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特許7496764付け框出隅用コーナー部材およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】付け框出隅用コーナー部材およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/02 20060101AFI20240531BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
E04F19/02 Q
E04F13/08 101Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020192631
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022081221
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390030340
【氏名又は名称】株式会社ノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】松井 雄一
(72)【発明者】
【氏名】角田 泰一
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3017009(JP,U)
【文献】特開2007-285049(JP,A)
【文献】特開2004-162347(JP,A)
【文献】特開2001-090330(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1015001(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/02
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関において付け框の出隅部に用いる付け框出隅用コーナー部材であって、左右の付け框に挟まれる薄板状の垂直片と、垂直片の上端縁から両側に直交方向に突出して付け框の出隅部上面を被覆する上覆部と、垂直片の前端縁から両側に直交方向に突出して付け框の出隅部前面を被覆する角覆部とを有し、上覆部に近い垂直片の上部に、垂直片の後端縁に開口するスリットが上覆部の長さ方向に延長して形成されることを特徴とする付け框出隅用コーナー部材。
【請求項2】
スリットが垂直片の前端縁から角覆部に達しない位置まで形成され、垂直片においてスリットの先端と角覆部との間に残存部分があることを特徴とする、請求項1記載の付け框出隅用コーナー部材。
【請求項3】
スリットが垂直片の上端縁から離れた位置に形成され、垂直片においてスリットと上覆部との間に残存部分があることを特徴とする、請求項1または2記載の付け框出隅用コーナー部材。
【請求項4】
スリットの水平方向の長さが、付け框の上に載置される縦枠の厚さの√2倍以上であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか記載の付け框出隅用コーナー部材。
【請求項5】
付け框の出隅部において付け框の上に縦枠を載置して施工する際に、請求項1ないし4のいずれか記載の付け框出隅用コーナー部材を用いる使用方法であって、上覆部の後端側の部分を縦枠の厚さの√2倍以上の長さに亘って切除しておき、この切除後の付け框出隅用コーナー部材の垂直片を出隅部において付け框の先端カット面同士の間に挟んだ状態で付け框同士を突き合わせて壁下地材に固定することを特徴とする、付け框出隅用コーナー部材の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関において付け框の出隅部に用いる付け框出隅用コーナー部材およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
付け框は、玄関において土間と壁の仕上げ材の間の見切りの役割を果たす化粧材であり、図1に示される施工例では、土間1に連続して、自転車や三輪車、ベビーカー、アウトドア用品などを収容する納戸として利用可能な開口部2が形成され、開口部2を挟んで対向する壁(石膏ボード)3,3の出隅部にそれぞれ付け框4,4が設置されている。付け框4,4の上面は、上り框5の上面と略同じ高さになるように設置され、意匠的統一性を図るためにこれらには同じ材質・外観を有するものが用いられることが多い。
【0003】
付け框4,4は、たとえば、集成材や木質繊維板などからなる芯材の外側面に突板や化粧シートなどの化粧材を貼着してなるものであって、それらの先端部をそれぞれ45度にカットして壁3の出隅部で直角に突き合わせて設置されるが、その際に出隅部に生ずる継目や隙間を隠蔽して見栄えを良くすると共に、人が衝突した際の怪我や物が衝突した際の損傷を防止するために、特許文献1に記載されるような付け框出隅用コーナー部材10が用いられることがある。
【0004】
この付け框出隅用コーナー部材10は概して図10に示すような形状を有し、付け框4,4の高さと略同一の長さ寸法を有する薄板状の垂直片10aと、垂直片10aの上端縁から両側に直交方向に突出して出隅部において付け框4,4の上面を被覆する上覆部10bと、垂直片10aの前端縁から両側に直交方向に突出して出隅部において付け框4,4の前面を被覆する角覆部10cとを有する。上覆部10bと角覆部10cの外側面は曲面状に形成されている。垂直片10aの両面の任意箇所に両面テープが任意数設けられ、施工時に、その離型紙を剥がして粘着層を露出させた状態にして、この粘着層に付け框4,4の45度にカットされた先端面を押し当てて接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】意匠登録第1547211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図1に示す施工例では、開口部2を挟んで両側の壁3,3の出隅部にそれぞれ縦枠6,6が設置されている。縦枠6,6は、壁出隅部を装飾する目的、または、戸(図示せず)を開閉可能に設けるために設置されるが、縦枠6,6を設置しない場合もある。付け框出隅用コーナー部材10は、縦枠6,6を設置しない場合を前提として、付け框4,4の45度にカットされた先端面の長さ(対角線の長さ)に略一致するように形成することができるが、縦枠6,6を設置する場合は、縦枠6,6の下面を付け框4,4の上面に密接した状態で突き合わせるために、上覆部10aを含む上端部を切除して縦枠6,6への干渉を未然に防止しなければならない。
【0007】
しかしながら、図10に示すような従来の付け框出隅用コーナー部材10は、上覆部10aが垂直片10aの上端縁に沿ってその全幅に亘って連続して形成されているため、垂直片10aの上端部も同時に切断しないと、上覆部10aを垂直片10aから切り離すことができず、縦框7,7を設置する場合の施工に多大な労力と時間を要していた。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上覆部を含む上端部を容易に切除することができ、縦框を設置する場合の施工手間と作業時間を大幅に低減させることができる新規の構成の付け框出隅用コーナー部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、玄関において付け框の出隅部に用いる付け框出隅用コーナー部材であって、左右の付け框に挟まれる薄板状の垂直片と、垂直片の上端縁から両側に直交方向に突出して付け框の出隅部上面を被覆する上覆部と、垂直片の前端縁から両側に直交方向に突出して付け框の出隅部前面を被覆する角覆部とを有し、上覆部に近い垂直片の上部に、垂直片の後端縁に開口するスリットが上覆部の長さ方向に延長して形成されることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項2に係る発明は、請求項1記載の付け框出隅用コーナー部材において、スリットが垂直片の前端縁から角覆部に達しない位置まで形成され、垂直片においてスリットの先端と角覆部との間に残存部分があることを特徴とする。
【0011】
本願の請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の付け框出隅用コーナー部材において、スリットが垂直片の上端縁から離れた位置に形成され、垂直片においてスリットと上覆部との間に残存部分があることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか記載の付け框出隅用コーナー部材において、スリットの水平方向の長さが、付け框の上に載置される縦枠の厚さの√2倍以上であることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項5に係る発明は、付け框の出隅部において付け框の上に縦枠を載置して施工する際に、請求項1ないし4のいずれか記載の付け框出隅用コーナー部材を用いる使用方法であって、上覆部の後端側の部分を縦枠の厚さの√2倍以上の長さに亘って切除しておき、この切除後の付け框出隅用コーナー部材の垂直片を出隅部において付け框の先端カット面同士の間に挟んだ状態で付け框同士を突き合わせて壁下地材に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明による付け框出隅用コーナー部材を用いることにより、玄関における出隅部の施工において、付け框同士の間の継目ないし隙間が、付け框出隅用コーナー部材の上覆部および角覆部によって被覆されるので、見栄えが良好に仕上げられると共に、人が衝突した際の怪我や物が衝突した際の損傷を防止することができる。
【0015】
また、本発明による付け框出隅用コーナー部材には、上覆部に近い垂直片の上部に、垂直片の後端縁に開口するスリットが上覆部の長さ方向に延長して形成され、このスリットで上覆部が垂直片から分断されているので、上覆部の後端側の部分を容易に切除することができる。
【0016】
スリットの大きさ(長さ、幅)や形状などは特に限定されないが、スリットを垂直片の前端縁から角覆部に達しない位置まで形成して、垂直片においてスリットの先端と角覆部との間に残存部分を残すようにすることができ(請求項2)、また、スリットを垂直片の上端縁から離れた位置に形成して、垂直片においてスリットと上覆部との間に残存部分を残すようにすることができる(請求項3)。これらの実施形態によれば、出隅部において付け框出隅用コーナー部材の垂直片が付け框の間に配置されたときに、それらの先端カット面同士の間に該残部分が挟み込まれて強固に保持されるので、付け框出隅用コーナー部材をぐらつかせることなく安定した状態に保持することができる。
【0017】
また、スリットの水平方向の長さを、付け框の上に載置される縦枠の厚さの√2倍以上とすることができる(請求項4)。この実施形態によれば、付け框の上に縦枠を載置する際に縦枠に干渉しないようにあらかじめスリットより上の上覆部を含む上端部を切除して使用することができる(請求項5)ので、縦枠の施工に支障を来さない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による付け框出隅用コーナー部材(カット後)が使用された玄関の施工例を示す斜視図である。
図2図1中のA部拡大図である。
図3】この付け框出隅用コーナー部材(カット前)の一実施形態を示す斜視図である。
図4】同平面図である。
図5】この付け框出隅用コーナー部材を用いて図1および図2の施工例を得る場合の作業工程を順に説明する説明図である。
図6】縦枠を省略した施工例の場合の図1中のA部に相当する部分を拡大して示す拡大図である。
図7図3および図4に示す付け框出隅用コーナー部材を用いて図3の施工例を得る場合の作業工程を順に説明する説明図である。
図8】付け框出隅用コーナー部材(カット前)の別の実施形態を示す平面図である。
図9】付け框出隅用コーナー部材(カット前)のさらに別の実施形態を示す平面図である。
図10】従来技術による付け框出隅用コーナー部材を示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態による付け框出隅用コーナー部材10が図3および図4に示されている。この付け框出隅用コーナー部材(以下、単に「コーナー部材」という。)10は、既述した図1の施工例において付け框4,4同士の突き合わせ部(図1A部)に使用され、その拡大図が図2に示されている。
【0020】
既述したように、この施工例では、土間1に連続して、自転車や三輪車、ベビーカー、アウトドア用品などを収容する納戸として利用可能な開口部2が形成され、開口部2を挟んで対向する壁(石膏ボード)3,3の出隅部にそれぞれ付け框4,4が設置され、さらに、開口部2を挟んで両側の壁3,3の出隅部にそれぞれ縦枠6,6が設置されている。縦枠6,6は、壁3,3の出隅部において開口部2に臨む一方の壁3に接して施工されると共に、その下面が出隅部において付け框4,4の上面4a,4aに直接突き当てて施工されるため、コーナー部材10は、縦枠6,6に干渉しないように上覆部10b(後述)がカットされた状態となっている。
【0021】
コーナー部材10は、従来技術によるコーナー部材10(図10)と基本的には同様の形状を有しており、同一ないし対応する部分には同一の符号が付されている。すなわち、このコーナー部材10は、付け框4,4の高さと略同一の長さ寸法を有する薄板状の垂直片10aと、垂直片10aの上端縁から両側に直交方向に突出して出隅部において付け框4,4の上面4a,4aを被覆する上覆部10bと、垂直片10aの前端縁から両側に直交方向に突出して出隅部において付け框4,4の前面4b,4bを被覆する角覆部10cとを有する。上覆部10bと角覆部10cの外側面は曲面状に形成されている。符号11は、垂直片10aの任意箇所に任意数設けられる両面テープであり、施工時に、その剥離紙を剥がして粘着層を露出させた状態にして、付け框4の先端面(45度カット面)を突き当てて接合するために用いられる。図示されていないが、垂直片10の反対側の面にも同様に両面テープ11が貼着されている。
【0022】
この実施例において、コーナー部材10の垂直片10aの垂直方向長さLvは付け框4の高さ寸法と略同一であり、コーナー部材10の幅Wvは付け框4の45度にカットされた先端面の幅、すなわち付け框4の厚さTr(図2)の約1.4倍(=TrX√2)と略同一である。ただし、コーナー部材10を付け框4,4の先端カット面同士の間に配置して図1図2に示すような施工状態を得た後に容易に外れないものであれば、垂直方向長さLvを付け框4の高さ寸法より短くし、あるいは幅Wvを付け框4の先端面長さより短く形成しても良い。
【0023】
このコーナー部材10が従来技術によるコーナー部材10(図10)と大きく異なる点は、従来技術のコーナー部材10では上覆部10bが垂直片10aの上端縁に沿ってその全幅に亘って連続して形成されているのに対し、コーナー部材10では垂直片10aと上覆部10bとの間に水平方向に延長するスリット12が形成され、上覆部10bがスリット12を介して垂直片10aから分断されていることである。スリット12は、上覆部10bを含む上端部の切除を容易にするためのものであり、これを実現可能なものであればその大きさ(長さ、幅)や形状などは限定されず、この実施例におけるスリット12はその一例を示すものにすぎない。
【0024】
スリット12は、これによって垂直片10aから分断された上覆部10bを含む上端部の切除を容易にするために、上覆部10bに近接した箇所に形成されることが好ましく、上覆部10bと垂直片10aとの境界線にかかるように形成されたものであっても良い(図8参照)が、この実施例では、ニッパーやカッターなどの切断工具で上覆部10bの後端側の部分を切除する際の作業性を考慮して、上覆部10bから数ミリ(3~5mm程度)離れた位置にスリット12が形成されている。
【0025】
スリット12の長さLsは、後に切除すべき部分の長さと略同一またはそれより大きく形成されることが好ましい。この実施例では、付け框4の上面4a上に縦枠6を載置する際に縦枠6に干渉しないように上覆部10bを切除する必要があるので、上覆部10bの切除寸法は縦枠6の厚さTfの約1.4倍(Tfx√2)となり、したがってLs≧Tfx√2とする必要があり、垂直片10aの角覆部10cとは反対側の側端縁から、その先端が角覆部10c近くに至るまで深く切除して形成されている。
【0026】
スリット12の先端は角覆部10cには達しておらず、垂直片10aにおいてスリット12の先端と角覆部10cとの間に部分10dが残存している。また、スリット12は垂直片10aの上端縁(垂直片10aと上覆部10bとの境界線)から離れた位置に形成され、垂直片10aにおいてスリット12と上覆部10bとの間に部分10eが残存している。このような位置にスリット12が形成されることにより、壁出隅部においてコーナー部材10の垂直片10aが付け框4,4の間に配置されたときに、それらの先端カット面4a,4a(後述)同士の間に残存部分10d,10eが挟み込まれて強固に保持されるので、コーナー部材10をぐらつかせずに安定した状態に保持する役割を果たす。
【0027】
スリット12の幅(高さ寸法)Wsは特に限定的ではないが、垂直片10aが所要の強度を保持できる程度の幅に止めることが好ましい。垂直片の強度が過度に低下すると、コーナー部材10を施工した後に、カット後の上覆部10b(出隅部において付け框4の上面4a上に載置されている)に人の手や物が接触したときにぐらついたり折損したりする恐れがあるので、これを回避できる程度の強度を確保することが好ましい。
【0028】
なお、この実施例のコーナー部材10では、垂直片10aの角覆部10cとは反対側の側縁部から垂直片10aを切り欠いて切欠部13を形成している。切欠部13を形成することにより、コーナー部材10の材料の量を減らしてコストを低減させることができるが、コーナー部材10を施工した後に、カット後の上覆部10bや角覆部10cに人の手や物が接触したときに垂直片10aが折損しない程度の強度を確保できる大きさに止めることが好ましい。切欠部13の形成は任意であり、切欠部13を形成する場合もその形状は限定されず、任意形状であって良い。
【0029】
コーナー部材10は、切断容易性の観点から合成樹脂で一体形成されたものであることが好ましいが、上覆部10bを切断できるものであれば、木材、ゴム、金属などの材料を用いても良い。
【0030】
このコーナー部材10の用法ないし作業工程について、図5を参照して説明する。まず、図5(a)に示すように、付け框4,4の先端をそれぞれ45度にカットすると共に、図5(b)に示すように、コーナー部材10のスリット12から上の部分を、付け框4の上面4a上に縦枠6を載置する際に縦枠6に干渉しないように切除する。既述したように、上覆部10bの切除寸法は縦枠6の厚さTfの約1.4倍(Tfx√2)以上であり、図5(b)左図において斜線を施した部分14を切除し、切除後には図5(b)右図に示す状態になる。
【0031】
上記の準備工程を経た後、コーナー部材10の垂直片10aの一側面に貼着されている両面テープ11から離型紙を剥がして粘着層を露出させ、この粘着層を介して、一方の付け框4(図では上下方向に延長するものとして示されている付け框4)の先端カット面4cに圧着させて取り付ける。
【0032】
このようにして先端カット面4cにコーナー部材10が取り付けられた付け框4を、図5(c)に示すように、出隅部を構成する一方の壁面において間柱や当て木などの壁下地材7に糊釘併用などの適宜手段により固定した後、コーナー部材10の垂直片10aの他側面に貼着されている両面テープ11についても離型紙を剥がして粘着層を露出させた上で、他方の付け框4を壁下地材7に沿って出隅方向にスライドさせて、その先端カット面4cをコーナー部材10の垂直片10aの他側面に押し付けることにより、粘着層を介して、この付け框4をコーナー部材10に圧着させて取り付け、同様に糊釘併用などの適宜手段により壁下地材7に固定する。これにより、出隅部において、付け框4,4が、それらの先端カット面4c,4cの間にコーナー部材10の垂直片10aを挟んで突き合わされた状態で固定される。
【0033】
次いで、図5(d)に示すように、出隅部を構成する両壁面の付け框4,4の上方領域にそれぞれ壁下地材7に石膏ボード3を貼り付け、さらに、開口部2に向く壁面に取り付けた付け框4の上面4aに縦枠6を載置し、これを糊釘併用などの適宜手段により壁下地材7に固定して、図1および図2に示すような施工状態が得られる。コーナー部材10の上覆部10bは、図5(b)に示す工程において、付け框上面4aに縦枠6が載置される部分14が既に切除されているので、縦枠6には干渉せず、縦枠6の下面を付け框4の上面4aに突き当てて施工することに支障を来さない。また、この施工状態において、出隅部における付け框4,4同士の間の継目ないし隙間は、コーナー部材10の上覆部10bおよび角覆部10cで被覆されるので、見栄えが良好に仕上げられると共に、人が衝突した際の怪我や物が衝突した際の損傷を防止することができる。
【0034】
次に、縦枠6,6が省略された施工状態(図6)を得る場合の作業工程について、図7を参照して説明する。まず、図7(a)に示すように、付け框4,4の先端をそれぞれ45度にカットすると共に、図7(b)に示すように、コーナー部材10のスリット12から上の部分を、付け框4の上方に石膏ボード3を取り付ける際に石膏ボード3に干渉しないように切除する。この場合には、石膏ボード3の厚さTpの約1.4倍(Tpx√2)に相当する部分15を切除し、切除後には図7(b)右図に示す状態になる。
【0035】
上記の準備工程を経た後、コーナー部材10の垂直片10aの一側面に貼着されている両面テープ11から離型紙を剥がして粘着層を露出させ、この粘着層を介して、一方の付け框4(図では上下方向に延長するものとして示されている付け框4)の先端カット面4cに圧着させて取り付ける。
【0036】
このようにして先端カット面4cにコーナー部材10が取り付けられた付け框4を固定し、さらに他方の付け框4を固定する。この作業工程が図7(c)に示されているが、既述した図5(c)の作業工程と同じであるので、説明を割愛する。
【0037】
次いで、図7(d)に示すように、出隅部を構成する両壁面の付け框4,4の上方領域にそれぞれ壁下地材7に石膏ボード3を貼り付けることにより、図6に示すような施工状態が得られる。コーナー部材10の上覆部10bは、図7(b)に示す工程において、付け框4の上方に石膏ボード3が取り付けられる部分15が既に切除されているので、石膏ボード3には干渉せず、石膏ボード3の施工に支障を来さない。また、この施工状態において、出隅部における付け框4,4同士の間の継目ないし隙間は、コーナー部材10の上覆部10bおよび角覆部10cで被覆されるので、見栄えが良好に仕上げられると共に、人が衝突した際の怪我や物が衝突した際の損傷を防止することができる。
【0038】
なお、図3および図4に示すコーナー部材10の上覆部10bは、付け框4の厚さTrの約1.4倍に相当する幅Wv(=TrX√2)を有する垂直片10aの後端縁10fから若干突出している。このような形状になっているのは、類似形状を有する他部材(笠木継手部材など)を製造する際に用いる金型をコーナー部材10の製造にも兼用しているためである。このため、石膏ボード3,3のみで仕上げられる場合(図6)も、その上にさらに縦枠7が設置される場合(図2)も、上覆部10bを含むスリット12から上方の部分14,15を切除して用いる必要がある。しかしながら、図7(b)右図に示すような形状を有するものとしてコーナー部材10を形成しておけば、石膏ボード3,3のみで仕上げられる場合(図6)には図7(b)の切除工程を必要とせずに、そのままで図7(c)の付け框取付工程に進むことができる。
【0039】
図8は本発明の別の実施形態によるコーナー部材10を示し、図2および図3に示すコーナー部材10とほぼ同様の形状および構成を有するが、スリット12が上覆部10bと垂直片10aとの境界線にかかるように形成されている点、スリット12の幅が小さく形成され、したがってスリット12の先端から角覆部10cまでの間に残される残存部分10dが相対的に大きく形成されている点、切欠部13が比較的小さく形成されている点、および、切欠部13の下方にも両面テープ11が設けられている点で相違している。このような形状を有するコーナー部材10も本発明の範囲内である。
【0040】
図9は本発明のさらに別の実施形態によるコーナー部材10を示し、図2および図3に示すコーナー部材10とほぼ同様の形状および構成を有するが、スリット12が、垂直片10aの後端縁10fにおける開口から角覆部10cに向かうにつれて徐々に開口幅が小さくなるように形成され、したがってスリット12の先端から角覆部10cまでの間に残される残存部分10dが略三角形状に形成されている点で相違している。このような形状を有するコーナー部材10も本発明の範囲内である。
【0041】
以上に本発明の幾つかの実施例について図面を参照して詳述したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって定められる発明の範囲内において多種多様に変形ないし変更して実施可能である。既述の実施例においては、コーナー部材10のスリット12より上の上覆部10bを含む部分14(図5(b)左図),15(図7(b)左図)を切除する際に単に垂直面で切断するものとしたが、上覆部10bの切断面が縦枠6(図5(d)),壁下地材7(図7(d))の出隅部において2面に沿うように、断面V字状に切除しても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 玄関
2 開口部
3 壁(石膏ボード)
4 付け框
4a 上面
4b 前面
4c 先端カット面
5 上がり框
6 縦枠
7 壁下地材
10 付け框出隅用コーナー部材
10a 垂直片
10b 上覆部
10c 角覆部
10d スリットと角覆部の間の残存部分
10e スリットと上覆部の間の残存部分
10f 垂直片の後端縁
11 両面テープ
12 スリット
13 切欠部
14 切除部分(縦枠を設置する場合)
15 切除部分(縦枠を設置しない場合)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10