(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】フロアパネルの固定具
(51)【国際特許分類】
E04F 15/024 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
E04F15/024 603F
(21)【出願番号】P 2022060545
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
(72)【発明者】
【氏名】幸長 浩気
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-010487(JP,A)
【文献】特開平07-208430(JP,A)
【文献】実開平06-032723(JP,U)
【文献】特開2000-205227(JP,A)
【文献】特開2012-013121(JP,A)
【文献】特開2003-013931(JP,A)
【文献】特開平07-189461(JP,A)
【文献】特開2004-218276(JP,A)
【文献】特開平07-139138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F15/00-15/22
F16B35/00、35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルを支持する支持脚に取り付けられ、前記フロアパネルを押さえる固定具であって、
前記フロアパネルを上から押さえると共に貫通開口部を有する押さえ部材と、
前記貫通開口部に挿通されて前記支持脚に螺合され、前記押さえ部材を押さえる押さえビスと、を備え、
前記押さえビスは、該押さえビスを前記貫通開口部に対して回転可能に装着させるとともに前記押さえ部材に係合させる係合部を有し、
前記係合部は、前記押さえビスの首下部の外周面から突出して形成されており、
前記貫通開口部は、上面側に前記押さえビスの頭部の下面が接する段部と、該段部より下側で下方に向かって次第に小径となっている部分とを有する
ことを特徴とするフロアパネルの固定具。
【請求項2】
前記係合部は、前記押さえビスの外周面に周方向に配設された爪であることを特徴とする請求項1に記載のフロアパネルの固定具。
【請求項3】
前記係合部は前記押さえ部材の下面に係合することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフロアパネルの固定具。
【請求項4】
前記フロアパネルの角部に、上面より低く形成された低段部、及び、上面から前記低段部に連続する平面視直線状の立ち上がり部が設けられ、前記押さえ部材は、前記立ち上がり部に係合する直線状の辺を備えることを特徴とする請求項1乃至
請求項3のいずれか1項に記載のフロアパネルの固定具。
【請求項5】
前記フロアパネルは、4枚の角部を突き合わせて前記支持脚に支持され、
前記押さえ部材は、四角形であって、各辺が4枚のフロアパネルの立ち上がり部に係合することを特徴とする
請求項4に記載のフロアパネルの固定具。
【請求項6】
前記貫通開口部の有する前記段部より下側で下方に向かった次第に小径となっている部分は、2段階の傾斜面を備えている
ことを特徴とする請求項1乃至
請求項5のいずれか1項に記載のフロアパネルの固定具。
【請求項7】
前記2段階の傾斜面は、前記貫通開口部の上部側に位置する傾斜面
の方が下部側に位置する傾斜面
よりも緩やかである
ことを特徴とする
請求項6に記載のフロアパネルの固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床スラブの上方に空間を開けてフロアパネルを支持する支持脚に取り付けられ、フロアパネルを押さえるフロアパネルの固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のOA機器を使用する事務所等の床は二重床とすることが多い。
このような二重床は、床スラブの上に多数の支持脚を立設し、支持脚でフロアパネルの角部を支持して、床スラブとフロアパネルとの間に配線空間を形成し、この配線空間にケーブルを配線している。
【0003】
従来、特許文献1には、床スラブである基準床面に立設された支持脚でフリーアクセスフロアのフロアパネルを支持し、フロアパネルのコーナー部に形成された低段部である切欠き部にボルト状のねじの頭部を押え部材にはめ込み、頭部の下方に設けられた雄ネジ部を、フロアパネルを支持する支持脚にねじ込んで、押え部材でフロアパネルを上から押さえる固定具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のようなフロアパネルの固定具は、ねじと押え部材とが二部材で離れて独立して形成されているので、支持脚への取付け作業時において、両者を組み合わせてから取付ける作業が必要となり作業効率が低下する。
また、支持脚への取付け作業時やその前までに、両者のうち一方だけを紛失してしまうことがあった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、取付け作業を効率化し、部品の脱落や紛失を防止できるフロアパネルの固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、フロアパネルを支持する支持脚に取り付けられ、前記フロアパネルを押さえる固定具であって、前記フロアパネルを上から押さえると共に貫通開口部を有する押さえ部材と、前記貫通開口部に挿通されて前記支持脚に螺合され、前記押さえ部材を押さえる押さえビスと、を備え、前記押さえビスは、該押さえビスを前記貫通開口部に対して回転可能に装着させるとともに前記押さえ部材に係合させる係合部を有し、前記係合部は、前記押さえビスの首下部の外周面から突出して形成されており、前記貫通開口部は、上面側に前記押さえビスの頭部の下面が接する段部と、該段部より下側で下方に向かって次第に小径となっている部分とを有することを特徴とするフロアパネルの固定具である。
請求項2に係る発明は、前記係合部は、前記押さえビスの外周面に周方向に配設された爪であることを特徴とする請求項1に記載のフロアパネルの固定具である。
請求項3に係る発明は、前記係合部は前記押さえ部材の下面に係合することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフロアパネルの固定具である。
請求項4に係る発明は、前記フロアパネルの角部に、上面より低く形成された低段部、及び、上面から前記低段部に連続する平面視直線状の立ち上がり部が設けられ、前記押さえ部材は、前記立ち上がり部に係合する直線状の辺を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフロアパネルの固定具である。
請求項5に係る発明は、前記フロアパネルは、4枚の角部を突き合わせて前記支持脚に支持され、前記押さえ部材は、四角形であって、各辺が4枚のフロアパネルの立ち上がり部に係合することを特徴とする請求項4に記載のフロアパネルの固定具である。
請求項6に係る発明は、前記貫通開口部の有する前記段部より下側で下方に向かった次第に小径となっている部分は、2段階の傾斜面を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のフロアパネルの固定具である。
請求項7に係る発明は、前記2段階の傾斜面は、前記貫通開口部の上部側に位置する傾斜面の方が下部側に位置する傾斜面よりも緩やかであることを特徴とする請求項6に記載のフロアパネルの固定具である。
また、別発明として、以下のものでもよい。
他発明は、フロアパネルを支持する支持脚に取り付けられ、前記フロアパネルを押さえる固定具であって、前記フロアパネルを上から押さえると共に貫通開口部を有する押さえ部材と、前記貫通開口部に挿通されて前記支持脚に螺合され、前記押さえ部材を押さえる押さえビスと、を備え、前記押さえビスは、該押さえビスを前記貫通開口部に対して回転可能に装着させるとともに前記押さえ部材に係合させる係合部を有し、前記係合部は、前記押さえビスの首下部の外周面であり、前記貫通開口部の内周面に係合し、前記貫通開口部は、上面側に前記押さえビスの頭部の下面が接する段部と、該段部より下側で下方に向かって次第に小径となっている部分とを有することを特徴とするフロアパネルの固定具である。
手段1は、フロアパネルを支持する支持脚に取り付けられ、前記フロアパネルを押さえる固定具であって、前記フロアパネルを上から押さえると共に貫通開口部を有する押さえ部材と、前記貫通開口部に挿通されて前記支持脚に螺合され、前記押さえ部材を押さえる押さえビスと、を備え、前記押さえビスは、該押さえビスを前記貫通開口部に回転可能に装着させ、前記押さえ部材に係合させる係合部を有することを特徴とするフロアパネルの固定具である。
【0008】
手段2は、前記係合部は、前記押さえビスの外周面に周方向に配設された爪であることを特徴とする手段1に記載のフロアパネルの固定具である。
【0009】
手段3は、前記係合部は前記押さえ部材の下面に係合することを特徴とする手段1又は手段2に記載のフロアパネルの固定具である。
【0010】
手段4は、前記係合部は、前記押さえビスの首下部の外周面であり、前記貫通開口部の内周面に係合することを特徴とすることを特徴とする手段1に記載のフロアパネルの固定具である。
【0011】
手段5は、前記貫通開口部は、上面側に前記押さえビスの頭部の下面が接する段部を有することを特徴とする手段1乃至手段4のいずれかに記載のフロアパネルの固定具である。
【0012】
手段6は、前記フロアパネルの角部に、上面より低く形成された低段部、及び、上面から前記低段部に連続する平面視直線状の立ち上がり部が設けられ、前記押さえ部材は、前記立ち上がり部に係合する直線状の辺を備えることを特徴とする手段1乃至手段5のいずれかに記載のフロアパネルの固定具である。
【0013】
手段7は、前記フロアパネルは、4枚の角部を突き合わせて前記支持脚に支持され、前記押さえ部材は、四角形であって、各辺が4枚のフロアパネルの立ち上がり部に係合することを特徴とする手段6に記載のフロアパネルの固定具である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフロアパネルの固定具は、フロアパネルに対して回転させずに上から押さえる押さえ部材と、回転させて支持軸に螺合させることにより押さえ部材を押さえる押さえビスとで構成されるので、角部に周縁が円弧状の低段部を形成しにくいフロアパネルであっても容易に支持脚に固定することができる。
また、押さえビスの係合部が押さえ部材の貫通開口部に回転を許容して係合するので、押さえビスの回転操作を阻害することなく、取付け作業時に予め押さえビスと押さえ部材とを組立てて一体化しておくことができ、作業効率が向上するとともに、押さえビス或いは押さえ部材が脱落して紛失するのを防ぐことができる。
【0015】
加えて、係合部が押さえビスの外周面に周方向に配設された爪であれば、押さえビスへの加工が簡易で済み、簡単に押さえ部材と押さえビスとの係合構造が達成できる。
【0016】
加えて、係合部を貫通開口部の下面に係合することにより、貫通開口部の途中に係合部を係止するための特段の加工などを施す必要がなく、製造が容易である。
【0017】
加えて、貫通開口部の上面側に押さえビスの頭部の下面が接する段部を設けると、押さえビスの頭部が押さえ部材から突出しにくく、床を平滑に仕上げることができる。
【0018】
加えて、フロアパネルの角部に、上面より低く形成された低段部、及び、上面から低段部に連続する平面視直線状の立ち上がり部が設けられ、押さえ部材は、立ち上がり部に係合する直線状の辺を備えることにより、押さえ部材が空回りせず、フロアパネルを確実に支持することができる。
【0019】
加えて、フロアパネルは、4枚の角部を突き合わせて支持脚に支持され、押さえ部材は、四角形であって、各辺が4枚のフロアパネルの立ち上がり部に係合すると、フロアパネルの立ち上がり部及び押さえ部材の形状が単純で、フロアパネル及び固定具の加工が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る床構造の要部断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る床構造の要部平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る押さえ部材の斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る押さえ部材の断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る押さえビスの側面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る押さえビスの断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る押さえビスの斜視図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る固定具の断面図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る受け台の斜視図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る受け台の平面図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る受け台の断面図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る固定具の断面図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態に係る固定具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照する等して説明する。
なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0022】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態を
図1乃至
図11と共に説明する。
【0023】
図1は、床構造の要部断面図であり、
図2は、床構造の要部平面図であり、
図3は、押さえ部材の斜視図であり、
図4は、押さえ部材の断面図であり、
図5は、押さえビスの側面図であり、
図6は、押さえビスの断面図であり、
図7は、押さえビスの斜視図であり、
図8は、固定具の断面図であり、
図9は、受け台の斜視図であり、
図10は、受け台の平面図であり、
図11は、受け台の断面図である。
【0024】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のフロアパネル1の固定具2は、例えば合成樹脂製であって、フリーアクセスフロアのフロアパネル1を支持する支持脚3に取り付けられ、フロアパネル1を押さえるものであって、押さえ部材20と、押さえビス21とを備える。
【0025】
フロアパネル1は、図示を省略するが略正方形であり、四つの角部には三角形に角取りがされた角取り部10が形成されている。
フロアパネル1の各角部には、上面(踏面)から4~5mm程度低く形成された低段部11、及び上面から低段部11に連続する立ち上がり部12が設けられる。
【0026】
立ち上がり部12は、平面視で角取り部10の端面と平行な直線状となっている。
立ち上がり部12は、下方に向かって次第に角取り部10の端面に近づくよう少し傾斜している。
【0027】
図3及び
図4に示すように、固定具2の押さえ部材20は、平面視で略正方形の板状体である。
押さえ部材20の略正方形形状の各辺の長さは、フロアパネル1の立ち上がり部12の下端縁の長さと同じかわずかに短く、押さえ部材20の厚さは、フロアパネル1の上面から低段部11の上面までの高さとほぼ等しい。
【0028】
押さえ部材20の中心には、横断面が円形の貫通開口部200が押さえ部材20の上面から下面202に形成されている。
貫通開口部200は、押さえ部材20の上面より低く形成された段部201を有し、段部201よりも下側部分は、下方に向かって次第径小となっている。
【0029】
図5乃至
図7に示すように、押さえビス21は、円形の頭部210と、頭部210の下面中心から下方へ延びる首下部211とを備える。
頭部210の直径は、押さえ部材20の貫通開口部200の段部201の直径とほぼ等しく、頭部210の厚さは、段部201の深さとほぼ等しい。
頭部の上面の中心には、六角形の工具掛け穴2100が形成される。
【0030】
首下部211は、丸軸部2110、係合部2111及び雄ネジ部2112を備える。
丸軸部2110は、円筒状で首下部211の上部に形成されており、ネジ溝が刻設されていない。丸軸部2110の下端部外周面には係合部2111が設けられる。
【0031】
係合部2111は、首下部211の周方向に等間隔で配設された複数(図に示す例では4個)の爪2111aより成る。
爪2111aは、下方に向かって次第に張り出し幅が小さくなる断面テーパー状の突起である。
【0032】
雄ネジ部2112は、首下部211の下部で丸軸部2110の下に形成されており、雄ネジのネジ溝が刻設されている。
【0033】
図8に示すように、係合部2111を除く首下部211の直径は、貫通開口部200の最も径小の部分(下端)よりもやや小さい。また、1本の直径の両端に位置する2つの爪2111aにおいて径方向外端間の距離は、下面202の貫通開口部200の下端の直径よりもやや大きい。
頭部210の下面から係合部2111の上端(爪2111aの上端)までの距離は、押さえ部材20の段部201の上面から貫通開口部200の下端までの厚みと同じかやや長い。
【0034】
固定具2の組み立てについては、押さえビス21の首下部211を押さえ部材20の貫通開口部200に挿通し押し込むと、
図8に示すように、係合部2111が貫通開口部200の下端を超えて係合部2111の上部が貫通開口部200付近の押さえ部材20の下面202に係合して、一体化させることができる。
このように組み立てて、係合部2111が押さえ部材20の下面202に係合することで、押さえビス21を押さえ部材20の貫通開口部200に回転可能に装着させることができる。
【0035】
図1及び
図2に示すように、フロアパネル1を用いたフリーアクセスフロアの構造は、床スラブ4の上方に複数のフロアパネル1を並べて敷設した二重床である。
床スラブ4の上には多数の支持脚3を立設し、4枚のフロアパネル1の角部を突き合わせて支持脚3で支持してある。床スラブ4と敷設されたフロアパネル1との間にはケーブルなどを配置する配線収容空間5が形成される。
【0036】
支持脚3は、ネジ軸30と、ネジ軸30の上部に螺合される筒ナット31と、ネジ軸30の下端に向けられて床スラブ4に載置される基台32と、筒ナット31の上部に取り付けられてフロアパネル1を受ける受け台33とを有する。
筒ナット31をネジ軸30に対して回転させ、止めネジ34で固定することにより、支持脚3の長さを調整することができる。
【0037】
筒ナット31の上端部外周囲から台座310が張り出している。
受け台33は、例えば合成樹脂製であって、台座310より一回り大きい平面を有する。支持脚3は、受け台33以外は例えば金属製である。
【0038】
図9乃至
図11に示すように、受け台33の上面中心にはナット部330が突出し、ナット部330の外周面から4枚の隔壁331が放射状に形成され、受け台33の上面を4つの区画に分割している。
【0039】
受け台33の下面外周縁に沿って周壁332が形成され、周壁332の内周面下端部には、複数(図に示す例では4個)の鉤部333が周方向に等間隔で設けられる。
受け台33を台座310の上面に被せ、受け台33の鉤部333を台座310の下面に係合することにより、受け台33が支持脚3の上部に配置される。
【0040】
床構造を構築するには、
図1に示すように、床スラブ4の上に基台32を固定して多数の支持脚3を立設する。
支持脚3の中心軸間の距離はフロアパネル1の一辺の長さとほぼ等しくする。支持脚3の長さは、必要とする配線収容空間5の高さに応じて予め調整しておく。
【0041】
次いで、
図2に示すように、支持脚3の受け台33の上面において、隔壁331で分割された4つの区画にそれぞれフロアパネル1の角部を載せ、これら4枚のフロアパネル1の角部を付き合わせた状態で配置する。
【0042】
4枚のフロアパネル1が配置されると、フロアパネル1の角取り部10によって四角形状の透孔が形成され、この透孔に受け台33のナット部330が配置される。
また、突き合わせた4枚のフロアパネル1の低段部11と立ち上がり部12が形成する外形は四角形となる。
【0043】
固定具2を組み立てる。
押さえビス21の首下部211を押さえ部材20の貫通開口部200に挿通し押し込み、係合部2111の爪2111aが貫通開口部200の下端を超えて爪2111aの上部が下面202に係合して、一体化させる(
図8)。
また、押さえビス21の頭部210の下面が押さえ部材20の段部の上面に接し、押さえ部材20の上面と頭部210の上面とがほぼ面一の状態となる(
図8)。
【0044】
次に、組み立てた固定具2を支持脚3に取り付け、フロアパネル1を固定する。
一体化した固定具2の首下部211の雄ネジ部2112を支持脚3の上端に設けられた受け台33のナット部330に合わせて螺合するとともに、フロアパネル1の低段部11で形成される四角形状にあわせるように押さえ部材20をはめ込んでいく。
【0045】
螺合は、押さえビス21の頭部210に形成された工具掛け穴2100へ図示しない六角レンチを係合して回転させて行う。
立ち上がり部12が低段部11から上方に遠ざかるように傾斜しているので、押さえ部材20は立ち上がり部12にガイドされて容易に低段部11の上に嵌合される。
【0046】
これにより、4枚のフロアパネル1の角部が押さえ部材20で上から押さえられ、押さえ部材20が押さえビス21で押さえられ、フロアパネル1が安定して支持脚3に固定される。
【0047】
また、上述したように、押さえ部材20と押さえビス21を備える固定具2を支持脚3に取り付ける前に、予め組み立てて一体化しておくので、作業効率が向上する。さらに、脱落するおそれもなく、別々にしておくときよりも部品を紛失するおそれもない。
【0048】
フロアパネル1の立ち上がり部12は、平面視で直線状であり、他のフロアパネル1の角部が突き合わされて並べられ低段部11を押圧する押さえ部材20の一辺と嵌合されるので、押さえビス21を螺合する際に、押さえ部材20の回転が規制されて空回りせず、フロアパネル1を確実に支持することができる。
【0049】
また、押さえ部材20はフロアパネル1の低段部11の立ち上がり部12とほぼ同じ厚さであり、押さえ部材20の貫通開口部200の上面側には押さえビス21の頭部210を嵌め込むための段部201が形成されているので、床構造の上面は平滑に仕上がる。
最後に、敷設されたフロアパネル1の上面にカーペット等の仕上げ材を設置する。
【0050】
〔第2の実施形態〕
以下、本発明の第2の実施形態を
図12と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0051】
第2の実施形態は、押さえビス21の係合部2111が異なる。
係合部2111は、押さえビス21の丸軸部2110の外周面から上方外向きに傾斜して張り出す羽状爪2111bである。
【0052】
羽状爪2111bは、首下部211の周方向に等間隔で配設された複数形成されている。個数は、第1の実施形態の爪と同様に4個でも良いがこれに限られない。
固定具2の組み立ての際に、羽状爪2111bは、貫通開口部200内では縮んでスムーズに通過することができ、通過した後は開いて貫通開口部200付近の押さえ部材20の下面202に係合する。
【0053】
これらの構成によって、係合部2111が押さえ部材20の下面202に係合することで、押さえビス21を押さえ部材20の貫通開口部200に回転可能に装着させることができる。
【0054】
〔第3の実施形態〕
以下、本発明の第3の実施形態を
図13と共に説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0055】
第3の実施形態は、押さえビス21の係合部2111と押さえ部材20の貫通開口部200が異なる。
係合部2111は、貫通開口部200の段部201の下方の内周面に周方向全長に亘って環状に形成された環状溝200aに係合する小爪2111cである。
【0056】
小爪2111cは、首下部211の周方向に等間隔で配設された複数形成されている。個数は、第1の実施形態の爪及び第2の実施形態の羽状爪と同様に4個でも良いがこれに限られない。
固定具2の組み立ての際に、小爪2111cは、貫通開口部200内を進んで環状溝200aを形成する上部の突条を超えて環状溝200aに係合する。
【0057】
これらの構成によって、係合部2111が押さえ部材20の貫通開口部200内を進んで環状溝200aに係合することで、押さえビス21を押さえ部材20の貫通開口部200に回転可能に装着させることができる。
また、係合部2111が押さえ部材20の下面202より下方に存在しないので、ナット部330の上端部を押さえ部材20の下面202に当接させるようにすることができ、固定具2の固定を安定させることができる。
【0058】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0059】
本実施形態では、係合部は、押さえビスの周方向に間隔をあけて配置された爪としてあるが、周方向全長に亘って連続して形成してもよい。
【0060】
本実施形態では、フロアパネルは四角形であるが、その他の角形とすることも可能であり、その形状に応じて、角部を突き合わせて敷設する枚数も変更する。この場合、押さえ板の形状も、突き合わせたフロアパネルの数に対応した数の辺を有する多角形とする。
また、フロアパネルの端部にケーブルを引き出すための切欠きを形成することもできる。
【0061】
突き合わせて配置されたフロアパネルの角部を支持する支持脚の構造も、本実施形態で説明したものに限定されない。
【0062】
本実施形態では、押さえビスの頭部に、六角レンチを係止するための六角形の工具掛け穴を形成してあるが、工具掛け穴は使用する工具の種類に応じた形状とする。
【0063】
本実施形態では、押さえビスの係合部として、爪2111a、羽状爪2111b、小爪2111cといった首下部211の外周面から突出した部分を係合部としたが、これに限られない。
首下部211の外周面そのものを貫通開口部200に係合させるものであっても良い。すなわち、首下部211の丸軸部2110の外周面の直径を貫通開口部200の最小内径と等しくして、ちょうど首下部211が貫通開口部200の内周面に嵌まり脱落しない程度に一体化がされるとともに押さえビスの回転させることも可能な寸法で形成されるようにしても良い。このように係合させて、押さえビスを押さえ部材の貫通開口部に回転可能に装着させるようにすることもできる。このように、突出した係合部を設けない構成とすることで、押さえビスと押さえ部材を嵌め合わせて一体化・着脱を何度も行うケースでは耐久性は低下するが、係合における構造はシンプルになり、製造コストにも貢献できるものになる。
【0064】
変形例を含むいずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 フロアパネル
10 角取り部
11 低段部
12 立ち上がり部
2 固定具
20 押さえ部材
200 貫通開口部
200a 環状溝
201 段部
202 下面
21 押さえビス
210 頭部
2100 工具掛け穴
211 首下部
2110 丸軸部
2111 係合部
2111a 爪
2111b 羽状爪
2111c 小爪
2112 雄ネジ部
3 支持脚
30 ネジ軸
31 筒ナット
310 台座
32 基台
33 受け台
330 ナット部
331 隔壁
332 周壁
333 鉤部
34 止めネジ
4 床スラブ
5 配線収容空間