(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】重荷重車両
(51)【国際特許分類】
B62D 7/14 20060101AFI20240531BHJP
B62D 7/15 20060101ALI20240531BHJP
B62D 12/02 20060101ALI20240531BHJP
B62D 13/04 20060101ALI20240531BHJP
B62D 53/00 20060101ALI20240531BHJP
F16H 21/12 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
B62D7/14 B
B62D7/15 A
B62D7/15 B
B62D12/02
B62D13/04
B62D53/00 D
F16H21/12
(21)【出願番号】P 2021555158
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2020057312
(87)【国際公開番号】W WO2020200772
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】102019204442.5
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515090422
【氏名又は名称】ゴルトホーファー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Goldhofer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Donaustrasse 95, D-87700 Memmingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト ヘーフェレ
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02154521(GB,A)
【文献】欧州特許出願公開第01847448(EP,A2)
【文献】特開2015-223935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/26, 7/04, 7/08- 7/22,13/00,
53/00
F16H 19/00-31/00,35/10,37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重荷重車両(10)であって、該重荷重車両(10)が、
前記重荷重車両(10)の車両フレームにおいてローテーション軸線(C)を中心として回転可能に支承されるとともに、前記重荷重車両(10)の操舵装置および/または操舵入力エレメント(16)に結合されるように構成されている少なくとも1つの結合部分(22)を有している操舵ユニット(20)と、
前記操舵ユニット(20)に結合されていて、前記操舵ユニット(20)の、前記ローテーション軸線(C)を中心とした回転を引き起こすように構成されている前記操舵入力エレメント(16)と
を含んでおり、
前記操舵ユニット(20)が
、長さ変更可能な少なくとも1つの作動ユニット(32)を含んでおり、該作動ユニット(32)が、前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)に対する少なくとも1つの結合部分(22)の間隔を変更するように構成されて
おり、
前記重荷重車両(10)が、別の操舵装置を含んでおり、
前記操舵ユニット(20)が、一方の操舵装置にも、前記別の操舵装置にも結合されており、
前記操舵ユニット(20)の前記長さ変更可能な作動ユニット(32)は、前記一方の操舵装置に対応配置された少なくとも1つの結合部分(22)を、前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)に対して相対的に移動させるように構成されている、重荷重車両(10)において、
前記操舵ユニット(20)が、別の長さ変更可能な作動ユニット(32)を含んでおり、該別の長さ変更可能な作動ユニット(32)は、前記別の操舵装置に対応配置された結合部分(22)のうちの少なくとも1つの結合部分を、前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)に対して相対的に移動させるように構成されていることを特徴とする、
重荷重車両。
【請求項2】
前記操舵入力エレメント(16)が、前記操舵ユニット(20)に、連結ユニット(18)を介して結合されており、前記連結ユニット(18)が、前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)に対して偏心的に前記操舵ユニット(20)に結合されており、前記連結ユニット(18)は、前記重荷重車両(10)の前記車両フレームに対して相対的な前記操舵入力エレメント(16)の移動が前記重荷重車両(10)の前記車両フレームに対して相対的な前記操舵ユニット(20)の回転を引き起こすように、前記操舵入力エレメント(16)を前記操舵ユニット(20)に結合することを特徴とする、請求項1記載の重荷重車両。
【請求項3】
前記操舵入力エレメント(16)が、前記重荷重車両(10)の前記車両フレームに対して位置不変の回転軸線(A)を中心として回転可能、かつ前記回転軸線(A)に対して実質的に変更不能な間隔で配置された操舵アクチュエータ(16)として構成されており、該操舵アクチュエータ(16)が、該操舵アクチュエータ(16)に結合された前記連結ユニット(18)のための旋回軸線(B)を定義する、請求項2記載の重荷重車両。
【請求項4】
前記重荷重車両(10)が、操舵プレート(14)をさらに含んでおり、該操舵プレート(14)は、前記重荷重車両(10)の前記車両フレームに対して相対的に前記位置不変の回転軸線(A)を中心として、前記重荷重車両(10)の操舵角(α)に依存して回転させられるように構成されており、前記操舵アクチュエータ(16)が、前記操舵プレート(14)に、前記操舵プレート(14)の前記回転軸線(A)に対して偏心的に結合されている、請求項3記載の重荷重車両(10)。
【請求項5】
前記操舵ユニット(20)の前記長さ変更可能な作動ユニット(32)は
、前記一方の操舵装置に対応配置された結合部分の全ての結合部分(22)を、前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)に対して相対的に移動させるように構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の重荷重車両(10)。
【請求項6】
前記別の長さ変更可能な作動ユニット(32)は
、前記別の操舵装置に対応配置された結合部分(22)の全ての結合部分を、前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)に対して相対的に移動させるように構成されている、請求項5記載の重荷重車両(10)。
【請求項7】
前記操舵ユニット(20)の前記長さ変更可能な作動ユニット(32)のうちの少なくとも1つの長さ変更可能な作動ユニットは、1対の前記結合部分(22)を前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)に対して相対的に同期的に移動させるように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の重荷重車両(10)。
【請求項8】
前記操舵ユニット(20)の少なくとも1つの
、長さ変更可能な作動ユニット(32)の長さ変更方向が、前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)に対して直交するように配向されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の重荷重車両(10)。
【請求項9】
前記長さ変更可能な作動ユニット(32)のうちの少なくとも1つの長さ変更可能な作動ユニット(32)が、液圧式のシリンダもしくはダブルシリンダとして、またはスピンドル駆動装置もしくはダブルスピンドル駆動装置として、またはラック&ピニオン駆動装置として、またはリニアユニットとして、またはスライダブロックユニットとして構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の重荷重車両(10)。
【請求項10】
前記操舵プレート(14)が、キングピンならびに操舵ウェッジを含んでおり、該キングピンならびに前記操舵ウェッジは、前記重荷重車両(10)の一部ではない上位の構成
群に相対回動不能に係合するように構成されており
、前記操舵プレート(14)の前記回転軸線(A)が、前記キングピンの中心軸線と実質的に同軸的である、
請求項4または請求項4を引用する請求項
5から9までのいずれか1項記載の重荷重車両(10)。
【請求項11】
前記操舵プレート(14)の前記回転軸線(A)を中心とした、前記重荷重車両(10)の前記車両フレームに対して相対的な前記操舵プレート(14)の回転と、該回転により引き起こされる、前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)を中心とした、前記操舵ユニット(20)の回転とが、それぞれの回転方向に関して同一方向に向けられている、
請求項4または請求項4を引用する請求項
5から10までのいずれか1項記載の重荷重車両(10)。
【請求項12】
前記操舵ユニット(20)の
、少なくとも1つの長さ変更可能な作動ユニット(32)が、前記操舵プレート(14)の前記回転軸線(A)に対して直交する方向で見て、前記操舵プレート(14)の外側に配置されている、
請求項4または請求項4を引用する請求項
5から11までのいずれか1項記載の重荷重車両(10)。
【請求項13】
前記操舵ユニット(20)が結合されている少なくとも1つの操舵装置が、液圧循環回路を含んでおり、該操舵装置に対応配置された前記結合部分(22)のうちの少なくとも1つの結合部分(22)が、ピストン-シリンダアセンブリ(24,26,28,30)に結合されており、前記ピストン-シリンダアセンブリ(24,26,28,30)は、前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)を中心とした前記操舵ユニット(20)の回転が、前記ピストン-シリンダアセンブリ(24,26,28,30)のピストンとシリンダとの相対的な移動を引き起こすように配置されており、これにより、前記操舵装置の液圧循環回路が操作可能である、請求項1から12までのいずれか1項記載の重荷重車両(10)。
【請求項14】
各操舵装置に、2つのピストン-シリンダアセンブリ(24,26,28,30)が対応配置されており、該ピストン-シリンダアセンブリ(24,26,28,30)のうちのそれぞれ1つのピストン-シリンダアセンブリが、前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)を通って延びる中心平面の両側
に配置された結合部分(22)のうちの1つにおいて前記操舵ユニット(20)に結合されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の重荷重車両(10)。
【請求項15】
前記ピストン-シリンダアセンブリ(24,26,28,30)の、それぞれ前記操舵ユニット(20)とは反対側の端部が、前記
中心平面の同一の側において、1つの共通の軸線(D,D’)を中心として回転可能に支承されており、該軸線(D,D’)が
、前記操舵ユニット(20)の前記ローテーション軸線(C)
に対して実質的に平行である、請求項14記載の重荷重車両(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重荷重車両であって、該重荷重車両が、操舵ユニットであって、重荷重車両の車両フレームにおいてローテーション軸線を中心として回転可能に支承されていて、重荷重車両の操舵装置および/または操舵入力エレメントに結合されるように構成されている少なくとも1つの結合部分を有している操舵ユニットを含んでいる、重荷重車両に関する。
【0002】
ここで、重荷重車両は、エンジン駆動される重荷重車両であっても、牽引される重荷重車両であってもよく、たとえば重荷重被牽引車、または2011年7月15日版のEG指令2007-46-EGの付属書XIにおいて呼ばれているように、「重荷重搬送用の被牽引車」、つまり上掲の指令により成されたこの用語の定義によれば、その寸法に基づいて、速度制限および通行制限を受ける分離可能または分離不能な荷(たとえば土木機械、容器または風力発電機のためのロータ翼)の搬送のための区分O4の車両であってよいことが示唆され、この車両には、アクスルおよびモジュールの個数に依存せずにモジュール式の被牽引車も含まれる。さらに、エンジン駆動される重荷重車両でも、アクスル構成群の全てがエンジン駆動される必要がないことを確認しておく。
【0003】
さらに、本発明の趣旨において、各個別のアクスル構成群のために設計されている必要がある荷重が、少なくとも4トン、好適には少なくとも5トン、さらに好適には少なくとも6トンの値を有している車両のみが重荷重車両と見なされる。
【0004】
このような重荷重車両は、その都度搬送すべき積み荷に依存して、しばしば多数のアクスル構成群を有している。このことは、他方では重荷重車両の大きな長さを伴う。さらに、重荷重車両の長さは、使用毎に互いに異なっていることがあり、たとえばこの長さは、伸縮可能な中央縦ビームによって、または積載用ブリッジまたはこのような別の構成要素の配置により変更可能であってよい。大きな長さは、個別のアクスル構成群を、カーブ走行時に、操舵軸を中心としたその都度最適な操舵回転角に調節することを困難にする。
【0005】
先行技術からは、たとえばトラクタとセミトレーラのような2つの車両エレメントの間の相対的な回転を、調節可能な伝達比を使用しながら操舵装置に伝達するための装置を有している重荷重車両が知られている。たとえば、欧州特許第2674349号明細書は、トラクタの牽引連結装置(Sattelkupplung)に回転可能に結合されていて、長さ変更可能な作動ユニットに固定的に結合されている操舵プレートを開示しており、長さ変更可能な作動ユニットの自由端において、操舵装置に結合するための操舵アクチュエータが配置されている。上掲の操舵プレートでは、長さ変更可能な作動ユニットが、操舵プレートに固定的に結合されていることによって、作動ユニットの設計は、たとえばその大きさに関して著しく制限されている。さらに、これにより、有利な改良は可能ではないか、または、たとえば複数の操舵装置を設けるなど、大きな構造的な手間をかけないと可能ではない。
【0006】
したがって、本発明の課題は、第2の車両部分の操舵装置への第1の車両部分の操舵角の簡略化されかつより良好に改良することができる伝達を有する重荷重車両を提供することにある。
【0007】
この課題は、本発明によれば、重荷重車両であって、該重荷重車両が、操舵ユニットであって、重荷重車両の車両フレームにおいてローテーション軸線を中心として回転可能に支承されていて、重荷重車両の操舵装置および/または操舵入力エレメント(Lenkgeber)に結合されるように構成されている少なくとも1つの結合部分を有している操舵ユニットと、操舵入力エレメントであって、操舵ユニットに結合されていて、操舵ユニットの、ローテーション軸線を中心とした回転を引き起こすように構成されている操舵入力エレメントと、を含んでおり、操舵ユニットが、好適には長さ変更可能な少なくとも1つの作動ユニットを含んでおり、この作動ユニットが、操舵ユニットのローテーション軸線に対する少なくとも1つの結合部分の間隔を変更するように構成されている、重荷重車両により解決される。
【0008】
操舵装置は、結合部分において操舵ユニットに枢着式に結合されていてよく、これにより、たとえば操舵ユニットの回転が、まず、操舵装置の、操舵ユニットに取り付けられた部分の実質的に軸方向の移動を引き起こす。操舵ユニットのさらなる回転時には、操舵装置の、結合部分に配置された部分を、当然ながら同様に回転式に移動させることができる。
【0009】
特に、本発明に係る重荷重車両により、操舵入力エレメントにより操舵ユニットに入力された操舵角を、長さ変更可能な作動ユニットを使用しながら可変の伝達比で、長さ変更可能な作動ユニットに対応配置された操舵装置へと伝達することを可能にすることができる。換言すると、長さ変更可能な作動ユニットは、操舵ユニットの回転が操舵装置の移動、つまり操舵を引き起こす比を、長さ変更可能な作動ユニットの長さ変更によって変更するように構成されている。
【0010】
さらに、操舵入力エレメントが、この場合に種々異なる形式で操舵角を操舵ユニットに入力することができることに言及しておく。したがって、操舵入力エレメントが、第1の車両部分に位置不変に結合されていてよく、この第1の車両部分は、第2の車両部分に対して相対的に回転し、第2の車両部分に、操舵ユニットおよび/または操舵装置が配置されている。しかし、操舵入力エレメントがアクチュエータを含んでおり、アクチュエータが、たとえば電気的な信号を、アクチュエータの操作、ひいては操舵ユニットの回転に変換することができることも考えられる。後者の場合、たとえば、第1の車両部分に相対回動不能に、かつ第2の車両部分に回転可能に結合されているエレメントを省略することができる。
【0011】
長さ変更可能な作動ユニットは、この作動ユニットに対応配置された少なくとも1つの結合部分を無段階にも、段階的にも移動させるように構成されていてよい。したがって、たとえば、操舵ユニットに対して相対的に移動可能な少なくとも1つの結合部分が、予め規定された個数の占めるべき箇所、たとえば、それぞれの結合部分に対応配置された運動軌道の2つの端部ストッパを有していることが可能であってよい。
【0012】
操舵入力エレメントが、操舵ユニットに、連結ユニットを介して結合されていてよく、連結ユニットは、操舵ユニットのローテーション軸線に対して偏心的に操舵ユニットに結合されており、連結ユニットは、重荷重車両の車両フレームに対して相対的な操舵入力エレメントの移動が重荷重車両の車両フレームに対して相対的な操舵ユニットの回転を引き起こすように、操舵入力エレメントを操舵ユニットに結合することができる。連結ユニットは、操舵ユニットにおいて、枢着式にこの操舵ユニットに結合されていてよく、これにより連結ユニットの回転移動を、操舵ユニットの回転から切り離すことができる。連結ユニットは、たとえば連結ロッドとして形成されていてよく、好適には操舵入力エレメントの移動が、連結ユニットの実質的に軸方向の移動を引き起こすことができ、これにより、他方では操舵ユニットを回転させることができる。
【0013】
特に、操舵入力エレメントが、重荷重車両の車両フレームに対して位置不変の回転軸線を中心として回転可能、かつ回転軸線に対して実質的に変更不能な間隔で配置された操舵アクチュエータとして構成されていてよく、操舵アクチュエータが、この操舵アクチュエータに結合された連結ユニットのための旋回軸線を定義する。したがって、操舵入力エレメントの回転軸線が、操舵ユニットのローテーション軸線とは異なっていてよく、特にこのローテーション軸線に対して、変更不能な間隔だけずらされていてよい。特に、操舵入力エレメントの回転軸線は、操舵入力エレメントに一致しないように構成されていてよい。
【0014】
重荷重車両が、操舵プレートをさらに有していてよく、操舵プレートは、重荷重車両の車両フレームに対して相対的に位置不変の回転軸線を中心として、重荷重車両の操舵角に依存して回転させられるように構成されており、操舵アクチュエータが、操舵プレートに、この操舵プレートの回転軸線に対して偏心的に結合されている。たとえば、重荷重車両の車両フレームに対して相対的に旋回可能な第1の車両部分に相対回動不能に結合されている操舵プレートは、重荷重車両の車両フレームに対して相対的な第1の車両部分の回転時に、この第1の車両部分と一緒に、つまり重荷重車両の車両フレームに対して相対的に同一の形式で回転することができる。操舵プレートのこの回転は、操舵アクチュエータを、重荷重車両の車両フレームに対して相対的に、操舵プレートと同一の角度だけ回転させることができる。このためには、操舵アクチュエータは、操舵プレートに位置不変かつ相対回動不能に結合されたロッドとして形成されていてよく、このロッドの周囲に、連結ユニットの、操舵ユニットとは反対の側が旋回可能に支承されている。
【0015】
本発明の1つの改良形では、重荷重車両が、別の操舵装置を含んでいてよく、操舵ユニットが、上述の一方の操舵装置にも、別の操舵装置にも結合されていてよく、操舵ユニットの長さ変更可能な作動ユニットが、一方の操舵装置に対応配置された複数の結合部分のうちの少なくとも1つの結合部分、特に一方の操舵装置に対応配置された結合部分の全ての結合部分を、操舵ユニットの回転軸線に対して相対的に移動させるように構成されていてよい。したがって、本発明によれば、操舵入力エレメントの個別の移動を介して、たとえば互いに依存しない2つの操舵装置を操作することが可能である。この場合、操舵ユニットの、一方の操舵装置に対応配置された長さ変更可能な作動ユニットが、操舵ユニットの、操舵入力エレメントにより入力された操舵角もしくは回転角と、一方の操舵装置の操舵との間の伝達比を調節することができる。別の操舵装置に割り当てられた伝達比は、不変のままであってよい。この場合に、長さ変更可能な作動ユニットが、第1の方向、たとえば左方向への操舵を、第2の方向、たとえば右方向への操舵とは異なって伝達することが可能である。このことは、たとえば長さ変更可能な少なくとも2つの部分と、それぞれの長さ変更可能な部分に対応配置された、たとえば1重または2重に作用するピストン-シリンダアセンブリとを備えた長さ調節可能な作動ユニットによって実現することができる。
【0016】
さらに、操舵ユニットが、長さ変更可能な別の作動ユニットを含んでいてよく、この長さ変更可能な別の作動ユニットは、別の操舵装置に対応配置された結合部分のうちの少なくとも1つの結合部分、特に別の操舵装置に対応配置された結合部分の全ての結合部分を、操舵ユニットのローテーション軸線に対して相対的に移動させるように構成されている。
【0017】
操舵ユニットの長さ変更可能な作動ユニットのうちの少なくとも1つの作動ユニットは、1対の結合部分を操舵ユニットのローテーション軸線に対して相対的に同期的に移動させるように構成されていてよい。つまり、長さ変更可能な作動ユニットの作動は、操舵ユニットのローテーション軸線に対して相対的な1対の結合部分の同時的、かつ特に同一の距離の移動を引き起こすことができる。これにより、たとえば遵守すべき規則および/または規格に基づいて存在していなければならない操舵装置の2つの操舵回路(Lenkkreise)を同期的に操作することができ、これにより操舵装置の同一の操舵作用を両操舵回路により達成することができる。
【0018】
有利には、操舵ユニットの少なくとも1つの、特に各長さ変更可能な作動ユニットの長さ変更方向は、操舵ユニットのローテーション軸線に対して直交するように配向されていてよい。長さ変更方向とは、本明細書において、少なくとも1つの長さ変更可能な作動ユニットが伸長または短縮する方向もしくは軸線であると理解すべきである。操舵ユニットのローテーション軸線に対して直交するように配向された長さ変更方向は、特に、操舵ユニットの必要な構造空間に有利に作用することができる。
【0019】
特に、長さ変更可能な作動ユニットのうちの少なくとも1つの作動ユニットが、液圧式のシリンダもしくはダブルシリンダとして、またはスピンドル駆動装置もしくはダブルスピンドル駆動装置として、またはラック&ピニオン駆動装置として、またはリニアユニットとして、またはスライダブロックユニットとして構成されていてよい。ダブルシリンダは、内部に2つのピストンが配置されている単独のチャンバを備えた1つのシリンダであっても、たとえば中心で分離されたチャンバ(つまり2つのチャンバ)を備えたシリンダであってもよく、この場合、各チャンバにそれぞれ1つのピストンが配置されている。ダブルスピンドル駆動装置は、たとえば、第1の部分に沿って第1の回転方向を有するねじ山を含み、かつ第2の部分に沿って、第1の回転方向とは逆方向の第2の回転方向を有するねじ山を含んでいるスピンドルを含んでいるスピンドル駆動装置であってよく、これによりスピンドルの回転時に、第1の部分上に配置されたスピンドルナットが、第2の部分上に配置されたスピンドルナットとは逆方向に移動させられる。この例では、結合部分が、スピンドルナットに結合されていてよく、これにより、結合部分の移動を引き起こすことができる。このような駆動装置では、スピンドルナットがスピンドル上で移動させられるように、スピンドルが回転するだけであるが、このような駆動装置は同様に、「長さ変更可能」であると見なすことができる。なぜならば、駆動装置の、上位の構成群に結合された両方の部分が、互いに対して移動させられるからである。
【0020】
ラック&ピニオン駆動装置では、たとえば、操舵ユニットのローテーション軸線に対して平行に回転する歯車が、2つの側でピニオンラックに係合することができ、このピニオンラックが、他方では結合部分にそれぞれ対応配置されており、これにより結合部分を歯車の操作時に移動させることができる。
【0021】
特に、ダブルスピンドル駆動装置およびラック&ピニオン駆動装置は、駆動装置により移動可能な結合部分の強制連結された同期を可能にすることができる。
【0022】
スライダブロックユニットは、スライダブロックを含んでいてよく、このスライダブロックは、たとえば、運動軌道の予め規定された終端位置に移動可能であるように構成されている。これにより、結合部分の段階的な移動を可能にすることができる。
【0023】
操舵プレートは、さらにキングピンならびに操舵ウェッジを含んでいてよく、キングピンならびに操舵ウェッジは、上位の構造群、特に重荷重車両の部分ではないトラクタに相対回動不能に係合するように構成されており、特に操舵プレートの回転軸線は、キングピンの中心軸線と実質的に同軸的であってよい。本発明に係る重荷重車両が、たとえばトラクタに組み合わせられる場合、トラクタが牽引連結装置を有しており、この牽引連結装置に、本発明に係る重荷重車両が係合することが望ましい。牽引連結装置の対向部材として、通常はキングピンが使用され、この場合、重荷重車両は、トラクタに対して相対的に回転可能なままである。この回転を阻止するために、さらに重荷重車両の操舵ウェッジがトラクタの牽引連結装置に、たとえば拡張する開口内に係合することが提案され、この開口を介してキングピンがその終端位置へとガイドされる。キングピンおよび操舵ウェッジが、牽引連結装置に係合している場合、トラクタの操舵は、キングピンおよび操舵ウェッジを介して操舵プレートに伝達される。したがって、重荷重車両の車両フレームに対して相対的に位置不変の回転軸線を中心として回転可能に支承されている操舵プレートは、トラクタの操舵を操舵入力エレメント(もしくは操舵アクチュエータ)に伝達することができ、操舵入力エレメントは、その移動により、操舵装置の、長さ変更可能な作動ユニットの位置に対応する伝達比を有する操舵を引き起こす。
【0024】
さらに、操舵プレートの回転軸線を中心とした、重荷重車両の車両フレームに対して相対的な操舵プレートの回転と、この回転により引き起こされる、操舵ユニットのローテーション軸線を中心とした操舵ユニットの回転とは、それぞれの回転方向に関して同一の方向に向けられていてよい。このことは特に、連結ユニットが、操舵入力エレメントの移動を、操舵ユニットのローテーション軸線および操舵入力エレメントの回転軸線を通って延びる1つの平面に関して1つの同一の側で、操舵入力エレメントから受け取り、操舵ユニットに伝達することにより達成することができる。しかし、たとえば、特別なスペース要求に基づいて、上述の両回転方向が反対方向であることも考えられる。
【0025】
有利には、操舵ユニットの、少なくとも1つの長さ変更可能な作動ユニットが、操舵プレートの回転軸線に対して直交する方向で見て、操舵プレートの外側に配置されていてよい。円形ディスクとして形成された操舵プレートの場合、操舵プレートの回転軸線に対して直交する方向は、操舵プレートの半径方向に一致してよい。操舵プレートの外側での操舵ユニットの配置は、損傷に対する操舵ユニットの保護を促進することができる。なぜならば、操舵ユニット自体が、つまり操舵ユニットがその回転軸線と一緒に、重荷重車両の車両フレームに対して相対的に回転させられないからである。さらに、重荷重車両の車両フレームに配置されている別の回転する部材との衝突を減じるか、もしくは阻止することができる。
【0026】
本発明の1つの改良形では、操舵ユニットが結合されている少なくとも1つの操舵装置が、液圧循環管路を含んでおり、この操舵装置に対応配置された結合部分のうちの少なくとも1つの結合部分が、ピストン-シリンダアセンブリに結合されていてよく、ピストン-シリンダアセンブリは、操舵ユニットのローテーション軸線を中心とした操舵ユニットの回転が、ピストン-シリンダアセンブリのピストンとシリンダとの相対的な移動を引き起こすように配置されていてよく、これによりこの操舵装置の液圧循環回路が操作可能である。結合部分におけるピストン-シリンダアセンブリの使用は、操舵ユニットの回転を操舵装置に伝達するための省スペースな可能性であり得る。
【0027】
操舵ユニットに配置されたピストン-シリンダアセンブリのピストンおよびシリンダの移動は、ピストン-シリンダアセンブリのシリンダ内に存在する流体をシリンダから流体管路内へと押し退けることができるか、または流体管路からシリンダ内へと吸い込むことができ、対応するピストン-シリンダアセンブリに流体管路を介して接続された別のピストン-シリンダアセンブリに、操舵ユニットに配置されたピストン-シリンダアセンブリに関連する、別のピストン-シリンダアセンブリのピストンとシリンダとの相対的な移動を実施させることができる。たとえば、操舵ユニットの回転と、この回転に関連する、この操舵ユニットに配置されたピストン-シリンダアセンブリのシリンダ内におけるピストンの移動とに基づいて、流体がシリンダから出るように移動させられると、同一の量の流体が別のピストン-シリンダアセンブリのシリンダ内へと移動させられ、これにより、ピストンと、このピストンに接続する操舵装置とが操作される。操舵ユニットに配置されたピストン-シリンダアセンブリのシリンダの内径と、別のピストン-シリンダアセンブリのシリンダの内径とが互いに同一である場合、それぞれのピストンの移動距離も同一であってよい。
【0028】
さらに、各操舵装置に、2つのピストン-シリンダアセンブリが対応配置されていてよく、これらのピストン-シリンダアセンブリのうちのそれぞれ1つのピストン-シリンダアセンブリが、操舵ユニットのローテーション軸線を通って延びる中心平面に対して両側に、特に対称的に配置された結合部分のうちの1つの結合部分において操舵ユニットに結合されている。既に上述したように、たとえば、遵守すべき規則および/または規格に基づいて、各操舵装置が、重複した形式で操作されることが必要となり得る。このことは、たとえば、操舵装置の2つの操舵回路により達成することができる。2つの操舵回路は、同期的に操作することができ、これにより操舵装置の同一の操舵作用を両方の操舵回路により達成することができる。この場合、操舵ユニットの回転時に、中心平面の一方の側のピストン-シリンダアセンブリが押し込まれてよく(つまり流体はシリンダから吐出される)、これに対して中心平面の他方の側のピストン-シリンダアセンブリは、押し出されてよい(つまり流体がシリンダ内に吸い込まれる)。既に上記で説明したように、ピストン-シリンダアセンブリのこのような押込みもしくは押出しは、両ピストン-シリンダアセンブリがその押出し方向に関して逆向きに配置されている場合、それぞれの別のピストン-シリンダアセンブリの対応する相反する操作を引き起こす。中心平面は、本実施形態では、操舵ユニットを実質的に対称的に、操舵ユニットの回転軸線に関して2つの半部に分割し、つまり、中心軸線は、結合部分の対称平面と見なすことができる。
【0029】
ピストン-シリンダアセンブリの、それぞれ操舵ユニットとは反対側の端部は、平面の同一の側で、1つの共通の軸線を中心として回転可能に支承されていてよく、この共通の軸線は、特に操舵ユニットのローテーション軸線に対して実質的に平行である。これにより、簡単な形式で、操舵ユニットに配置されたピストン-シリンダアセンブリが、全ての操舵装置が同一の伝達比にされている位置をとることを可能にすることができる。
【0030】
さらに、重荷重車両が、さらにセンサ機構を含んでいてよく、このセンサ機構は、重荷重車両の操舵角を検出するように構成されていることが追記される。したがって、センサ機構は、たとえば、重荷重車両の運転者がいつカーブを曲がったかを検出するように構成されていてよい。被牽引車両として形成された本発明に係る重荷重車両は、この時点においてまだカーブ内に走入しておらず、したがってカーブに至る間で規定された距離にわたって引き続き真っ直ぐに走行することが望ましいので、センサ機構に接続された調節/制御ユニットは、牽引車と被牽引車との間の相対的な回転が被牽引車の操舵装置の操作を引き起こさないように、少なくとも1つの長さ変更可能な作動ユニットを操作することができる。換言すると、牽引車と被牽引車との間の相対的な回転を、1つもしくは複数の長さ変更可能な作動ユニットにより補償することができる。
【0031】
重荷重車両のセンサ機構は、さらに、たとえば重荷重車両の既知の長さおよび重荷重車両の既知の速度と基づいて、ここでは被牽引車として形成されている本発明に係る重荷重車両がどの時点でカーブに走入するかを規定するように構成されていてよい。この時点において、調節/制御ユニットは、被牽引車の操舵装置がカーブの半径にしたがって操作されるように、長さ変更可能な作動ユニットを操作することができる。特に、牽引車の操舵ホイールもしくは牽引車と被牽引車との間の回転角は不変のままである。
【0032】
同様のことは、当然ながらカーブからの走出に対しても当てはまる。カーブの走出時に牽引車の運転者は、牽引車の操舵装置を真っ直ぐな走行に合わせて調節するのに対して、被牽引車の1つもしくは複数の操舵装置はカーブからの走出に至るまで引き続きカーブ走行に合わせて調節されたままであることが望ましい。
【0033】
上述した挙動は、概して特に「後操舵(Nachlenken)」という概念で知られている。しかし、本発明では、後操舵のために必要な手段、たとえば対応する「操舵シリンダ(Lenkflasche)」を減じることを可能にすることができる。
【0034】
当然ながら、たとえば被牽引車として形成された重荷重車両の操舵装置により操作されたホイールを、牽引車のホイールの操舵とは反対の方向に操作することも可能であり、これにより対応してより小さな回転円を可能にすることができる。
【0035】
以下に本発明を添付の図面に関連した実施例につき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明に係る重荷重車両の概略的な構造を示す図である。
【
図2】
図1に示した本発明に係る重荷重車両の実施形態の詳細を示す斜視図である。
【
図4】
図2に示した詳細の別の実施形態を示す図である。
【
図5】本発明に係る重荷重車両の部分、特に後側部分を示す図である。
【
図6】本発明に係る重荷重車両の部分、特に後側部分の別の実施形態を示す図である。
【0037】
図1には、本発明に係る重荷重車両が概して参照符号10で示されている。重荷重車両10は、本実施形態では、トレーラとして形成されており、このトレーラは、本発明の部分を形成していないトラクタ12に結合されている。トラクタ12は、トレーラ10に対して相対的に、トラクタ12がトレーラ10に結合されている回転軸線Aを中心として所定の角度αだけ回転させられている。
【0038】
図2には、トラクタ12の操舵がトレーラ10にどのように伝達されるかが詳細に図示されている。
【0039】
図2に図示された実施例では、トレーラ10は、操舵プレート14を含んでいる。操舵プレート14は、トレーラ10に回転軸線Aを中心として回転可能に支承されている。操舵プレート14は、トラクタ12に相対回動不能に結合されている。
【0040】
操舵プレート14には、操舵入力エレメント16が配置されている。ここでは操舵アクチュエータ16として形成されている操舵入力エレメント16は、回転軸線Aに対して固定された間隔で配置されている。連結ユニット18が、操舵入力エレメント16の周囲で旋回軸線Bを中心として旋回可能に、操舵入力エレメント16に配置されている。連結ユニット18は、ここでは連結ロッド18として形成されている。連結ユニット18の、操舵入力エレメント16とは反対側の端部において、連結ユニット18は操舵ユニット20に同様に旋回可能に結合されている。
【0041】
操舵ユニット20は、重荷重車両10もしくは重荷重車両10の車両フレームに位置不変に、しかしローテーション軸線C(
図3を参照)を中心として回転可能に結合されている。つまり、回転軸線Aとローテーション軸Cとの間の間隔は変更不能である。
【0042】
回転軸線Aを中心とした操舵プレート14の回転に合わせて、連結ユニット18が操舵アクチュエータ16と一緒に移動させられる。これにより、操舵ユニット20が、ローテーション軸線Cを中心として回転させられる。
【0043】
操舵ユニット20の外側の端部は、結合部分22を有している。結合部分22において、操舵ユニット20がピストン-シリンダアセンブリ24,26,28,30に枢着式に結合されている。ピストン-シリンダアセンブリ24,26,28,30は、操舵ユニット20とは反対側の端部において、それぞれ共通の旋回軸線DもしくはD’を中心として重荷重車両10に結合されている。したがって、ローテーション軸線Cを中心とした操舵ユニット20の回転は、操舵ユニット20の一方の側に配置されたピストン-シリンダアセンブリ24および28がたとえば走出させられ、つまり結合部分22に結合されたピストンロッドがそれぞれのシリンダから出るように移動させられる一方で、ピストン-シリンダアセンブリ26および30が走入させられることを引き起こす。図示された実施例では、ピストン-シリンダアセンブリは、二重に作用する液圧式シリンダとして構成されている。
【0044】
操舵ユニット20は、本実施形態では長さ変更可能な作動ユニット32を含んでいる。この長さ変更可能な作動ユニット32は、この作動ユニット32に結合された結合部分22が、ローテーション軸線Cから離れるか、このローテーション軸線Cに近接して移動するように、つまり長さ変更可能な作動ユニット32に結合された結合部分22の、ローテーション軸線Cに対するそれぞれの間隔を変更するように構成されている。
【0045】
ローテーション軸線Cに対する結合部分22の調節された間隔に応じて、ピストン-シリンダアセンブリ24~30に対する操舵ユニット20のレバーが変化する。換言すると、ローテーション軸線Cに対する結合部分22の間隔を介して、それぞれのピストン-シリンダアセンブリのピストンが、操舵ユニット20の規定された回転角度でどのくらいの距離だけ移動させられるのかの比を調節することができる。それぞれのピストン-シリンダアセンブリ24~30の対応するチャンバ内に存在する流体量の変更が、対応配置された操舵装置の比例的な操作を引き起こすので、上述した比を介して、長さ変更可能な作動ユニット32に対応配置された操舵装置の操作の大きさに対する、トラクタ12とトレーラ10との間の角度αの伝達比を調節することができる。
【0046】
図2に図示された実施例では、ピストン-シリンダアセンブリ24および26が、重荷重車両10の一方の操舵装置に対応配置されていて、ピストン-シリンダアセンブリ28および30が、重荷重車両10の第2の操舵装置に対応配置されており、さらに
図2に図示された実施例では、専ら一方の操舵装置に長さ変更可能な作動ユニット32が対応配置されているので、重荷重車両10の一方の操舵装置のみが、調節可能な伝達比を有する操舵装置を含んでいる。
【0047】
それぞれ1つの個別の操舵装置のための2つのピストン-シリンダアセンブリ24,26もしくは28,30の配置は、本実施例では対応する規則によるものであり、この規則は、たとえば独国の道路交通において遵守されなければならない。当然ながら、同一の作用は、専らピストン-シリンダアセンブリ24,26もしくは28,30(または24,30もしくは26,28)を使用しながら、達成することができる。
【0048】
図3には、
図2に示したアセンブリが斜視図で下から図示されている。この場合、操舵プレート14の下面が、回転軸線Aに対してセンタリングされていて、キングピン34と、操舵プレート14の下面に固定的に結合された操舵ウェッジ36とを有していることを確認することができる。キングピン34および操舵ウェッジ36と、たとえば図示しない牽引連結装置との係合を介して、操舵プレート14を牽引連結装置に相対回動不能に結合することができる。
【0049】
さらに、
図3において、ピン38を確認することができる。このピン38は、
図3に図示した下側の面において、重荷重車両10の車両フレームに、ねじ結合部を介して結合可能であり、操舵ユニット20が回転することができるローテーション軸線Cを定義する。
【0050】
図4には、結合部分22の代替的または付加的な配置が示されている。
図4に図示された実施形態では、この
図4において、
図2および
図3に示した実施形態の作動ユニット32が引き続き示されているにもかかわらず、操舵入力エレメント16、もしくは操舵入力エレメント16に結合されている連結ユニットが結合されている結合部分22を、ローテーション軸線Cを中心とした操舵ユニット20の回転に対する、回転軸線Aを中心とした操舵プレート14の回転の伝達比が変更させられるように、操舵ユニット20のローテーション軸線Cに対して相対的に移動させることができる。
【0051】
図5には、本発明に係る重荷重車両10の部分、特に後側部分が図示されている。この実施形態では、操舵入力エレメント16として、2つのピストン-シリンダアセンブリ40が、操舵ユニット20に力を作用させるために働き、これによりローテーション軸線Cを中心として操舵ユニット20を回転させることができる。両方のピストン-シリンダアセンブリ40は、本実施形態では、重複した形式で構成されているが、唯1つのピストン-シリンダアセンブリ40を設けることも同様に可能である。
【0052】
操舵ユニット20は、
図5では、結合ロッド42を介して旋回レバー44に結合されている。旋回レバー44は、ローテーション軸線Eを中心として、重荷重車両10の車両フレームに支承されている。旋回レバー44には、他方で2つの操舵ロッド46が結合されており、操舵ロッド46はそれぞれ、操舵ロッド46の、特に実質的に車両幅方向での移動が、重荷重車両10の車両フレームに対して相対的なホイール構成群の回転を引き起こすように、少なくとも1つのホイール(図示せず)を含む、それぞれのホイール構成群のターンテーブル(Drehteller)48に連結されている。この場合、「ターンテーブル」という用語は、フローティングアクスル(Pendelachse)のターンテーブルにも、操舵アームアクスル(Lenkschenkelachse)の操舵アームにも同様に使用可能であってよい。
【0053】
それぞれの操舵入力エレメント16によって入力される力もしくは移動距離と、それぞれのホイール構成群に出力される力または移動距離との間の伝達比を調節するという本発明の基本的な思想を実施するために、長さ変更可能な作動ユニット32を、操舵入力エレメント16、すなわち
図5ではピストン-シリンダアセンブリ40のうちの少なくとも1つのピストン-シリンダアセンブリと操舵ユニット20との間の接続部22および/または操舵ユニット20とローテーション軸線Cを中心とした支承部との間の結合部分22および/または操舵ユニット20と結合ロッド42との間の結合部分22および/または結合ロッド42と旋回レバー44との間の結合部分22および/または旋回レバー44とローテーション軸線Eを中心とした支承部との間の結合部分22および/または旋回レバー44と操舵ロッド46との間の結合部分22および/または操舵ロッド46とホイール構成群もしくはターンテーブル48もしくはこのターンテーブル48に結合されたエレメントとの間の結合部分22に配置されていてよい。
【0054】
図6に示す重荷重車両10の実施形態では、操舵ユニット20は、重荷重車両10の車幅方向で中心からずらされて配置されている。
図6に図示した実施形態の結合部分22の特徴および作用形式ならびに可能な配置に関して、ここでは、上述の実施形態を参照する。操舵入力エレメント16は、
図6による実施形態では、同様にピストン-シリンダアセンブリ40として形成されている。