(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】自動細胞培養用のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20240531BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240531BHJP
C12M 1/38 20060101ALI20240531BHJP
C12M 1/02 20060101ALI20240531BHJP
C12M 1/04 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
C12M3/00 A
C12M1/34 D
C12M1/38 Z
C12M1/02 A
C12M1/04
(21)【出願番号】P 2021505715
(86)(22)【出願日】2019-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019072115
(87)【国際公開番号】W WO2020038874
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-19
(32)【優先日】2018-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521039943
【氏名又は名称】マイトス バイオ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アフシャール,アリ
(72)【発明者】
【氏名】カニンガム,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ミスキン,ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィラッツ,イグナシオ
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0152936(US,A1)
【文献】国際公開第2016/157322(WO,A1)
【文献】特表2013-522641(JP,A)
【文献】特開2015-128426(JP,A)
【文献】特開2018-050550(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107083328(CN,A)
【文献】特開2018-102226(JP,A)
【文献】国際公開第2018/143102(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/013395(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0207209(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0051723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
受け入れ部分を画定するハウジングと、
トレイと、前記トレイにそれぞれ連結された第1の容器及び第2の容器とを含むトレイアセンブリであって、前記ハウジングの前記受け入れ部分の内部に受け入れられるように構成される、前記トレイアセンブリと、
前記トレイに連結されたバルブと、
前記ハウジングに連結され、流体ポンプに動作可能に連結されるように構成されたポンプアクチュエータと、
前記ハウジングに連結され、前記バルブに連結されるように構成されたバルブアクチュエータであって、前記バルブアクチュエータと前記ポンプアクチュエータは、前記トレイアセンブリが前記ハウジングの前記受け入れ部分の内部に受け入れられた時に、流体を第1の細胞サンプルを含む少なくとも前記第1の容器に出し入れするように選択的に移動するように集合的に構成される、前記バルブアクチュエータと、
前記バルブアクチュエータ及び前記ポンプアクチュエータに動作可能に連結された電子制御システムと、を含み、
前記電子制御システムは、
前記ハウジングに可動に連結され、前記第1の容器と位置合わせされるように構成された細胞センサと、
前記電子制御システムのメモリまたはプロセッサのうちの少なくとも1つに実装され、かつ前記細胞センサのセンサ出力に基づいて、前記第1の容器の中の細胞の密度及び細胞の量のうちの1つに関連する細胞信号を生成するように構成された細胞センサプログラムと、を含み、
前記
電子制御システムは、前記バルブを作動させるためのバルブ制御信号、または前記流体ポンプを作動させるためのポンプ制御信号のうちの少なくとも1つのアクチュエーションを引き起こして、前記第1の容器または前記第2の容器のうちの少なくとも1つからの流体の流れを開始する、
装置。
【請求項2】
コンピュータ実装方法であって、
細胞培養アセンブリの電子制御システムで、前記細胞培養アセンブリのセンサからセンサ出力を受信することであって、前記細胞培養アセンブリは、再利用可能なベースユニットに連結可能な使い捨ての細胞培養トレイアセンブリを含み、前記使い捨ての細胞培養トレイアセンブリは、トレイと、前記トレイにそれぞれ連結された第1の容器、第2の容器、及びバルブとを含み、前記バルブは流体ポンプに連結されるように構成され、前記第1の容器または前記第2の容器のうちの少なくとも1つは、複数の細胞を含み、前記センサは、前記第1の容器及び前記第2の容器のうちの1つと位置合わせするために移動されるように構成されている、前記受信すること、
前記センサ出力に基づいて、前記電子制御システムで、前記第1の容器及び前記第2の容器のうち
の1つの内部の前記複数の細胞の量に関連する細胞信号を生成すること、及び
前記細胞信号に基づいて、前記電子制御システムで、前記バルブを作動させるためのバルブ制御信号、または前記流体ポンプを作動させるためのポンプ制御信号のうちの少なくとも1つを生成して、前記第1の容器または前記第2の容器のうちの少なくとも1つから流体の流れを開始すること、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項3】
装置であって、
受け入れ部分を画定するハウジングと、
トレイと、前記トレイに連結された第1の容器と、前記トレイに連結された第2の容器とを含むトレイアセンブリであって、前記ハウジングの前記受け入れ部分の内部に取り外し可能に受け入れられるように構成される、前記トレイアセンブリと、
前記第1の容器及び前記第2の容器に連結されたマルチポートバルブであって、マスターポート及び複数の選択可能なポートを含む、前記マルチポートバルブと、
前記ハウジングに連結され、流体ポンプに動作可能に連結されるように構成されたポンプアクチュエータであって、前記流体ポンプは、前記マルチポートバルブの前記マスターポートに連結されるように構成される、前記ポンプアクチュエータと、
前記ハウジングに連結され、前記トレイアセンブリが前記ハウジングの前記受け入れ部分に連結されたときに前記マルチポートバルブに連結されるように構成されたバルブアクチュエータであって、前記バルブアクチュエータと前記ポンプアクチュエータは、前記トレイアセンブリが前記ハウジングの前記受け入れ部分の内部に受け入れられた時に、流体を、前記第1の容器に出し入れし、前記第2の容器に出し入れするように、選択的に移動するように集合的に構成される、前記バルブアクチュエータと、
前記ハウジングに連結され、前記トレイアセンブリが前記ハウジングの前記受け入れ部分の内部に受け入れられたときに前記トレイアセンブリと係合するように構成された攪拌機であって、前記第1の容器及び前記第2の容器を含む前記トレイアセンブリを攪拌するように構成された、前記攪拌機と、を含む、
装置。
【請求項4】
前記ハウジングに可動に連結され、前記第1の容器の中の細胞の量に関連する細胞信号を生成するように構成されたセンサをさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記センサは、前記ハウジングに連結されたイメージャであり、前記トレイアセンブリが前記受け入れ部分の内部に受け入れられたときに、前記第1の容器の中の細胞サンプルを画像化するよう構成されて、前記第1の容器の中の前記細胞のコンフルエンスまたは密度のうち少なくとも1つを判定できる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ハウジングに可動に連結され、前記トレイに連結された細胞計数チップの中の流体サンプル内の細胞の量に関連する細胞信号を生成するように構成されたセンサをさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記マルチポートバルブは、前記トレイに連結された第1の位置を有し、前記マルチポートバルブが前記トレイから取り外されて前記バルブアクチュエータに連結される第2の位置まで移動されるように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記バルブアクチュエータは、前記マルチポートバルブと嵌合して係合するように構成されたキー付き駆動部材を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項9】
前記トレイアセンブリが前記受け入れ部分の内部に受け入れられたときに、前記第1の容器に出入りし、前記第2の容器に出入りする前記流体の動きを制御するように構成された電子制御システムをさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項10】
前記トレイアセンブリが前記受け入れ部分の内部に受け入れられたときに、前記電子制御システムは、試薬用容器から出て、前記マルチポートバルブを介して前記第1の容器または前記第2の容器の1つへの流体の動きを制御するように構成され、
前記電子制御システムは、前記第1の容器または前記第2の容器の1つから前記マルチポートバルブを介して廃棄物容器への流体の動きを制御するように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記トレイアセンブリが前記受け入れ部分の内部に受け入れられたときに、前記第1の容器の中の細胞サンプルの色を監視するように構成されたセンサであって、前記第1の容器は、前記第1の容器の中の前記細胞サンプルのpHを判定できるように、色ベースのpH指示薬を含む、前記センサをさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項12】
装置であって、
受け入れ部分を画定するハウジングと、
第1の容器及び第2の容器を支持するように構成されたトレイを含むトレイアセンブリであって、前記ハウジングの前記受け入れ部分の内部に受け入れられるように構成される、トレイアセンブリと、
マスターポート及び複数の選択可能なポートを含む、マルチポートバルブと、
前記ハウジングに連結され、流体ポンプに動作可能に連結されるように構成されたポンプアクチュエータと、
前記ハウジングに連結され、前記マルチポートバルブに連結されるように構成されたバルブアクチュエータであって、前記バルブアクチュエータと前記ポンプアクチュエータは、流体を、前記第1の容器が前記トレイに連結されたときに、第1の細胞サンプルを含む前記第1の容器に出し入れし、前記第2の容器が前記トレイに連結されたときに、前記第2の容器に出し入れするように、選択的に移動するように集合的に構成される、バルブアクチュエータと、
前記トレイに連結され、前記第1の細胞サンプルを含む前記第1の容器からの流体混合物の一部と試薬を受け入れるように構成された細胞計数チップと、
前記バルブアクチュエータ及び前記ポンプアクチュエータに動作可能に連結された電子制御システムと、を含み、
前記
電子制御システムは、
前記ハウジングに可動に連結された細胞センサであって、前記細胞計数チップの中の前記流体混合物に関連するセンサ出力を生成するように構成される、前記細胞センサと、
前記電子制御システムのメモリまたはプロセッサのうちの少なくとも1つに実装され、かつ前記細胞センサの前記センサ出力に基づいて、前記第1の容器の中の細胞の密度及び細胞の量のうちの1つに関連する細胞信号を生成するように構成された細胞センサプログラムであって、前記細胞センサの動きを制御して前記細胞センサを前記細胞計数チップと位置合わせするように構成される、細胞センサプログラムと、を含む、
装置。
【請求項13】
前記電子制御システムは、前記電子制御システムの前記メモリまたは前記プロセッサのうちの少なくとも1つに実装されたアクチュエータプログラムを含み、前記アクチュエータプログラムは、前記細胞信号を受信し、前記細胞信号に基づいてバルブ制御信号またはポンプ制御信号のうちの少なくとも1つを生成して、前記第1の容器から出る及び廃棄物容器へ入る第1の体積の流体の動きを制御し、試薬用容器から出る及び前記第1の容器へ入る第2の体積の流体の動きを制御するよう構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ハウジングに連結され、前記トレイアセンブリが前記受け入れ部分に連結されたときに前記トレイアセンブリと係合するように構成された攪拌機であって、前記トレイアセンブリを攪拌するように構成される、前記攪拌機をさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記細胞センサプログラムは、前記細胞センサが前記第1の容器に隣接して配置され、前記第1の容器の中の前記第1の細胞サンプルに関連する前記センサ出力を生成することができるように、前記ハウジングに対する前記細胞センサの動きを制御するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記バルブアクチュエータの回転位置に関連するバルブ位置信号を生成するように構成されたバルブセンサであって、前記バルブ位置信号が前記マルチポートバルブの複数の選択可能なポートのうちの1つの選択を示す、前記バルブセンサをさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
動作中の前記ポンプアクチュエータの位置に関連するポンプ信号を生成するように構成されたポンプセンサをさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記細胞計数チップは透明窓を含み、前記透明窓を通して、前記細胞センサが前記細胞計数チップの中の前記流体混合物を見ることができる、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記細胞センサは、前記ハウジングに連結されたイメージャまたは顕微鏡のうちの1つである、請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記細胞センサは、前記トレイアセンブリが前記受け入れ部分の内部に受け入れられたときに、前記第1の容器の中の前記第1の細胞サンプルを画像化するよう構成されて、前記第1の容器の中の前記細胞のコンフルエンスまたは密度のうち少なくとも1つを判定できるようにするイメージャである、請求項12に記載の装置。
【請求項21】
装置であって、
トレイアセンブリを含み、前記トレイアセンブリは、
トレイと、
前記トレイに連結された第1の容器と、
前記トレイに連結された第2の容器と、
前記トレイに連結されたバルブであって、複数の選択可能なポートを有する、前記バルブと、
前記第1の容器に連結された第1の蓋であって、第1の液体交換ポート及び第1のガス交換ポートを含む、前記第1の蓋と、
前記第2の容器に連結された第2の蓋であって、第2の液体交換ポート及び第2のガス交換ポートを含む、前記第2の蓋と、を含み、
前記バルブの前記複数の選択可能なポートのうちの第1の選択可能なポートは、前記第1の蓋の前記第1の液体交換ポートに無菌で連結され、前記複数の選択可能なポートのうちの第2の選択可能なポートが前記第2の蓋の前記第2の液体交換ポートに無菌で連結され、
前記トレイアセンブリは、前記第1の容器、前記第2の容器、及び前記バルブが前記トレイに連結された状態で、機器のハウジングに取り外し可能に連結されるように構成される、
装置。
【請求項22】
前記トレイアセンブリが前記機器の前記ハウジングに連結されるよりも前に前記トレイに連結される流体ポンプをさらに含み、前記バルブは前記流体ポンプに連結されるように構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記トレイは、前記機器の前記ハウジングに連結された撹拌機の支持プレートに係合するように構成され、前記撹拌機は、作動時に、前記トレイ、前記第1の容器、及び前記第2の容器を攪拌するように構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記トレイアセンブリは、前記トレイアセンブリが前記機器の前記ハウジングに連結されるよりも前に前記トレイに連結された細胞計数チップをさらに含み、前記細胞計数チップは、前記第1の容器からの流体混合物の一部を受け入れるように構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
前記トレイは透明部分を含み、
前記細胞計数チップは、前記トレイの前記透明部分と位置合わせされた透明窓を含む、
請求項24に記載の装置。
【請求項26】
装置であって、
トレイアセンブリを含み、前記トレイアセンブリは、
第1の透明部分及び第2の透明部分を有するトレイと、
透明部分を含む第1の容器であって、前記第1の容器の前記透明部分が前記トレイの前記第1の透明部分と位置合わせされるように、前記トレイに連結される、前記第1の容器と、
透明部分を含む第2の容器であって、前記第2の容器の前記透明部分が前記トレイの前記第2の透明部分と位置合わせされるように、前記トレイに連結される、前記第2の容器と、
前記トレイと、前記第1の容器と、前記第2の容器とに連結されたバルブであって、複数の選択可能なポートを有する、前記バルブとを含み、
前記トレイアセンブリは、前記第1の容器、前記第2の容器、及び前記バルブが前記トレイに連結された状態で、機器のハウジングに取り外し可能に連結されるように構成される、
装置。
【請求項27】
前記トレイの前記第1の透明部分及び前記トレイの前記第2の透明部分は、それぞれ、前記トレイによって画定される開口部または透明材料のうちの1つを含む、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記トレイアセンブリは、前記トレイアセンブリが前記機器の前記ハウジングに連結されるよりも前に前記トレイに連結される細胞計数チップをさらに含み、前記細胞計数チップは、前記第1の容器からの流体混合物の一部を受け入れるように構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記トレイは第3の透明部分を含み、
前記細胞計数チップは、前記トレイの前記第3の透明部分と位置合わせされる透明窓を含む、
請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記バルブは、前記トレイに取り外し可能に連結され、前記トレイから取り外されるときに前記機器のバルブアクチュエータに取り外し可能に連結されるように構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記トレイアセンブリが前記機器の前記ハウジングに連結されるよりも前に前記トレイに連結される流体ポンプをさらに含み、前記バルブは前記流体ポンプに連結されるように構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項32】
前記トレイアセンブリはラップ内に封入されている、請求項21~31のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年8月19日に出願された「Automated Cell Culture」と題された米国仮出願第62/719,652号に対する優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、概して、細胞を培養するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞は、様々な目的のために実験室または工業的な環境下で制御された条件下で成長または培養され得る。通常、細胞は封止された器の内部で成長し、細胞培養培地と呼ばれる溶液で覆われ、細胞の成長を促すために必須栄養素やその他の補足を与える。細胞の培養で使用される器の例には、ペトリ皿や実験用フラスコなどの平らな円形の皿が含まれる。細胞が成長して増殖するにつれて、細胞は細胞培養培地の栄養素を消費し、廃棄物の副産物を生成する。このため、細胞が繁殖し続けるように、細胞培養培地を定期的に交換せねばならない。さらに、細胞の培養は、細胞の一部を新しい器に移すことによって拡大され得て、細胞が増殖することができる追加の体積または領域が得られる。細胞の一部を新しい器に移すこのプロセスは、継代または継代培養と呼ばれることがある。さらに、細胞はそれらの使用の準備において器から取り出され得る。それらが成長する器から細胞を分離するプロセスは、採取と呼ばれることがある。
【0004】
細胞の培養は通常、標準的な増殖パターンに従って増殖する。培養物が播種された後の成長の最初の段階は、細胞が培養環境に適応しているときの遅い成長の期間である遅滞期である。遅滞期の後には、細胞が指数関数的に増殖し、増殖培地で栄養素を消費する対数期が続く。細胞の培養が増殖培地のすべての栄養素を消費するか、利用可能なすべてのスペースを占めることによって環境の容量に達すると、増殖が遅くなり、細胞は静止期またはプラトー期に入り、増殖が大幅に減少するか、完全に停止する。既知の細胞の培養の処置には、増殖を最適化するために、この静止期に入る前に細胞を継代することが含まれることがよくある。
【0005】
接着性細胞は、培養フラスコや皿の底などの表面に接着して成長する。フラスコ内の細胞の量は、通常、細胞で覆われた成長表面の百分率として測定され、コンフルエンスの百分率と呼ばれる。接着性細胞は、器から取り出され得る前に表面から剥がす必要がある。細胞は、機械的にこするか、トリプシンなどの酵素を使用して器表面への接着を断つことを含む、いくつかの方法の1つによって剥離することができる。次に、剥離した細胞を新しい増殖培地に再懸濁し、増殖表面に戻して定着させる。
【0006】
細胞培養器から使用済み培地を除去し、新鮮な培地を追加し、接着性細胞を分離し、ある器から別の器に細胞を移すこれらのプロセスは、通常、面倒な手動の処置によって実行される。例えば、既知の細胞培養方法は、頻繁に、様々な作業ステーション間で細胞を(細胞培養器内部で)移動させること、及び/または細胞培養器を開いて流体を器に出し入れする移動をすることを含む反復的な操作を含む。具体的には、既知の方法は、最初に、無菌の環境(例えば、層流フード)内の器に細胞及び細胞培養培地を装填することを含む。準備ができたら、細胞培養器を閉じて(汚染を最小限に抑えるため)、増殖を促進するためにインキュベータに移動する。細胞培養容器は、細胞培養培地を交換する適切な時間を判定するために手作業にて監視されることが多く、インキュベータから器を取り出して顕微鏡下で画像化することにより、コンフルエンスや細胞の形態などのパラメータを検査するために定期的に手作業にて監視される。これらの手作業での監視のステップでは、通常、培養を確認し、まさに他の操作を実行する必要があるかどうかを判断するために、ラボに移動する必要がある。細胞培養培地を交換する時期になると、そのとき細胞培養器はインキュベータから無菌の環境に移され、開かれ(または廃棄物と新鮮な細胞培養培地の供給源に接続され)、流体は細胞培養器に及び/または細胞培養器から移される。器はまた、細胞の継代または細胞の採取などの他の操作を完了するために移動させる及び/または開かれる。
【0007】
そのような既知の処置は、非効率的で、費用がかかり、汚染にさらされやすい。例えば、細胞培養システムを繰り返し開き、実験ステーション間で細胞培養器を移動すると、細胞が汚染にさらされる可能性がある。さらに、手動で実行されるすべての操作は費用がかかり、操作者が適切な手順に従わないことで汚染(または細胞の損傷)の影響を受けやすくなる。さらに、いつ培地を交換するか、またはいつ細胞を継代するかを判定することは、通常、所定のスケジュールに従って行われ、これは最適ではない可能性がある。設定されたスケジュールを順守すると、層流フードを追加で(そして潜在的に不要に)使用する可能性がある(その操作は大量のエネルギーを消費する可能性があるため、コストがかかる可能性がある)。設定されたスケジュールを順守すると、細胞の成長の効率が低下する可能性もある(例えば、細胞培養培地が交換される前に細胞の成長がプラトー段階に達した場合)。
【0008】
したがって、効率を改善し、細胞培養中の潜在的な汚染を制限する細胞培養システムの必要性が存在する。具体的には、細胞培養の処置を自動化し、培養中に細胞培養システムを閉じられた無菌の環境に維持し、効率的なセットアップ及び使用を可能にするためのシステム及び方法に対する必要性が存在する。任意選択で既存の既製の細胞培養器で操作できる自動細胞培養システムの必要性も存在する。
【発明の概要】
【0009】
ある実装によれば、本明細書は、細胞を自動的に培養するためのシステム及び方法を記載している。本明細書に開示される自動細胞培養システムは、科学者が手動の細胞培養を自動化することによって自らの研究開発を加速することを可能にする。様々な実施形態で開示されるシステム及び方法は、自動化された細胞増殖培地の補充、自動化された細胞の継代、及び/または自動化された細胞培養分析を提供し得る。これらの自動細胞培養システム及び方法は、手動の細胞培養操作と比較して、効率を高め、過誤を減らすことができる。さらに、これらの実施形態は、統合された自動分析メカニズムを介して科学者が利用できる細胞培養に関するデータポイントの量及び質を高める。
【0010】
実施形態による自動細胞培養システムは、バルブアクチュエータ及び流体ポンプがハウジング内に配置されたハウジングを含む。自動細胞培養システムはまた、ハウジングに取り外し可能に嵌合するように構成された取り外し可能なトレイを含む。取り外し可能なトレイに取り付けられた複数の細胞培養器ブラケットは、それぞれの複数の細胞培養器を保持するように構成され、各細胞培養器は無菌の蓋で覆われている。セレクタバルブは、取り外し可能なトレイがハウジングと嵌合したときに、ハウジングのバルブアクチュエータに結合するように構成されている。いくつかの実施形態では、ハウジング及び取り外し可能なトレイの外部にある複数の媒体供給源を設けることができる。マルチポートセレクタバルブは、マスターポートを複数の選択可能なポートのうちの選択されたポートに流体接続するように構成され、マルチポートセレクタバルブのマスターポートは流体ポンプに流体接続され、複数の細胞培養器のそれぞれと媒体供給源は、マルチポートセレクタバルブの複数の選択可能なポートのそれぞれ1つに直接流体接続されている。いくつかの実施形態では、複数の細胞培養器及びそれらの無菌の蓋、マルチポートセレクタバルブ、及びそれらの間の流体接続は、取り外し可能なトレイに取り付けられた第1の無菌封止システムを形成する。
【0011】
いくつかの実施形態では、自動細胞培養システムを使用する細胞株維持の方法は、自動細胞培養システムの可動画像化システムにコマンドを送信して、自動細胞培養システムの選択された器の中の細胞を画像化すること、選択された器の中の細胞の画像を画像化システムから受信すること、選択した器の中の細胞の画像に基づいて、細胞継代基準を測定すること、細胞継代基準を閾値細胞継代基準と比較すること、比較に基づいて、選択された器の中の細胞の継代培養器への継代を開始することを判定することを含む。細胞株維持の方法はまた、選択された器の細胞の構成された部分を副次的培養器に継代すること、及び自動細胞培養システムが、選択された器の細胞の構成された部分を副次的培養器に継代させたという通知を送信することを含む。この態様の他の実施形態は、それぞれが方法の動作を実行するように構成された、1つまたは複数のコンピュータ記憶装置に記録された対応するコンピュータシステム、装置、及びコンピュータプログラムを含む。
【0012】
本明細書に記載されている主題の1つまたは複数の実装の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。主題の他の潜在的な特徴、態様、及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0013】
本開示は、詳細な説明及び添付の図面から、より完全に近く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】実施形態による自動細胞培養システムの概略図を示す。
【
図1B】実施形態による自動細胞培養システムの概略図を示す。
【
図2】実施形態による自動細胞培養システムの上面図を示す。
【
図3A】実施形態による自動細胞培養システムのベースハウジングの上面図を示す。
【
図3B】実施形態による自動細胞培養システムの取り外し可能なトレイアセンブリを示す。
【
図4】実施形態による例示的なベースハウジングに嵌合されている自動細胞培養システムの例示的な取り外し可能なトレイを示す。
【
図5】実施形態による例示的なマルチポートバルブの断面図を示す。
【
図6A】実施形態による例示的なマルチポートバルブを示す。
【
図6B】例示的なマルチポートバルブの底面図を示している。
【
図8】実施形態による細胞培養器の蓋の断面図を示す。
【
図9】実施形態による、シングルポートポンプを備えた自動細胞培養システムを使用して、第1の器から第2の器に液体を移送するための方法のステップを示す。
【
図10】実施形態による2ポートポンプを備えた自動細胞培養システムを使用して、第1の器から第2の器に液体を移送するための方法のステップを示す。
【
図11】接着性細胞株の維持中に細胞培養培地を交換するための方法のステップを示している。
【
図12】新しい細胞培養器への継代を伴う接着性細胞株の維持または増殖のための方法のステップを示している。
【
図13】任意選択の継代を伴う浮遊細胞株の維持のための方法のステップを示す。
【
図14】浮遊細胞株増殖のための方法のステップを示している。
【
図15】本明細書で論じられる方法論のいずれか1つまたは複数を機械に実行させるための一連の命令が実行され得るコンピュータシステムの例示的な機械を示す。
【
図16A】実施形態による、細胞培養システムのトレイアセンブリの概略図である。
【
図16B】実施形態による、細胞培養システムのベースユニットの概略図である。
【
図16C】
図16Aに示されるトレイアセンブリと、
図16Bに示されるベースユニットを含む、実施形態による細胞培養システムの概略図である。
【
図17】実施形態による、細胞培養システムの電子制御システムの概略図である。
【
図18】
図18~20はそれぞれ、電子制御システムの動作に関連して生成された様々なGUI要素を示すスクリーンショットの例である。
【
図19】
図18~20はそれぞれ、電子制御システムの動作に関連して生成された様々なGUI要素を示すスクリーンショットの例である。
【
図20】
図18~20はそれぞれ、電子制御システムの動作に関連して生成された様々なGUI要素を示すスクリーンショットの例である。
【
図21】実施形態による、細胞培養システムのトレイアセンブリの上面図である。
【
図22】保護的オーバーラップ内に配置されている
図21のトレイアセンブリの上面図である。
【
図23】トレイアセンブリに連結されている流体ポンプを示している、
図21のトレイアセンブリの上面図である。
【
図24】トレイアセンブリに連結されている
図23の流体ポンプを示している、
図21のトレイアセンブリの斜視図である。
【
図25】トレイアセンブリに連結されている細胞培養容器を示している、
図21のトレイアセンブリの斜視図である。
【
図26】
図23の流体ポンプ及びトレイアセンブリに連結された3つの細胞培養容器を示している
図21の上面図である。
【
図27】実施形態による、ベースユニットとの連結が示されている、
図21のトレイアセンブリの上面図である。
【
図28】
図27のベースユニットに連結されているマルチポートバルブの斜視図である。
【
図31】実施形態による、細胞培養の処置で使用するための細胞培養システムを準備する方法を示すフローチャートである。
【
図32】実施形態による、細胞培養システムのベースユニットの画像化デバイスの斜視図である。
【
図35】別の実施形態による、細胞培養システムのトレイアセンブリの斜視図である。
【
図36】取り外し可能な構成要素を取り外した、
図35のトレイアセンブリの一部の斜視図である。
【
図37】
図35のトレイアセンブリの一部の斜視図である。トレイに連結されたマルチポートバルブ、蓋、及び流体ポンプを示している。
【
図38】
図35のトレイアセンブリと共に使用することができる細胞培養システムのベースユニットの斜視図である。
【
図39】
図38のベースユニットのポンプアクチュエータの斜視図である。
【
図40】流体ポンプとそれに連結されたマルチポートバルブを備えた
図38のベースユニットの斜視図である。
【
図41】ベースユニットに組み立てられる前のマルチポートバルブを示している、
図38のベースユニットの一部の部分分解図である。
【
図43】ベースユニットの内部を示す
図38のベースユニットの側面図である。
【
図44】ベースユニットの内部を示す
図38のベースユニットの対向する側面図である。
【
図45】別の実施形態による、細胞培養システムの斜視図である。
【
図48】実施形態による、トレイアセンブリの斜視図である。
【
図50】
図49の線50-50に沿って得られた断面図である。
【
図51】実施形態による、ベースユニットの斜視図である。
【
図52】別の実施形態による、細胞培養システムの図である。
【
図53】ベースユニットの内部に配置された画像化システムを示す、
図52の細胞培養システムの側面図である。
【
図54】
図52の細胞培養システムのベースユニットの上面図である。
【
図55】
図52の細胞培養システムのトレイアセンブリの上面図である。
【
図58】その中の棚に配置された複数の細胞培養システムを備えた一対のインキュベータの正面図である。
【
図59】細胞培養の処置中のシステム内の例示的な流体セットアップを示すシステム図である。
【
図62】A~Cは、実施形態による容器の蓋を示している。
【
図63A】実施形態による、マルチポートバルブの上面図である。
【
図65】Aは、
図63Aのマルチポートバルブのバルブロータの側面図であり、Bは、Aの線65B~65Bに沿って得られた断面図であり、Cはバルブロータの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
いくつかの実施形態では、装置は、トレイ、第1の蓋、第2の蓋、及びマルチポートバルブを含む。トレイは、ベースユニットのハウジングに取り外し可能に連結されるように構成されている。トレイは、第1の容器をトレイに連結するように構成された第1のカプラーと、第2の容器をトレイに連結するように構成された第2のカプラーとを有する。第1の蓋は、第1の容器に連結されるように構成され、第1の液体交換ポート及び第1のガス交換ポートを含む。第2の蓋は、第2の容器に連結されるように構成され、第2の液体交換ポート及び第2のガス交換ポートを含む。マルチポートバルブは、トレイに連結され、マスターポートと選択可能なポートのセットを含む。マルチポートバルブは、ベースユニットのバルブアクチュエータと係合し、ベースユニットに連結された流体ポンプに連結されるように構成される。選択可能なポートのセットの第1の選択可能なポートは、第1の蓋の第1の液体交換ポートに無菌で連結される。選択可能なポートのセットの第2の選択可能なポートは、第2の蓋の第2の液体交換ポートに無菌で連結される。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のカプラーは、装置の動作中に、第1の容器をトレイの固定した位置に維持し、第2のカプラーは、第2の容器をトレイの固定した位置に維持する。いくつかの実施形態では、第1の容器は、細胞サンプルを受け入れるように構成された細胞培養容器であり、第2の容器は、廃棄物容器、試薬用容器、または細胞採取容器のうちの1つである。いくつかの実施形態では、第1のカプラーは、細胞培養容器をトレイに取り外し可能に連結するように構成される。いくつかの実施形態では、細胞培養容器及びトレイはそれぞれ、透明部分を含む。第1のカプラーは、細胞培養容器の透明部分がトレイの透明部分と位置合わせするように、細胞培養容器をトレイに連結するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、マルチポートバルブ及び流体ポンプは、閉じた無菌システム内の第1の容器と第2の容器との間で流体を移送するように構成される。いくつかの実施形態では、マルチポートバルブは、トレイに取り外し可能に連結され、また、ベースユニットのバルブアクチュエータに取り外し可能に連結されるように構成される。いくつかの実施形態では、ポンプは、ポンプアクチュエータと、ポンプチャンバを画定するポンプ本体とを含む。ポンプ本体は、マルチポートバルブのマスターポートに連結するように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、トレイは、ベースユニットに連結された攪拌機と係合するように構成される。攪拌機は、作動時にトレイを攪拌するように構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、装置は、トレイに連結され、マルチポートバルブの第3の選択可能なポートに連結された計数チップを含む。計数チップは、周期的な時間間隔で第1の容器から細胞サンプル混合物の一部を受け入れるように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、トレイ、第1の蓋、第2の蓋、及びマルチポートバルブは、ラップ内に封入されている。いくつかの実施形態では、トレイ、第1の蓋、第2の蓋、及びマルチポートバルブは、ラップ内で減菌される。
【0021】
いくつかの実施形態では、細胞培養システムのベースユニットは、ハウジング、ポンプアクチュエータ、及びバルブアクチュエータを含む。ハウジングは、細胞培養トレイアセンブリを取り外し可能に受け入れるように構成された受け入れ部分を画定する(または含む)。細胞培養トレイアセンブリは、トレイ、第1の容器に取り外し可能に連結することができるトレイに連結された第1の蓋、及び第2の容器に取り外し可能に連結することができるトレイに連結された第2の蓋を含む。第1の蓋及び第2の蓋はそれぞれ、液体交換ポート及びガス交換ポートを含む。細胞培養トレイはまた、トレイに連結され、マスターポート及び選択可能なポートのセットを含むマルチポートバルブを含む。ポンプアクチュエータは、ハウジングに連結され、マルチポートバルブのマスターポートに連結された流体ポンプに動作可能に連結されるように構成されている。バルブアクチュエータは、ハウジングに連結され、細胞培養トレイアセンブリがハウジングの受け入れ部分に連結されるときにマルチポートバルブに連結されるように構成される。バルブアクチュエータ及びポンプアクチュエータは、流体を、第1の蓋に連結された第1の容器に出入りし、第2の蓋に連結された第2の容器に出入りする移動を選択的にするように、集合的に構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、マルチポートバルブは、トレイから取り外されてバルブアクチュエータに連結される一方で、マルチポートバルブの第1のポートは、第1の蓋に無菌で連結され、マルチポートバルブの第2のポートは、第2の蓋に無菌で連結されるように構成される。いくつかの実施形態では、バルブアクチュエータは、マルチポートバルブと嵌合して係合するように構成されたキー付き駆動部材を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、流体ポンプは、ある長さの管を介してマルチポートバルブのマスターポートに無菌で連結される。いくつかの実施形態では、流体ポンプは、ピストンポンプ、蠕動ポンプ、またはベーンポンプのいずれか1つである。
【0024】
いくつかの実施形態では、ベースユニットは、ハウジングに連結され、細胞培養アセンブリがハウジングに連結されたときに細胞培養トレイアセンブリと係合するように構成された攪拌機をさらに含む。攪拌機は、作動時に細胞培養トレイアセンブリを攪拌するように構成されている。いくつかの実施形態では、ハウジングの受け入れ部分は、攪拌機に連結された支持プレートを含む。支持プレートは、細胞培養トレイアセンブリを取り外し可能に連結することができる表面を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、ベースユニットは、第1の蓋に連結された第1の容器に出入りし、第2の蓋に連結される第2の容器に出入りする流体の動きを制御するように構成された電子(またはコンピュータ)制御システムをさらに含む(または連結される)。いくつかの実施形態では、ベースユニットは、ハウジングに可動に連結され、第1の容器の中のある量の細胞に関連する細胞信号を生成するように構成されたセンサを含む。いくつかの実施形態では、センサは、ハウジングに連結され、第1の容器の中の細胞のコンフルエンスまたは密度のうちの少なくとも1つを判定できるように、第1の容器の中の内容物を画像化するように構成される画像化デバイスである。いくつかの実施形態では、センサは、第1の容器の内容物の色を監視するように構成される。第1の容器は、第1の容器の内容物のpHを判定することができるように、色ベースのpH指示薬を含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、細胞培養システムのベースユニットは、ハウジング、ポンプアクチュエータ、バルブアクチュエータ、及び電子制御システムを含む。ハウジングは、細胞培養トレイアセンブリを取り外し可能に受け入れるように構成された受け入れ部分を画定する。細胞培養トレイアセンブリは、トレイ、第1の容器に取り外し可能に連結することができるトレイに連結された第1の蓋、及び第2の容器に取り外し可能に連結することができるトレイに連結された第2の蓋を含む。細胞培養トレイはまた、トレイに連結され、マスターポート及び選択可能なポートのセットを含むマルチポートバルブを含む。ポンプアクチュエータは、ハウジングに連結され、流体ポンプに動作可能に連結されるように構成される。バルブアクチュエータは、ハウジングに連結され、細胞培養トレイアセンブリがハウジングの受け入れ部分に連結されるときにマルチポートバルブに連結されるように構成される。バルブアクチュエータ及びポンプアクチュエータは、流体を、第1の蓋に連結された第1の容器に出入りし、第2の蓋に連結された第2の容器に出入りするように選択的に移動させるように、集合的に構成される。電子制御システムは、細胞センサ、細胞センサモジュール、及びアクチュエータモジュールを含む。細胞センサは、第1の容器の中の内容物に関連付けられた出力を生成するように構成されている。細胞センサモジュールは、電子制御システムのメモリまたは処理デバイスの少なくとも1つに実装され、細胞センサの出力に基づいて、第1の容器の中のある量の細胞に関連する細胞信号を生成する。アクチュエータモジュールは、メモリまたは処理デバイスの少なくとも1つに実装され、細胞信号を受信し、細胞信号に基づいて、バルブ制御信号またはポンプ信号の少なくとも1つを生成して、第1の容器から細胞を外に移動させる。
【0027】
いくつかの実施形態では、アクチュエータモジュールは、第1の体積の流体の第1の容器から廃棄物容器への移動、及び第2の体積の流体の試薬用容器から第1の容器への移動を制御するように構成される。いくつかの実施形態では、アクチュエータモジュールは、第1の容器の中の接着性細胞の細胞解離を促すために、ある体積の酵素の第1の容器への移動を制御するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、装置は、ハウジングに連結され、トレイアセンブリが受け入れ部分に連結されたときにトレイアセンブリと係合するように構成された攪拌機を含む。攪拌機は、トレイアセンブリを攪拌するように構成されている。電子制御システムのアクチュエータモジュールは、攪拌機の作動を制御するように構成されている(例えば、いつ攪拌するか、及び攪拌の期間)。
【0029】
いくつかの実施形態では、細胞センサは、ハウジングに可動に連結されている。センサモジュールは、細胞センサが第1の容器と位置合わせできるように、ハウジングに対する細胞センサの動きを制御するように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、ベースユニットは、バルブアクチュエータの回転位置に関連するバルブ位置信号を生成するように構成されたバルブセンサを含む。バルブ位置信号は、マルチポートバルブの選択可能なポートの1つが選択されたことを示す。アクチュエータモジュールは、部分的にバルブ位置信号に基づいてバルブ制御信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、ベースユニットは、動作中にポンプアクチュエータの位置に関連するポンプ信号を生成するように構成されたポンプセンサを含む。アクチュエータモジュールは、ポンプ信号に部分的に基づいてポンプ制御信号を生成するように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、電子制御システムは、コンピューティングデバイスと電子的に通信するように構成されたラジオをさらに含む。ラジオは、第1の容器の中の細胞の量に関連する測定に関連する無線信号をコンピューティングデバイスに送信するように構成される。
【0032】
いくつかの実施形態では、細胞培養システムのベースユニットは、ハウジング、ポンプアクチュエータ、バルブアクチュエータ、及び電子制御システムを含む。ハウジングは、細胞培養トレイアセンブリを取り外し可能に受け入れるように構成された受け入れ部分を画定する。細胞培養トレイアセンブリは、トレイ、第1の細胞培養容器、第2の細胞培養容器、試薬用容器、廃棄物容器、及びマルチポートバルブを含む。マルチポートバルブには、マスターポートと、選択可能なポートのセットとが含まれている。第1の選択可能なポートは第1の細胞培養容器に連結され、第2の選択可能なポートは第2の細胞培養容器に連結され、第3の選択可能なポートは試薬用容器に連結され、第4の選択可能なポートは廃棄物容器に連結される。ポンプアクチュエータは、ハウジングに連結され、マルチポートバルブのマスターポートに連結された流体ポンプに動作可能に連結されるように構成されている。バルブアクチュエータはハウジングに連結されており、マルチポートバルブに連結されるように構成されている。電子制御システムは、バルブアクチュエータ及びポンプアクチュエータに動作可能に連結されている。電子制御システムは、メモリまたは処理デバイスの少なくとも1つに実装され、一連のバルブ制御信号及びポンプ制御信号を生成するように構成されたアクチュエータモジュールを含む。具体的には、アクチュエータモジュールは、バルブアクチュエータにマルチポートバルブを作動させる第1のバルブ制御信号と、ポンプアクチュエータに流体ポンプを作動させて、細胞培養培地を第1の細胞培養容器から廃棄物容器に移動させる第1のポンプ制御信号を生成することができる。アクチュエータモジュールは、バルブアクチュエータにマルチポートバルブを作動させる第2のバルブ制御信号と、ポンプアクチュエータに流体ポンプを作動させて試薬を試薬用容器から第1の細胞培養容器に移動させる第2のポンプ制御信号を生成することができる。アクチュエータモジュールは、バルブアクチュエータにマルチポートバルブを作動させる第3のバルブ制御信号と、ポンプアクチュエータに流体ポンプを作動させて複数の細胞を第1の細胞培養容器から第2の細胞培養容器に移動させる第3のポンプ制御信号を生成することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、電子制御システムは、メモリまたは処理デバイスのうちの少なくとも1つに実装された細胞センサモジュールを含む。細胞センサモジュールは、細胞センサからの出力を受信し、第1の細胞培養容器の中の細胞の解離を示す細胞信号を生成する。アクチュエータモジュールは、細胞信号に応答して、第3のバルブ制御信号または第3のポンプ制御信号のうちの少なくとも1つを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、細胞センサは顕微鏡であり、顕微鏡からの出力は画像である。細胞センサモジュールは、画像に基づいて細胞の解離を示す細胞信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、細胞センサモジュールは、細胞センサを第1の細胞培養容器との位置合わせに移動させるための位置合わせ信号を生成するように構成される。
【0034】
いくつかの実施形態では、ベースユニットは、ハウジングに連結され、トレイアセンブリと係合するように構成された攪拌機を含む。攪拌機は、トレイアセンブリを攪拌するように構成されている。電子制御システムのアクチュエータモジュールは、トレイアセンブリの攪拌を引き起こす攪拌信号を生成するように構成されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法は、細胞培養アセンブリの電子制御システムで、細胞培養アセンブリのセンサからのセンサ出力を受信することを含む。細胞培養アセンブリは、再利用可能なベースユニットに連結可能な使い捨ての細胞培養トレイアセンブリを含む。細胞培養トレイアセンブリは、トレイ、第1の容器に連結された第1の蓋、第2の容器に連結された第2の蓋、及びトレイに連結されたマルチポートバルブを含む。マルチポートバルブは、複数の選択可能なポートと、流体ポンプに連結されたマスターポートとを含む。第1の容器または第2の容器のうちの少なくとも1つは、複数の細胞を含む。第1の容器及び第2の容器のうちの1つの中の、ある量の複数の細胞に関連する細胞信号は、センサ出力に基づいて生成される。細胞信号に基づいて、マルチポートバルブを作動させるためのバルブ制御信号または流体ポンプを作動させるポンプ制御信号の少なくとも1つが電子制御システムで生成され、第1の容器の少なくとも1つからの流体の流れを開始する。
【0036】
いくつかの実施形態では、センサは、センサを移動するように構成された光学測定アセンブリの一部であり、この方法は、位置信号を光学測定アセンブリに送信して、センサを第1の容器または第2の容器のうちの少なくとも1つに対して測定位置に移動させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞センサは顕微鏡であり、顕微鏡からのセンサ出力は画像である。電子制御システムは、画像に基づいて、第1の容器または第2の容器の中の細胞の解離を示す細胞信号を生成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ベースユニットは、トレイアセンブリのトレイに動作可能に連結された攪拌機を含む。この方法は、任意選択で、電子制御システムから攪拌機に攪拌機信号を送信して、トレイアセンブリの攪拌を作動させて、細胞を第1の容器または第2の容器のうちの少なくとも1つの中に懸濁状態にて維持することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、攪拌機信号を送信した後、アクチュエータ信号またはポンプ信号のうちの少なくとも1つを送信して、第1の容器及び第2の容器のうちの1つから、第1の容器及び第2の容器のうちの1つに流体連結されている計数チップへの流体混合物の流れを引き起こすことを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法は、再利用可能なベースユニットに連結された使い捨ての細胞培養トレイアセンブリを含む細胞培養アセンブリ内の流体の動きを制御することができる。この方法は、細胞培養アセンブリの電子制御システムのアクチュエータモジュールを介して、第1のバルブ制御信号及び第1のポンプ制御信号を生成することを含む。第1のバルブ制御信号は、ベースユニットのバルブアクチュエータにマルチポートバルブを作動させて、マルチポートバルブの第1の選択可能なポートをマルチポートバルブのマスターポートに流体連結させる。マスターポートは流体ポンプに流体連結され、選択可能な各ポートは、第1の細胞培養容器、第2の細胞培養容器、試薬用容器、または廃棄物容器のうちの1つに流体連結される。第1のポンプ制御信号により、ベースユニットのポンプアクチュエータが流体ポンプを作動させて、細胞培養培地を第1の細胞培養容器から廃棄物容器に移動させる。第2のバルブ制御信号が生成され、バルブアクチュエータがマルチポートバルブを作動させて第2の選択可能なポートをマスターポートに流体連結し、第2のポンプ制御信号がポンプアクチュエータに流体ポンプを作動させて試薬を試薬用容器から第1の細胞培養容器に移動させる。第3のバルブ制御信号が生成され、バルブアクチュエータがマルチポートバルブを作動させて第3の選択可能なポートをマスターポートに流体連結し、第3のポンプ制御信号がポンプアクチュエータに流体ポンプを作動させて、複数の細胞を第1の細胞培養容器から第2の細胞培養容器に移動させる。
【0039】
いくつかの実施形態では、この方法は、アクチュエータモジュールを介して、バルブアクチュエータにマルチポートバルブを作動させ、第4の選択可能なポートをマスターポートに流体連結させる第4のバルブ制御信号と、ポンプアクチュエータに流体ポンプを作動させて洗浄媒体を洗浄容器からマルチポートバルブ、保持器、またはマルチポートバルブに連結された管、または細胞培養器のいずれか1つに移動させる第4のポンプ制御信号を生成することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、ベースユニットは細胞センサを含み、この方法は、細胞センサからの出力を受信することを含む。第1の細胞培養容器の中の細胞の解離を示す細胞信号が生成される。アクチュエータモジュールは、細胞信号に応答して、第3のバルブ制御信号または第3のポンプ制御信号のうちの少なくとも1つを生成する。いくつかの実施形態では、この方法は、細胞センサを第1の細胞培養容器との位置合わせに移動させるための位置合わせ信号を生成することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、コンピュータ実装方法は、1つまたは複数の容器の中の流体の量の測定値または計算値に基づいて、細胞培養アセンブリ内の流体の動きを制御することができる。細胞培養アセンブリは、再利用可能なベースユニットに連結された使い捨ての細胞培養トレイアセンブリを含む。この方法は、細胞培養アセンブリの電子制御システムのアクチュエータモジュールを介して、第1のバルブ制御信号及び第1のポンプ制御信号を生成することを含む。第1のバルブ制御信号は、ベースユニットのバルブアクチュエータにマルチポートバルブを作動させて、マルチポートバルブの第1の選択可能なポートをマルチポートバルブのマスターポートに流体連結させる。マスターポートは、流体ポンプに流体連結されている。各選択可能なポートは、細胞培養容器、第2の細胞培養容器、または細胞培養培地容器のうちの1つに流体連結されている。第1のポンプ制御信号により、ベースユニットのポンプアクチュエータが流体ポンプを作動させて、第1の体積の細胞培養培地を細胞培養培地容器から第1の細胞培養容器に移動させる。第1の細胞培養容器の中の液体の体積が判定される。この方法は、流体の体積が閾値体積を下回っているときに、アクチュエータモジュールを介して、第2のバルブ制御信号及び第2のポンプ制御信号を生成することを含む。第2のバルブ制御信号は、バルブアクチュエータにバルブを作動させるか、さもなければ、第1の選択可能なポートとマルチポートバルブのマスターポートとの流体連結を維持させる。第2のポンプ制御信号により、ベースユニットのポンプアクチュエータが流体ポンプを作動させて、第2の体積の細胞培養培地を細胞培養培地容器から第1の細胞培養容器に移動させる。この方法は、流体の体積が閾値体積を超えたときに、アクチュエータモジュールを介して、第3のバルブ制御信号及び第3のポンプ制御信号を生成することを含む。第3のバルブ制御信号は、バルブアクチュエータにマルチポートバルブを作動させて、複数の選択可能なポートの第2の選択可能なポートをマルチポートバルブのマスターポートに流体連結させる。第3のポンプ制御信号により、ベースユニットのポンプアクチュエータが流体ポンプを作動させて、複数の細胞を第1の細胞培養容器から第2の細胞培養容器に移動させる。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法は、外側の保護的ラップから細胞培養トレイアセンブリを取り外すことを含む。トレイアセンブリは、トレイ、第1の蓋、第2の蓋、及びマルチポートバルブを含む。第1の蓋はトレイに連結され、第1の容器に取り外し可能に連結されるように構成される。第1の蓋は、第1の液体交換ポート及び第1のガス交換ポートを含む。第2の蓋は、トレイに連結され、第2の容器に取り外し可能に連結されるように構成される。第2の蓋は、第2の液体交換ポート及び第2のガス交換ポートを含む。マルチポートバルブはトレイに連結され、マスターポートと複数の選択可能なポートを含む。複数の選択可能なポートの第1の選択可能なポートは、第1の蓋の第1の液体交換ポートに無菌で連結され、複数の選択可能なポートの第2の選択可能なポートは、第2の蓋の第2の液体交換ポートに無菌で連結される。少なくとも1つの細胞が、第1の容器の開口部を通して第1の容器に追加される。第1の蓋は、第1の容器に固定され、開口部を閉じる。トレイアセンブリはベースユニットに連結されている。ベースユニットのバルブアクチュエータは、トレイアセンブリを連結した後、またはトレイアセンブリをベースユニットに連結するのと同時に、トレイアセンブリのマルチポートバルブと係合する。流体ポンプは、ベースユニットのポンプアクチュエータに連結されている。
【0043】
いくつかの実施形態では、この方法は、トレイアセンブリを連結し、流体ポンプを連結した後、ベースユニットをそれに連結されたトレイアセンブリと共にインキュベーション環境に移動させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、トレイアセンブリからマルチポートバルブを取り外し、ベースユニットのバルブアクチュエータがマルチポートバルブと嵌合して係合するように、マルチポートバルブをベースユニットに連結することを含む。いくつかの実施形態では、マルチポートバルブを取り外すことは、マルチポートバルブの第1の選択可能なポートが第1の蓋に無菌で連結され、マルチポートバルブの第2の選択可能なポートが第2の蓋に無菌で連結されている間に実行される。いくつかの実施形態では、取り外すこと、追加すること、及び固定することは、無菌の環境で行われる。いくつかの実施形態では、第1の蓋を第1の容器に固定する前に、ある体積の試薬及び少なくとも1つの細胞が第1の容器に加えられる。いくつかの実施形態では、第1の蓋を第1の容器に固定した後、第1の容器は、トレイアセンブリのカプラーに連結される。いくつかの実施形態では、この方法は、流体ポンプを管を介してマルチポートバルブのポートに連結することをさらに含む。いくつかの実施形態では、流体ポンプをマルチポートバルブに連結することは、マルチポートバルブのマスターポートを、管を介して流体ポンプに連結することを含む。
【0044】
参照された数値表示に関連して使用される場合、「約」という用語は、参照された数値表示に、その参照された数値表示の最大10%をプラスまたはマイナスさせたものを意味する。例えば、「約100」は、90から110を意味する。「実質的に」という用語は、例えば、幾何学的関係、数値、及び/または範囲に関連して使用される場合、そのように定義された幾何学的関係(またはそれによって説明される構造)、数値、及び/または範囲が、名目上、列挙された幾何学的関係、数値、及び/または範囲であることを伝えることを意図している。例えば、本明細書で「実質的に平行」であると説明される2つの構造は、平行な幾何学的関係が望ましいが、いくらかの非平行性が「実質的に平行」な配置で起こり得ることを伝えることを意図する。別の例として、「実質的に0.50ミリリットル(mL)」である体積を定めている構造は、明記された体積が望ましいが、体積が「実質的に」明記された体積(例えば、0.50mL)である場合にいくつかの許容誤差が生じ得ることを伝えることを意図している。そのような許容誤差は、製造の許容誤差、測定の許容誤差、及び/または他の実際的な考慮事項(例えば、微小な欠陥、そのように定義された構造の年数、システム内に加えられる圧力または力など)から生じる可能性がある。上記のように、適切な許容誤差は、例えば、記載された幾何学的構造、数値、及び/または範囲の±10%であり得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「試薬」という用語は、本明細書に記載の反応のいずれかに関連して使用される任意の物質を含む。例えば、試薬は、緩衝液、酵素、細胞培養培地、洗浄液などを含むことができる。試薬は、1つまたは複数の成分の混合物を含むことができる。試薬は、物質の状態(固体、液体、気体など)に関係なく、このような成分を含むことができる。さらに、試薬は、混合状態、非混合状態、及び/または部分的に混合された状態の物質に含まれ得る複数の成分を含み得る。試薬は、有効成分と不活性成分の両方を含むことができる。したがって、本明細書で使用される場合、試薬は、水、着色剤などのような非活性及び/または不活性成分を含むことができる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「セット」という用語は、複数の特徴または複数の部分がある単一の特徴を指すことができる。例えば、壁のセットを示している場合、壁のセットは複数の部分がある1つの壁とみなすことも、または壁のセットは複数の別個の壁とみなすこともできる。したがって、モノリシックに構築された品目は、壁のセットを含むことができる。そのような壁のセットは、例えば、互いに連続的または不連続的である複数の部分を含むことができる。壁のセットは、別々に製造され、後で一緒に接続される複数の品目から製造することもできる(例えば、溶接、接着剤、または任意の適切な方法を介して)
【0047】
図1Aは、実施形態による自動細胞培養システムの概略図を示す。この例示的な自動細胞培養システム100は、3つの細胞培養器111、113、及び115を有する。これらの器は、例えば、実験用のフラスコまたは皿であり得る。細胞培養器は、細胞培養、増殖培地、及び細胞培養に関連するその他いずれかの添加物または試薬を保持する。器の中での細胞の培養は、あらゆる種類の接着または浮遊する細胞の培養である可能性がある。
【0048】
流体ポンプ103及び105ポンプは、内部流体リザーバを含む1ポートの流体ポンプである。1ポートの流体ポンプの例は、シリンジドライバーに嵌合されたシリンジである。シリンジの流体ポンプは、シリンジのプランジャーを引き抜くことによってリザーバに吸引力を生み出すことによって、その内部リザーバに流体を引き込むことができる。同様に、シリンジポンプは、プランジャーをシリンジに押し戻すことにより、液体をリザーバから押し出すことができる。他の実施形態では、流体ポンプ103、105の一方または両方は、別個のリザーバを備えた双方向インラインポンプを含み得る。双方向ポンプは、例えば、流体チャネルに沿って2つの方向に流体をポンピングすることができる蠕動ポンプまたはインペラベースの流体ポンプであり得る。双方向インラインポンプは、一端が専用のリザーバに嵌合され、他端がシリンジポンプと同様の動作で入力ポート及び出力ポートとして使用され得る。ポンプに嵌合された専用リザーバは、流体がリザーバからポンプで排出されるときにエアポケットがリザーバ内に形成されないように可撓性で封止され得る、例えば、バッグまたはポーチなどが挙げられる。
【0049】
流体ポンプ103及び105は、それぞれ、マルチポートバルブ107及び109に流体接続されている。マルチポートバルブ107及び109は、1つのマスターポート及び複数の選択可能なポートを有する。マルチポートバルブは、マスターポートを一度に選択可能なポートの1つに選択的に流体接続することができる。マルチポートバルブのマスターポートが選択されたポートに接続されている場合、他の選択可能なポートは封止されており、マスターポートに流動的に接続されていない。マルチポートバルブのマスターポートが選択可能なポートに流体接続されている場合、流体はバルブを通ってどちらの方向にも流れ得る。すなわち、流体は、マスターポートを通ってマルチポートバルブに流入し、選択されたポートを通って流出するか、または流体が反対方向に流れ、選択されたポートを通ってマルチポートバルブに流入し、マスターポートを通って流出することがある。いくつかの実施形態では、マルチポートバルブは、機械的バルブ装置であり得、他の実施形態では、マルチポートバルブは、マイクロ流体チップ構成要素から構成され得る。
【0050】
流体ポンプ103及び105、マルチポートバルブ107及び190、ならびに細胞培養器111、113、及び115はすべて、流体チャネルによって相互に流体接続されている。実施形態では、流体チャネルは、可撓性の管で構成される。他の実施形態では、流体チャネルのいくつかまたはすべては、剛性の管、または基板内のチャネルであり得る。
図1Aに示される例では、流体ポンプ103は、可撓性管によってマルチポートバルブ107のマスターポートに流体接続されている。マルチポートポート107には、いくつかの選択可能なポート107a~dがある。選択可能なポート107aは、細胞培養器111に流体接続され、選択可能なポート107bは、細胞培養器113に流体接続され、選択可能なポート107cは、細胞培養器115に流体接続される。選択可能なポート107dは、容器119に流体接続されている。容器119は、自動細胞培養システムに流体を供給するか、または自動細胞培養システムから流体を受け入れるための任意の種類の流体容器であり得る。例えば、容器119は、自動細胞培養システムから廃棄物を受け入れるための廃棄物容器であり得る。別の例では、容器119は、細胞培養器に新鮮な培地を供給するための新鮮な細胞培養培地を含み得る。
【0051】
流体ポンプ105、マルチポートバルブ109、及び容器117は、流体ポンプ103、マルチポートバルブ107、及び容器119と同様に構成される。マルチポート109には、いくつかの選択可能なポート109a~dがある。選択可能なポート109aは細胞培養器111に流体接続され、選択可能なポート109bは細胞培養器113に流体接続され、選択可能なポート109cは細胞培養器115に流体接続される。選択可能なポート109dは、容器117に流体接続されている。
【0052】
動作中、
図1Aに示される例における流体ポンプ、マルチポートバルブ、容器、及び細胞培養器の組み合わせは、細胞培養器及び容器との間で液体を移送するために使用され得る。いくつかの実施形態では、第1の流体ポンプ103は、容器119から細胞培養器に培地を加えるために使用され、第2の流体ポンプ105は、細胞培養器から容器117に培地を除去するために使用される。別の実施形態では、単一の流体ポンプが、細胞培養器及び器への追加及び細胞培養器からの除去の両方に使用される。いくつかの実施形態では、細胞培養器111、113、115及びマルチポートバルブ107及び109を含むグループ101の構成要素は、流体ポンプ103及び105ならびに容器117及び119から分離可能であり得る。グループ101内の構成要素間の流体接続は、組み立ての第1の段階で独立して確立され得、その後、追加の構成要素が後の段階で接続され得る。グループ101の構成要素は、第1の段階で独立して減菌または処理され、次いで第2の段階で残りの構成要素に導入され得る。グループ101の構成要素と他の構成要素との間の流体接続は、汚染物質がグループ101の減菌された構成要素に導入されないように、無菌式接続で行うことができる。細胞培養器111、113、115は、管及び無菌式接続を使用してバルブ107及び109に接続することができ、その結果、器の中の細胞を使用または分析のために除去するときに、器をシステムから無菌で切り離すことができる。
【0053】
図1Bは、実施形態による自動細胞培養システムの概略図を示す。自動細胞培養システム110は、1つの双方向流体ポンプ121を含む。この実施形態では、細胞培養器111、113、115、マルチポートバルブ107及び109、ならびに容器117及び119は、
図1Aに関連して説明したものと同じである。
図1Bでは、流体ポンプ121は、蠕動ポンプなどの2ポート流体ポンプである。2ポート流体ポンプ121の第1のポート121aはマルチポートバルブ107のマスターポートに流体接続され、流体ポンプ121の第2のポート121bはマルチポートバルブ109のマスターポートに流体接続される。流体ポンプ121は、2つの方向に流体をポンピングすることができる。第1の動作モードでは、流体ポンプ121は、ポート121aからポート121bに流体をポンピングし、第2の動作モードでは、流体ポンプ121は、ポート121bからポート121aに流体をポンピングする。
【0054】
図2は、実施形態による自動細胞培養システムの上面図を示す。自動細胞培養システム200は、2つの流体ポンプ、2つのマルチポートバルブ、及び12の細胞培養器を有する。わかりやすくするために、図示の例には流体接続は含まれていないが、自動細胞培養システムの様々な構成要素の少なくともいくつかは、使用時に流体接続されることを理解されたい。取り外し可能なトレイ223は、細胞培養器201-212とマルチポートバルブ213及び215を含む。各細胞培養器は、細胞培養器206を覆う無菌の蓋237などの無菌の蓋によって覆われる。各細胞培養器は、細胞培養器206を保持するブラケット217、219、及び221などのブラケットによって、取り外し可能なトレイ223に、取り外し可能に取り付けられている。取り外し可能なトレイ223は、ベースハウジング235に取り外し可能に挿入され、ガイド225a~fによって誘導される。ベースハウジング235は、2つのシリンジスタイルの流体ポンプを含む。第1の流体ポンプは、シリンジ229及びシリンジアクチュエータ227からなる。シリンジアクチュエータ227は、シリンジ229のプランジャーを押したり引いたりして、シリンジに出入りする流体の流れをもたらす。実施形態では、シリンジアクチュエータは線形アクチュエータであるが、シリンジプランジャを押したり引いたりする他の任意の方法を使用することができる。第2のポンプは、シリンジ233及びシリンジアクチュエータ231からなる。
【0055】
図3Aは、実施形態による自動細胞培養システムのベースハウジングの上面図を示す。図示の例示的なベースハウジング301は、流体ポンプ305及び307ならびにマルチポートバルブアクチュエータ309及び311を含む。ベースハウジング301はまた、流体ポンプ、マルチポートバルブ、及びいずれかの他のシステム、例えば自動細胞カウンターシステム、血球計算盤、画像化システム、顕微鏡、または自動細胞成長を促進するための他の測定または分析システムの作動を制御するコントローラを含む。コントローラは、自動細胞培養システム及び他の対応するシステムを制御するために、1つまたは複数のメモリシステムに含まれる命令を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含み得る。さらに、コントローラは、様々な通知またはデータ転送が送信または受信され得る1つまたは複数のネットワークインターフェースを含み得る。
【0056】
図3Bは、実施形態による自動細胞培養システムの取り外し可能なトレイアセンブリを示す。取り外し可能なトレイアセンブリ303は、ベースハウジング301に嵌合するように構成される。取り外し可能なトレイアセンブリ303がベースハウジング301の上部に配置されると、マルチポートバルブアクチュエータ309及び311は、それぞれマルチポートバルブ319及び321と機械的に連結する。例えば、実施形態では、マルチポートバルブアクチュエータ309は、マルチポートバルブ319の内部の部材を回転させて、マルチポートバルブ319のマスターポートを選択可能なポート319a~dの1つと位置合わせする。マルチポートバルブ319及び321ならびに細胞培養器313、315、及び317は、取り外し可能なトレイ303の上に運ばれる。ベースハウジング301及び取り外し可能なトレイ303が組み合わされる場合、流体ポンプ305及び307は、マルチポートバルブ319及び321のマスターポートに流体接続され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、ベースハウジング301はまた、ベースハウジングに関連して取り外し可能なトレイアセンブリ303を攪拌するように構成された攪拌機を含み得る。この攪拌機は、揺り動かし、振動の動き、円形旋回運動、または細胞の培養に有用な他の動きでトレイを攪拌することができる。いくつかの実施形態では、個々の細胞培養器は、細胞培養器と取り外し可能なトレイとの間に配置された独立した攪拌機によって独立して攪拌され得る。独立した攪拌機は、細胞培養器のサブセットのみが攪拌を必要とする場合に、トレイのすべての細胞培養器を攪拌することが不利である用途で使用することができる。いくつかの実施形態において、独立した攪拌機は、細胞培養器を取り外し可能なトレイに固定するために使用される1つまたは複数のブラケットに統合され得る。いくつかの実施形態では、攪拌機は、取り外し可能なトレイ上のマルチポートバルブがベースハウジング内のアクチュエータに機械的に嵌合する方法と同様に、取り外し可能なトレイ上の受動部品に機械的に連結するベースハウジング内に配置された能動部品を有し得る。
【0058】
使用中、取り外し可能なトレイ303は、ベースハウジング301とは別に、必要に応じて、任意の数または構成のマルチポートバルブ、細胞培養器、及び流体管で構成することができる。次に、取り外し可能なトレイ303及びその関連する構成要素は、ベースハウジング310に導入される前に、封止及び減菌され得る。いくつかの実施形態では、細胞培養器は、トレイ303の減菌後、無菌の環境でトレイ303に追加され得る。ベースハウジング301は固定した状態を保持でき、ベースハウジングの構成要素は、取り外し可能なトレイ303の上の減菌システムと流体接触していないので、ベースハウジング内に配置されたバルブアクチュエータやポンプ機構などのいずれかの電気機械的構成要素は、輸送または減菌の処置を受ける必要がない。シリンジスタイルの流体ポンプを使用する場合は、無菌のシリンジをシリンジアクチュエータに配置して使用し、シリンジアクチュエータが無菌システム内のいずれの流体とも接触しないようにすることができる。同様に、蠕動ポンプは、ベースハウジングに関連する固定の構成要素が無菌のシステムと流体接触しないように、管の無菌部分を使用することができる。
【0059】
図4は、実施形態による例示的なベースハウジングに嵌合されている自動細胞培養システムの例示的な取り外し可能なトレイを示す。この例に示されるように、自動細胞培養システム400は、取り外し可能なトレイ140及びベースハウジング403を含む。取り外し可能なトレイ401は、マルチポートバルブ405及び407と細胞培養器409、411、及び413を含む。取り外し可能なトレイ401は、ベースハウジング403の上に下げられ、マルチポートバルブアクチュエータ415及び417がそれぞれマルチポートバルブ405及び407と位置合わせされる。取り外し可能なトレイ140がベースハウジング403の上に下ろされると、マルチポートバルブアクチュエータ415及び417は、マルチポートバルブ405及び407と機械的に連結する。2つの部品が連結された後、流体ポンプ419及び421は、手作業での接続ステップなどによって、取り外し可能なトレイに搭載されたマルチポートバルブ405及び407に流体接続される。
【0060】
図5は、実施形態による例示的なマルチポートバルブの断面図を示す。この実施形態では、マルチポートバルブ500は、上面にマスターポート507を有するバルブ本体503と、その周囲に分散された複数の選択可能なポート505及び509とを備える。この断面図には、2つの選択可能なポートが示されている。しかし、マルチポートバルブの様々な実施形態は、任意の数の選択可能なポートを含み得ることが理解されるべきである。
【0061】
バルブ本体503は、その下側に、回転可能な円筒形バルブロータ501が挿入される円筒形キャビティを有する。回転可能な円筒形バルブロータ501内には、回転可能な円筒形バルブロータ501の軸方向マスターポートを回転可能な円筒形バルブロータ501の半径方向マスターポートに流体接続する流体チャネル517がある。バルブ本体503内には、マスターポート507を回転可能な円筒形バルブロータ501の流体チャネル517に流体接続する流体チャネル513がある。流体チャネル513と流体チャネル517との間の接続は、回転可能な円筒形バルブロータ501が回転する間、一定の状態を保持する、なぜならば、両方の流体チャネルが、バルブ本体503の円筒形キャビティ内の回転可能な円筒形バルブロータ501の回転軸に中心があるからである。
【0062】
図5に示す状態では、回転可能な円筒形バルブロータ501は、流体チャネル511が流体チャネル517と位置合わせするように回転される。したがって、流体回路は、マスターポート507から、流体チャネル513、流体チャネル517、及び流体チャネル511を介して、選択可能なポート505まで確立される。この図示された状態では、流体チャネル515、次に選択可能なポート509は、回転可能な円筒形バルブロータ501の固体部分の存在によって封止される。動作中、回転可能な円筒形バルブロータ501は、選択可能なポート505及び流体チャネル511を封止しながら、マスターポート507から選択可能なポート509への流体経路を確立するように回転することができる。
【0063】
マルチポートバルブ500は、任意の適切な材料で作ることができ、バルブ本体503及びバルブロータ501は、同じまたは異なる材料で作ることができる。使用できる材料の例には、プラスチック、ポリテトラフルオロエチレンPTFEなどのTFEベースの材料、金属、ゴム、または同様の材料が含まれる。いくつかの実施形態では、バルブ本体503及びバルブロータ501は、非常に近い許容誤差で適合するように機械加工され得、その結果、2つの構成要素の間に液密シールが作成される。いくつかの実施形態では、追加のガスケット、ベアリング、シール、及び/またはフランジをマルチポートバルブ500に組み込んで、バルブ本体503とバルブロータ501との間の液密接続を設けることができる。
【0064】
図6Aは、実施形態による例示的なマルチポートバルブの例を示している。この例では、マルチポートバルブ600は、軸方向ポート601及び8つの選択可能なポートを有し、そのうちの4つ(ポート603、605、607、及び609)は、
図6Aの斜視図で見ることができる。
図6Bは、マルチポートバルブアクチュエータに機械的に連結するように構成された機械的カプラー611を示すマルチポートバルブ600の底面図を示す。対応するマルチポートバルブアクチュエータは、機械的カプラー611を受け入れ、回転による機械的エネルギーをマルチポートバルブ600に伝達するように形作られたキャビティを有する。
【0065】
図7は、実施形態による無菌細胞培養器の蓋を示す。この例示的な実施形態では、細胞培養器の蓋703は、細胞培養器701に取り付けられる。この例示的な実施形態では、細胞培養器の蓋703は、3つのポート705、707、及び709を有する。この例では、3つのポートが垂直に配置されている。細胞培養器701が細胞増殖培地などの液体で満たされている場合、最も低いポート709を介して入った管を液体に沈めてもよく、管を使用してポート709を介して液体を吸い上げることができる。中央のポートであるポート707を介して入る管は、管が細胞培養器の内容物と液体接触しないように配置することができ、その結果、ポート707への流体経路を汚染することなく、追加の液体を細胞増殖器に加えることができる。ポート705は、細胞増殖器701の内外でのガス交換を可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、ポート705は、ガスを
滅菌するためにフラスコに入る途中でガスを濾過するためのフィルタを含む。いくつかの用途では、自動細胞培養システムをインキュベーションチャンバに配置して、細胞培養器に近接する環境を調節することができる。インキュベーションチャンバは、いくつかの実施形態において、自動細胞培養システムのベースハウジングと統合され得る。一実施形態では、規制される環境の特性には、ガス混合物、温度、及び湿度レベルが含まれる。一実施形態では、インキュベーションチャンバは、増殖される細胞株に応じて、ガス混合物、温度及び湿度レベルを調節する。いくつかの実施形態では、ポート705は、細胞培養器内部のガスの環境の温度、湿度、酸素化、ガスの混合、及び他のそのようなパラメータを管理する環境調節デバイスに取り付けられ得る。無菌の蓋は、手動式の細胞培養の際に使用される任意の培養器をシステムと統合できるように、任意の細胞培養器に合うように作成することができる。
【0066】
図8は、実施形態による細胞培養器の蓋の断面図を示す。細胞培養器の蓋803は、細胞培養器の蓋803のスレッドが細胞培養器801の口のスレッドと係合するように、細胞培養器801の口にねじ込まれている。この例示的な実施形態では、細胞培養蓋803は、液体ポート807及びガスポート811を有する。液体チャネル809は、液体ポート807とねじ式で係合している。ガスフィルタ805は、ガスポート811とねじ式に係合している。ガスフィルタ805は、いずれの微生物または病原体も外部から細胞培養器に入るのを阻止しながら、細胞培養器の内外でのガス交換を可能にし得る。実施形態では、ガスフィルタ805は、0.22ミクロンのフィルタである。
【0067】
図9は、実施形態による、シングルポートのポンプを備えた自動細胞培養システムを使用して、第1の器から第2の器に液体を移送するための方法のステップを示す。この例では、自動細胞培養システムは、上記のシリンジタイプのポンプなどのシングルポートポンプ、または1つのポートに取り付けられた保持器を備えた2ポートポンプを有する。この方法は、任意の器から別の器に液体を移すために使用することができる。例えば、第1の器は細胞培養器であり得、第2の器は廃棄物容器であり得る。別の例では、第1の器は、新鮮な細胞増殖培地の容器であり得、第2の容器は、細胞培養器であり得る。
【0068】
図9では、ステップ901において、シングルポートポンプに接続された、または保持器を備えた2ポートポンプに接続されたマスターポートを備えたマルチポートバルブは、第1の器と流体連通する選択可能なポートを選択するように構成される。ステップ902で、流体が第1の器からシングルポートポンプのリザーバに引き込まれるようにシングルポートポンプが作動されるか、または同様に、流体が保持器に引き込まれるように2ポートポンプが作動される。次に、ステップ903で、マルチポートバルブは、第2の器と流体連通する選択可能なポートを選択するように構成される。次に、ステップ904で、流体は、シングルポートポンプのリザーバからポンピングされるか、または同様に、2ポートポンプによって保持器から、構成されたマルチポートバルブを通って、第2の器にポンピングされる。
【0069】
自動細胞培養システムのいくつかの実施形態は、各ポートに流体接続されたマルチポートバルブを備えた2ポートポンプを使用することができる。2ポートポンプは単方向または双方向の場合がある。2ポートポンプは、シングルポートポンプのように液体を保持リザーバに移送する必要はないが、ある器から別の器に直接ポンピングすることができる。
図10は、実施形態による、2ポートポンプを備えた自動細胞培養システムを使用して、第1の器から第2の器に液体を移送するための方法のステップを示す。この例では、2ポートポンプの第1のポートはマルチポートバルブのマスターポートに流体接続され、2ポートポンプの第2のポートはマルチポートバルブのマスターポートに流体接続される。ステップ1001において、第1のマルチポートバルブは、第1の器と流体連通する選択可能なポートを選択するように構成される。ステップ1002で、第2のマルチポートバルブは、第2の器と流体連通する選択可能なポートを選択するように構成される。最後に、ステップ1003において、第1の器からの液体が第2の器にポンピングされるように、第2のポートに向けた第1のポートの方向にポンピングするように2ポートポンプが作動される。
【0070】
本明細書に開示される任意の実施形態について、第1の器から第2の器へのポンピングに対する単純な言及は、自動細胞培養システムが1ポートポンプまたは2ポートポンプのどちらで構成されるかに応じて、適切な方法の代替として言及し得る。自動細胞培養システムのいくつかの実施形態はまた、2ポートポンプとシングルポートポンプを1つのシステムにて組み合わせてもよく、ポンピングの1つのステップが1つのタイプのポンプを使用し、ポンピングの別のステップが異なるタイプのポンプを使用するようにし得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、例えば、幹細胞について分化の兆候が観察される場合、細胞の観察された状態に応じて、異なる供給源からの培地が細胞に供給され得る。実施形態では、方法の第1のステップは、幹細胞における分化の兆候などの細胞の状態を観察することである。第1のステップは、顕微鏡、カメラ、または他の測定デバイスによって実行され得る。この方法の第2のステップは、細胞の状態に基づいて適切な培地供給源を選択することである。この方法の第3のステップは、1ポートポンプまたは2ポートポンプのシステムを作動させて、選択された培地供給源から細胞を含む器に培地を移送することである。
【0072】
いくつかの実施形態では、自動細胞培養システムは、自動細胞培養システムの任意の細胞培養器の内容物を画像化するために移動することができる顕微鏡を含む。いくつかの例では、顕微鏡は、顕微鏡を2次元または3次元のガントリー機構またはヒンジ式ロボットアーム機構などの細胞培養器に移動させることができる機械システムに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、自動細胞培養システムが固定の顕微鏡の観点から個々の細胞培養器を配置するように動かされている間、顕微鏡は固定したままであり得る。いくつかの実施形態では、顕微鏡及び可動アセンブリは、自動細胞培養システムのベースハウジング内に含まれるようにでき、その結果、細胞培養器は、それらの下側から画像化され得る。そのような実施形態では、細胞培養器を保持する取り外し可能なトレイは、顕微鏡がその中に含まれる細胞を画像化することを可能にするために、細胞培養器の下に透明な窓または切り欠きを有し得る。いくつかの実施形態では、調整可能で制御可能な光源が、顕微鏡として細胞培養器の反対側に配置されて、顕微鏡に光源を供給する。例えば、光源は、顕微鏡と同様に、必要に応じて任意の細胞培養器に光源を移動させることができる機械的システムに取り付けることができる。いくつかの実施形態では、固定の光源は、各細胞培養器が十分に照明されるように、自動細胞培養システムの片側に配置され得る。
【0073】
自動細胞培養システムは、他の画像化装置も含み得る。例えば、自動細胞培養システムは、細胞培養器の内容物を画像化するために1台または複数の台数のカメラ、または対のLEDと光センサを含むことができる。このタイプのイメージャは、細胞培養器のマクロレベルの視覚特性を測定及び監視するのに有用であり得る。例えば、カラーカメラ、またはLEDと光センサの対は、色ベースのpH指示薬、例えばフェノールレッドを含有する細胞培養器の内容物の色を監視するのに有用であり得、細胞培養器の内容物のpHをそれにより判定することができる。実施形態では、各細胞培養器ブラケットは、細胞培養器の内容物を画像化するためのカメラを含み得る。別の実施形態では、単一のカメラは、各細胞培養器を画像化するために、顕微鏡を移動させ得るのと同一または類似の方法で、機械的に各細胞培養器に移動可能であってもよい。実施形態では、LEDおよび光センサは、細胞培養器の色を監視するために、顕微鏡を移動させ得るのと同一または類似の方法で、機械的に各細胞培養器に移動可能であってもよい。
【0074】
いくつかの例示的な実装形態では、1つまたは複数のトレイの外れたデバイスが、自動細胞培養システムとインターフェースされ得る。例えば、自動細胞カウンター機は、細胞培養器の内容物のサンプルが自動細胞カウンター機に輸送され得るように、マルチポートバルブの選択可能なポートに流体接続され得る。いくつかの実施形態では、自動細胞カウンター機は、自動細胞カウンター機で細胞をカウントするプロセス全体が自動細胞培養システムによって自動化されるように、コントローラによって制御され得る。さらなる例として、細胞計数チャンバは、細胞培養器の内容物のサンプルが細胞計数チャンバに輸送され得るように、マルチポートバルブの選択可能なポートに流体接続され得る。顕微鏡は、細胞計数チャンバを画像化して、細胞計数チャンバ内の細胞をカウントすることができる。さらなる例として、外部チャンバは、細胞培養器の内容物のサンプルが外部チャンバに輸送され得るように、マルチポートバルブの選択可能なポートに流体接続され得る。LEDと光センサを使用して、外部チャンバ内の溶液の曇りを測定できる。さらなる例として、細胞のサンプルを採取するために、サンプリング器をマルチポートバルブのポートに無菌で接続でき、細胞培養器の内容物のサンプルを器に輸送し得、次に器を無菌で切断し、細胞を採取できる。
【0075】
自動細胞培養システムの一部の操作には、様々なサポート方法または処置が必要になる場合がある。例えば、液体ラインまたはポンプは、ラインを通して液体をポンピングする前にプライミングする必要がある場合がある。例として、新しい増殖培地のボトルからマルチポートバルブへの流体ラインは、新しい増殖培地を細胞培養器にポンピングする前にプライミングする必要がある場合がある。これを行うために、少量の新しい増殖培地を新しい増殖培地ボトルから廃液ボトルにポンピングすることができ、ラインにエアポケットがないことを確認するようにする。
【0076】
同様に、ライン、ポンプ、またはバルブは、汚染物質を除去するために定期的に清掃または洗浄する必要がある場合がある。これは、洗浄液をライン、ポンプ、またはバルブを通して一定期間、またはライン、ポンプ、またはバルブが十分に洗い流されるまでポンピングすることによって達成できる。
【0077】
図11は、接着性細胞株の維持のための方法のステップを示している。ステップ1101において、器の中の使用済み細胞培養増殖培地は、器から廃棄物容器にポンピングされる。ステップ1102で、判定された量の新しい細胞培養増殖培地が器にポンピングされる。
【0078】
図12は、新しい細胞培養器への継代を伴う接着性細胞株を維持または増殖するための方法のステップを示している。
図11に関連して論じられた方法とは対照的に、ここでは、細胞培養器の接着性細胞が新しい器に移される。ステップ1201において、器の中の細胞培養増殖培地は、器から廃棄物容器にポンピングされる。次に、ステップ1202で、洗浄溶液が器にポンピングされ、ステップ1203で、器を任意選択で攪拌することができる。次に、洗浄溶液は、ステップ1204で器から廃棄物容器にポンピングされる。
【0079】
ステップ1205で、解離試薬が器にポンピングされる。解離試薬の例はトリプシンである。解離試薬は、細胞培養器の壁に接着した細胞を再懸濁するために使用される。培養される細胞及び使用される解離試薬に応じて、細胞培養器を穏やかに攪拌して、接着性細胞を細胞培養器の壁から分離するのを補助することができる。次に、自動細胞培養システムは、培養されている細胞及び使用される解離試薬に応じて、ステップ1206で構成可能な時間、待機する。代替の実施形態では、自動細胞培養システムは、顕微鏡で器からの細胞の解離を動的に監視して、解離の量がいつ閾値に達するかを判定する。器は、任意選択で、ステップ1206で待機している間に攪拌することができる。ステップ1207で、任意選択で、細胞は、接着性細胞の剥離を観察するために画像化される。細胞が十分に分離されていない場合、自動細胞培養システムはさらなる時間、待機することができる。接着性細胞が細胞培養器の壁から十分に分離されると、解離試薬阻害剤または中和剤を細胞培養器にポンピングして、解離試薬の作用を停止させることができる。ステップ1208において、細胞培養器の内容物は、任意選択で、自動細胞培養システムから除去され、遠心分離機の内側で回転されて、細胞を細胞培養器の液体内容物から分離し、次いで再懸濁され得る。ステップ1209で細胞をカウントして、細胞の総数または細胞密度及び生存率を判定することができる。ステップ1210で、細胞の一部が新しい細胞培養器に移される。次に、ステップ1211で、判定された量の新しい増殖培地が新しい器にポンピングされる。自動細胞培養システムが細胞株の維持のみをするように構成されている場合、元の細胞培養器をシステムから取り外して廃棄してもよく、新しい器のみが細胞増殖のシステムに残るようにする。自動細胞培養システムが細胞株の増殖用に構成されている場合、元の器を保持し、元の細胞培養器と新しい細胞培養器の両方が細胞増殖のシステムに残るように、比例する量の新しい増殖培地をそれに追加することができる。単一の新しい器を使用するという文脈で説明されているが、このプロセスは、単一の元の器を任意の数の新しい器に分割できるように、任意の数の器に拡張できることを理解されたい。
【0080】
図13は、任意選択の継代で浮遊細胞株を維持するための方法のステップを示す。ステップ1301において、細胞培養器を穏やかに攪拌して、器の中の増殖培地内部に細胞を均一に分配することができる。次に、ステップ1302で、器の中の細胞がカウントされ、ステップ1303で、細胞数または細胞密度に基づいて、新しい増殖培地の最適量が判定される。ステップ1304において、判定された量の新しい増殖培地を添加した後の細胞培養器の最終的な液体の体積が判定される。処置により細胞培養器に液体を追加するたびに、追加された液体の量が記録され、コントローラによって集計される。このようにして、コントローラは各細胞培養器に液体の量の現在の値を維持する。ステップ1305で、細胞培養器の推定される最終的な流体の体積が、使用されている特定の細胞培養器について構成された最大限の体積と比較される。例えば、器の総体積は、器の総容量を超えることができない。いくつかの実施形態では、閾値最大体積は、器の総体積よりも著しく少なくてもよい。推定された最終的な流体の体積が構成された閾値よりも低い場合、ステップ1306で、判定された量の新しい媒体が器に追加される。推定された最終的な流体の体積が構成された閾値よりも大きい場合、自動細胞培養システムは、細胞培養器の内容物を2つ以上の細胞培養器に分割して、推定された最終的な流体の体積を収容することができる。この例示的な方法では、現在第1の細胞培養器と呼ばれている細胞培養器の内容物は、第1の細胞培養器と追加の第2の細胞培養器との間で分割される。ステップ1307で、第1の細胞培養器の内容物の一部を第2の細胞培養器に移すことができる。第1及び第2の細胞培養器の内容物の割合は、コントローラによって記録される。次に、ステップ1308において、それぞれが含む最終的な液体の体積の量に比例して、第1及び第2の細胞培養器のそれぞれに、比例した量の新しい細胞培養増殖培地が加えられる。例えば、第1の細胞培養器の流体内容物が第1の細胞培養器と第2の細胞培養器との間で均等に分割される場合、新しい培地は同様に第1及び第2の細胞培養器の間で類似して均等に分割される。
【0081】
図14は、浮遊細胞株を増殖するための方法のステップを示す。浮遊細胞株を増殖するための方法は、浮遊細胞株を維持する方法を反映するが、ステップ1407において、総体積が細胞培養器の総体積閾値を下回ったままであっても、器の内容物を新しい細胞培養器に移すことができる。すなわち、細胞は、細胞培養器の中の体積が不足したことに応答するだけでなく、細胞の増殖を促進するのに適切な場合、新しい細胞培養器に移され得る。
【0082】
図15は、本明細書で論じられる方法論のいずれか1つまたは複数を機械に実行させるための一連の命令が実行され得るコンピュータシステムの例示的な機械を示す。代替の実装形態では、機械は、LAN、イントラネット、エクストラネット、及び/またはインターネットにおいて他の機械に接続(例えば、ネットワーク化)され得る。機械は、クライアント/サーバーネットワーク環境のサーバーまたはクライアント機械の容量で、ピアツーピア(または分散)ネットワーク環境のピアマシンとして、またはクラウドコンピューティングインフラストラクチャまたは環境のサーバーまたはクライアント機として、動作する場合がある。
【0083】
機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、Webアプライアンス、サーバー、ネットワークルーター、スイッチ、またはブリッジ、または当該の機械によって実行されるアクションを指定する一連の命令(シーケンシャルまたはその他)を実行できる任意の機械であり得る。さらに、単一の機械が示されているが、「機械」という用語はまた、本明細書で論じられる方法論のいずれか1つまたは複数を実行するための命令のセット(または複数のセット)を個別にまたは共同で実行する任意の機械の集合を含むと解釈されなければならない。
【0084】
例示的なコンピュータシステム1500は、処理デバイス1502、メインメモリ1504(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、例えば、同期DRAM(SDRAM)またはRambus DRAM(RDRAM)など)、静的メモリ1506(例えば、フラッシュメモリ、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、及びデータ記憶デバイス1518を含み、バス1530を介して互いに通信する。
【0085】
処理デバイス1502は、マイクロプロセッサ、中央処理デバイスなどの1つまたは複数の汎用処理デバイスを表す。より具体的には、処理デバイスは、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであり得る。処理デバイス1502はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどのような1つまたは複数の特定用途の処理デバイスであり得る。処理デバイス1502は、本明細書で論じられる操作及びステップを実行するための命令1526を実行するように構成される。
【0086】
コンピュータシステム1500は、ネットワーク1520を介して通信するためのネットワークインターフェースデバイス1508をさらに含み得る。コンピュータシステム1500はまた、ビデオ表示ユニット1510(例えば、液晶ディスプレイ(LDC)または陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス1512(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス1515(例えば、マウス)、グラフィックス処理ユニット1522、信号生成デバイス1516(例えば、スピーカー)、グラフィックス処理ユニット1522、ビデオ処理ユニット1528、及びオーディオ処理ユニット1532を含み得る。
【0087】
データ記憶デバイス1518は、本明細書に記載の方法論または機能のいずれか1つまたは複数を具体化する命令またはソフトウェア1526の1つまたは複数のセットが記憶される機械可読記憶媒体1524(コンピュータ可読媒体としても知られる)を含み得る。命令1526はまた、コンピュータシステム1500によるその実行中に、メインメモリ1504内及び/または処理デバイス1502内に完全にまたは少なくとも部分的に存在し得、メインメモリ1504及び処理デバイス1502もまた機械可読記憶媒体を構成する。
【0088】
一実施形態では、命令1526は、本明細書の開示を実行するためのデバイスの構成要素に対応する機能を実施するための命令を含む。機械可読記憶媒体1524は、例示的な実装において単一媒体であることが示されているが、「機械可読記憶媒体」という用語は、1つ以上の命令のセットを記憶する単一媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、及び/または関連するキャッシュとサーバー)を含むものと解するべきである。「機械可読記憶媒体」という用語はまた、機械によって実行するための一連の命令を記憶または符号化することができ、機械に本開示の方法論のいずれか1つまたは複数を実行させる任意の媒体を含むと解されるべきである。したがって、「機械可読記憶媒体」という用語は、これらに限定されないが、ソリッドステートメモリ、光学媒体、及び磁気媒体を含むと解されるべきである。
【0089】
図16A~16Cは、別の実施形態による自動細胞培養システムの概略図を示す。この例示的な自動細胞培養システム1600は、消耗品または使い捨て細胞培養トレイアセンブリ1601(本明細書では「トレイアセンブリ」とも呼ばれる、
図16Aを参照)及び再利用可能なベースユニット1620(
図16Bを参照)を含む。使い捨てトレイアセンブリ1601は、以下に説明する様々な構成要素を含み、それらのいくつかは、トレイアセンブリ1601上で(または一緒に)事前に組み立てられ、構成要素を無菌状態に維持するために保護的オーバーラップ内に封入される。トレイアセンブリ1601の構成要素のいくつかは、細胞培養の処置でトレイアセンブリ1601を使用する前に、無菌の環境(例えば、層流フード)内でトレイアセンブリ1601に追加することができる。トレイアセンブリ1601が組み立てられて使用の準備ができたら、トレイアセンブリ1601は、本明細書でより詳細に説明されるように、ベースユニット1620に連結することができる。
【0090】
図16Aに示されるように、トレイアセンブリ1601は、本明細書で説明されるように、ベースユニット1620に取り外し可能に連結され得るトレイ1602を含む。いくつかの実施形態では、トレイ1602は、1つまたは複数の透明または切り欠き部分を含むことができ、その結果、トレイ1602の上面に配置された物体は、トレイ1602の下から見ることができる。例えば、以下でより詳細に説明するように、細胞培養システム1600は、トレイアセンブリ1601がベースユニット1620に連結されるときに、ベースユニット1620の中及びトレイ1602の下に配置される画像化デバイス及び/または他のセンサを任意選択で含むことができる。透明部分(複数可)または切り欠き(複数可)は、以下でより詳細に説明するように、画像及び/または他のデータが、トレイ1602に連結された細胞培養容器の内容物などの透明部分または切り欠きを通して取得されることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ1601は、
図16Aに示される細胞計数チップ1617を含むことができる。細胞計数チップ1617はまた、底部透明部分を含むことができ、以下に記載されるように、細胞培養容器の内容物に関する情報を取得するために使用することができる。いくつかの実施形態では、細胞計数チップ1617は、トレイアセンブリ1601上に事前に組み立てられる代わりに、ベースユニット1620に連結されるかまたはその中に取り付けられ得る。
【0091】
トレイアセンブリ1601はまた、細胞培養器または容器を保持するために使用することができる1つまたは複数のカプラー1603を含む。トレイ1602は、任意選択で、試薬用容器1605及び廃棄物容器1606をトレイ1602に取り外し可能に連結するために使用することができるホルダ1604を含むことができる(例えば、輸送中、初期設定などの間に容器を固定するため)。2つのカプラー1603が示されているが、他の実施形態では、1つまたは複数の2つのカプラー1603のみが存在し得る。例えば、いくつかの実施形態では、トレイアセンブリは、1つの細胞培養容器のみを支えるように構成することができ、したがって、細胞培養容器をトレイの固定した位置に維持する単一のカプラー1603のみを含む。同様に、唯一つの廃棄物容器1606及び唯一つの試薬用容器1605が示されているが、代替の実施形態では、複数の廃棄物及び複数の試薬用容器が存在し得る。また、
図16Aは、トレイアセンブリ1601の一部として廃棄物容器1606及び試薬用容器1605を示しているが、他の実施形態では、廃棄物容器1606及び/または試薬用容器1605は、使用中にトレイ1602に連結されていない自動細胞培養システム1600内の別個の構成要素であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、試薬用容器1605は、細胞培養培地を収容するために使用でき、自動細胞培養システム1600の冷蔵部分(図示せず)または別の冷蔵場所に配置することができる。カプラー1603及びホルダ1604は、トレイ1602に取り付けられた別個の構成要素であり得るか、またはトレイ1602と一体的またはモノリシックに形成された構成要素であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、カプラー1603及び/またはホルダは、容器をトレイ1602に連結するための変形可能なブラケット、可動ピン、または任意の他の適切な構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ1602は、任意選択で、トレイアセンブリ1602を移動及び運ぶために使用者によって使用され得るハンドル1614を含むことができる。ハンドル1614は、トレイ1602と別個の構成要素であるか、またはトレイ1602と一体的またはモノリシックに形成され得る。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ1601は、ホルダ1604を含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、示されていないが、トレイアセンブリ1601は、1つまたは複数の細胞培養容器で事前に組み立てることができる。
【0092】
トレイアセンブリ1601はまた、マルチポートバルブ1607及び1つまたは複数の容器の蓋1608を含む(
図16Aは、2つの容器の蓋1608を示す)。容器の蓋1608は、使い捨ての包装マウント(
図16A~16Cには示されていない)を用いてトレイ1602に連結することができる。蓋1608はそれぞれ、以下に記載されるように、異なる細胞培養容器に連結されるように構成される。この例示的な実施形態では、2つの蓋1608が存在するが、異なる数の細胞培養容器を収容するために、異なる数の蓋1608を設けることができることを理解されたい。蓋1608のそれぞれは、液体交換ポート(本明細書では「流体ポート」とも呼ばれる)及びガス交換ポート(それぞれ
図16A~16Cには示されていない)を含むことができる。示されるように、流体ポートのそれぞれは、管を備えたマルチポートバルブ1607の選択ポートに連結されている(
図16Aの管A、B、C及びDを参照のこと)。ガス交換ポートは、それが連結されている細胞培養容器からのガスの移動を可能にすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、蓋1608は、本明細書に示され、記載されている細胞培養器の蓋803または蓋2408と同様であり得る。例えば、蓋1608は、微生物及び/または汚染物質が細胞培養容器に入るのを防ぐガスフィルタを含むことができ、それにより、システム内の他の容器(例えば、試薬用容器1605、廃棄物容器1606または他の容器)との閉じた(及び/または無菌)システムを維持しながら、蓋1608を介した細胞培養及び流体移動を可能にする。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリは、任意選択で、試薬用容器1603及び廃棄物容器1606にそれぞれ連結された蓋1609及び1610を含むことができる。蓋1609及び/または蓋1610は、構造及び機能において、蓋1608及び/または細胞培養器の蓋803と類似していてよい。
【0093】
マルチポートバルブ1607は、前の実施形態について上で説明したマルチポートバルブ(例えば、本明細書で説明するマルチポートバルブ600またはマルチポートバルブ2407)と同一または類似の方法で、同一または類似の構成要素及び機能を含むことができる。マルチポートバルブ1607は、ベースユニットの流体ポンプ1613に連結されるように構成されたマスターポート(以下に説明され、
図16B及び
図16Cに示される)、及び本明細書に記載の、蓋1608、1609、1610の液体交換ポート、及び/または細胞培養アセンブリ1600の他の構成要素に流体連結され得る複数の選択可能なポートを含むことができる。例えば、選択可能なポートの1つのポートは、第1の蓋1608の第1の液体交換ポートに無菌及び/または流体連結することができ、第2の選択可能なポートは、第2の蓋1608の第2の液体交換ポートに無菌及び/または流体連結することができる。いくつかの実施形態では、マルチポートバルブ1607の第3のポートは、試薬用容器1605の液体交換ポートに連結することができ、第4のポートは、廃棄物容器1606の液体交換ポートに連結することができ、第5のポートは、細胞採取容器の液体交換ポートに連結することができる(
図16A~16Cには示されていない)。マルチポートバルブ1607は、例えば、細胞計数チップ、細胞採取容器(複数可)、様々な試薬及び酵素容器などの様々な他の構成要素に連結することができる。マルチポートバルブのいくつかの例示的な連結を示す例示的なシステムの概略図が、
図59に提示されている。このように、作動されると、マルチポートバルブ1607は、自動細胞培養システム1600内の様々な容器の間の流体の交換を容易にすることができる。例えば、本明細書に記載されるように、マルチポートバルブ1607は、細胞培養容器への細胞培養培地または試薬の添加、細胞培養容器からの細胞の除去(例えば、細胞の継代または細胞の採取)、及び細胞の培養に関連するその他いずれかの流体の動きを容易にするために作動され得る。
【0094】
マルチポートバルブ1607は、事前に組み立てられ、トレイアセンブリ1601の上の蓋1608、1609、1610に連結され、保護的オーバーラップ1615内に封入され得る。この配置により、エンドユーザは、保護的オーバーラップ内にあらかじめパッケージ化されたトレイアセンブリ1601を受け入れることができる。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ1601は、保護的オーバーラップに配置される前に減菌することができる。本明細書に記載されるように、次に、使用者は、所望の細胞、試薬、細胞培養培地などを容器に装填し、無菌の環境内で事前に接続された蓋を容器に連結することができる。次に、トレイアセンブリ1601は、ベースユニットに連結され、本明細書に記載されるように、流体の交換を実行して所望の細胞の培養を確実にすることができるインキュベーション環境に移動することができる。
【0095】
マルチポートバルブ1607は、ベースユニット1620のバルブアクチュエータ1621と係合するように構成される。マルチポートバルブ1607は、いくつかの実施形態では、ベースユニット1620のバルブコネクタ1622に嵌合して連結するように構成された取り付け部分1616を含むことができる。例えば、取り付け部分1616は、パズルのようにバルブコネクタ1622に連結することができるような形状を有することができる。そのような取り付け部分及びバルブコネクタの例は、特定の実施形態を参照して以下に説明される。
図16B及び
図16Cにおいて示されるように、マルチポートバルブ1607がベースユニット1620のバルブアクチュエータ1621に係合されると、バルブアクチュエータ1621は、マルチポートバルブ1607を作動させて選択されたポートに移動し、トレイアセンブリ1601の様々な容器及び細胞培養容器の選択的な流体移送を可能にする(以下に記載)。いくつかの実施形態では、マルチポートバルブ1607は、トレイ1602に連結された状態で、バルブアクチュエータ1621に連結され得る。例えば、バルブアクチュエータ1621に連結されたバルブコネクタ(図示せず)は、トレイアセンブリ1602がベースユニット1620に取り外し可能に連結されている(例えば、本明細書に記載のベースユニット302またはベースユニット2120と同様に)下方のベースユニット1620において配置することができる。いくつかの実施形態では、マルチポートバルブ1607は、トレイ1602から取り外され(蓋に連結されたままであり、それによって閉じたシステムを維持する間に)、例えば
図16B及び16Cに示されるように、ベースユニット1620の嵌合バルブコネクタ1622に取り付けられ得る。
図16Bは、それに連結されたマルチポートバルブ1607のないコネクタ1622を示し、
図16Cは、それに連結されたマルチポートバルブ1607を示している。言い換えれば、マルチポートバルブ1607は、トレイ1602の嵌合取り付けポケット1618(
図16Cを参照)から取り外し可能であり、ベースユニット1620のバルブコネクタ1622に取り付けられ得る。上記のように、バルブ1607の取り付け部分1616は、取り付けポケット1618と嵌合して係合し、ベースユニット1620のバルブコネクタ1622と嵌合して係合して、トレイアセンブリ1601とベースユニット1620の両方の中で、適切な位置付けと位置合わせを確実にするように形作られる。マルチポートバルブ1607のこの再配置は、蓋1608、1609、1610がマルチポートバルブ1607に無菌で連結されたままで行われることができる。バルブ1607をトレイ1602から取り外すことにより、バルブ1607とバルブアクチュエータ1621との間のインターフェースを固定させることができ、これは、ベースユニット1620に対してトレイ1602を動かす攪拌機を含む実施形態によく適している。同様に、バルブ1607をベースユニット1620に直接連結することにより、バルブ1607とバルブアクチュエータ1621との間のインターフェースは、トレイ1601とベースユニット1620との間の相対的な動きによって妨害されない。
【0096】
マルチポートバルブ1607のマスターポートに流体連結されたポートコネクタ1612を保持するために使用することができる任意選択のポンプホルダ1611がまた、
図16Aに示されている。このポートは、細胞培養処置のためのトレイアセンブリ1601の準備中に、流体ポンプ1613をトレイ流体工学1602に接続するために使用される。流体ポンプ1613は、本明細書に記載されるように、細胞培養システム1600において流体の移動を生成するために使用され得る。流体ポンプ1613は、細胞培養システム1600内で圧力及び/または流れを生成する任意の適切なポンプであり得る。例えば、流体ポンプ1613は、ピストンロッド及びシリンジ本体を含むシリンジであり得る。シリンジは、細胞培養システム1600で使用することができるタイプの流体ポンプの一例にすぎない。例えば蠕動ポンプなど、他の様々な容積式流体ポンプを使用することができる。いくつかの実施形態では、ポンプは、シングルポートポンプであり得るが、他の実施形態では、ポンプは、本明細書に記載されるように、2ポートポンプであり得る。シリンジをポンプ1613として使用する場合、細胞培養処置の前に、無菌の環境でマルチポートバルブ1607及び任意選択のシリンジホルダ1611に取り付けることができる。
【0097】
ベースユニット1620(
図16B及び16Cを参照)は、ベースユニット1620の様々な構成要素を支え、トレイアセンブリ1601を受け入れ、そこに取り外し可能に連結する受け入れ部分1624を画定する(または含む)ことができるハウジング1623を含む。いくつかの実施形態では、受け入れ部分1624は、トレイアセンブリ1601が、トレイサポート(図示せず)によって配置及び支えることが可能な開口部を含むことができる。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ1601は、トレイアセンブリ1601がベースユニット1620の上面よりも高くなるように、ベースユニット1620のサポート部分によって支えられる。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ1601は、ベースユニット1620の攪拌機(以下に説明される)との係合によって少なくとも部分的に支えられる。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ1601は、ベースユニット1620のハウジング1623に連結可能な別個のサポート部材に取り外し可能に連結することができる。ベースユニット1620はまた、細胞培養容器の内容物に関連する画像及び/または他のセンサデータを取得することができるように、トレイ1602の透明部分に対応する1つまたは複数の透明部分または開口部分を含むことができる。
【0098】
ベースユニット1620は、上記のバルブコネクタ1622及びバルブアクチュエータ1621を含み、流体ポンプ部分1627及びポンプアクチュエータ1626も含む。ポンプアクチュエータ1626は、例えば、ハウジング1623によって画定される開口部1625内に少なくとも部分的に配置することができる。上記のように、いくつかの実施形態では、流体ポンプ1613は、マルチポートバルブ1607に流体連結され、次にベースユニット1620の流体ポンプ部分1627に連結されるシリンジまたは他のタイプの容積式流体ポンプであり得る。シリンジが流体ポンプ1613であるいくつかの実施形態では、流体ポンプ部分1627は、ハウジング1623でシリンジ1613を保持及び支えるために使用できるホルダ(
図16A~16Cには示されていない)を含むことができる。ホルダは、別個の構成要素でも、またはハウジング1623と一体的またはモノリシックに形成された構成要素であってもよい。流体ポンプ1613は、マルチポートバルブ1607のマスターポートに流体連結することができる。この例示的な実施形態では、
図16Cに示されるように(ベースユニット1620に連結されたトレイアセンブリ1601を示す)、マルチポートバルブ1607は、トレイアセンブリ1601から切り離されてバルブコネクタ1622に連結され、流体ポンプ1613は、管Eでマスターポートに連結されている。流体ポンプ1613は、ポンプ本体の内部に可動部材を含むことができる(
図16B及び16Cには示されていない)。システム1600の動作中、流体ポンプ1613の可動部材(例えば、プランジャ、ロータ)を作動させて、吸引力を引き起こして流体をポンプ本体に移し、前の実施形態について上で説明したように、可動部材を作動させて流体をポンプ本体から押し出すことができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、ベースユニット1620はまた、攪拌機1628を含むことができる。攪拌機1628は、例えば、トレイ1602を円運動または半円運動で動かす軌道シェーカーを含むことができる。攪拌機1628は、前の実施形態について上で説明したように、ハウジング1623に関連して取り外し可能なトレイアセンブリ1601を攪拌するように構成することができる。攪拌機1628は、揺り動かし、振動の動き、円形旋回運動、または細胞の培養に有用な他の動きでトレイ1602を攪拌することができる。いくつかの実施形態では、個々の細胞培養器/容器は、前述のように、細胞培養器と取り外し可能なトレイアセンブリ1601との間に配置された独立した攪拌機によって独立して攪拌され得る。いくつかの実施形態では、攪拌機は含まれなくてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、ベースユニット1620はまた、任意選択で、1つまたは複数のセンサ1629(
図16B及び16Cに示される1つのみ)及び細胞培養システム1600の任意の構成要素の動作を制御するための電子制御システム1630(例えば、バルブアクチュエータ1621、ポンプアクチュエータ1626)を含み得る。電子制御システム1630は、任意選択で、例えば、クラウドコンピューティング環境内などのリモートコンピューティングシステム内に組み込まれ、連結され、またはそれらによって提供され得る。いくつかの実施形態では、センサ(複数可)1629は、センサ(複数可)がベースユニット1620のハウジング1623に対して可動であることを可能にするために、デバイスに取り付けられ得る。そのような実施形態の例は、
図32~34を参照して以下に説明される。センサ1629は、例えば、1つまたは複数の画像化デバイス、顕微鏡、カラーモニタ、または本明細書に記載される任意の他のタイプのセンサを含むことができる。センサ(複数可)は、細胞培養容器(例えば、1647、1648)内の内容物に関する情報を取得したことを判定するために使用され得る画像または他のタイプの出力を取得するために使用でき、この出力には、例えば、細胞培養処置の間の容器内部の細胞の量(例えば、浮遊細胞の場合)を判定するための内容物の密度、または例えば接着性細胞の場合のコンフルエンスの百分率(すなわち、細胞による容器の面積の被覆率)が挙げられる。いくつかの実施形態では、センサ(複数可)1629を使用して、細胞計数チップ1617を介して、細胞培養容器の内容物のサンプル部分の画像及び/または他のタイプの出力を取り込むことができる。例えば、細胞培養容器の中の流体混合物のサンプルを細胞計数チップ1617に抽出することができ、センサ1629を細胞計数チップ1617との位置合わせの位置に移動させ、細胞計数チップ1617上のサンプル流体混合物に関連する情報を画像化またはその他の方法で収集するために使用することができる。いくつかの実施形態では、センサ(複数可)1629は、電子制御システム1630に動作可能に連結されるか、または電子制御システム1630内に組み込まれ得る。
【0101】
上記のように、いくつかの実施形態では、例えば、画像化デバイスと組み合わせて使用することができるライトまたは光源1682(
図16B及び16Cを参照)も提供することができる。いくつかの実施形態では、ライトは、ベースユニット1620のハウジングに対して可動であり得る。例えば、光源は、可動な多軸ガントリーのシステムのトレイアセンブリ1601の上方に取り付けることができ、これにより、ベースユニット内の顕微鏡と同じ位置に移動するように制御することができる。いくつかの実施形態では、光源は、画像化装置と光源が一緒に移動され得るように、画像化装置と同じガントリーに動作可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、システム1600は、細胞培養容器の内容物を画像化するために、1つまたは複数のカメラまたはLEDと光センサの対を含み得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、センサ(複数可)1629は、バルブアクチュエータの回転位置に関連するバルブ位置信号を生成するように構成されたバルブ位置センサを含むことができる。このようにして、バルブ位置センサは、選択可能なポートのどれがマスターポート(例えば、流体ポンプ1613)に流体連結されているかを検出することができる。いくつかの実施形態では、センサ(複数可)1629は、ポンプの移動に関連するポンプ位置信号を生成するように構成されたポンプ位置センサを含むことができる。このようにして、ポンプ位置センサは、ポンプの移動及び/またはポンプによって移動される流体の体積を示すことができる。本明細書に記載されるように、電子制御システム1630は、ポンプ位置信号に基づいて、細胞培養容器の1つの中の(またはそれに加えられる)流体の推定量を判定することができる。
【0103】
図17は、細胞培養システムの動作を制御するために使用することができる電子制御システム1630の概略図である。電子制御システム1630の構成要素及びアーキテクチャが例として提供され、いくつかの実施形態では、電子制御システム1630(または本明細書に記載の電子制御システムのいずれか)は、
図17に示されるものとは異なる構成要素を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、ベースユニット及び/または細胞培養アセンブリは、
図17に記載されるような電子制御システムを含む必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、ベースユニット1620(または本明細書に記載のベースユニットのいずれか)は、本明細書に記載のコンピュータシステム1500を含むことができる。他の実施形態では、ベースユニット1620は、電子制御システムを含む必要はない。
【0104】
図17に示すように、電子制御システム1630は、1つまたは複数のプロセッサ1631、1つまたは複数のメモリ構成要素1632、ラジオ1633、及び様々なモジュール、例えば作動モジュール1634、攪拌モジュール1635、流体流モジュール1636、バルブモジュール1637、ポンプモジュール1638、測定モジュール1641(細胞センサモジュールとも呼ばれる)、及び/またはネットワークモジュール1640を含む。
図17は、上記のように、ベースユニット1620の中にある電子制御システム1630を示し、電子制御システム1630またはその一部は、ベースユニット1620の外側(例えば、クラウドコンピューティング環境内)に設けることができる。電子制御システム1630は、例えば、ポンプアクチュエータ1626及びバルブアクチュエータ1621の作動を通じて、様々な容器に出入りする流体の流れを自動的に制御することができる。電子制御システム1630はまた、攪拌機1628、センサ(複数可)1629、及びバルブアクチュエータ1621の作動を自動的に制御することができる。流体ポンプ1613、バルブアクチュエータ1621の動作及び作動、マルチポートバルブ1607上のポートの選択などは、前の実施形態について上で説明したように、これらの構成要素の動作と同じまたは類似することができる。前の実施形態について上で説明したように、動作中、流体ポンプ、マルチポートバルブのバルブ、容器、及び細胞培養器の組み合わせを使用して、細胞培養器及び容器との間で液体を移送することができる。
【0105】
細胞培養の処置の準備中に、トレイアセンブリ1601を無菌の環境(例えば、層流フード)に置くことができ、オーバーラップ1615を取り外すことができる。無菌の環境(例えば、流フード)にある間、細胞培養器または容器1617、1618を準備し(例えば、細胞及び試薬を容器に加える)、蓋1608に固定し、トレイ1602上のカプラー1603内部に配置することができる。細胞培養容器1617、1618は、例えば、前の実施形態について上記したフラスコまたは皿などの任意の既知のタイプの細胞培養器であり得る。廃棄物容器1606及び試薬用容器1605は、ホルダ1604内で直立位置に配置することができる。他の実施形態では、廃棄物容器1606及び/または試薬用容器1605は、細胞培養システム1600の他の場所の内部で、輸送するための任意の適切な場所に配置することができる。
【0106】
次に、トレイアセンブリ1601は、
図16Cに示されるように、ベースユニット1620に連結することができる。この実施形態では、マルチポートバルブ1607は、トレイアセンブリ1601から切り離され、バルブアクチュエータ1621に嵌合するよう連結されながらも、様々な蓋1608、1609、1610に流体連結されたままである。流体ポンプ1613は、ある長さの管Eを介してマルチポートバルブ1607に流体連結することができる。上記のように、流体ポンプ1613として使用されるシリンジの場合、シリンジは、無菌の環境の内部でマルチポートバルブ1607に連結することができ、トレイアセンブリ1601がベースユニット1620に連結される前に、トレイ1602に連結され得る。次に、シリンジ1613は、ベースユニット1620のホルダ(図示せず)に移動され、管を介してマルチポートバルブ1607に流体連結されたままで、ポンプアクチュエータ1626に連結され得る。廃棄物容器1606及び試薬用容器1605は、トレイ1602から取り外され、例えば、トレイ1602に沿ったまたは近くの場所、及び/またはインキュベータまたは冷蔵庫の中の場所に配置され得る。使用するために細胞培養システム1600を準備する方法のより詳細な説明は、
図21~30を参照して以下に記載される。トレイアセンブリ1601は、無菌の環境の内部または無菌の環境の外部で、ベースユニット1620に連結することができる。細胞培養システム(ベースユニット1620に連結されたトレイアセンブリ1601を備えた)は、細胞培養の処置の準備態勢が整ったインキュベータに配置することができる。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ1601は、インキュベータ内のベースユニット1620に連結することができる。
【0107】
本明細書に記載のベースユニット及び/またはトレイアセンブリのいずれかを使用して、本明細書に記載のコンピュータ実装方法のいずれかを実行することができる。別の言い方をすれば、本明細書に記載のベースユニット及び/またはトレイアセンブリのいずれかは、細胞を培養する自動化(または半自動化)された方法を促進するための電子制御システムを含む(または電子制御システムとインターフェースする)ことができる。
図17に示されるように、電子コンピュータシステム1630は、ネットワーク1646(例えば、インターネット)を介して、例えば、サービスプラットフォーム1642及び細胞培養アプリケーション(すなわち、アプリ)1644を介して、他のリモートコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス1643)と通信することができる。電子制御システム1630は、ベースユニット1620のUSBポートに接続されたケーブルなどの直接的な接続を介して、リモートコンピューティングデバイスに加えて、またはその代わりに、リモートコンピューティングデバイスと通信することができる。細胞培養システム1600に関連して記載された構成要素、モジュール、及び/または機能は、本明細書に記載された細胞培養システムのいずれかに含まれ得る。例えば、示されていないが、細胞培養システム200、300、及び400は、電子制御システム1630と同様または同じ電子制御システムを含むことができる。さらに、細胞培養システム1600は、1つの接続されたコンピューティングデバイス1643のみを含むものとして示され、説明されるが、他の実施形態では、細胞培養システム1600(及び本明細書に記載の細胞培養システムのいずれか)は、任意の数の接続されたリモートコンピューティングデバイスのいずれかを含み得る。
【0108】
サービスプラットフォーム1642は、サーバーまたはパーソナルコンピュータなどの任意の適切なコンピュータ実装インターフェース及び/またはコンピューティングエンティティであり得るが、それはネットワーク1646を介して、リモートコンピューティングデバイス1643及び/または細胞培養システム1600の他のいずれかの部分(例えば、コールセンターインターフェース、他のリモートコンピューティングデバイスなど、図示せず)と通信するように構成されている。より具体的には、サービスプラットフォーム1642は、細胞培養システム1600内のデバイス(例えば、ベースユニットまたはリモートコンピューティングデバイス)から情報を受信し、情報を操作し、細胞培養システム1600の内部で他のいずれのデバイスに情報を生成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ1601に関連する細胞の密度または細胞のコンフルエンスの情報は、ベースユニット1620からリモートコンピューティングデバイス1643に送信され得る。リモートコンピューティングデバイス1643は、細胞培養アプリケーション1644を介して使用者に通知を生成することができ、そのような通知に応答して使用者からの入力を受信することができる。次に、リモートコンピューティングデバイス1643は、入力(または命令)をサービスプラットフォーム1642に送信することができる。使用者の入力に基づいて、サービスプラットフォーム1642は、命令をベースユニット1620に送信することができ、それは、次に、命令を実行して、所望のタスク(例えば、細胞の継代)を実行することができる。このようにして、サービスプラットフォーム1642は、特定の命令、通知、及び/または機能を制御及び/または管理することができる。同様に述べられるように、このようにして、サービスプラットフォーム1642は、細胞培養システム1600の「バックエンド」として機能することができる。
【0109】
ネットワーク1646は、ピコネット、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想ネットワーク、電気通信システム、任意の他の適切な通信システム、及び/またはそのようなネットワークの組み合わせであり得る。ネットワーク1646は、有線及び/または無線ネットワークとして実装することができる。ベースユニット1620及びリモートコンピューティングデバイス1643は、任意の適切なメカニズムを介して、及び/または任意のプロトコルによって、ネットワークに連結(または接続)することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ベースユニット1620は、LTEダイレクトプロトコルまたは任意の他の適切なプロトコル(例えば、ブロードバンド技術のIEEE802.11acの規格に基づく5G移動無線規格)を介して、ネットワーク1646、リモートコンピューティングデバイス1643、及び/またはサービスプラットフォーム1642と直接通信することができる。
【0110】
図17は、ベースユニット1620を特定しているが、電子制御システム1630は、本明細書に記載のベースユニットのいずれかに組み込む(または一緒に使用する)ことができる。上記のように、ベースユニット1620は、電子制御システム1630を含むか、またはそれに取り付けられている。例えば、いくつかの実施形態では、電子制御システム1630は、ハウジング1623及び/またはベースユニット1620の他の任意の部分に連結され、及び/またはその内部にあり得る。同様に述べられるように、電子制御システム1630は、ベースユニット1620内に組み込むことができる。しかし、他の実施形態では、電子制御システム1630は、ベースユニット1620から分離され得るが、動作可能に連結され得る(例えば、無線で接続されるか、または有線接続を介して接続される)。電子制御システム1630は、1つまたは複数のプロセッサ1631、1つまたは複数のメモリ構成要素1632、ラジオ1633、及び及び様々なモジュール、例えば作動モジュール1634、攪拌モジュール1635、流体流モジュール1636、バルブモジュール1637、ポンプモジュール1638、測定モジュール1641、及び/またはネットワークモジュール1640を含むものとして示され、他の実施形態では、電子回路システムは、これらのモジュールのすべて(またはいずれか)を含む必要はなく、本明細書に記載の他のいずれかのモジュールを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、電子制御システムは、流れモジュールのみを含み得、それに関連する細胞継代及び流れの方法を実行するように構成され、例えば、攪拌モジュールを含む必要はない。
【0111】
プロセッサ1631、及び本明細書に記載のプロセッサのいずれかは、本明細書に記載の方法を実行するための任意の適切なプロセッサであり得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ1631は、細胞培養システム1600に関連するアプリケーションモジュール、プロセス、及び/または機能を実行及び/または処理するように構成することができる。例えば、プロセッサ1631は、作動モジュール1634、攪拌モジュール1635及び/またはネットワークモジュール1640及び/または本明細書に記載の他のモジュールのいずれかを実行及び/または処理する、及びそれに関連する方法を実行するように構成することができる。プロセッサ1631は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などであり得る。プロセッサ1631は、メモリ、例えば、メモリ1632からデータを検索する、及び/またはメモリにデータを書き込むように構成することができる。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、プロセッサ1631は、ラジオ1633と協働して機能し、及び/またはコードからの命令を実行して、電子制御システム1630を、ネットワーク1646などのネットワークを介して、コンピューティングデバイス1643(例えば、無線通信を介して)、及び/またはその他いずれかのコンピューティングエンティティに通信可能に連結する信号を提供することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ1631は、ブルートゥース(登録商標)低エネルギー(BLE)プロセッサである。
【0112】
メモリ1632は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、データベース、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク、フロッピーディスク、クラウドストレイジなどであり得る。いくつかの実施形態では、メモリ1632は、プロセッサ1631に、そのような細胞培養システム1600及び/またはベースユニット1620に関連するモジュール、プロセス、及び/または機能を実行させる命令を記憶する。例えば、メモリ1632は、プロセッサ1631に本明細書で説明されるアプリケーションモジュールのいずれかを実行させ、それに関連する方法を行わせるための命令を記憶することができる。
【0113】
上記のように、1つまたは複数のセンサ(複数可)1629は、分離することができ、及び/または電子制御システム1630内に含めることができ、例えば、画像化デバイス、光学センサ、加速度計、温度センサ、接触センサ、位置センサ及び/またはその他いずれかの適切な入力デバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、センサ(複数可)1629は、マルチポートバルブ1607のポートの位置(または選択)、流体ポンプ1627の位置、温度、攪拌などを監視及び/または測定するように動作可能なセンサを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、センサ1629は、システムのマルチポートバルブの位置を検出するように動作可能な位置センサを含むことができる。さらに別の例として、センサ1629は、トレイ1602に連結された細胞培養容器の中の細胞の密度(または量)を検出するように動作可能な光学センサを含むことができる。そのような実施形態では、光学センサは、光の減衰を検出することができる(例えば、光路内の細胞の密度を検出するために)。あるいは、光学センサは、画像を(例えば、フォトセル、顕微鏡、電荷連結素子などを介して)取得して、細胞培養容器の中の細胞の量を判定することができる。さらに別の例として、センサ1629は、デバイスが攪拌されているときにトレイアセンブリ1601の特徴的な動きまたは振動の特徴を検出するように動作可能な加速度計を含むことができる。
【0114】
ラジオ1633(受信機、送信機及び/またはトランシーバとも呼ばれる)は、無線信号に信号を送信及び/または受信するように動作可能であり得、例えば、ブルートゥース(登録商標)、ZigBee、Wi-Fiなどがあり、1631はブルートゥース(登録商標)プロセッサで、ラジオ1633は、プロセッサ1631と一体にすることができる。他の実施形態では、ラジオ1633は、プロセッサ1631とは異なるプロセッサを含むことができる。ラジオ1633は、電子制御システム1630を、ネットワーク1646を介してコンピューティングデバイス1643及び/または任意の他のコンピューティングエンティティに通信可能に連結するように動作可能であり得る。ラジオ1633は、セラミックチップアンテナ、スタンプアンテナ、焼結アンテナ、PCB導電性トレイスアンテナ、及び/または他の任意の適切なアンテナを含むか、またはそれらに連結することができる。
【0115】
測定モジュール1641(いくつかの実施形態では細胞センサモジュールとも呼ばれる)は、ハードウェア及び/またはソフトウェアモジュール(メモリ1632に格納され、及び/またはプロセッサ1631で実行される)であり得る。本明細書でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、測定モジュール1641は、電子制御システム1630のセンサ1629から複数の異なる信号を受信し、電子制御システム1630内の他の様々なモジュールに情報を生成するように構成される。
【0116】
流れモジュール1636は、ハードウェア及び/またはソフトウェアモジュール(メモリ1632に格納され、及び/またはプロセッサ1631で実行される)であり得る。本明細書でより詳細に説明するように、流れモジュール1636は、ポンプまたはベースユニット1620のマルチポートバルブの状態の変化に関連する表示(例えば、センサ(複数可)1629から)及び/または移行の情報を受信し、表示または移行の情報に基づいて、マルチポートバルブ1607のどのバルブを、流体をシステム1600の特定の容器に出入りさせるために開閉するかを判定するように構成することができる。
【0117】
ネットワークモジュール1640は、ハードウェア及び/またはソフトウェアモジュール(メモリ1632に格納され、及び/またはプロセッサ1631で実行される)であり得る。ネットワークモジュール1640は、通信プロセスを容易にするために、ベースユニット1620及びリモートコンピューティングデバイス1643に関連する情報を交換するように構成される。例えば、ベースユニット1620のネットワークモジュール1640は、リモートコンピューティングデバイス1643及びベースユニット1620に、短期及び/または長期のセキュリティキーを交換させて、ペアリング及びボンディングプロセスを完了することができる。
【0118】
通知モジュール1639は、ハードウェア及び/またはソフトウェアモジュール(メモリ1632に格納され、及び/またはプロセッサ1631で実行される)であり得る。通知モジュール1639は、本明細書で説明される方法及び/またはアプリケーションモジュールのいずれかに関連する通知を生成するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、通知モジュール1639は、ラジオ1633を介して送信され、リモートコンピューティングデバイス1643の通知モジュールによって受信される通知を生成することができる。このようにして、細胞培養アプリケーションで実行される通知モジュール1639は、事象を使用者に通知するための出力(例えば、無線通信信号、GUI要素、可聴出力、視覚出力など)を生成することができる。
【0119】
攪拌モジュール1635、バルブモジュール1637、及びポンプモジュール1638は、それぞれ、ハードウェア及び/またはソフトウェアモジュール(メモリ1632に格納され、及び/またはプロセッサ1631で実行される)であり得る。これらのモジュールは、例えば、ベースユニット1620のポンプまたはマルチポートバルブの状態の変化に関連する表示(例えば、センサ(複数可)1629から)及び/または移行情報を受信し、表示または移行情報に基づいて、特定のデバイス(ポンプ、バルブ、攪拌機など)でどのようなアクションを実行するかを判定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、バルブモジュール1637及び/またはポンプモジュール1638は、それぞれ、マルチポートバルブ1607及びポンプ1627の位置に関連する情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、モジュール1637及び1638は、エンコーダを含む(またはエンコーダから情報を受け入れる)ことができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータモジュール1634は、攪拌モジュール1635、バルブモジュール1637、及び/またはポンプモジュール1638の機能のいくつかまたはすべてを実行することができる。
【0120】
コンピューティングデバイス1643(または他の「リモート」コンピューティングデバイス、例えば、モバイルコンピューティングエンティティ、例えば、スマート携帯電話(例えば、iPhone(登録商標)、Android(登録商標)デバイス、Windows(登録商標)の電話、Blackberry(登録商標)の電話など)、タブレットコンピュータ(例えば、Apple iPad(登録商標)、Samsung Nexus(登録商標)デバイス、Microsoft Surface(登録商標)デバイスなど)、またはコンピュータ(例えば、ラップトップ、デスクトップ、スマートTVなど)、及び/またはその他いずれかの適切なコンピューティングエンティティが挙げられる。コンピューティングデバイス1643は、プロセッサ、メモリ、ユーザインターフェース1645、及び無線を含むことができる。
【0121】
リモートコンピューティングデバイス1643のユーザインターフェース1645は、例えば、視覚要素を使用者に表示するモニタまたは画面であり得る。ユーザインターフェース1645は、一連のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)要素(例えば、ウィンドウ、アイコン、入力プロンプト、グラフィカルボタン、データ表示、通知など)が表示できる(スマート携帯電話の)タッチスクリーンであり得る。いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース要素(例えば、
図18~20を参照して説明されたGUI要素1645A、1645B、及び1645Cを参照)は、細胞培養アプリケーション1644によって生成される。さらに、ユーザインターフェースはまた、例えば、タッチスクリーンを介した入力、マイクロフォンを介した入力などの、使用者からの入力を受信することができる。
【0122】
細胞培養アプリケーション1644(「アプリケーション」または「細胞培養アプリ」とも呼ばれる)は、電子制御システムと通信するように構成される。いくつかの実施形態では、アプリケーション1644は、ベースユニット1620に配置された電子制御システム1630と直接通信することができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション1644は、コンピューティングクラウド環境を介して電子制御システム1630と通信することができる。アプリケーション1644は、細胞培養システム1600を使用して、細胞培養の処置の様々なステップをセットアップ、実行、及び監視するために使用することができる。例えば、アプリケーション1644を使用して、リモートコンピューティングデバイス1643に一連のプロンプト及び情報を生成させて(例えば、ユーザインターフェースを介して)、本明細書に記載の細胞培養方法を容易にすることができる。具体的には、細胞培養アプリケーション1644は、リモートコンピューティングデバイス1643に、細胞培養の処置のための様々なデータを入力するためのプロンプトを含むことができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)要素を生成させることができる。
図18~20は、リモートコンピューティングデバイスによって生成することができる様々なGUI要素を示すサンプルのスクリーンショットである。
【0123】
図21~30は、細胞培養の処置で使用するための細胞培養システムを準備する方法を示す。
図21~30に示される細胞培養システム1700は、本明細書に記載の他の実施形態(例えば、細胞培養システム1600または細胞培養システム2000)と同じまたは類似の構成要素を含むことができ、したがって、細胞培養システム1700のいくつかの詳細は、この実施形態に関して記載されていない。
【0124】
細胞培養システム1700(本明細書では「システム」とも呼ばれる)は、トレイアセンブリ1701及びベースユニット1720を含む(
図27~30を参照)。例えば、
図21に示されるように、トレイアセンブリ1701は、他の実施形態(例えば、トレイアセンブリ1601またはトレイアセンブリ2001)について上記と同じまたは同様の構成要素が配置されたトレイ1702を含む。例えば、トレイアセンブリ1701は、蓋1710に連結された廃棄物容器1706、蓋1709に連結された試薬用容器1705、及びそれぞれが細胞培養容器に連結されるように構成された3つの蓋1708(
図25~27に示される)を含む。蓋1708、1709及び1710は、前の実施形態について上で説明したように、液体交換ポート(「流体ポート」とも呼ばれる)及びガス交換ポートを含むことができる。トレイアセンブリ1701はまた、マスターポート及び複数の選択可能なポートを備えたマルチポートバルブ1707を含み、それにある長さの管を介して蓋1708、1709、1710を選択的に連結することができる。廃棄物容器1706及び試薬用容器は、ホルダ1704にて水平方向に連結されて示されている。トレイアセンブリ1701はまた、以下に記載されるように細胞培養容器を連結することができるカプラー1703を含む。細胞培養容器が配置される場所の下には、トレイ1702の透明部分(または開口部/切り欠き部分)1758がある。この実施形態では、シリンジホルダ1711が提供され、シリンジポート1712をそれに保持する。シリンジポート1712はまた、管Tを用いてマルチポートバルブ1707に連結されている。
図22は、輸送及び保管中にトレイアセンブリ1701の無菌性を維持するためにオーバーラップ1715内部に包まれたトレイアセンブリ1701を示している。この配置により、トレイアセンブリ1701を中央の施設で組み立て、保護的オーバーラップ1715に配置し、減菌することが可能になる。減菌は、放射線減菌、エチレンオキシド(EtO)による減菌、または電子ビームでの減菌を含む任意の適切な方法によって実施することができる。次に、事前に包装され、減菌されたトレイアセンブリ1701は、細胞培養の処置に必要とされるまで保存することができる。
【0125】
細胞培養の処置の準備における第1のステップは、細胞及び培地(例えば、試薬)を準備し、無菌の環境(例えば、層流フード)の内部で行われるトレイアセンブリ1701を準備することである。細胞及び培地は、細胞培養器または器の内部に配置され、この例では、3つの細胞培養容器(例えば、
図26~27に示される1747、1748、1749)のための位置が存在する。トレイアセンブリ1701は無菌の環境(例えば、フード)に配置され、オーバーラップ1715が取り外される。廃棄物容器1706及び試薬用容器1705は、
図23に示されるように、蓋1709及び1710を直立させた状態で、ホルダ1704内で垂直方向に移動することができる。この例では、流体ポンプ1713はシリンジであり、外側無菌ラップから除去することができ、
図23に示すように、ポート1712は、次に、流体ポンプ1713に連結することができる。次に、流体ポンプ1713は、
図24に示されるように、ホルダ1711内に配置される。いくつかの実施形態では、流体ポンプ1713(例えば、シリンジ)は、事前にパッケージ化されたトレイアセンブリ1701内に含まれず、むしろ別個の構成要素である。他の実施形態では、流体ポンプ1713(例えば、シリンジ)は、事前にパッケージ化されたトレイアセンブリ1701の中に含まれる。
【0126】
細胞培養容器に細胞及び初期の量の細胞培養培地を装填した後、蓋1708を、細胞及び培地をその中に入れて細胞培養容器1747、1748、1749に固定する。蓋1708は、最初に、それらが連結されている輸送サポート1795(
図24を参照)から取り外される。輸送サポート1795は、輸送、保管、及び初期セットアップ中に蓋1708を固定するために、蓋1708の内部に受け入れられるようなサイズ及び構成になっている。この配置により、初期セットアップ中の望ましくない動きの可能性や、蓋の内部が汚染される可能性が低くなる。次に、蓋1708は、マルチポートバルブ1707に流体連結されたままで、それぞれの容器に連結される)。器1747、1748、1749は、容器・器が
図25に示されるように水平の状態で配置されるように、カプラー1703に連結されている。この状態では、細胞培養容器1747、1748、1749の底面は、トレイの透明部分1758と位置合わせされている。
【0127】
図26に示されるように、トレイアセンブリ1701が完全に組み立てられた状態で、トレイアセンブリ1701は、
図27に示されるように、ベースユニット1720上に配置することができる。これは、構成要素(例えば、容器、蓋、バルブ、シリンジ)が閉じたシステムで流体連結されているため、無菌の環境の外で行うことができる。トレイアセンブリ1701は、
図27に示されるように、トレイ1702上の矢印(ラベルされ、丸で囲まれた)がベースユニット1720の方を向くように向けられるべきである。
図27にも示されるように、ベースユニット1720は、ポンプアクチュエータ1726、バルブコネクタ1721、及びバルブアクチュエータ1722を含む。この実施形態では、マルチポートバルブ1707は、トレイ1702から取り外し可能であり、ベースユニット1720に連結することができる。より具体的には、マルチポートバルブ1707の取り付け部分1716は、
図28と29に示すように、ファスナー1757を取り外し、取り付け部分1716を、同じまたは異なるファスナー1757でベースユニット1720の嵌合バルブコネクタ1722に取り付けることによって、トレイ1702から取り外すことができる。流体ポンプ1713(例えば、シリンジ)は、トレイアセンブリ1701から切り離され、
図29に示されるように、ベースユニット1720のホルダ1719に連結される。この動作は、流体ポンプ1713がマルチポートバルブ1707に流体連結されたままであり、それによって閉じたシステムを維持しながら実行される。ホルダ1719は、システム1600について上で説明したように、ベースユニット1720の流体ポンプ部分(例えば、1627)の一部であり得る。
図30に示すように、廃棄物容器1706及び試薬用容器1705は、トレイ1702から取り外して、ベースユニット1720の近く(または他のいずれかの適切な場所)に配置することができる。
【0128】
次に、ベースユニット1720及びトレイアセンブリ1701をインキュベーション環境(例えば、
図58に示されるようなインキュベータ2275)に移動して、トレイアセンブリ1701がインキュベータの外側のベースユニット1720に連結される場合に、温度が制御されている環境で、細胞の増殖を促進できる。いくつかの実施形態では、ベースユニット1720は、トレイアセンブリ1701がそれに連結されるとき、インキュベータ内に配置される。
【0129】
図31は、細胞培養の処置で使用するための細胞培養システムを準備する方法1850を示すフローチャートである。方法1850は、本明細書に記載の細胞培養システムのいずれか、例えば、
図23~30を参照して上に記載された細胞培養システム1700を用いて実施することができる。1851で、細胞培養トレイアセンブリが外側の保護的ラップから取り外される。トレイアセンブリは、本明細書に記載のトレイアセンブリのいずれかであり得、トレイ、第1の蓋、第2の蓋、及びマルチポートバルブを含む。第1の蓋は、トレイに連結され、第1の容器に取り外し可能に連結されるように構成され、第2の蓋は、トレイに連結され、第2の容器に取り外し可能に連結されるように構成される。マルチポートバルブはトレイに連結されており、マスターポートと複数の選択可能なポートが含まれている。第1の選択可能なポートは、第1の蓋の第1の液体交換ポートに無菌で連結され、第2の選択可能なポートは、第2の蓋の第2の液体交換ポートに無菌で連結される。本明細書で説明するように、蓋を適切なポートに事前に連結することにより、初期セットアップ中に実行される操作が少なくなり、それによって汚染及びエラーの可能性が低減される。1852で、少なくとも1つの細胞サンプルが、第1の容器の開口部を通して第1の容器に加えられ、1853で、ある体積の試薬(例えば、細胞培養培地)が、第1の容器の開口部を通して第1の容器に加えられる。1854で、第1の蓋が第1の容器に連結されて開口部が閉じられる。いくつかの実施形態では、第2の蓋は、任意選択で第2の容器に連結することができる。1855で、トレイアセンブリはベースユニットに連結される。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリがベースユニットに連結されると、ベースユニットのバルブアクチュエータが同時にトレイアセンブリのマルチポートバルブと係合する。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリがベースユニットに連結された後、バルブアクチュエータがマルチポートバルブと係合する。1856で、流体ポンプがベースユニットのポンプアクチュエータに連結される。例えば、流体ポンプは、ベースユニットに連結することができるシリンジまたは蠕動ポンプであり得る。細胞培養アセンブリの準備後、本明細書に記載の細胞培養の任意の方法を実施することができる。
【0130】
上記のように、いくつかの実施形態では、自動細胞培養システムは、自動細胞培養システムの任意の細胞培養器の内容物を画像化するためにベースユニットのハウジングに対して移動され得る顕微鏡を含む画像化デバイスを含むことができる。いくつかの実施形態において、顕微鏡は、顕微鏡を細胞培養器または細胞計数チップと位置合わせするように動かすことができる機械的システムに取り付けられ得る。機械システムは、2次元または3次元のガントリーメカニズムまたはヒンジ付きロボットアームメカニズムなど、画像化デバイスを移動するための任意の適切なアセンブリにすることができる。
図32~34は、そのような光学画像化システム(顕微鏡画像化デバイスとも呼ばれる)の例示的な実施形態を示す。顕微鏡画像化デバイス1960は、本明細書に記載の細胞培養システムの任意のベースユニットのハウジング内に取り付けることができる。例えば、顕微鏡画像化デバイス1960は、ベースユニット1720、ベースユニット2020、または本明細書に記載の他の任意のベースユニット内に含まれ得る。顕微鏡画像化デバイス1960は、ベースユニットの上部の窓または透明部分を通して、及びトレイ(例えば、本明細書に記載の透明部分1758を参照のこと)と任意の振とう台(例えば、攪拌機と接触するトレイのサポート)の両方の切り欠き(または透明部分)を通して見ることができる画像化デバイス1962を含む。したがって、顕微鏡画像化デバイス1960を使用して、本明細書に記載されるように、細胞培養容器の内容物及び/または細胞計数チップ内に関連する情報を収集することができる。例えば、いくつかの実施形態では、顕微鏡画像化デバイス1960は、細胞培養の処置中に細胞培養容器及び/または細胞計数チップの画像を取得することができ、画像を使用して、例えば、容器内部の細胞の量を判定するための内容物の密度(例えば、浮遊細胞の場合)、またはコンフルエンスの百分率(すなわち、細胞による容器の面積の被覆率)を、例えば接着性細胞の場合について、判定することができる。
【0131】
顕微鏡画像化デバイス1960は、ベースユニット(
図32~34には示されていない)のハウジングに対して複数の方向への画像化デバイス1962の移動をもたらすガントリーシステム1961を含む。ガントリー1961には、レール1963、1964、及びクロスレール1965のセットが含まれている。クロスレール1965は、レール1963及び1964に対して矢印Bの方向に取り付けられ、レール1963及び1964に対して前後に移動することができる。より具体的には、第1のモータ1966は、クロスレール1965が動作可能に連結されるベルト1968を駆動することができる。画像化デバイス1962は、クロスレール1965に可動に取り付けられ、第2のモータ1967によって駆動されるベルト1969に動作可能に連結されて、画像化デバイス1962を矢印Bの方向に移動させる。画像化デバイス1962は、画像化デバイス1960に焦点を合わせるためのモータ1973を介して矢印Cの方向にさらに移動できる。したがって、動作中、画像化デバイス1962は、レール1963及び1964に対するレール1965の移動を介して矢印Aの方向に、レール1966に対するその移動を介して矢印Bの方向に、また画像化デバイス1960のベースに対する矢印Cの方向に移動して、細胞培養容器及び/または細胞計数チップに対して所望の位置に配置されることができる。
【0132】
ライト(複数可)または光源(図示せず)は、システムのトレイアセンブリの上方に別の多軸ガントリーに取り付けることができる。これにより、ベースユニット内の顕微鏡と同じ位置に移動するように制御できる。いくつかの実施形態では、光源は、顕微鏡1962と光源が一緒に移動できるように、顕微鏡と同じガントリー(例えば、ガントリー1961)に動作可能に連結することができる。いくつかの実施形態では、顕微鏡画像化デバイス1960は、電子制御システムのいずれかによって、及び本明細書に記載の方法のいずれかに従って、制御することができる。例えば、いくつかの実施形態では、顕微鏡画像化デバイス1960(及び任意の関連する光源)は、細胞培養容器を自動的に画像化するように(例えば、容器の中の細胞に関連するセンサ出力を生成するように)制御され得る。電子制御システム(例えば、電子制御システム1730)または本明細書に記載の他の任意の電子制御システムの細胞センサモジュールは、センサ出力を受信し、容器の中の細胞の量(例えば、細胞密度またはコンフルエンスの百分率)に関連する信号を作り出すことができる。次に、この情報に基づいて、電子制御システムは、1つまたは複数の信号(例えば、バルブ制御信号、ポンプ制御信号、攪拌機信号など)を生成して、細胞培養容器内からシステム内部の別の容器への細胞の移動を引き起こすことができる。同様に述べられるように、いくつかの実施形態では、顕微鏡画像化デバイス1960は、自動化された細胞継代または細胞採取操作のための入力を提供することができる。
【0133】
図35~44は、細胞培養の処置で使用するための、細胞培養システム2000の別の実施形態を示している。細胞培養システム2000は、本明細書に記載の他の実施形態(細胞培養システム1700を含む)と同じまたは類似の構成要素を含むことができ、本明細書に記載の前の実施形態と同じまたは類似の機能を有することができ、したがって、細胞培養システム2000の一部の細部はこの実施形態に関して記載されていない。
【0134】
細胞培養システム2000(本明細書では「システム」とも呼ばれる)は、トレイアセンブリ2001(例えば、
図35~37を参照)及びベースユニット2020(例えば、
図38~44を参照)を含む。例えば、
図35に示されるように、トレイアセンブリ2001は、先行の実施形態(例えば、トレイアセンブリ1601または1701)について上記と同じまたは同様の構成要素が配置されたハンドル2014付きトレイ2002を含む。例えば、トレイアセンブリ2001は、蓋2010に連結された廃棄物容器2006、蓋2009に連結された試薬用容器2005、及び細胞培養容器に連結されるように構成された3つの蓋2008(
図35~44には示されていない)を含む。蓋2008、2009及び2010は、前の実施形態について上で説明したように、液体交換ポート(「流体ポート」とも呼ばれる)及びガス交換ポートを含むことができる。トレイアセンブリ2001はまた、マスターポート及び複数の選択可能なポートを備えたマルチポートバルブ2007を含み、それにある長さの管(図示せず)を介して蓋2008、2009、2010は、選択的に連結することができる。例えば、本明細書に記載されるように、蓋2008、2009、2010は、事前に組み立てられ、オーバーラップ内でマルチポートバルブ2007に連結することができる。
図35~44は、説明のために、管と、様々な構成要素とマルチポートバルブ2007との間の接続とを示していない。マルチポートバルブ2007は、パズルのような方法でトレイ2002の取り付けポケット2018に嵌合して連結し、その中に適合する取り付け部分2016を介してトレイ2002に連結される。
【0135】
廃棄物容器2006及び試薬用容器2005は、ホルダ2004にて水平方向に連結されて示されている。トレイアセンブリ2001はまた、本明細書に記載されるように細胞培養容器を連結することができるカプラー2003、2003’を含む。具体的には、カプラー2003は、細胞培養容器(図示せず)の第1の端部の周りに延びるブラケットであり、カプラー2003’は、細胞培養容器の第2の端部のフランジ部分を受け入れる一対のタブである。カプラー2003’はまた、保管、出荷、及び初期のセットアップ中に蓋2008が連結される一時的な出荷サポート2095を保持するように機能する。カプラー2003、2003’は、細胞培養容器をトレイ2002の所定の固定した位置に保持する。細胞培養容器が配置される場所の下には、トレイ2002の透明部分2058(例えば、
図36を参照)がある。この実施形態では、前の実施形態について上記したように、ポンプポート(図示せず)を保持することができるポンプホルダ2011が設けられる。上記のように、トレイアセンブリ2001は、輸送中及び保管中にトレイアセンブリ2001の無菌性を維持するために、事前に組み立てられ、オーバーラップ(図示せず)の中に配置される。
図37は、オーバーラップが取り外されたとき(すなわち、無菌の環境内)、廃棄物容器2006及び試薬用容器2005が取り外され、流体ポンプ2013がホルダ2011に連結されているときのトレイアセンブリ2001を示す。
図37に示されるように、この実施形態では、流体ポンプ2013はシリンジである。
【0136】
前の実施形態について上で説明したように、事前に組み立てられたトレイアセンブリ2001は、ベースユニット2020に取り外し可能に連結することができる。
図38~44は、ベースユニット2020を示している。ベースユニット2020は、ハウジング2023、ハウジング2023の凹部またはポケット2025内に部分的に配置されたポンプアクチュエータ2026を含む。ポンプアクチュエータ2026(例えば、
図38~40を参照)は、流体ポンプ2013を所定の位置にロックし、ポンプアクチュエータ2026に動作可能に接続することができるポンプホルダ2019を含む。ポンプホルダ2019は、シリンジフランジと、シリンジフランジを所定の位置に固定するための可動部材を受け入れるスロット部材として示されているが、他の実施形態では、ポンプホルダ2019は、ポンプ(任意の適切なポンプであってよい)をポンプアクチュエータに固定するための任意の適切な構造または機構であり得る。ベースユニット2020はまた、マルチポートバルブ2007に嵌合して連結するように構成されたバルブコネクタ2022と、それに連結されたときにマルチポートポンプ2007に係合するように構成されたバルブアクチュエータ2021とを含む。例えば、上記のように、トレイアセンブリ2001がベースユニット2020に連結されるとき、マルチポートバルブ2007は、トレイ2002から切り離され、ベースユニット2020のバルブコネクタ2022に連結され得、
図40及び41に示されるように、マルチポートバルブ2007がバルブアクチュエータ2021に動作可能に係合するようにする。
図41は、バルブコネクタ2022に連結される前のマルチポートバルブ2007の構成要素を示す部分的な分解図である。
【0137】
この実施形態では、支持プレート2059は、ハウジング2023に連結され、トレイアセンブリ2001を配置することができる受け入れ部分2024を設ける。この実施形態では、支持プレート2059は、ハウジング2023の上面よりも高くなっている。
図42は、支持プレート2059の上昇を示す側面図である。支持プレート2059は、ハウジング2023の内部に配置された攪拌機2028(
図44を参照)に連結されている。上記のように、攪拌機2028は、細胞培養の処置中に使用して、トレイアセンブリ2001及びそれに連結された細胞培養容器の内容物を攪拌することができる。
【0138】
図40は、シリンジ2019がシリンジホルダ2019に連結され、マルチポートバルブ2007がバルブコネクタ2022に連結されたベースユニット2020を示している。
図40はまた、支持プレート2059の上面に配置された任意選択のマット2070を示している。マット2070は、例えば、支持プレート2059の表面を保護するように、及び/またはトレイアセンブリ2001が攪拌機2028によって攪拌されるときに減衰をもたらすように構成されたゴムマットであり得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、ベースユニットの支持プレート(または受け入れ部分)は、それに取り付けられた容器の支持プレート間のいずれかの相対的な運動または接触を減衰させる減衰部材を含むことができる。
【0139】
図43及び44は、ハウジング2023の内部を示すベースユニット2020の対向する側面図である。
図43は、バルブアクチュエータ2022を示し、
図44は、ポケット2025の中の攪拌機2028及びポンプアクチュエータ2026を示している。電子制御システム2030は、
図44にも示されている。電子制御システム2030は、上記の電子制御システム1630と同じまたは同様に構成され、同じまたは同様に機能することができる。電子制御システム2030は、任意選択で、他のコンピューティングデバイスと通信することができ、及び/またはクラウドコンピューティング環境内で通信することができ、
図17に関して上記した構成要素及び機能のいくつかまたはすべてを含むことができる。図示されていないが、システム2000はまた、本明細書に記載の顕微鏡画像化デバイス1960などの1つまたは複数のセンサ及び/またはライト(例えば、顕微鏡、画像化デバイスなど)を含むことができる。
【0140】
図45~51は、細胞培養の処置で使用することができる細胞培養システムの別の実施形態を示す。細胞培養システム2100は、本明細書に記載の他の実施形態と同じまたは類似の構成要素のいくつかを含むことができ、本明細書に記載の前の実施形態と同じまたは類似の機能を有することができ、したがって、細胞培養システム2100のいくつかの詳細は、この実施形態に関して記載されていない。この実施形態では、細胞培養システム2100は、攪拌機を含まず、2つのマルチポートバルブ/バルブアクチュエータ、及び2つの流体ポンプ/流体アクチュエータを含む。
【0141】
細胞培養システム2100(本明細書では「システム」とも呼ばれる)は、トレイアセンブリ2101及びベースユニット2120を含む。例えば、
図45に示されるように、トレイアセンブリ2101は、2つのマルチポートバルブ2107及び2107’を備えたトレイ2102を含み、その上に配置された4つの細胞培養容器2147が示されている。容器2147は、細胞培養の処置の直前に、トレイアセンブリ2101上で事前に組み立てられるか、またはトレイ2102に追加され得る。例えば、いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ2101がオーバーラップの内部に設けられるので、容器2147は、トレイ2102上で事前に組み立てられる。事前に組み立てられた容器は、オーバーラップ内に配置されるときに、蓋2108(以下に説明される)に連結または切り離すことができる。細胞培養の処置の準備中に、トレイアセンブリ2101がベースユニット2120に連結される前に、細胞及び試薬を容器に取り付けられ、蓋2108は容器に連結される。いくつかの実施形態では、容器2147は、トレイ2102上で事前に組み立てられていない(オーバーラップ内に設けられていない)が、むしろ、上記のように、細胞培養の処置の準備中にトレイに追加される。容器は、細胞及び試薬(例えば、細胞培養培地)で満たされ、蓋2108に連結され、トレイアセンブリ2101に追加される。
【0142】
蓋2108は、細胞培養器の蓋803または蓋2408を含む、前の実施形態について上で説明した蓋と同じように構成することができる。例えば、蓋2108は、液体交換ポート(「流体ポート」とも呼ばれる)及びガス交換ポートを含むことができ、流体ポートは、前の実施形態について上で説明したように、管を備えたマルチポートバルブ2107、2107’の1つに無菌で連結することができる(図示せず)。例えば、容器2147/蓋2008のうちの2つは、バルブ2107に流体連結することができ、容器2147/蓋2108のうちの2つは、バルブ2107’に流体連結することができる。この実施形態では、マルチポートバルブ2107、2107’は、トレイ2102に固定され、トレイアセンブリ2101がベースユニット2120に連結されるとき、トレイ2102上に留まる。マルチポートバルブ2107、2107’はそれぞれ、マスターポートと、蓋2008(及び/または他の蓋/容器)をある長さの管(図示せず)を介して選択的に連結することができる複数の選択可能なポートとを含むことができる。マルチポートバルブ2107、2107’は、トレイ2102の取り付けポケット2018に嵌合して連結し、その中に適合する取り付け部分(図示せず)を介してトレイ2102に連結することができる。
【0143】
この実施形態では、ベースユニット2120は、トレイ受け入れ部分2124を画定し、2つのバルブアクチュエータ2122、2122’を含むハウジング2123を含む。バルブアクチュエータ2122、2122’はそれぞれ、
図51に示されるように、受け入れ部分2124内部のベースユニット2120の上面から延びるバルブコネクタ部分2171、2171’を含む。トレイアセンブリ2101がベースユニット2120に連結されると、マルチポートバルブ2107、2107’は、
図47に示されるように、バルブコネクタ部分2171を介してベースユニット2120のバルブアクチュエータ2122及び2122’に動作可能に係合することができる。
【0144】
この実施形態では、ベースユニット2120はまた、それぞれ流体ポンプ2113及び2113’に連結可能な2つの流体アクチュエータ2126及び2126’を含む。流体ポンプ2113、2113’は、例えば、シリンジ、蠕動ポンプ、または別のタイプの容積式流体ポンプであり得る。2つのポンプ2113、2113’及び2つのバルブ2107を使用すると、バルブ2107、2107’とシステムの様々な容器との間に個別の流体接続を設けて、例えば、特定の容器(例えば、容器2147)との間で、個別の流体の注入及び排出を行うことができる。例えば、1つの容器からの廃棄物の除去は、他の新鮮な媒体とは別個の方法で、同じ流体チャネルを通過しないようにすることができる。2つのポンプは、流体工学を複製することにより、容器へのより多くの注入と排出を可能にすることもできる。
【0145】
この実施形態では、システム2100は攪拌機を含まない。図示されていないが、システム2100はまた、電子制御システム、1つまたは複数のセンサ(例えば、顕微鏡、画像化デバイスなど)を含むことができる。システム2100はまた、廃棄物容器、試薬用容器、細胞採取容器などのような様々な他の容器を含むことができ、これらはそれぞれ、マルチポートバルブ2107、2107’の1つに連結可能であることができる。
【0146】
図52~58は、細胞培養の処置で使用することができる細胞培養システムの別の実施形態を示す。細胞培養システム2200は、本明細書に記載の他の実施形態と同じまたは類似の構成要素のいくつかを含むことができ、本明細書に記載の前の実施形態と同じまたは類似の機能を有することができ、したがって、細胞培養システム2200のいくつかの詳細は図示されない場合があり、この実施形態に関して詳細に説明されていない。この実施形態は、別個のマルチポートバルブ及び別個の流体ポンプシステムに流体連結することができる蓋及び/または容器をそれぞれ含むことができる複数の別個のトレイアセンブリを含む例示的な細胞培養システムを示す。別の言い方をすれば、各トレイアセンブリは、それ自体のマルチポートバルブ及び流体ポンプに流体連結されているが、他のトレイのマルチポートバルブ及び流体ポンプから流体的に隔離されている。次に、個別のトレイアセンブリを単一のベースユニットに連結できる。いくつかの実施形態では、別個のトレイアセンブリのそれぞれは、事前に組み立てられ、保護的オーバーラップの内部に配置され、別々に出荷され得る。いくつかの実施形態では、別個のトレイアセンブリは、事前に組み立てられ、保護的オーバーラップ内で一緒に出荷され得る。細胞培養システムは、各トレイアセンブリを他のトレイアセンブリから流体的に分離して維持することにより、相互汚染のリスクなしに複数の異なるタイプの細胞を培養することができる。例えば、各トレイアセンブリは異なった細胞のタイプ用に構成できる。この実施形態はまた、より異なるタイプの細胞を、寸法の小さいデバイスの内部で培養及びインキュベートすることを可能にする。例えば、以下に説明するようなマルチトレイシステムでは、システムを使用して、3つの細胞のタイプの間で流体を共有することなく、単一の棚上及び/またはインキュベータの単一のベースユニット内で、3つのタイプの細胞を増殖させることができる。いくつかの実施形態では、単一のタイプの細胞をより多く増殖させることが望まれる場合、単一のより大きなトレイ(より小さなトレイのうちの2つまたは3つの幅)を使用することができる。
【0147】
この実施形態では、細胞培養システム2200(本明細書では「システム」とも呼ばれる)は、ベースユニット2220と、前の実施形態について上記したようにベースユニット2220に連結することができる3つのトレイアセンブリ2201、2201’、2201’’とを含む。3つのトレイアセンブリ(まとめてトレイアセンブリ2201と呼ばれる)及びベースユニット2220は、前の実施形態について上で説明したのと同じまたは類似の特徴及び構成要素を含むことができる。この実施形態はまた、3つのマルチポートバルブ2202、2207’、2270’’(まとめてマルチポートバルブ2207と呼ばれる)及び3つの流体ポンプ2213、2213’、2213’’(まとめて流体ポンプ2213と呼ばれる)を含む。
【0148】
この実施形態では、トレイアセンブリ2201はそれぞれ、マルチポートバルブ2207、2207’、2207’’、細胞計数チップ2217、2217’、2217’’(まとめて計数チップ2217と呼ばれる)、第1の細胞培養容器2247、2247’、2247’’(まとめて細胞培養容器2247と呼ばれる)、及び第2の細胞培養容器2248、2248’、2248’’(まとめて細胞培養容器2248と呼ばれる)がその上に配置されているトレイ2202、2202’、2202’’(まとめてトレイ2202と呼ばれる)(例えば、
図55を参照)を含むことができる。この例示的な実施形態では、容器2247は、容器2248よりも小さい。しかし、トレイアセンブリ2201は、示されていない他のサイズの容器を収容することができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ2201の1つまたはすべては、同じ2つの容器を含むことができる。同じトレイアセンブリ2201内部で、より大きな容器(例えば、2247)及びより小さな容器(例えば、2248)を使用することは、例えば、細胞増殖プロセスに使用するために望ましい場合がある。例えば、細胞は、より少ない細胞が存在する場合により良好な増殖を促進するために、より小さな容器2248に配置され得、次いで、より小さなフラスコの増殖用表面が膨張プロセス中に混雑するので、細胞はより大きな容器に移動され得る。同じトレイアセンブリ2201内で同じサイズの容器を使用することは、例えば、次に必要とされるときに細胞株を培養して維持する細胞維持プロセスにとって望ましい場合がある。
【0149】
トレイ2202は、
図57に示されるように、透明部分または部分的な切り欠き2258及び2258’を含むことができ、それには、容器2247及び2248を、それぞれ配置することができる。前の実施形態について上で説明したように、透明部分または部分的な切り欠き2258、2258’は、細胞培養容器2247及び2248に関連して取得されるセンサデータを提供することができる。例えば、画像化デバイスまたは他のセンサは、ベースユニット2220(以下に説明される)のハウジング内に可動に配置され、透明部分または切り欠き2258、2258’の下の位置に移動され得る。
図57に示されるように、透明部分または切り欠き2258’は、2つの異なるサイズの容器を収容することができる任意選択の容器クレードルを示している。同様に、トレイ2202はまた、前の実施形態について上述したように、細胞計数チップ2217に配置されたサンプルの流体に関連して取得されるセンサデータを提供するために、細胞計数チップ2217が配置される場所に、透明部分または切り欠き2268を含む。
【0150】
容器2247(及び2247’、2247’’)及び2248(及び2248’、2248’’)は、細胞培養の処置の前に(例えば、本明細書に記載の方法に従って)トレイ2202上で事前に組み立てられるか、またはトレイ2202に追加され得る。例えば、いくつかの実施形態では、容器2247は、トレイ2202上で事前に組み立てられ、トレイアセンブリ2201は、オーバーラップ内部に設けられる(示されていないが、本明細書で説明されるオーバーラップと同様)。事前に組み立てられた容器は、事前に組み立てられたトレイ2202の内部の蓋2208(以下に説明される)に連結されるか、または蓋から切り離されることができる。細胞培養の処置の準備中に、トレイアセンブリ2201がベースユニット2220に連結される前に、細胞及び試薬を容器2247、2248、及び容器2247、2248に取り付けられた蓋2280に加えることができる。いくつかの実施形態では、容器2247は、トレイ2202上で事前に組み立てられていない(オーバーラップ内に設けられていない)が、むしろ、細胞培養の処置の準備中にトレイ2202に追加される。容器2247、2248は、細胞及び試薬で満たされ、蓋に連結され、トレイアセンブリ2201に追加され得る。
【0151】
蓋2208は、前の実施形態について上で説明した蓋と同じように構成することができる。例えば、蓋2208は、液体交換ポート(「流体ポート」とも呼ばれる)及びガス交換ポートを含むことができる。流体ポートは、前の実施形態について上で説明したように、管(図示せず)を備えたマルチポートバルブ2202、2207’、2270’’の1つに無菌で連結することができる。例えば、各トレイアセンブリ2201について、それに蓋2208が連結された2つの容器2247及び2248は、そのトレイアセンブリ2201のバルブ2207の選択ポートに流体連結され得る。マルチポートバルブ2207はそれぞれ、マスターポートと、蓋2208(及び/または他の蓋/容器)を選択的に連結することができる複数の選択可能なポートとを含むことができる。マルチポートバルブ2207は、前の実施形態について上で説明したように、パズルのような方法でトレイ2202の取り付けポケット(図示せず)に嵌合して連結し、その中に適合する取り付け部分(図示せず)を介してトレイ2202に連結することができる。
【0152】
この実施形態では、ベースユニット2220は、3つのトレイアセンブリ2201のそれぞれを受け入れることができるトレイ受け入れ部分2224を画定するハウジング2223を含む。ハウジング2223はまた、トレイアセンブリ2201の透明部分2258に対応する透明部分または切り欠きであり得るセクション2278を画定する。ハウジング2223はまた、細胞計数チップ2217が配置されているトレイアセンブリ2201の透明部分2268に対応する透明部分または切り欠きであり得るセクション2279を画定する。
図52~54に示されるように、ベースユニット2220はまた、任意選択で、複数のバイアルまたは器2280及び複数のバイアルまたは器2249を含むことができる。器2280(2280’、2280’’)は、例えば、関連する流体ポンプ2213のための保持器であり得る。例えば、流体ポンプ2213は、例えば、蠕動ポンプであり得、器2280はそれぞれ、ポンプがシリンジタイプのポンプと同様に機能することができるように、ポンプの1つの保持器として機能し得る。より具体的には、器2280’は、流体ポンプ2213’の保持器であり得、器2280’’は、流体ポンプ2213’’の保持器であり得る。保持器2280は、ポンプが作動してその体積の流体をシステム内の第2の場所に移動させるまで、それが保持されるシステム内の第1の場所から、ある体積の流体を受け入れることができる。器2249(2249’、2249’’)は、マルチポートバルブ2202(2270’、2207’’)の1つを介して別個の流体システムの1つに流体連結することができる他の様々な流体を保持するために使用することができる。例えば、器2249は、廃棄物のために、または流体(例えば、試薬)を保持して、それが冷蔵された後に流体を温めるために使用することができる。例えば、容器(または器)を冷蔵して、その中の媒体を所望の温度(例えば、摂氏4度)に保つことが望ましい場合がある。媒体は、冷蔵から器2249などの器にポンピングすることができ、その結果、媒体は、システム2200が配置されているインキュベータの温度のために、例えば、摂氏37度まで受動的に加熱することができる。
【0153】
各トレイアセンブリ2201(2201’、2201’’)は、ベースユニット2220に連結されると、流体ポンプ2213(2213’、2213’’)の1つに流体連結されて、別個の閉じた流体流システムを設けることができる。上記のように、トレイアセンブリ2201(2201’、2201’’)がベースユニット2220に連結されている場合、マルチポートバルブ2207(2207’、2207’’)は、それぞれ、バルブコネクタ部分2222、2222’及び2222’’(まとめてバルブコネクタ2222と呼ばれる)を介したベースユニット2220のバルブアクチュエータ2221、2221’、2221’’(まとめてバルブアクチュエータ2221と呼ばれる)に動作可能に係合することができる。より具体的には、この実施形態では、マルチポートバルブ2207は、トレイ2202に取り外し可能に連結され、例えば、マルチポートバルブ2007の場合、上記のようなベースユニット2220の別個のバルブコネクタ2222(2222’、2222’’)(例えば、
図54を参照)及びバルブアクチュエータ2221(2221’、2221’’)に連結することができる。流体ポンプ2213はそれぞれ、対応するマルチポートバルブ2207のマスターポートに流体連結することができる。流体ポンプ2213(2213’、2213’’)はそれぞれ、ベースユニット2220のハウジング2223内にあるか、またはこれに連結することができるポンプアクチュエータ(図示せず)に連結できる。流体ポンプ2213は蠕動ポンプとして説明されているが、流体ポンプ2213は、シリンジまたは別のタイプの容積式流体ポンプなどの他のタイプの流体ポンプであり得る。
【0154】
図53に示されるように、細胞培養システム2200はまた、セクション2278及び2279と位置合わせした位置に移動することができるように、ハウジング2223内に可動に配置された画像化デバイス2260を含む。画像化デバイス2260は、例えば、ガントリーシステムに取り付けられた顕微鏡であり得、複数の方向への画像化デバイスの動きをもたらす(上記の顕微鏡画像化デバイス1960と同様)。この実施形態については示されていないが、細胞培養システム2200はまた、本明細書に記載されるように、攪拌機、電子制御システム、及び1つまたは複数の追加のセンサ(複数可)(例えば、画像化デバイス2260に加えて)を含むことができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、単一の画像化デバイス(例えば、2260)及び/または単一の攪拌機を使用して、3つすべてのトレイアセンブリ2201上の細胞を画像化することができる。いくつかの実施形態では、別々の画像化デバイス及び/または別々の攪拌機を各トレイアセンブリに使用することができる。システム2200はまた、廃棄物容器、試薬用容器、細胞採取容器などのような様々な他の容器を含むことができ、これらはそれぞれ、マルチポートバルブ2207、2207’、2207’’を介して流体システムの1つに連結可能である。細胞培養システム2200はまた、細胞培養容器(例えば、2003、2103)を保持するための様々なカプラーまたはカップリング部分、ならびに廃棄物及び試薬用容器(例えば、2005、2006)などの他の容器を保持するためのホルダを含み得る。
【0156】
図58は、互いの上に積み重ねられた2つのインキュベータ2275の例を示しており、細胞培養の処置のために複数の細胞培養システム2200(すなわち、トレイ及びベースユニット)を配置することができる。
図58に示されるように、この実施形態では、3つの細胞培養システム2200を、各インキュベータ2275内部の棚に配置することができる。
【0157】
図59は、細胞培養の処置の間のシステム内の例示的な流体の流れ、ならびに本明細書に記載の細胞培養システム内で連結することができる様々な容器及び他の構成要素を示すシステム図である。したがって、システム図は、細胞培養システム2300の様々な構成要素に関して説明されているが、この例示的な図は、本明細書に記載されている実施形態のいずれにも適用できることを理解されたい。
【0158】
図59は、2つの細胞培養容器2347及び2348が連結されたトレイ2302を示している。細胞培養容器2347及び2348、ならびに細胞計数チップ2317は、それぞれ、マルチポートバルブ2307の選択ポートに流体連結されている。流体保持器2327を備えた流体ポンプは、マルチポートバルブ2307のマスターポートに流体連結されている。複数の他の容器もまた、試薬用容器2305及び2305’、細胞採取容器2374、廃棄物容器2360、細胞緩衝液(例えば、PBS)を含む容器2376、及び酵素(例えば、トリプシン)を含む容器2377を含む、マルチポートバルブ2307に同様に流体連結される。
【0159】
細胞培養の処置の間、ポンプ保持器は、システム内の開始位置(例えば、試薬用器2305、2305’)からポンピングされる流体溶液を保持し、バルブ2307は、目的のチャネル(例えば、容器2347、2348の1つ)を選択し、次に溶液がその場所にポンピングされる。等張で毒性のない緩衝液(PBSなど)は、ポンプ保持器などの再利用される構成要素を洗い流すために使用される。
図60にある補足の表1に示されるように、この例では、容器2305を最初に冷蔵庫に入れて、容器2305内の媒体を所望の温度(例えば、摂氏4度)に維持することができる。次に、容器2305からの媒体は、処置の前に(例えば、1時間前に)2305’にポンピングされ、インキュベータの温度に起因して、摂氏約37℃まで受動的に加熱することができる。細胞を分離するために、例えば、継代または収穫中に、培地を最初に細胞培養容器(2347、2348)からポンプで排出し、そこから細胞を分離し、押し出して廃棄することができる。緩衝液(例えば、2376)を任意の攪拌と組み合わせて培養物に添加して細胞を洗浄し、次に緩衝液を培養物から取り出して押し出し、廃棄することができる。酵素(例えば、容器2377内)を関連する細胞培養容器にポンプで送り、分離を助けるために任意の攪拌を行ってしばらく放置し、次に溶液を新鮮な培地(例えば、2305’から)で希釈して酵素をクエンチし、次に混合物で希釈した酵素を用いて、細胞懸濁液を継代し/採取する/ことができる。
図61A及び61Bは、接着性細胞株を維持するための細胞継代の処置の例を含む表2を含み、この表2は、各ステップ、流体の供給源、目的地、流体のタイプ、及び処置の間の各細胞培養容器の中の体積のリストを含む。特定の処置が
図61に概説されているが、システム2300を使用して、本明細書に記載の細胞培養のための任意の方法を実行することができる(
図12~14を参照ながら上記された方法を含む)。
【0160】
図62A~62Cは、実施形態による容器/器の蓋2408を示す。蓋2408は、本明細書に記載の細胞培養システムの実施形態のいずれかで使用することができる。蓋2408は、蓋2408が細胞培養容器の口のスレッドと係合するよう、本明細書に記載されるように、細胞培養容器または他の容器の口にねじ込むことができる。この例示的な実施形態では、蓋2408は、液体ポート2483及びガスポート2484を有する。液体チャネル2485は、液体ポート2483とねじ式で係合している。ガスフィルタ2486(
図62Cを参照)は、ガスポート2483とねじ式で係合している。ガスフィルタ2486は、いずれかの微生物または病原体が細胞容器に入るのを阻止しながら、細胞培養容器の内外でのガス交換を可能にし得る。実施形態では、ガスフィルタ2486は、0.22ミクロンのフィルタである。
【0161】
図63A~63Dは、実施形態によるマルチポートバルブ2407の例示的な実施形態を示す。マルチポートバルブ2407は、本明細書に記載の細胞培養システムの実施形態のいずれかで使用することができる。この実施形態では、マルチポートバルブ2407は、上面にマスターポート2488を有するバルブ本体2487と、バルブ本体2487の周囲に分散された複数の選択可能なポート2489とを含む(例えば、
図64A~64Cを参照)。
【0162】
バルブ本体2487は、その下側に、回転可能な円筒形バルブロータ2490が挿入される円筒形キャビティを有する。回転可能な円筒形バルブロータ2490内には、流体チャネル2491がある(
図65A~65Cを参照)。バルブ本体2487内には流体チャネル2492があり、これはマスターポート2488をバルブロータ2490の流体チャネル2491に流体接続する。流体チャネル2492と流体チャネル2491との間の接続は、マスターポート2488が、バルブロータ2490(したがって、流体チャネル2491)の回転を介してサイドポート2489の1つに選択的に流体接続されることを可能にする。バルブロータ2490は、システムのバルブアクチュエータに機械的に連結するように構成された機械的カプラー2493(
図65Cを参照)を含み、これは、機械的カプラー2493を受け入れ、回転性の機械的エネルギーをマルチポートバルブ2407に伝達する形状のキャビティを有することができる。
【0163】
マルチポートバルブ2407は、任意の適切な材料で作ることができ、バルブ本体2487及びバルブロータ2490は、同じまたは異なる材料で作ることができる。使用できる材料の例には、プラスチック、ポリテトラフルオロエチレンPTFEなどのTFEベースの材料、金属、ゴム、または同様の材料が含まれる。いくつかの実施形態では、バルブ本体2487及びバルブロータ2490は、非常に厳密な許容誤差で適合するように機械加工され得、その結果、2つの構成要素の間に液密シールが作成される。いくつかの実施形態では、追加のガスケット、ベアリング、シール、及び/またはフランジをマルチポートバルブ2407に組み込んで、バルブ本体2487とバルブロータ2490との間に液密式の接続を設けることができる。
【0164】
本明細書の実施形態のいくつかについて記載されるように、ホルダ及び/またはカプラーは、例えば、輸送目的のために(例えば、廃棄物容器及び/または試薬用容器のために)トレイアセンブリ上に設けられ、次いで、容器が取り出され、インキュベータ(例えば、廃棄物容器)または冷蔵器(例えば、試薬用容器)に配置される。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、細胞培養の処置の準備中にオーバーラップがトレイから取り外された後に設けられる。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、オーバーラップの中にトレイアセンブリを備えていてもよい(すなわち、トレイ上で事前に組み立てられている)。例えば、減菌方法(例えば、エチレンオキシド)を使用して、細胞培養容器が接続されたトレイを減菌することができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、無菌の環境(例えば、層流フード)内の細胞培養容器に細胞を加えるのではなく、場合によっては、細胞をフードの外側に加えることができる。例えば、蓋には、その上に隔壁スタイルのコネクタなどの無菌コネクタを設けることができる。蓋は、無菌コネクタの第1の部分(例えば、雌部または雄部)を含むことができ、細胞のバイアルは、隔壁コネクタの第2の部分(例えば、雌部または雄部の他方)を含むことができる。細胞のバイアル(例えば、解凍された細胞)は、例えば、流フード内にあり得る。次に、バイアルのコネクタの第2の部分を、蓋の無菌式接続の第1の部分に接続でき、これは、インキュベータ内のトレイアセンブリ、または流フードの外側の場所に配置できる。したがって、細胞のバイアルは、無菌の環境の外側でトレイアセンブリに連結することができる。いくつかの実施形態では、細胞が凍結される前に、隔壁を備えた蓋を細胞のバイアルに置くことができる。場合によっては、凍結中に細胞が氷の結晶によって破裂しないのを確実にするために、細胞を凍結する前に特殊な「凍結培地」をバイアルに追加することができる。別の例では、いくつかの実施形態において、細胞は、細胞懸濁液をフラスコ/容器から、その上に隔壁接続で蓋を備えたバイアルに移すことによって、システム上で採取される。例えば、いくつかの実施形態では、トレイアセンブリは、取り外し可能な収穫器と共に出荷することができ、これは、上記のように無菌コネクタを備えた蓋を有することができる。細胞が採取された後、次いで無菌式接続を切断し、バイアルをトレイアセンブリから取り外すことができる。特定の実施形態については上に示さず説明しなかったが、上記のような隔壁スタイルのコネクタの蓋及び容器/器は、本明細書に記載の細胞培養システムの任意の実施形態で使用することができる。
【0166】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるような細胞培養システムは、自己培養することができる。言い換えれば、ベースユニットはトレイを囲んでインキュベートすることができる。例えば、システムには、ヒーター付きのエンクロージャーと、適切なガス及び湿度制御を含めることができる。そのようなシステムは、温度センサ、CO2及び/またはO2センサ、湿度センサ、及びインキュベータの機能を監視及び制御するための温度モジュール、ガスモジュール、及び湿度モジュールを含む電子制御システムを、含むことができる。
【0167】
前述の詳細な説明の一部は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する操作のアルゴリズムと記号表現の観点から提示されている。これらのアルゴリズムの説明及び表現は、データ処理技術の当業者が自分の仕事の内容を当業者に最も効果的に伝えるために使用する方法である。アルゴリズムはここでは概して、望ましい結果につながる首尾一貫した一連の操作であると考えられている。操作は、物理量の物理的な操作を必要とする操作である。通常、必須ではないが、これらの量は、保存、結合、比較、及びその他の方法で操作できる電気信号または磁気信号の形式を取る。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数字などと呼ぶことは、主に一般的な使用法の理由から、時に便利であることが証明されている。
【0168】
ただし、これら及び類似の用語はすべて、適切な物理量に関連付けられており、これらの量に適用される便利なラベルにすぎないことに留意されたい。上記の論述から明らかなように、特に明記しない限り、説明全体を通して、「識別する」または「判定する」または「実行する」または「行う」または「収集する」または「作成する」または「送信する」などの用語を使用する論述は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子的)な量として表されるデータを操作し、同様にコンピュータシステムのメモリまたはレジスタまたは他のそのような情報記憶装置内の物理的な量として表される他のデータに変換する、コンピュータシステムまたは同様の電子コンピューティングデバイスの動作及びプロセスを指すことが理解される。
【0169】
本開示はまた、本明細書の操作を実行するための装置に関する。この装置は、意図された目的のために特別に構築され得るか、またはコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成される汎用コンピュータを含み得る。そのようなコンピュータプログラムは、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び磁気光学ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カードまたは光カード、または電子命令を格納するのに適した任意のタイプのメディアを含むがこれらに限定されない任意のタイプのディスクなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得て、それぞれがコンピュータシステムバスに連結されている。
【0170】
様々な汎用システムが、本明細書の教示によるプログラムと共に使用され得るか、または方法を実行するためのより特殊な装置を構築することが便利であることが証明され得る。これらの様々なシステムの構造は、以下の説明に記載されているように表示される。さらに、本開示は、いずれの特定のプログラミング言語をも参照して説明されていない。本明細書に記載されるように、本開示の教示を実施するために様々なプログラミング言語を使用できることが理解されよう。
【0171】
本開示は、本開示による、コンピュータシステム(または他の電子デバイス)をプログラムしてプロセスを実行するために使用できる、命令を格納した機械可読媒体を含み得るコンピュータプログラム製品またはソフトウェアとして提供することができる。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって可読な形式で情報を格納するための任意のメカニズムを含む。例えば、機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなどなどの機械(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体を含む。
【0172】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、様々なコンピュータ実装操作を実行するための命令またはコンピュータコードをそこに有する非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも呼ばれる)を備えたコンピュータ記憶製品に関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、それ自体が一時的な伝搬信号(例えば、空間またはケーブルなどの伝送媒体上で情報を伝える伝搬電磁波)を含まないという意味で非一時的である。メディア及びコンピュータコード(コードとも呼ばれる)は、特定の目的のために設計及び構築されたものである場合がある。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。ハードディスク、フロッピーディスク、及び磁気テープなどの磁気記憶媒体;コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、及びホログラフィックデバイスなどの光記憶媒体;光ディスクなどの光磁気記憶媒体;搬送波信号処理モジュール;特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)、およびランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなど、プログラムコードを格納及び実行するように特別に構成されたハードウェアデバイス。
【0173】
コンピュータコードの例には、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラによって生成されるような機械命令、ウェブサービスの生成に使用されるコード、及びインタープリターを使用するコンピュータによって実行される高レベルの命令を含むファイルが含まれるが、これらに限定されない。例えば、実施形態は、必須のプログラミング言語(例えば、C、Fortranなど)、関数型プログラミング言語(Haskell、Erlangなど)、論理プログラミング言語(例えば、Prolog)、オブジェクト指向プログラミング言語(例えば、Java、C++など)または他の適切なプログラミング言語及び/または開発ツールを使用して実装できる。コンピュータコードの追加の例には、制御信号、暗号化されたコード、及び圧縮されたコードが含まれるが、これらに限定されない。
【0174】
いくつかの実施形態が説明されてきた。それにもかかわらず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解されよう。さらに、図に示されている論理の流れは、望ましい結果を達成するために、示されている特定の順序または一連の順序を必要としない。さらに、他のステップが、説明されたフローから提供されてもよく、またはステップが削除されてもよく、他の構成要素が、説明されたシステムに追加されたり、説明されたシステムから削除されたりしてもよい。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
【0175】
本発明の様々な実施形態が上で説明されてきたが、それらは単なる例として提示されたものであり、限定するものではないことを理解されたい。上記の方法が特定の事象が特定の順序で発生することを示している場合、特定の事象の順序を変更することができる。さらに、特定の事象は、可能であれば並行プロセスで同時に実行することも、上記のように順次実行することもできる。本明細書に記載の構成要素及びサブ構成要素のいずれも、相互に排他的でない限り、実施形態のいずれかに含めることができる。例えば、いくつかの実施形態では、攪拌機、電子制御システム、センサ、ライト、様々な容器などは示されていないか、または説明されていないが、任意の実施形態は、これらの構成要素及び/または特徴の1つまたは複数を含むことができることを理解されたい。
【0176】
別の例として、細胞培養システムはマルチポートバルブを含むものとして上に記載されているが、いくつかの実施形態では、細胞培養システムは、本明細書に記載のマルチポートバルブを含まなくてもよく、代わりに1つまたは複数のシングルポートバルブを含む。例えば、いくつかの実施形態では、細胞培養アセンブリは、各容器及び/または蓋に出入りする流れを制御するシングルポートバルブのセットを含むことができる。シングルポートバルブのセットは、マニホールドまたはその他の接続によって中央ポンプに接続できる。シングルポートバルブは、例えば、ピンチバルブ(容器をシステム内の別の要素に連結する管をピンチする)、ニードルバルブなどであり得る。