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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】接合部材及び接合部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20240531BHJP
   B29C 63/02 20060101ALI20240531BHJP
   B32B 15/14 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
B32B15/08 M
B29C63/02
B32B15/14
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020109300
(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公開番号】P2022006809
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橘 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】岡部 良次
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昌美
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 保徳
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 剛一
(72)【発明者】
【氏名】由井 裕一
(72)【発明者】
【氏名】奥田 晃久
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/010017(WO,A1)
【文献】特開2013-230593(JP,A)
【文献】特開2003-225951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
B29C63/00-63/48
65/00-65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂部材と、
母材と、前記母材の表面に形成されて前記樹脂部材に包埋される立体格子部とを含む金属部材と、
を備え、
前記立体格子部は、複数の格子点と、前記格子点同士を接続する複数の腕とを有し、
前記複数の格子点のうち前記母材の前記表面から遠い最外格子点は、前記表面に対して傾斜面を形成する3以上の格子点を含み、
前記樹脂部材は、前記表面の法線方向において前記傾斜面の存在する範囲内まで入り込んだ繊維を含み、
前記繊維は、前記腕の長さの10倍以上の長さを有し、前記法線方向において前記傾斜面の存在する範囲内で前記法線方向と交差する方向に延在する
接合部材。
【請求項2】
樹脂部材と、
母材と、前記母材の表面に形成されて前記樹脂部材に包埋される立体格子部とを含む金属部材と、
を備え、
前記立体格子部は、複数の格子点と、前記格子点同士を接続する複数の腕とを有し、
前記複数の格子点のうち前記母材の前記表面から遠い最外格子点は、前記表面に対して傾斜面を形成する3以上の格子点を含み、
前記金属部材は、前記立体格子部の形成範囲において凹部を有し、
前記樹脂部材は、前記凹部に巻回されている第1繊維を含
合部材。
【請求項3】
前記樹脂部材は、前記第1繊維の外側で前記凹部に配置されていて前記第1繊維の延在方向と交差する方向に延在する第2繊維を含む
請求項に記載の接合部材。
【請求項4】
樹脂部材と、
母材と、前記母材の表面に形成されて前記樹脂部材に包埋される立体格子部とを含む金属部材と、
を備え、
前記立体格子部は、複数の格子点と、前記格子点同士を接続する複数の腕とを有し、
前記複数の格子点のうち前記母材の前記表面から遠い最外格子点は、前記表面に対して傾斜面を形成する3以上の格子点を含み、
前記金属部材は、外周面に前記立体格子部が形成された筒形状を有し、且つ、径方向にくびれた凹部が形成され、
前記凹部に配置されるインサート部材をさらに備え、
前記樹脂部材は、前記金属部材の周方向に巻回されている第1繊維を含み、前記凹部に配置された前記インサート部材と前記金属部材とを外側から覆う外筒部と、前記外筒部の内周面と前記金属部材の外周面との間に配置され前記外筒部と前記金属部材とを接着する接着層とを含
合部材。
【請求項5】
前記立体格子部は、前記傾斜面を含み、前記表面から離間する方向に突出する突出部を有する
請求項1乃至4の何れか一項に記載の接合部材。
【請求項6】
前記立体格子部は、前記複数の腕によって構成される単位格子又は単位構造が繰り返し現れる構造を有し、
前記単位格子又は前記単位構造の数は、前記表面から遠くなるにつれて少なくなる
請求項1乃至5の何れか一項に記載の接合部材。
【請求項7】
前記立体格子部は、前記傾斜面を含み、前記表面から離間する方向に突出する突出部を有し、
前記突出部は、複数の前記傾斜面によって形成される角錐部である
請求項1乃至の何れか一項に記載の接合部材。
【請求項8】
前記立体格子部は、前記母材に対してロウ付けされている
請求項1乃至の何れか一項に記載の接合部材。
【請求項9】
前記立体格子部が形成された前記母材と接合される金属製の基部をさらに備える
請求項1乃至の何れか一項に記載の接合部材。
【請求項10】
樹脂部材と、
母材と、前記母材の表面に形成されて前記樹脂部材に包埋される立体格子部とを含む金属部材と、
を備え、
前記立体格子部は、複数の格子点と、前記複数の格子点と前記母材の前記表面とを接続する複数の腕とを有し、
前記複数の格子点は、前記母材側から該格子点に向かって延在する2本の腕の先端同士の接続点であり、
前記立体格子部は、前記2本の腕の対を少なくとも2対含み、
前記2対の腕のうちの一方の対における一方の腕の基端は、前記2対の腕のうちの他方の対における一方の腕の基端と接続されており、
前記一方の対における前記2本の腕が接続される前記格子点と前記母材の前記表面との距離は、前記他方の対における前記2本の腕が接続される前記格子点と前記表面との距離と異なる
接合部材。
【請求項11】
前記一方の対における前記2本の腕と、前記他方の対に含まれる前記2本の腕とは、同じ平面に含まれる
請求項10に記載の接合部材。
【請求項12】
前記一方の対における前記2本の腕が含まれる平面と、前記他方の対に含まれる前記2本の腕が含まれる平面とは、交差している
請求項10に記載の接合部材。
【請求項13】
前記一方の対における前記2本の腕が接続される前記格子点と前記母材の前記表面との距離は、前記他方の対における前記2本の腕が接続される前記格子点と前記表面との距離と等しい
請求項10乃至12の何れか一項に記載の接合部材。
【請求項14】
金属部材における母材の表面に立体格子部を形成するステップと、
前記立体格子部を樹脂で包埋することで樹脂部材を前記金属部材に接合するステップと、
を備え、
前記立体格子部を形成するステップは、複数の格子点と、前記格子点同士を接続する複数の腕とを有するように前記立体格子部を形成するともに、前記複数の格子点のうち前記母材の前記表面から遠い最外格子点が前記表面に対して傾斜面を形成する3以上の格子点を含むように前記立体格子部を形成し、
前記金属部材は、前記立体格子部の形成範囲において凹部を有し、
前記樹脂部材を前記金属部材に接合するステップは、前記凹部に巻回されている第1繊維を含む前記樹脂部材を前記金属部材に接合する
接合部材の製造方法。
【請求項15】
前記立体格子部を形成するステップは、前記立体格子部を前記母材に対してロウ付けする
請求項14に記載の接合部材の製造方法。
【請求項16】
前記立体格子部が形成された前記母材と金属製の基部とを接合するステップ、
をさらに備える
請求項14又は15に記載の接合部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合部材、立体格子部材及び接合部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば金属材料と樹脂材料とを接合させた接合部材は、金属が有する特徴と樹脂が有する特徴とを併せ持つ材料として、様々な用途に使用可能である。このような金属材料と樹脂材料との接合部材では、金属と樹脂という異種材料同士を十分な接合強度で接合させる必要がある。
しかし、金属と樹脂との接合界面における接着強度は、例えば接合界面に存在する水分の影響によって金属の酸化等が生ずることで低下するおそれがある。
【0003】
そこで、金属と樹脂との接合界面における接着強度に依存せずに金属材料と樹脂材料との接合強度を確保する技術として、例えば、金属材料の表面に微細なポーラス構造を設け、このポーラス構造中に熱可塑性樹脂を入り込ませることで、熱可塑性樹脂層と金属材料とを接合する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-187861号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の製造方法で製造された接合部材のように、母材の表面にポーラス構造の層が形成された金属部材と、ポーラス構造の層に入り込んだ樹脂を含む樹脂部材とを有する接合部材を、例えば金属部材と樹脂部材とを互いに離間する方向に引張した場合について考える。
この場合、ポーラス構造を構成する金属部分のうち母材に近い領域に存在する金属部分には、当該領域に存在する金属部分に作用する荷重に加えて、当該領域よりも母材から遠い領域に存在する金属部分に作用する荷重を負担することとなる。
同様に、ポーラス構造内に入り込んだ樹脂のうち金属部材の母材から遠い領域に存在する樹脂には、当該領域に存在する樹脂に作用する荷重に加えて、当該領域よりも金属部材の母材に近い領域に存在する樹脂に作用する荷重を負担することとなる。
したがって、ポーラス構造を構成する金属部分では、母材に近づくにつれて荷重の負担が増加する。また、ポーラス構造内に入り込んだ樹脂では、金属部材の母材から遠ざかるにつれて荷重の負担が増加する。
そのため、上述したような荷重の負担が増加する領域における荷重の負担を減らすことが、接合部材の接合強度の向上に寄与する。
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、接合部材における接合強度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る接合部材は、
樹脂部材と、
母材と、前記母材の表面に形成されて前記樹脂部材に包埋される立体格子部とを含む金属部材と、
を備え、
前記立体格子部は、複数の格子点と、前記格子点同士を接続する複数の腕とを有し、
前記複数の格子点のうち前記母材の前記表面から遠い最外格子点は、前記表面に対して傾斜面を形成する3以上の格子点を含む。
【0008】
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係る接合部材は、
樹脂部材と、
母材と、前記母材の表面に形成されて前記樹脂部材に包埋される立体格子部とを含む金属部材と、
を備え、
前記立体格子部は、複数の格子点と、前記複数の格子点と前記母材の前記表面とを接続する複数の腕とを有し、
前記複数の格子点は、前記母材側から該格子点に向かって延在する2本の腕の先端同士の接続点である。
【0009】
(3)本開示の少なくとも一実施形態に係る立体格子部材は、
金属製の2本の腕をそれぞれ含み、該2本の腕の一方の端部同士が接続され、他方の端部同士が離間していて、該2本の腕のなす角度がそれぞれ180度未満である第1単位部材、第2単位部材、第3単位部材、及び第4単位部材を少なくとも備え、
前記第1単位部材、前記第2単位部材、前記第3単位部材、及び前記第4単位部材は、前記第1単位部材、前記第2単位部材、前記第3単位部材、及び前記第4単位部材のそれぞれにおける前記2本の腕のうちの一方の腕の前記他方の端部で互いに接続されており、
前記第1単位部材における前記2本の腕が含まれる第1平面は、前記第2単位部材における前記2本の腕が含まれる第2平面と同じ平面であり、
前記第3単位部材における前記2本の腕が含まれる第3平面は、前記第4単位部材における前記2本の腕が含まれる第4平面と同じ平面であり、且つ、前記第1平面及び前記第2平面と異なる平面である。
【0010】
(4)本開示の少なくとも一実施形態に係る接合部材の製造方法は、
金属部材における母材の表面に立体格子部を形成するステップと、
前記立体格子部を樹脂で包埋することで樹脂部材を前記金属部材に接合するステップと、
を備え、
前記立体格子部を形成するステップは、複数の格子点と、前記格子点同士を接続する複数の腕とを有するように前記立体格子部を形成するともに、前記複数の格子点のうち前記母材の前記表面から遠い最外格子点が前記表面に対して傾斜面を形成する3以上の格子点を含むように前記立体格子部を形成する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、接合部材における接合強度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】幾つかの実施形態に係る接合部材の断面を模式的に示した図である。
図2A図1に示した接合部材の後述する立体格子部の一例についての全体的な形状を示す模式的な断面図である。
図2B図1に示した接合部材の立体格子部の他の一例についての全体的な形状を示す模式的な断面図である。
図2C図1に示した接合部材の立体格子部のさらに他の一例についての全体的な形状を示す模式的な断面図である。
図3A】立体格子部を構成する単位格子の一例を示す斜視図である。
図3B】立体格子部の一例についての斜視図である。
図3C】突出部について説明するための模式的な図である。
図3D】それぞれ突出部の配置の例を示した模式的な図である。
図3E】それぞれ突出部の配置の例を示した模式的な図である。
図3F】それぞれ突出部の配置の例を示した模式的な図である。
図3G】それぞれ突出部の配置の例を示した模式的な図である。
図4A】他の実施形態に係る立体格子部の一部についての斜視図である。
図4B】さらに他の実施形態に係る立体格子部の一部についての斜視図である。
図4C】さらに他の実施形態に係る立体格子部の一部についての斜視図である。
図4D】さらに他の実施形態に係る立体格子部の一部についての斜視図である。
図5】立体格子部材の一例を示す斜視図である。
図6A】母材とは別に形成した立体格子部を母材と一体化する方法を説明するための模式的な図である。
図6B】立体格子部を備える金属部材と金属製の基部とを接合する様子を模式的に示した図である。
図7A】接合部材の例としてのロケットエンジンの燃焼室の模式的な断面図である。
図7B】外筒を接合する前の内筒の模式的な断面図である。
図8】他の実施形態に係る燃焼室の模式的な断面図である。
図9A】さらに他の実施形態に係る燃焼室の模式的な断面図である。
図9B】外筒部を被せる前の燃焼室の模式的な断面図である。
図9C】外筒部の模式的な断面図である。
図10A】幾つかの実施形態に係る接合部材の製造方法の手順を示すフローチャートである。
図10B】他の実施形態に係る接合部材の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0014】
図1は、幾つかの実施形態に係る接合部材の断面を模式的に示した図である。
図2Aは、図1に示した接合部材の後述する立体格子部の一例についての全体的な形状を示す模式的な断面図である。
図2Bは、図1に示した接合部材の立体格子部の他の一例についての全体的な形状を示す模式的な断面図である。
図2Cは、図1に示した接合部材の立体格子部のさらに他の一例についての全体的な形状を示す模式的な断面図である。
図3Aは、立体格子部を構成する単位格子の一例を示す斜視図である。
図3Bは、立体格子部の一例についての斜視図である。
図3Cは、突出部(角錐部)について説明するための模式的な図である。
【0015】
(接合部材1について)
図1に示した幾つかの実施形態に係る接合部材1は、金属部材10と樹脂部材20とを接合した接合部材である。すなわち、図1に示した幾つかの実施形態に係る接合部材1は、金属と樹脂との複合体である。
図1に示した幾つかの実施形態に係る金属部材10は、母材11と、母材11の表面11aに形成されて樹脂部材20に包埋される立体格子部13とを含む。
幾つかの実施形態では、立体格子部13は、内部に空洞が形成された三次元構造を含んでいる。具体的には、幾つかの実施形態では、例えば図3Bに示すように、立体格子部13は、複数の格子点131と、格子点131同士を接続する複数の腕135とを有する。
幾つかの実施形態では、立体格子部13の内部の空洞は、樹脂部材20の樹脂21で満たされている。
【0016】
幾つかの実施形態では、樹脂部材20は、母材11の表面11aの法線方向DNにおいて後述する傾斜面143の存在する範囲内まで入り込んだ繊維23を含むとよい。
これにより、母材11の表面11aの法線方向DNにおいて上記傾斜面143の存在する範囲内まで入り込んだ繊維23によって立体格子部13を包埋する樹脂21の強度を向上でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
なお、図2A乃至図2Cにおいて、繊維23の存在を示すために描いた線分の長さや延在方向、線分の密度は、実際の繊維23の長さや延在方向、樹脂21中の繊維23の密度とは無関係である。
【0017】
幾つかの実施形態では、上記繊維23の長さは、腕135の長さの0.5倍以上10倍以下であってもよい。以下の説明では、腕135の長さの0.5倍以上10倍以下の長さを有する繊維23のことを短繊維23Sとも称する。
これにより、短繊維23Sが立体格子部13の内部の空洞にも入り込み易くなるので、立体格子部13を包埋する樹脂21の強度を向上でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0018】
以下の説明では、腕135の長さの10倍以上の長さを有する繊維23のことを長繊維23Lとも称する。
幾つかの実施形態では、上記繊維23は、腕135の長さの10倍以上の長さを有し、上記法線方向DNにおいて上記傾斜面143の存在する範囲内で上記法線方向DNと交差する方向に延在してもよい。具体的には、長繊維23Lの延在方向は、法線方向DNとの乖離が比較的大きくても、すなわち、母材11の表面11aの延在方向に比較的近づいてもよい。
これにより、長繊維23Lの延在方向に沿って樹脂部材20に引張応力が作用するような外力に対する接合部材1の強度を向上できる。
【0019】
なお、長繊維23Lは、例えば金属部材10の外周に巻き付けられているような連続繊維であってもよい。
【0020】
(立体格子部13について)
幾つかの実施形態では、立体格子部13は、複数の腕135によって構成される単位格子40又は単位構造41が繰り返し現れる構造を有するとよい。
幾つかの実施形態では、単位格子40は、例えば複数の格子点131を頂点とする多面体形状を有し、該多面体における各面の辺の数が等しい立体格子形状を有するとよい。
幾つかの実施形態では、単位構造41は、複数の格子点131を含む面で上記単位格子40を2つ以上に分割した形状を有しているとよい。
例えば図3Aに示したように、単位格子40は、例えば正八面体形状を有していてもよい。図3Aに示した単位格子40は、単位構造41としての2つの四角錐41A、41Bの底面同士を重ね合わせた形状を有しており、それぞれの四角錐41A、41Bにおいて、頂点43と底面の角45とを結ぶ線分、すなわち斜辺に相当する位置に腕135が配置されている。四角錐41A、41Bの頂点43と底面の角45は、格子点131に相当する。
図3Aに示すような単位格子40(単位構造41)を有する立体格子部13であれば、積層造形時には、腕135が水平方向と交差する方向に延在するように母材11の姿勢を設定すれば、例えばパウダーベッド方式やメタルデポジッション方式の積層造形法において、腕135のサポートを設けなくても腕135を造形できる。
【0021】
なお、幾つかの実施形態では、複数の腕135の太さは、例えば0.1mm以上10mm以下であってもよい。また、幾つかの実施形態では、複数の腕135の長さは、例えば腕の太さの1倍以上10倍以下であってもよい。
【0022】
(突出部30)
図2A乃至図2Cに示すように、幾つかの実施形態に係る立体格子部13は、立体格子部13を全体的に見たときに、母材11の表面11aから離間する方向に突出する突出部30を有する。幾つかの実施形態に係る立体格子部13は、複数の突出部30を有するとよい。なお、各々の突出部30は、単位格子40における上述した単位構造41(四角錐41A又は四角錐41B)を少なくとも1つ含むとよい。
例えば、図3Bに示す例では、突出部30は、全体的に見て四角錐形状を有する。図3Cは、図3Bに示した突出部30に係る四角錐形状を模式的に表した図であり、四角錐の側方から見た状態を表している。なお、図3Bでは、図の煩雑化を避けるために、突出部30は一つだけ図示している。
図3Bに示す例では、突出部30は、四角錐形状の頂点30bを格子点131の一つとする一つの単位格子40と、この単位格子40を四方から取り囲むように配置された4つの単位構造41(四角錐41A)を含んでいる。以下の説明では、例えば図3Bに示す例のように、全体的に見て四角錐形状を有している突出部30のことを角錐部30とも称する。すなわち、突出部30は、複数の傾斜面143によって形成される角錐部30であってもよい。
なお、説明の便宜上、腕135の端部135aと母材11の表面11aとの接続部分についても格子点131と呼ぶ。すなわち、幾つかの実施形態では、格子点131は、腕135の端部135aが該腕135以外の部材、例えば他の腕135の端部135aや母材11の表面11a等、と接続されている接続部分のことを指すものとする。
換言すると、幾つかの実施形態では、格子点131には、少なくとも1本の腕135の端部135aが存在する。
【0023】
図2A乃至図2Cに示すように、幾つかの実施形態に係る立体格子部13は、母材11の表面11aから離れるにつれて突出部30の大きさが小さくなるように、例えば錐状に形成されている。図3Bに示した例では、突出部30は四角錐形状を有しているが、三角錐形状や六角錐形状等、四角錐形状以外の多角錐形状を有していてもよい。
なお、突出部30は、図2B及び図2Cに示すように、母材11の表面11aに直接形成されていてもよく、図2Aに示すように、複数の単位格子40によって母材11の表面11aに形成された1層以上の単位格子40の層140(図3B参照)を介して形成されていてもよい。突出部30は、図3Bに示すような複数の単位構造41によって母材の表面に形成された1層以上の単位構造41の層141を介して形成されていてもよい。
また、突出部30は、例えば図2Cに示すように、突出部30の突出方向(母材11の表面11aから離間する方向)とは交差する方向に向かって突出部30の側面から突出する突部33を有していてもよい。図2Cに示す突出部30では、突部33が突出部30を包埋する樹脂に対してアンカーの役割を果たすので、接合部材1の接合強度が向上する。
【0024】
(突出部30の配置について)
図3D乃至図3Gは、それぞれ突出部の配置の例を示した模式的な図であり、立体格子部を樹脂部材側から見たときの図である。説明の便宜上、図3D乃至図3Gでは、突出部30は角錐部30であるものとして説明する。
図3D及び図3Eに示すように、幾つかの実施形態では、突出部30は、母材11の表面11aにおいて、突出部30同士が隣接するように配置してもよい。すなわち、図3D及び図3Fに示す例では、隣り合う突出部30同士は、角錐の仮想的な底面を規定する仮想的な辺の少なくとも一部が、重複するように配置されている。
【0025】
また、図3F及び図3Gに示すように、幾つかの実施形態では、突出部30は、母材11の表面11aにおいて、複数の突出部30が互いに離間するように配置してもよい。
図3D及び図3Fに示すように、幾つかの実施形態では、複数の突出部30は、上記の仮想的な辺の延在方向に沿って格子状に配置されていてもよい。
図3E及び図3Gに示すように、幾つかの実施形態では、複数の突出部30は、千鳥状に配置されていてもよい。
【0026】
(最外格子点133について)
上述した幾つかの実施形態に係る立体格子部13では、複数の格子点131のうち母材11の表面11aから遠い最外格子点133は、上記表面11aに対して傾斜面143を形成する3以上の格子点131を含む。なお、図3Bに示した例では、図3Bに表れている角錐部30に含まれる4つの傾斜面143のうちの一つの傾斜面143を太い二点鎖線で表している。また、図3Bに示した例では、一つの傾斜面143は、6つの最外格子点133を含んでいる。
なお、単位格子40が図3Aに示すような正八面体形状を有していれば、角錐部30としての最小構成は、一つの四角錐41Aである。そして、最小の傾斜面143は、一つの四角錐41Aの傾斜面143であり、この場合、傾斜面143は、3つの最外格子点133を含む。
【0027】
ここで、母材11の表面11aから遠い最外格子点133とは、立体格子部13を樹脂部材20側から見たときに立体格子部13の表面に存在する格子点131である。
また、傾斜面143は、最外格子点133によって形成される仮想的な面である。傾斜面143は、立体格子部13の外観に表れる仮想的な面であり、立体格子部13の内部と外部とを隔てる仮想的な面である。換言すると、最外格子点133は、立体格子部13を外側(樹脂部材20側)から見たときに立体格子部13の内部と外部との境界面に相当する仮想的な面を規定する格子点131である。
例えば、図3Bに示した例では、四角錐形状を有する突出部30の側面30aが傾斜面143である。
【0028】
例えば接合部材1を、金属部材10と樹脂部材20とを互いに離間する方向に引張した場合について考える。
この場合、立体格子部13を構成する複数の腕135のうち母材11の表面11aに近い領域に存在する腕135には、当該領域に存在する腕135に作用する荷重に加えて、当該領域よりも母材11の表面11aから遠い領域に存在する腕135に作用する荷重を負担することとなる。
同様に、立体格子部13を包埋する樹脂21のうち金属部材10の母材11の表面11aから遠い領域に存在する樹脂21には、当該領域に存在する樹脂21に作用する荷重に加えて、当該領域よりも金属部材10の母材11の表面11aに近い領域に存在する樹脂21に作用する荷重を負担することとなる。
したがって、立体格子部13を構成する複数の腕135では、母材11の表面11aに近づくにつれて荷重の負担が増加する傾向がある。また、立体格子部13を包埋する樹脂21では、金属部材10の母材11の表面11aから遠ざかるにつれて荷重の負担が増加する傾向がある。
そのため、立体格子部13において単位体積当たりの腕135の占める割合が母材11の表面11aに近づくにつれて大きくなれば、腕135の応力増加を抑制できる。また、立体格子部13を包埋する樹脂21において、単位体積当たりの樹脂21の占める割合が母材11の表面11aから離れるにつれて大きくなれば、立体格子部13を包埋する樹脂21の応力増加を抑制できる。
【0029】
上述した幾つかの実施形態に係る接合部材1では、立体格子部13が3以上の最外格子点133で形成される傾斜面143を有するので、立体格子部13の大きさが母材11の表面11aの法線方向DNの位置によって徐々に変化する。したがって、母材11の表面11aから離れるにつれて立体格子部13の大きさが徐々に小さくなるように、すなわち、母材11の表面11aに近づくにつれて立体格子部13の大きさが徐々に大きくなるように傾斜面143を形成すれば、単位体積当たりの腕135の占める割合は、母材11の表面11aに近づくにつれて徐々に大きくなり、単位体積当たりの樹脂21の占める割合は、母材11の表面11aから離れるにつれて徐々に大きくなる。
したがって、幾つかの実施形態に係る接合部材1によれば、腕135の応力増加及び立体格子部13を包埋する樹脂21の応力増加を抑制できるので、立体格子部13及び立体格子部13を包埋する樹脂21の強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0030】
また、幾つかの実施形態に係る接合部材1によれば、上述した単位体積当たりの腕135の占める割合や単位体積当たりの樹脂21の占める割合が母材11の表面11aからの距離に応じて徐々に変化するので、母材11(金属部材10)と樹脂部材20における樹脂21や繊維23との線膨張係数の違いに起因する熱応力を緩和できる。
例えば、樹脂部材20がCFRPであり、繊維23が上述した長繊維23Lや連続繊維である場合、繊維23が炭素繊維であることから、繊維23の引張強度が比較的大きく、且つ、金属部材10との線膨張係数の差が比較的大きい場合、上述したような熱応力の緩和の効果が一層高まる。
【0031】
上述した幾つかの実施形態に係る立体格子部13は、上述した傾斜面143を含む突出部30を有する。
そのため、突出部30において上述した単位体積当たりの腕135の占める割合や単位体積当たりの樹脂21の占める割合が母材11の表面11aからの距離に応じて徐々に変化する。これにより、突出部30において腕135の応力増加を抑制でき、母材11の表面11aからの位置が突出部30と同じ位置に存在する樹脂21、すなわち突出部30を包埋する樹脂21の応力増加を抑制できるので、突出部30及び突出部30を包埋する樹脂21の強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0032】
幾つかの実施形態に係る立体格子部13において、単位格子40又は単位構造41の数は、母材11の表面11aから遠くなるにつれて少なくなるとよい。例えば、図2A乃至図2Cに示すように、幾つかの実施形態に係る立体格子部13は、母材11の表面11aから離れるにつれて突出部30の大きさが小さくなるように形成されているとよい。
これにより、単位体積当たりの腕135の占める割合は、母材11の表面11aに近づくにつれて徐々に大きくなり、単位体積当たりの樹脂21の占める割合は、母材11の表面11aから離れるにつれて徐々に大きくなる。したがって、腕135の応力増加及び立体格子部13を包埋する樹脂21の応力増加を抑制できるので、立体格子部13及び立体格子部13を包埋する樹脂21の強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0033】
上述したように、幾つかの実施形態に係る立体格子部13は、複数の傾斜面143によって形成される角錐部(突出部)30を複数有する。
角錐部30では、上述した単位体積当たりの腕135の占める割合や単位体積当たりの樹脂21の占める割合が母材11の表面11aからの距離に応じて徐々に変化する。これにより、角錐部30において腕135の応力増加を抑制でき、母材11の表面11aからの位置が角錐部30と同じ位置に存在する樹脂21、すなわち角錐部30を包埋する樹脂21の応力増加を抑制できるので、角錐部30及び角錐部30を包埋する樹脂21の強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0034】
(立体格子部の他の実施形態について)
図4Aは、他の実施形態に係る立体格子部の一部についての斜視図である。
図4Bは、さらに他の実施形態に係る立体格子部の一部についての斜視図である。
図4Cは、さらに他の実施形態に係る立体格子部の一部についての斜視図である。
図4Dは、さらに他の実施形態に係る立体格子部の一部についての斜視図である。
【0035】
図4A乃至図4Dに示す立体格子部13は、複数の格子点131と、複数の格子点131と母材11の表面11aとを接続する複数の腕135とを有する。複数の格子点131は、母材11側から該格子点131に向かって延在する2本の腕135の先端136同士の接続点である。
図4A乃至図4Dに示す立体格子部13は、複数の単位部材50を含む。図4A乃至図4Dに示す立体格子部13では、複数の単位部材50のそれぞれは、金属製の2本の腕135をそれぞれ含み、該2本の腕135の一方の端部135a(先端136)同士が接続され、他方の端部135a(基端137)同士が離間していて、該2本の腕135のなす角度θがそれぞれ180度未満である。複数の単位部材50のそれぞれは、2本の腕135の対である。
【0036】
図4Aに示す立体格子部13では、複数の単位部材50が、腕135の基端137同士で接続されて連なった単位部材50の列5Aを複数含む。図4Aに示す立体格子部13では、複数の列5Aは、それぞれ列5Aの延在方向(第1延在方向)DAと直交する方向(第2延在方向)DBに間隔を空けて配置されている。
図4Aに示す立体格子部13では、複数の列5Aのそれぞれにおいて、列5Aに含まれる各単位部材50の腕135は、仮想的な平面PLa内に存在している。なお、仮想的な平面PLaは、複数の列5Aのそれぞれにおいて存在し、これら複数の仮想的な平面PLaが互いに平行であってもよい。
【0037】
図4Bに示すように、立体格子部13は、図4Aに示す立体格子部13における複数の列5Aに加えて、複数の単位部材50が、腕135の基端137同士で接続されて連なった単位部材50の列5Bを複数含んでいてもよい。図4Bに示す立体格子部13では、複数の列5Bは、それぞれ列5Aの延在方向DAと直交する方向DBに延在している。図4Bに示す立体格子部13では、複数の列5Bは、列5Aの延在方向DAに間隔を空けて配置されている。図4Bに示す立体格子部13では、複数の列5Bのれぞれにおける各単位部材50は、腕135の基端137Bが複数の列5Aのれぞれにおける各単位部材50の腕135の基端137Aに接続されている。
図4Bに示す立体格子部13では、複数の列5Bのそれぞれにおいて、列5Bに含まれる各単位部材50の腕135は、仮想的な平面PLb内に存在している。なお、仮想的な平面PLbは、複数の列5Bのそれぞれにおいて存在し、これら複数の仮想的な平面PLbが互いに平行であってもよい。
【0038】
なお、図4Cに示すように、立体格子部13は、図4Bに示す立体格子部13における複数の列5A及び列5Bに加えて、複数の単位部材50が、腕135の基端137同士で接続されて連なった単位部材50の列5Cを複数含んでいてもよい。
図4Cに示す立体格子部13を母材11の表面11aの法線方向DNから見ると、第2延在方向DBに沿って隣り合う2つの単位部材50(列5Aの単位部材50)と、この2つの単位部材50の腕135と基端137同士が接続されている列5Bの2つの単位部材50とで囲まれた矩形の領域11bが存在する。図4Cに示す立体格子部13では、単位部材50の列5Cは、この矩形の領域11bの対角線の1つと同じ方向DCに延在する。図4Cに示す立体格子部13では、複数の列5Cのれぞれにおける各単位部材50は、腕135の基端137Cが複数の列5Aのれぞれにおける各単位部材50の腕135の基端137A、及び、複数の列5Bのれぞれにおける各単位部材50の腕135の基端137Bに接続されている。
図4Cに示す立体格子部13では、複数の列5Cのそれぞれにおいて、列5Cに含まれる各単位部材50の腕135は、仮想的な平面PLc内に存在している。なお、仮想的な平面PLcは、複数の列5Cのそれぞれにおいて存在し、これら複数の仮想的な平面PLcが互いに平行であってもよい。
【0039】
また、図4Dに示すように、立体格子部13は、図4に示した立体格子部13における列5Cを1列ごとに間引き、図4Cに示した矩形の領域11bの対角線の他の1つと同じ方向DDに延在する単位部材50の列5Dを複数含んでいてもよい。図4Dに示す単位部材50の列5Dのそれぞれは、複数の単位部材50が、腕135の基端137同士で接続されて連なった列である。図4Dに示す立体格子部13では、複数の列5Dのれぞれにおける各単位部材50は、腕135の基端137Dが複数の列5Aのれぞれにおける各単位部材50の腕135の基端137A、複数の列5Bのれぞれにおける各単位部材50の腕135の基端137B、及び、複数の列5Cのれぞれにおける各単位部材50の腕135の基端137Cに接続されている。
図4Dに示す立体格子部13では、複数の列5Dのそれぞれにおいて、列5Dに含まれる各単位部材50の腕135は、仮想的な平面PLd内に存在している。なお、仮想的な平面PLdは、複数の列5Dのそれぞれにおいて存在し、これら複数の仮想的な平面PLdが互いに平行であってもよい。
【0040】
例えば金属材料と樹脂材料とを接合させた接合部材は、金属が有する特徴と樹脂が有する特徴とを併せ持つ材料として、様々な用途に使用可能である。このような金属材料と樹脂材料との接合部材では、金属と樹脂という異種材料同士を十分な接合強度で接合させる必要がある。
しかし、金属と樹脂との接合界面における接着強度は、例えば接合界面に存在する水分の影響によって金属の酸化等が生ずることで低下するおそれがある。
【0041】
そこで、金属と樹脂との接合界面における接着強度に依存せずに金属材料と樹脂材料との接合強度を確保するため、樹脂材料と金属材料とがそれぞれ井桁構造を有して互いの隙間に組み込まれるようにすることで樹脂材料と金属材料とを接合することが考えられる(例えば特許文献として国際公開第2017/082207号を参照)。
【0042】
上記の特許文献に記載の接合部材では、樹脂による井桁構造物に対して無電解めっき及び電解めっきを施すことで、樹脂による井桁構造物の隙間に金属材料による井桁構造物を形成している。
しかし、上記の特許文献に記載の接合部材では、金属材料による井桁構造物に対して金属材料によって形成された部位をさらに電解めっきで形成しようとしても、例えば数10mmを超えるような大きな部位を形成することは難しい。また、金属材料による井桁構造物に対して別途形成した金属製の部材を接合する場合、上記金属材料による井桁構造物の隙間には樹脂材料による井桁構造物が組み込まれているため、溶接によって接合することが困難である。そのため、例えばねじによる結合など、溶接によらない接合方法で井桁構造物と金属製の部材とを接合しなければならず、接合部の構造が複雑化したり、十分な接合強度が得られ難くなったりする等の不都合が生じるおそれがある。
【0043】
図4A乃至図4Dに示す立体格子部13では、母材11側から同一の格子点131に向かって延在する2本の腕135は、互い異なる角度に延在することとなる。そのため、樹脂部材20と金属部材10とが互いに離間又は位置がずれるような力が接合部材1に加えられた場合、立体格子部13及び樹脂部材20のうち立体格子部13を包埋している領域では、上記2本の腕135の少なくとも一方の腕135の延在在方向とは異なる方向に力が加わることとなる。そのため、腕135が樹脂21から腕135の延在方向に抜けてしまうような現象が起き難くなるので、立体格子部13と立体格子部13を包埋する樹脂21との接合強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0044】
図4A乃至図4Dに示す立体格子部13では、立体格子部13は、上記2本の腕135の対である単位部材50を少なくとも2対含む。上記2対(2つの単位部材50)の腕135のうちの一方の対(単位部材50)における一方の腕135の基端137は、上記2対(2つの単位部材50)の腕135のうちの他方の対(単位部材50)における一方の腕135の基端137と接続されている。
これにより、2対以上の腕135の対(単位部材50)が連続的に形成された立体格子部13によって立体格子部13と立体格子部13を包埋する樹脂21との接合強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0045】
図4A乃至図4Dに示す立体格子部13では、それぞれの列5A乃至列5Dにおいて、上記2対(2つの単位部材50)のうちの一方の対(単位部材50)における2本の腕135と、他方の対(単位部材50)に含まれる2本の腕135とは、同じ平面(平面PLa乃至平面PLd)に含まれる。
これにより、立体格子部13の大きさを上記平面(平面PLa乃至平面PLd)に沿って大きくすることが可能となる。
【0046】
図4B乃至図4Dに示す立体格子部13では、上記2対(2つの単位部材50)の腕135のうちの一方の対(単位部材50)が列5Aに含まれ、他方の対(単位部材50)が列5A以外の列5B乃至列5Dの何れかに含まれている場合について考える。この場合、一方の対(単位部材50)における2本の腕135が含まれる平面(例えば上記平面PLa)と、他方の対(単位部材50)に含まれる2本の腕135が含まれる平面(例えば上記平面PLb乃至平面PLdの何れか)とは、交差している。
この場合には、立体格子部13の大きさを母材11の表面11aに沿って大きくすることが可能となる。
【0047】
図4A乃至図4Dに示す立体格子部13では、上記2対(2つの単位部材50)の腕135のうちの一方の対(単位部材50)における2本の腕135が接続される格子点131(2本の腕135の先端136同士の接続点)と母材11の表面11aとの距離は、他方の対(単位部材50)における2本の腕135が接続される格子点131(2本の腕135の先端136同士の接続点)と母材11の表面11aとの距離と等しくてもよい。
すなわち、図4A乃至図4Dに示す立体格子部13において、2本の腕135の先端136同士の接続点の母材11の表面11aからの高さは、何れの単位部材50においても等しくてもよい。
このようにすることで、母材11の表面11aからの距離が等しい複数の格子点131を有する立体格子部13を形成できる。
【0048】
図4A乃至図4Dに示す立体格子部13では、上記2対(2つの単位部材50)の腕135のうちの一方の対(単位部材50)における2本の腕135が接続される格子点131(2本の腕135の先端136同士の接続点)と母材11の表面11aとの距離は、他方の対(単位部材50)における2本の腕135が接続される格子点131(2本の腕135の先端136同士の接続点)と母材11の表面11aとの距離と異なってもよい。
すなわち、図4A乃至図4Dに示す立体格子部13において、2本の腕135の先端136同士の接続点の母材11の表面11aからの高さが他の単位部材50とは異なる単位部材50があってもよい。
このようにすることで、他の格子点131とは母材11の表面11aからの距離が異なる格子点131を含む立体格子部13を形成できる。
【0049】
(立体格子部材6について)
上述した幾つかの実施形態では、立体格子部13は、母材11の表面11aに形成されており、母材11と一体化されている。立体格子部13と母材11とを一体化するためには、例えば三次元積層造形装置を用い、各種の積層造形法によって立体格子部13と母材11とを一体的に造形するようにしてもよい。
また、上述した幾つかの実施形態に係る立体格子部13を母材11とは別に形成してもよい。以下、母材11とは別に形成された立体格子部13のことを立体格子部材6とも呼ぶ。
図5は、立体格子部材6の一例を示す斜視図であり、図4Bに示した立体格子部13を母材11とは別に形成したものを表している。なお、幾つかの実施形態に係る立体格子部材6は、図4Bに示した立体格子部13のような形態に限らず、上述した立体格子部13の何れかのような形態であってもよい。
【0050】
図6Aは、母材11とは別に形成した立体格子部13(立体格子部材6)を母材11と一体化する方法を説明するための模式的な図である。例えば、幾つかの実施形態に係る金属部材10では、立体格子部13(立体格子部材6)は、母材11に対してロウ付けされていてもよい。例えば、図6Aに示すように、母材11の表面11aと立体格子部13(立体格子部材6)との間に、シート状のロウ材17を配置し、このロウ材17を溶融後固化させることで、母材11の表面11aに立体格子部13(立体格子部材6)をロウ付けすることができる。
これにより、例えば鋳造や削り出し等によって形成した、三次元積層造形装置では形成できないような比較的大きな母材11に対して、例えば三次元積層造形装置によって形成した立体格子部13をロウ付けすることもできる。これにより、金属部材10の大きさの制約を受け難くすることができる。
なお、例えば三次元積層造形装置によって形成することで立体格子部13(立体格子部材6)の大きさが制約を受けたとしても、複数の立体格子部13(立体格子部材6)を上述したように母材11にロウ付けすることで、比較的大型の金属部材10を得られる。
【0051】
また、比較的大型の製品を製造する場合、以下のようにしてもよい。図6Bは、立体格子部13を備える金属部材10と金属製の基部19とを接合する様子を模式的に示した図である。図6Bに示すように、立体格子部13を備える金属部材10を例えば溶接等によって金属製の基部19と接合することで、比較的大型の製品を得るようにしてもよい。すなわち、幾つかの実施形態では、接合部材1は、立体格子部13が形成された母材11と接合される金属製の基部19をさらに備えていてもよい。
これにより、例えば鋳造や削り出し等によって形成した、三次元積層造形装置では形成できないような比較的大きな基部19に対して、例えば三次元積層造形装置によって形成した金属部材10を接合することもできる。これにより、基部19の大きさの制約を受け難くすることができる。
【0052】
図5に示した立体格子部材6について、説明を補足する。
例えば図5に示した立体格子部材6では、単位部材50として、第1単位部材51、第2単位部材52、第3単位部材53、及び第4単位部材54を少なくとも備える。
例えば、第1単位部材51及び第2単位部材52は、同一の列5Aに含まれる隣り合う2つの単位部材50であるものとする。また、第3単位部材53及び第4単位部材54は、同一の列5Bに含まれる隣り合う2つの単位部材50であるものとする。
第1単位部材51、第2単位部材52、第3単位部材53、及び第4単位部材54は、第1単位部材51、第2単位部材52、第3単位部材53、及び第4単位部材54のそれぞれにおける2本の腕135のうちの一方の腕135の他方の端部135a(基端137)で互いに接続されているとよい。第1単位部材51における2本の腕135が含まれる第1平面PL1は、第2単位部材52における2本の腕135が含まれる第2平面PL2と同じ平面である。第3単位部材53における2本の腕135が含まれる第3平面PL3は、第4単位部材54における2本の腕135が含まれる第4平面PL4と同じ平面であり、且つ、第1平面PL1及び第2平面PL2と異なる平面であるとよい。
【0053】
例えば図5に示した立体格子部材6では、一方の端部135a(基端137)同士が接続されている2本の腕135が180度未満の角度θで交差している各単位部材50(第1単位部材51乃至第4単位部材54)を含む金属製の立体格子部材6が得られる。そして、例えばこの立体格子部材6を後述するようにロウ付け等によって金属製の母材11の表面11aに腕135の一方の端部135a又は他方の端部135aで接続することで、立体格子部材6を有する金属部材10が得られる。
立体格子部材6を有する金属部材10に対して、立体格子部材6を包埋する領域を有する樹脂部材20を設けることで金属部材10と樹脂部材20とが接合された接合部材1が得られる。
この接合部材1において、各単位部材50における2本の腕135は、互い異なる角度に延在することとなる。そのため、樹脂部材20と金属部材10とが互いに離間又は位置がずれるような力が接合部材1に加えられた場合、立体格子部材6及び樹脂部材20のうち立体格子部材6を包埋している領域では、上記2本の腕135の少なくとも一方の腕135の延在方向とは異なる方向に力が加わることとなる。そのため、腕135が樹脂21から腕135の延在方向に抜けてしまうような現象が起き難くなるので、立体格子部材6と立体格子部材6を包埋する樹脂21との接合強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
すなわち、例えば図5に示した立体格子部材6を接合部材1における金属部材10と樹脂部材20との接合のために用いれば、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0054】
例えば図5に示した立体格子部材6では、第1単位部材51、第2単位部材52、第3単位部材53、及び第4単位部材54のそれそれは、2本の腕135のなす角度θが鈍角であってもよい。
上述したように立体格子部材6を接合部材1における金属部材10と樹脂部材20との接合のために用いた場合、2本の腕135のなす角度θが鈍角であれば、該角度θが鋭角である場合と比べて、2本の腕135のそれぞれが母材11の表面11aとなす角度が小さくなる。これにより、金属部材10と樹脂部材20とが母材11の表面11aに沿って互いの位置がずれるような力(剪断力)が接合部材1に加えられた場合、各単位部材50の腕135には、母材11上で腕135を倒すような力が作用し難くなり、腕135の延在方向に沿った外力が作用し易くなるので、各単位部材50において上記剪断力に対する強度が向上する。そのため、上記剪断力に対する接合部材1の接合強度を向上できる。
【0055】
(金属部材10と樹脂部材20との接合について)
以下、金属部材10と樹脂部材20との接合について説明する。なお、以下の説明では、接合部材1の例として、例えばロケットエンジンの燃焼室を例に挙げて説明する。
図7Aは、接合部材1の例としてのロケットエンジンの燃焼室300を燃焼室300の軸線AXに沿って切断した模式的な断面図である。
図7Aに示す燃焼室300は、例えば銅系の合金製の内筒301と、内筒301の外周を取り囲む樹脂製の外筒303とを備えている。
図7Aに示す燃焼室300は、ノズルスロート310を有する。そのため、図7Aに示す燃焼室300の外径は、ノズルスロート310の形成位置において小さくなっている。以下の説明では、ノズルスロート310の形成位置において燃焼室300の外径が小さくなっている領域を凹部311と呼ぶ。
【0056】
図7Aに示す燃焼室300では、内筒301が上述した金属部材10に該当し、外筒303が樹脂部材20に該当する。図7Aに示す燃焼室300では、内筒301の外周面301aに上述した幾つかの実施形態に係る立体格子部13が形成されている。
【0057】
図7Aに示す燃焼室300では、外筒303には、内筒301の外周面301aに巻き付けられたカーボン繊維の連続繊維24が巻き付けられているとよい。これにより、燃焼室300において燃料の燃焼時に内筒301が受ける内圧によって内筒301が径方向外側に膨張することを連続繊維24によって抑制できる。すなわち、連続繊維24の延在方向に沿って外筒303に引張応力(周方向応力)が作用するような外力に対する燃焼室300の強度を向上できる。
また、内筒301の外周面301aに巻き付けられた連続繊維24は、例えば図7Aに示すように、立体格子部13の複数の突出部30同士の間の領域に入り込むことで、位置ずれ、特に燃焼室300の軸線AX方向へのずれが抑制される。
【0058】
なお、図7Aに示す燃焼室300では、内筒301(金属部材10)は、立体格子部13の形成範囲において凹部311を有する。図7Aに示す燃焼室300では、凹部311にも連続繊維24が巻き付けられているとよい。すなわち、外筒303(樹脂部材20)は、凹部311に巻回されている連続繊維24を含むとよい。
説明の便宜上、以下の説明では、内筒301の外周面301aに周方向に沿って巻き付けられた連続繊維24を第1繊維241とも称する。
【0059】
これにより、第1繊維241の延在方向に沿って樹脂部材20に引張応力が作用するような外力に対する接合部材1の強度を向上できる。
【0060】
図7Aに示す燃焼室300では、以下のようにして内筒301(金属部材10)と外筒303(樹脂部材20)とを接合してもよい。
図7Bは、外筒303を接合する前の内筒301の模式的な断面図である。
すなわち、図7Bに示すような内筒301の外周面301aにフィラメントワインディング法によって樹脂21を含浸させた連続繊維24を巻き付けて外筒303を形成し、その後、樹脂21を硬化させるとよい。
【0061】
図8は、他の実施形態に係る燃焼室300の模式的な断面図である。図8に示す燃焼室300では、外筒303(樹脂部材20)は、凹部311に巻き付けた連続繊維24の外側で凹部311配置した第2繊維252を含んでいる。
ここで、第2繊維252は、凹部311において燃焼室300の軸線AXに沿って延在する連続繊維25であり、連続繊維25の配置する径方向位置において軸線AXに沿って凹部311の一方端から他方端までの長さを有しているとよく、該一方端と該他方端との間を複数回往復可能な長さを有しているとなおよい。
【0062】
例えば、図8に示す燃焼室300を得るためには、例えば図7Aに示した燃焼室300に対して、例えば第2繊維252と第2繊維252に含浸させた樹脂21とによる積層造形が可能な積層造形装置を用いてもよい。
【0063】
図8に示す燃焼室300では、外筒303(樹脂部材20)は、第1繊維241の外側で上記凹部311に配置されていて第1繊維241の延在方向と交差する方向に延在する第2繊維252を含む。
これにより、第2繊維252の延在方向に沿って外筒303(樹脂部材20)に引張応力が作用するような外力に対する強度を向上できる。
特に、図8に示す燃焼室300では、ノズルスロート310を挟んだ図示上側の部分や図示下側の部分に径方向への曲げ応力が作用しても、第2繊維252が応力を負担する。そのため、ノズルスロート310を挟んだ図示上側の部分や図示下側の部分おける径方向への曲げ剛性を向上できる。
【0064】
図9Aは、さらに他の実施形態に係る燃焼室300の模式的な断面図である。図9Aに示す燃焼室300は、例えば、内筒301に予め形成された外筒303である外筒部303Aを被せ、内筒301と外筒部303Aとを接着剤27で接合することで得られる。
なお、図9Aに示す燃焼室300では、例えば金属製又はCFRP製のインサート部材305が凹部311に配置されていて、ノズルスロート310に対応する軸方向位置において、内筒301と外筒部303Aとの間に比較的大きな空間が残らないようするとよい。
【0065】
図9Bは、外筒部303Aを被せる前の燃焼室300の模式的な断面図である。
図9Cは、外筒部303Aの模式的な断面図である。
図9Aに示す燃焼室300では、以下のようにして内筒301(金属部材10)と外筒303(樹脂部材20)とを接合してもよい。
内筒301(金属部材10)と外筒303(樹脂部材20)とを接合するにあたり、例えば図9Bに示すように、インサート部材305を凹部311に配置する。インサート部材305は、例えば接着剤27で凹部311に接合させてもよい。
【0066】
インサート部材305を凹部311に配置した後、内筒301に予め形成された外筒部303Aを被せる。なお、図9A及び図9Cに示す外筒部303Aは、上述した第1繊維241を含んでいるとよい。
内筒301に外筒部303Aを被せた後、内筒301の外周面301aと外筒303(外筒部303A)の内周面303bとの間に接着剤27を供給して、内筒301と外筒部303Aとを接合する。なお、接着剤27は、上述した立体格子部13の内部の空洞に浸透する。接着剤が固化することで内筒301と外筒部303Aとを接着する接着層28が形成される。
【0067】
すなわち、図9Aに示す燃焼室300は、凹部311に配置されるインサート部材305を備える。内筒301(金属部材10)は、外周面301aに立体格子部13が形成された筒形状を有し、且つ、径方向にくびれた凹部311が形成されている。樹脂部材20は、内筒301(金属部材10)の周方向に巻回されている第1繊維241を含み、上記凹部311に配置されたインサート部材305と内筒301(金属部材10)とを外側から覆う外筒部303Aと、外筒部303Aの内周面303bと内筒301の外周面301aとの間に配置され外筒部303Aと内筒301とを接着する接着層28とを含む。
【0068】
これにより、上記凹部311に配置されたインサート部材305と内筒301とに外筒部303Aを被せ、外筒部303Aの内周面303bと内筒301の外周面301aとの間を接着剤27で接着することで、図9Aに示す燃焼室300を容易に得られる。
また、図9Aに示す燃焼室300によれば、筒形状を有する内筒301の内部に圧力が作用する場合、外筒部303Aの第1繊維241が内筒301の径方向への膨張を抑制するので、内筒301の耐圧性能を向上できる。
なお、上記凹部311の径方向外側にはインサート部材305及び接着層28を介して外筒部303Aが存在するので、上記凹部311において筒形状を有する内筒301の内部に圧力が作用しても、径方向への膨張が抑制される。
【0069】
(接合部材1の製造方法のフローチャート)
図10Aは、幾つかの実施形態に係る接合部材1の製造方法の手順を示すフローチャートである。
図10Aに示すように、幾つかの実施形態に係る接合部材1の製造方法は、金属部材10における母材11の表面11aに立体格子部13を形成するステップS10と、立体格子部13を樹脂21で包埋することで樹脂部材20を金属部材10に接合するステップS30と、を備える。立体格子部13を形成するステップS10は、複数の格子点131と、格子点131同士を接続する複数の腕135とを有するように立体格子部13を形成するともに、複数の格子点131のうち母材11の表面11aから遠い最外格子点133が上記表面11aに対して傾斜面143を形成する3以上の格子点131を含むように立体格子部13を形成する。
【0070】
すなわち、図10Aに示す幾つかの実施形態に係る接合部材1の製造方法では、立体格子部13を形成するステップS10は、上述した図3A乃至図3Gに示すような立体格子部13を母材11の表面11aに形成する。立体格子部13を形成するステップS10では、上述したように、例えば三次元積層造形装置を用い、各種の積層造形法によって立体格子部13と母材11とを一体的に造形することができる。
【0071】
樹脂部材20を金属部材10に接合するステップS30では、例えば、上述したように、フィラメントワインディング法によって樹脂21を含浸させた連続繊維24を金属部材10(例えば内筒301)に巻き付けて樹脂部材20(例えば外筒303)を形成し、その後、樹脂21を硬化させてもよい。また、樹脂部材20を金属部材10に接合するステップS30では、例えば、上述したように、予め形成しておいた樹脂部材20(例えば外筒部303A)を内筒301に被せた後、内筒301の外周面301aと外筒部303Aの内周面303bとの間に接着剤27を供給して、内筒301と外筒部303Aとを接合してもよい。
【0072】
図10Aに示す幾つかの実施形態に係る接合部材1の製造方法によれば、3以上の最外格子点133で形成される上記傾斜面143を有するように立体格子部13が形成されるので、立体格子部13の大きさが母材11の表面11aの法線方向DNの位置によって徐々に変化する。したがって、母材11の表面11aから離れるにつれて立体格子部13の大きさが徐々に小さくなるように、すなわち、母材11の表面11aに近づくにつれて立体格子部13の大きさが徐々に大きくなるように上記傾斜面143を形成すれば、単位体積当たりの腕135の占める割合は、母材11の表面11aに近づくにつれて徐々に大きくなり、単位体積当たりの樹脂21の占める割合は、母材11の表面11aから離れるにつれて徐々に大きくなる。
したがって、図10Aに示す幾つかの実施形態に係る接合部材1の製造方法によれば、接合部材1において、腕135の応力増加及び立体格子部13を包埋する樹脂21の応力増加を抑制できるので、立体格子部13及び立体格子部13を包埋する樹脂21の強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0073】
また、図10Aに示す幾つかの実施形態に係る接合部材1の製造方法によれば、上述した単位体積当たりの腕135の占める割合や単位体積当たりの樹脂21の占める割合が母材11の表面11aからの距離に応じて徐々に変化するように立体格子部13が形成されるので、接合部材1において、母材11(金属部材10)と樹脂部材20との線膨張係数の違いに起因する熱応力を緩和できる。
【0074】
図10Aに示す幾つかの実施形態に係る接合部材1の製造方法において、立体格子部13を形成するステップS10は、図6Aを参照して説明したように、立体格子部13を母材11に対してロウ付けしてもよい。
【0075】
これにより、例えば鋳造や削り出し等によって形成した、三次元積層造形装置では形成できないような大きな母材11に対して、例えば三次元積層造形装置によって形成した立体格子部13をロウ付けすることもできる。これにより、金属部材10の大きさの制約を受け難くすることができる。
【0076】
例えば、上述したように、金属部材10(例えば内筒301)が立体格子部13の形成範囲において凹部311を有する場合、樹脂部材20を金属部材10に接合するステップS30では、凹部311に巻回されている第1繊維241を含む樹脂部材20を金属部材10に接合するとよい。
すなわち、樹脂部材20を金属部材10に接合するステップS30では、例えば図7Bに示すような内筒301の外周面301aにフィラメントワインディング法によって樹脂21を含浸させた連続繊維24を巻き付けて外筒303を形成し、その後、樹脂21を硬化させるとよい。
これにより、第1繊維241の延在方向に沿って樹脂部材20に引張応力が作用するような外力に対する接合部材1の強度を向上できる。
【0077】
図10Bは、他の実施形態に係る接合部材1の製造方法の手順を示すフローチャートである。
図10Bに示すように、幾つかの実施形態に係る接合部材1の製造方法は、立体格子部13を形成するステップS10と、樹脂部材20を金属部材10に接合するステップS30とに加えて、立体格子部13が形成された母材11と金属製の基部19とを接合するステップS20をさらに備える。
【0078】
すなわち、図10Bに示す他の実施形態に係る接合部材1の製造方法において、母材11と基部19とを接合するステップS20では、図6Bを参照して説明したように、立体格子部13を備える金属部材10を例えば溶接等によって金属製の基部19と接合してもよい。
図10Bに示す他の実施形態に係る接合部材1の製造方法によれば、例えば鋳造や削り出し等によって形成した、三次元積層造形装置では形成できないような大きな基部19に対して、例えば三次元積層造形装置によって形成した金属部材10を接合することもできる。これにより、基部19の大きさの制約を受け難くすることができる。
【0079】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0080】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る接合部材1は、樹脂部材20と、母材11と、母材11の表面11aに形成されて樹脂部材20に包埋される立体格子部13とを含む金属部材10と、を備える。立体格子部13は、複数の格子点131と、格子点131同士を接続する複数の腕135とを有する。複数の格子点131のうち母材11の表面11aから遠い最外格子点133は、上記表面11aに対して傾斜面143を形成する3以上の格子点131を含む。
【0081】
上記(1)の構成によれば、腕135の応力増加及び立体格子部13を包埋する樹脂21の応力増加を抑制できるので、立体格子部13及び立体格子部13を包埋する樹脂21の強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0082】
また、上記(1)の構成によれば、上述した単位体積当たりの腕135の占める割合や単位体積当たりの樹脂21の占める割合が母材11の表面11aからの距離に応じて徐々に変化するので、母材11(金属部材10)と樹脂部材20との線膨張係数の違いに起因する熱応力を緩和できる。
【0083】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、立体格子部13は、上記傾斜面143を含み、上記表面11aから離間する方向に突出する突出部30を有する。
【0084】
上記(2)の構成によれば、突出部30において上述した単位体積当たりの腕135の占める割合や単位体積当たりの樹脂21の占める割合が母材11の表面11aからの距離に応じて徐々に変化する。これにより、突出部30において腕135の応力増加を抑制でき、母材11の表面11aからの位置が突出部30と同じ位置に存在する樹脂21、すなわち突出部30を包埋する樹脂21の応力増加を抑制できるので、突出部30及び突出部30を包埋する樹脂21の強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0085】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、立体格子部13は、複数の腕135によって構成される単位格子40又は単位構造41が繰り返し現れる構造を有する。単位格子40又は単位構造41の数は、上記表面11aから遠くなるにつれて少なくなる。
【0086】
上記(3)の構成によれば、単位体積当たりの腕135の占める割合は、母材11の表面11aに近づくにつれて徐々に大きくなり、単位体積当たりの樹脂21の占める割合は、母材11の表面11aから離れるにつれて徐々に大きくなる。
したがって、上記(3)の構成によれば、腕135の応力増加及び立体格子部13を包埋する樹脂21の応力増加を抑制できるので、立体格子部13及び立体格子部13を包埋する樹脂21の強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0087】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、突出部30は、複数の上記傾斜面143によって形成される角錐部30であってもよい。
【0088】
上記(4)の構成によれば、角錐部30において上述した単位体積当たりの腕135の占める割合や単位体積当たりの樹脂21の占める割合が母材11の表面11aからの距離に応じて徐々に変化する。これにより、角錐部30において腕135の応力増加を抑制でき、母材11の表面11aからの位置が角錐部30と同じ位置に存在する樹脂21、すなわち角錐部30を包埋する樹脂21の応力増加を抑制できるので、角錐部30及び角錐部30を包埋する樹脂21の強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0089】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、立体格子部13は、母材11に対してロウ付けされている。
【0090】
上記(5)の構成によれば、例えば鋳造や削り出し等によって形成した、三次元積層造形装置では形成できないような比較的大きな母材11に対して、例えば三次元積層造形装置によって形成した立体格子部13をロウ付けすることもできる。これにより、金属部材10の大きさの制約を受け難くすることができる。
【0091】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、立体格子部13が形成された母材11と接合される金属製の基部19をさらに備える。
【0092】
上記(6)の構成によれば、例えば鋳造や削り出し等によって形成した、三次元積層造形装置では形成できないような比較的大きな基部19に対して、例えば三次元積層造形装置によって形成した金属部材10を接合することもできる。これにより、基部19の大きさの制約を受け難くすることができる。
【0093】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、樹脂部材20は、上記表面11aの法線方向DNにおいて上記傾斜面143の存在する範囲内まで入り込んだ繊維23を含む。
【0094】
上記(7)の構成によれば、上記表面11aの法線方向DNにおいて上記傾斜面143の存在する範囲内まで入り込んだ繊維23によって立体格子部13を包埋する樹脂21の強度を向上でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0095】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、上記繊維23の長さは、腕135の長さの0.5倍以上10倍以下である。
【0096】
上記(8)の構成によれば、繊維23が立体格子部13の内部にも入り込み易くなるので、立体格子部13を包埋する樹脂21の強度を向上でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0097】
(9)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、上記繊維23は、腕135の長さの10倍以上の長さを有し、上記法線方向DNにおいて上記傾斜面143の存在する範囲内で上記法線方向DNと交差する方向に延在する。
【0098】
上記(9)の構成によれば、上記繊維23の延在方向に沿って樹脂部材20に引張応力が作用するような外力に対する接合部材1の強度を向上できる。
【0099】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、金属部材10は、立体格子部13の形成範囲において凹部311を有する。樹脂部材20は、凹部311に巻回されている第1繊維241を含む。
【0100】
上記(10)の構成によれば、第1繊維241の延在方向に沿って樹脂部材20に引張応力が作用するような外力に対する接合部材1の強度を向上できる。
【0101】
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の構成において、樹脂部材20は、第1繊維241の外側で上記凹部311に配置されていて第1繊維241の延在方向と交差する方向に延在する第2繊維252を含む。
【0102】
上記(11)の構成によれば、第2繊維252の延在方向に沿って樹脂部材20に引張応力が作用するような外力に対する強度を向上できる。
【0103】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、以下の凹部311に配置されるインサート部材305をさらに備える。金属部材10(内筒301)は、外周面301aに立体格子部13が形成された筒形状を有し、且つ、径方向にくびれた凹部311が形成されている。樹脂部材20は、金属部材10(内筒301)の周方向に巻回されている第1繊維241を含み、上記凹部311に配置されたインサート部材305と金属部材10(内筒301)とを外側から覆う外筒部303Aと、外筒部303Aの内周面303bと金属部材10(内筒301)の外周面301aとの間に配置され外筒部303Aと金属部材10(内筒301)とを接着する接着層28とを含む。
【0104】
上記(12)の構成によれば、上記凹部311に配置されたインサート部材305と金属部材10(内筒301)とに外筒部303Aを被せ、外筒部303Aの内周面303bと金属部材10(内筒301)の外周面301aとの間を接着剤27で接着することで、上記(12)の構成による接合部材1を容易に得られる。
また、上記(12)の構成によれば、筒形状を有する金属部材10(内筒301)の内部に圧力が作用する場合、外筒部303Aの第1繊維241が金属部材10(内筒301)の径方向への膨張を抑制するので、金属部材10(内筒301)の耐圧性能を向上できる。
なお、上記凹部311の径方向外側にはインサート部材305及び接着層28を介して外筒部303Aが存在するので、上記凹部311において筒形状を有する金属部材10(内筒301)の内部に圧力が作用しても、径方向への膨張が抑制される。
【0105】
(13)本開示の少なくとも一実施形態に係る接合部材1は、樹脂部材20と、母材11と、母材11の表面11aに形成されて樹脂部材20に包埋される立体格子部13とを含む金属部材10と、を備える。立体格子部13は、複数の格子点131と、複数の格子点131と母材11の表面11aとを接続する複数の腕135とを有する。複数の格子点131は、母材11側から該格子点131に向かって延在する2本の腕135の先端136同士の接続点である。
【0106】
上記(13)の構成によれば、母材11側から同一の格子点131に向かって延在する2本の腕135は、互い異なる角度に延在することとなる。そのため、樹脂部材20と金属部材10とが互いに離間又は位置がずれるような力が接合部材1に加えられた場合、立体格子部13及び樹脂部材20のうち立体格子部13を包埋している領域では、上記2本の腕135の少なくとも一方の腕135の延在在方向とは異なる方向に力が加わることとなる。そのため、腕135が樹脂21から腕の延在方向に抜けてしまうような現象が起き難くなるので、立体格子部13と立体格子部13を包埋する樹脂21との接合強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0107】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の構成において、立体格子部13は、上記2本の腕135の対(単位部材50)を少なくとも2対含み、上記2対(2つの単位部材50)の腕135のうちの一方の対(単位部材50)における一方の腕135の基端137は、2対の腕135のうちの他方の対(単位部材50)における一方の腕135の基端137と接続されている。
【0108】
上記(14)の構成によれば、2対以上の腕135の対(単位部材50)が連続的に形成された立体格子部13によって立体格子部13と立体格子部13を包埋する樹脂21との接合強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0109】
(15)幾つかの実施形態では、上記(14)の構成において、一方の対(単位部材50)における上記2本の腕135と、他方の対(単位部材50)に含まれる上記2本の腕135とは、同じ平面(平面PLa乃至平面PLd)に含まれる。
【0110】
上記(15)の構成によれば、立体格子部13の大きさを上記平面(平面PLa乃至平面PLd)に沿って大きくすることが可能となる。
【0111】
(16)幾つかの実施形態では、上記(14)の構成において、一方の対(単位部材50)における上記2本の腕135が含まれる平面(例えば上記平面PLa)と、他方の対(単位部材50)に含まれる上記2本の腕135が含まれる平面(例えば上記平面PLb乃至平面PLdの何れか)とは、交差している。
【0112】
上記(16)の構成によれば、立体格子部13の大きさを母材11の表面11aに沿って大きくすることが可能となる。
【0113】
(17)幾つかの実施形態では、上記(14)乃至(16)の構成において、一方の対(単位部材50)における上記2本の腕135が接続される格子点131と母材11の表面11aとの距離は、他方の対(単位部材50)における上記2本の腕135が接続される格子点131と上記表面11aとの距離と等しい。
【0114】
上記(17)の構成によれば、母材11の表面11aからの距離が等しい複数の格子点131を有する立体格子部13を形成できる。
【0115】
(18)幾つかの実施形態では、上記(14)乃至(16)の構成において、一方の対(単位部材50)における上記2本の腕135が接続される格子点131と母材11の表面11aとの距離は、他方の対(単位部材50)における上記2本の腕135が接続される格子点131と上記表面11aとの距離と異なる。
【0116】
上記(18)の構成によれば、他の格子点131とは母材11の表面11aからの距離が異なる格子点131を含む立体格子部13を形成できる。
【0117】
(19)本開示の少なくとも一実施形態に係る立体格子部材6は、金属製の2本の腕135をそれぞれ含み、該2本の腕135の一方の端部135a(先端136)同士が接続され、他方の端部135a(基端137)同士が離間していて、該2本の腕135のなす角度θがそれぞれ180度未満である第1単位部材51、第2単位部材52、第3単位部材53、及び第4単位部材54を少なくとも備える。第1単位部材51、第2単位部材52、第3単位部材53、及び第4単位部材54は、第1単位部材51、第2単位部材52、第3単位部材53、及び第4単位部材54のそれぞれにおける上記2本の腕135のうちの一方の腕135の他方の端部135a(基端137)で互いに接続されている。第1単位部材51における上記2本の腕135が含まれる第1平面PL1は、第2単位部材52における上記2本の腕135が含まれる第2平面PL2と同じ平面である。第3単位部材53における上記2本の腕135が含まれる第3平面PL3は、第4単位部材54における上記2本の腕135が含まれる第4平面PL4と同じ平面であり、且つ、第1平面PL1び第2平面PL2と異なる平面である。
【0118】
上記(19)の構成の立体格子部材6を接合部材1における金属部材10と樹脂部材20との接合のために用いれば、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0119】
(20)幾つかの実施形態では、上記(19)の構成において、第1単位部材51、第2単位部材52、第3単位部材53、及び第4単位部材54のそれそれは、上記2本の腕135のなす角度θが鈍角である。
【0120】
上述したように立体格子部材6を接合部材1における金属部材10と樹脂部材20との接合のために用いた場合、上記(20)の構成によれば、上記2本の腕135のなす角度θが鋭角である場合と比べて、上記2本の腕135のそれぞれが母材11の表面11aとなす角度が小さくなる。これにより、金属部材10と樹脂部材20とが母材11の表面11aに沿って互いの位置がずれるような力(剪断力)が接合部材1に加えられた場合、各単位部材50の腕135には、母材11上で腕135を倒すような力が作用し難くなり、腕135の延在方向に沿った外力が作用し易くなるので、各単位部材50において上記剪断力に対する強度が向上する。そのため、上記剪断力に対する接合部材1の接合強度を向上できる。
【0121】
(21)本開示の少なくとも一実施形態に係る接合部材1の製造方法は、金属部材10における母材11の表面11aに立体格子部13を形成するステップS10と、立体格子部13を樹脂21で包埋することで樹脂部材20を金属部材10に接合するステップS30と、を備える。立体格子部13を形成するステップS10は、複数の格子点131と、格子点131同士を接続する複数の腕135とを有するように立体格子部13を形成するともに、複数の格子点131のうち母材11の表面11aから遠い最外格子点133が上記表面11aに対して傾斜面143を形成する3以上の格子点131を含むように立体格子部13を形成する。
【0122】
上記(21)の方法によれば、接合部材1において、腕135の応力増加及び立体格子部13を包埋する樹脂21の応力増加を抑制できるので、立体格子部13及び立体格子部13を包埋する樹脂21の強度を確保でき、接合部材1の接合強度を向上できる。
【0123】
また、上記(21)の方法によれば、上述した単位体積当たりの腕135の占める割合や単位体積当たりの樹脂21の占める割合が母材11の表面11aからの距離に応じて徐々に変化するように立体格子部13が形成されるので、接合部材1において、母材11(金属部材10)と樹脂部材20との線膨張係数の違いに起因する熱応力を緩和できる。
【0124】
(22)幾つかの実施形態では、上記(21)の方法において、立体格子部13を形成するステップS10は、立体格子部13を母材11に対してロウ付けする。
【0125】
上記(22)の方法によれば、例えば鋳造や削り出し等によって形成した、三次元積層造形装置では形成できないような大きな母材11に対して、例えば三次元積層造形装置によって形成した立体格子部13をロウ付けすることもできる。これにより、金属部材10の大きさの制約を受け難くすることができる。
【0126】
(23)幾つかの実施形態では、上記(21)又は(22)の方法において、立体格子部13が形成された母材11と金属製の基部19とを接合するステップS20をさらに備える。
【0127】
上記(23)の方法によれば、例えば鋳造や削り出し等によって形成した、三次元積層造形装置では形成できないような大きな基部19に対して、例えば三次元積層造形装置によって形成した金属部材10を接合することもできる。これにより、基部19の大きさの制約を受け難くすることができる。
【0128】
(24)幾つかの実施形態では、上記(21)の方法において、金属部材10は、立体格子部13の形成範囲において凹部311を有する。樹脂部材20を金属部材10に接合するステップS30は、上記凹部311に巻回されている第1繊維241を含む樹脂部材20を金属部材10に接合する。
【0129】
上記(24)の方法によれば、第1繊維241の延在方向に沿って樹脂部材20に引張応力が作用するような外力に対する接合部材1の強度を向上できる。
【符号の説明】
【0130】
1 接合部材
10 金属部材
11 母材
11a 表面
13 立体格子部
20 樹脂部材
21 樹脂
23 繊維
24 連続繊維
30 突出部
40 単位格子
41 単位構造
50 単位部材
131 格子点
133 最外格子点
135 腕
241 第1繊維
252 第2繊維
300 燃焼室
301 内筒
303 外筒
303A 外筒部
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B