IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラング セラピューティクス,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7496826CAV-1タンパク質の修飾ペプチドフラグメント及び線維症の治療におけるその使用
<>
  • 特許-CAV-1タンパク質の修飾ペプチドフラグメント及び線維症の治療におけるその使用 図1
  • 特許-CAV-1タンパク質の修飾ペプチドフラグメント及び線維症の治療におけるその使用 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】CAV-1タンパク質の修飾ペプチドフラグメント及び線維症の治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/08 20060101AFI20240531BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20240531BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240531BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240531BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240531BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240531BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240531BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240531BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20240531BHJP
【FI】
C07K7/08 ZNA
A61K38/10
A61P11/00
A61P29/00
A61P9/00
A61P31/00
A61P11/06
C12N15/12
C07K14/47
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021538170
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019050332
(87)【国際公開番号】W WO2020055812
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】62/728,997
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521097699
【氏名又は名称】ラング セラピューティクス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,デール
(72)【発明者】
【氏名】コレング,ジョン,ジェイ.
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-507867(JP,A)
【文献】特表2016-539188(JP,A)
【文献】特表2010-506860(JP,A)
【文献】特表2005-503321(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01076091(EP,A1)
【文献】特表2016-522159(JP,A)
【文献】Biochemistry, 2000, Vol.39, No.33, pp.10330-10339
【文献】Drug Development and Industrial Pharmacy, 2018.02, Vol.44, No.2, pp.184-198
【文献】Scientific Reports, 2017, 7:10716
【文献】Cancer Cell, 2003, Vol.4, pp.31-39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 7/00-7/66
C07K 14/00-14/825
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
KASFTTFTVTKGS(配列番号4)、aaEGKASFTTFTVTKGSaa-NH2(配列番号7)、Ac-aaEGKASFTTFTVTKGSaa-NH2(配列番号8)、またはOASFTTFTVTOS(配列番号9)のアミノ酸配列から成るペプチド。
【請求項2】
前記ペプチドがカベオリン-1(Cav-1)の生物学的活性を維持する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
請求項1に記載のペプチドを含む組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のペプチド及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物。
【請求項5】
前記薬学的組成物が、経口、静脈内、関節内、非経口、経腸、局所、皮下、筋肉内、頬側、舌下、直腸、膣内、陰茎内、眼内、硬膜外、頭蓋内、または吸入投与用に処方される、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記薬学的組成物が肺点滴注入用に処方される、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記組成物または薬学的組成物がネブライザー溶液として処方される、請求項に記載の組成物または請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
請求項1に記載のペプチドをコードする核酸配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項1に記載の有効量のペプチドを含む、対象の疾患を処置または予防するための薬学的組成物であって、前記疾患が、肺の炎症、慢性閉塞性肺障害(COPD)、肺感染症、化学物質誘発性の肺損傷、鋳型気管支炎、喘息、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、吸入煙誘発性急性肺損傷(ISALI)、細気管支炎、閉塞性細気管支炎、肺の線維性状態、間質性肺疾患、特発性肺線維症(IPF)または肺瘢痕である、薬学的組成物
【請求項10】
前記ペプチドがアミノ酸配列Ac-aaEGKASFTTFTVTKGSaa-NH2(配列番号8)から成る、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記対象が化学療法または放射線療法を受けている、請求項9又は10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記薬学的組成物が、噴霧された溶液として前記対象に投与される、請求項9~11のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記薬学的組成物が全身投与されるか、または病変組織に局所的に投与される、請求項9~12のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの追加の治療薬を投与することをさらに含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの追加の治療薬が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ステロイド、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、免疫抑制剤、生物学的応答モジュレーター、または気管支拡張剤である、請求項14に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記対象がヒトである、請求項9~15のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記ペプチドが、肺上皮細胞の細胞生存率を増大させる、請求項9~16のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
Ac-aaEGKASFTTFTVTKGSaa-NH2(配列番号8)のアミノ酸配列から成る、ペプチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年9月10日に出願された米国仮特許出願第62/728,997号の利益を主張し、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、本発明がなされた時点で有効であった共同研究契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた。上記の共同研究契約の当事者は、テキサス大学身体及び肺治療学の理事会(Board of Regents of the University of Texas System and Lung Therapeutics)である。
【背景技術】
【0003】
1.技術分野
本発明は、全般的には、分子生物学及び医薬の分野に関する。より具体的には、それは、呼吸器系への送達などによる、対象への治療用ポリペプチド組成物の送達のための組成物及び方法に関する。
【0004】
2.関連技術の説明
肺損傷時に、p53の発現が増大し、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤-1(PAI-1)が誘導され、一方では、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)及びその受容体(uPAR)の発現が阻害され、結果として肺上皮細胞(LEC)のアポトーシスが起こる。損傷の機構には、uPA、uPAR、カベオリン-1(「Cav-1」)及びβ1-インテグリンの間の細胞表面シグナル伝達相互作用が含まれる(Shetty et al.,2005)。これらの相互作用を調節する組成物は、損なわれたかまたは損傷した肺上皮細胞のアポトーシスを阻害するための方法、ならびに急性肺損傷及びその結果として生じる肺線維症を処置するための方法に使用され得る。したがって、肺損傷を予防または処置するために使用され得るポリペプチド、具体的には、そのようなポリペプチドの治療的送達のための製剤及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示によれば、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドが提供され、ここで、このペプチドは、少なくとも1つのN末端またはC末端の付加を含む。N末端またはC末端の付加は、標準アミノ酸であっても、非標準アミノ酸であっても、または化学修飾であってもよい。本開示のペプチドのペプチド多量体が提供される。ペプチドの薬学的組成物も提供される。本開示のペプチドは、肺の損傷、感染症または疾患を治療するために使用され得る。さらなる態様において、実施形態のペプチドは、線維性状態、例えば、臓器線維症、または炎症を処置するために使用され得る。
【0006】
いくつかの実施形態において、本開示は、アミノ酸配列ASFTTFTVT(配列番号3)を含むペプチドを提供し、ここで、このペプチドは、配列番号1との同一性を欠く少なくとも1つのNまたはC末端付加を含む。いくつかの態様において、このペプチドは、N末端に付加された少なくとも1つのアミノ酸を含む。いくつかの態様において、このペプチドは、C末端に付加された少なくとも1つのアミノ酸を含む。いくつかの態様において、このペプチドは、N末端及びC末端に付加された少なくとも1つのアミノ酸を含む。いくつかの態様において、このペプチドはカベオリン-1(Cav-1)の生物学的活性を維持する。さらなる態様において、実施形態のペプチドは、1つ以上の重水素化残基を含み得る。
【0007】
いくつかの態様において、このペプチドは、L-アミノ酸を含む。いくつかの態様において、このペプチドは、D-アミノ酸を含む。いくつかの態様において、このペプチドは、L-アミノ酸及びD-アミノ酸の両方を含む。
【0008】
いくつかの態様において、このペプチドは、少なくとも1つの非標準アミノ酸を含む。いくつかの態様において、このペプチドは、2つ以上の非標準アミノ酸を含む。いくつかの態様において、このペプチドは、4つ以上の非標準アミノ酸を含む。いくつかの態様において、この非標準アミノ酸はオルニチンである。いくつかの態様において、この非標準アミノ酸はD-アラニンである。
【0009】
いくつかの態様において、このペプチドは、N末端またはC末端の修飾を含む。いくつかの態様において、このペプチドは、N末端修飾を含む。いくつかの態様において、このペプチドは、C末端修飾を含む。いくつかの態様において、このペプチドは、N末端及びC末端修飾を含む。いくつかの態様において、このN末端修飾はアシル化である。いくつかの態様において、このC末端修飾はアミド化である。
【0010】
いくつかの態様において、このペプチドは、アミノ酸配列KASFTTFTVTKGS(配列番号4)を含む。いくつかの態様において、このペプチドは、アミノ酸配列aaEGKASFTTFTVTKGSaa(配列番号6)を含む。他の態様において、このペプチドは、アミノ酸配列OASFTTFTVTOS(配列番号9)を含む。他の態様において、このペプチドは、アミノ酸配列aaEGKASFTTFTVTKGSaa-NH2(配列番号7)を含む。さらに他の態様において、このペプチドは、アミノ酸配列Ac-aaEGKASFTTFTVTKGSaa-NH2(配列番号8)を含む。他の態様において、このペプチドは、アミノ酸配列OASFTTFTVTOS-NH2(配列番号10)を含む。
【0011】
いくつかの態様において、このペプチドは、細胞透過性ペプチド(CPP)をさらに含む。いくつかの実施形態では、CPPは、GRKKRRQRRRPPQ(配列番号21)、RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号22)、及びGIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ(配列番号23)を含む群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるような少なくとも2つのペプチドを含むペプチド多量体を提供する。いくつかの態様において、少なくとも2つのペプチドの第1のペプチドは、少なくとも2つのペプチドの第2のペプチドと本質的に同一である。他の態様において、少なくとも2つのペプチドの第1のペプチドは、少なくとも2つのペプチドの第2のペプチドと同一ではない。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示されるペプチドを含む組成物を提供する。いくつかの態様において、このペプチドは実質的に純粋である。いくつかの態様において、このペプチドは、少なくとも95%純粋、少なくとも96%純粋、少なくとも97%純粋、少なくとも98%純粋、または少なくとも99%純粋である。
【0014】
いくつかの実施形態において、本開示は、このペプチド、本明細書に開示されるようなペプチド、及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。いくつかの態様において、この薬学的組成物は、経口、静脈内、関節内、非経口、経腸、局所、皮下、筋肉内、頬側、舌下、直腸、膣内、陰茎内、眼内、硬膜外、頭蓋内、または吸入投与用に処方される。いくつかの態様において、この薬学的組成物は、肺点滴注入のために処方される。いくつかの態様において、この薬学的組成物は、噴霧された溶液として処方される。
【0015】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるようなペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0016】
特定の態様では、実施形態のペプチド組成物は、対象の疾患を処置または予防する方法で使用され得る。いくつかの態様において、疾患は、線維性疾患または炎症性疾患である。例えば、線維性疾患とは、臓器線維性疾患であってもよく、腎臓、肝臓、肺または心臓の線維症であってもよい。いくつかの態様において、炎症性疾患とは炎症性眼疾患である。実施形態の組成物は、全身的または局所的に(例えば、病変組織の部位に)投与されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の有効量のペプチドを対象に投与することを含む、対象における急性肺損傷、肺感染症または肺疾患を処置または予防する方法を提供する。いくつかの態様において、対象は肺の炎症を有する。いくつかの態様において、対象は化学療法または放射線療法を受けている。いくつかの態様において、対象は、急性肺損傷または感染症を患っている。いくつかの態様において、対象は、化学物質によって誘発された肺損傷を有する。いくつかの態様において、対象は、鋳型気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、細気管支炎、閉塞性細気管支炎、喘息、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または吸入煙誘発性急性肺損傷(ISALI)を有する。いくつかの態様において、肺疾患は、肺の線維性状態である。いくつかの態様において、肺疾患は間質性肺疾患である。いくつかの態様において、肺疾患は、特発性肺線維症(IPF)または肺瘢痕である。いくつかの態様において、投与は、ペプチドを含む溶液を噴霧することを含む。いくつかの態様において、この方法は、少なくとも1つの追加の抗線維化治療薬を投与することをさらに含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの追加の抗線維症は、NSAID、ステロイド、DMARD、免疫抑制剤、生物学的応答モジュレーター、または気管支拡張薬である。いくつかの態様において、対象はヒトである。
【0018】
本明細書に記載の任意の方法または組成物は、本明細書に記載の任意の他の方法または組成物に関して実施され得ると考えられる。本開示の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の趣旨及び範囲内の様々な変更及び改変がこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明及び特定の実施例は、本開示の特定の実施形態を示してはいるが、例示として示されるにすぎないことを理解されたい。
【0019】
以下の図面は本明細書の一部をなし、かつ本発明の特定の態様をさらに裏付けるために含まれる。本発明は、これらの図面のうちの1つ以上を本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて参照することによって、より深く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】Cav-1ペプチドで処理されたSMA及びチューブリン特発性肺線維症細胞のウエスタンブロット。IPF細胞は、以下:1:未処理、2:10μMのLTI-03、3:90μMのLTI-03、4:10μMのAPi2350、5:10μMのAPi2354、6:10μMのAPi2355、7:10μMのAPi2356、ならびに8:DMSOで処理し、SMA及びチューブリンの発現をウエスタンブロットによって評価した。
図2】Cav-1ペプチドによる処置は、IPF細胞のチューブリンと比較してSMAを増大する。示された処置を受けている細胞におけるチューブリンに対するSMAの比率のグラフ表示。
【発明を実施するための形態】
【0021】
例示的な実施形態の説明
本開示は、修飾カベオリン-1(Cav-1)ペプチド、ならびに疾患の処置及び予防、特に肺線維症のためのその使用を提供することによって、現在の技術に関連する課題を克服する。いくつかの態様において、修飾されたCav-1ペプチドの医薬製剤が提供される。例えば、いくつかの態様において、このペプチドは、呼吸器系への送達のために処方される。例えば、ペプチドは、水溶液中で処方すること、及びネブライザーを使用して溶液を噴霧することにより、対象の気道に投与するために調製され得る。他の態様では、ペプチドは注射用に処方され得る。治療有効量の修飾Cav-1ペプチドを対象に(例えば、気道を介して)投与することにより、肺の損傷及び疾患を処置する方法も本明細書で提供される。
【0022】
I.定義
本明細書で使用される場合、特定の成分に関して「本質的に遊離」は、特定の成分のいずれも意図的に組成物に配合されておらず、及び/または汚染物質としてまたは微量でのみ存在することを意味して本明細書で使用される。したがって、組成物の意図しない汚染に起因する特定の成分の総量は、0.01%をはるかに下回る。最も好ましいのは、特定の成分の量が標準的な分析方法では検出できない組成物である。
【0023】
本明細書で使用される場合、「a」または「an」とは、1つ以上を意味する場合がある。本明細書で特許請求の範囲で使用される場合、「含む」という単語と併せて使用される場合、「a」または「an」という単語は、1つ以上を意味し得る。
【0024】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替案のみを指すように明示的に示されない限り、または代替案が相互に排他的である場合を除き、「及び/または」を意味して使用されるが、この開示は、代替案のみ及び「及び/または」を指す定義を支持し、本明細書で使用される場合、「別の」は、少なくとも1秒以上を意味し得る。本明細書で使用される「別の」とは、少なくとも2番目またはそれ以上を意味し得る。
【0025】
本明細書の全体を通して、用語「約」は、値が、この値を決定するために使用されるデバイス、方法についての誤差の固有の変動、または試験対象間で存在する変動を含むことを示すために使用される。
【0026】
本明細書で使用される「ペプチド」という用語は、典型的には、ペプチド結合によって結合されたアミノ酸の一本鎖から構成されるアミノ酸の配列を指す。一般に、ペプチドは、他に定義されない限り、少なくとも2つのアミノ酸残基を含み、長さが約50アミノ酸未満である。
【0027】
「生物学的に活性な」カベオリン-1(Cav-1)ペプチドとは、p53タンパク質レベルを増大させ、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター(uPA)及びuPA受容体(uPAR)を減少させるか、及び/または線維性肺線維芽細胞などの細胞でのプラスミノーゲンアクチベーター阻害剤-1(PAI-1)発現を増大させるペプチドを指す。いくつかの態様において、生物学的に活性なペプチドは、配列番号1の天然のCav-1ポリペプチドの生物学的または生化学的活性の少なくとも20%を有する(例えば、インビトロまたはインビボのアッセイによって測定される場合)。いくつかの態様において、生物学的活性ペプチドは、天然のCav-1ポリペプチドと比較して、生物学的または生化学的活性が増大している。
【0028】
「同一性」または「相同性」という用語は、配列をアライメントし、及びギャップを導入した(全体の配列について、同一性最大パーセントを得るのに必要な場合)後に、そして配列同一性の部分としていかなる保存的置換も考慮に入れずに、それが比較される対応する配列の残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージを意味すると解釈されるべきである。N末端またはC末端の伸長も挿入も、同一性または相同性を低下させると解釈されるべきではない。アラインメントのための方法及びコンピュータプログラムは、当該技術分野で周知である。配列同一性は、配列分析ソフトウェアを使用して測定され得る。
【0029】
「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、その最も広い意味で、2つ以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸類似体、またはペプチド模倣物の化合物を指して使用される。サブユニットはペプチド結合によって連結され得る。別の実施形態では、サブユニットは、他の結合、例えば、エステル、エーテルなどによって連結され得る。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、グリシン及びDまたはL光学異性体の両方、ならびにアミノ酸類似体及びペプチド模倣物を含む、天然及び/または非天然または合成アミノ酸のいずれかを指す。「ペプチド模倣物(peptidomimetic)」または「ペプチド模倣物(peptido mimic)」という用語は、本発明によるペプチドが、例えば、尿素結合、カルバメート結合、スルホンアミド結合、ヒドラジン結合、または任意の他の共有結合などの少なくとも1つの非ペプチド結合を含むように修飾されることを意味する。ペプチド鎖が短い場合、3つ以上のアミノ酸のペプチドは一般にオリゴペプチドと呼ばれる。ペプチド鎖が長い場合、そのペプチドは一般にポリペプチドまたはタンパク質と呼ばれる。
【0030】
「対象」及び「個体」及び「患者」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、本明細書に開示されるような薬学的組成物を用いた、予防的処置を含む処置を受ける動物、例えば、ヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を指す。本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒト及び非ヒト動物を指す。「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類(特に高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、ウシなどの哺乳動物、及びニワトリ、両生類、爬虫類などの非哺乳動物を含む。一実施形態では、対象はヒトである。別の実施形態では、対象は、疾患モデルとしての実験動物または動物代替物である。非ヒト哺乳動物には、非ヒト霊長類(特に高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ及びウシなどの哺乳動物が挙げられる。いくつかの態様において、非ヒト動物は、イヌまたはネコなどのコンパニオンアニマルである。
【0031】
対象における疾患もしくは状態を「処置すること」または疾患もしくは状態を有する患者を「処置すること」とは、例えばその疾患の少なくとも1つの症状または状態が低下または安定するように、個体に薬学的処置、例えば、薬物の投与をすることを指す。典型的には、ペプチドが処置として治療的に投与される場合、それは、肺損傷または肺線維症の1つ以上の症状を呈する対象に投与される。
【0032】
「単離された」とは、そのポリペプチドが、体液、例えば、血液などの任意の自然環境から分離され、そのペプチドに自然に付随する成分から分離されていることを意味する。
【0033】
単離された「実質的に純粋な」とは、天然には付随する成分から少なくともある程度分離及び精製されたポリペプチドを意味する。典型的には、ポリペプチドは、それが、タンパク質及びそれが自然に関連している天然に存在する有機分子を、少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、またはさらに少なくとも約99重量%含まない場合、実質的に純粋である。例えば、実質的に純粋なポリペプチドは、天然の供給源からの抽出によって、通常はそのタンパク質を発現しない細胞における組換え核酸の発現によって、または化学合成によって、得てもよい。
【0034】
本明細書で使用される「バリアント」という用語は、1つ以上のアミノ酸または核酸の欠失、付加、置換または側鎖修飾によって、ポリペプチドまたは核酸とは異なるが、天然に存在する分子の1つ以上特異的な機能または生物学的活性を保持するポリペプチドまたは核酸を指す。アミノ酸置換としては、アミノ酸が異なる天然または非従来型のアミノ酸残基で置換されている変更が挙げられる。そのような置換は「保存的」として分類され得、その場合、ポリペプチドに含まれるアミノ酸残基は、極性、側鎖官能性またはサイズのいずれかに関して類似の特徴の別の天然に存在するアミノ酸で置き換えられる。そのような保守的な置換は当該技術分野で周知である。本発明に含まれる置換はまた、「非保存的」であってもよく、ここでは、ペプチドに存在するアミノ酸残基が、異なるグループ由来の天然に存在するアミノ酸などの異なる特性を有するアミノ酸で置換されている(例えば、荷電または疎水性アミノ酸をアラニンで置換する)か、あるいは、天然に存在するアミノ酸が非従来型アミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は保存的である。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関して使用される場合、バリアントという用語にも含まれ、それぞれ、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと比較して(例えば、野生型ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと比較して)、一次、二次、または三次構造が異なり得るポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。
【0035】
「挿入」または「欠失」という用語は、典型的には、約1から5アミノ酸の範囲にある。許容される変動は、組換えDNA技術を使用して、配列内のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を体系的に行いながら、ペプチドを合成的に生成することによって実験的に決定され得る。
【0036】
ペプチドを指す場合の「置換」という用語は、異なる実体、例えば、別のアミノ酸またはアミノ酸部分のアミノ酸の変化を指す。置換は、保存的置換であっても、または非保存的置換であってもよい。
【0037】
ペプチドなどの分子の「類似体」とは、分子全体またはそのフラグメントのいずれかと機能が類似している分子を指す。「類似体」という用語はまた、対立遺伝子種及び誘導されたバリアントを含むことを意図している。類似体は通常、多くの場合、保存的置換が原因で、1つまたはいくつかの位置で、天然に存在するペプチドとは異なる。類似体とは通常、天然ペプチドと少なくとも80または90%の配列同一性を示す。いくつかの類似体には、非天然アミノ酸またはNまたはC末端アミノ酸の修飾も含まれる。非天然アミノ酸の例は、例えば、限定するものではないが、二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、4-ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、ε-Ν,Ν,Ν-トリメチルリジン、ε-Ν-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、σ-Ν-メチルアルギニンが挙げられる。フラグメント及び類似体は、以下に記載されるように、トランスジェニック動物モデルにおける予防的または処置的有効性についてスクリーニングされ得る。
【0038】
「共有結合」とは、共有化学結合によって直接的または間接的に(例えば、リンカーを介して)結合されることを意味する。本発明の全ての実施形態のいくつかの態様では、融合ペプチドは共有結合されている。
【0039】
本明細書で使用される「融合タンパク質」という用語は、2つ以上のタンパク質の組換えタンパク質を指す。融合タンパク質は、例えば、あるタンパク質をコードする核酸配列が別のタンパク質をコードする核酸に結合され、その結果、細胞中で、意図された全てのタンパク質を保有する単一のポリペプチドに翻訳され得る単一のオープンリーディングフレームを構成する。タンパク質の配置の順序は様々であり得る。融合タンパク質には、エピトープタグまたは半減期延長剤を含み得る。エピトープタグとしては、ビオチン、FLAGタグ、c-myc、ヘマグルチニン、His6、ジゴキシゲニン、FITC、Cy3、Cy5、緑色蛍光タンパク質、V5エピトープタグ、GST、β-ガラクトシダーゼ、AU1、AU5、及びアビジンが挙げられる。半減期延長剤としては、Fcドメイン及び血清アルブミンが挙げられる。
【0040】
「気道」という用語は、本明細書では、上気道、気道、及び肺を含む気道の任意の部分を指す。上気道には、鼻及び鼻腔、口、ならびに喉が含まれる。気道には、喉頭、気管、気管支、及び細気管支が含まれる。肺には、呼吸細気管支、肺胞管、肺胞嚢、及び肺胞が含まれる。
【0041】
「吸入煙誘発性急性肺損傷」及び「ISALI」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、煙吸入によって引き起こされる急性肺損傷(ALI)の形態を指す。ALIは「軽度の急性呼吸窮迫症候群;ARDS」とも呼ばれる。ARDSとは、対象の以下の状態のうち1つ以上を見出すことによって定義され得る:1)胸部X線での両側肺浸潤、2)臨床的に示されるように右心カテーテル検査で測定した場合、肺動脈楔入圧が18mmHg(2.4kPa)未満、及び3)PaO/FiO<300mmHg(40kPa)。いくつかの実施形態において、ISALIの処置は、以下の状態のうちの1つ以上の処置を含む:酸素化の減少、気道閉塞(重度の気道閉塞を含む)、線維性気道キャストまたは破片、及び肺胞フィブリン沈着。
【0042】
「噴霧化」、「噴霧化」という用語及び他の文法的変形は、本明細書では、液体を小さなエアロゾル液滴に変換するプロセスを指す。いくつかの実施形態では、エアロゾル液滴は、約2~10μmの中央径を有する。いくつかの実施形態では、エアロゾル液滴は、約2~4μmの中央径を有する。
【0043】
II.カベオリン-1ペプチド
本開示の実施形態は、カベオリン-1(Cav-1)タンパク質のペプチドバリアントを提供する。カベオリン-1(Cav-1)足場ドメインまたはポリペプチドは、SrcキナーゼとのCav-1相互作用を妨害し、uPAと抗β1-インテグリン抗体との複合効果を模倣する。天然のヒトCav-1の長さは、178アミノ酸、及び分子量は22kDaである。Cav-1のアミノ酸配列を以下に示す(配列番号1)。
1 MSGGKYVDSE GHLYTVPIRE QGNIYKPNNK AMADELSEKQ VYDAHTKEID LVNRDPKHLN
61 DDVVKIDFED VIAEPEGTHS FDGIWKASFT TFTVTKYWFY RLLSALFGIP MALIWGIYFA
121 ILSFLHIWAV VPCIKSFLIE IQCISRVYSI YVHTVCDPLF EAVGKIFSNV RINLQKEI
【0044】
いくつかの態様において、このペプチドは、配列番号2、FTTFTVTに対して、少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、85%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む足場ドメインペプチドである。このペプチドは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19残基のポリペプチドを誘導するような、配列番号1の配列に対する1、2、3、4またはそれ以上のアミノの置換、削除、または挿入を含み得る。特定の態様では、ペプチドは、表1に示される例示的なポリペプチドなどの天然のCav-1ポリペプチドの短縮型である。
【0045】
【表1】

(a=D-アラニン、O=オルニチン)
【0046】
本開示で提供されるペプチドは、結合または生物学的活性のインビトロまたはインビボアッセイにおいて天然のCAV-1ポリペプチドの活性を有する、生物学的に活性な誘導体である。特定の態様において、ペプチドは、インビトロまたはインビボでBLMによって誘導されるLECのアポトーシスを、天然CAV-1ポリペプチドの活性の少なくとも約20%、または少なくとも約30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、約95%、97%、99%、及びその中で導出可能な任意の範囲、例えば、約70%~約80%、より好ましくは約81%~約90%;またはさらにより好ましくは、約91%~約99%の活性で阻害または防止する。ペプチドは、ネイティブのCAV-1ポリペプチドよりも100%またはそれ以上の活性を有し得る。生物学的活性、例えば、抗線維化活性、uPA、uPAR及びPAI-1のmRNAの発現に影響を与える能力、または肺線維芽細胞の増殖を阻害する能力を試験するためのアッセイは、当技術分野で周知である。
【0047】
本開示のペプチドは、天然のCav-1ポリペプチドまたはその修飾バージョンのペプチドである。ペプチドは、当該技術分野で周知の方法を使用して単離または生成された合成、組換え、または化学的に修飾されたペプチドであり得る。N末端、C末端、または内部のアミノ酸に修飾を加えてもよい。N末端修飾は、例えば、これらに限定されないが、アシル化、アセチル化、またはC末端アミド化であってもよい。ペプチドは、以下に記載されるように、保存的アミノ酸変化を含んでも、または非保存的アミノ酸変化を含んでもよい。ポリヌクレオチドの変化は、参照配列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸置換、付加、欠失、融合及び短縮をもたらし得る。ペプチドはまた、限定するものではないが、L-アミノ酸、またはオルニチンなどの非標準アミノ酸(通常はヒトのタンパク質には存在しない)の挿入など、修飾されたバリアントの基礎であるペプチド配列に通常は生じない、アミノ酸(及び他の分子)の挿入及び置換を含む、アミノ酸の挿入、欠失または置換を含み得る。保存的置換という用語は、ペプチドを説明する場合、ペプチドの活性を実質的に変化させないペプチドのアミノ酸組成の変化を指す。例えば、保存的置換とは、あるアミノ酸残基で、類似の化学的特性を有する異なるアミノ酸残基を置換することを指す。保存的アミノ酸置換には、ロイシンをイソロイシンもしくはバリンに、アスパラギン酸をグルタメートに、またはスレオニンをセリンに置き換えることが含まれる。
【0048】
保存的アミノ酸置換は、ロイシンをイソロイシンまたはバリンに、アスパラギン酸をグルタミン酸塩に、またはスレオニンをセリンに置き換えるなど、あるアミノ酸を同様の構造的及び/または化学的特性を有する別のアミノ酸に置き換えることから生じる。したがって、特定のアミノ酸配列の保存的置換とは、ポリペプチド活性に重要ではないアミノ酸の置換、または類似の特性を有する他のアミノ酸(例えば、酸性、塩基性、正または負の荷電、極性または非極性など)でのアミノ酸の置換であって、重要なアミノ酸の置換でさえペプチドの活性を低下させないような置換を指す。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該技術分野で周知である。例えば、次の6つの群には、それぞれ互いに保存的な置換であるアミノ酸が含まれている:1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);及び6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。(参照によりその全体が組み込まれる、Creighton,Proteins,W.H.Freeman and Company(1984)も参照のこと)。いくつかの実施形態において、単一のアミノ酸または少数のアミノ酸を変更、追加または削除する個々の置換、欠失または付加は、変更によってペプチドの活性が低下しない場合は、保存的置換と見なすこともできる。挿入または欠失とは、典型的には、約1~5アミノ酸の範囲である。保存的アミノ酸の選択は、ペプチド内で置換されるアミノ酸の位置、例えば、アミノ酸がペプチドの外側にあり、溶媒にさらされる場合、または内側にあり、溶媒にさらされない場合に基づいて選択されてもよい。
【0049】
代替の実施形態では、既存のアミノ酸の位置、すなわちその溶媒への曝露(すなわち、アミノ酸が溶媒に曝露されるか、または溶媒にさらされていない内部に局在するアミノ酸と比較してペプチドもしくはポリペプチドの外面に存在する場合)に基づいて、既存のアミノ酸を置換するアミノ酸を選択してもよい。そのような保存的アミノ酸置換の選択は、例えば、Dordo et al.,J.Mol Biol,1999,217,721-739及びTaylor et al.,J.Theor.Biol.119(1986);205-218ならびにS.French及びB.Robson、J.Mol.Evol.19(1983)171に開示されているように、当該技術分野で周知である。したがって、タンパク質またはペプチドの外側のアミノ酸(すなわち、溶媒に曝露されたアミノ酸)に適した保存的アミノ酸置換を選択してもよく、例えば、限定するものではないが、以下の置換を使用してもよい:YとF、TとSまたはK、PとA、EとDまたはQ、NとDまたはG、RとK、GとNまたはA、TとSまたはK、DとNまたはE、IとLまたはV、FとY、SとTまたはA、RとK、GとNまたはA、KとR、AとS、KまたはPとの置換。
【0050】
代替の実施形態では、タンパク質またはペプチドの内部のアミノ酸に適したものに含まれる保存的アミノ酸置換を選択してもよく、例えば、タンパク質またはペプチドの内部にあるアミノ酸(すなわち、アミノ酸が溶媒にさらされない)の適切な保存的置換を使用してもよく、例えば、限定するものではないが、以下の保存的置換を使用してもよい:ここで、YはFで置換され、TはAまたはSで、IはLまたはVで、WはYで、MはLで、NはDで、GはAで、TはAまたはSで、DはNで、IはLまたはVで、FはYまたはLで、SはAまたはTで、及びAはS、G、TまたはVで置換される。いくつかの実施形態では、非保存的アミノ酸置換もバリアントの用語に含まれる。
【0051】
いくつかの態様において、ポリペプチドは、天然のCav-1ポリペプチドの誘導体である。本明細書で使用される「誘導体」という用語は、例えば、限定するものではないが、アセチル化、ユビキチン化、標識、ペグ化(ポリエチレングリコールによる誘導体化)、脂質化、グリコシル化、アミド化、または他の分子の付加などの技術によって化学的に修飾されたペプチドを指す。分子は、通常は分子の一部ではない追加の化学部分を含む場合、別の分子の「派生物、誘導体(derivative)」でもある。このような部分は、pHを変更するか、または分子の溶解性、吸収、生物学的半減期などを改善し得る。あるいは、この部分は、分子の毒性を減少させ、分子の望ましくない任意の副作用を排除または軽減し得るなどである。そのような効果を媒介し得る部分は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,A.R.Gennaro,Ed.,MackPubl.,Easton,PA(1990)に開示されている。
【0052】
「誘導体」または「バリアント」と組み合わせて使用される場合の「機能的」という用語は、その実体または分子の生物学的活性に実質的に類似する生物学的活性(機能的または構造的のいずれか)を有する本発明のポリペプチド(それはその機能的誘導体または機能的バリアントである)を指す。機能的誘導体という用語は、分子のフラグメント、類似体、または化学的誘導体を含むことを意図している。
【0053】
いくつかの態様において、アミノ酸置換は、1つ以上の位置でポリペプチドにおいてなされてもよく、この置換は同様の親水性を有するアミノ酸に対するものである。タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際のアミノ酸ハイドロパシーインデックスの重要性は、当該技術分野で一般的に理解されている(Kyte and Doolittle,1982)。アミノ酸の相対的なハイドロパシー特徴が、得られるタンパク質の二次構造に寄与し、それが次に、タンパク質と他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの相互作用を定義することが認められている。したがって、そのような保存的置換は、ポリペプチドで行ってもよく、それらの活性にわずかな影響しか及ぼさない可能性が高い。米国特許第4,554,101号に詳述されているように、以下の親水性値が、アミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸塩(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(0.5);ヒスチジン-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファン(-3.4)。これらの値はガイドとして使用され得るので、親水性値が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸が特に好ましく、±0.5以内のアミノ酸がさらに特に好ましい。したがって、本明細書に記載のポリペプチドのいずれも、類似の親水性値を有する、異なるが相同なアミノ酸を、あるアミノ酸で置換することによって修飾されてもよい。親水性が+/-1.0または+/-0.5ポイント以内のアミノ酸は、相同と見なされる。
【0054】
修飾されたCav-1ペプチドは、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、タンパク質分解切断(例えば、フューリンまたはメタロプロテアーゼによる切断)などの、同時翻訳及び翻訳後(C末端ペプチド切断)修飾であって、そのような修飾が、単離されたペプチドの抗炎症特性または血糖制御を改善するそれらの能力に影響を及ぼさない程度までの修飾を含み得る。
【0055】
いくつかの態様において、修飾されたCav-1ペプチドは、天然には存在しないアミノ酸を含む。ポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸及び天然には存在しないアミノ酸の組み合わせを含んでもよいし、または天然には存在しないアミノ酸のみを含んでもよい。天然に存在しないアミノ酸は、合成非天然アミノ酸、置換アミノ酸、またはペプチド(またはプロテアーゼ認識配列を除く組成物の他の成分)への1つ以上のD-アミノ酸を含んでもよく、特定の状況では望ましい。D-アミノ酸含有ペプチドは、L-アミノ酸含有形態と比較して、インビトロまたはインビボで安定性の増大を示す。したがって、D-アミノ酸を組み込んだペプチドの構築は、より高いインビボまたは細胞内安定性が望まれるかまたは必要とされる場合に特に有用であり得る。より具体的には、D-ペプチドは、内因性ペプチダーゼ及びプロテアーゼに耐性があり、それにより、リンクされた薬物及びコンジュゲートのより良い経口経上皮及び経皮送達、膜-永久複合体のバイオアベイラビリティの改善(さらなる考察については以下を参照)、ならびに長期の血管内及び間質寿命(そのような特性が望ましい場合)を提供する。D-異性体ペプチドの使用はまた、リンクされた薬物及び他のカーゴ分子の経皮及び経口経上皮送達を強化し得る。さらに、D-ペプチドは、Tヘルパー細胞への主要組織適合遺伝子複合体クラスIl制限提示のために効率的に処理することができないため、生物全体で体液性免疫応答を誘発する可能性が低くなる。したがって、ペプチドコンジュゲートは、例えば、細胞透過性ペプチド配列のD異性体形態、切断部位のL異性体形態、及び処置用ペプチドのD異性体形態を使用して構築され得る。
【0056】
20個の「標準的な」L-アミノ酸に加えて、当該技術分野で明確に定義されているD-アミノ酸または非標準の修飾または異常なアミノ酸もまた、本開示における使用が企図される。リン酸化アミノ酸(Ser、Thr、Tyr)、グリコシル化アミノ酸(Ser、Thr、Asn)、β-アミノ酸、GABA、ω-アミノ酸は、本開示での使用がさらに企図される。これらとしては、例えば、β-アラニン(β-Ala)、及び他のω-アミノ酸、例えば、3-アミノプロピオン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr)、4-アミノ酪酸など;α-アミノイソ酪酸(Aib);ε-アミノヘキサン酸(Aha);δ-アミノ吉草酸(Ava);N-メチルグリシンまたはサルコシン(MeGly);オルニチン(Orn);シトルリン(Cit);t-ブチルアラニン(t-BuA);t-ブチルグリシン(t-BuG);N-メチルイソロイシン(MeIle);フェニルグリシン(Phg);ノルロイシン(Nle);4-クロロフェニルアラニン(Phe(4-Cl));2-フルオロフェニルアラニン(Phe(2-F));3-フルオロフェニルアラニン(Phe(3-F));4-フルオロフェニルアラニン(Phe(4-F));ペニシラミン(Pen);1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic);ホモアルギニン(hArg);N-アセチルリジン(AcLys);2,4-ジアミノ酪酸(Dbu);2,4-ジアミノ酪酸(Dab);p-アミノフェニルアラニン(Phe(pNH));N-メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys)、ホモフェニルアラニン(hPhe)及びホモセリン(hSer);ヒドロキシプロリン(Hyp)、ホモプロリン(hPro)、N-メチル化アミノ酸及びペプトイド(N-置換グリシン)が挙げられる。
【0057】
カルボン酸末端修飾としては、カルボン酸:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、脂肪酸(ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸)、コハク酸、安息香酸、カルボベンゾキシ(Cbz)によるアシル化;アセチル化及びビオチン化が挙げられる。アミノ末端修飾には以下が挙げられる:(i)カルボン酸:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、脂肪酸(ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸など)、コハク酸、安息香酸、カルボベンゾキシ(Cbz)によるアシル化;(ii)ビオチン化;(iii)アミド化;(iv)フルオレセイン(FITC、FAMなど)、7-ヒドロキシ-4-メチルクマリン-3-酢酸、7-ヒドロキシクマリン-3-酢酸、7-メトキシクマリン-3-酢酸及び他のクマリン;ローダミン(5-カルボキシローダミン110または6G、5(6)-TAMRA、ROX);N-[4-(4-ジメチルアミノ)フェニルアゾ]安息香酸(Dabcyl)、2,4-ジニトロベンゼン(Dnp)、5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホン酸(Dansyl)及び他の色素などの色素の付着;ならびに(v)ポリエチレングリコール。
【0058】
ポリペプチドは、そのN末端及びC末端が、それぞれアシル(略称「Ac」)及びアミド(略称「Am」)基、例えば、N末端のアセチル(CHCO-)及びC末端のアミド-NH)でキャップされてもよい。広範囲のN末端キャッピング機能は、好ましくは末端アミノ基に結合して企図され、例えば、ホルミル;
アセチル、プロピオニル、ブチリルなどの1~10個の炭素原子を有するアルカノイル;
ヘキサ-3-エノイルなどの1~10個の炭素原子を有するアルケノイル;
ヘキサ-5-イノイルなどの1~10個の炭素原子を有するアルキノイル;
ベンゾイルまたは1-ナフトイルなどのアロイル;
3-ピロイルまたは4-キノロイルなどのヘテロアロイル;
メタンスルホニルなどのアルキルスルホニル;
ベンゼンスルホニルまたはスルファニリルなどのアリールスルホニル;
ピリジン-4-スルホニルなどのヘテロアリールスルホニル;
4-アミノブチリルなどの1~10個の炭素原子を有する置換アルカノイル;
6-ヒドロキシ-ヘキサ-3-エノイルなどの1~10個の炭素原子を有する置換アルケノイル;
3-ヒドロキシ-ヘキサ-5-イノイルなどの1~10個の炭素原子を有する置換アルキノイル;
4-クロロベンゾイルまたは8-ヒドロキシ-ナフト-2-オイルなどの置換アロイル;
2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-3-メチル-キナゾリン-6-オイルなどの置換ヘテロアロイル;
2-アミノエタンスルホニルなどの置換アルキルスルホニル;
5-ジメチルアミノ-1-ナフタレンスルホニルなどの置換アリールスルホニル;
1-メトキシ-6-イソキノリンスルホニルなどの置換ヘテロアリールスルホニル;
カルバモイルまたはチオカルバモイル;
R’がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリール、または置換ヘテロアリールである置換カルバモイル(R’-NH-CO)または置換チオカルバモイル(R’-NH-CS);
R’がアルカノイル、アルケノイル、アルキノイル、アロイル、ヘテロアロイル、置換アルカノイル、置換アルケノイル、置換アルキノイル、置換アロイル、または置換ヘテロアロイルである置換カルバモイル(R’-NH-CO)及び置換チオカルバモイル(R’-NH-CS)(全て上記のように定義)である。
C末端キャッピング機能は、末端カルボキシルとのアミド結合またはエステル結合のいずれかになる。アミド結合を提供するキャッピング機能は、NRとして指定され、式中、R及びRは、独立して、以下の群から引き出され得る:水素;
好ましくはメチル、エチル、イソプロピルなどの1~10個の炭素原子を有するアルキル;
好ましくはプロプ-2-エニルなどの1~10個の炭素原子を有するアルケニル;
好ましくはプロプ-2-イニルなどの1~10個の炭素原子を有するアルキニル;
ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、メルカプトアルキル、アルキルチオアルキル、ハロゲノアルキル、シアノアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルカノイルアルキル、カルボキシアルキル、カルバモイルアルキルなどの1~10個の炭素原子を有する置換アルキル;
ヒドロキシアルケニル、アルコキシアルケニル、メルカプトアルケニル、アルキルチオアルケニル、ハロゲノアルケニル、シアノアルケニル、アミノアルケニル、アルキルアミノアルケニル、ジアルキルアミノアルケニル、アルカノイルアルケニル、カルボキシアルケニル、カルバモイルアルケニルなどの1~10個の炭素原子を有する置換アルケニル;
ヒドロキシアルキニル、アルコキシアルキニル、メルカプトアルキニル、アルキルチオアルキニル、ハロゲノアルキニル、シアノアルキニル、アミノアルキニル、アルキルアミノアルキニル、ジアルキルアミノアルキニル、アルカノイルアルキニル、カルボキシアルキニル、カルバモイルアルキニルなどの1~10個の炭素原子を有する置換アルキニル;
フェナシルまたは2-ベンゾイルエチルなどの最大10個の炭素原子を有するアロイルアルキル;
フェニルまたは1-ナフチルなどのアリール;
4-キノリルなどのヘテロアリール;
アセチル、またはブチリルなどの1~10個の炭素原子を有するアルカノイル;
ベンゾイルなどのアロイル;
3-キノロイルなどのヘテロアロイル;
OR’またはNR’R’’(式中R’及びR’’は独立して水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アロイル、スルホニル、スルフィニルである)、またはSO-R’’’またはSO-R’’’(式中、R’’’は、置換または非置換のアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはアルキニルである)。
【0059】
エステル結合を提供するキャッピング機能は、ORとして示され、ここで、Rは、アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;アラルキルオキシ;ヘテロアラルキルオキシ;置換アルコキシ;置換アリールオキシ;置換ヘテロアリールオキシ;置換アラルキルオキシ;または置換ヘテロアラルキルオキシであってもよい。
【0060】
N末端もしくはC末端キャッピング機能のいずれか、またはその両方は、キャッピングされた分子が、活性薬物を放出するため、体内で自発的または酵素的変換を受けるプロドラッグ(親薬物分子の薬理学的に不活性な誘導体)として機能し、親薬物分子よりも送達特性が改善されているような構造のものであってもよい(Bundgaard H、Ed:Design of Prodrugs,Elsevier,Amsterdam,1985)。
【0061】
キャッピング基の賢明な選択は、ペプチドに対する他の活性の追加を可能にする。例えば、N末端またはC末端のキャップに結合したスルフヒドリル基の存在により、誘導体化されたペプチドを他の分子にコンジュゲーションさせることが可能になる。
【0062】
さらに別の態様では、ペプチドまたはそのフラグメントもしくは誘導体は、「レトロインベルソペプチド」であり得る。「レトロインベルソペプチド」とは、少なくとも1つの位置でペプチド結合の方向が反転しているペプチド、すなわち、アミノ酸の側鎖に関してアミノ末端及びカルボキシ末端が反転しているペプチドを指す。したがって、レトロインベルソ類似体は、ネイティブペプチド配列のように側鎖のトポロジーをほぼ維持しながら、ペプチド結合の逆転末端及び方向の逆転を有した。レトロインベルソペプチドは、L-アミノ酸もしくはD-アミノ酸、またはL-アミノ酸及びD-アミノ酸の混合物を含んでもよく、最大で全てのアミノ酸がD-異性体である。部分的なレトロインベルソペプチド類似体は、配列の一部のみが逆にされ、エナンチオマーアミノ酸残基で置き換えられているポリペプチドである。このような類似体の逆反転部分はアミノ末端とカルボキシル末端が逆になっているので、逆反転部分に隣接するアミノ酸残基は、それぞれ側鎖類似のα-置換ジェミナル-ジアミノメタン及びマロン酸塩に置き換えられる。細胞透過性ペプチドのレトロインベルソ形態は、天然形態と同じように膜を横切って移動する際に効率的に機能することが見出された。レトロインベルソペプチド類似体の合成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Bonelli,F.et al.,Int J Pept Protein Res.24(6):553-6(1984);Verdini,A and Viscomi,G.C,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 :697-701(1985);及び米国特許第6,261,569号に記載される。部分的なレトロインベルソペプチド類似体の固相合成のためのプロセスが記載されており(欧州特許第97994-B号)、これも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0063】
ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドまたはポリペプチド領域)は、別の配列に対して特定のパーセンテージ(例えば、80%、85%、90%、または95%)の「配列同一性」または「相同性」を有し、このことは、アラインメントしたとき、2つの配列を比較して塩基(またはアミノ酸)の割合が同じになることを意味する。このアラインメント及びパーセント相同性または配列同一性は、当該技術分野で公知であるソフトウェアプログラム、例えば、Current Protocols In Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987)Supplement 30,section 7.7.18、表7.7.1に記載されるプログラムを用いて決定され得る。好ましくは、デフォルトのパラメーターがアラインメントのために使用される。好ましいアライメントプログラムは、デフォルトのパラメーターを使用するBLASTである。特に、好ましいプログラムは、以下のデフォルトパラメーターを使用するBLASTN及びBLASTPである:Genetic code=標準;フィルター=なし;ストランド=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリックス=BLOSUM62;説明=50シーケンス;並べ替=ハイスコア;データベース=非冗長、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBankCDS翻訳+SwissProtein+SPupdate+PIR。
【0064】
A. 多量体ポリペプチド
本開示の実施形態はまた、修飾されたCav-1バリアントポリペプチドの繰り返し単位から構築されたより長いポリペプチドも含む。ポリペプチド多量体は、ポリペプチドの異なる組み合わせを含んでもよい。そのような多量体ポリペプチドは、本明細書で考察されるように、化学合成によって、または組換えDNA技術によって作製され得る。化学合成によって生成される場合、オリゴマーは好ましくはコアポリペプチド配列の2~5回の繰り返しを有し、多量体中のアミノ酸の総数は、約160残基を超えてはならず、好ましくは100残基以下であるべきである(またはそれらの同等物(リンカーまたはスペーサーを含む場合))。
【0065】
B. ペプチド模倣物
修飾されたCav-1ペプチドは、天然のCav-1ポリペプチドの生物学的効果を模倣するペプチド模倣化合物であり得る。ペプチド模倣剤は、天然のCav-1ポリペプチドの結合活性及び生物学的活性を有するように、天然のCav-1ポリペプチドの結合要素の立体空間特性を再現する非天然ペプチドであっても、または非ペプチド剤であってもよい。天然のCav-1ポリペプチドまたはポリペプチド多量体と同様に、ペプチド模倣物は、結合面(天然のCav-1が結合する任意のリガンドと相互作用する)及び非結合面を有する。
【0066】
いくつかの態様において、本開示はまた、部分的なペプチド特徴を保持する化合物も含む。例えば、本発明のペプチド内の任意のタンパク質分解的に不安定な結合は、分子の残りがそのペプチド性を保持している間、等量式(N-メチル化;D-アミノ酸)または還元ペプチド結合などの非ペプチド要素によって選択的に置き換えられてもよい。
【0067】
アゴニスト、基質または阻害剤のいずれかのペプチド模倣化合物は、オピオイドペプチド、VIP、トロンビン、HIVプロテアーゼなどの多くの生物活性ペプチド/ポリペプチドについて記載されている。ペプチド模倣化合物を設計及び調製するための方法は、当該技術分野で公知である(Hruby,VJ,Biopolymers 33:1073-1082(1993);Wiley,RA et al.,Med.Res.Rev.13:327-384(1993);Moore et al.,Adv.in Pharmacol 33:91-141(1995);Giannis et al.,Adv.in Drug Res.29:1-78(1997)。二次構造を模倣する特定の模倣物は、Johnson et al.,In:Biotechnology and Pharmacy,Pezzuto et al.,Chapman and Hall(Eds.),NY,1993に記載されている。これらの方法は、少なくともネイティブCav-1ポリペプチドの結合能力及び特異性を保有し、好ましくはまた生物学的活性も保有するペプチド模倣薬を作るために使用される。当業者に利用可能なペプチド化学及び一般的な有機化学の知識は、本開示に照らして、そのような化合物の合成及び合成のために、十分である。
【0068】
例えば、そのようなペプチド模倣物は、遊離であるか、またはリガンド(例えば、可溶性uPARまたはそのフラグメント)と複合体で結合した、本発明のポリペプチドの三次元構造の検査によって同定され得る。あるいは、そのリガンドに結合した本発明のポリペプチドの構造は、核磁気共鳴分光法の技術によって得てもよい。ペプチドとそのリガンドまたは受容体との相互作用の立体化学についてのより深い知識によって、そのようなペプチド模倣剤の合理的な設計が可能になるであろう。リガンドの非存在下での本発明のペプチドまたはポリペプチドの構造はまた、模倣分子の設計のための足場を提供し得る。
【0069】
C. PEG化
修飾されたCav-1ペプチドは、ポリエチレングリコールなどの異種ポリペプチドセグメントまたはポリマーとコンジュゲートされ得る。ポリペプチドを、酵素の流体力学的半径を増大させ、それによって血清持続性を増大させるために、PEGに連結してもよい。ポリペプチドは、外部受容体に特異的かつ安定的に結合する能力を有するリガンドなどの任意の標的化剤にコンジュゲートしてもよい(米国特許公開2009/0304666号)。
【0070】
特定の態様における、開示されたポリペプチドのPEG化に関連する実施形態の方法及び組成物。PEG化とは、ポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖が別の分子(通常は薬物または治療用タンパク質)に共有結合するプロセスである。PEG化は、PEGの反応性誘導体を標的高分子とインキュベートすることによって慣用的に達成される。薬物または処置用タンパク質へのPEGの共有結合は、宿主の免疫系から薬剤を「マスク」し得る(免疫原性及び抗原性の低下)か、または薬剤の流体力学的サイズ(溶液中のサイズ)を増大し得、腎クリアランスを減少させることによって循環時間を延長する。PEG化は、疎水性の薬物及びタンパク質を水溶性にもし得る。
【0071】
PEG化の最初のステップは、一方または両方の末端でのPEGポリマーの適切な官能化である。同じ反応性部分によって各末端で活性化されるPEGは、「ホモ二官能性」として公知であるが、存在する官能基が異なるならば、PEG誘導体は「ヘテロ二官能性」または「ヘテロ官能性」と呼ばれる。PEGポリマーの化学的に活性な誘導体または活性化された誘導体は、PEGを所望の分子に結合するように調製される。
【0072】
PEG誘導体のための適切な官能基の選択は、PEGに結合される分子上の利用可能な反応性基のタイプに基づく。タンパク質の場合、典型的な反応性アミノ酸としては、リジン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、及びチロシンが挙げられる。N末端アミノ基及びC末端カルボン酸も使用してもよい。
【0073】
第1世代のPEG誘導体を形成するために使用される技術は、一般に、PEGポリマーを、ヒドロキシル基と反応する基、典型的には無水物、酸塩化物、クロロホルメート、及びカーボネートと反応させることである。第2世代のPEG化化学では、アルデヒド、エステル、アミドなどのより効率的な官能基がコンジュゲーションに利用可能になる。
【0074】
PEG化の適用がますます高度かつ洗練されてきたので、コンジュゲーションのためのヘテロ二官能性PEGの必要性が増大している。これらのヘテロ二官能性PEGは、親水性、柔軟性、及び生体適合性のスペーサーが必要な2つの実体をリンクするのに非常に有用である。ヘテロ二官能性PEGの好ましい末端基は、マレイミド、ビニルスルホン、ピリジルジスルフィド、アミン、カルボン酸、及びNHSエステルである。
【0075】
最も一般的な修飾剤、またはリンカーは、メトキシPEG(mPEG)分子に基づく。それらの活性は、アルコール末端にタンパク質修飾基を追加することに依存する。場合によっては、ポリエチレングリコール(PEGジオール)が前駆体分子として使用される。ヘテロまたはホモ二量体のPEG結合分子を作成するために、続いて、ジオールを両端で修飾する。
【0076】
タンパク質は、一般に、非プロトン化チオール(システイン残基)またはアミノ基などの求核部位でPEG化される。システイニル特異的修飾試薬の例としては、PEGマレイミド、PEGヨード酢酸、PEGチオール、及びPEGビニルスルホンが挙げられる。4つ全てが穏やかな条件、及び中性からわずかにアルカリ性のpH下で強力にシステイン特異的であるが、それぞれにいくつかの欠点がある。マレイミドで形成されたチオエーテルは、アルカリ性条件下ではやや不安定になり得、そのため、このリンカーを使用した処方オプションにはいくつかの限界がある場合がある。ヨードPEGで形成されたカルバモチオエート結合はより安定しているが、遊離ヨウ素はいくつかの条件下でチロシン残基を修飾し得る。PEGチオールは、タンパク質チオールとジスルフィド結合を形成するが、この結合はアルカリ性条件下でも不安定になる可能性もある。PEG-ビニルスルホンの反応性は、マレイミド及びヨードPEGと比較して比較的遅い。ただし、形成されたチオエーテル結合は非常に安定している。反応速度が遅いこともまた、PEG-ビニルスルホン反応の制御を容易にし得る。
【0077】
天然のシステイン残基での部位特異的PEG化はめったに実行されない。なぜなら、これらの残基は通常、ジスルフィド結合の形であるか、生物活性に必要であるためである。他方では、部位特異的突然変異誘発は、チオール特異的リンカーのためのシステインPEG化部位を組み込むために使用してもよい。システイン変異は、PEG化試薬にアクセス可能であり、PEG化後も生物学的に活性であるように設計する必要がある。
【0078】
アミン特異的修飾剤としては、PEG NHSエステル、PEGトレシレート、PEGアルデヒド、PEGイソチオシアネート、及びその他いくつかが挙げられる。全てが穏やかな条件下で反応し、アミノ基に非常に特異的である。PEGNHSエステルは、おそらくより反応性の高い薬剤の1つである。ただし、その高い反応性により、PEG化反応を大規模に制御することが困難になる場合がある。PEGアルデヒドはアミノ基とイミンを形成し、次にシアノ水素化ホウ素ナトリウムで2級アミンに還元される。水素化ホウ素ナトリウムとは異なり、シアノ水素化ホウ素ナトリウムはジスルフィド結合を還元しない。ただし、この化学物質は毒性が高く、特に揮発性になる低pHでは慎重に取り扱う必要がある。
【0079】
ほとんどのタンパク質上の複数のリジン残基に起因して、部位特異的PEG化は挑戦となり得る。幸いなことに、これらの試薬はプロトン化されていないアミノ基と反応するので、より低いpHで反応を行うことにより、PEG化をより低いpKアミノ基に向けることが可能である。一般に、アルファ-アミノ基のpKは、リジン残基のイプシロン-アミノ基よりも1~2pH単位低い。分子をpH7以下でPEG化することにより、N末端の高い選択性は高頻度に達成され得る。ただし、これは、タンパク質のN末端部分が生物活性に必要でない場合にのみ実行可能である。それでも、PEG化による薬物動態の利点は、多くの場合、インビトロの生物活性の大幅な低下を上回り、PEG化化学に関係なく、かなり大きいインビボ生物活性を備えた生成物になる。
【0080】
PEG化手順を開発する際に考慮すべきいくつかのパラメーターがある。幸いなことに、通常、4つまたは5つ以下の重要なパラメーターがある。PEG化条件を最適化するための「実験のデザイン」アプローチは非常に有用であり得る。チオール特異的PEG化反応の場合、考慮すべきパラメーターとしては、タンパク質濃度、PEG対タンパク質比(モルベースで)、温度、pH、反応時間、及び場合によっては酸素の排除が挙げられる。(酸素はタンパク質による分子間ジスルフィド形成に寄与する可能性があり、PEG化生成物の収率が低下する。)アミン特異的修飾については、特にN末端アミノ基を標的とする場合、pHがさらに重要になる可能性があることを除いて、同じ要因を考慮する必要がある(酸素は除く)。
【0081】
アミン特異的及びチオール特異的修飾の両方について、反応条件はタンパク質の安定性に影響を及ぼし得る。これにより、温度、タンパク質濃度、及びpHが制限される場合がある。さらに、PEG化反応を開始する前に、PEGリンカーの反応性を知る必要がある。例えば、PEG化剤の活性が70%しかない場合、使用するPEGの量により、タンパク質とPEGの反応化学量論で活性PEG分子のみがカウントされることを保証する必要がある。
【0082】
D. 融合タンパク質
本発明の特定の実施形態は、修飾されたCav-1ペプチドの融合タンパク質に関する。これらの分子は、N末端またはC末端で異種ドメインに連結された実施形態のポリペプチドを有し得る。例えば、融合はまた、他の種由来のリーダー配列を使用して、異種宿主におけるタンパク質の組換え発現を可能にし得る。融合タンパク質は、半減期延長剤を含んでもよい。別の有用な融合としては、融合タンパク質の精製を容易にするために、血清アルブミン親和性タグもしくは6つのヒスチジン残基などのタンパク質親和性タグ、または抗体エピトープなどの免疫学的に活性なドメイン、好ましくは切断可能なドメインの添加が含まれる。非限定的なアフィニティータグとしては、ポリヒスチジン、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)が挙げられる。
【0083】
特定の実施形態において、実施形態のペプチドを、インビボ半減期を延長するペプチド、例えば、XTEN(登録商標)ポリペプチド(Schellenberger et al.,2009)、IgG Fcドメイン、アルブミン、またはアルブミン結合ペプチドに連結してもよい。
【0084】
融合タンパク質を生成する方法は、当業者に周知である。そのようなタンパク質は、例えば、完全な融合タンパク質のデノボ合成によって、または異種ドメインをコードするDNA配列の付着、それに続くインタクトな融合タンパク質の発現によって産生され得る。
【0085】
親タンパク質の機能的活性を回復する融合タンパク質の産生は、タンデムに接続されたポリペプチド間でスプライシングされるペプチドリンカーをコードする架橋DNAセグメントと遺伝子を接続することによって促進され得る。このリンカーは、得られた融合タンパク質の適切な折り畳みを可能にするのに十分な長さであろう。
【0086】
1. リンカー
特定の実施形態において、実施形態のポリペプチドは、二機能性架橋試薬を使用して化学的にコンジュゲートされてもよいし、またはペプチドリンカーとタンパク質レベルで融合されてもよい。
【0087】
二官能性架橋試薬は、親和性マトリックスの調製、多様な構造の修飾及び安定化、リガンド及び受容体結合部位の同定、及び構造研究を含む、様々な目的のために広く使用されてきた。適切なペプチドリンカーを使用して、Gly-Serリンカーなどの実施形態のポリペプチドを連結してもよい。
【0088】
2つの同一の官能基を有するホモ二官能性試薬は、同一及び異なる高分子または高分子のサブユニット間の架橋を誘導し、ポリペプチドリガンドをそれらの特異的結合部位に連結するのに非常に効率的であることが証明された。ヘテロ二官能性試薬には、2つの異なる官能基が含まれている。2つの異なる官能基の異なる反応性を利用することにより、架橋を選択的及び連続的に制御してもよい。二官能性架橋試薬は、それらの官能基、例えば、アミノ-、スルフヒドリル-、グアニジン-、インドール-、カルボキシル-特異的基の特異性に従って分類され得る。これらのうち、遊離アミノ基に向けられた試薬は、それらの商業的入手可能性、合成の容易さ、及びそれらが適用され得る穏やかな反応条件という理由で特に人気になっている。
【0089】
ヘテロ二官能性架橋試薬の大部分は、第一級アミン反応性基及びチオール反応性基を含む。別の例では、ヘテロ二官能性架橋試薬及び架橋試薬を使用する方法が記載されている(米国特許第5,889,155号、その全体が参照により本明細書に具体的に組み込まれる)。架橋試薬は、求核性ヒドラジド残基と求電子性マレイミド残基とを結合し、一例では、アルデヒドの遊離チオールへのカップリングを可能にする。架橋試薬は、様々な官能基を架橋するように修飾してもよい。
【0090】
さらに、当業者に公知である任意の他の連結/カップリング剤及び/または機構を使用して、例えば、抗体-抗原相互作用、アビジンビオチン結合、アミド結合、エステル結合、チオエステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ホスホエステル結合、ホスホルアミド結合、無水物結合、ジスルフィド結合、イオン性及び疎水性相互作用、二重特異性抗体及び抗体フラグメント、またはそれらの組み合わせなどの実施形態のポリペプチドを組み合わせてもよい。
【0091】
血液中で適度な安定性を有する架橋剤を使用することが好ましい。標的化剤及び処置剤/予防剤をコンジュゲートするために首尾よく使用され得る多くのタイプのジスルフィド結合含有リンカーが公知である。立体障害のあるジスルフィド結合を含むリンカーは、インビボでの安定性を高めることが証明される場合がある。したがって、これらのリンカーは、連結剤の1つのグループである。
【0092】
妨害された架橋剤に加えて、妨害されていないリンカーもまた、本明細書に従って使用されてもよい。保護されたジスルフィドを含むかまたは生成するとは考えられていない他の有用な架橋剤としては、SATA、SPDP、及び2-イミノチオランが挙げられる(Wawrzynczak and Thorpe,1987)。そのような架橋剤の使用は、当該技術分野でよく理解されている。別の実施形態は、柔軟なリンカーの使用を含む。
【0093】
一旦、化学的にコンジュゲートされると、ペプチドを一般には精製して、コンジュゲートを非コンジュゲート剤及び他の汚染物質から分離する。それらを臨床的に有用にするのに十分な程度の純度のコンジュゲートを提供する際に使用するために、多数の精製技術が利用可能である。
【0094】
ゲル濾過、ゲル浸透、または高速液体クロマトグラフィーなどのサイズ分離に基づく精製方法が、一般的に最も有用である。青-セファロース分離などの他のクロマトグラフィー技術も使用されてもよい。封入体から融合タンパク質を精製する従来の方法は、ナトリウムN-ラウロイル-サルコシン(SLS)などの弱い界面活性剤を使用するなど、有用であり得る。
【0095】
2.細胞透過性及び膜移行ペプチド
さらに、特定の態様において、修飾されたCav-1ペプチドは、細胞結合ドメインまたは細胞透過性ペプチド(CPP)をさらに含んでもよい。本明細書で使用される場合、「細胞透過性ペプチド」及び「膜移行ドメイン」という用語は交換可能に使用され、ポリペプチドが細胞膜(例えば、真核細胞の場合は原形質膜)を通過することを可能にするポリペプチド配列のセグメントを指す。CPPセグメントの例としては、限定するものではないが、HIV Tatに由来するセグメント(例えば、GRKKRRQRRRPPQ(配列番号21))、ヘルペスウイルスVP22、ショウジョウバエ(Drosophila)アンテナペディア(Antennapedia)ホメオボックス遺伝子産物、プロテグリンI、ペネトラチン(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号22))またはメリチン(GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ(配列番号23))が挙げられる。特定の態様において、CPPは、T1(TKIESLKEHG(配列番号24))、T2(TQIENLKEKG(配列番号25))、26(AALEALAEALEALAEALEALAEAAAA(配列番号26))またはINF7(GLFEAIEGFIENGWEGMIEGWYGCG(配列番号:27))CPP配列を含む。
【0096】
III.使用方法
本発明の一態様は、本明細書に記載のポリペプチド及びそれらの変異体、バリアント、類似体または誘導体の使用に関する。具体的には、これらの方法は、本明細書に記載のポリペプチドのいずれか1つ、またはそれらの薬学的に許容される修飾を薬学的に許容される担体中で対象に投与すること、肺の疾患、損傷または感染を処置または予防する処置に使用するための組成物(例えば、肺の線維性状態)に関し、該組成物は、薬学的に許容される担体中に実施形態のポリペプチドを含む。
【0097】
A. 薬学的組成物
修飾されたCav-1ペプチドは、細胞アポトーシスを阻害するために、そして肺組織への損傷の処置及び予防のために、全身的または局所的に投与され得ることが企図される。それらは、静脈内、髄腔内、及び/または腹腔内に投与してもよい。特定の態様において、ポリペプチドは、吸入用の噴霧製剤または乾燥粉末製剤の投与など、気道に局所的に送達される。それらは、単独で投与されても、または抗線維化合物と組み合わせて投与されてもよい。
【0098】
修飾されたCav-1ペプチドは、肺線維症の少なくとも1つの追加の治療薬と組み合わせて投与されてもよいし、同時に投与されてもよいし、または連続して投与されてもよい。追加の治療薬は、NSAID、ステロイド、DMARD、免疫抑制剤、生物学的反応モジュレーター、気管支拡張薬、または抗線維化剤、例えば、ピルフェネドン(抗線維化作用機序が完全には理解されていないが、TGF-ベータ、ニンテダニブ、広範なチロシンキナーゼ遮断薬もしくは任意の他の抗線維化剤の遮断を伴う可能性がある)であってもよい。適切なNSAIDSは、非選択的COX阻害剤であるアセチルサリチル酸、メサラジン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラック、ナブメトン、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、アルクロフェナク、ブロムフェナク、イブフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、エトドラク、オキシピナク、
メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸、トルフェナム酸、ジフルニサル、フルフェニサル、ピロキシカム、テノキシカム、ロノキシカム及びニメスリド及びそれらの薬学的に許容される塩、選択的COX 2阻害剤であるメロキシカム、セレコキシブ及びロフェコキシブ、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択される。適切なステロイドは、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ブデノシド、フルオコルトロン及びトリアムシノロンである。適切なDMARDは、スルファサラジン、オルサラジン、クロロキン、金誘導体(オーラノフィン)、D-ペニシラミン、及び細胞増殖抑制剤、例えば、メトトレキサート及びシクロホスファミドである。適切な免疫抑制剤は、シクロスポリンA及びその誘導体、ミコフェノラートモフェチル、FK 506、OKT-3、ATG、15-デスオキシスペルグアリン、ミゾリビン、ミソプロストール、ラパマイシン、レフルノミド及びアザチオプリンである。適切な生物学的応答修飾因子は、インターフェロンβ、抗TNF-α(エタネルセプト)、IL-10、抗CD3または抗CD25である。適切な気管支拡張薬は、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化チオトロピウム、塩酸エピネフリン、サルブタモール、硫酸テルブタモール、臭化フェノテロール、サルメテロール及びホルモテロールである。そのような組み合わせにおいて、各有効成分は、その通常の投与量範囲に従って、またはその通常の投与量範囲よりも低い用量のいずれかに従って、投与され得る。NSAID、ステロイド、DMARD、免疫抑制剤、及び生物学的反応修飾薬を組み合わせた投与量は、通常推奨される最低用量の適切には1/50から、通常推奨される投与量の1/1まで、好ましくは1/20~1/2、より好ましくは1/10~1/5である。併用薬の通常推奨される用量は、例えば、RoteListe(登録商標)2002,Editio Cantor Verlag Aulendorf,Germany、またはPhysician’s Desk Referenceに開示されている用量であると理解されるべきである。
【0099】
臨床用途が企図される場合、意図される用途に適切な形態のタンパク質、抗体、及び薬物を含む薬学的組成物を調製することが必要な場合がある。一般に、薬学的組成物は、実施形態の有効量の1つ以上のポリペプチド、または医薬的に許容される担体に溶解もしくは分散された追加の薬剤を含み得る。「医薬的または薬理学的に許容される」という句は、必要に応じて、例えば、ヒトなどの動物に投与されたときに、有害、アレルギー、または他の有害な反応を生じない、分子実体及び組成物を指す。本明細書に開示される方法によって単離された実施形態の少なくとも1つのポリペプチド、または追加の有効成分を含む薬学的組成物の調製は、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,1990によって例示されるように、本開示に照らして当業者に公知である。さらに、動物(例えば、ヒト)の投与については、調製物は、FDA Office of Biological Standardsによって要求される無菌、発熱原性、一般的安全性、及び純度標準に適合するべきであることが理解されよう。
【0100】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」には、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、色素などの材料及びそれらの組み合わせが、当業者に公知のとおり挙げられる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,1990を参照のこと)。いかなる従来の担体も活性成分と不適合でない限り、薬学的組成物に使用することが企図される。
【0101】
本発明の特定の実施形態は、それが固体、液体、またはエアロゾルの形態で投与されるかどうか、及び注射などの投与経路のために無菌である必要があるかどうかに応じて、異なるタイプの担体を含み得る。組成物は、静脈内、髄腔内、皮内、経皮、髄腔内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、筋肉内、皮下、粘膜、経口、局所、局所的に、吸入(例えば、噴霧または乾燥粉末製剤の吸入)、注射による、注入による、持続注入による、水浴標的細胞を直接局所灌流することにより、カテーテルを介して、洗浄を介して、脂質組成物(例えば、リポソーム)中で、または他の方法もしくは上記の任意の組み合わせによって、当業者に公知であるように投与してもよい(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,1990を参照のこと)。
【0102】
修飾されたポリペプチドは、遊離塩基、中性、または塩の形態の組成物に処方され得る。薬学的に許容される塩としては、酸付加塩、例えば、タンパク性組成物の遊離アミノ基で形成される塩、または例えば塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、もしくはマンデル酸などの有機酸で形成される塩が挙げられる。遊離カルボキシル基で形成された塩はまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、もしくは水酸化第二鉄などの無機塩基から;または、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、もしくはプロカインなどの有機塩基から誘導され得る。溶液は、配合されたら、剤形と適合した様式により、治療上有効な量で、投与される。製剤は、注射液などの非経口投与用に処方されたもの、または肺に送達するためのエアロゾル、または薬物放出カプセルなどの消化剤投与用に処方されたものなど、様々な剤形で容易に投与される。
【0103】
さらに、本発明の特定の態様によれば、投与に適した組成物は、不活性希釈剤の有無にかかわらず、薬学的に許容される担体で提供され得る。担体は同化可能でなければならず、液体、半固体、すなわちペースト、または固体担体を含む。なんらかの従来の媒体、薬剤、希釈剤、または担体がレシピエントに対して、またはそこに含まれる組成物の処置効果に有害である場合を除いて、方法の実施に使用するための投与可能な組成物におけるその使用は適切である。担体または希釈剤の例としては、脂肪、油、水、食塩水、脂質、リポソーム、樹脂、結合剤、充填剤など、またはそれらの組み合わせが挙げられる。組成物はまた、1つ以上の成分の酸化を遅らせるための様々な抗酸化剤を含み得る。さらに、微生物の作用の防止は、パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールまたはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な抗菌剤及び抗真菌剤などの防腐剤によってもたらされ得る。
【0104】
本発明の特定の態様によれば、組成物は、任意の便利でかつ実用的な方法で、すなわち、溶液、懸濁液、乳化、混合、カプセル化、吸収などによって、担体と組み合わされる。そのような手順は、当業者にとって慣用的である。
【0105】
本発明の特定の実施形態では、この組成物は、半固体または固体の担体と完全に組み合わされるかまたは混合される。混合は、粉砕などの任意の便利な方法で実行され得る。処置活性の喪失、すなわち胃の変性から組成物を保護するために、安定剤を混合プロセスに加えてもよい。組成物に使用するための安定剤の例としては、緩衝液、グリシン及びリジンなどのアミノ酸、炭水化物または凍結保護剤、例えば、デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられる。
【0106】
いくつかの態様において、医薬製剤は、1つ以上の界面活性剤を含む。開示された方法に従って使用される界面活性剤としては、イオン性及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。代表的な非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート、例えば、TWEEN(登録商標)-20及びTWEEN(登録商標)-80界面活性剤(ニュージャージー州ブリッジウォーターのICI Americas Inc.);ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188);TRITON(登録商標)界面活性剤(ミズーリ州セントルイスのSigma);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ラウリル硫酸ナトリウム;オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-スルホベタイン;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-またはステアリル-サルコシン;リノレイル-、ミリスチル-、またはセチル-ベタイン;ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノールアミドプロピル-、ミリスタミドプロピル-、パルニドプロピル-、または(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン;ナトリウムメチルココイル-、または二ナトリウムメチルオレイル-タウレート;MONAQUAT(商標)界面活性剤(ニュージャージー州パターソンのMona Industries Inc.);ポリエチルグリコール;ポリプロピレングリコール;エチレンとプロピレングリコールのブロック共重合体、例えば、PLURONIC(登録商標)界面活性剤(ニュージャージー州マウントオリーブのBASF);オリゴ(エチレンオキシド)アルキルエーテル;アルキル(チオ)グルコシド、アルキルマルトシド;及びリン脂質が挙げられる。例えば、界面活性剤は、約0.01%~約0.5%(配合物の他の固体成分の総重量に対する界面活性剤の重量;「w/w」)、約0.03%~約0.5%(w/w)、約0.05%~約0.5%(w/w)、または約0.1%~約0.5%(w/w)の量で配合物中に存在し得る。しかしながら、さらなる態様において、実施形態の医薬製剤は、本質的に非イオン性界面活性剤を含まないか、または本質的に全ての界面活性剤を含まない。
【0107】
本発明の治療方法に関して、本明細書に開示される1つ以上のペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体または誘導体の投与は、特定の投与様式、投与量、または投与の頻度に限定されることを意図するものではない;本発明は、筋肉内、静脈内、腹腔内、小胞内、関節内、病変内、皮下、または炎症関連障害を処置するのに十分な用量を提供するのに十分な任意の他の経路を含む、全ての投与様式を企図する。治療薬は、単回投与で患者に投与されても、または複数回投与で患者に投与されてもよい。複数の用量が投与される場合、用量は、例えば、1時間、3時間、6時間、8時間、1日、2日、1週間、2週間、または1ヶ月間によって互いに分離され得る。例えば、治療薬は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、10、15、20、またはそれ以上の週の間投与されてもよい。任意の特定の対象について、特定の投与計画は、個々の必要性、及び組成物を投与するか、または投与を監督する人の専門的判断に従って、時間とともに調整されるべきであることを理解されたい。例えば、より低い用量で十分な処置活性が得られない場合、治療薬の投与量を増やしてもよい。
【0108】
主治医が最終的に適切な量及び投与計画を決定する一方で、本明細書に開示される1つ以上のポリペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体もしくは誘導体の治療有効量は、0.0001、0.01、0.01 0.1、1、5、10、25、50、100、500、または1,000mg/kgまたはg/kgの用量で提供され得る。有効用量は、インビトロまたは動物モデルの試験バイオアッセイまたは系から誘導された用量反応曲線から外挿され得る。
【0109】
特定の患者または対象の投与量は、従来の考慮事項を使用して(例えば、適切な従来の薬理学的プロトコルによって)当業者によって決定され得る。医師は、例えば、最初は比較的低用量を処方し、その後、適切な応答が得られるまで用量を増やしてもよい。患者に投与される用量は、用途に応じて、経時的に患者に有益な治療反応をもたらすのに十分であるか、または、例えば、症状もしくは他の適切な活動を低減するのに十分である。用量は、特定の製剤の有効性、ならびに本明細書に開示される1つ以上のポリペプチドまたはその変異体、バリアント、類似体もしくは誘導体の活性、安定性または血清半減期、及び患者の状態、ならびに処置される患者の体重または表面積によって決定される。
【0110】
いくつかの態様において、対象は、単回投与を与えられ、対象、好ましくは哺乳動物、より好ましくは肺線維症に罹患しているかまたは肺線維症に罹りやすいヒトを処置するために1日1回与えられるのは、約0.2mg/kg~250mg/kg、例えば、約10mg/kg~約50mg/kgの間で、例えば、点滴注入(吸入による)による。そのような用量は、約3日から1週間以上のどこにでも毎日投与され得る。当該技術分野でよく理解されているように、用量を下方に調整する必要があるかもしれないが、慢性投与も可能である。しかしながら、個々の処置レジームにおける変数の数が多く、これらの好ましい値からのかなりの逸脱が予想されるので、前述の範囲は示唆的である。
【0111】
例えば、以下に記載される実験のいくつかで使用された浸透圧ポンプなどのポンプシステムによる連続投与の場合、約1~2週間の時間経過の総投与量は、好ましくは1mg/kg~1g/kg、好ましくは20~300mg/kg、より好ましくは50~200mg/kgの範囲である。そのような連続投与レジメンの後、活性化合物の総濃度は、好ましくは約0.5~約50μM、好ましくは約1~約10μMの範囲である。
【0112】
インビトロでアポトーシスを阻害または阻害することを防止するための活性化合物の有効濃度は、約0.5nM~約100nMの範囲、より好ましくは約2nM~約20nMである。有効用量及び最適用量範囲は、本明細書に記載の方法を使用してインビトロで決定され得る。
【0113】
B.エアロゾル分散及び噴霧デバイス
製剤は、ジェットネブライザー、超音波ネブライザー、定量吸入器(MDI)、及びジェットまたはノズルを強制的に通過させることによる液体のエアロゾル化のためのデバイスを含むがこれらに限定されない任意の適切なデバイス(例えば、カリフォルニア州、ヘーワードのAradigmによるAERX(登録商標)ドラッグデリバリーデバイス)を使用してエアロゾル化され得る。さらに、化合物は、乾燥粉末吸入器デバイスを使用して送達するための乾燥粉末として処方されてもよい。本明細書以下でさらに説明するように、製剤を対象に送達するために、肺送達デバイスはまた、任意選択でマスク、マウスピース、ミスト吸入装置、及び/またはユーザが正しく吸入するように誘導し、呼吸の適切なタイミングで自動的に薬剤を送達するプラットフォームと組み合わせて、人工呼吸器を含んでもよい。本発明の方法に従って使用され得る代表的なエアロゾル化デバイスとしては、限定するものではないが、米国特許第6,357,671号;同第6,354,516号;同第6,241,159号;同第6,044,841号;同第6,041,776号;同第6,016,974号;同第5,823,179号;同第5,797,389号;同第5,660,166号;同第5,355,872号;同第5,284,133号;及び同第5,277,175号、ならびに米国特許出願公開第20020020412号及び20020020409号に記載されるデバイスが挙げられる。
【0114】
ジェットネブライザーを使用して、コンプレッサーまたは病院のエアラインからの圧縮ガスは、ジェットとして知られる狭い狭窄部を通過する。これにより低圧の領域が作成され、リザーバーからの薬液がフィードチューブから吸い上げられ、空気の流れによって液滴に断片化される。最小の液滴のみがネブライザーを直接離れ、大部分はバッフル及び壁に影響を与え、リザーバーに戻される。その結果、ジェット噴霧を実行するのに必要な時間は、他の要因の中でもとりわけ、噴霧される組成物の容積に応じて変化し、そのような時間は、当業者によって容易に調整され得る。
【0115】
定量吸入器(MDI)を使用して、ネブライザーを使用して通常送達されるよりもより濃縮された形態で本発明の組成物を送達してもよい。最適な効果を得るために、MDI送達システムには、吸入によるエアロゾル送達の協調作動、毎秒約0.5~0.75リットルのゆっくりとした吸入、吸気吸入能力に達する深呼吸、及び少なくとも4秒間の息止めを含む、適切な投与技術が必要である。MDIを使用した肺送達は、処置が比較的短い処置時間及び低コストの恩恵を受ける場合に便利でかつ適切である。場合により、製剤は、噴霧中に約25℃~約90℃に加熱されて、効果的な液滴形成及びその後の送達を促進し得る。例えば、米国特許第5,299,566を参照のこと。
【0116】
実施形態のエアロゾル組成物は、肺内への効率的な送達に適したサイズである組成物の液滴を含む。場合によっては、界面活性剤製剤は、肺気管支、さらに好ましくは細気管支、さらにより好ましくは肺胞管、さらにより好ましくは肺胞に送達される。エアロゾル液滴は、典型的には、直径が約15μm未満、直径が約10μm未満、直径が約5μm未満、または直径が約2μm未満である。ヒト対象の肺胞気管支への効率的な送達のために、エアロゾル組成物は、好ましくは、約1μm~約5μmの直径を有する液滴を含んでもよい。
【0117】
液滴サイズは、当該技術分野で公知の技術、例えば、カスケード、衝突、レーザー回折、及び光学的パターン化を使用して評価され得る。McLean et al.(2000)Anal Chem 72:4796-804,Fults et al.(1991)J Pharm Pharmacol 43:726-8,及びVecellio None et al.(2001)J Aerosol Med 14:107-14を参照のこと。
【0118】
エアロゾル化後のタンパク質の安定性は、サイズ排除クロマトグラフィー;電気泳動技術;UV分光法及び円二色性分光法などの分光技術、及びタンパク質活性(インビトロまたはインビボで測定)を含む当該技術分野で公知の技術を使用して評価され得る。タンパク質の安定性のインビトロアッセイを実行するために、エアロゾル組成物を収集し、蒸留するか、フィルターに吸収させてもよい。インビボアッセイを実施するために、または対象への組成物の肺投与のために、エアロゾル化のためのデバイスは、対象による吸入に適合されている。例えば、タンパク質の安定性は、タンパク質凝集のレベルを決定することによって評価され得る。好ましくは、本発明のエアロゾル組成物は、タンパク質凝集体を実質的に含まない。可溶性凝集物の存在は、DLS(DynaPro-801TC、バージニア州シャーロッツビルのProteinSolutions Inc.)を使用して、及び/またはUV分光光度法によって定性的に決定され得る。
【0119】
「振動メッシュネブライザー」という用語は、本明細書では、複数の開口を有する振動メッシュまたはプレート(開口プレート)を使用して微粒子の低速エアロゾルを生成するという一般原理に基づいて動作する任意のネブライザーを指す。一部のネブライザーは、1000~7000個の穴を備えたメッシュ/メンブレンを含む場合があり、このメッシュ/メンブレンは液体リザーバーの上部で振動する(例えば、米国特許公開20090134235及びWaldrep and Dhand 2008を参照、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、振動メッシュネブライザーは、AERONEB(登録商標)プロフェッショナルネブライザー、オムロンMICROAIR(登録商標)、Pari EFLOW(登録商標)、またはEZ Breathe Atomizerである。いくつかの態様において、振動メッシュネブライザーは、約50~250kHz、75~200kHz、100~150kHz、または約120kHzの間の振動周波数を有する。これらのデバイスは、エアロゾルを肺に送達する効率が高く、これらのデバイスに残っている液体の量は最小限であり、これは、プラスミノーゲン活性化因子のような高価でかつ強力な化合物にとって有利である。
【0120】
特定の態様では、実施形態の噴霧組成物は、振動メッシュ噴霧器を使用して生成される。例えば、この組成物は、アクティブ振動メッシュネブライザー(例えば、Aeroneb(登録商標)Professional Nebulizer System)を用いて生成され得る。そのようなシステム及びそこでの動作の説明は、例えば、米国特許第6,921,020号;同第6,926,208号;同第6,968,840号;同第6,978,941号;同第7,040,549号;同第7,083,112号;同第7,104,463号;及び同第7,360,536号(これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見出され得る。さらに別の態様では、実施形態の組成物は、Omron MicroAir(オムロンマイクロエア)(登録商標)またはEZ Breathe Atomizerなどの受動振動メッシュネブライザーを使用して生成され得る。
【0121】
IV.処置のための肺の状態
本発明の修飾ペプチドは、様々な肺の状態を処置するために使用され得る。処置のための肺の状態は、急性である場合もまたは慢性の場合もある。急性の肺の状態は、急性肺損傷、感染症、または化学物質誘発性である場合がある。慢性肺状態は、損傷、感染症、または疾患の結果である場合がある。
【0122】
A.肺損傷
いくつかの態様において、対象は、急性肺損傷(ALI)または感染症または化学物質誘発性肺損傷を有する。特定の態様において、対象は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、吸入煙誘発性急性肺損傷(ISALI)、気管支拡張症、吸入毒素誘発性気道疾患(例えば、塩素または他の誘発性気道疾患)、マスタードガスへの曝露、粒子状物質(例えば、シリカダスト)への曝露、閉塞性細気管支炎、肺炎を組織化する閉塞性細気管支炎、薬物誘発性肺疾患、及び肺線維症の加速(例えば、ARDSを含む急性肺損傷後に発生)を有する。急性肺損傷(ALI)は、アメリカ軍関係者の間で深刻な医学的問題である。戦闘中のALIは、極めて広範な病因から生じ得る。
【0123】
吸入傷害によるALIは、吸入抗凝固薬、ステロイド、ベータアゴニスト、高頻度換気、及び体外式膜型人工肺で処置されており、結果は変動し、一般的には最適ではない。呼吸マスクを備えたバリア以外に効果的な予防策はない。ARDSの管理は大幅に進歩したが、大部分は引き続き支援的であり、内因性の治癒メカニズムが効果を発揮するのを注意深く待つものであり;院内死亡率は40%を超えたままである(Matthay et al.,2012)。ALIの生存者は、生活の質が低下した慢性呼吸器疾患に苦しむ場合が多い。慢性呼吸不全及び肺線維症などの回復を加速するか、及び/または後の合併症を防ぎ得る任意の手順が非常に望ましい。早期診断、さらに重要なことに、ALIの予防と治療を改善することが切実に必要とされている。全身性疾患に起因する直接吸入肺損傷またはARDSによるALIの病態生理学は、極めて複雑かつ不均一であり、膜透過性の増大、炎症性サイトカインの流入、酸化的細胞損傷、コンパートメント液シフト、イオンチャネルの障害などのような全身性及び局所性の心肺因子を含む(Matthay et al.,2012)。明らかに、ALIなどの肺障害を処置及び予防するには、新しい処置法が必要である。
【0124】
いくつかの実施形態において、対象において、急性肺損傷、肺感染症または肺疾患を処置または予防する方法が提供され、これは、対象に、少なくとも1つのアミノ酸置換、FTTFTVTのアミノ酸配列(配列番号2)に対する挿入または欠失を含む有効量のバリアントポリペプチド(このバリアントポリペプチドはカベオリン-1(Cav-1)の生物学的活性を維持する)を投与することを含む。いくつかの態様において、実施形態の医薬製剤を投与する方法は、バリアントポリペプチドを含む溶液を噴霧することを含む。特定の態様では、対象は、ヒトである。
【0125】
B.肺疾患
肺疾患としては、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、閉塞性細気管支炎、鋳型細気管支炎、及び肺感染症、コラーゲン血管肺疾患(例えば、ループス、強皮症または混合結合組織疾患から)、間質性肺疾患(例えば、特発性肺線維症またはサルコイドーシス)、ならびに線維症につながる急性及び慢性の肺損傷が挙げられる(Murray et al.,1997;Rabe et al.,2007;Tsushima et al.,2009)。これらの疾患は、世界で3番目に多い死因となっている。
【0126】
嚢胞性線維症は、主に消化器系及び呼吸器系に影響を与える外分泌腺及び外分泌汗腺の遺伝性疾患である。この病気は通常、慢性呼吸器感染症、膵臓機能不全、異常に粘稠な粘液性分泌物、及び早死を特徴とする。嚢胞性線維症(CF)は、進行性の気流閉塞を特徴とする。CF個体のサブセットはまた、吸入コリン作動薬に対する気道過敏性(Weinberger,2002及びMitchell et al.,1978)及び気管支拡張薬に応答した気流制限の可逆性(van Haren et al.,1991及びvan Haren et al.,1992)も発症する。気管支過敏性及び気道閉塞の存在によって、CFと、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、気道平滑筋機能障害が疾患プロセスに寄与すると考えられている他の気道狭窄疾患との間で共通の病因の可能性が示唆される。
【0127】
肺感染症は、細菌感染症であってもよい。感染性細菌は、Pseudomonas aeruginosa、Bacillus anthracis、Listeria monocytogenes、Staphylococcus aureus、Salmenellosis、Yersina pestis、Mycobacterium leprae、M.africanum、M.asiaticum、M.aviuin-intracellulaire、M.chelonei abscessus、M.fallax、M.fortuitum、M.kansasii、M.leprae、M.malmoense、M.shimoidei、M.simiae、M.szulgai、M.xenopi、M.tuberculosis、Brucella melitensis、Brucella suis、Brucella abortus、Brucella canis、Legionella pneumonophilia、Francisella tularensis、Pneurnocystis carinii、mycoplasma、またはBurkholderia cepaciaであってもよい。細菌感染は肺炎を生じ得る。
【0128】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、2つの主要な気流閉塞障害である、慢性気管支炎及び肺気腫を分類するために使用される用語である。約1600万人のアメリカ人がCOPDを患っており、その80~90%は生涯を通じて喫煙者であった。COPDは、米国の主要な死因であり、2003年には122,283人の死亡例を占める。COPDに関する米国での費用は、2003年の直接医療費で約209億ドルであった。慢性気管支炎は、気管支気道の炎症である。気管支気道は気管と肺とを接続する。炎症を起こすと、気管支が粘液を分泌し、慢性の咳を引き起こす。
【0129】
肺気腫では、肺のエラスチン骨格への損傷の結果として、肺胞嚢が過剰に膨張している。気腫性肺の炎症細胞はエラスターゼ酵素を放出し、これが肺マトリックス内のエラスチン繊維を分解または損傷する。肺気腫には、喫煙、環境汚染物質への曝露、アルファ1アンチトリプシン欠乏症及び老化など、多くの原因がある。
【0130】
細気管支炎は、ウイルス性下気道感染症によって最も一般的に引き起こされ、主に急性炎症、浮腫、小さな気道を覆う上皮細胞の壊死、及び粘液産生の増大を特徴とする(Ralston et al.,2014)。兆候及び症状は通常、鼻炎及び咳から始まり、頻呼吸、喘鳴、ラ音、副筋の使用、及び/または鼻のフレアに進行し得る。
【0131】
閉塞性細気管支炎は、肺の小気道の異常なリモデリングの結果としての進行性の気流低下である(Meyer et al.,2014)。閉塞性細気管支炎症候群は、肺移植の主要な合併症であり、これを使用して他の既知の原因によって引き起こされない強制呼気量及び力の持続的な低下をもたらす、同種移植片機能不全の遅延を説明する場合が多い(Meyer et al.,2014)。
【0132】
「喘息」という用語は、急性喘息、慢性喘息、間欠性喘息、軽度持続性喘息、中等度持続性喘息、重度持続性喘息、慢性持続性喘息、軽度から中等度の喘息、軽度から中等度の持続性喘息、軽度から中等度の慢性持続性喘息、アレルギー性(外因性)喘息、非アレルギー性(内因性)喘息、夜間喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息、季節性喘息、無症候性喘息、胃食道喘息、特発性喘息及び咳喘息(cough variant asthma)を指し得る。喘息の間、気道は持続的に炎症を起こし、時にはけいれんを起こす場合がある。
【実施例
【0133】
V.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を裏付けるために含まれる。以下に続く実施例において開示された技術は、本発明の実行において良好に機能するように本発明者によって発見された技術を表し、したがって、その好適な実行のモードを構成すると考えられ得ることが、当業者に理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更が開示される特定の実施形態においてなされるが、それでも同様なまたは類似する結果を得ることができることを理解するべきである。
実施例1-Cav-1ペプチド溶解性
【0134】
どのペプチドが液体製剤に最も溶解し得るかを決定するために、50mgの各Cav-1ペプチドを5mLのTris緩衝生理食塩水、pH7.51に溶解した。試料が完全に溶解するのを助けるために、各試料をボルテックスした。600 nmでの吸光度は、不溶性ペプチドの場合はペプチドの溶解直後、または可溶性ペプチドの場合は10分後に測定した。吸光度は、それぞれ、溶解後15分、5分、または15分に2回目に測定された試料APi2348、APi2352、APi2353を除いて、不溶性ペプチドに関して10分後に再度測定した。試料APi2345は、溶解が不完全であったため、溶解後20分後にのみ測定した(表2)。pHはまた24時間後にも試験した。
【0135】
試料APi2350、APi2354、APi2355、及びAPi2356は、他の試験されたペプチドと比較して、pH7.51での溶解度が増大していた(表2)。24時間後、全ての試料でpHは約pH7.5で安定したままであった。
【0136】
【表2】
【0137】
実施例2-Cav-1ペプチドは平滑筋アクチン産生を増大させる
Cav-1ペプチドを、DMSOに溶解して、10mMのストック溶液を作製した。次に、各ペプチドの10mMストック溶液を、HBSSで希釈して、900μMのワーキングストック溶液を作成した。DMSOに再懸濁したポリペプチド及びワーキングストックを-20℃で保存した。培地の場合、Cav-1ペプチドの最終濃度が10μMになるようにワーキングストックをDMEM培養培地に添加した。
【0138】
特発性肺線維症(IPF)細胞株2051を購入し、第4継代からのIPF細胞を、DMEM、10%FBS、及び1%P/Sを含む100mmプレートに播種した。IPF細胞を4mLのDMEM+1%P/Sで洗浄し、血清を一晩飢餓状態にした。次に、細胞を、44μLのHBSS(陰性対照)、10μMのLTI-03(配列番号2)、90μMのLTI-03(陽性対照)、10μMのAPi2350、10μMのAPi2354、10μMのAPi2355、10uMのAPi2356または20uLのDMSO(陰性対照)のいずれかで2日間処理した。
【0139】
2日間の処理後、細胞を冷無菌HBSSで1回洗浄した。HBSSを除去し、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む150uLの溶解緩衝液を細胞に添加した。細胞を溶解緩衝液とともに10分間インキュベートした。細胞溶解物をプレートからこすり取り、収集した。次に、細胞溶解物を2回超音波処理した。超音波処理後、溶解物を13,000RPMで20分間遠心分離した。次に、溶解物を液体窒素で急速冷凍し、解凍し、ボルテックスし、13,000RPMで30分間再度遠心分離した。次に、上澄みを収集し、ペレットを廃棄した。次に、細胞溶解物の濃度をBCAアッセイによって決定した。
【0140】
処置の効果の存在を評価するために、ウエスタンブロットを実施した。簡単に説明すると、12ugの各溶解物を10%ポリアクリルアミドゲルで泳動した。次に、ゲルを膜に移し、洗浄した。平滑筋アクチン(SMA)及びチューブリンに対する一次抗体のウエスタンブロットの結果は、図1に見られ得る。写真のレーンの各溶解物の処理は次のとおりである:1:未処理、2:10μMのLTI-03、3:90μMのLTI-03、4:10μMのAPi2350、5:10μMのAPi2354、6:10μMのAPi 2355、7:10μMのAPi2356、及び8:DMSO。
【0141】
ウエスタンブロットを写真撮影し、ImageJで分析して、平滑筋アクチンとチューブリンの比率を決定した(図2)。予想どおり、LTI-03はチューブリンと比較してSMA産生の増大を誘発した。Cav-1ペプチドAPi2350、APi2354、APi2355、及びAPi2356による処置は全て、チューブリンと比較してSMAの発現も増大させた(図2)。
実施例3-Cav-1ペプチドは、線維性肺生検のAEC2細胞を保存する
【0142】
AEC2細胞生存率に対するCav-1ペプチドAPi2355(配列番号8)の効果を評価するために、非特異的間質性肺炎精密切断肺スライス(PCLS)の調製のために外科的生検を得た。非特異的間質性肺炎(NSIP)の1個体及び末期IPFの別の個体を処理した。生細胞の酸性コンパートメントを染色し、肺AEC2細胞の層状体に選択的に蓄積するLysotracker染色を実施した(Van der Velden et al.,2013)。Cav-1ペプチドをDMEM/5%FBSに懸濁し、PCLSスライス(n=5複製/処理グループ)を10、100、または500μMのLTI-03またはAPi2355(Var 55)で処理した。Lysotracker染色(Green DND-26、Promega)は、1回の処理の48時間後にNSIP PCLSで実行した。AEC2細胞生存率の強い用量依存的増大を観察した。さらに、リゾトラッカー染色(Red DND-99,Promega)は、LTI-03またはAPi2355による毎日の処置後1、2、3、5、及び7日目の末期IPFで実施した。LTI-03で7日間連続して処置した末期IPF生検で、AEC2細胞生存率の用量依存的な増大を観察した。APi2355(Var 55)の治療効果は3日目まで観察した。
【0143】
* * *
本明細書に開示され主張される方法の全ては、本開示に照らして、過度の実験なしに実行かつ達成される。本発明の組成物及び方法が、好ましい実施形態に関して記述されてきたが、その変形が、本発明の概念、趣旨、または範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法に対して、及びステップにおいてまたは方法のステップの順序において適用されてもよいことが、当業者には明らかであろう。より具体的には、同一または類似の結果が達成される限り、化学的及び生理学的の両方に関連する特定の作用物質が、本明細書に記載される作用物質に置き換えられてもよいことが明らかであろう。当業者に明確な全てのこうした類似の置換及び改変は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨、範囲、及び概念の範囲内であると見なされる。
【0144】
V. 引用文献
以下の参考文献は、これらが例示的な手法または他の細部の補足を本明細書に記載されるものに提供する程度まで、具体的に参照により本明細書に組み込まれる。
Bonelli,F.et al.,Int J Pept Protein Res.24(6):553-6(1984).
Bundgaard H,Ed:Design of Prodrugs,Elsevier,Amsterdam,1985
Current Protocols In Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987)
Dordo et al,J.Mol Biol,1999,217,721-739
Fults et al.(1991)J Pharm Pharmacol 43:726-8
Giannis et al.,Adv.in Drug Res.29:1-78(1997).
Hruby,VJ,Biopolymers 33:1073-1082(1993)
Johnson et al.,In:Biotechnology and Pharmacy,in Pezzuto et al.,Chapman and Hall(Eds.),NY,1993
Kyte及びDoolittle,J.Mol.Biol.,157(1):105-32,1982.
McLean et al.(2000)Anal Chem 72:4796-804.
Meyer et al.,European Respiratory Journal,44:1479-1503,2014.
Moore et al.,Adv.in Pharmacol 33:91-141(1995)
Ralston et al.,Pediatrics,134(5):e1474-e1502,2014.
Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,A.R.Gennaro,Ed.,MackPubl.,Easton,PA(1990).
S.French及びB.Robson,J.Mol.Evol.19(1983)171
Taylor et al,J.Theor.Biol.119(1986);205-218
米国特許第4,554,101号
米国特許第5,277,175号
米国特許第5,284,133号
米国特許第5,355,872号
米国特許第5,660,166号
米国特許第5,797,389号
米国特許第5,823,179号
米国特許第5,889,155号
米国特許第6,016,974号
米国特許第6,041,776号
米国特許第6,044,841号
米国特許第6,241,159号
米国特許第6,261,569号
米国特許第6,261,569号
米国特許第6,354,516号
米国特許第6,357,671号
米国特許第6,921,020号
米国特許第6,926,208号
米国特許第6,968,840号
米国特許第6,978,941号
米国特許第7,040,549号
米国特許第7,083,112号
米国特許第7,104,463号
米国特許第7,360,536号
米国特許出願公開第2002/0020409号
米国特許出願公開第2002/0020412号
米国特許出願公開第2009/0134235号
米国特許出願公開第2009/0304666号
Vecellio None et al.(2001)J Aerosol Med 14:107-1
Verdini,A及びViscomi,G.C,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 :697-701,1985.
Waldrep及びDhand,Curr.Drug Deliv.,5(2):114-9,2008.
Wawrzynczak及びThorpe,Cancer Treat Res.,37:239-51,1988.
Wiley,RA et al.,Med.Res.Rev.13:327-384,1993.
図1
図2
【配列表】
0007496826000001.app