(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】複数の患者に対する血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのコンピュータ実装方法およびシステム、ならびにコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20240531BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
G16H50/30
A61B5/00 102C
(21)【出願番号】P 2021557785
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2020058697
(87)【国際公開番号】W WO2020201077
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521196925
【氏名又は名称】マイシュガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビブン、リチャード ピー
(72)【発明者】
【氏名】シュースター、ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ティーセン、ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ヴレーデ、ヤン
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-508763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0188400(US,A1)
【文献】特開2018-125026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2人の患者の血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのコンピュータ実装方法であって、1つまたは複数のデータプロセッサ(3a)と、前記1つまたは複数のデータプロセッサ(3a)に接続されたデータ記憶装置(3b)とを有するデータ処理装置(2)において、
第1の頻度の測定イベントを実行することによって収集された、第1の患者に割り当てられる第1のセットのグルコース測定データを提供することと;
前記第1の頻度の測定イベントとは異なる第2の頻度の測定イベントを実行することによって収集された、第2の患者に割り当てられる第2のセットのグルコース測定データを提供することと;
それぞれが、前記第1の頻度の測定イベントおよび前記第2の頻度の測定イベントのうちの少なくとも1つに割り当てられる、前記データ記憶装置(3b)内の複数の評価パラメータを提供することと;
前記第1の頻度の測定イベントに応じて、前記データ記憶装置(3b)内の前記複数の評価パラメータから少なくとも1つの第1の評価パラメータを決定することと;
前記第2の頻度の測定イベントに応じて、前記データ記憶装置(3b)内の前記複数の評価パラメータから、前記少なくとも1つの第1の評価パラメータとは異なる、少なくとも1つの第2の評価パラメータを決定することと;
前記第1のセットのグルコース測定データから、前記少なくとも1つの第1の評価パラメータについて、前記第1の患者に割り当てられる第1の評価パラメータ値を決定することと;
前記第2のセットのグルコース測定データから、前記少なくとも1つの第2の評価パラメータについて、前記第2の患者に割り当てられる第2の評価パラメータ値を決定することと;
前記第1の評価パラメータ値および前記第2の評価パラメータ値から、それぞれ前記第1の患者に割り当てられる第1のリスクスコアおよび前記第2の患者に割り当てられる第2のリスクスコアを決定することと;
前記第1のリスクスコアを含む第1の総リスクスコアと前記第2のリスクスコアを含む第2の総リスクスコアとを比較することによって、前記第1の患者と前記第2の患者のうちの一方にとって血糖制御の欠如のリスクがより高いことを示す、血糖制御の欠如の相対リスクを決定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の頻度の測定イベントを適用する第1の複数のスポットモニタリンググルコース測定イベントで収集された第1のセットのグルコース測定データを提供すること;および
前記第2の頻度の測定イベントを適用する第2の複数のスポットモニタリンググルコース測定イベントで収集された第2のセットのグルコース測定データを提供すること、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1および第2のセットのグルコース測定データのうちの少なくとも1つについて:
先行する測定イベントにおいて先行するグルコース測定値を収集することに続いて収集される1つまたは複数の連続するグルコース測定値を決定することであって、前記1つまたは複数の
連続するグルコース測定値は、前記先行する測定イベントに続く所定の時間ウィンドウ内の1つまたは複数の連続する測定イベントで収集される、グルコース測定値を決定することと;
前記第1/第2の評価パラメータ値の前記決定から、前記1つまたは複数の連続するグルコース測定値を除外することと、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のセットのグルコース測定データから、複数の第1の評価パラメータについて、前記第1の患者に割り当てられる複数の第1の評価パラメータ値を決定することと;
前記第2のセットのグルコース測定データから、複数の第2の評価パラメータについて、前記第2の患者に割り当てられる複数の第2の評価パラメータ値を決定することと、をさらに含み、
前記第1の総リスクスコアおよび前記第2の総リスクスコアは、それぞれ、前記複数の第1の評価パラメータ値および前記複数の第2の評価パラメータ値についての第1および第2のリスクスコアを合計することによって決定される、
請求項1から3の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の第1の評価パラメータおよび前記複数の第2の評価パラメータの両方において、少なくとも1つの共通の評価パラメータが提供される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のセットのグルコース測定データが、第1のタイプの糖尿病を有する第1の患者に割り当てられ;
前記第2のセットのグルコース測定データが、第2のタイプの糖尿病を有する第2の患者に割り当てられ;
それぞれ、前記第1のタイプの糖尿病および前記第2のタイプの糖尿病に応じて、前記少なくとも1つの第1の評価パラメータおよび前記少なくとも1つの第2の評価パラメータのうちの少なくとも1つを選択することをさらに含む、請求項1から5の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の患者が、前記第1の患者とは異なる、請求項1から6の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の評価パラメータおよび前記第2の評価パラメータが、低血糖指数、高血糖指数、警告標識、平均血糖、中央血糖、安定性指数、ならびに1日あたりの低血糖および高血糖イベントのピークリスクを合計することによって決定される1日総血糖変動、の評価パラメータの群から選択される、請求項1から7の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の評価パラメータまたは前記複数の第1の評価パラメータが、低血糖指数、高血糖指数、警告標識、平均血糖、および中央血糖、の評価パラメータの群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の評価パラメータまたは前記複数の第2の評価パラメータが、低血糖指数、高血糖指数、安定性指数、ならびに1日あたりの低血糖および高血糖イベントのピークリスクを合計することによって決定される1日総血糖変動、の評価パラメータの群から選択される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の第1の評価パラメータが、低血糖指数(LBGI)、高血糖指数(HBGI)、警告標識(WS)、および中央血糖(中央値)を含み、
前記複数の第2の評価パラメータが、低血糖指数(LBGI)、高血糖指数(HBGI)、安定性指数(SI)、ならびに1日あたりの低血糖および高血糖イベントのピークリスクを合計することによって決定される1日総血糖変動(ADRR)を含み、
前記複数の第1の評価パラメータ値および前記複数の第2の評価パラメータ値の前記リスクスコアが、それぞれ、
に従って決定され、
警告標識のパラメータ値が、以下の警告標識リスク変数(WSRV)として計算され、
式中、添字iはイベントを示し、添字iを伴う前記イベントの重みはw
iで示され、変数x
iは、前記イベントが発生したか(ブール値=1)または発生していないか(ブール値=0)どうかのブール値を表す、
請求項4を引用する請求項5から10の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の総リスクスコアおよび前記第2の総リスクスコアの少なくとも1つが、事前定義された閾値を超える場合、それぞれ前記第1の患者および前記第2の患者の治療レビューおよび治療調整の必要性のうちの少なくとも1つを示す、請求項1から11の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
a)第1の最大達成可能総リスクスコアおよび第1の閾値を事前定義することであって、前記第1の総リスクスコアと前記第1の最大達成可能総リスクスコアの比が第1の事前定義された閾値を超える場合、
前記第1の患者の治療レビューおよび治療調整の必要性のうちの少なくとも1つを示すこと、および
前記第1の患者に送信される電子メッセージをトリガすること、
のうちの少なくともとも1つを提供し、
前記第1の事前定義された閾値は、0.5より大き
い、第1の最大達成可能総リスクスコアおよび第1の閾値を事前定義すること;ならびに
b)第2の最大達成可能総リスクスコアおよび第2の閾値を事前定義することであって、前記第2の総リスクスコアと前記第2の最大達成可能総リスクスコアの比が第2の事前定義された閾値を超える場合、
前記第2の患者の治療レビューおよび治療調整の必要性のうちの少なくとも1つを示すこと、および
前記第2の患者に送信される電子メッセージをトリガすること、
のうちの少なくとも1つを提供し、
前記第2の事前定義された閾値は、0.5より大き
い、第2の最大達成可能総リスクスコアおよび第2の閾値を事前定義すること、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1から12の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の事前定義された閾値は、0.7より大きく、前記第2の事前定義された閾値は、0.7より大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の事前定義された閾値は、0.8または0.9より大きく、前記第2の事前定義された閾値は、0.8または0.9より大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2人の患者の血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのシステムであって、1つまたは複数のデータプロセッサ(3a)と、前記1つまたは複数のデータプロセッサ(3a)に接続されたデータ記憶装置(3b)とを有するデータ処理装置(2)を含み、前記データ処理装置(2)は、
第1の頻度の測定イベントを実行することによって収集された、第1の患者に割り当てられる第1のセットのグルコース測定データを提供するように;
前記第1の頻度の測定イベントとは異なる第2の頻度の測定イベントを実行することによって収集された、第2の患者に割り当てられる第2のセットのグルコース測定データを提供するように;
それぞれが、前記第1の頻度の測定イベントおよび前記第2の頻度の測定イベントのうちの少なくとも1つに割り当てられる、前記データ記憶装置(3b)内の複数の評価パラメータを提供するように;
前記第1の頻度の測定イベントに応じて、前記データ記憶装置(3b)内の前記複数の評価パラメータから少なくとも1つの第1の評価パラメータを決定するように;
前記第2の頻度の測定イベントに応じて、前記データ記憶装置(3b)内の前記複数の評価パラメータから、前記少なくとも1つの第1の評価パラメータとは異なる、少なくとも1つの第2の評価パラメータを決定するように;
前記第1のセットのグルコース測定データから、前記少なくとも1つの第1の評価パラメータについて、前記第1の患者に割り当てられる第1の評価パラメータ値を決定するように;
前記第2のセットのグルコース測定データから、前記少なくとも1つの第2の評価パラメータについて、前記第2の患者に割り当てられる第2の評価パラメータ値を決定するように;
前記第1の評価パラメータ値および前記第2の評価パラメータ値から、それぞれ前記第1の患者に割り当てられる第1のリスクスコアおよび前記第2の患者に割り当てられる第2のリスクスコアを決定するように;および
前記第1のリスクスコアを含む第1の総リスクスコアと前記第2のリスクスコアを含む第2の総リスクスコアとを比較することによって、前記第1の患者と前記第2の患者のうちの一方にとって血糖制御の欠如のリスクがより高いことを示す、血糖制御の欠如の相対リスクを決定するように
構成されている、システム。
【請求項17】
1つまたは複数のプロセッサを有するコンピュータにロードされたときに、請求項1から
15の
いずれか一項に記載の、少なくとも2人の患者に対する血糖制御の欠如の相対リスクを決定するための実装方法を行うように構成されたプログラムコードを含む、コンピュータプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の患者に対する血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのコンピュータ実装方法およびシステムに言及する。また、コンピュータプログラム製品にも言及する。
【背景技術】
【0002】
1人または複数の患者について収集されたグルコース測定データを分析して、一部の患者が支援または支持を必要とするかどうかなどの情報を介護者に提供することができる。血糖測定データなど、グルコース測定データを収集するために実行される測定には異なったタイプがある。また、連続グルコースモニタリング(continuous glucose monitoring、CGM)を適用することもできる。このようなタイプの測定では、測定イベントの頻度(1/T)が非常に高く、通常の測定時間間隔Tはおよそ5~15分の範囲であり、高分解能での分析が可能である。対照的に、いわゆるスポットモニタリング(血糖)グルコース測定(spot monitoring (blood) glucose measurement、SPM)を行う患者の場合、1日あたりの試料数は比較的少なく、例えば約3~8試料であり、時間的にほとんど不均一に分布している。スポットモニタリング血糖(SPM)測定は、自己モニタリング血糖(self-monitored blood glucose、SMBG)測定と称されることもある。
【0003】
文書米国特許出願公開第2009/0171589A1号は、平均日常リスク範囲(average daily risk range、ADRR)の算定について説明している。更に参照すると、この文書ではパラメータ低血糖指数(low blood glucose index、LBGI)および高血糖指数(high blood glucose index、HBGI)について言及されている。
【0004】
文書米国特許出願公開第2015/0095042A1号は、血糖値に基づいて計算された値(例えば、LBGI値)に基づき、患者を、将来低血糖になる第1、第2、または第3のリスクを有するものとして分類し、その分類をディスプレイ上に表示することを開示している。また、患者の血糖データにパターンが存在するかどうかを決定することもできる。認識されたパターンの表示順序に優先順位を付ける場合がある。
【0005】
文書EP5062615B1は、中央データ処理システム、すなわち、遠隔地在住患者モニタリングシステムから患者データを取得するための手段と、各患者モニタリングシステムから得られた患者データを分析して、各の患者の病状を識別するための手段と;医学的重症度に従って選択可能な優先順位で各患者に対して識別された患者の病状を表示するための手段と、を含む、複数の遠隔地在住患者の病状を監視、診断、および処置するためのシステムに言及している。医師アクセス中央サーバー(Physicians Access Center server)(「PACサーバー」)と称される中央データ処理システムと携帯用患者モニター(portable patient monitor、PPM)間との通信について説明している。
【0006】
文書WO2016/182972A1は、介護者に対し複数の患者を糖尿病リスクカテゴリに分類することを開示している。
【0007】
文書米国特許出願公開第2006/0253303A1号は、複数患者モニタリングシステムを提供することに関するものである。概要チャートが提供され、ここで、各データポイントは、1人の対応する患者を表し、対照値、例えば平均値、および患者について最も最近収集された測定値のセットの収集日からの経過期間、を示す。さらに、各アイコンは、対応する患者が処方された測定レジメンを順守していることを示すことができる。したがって、臨床医は、患者の群全体の医学的優先順位を同時に表示および管理することができる。また、このシステムにより、臨床医は、臨床医との連絡を断っている消極的な患者に緊急の医療ニーズが発生する前に、これらの患者と積極的にコミュニケーションをとることができる。
【0008】
文書WO2017/030961A1は、医療提供者の患者を、患者それぞれの警戒状態に基づいてソートする、患者優先順位付けモジュールを開示している。警戒ソートアルゴリズムは、各グルコース状態および所与のグルコース状態の可能な各状況に対し、重み係数を事前に割り当てる。
【0009】
文書WO2007/081853A2は、血糖を評価するためのシステム、コンピュータプログラム製品、方法、およびアルゴリズムに関する。この方法では、血糖データのリスク分析の理論に基づいて、2~6週間にわたって収集された定期的自己モニタリング血糖データを使用する。平均日常リスク範囲(ADRR)は、グルコース変動性全体の尺度として計算される。さらに、低BG指数(LBGI)を介した低血糖範囲におけるグルコース変動性、および高BG指数(HBGI)を介した高BG範囲におけるグルコース変動性を別々に推定して示すことができ、続いて2つの指標を単一の変動性に組み合わせて示すことができる。
【0010】
文書Kovatchevら、Risk analysis of blood glucose data: a quantitative approach to optimizing the control of insulin dependent diabetes、J. Theor.Med.3、1~10頁(2000)は、血糖の自己モニタリングに基づく品質の最適化をオンラインで評価するための定量的ツールに関する。
【0011】
文書Kovatchev、Metrics for glycemic control from HbA1c to continuous glucose monitoring、Nature Rev. Endocrinology 13、425-436頁(2017)は、平均的血糖症のマーカー、および血糖制御の至適基準メトリックとしてのHbA1cの有用性および欠点に焦点を当てた、真性糖尿病の血糖変動の評価、定量化、および最適な制御について言及している。
【0012】
文書Kovatchevら、Evaluation of a New Measure of Blood Glucose Variability in Diabetes、Diabetes Care 29:11、2433~2438頁(2006)は、定期的自己モニタリング血糖(SMBG)データから算出した変動性測定値としての平均日常リスク範囲(ADRR)に関する。
【発明の概要】
【0013】
本開示の目的は、複数の患者に対する血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのコンピュータ実装方法およびシステムを提供することであり、この方法およびシステムは、さまざまな測定条件を実行することによって収集されたグルコース測定データを、血糖制御の欠如の相対リスクを確実に決定することに適用することができる。
【0014】
この目的を解決するために、請求項1に従って、少なくとも2人の患者の血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのコンピュータ実装方法が提供される。さらに、請求項14に従って、少なくとも2人の患者の血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのシステムが提供される。さらにまた、請求項15は、コンピュータプログラム製品に言及する。
【0015】
一態様によれば、少なくとも2人の患者の血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのコンピュータ実装方法であって、1つまたは複数のデータプロセッサと、1つまたは複数のデータプロセッサに接続されたデータ記憶装置とを有するデータ処理装置において、第1の頻度の測定イベントを実行することによって収集された、少なくとも1人の第1の患者に割り当てられる第1のセットのグルコース測定データを提供することと;第1の頻度の測定イベントとは異なる第2の頻度の測定イベントを実行することによって収集された、第2の患者に割り当てられる第2のセットのグルコース測定データを提供することと;それぞれが、第1の頻度の測定イベントおよび第2の頻度の測定イベントのうちの少なくとも1つに割り当てられる、データ記憶装置内の複数の評価パラメータを提供することと;第1の頻度の測定イベントに応じて、データ記憶装置内の複数の評価パラメータから少なくとも1つの第1の評価パラメータを決定することと;第2の頻度の測定イベントに応じて、データ記憶装置内の複数の評価パラメータから、少なくとも1つの第1の評価パラメータとは異なる、少なくとも1つの第2の評価パラメータを決定することと;第1のセットのグルコース測定データから、少なくとも1つの第1の評価パラメータについて、第1の患者に割り当てられる第1の評価パラメータ値を決定することと;第2のセットのグルコース測定データから、少なくとも1つの第2の評価パラメータについて、第2の患者に割り当てられる第2の評価パラメータ値を決定することと;第1の評価パラメータ値および第2の評価パラメータ値から、それぞれ第1の患者に割り当てられる第1のリスクスコアおよび第2の患者に割り当てられる第2のリスクスコアを決定することと;第1のリスクスコアを含む第1の総リスクスコアと第2のリスクスコアを含む第2の総リスクスコアとを比較することによって、第1の患者と少なくとも1人の第2の患者のうちの一方にとって血糖制御の欠如の相対リスクがより高いことを示す、血糖制御の欠如のリスクを決定することと、を含む方法が提供される。
【0016】
別の態様によれば、少なくとも2人の患者の血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのシステムであって、1つまたは複数のデータプロセッサと、1つまたは複数のデータプロセッサに接続されたデータ記憶装置とを有するデータ処理装置を含み、データ処理装置は、第1の頻度の測定イベントを実行することによって収集された、第1の患者に割り当てられる第1のセットのグルコース測定データを提供するように;第1の頻度の測定イベントとは異なる第2の頻度の測定イベントを実行することによって収集された、少なくとも1人の第2の患者に割り当てられる第2のセットのグルコース測定データを提供するように;それぞれが、第1の頻度の測定イベントおよび第2の頻度の測定イベントのうちの少なくとも1つに割り当てられる、データ記憶装置内の複数の評価パラメータを提供するように;第1の頻度の測定イベントに応じて、データ記憶装置内の複数の評価パラメータから少なくとも1つの第1の評価パラメータを決定するように;第2の頻度の測定イベントに応じて、データ記憶装置内の複数の評価パラメータから、少なくとも1つの第1の評価パラメータとは異なる、少なくとも1つの第2の評価パラメータを決定するように;第1のセットのグルコース測定データから、少なくとも1つの第1の評価パラメータについて、第1の患者に割り当てられる第1の評価パラメータ値を決定するように;第2のセットのグルコース測定データから、少なくとも1つの第2の評価パラメータについて、第2の患者に割り当てられる第2の評価パラメータ値を決定するように;第1の評価パラメータ値および第2の評価パラメータ値から、それぞれ第1の患者に割り当てられる第1のリスクスコアおよび第2の患者に割り当てられる第2のリスクスコアを決定するように;および、第1のリスクスコアを含む第1の総リスクスコアと第2のリスクスコアを含む第2の総リスクスコアとを比較することによって、第1の患者と第2の患者のうちの一方にとって血糖制御の欠如の相対リスクがより高いことを示す、血糖制御の欠如のリスクを決定するように構成されている、システムが提供される。
【0017】
さらに、1つまたは複数のプロセッサを有するコンピュータにロードされたときに、少なくとも2人の患者に対する血糖制御の欠如の相対リスクを決定するための実装方法を行うように構成されたプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0018】
血糖制御の欠如のリスクを示す相対リスクは、リスクスコアが異なるために、患者または患者群が他の患者または患者群よりも支援または指導の必要性が高いか、または緊急であることを示している場合がある。そのような情報を、例えば、血糖制御の欠如の相対リスクを示すオーディオおよび/またはビデオデータを出力することによって、一部の医療提供者または専門家に提供することができる。
【0019】
第1のセットのグルコース測定データおよび第2のセットのグルコース測定データは、自己モニタリング血糖(SMBG)測定とも称されるスポットモニタリング血糖(SPM)測定、および連続グルコースモニタリング(CGM)のうちの少なくとも1つから受信することができる。データ処理装置は、例えば、携帯型グルコース計(スポットモニタリング血糖測定を行うため)および/または連続グルコースモニタリング装置(連続グルコースモニタリング用)から、第1のセットのグルコース測定データおよび第2のセットのグルコース測定データを無線で受信し得る。
【0020】
第1の評価パラメータ値を決定するために、提供された第1のセットのグルコース測定データからのすべての測定データまたは測定データのサブセットを分析することができる。同じことが第2の評価パラメータ値の決定にも当てはまり、提供された第2のセットのグルコース測定データからのすべての測定データまたは測定データのサブセットの分析を実行することができる。例えば、30日より古いかまたは14日より古いいかなるデータも、血糖制御の欠如の相対リスクを決定するために分析することができない。
【0021】
一実施形態では、血糖制御の欠如の相対リスクを決定するために、測定データの第1のセットは、30日以前または14日以前のデータを含み得るか、またはそれからなり得、測定データの第2のセットは、30日以前または14日以前のデータを含み得るか、またはそれからなり得る。
【0022】
測定イベントの異なる頻度には、データ記憶装置内の評価パラメータの異なるセットが割り当てられる。そのような割り当ては、データ記憶装置に保存された割り当てデータによって提供され得る。割り当てデータは、割り当てを示すユーザー入力に応答してデータ記憶装置に保存され得る。あるいは、割り当てデータを、遠隔サーバー装置または遠隔入力装置などの外部供給源から受信することができる。データ処理装置のプロセッサで割り当てデータを受信した後、第1および第2の頻度の測定イベントに割り当てられる評価パラメータは、割り当てデータから決定され得る。測定イベントの異なる頻度には、単一の評価パラメータまたは評価パラメータの群を割り当てることができる。
【0023】
この方法は、第1の頻度の測定イベントを適用する第1の複数のスポットモニタリンググルコース測定イベントで収集された第1のセットのグルコース測定データを提供すること;および第2の頻度の測定イベントを適用する第2の複数のスポットモニタリンググルコース測定イベントで収集された第2のセットのグルコース測定データを提供すること、のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0024】
グルコース測定で実行される測定イベントの頻度に応じて、異なる評価パラメータを適用して、血糖制御の欠如の相対リスクを決定する。さらにまた、1人または複数の患者にそれぞれ割り当てられるグルコース測定データの異なるセットに対して決定されたリスクスコアを比較して、血糖制御の欠如の相対リスクを決定することができる。相対リスクについてのそのような情報に基づいて、一部のケアキーパー(care keeper)は、ある患者が他の患者よりも相談または支持を必要としているかどうかを判断することができる。
【0025】
第1および第2のセットのグルコース測定データのうちの少なくとも1つについて、先行する測定イベントにおいて先行するグルコース測定値を収集することに続いて収集される1つまたは複数の連続するグルコース測定値を決定することであって、この1つまたは複数の測定値は、先行する測定イベントに続く所定の時間ウィンドウ内の1つまたは複数の連続する測定イベントで収集される、グルコース測定値を決定することと;第1/第2の評価パラメータ値の決定から、1つまたは複数の連続するグルコース測定値を除外することと、が提供されてもよい。例えば、(先行する測定イベントで収集された)第1のグルコース測定値のみを、第1/第2の評価パラメータ値の決定に考慮することができ、その後に収集された1つまたは複数の連続するグルコース測定値は省略される。あるいは、平均値または中央値を、1つまたは複数の連続するグルコース測定値および先行するグルコース測定値に対して決定することができる。続いて、平均値または中央値を考慮に入れて、第1/第2の評価パラメータ値を決定することができる。一実施形態では、所定の時間ウィンドウは、約30分または60分であり得る。
【0026】
データ記憶装置において、時間ウィンドウデータは、例えば、時間ウィンドウを示すユーザー入力に応答して保存され得る。1つまたは複数の連続するグルコース測定値を決定するプロセスにおいて、時間ウィンドウデータが、プロセッサのうちの1つによってデータ記憶装置から取得され得る。続いて、時間ウィンドウデータによって定義される時間ウィンドウが、プロセッサによって決定され、適用される。加えて、または代替として、数値データを、データ記憶装置に保存することができ、数値データは、除外されるべき所定の数の連続したグルコース測定値を示す。数値データは、データ記憶装置から1つまたは複数のプロセッサで受信され、1つまたは複数の連続するグルコース測定値を除外するプロセスに適用され得る。
【0027】
この方法は、第1のセットのグルコース測定データから、複数の第1の評価パラメータについて、第1の患者に割り当てられる複数の第1の評価パラメータ値を決定することと;第2のセットのグルコース測定データから、複数の第2の評価パラメータについて第2の患者に割り当てられる複数の第2の評価パラメータ値を決定することと、をさらに含み得る。第1の総リスクスコアおよび第2の総リスクスコアは、それぞれ、複数の第1の評価パラメータ値および複数の第2の評価パラメータ値についての第1および第2のリスクスコアを合計することによって決定することができる。総リスクスコアを比較して、血糖制御の欠如の相対リスクを決定する。
【0028】
複数の第1の評価パラメータおよび複数の第2の評価パラメータの両方において、少なくとも1つの共通の評価パラメータが提供されてもよい。
【0029】
この方法は、以下を提供することができる:第1のセットのグルコース測定データは、第1のタイプの糖尿病を有する第1の患者に割り当てられ;第2のセットのグルコース測定データは、第2のタイプの糖尿病を有する第2の患者に割り当てられる。さらに、この方法は、それぞれ、第1のタイプの糖尿病および第2のタイプの糖尿病に応じて、少なくとも1つの第1の評価パラメータおよび少なくとも1つの第2の評価パラメータのうちの少なくとも1つを選択することを含み得る。データ記憶装置には、例えば、第1のタイプの糖尿病を有する第1の患者への第1のセットのグルコース測定データの割り当て、および第2のタイプの糖尿病を有する第2の患者への第2のセットのグルコース測定データの割り当てを示すユーザー入力に応答して、追加の割り当てデータを保存することができる。加えて、または代替として、追加の割り当てデータは、一方の異なるタイプの糖尿病と他方の異なる評価パラメータのセットとの間の割り当てを示すことができる。リスクスコアを決定するプロセスにおいて、追加の割り当てデータを、データ記憶装置から取得する場合がある。続いて、追加の割り当てデータによって定義される評価パラメータの割り当てが、データ処理装置のプロセッサによって追加の割り当てデータから決定され、適用される。
【0030】
第2の患者は、第1の患者とは異なってもよい。あるいは、第1および第2のセットのグルコース測定データを、同一患者について収集することができるが、そのような患者に対して異なる測定時間ウィンドウが参照されるであろう。そのような代替の例では、第1および第2のリスクスコアは、同一人物(患者)のグルコース測定データの分析を指すが、第1および第2の測定データは、異なる時間に収集された第1および第2の測定データを区別するために第1および第2の患者と称されるそのような患者について、異なる測定時間ウィンドウで収集される。
【0031】
第1の評価パラメータおよび第2の評価パラメータは、低血糖指数、高血糖指数、警告標識、平均血糖、中央血糖、安定性指数、ならびに1日あたりの低血糖および高血糖イベントのピークリスクを合計することによって決定される1日総血糖変動、の評価パラメータの群から選択され得る。安定性指数は、患者のグルコース測定データの平均値を標準偏差で割ったものである。
【0032】
第1の評価パラメータまたは複数の第1の評価パラメータは、低血糖指数、高血糖指数、警告標識、平均血糖、および中央血糖、の評価パラメータの群から選択され得る。
【0033】
第2の評価パラメータまたは複数の第2の評価パラメータは、低血糖指数、高血糖指数、安定性指数、ならびに1日あたりの低血糖および高血糖イベントのピークリスクを合計することによって決定される1日総血糖変動、の評価パラメータの群から選択され得る。
【0034】
一実施形態では、複数の第1の評価パラメータは、低血糖指数(LBGI)、高血糖指数(HBGI)、警告標識(WS)、および中央血糖(中央値)を含み得る。複数の第2の評価パラメータは、低血糖指数(LBGI)、高血糖指数(HBGI)、安定性指数(SI)、ならびに1日あたりの低血糖および高血糖イベントのピークリスクを合計することによって決定される1日総血糖変動(ADRR)を含み得る。複数の第1の評価パラメータ値および複数の第2の評価パラメータ値のリスクスコアは、それぞれ、表1に従って決定することができる。
【0035】
警告標識のパラメータ値は、等式(1)に従って、以下の警告標識リスク変数(WSRV)として計算することができ、
式中、添字iはイベントを示し、添字iを伴うイベントの重みはw
iで示され、変数x
iは、イベントが発生したか(ブール値=1)または発生していないか(ブール値=0)どうかのブール値を表す。
【0036】
イベントは、例えば、以下のうちの1つまたは複数を含み得る:反復低血糖<70mg/dl;反復高血糖>300mg/dl;重度の反復低血糖<50mg/dl;重度の低血糖<40mg/dl;および重度の高血糖>400mg/dl;ここで、
反復ハイポ(Hypo)<70mg/dl(Rep Ho<70)は、第1のセットのグルコース測定データにおいて2日間連続で70mg/dl未満である2つのSMBG読み取り値を指し;
反復高血糖>300mg/dl(Rep He>300)は、第1のセットのグルコース測定データにおいて300mg/dlを超える4つ以上のSMBG読み取り値を指し;
重度の反復低血糖<50mg/dl(Rep SHo<50)は、第1のセットのグルコース測定データにおいて2日間で50mg/dl未満である2つのSMBG読み取り値を指し;
重度の低血糖<40mg/dl(SHo<40)は、第1のセットのグルコース測定データにおいて40mg/dl未満の1つのSMBG読み取り値を指し
;
重度の高血糖>400mg/dl(SHe>400)は、第1のセットのグルコース測定データにおいて400mg/dlを超える1つのSMBG読み取り値を指す。
【0037】
表2に従って、第1の患者の糖尿病のタイプに応じて、イベントに重みw
iを割り当てることができる。
【0038】
例えば、第1の患者の糖尿病のタイプが1型糖尿病(1型)または成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)である場合、したがって、重度の高血糖>400mg/dl(SHe>400)イベントには、3の重みを割り当てることができ、一方、第1の患者の糖尿病のタイプが2型糖尿病(2型)または若年発症成人型糖尿病(MODY)またはその他の場合、重度の高血糖>400mg/dl(SHe>400)イベントには、重み1を割り当てることができる。
【0039】
一実施形態では、第1の患者は1型または2型糖尿病を有し、第2の患者は1型または2型糖尿病を有する。一実施形態では、第1および第2の患者のうちの1人は1型糖尿病を有し、他の患者は2型糖尿病を有する。
【0040】
第1の総リスクスコアおよび第2の総リスクスコアの少なくとも1つは、事前定義された閾値を超える場合、それぞれ第1の患者および第2の患者の治療レビューおよび治療調整の必要性のうちの少なくとも1つを示し得る。代替としてまたは加えて、第1の総リスクスコアおよび第2の総リスクスコアのうちの少なくとも1つは、事前定義された閾値を超える場合、第1の患者および第2の患者に送信される自動電子メッセージをトリガすることができる。
【0041】
事前定義された閾値は、治療レビューおよび/または治療調整の必要性があるかどうかを決定するために、および/またはスコアが閾値を超える患者に送信される自動電子メッセージをトリガするために、データ記憶装置に保存され、データ記憶装置から取得され得る。
【0042】
さらなる実施形態では、以下が提供され得る:
a)第1の最大達成可能総リスクスコアおよび第1の閾値が事前定義されており、第1の総リスクスコアと第1の最大達成可能総リスクスコアの比が第1の事前定義された閾値を超える場合、
- 第1の患者の治療レビューおよび治療調整の必要性のうちの少なくとも1つを示す、および/もしくは
- 第1の患者に送信される電子メッセージをトリガし、
第1の事前定義された閾値は、0.5より大きい、好ましくは0.7より大きい、より好ましくは0.8または0.9より大きい;ならびに/または
b)第2の最大達成可能総リスクスコアおよび第2の閾値が事前定義されており、第2の総リスクスコアと第2の最大達成可能総リスクスコアの比が第2の事前定義された閾値を超える場合、
- 第2の患者の治療レビューおよび治療調整の必要性のうちの少なくとも1つを示す、および/もしくは
- 第2の患者に送信される電子メッセージをトリガし、
第2の事前定義された閾値は、0.5より大きい、好ましくは0.7より大きい、より好ましくは0.8または0.9より大きい。
【0043】
第1の総リスクスコアと第1の最大達成可能総リスクスコアの比が第1の事前定義された閾値を超える場合、第1の患者の治療レビューおよび治療調整の必要性のうちの少なくとも1つを示す。加えて、または代替として、第1の総リスクスコアと第1の最大達成可能総リスクスコアの比が第1の事前定義された閾値を超える場合、第1の患者に送信される自動電子メッセージをトリガすることができる。
【0044】
同様に、第2の総リスクスコアと第2の最大達成可能総リスクスコアの比が第2の事前定義された閾値を超える場合、第2の患者の治療レビューおよび治療調整の必要性のうちの少なくとも1つが示される。加えて、または代替として、第2の総リスクスコアと第2の最大達成可能総リスクスコアの比が第2の事前定義された閾値を超える場合、第2の患者に送信される自動電子メッセージをトリガすることができる。
【0045】
事前定義された第1の最大達成可能総リスクスコアおよび事前定義された第1の閾値は、第1の患者に対し、治療レビューおよび/または治療調整の必要性があるかどうかを決定するために、および/または第1の閾値を超える場合、第1の患者に送信される自動電子メッセージをトリガするために、データ記憶装置に保存され、データ記憶装置から取得され得る。事前定義された第2の最大達成可能総リスクスコアおよび事前定義された第2の閾値は、第2の患者に対し、治療レビューおよび/または治療調整の必要性があるかどうかを決定するために、および/または第2の閾値を超える場合、第2の患者に送信される自動電子メッセージをトリガするために、データ記憶装置に保存され、データ記憶装置から取得され得る。
【0046】
メッセージは、i)血糖制御を改善する方法に関する教材、ii)医療専門家との打合せ依頼、iii)測定頻度を増やすためのプロンプト、のうちの1つまたは複数を含んでもよい。一実施形態では、測定頻度を増やすためのプロンプトは、患者の測定イベントの頻度が、データ記憶装置に保存された事前定義された頻度閾値よりも低い場合にのみ送信される。
【0047】
相対リスクに関する情報を示す出力データは、データ処理装置に接続された表示装置を介して出力してもよい。
【0048】
上記の方法について開示された実施形態は、準用してシステムに適用することができる。
【0049】
以下では、例として、図を参照してさらなる実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】複数の患者に対する血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのシステムの概略図を示す。
【
図2】複数の患者に対する血糖制御の欠如の相対リスクを決定するための方法の概略図を示す。
【
図3】異なる糖尿病タイプに対する警告標識に重み付けするための重みを含む表を示す。
【
図4】糖尿病患者の異なる群および対応するメトリックを要約した表を示す。
【
図5】スコアリングシステムを要約し、異なるリスクメトリックを含む表を示す。
【
図6】23人の例示的な患者のリスクスコアを含む表を示す。
【
図7】
図7a~
図7dは、異なる群の患者の記録時間に応じた血糖(BG)値の4つのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、複数の患者に対する血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのシステム1の概略図を示し、システム1は、1つまたは複数のデータプロセッサ3aを有するデータ処理装置2を含む。モバイルまたは非モバイル装置上に実装され得るデータ処理装置2は、電子データを交換するために1つまたは複数のデータプロセッサ3aに機能的に接続されたデータ記憶装置3bをさらに含む。測定または分析装置4を形成し、データ処理装置2は、1人または複数の患者5のグルコースレベルを示す測定データを受信している。典型的な使用ケースでは、少なくとも2人の患者のグルコースレベルを示す測定データを受信する。異なる患者の測定を、異なる患者によって使用される異なる測定または分析装置から受信してもよい。例えば、各患者は、患者の(血中)グルコースレベルを示す測定データを収集するために、個人の測定または分析装置を使用していてもよい。あるいは、読み取り値とも称される測定データを、例えば、複数の測定または分析装置を形成する前に、測定データを受信した1つまたは複数の他のデータ処理装置6から受信することができる。
【0052】
図2は、少なくとも2人の患者5a、5bについて、血糖制御の欠如の相対リスクを決定するためのコンピュータ実装方法の概略図を示している。血糖制御の欠如の相対リスクの決定は、リスクメトリックを患者5a、5bに割り当てることを含む。(任意の)第1のステップ10では、スポットモニタリング(SPM)測定とも称されるSMBG(血糖の自己モニタリング)で収集された測定データがクリーニングされる。患者5のうちの一部は、短期間内に複数のSMBG読み取り値を記録した場合があるため、SMBG読み取り値または測定値(イベント)を表す測定データをクリーニングする必要があり得る。これは「ビンジモニタリング」と称されることもあり、これは、血糖変動やスポーツなどのリスクが高い活動の期間における制御の強化による場合がある。例えば、30分以下の所定の期間内に発生した同一患者のSMBG読み取り値は、クリーニングによって入力データから削除される。あるいは、60分の所定期間が適用され得る。したがって、データはそのような期間周辺に偏っていない。
【0053】
続いて、ステップ20において、少なくとも2人の患者5a、5bがグループ化される。例えば、各患者は以下の群のうちの1つに割り当てられ得る:G1 -平均して1日あたり2つ未満のSMBG読み取り値を記録する患者、およびG2 -平均して1日あたり2つ以上のSMBG読み取り値を記録するユーザー。一実施形態では、群G1およびG2は、ほとんどの記録または測定が実行された連続30日のうち14日間で、1日あたり、それぞれ2未満(または5未満)および≧2(または≧5)のSMBG読み取り値を表すことができる。群G1およびG2のSMBG読み取り値は、それぞれ、第1の頻度の測定イベントおよび第2の頻度の測定イベントを表す。この例では、第2の頻度の測定イベントは、第1の頻度の測定イベントよりも高くなっている。
【0054】
一例として、患者が過去30日以内に少なくとも14日間、1日あたり最低2回SMBGを確認した場合、患者は群G2に割り当てられる。そのような措置は、患者が上記の要件を少なくとも14日満たす限り、患者が記録する頻度が少ないか、まったく記録しない日を考慮に入れることに注意されたい。また、別の患者が1日おきに少なくとも4つのSMBGデータを30日間記録した場合、それらのSMBGデータもまた群G2に割り当てられる。
【0055】
あるいは、群G1およびG2は、ほとんどの記録が行われた連続14日のうち7日で、1日あたりそれぞれ2未満(または5未満)および≧2(または≧5)のSMBG読み取り値を表すこともできる。2週間の期間は、最新の測定データのみが確認されるため、有益であり得る。30日前の測定イベントは、患者の現在の治療レジメンとは関係がないか、または思い出すのが容易でない可能性がある。しかし、その一方で、14日のうち7日は分析用のデータが少なくなる。
【0056】
図2を参照すると、ステップ30で、群G
1およびG
2の患者5について、リスクスコアが決定される。続いて、ステップ40で、群G
1およびG
2に割り当てられた患者5a、5bの(総)リスクスコアを比較することによって、血糖制御の欠如の相対リスクが決定される。
【0057】
群G1およびG2は、SMBG読み取り値または測定値に異なる頻度を適用した患者を表すため、異なるメトリックまたは異なる複数のメトリック(少なくとも1つのメトリックが共通している場合がある)を、個々のリスクスコアを決定するために、2つの異なる群の患者に適用する。異なるメトリックを適用することで群G1およびG2の患者に対して決定されたリスクスコアを比較することが可能になり、血糖制御の欠如の相対リスクを決定することができる。このような相対リスクは、実際のSBMGの読み取り値または測定値に応じて、いずれかの群の患者の方が高くなる場合がある。また、3人以上の患者を比較することもできる。数がi(i>2)の患者の場合、患者は群Gj(j≦i)に割り当てられる。
【0058】
ADRR(平均日常リスク範囲)と称されることがある第1のメトリックが提案され、ADRRは、異なる群G1およびG2に分類される患者5の血糖制御の欠如のリスクを比較することができる適切なリスク尺度を構成する。
【0059】
高SMBG値および低SMBG値のリスクを計算するために、HBGI(高血糖指数)およびLBGI(低血糖指数)の変換式(2)および(3)、および公開されているリスク値を使用する(Kovatchevら(2000)を参照のこと)。
ここで、
BGは、SMBG記録に記録された血糖値を示し、
および
BGの値が1デシリットルあたりミリグラムの単位で測定される場合、または
BGの値が1リットルあたりミリモルの単位で測定される場合。関数rは、ある特定のBGレベルに関連するリスクの尺度として解釈することができる。BGに依存する関数rlは低リスクを表し、関数rhは高リスクを表す。関数fは、1リットルあたり1.1~33.3ミリモルのBG範囲で定義された連続関数である。その形態は、Kovatchevら(2000)に記載されているように得ることができる。
【0060】
LBGIおよびHBGIは、それぞれ低血糖のリスクと高血糖のリスクの両方を包含する患者の血糖制御の評価を提供することが知られている。LBGIおよびHBGIは、時間依存変数ではない。LBGIおよびHBGIは、低血糖と高血糖の等しいリスクスケールを提供するためのSMBG値の変換および正規化である。LBGIおよびHBGIはさらに、低血糖および高血糖イベントの程度および頻度とともに徐々に増加することが知られている。したがって、LBGIおよびHBGIは、各群G1およびG2のすべての患者5に適用され、低頻度および高頻度の両方のSMBG患者5に対し同等のメトリックが可能になった。
【0061】
LBGI値とHBGI値に基づいて、メトリックADRRを計算する。ADRRは、1日総血糖変動のリスク評価、つまり1日あたりの低血糖および高血糖イベントのピークリスクの合計を提供する。ADRRは以下のように計算される:
式中、
【0062】
i日目の読み取り値の数はn
iで示され、i日目の血糖データポイントは、
で示される(WO2007/081853およびKovatchevら(2006)を参照のこと)。Mは、ADRRが計算される総日数である。
【0063】
ADRRを計算するには、1日あたり2つ程度の読み取り値で十分であり得る。あるいは、最低3つ(または5つ)のSMBG読み取り値を使用してADRRを計算する。
【0064】
安定性指数(SI)は、患者のグルコース測定データの平均値を標準偏差で割ったものである(SI=μ/σ)。妥当な標準偏差を計算するには、1日に最低2つのSBGM読み取り値または測定値が必要である。あるいは、最低3つ(または5つ)のSMBG読み取り値を使用してSIを計算する。
【0065】
ADRRとSIの両方は、使用のための最小読み取り計数を必要とするため、低頻度の患者(群G1)について同等のリスクを表すさらに2つのメトリックが考案された。これらのメトリックについては、次に考察する。HBGIおよびLBGIは最小数のSMBG読み取り値を必要としないため、高血糖と低血糖の変動リスクを発見するために、すべての患者5(G1およびG2)がHBGIおよびLBGIを使用する。
【0066】
ADRRと等価のメトリックとして、群G1の患者5のSMBG値の中央値を使用することができる。一実施形態では、群G1の患者5のSMBG値の平均値を使用することができる。しかし、中央値は平均値よりも外れ値に対する感度が低い。
【0067】
SIと等価のものとして、群G2のSIリスクスコアに相当するG1リスクスコアを作成する方法として、警告標識(WS)が適用される。患者がWSのある特定のパーセンテージの要件を満たしている場合、患者は安定性を欠いていると考えられる。WSは、(糖尿病のタイプに基づいて)医療提供者により重み付けされて、以下のように適切なリスクを決定することができる。
【0068】
警告標識のパラメータ値は、上記の等式(1)に従って計算される警告標識リスク変数(WSRV)として計算することができる。
【0069】
以下に、患者のWSRVの計算例を示す。患者は、先月にはRep Hypo(BG<70mg/dl)およびRep Severe Hypo(BG<50 mg/dl)の基準を満たす読み取り値を取得した。
【0070】
患者は、高血糖イベントも重度の低血糖イベントも経験していなかった。以下の値が得られた:
値を等式(1)に代入すると、以下を与える:
【0071】
図5の表に従うと、患者は警告標識に関して中リスクのカテゴリに分類される。したがって、WSリスクまたはSMBGマグニチュードメトリック(Magnitude Metric)(MM)に関して、患者には2のスコアが割り当てられる。患者はまた、低SMBGメトリック(LM)について中リスクスコア=2、高SMBGメトリック(HM)についてリスクなし=0、平均メトリック(AM)(例えばADRRまたは中央値など)について低リスク=1を受けた。
【0072】
したがって、患者の総合リスクスコアは次のとおりである:
【0073】
患者の総合リスクスコアは、患者の総リスクスコアとそのような患者の達成可能な最大総リスクスコアの比として説明することもできる。
【0074】
重みは、患者のニーズに合わせて変更することができるように設定されている。
【0075】
別の実施形態(例えば、2型糖尿病患者の場合)では、重度の高血糖イベント(>400mg/dl)は、反復低血糖イベント(<70mg/dl)よりも高く重み付けされ得る。2型患者に対する
図3の重み値は、例えば以下のように変更することができる:
WSは、以下のように適用してもよい:
- 読み取り値のセット内で、70mg/dl未満のハイポイベントを検索し、2日連続で70mg/dl未満の2つのSMBG読み取り値はハイポイベントを表す。ハイポイベントが発生したかどうかを判断するために、イベントの反復インスタンスを検索する。例えば、読み取り値BG67(1日目)、BG56(2日目)、BG50(6日目)、BG65(7日目)には、2日間連続で70mg/dl未満のBGの2つのイベントが含まれている。
- 読み取り値のセット内で、300mg/dlを超えるハイパー(hyper)イベントを検索し、ハイパーイベントは、300mg/dlを超える4つ以上のSMBG読み取り値に対応する。
- 読み取り値のセット内で、50mg/dl未満の重度のハイポイベントを検索し、2日間で2つの連続したSMBG読み取り値が50mg/dl未満である。
- 読み取り値のセット内で、40mg/dl未満の1つの読み取り値に対応する1つの非常に重度のハイポイベントを検索する。
- 読み取り値のセット内で、400mg/dlを超える1つの読み取り値に対応する1つの非常に重度のハイパーベントを検索する。
【0076】
WSの重みは、糖尿病のタイプによって異なる。例えば、1型糖尿病患者では、反復高BG値は、2型糖尿病患者に対する推奨値と比較して多かれ少なかれ重要である可能性がある。
【0077】
したがって、患者5を群G1およびG2に分割することとは別に、患者5をまた、適切な重みを決定するために、以下の糖尿病タイプに分類する:1型糖尿病、LADA(成人における潜在性自己免疫性糖尿病);2型糖尿病、MODY(若年発症成人型糖尿病)、リストにない(糖尿病は示されていない)、その他;およびGEST(妊娠糖尿病)。
【0078】
群G
1および各タイプの重み(絶対値および合計が100%になるように正規化されたもの)を
図3に示す。この表は、群G
2における傾向を特定するためにも使用することができるが、リスクスコアリングに使用することはできない。上に挙げたように、スコアリング分析のために重みを推定して正規化した。妊娠糖尿病(GEST)および妊娠性糖尿病は別個の群を構成する。妊娠中のメトリックは、他のすべてのWSよりも厳格である(母親および乳児が関係しているため)。したがって、妊娠糖尿病(GEST)および妊娠性糖尿病のスコアリングは他のタイプとは異なる(
図3の表の最後の2行を参照のこと)。
【0079】
図3を参照すると、妊娠糖尿病患者は以下のメトリックに基づいてスコア付けされる:低SMBG値(低血糖イベント);高SMBG値(高血糖イベント);92mg/dlを超える朝の空腹時SMBG値;および140mg/dlを超える日中の高血糖イベント。このスコアリングは、
図3の最後の2つの項目を除いて、群G
1およびG
2と同様である。
図3の表の最後の2つのメトリックは、患者が要件を満たしている場合を除いて、WSの場合と同様に設定され、可能な限り最高のリスクスコアが割り当てられる。
【0080】
群G1およびG2のそれぞれは、ランクリスク(高、低、安定性、および日平均)に相当するメトリックで構成される。リスクのレベルは、それぞれのスコアに以下のように割り当てられる(スコア-リスク):0-リスクなし;5-低リスク;2-中リスク;および3-高リスク。
【0081】
図4は、糖尿病患者5の異なる群G
1、G
2、およびGESTに適用された、異なる群の個々のリスクスコアを決定し、血糖制御の欠如の相対リスクを追跡するためのメトリックを要約した表を示す。早朝空腹時ハイパーという用語は、午前9時より前および92mg/dlを超えて読み取られたBG値を指す。早朝空腹時ハイパーは通常、夜中に食事をしない(絶食する)ことに相当する。日中ハイパーという用語は、140mg/dlを超える日中のBG値を指す。これらの値は、乳児および母親に適用されるため、非常に保守的に設定されている。
【0082】
図5は、スコアリングシステムを要約し、異なるリスクメトリックを含む表を示す。LBGI、HBGI、ADRRなどの異なるメトリックのスコア基準が示されている。0~3までのスコアが適用され、このようなスコアは、リスクなし(0)、低リスク(1)、中リスク(2)、および高リスク(3)を指す。
【0083】
図5では、A1Cは(HbA1c)を指す。患者が対応するWSのパーセンテージを有する場合、患者は0~3までのそれぞれのスコアリングカテゴリに割り当てられる。リスクの中央値は、7.0%未満、8.0%、9.0%、および9.0%を超えるヘモグロビンA1C(HbA1C)に関連している。
【0084】
代替のスコアリングシステムは、上記の表1に記載されている。
【0085】
図6は、23人の例示的な患者のリスクスコアを含む表を示す。表は、より良く表示するために上部と下部に分割されている。下部の列は、表の上部の列に続いている。最初の列(「ユーザー」)は、1から23までの23人の患者を示す。4つのリスクカテゴリすべてのリスクスコア(
図5を参照)を合計して、群G
1およびG
2の総リスクスコア(
図6の「スコア」-
図6の上部)を決定した。例えば、
図6の患者1の合計リスクスコアは11である(「HGBI_リスク」のスコア3プラスBG_リスクのスコア3プラス「ADRRリスク」のスコア3プラス「SIリスク」のスコア2)。
【0086】
2つの群G
1およびG
2には異なるメトリックが適用されている。例えば、メトリック「ADRR_リスク」(ADRR)および「SI_リスク」(SI)は、群G
1に適用されていない。群G
2の場合、「BG_リスク」および「WS_リスク」(WS)は適用されていない。一部のメトリックを適用しない、または考慮しないことは、
図6の「NaN」で識別される。
【0087】
図6の下部には、HBGI、LBGI、SI、WS、およびADRRの実際の値(リスクスコアではない)が示されている。「RSHypo」は、BG<50mg/dlを伴う反復重度低血糖イベントに対応し、「RHypo」は、BG<70mg/dlの反復低血糖イベントに対応し、「SH」は、BG<40mg/dlを伴う重度低血糖イベントに対応している。
【0088】
その後、群G1およびG2の患者5を、総スコアの高いものから低いものへとソートした。群G1およびG2について決定された個々の総リスクを提供することにより、医療提供者が「糖尿病タイプ」および「リスクスコア」でフィルタリングして、どの患者5が最も支持を必要としているかを確認できるようにすることができる。
【0089】
過去数日間の警告標識WSを、例えば、医療提供者への自動メッセージングに使用することができる。例えば、ユーザーが40mg/dl未満の重度のハイポを経験するたびに、自動メッセージが送信される。その週(または指定された時間枠)にわたって、患者が医療提供者によって決定されたある特定の閾値に達した場合、医療提供者に通知され、医療提供者は患者に直接連絡することができる。このことは、自動メッセージングまたは通知は、サポートをほとんど必要としない患者5に役立つが、リスクがより実質的である患者5は、医療提供者が直接処置することができることを意味する。
【0090】
図7a~
図7dには、異なる患者の記録または測定の時間に応じたBG値(SMBG読み取り値)の4つのグラフが示されている。各グラフは、以下の4つの群の4人の患者5のうちの1人を表しており、上記のように決定された以下の総リスクがある:G
1-中リスク(
図7a);G
2-高リスク(
図7b);G
1-高リスク(
図7c);およびG
2-リスクなし(
図7d)。BG値の所望の範囲は、70mg/dl~180mg/dlの間である。