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特許7496715仕様情報生成装置、仕様情報生成方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】仕様情報生成装置、仕様情報生成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20240531BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20240531BHJP
   G06F 30/27 20200101ALI20240531BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06F30/12
G06F30/27
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020093938
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021189713
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】堀内 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】石坂 哲
(72)【発明者】
【氏名】森 正志
(72)【発明者】
【氏名】吉原 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 正範
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 元博
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-314198(JP,A)
【文献】特開2012-098770(JP,A)
【文献】特開2018-206250(JP,A)
【文献】特開平04-032970(JP,A)
【文献】特開2005-190094(JP,A)
【文献】特開平04-034651(JP,A)
【文献】特開昭63-128475(JP,A)
【文献】特開平06-309394(JP,A)
【文献】特開2019-101514(JP,A)
【文献】特開2005-293042(JP,A)
【文献】特開平08-083334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/398
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 -30/424
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の仕様が記載されている二次元データを取得するデータ取得部と、
前記二次元データから前記物品の仕様値を抽出する仕様値抽出部と、
前記物品の仕様の属性を示すフレームを記憶するフレーム記憶部と、
前記二次元データ、および、前記物品を識別する物品識別情報に対応する前記フレームに基づいて、前記物品の仕様値と仕様の属性とを対応付けた仕様情報を生成する仕様情報生成部と、
前記仕様情報を出力する仕様情報出力部と、
を備え
前記仕様値抽出部は、前記二次元データにおける物品図が記載された上面図、正面図および側面図の領域を認識し、前記上面図、前記正面図および前記側面図の領域に記載された仕様値をそれぞれ抽出する仕様情報生成装置。
【請求項2】
前記仕様値抽出部は、画像のクラスター分析を用いて前記上面図、前記正面図および前記側面図の領域を認識する、
請求項1に記載の仕様情報生成装置。
【請求項3】
前記仕様値抽出部は、前記二次元データから枠で囲まれた領域を特定し、枠で囲まれた領域のうち、特定の文字列を含む領域を定格と判断し、他方の領域を前記物品識別情報および前記物品図と判断する方法、枠で囲まれた領域のうち、前記物品識別情報を含む方の領域を前記物品識別情報および前記物品図と判断する方法、または、枠の中の線分の構成から、表であるか否かを判定し、表であると判定した方を前記定格と判断し、他方を前記物品識別情報および前記物品図と判断する方法で、前記物品識別情報および前記物品図の領域を判断する、
請求項1または2に記載の仕様情報生成装置。
【請求項4】
前記仕様値抽出部は、前記二次元データ上の前記物品識別情報および前記物品図と判断した領域に対して、前記物品識別情報を抽出し、前記物品識別情報の文字列の向きまたは前記物品図に対する前記物品識別情報の位置に基づいて、前記二次元データの画像の向きを判別し、前記二次元データの画像の向きが正しい向きでない場合には、前記二次元データの画像を回転させて正しい向きにする、
請求項3に記載の仕様情報生成装置。
【請求項5】
前記仕様情報を記憶する仕様情報記憶部と、
前記仕様情報の修正を受け付ける仕様情報修正部と、
をさらに備え、
前記仕様情報修正部は、前記二次元データおよび前記仕様情報を表示した修正画面を表示し、前記修正画面で修正された前記仕様情報を前記仕様情報記憶部に記憶する、
請求項1からのいずれか1項に記載の仕様情報生成装置。
【請求項6】
前記仕様情報修正部は、前記修正画面で修正された前記仕様情報に基づいて、前記仕様情報の修正パターンを学習し、前記修正パターンに基づいて、前記仕様情報生成部が生成した前記仕様情報を補正し、前記二次元データおよび補正した前記仕様情報を表示した前記修正画面を表示する、
請求項に記載の仕様情報生成装置。
【請求項7】
前記仕様値抽出部は、抽出した前記物品の仕様値の文字列の確度を判定し、
前記仕様情報出力部は、前記二次元データ、および、文字列の確度が低いと判定された前記物品の仕様値を強調表示した前記仕様情報を表示した前記修正画面を表示する、
請求項またはに記載の仕様情報生成装置。
【請求項8】
前記物品の仕様値は、前記物品の寸法値であって、
前記仕様情報生成部は、前記二次元データにおける物品の外形を示す物品図を特定し、前記物品図に対する寸法値の位置に基づいて、前記物品の寸法値と寸法の属性とを対応付ける、
請求項1からのいずれか1項に記載の仕様情報生成装置。
【請求項9】
前記物品の仕様値は、前記物品の寸法値であって、
前記仕様情報生成部は、前記二次元データにおける寸法値の位置の記載パターンを学習し、前記記載パターンに基づいて、前記物品の寸法値と寸法の属性とを対応付ける、
請求項1からのいずれか1項に記載の仕様情報生成装置。
【請求項10】
前記仕様値抽出部は、前記二次元データを回転させて、複数の角度の前記二次元データから前記物品の仕様値を抽出する、
請求項1からのいずれか1項に記載の仕様情報生成装置。
【請求項11】
前記仕様値抽出部は、前記二次元データから、前記物品の仕様値を含む文字列と、前記二次元データにおける前記文字列の位置座標と、前記文字列の長さとを抽出し、前記二次元データにおける縦方向の位置座標が同一で互いの間隔が設定した閾値以下である複数の前記文字列については、一連の文字列とみなす、
請求項1から10のいずれか1項に記載の仕様情報生成装置。
【請求項12】
仕様情報生成装置が実行する、
物品の仕様が記載されている二次元データを取得するデータ取得ステップと、
前記二次元データから前記物品の仕様値を抽出する仕様値抽出ステップと、
前記二次元データ、および、前記物品を識別する物品識別情報に対応する前記物品の仕様の属性を示すフレームに基づいて、前記物品の仕様値と仕様の属性とを対応付けた仕様情報を生成する仕様情報生成ステップと、
を備え
前記仕様値抽出ステップでは、前記二次元データにおける物品図が記載された上面図、正面図および側面図の領域を認識し、前記上面図、前記正面図および前記側面図の領域に記載された仕様値をそれぞれ抽出する仕様情報生成方法。
【請求項13】
コンピュータを、
物品の仕様が記載されている二次元データを取得するデータ取得部、
前記二次元データから前記物品の仕様値を抽出する仕様値抽出部、および、
前記二次元データ、および、前記物品を識別する物品識別情報に対応する前記物品の仕様の属性を示すフレームに基づいて、前記物品の仕様値と仕様の属性とを対応付けた仕様情報を生成する仕様情報生成部、
として機能させ
前記仕様値抽出部は、前記二次元データにおける物品図が記載された上面図、正面図および側面図の領域を認識し、前記上面図、前記正面図および前記側面図の領域に記載された仕様値をそれぞれ抽出するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、仕様情報生成装置、仕様情報生成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では電気製品の小型化に伴う高密度設計が進んでおり、設計期間の短縮、設計手戻り抑制のために、構造設計、熱解析、電磁界解析などのフロントローディングの重要性が高まっている。これに対し、3Dモデルを利用した電気製品の設計支援ツール、熱解析ツール、電磁界解析ツール等が提供されている。
【0003】
これらのツールでは、電気製品に使用される各部品の3Dモデルを設計者が作成する必要がある。その際、メーカが提供している各部品のデータシート、メーカのWEBサイトに記載されている部品のデータシート等を読み解き、部品の寸法を含む仕様を示す仕様情報を生成する人手作業が発生する。
【0004】
電気製品に使用される部品に限らず、物品の設計、シミュレーション、解析などをコンピュータで行う場合、印刷物、画像データ、電子文書データなどに記載された物品の仕様を読み解き、物品の仕様を示す仕様情報を生成する人手作業は、作業負荷および作業時間の増加に繋がる。このため、物品の仕様が記載された画像データ、電子文書データなどから物品の仕様を示す仕様情報を自動的に生成することが求められている。図、表、テキストなどが記載された画像データ、電子文書データなどを、以下、二次元データという。
【0005】
特許文献1には、図形形状の寸法を設定するファイルの記載に基づいて、電子回路を設計するCAD(computer-aided design)システムのファイル形式の回路シンボルを自動生成するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-322463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、物品の仕様が記載された二次元データから物品の仕様を示す仕様情報を自動的に生成することはできない。
【0008】
本開示は、物品の仕様が記載された二次元データから物品の仕様を示す仕様情報を自動的に生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示に係る仕様情報生成装置は、データ取得部と、仕様値抽出部と、フレーム記憶部と、仕様情報生成部と、仕様情報出力部とを備える。データ取得部は、物品の仕様が記載されている二次元データを取得する。仕様値抽出部は、二次元データから物品の仕様値を抽出する。フレーム記憶部は、物品の仕様の属性を示すフレームを記憶する。仕様情報生成部は、二次元データ、および、物品を識別する物品識別情報に対応するフレームに基づいて、物品の仕様値と仕様の属性とを対応付けた仕様情報を生成する。仕様情報出力部は、仕様情報を出力する。仕様値抽出部は、二次元データにおける物品図が記載された上面図、正面図および側面図の領域を認識し、上面図、正面図および側面図の領域に記載された仕様値をそれぞれ抽出する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、二次元データから物品の仕様値を抽出し、物品の仕様値と仕様の属性とを対応付けることで、物品の仕様が記載された二次元データから物品の仕様を示す仕様情報を自動的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る仕様情報生成装置の構成例を示す図
図2】実施の形態1に係る二次元データの一例を示す図
図3】実施の形態1に係る入力画面の一例を示す図
図4】実施の形態1に係る寸法値情報の一例を示す図
図5】実施の形態1に係る部品図の配置の一例を示す図
図6】実施の形態1に係る部品図の二次元データをクラスター分析した一例を示す図
図7】実施の形態1に係るフレームの一例を示す図
図8】実施の形態1に係る寸法情報の一例を示す図
図9】実施の形態1に係る部品の上面図に記載された寸法値の一例を示す図
図10】実施の形態1に係る寸法情報生成処理を示すフローチャート
図11】実施の形態2に係る仕様情報生成装置の構成例を示す図
図12】実施の形態2に係る修正画面の一例を示す図
図13】実施の形態1および2に係る仕様情報生成装置のハードウェア構成の一例を示す図
図14】変形例に係る寸法値情報の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本実施の形態に係る仕様情報生成装置、仕様情報生成方法およびプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当する部分には同じ符号を付す。本実施の形態では、電気製品の部品のデータシートから、仕様情報に含まれる部品の寸法を示す寸法情報を生成する例について説明する。なお、仕様情報には、寸法情報だけでなく、部品のピン数、材質、定格、特性などを示す情報を含んでもよい。
【0013】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る仕様情報生成装置1の機能構成について、図1を用いて説明する。図1に示すように、仕様情報生成装置1は、電気製品の部品の寸法が記載されている二次元データを取得するデータ取得部11と、二次元データから部品の寸法値を抽出する寸法値抽出部12と、部品の寸法値と寸法の属性とを対応付けた寸法情報を生成する寸法情報生成部13と、寸法の属性を示すフレームを記憶するフレーム記憶部14と、寸法情報を出力する寸法情報出力部15とを備える。
【0014】
データ取得部11は、電気製品の部品の寸法が記載されている二次元データを取得する。データ取得部11は、取得した二次元データを寸法値抽出部12に送る。二次元データは、例えば、ユーザがデータ取得部11に入力してもよいし、データ取得部11が他の装置またはシステムから取得してもよい。二次元データのファイルフォーマットは、PDF(Portable Document Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、BMP(bitmap)、PNG(Portable Network Graphics)などである。
【0015】
ここで、データ取得部11が取得する二次元データについて、図2を用いて説明する。図2は、電気製品の部品のデータシートの二次元データの一例を示す。二次元データ20には、部品の名称21、部品の説明22、部品が対応する定格電圧、定格電流などの定格23、部品のパッケージ名24、部品の外形を示す部品図25などが記載されている。部品図25は、部品の上面図251、正面図252および側面図253を含む。
【0016】
パッケージ名24は、部品を識別する情報であって、例えば、JEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association )の規格で規定されている「QFP(Quad Flat Package)」、「BGA(Ball Grid Array)」、「SOP(Small Outline Package)」などの半導体パッケージの種類を示す名称を含む。パッケージ名は、物品識別情報の例である。上面図251、正面図252および側面図253には、部品の寸法値が記載されている。
【0017】
続いて、ユーザがデータ取得部11に二次元データを入力する方法について以下に説明する。第1の入力方法として、図2に示したような電気製品の部品のデータシートをそのまま入力する方法がある。第2の入力方法として、電気製品の部品のデータシートのパッケージ名および部品図を選択して入力する方法がある。第3の入力方法として、電気製品の部品のデータシートの部品図だけを選択して入力する方法がある。第4の入力方法として、電気製品の部品のデータシートの部品図に含まれる上面図、正面図および側面図をそれぞれ選択して入力する方法がある。
【0018】
第3の入力方法および第4の入力方法の場合、ユーザは、二次元データと共に、部品のパッケージ名をデータ取得部11に入力する。また、第4の入力方法の場合、上面図、正面図および側面図であることを識別可能に、二次元データを入力する。例えば、ユーザが上面図、正面図および側面図の二次元データを入力する際に、それぞれ、上面図、正面図および側面図であることを示す情報を対応付けて入力する。あるいは、ユーザが上面図、正面図および側面図の二次元データを入力する際に、電気製品の部品のデータシートの二次元データ上における座標位置が対応付けられる構成にしてもよい。
【0019】
例えば、メーカから電気製品の部品のデータシートのPDFを提供されている場合、第1の入力方法では、ユーザは、メーカから提供された電気製品の部品のデータシートのPDFをそのまま入力する。第2の入力方法では、ユーザは、電気製品の部品のデータシートのPDFのパッケージ名および部品図をトリミングして入力する。第3の入力方法では、ユーザは、電気製品の部品のデータシートのPDFの部品図をトリミングして入力する。第4の入力方法では、ユーザは、電気製品の部品のデータシートのPDFの上面図、正面図および側面図をそれぞれトリミングして入力する。
【0020】
例えば、メーカのWEBページに電気製品の部品のデータシートが直接記載されている場合、第1の入力方法では、ユーザは、電気製品の部品のデータシートのWEBページをPDF、JPEG、BMP、PNGなどの画像ファイルに変換して入力する。第2の入力方法では、ユーザは、電気製品の部品のデータシートのWEBページのうち、パッケージ名および部品図が記載されている領域を選択して、PDF、JPEG、BMP、PNGなどの画像ファイルに変換して入力する。第3の入力方法では、ユーザは、電気製品の部品のデータシートのWEBページのうち、部品図が記載されている領域を選択して、PDF、JPEG、BMP、PNGなどの画像ファイルに変換して入力する。第4の入力方法では、ユーザは、電気製品の部品のデータシートのWEBページのうち、上面図、正面図および側面図が記載されている領域をそれぞれ選択して、PDF、JPEG、BMP、PNGなどの画像ファイルに変換して入力する。
【0021】
例えば、メーカから電気製品の部品のデータシートが印刷物で提供されている場合、第1の入力方法では、ユーザは、電気製品の部品のデータシートをスキャンして、PDF、JPEG、BMP、PNGなどの画像ファイルに変換して入力する。第2の入力方法では、ユーザは、電気製品の部品のデータシートをスキャンした画像ファイルのパッケージ名および部品図をトリミングして入力する。第3の入力方法では、ユーザは、電気製品の部品のデータシートをスキャンした画像ファイルの部品図をトリミングして入力する。第4の入力方法では、ユーザは、電気製品の部品のデータシートをスキャンした画像ファイルの上面図、正面図および側面図をそれぞれトリミングして入力する。
【0022】
第2の入力方法、第3の入力方法および第4の入力方法では、データ取得部11が、電気製品の部品のデータシートを表示するGUI(Graphical User Interface)で構成された入力画面を生成して表示し、二次元データの入力を受け付けてもよい。図3に、ユーザが第4の入力方法で二次元データを入力画面30に入力する例を示す。ユーザは、電気製品の部品のデータシートを表示した入力画面30上で、部品図25に含まれる上面図251、正面図252および側面図253をそれぞれ四角(図中破線)で囲んで選択している。対象を四角、丸などの図形で囲む動作は、例えば、入力画面30の上で、マウス操作、タッチパネル操作などでなぞることにより行う。
【0023】
ユーザが入力画面30で上面図251、正面図252および側面図253をそれぞれ図形で囲んで選択することで、上面図251、正面図252および側面図253の二次元データがそれぞれ、データ取得部11に入力される。ユーザは、上面図251、正面図252および側面図253の二次元データと共にパッケージ名をデータ取得部11に入力する。データ取得部11は、入力された上面図251、正面図252および側面図253の二次元データとパッケージ名とを対応付けて、寸法値抽出部12に送る。
【0024】
なお、第2の入力方法、第3の入力方法および第4の入力方法で二次元データを入力する場合、ユーザは、元の電気製品の部品のデータシートの画像の向きが正しい向きでない場合には、正しい向きに回転してから二次元データを入力するものとする。これにより、後述する画像の向きを判定する処理が不要となる。
【0025】
第2の入力方法、第3の入力方法および第4の入力方法で二次元データを入力すれば、二次元データから寸法値を抽出する処理の対象範囲が狭くなるので、第1の入力方法で二次元データを入力する場合よりも、処理時間を短縮できる。
【0026】
図1に戻り、寸法値抽出部12は、データ取得部11から二次元データを受け取ると、画像を文字コードの列に変換するOCR(Optical Character Recognition/Reader)機能を用いて、二次元データの部品の寸法が記載されている領域から部品の寸法値を抽出する。寸法値抽出部12は、仕様値抽出部の例である。具体的には、寸法値抽出部12は、二次元データの部品図から、文字列と、文字列が二次元データ上に存在する位置座標と、文字列の長さとを抽出する。文字列が二次元データ上に存在する位置座標は、例えば、文字列の中心が二次元データ上に存在する位置座標とする。寸法値抽出部12は、抽出した文字列のうち、数字のみの文字列を寸法とし、数字の頭に+、-または±の記号が付与されている文字列を公差とする。また、数字の文字列の間に+、-または±の記号が存在する文字列の場合には、記号より前の文字列が寸法、記号以後の文字列を公差とする。
【0027】
寸法値抽出部12は、データ取得部11から受け取った二次元データにパッケージ名が含まれている場合には、OCR機能を用いて、二次元データからパッケージ名を抽出する。なお、二次元データから抽出したパッケージ名が複数存在した場合には、例えば、パッケージ名を表示して、ユーザが選択可能にしてもよい。あるいは、二次元データにパッケージ名が含まれていても、ユーザがデータ取得部11にパッケージ名を入力する構成にしてもよいし、寸法値抽出部12が二次元データから抽出したパッケージ名とデータ取得部11にユーザが入力したパッケージ名とが一致しない場合にはエラー情報を出力する構成にしてもよい。
【0028】
寸法値抽出部12は、寸法値とパッケージ名とを含む寸法値情報を生成する。寸法値抽出部12は、生成した寸法値情報と二次元データとを寸法情報生成部13に送る。図4に寸法値情報の例を示す。図4に示す寸法値情報は、パッケージ名を示す情報と、寸法の文字列を示す「寸法(mm)」と、公差の文字列を示す「公差(mm)」と、文字列が二次元データ上に存在する位置を示す「座標(X,Y)」と、文字列の長さを示す「文字列長」との情報を含む。二次元データの横方向の座標をX座標、縦方向の座標をY座標とする。例えば、パッケージ名「SQFP-XXX」の部品の二次元データ上の(20,110)の位置に存在する5.5mmの長さの寸法の文字列は、1.27である。寸法の文字列と公差の文字列はそれぞれ、寸法の値と公差の値である。図4の例では、寸法値情報は、数字または記号が含まれない文字列は含まないが、寸法値情報は、数字または記号が含まれない文字列の情報を含んでもよい。
【0029】
ここで、ユーザが第3の入力方法で二次元データをデータ取得部11に入力した場合に、寸法値抽出部12が二次元データから寸法値を抽出する方法について、図5および図6を用いて説明する。
【0030】
電気製品の部品のデータシートのひな形は、部品のメーカ、部品の種類などによって様々であるが、実施の形態1では、部品図は、図5に示すような配置で記載されているものとする。aの領域には上面図、b1およびb2の領域には正面図、c1およびc2の領域には側面図が記載されている。以下、b1およびb2の領域を総称する場合は、bの領域という。c1およびc2の領域を総称する場合は、cの領域という。正面図に該当するbの領域は、データシートによりb1またはb2のいずれか1つの場合と、b1およびb2の2つの場合がある。側面図に該当するcの領域は、電気製品の部品のデータシートによってc1またはc2のいずれか1つの場合と、c1およびc2の2つの場合がある。
【0031】
寸法値抽出部12は、電気製品の部品のデータシートの二次元データにおける部品図が記載されたa、bおよびcの領域を認識し、OCR機能を用いてa、bおよびcの領域に記載された寸法値をそれぞれ抽出する。a、bおよびcの領域を認識する方法には、例えば、画像のクラスター分析を用いる。
【0032】
図6に、図2に示した電気製品の部品のデータシートの部品図25の二次元データをクラスター分析した一例を示す。図6には、図5に示した配置のaの領域、b2の領域およびc2の領域にそれぞれ、パッケージ名が「SQFP-XXX」の部品の上面図、正面図および側面図が記載されている。寸法値抽出部12は、部品図25の二次元データをクラスター分析し、最も大きいクラスターCL1をaの領域であると認識する。寸法値抽出部12は、aの領域の下側に存在するクラスターCL2をb2の領域であると認識する。寸法値抽出部12は、aの領域の向かって右側に存在するクラスターCL3をc2の領域であると認識する。寸法値抽出部12は、a、b2およびc2のそれぞれの領域に記載された寸法値をOCR機能で抽出する。
【0033】
続いて、ユーザが第1の入力方法で二次元データをデータ取得部11に入力した場合に、寸法値抽出部12が二次元データから寸法値を抽出する方法を、図2を用いて説明する。例えば、寸法値抽出部12は、二次元データから枠で囲まれた領域を特定し、特定の文字列(定格、電圧、電流など)を含む方を定格23と判断し、他方をパッケージ名24および部品図25と判断する。または、枠で囲まれた領域のうち、パッケージ名24を含む方をパッケージ名24および部品図25と判断する。あるいは、枠の中の線分の構成から、表であるか否かを判定し、表であると判定した方を定格23と判断し、他方をパッケージ名24および部品図25と判断してもよい。
【0034】
寸法値抽出部12は、二次元データ上のパッケージ名24および部品図25と判断した領域に対して、OCR機能を用いて、まずパッケージ名を抽出する。寸法値抽出部12は、例えば、パッケージ名の文字列の向きから二次元データの画像の向きを判別する。または、部品図25に対するパッケージ名24の位置が定まっている場合には、寸法値抽出部12は、部品図25に対するパッケージ名24の位置から画像の向きを判別してもよい。二次元データの画像の向きが正しい向きでない場合には、寸法値抽出部12は、二次元データの画像を回転させて正しい向きにする。なお、ユーザが電気製品の部品のデータシートの二次元データの画像の向きを確認して正の向きにしてからデータ取得部11に入力する構成の場合は、二次元データの画像の向きを判別する処理は不要である。
【0035】
寸法値抽出部12は、二次元データ上のパッケージ名24および部品図25と判断した領域から「パッケージ名」および「SQFP-XXX」の文字列と外枠とを除外して、上述のようにa、bおよびcの領域を認識する。寸法値抽出部12は、a、b2およびc2のそれぞれの領域に記載された寸法値をOCR機能で抽出する。
【0036】
続いて、ユーザが第2の入力方法で二次元データをデータ取得部11に入力した場合に、寸法値抽出部12が二次元データから寸法値を抽出する方法を、図2を用いて説明する。寸法値抽出部12は、パッケージ名24および部品図25の二次元データに対して、OCR機能を用いて、まずパッケージ名を抽出する。寸法値抽出部12は、パッケージ名24および部品図25の二次元データから「パッケージ名」および「SQFP-XXX」の文字列と外枠とを除外して、上述のようにa、bおよびcの領域を認識する。寸法値抽出部12は、a、b2およびc2のそれぞれの領域に記載された寸法値をOCR機能で抽出する。
【0037】
続いて、ユーザが第4の入力方法で二次元データをデータ取得部11に入力した場合に、寸法値抽出部12が二次元データから寸法値を抽出する方法を、図2を用いて説明する。この場合、上面図251、正面図252および側面図253の二次元データがそれぞれ、a、bおよびcの領域に相当する。寸法値抽出部12は、上述の寸法値抽出部12は、上面図251、正面図252および側面図253の二次元データに対し、それぞれ寸法値をOCR機能で抽出する処理を行う。
【0038】
寸法値抽出部12は、a、bおよびcの領域に対応して、図4に示すような寸法値情報をそれぞれ生成する。寸法値抽出部12は、a、bおよびcの領域に対応する寸法値情報と二次元データとを寸法情報生成部13に送る。
【0039】
図1に戻り、寸法情報生成部13は、寸法値抽出部12から寸法値情報および二次元データを受け取ると、フレーム記憶部14が記憶するフレームから寸法情報に含まれるパッケージ名に対応するフレームを読み出す。寸法情報生成部13は、受け取った寸法値情報および二次元データと読み出したフレームとに基づいて寸法情報を生成する。寸法情報生成部13は、仕様情報生成部の例である。
【0040】
ここで、図7を用いて、フレーム記憶部14が記憶するフレームについて説明する。図7は、パッケージ名が「SQFP-XXX」の部品の寸法一覧を示すフレームの例を示す。フレームは、フレーム部品の寸法の属性を示す「寸法属性」と、寸法の値を示す「寸法(mm)」と、公差の値を示す「公差(mm)」との項目を有する。「寸法属性」の項目には、ピンピッチ、ピン幅、部品高さ、部品縦幅などの寸法の属性が予め入力されている。「寸法(mm)」と「公差(mm)」との項目は、空欄である。フレーム記憶部14は、パッケージ名ごとにフレームを記憶している。
【0041】
フレーム記憶部14が記憶するフレームは、ユーザが更新可能にしてもよい。例えば、寸法情報生成部13は、寸法値抽出部12から受け取った寸法値情報に含まれるパッケージ名に対応するフレームがフレーム記憶部14になかった場合、エラー情報を出力する。エラー情報が出力されると、ユーザは、データ取得部11に入力した二次元データに記載されたパッケージ名に対応する新たなフレームをフレーム記憶部14に記憶させる。これにより対応するパッケージの種類を増やすことができる。
【0042】
図1に戻り、寸法情報生成部13は、フレーム記憶部14から読み出したフレームの「寸法(mm)」と「公差(mm)」との項目に、寸法値抽出部12から受け取った寸法値情報の「寸法(mm)」と「公差(mm)」との情報を入力して、寸法情報を生成する。図7に示すフレームの「寸法(mm)」と「公差(mm)」との項目に、図4に示す寸法値情報の「寸法(mm)」と「公差(mm)」との情報を入力した寸法情報の例を図8に示す。例えば、「寸法属性」ピンピッチの「寸法(mm)」の項目には、寸法の値1.27が入力されており、「公差(mm)」の項目には、値が入力されていない。
【0043】
ここで、寸法値情報の「寸法(mm)」および「公差(mm)」との値をフレームのどの「寸法属性」に割り当てるかについて、図9を用いて説明する。図9は、aの領域に対応する部品の上面図に記載された寸法値の一例を示す図である。上面図の縦の中心軸L1上に記載されている寸法値HDは、全長であり、寸法値Dはパッケージ長である。上面図の横の中心軸L2上に記載されている寸法値HEは全幅であり、寸法値Eはパッケージ幅である。
【0044】
寸法情報生成部13は、寸法値情報および二次元データに基づいて、上面図の縦の中心軸L1上に存在する「寸法(mm)」22.0および「公差(mm)」±0.2と、「寸法(mm)」20.0および「公差(mm)」±0.2とを比較する。寸法情報生成部13は、「寸法(mm)」の値が大きい方の「寸法(mm)」22.0および「公差(mm)」±0.2の「寸法属性」が全長であると判別する。同様に、寸法情報生成部13は、「寸法(mm)」の値が小さい方の「寸法(mm)」20.0および「公差(mm)」±0.2の「寸法属性」がパッケージ長であると判別する。
【0045】
寸法情報生成部13は、寸法値情報および二次元データに基づいて、上面図の横の中心軸L2上に存在する「寸法(mm)」22.0および「公差(mm)」±0.2と、「寸法(mm)」20.0および「公差(mm)」±0.2とを比較する。寸法情報生成部13は、「寸法(mm)」の値が大きい方の「寸法(mm)」22.0および「公差(mm)」±0.2の「寸法属性」が全幅であると判別する。同様に、寸法情報生成部13は、「寸法(mm)」の値が小さい方の「寸法(mm)」20.0および「公差(mm)」±0.2の「寸法属性」がパッケージ幅であると判別する。
【0046】
このように、a、bおよびcの領域の部品図上の寸法値の位置に対応する寸法属性は、予め決められている。寸法情報生成部13は、寸法値情報および二次元データに基づいて、寸法値情報の「寸法(mm)」および「公差(mm)」との値を、フレームの「寸法属性」に割り当てて、「寸法(mm)」および「公差(mm)」との項目に入力して、図8に示すような寸法情報を生成する。
【0047】
図1に戻り、寸法情報生成部13は、生成した寸法情報を寸法情報出力部15に送る。寸法情報出力部15は、受け取った寸法情報を出力する。寸法情報出力部15は、仕様情報出力部の例である。寸法情報の出力方法は、画面表示でもよいし、ユーザが使用する端末へ送信してもよいし、他の装置またはシステムに出力してもよい。寸法情報出力部15は、寸法情報と共に二次元データを出力してもよい。また、寸法情報出力部15が出力する寸法情報および二次元データをユーザが選択可能にしてもよい。
【0048】
寸法情報出力部15が寸法情報と共に二次元データを画面表示したりユーザが使用する端末へ送信したりすることで、ユーザは生成された寸法情報の精度を確認することができる。また、寸法情報出力部15が寸法情報を回路CAD、基板CADなどの2D-CADの装置に出力することで、2Dモデルを自動生成することができる。同様に、寸法情報出力部15が寸法情報を3D-CADの装置に出力することで、3Dモデルを自動生成することができる。寸法情報出力部15の寸法情報の出力先は、例えば、基板に部品を実装する部品実装装置、製品の検査をする検査装置などでもよい。
【0049】
ここで、仕様情報生成装置1が実行する寸法情報生成処理の流れについて、図10を用いて説明する。図10に示す寸法情報生成処理は、仕様情報生成装置1が起動したときに開始する。仕様情報生成装置1のデータ取得部11が二次元データを取得しない場合(ステップS11;NO)、処理はステップS18に移行する。データ取得部11が二次元データを取得した場合(ステップS11;YES)、データ取得部11は、取得した二次元データを寸法値抽出部12に送る。ステップS11は、データ取得ステップの例である。ステップS11でデータ取得部11が二次元データと共にパッケージ名を示す情報を取得した場合には、データ取得部11は、取得した二次元データとパッケージ名を示す情報とを対応付けて寸法値抽出部12に送る。
【0050】
例えば、図2に示す電気製品の部品のデータシートの二次元データ20は、部品の名称21、部品の説明22、部品が対応する定格電圧、定格電流などの定格23、部品のパッケージ名24、部品の外形を示す部品図25などが記載されている。部品図25は、部品の上面図251、正面図252および側面図253を含む。
【0051】
図10に戻り、寸法値抽出部12は、受け取った二次元データにおけるa、bおよびcの領域を認識し(ステップS12)、OCR機能を用いて、a、bおよびcの領域に記載された寸法値をそれぞれ抽出する(ステップS13)。ステップS13は、仕様値抽出ステップの例である。データ取得部11から受け取った二次元データにパッケージ名が含まれている場合には、ステップS13で寸法値抽出部12は、OCR機能を用いて、二次元データからパッケージ名をさらに抽出してもよい。寸法値抽出部12は、二次元データから抽出した寸法値とパッケージ名とを含む寸法値情報を生成する(ステップS14)。寸法値抽出部12は、生成した寸法値情報と二次元データとを寸法情報生成部13に送る。
【0052】
例えば、図4に示す寸法値情報は、パッケージ名を示す情報と、寸法の文字列を示す「寸法(mm)」と、公差の文字列を示す「公差(mm)」と、文字列が二次元データ上に存在する位置を示す「座標(X,Y)」と、文字列の長さを示す「文字列長」との情報を含む。
【0053】
図10に戻り、寸法情報生成部13は、寸法値抽出部12から寸法値情報および二次元データを受け取ると、フレーム記憶部14が記憶するフレームから寸法情報に含まれるパッケージ名に対応するフレームを読み出す(ステップS15)。
【0054】
例えば、図7に示すパッケージ名が「SQFP-XXX」の部品の寸法一覧を示すフレームは、フレーム部品の寸法の属性を示す「寸法属性」と、寸法の値を示す「寸法(mm)」と、公差の値を示す「公差(mm)」との項目を有する。「寸法属性」の項目には、ピンピッチ、ピン幅、部品高さ、部品縦幅などの寸法の属性が予め入力されている。「寸法(mm)」と「公差(mm)」との項目は、空欄である。
【0055】
図10に戻り、寸法情報生成部13は、受け取った寸法値情報および二次元データと読み出したフレームとに基づいて寸法情報を生成する(ステップS16)。ステップS16は、仕様情報生成ステップの例である。寸法情報生成部13は、生成した寸法情報を寸法情報出力部15に送る。寸法情報出力部15は、受け取った寸法情報を出力する(ステップS17)。仕様情報生成装置1の電源がOFFになっていなければ(ステップS18;NO)、処理はステップS11に戻り、ステップS11~ステップS18を繰り返す。電源がOFFになると(ステップS18;YES)、処理を終了する。
【0056】
実施の形態1に係る仕様情報生成装置1によれば、二次元データから部品の寸法値を抽出し、部品の寸法値と寸法の属性とを対応付けることで、部品の寸法が記載された二次元データから部品の寸法を示す寸法情報を自動的に生成することができる。
【0057】
電気製品の場合、数十~数百個の部品が使用されており、人手により印刷物、二次元データなどに記載された部品の仕様を読み解き、仕様情報を生成する作業は、設計業務における作業負荷および作業時間の増加に繋がるが、寸法情報を自動的に生成することで、設計業務における作業負荷および作業時間を軽減できる。
【0058】
(実施の形態2)
実施の形態2では、仕様情報生成装置1は、寸法情報の修正を受け付ける。実施の形態2に係る仕様情報生成装置1の機能構成について、図11を用いて説明する。図11に示すように、仕様情報生成装置1は、データ取得部11と、寸法値抽出部12と、寸法情報生成部13と、フレーム記憶部14と、寸法情報出力部15とに加えて、寸法情報を記憶する寸法情報記憶部16と、寸法情報の修正を受け付ける寸法情報修正部17とを備える。
【0059】
寸法情報生成部13は、二次元データと生成した寸法情報とを寸法情報記憶部16に記憶する。寸法情報記憶部16は、仕様情報記憶部の例である。寸法情報出力部15は、寸法情報記憶部16に記憶された二次元データおよび寸法情報を出力する。寸法情報修正部17は、寸法情報記憶部16が記憶する二次元データおよび寸法情報を表示するGUIで構成された修正画面を表示する。あるいは、寸法情報修正部17は、寸法情報の修正画面をユーザが使用する端末に送信して表示させてもよい。修正画面を表示するタイミングは、例えば、ユーザが仕様情報生成装置1に表示指示を入力したタイミングでもよいし、寸法情報生成部13が二次元データと生成した寸法情報とを寸法情報記憶部16に記憶したタイミングでもよい。
【0060】
図12に、寸法情報の修正画面70の例を示す。修正画面70には、二次元データ50と寸法情報60とが表示されている。二次元データ50は、第2の入力方法でデータ取得部11に入力された二次元データである。寸法情報60は、二次元データ50から抽出された部品の寸法値と寸法の属性とを対応付けた寸法情報である。ユーザは、修正画面70に表示された二次元データ50および寸法情報60を確認し、寸法情報60が示す各寸法値が正しいか否かを判断する。ユーザは、正しくないと判断した寸法値があった場合、寸法情報60の中の正しくないと判断した寸法値の値を、修正画面70上で正しい値に変更する。図12の例では、修正画面70は、二次元データ50と寸法情報60とを1つずつ表示しているが、それぞれ複数個表示してもよい。また、修正画面70に表示する二次元データ50と寸法情報60とは、ユーザが選択可能にしてもよい。
【0061】
図11に戻り、ユーザは、寸法情報修正部17が表示した修正画面上で寸法情報の修正を行う。寸法情報修正部17は、ユーザによる修正が完了すると、ユーザが修正した寸法情報を寸法情報記憶部16に記憶する。ユーザによる修正が完了したか否かの判定は、例えば、ユーザが修正画面を閉じたときに修正が完了したと判定してもよいし、修正画面に完了ボタンを設けて完了ボタンが押下されたときに修正が完了したと判定してもよい。寸法情報修正部17は、仕様情報修正部の例である。その他の仕様情報生成装置1の機能は、実施の形態1と同様である。
【0062】
実施の形態2に係る仕様情報生成装置1によれば、二次元データから部品の寸法値を抽出し、部品の寸法値と寸法の属性とを対応付けた寸法情報を生成することで、部品の寸法が記載された二次元データから部品の寸法を示す寸法情報を自動的に生成することができる。また、生成した寸法情報をユーザが修正可能にすることで、寸法情報生成部13が生成した寸法情報の精度が、製品の設計、解析などを行うツールで利用可能な精度に満たなかったとしても、ユーザによって利用可能な精度まで高めることができる。また、寸法情報出力部15が修正後の寸法情報を回路CAD、基板CADなどの2D-CADの装置に出力することで、より精度の高い2Dモデルを自動生成することができる。同様に、寸法情報出力部15が修正後の寸法情報を3D-CADの装置に出力することで、より精度の高い3Dモデルを自動生成することができる。
【0063】
仕様情報生成装置1のハードウェア構成について図13を用いて説明する。図13に示すように、仕様情報生成装置1は、一時記憶部101、記憶部102、計算部103、入力部104、送受信部105および表示部106を備える。一時記憶部101、記憶部102、入力部104、送受信部105および表示部106はいずれもBUSを介して計算部103に接続されている。
【0064】
計算部103は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。計算部103は、記憶部102に記憶されている制御プログラムに従って、仕様情報生成装置1の寸法値抽出部12、寸法情報生成部13、寸法情報出力部15および寸法情報修正部17の各処理を実行する。
【0065】
一時記憶部101は、例えばRAM(Random-Access Memory)である。一時記憶部101は、記憶部102に記憶されている制御プログラムをロードし、計算部103の作業領域として用いられる。
【0066】
記憶部102は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD-RAM(Digital Versatile Disc - Random Access Memory)、DVD-RW(Digital Versatile Disc - ReWritable)などの不揮発性メモリである。記憶部102は、仕様情報生成装置1の処理を計算部103に行わせるためのプログラムを予め記憶し、また、計算部103の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを計算部103に供給し、計算部103から供給されたデータを記憶する。フレーム記憶部14および寸法情報記憶部16は、記憶部102に構成される。
【0067】
入力部104は、キーボード、ポインティングデバイス、音声入力機器などの入力装置と、入力装置をBUSに接続するインタフェース装置である。入力部104を介して、ユーザが入力した情報が計算部103に供給される。入力部104は、寸法情報修正部17として機能する。ユーザが仕様情報生成装置1に二次元データを入力する構成では、入力部104は、データ取得部11として機能する。
【0068】
送受信部105は、ネットワークに接続する網終端装置または無線通信装置、およびそれらと接続するシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェースである。仕様情報生成装置1が他の装置またはシステムから二次元データを取得する構成では、送受信部105は、データ取得部11として機能する。仕様情報生成装置1が寸法情報をユーザが使用する端末に送信する構成では、送受信部105は、寸法情報出力部15として機能する。寸法情報修正部17が、ユーザが使用する端末に修正画面を送信する構成では、送受信部105は、寸法情報修正部17として機能する。
【0069】
表示部106は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置である。表示部106は、寸法情報出力部15および寸法情報修正部17として機能する。データ取得部11が入力画面を表示する構成では、表示部106は、データ取得部11として機能する。
【0070】
図1および図11に示す仕様情報生成装置1のデータ取得部11、寸法値抽出部12、寸法情報生成部13、フレーム記憶部14、寸法情報出力部15、寸法情報記憶部16、および、寸法情報修正部17の処理は、制御プログラムが、一時記憶部101、計算部103、記憶部102、入力部104、送受信部105および表示部106などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0071】
その他、前記のハードウェア構成およびフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0072】
計算部103、一時記憶部101、記憶部102、入力部104、送受信部105、表示部106などの仕様情報生成装置1の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc - Read Only Memory)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する仕様情報生成装置1を構成してもよい。また、インターネットのような通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロードすることで仕様情報生成装置1を構成してもよい。
【0073】
また、仕様情報生成装置1の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合には、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体、記憶装置に格納してもよい。
【0074】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して提供することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、通信ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを提供してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できる構成にしてもよい。
【0075】
上記の実施の形態では、部品図上の寸法値の位置に対応する寸法属性が予め決められおり、寸法情報生成部13は、これに基づいて部品の寸法値と寸法の属性とを対応付けて寸法情報を生成する。これに限らず、寸法情報生成部13は、電気製品の部品のデータシートのひな形を学習し、学習した電気製品の部品のデータシートのひな形に基づいて、部品の寸法値と寸法の属性とを対応付けて寸法情報を生成してもよい。電気製品の部品のデータシートのひな形は、二次元データにおける寸法値の位置の記載パターンの例である。
【0076】
上記の実施の形態では、寸法値抽出部12は、パッケージ名を示す情報と、寸法の文字列を示す「寸法(mm)」と、公差の文字列を示す「公差(mm)」と、文字列が二次元データ上に存在する位置を示す「座標(X,Y)」と、文字列の長さを示す「文字列長」とを含む寸法値情報を生成したが、これに限らない。例えば、寸法値抽出部12は、図14に示すような「寸法(mm)」、「公差(mm)」、「座標(X,Y)」、および、「文字列長」に加えて、文字列に含まれる文字の種類(ひらがな、カタカナ、漢字、英字、数字、記号など)の情報を含む寸法値情報を生成してもよい。
【0077】
上記の実施の形態2において、寸法値抽出部12は、OCR機能で抽出した寸法値の文字列の確度を判定する機能を有してもよい。例えば、寸法値抽出部12は、OCR機能で抽出した寸法値の文字列に複数の文字の種類(ひらがな、カタカナ、漢字、英字、数字、記号)が含まれている場合、文字の種類ごとの文字数、文字の並び順などに基づいて、抽出した寸法値の文字列の確度を判定する。あるいは、寸法値抽出部12は、着目する文字列から決められた範囲内に存在する他の文字列の文字の種類と比較して抽出した寸法値の文字列の確度を判断してもよい。前者の場合、例えば、記号の「±」を漢字の「土」と認識してしまった場合のように、数字の文字列の中に漢字、ひらがな、カタカナのいずれかが一文字入っている場合、その寸法値の文字列の確度は低いと判定する。後者の場合、例えば、決められた範囲内の他の文字列がすべて数字であるのに、着目する文字列に漢字、ひらがな、カタカナのいずれかが混ざっている場合、その寸法値の文字列の確度は低いと判定する。このような、寸法値の文字列の確度を判定するための条件は、ユーザが設定してもよいし、仕様情報生成装置1が電気製品の部品のデータシートのひな形を学習して自動的に設定してもよい。また、寸法値抽出部12は、寸法値の文字列の確度だけでなく、その他の文字列の確度も判定してもよい。
【0078】
寸法値抽出部12は、文字列の確度が低いと判定した寸法値を示す低確度寸法値情報を生成し、寸法値情報および二次元データと共に寸法情報生成部13に送る。寸法情報生成部13は、寸法値抽出部12から寸法値情報および二次元データと共に低確度寸法値情報を受け取ると、例えば、文字列の確度が低いと判定した寸法値を強調表示する寸法情報を生成する。寸法情報出力部15は、文字列の確度が低いと判定した寸法値を強調表示する寸法情報を出力する。寸法情報修正部17は、寸法情報記憶部16が記憶する二次元データおよび文字列の確度が低いと判定した寸法値を強調表示する寸法情報を表示するGUIで構成された修正画面を表示する。ユーザは、寸法情報修正部17が表示した修正画面上の寸法情報の修正を行う。このとき、文字列の確度が低いと判定した寸法値が強調表示されているので、ユーザによる寸法情報の修正が容易になる。
【0079】
上記の実施の形態2では、寸法情報修正部17は、寸法情報記憶部16が記憶する二次元データおよび寸法情報を表示する修正画面を表示するが、これに限らない。寸法情報修正部17は、修正画面で修正された寸法情報に基づいて、寸法情報の修正パターンを学習し、学習した修正パターンに基づいて、寸法情報生成部13が生成した寸法情報を補正し、二次元データおよび補正した寸法情報を表示した修正画面を表示してもよい。なお、寸法情報修正部17の寸法情報の修正パターンを学習する機能は、学習状態を段階的に戻せる、または、リセット可能にしてもよい。これにより、学習によって補正された寸法値情報の精度が下がった場合に、精度を上げることができる。
【0080】
上記の実施の形態では、ユーザが第1の入力方法で二次元データをデータ取得部11に入力した場合、寸法値抽出部12は、二次元データの画像の向きを判別する。これに限らず、寸法値抽出部12は、第1の入力方法でデータ取得部11に入力された二次元データを回転させて、複数の角度の二次元データに対して、OCR機能を用いて寸法値を抽出してもよい。
【0081】
この場合、寸法値抽出部12は、画像の向きを判別しなくてもよい。例えば、寸法値抽出部12は、パッケージ名を抽出できた角度の二次元データを正しい向きの二次元データとして取り扱う。あるいは、寸法値抽出部12が前述のOCR機能で抽出した文字列の確度を判定する機能を有する場合には、文字列の確度が最も高い角度の二次元データを正しい向きの二次元データとして取り扱う。二次元データを回転させる角度は、例えば、0度、90度、180度、270度の4つでもよいし、さらに細かく分けた角度でもよい。また、二次元データを回転させる角度は、予め設定されていてもよいし、ユーザが設定してもよい。
【0082】
上記の実施の形態では、寸法値抽出部12は、二次元データから、文字列と、文字列が二次元データ上に存在する位置座標と、文字列の長さとを抽出する。一般的に、OCR機能は抽出対象に記載されている文字の間隔から文字列が分断される箇所を自動で判定する。寸法値抽出部12は、このOCR機能の文字列が分断される箇所を判定する文字の間隔を設定可能にしてもよい。この場合、寸法値抽出部12は、文字列が二次元データ上に存在する位置座標および文字列の長さに基づいて、Y座標が同一で互いの間隔が設定した閾値以下である複数の文字列については、一連の文字列とみなす。この閾値は、ユーザが設定にしてもよいし、仕様情報生成装置1が電気製品の部品のデータシートのひな形を学習して自動的に設定してもよい。
【0083】
上記の実施の形態では、仕様情報生成装置1は、電気製品の部品のデータシートの部品図の領域から部品の寸法値を抽出して寸法情報を生成したが、仕様情報生成装置1が生成する仕様情報は寸法情報に限らない。例えば、仕様情報生成装置1は、部品のデータシートの定格の領域から部品が対応する定格電圧、定格電流などの値を抽出して仕様情報を生成してもよい。この場合、寸法値抽出部12は、定格電圧、定格電流などの定格を示す文字列の候補を記憶しておき、定格の領域から抽出する。あるいは、寸法値抽出部12は、部品のデータシート全体から、定格を示す文字列を抽出してもよい。同様に、寸法値抽出部12は、部品のデータシートから、部品のピン数、材質、特性などのその他の仕様値を抽出し、仕様情報を生成してもよい。
【0084】
上記の実施の形態では、仕様情報生成装置1は、電気製品の部品のデータシートから部品の寸法を示す寸法情報を生成したが、これに限らない。例えば、仕様情報生成装置1は、板金、ネジなどの構造部品の仕様が記載された二次元データから、構造部品の仕様を示す仕様情報を生成してもよい。
【0085】
上記の実施の形態では、寸法情報は、部品の寸法を示す情報であるが、これに限らない。例えば、寸法情報は、部品の寸法だけでなく、実際の部品を3Dスキャンして得られた寸法値、X線装置で解析して得られた特性の情報などを含んでもよい。これにより、より高精度な寸法情報をユーザ、他の装置または他のシステムに提供することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 仕様情報生成装置、11 データ取得部、12 寸法値抽出部、13 寸法情報生成部、14 フレーム記憶部、15 寸法情報出力部、16 寸法情報記憶部、17 寸法情報修正部、20,50 二次元データ、21 名称、22 説明、23 定格、24 パッケージ名、25 部品図、30 入力画面、60 寸法情報、70 修正画面、101 一時記憶部、102 記憶部、103 計算部、104 入力部、105 送受信部、106 表示部、251 上面図、252 正面図、253 側面図、CL1,CL2,CL3 クラスター、L1,L2 中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14