(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】表示媒体、表示支援媒体および処理装置
(51)【国際特許分類】
G09F 19/14 20060101AFI20240531BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
G09F19/14
G09F9/00 313
(21)【出願番号】P 2021039158
(22)【出願日】2021-03-11
(62)【分割の表示】P 2020110274の分割
【原出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】598138327
【氏名又は名称】株式会社ドワンゴ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 快勢
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-133124(JP,A)
【文献】特開平08-186680(JP,A)
【文献】特開2000-318144(JP,A)
【文献】特開2017-154438(JP,A)
【文献】特開2002-099223(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0098396(US,A1)
【文献】米国特許第04483087(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
19/00 -27/00
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の仰角かつ方位角から、所定数の方位角に対応する所定数のコンテンツを表示可能な表示媒体であって、
光を反射する部材を備え、
前記部材を複数の単位セルに区分し、
前記複数の単位セルそれぞれを、前記所定数の方位角に対応する所定数のサブセルに区分し、
所定の方位角に対応する各サブセルに、光を遮蔽する、前記所定の方位角方向の面を有する突状部材が、形成され、
前記突状部材は、加法混色により無彩色を形成する複数色で着色され、
前記無彩色は、黒よりも明度が高い色である
表示媒体。
【請求項2】
前記突状部材は、インクジェット印刷機が噴射したUV硬化インクで形成される
請求項1に記載の表示媒体。
【請求項3】
光を反射する表示面に貼付可能で、所定の仰角かつ方位角から、所定数の方位角に対応する所定数のコンテンツを表示可能な表示支援媒体であって、
シート形状を有し、光を透過するシート状部材を備え、
前記シート状部材を複数の単位セルに区分し、
前記複数の単位セルそれぞれを、前記所定数の方位角に対応する所定数のサブセルに区分し、
所定の方位角に対応する各サブセルに、光を遮蔽する、前記所定の方位角方向の面を有する突状部材が、形成され、
前記突状部材は、加法混色により無彩色を形成する複数色で着色され
、
前記無彩色は、黒よりも明度が高い色である
表示支援媒体。
【請求項4】
前記突状部材は、インクジェット印刷機が噴射したUV硬化インクで形成される
請求項3に記載の表示支援媒体。
【請求項5】
請求項1に記載の表示媒体、または
請求項3に記載の表示支援媒体を製造するために用いられる処理装置であって、
前記突状部材が加法混色により無彩色を形成する色の組み合わせを決定する色決定部
を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示媒体、または
請求項3に記載の表示支援媒体を製造するために用いられる処理装置であって、
前記突状部材が無彩色に見えるように、加法混色により無彩色を形成する色の配置を決定する配置決定部
を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
請求項5または6に記載の処理装置として機能させる処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示媒体、表示支援媒体および処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面部材上において指定方向に平行で、平面部材に垂直に形成される突状部材によって、指定方向(仰角および方位角)から見た際に、平面部材上の所定の部分の色を視認させる表示媒体がある(特許文献1参照)。これにより表示媒体は、複数の指定方向に対して、異なるコンテンツを表示する。特許文献1において、突状部材の色は単色である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1において、表示媒体が表示するコンテンツの色は突状部材の色の影響を受ける場合がある。例えば、突状部材を黒にする場合、表示媒体が表示するコンテンツの色は黒っぽくなり、突状部材を赤にする場合、コンテンツの色が赤っぽくなる。コンテンツの色味と突状部材の色味が合えば、突状部材の色は、表示するコンテンツの視認性に大きな影響を与えない。コンテンツの視認性を向上させるために、各方向に表示する各コンテンツの色味に大きな違いがないことが必要となり、コンテンツの選択に制限が生じる。
【0005】
従って本発明の目的は、任意のコンテンツに調和する表示媒体、表示支援媒体および処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様の表示媒体は、所定の仰角かつ方位角から、所定数の方位角に対応する所定数のコンテンツを表示可能な表示媒体であって、光を反射する平面部材を備え、平面部材を複数の単位セルに区分し、複数の単位セルそれぞれを、所定数の方位角に対応する所定数のサブセルに区分し、所定の方位角に対応する各サブセルに、所定の方位角に平面部材上で平行な、光を遮蔽する面を有する突状部材が、平面部材に垂直に形成され、突状部材は、加法混色により無彩色を形成する複数色で着色される。
【0007】
平面部材に対向する位置から見た際、突状部材の上面は、各色が与えられる複数の領域に区分され、縦方向および横方向に隣り合う領域に異なる色が与えられ、斜め方向に隣り合う領域に同じ色が与えられても良い。
【0008】
突状部材をインクジェット印刷機が噴射したUV硬化インクで形成する際、突状部材に着色される複数色は、それぞれインクジェット印刷機で用いるインクの原色であっても良い。
【0009】
領域は、インクジェット印刷機による複数回の噴射により形成されても良い。
【0010】
本発明の一態様の表示媒体は、所定の仰角かつ方位角から、所定数の方位角に対応する所定数のコンテンツを表示可能な表示媒体であって、光を反射する平面部材を備え、平面部材を複数の単位セルに区分し、複数の単位セルそれぞれを、所定数の方位角に対応する所定数のサブセルに区分し、所定の方位角に対応する各サブセルに、所定の方位角に平面部材上で平行な、光を遮蔽する面を有する突状部材が、平面部材に垂直に形成され、突状部材は、グレーで形成される。
【0011】
本発明の一態様の表示支援媒体は、光を反射する平面を有する表示面に貼付可能で、所定の仰角かつ方位角から、所定数の方位角に対応する所定数のコンテンツを表示可能な表示支援媒体であって、シート形状を有し、光を透過するシート状部材を備え、シート状部材を複数の単位セルに区分し、複数の単位セルそれぞれを、所定数の方位角に対応する所定数のサブセルに区分し、所定の方位角に対応する各サブセルに、所定の方位角にシート状部材上で平行な、光を遮蔽する面を有する突状部材が、シート状部材に垂直に形成され、突状部材は、加法混色により無彩色を形成する複数色で着色される。
【0012】
本発明の一態様の表示支援媒体は、光を反射する平面を有する表示面に貼付可能で、所定の仰角かつ方位角から、所定数の方位角に対応する所定数のコンテンツを表示可能な表示支援媒体であって、シート形状を有し、光を透過するシート状部材を備え、シート状部材を複数の単位セルに区分し、複数の単位セルそれぞれを、所定数の方位角に対応する所定数のサブセルに区分し、所定の方位角に対応する各サブセルに、所定の方位角にシート状部材上で平行な、光を遮蔽する面を有する突状部材が、シート状部材に垂直に形成され、突状部材は、グレーで形成される。
【0013】
本発明の一態様の処理装置は、上記表示媒体または表示支援媒体を製造するために用いられる処理装置であって、突状部材が加法混色により無彩色を形成する色の組み合わせを決定する色決定部を備える。
【0014】
本発明の一態様の処理装置は、上記表示媒体または表示支援媒体を製造するために用いられる処理装置であって、突状部材が無彩色に見えるように、加法混色により無彩色を形成する色の配置を決定する配置決定部を備える。
【0015】
本発明の一態様の処理プログラムは、コンピュータに、上記処理装置として機能させるための処理プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、任意のコンテンツに調和する表示媒体、表示支援媒体および処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1(a)は、本発明の実施の形態に係る表示媒体の斜視図であって、
図1(b)は、単位セルの斜視図である。
【
図2】
図2は、表示媒体でコンテンツを観察する方位角と、突状部材との関係を説明する図である。
【
図3】
図3は、表示媒体の上面視において、突状部材に割り当てられる色の一例である。
【
図4】
図4は、表示媒体の上面視において、突状部材に割り当てられる色の一例であって、
図4(a)は領域の粒度が小さく、
図4(b)は領域の粒度が中程度で、
図4(c)は領域の粒度が大きい。
【
図5】
図5は、第3の実施の形態に係る表示支援媒体を説明する図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る表示媒体または表示支援媒体を形成するために用いられる処理装置のハードウエア構成および機能ブロックを説明する図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0019】
(表示媒体)
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る表示媒体1を説明する。本発明の実施の形態に係る表示媒体1は、所定の仰角かつ方位角から、所定数の方位角に対応する所定数のコンテンツを表示可能に形成される。表示媒体1は、所定の仰角から所定の方位角で観察することでコンテンツを表示することが可能で、また方位角を変更することにより、異なるコンテンツを表示することが可能である。表示媒体1は、所定の方位角毎に、複数のコンテンツを表示することが可能である。また観察者がコンテンツを観察する際の仰角は、コンテンツ毎に異なっていても良い。本発明の実施の形態においてコンテンツは、静止画である。なお、本発明の実施の形態において、表示媒体1がコンテンツを表示する方向を指定方向と称する場合がある。
【0020】
図1(a)に示すように表示媒体1は、平面部材2の平面に着色部4が設けられる。平面部材2は、光を反射する平面を有する。平面部材2は、鏡面反射したり、光を拡散したりすることが可能であれば良い。また平面部材2は、視認性の向上の観点から、鏡面成分が高い金属により形成されることが好ましい。着色部4は、インクで着色される部分である。
【0021】
図1(a)に示すように、平面部材2の平面を、複数の単位セルCに区分する。
図1に示す例において、平面部材2の平面は、縦方向および横方向にそれぞれ複数の単位セルが並ぶ。さらに、
図1(b)に示すように、複数の単位セルCそれぞれを、所定数の方位角に対応する所定数のサブセルBに区分する。
【0022】
ここで、単位セルCおよびサブセルBは、仮想的な区分であっても良い。例えば、隣り合う2つのサブセルBに同じ色値が与えられる場合、または、突状部材3の配置によっては、サブセルBまたは単位セルCの境界が可視化されない可能性がある。
【0023】
なお、
図1に示す例において平面部材2は、直方体である場合を説明するが、平面を有し、この平面に着色部4が設けられれば良い。また単位セルCおよびサブセルBはそれぞれ矩形である場合を説明するが、単位セルCおよびサブセルBの形状は問わない。
【0024】
一つの単位セルCにおけるサブセルBの数は、表示媒体1で表示可能なコンテンツの数に対応する。例えば、
図1に示す例では、1つの単位セルCが3つのサブセルBに区分されるので、少なくとも3つのコンテンツを表示することが可能である。着色部4の、所定の方位角に対応する各サブセルBには、この所定の方位角に対応するコンテンツを構成する、各サブセルBの位置に対応する各部分の色が与えられる。
【0025】
図1(b)に示すように、各サブセルBには、板状の突状部材3が、平面部材2に垂直に配置される。
図1(b)に示す例では、各サブセルBに2つの突状部材3が設けられる場合を説明しているが、各サブセルBに1つの突状部材3を設けても良いし、3つ以上の突状部材3を設けても良い。
【0026】
突状部材3は、所定数の方位角のそれぞれに対して、平面部材2上で平行な、光を遮蔽する面を有する。突状部材3は、光を遮蔽する不透明な部材で形成されるのが良いが、観察者の視認性に影響を及ぼさない範囲で一部の光が透過するように形成されても良い。所定の方位角に対応する各サブセルBに、この所定の方位角に平行する面を有する突状部材3が形成される。
【0027】
1つのサブセルBに複数の突状部材3を設ける場合、各突状部材3は互いに平行に配設される。突状部材3は、その突状部材3が設けられるサブセルB毎に異なる方向に配設され、異なるサブセルBに配設される各突状部材3は、互いに平行にならないように配設される。
【0028】
本発明の実施の形態に係る表示媒体1は、所定の仰角において観察される。
図1(b)に示すように、平面部材2の平面上に、板状の突状部材3を垂直に設けるので、所定の仰角から表示媒体1を観察した際に、突状部材3によって遮蔽されない着色部4が確認される。
【0029】
なお、単位セルCにおける各サブセルBの面積比と突状部材3の形状は、(1)所定の方位角から見た所定のサブセルBの光について、突状部材3による遮光の量と、(2)所定の方向以外の方向または所定のサブセルB以外のサブセルBからの光の量と、(3)各サブセルBの反射輝度の標準偏差について、(1)ないし(3)の少なくとも1つ以上が少なくなるように、形成される。各サブセルBおよび突状部材3の形状は、特許文献1に記載される方法で、特定される。
【0030】
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る表示媒体1を観察する仰角および方位各について説明する。
図2(a)は、表示媒体1に、コンテンツI0、I1およびI2を表示する場合を説明する。
【0031】
表示媒体1上の座標xを、所定の仰角ω0かつ方位角φ0で観察した場合、表示媒体1上の座標xに対応するコンテンツI0の座標の色値を確認できる。同様に、表示媒体1上の座標xを、所定の仰角ω1かつ方位角φ1で観察した場合、表示媒体1上の座標xに対応するコンテンツI1の座標の色値を確認できる。さらに、表示媒体1上の座標xを、所定の仰角ω2かつ方位角φ2で観察した場合、表示媒体1上の座標xに対応するコンテンツI2の座標の色値を確認できる。
【0032】
図1(a)に示す表示媒体1の単位セルCは、例えば
図2(b)のように形成される。単位セルCは、サブセルB0、サブセルB1およびサブセルB2を備える。サブセルB0に、方位角φ0の方向に平行な、3つの突状部材L0が配置される。サブセルB1に、方位角φ1の方向に平行な、2つの突状部材L1が配置される。サブセルB2に、方位角φ2の方向に平行な、3つの突状部材L2が配置される。
【0033】
図2(b)に示す例において、方位角φ0の方向から単位セルCを観察すると、サブセルB0の着色部4の色が見えるとともに、サブセルB0に配置された突状部材L0、サブセルB1に配置された突状部材L1およびサブセルB2に配置された突状部材L2が見える。サブセルB0に配置された突状部材L0は、方位角φ0と平行に形成されるので、突状部材L0の厚み部分が観察されるので、突状部材L0の色が、コンテンツの視認性に与える影響は限定的とも考えられる。
【0034】
しかしながら、サブセルB1に配置された突状部材L1およびサブセルB2に配置された突状部材L2は、長手方向が方位角φ0と交わるように形成されることで、広い面で、サブセルB1およびサブセルB2の着色部4の色を遮蔽する。方位角φ0の方向から単位セルCを観察すると、突状部材L1および突状部材L2の広い面の色が、コンテンツの視認性に与える影響は大きい。
【0035】
他の方位角φ1およびφ2から単位セルCを観察した場合も同様である。観察する方位角と直交する突状部材の広い面がコンテンツの視認性に与える影響は大きい。
【0036】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態において突状部材3は、無彩色であるグレーで形成される。突状部材3は、グレーの部材で形成されても良いし、グレー以外の色の部材に対してグレーで着色して形成されても良い。第1の実施の形態は、グレーの部材を突状部材3として形成することができる表示媒体1に好適である。なお本発明の実施の形態において、無彩色は、白、黒を除外するグレーである。
【0037】
突状部材3は、加法混色により無彩色を形成する複数色で着色されたり、その複数色で形成される部材を接続したりすることで、形成されても良い。例えば、平面部材2に対向する位置から見た際、突状部材の上面は、各色が与えられる複数の領域に区分され、縦方向および横方向に隣り合う領域に異なる色が与えられ、斜め方向に隣り合う領域に同じ色が与えられるように、着色される。突状部材3を至近距離で観察すると、色のそれぞれを区別して確認できる場合でも、表示媒体1が表示するコンテンツを視認できるような離れた場所から観察すると、加法混色によりグレー、具体的には、黒よりも明度が高い色に見えれば良い。
【0038】
突状部材3がグレーに見えることにより、突状部材3が視認されたとしても、コンテンツの色相に影響を与えないので、コンテンツの視認性を大きく低下させることはない。これにより、表示媒体1は、コンテンツの色味を制限することなく、任意のコンテンツに調和することができる。
【0039】
なお、第1の実施の形態において、加法混色の一例として、並置加法混色を用いる場合を説明するが、並置加法混色以外の加法混色により、突状部材3がグレーに見えるように形成されても良い。例えば、同時加法混色により、突状部材3に対して複数の色を重ねて照射することにより、突状部材3がグレーに形成されても良い。また突状部材3の着色が時分割により変更可能な場合、継時加法混色により、人間の脳内でグレーに認識するように形成されても良い。
【0040】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、グレーの部材を突状部材3として形成する場合を説明したが、第2の実施の形態では、突状部材3は、インクジェット印刷機が噴射したUV(紫外線:ultraviolet)硬化インクで形成される場合を説明する。
【0041】
インクジェット印刷機は、平面部材2上を走査して着色部4を着色し、突状部材3を形成する。インクジェット印刷機は、特許文献1に記載された方法で算出された各サブセルに与える色値に従って、着色部4を着色する。着色部4は、インクジェット印刷機が搭載するインクの色またはインクを混ぜた色によって、形成される。
【0042】
またインクジェット印刷機は、突状部材3の位置に、所望の高さを有するようにUV樹脂を噴射する。UV樹脂が硬化すると、突状部材3の微細な凹凸形状が、平面部材2上に、形成される。またインクジェット印刷機は、遮光性を有するように、例えば、0.005mm以上の厚みを有するように、突状部材3を形成する。
【0043】
インクジェット印刷機が搭載するインクがグレーのインクの場合、インクジェット印刷機は、UVインクとグレーのインクを混ぜて、突状部材3を形成する。これにより、コンテンツの色味を制限することなく、任意のコンテンツに調和することができる表示媒体1を形成することができる。
【0044】
しかしながら一般的なインクジェット印刷機は、C(シアン)、M(マゼンダ)およびY(イエロー)のインクを搭載し、グレーのインクを搭載していない場合が多い。グレーなどの、インクジェット印刷機が搭載するインクの色とは異なる中間色を形成する方法として、ハーフトーニングとコントーニングがある。ハーフトーニングは、ディザパターンか誤差拡散で表現するため、原理上、突状部材に用いることはできない。コントーニングは、重ね合わせて色を制御するところ、中間色によって高さが異なる場合があり、高さが均一の突状部材を形成することができない。従って、プリンターが一般的な中間色を形成する方法で、突状部材3を形成することはできない。
【0045】
第2の実施の形態において、CMY等のインクジェット印刷機が搭載するインクの色を用いて、任意のコンテンツに調和することのできる突状部材3を形成する方法を説明する。第2の実施の形態において、突状部材3は、加法混色により無彩色を形成する複数色で着色される。このように形成された突状部材3について、近い位置では、突状部材3に施された各色を確認できるものの、加法混色で視認可能な位置では、突状部材3の色が無彩色、具体的には、黒よりも明度が高い色となる。これにより、突状部材3の色が、コンテンツの色の色相に影響を与えることがない。
【0046】
突状部材3に着色される複数色は、それぞれインクジェット印刷機で用いるインクの原色である。複数色を構成する各色は、インクジェット印刷機が搭載するインクの色であればよい。本発明の実施の形態において、一般的なインクジェット印刷機が搭載するCMYである場合を説明する。複数色を構成する色は、RGB等のそのほかの色の組み合わせでも良い。インクジェット印刷機が搭載するインクによる混色で突状部材3を形成すると、混色に伴って突状部材3の明るさが低減してしまう。そこで、インクジェット印刷機が搭載するインクの原色を組みあわせて、加法混色により無彩色で突状部材3を着色することにより、突状部材3の高さを均一にし、さらに、混色に伴う突状部材3の明度の低減を回避することができる。
【0047】
インクジェット印刷機は、搭載する各インクを混ぜることなく、単独で、隣接する各微細領域に噴射する。これにより、各インクの色を区別して視認可能な至近距離において、CMYの各色を区別できるものの、加法混色が可能な離れた位置において、CMYは混ざりグレーとなる。至近距離においてCMYの各色を区別可能で、コンテンツを視認する位置において加法混色が生じるように表示媒体1を形成することで、表示媒体1は、コンテンツの色味を制限することなく、任意のコンテンツに調和することができる。
【0048】
なお、第2の実施の形態において、加法混色の一例として、並置加法混色を用いる場合を説明するが、並置加法混色以外の加法混色により、突状部材3がグレーに見えるように形成されても良い。例えば、同時加法混色により、突状部材3に対して複数の色を重ねて照射することにより、突状部材3がグレーに形成されても良い。また突状部材3の着色が時分割により変更可能な場合、継時加法混色により、人間の脳内でグレーに認識するように形成されても良い。
【0049】
平面部材2に対向する位置(上方)から表示媒体1を見た際、突状部材3の上面は、各色が与えられる複数の領域に区分され、各領域にCMYの各色が与えられる。表示媒体1を上面から見た際、各セルに設けられる各突状部材3の上面が、複数の領域に区分され、各領域が、インクジェット印刷機が搭載するインクの色で着色される。突状部材3の上面において区分される領域は、単位セルCを同一でも良いし、異なっても良い。例えば、単位セルCにおいて1つの色が与えられても良いし、複数の単位セルCにわたって1つの色が与えられても良いし、1つの単位セルCにおいて複数の色が与えられても良い。
【0050】
平面部材2の立ち上がり部分から突状部材3の上面まで、垂直方向に同じ色が与えられる。CMYの各色は、コンテンツを表示する際に、加法混色により突状部材3がグレーに見えればよく、CMYの各色の配置は限定されない。
【0051】
例えば、突状部材3を上面視において横ストライプ形状に区分して、CMYの各色を着色する方法がある。
図1(b)および
図2(b)に示す各座標系において、突状部材3のX軸方向を区分せずにY軸方向を複数の領域に区分することにより、X軸方向が長手方向の複数の領域が、Y軸方向に形成される。その複数の領域のそれぞれに、CMYのいずれかの色が着色される。突状部材3の上面において与えられた色は、平面部材2までZ軸方向に垂直に着色される。具体的には、
図2(b)に示す例において、X軸方向の左側からセルCのYZ平面を視認すると、突状部材L1の側面が、CMYの順に縦ストライプ状に着色され、Y軸方向の手前側からセルCのXZ平面を視認すると、CMYのいずれかの色が一面に着色される。
【0052】
例えば、突状部材3を上面視において縦ストライプ形状に区分して、CMYの各色を着色する方法がある。
図1(b)および
図2(b)に示す各座標系において、突状部材3のX軸方向を複数の領域に区分しY軸方向をしないことにより、Y軸方向が長手方向の複数の領域が、X軸方向に形成される。その複数の領域のそれぞれに、CMYのいずれかの色が着色される。突状部材3の上面において与えられた色は、平面部材2までZ軸方向に垂直に着色される。具体的には、
図1(a)に示す例において、X軸方向の左側からセルCのYZ平面を視認すると、CMYのいずれかの色が一面に着色され、Y軸方向の手前側からセルCのXZ平面を視認すると、突状部材3の側面が、CMYの順に縦ストライプ状に着色される。
【0053】
また突状部材3を上面視において斜めストライプ形状に区分して、CMYの各色を着色する方法がある。
図1(b)および
図2(b)に示す各座標系において、突状部材3のX軸方向およびY軸方向を複数の領域に区分して、斜め方向に領域を形成することにより、斜め方向が長手方向の複数の領域が、XY平面に形成される。その複数の領域のそれぞれに、CMYのいずれかの色が着色される。突状部材3の上面において与えられた色は、平面部材2までZ軸方向に垂直に着色される。具体的には、
図1(a)に示す例において、X軸方向の左側からセルCのYZ平面を視認すると、突状部材3の側面が、CMYの順に縦ストライプ状に着色され、Y軸方向の手前側からセルCのXZ平面を視認すると、突状部材3の側面が、CMYの順に縦ストライプ状に着色される。
【0054】
また突状部材3を上面視において格子状の領域に区分し、CMYの各色を着色する方法がある。
図1(b)および
図2(b)に示す各座標系において、突状部材3のX軸方向およびY軸方向をそれぞれ複数の領域に区分することにより、複数の矩形が格子状に並んだ複数の領域を形成する。突状部材3の上面において与えられた色は、着色部4までZ軸方向に垂直に着色される。具体的には、
図1(a)に示す例において、X軸方向の左側からセルCのYZ平面を視認すると、CMYの順に縦ストライプ状に着色され、Y軸方向の手前側からセルCのXZ平面を視認すると、突状部材Lの側面が、CMYの順に縦ストライプ状に着色される。
【0055】
このとき突状部材3は、
図3に示すように、上面視において、縦方向および横方向に隣り合う領域に異なる色が与えられ、斜め方向に隣り合う領域に同じ色が与えられるのが好ましい。
図3の上図は、表示媒体1の上面視において、突状部材3に与える色のパターンを示す。下図は、表示媒体1の側面視において、突状部材3に与える色のパターンを示す。なお、
図3および
図4において、白はシアン(C)を示し、薄いグレーはマゼンダ(M)を示し、濃いグレーはイエロー(Y)を示す。
【0056】
図3に示す例において、CMYのそれぞれの色の領域が、斜め45度方向に並び、X軸方向とY軸方向の両方で、CMYが繰り返し配置される。
図3に示すパターンにおいて、どの位置の矩形に注目しても、周囲の矩形とあわせてCMYが隣接して配置されるので、加法混色が生じる位置から表示媒体1確認すると、無彩色が均一に形成される。
図3に示すようなパターンは、突状部材3の方向、換言すると表示媒体1がコンテンツを表示する方向に依存しないので、任意の表示媒体1に適用することができる。
【0057】
表示媒体1において、上面視において突状部材3の上面を区分した1つの領域は、インクジェット印刷機による複数回の噴射により形成される。一般的に、UV硬化インクは、硬化するまでは液体であることから、1ドットだけを単独で打った時は広がりやすく、所望の高さを形成できない場合がある。また一般的に、隣に異なる色のインクを打つと混ざり、色が濁る特性があることから、ドット単位で色を制御できない。なお、ドットは、インクジェット印刷機による1噴射で形成される印刷面である。
【0058】
そこで、各領域を複数ドットで形成することから、UV硬化インクが広がること、および色が混ざることを防ぎ、所望の色の所望の高さを有する突状部材3を形成することができる。
【0059】
また、各領域を複数ドットで形成することで、異なる色の境界部分では混色が生じる場合が考えられるが、混色が生じないドット部分を担保することができる。例えば、1領域を10ドット×10ドットで形成する場合、領域の中央を通るX軸方向において、両端の2ドットは、異なる色が与えられる領域と隣接するので混色が生じるが、それ以外の8ドットでは、混色が生じにくい。異なる色が隣接する部分において、混色が発生するものの、同じ色が隣接する部分において、混色が発生しないので、混色に伴う明度の低減を抑制することができる。
【0060】
なお各領域を構成するドットの数は、UV効果インクが広がらず色が混ざらない効果と、周囲の領域内の色と加法混色すると無彩色となる効果を両立することができるように、定められる。
【0061】
なお、本発明の実施の形態において、表示媒体1の上面視において、突状部材3の上面に与える色の区分が矩形である場合を説明したが、これに限らない。表示媒体1が表示するコンテンツを視認する各位置から表示媒体1を参照した際に、突状部材3が無彩色であればよく、各色が同じ形状でなくても良い。突状部材3は、インクジェット印刷機が搭載するインクのいずれかで、漏れなく着色され、各色が同面積を有するのが好ましい。また無彩色を形成する色の組み合わせがCMYの3つの色である場合を説明したが、インクジェット印刷機が搭載するインクの4つ以上の原色の組み合わせであっても良い。
【0062】
図4を参照して、突状部材3を着色した例を説明する。
図4に示す表示媒体1において、単位セルCが、5×5で配置され、各セルにT字形状の突状部材3が形成される。
図4(a)、
図4(b)および
図4(c)の順で、突状部材3の上面において形成される領域(矩形)の粒度が、徐々に大きくなる。
図4において、上面視において斜め45度方向に、同じ色の領域が設けられる。
【0063】
表示媒体1の上面視において、各領域の粒度が粗いほど、領域の同色方向に影が見えやすく、粒度が細かいほど、領域の同色方向の影が見えにくい。各領域の粒度は、表示媒体1が表示するコンテンツ等によって定められても良い。
【0064】
発明者の知見によると、第2の実施の形態にかかる表示媒体1は、突状部材3を黒で形成する表示媒体と比べて、コンテンツの視認性が向上する。
【0065】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態および第2の実施の形態は、平面部材2上に着色部4と、無彩色に見える突状部材3を設けた表示媒体1を形成する場合を説明したが、他の態様で実現することが可能である。
【0066】
第3の実施の形態において、
図9に示すように、シート形状を有し、光を透過するシート状部材に、上記で説明した突状部材3を形成した表示支援媒体11を、光を反射する一般的な表示装置12の表示面13に、貼付する。表示装置12は、表示支援媒体11で形成される単位セルC、サブセルBおよび突状部材3の形状にあわせて、各サブセルの色を決定した画像を表示する。換言すると表示装置12は、第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る着色部4を電気的に実現する。
【0067】
これにより、本発明の実施の形態と同様に、各方位角からそれぞれ異なるコンテンツを観察することができる。表示支援媒体11に用いられるシート状部材は、光を透過する透明な部材で形成されるのが良いが、観察者の視認性に影響を及ぼさない範囲で一部の光が透過するように形成されても良い。ここで表示装置12は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であって、明るいバックライトを用いたり、明るい発光素子を用いたりするディスプレイであることが好ましい。
【0068】
第3の実施の形態に係る表示支援媒体11は、方位角によって任意の異なる画像を表示したい場合に好適である。表示支援媒体11は、例えば、表示装置12に貼付された表示支援媒体11を異なる方向から観察する複数の観察者に対して、各観察者の位置とその他の条件に応じた情報を表示することが可能である。
【0069】
第3の実施の形態において、シート状部材に形成される突状部材3は、第1の実施の形態または第2の実施の形態において説明したように、グレーで形成されても良いし、加法混色により無彩色を形成する複数色で着色されても良い。
【0070】
また、表示支援媒体11が、クリアなシート状部材に、突状部材3をインクジェット印刷機が噴射したUV硬化インクで形成する際、突状部材3に着色される複数色は、それぞれインクジェット印刷機で用いるインクの原色であることが好ましい。またシート状部材に対向する位置から見た際、突状部材3の上面は、各色が与えられる複数の領域に区分され、縦方向および横方向に隣り合う領域に異なる色が与えられ、斜め方向に隣り合う領域に同じ色が与えられることが好ましい。さらに、これらの領域は、インクジェット印刷機による複数回の噴射により形成されることが好ましい。
【0071】
表示装置12は、任意の画像を表示することが可能であるので、任意の条件に応じて適宜画像を表示することが可能になる。また表示装置12が連続的に画像を変更することにより、各方位角からそれぞれ異なる動画コンテンツを観察することができる。このような表示装置12に、グレーで形成される、あるいは加法混色により無彩色を形成する複数色で着色される突状部材3が形成された表示支援媒体11が貼付されることにより、表示支援媒体11は、表示装置12が表示するコンテンツの色相に影響を与えることなく、任意のコンテンツに調和することが可能になる。
【0072】
なお表示装置12が表示する画像の画素は、表示支援媒体11に形成されるサブセルに対応するので、表示支援媒体11が表示面13に適切に貼付されるように、適切に位置合わせがなされる。
【0073】
(処理装置)
図6を参照して、本発明の実施の形態に係る処理装置100を説明する。処理装置100は、記憶装置110、処理制御装置120および入出力インタフェース130を備える一般的なコンピュータである。一般的なコンピュータが処理プログラムを実行することにより、
図6に示す機能を実現する。
【0074】
図6に示す処理装置100は、複数色を組み合わせて加法混色により突状部材3を着色する際の色の組み合わせまたは色の配置を決定する。処理装置100は、インクジェット印刷機が、第2の実施の形態に係る表示媒体1または第3の実施の形態に記載の表示支援媒体11を製造するために用いられる。
【0075】
記憶装置110は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等であって、処理制御装置120が処理を実行するための入力データ、出力データおよび中間データなどの各種データを記憶する。処理制御装置120は、CPU(Central Processing Unit)であって、記憶装置110に記憶されたデータを読み書きしたり、入出力インタフェース130とデータを入出力したりして、処理装置100における処理を実行する。入出力インタフェース130は、処理装置100による処理結果を、インクジェット印刷機に入力する。インクジェット印刷機は、処理装置100から得られた結果を参照して、表示媒体1の突状部材3を形成する。
【0076】
記憶装置110は、処理プログラムを記憶するとともに、色データ111および配置データ112を記憶する。色データ111は、色決定部121が決定した色であって、加法混色により無彩色を形成する色の組み合わせを特定するデータである。配置データ112は、配置決定部122が決定した色の配置であっって、同一の色を配置する領域の大きさと、加法混色により無彩色を形成する色の配置を特定するデータである。
【0077】
処理制御装置120は、色決定部121、配置決定部122および出力部123を備える。
【0078】
色決定部121は、突状部材3が加法混色により無彩色を形成する色の組み合わせを決定する。例えば、インクジェット印刷機が、CMYの各インクを搭載する場合、色決定部121は、加法混色により無彩色を形成する色の組み合わせとして、CMYを決定する。インクジェット印刷機が他の色のインクを搭載する場合、色決定部121は、インクジェット印刷機が搭載可能なインクの原色の組み合わせであって、加法混色により無彩色を形成する色の組み合わせを決定する。
【0079】
色決定部121は、決定した色の組み合わせを、色データ111として出力する。
【0080】
配置決定部122は、突状部材3が無彩色に見えるように、加法混色により無彩色を形成する色の配置を決定する。配置決定部122は、突状部材3の上面において、1つの色を形成する領域の大きさを決定する。領域の大きさが大きい場合、領域の隣接部分における色の混色の影響が少ない一方、領域に与えた色のつながりの影が見えやすくなり、領域の大きさが小さい場合、領域の隣接部分における色の混色の影響が大きい一方、領域に与えた色のつながりの影が見えにくくなる。配置決定部122は、表示するコンテンツによって、1つの色を形成する領域の大きさを決定しても良い。
【0081】
配置決定部122は、さらに、各領域の色を決定する。配置決定部122は、上面視において、縦ストライプ形状または横ストライプ形状等の所定の形状になるように、加法混色により無彩色を形成する各色の配置を決定する。配置決定部122は、上面視において、例えば
図3に示すように縦方向および横方向に隣り合う領域に異なる色が与えられ、斜め方向に隣り合う領域に同じ色が与えられるように、加法混色により無彩色を形成する各色の配置を決定する。
【0082】
配置決定部122は、同一の色を配置する領域の大きさと、加法混色により無彩色を形成する色の配置を配置データ112として出力する。
【0083】
出力部123は、インクジェット印刷機が突状部材3を形成可能するためのデータを、インクジェット印刷機に入力する。出力部123は、色決定部121が出力した色データ111、または配置決定部122が出力した配置データを、出力する。出力部123は、色決定部121が出力した色データ111、および配置決定部122が出力した配置データ112を、出力しても良い。
【0084】
図7を参照して、処理装置100による処理方法を説明する。
【0085】
まずステップS1において処理装置100は、無彩色を形成する色の組み合わせを決定する。ステップS2において処理装置100は、ステップS1において決定した色の組み合わせについて、突状部材3に着色する色の配置を決定する。ステップS3において処理装置100は、ステップS2で決定した色の配置を、インクジェット印刷機に出力する。
【0086】
このような処理装置100は、第2の実施の形態に係る表示媒体1または第3の実施の形態に記載の表示支援媒体11を製造するためのデータを出力することができる。
【0087】
また処理装置100が生成する色データ111および配置データ112が、インクジェット印刷機に入力される場合を説明したがこれに限らない。表示媒体1がインクジェット印刷機で形成できない大きさであるなど、所定の色を有する部材を組み合わせて、突状部材3を形成する際の、色の配置を設計する設計データとして用いられても良い。
【0088】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0089】
例えば、本発明の実施の形態に記載した処理装置は、
図1に示すように一つのハードウエア上に構成されても良いし、その機能や処理数に応じて複数のハードウエア上に構成されても良い。また、既存の処理システム上に実現されても良い。
【0090】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0091】
1 表示媒体
2 平面部材
3 突状部材
4 着色部
11 表示支援媒体
12 表示装置
100 処理装置
110 記憶装置
111 色データ
112 配置データ
120 処理制御装置
121 色決定部
122 配置決定部
C 単位セル