(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】バイオリアクタ用のセンサ保持体ならびにセンサ保持体を備えたバイオリアクタおよび生物学的材料を繁殖させるまたは培養する方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240531BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240531BHJP
C12N 1/00 20060101ALI20240531BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
C12M1/00 D
C12M1/34 B
C12N1/00 B
G01N21/17 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020215330
(22)【出願日】2020-12-24
(62)【分割の表示】P 2019073607の分割
【原出願日】2019-04-08
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】10 2018 108 325.4
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン オット
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト ヘットラー
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0071453(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0145818(US,A1)
【文献】Biotechnology and Bioengineering,2008年,Vol.99, No.1,pp.136-145
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的材料を繁殖させるまたは培養する方法を実行するためのバイオリアクタであって、
生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器と、
前記容器の内部と、前記容器の外部と、の間の貫通孔を備えた貫通ガイドと、
少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体と、
を有している、バイオリアクタにおいて、
前記センサ保持体は、前記貫通ガイドの前記貫通孔内で少なくとも部分的に延在しており、
前記センサ保持体は、ホルダボディを含み、
前記センサ保持体は、前記ホルダボディに配置された窓で前記貫通孔を閉鎖しており、
前記窓は、透明なエレメントのためのガラス嵌め込みを形成し、
前記センサは、少なくとも1つの第1のセンサ区分を有していて、前記第1のセンサ区分は、前記ホルダボディの貫通孔内に取り付け
られ、少なくとも1つの知覚装置を有している、
バイオリアクタ。
【請求項2】
前記容器は、特殊鋼を含んでいる、または、特殊鋼から成っている、
請求項1記載のバイオリアクタ。
【請求項3】
前記容器は、プラスチックを含んでいる、または、プラスチックから成っている、
請求項1記載のバイオリアクタ。
【請求項4】
前記センサ保持体は、前記貫通ガイドの内側で、前記貫通ガイドに対して形状接続的に延在している、
請求項1から3までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項5】
前記バイオリアクタは、前記センサ保持体が前記貫通ガイドの前記貫通孔内に少なくとも部分的に保持されている間に、前記センサ保持体と共にオートクレーブ処理可能である、
請求項1から4までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項6】
前記ホルダボディが、円筒対称的に形成されていて、前記貫通孔は、前記バイオリアクタの内部に対応する側で、前記窓によって流体密に閉鎖されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項7】
前記窓の前記透明なエレメントは、250~2000nmの波長のスペクトル範囲において、80%よりも高い透過性を有している、
請求項1から6でのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項8】
前記窓の前記透明なエレメントは、ガラスを含んでいる、または、ガラスから成っている、
請求項1から7までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項9】
前記窓の前記透明なエレメントの前記ガラスは、石英ガラスもしくはホウケイ酸ガラスを含んでいる、または、石英ガラスもしくはホウケイ酸ガラスから成っている、
請求項8記載のバイオリアクタ。
【請求項10】
前記窓の前記透明なエレメントは、GTMS圧縮ガラス嵌め込み封止によって基体に保持されていて、前記基体は、前記センサ保持体の前記ホルダボディに保持されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項11】
前記窓は、溶接により気密に封止されて前記ホルダボディに結合されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項12】
前記窓の前記透明なエレメントは、板状に形成されている、
請求項1から11までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項13】
前記窓の前記透明なエレメントは、平面凸面状に、平面凹面状に、両面凸面状に、両面凹面状に、凸面凹面状に、または、凹面凸面状に成形されている、
請求項1から12までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項14】
前記窓の前記透明なエレメントは、前記窓に配属された画像形成システムの部分である、
請求項1から13までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項15】
前記ホルダボディは、半径方向に延在する側方の肩部を有している、
請求項1から14までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項16】
前記センサ保持体が前記貫通孔に装着されている状態で、前記バイオリアクタの内壁に対する前記窓の前記透明なエレメントの軸方向間隔は、側方の肩部に対する前記窓の前記透明なエレメントの軸方向間隔によって規定される、
請求項1から15までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項17】
前記ホルダボディは、半径方向外側に向かって延在するフランジを有しており、前記フランジは、封止手段に当接する面を軸方向で画定している、
請求項1から16までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項18】
前記センサ保持体には、封止手段に当接する面を備えたカバーキャップが配属されており、前記カバーキャップは、センサの部分である、
請求項1から17までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項19】
前記センサ保持体は、オートクレーブ処理可能である、
請求項1から18までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項20】
前記第1のセンサ区分は、前記ホルダボディの前記貫通孔内に、形状接続的に取り付け
られる、
請求項1から19までのいずれか1項記載のバイオリアクタ。
【請求項21】
前記知覚装置は、画像導体を含む、
請求項20記載のバイオリアクタ。
【請求項22】
前記知覚装置は、画像形成光学システムを画像記録装置と共に含む、
請求項20記載のバイオリアクタ。
【請求項23】
前記知覚装置は、分光計を含む、
請求項20記載のバイオリアクタ。
【請求項24】
生物学的材料を繁殖させるまたは培養する方法であって、
流体材料を、または、生物学的材料の前駆体を、請求項1から23までのいずれか1項記載のバイオリアクタ内に導入するステップと、
物理的測定量、化学的測定量または生物学的測定量を検出するステップと、
を有している、
方法。
【請求項25】
導入する前記ステップの前に、前記センサ保持体を、前記容器の前記貫通ガイドに、または前記貫通ガイド内に取り付ける、
請求項24記載の方法。
【請求項26】
医薬品を製造するステップを含む、
請求項24または25記載の方法。
【請求項27】
前記センサ保持体の前記取り付け後に、前記バイオリアクタを滅菌する、
請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記センサ保持体の前記取り付け後に、前記バイオリアクタにセンサを装備し、前記センサを、前記ホルダボディに少なくとも部分的に取り付ける、
請求項25または27記載の方法。
【請求項29】
前記センサの知覚測定値を検出するステップを有する、
請求項24から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記センサは、作動状態で、前記生物学的材料を含む流体媒体を保持する前記バイオリアクタの内部の、電磁放射の放射強度および/または波長を測定する、
請求項24から29までのいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記センサは、電磁放射の放射強度および/または波長を空間的に分解して測定する、
請求項30記載の方法。
【請求項32】
所定の期間、所定の波長の電磁放射を前記バイオリアクタ内に入射させ、前記入射後に、広帯域でまたは選択的に、所定の波長で、前記電磁放射の放射強度および/または波長を前記バイオリアクタの内部で測定する、
請求項24から31までのいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記バイオリアクタの前記容器内での生物学的材料の培養中に、前記センサを交換する、
請求項24から32までのいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記センサの交換中または変更中、前記バイオリアクタの前記容器
の内側の滅菌条件を維持する、
請求項24から33までのいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
突然変異誘発によって改変された光栄養微生物または混合栄養微生物を使用する、
請求項24から34までのいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記センサ保持体が少なくとも部分的に、前記貫通ガイドの貫通孔内に保持されている間に、前記容器を備えた前記バイオリアクタと、前記センサ保持体と、をオートクレーブ処理する、
請求項24から35までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオリアクタ用のセンサ保持体、ならびにセンサ保持体を備えたバイオリアクタ、および生物学的材料を繁殖させるまたは培養する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、微生物、動物細胞、および植物細胞の培養を含むバイオテクノロジ生産プロセスのような、生物学的材料を生産するための方法は、ますます重要になっている。バイオテクノロジ生産プロセスは、例えば、微生物、動物細胞、および植物細胞の培養を含む。
【0003】
従来、シングルユースリアクタとも言われる使い捨てバイオリアクタでも、および当業者には通常、マルチユースリアクタと呼ばれる複数回利用のために設けられたバイオリアクタでも、バイオリアクタの滅菌前に測定プローブが組み込まれる。このような測定プローブ、例えばpHプローブは、一般に、滅菌前に較正される。
【0004】
生産プロセス中に、特に培養中に、様々な物理的測定量、化学的測定量、または生物学的測定量を検出するための測定装置を交換することは従来、バッチ全体の欠損にまで到る高い製造リスクを伴う。したがって、オートクレーブ処理の際のまたは培養中のエラーは、通常、プロセスコントロールの損失を意味する。
【0005】
基質濃度および製品濃度の決定は、従来、極めて時間がかかるものである。これは、通常汚染リスクも伴う試料採取、ならびにリソース集約型オフライン分析によるものである。
【0006】
独国特許出願公開第102010063031号明細書(DE 10 2010 063 031 A1)には、電位差センサならびに電位差センサを始動させる方法が開示されている。使い捨て発酵槽または使い捨てバイオリアクタとして用いられる容器の装着を特に簡単に行うために、ここに開示された電位差プローブは、例えばガンマ線の照射による滅菌前に既に、接続部によって容器の壁に堅固に組み付けられ、保管および使用期間中そこに留まる。
【0007】
文献、独国特許出願公開第102006022307号明細書(DE 10 2006 022 307 A1)には、含まれる媒体の物理的量を測定するための、外部に可逆的に取り付け可能なセンサ装置を備えた使い捨てバイオリアクタが記載されており、この場合、バイオリアクタの、媒体の流入および/または流出のために用いられる少なくとも1つの周辺管路にはセンサアダプタが組み込まれていて、このセンサアダプタは、センサアダプタの内側の境界面を介して、周辺管路を貫流する媒体と相互作用する電子センサ装置を受容する。測定は、バイオリアクタの周辺管路内でのみそれぞれ行うことができるので、このような装置によってはバイオリアクタ内側のプロセスコントロールは不可能である。
【0008】
独国特許出願公開第102010037923号明細書(DE 10 2010 037 923 A1)には、細胞のためのバイオリアクタ装置が開示されていて、このバイオリアクタ装置は、閉鎖されたバイオリアクタ、細胞ペレットを支持するための細胞ペレット支持体、および細胞ペレット内に栄養溶液を供給するための手段を有している。この装置によって、酸素含有量の非接触測定が可能となる。この場合、酸素プローブは、レーザーによって燐光誘起される。発せられた燐光信号は、検出器によって受信され、評価電子機器に送られる。このためにバイオリアクタは光透過性の窓を有していて、レーザーと検出器とはバイオリアクタの外側に配置されている。センサまたは測定装置の交換についてはこの文献には記載されていない。
【0009】
独国特許出願公開第102011101108号明細書(DE 10 2011 101 108 A1)には、堅固な容器内に位置する流体において半透過測定を実施するための半透過プローブが記載されており、このプローブは、内部に導光路を備えたプローブシャフトを有していて、その前端面には、このプローブシャフトの前端面に対向して位置する反射板を備えた開放貫流室が配置されている。プローブシャフトは、その前端面が透明な窓によって閉鎖される、剛性的な中空体として形成されており、その後側の端部には、プローブシャフトにセンサモジュールを堅固に連結するための第1の連結装置を有している。しかしながらこの連結装置は、開放貫流室に、特にプローブシャフトの前端面に対向して位置する反射板に堅固に結合されているので、プローブのセンサモジュールの交換もしくは、様々なプローブまたは様々な容器へのセンサモジュールの連結替えが可能である。物理的、化学的、または生物学的測定量を測定するためのセンサの交換は開示されていない。
【0010】
特にシングルユース利用または一回利用のためには、適切な測定技術のための要件、特に透過性および歪みのなさのための要件を満たし、この場合、センサまたはプローブを、交換可能かつ機械的に確実に支持するビューポート(バイオリアクタの観察開口)は設けられていない。
【0011】
従来技術によると、現時点では、培養の滅菌領域と測定領域とを確実に互いに気密に分離し、この場合、様々な測定法のためのセンサの使用を可能にするという要件を満たすシステムは市場に出ていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、バイオリアクタの内部への接近経路を開放することなく、その都度柔軟に様々なセンサを交換することができる、センサポートとも呼ばれるセンサ保持体ならびにこのセンサ保持体を備えたバイオリアクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、独立請求項の対象により解決される。有利な別の構成は従属請求項および明細書に記載されている。
【0014】
本発明によるバイオリアクタは、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器と、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の内部と、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の外部との間の貫通孔を備えた貫通ガイドとを有しており、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体が、貫通ガイドの貫通孔内で少なくとも部分的に延在している。
【0015】
好適には、この貫通ガイドは、例えばIngoldポート、Broadly-Jamesポート、B-Braun安全ポートのような標準的なポートを含み、または別の基準に沿ったポートを含む。このようなポートは、規定された直径のそれぞれ1つの開口を有しており、この開口は通常、バイオリアクタの内部を外部に接続する、または開放する。
【0016】
一般的には、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器は、複数回利用のためのマルチユースリアクタの容器であり得る。
【0017】
したがって好適には、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器は、特殊鋼を含んでいる、または特殊鋼から成っている。
【0018】
選択的には、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器は、使い捨て利用のためのシングルユースバイオリアクタの容器であってもよい。
【0019】
この場合、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器はプラスチック、特に滅菌可能なプラスチックを含んでいると、またはプラスチック、特に滅菌可能なプラスチックから成っていると有利である。このプラスチックは、ポリマ材料を含んでいてよく、特にガンマ線もしくはETOによる化学滅菌に耐性がある適切な材料から成っていてよい。
【0020】
プラスチックとしては例えば、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)を含むポリエステルエラストマー、またはポリエチレンが適している。この場合、材料混合物を使用することができ、このような材料混合物では、層系が、例えば機械的安定性を提供する外層を有している。ガス密な中間層は、内側に位置する生体適合性のある層に続いている。
【0021】
バイオ医薬品の製造に関する厳しい要件を満たすために、バイオリアクタおよびセンサ保持体がそれぞれ含む材料を、それぞれ以下の基準に合うように選択することができる:
i)FDA認可材料(ICH Q7A、CFR211、65(a)連邦規制のコード、USPクラス、動物由来フリー、ビスフェノールAフリー)、
ii)EMA(欧州医薬品庁)EU GMPガイドパートII認可材料、
iii)セクタごとの耐薬品性、ASTM規格D543-06
iv)例えばUS Pharmacopeiaを基準とする生体適合性、またはISO10993を基準とするテスト。
【0022】
測定技術的に良好な特性、およびセンサ保持体の、特にセンサ保持体内に保持される知覚装置の機械的に安定した保持を得るために、センサ保持体は、貫通ガイドの内側で、特に貫通ガイドの貫通孔の内側で、貫通ガイドの貫通孔に対して形状接続的に延在していてよく、この場合、センサ保持体はその窓で貫通孔を閉鎖する。
【0023】
本発明はさらに、バイオリアクタ用の、特に上述したようなバイオリアクタ用の、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体を含み、このセンサ保持体はホルダボディを含み、このホルダボディは、電磁放射透過性の透明なエレメントを有した窓が配置されているセンサ保持体領域を有している。これにより、培養中であっても交換可能に保持されている様々な知覚装置によって、光学信号または光学的な測定量を検出することができ、この場合、汚染リスクは著しく減じられている。
【0024】
バイオリアクタが、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体と共にオートクレーブ処理可能であり、特にセンサ保持体が貫通ガイドの貫通孔内に少なくとも部分的に保持されている間にオートクレーブ処理可能であるならば、これにより、生物学的に活性の物質、または相互作用する物質による汚染を、極めて高い確実性をもって排除することができるので、特に好適である。
【0025】
このために特に、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体もオートクレーブ処理可能に形成されている。
【0026】
驚いたことに、本明細書で開示された少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体は、2barかつ134℃で3500サイクルのオートクレーブ処理が可能であったことが示された。
【0027】
オートクレーブ処理可能であるとは、この開示の範囲では、医療製品に関する規格DIN EN ISO14937;EN ISO17665に規定された意味でオートクレーブ処理可能であると理解される。
【0028】
好適には、ホルダボディが、円筒対称的に、特に柱状に形成されていて、貫通孔を有しており、この貫通孔は、バイオリアクタの内部に対応する側で、窓によって流体密に、特に気密に封止されて閉鎖されている。気密性も、各バイオリアクタの汚染のない作動をさらに保証する。
【0029】
好適には、窓の透明なエレメントは、250~2000nmの波長のスペクトル範囲において80%よりも高い、特に好適には90%よりも高い透過性を有している。
【0030】
好適な実施形態では、窓の透明なエレメントはガラスを有していてよい、またはガラスから成っていてよい。
【0031】
この場合、窓の透明なエレメントのガラスは石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスを含んでいる、または石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスから成っている。
【0032】
窓の透明なエレメントが、GTMS圧縮ガラス嵌め込みにより基体に保持されていて、この基体がセンサ保持体のホルダボディに保持されているならば、オートクレーブ処理に対しても、CIP(Clean-In-Place)およびSIP(Sterilization-In-Place)と呼ばれる方法による清浄化および滅菌に対しても耐性があり、確実に作動するように維持される、機械的かつ熱的に安定した結合が提供される。
【0033】
特に好適にはこの場合、窓は、溶接により、特にレーザー溶接により気密に封止されてホルダボディに結合されている。
【0034】
特に好適な実施形態では、窓の透明なエレメントが、板状に形成されていて、特に面平行な主表面を有している。
【0035】
別の好適な実施形態では、窓の透明なエレメントは、平面凸面状に、平面凹面状に、両面凸面状に、両面凹面状に、凸面凹面状に、または凹面凸面状に成形されている。特にこの場合、窓の透明なエレメントは、窓に配属された画像形成システムの部分であってもよい。
【0036】
ホルダボディは、半径方向に延在する側方の肩部を有していてよく、特にこれにより、バイオリアクタに配置された標準ポートにおける軸方向のストッパを形成することができる。
【0037】
センサ保持体が貫通孔に装着された状態では、バイオリアクタの内壁に対する窓の透明なエレメントの軸方向間隔は、側方の肩部に対する窓の透明なエレメントの軸方向間隔によって規定され得る。この場合、窓の透明なエレメントは、センサ保持体のホルダボディが貫通孔に装着された状態で、特に標準ポートにおける側方の肩部に接触した状態で、好適にはバイオリアクタの内側に配置されている。窓から、特に窓の透明なエレメントから側方の肩部までの様々な軸方向間隔を有するホルダボディのセットによって、この場合、バイオリアクタの内側における窓の選択可能な軸方向の位置決めが可能となる。軸方向の間隔としては、本開示の範囲では、センサ支持体の円筒対称的なホルダボディの対称軸線の方向でそれぞれ測定される、または規定される間隔を意味する。
【0038】
好適には、ホルダボディは、好適には半径方向外側に向かって延在する、特に標準的なフランジを含むフランジを有していてよく、このフランジは、封止手段のための当接面を軸方向で画定している。この当接面は、例えばIngoldポート、Broadly-Jamesポート、B-Braun安全ポート、または別の基準に沿ったポートにおいて使用されるような当接面であってよい。
【0039】
センサ保持体には、封止手段のための当接面を備えたカバーキャップが配属されていてよく、このカバーキャップは、例えばセンサの部分である。
【0040】
好適にはこの場合、ホルダボディのフランジと、カバーキャップのフランジとは、リング状肩部の、少なくとも所定の領域で斜めに延在するそれぞれ1つの区分を形成する。
【0041】
センサ保持体に配属されたセンサは、少なくとも1つの第1のセンサ区分を有していてよく、このセンサ区分は、ホルダボディの貫通孔内に、好適には形状接続的に取り付け可能であり、少なくとも1つの知覚装置を有している。
【0042】
好適な実施形態では、本明細書で説明されたセンサ保持体のためのセンサでは、知覚装置が、画像導体、特にファイバ画像導体を有している。
【0043】
しかしながら知覚装置は、画像形成光学システムを、特に画像記録装置と共に含むこともできる。これは例えば、文書化またはリアルタイムモニタリングのために利用可能な、デジタル記録装置の画像撮影センサであってよい。
【0044】
知覚装置が分光計を有しているならば、これにより例えば、フォトルミネッセンスにより放出された光から、光電子放出励起レーザーの光を分離することを可能にするフォトルミネッセンス測定を実施することができる。
【0045】
しかしながら一般的に、製品収量にとって重要であるのは、スペクトル的にも検出可能である温度のようなパラメータの他に、代謝および製品形成に関連する物質のリアルタイムでのモニタリングまたは測定技術的監視である。
【0046】
生物学的材料を繁殖させるまたは培養する好適な方法は、流体の、特に生物学的な材料を、または生物学的材料の前駆体を、本明細書に記載したバイオリアクタ内に導入するステップと、本明細書に記載したセンサ保持体ならびに本明細書に記載したセンサを使用して、物理的測定量、化学的測定量、または生物学的測定量を検出するステップと、を有している。
【0047】
生物学的材料を繁殖させるまたは培養する別の好適な方法は、生物学的材料または生物学的材料の前駆体を含む流体媒体を、本明細書で開示されたバイオリアクタ内に、特に生物学的材料を含む流体媒体を保持するバイオリアクタの容器内に導入するステップを有していて、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器は、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の内部と、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の外部との間の貫通孔を備えた貫通ガイドを有しており、電磁放射透過性の透明なエレメントを備えた窓を有しているセンサ保持体を、生物学的材料または生物学的材料の前駆体を含む流体媒体を導入するステップの前に、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通ガイドに、または該貫通ガイド内に取り付ける。
【0048】
特に好適には、本明細書で開示された繁殖させるまたは培養する方法は、医薬品、特にバイオ医薬品を製造するステップを含んでいてよい。
【0049】
好適には、センサ保持体の取り付け後にバイオリアクタを滅菌する。
【0050】
本発明の方法によれば、センサ保持体の取り付け後に、バイオリアクタにセンサを装備し、この場合、センサをホルダボディのセンサ保持体領域に少なくとも部分的に取り付ける。
【0051】
これにより、本明細書で開示されたセンサ保持体に配置されているセンサの知覚測定値の検出を行うことができ、培養中または繁殖中であってもセンサを交換することができ、特に様々な形式のセンサを使用することもできる。
【0052】
様々な形式のセンサの例は、顕微鏡プローブ、例えば紫外線、または紫外線および可視スペクトル範囲でも電磁放射を検出することができる一般的なセンサ、ならびに赤外線センサである。さらにセンサは、濁度測定のための装置ならびに電気変位を測定するためのラマン分光計のための装置を含んでよい。ラマン分光計の場合、センサは、ラマン分光法のための励起光源も含んでよい。
【0053】
さらに、生物学的材料から放出された放出光の偏光変化を測定するためのセンサも含まれてよい。
【0054】
好適には、センサ保持体は少なくとも1つのセンサを保持することができ、作動状態で、バイオリアクタの内部の、特に生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の内部の、電磁放射の放射強度および/または波長を測定することができる。
【0055】
センサ保持体は少なくとも1つのセンサを保持しており、作動状態で、バイオリアクタの内部の、特に生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の内部の、電磁放射の放射強度および/または波長を空間的に分解して測定するならば、例えば、代謝過程を空間的に分解して検出することができ、特別に影響を与えることができる。
【0056】
所定の期間、所定の波長の、好適には250nmの波長の電磁放射をバイオリアクタ内に入射させ、該入射後に、広帯域でまたは選択的に、所定の波長、特に270nmの波長で、電磁放射の放射強度および/または波長をバイオリアクタの内部で測定するならば、これにより、蛍光として発せられた光の割合を検出することができ、フォトバイオリアクタ内側の規定された代謝過程に関してこれを評価することができる。
【0057】
好適には、本明細書に記載した装置および方法によって、例えばバイオリアクタの容器内での生物学的材料の培養中に、センサを交換することができ、特にこの際に、センサの交換または変更中にバイオリアクタの容器内側の滅菌条件が変化することはなく、したがってすなわち滅菌条件は維持される。
【0058】
好適な実施形態の方法では、フォトバイオリアクタの汚染は、これまでのものよりも極めて高い確率で回避することができるので、有利には、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体が、貫通ガイドの貫通孔内に少なくとも部分的に保持されている間に、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器を備えたバイオリアクタと、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体とをオートクレーブ処理することができ、一度の過程でオートクレーブ処理を実施することができる。したがって、フォトバイオリアクタに生物学的材料を充填する直前にオートクレーブ処理が行われるならば、時間的な合間に生じる汚染物質の混入のリスクも減じられる。
【0059】
刊行物「Optical Sensor Systems for Bioprocess Monitoring」(Stefan Marose、Carsten Lindemann、Roland Ulber and Thomas Scheper著、TIBTECH、1999年1月 、VOL 17)には、光学密度の測定は、バイオリアクタにおけるその場での質量制御のための最も普遍的な機器であることが教示されている。しかしながら、本発明によれば、このような装置の、特にプロセス確実性に関する欠点が著しく減じられる。
【0060】
本明細書で開示された方法では、突然変異誘発によって改変された光栄養微生物または混合栄養微生物、特に微細藻類、酵母、および細菌を使用することもできる。
【0061】
次に本発明を、好適な実施形態につき、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の第1の好適な実施形態を示す横断面図であり、この場合切断平面は、
図4に示した切断平面A-Aに沿って延在している。
【
図2】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の第1の好適な実施形態を示す平面図であり、流体媒体を保持する容器の内側から、斜め上方から見た図である。
【
図3】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の第1の好適な実施形態を示す横断面図であり、この場合切断平面は、
図2に示した切断平面B-Bに沿って延在している。
【
図4】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の第1の好適な実施形態を示す横断面図であり、この場合切断平面は、
図2に示した切断平面C-Cに沿って延在している。
【
図5】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の第2の好適な実施形態を示す横断面図であり、この場合切断平面は実質的に、第1の実施形態を示す
図1の場合と同様に延在している。
【
図6】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の第2の好適な実施形態を示す平面図であり、流体媒体を保持する容器の内側から、見た図である。
【
図7】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の第2の好適な実施形態を示す断面図であり、この場合切断平面は、センサ保持体の前かつ貫通ガイドの前で、生物学的材料を保持する容器を垂直に通って延在している。
【
図8】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の第2の好適な実施形態を示す断面図であり、この場合切断平面は、センサ保持体の前かつ貫通ガイドの前で、生物学的材料を保持する容器を水平に通って延在している。
【
図9】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の第1の好適な実施形態を示す、
図4の切断平面A-Aに沿った斜視断面図である。
【
図10】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の第2の好適な実施形態を示す横断面図であり、この場合切断平面は、
図5の切断平面D-Dに沿って延在している。
【
図12】少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体を備えたバイオリアクタを示す側面図であって、この図では生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器が部分的に破断されて示されている。
【
図13】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の別の好適な実施形態を示す横断面図であり、この場合切断平面は、
図17に示した切断平面E-Eに沿って延在しており、バイオリアクタはマルチユースバイオリアクタであって、このバイオリアクタでは、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体は、特に濁度測定のための測定チャンバを有している。
【
図14】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の別の好適な実施形態を示す平面図であり、流体媒体を保持する容器の内側から、斜め上方から見た図である。
【
図15】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の別の好適な実施形態を示す横断面図であり、この場合切断平面は、
図14に示した切断平面F-Fに沿って延在している。
【
図16】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の別の好適な実施形態を示す別の平面図であり、流体媒体を保持する容器の内側から、斜め下方の側方から見た図である。
【
図17】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の別の好適な実施形態を示す横断面図であり、この場合切断平面は、
図14に示した切断平面G-Gに沿って延在している。
【
図18】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の別の好適な実施形態を示す別の平面図であり、流体媒体を保持する容器の外側から、斜め上方の側方から見た図である。
【
図19】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体のさらに別の好適な実施形態を示す横断面図であり、この場合切断平面は実質的に、
図5に示したのと同様に延在しており、バイオリアクタはシングルユースバイオリアクタであって、このバイオリアクタでは、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体は、特に濁度測定のための測定チャンバを有している。
【
図20】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体のさらに別の好適な実施形態を示す平面図であり、流体媒体を保持する容器の内側から見た図である。
【
図21】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体のさらに別の好適な実施形態を示す横断面図であり、この場合切断平面は、
図7に示したように延在している。
【
図22】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体のさらに別の好適な実施形態を示す別の平面図であり、流体媒体を保持する容器の内側から、斜め上方の側方から見た図である。
【
図23】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体のさらに別の好適な実施形態を示す横断面図であり、この場合切断平面は、
図10に示したように延在している。
【
図24】生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に配置され、部分的にのみ示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体のさらに別の好適な実施形態を示す別の平面図であり、流体媒体を保持する容器の外側から、斜め下方の側方から見た図である。
【
図25】本明細書で説明される窓の製造法を説明するための、この窓の、対称軸線Sに沿って延在する概略的な断面図である。
【
図26】少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体の対称軸線Sに沿って延在する概略的な断面図であり、センサ保持体のホルダボディの一部と、面平行な透明なエレメントと共に示されており、この場合対称軸線Sは
図9の窓のための単なる例として示されている。
【
図27】センサ保持体の窓の対称軸線Sに沿って延在する概略的な断面図であり、センサ保持体のホルダボディの一部と、両凸面状の透明なエレメントと共に示されている。
【
図28】センサ保持体の窓の対称軸線Sに沿って延在する概略的な断面図であり、センサ保持体のホルダボディの一部と、両凹面状の透明なエレメントと共に示されている。
【
図29】センサ保持体の窓の対称軸線Sに沿って延在する概略的な断面図であり、センサ保持体のホルダボディの一部と、平面凸面状の透明なエレメントと共に示されている。
【
図30】センサ保持体の窓の対称軸線Sに沿って延在する概略的な断面図であり、センサ保持体のホルダボディの一部と、平面凹面状の透明なエレメントと共に示されている。
【
図31】センサ保持体の窓の対称軸線Sに沿って延在する概略的な断面図であり、センサ保持体のホルダボディの一部と、凸面凹面状の透明なエレメントと共に示されている。
【
図32】センサ保持体の窓の対称軸線Sに沿って延在する概略的な断面図であり、センサ保持体のホルダボディの一部と、凹面凸面状の透明なエレメントと共に示されている。
【
図33】
図9と同様であるが、窓が、この窓に対応配置される顕微鏡装置、特に顕微鏡プローブの一部を成す別の実施形態を示す図である。
【
図34】本明細書で説明される、その透明なエレメントが石英ガラスを含む窓の製造法を説明するための、この窓の、対称軸線Sに沿って延在する概略的な断面図である。
【
図35】
図23に示した、その透明なエレメントは石英ガラスを含む窓を示す平面図である。
【
図36】
図23に示した長方形Kの内側の領域に相当する区分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下の好適な実施形態の詳細な説明では、同じ構成部分または同じ作用を有する構成部分は図面においてそれぞれ同じ符号を付与する。
【0064】
しかしながら図面では、明瞭にするために、縮尺は正確なものではない。
【0065】
短縮目的で以下では、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器のことを、流体媒体を保持する容器と記載し、またはさらに短縮形で単に容器とも記載する。
【0066】
本開示の範囲において、流体媒体という用語が使用される場合、これは、バイオリアクタ内に2つ以上の流体的な成分、例えば、生物学的材料または生物学的材料の前駆体を含むことができる担体流体が存在し得るという事実を考慮しているが、バイオリアクタ内には、生物学的材料自体の流体的な成分またはその他の栄養溶液が含まれてもよい。しかしながら、バイオリアクタ内に1つの担体流体しか存在せず、別の流体的な成分が存在しないならば、流体媒体という用語は、この担体流体を単数でも含み、別の流体的な成分を付加的に含む必要はない。
【0067】
生物学的材料とは、本開示の範囲では一般的に、哺乳類細胞、光栄養微生物、従属栄養微生物、混合栄養微生物などの原核生物および真核生物の細胞を含み、これは例えば藍藻または藍色細菌のような例えば微細藻類の形態で存在しており、特に突然変異誘発によって改変されている光栄養微生物または混合栄養微生物を含む。
【0068】
図12につき以下ではまず説明する。
図12には、符号1で示されたマルチユースバイオリアクタ全体が示されており、このバイオリアクタには、同じく全体を符号2で示された、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体が配置されている。
【0069】
バイオリアクタ1は、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器3を有しており、この容器3の部分横断面を取り囲む円Kの内側には、1種または複数種の流体媒体4および点で示された生物学的材料5が示されている。
【0070】
一般的に容器3は、例えば
図12に示されているような複数回利用するためのマルチユースバイオリアクタ1の容器、または一回のみの利用のためのシングルユースバイオリアクタの容器であってよい。
【0071】
好適には、マルチユースバイオリアクタの場合、容器3は特殊鋼を含んでいて、またはこの容器3は特殊鋼から成っている。以下にさらに詳しく説明する、装置8も特殊鋼を含んでいてよく、またはこの装置の構成部分の少なくとも1つまたは複数は、例えば
図7に示した本明細書で開示される窓11の基体10は、特殊鋼から成っていてよい、または特殊鋼を含んでいてよい。
【0072】
この場合、好適には本発明を実施する場合、錆びないまま維持されるならば、全ての特殊鋼が使用可能であり、特にオーステナイト系およびフェライト系特殊鋼も使用可能である。
【0073】
特殊鋼は、好適には316L医療用スチールも含み、または完全にこの316L医療用スチールから成っていてよい。
【0074】
さらに原則的には、チタン、タンタル、ニッケル、ならびに銅の含有率の高いモネル合金も使用可能であり、この場合、照明装置のために、特に照明装置のケーシング体のために使用する場合、チタンはエナメル加工されていてもよい。
【0075】
シングルユースリアクタ1の場合は、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器3はプラスチック、特に滅菌可能なプラスチックを含んでいてよく、またはプラスチック、特に滅菌可能なプラスチックから成っていてよい。この場合、容器3は、
図12に示した形態を有しておらず、袋として形成されていてもよい。
【0076】
さらに、容器3には、それぞれ貫通ガイドとも呼ばれる2つ以上のポート6が配置されていてよい。
【0077】
好適には、これらの貫通ガイド6は、特に
図12に示した実施形態でも、例えばIngoldポート、Broadly-Jamesポート、B-Braun安全ポートのような標準的なポートを含み、または別の基準に沿ったポートを含む。
【0078】
図5~
図8、
図10および
図19~
図24に例えば示されているように、使い捨てリアクタまたはシングルユースリアクタでは、貫通ガイド6は、トリクランプポート、サニタリクランプポート、または製造業者独自に形成されたポートを含んでいてもよい。
【0079】
貫通ガイド6は、規定された直径のそれぞれ1つの貫通孔7を有しており、この貫通孔は通常、バイオリアクタ1の内部を外部に接続する、または容器3へのアクセス経路を開放する。
【0080】
【0081】
少なくとも1つの貫通孔7の内側には、少なくとも1つのセンサ8、例えば画像捕捉装置または顕微鏡プローブ9を保持するセンサ保持体2が配置されており、この場合、センサ保持体2が所定の領域で、容器3の内部内に突入し、かつ貫通孔7を越えて容器3の外部にも突出し得るので、センサ保持体2は、ポート6または貫通ガイド6の貫通孔7内に少なくとも部分的に延在して保持されている。
【0082】
したがって、本発明による実施形態は、生物学的材料5を含む流体媒体4を保持する容器3を有するバイオリアクタ1と、生物学的材料5を含む流体媒体4を保持する容器3の内部と、生物学的材料5を含む流体媒体4を保持する容器3の外部との間の貫通孔7を備えた貫通ガイド6またはポート6とを有しており、少なくとも1つのセンサ8を保持するセンサ保持体2は、貫通ガイド6またはポート6の貫通孔7内で少なくとも部分的に延在している。
【0083】
センサ保持体2は、特に貫通孔として形成されているセンサ保持領域14を有するホルダボディ13を含み、このホルダボディには、例えば
図1および
図5に示されているような、電磁放射透過性の透明なエレメント12を有した窓11が配置されている。
【0084】
窓11は、鋼を含むまたは鋼から成る基体10を有しており、この基体は、以下で
図25~
図32につきさらに詳しく説明するように、透明なエレメント12を保持する。
【0085】
バイオリアクタ1は、複数の貫通ガイド6を有していてよく、これら貫通ガイドにはそれぞれセンサ保持体2が配置されている。
【0086】
この場合、装置保持体2には、それぞれ同じ形式のセンサ8が、または異なる構成のセンサ8が配置されてよい。
【0087】
第1の好適な実施形態は、センサ8として、例えば、当業者には公知の、画像捕捉装置を有することができる顕微鏡プローブ8,9を含み、この顕微鏡プローブは実質的に円筒状の形状を有し、取り外し可能に、しかしながら堅固にセンサ保持体2に保持されている。
【0088】
図1~
図4を次に参照して、少なくとも1つのセンサ8を保持するセンサ保持体2を詳しく説明する。
【0089】
図1および
図5から特によくわかるように、センサ保持体2は、円筒対称的な、特に柱状の、好適には一体に形成されているホルダボディ13を含む。
【0090】
ホルダボディ13は好適には円筒状の貫通孔14を有していて、この貫通孔14は、バイオリアクタ1の内部に対応配置された側で、窓11によって流体密に、特に気密に封止されて閉鎖されている。
【0091】
図13~
図18には、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体2を有する、複数回利用のためのマルチユースバイオリアクタ1の別の実施形態が示されていて、
図19~
図24には、センサ保持体2を有する、一度のみの使用のためのシングルユースバイオリアクタ1のさらに別の実施形態が示されている。
【0092】
両実施形態は、特に濁度測定のためそれぞれ1つの測定チャンバ40を含み、これについては例えば
図19~
図20に示されている。
【0093】
測定チャンバ40は、特に基体10と透明なエレメント12とを備えた窓11と共に、実質的に横断面L字型の脚部41によって形成される。
【0094】
脚部41は、好適には取り外し可能に取り付け可能にホルダボディ13に保持されていて、対称軸線Sの方向に延在するベース区分42を含む。ベース区分42の、遠位側の、したがってホルダボディ13に対して最も間隔を置いて位置する端部で、脚部41は、対称軸線Sに対して垂直に延在する平坦な端面43を形成し、この端面は、測定チャンバ40を対称軸線の方向で画定している。
【0095】
端面43と透明なエレメント12とは互いに間隔Tを置いて配置されているので、対称軸線Sの方向で伝播する平行光を使用する場合、透明なエレメント12の表面積と間隔Tとによって、流体媒体を保持する容器3の内側に配置される、濁度測定のために利用可能な容積が規定される。
【0096】
しかしながら、平行光ではなく発散光が測定に使用される場合でも、表面43の面積と間隔Tとによって測定容積が規定され、この測定容積もこの実施形態では濁度測定のために利用可能である。
【0097】
しかしながら一般的には、静的なジオメトリに基づき常に、不変の測定容積を最初に、例えば生物学的材料を含まない栄養溶液のみを用いて較正することができ、その後で、生物学的材料5をバイオリアクタ1内に導入した後、相応の濁度測定のために使用することができる。
【0098】
脚部41は、例えば溶接結合により、例えば
図23に示したように、窓11の基体10に持続的に保持され得る。
【0099】
選択的には脚部41は、
図36に示したように取り外し可能に取り付け可能に形成されていてもよい。このために脚部41はそのベース区分42に所定の嵌め合いを有した孔44を有していてよく、この孔内に、ホルダボディ13および好適には窓11の基体10にも堅固に保持されている嵌合ピン45が延在する。例えば
図7からもよくわかるように、窓11は、基体10に流体密に、特に気密に封止されて保持されている透明なエレメント12を含む。
【0100】
本開示の意味において、1つの対象物が、または2つの対象物の間の結合部も、例えば透明なエレメント12と窓11の基体10との間の結合部も、これらが片側でHeによって1barの圧力差で負荷されるとき、室温で1×10-3mbar×l/秒未満の漏れ率を有しているならば、気密に封止されていると、または流体密であるとみなされる。
【0101】
この透明なエレメント12は、ガラスを含む、またはガラスから成っているので、電磁的な放射を透過し、この場合、このガラスは好適には石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスを含んでいて、または石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスから成っている。
【0102】
ホルダボディ13は、窓11と共に、センサ8のためのホルダ15を形成しており、このホルダにはホルダ内にセンサ8が取り外し可能に取り付け可能に保持されている。
【0103】
このために、ホルダボディ13は、例えば
図1および
図11に示したように、好適には、摩擦エレメント16、好適にはOリングによって、センサ8に対して摩擦接続している。
【0104】
摩擦エレメント16は、ホルダボディ13の軸方向で、所定の調節可能な力を摩擦エレメントに加える実質的にリング状の押圧エレメント18によって、ホルダボディ13の円筒状の凹部17内に保持されている。
【0105】
この場合生じる摩擦エレメント16の変形により、これにより生じる、作動が安全であるようにその位置を保証するが、貫通孔14から円滑な手動の取り出しを可能にし、または貫通孔14への円滑な手動の取り付けを可能にするような所定の力で、センサ8は貫通孔14内に保持され得る。
【0106】
リング状の押圧エレメント18はスナップリング19により、その位置を規定されたように固定されている。ホルダボディ13自体は、半径方向に延在する側方の肩部20で、貫通ガイド6の上方のフランジ21に形状接続的に当接する。
【0107】
したがって、センサ保持体2は、貫通ガイド6の内側で、またはポート6の貫通孔7の内側で、貫通ガイドに対して形状接続的に、またはポート6の貫通孔7に対して形状接続的に延在している。
【0108】
半径方向に延在する肩部20に被さる、円筒状の貫通孔23を有したキャップナット22により、ホルダボディ13は取り外し可能に、しかしながら位置固定されてポート6に保持されている。
【0109】
このためにキャップナット22はねじ山24を、ホルダボディ13は対応ねじ山25を有している。
【0110】
スナップリング26によってキャップナット22は回転可能に保持されるが、軸方向では僅かな遊びをもって紛失しないようにホルダボディ13に保持されている。
【0111】
キャップナット22を回すことにより、センサ保持体2は、円滑に各ポート6に安全に作動するように取り付け可能であり、またはこのポートから取り外すこともできる。
【0112】
封止エレメント27、例えばOリングによって、ホルダボディ13は容器3の貫通孔7に対して流体密に、好適には気密に封止されて、形状接続的かつ摩擦接続的に貫通孔7に保持されている。
【0113】
この場合、例えば
図1および
図5にも示されている、ホルダボディ13の対称軸線Sが、本開示の範囲でそれぞれ参照される軸方向または長手方向を規定する。
【0114】
図9に例えば示されているように、センサ保持体2が、貫通孔7に装着されていて、好適には上述したように位置固定された状態で、バイオリアクタ1の内壁28に対する窓11の、したがって透明なエレメント12の軸方向間隔29は、側方の肩部20に対する窓11の軸方向間隔30によって規定される。
【0115】
この場合、側方の肩部20に対する窓11の軸方向間隔は、例えば
図9によりわかるように、補助線Hによって略示されている半径方向に延在する側方の肩部20の下面から、窓11の基体10の上面までが測定される。
【0116】
バイオリアクタ1の内壁28に対する窓11の軸方向間隔29は、この場合、基体10の下面と、バイオリアクタ1の内壁28との間の、したがってバイオリアクタ1の容器3の内壁28との間の最大間隔である。
【0117】
この場合、好適には、窓11の透明なエレメント12は、例えば
図1および
図9に示したように、ホルダボディ13が貫通孔7に装着された状態で、特に側方の肩部20が標準ポート6に接触した状態で、バイオリアクタ1の内側に配置されている。
【0118】
窓11の透明なエレメント12から側方の肩部20までの様々な軸方向間隔30を有するホルダボディ13のセットによって、この場合、バイオリアクタ1の内側における窓の透明なエレメント12の選択可能な軸方向の位置決めが可能となる。
【0119】
これにより、窓11から側方の肩部20までの様々な軸方向間隔30を有した複数の装置2を使用する場合、バイオリアクタ1の様々な場所を捕捉することができる。したがって、このような過程により、複数のセンサ保持体2を使用する場合、バイオリアクタ1を、その局所的な経過において極めて良好に捕捉することができる。
【0120】
図5~
図10を次に参照し、
図5~
図10は、バイオリアクタの容器3がプラスチックから成っているシングルユースバイオリアクタ1に配置されているセンサ保持体2の第2の好適な実施形態を示す。
【0121】
この実施形態では、センサ保持体2は、特にそのホルダボディ13で、バイオリアクタ1の容器に溶接されていて、特に補助剤なくバイオリアクタ1の貫通孔7に溶接されている。
【0122】
表面積を増大させ、付着力を向上させるために、バイオリアクタ1のプラスチックが接触する、ホルダボディ13の外面は、ローレット切りを有することができる。
【0123】
図10により特に良好にわかるように、ホルダボディ13は、半径方向外側に向かって延在する、特に標準的なフランジを含むフランジ31を有しており、このフランジは、封止手段33のための当接面32を軸方向で画定している。
【0124】
さらに、この実施形態では、センサ保持体2は、封止手段33のための当接面35を備えたカバーキャップ34を有しており、このカバーキャップは、センサ8の部分であってよく、好適にはセンサ8をセンサ保持体2内に、またはセンサ保持体2の外面に保持することができる。
【0125】
このカバーキャップ34は、当業者には公知であるように、トリクランプポートのための通常の閉鎖手段および保持手段により、封止手段33を介在してフランジ31に保持されていてよい。このために使用可能な閉鎖クランプは、例えばISO2852またはDIN32676により規格化されている。
【0126】
図9および
図10に単なる一例として示されたこのようなセンサ8は、例えば第1のセンサ区分36を有していてよく、このセンサ区分は、ホルダボディ13の貫通孔14内に、好適には形状接続的に取り付け可能であり、少なくとも1つの知覚装置を有している。
【0127】
この知覚装置は例えば、顕微鏡プローブ9であってよく、この顕微鏡プローブは、画像形成光学システムを有しており、このシステムのうち例えば光学レンズエレメント56が
図33に示されている。
【0128】
別の構成では、顕微鏡プローブ9は、例えば、画像を記録するフォトセンサの形態の、画像記録装置を有していてよい。
【0129】
選択的または付加的に、知覚装置は、画像導体、特にファイバ画像導体37を有していてよく、この画像導体は
図9に単に例として、著しく概略化されて示されている。
【0130】
選択的に、知覚装置は、例えば分光計ヘッド39として示されている分光計38を有することができ、この分光計ヘッドは、画像導体37にフランジ固定され、この画像導体に光学的に接続されている。
【0131】
しかしながらセンサ保持体2が少なくとも1つのセンサ8を、特に上述したように、顕微鏡プローブ8の内側で、またはこの顕微鏡プローブ8に配属された画像記録装置の内側で有する場合には、そして作動状態で、バイオリアクタ1内部における、特にこの画像捕捉装置を備えた容器3の内部における電磁放射の放射強度および/または波長が記録される場合には、放射強度および/または波長を、空間的に分解して測定することができる。例えば、波長の測定のために、透明なエレメント12上にコーティングすることも次に説明する。さらに、顕微鏡プローブ8内部に配置されたフィルタを、光学的かつ電子的な形式で、例えば画像記録装置においてこのために使用することができる。
【0132】
現場でのセンサ8としての顕微鏡によるプロセスコントロールにより、この場合、生物学的材料5の各細胞に関する量的かつ形態的情報の捕捉が可能である。
【0133】
これにより直接、最適化されるまたは少なくとも改善される収量のための最適化された影響値も導き出され得る。これらの影響値は例えば、燻蒸速度、燻蒸組成、温度、pH、rX、溶解ガスの濃度、混合/攪拌回転数、供給速度、供給組成、培養時間、活性化因子または阻害因子であり、さらに別の影響値が含まれてもよい。
【0134】
本発明の好適な実施形態では、一方の窓11または両方の窓11はそれぞれ、以下で
図25につき説明するように、透明なエレメント12のためにガラス嵌め込みを、好適にはGTMS圧縮ガラス封止とも呼ばれる、GTMS圧縮ガラス嵌め込み封止を形成する。
【0135】
図25には、本明細書で説明される窓11の製造法を説明するための、この窓11の、対称軸線Sに沿って延在する概略的な断面図が示されている。
【0136】
図25に示した窓11は、透明なエレメント12を側方で取り囲む、鋼から成るリング状または円筒状の基体10を有し、この基体10は、透明なエレメント12と基体10との間の、持続的に気密な、本発明の目的のためには十分な耐圧性ならびに耐熱性の結合を保証する圧力を、透明なエレメント12に加える。
【0137】
窓の透明なエレメントは、GTMS圧縮ガラス嵌め込み封止によって、基体10に、およびセンサ保持体のホルダボディ13に保持されている。
【0138】
好適にはこの場合、窓11は、溶接により、特にレーザー溶接により気密にホルダボディ13に結合されている。
【0139】
窓の製造の際は、ガラスから成る、またはガラスを含む透明なエレメントを、好適には既にほぼ最終的な形状に相応して、基体10内側に配置し、この基体と共に、透明なエレメント12のガラスがそのガラス化温度Tgまたはその半球温度を超過し、基体10に融着し始めるまで加熱する。
【0140】
融着が行われた後、次いで、透明なエレメント12と基体10とから成る複合体を室温に冷却し、これにより、実質的に板状の透明なエレメント12を備えたそれぞれ1つの窓11が形成される。
【0141】
基体10の特殊鋼の熱膨張係数が、透明なエレメント12のガラスの熱膨張係数よりも大きいので、この基体は、透明なエレメントのガラスが硬化し始めるとすぐに、温度がさらに減じるにつれ上昇する圧縮応力を、透明なエレメント12のガラスに加える。
【0142】
そして基体10は透明なエレメント12を、冷却が行われた後に、この準凍結圧縮応力により永続的に気密に封止し、温度安定的に保持する。
【0143】
このような形式の圧縮ガラス嵌め込みは、本開示の範囲では、ガラス・金属結合、またはガラス対金属封止、GTMS、またはGTMS圧縮封止ガラス嵌め込みとも記載される。
【0144】
このような形式のガラス・金属結合では、金属が全作動温度範囲にわたって、特に少なくとも121℃までの温度で、好適には141℃までの温度でも、圧縮力をガラスに加え、この圧縮力により、金属とガラスとの間に圧縮応力が形成され、この圧縮応力により、ガラス・金属結合は、持続的に確実に作動するように、流体密かつ気密に封止されている。
【0145】
さらにこのようなガラス・金属結合では通常、従来の封止手段、例えばOリングの使用の際には生じ得るようなギャップが生じず、しばしば除去が極めて困難な汚染物質が生じる空間は形成されない。
【0146】
この場合、透明なエレメント12のガラスと、窓11のリング状または円筒状の基体10との間の圧縮応力を、少なくとも作動温度範囲にわたって確実に維持する熱膨張係数の差が好適である。
【0147】
金属の熱膨張係数CTEMと、透明なエレメント12のガラスの熱膨張係数CTEGとの間このような差は、例えば、80×10-6/K未満、好適には30×10-6/K未満、または特に好適には20×10-6/K未満であってよい。この場合、金属の熱膨張係数CTEMはそれぞれ、ガラスの熱膨張係数CTEGよりも大きくなければならない。しかしながら全ての場合において、この差は好適には少なくとも1×10-6/Kでなければならない。
【0148】
石英ガラスは例えば、0.6×10-6/KのCTEGを有していて、例えば17~18×10-6/KのCTEMを有する特殊鋼と組み合わせることができる。
【0149】
バイオリアクタ1と、画像捕捉装置を支持する装置2とはそれぞれ個々に独立している、またはフォトバイオリアクタ1と、画像捕捉装置を支持する装置2とを共にオートクレーブ可能とすることもできる。これは、特に、本明細書で開示された窓11を有する画像捕捉装置を支持する装置2が気密に封止されていて、この場合、飽和蒸気、または飽和蒸気により形成される流体が装置2内に進入することなく、121℃の、特に141℃の飽和蒸気による処理に耐えることができることを意味する。
【0150】
オートクレーブ処理可能であるとは、この開示の範囲では、医療製品に関するDIN EN ISO14937、EN ISO17665に規定された意味でオートクレーブ処理可能であると理解される。
【0151】
これにより、当業者には公知の好適な定置蒸気滅菌が可能となる。
【0152】
このような持続作動耐性のある気密に封止されて熱安定的に保持された状態では、透明なエレメント12のガラスは、好適には各側方の主表面53,54の検査後すぐに使用されてよく、または例えば研磨や形状付与研削のようなさらなる表面処理方法を施すことができる。
【0153】
このようにして、各透明なエレメント12は、面平行な側方の主表面53,54を形成することができ、または透明なエレメント12は、
図26~
図32の断面図に示したように、平面凸面状に、平面凹面状に、両面凸面状に、両面凹面状に、凸面凹面状に、または凹面凸面状に成形することができる。
【0154】
特に、
図10につき説明した実施形態により測定するために使用される光路に関する表面品質に対する光学的要求が僅かである場合、透明なエレメント12を製造方法の間も、実質的に既にその最終形状に相当する相応のネガ型内に保持することができる。
【0155】
主表面53および54は、波長選択されていて、このようにして光学的なバンドパスフィルタまたはエッジフィルタを形成するコーティングを有することができる。このようなコーティングは、それぞれ主表面53,54のうちの一方にまたは両方に設けることができる。
【0156】
このような形式のコーティングがない場合、特にいかなるコーティングもない場合、少なくとも1つの窓11の透明なエレメント12は、250~2000nmの波長のスペクトル範囲に、80%よりも高い、特に好適には90%よりも高い透過性を有している。
【0157】
図34および
図35に例えば示したように、窓11の透明なエレメント12が石英ガラスから成っている、または石英ガラスを含んでいる場合、レーザー溶接シームの代わりに、石英ガラスを気密に封止して、窓11のリング状または円筒状の基体10に、特に流体密および気密に封止して結合するために、別のガラス57またはガラス用はんだ57を、特に無鉛のガラス57またはガラス用はんだ57を使用することができる。
【0158】
好適には、窓11の基体10は直接、特に溶接、好適にはレーザー溶接によって、それぞれ気密に封止されて、ホルダボディ13および/または照明装置31のケーシング33に接続されており、これによりケーシング33は気密に封止されて形成されていて、ホルダボディ13はその下縁部で気密に封止されて、容器3の内部に対しても気密に封止されて形成されている。
【0159】
例えばこの場合、それぞれ生じるレーザー溶接シームが、
図28にのみ符号55で示されている。
【0160】
選択的に、ホルダボディ13は、高温耐性のプラスチック、特に例えば、ポリアリエールエーテルケトン、特にポリエーテルエーテルケトン、PEEKのような熱可塑性材料を含むか、またはこれにより成っていてよい。
【0161】
ホルダボディ13が、高温耐性のプラスチック、特に例えば、ポリアリエールエーテルケトン、特にポリエーテルエーテルケトン、PEEKのような熱可塑性材料を含むか、またはこれにより成っている場合は、このホルダボディ13は、本開示の範囲において記載されたように、必ずしも完全に気密である必要はなく、それにも関わらず、極めて有益な作動時間および使用時間を達成することができる。
【0162】
例えばPEEKを含む、またはPEEKから成っているホルダボディ13は、円形の横断面を有する好適には柱状の貫通孔を有することができ、同様に円形の側方の外側寸法を有する透明なエレメント12の外径は、ホルダボディ13の円形の貫通孔の内径より約1/10だけ大きくてよい。ホルダボディ13が約200℃の温度に加熱されると、透明なエレメント12をこの貫通孔に装着することができ、冷却されると、上述したような、例えば約38MPaの圧縮応力が生じ、これは依然として、110MPaであるPEEKの降伏点を大きく下回る。
【0163】
図27に例えば示した窓を、例えば
図33に示したように顕微鏡プローブ9と共に使用し、この場合、この窓11が、この窓に対応配置された顕微鏡装置の、すなわち顕微鏡プローブ8の一部を成すならば、さらに好適な実施形態が得られる。
【0164】
窓11の透明なエレメント12は、この実施形態では、特にこの窓に配属された画像形成システムの部分である。
【0165】
この場合、顕微鏡プローブ8の第1の光学レンズエレメント56は、入射する電磁放射のためにより大きな有効角度範囲を有することができるので、例えば既に、下側の主表面54または両方の主表面53,54は、放射を形成するまたは波を形成する作用を展開することができ、原則的には結像ビーム経路のためにより高い開口数を達成することができる。
【0166】
これにより、顕微鏡プローブ8の解像度を高めることができるだけでなく、全体として提供される、電磁放射の強度も高めることができ、これにより、特に、
図10に示した実施形態のために
図27に示した窓を使用する場合には、例えば電気信号に変換されるこの場合に得られた測定結果のために、改善された信号対ノイズ比が生じる。
【0167】
本発明は概して、バイオリアクタ用のセンサ保持体、ならびにセンサ保持体を備えたバイオリアクタ、および生物学的材料を繁殖させるまたは培養する方法に関し、この方法では、少なくとも1つのセンサを保持するセンサ保持体が使用され、このセンサ保持体は窓を有しており、生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器の貫通孔内に少なくとも部分的に延在しており、この場合、センサ保持体はその窓によって好適には貫通孔を閉鎖する。
【0168】
この出願は、本出願と同日にドイツ特許商標庁に提出された、発明の名称「Photobioreaktor mit Vorrichtung zur Abgabe elektromagnetischer Strahlung, Vorrichtung zur Abgabe elektromagnetischer Strahlung sowie Verfahren zur Vermehrung oder Kultivierung biologischen Materials, Verfahren zum Praeparieren von biologischem Material und/oder Herstellen von Pharmazeutika, insbesondere Biopharmazeutika(電磁放射を放出する装置を備えるフォトバイオリアクタおよび電磁放射を放出する装置ならびに生物学的材料を繁殖させるまたは培養する方法および生物学的材料を処理するかつ/または医薬品、特にバイオ医薬品を製造する方法)」および発明の名称「Vorrichtung zur Halterung einer bilderfassenden Einrichtung an einem Bioreaktor, Bioreaktor mit Vorrichtung zur Halterung einer bilderfassenden Einrichtung sowie Verfahren zur Vermehrung oder Kultivierung biologischen Materials(バイオリアクタに画像捕捉装置を支持する装置、および画像捕捉装置を支持する装置を備えたバイオリアクタ、ならびに生物学的材料を繁殖させるまたは培養する方法)」の、同じ出願人による出願の対象も含み、これらの出願は引用により、本出願に完全に組み込まれる。
【符号の説明】
【0169】
1 バイオリアクタ
2 少なくとも1つのセンサを保持するためのセンサ保持体
3 生物学的材料を含む流体媒体を保持する容器
4 単数または複数の流体媒体
5 生物学的材料
6 ポートまたは貫通ガイド
7 容器3の貫通孔
8 センサ、特に例えば顕微鏡プローブ
9 画像捕捉装置、特に顕微鏡装置
10 窓11の基体
11 窓
12 透明なエレメント
13 ホルダボディ
14 貫通孔
15 ホルダ
16 摩擦エレメント、好適にはOリング
17 円筒状の凹部
18 リング状の押圧エレメント
19 スナップリング
20 半径方向に延在する側方の肩部
21 上方のフランジ
22 キャップナット
23 貫通孔
24 ねじ山
25 対応ねじ山
26 スナップリング
27 封止エレメント、特にOリング
28 バイオリアクタ1の内壁
29 内壁28に対する窓11の軸方向間隔
30 側方の肩部20に対する窓11の軸方向間隔
31 フランジ
32 封止手段33のための当接面
33 封止手段
34 カバーキャップ
35 封止手段、特に封止手段33のための当接面
36 第1のセンサ区分
37 ファイバ画像導体
38 分光計
39 分光計ヘッド
40 測定チャンバ
41 L字型の脚部
42 ベース区分
43 ろう接または溶接結合部
44 所定の嵌め合いを有した孔
45 嵌合ピン
53 主表面
54 主表面
55 レーザー溶接シーム
56 光学レンズエレメント
57 別のガラスまたはガラス用はんだ、特に無鉛のガラスまたはガラス用はんだ
S 対称軸線
H 補助線
K 長方形、
図23に規定された区分