAポリペプチドは、マウスまたは他の動物に投与されてもよく、1つ以上の骨特性、例えば、密度または体積を評価することができる。骨折の治癒率も、評価されてもよい。二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)は、動物の骨密度を評価するための十分に確立された、非侵襲的な定量的な技法である。ヒトでは、躯幹骨DEXAシステムを使用して、脊椎及び骨盤の骨密度を評価することができる。これらは、全体的な骨密度についての最高の予測因子である。末梢骨DEXAシステムは、例えば、手、手首、足首及び足の骨を含む末梢骨の骨密度を評価するために使用することができる。CATスキャンを含む従来のX線殺像システムを使用して、骨成長及び骨折治癒を評価してもよい。加えて、骨密度は、定量的コンピュータ断層撮影法(qCT)を使用して測定することが可能である。骨の機械的強度も評価されてもよい。
【0146】
ある特定の態様では、ActRIIAポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIAポリペプチド)及びアクチビンポリペプチドの、アクチビン-ActRIIAシグナル伝達経路の作動薬または拮抗薬である化合物(薬剤)を特定するための使用が、本明細書に提供される。このスクリーニングを通して特定された化合物は、それらのインビトロでの骨成長またはミネラル化を調節するための能力を評価するために試験することができる。任意に、これらの化合物は、それらのインビボでの組織増殖を調節する能力を評価するために、動物モデルでさらに試験することができる。
【0147】
アクチビン及びActRIIAポリペプチドを標的化することにより、組織増殖を調節するための治療薬をスクリーニングするための多くのアプローチがある。ある特定の実施形態では、化合物のハイスループットスクリーニングを実行して、骨へのアクチビンまたはActRIIA媒介作用を攪乱させる薬剤を特定することができる。ある特定の実施形態では、アッセイを行って、ActRIIAポリペプチドのアクチビンへの結合を特異的に阻害するか、または低減させる化合物を特定する。あるいは、アッセイを使用して、ActRIIAポリペプチドのアクチビンへの結合を増強させる化合物を特定することができる。さらなる実施形態では、化合物は、それらのアクチビンまたはActRIIAポリペプチドと相互作用する能力によって、特定することができる。
【0148】
本開示の観点から、様々なアッセイ形式が満足させるものであり、本明細書に明示的に説明されていないものであっても、当業者であれば理解されるであろう。本明細書で記載される場合、本明細書で使用される試験化合物(薬剤)は、任意のコンビナトリアルケミストリーの方法により作り出すことができる。あるいは、対象の化合物は、インビボまたはインビトロで合成された天然型生体分子であってもよい。組織増殖の調節因子として作用するためのそれらの能力が試験される化合物(薬剤)は、例えば、化学的に生成された(例えば、ペプチド模倣薬を含む小分子)、または組換え的に生成された、細菌、酵母、植物、または他の生物(例えば、天然物)によって生成され得る。本明細書で企図される試験化合物としては、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣薬、糖、ホルモン、及び核酸分子が挙げられる。具体的な実施形態では、試験薬剤は、約2,000ダルトン未満の分子量を有する有機小分子である。
【0149】
試験化合物は、単一の個別の実体として提供され得るか、またはコンビナトリアルケミストリーによって作製されたような、より複雑なライブラリで提供され得る。これらのライブラリは、例えば、アルコール、アルキルハロゲン化物、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテル、及び他の部類の有機化合物を含むことができる。試験化合物の試験システムへの提示は、特に初期スクリーニング工程で、化合物の単離形態または混合物としてのいずれかであり得る。任意に、化合物は、他の化合物で誘導体化されてもよく、化合物の単離を容易にする誘導体化基を有する。誘導体化基の非限定的な例としては、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、アイソトープ、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光活性化架橋剤、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0150】
化合物及び天然抽出物のライブラリを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムでは、所与の期間での検査される化合物の数を最大化するために、ハイスループットアッセイが望ましい。精製タンパク質または半精製タンパク質で誘導体化され得るものなどの無細胞系で実施されるアッセイは、多くの場合、これらが試験化合物によって媒介される分子標的中の改変の迅速な発生及び比較的容易な検出を可能にするように産生され得るという点で、「一次」スクリーニングとして好ましい。さらに、試験化合物の細胞毒性または生物学的利用能の効果は、一般的に、インビトロ系では無視することができ、ActRIIAポリペプチドとアクチビンとの間の結合親和性の改変で明らかであり得るために、アッセイは、代わりに、薬物の分子標的に及ぼす効果に主として焦点が当てられる。
【0151】
例示にすぎないが、例示的なスクリーニングアッセイでは、対象とする化合物を、通常、アクチビンに結合することができる単離し精製されたActRIIAポリペプチドと接触させる。次いで、化合物とActRIIAポリペプチドとの混合物に、ActRIIAリガンドを含有する組成物が添加される。ActRIIA/アクチビン複合体の検出及び定量化は、ActRIIAポリペプチドとアクチビンとの間の複合体形成を阻害する(または増強する)ことに関する化合物の有効性を判定するための手段を提供する。化合物の有効性は、様々な濃度の試験化合物を使用して得られたデータから用量反応曲線を作成することによって評価することができる。さらに、対照アッセイも、比較のためのベースラインを提供するために実施することができる。例えば、対照アッセイでは、単離され精製されたアクチビンを、ActRIIAポリペプチドを含有する組成物に添加し、ActRIIA/アクチビン複合体の形成を、試験化合物の非存在下で定量化する。一般的に、反応体が混合され得る順序は様々であってもよく、同時に混合することも可能であることを理解されたい。さらに、精製タンパク質に代えて、細胞抽出物及び細胞溶解物を使用して、好適な無細胞系にしてもよい。
【0152】
ActRIIAポリペプチドとアクチビンとの間の複合体形成は、様々な技法によって検出されてもよい。例えば、複合体の形成の調節は、例えば、放射標識された(例えば、32P、35S、14Cまたは3H)、蛍光標識された(例えば、FITC)、または酵素標識されたActRIIAポリペプチドもしくはアクチビンなどの検出可能に標識されたタンパク質を用いて、免疫アッセイによって、またはクロマトグラフィーによる検出によって定量化することができる。
【0153】
ある特定の実施形態では、ActRIIAポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用の程度の直接的または間接的のいずれかでの測定における蛍光偏光アッセイ及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイの使用が本明細書で企図される。さらに、光導波路(PCT公開第WO96/26432号及び米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサー、及び表面力センサーに基づくものなどの他の検出モードは、本明細書に記載の多くの実施形態と適合性がある。
【0154】
さらに、「ツーハイブリッドアッセイ」としても知られる相互作用トラップアッセイは、ActRIIAポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用を攪乱するか、または増強する薬剤を特定するために使用することができる。例えば、米国特許第5,283,317号、ZERVOS et al.(1993) Cell 72:223-232、Madura et al.(1993) J Biol Chem 268:12046-12054、Bartel et al.(1993) Biotechniques 14:920-924、及びIwabuchi et al.(1993) Oncogene 8:1693-1696)を参照されたい。具体的な実施形態では、ActRIIAポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用を解離する化合物(例えば、小分子またはペプチド)を特定するための逆ツーハイブリッドシステムの使用が本明細書で企図される。例えば、Vidal and Legrain,(1999)Nucleic Acids Res 27:919-29、Vidal and Legrain,(1999)Trends Biotechnol 17:374-81、及び米国特許第5,525,490号、同第5,955,280号、ならびに同第5,965,368号を参照されたい。
【0155】
ある特定の実施形態では、対象の化合物は、ActRIIAもしくはアクチビンポリペプチドと相互作用するためのそれらの能力によって特定される。化合物とActRIIAもしくはアクチビンポリペプチドとの間の相互作用は、共有結合性または非共有結合性であってもよい。例えば、このような相互作用は、光架橋、放射標識リガンド結合、及び親和性クロマトグラフィーを含む、インビトロ生化学的方法を使用してタンパク質レベルで特定することができる(Jakoby W B et al.,1974,Methods in Enzymology 46:1)。ある特定の場合には、化合物は、アクチビンもしくはActRIIAポリペプチドに結合する化合物を検出するためのアッセイなどのメカニズムベースのアッセイでスクリーニングされてもよい。これは、固相または流体相結合事象を含み得る。あるいは、アクチビンもしくはActRIIAポリペプチドをコードする遺伝子は、レポーター系(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質)で細胞中にトランスフェクトされ、好ましくはハイスループットスクリーニングによりライブラリに対して、またはライブラリ個々のメンバーでスクリーニングされ得る。例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイなどの他のメカニズムベースの結合アッセイが使用されてもよい。結合アッセイは、ウェル、ビーズまたはチップに固定された標的、または固定化抗体によって捕捉されるか、もしくはキャピラリー電気泳動によって分離された標的で実施することができる。結合化合物は、通常、比色法または蛍光法または表面プラズモン共鳴を使用して検出され得る。
【実施例】
【0156】
6.実施例
6.1 実施例1:赤血球輸血依存性の有無による骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症及び貧血を有する対象におけるルスパテルセプトの有効性及び安全性を評価するための第2相、多施設、非盲検試験
この実施例は、赤血球輸血依存性の有無による骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症及び貧血を有する対象におけるルスパテルセプト、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を評価するための第2相、多施設、非盲検試験に関するものである。本試験は、スクリーニング期間、治療期間(第1相、169日目の疾患応答評価及び延長相からなる)、続いて治療後追跡調査期間に分割される。この第2相試験の目的は、無効な赤血球形成を修正し、それにより貧血、すなわち、ほぼすべてのMPN関連MF患者で発症する病態(ここでは疲労が症状である)を軽減させることによる、ルスパテルセプトによる有効性シグナルが、貧血であり、RBC輸血依存性であり得るか、またはそうではないMPN関連MFを有する患者においてあるかどうかを評価することである。
【0157】
対象は、彼らの適格基準に基づいて、以下のコホート(同時に登録される)のうちの1つの割り当てられる:(I)コホート1:現在RBC輸血を受けていない、貧血のみを有する最高で20人の対象を含む(これらの対象は、本実施例全体を通して「貧血のみ」と称され、サイクル1、1日目(C1D1)の日時の直前まで0RBC単位/84日を受容したと定義される)、(II)コホート2:RBC輸血依存性である最高で20人の対象を含む(これらの対象は、本実施例全体を通して「RBC輸血依存性」と称され、C1D1の日時の直前までの少なくとも84日間に、2~4 RBC単位/28日の平均RBC輸血頻度を受けたと定義された)、(III)コホート3A:コホート1(貧血のみ)の適格基準を満たすが、登録日時の直前少なくとも112日間、ルキソリチニブの安定用量を受けていた≧10人の対象を含み(コホート3は、合計で30人の対象を含む)、及び(IV)コホート3B:コホート2(RBC輸血依存性)の適格基準を満たすが、登録日時の直前少なくとも112日間、ルキソリチニブの安定用量を受けていた≧10人の対象を含む(コホート3は、合計で30人の対象を含む)。全体として、本試験は、世界中でおよそ70人の対象が登録するであろう。
【0158】
6.1.1 主要評価項目
以下は、第2相試験についての主要評価項目である:(i)貧血応答(それがヘモグロビン(Hgb)の増加に関連するときの)(RBC輸血なしの任意の連続した84日の期間にわたって、ベースラインからの≧1.5g/dLのヘモグロビンの増加を達成するコホート1及び3Aの対象の比率であり;測定の時間枠は、およそ最長で168日である)、(ii)貧血応答(それが赤血球(RBC)輸血依存性の増加に関連するときの)(任意の連続した84日の期間にわたって、RBC輸血フリーになるコホート2及び3Bの対象の比率であり;測定の時間枠は、およそ最長で168日である)、(iii)貧血応答までの時間(コホートのそれぞれにおける初回ルスパテルセプトの投与から貧血応答の最初の発症までの時間であり;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(iv)貧血応答の持続時間(コホートのそれぞれにおける貧血応答の最長持続時間であり;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(v)RBC輸血の頻度(4週当たりの対象ごとの輸血されたRBC単位の平均数であり;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(vi)RBC輸血依存性の頻度(任意の連続した84日の期間にわたってベースラインから≧50%の対象の輸血負荷を低減させるRBC輸血依存性対象の比率であり;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(vii)改訂骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(MPN-SAF)により記録され評価されたとき、貧血を有する骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の患者の間で共通の症状である疲労症状の≧50%の軽減を達成する対象の比率(Emanual et al.,“Myeloproliferative Neoplasm(MPN)Symptom Assessment Form Total Symptom Score:Prospective International Assessment of an Abbreviated Symptom Burden Scoring System Among Patients With MPNs,”J.Clin.Oncol.30(33):4098-4103(2012)を参照されたい;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(viii)総症状スコア(TSS)の≧50%を達成する対象の比率。改訂骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(MPN-SAF)により記録され評価されたとき、骨髄増殖性腫瘍(MPN)関連骨髄線維症関連症状(疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、及び骨痛)(Emanual et al.,“Myeloproliferative Neoplasm (MPN) Symptom Assessment Form Total Symptom Score:Prospective International Assessment of an Abbreviated Symptom Burden Scoring System Among Patients With MPNs,”J.Clin.Oncol.30(33):4098-4103(2012)を参照されたい)、(ix)健康関連生活の質(HRQoL):試験にわたるHRQoLアンケートドメインの平均変化の測定値が、ベースラインスコアと比較される(測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(x)EQ-5D-5Lアンケート(EuroQol,Rotterdam,The Netherlands):試験にわたるEQ-5D-5Lアンケートドメインスコアにおける尺度平均変化が、ベースラインスコアと比較される(測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(xi)有害事象(AE)(種類、頻度、及び重症度を含むものが評価される;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(xii)抗薬物抗体(ADA)(抗薬物抗体の頻度及び有効性、安全性または薬物動態に及ぼす効果;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(xiii)薬物動態(薬物濃度曲線下面積(AUC)及びCmax;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、及び(xiv)がん療法-貧血の機能的評価(FACT-An):試験にわたるFACT-Anアンケートドメインスコアの平均変化の測定値が、ベースラインスコアと比較される(測定の時間枠は、およそ最長で2年である)。
【0159】
6.1.2 選択基準
対象は、本試験で登録されるために、本セクションの基準を満たさねばならず(登録日時は、対象が自動応答技術[IRT]においてコホートに割り当てられる日時として定義される)、そのルスパテルセプトの初回投与を受ける。
【0160】
対象は、同意説明文書(ICF)に署名した時点で≧18歳でなければならない。
【0161】
対象は、ローカル病理報告で確認されるとき、MPN関連骨髄線維症(PMF、PV後MF、及び/またはET後MF)を有する。
【0162】
対象は以下のように定義される貧血を有する:(I)コホート1及び3A:(a)対象は、C1D1の日時までの直前84日の期間中に、投与日を含む別々の≧3日に記録された≦9.5g/dLの≧3のHgbレベルを有し;ヘモグロビン測定値が登録される間の間隔が≧42日の対象はいないこと、及び(b)C1D1の日時までの直前の84日の期間内にいかなるRBC輸血もないこと;ならびに(II)コホート2及び3B;(a)対象がC1D1の日時までの直前少なくとも84日にわたって2~4RBC単位/28日の平均RBC輸血頻度を有し、≧1RBC輸血なしの>42日の間隔がないこと、(b)対象がルスパテルセプトの投与前にC1D1に<13g/dLのHgb値を有さねばならないこと;(c)適格性の判定において、≦9.5g/dLのHgbが採点された場合にだけRBC輸血が供与されること、及び(d)出血、感染、または化学療法誘発貧血のために供与されたRBC輸血は、適格性の判定において採点されないこと。
【0163】
対象は、≦2の米国東部腫瘍学共同研究グループ(ECOG)パフォーマンススコアを有する。例えば、ECOGパフォーマンススコアに関しては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Oken et al.(1982). “Toxicity and response criteria of the Eastern Cooperative Oncology Group”.Am.J.Clin.Oncol.5(6):649-55を参照されたい。ECOGパフォーマンススコア0を有する対象は、無症候性(すなわち、完全に活動的であり、すべての疾患前活動を制限なく行うことができる)である。ECOGパフォーマンススコア1を有する対象は、症候性ではあるが、完全に歩行可能である(すなわち、肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる(例えば、軽い家事、事務作業)。ECOGパフォーマンススコア2を有する対象は、症候性であり、日中は<50%はベッドで過ごす(すなわち、歩行可能で、自分の身の回りのことは全て可能だが、作業はできない;起床時間の50%超はベッドで過ごす)。ECOGパフォーマンススコア3を有する対象は、症候性であり、>50%をベッドで過ごすが、寝たきりではない(すなわち、限られた自分の身の回りのことしかできず、起床時間の50%以上をベッドまたは椅子で過ごす)。ECOGパフォーマンススコア4を有する対象は、寝たきりである(すなわち、全く動けない;自分の身の回りのことは全くできない;完全にベッドか椅子で過ごす)。ECOGパフォーマンススコア5を有する対象は、死亡している。
【0164】
対象は、C1D1の日時から6ヶ月間は、造血細胞移植を受けないと予想される。
【0165】
本試験に関して、妊娠可能な女性(FCBP)は、(1)ある時点で初潮を向かえた女性、及び(2)少なくとも連続した24ヶ月間に子宮摘出術または両側療法を受けていない(妊娠の可能性を排除しない)女性(すなわち、連続した24ヶ月前の任意の時点で生理があった女性)として定義される。本試験に参加するFCBPは、(a)試験療法を開始する前に治験担当医よって確認された妊娠検査が2回とも陰性でなければならず、試験過程及び試験処置終了時で妊娠検査を受けることを了承しなければならず、これは、対象が異性との接触を確実に自制するとしても適用されること、及び(b)試験療法中(投与中断を含める)、治験薬を開始する前28日間、及び試験療法の中断後、12週間(複数回投与の薬物動態[PK]データに基づく、ルスパテルセプトの平均終了半減期のおよそ5倍)異性との接触を確実に自制することを約束する(これは、毎月再調査するか、または文書確認をせねばならない)か、または中断することなく有効な避妊具を使用することに同意し、かつそれを遵守するかのいずれかでなければならない。
【0166】
男性対象は、(a)彼が精管切除に成功していたとしても、投与中断中、及び治験薬中断後の少なくとも12週間(複数回投与のPKデータに基づく、ルスパテルセプトの平均終了半減期のおよそ5倍)、確実な禁欲を実行せねばならない(毎月再調査されねばならない)か、または、試験に参加している間の妊婦または妊娠の可能性のある女性との性的接触中のコンドームの使用を了承せねばならない。
【0167】
対象は、どのような試験関連評価/手技も行われる前に、同意説明文書を理解して自主的に署名しなければならない。
【0168】
対象は、試験の来訪スケジュール及び他のプロトコル要件を着実に実行することに同意しており、実行可能である。
【0169】
6.1.3 治療方法
ルスパテルセプトの用量は1.75mg/kgである。
【0170】
ルスパテルセプトは、21日毎に1回、最長で2年、対象に皮下投与される。
【0171】
6.2 実施例2.
6.2.1 背景
骨髄増殖性腫瘍(MPN)関連骨髄線維症(MF)は、骨髄の線維症、骨髄機能の欠陥、髄外造血、急性転化期へ移行の可能性、及び炎症で特徴付けられるクローン性骨髄系腫瘍である(Mesa RA,et al.Leuk Res.2011;35(1):12-13)。貧血及び赤血球(RBC)輸血依存性(TD)は、これらの患者間の生存についての独立した予後不良及び予測変数である(Passamonti F, et al.Blood. 2010;115(9):1703-1708;Elena C, et al.Haematologica. 2011;96(1):167-170)。
【0172】
ルスパテルセプトは、ヒト免疫グロブリンG1(IgG1)のFcドメインに連結した修飾アクチビン受容体IIB型からなる組換え融合タンパク質である(
図1)(Attie KM, et al.Am J Hematol.2014;89(7):766-770、;Suragani RN, et al.Nat Med.2014;20(4):408-414)。ルスパテルセプトは、増殖分化因子ー11(GDF11)などの特定の形質転換増殖因子-β(TGF-β)スーパーファミリーリガンドに結合し、RBC生成の増加をもたらすことによって、赤血球成熟剤として作用する(Suragani RN, et al.Nat Med.2014;20(4):408-414)。最近の第2相試験では、ルスパテルセプトは、リスクの低い骨髄異形成症候群を有する患者の貧血の治療に有効であり、かつ良好な耐容性であることを示した(Platzbecker U, et al.Lancet Oncol. 2017;18(10):1338-1347)。
【0173】
この臨床試験の目的は、RBC-TDの有無による、MPN関連MFの患者の貧血を治療するためのルスパテルセプトの有効性及び安全性を評価することである。
【0174】
6.2.2 試験の詳細
この実施例は、進行中の多施設、非盲検、第2相試験に関するものである。
【0175】
6.2.3 試験集団
この試験に関する選択基準は、以下の通りである:(i)年齢≧18歳であること、(ii)MPN関連MF(原発性MF、真性多血症後MF、または本態性血小板血症後MF)であること、(iii)(a)コホート1及び3a:サイクル1の1日目(C1D1)前の84日間にRBC輸血がなく、≧3日目(投与日を含む)に≦9.5g/dLの≧3のヘモグロビン(Hb)レベル;測定の間の≧42日が除外されること、(b)コホート2及び3b;≧1回のRBC輸血がなく、>42日の間隔がなく、C1D1前の≧84日間にわたって2~4のRBC単位/28日の平均RBC輸血頻度;ルスパテルセプトの投与前C1D1に<13g/dLのHbであること、及び(iv)≦2の米国東部腫瘍学共同研究グループパフォーマンスの状態であること。
【0176】
6.2.4 試験設計及び治療
試験は、3つの期間を含む(
図2):(i)スクリーニング期間、(ii)治療期間(第1相、169日目の疾患応答評価、及び延長相)、及び(iii)治療後追跡調査期間。
【0177】
(a) スクリーニング期間
すべてのスクリーニング手順は、登録前、≦28日に行う。
【0178】
(b) 治療期間
すべての患者は、ルスパテルセプト1mg/kgを、各21日サイクルの1日目に皮下投与される。患者は、RBC輸血の必要性に従ってコホートに登録される:(i)コホート1及び3a(貧血のみ)及び(ii)コホート2及び3b(RBC-TD)。ベストサポーティブケアを、治験薬と組み合わせて用いてことができる。疾患応答評価は、治験薬の初回投与後169日目に完了せねばならない。応答者は、さらに1.5年まで治療を継続することができる。非応答者は、治療を中断する。
【0179】
(c) 治療後追跡調査期
治療の中断後に、追跡安全性データを、治験薬の最後の投与後、最長で42日まで収集する。次いで、安全性データを、治験薬の最後の投与後、3ヶ月毎に最長で3年まで、または死亡まで、同意が撤回されるまで、もしくは追跡不能になるまで収集する。
【0180】
6.2.5 評価項目
主要評価項目及び副次的評価項目は、表1(下記)に列挙されている。探索的評価項目は、治療曝露応答、バイオマーカー、及び変異解析を含む。すべての有効性解析は、主として、登録されたすべての患者として定義された、治験意図による集団で実施される。確認的有効性解析は、(i)治験薬の≧3サイクルを受容し、3回目の治験薬投与後≧21日間、試験に留まったすべての患者、または(ii)<3サイクルでHb>13g/dLを達成した全ての患者として定義された有効性評価可能な集団で実施する。安全性解析は、≧1回の治験薬を受容するすべての患者で実施する。有害事象及び検査所見の異常は、NCI-CTCAEバージョン4.03に従って分類される。薬物動態解析は、薬物動態パラメータを決定するための評価可能な濃度データを有するすべての患者に基づく。
【0181】
6.2.6 統計解析
記述統計解析を主として使用する。カプラン・マイヤー法を、貧血応答の持続時間の推測に使用することができる。コホート間の推測比較は実施しない。
【0182】
6.2.7 試験状況
登録は、2017年11月に開始した。目標の登録者は、RBC-TDの有無による、MPN関連MF及び貧血を有する70人の患者である。2018年4月9日の時点で、24の臨床現場において、12人の患者がこの試験に登録している。
【0183】
【0184】
7. 配列情報
表2.
【表2】
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法であって、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与することを含む、前記方法。
(態様2)
前記対象が、貧血を有する、態様1に記載の方法。
(態様3)
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法であって、前記方法が、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与することを含み、前記治療することが、前記対象の前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の1つ以上の症状を軽減または緩和する、前記方法。
(態様4)
前記症状が、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または骨痛のうちの1つ以上である、態様3に記載の方法。
(態様5)
貧血の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法であって、前記方法が、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与することを含み、前記対象が、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する、前記方法。
(態様6)
前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症が、原発性骨髄線維症である、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
(態様7)
前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症が、真性多血症後の骨髄線維症である、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
(態様8)
前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症が、本態性血小板血症後の骨髄線維症である、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
(態様9)
前記対象が赤血球輸血非依存性である、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
(態様10)
前記対象が、前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与する前の84日の期間中に、0単位の赤血球を受容している場合、前記対象は赤血球輸血非依存性である、態様9に記載の方法。
(態様11)
前記対象が、赤血球輸血依存性である、態様1~8のいずれか一項に記載の方法。
(態様12)
前記対象が、前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与する前の少なくとも84日の期間中に、28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、前記対象は赤血球輸血依存性である、態様11に記載の方法。
(態様13)
前記薬学的有効量が、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgである、態様1~12のいずれか一項に記載の方法。
(態様14)
前記薬学的有効量が、1.0mg/kgである、態様1~12のいずれか一項に記載の方法。
(態様15)
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、前記対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回投与される、態様1~14のいずれか一項に記載の方法。
(態様16)
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、前記対象に静脈内または皮下投与される、態様1~15のいずれか一項に記載の方法。
(態様17)
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、前記対象に21日毎に1回皮下投与される、態様14に記載の方法。
(態様18)
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である、態様1~17のいずれか一項に記載の方法。
(態様19)
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインを含む融合タンパク質である、態様1~17のいずれか一項に記載の方法。
(態様20)
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、
(a)配列番号4と90%同一、
(b)配列番号4と95%同一、
(c)配列番号4と98%同一、
(d)配列番号4、
(e)配列番号7と90%同一、
(f)配列番号7と95%同一、
(g)配列番号7と98%同一、
(h)配列番号7、
(i)配列番号8と90%同一、
(j)配列番号8と95%同一、
(k)配列番号8と98%同一、
(l)配列番号8、
(m)配列番号11と90%同一、
(n)配列番号11と95%同一、
(o)配列番号11と98%同一、及び
(p)配列番号11、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである、態様1~17のいずれか一項に記載の方法。
(態様21)
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、
(a)配列番号11と90%同一、
(b)配列番号11と95%同一、
(c)配列番号11と98%同一、及び
(d)配列番号11、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである、態様1~17のいずれか一項に記載の方法。
(態様22)
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、態様1~17のいずれか一項に記載の方法。
(態様23)
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、配列番号11からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである、態様1~17のいずれか一項に記載の方法。
(態様24)
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、態様1~17のいずれか一項に記載の方法。
(態様25)
前記対象が、ヒトである、態様1~24のいずれか一項に記載の方法。
(態様26)
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法であって、前記方法が、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドを前記対象に投与することを含み、前記ポリペプチドが、前記対象に、21日毎に1回皮下投与される、前記方法。
(態様27)
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法であって、前記方法が、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸を含むポリペプチドを前記対象に投与することを含み、前記ポリペプチドが、前記対象に、21日毎に1回皮下投与される、前記方法。
(態様28)
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法であって、前記方法が、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプチドを前記対象に投与することを含み、前記ポリペプチドが、前記対象に、21日毎に1回皮下投与される、前記方法。
(態様29)
前記用量が、1.0mg/kgである、態様26~28のいずれか一項に記載の方法。
【配列表】