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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/26 20060101AFI20240531BHJP
   B01J 23/745 20060101ALI20240531BHJP
   B01J 27/224 20060101ALI20240531BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20240531BHJP
【FI】
C01B3/26
B01J23/745 M
B01J27/224 M
H01M8/0612
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022504494
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 GB2019052062
(87)【国際公開番号】W WO2021014111
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-07-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2018年10月24日に、下記の刊行物が公開:シャンユ ジエ等 “The decarbonisation of petroleum and other fossil hydrocarbon fuels for the facile production and safe storage of hydrogen”,Energy Environ.Sci.,2019年,第12巻,第238-249頁
(73)【特許権者】
【識別番号】519202452
【氏名又は名称】オックスフォード ユニヴァーシティ イノベーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,ピーター フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,チャンクン
(72)【発明者】
【氏名】ジエ,シャンユ
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05972175(US,A)
【文献】国際公開第2018/104712(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/203264(WO,A1)
【文献】特開2019-085302(JP,A)
【文献】特表2010-516610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/26
B01J 23/745
B01J 27/224
H01M 8/0612
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含むガス状生成物を製造する方法であって、固体触媒の存在下でガス状炭化水素をマイクロ波放射線に曝露することを含み、
ここで、前記触媒が、セラミック物質若しくはカーボンナノ粒子、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、前記方法。
【請求項2】
前記鉄種が、元素鉄、鉄合金、酸化鉄、炭化鉄及び水酸化鉄から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記鉄種が、元素鉄、酸化鉄、及びそれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒が、更なる金属種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記支持体がセラミック物質を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記セラミック物質が、酸素非含有セラミックである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記セラミック物質が、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記セラミック物質が、金属酸化物又は半金属酸化物である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記セラミック物質が、アルミニウムの酸化物、ケイ素の酸化物、チタンの酸化物又はジルコニウムの酸化物、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記セラミック物質が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び炭化ケイ素から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記カーボンナノ粒子が、カーボンナノチューブである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記触媒が、炭化ケイ素上に担持された元素鉄、Al上に担持された元素鉄、SiO上に担持された元素鉄を含むか、又はそれからなる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記触媒が炭素をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記炭素が、活性炭、グラフェン、グラファイト、カーボンブラック及びカーボンナノ粒子から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒が、50重量%までの鉄含有量を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記鉄含有量が、2重量%~10重量%である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記鉄含有量が、5重量%である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ガス状炭化水素が、メタン、エタン、プロパン及びブタンから選択される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ガス状炭化水素がメタンを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ガス状炭化水素が、少なくとも90重量%のメタンを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、酸素及び/又は水の非存在下で行われる、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
ガス状炭化水素と密接に混合されている固体触媒を含む不均一混合物であって、前記触媒が、セラミック物質若しくはカーボンナノ粒子、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、前記不均一混合物。
【請求項23】
不均一混合物を有するマイクロ波反応器であって、前記混合物が、ガス状炭化水素と密接に混合されている固体触媒を含み、前記触媒が、セラミック物質若しくはカーボンナノ粒子、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、前記マイクロ波反応器。
【請求項24】
(i)燃料電池と、(ii)ガス状炭化水素と密接に混合されている固体触媒を含む不均一混合物と、を含む燃料電池モジュールであって、前記触媒が、セラミック物質若しくはカーボンナノ粒子、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、前記燃料電池モジュール。
【請求項25】
請求項24に記載の燃料電池モジュールを備えている乗り物又は電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス状炭化水素から水素を含むガス状生成物を製造する方法に関する。特に、本発明の方法は、ガス状炭化水素を分解して、好適には炭素副生成物(例えば、CO、CO及び小さい炭化水素)を最小限に抑えて高純度水素ガスを提供する為の触媒作用的方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
今日、高まり続ける世界のエネルギー需要は、今もなお、ほぼ例外なく化石燃料に基づいており、その理由は、化石燃料が比類のないエネルギー担持特性を有するだけでなく、過去1世紀にわたって開発されてきた世界的規模のエネルギーインフラ需要が原因である。
【0003】
水素は、その単位質量当たりの集約的エネルギー密度だけでなく、その燃焼が、環境に有害な二酸化炭素を生成しないという理由で、将来の為の非常に重要なエネルギー解決策の1つと考えられている(1~5)。従って、この副生成物を捕捉する問題は回避される(1~5)。
【0004】
しかしながら、水素の生成、供給、及び貯留システムの費用は、水素に基づく経済の発展を妨害する大きな障壁である(1、6~12)。産業における水素の生成の為に、最も効率的であり、今までに広く使用されている方法は、例えば水蒸気改質又はメタンの部分酸化による、及び比較的規模は小さいが石炭のガス化による、化石燃料に基づくものである(3、12~14)。しかしながら、炭化水素の燃焼のように、炭化水素から水素を生成するこれら全ての慣用的選択肢が、COの生成を伴い、これは環境的に望ましくない。それ故に、二酸化炭素回収・貯留(Carbon Capture and Storage)(CCS)及び二酸化炭素回収・有効利用(Carbon Capture and Utilization)(CCU)のような技術が、COレベルを制御する為に必要とされる(1、15)。
【0005】
水の分離によって水素量を増大する為に、太陽エネルギーが使用されることができるが、たとえ、水の光触媒的又は電解的崩壊が多量の水素を生成するように大幅に改善されうるとしても、用途、例えば燃料電池において即時使用する為の、その安全な貯留及び急速な放出の課題は、まだ解決困難であると思われる(1、12)。
【0006】
環境に有害な二酸化炭素を生じることなく、好適な水素含有物質から高純度水素をその場で急速に放出する為の方法が必要である。
【0007】
近年の開発では、マイクロ波補助による(microwave assisted)触媒作用的分解を介する、水素が豊富なガスを急速に放出する為の、水素貯留物質としてのワックス又は液体炭化水素の使用がみられている(16、17)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ガス状炭化水素から水素をその場で生じさせる為の、簡易でコンパクトな技術を提供しようとするものである。本発明は、二酸化炭素の生成を最小限に抑えて高純度水素を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、マイクロ波補助を使用して、ガス状炭化水素から水素を生成する為の、簡易でコンパクトな方法を提供する。これにより、炭素副生成物(例えば、CO、CO及び小さい炭化水素)を最小限に抑えて高純度の水素を生成することができる。
【0010】
従って、第1の観点において、本発明は、水素を含むガス状生成物を製造する方法であって、固体触媒の存在下でガス状炭化水素をマイクロ波放射線に曝露することを含み、
該触媒が、セラミック物質若しくは炭素、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、上記方法を提供する。
【0011】
第2の観点において、本発明は、ガス状炭化水素と密接に混合されている固体触媒を含む不均一混合物であって、該触媒が、セラミック物質若しくは炭素、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、上記不均一混合物を提供する。
【0012】
第3の観点において、本発明は、水素を生じさせる為の、第2の観点の不均一混合物の使用を提供する。
【0013】
第4の観点において、本発明は、不均一混合物を有するマイクロ波反応器であって、該混合物が、ガス状炭化水素と密接に混合されている固体触媒を含み、該触媒が、セラミック物質若しくは炭素、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、上記マイクロ波反応器を提供する。
【0014】
第5の観点において、本発明は、(i)燃料電池と、(ii)ガス状炭化水素と密接に混合されている固体触媒を含む不均一混合物と、を含む燃料電池モジュールであって、該触媒が、セラミック物質若しくは炭素、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、上記燃料電池モジュールを提供する。
【0015】
本発明のいずれか1つの特定の観点の好ましい、好適な、及び任意的な特色は、他のいずれかの観点の好ましい、好適な、及び任意的な特色でもある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、5重量%Fe/SiC触媒上でのマイクロ波照射下でのメタン脱水素の結果を示す。水素選択性(体積%)及びメタン転化率(%)は、20ml/分のガス流で750Wのマイクロ波入力電力を用いて、時間関数として決定された。
図2図2は、Fe/(Al 触媒(重量比:Fe:Al:C=65:30:5)上でのマイクロ波照射下でのメタン脱水素の結果を示す。水素選択性(体積%)及びメタン転化率(%)は、20ml/分のガス流で750Wのマイクロ波入力電力を用いて、時間関数として決定された。
図3図3は、反応の前及び後のFe/(Al 触媒のXRDパターン比較を示す。
図4図4は、調製されたFe/(Al 触媒のSEM画像を示す。
図5a図5aは、使用済みのFe/(Al 触媒の異なる拡大率のSEM画像を示す。
図5b図5bは、使用済みのFe/(Al 触媒の異なる拡大率のSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
本明細書で使用される場合、語「ガス状生成物」は、標準周囲温度及び周囲圧力(SATP:standard ambient temperature and pressure)、すなわち、298.15K(25℃)の温度及び100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869気圧)において気体である生成物を云う。
【0018】
本明細書で使用される場合、語「ガス状炭化水素」は、標準周囲温度及び周囲圧力(SATP)、すなわち、298.15K(25℃)の温度及び100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869気圧)において気体である炭化水素を云う。例は、メタン、エタン、プロパン及びブタンを包含する。
【0019】
本明細書で使用される場合、語「炭化水素」は、炭素及び水素からなる有機化合物を云う。
【0020】
誤解を避ける為に、炭化水素は、アルカン、アルケン及びアルキンを包含する、直鎖及び分岐状の、飽和及び不飽和の脂肪族炭化水素化合物、並びにシクロアルカン、シクロアルケン及びシクロアルキンを包含する、飽和及び不飽和の環式脂肪族炭化水素化合物、並びに炭化水素ポリマー、例えばポリオレフィン、を包含する。
【0021】
炭化水素はまた、芳香族炭化水素、すなわち、1以上の芳香族環を含む炭化水素、を包含する。該芳香族環は、単環式又は多環式でありうる。
【0022】
1以上の芳香族炭化水素で置換されている脂肪族炭化水素、及び1以上の脂肪族炭化水素で置換されている芳香族炭化水素も、当然のことながら、1以上の環式脂肪族炭化水素で置換されている直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素、及び1以上の直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素で置換されている環式脂肪族炭化水素と同様に、語「炭化水素」(このような化合物は、炭素及び水素だけからなる)によって包含される。
【0023】
「Cn~m炭化水素」又は「C~C炭化水素」又は「Cn~Cm炭化水素」(n及びmは、整数である)は、n~m個の炭素原子を有する、先に定義されている通りの炭化水素である。例えば、C1~150炭化水素は、1~150個の炭素原子を有する、先に定義されている通りの炭化水素であり、C5~60炭化水素は、5~60個の炭素原子を有する、先に定義されている通りの炭化水素である。
【0024】
語「アルカン」は、本明細書で使用される場合、直鎖又は分岐状鎖の飽和炭化水素化合物を云う。アルカンの例は、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びテトラデカンである。アルカン、例えばジメチルブタン、は、この化合物の可能な異性体の1以上でありうる。従って、ジメチルブタンは、2,3-ジメチルブタン(dimethybutane)及び2,2-ジメチルブタンを包含する。これは、シクロアルカン、アルケン、シクロアルケン(cylcoalkene)を包含する、本明細書において言及される全ての炭化水素化合物にも当てはまる。
【0025】
語「シクロアルカン」は、本明細書で使用される場合、飽和環式脂肪族炭化水素化合物を云う。シクロアルカンの例は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロペンタン及びシクロオクタンを包含する。C5~8シクロアルカンの例は、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロペンタン及びシクロオクタンを包含する。語「シクロアルカン」及び「ナフテン」は、交換可能に使用されうる。
【0026】
語「アルケン」は、本明細書で使用される場合、1以上の二重結合を含む直鎖又は分岐状鎖の炭化水素化合物を云う。アルケンの例は、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン及びテトラデセンである。アルケンは典型的に、1つ又は2つの二重結合を含む。語「アルケン」及び「オレフィン」は、交換可能に使用されうる。該1以上の二重結合は、該炭化水素鎖の任意の位置に存在しうる。該アルケンは、シス-又はトランス-アルケン(又はE-及びZ-命名法を使用して定義されている)でありうる。末端二重結合を含むアルケンは、「アルカ-1-エン」(例えば、ヘキサ-1-エン)、「末端アルケン」(又は「末端オレフィン」)、又は「アルファアルケン」(又は「アルファ-オレフィン」)を云いうる。語「アルケン」はまた、本明細書で使用される場合、シクロアルケンを包含することが多い。
【0027】
語「シクロアルケン」は、本明細書で使用される場合、部分的に不飽和の環式炭化水素化合物を云う。シクロアルケンの例は、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサ-1,3-ジエン、メチルシクロペンテン、シクロヘプテン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロペンテン及びシクロオクテンを包含する。シクロアルケンは、1以上の二重結合を含みうる。
【0028】
語「芳香族炭化水素」又は「芳香族炭化水素化合物」は、本明細書で使用される場合、1以上の芳香族環を含む炭化水素化合物を云う。該芳香族環は、単環式又は多環式でありうる。典型的に、芳香族化合物は、ベンゼン環を含む。芳香族化合物は、例えば、C6~14芳香族化合物、C6~12芳香族化合物又はC6~10芳香族化合物でありうる。C6~14芳香族化合物の例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン、エチルナフタレン及びアントラセンである。
【0029】
本明細書で使用される場合、「金属種」は、金属を含む任意の化合物である。従って、金属種は、元素金属、金属酸化物及び金属を含む他の化合物、すなわち、金属塩、合金、水酸化物、炭化物、ホウ化物、ケイ化物及び水素化物を包含する。金属種の特定の例が記述される場合、上記語は、その金属を含む全ての化合物を包含し、例えば鉄種は、例えば元素鉄、酸化鉄、鉄塩、鉄合金、水酸化鉄、炭化鉄、ホウ化鉄、ケイ化鉄及び鉄水素化物を包含する。
【0030】
本明細書で使用される場合、語「元素金属」又は特定の例、例えば「元素Fe」、は、例えば酸化状態0である場合の金属だけを云う。
【0031】
反対の記載がされない限り、標準表記法の使用による元素への言及は、任意の利用可能な酸化状態の上記元素を云う。同様に、語「金属」が、更なる制約なしに使用される場合、それらの利用可能なもの以外の酸化状態への制限は、意図されない。
【0032】
本明細書で使用される場合、語「遷移金属」は、3d、4d及び5d軌道を満たすことにより生じる元素の3系列の元素のうち1つの元素を云う。反対の記載がされない限り、一般的な、又は特定の遷移金属の標準表記法の使用による、遷移金属への言及は、任意の利用可能な酸化状態の上記元素を云う。
【0033】
本明細書で使用される場合、語「セラミック物質」は、1以上の金属又は半金属と1以上の非金属との化合物である、無機物質を云う。
【0034】
本明細書で使用される場合、語「酸素非含有セラミック物質」(non-oxygenated ceramic material)は、酸素原子を含有していないセラミック物質を云う。酸素非含有セラミック物質の例は、炭化物、ホウ化物、窒化物及びケイ化物を包含する。
【0035】
本明細書で使用される場合、語「不均一混合物」は、少なくとも2つの異なる物質の物理的な組み合わせを云い、該2つの異なる物質は、標準周囲温度及び周囲圧力(SATP)、すなわち、298.15K(25℃)の温度及び100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869気圧)において、同じ相ではない。例えば、ある物質は固体であり得、ある物質は気体でありうる。
【0036】
方法
一観点において、本発明は、水素を含むガス状生成物を製造する方法であって、固体触媒の存在下でガス状炭化水素をマイクロ波放射線に曝露することを含み、
該触媒が、セラミック物質若しくは炭素、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、上記方法に関する。
【0037】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガスの全量において約80体積%以上の水素を含むガス状生成物を製造する。好適には、発生させられたガスの全量において約85体積%以上の水素、より好適には、発生させられたガスの全量において、約90体積%以上の水素、より好適には約91体積%以上の水素、より好適には約92体積%以上の水素、より好適には約93体積%以上の水素、より好適には約94体積%以上の水素、より好適には約95体積%以上の水素、より好適には約96体積%以上の水素、より好適には約97体積%以上の水素、より好適には約98体積%以上の水素、より好適には約99体積%以上の水素。
【0038】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガスの全量において約80体積%~約99体積%の水素を含むガス状生成物を製造する。好適には、発生させられたガスの全量において約85体積%~約99体積%の水素、より好適には、発生させられたガスの全量において、約90体積%~約99体積%の水素、より好適には約91体積%~約99体積%の水素、より好適には約92体積%~約99体積%の水素、より好適には約93体積%~約99体積%の水素、より好適には約94体積%~約99体積%の水素、より好適には約95体積%~約99体積%の水素、より好適には約96体積%~約99体積%の水素、より好適には約97体積%~約99体積%の水素、より好適には約98体積%~約99体積%の水素。
【0039】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガスの全量において約80体積%~約98体積%の水素を含むガス状生成物を製造する。好適には、発生させられたガスの全量において約85体積%~約98体積%の水素、より好適には、発生させられたガスの全量において、約90体積%~約98体積%の水素、より好適には約91体積%~約98体積%の水素、より好適には約92体積%~約98体積%の水素、より好適には約93体積%~約98体積%の水素、より好適には約94体積%~約98体積%の水素、より好適には約95体積%~約98体積%の水素、より好適には約96体積%~約98体積%の水素、より好適には約97体積%~約98体積%の水素。
【0040】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガスの全量において約10体積%以下の二酸化炭素を含むガス状生成物を製造する。好適には、発生させられたガスの全量において約9体積%以下の二酸化炭素、より好適には、発生させられたガスの全量において、約8体積%以下の二酸化炭素、より好適には約7体積%以下の二酸化炭素、より好適には約6体積%以下の二酸化炭素、より好適には約5体積%以下の二酸化炭素、より好適には約4体積%以下の二酸化炭素、より好適には約3体積%以下の二酸化炭素、より好適には約2体積%以下の二酸化炭素、より好適には約1体積%以下の二酸化炭素、より好適には約0.5体積%以下の二酸化炭素、より好適には約0.3体積%以下の二酸化炭素、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.2体積%以下の二酸化炭素、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.1体積%以下の二酸化炭素。
【0041】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガスの全量において約0.1体積%~約10体積%の二酸化炭素を含むガス状生成物を製造する。好適には、発生させられたガスの全量において約0.1体積%~約9体積%の二酸化炭素、より好適には、発生させられたガスの全量において、約0.1体積%~約8体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約7体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約6体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約5体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約4体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約3体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約2体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約1体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素、より好適には約0.1体積%~約0.3体積%の二酸化炭素、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.1体積%~約0.2体積%の二酸化炭素。
【0042】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガスの全量において約10体積%以下の一酸化炭素を含むガス状生成物を製造する。好適には、発生させられたガスの全量において約9体積%以下の一酸化炭素、より好適には、発生させられたガスの全量において、約8体積%以下の一酸化炭素、より好適には約7体積%以下の一酸化炭素、より好適には約6体積%以下の一酸化炭素、より好適には約5体積%以下の一酸化炭素、より好適には約4体積%以下の一酸化炭素、より好適には約3体積%以下の一酸化炭素、より好適には約2体積%以下の一酸化炭素、より好適には約1体積%以下の一酸化炭素、より好適には約0.5体積%以下の一酸化炭素、より好適には約0.3体積%以下の一酸化炭素、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.2体積%以下の一酸化炭素、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.1体積%以下の一酸化炭素。
【0043】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガスの全量において約0.2体積%~約10体積%の一酸化炭素を含むガス状生成物を製造する。好適には、発生させられたガスの全量において約0.2体積%~約9体積%の一酸化炭素、より好適には、発生させられたガスの全量において、約0.2体積%~約8体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約7体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約6体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約5体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約4体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約3体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約2体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約1体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約0.5体積%の一酸化炭素、より好適には約0.2体積%~約0.3体積%の一酸化炭素、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.2体積%一酸化炭素。
【0044】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガスの全量において約10体積%以下のエタンを含むガス状生成物を製造する。好適には、発生させられたガスの全量において約9体積%以下のメタン、より好適には、発生させられたガスの全量において、約8体積%以下のエタン、より好適には約7体積%以下のエタン、より好適には約6体積%以下のエタン、より好適には約5体積%以下のエタン、より好適には約4体積%以下のメタン、より好適には約3体積%以下のエタン、より好適には約2体積%以下のエタン、より好適には約1体積%以下のエタン、より好適には約0.5体積%以下のエタン、より好適には約0.3体積%以下のエタン、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.2体積%以下のエタン、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.1体積%以下のエタン。
【0045】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガスの全量において約0.05体積%~約10体積%のエタンを含むガス状生成物を製造する。好適には、発生させられたガスの全量において約0.05体積%~約9体積%のエタン、より好適には、発生させられたガスの全量において、約0.05体積%~約8体積%のエタン、より好適には約0.05体積%~約7体積%のエタン、より好適には約0.05体積%~約6体積%のエタン、より好適には約0.05体積%~約5体積%のエタン、より好適には約0.05体積%~約4体積%のエタン、より好適には約0.05体積%~約3体積%のエタン、より好適には約0.05体積%~約2体積%のエタン、より好適には約0.05体積%~約1体積%のエタン、より好適には約0.05体積%~約0.5体積%のエタン、より好適には約0.05体積%~約0.3体積%のエタン、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.05体積%~約0.2体積%のエタン。
【0046】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガスの全量において約10体積%以下のエチレンを含むガス状生成物を製造する。好適には、発生させられたガスの全量において約9体積%以下のエチレン、より好適には、発生させられたガスの全量において、約8体積%以下のエチレン、より好適には約7体積%以下のエチレン、より好適には約6体積%以下のエチレン、より好適には約5体積%以下のエチレン、より好適には約4体積%以下のエチレン、より好適には約3体積%以下のエチレン、より好適には約2体積%以下のエチレン、より好適には約1体積%以下のエチレン、より好適には約0.5体積%以下のエチレン、より好適には約0.3体積%以下のエチレン、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.2体積%以下のエチレン、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.1体積%以下のエチレン。
【0047】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガスの全量において約0.05体積%~約10体積%のエチレンを含むガス状生成物を製造する。好適には、発生させられたガスの全量において約0.05体積%~約9体積%のエチレン、より好適には、発生させられたガスの全量において、約0.05体積%~約8体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約7体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約6体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約5体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約4体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約3体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約2体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約1体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約0.5体積%のエチレン、より好適には約0.05体積%~約0.3体積%のエチレン、より好適には、発生させられたガスの全量において約0.05体積%~約0.2体積%のエチレン。
【0048】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガス全体において約90体積%以上の水素及び約0.5体積%以下の二酸化炭素、を含むガス状生成物を製造する。好適には、この実施態様において、二酸化炭素の量は、発生させられたガス全体において0.4体積%以下、より好適には0.3体積%以下、より好適には0.2体積%以下、より好適には0.1体積%以下、である。
【0049】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガス全体において約90体積%~約98体積%の水素及び約0.5体積%以下の二酸化炭素、を含むガス状生成物を製造する。好適には、この実施態様において、二酸化炭素の量は、発生させられたガス全体において0.4体積%以下、より好適には0.3体積%以下、より好適には0.2体積%以下、より好適には0.1体積%以下、である。
【0050】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガス全体において約90体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素、を含むガス状生成物を製造する。
【0051】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガス全体において約90体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素及び約5体積%以下の一酸化炭素、を含むガス状生成物を製造する。好適には、この実施態様において、一酸化炭素の量は、発生させられたガス全体において4体積%以下、より好適には3体積%以下、より好適には2体積%以下、より好適には1体積%以下、より好適には0.5体積%以下、である。
【0052】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガス全体において約90体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素及び約0.2体積%~約5体積%の一酸化炭素、を含むガス状生成物を製造する。
【0053】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガス全体において約90体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素及び約0.2体積%~約5体積%の一酸化炭素及び約5体積%以下のエチレン、を含むガス状生成物を製造する。好適には、この実施態様において、一酸化炭素の量は、発生させられたガス全体において4体積%以下、より好適には3体積%以下、より好適には2体積%以下、より好適には1体積%以下、より好適には0.5体積%以下、である。
【0054】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガス全体において約90体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素及び約0.2体積%~約5体積%の一酸化炭素及び約0.2体積%~約5体積%のエチレン、を含むガス状生成物を製造する。
【0055】
一つの実施態様において、該方法は、発生させられたガス全体において約95体積%~約98体積%の水素及び約0.1体積%~約0.5体積%の二酸化炭素及び約0.2体積%~約1体積%の一酸化炭素及び約0.2体積%~約1体積%のエチレン、を含むガス状生成物を製造する。
【0056】
一つの実施態様において、該方法は、酸素を実質的に含まない雰囲気下で行われる。好適には、酸素を含まない雰囲気。別の実施態様において、方法は、酸素を実質的に含まない、好適には酸素を含まない、雰囲気下で、該組成物をマイクロ波放射線に曝露することを含む。
【0057】
別の実施態様において、該方法は、水を実質的に含まない雰囲気下で行われる。好適には、水を含まない雰囲気。別の実施態様において、方法は、水を実質的に含まない、好適には水を含まない、雰囲気下で、該組成物をマイクロ波放射線に曝露することを含む。
【0058】
別の実施態様において、該方法は、酸素及び水を実質的に含まない雰囲気下で行われる。好適には、酸素及び水を含まない雰囲気。別の実施態様において、方法は、酸素及び水を実質的に含まない、好適には酸素及び水を含まない、雰囲気下で、該組成物をマイクロ波放射線に曝露することを含む。
【0059】
別の実施態様において、該方法は、不活性雰囲気下で行われる。別の実施態様において、該方法は、不活性雰囲気下で、該組成物をマイクロ波放射線に曝露することを含む。
【0060】
該不活性雰囲気は、例えば、不活性ガス又は不活性ガスの混合物でありうる。該不活性ガス又は不活性ガスの混合物は典型的に、希ガス、例えばアルゴン、を含む。一つの実施態様において、該不活性ガスは、アルゴンである。
【0061】
一つの実施態様において、該ガス状炭化水素は、該マイクロ波放射線への曝露の前、その間、又は前とその間の両方において、固体触媒に曝露される。
【0062】
該ガス状炭化水素は、該触媒に、任意の好適な方法によって、例えば、固定床又は流動床を使用することによって、該触媒上に該ガス状炭化水素を連続的に供給することによって、曝露されうる。
【0063】
本発明の方法において、該ガス状炭化水素は、上記炭化水素を分解して水素の生成をもたらす又は活性化する為に、該触媒の存在下でマイクロ波放射線に曝露される。上記分解は、触媒作用的分解でありうる。該マイクロ波放射線への該ガス状炭化水素及び触媒の曝露は、それらを加熱させうるが、必ずしも加熱させるわけではない。該ガス状炭化水素及び触媒が曝露されるマイクロ波放射線の他の可能な効果(電場又は磁場効果でありうる)は、それに限定されるものではないが、電界放出、プラズマ発生及び仕事関数改変を包含する。例えば、関連する高い電界は、触媒仕事関数を改変することができ、触媒表面にプラズマを生成し、関連する化学的方法の特徴を更にシフトすることができる。該電磁放射線のこのような効果のいずれか1以上は、水素を生成する該ガス状炭化水素の触媒作用的分解の原因になりうるか、又は少なくとも寄与し、もたらし、若しくは活性化しうる。
【0064】
任意的に、該方法は、慣用的に該組成物を加熱すること、すなわち、該組成物を電磁放射線に曝露する以外の手段によって該組成物を加熱することを更に含みうる。該方法は更に、例えば、該組成物を外部から加熱することを含みうる。すなわち、該方法は、該組成物を含有する容器、反応器又は反応空間(cavity)の外側に熱を施与することを加えて含みうる。前述される通り、該方法、特に該組成物を電磁放射線に曝露する工程は、周囲条件下で行われることが多い。例えば、SATP、すなわち、約298.15K(25℃)の温度及び約100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869気圧)で行われうる。
【0065】
原則として、マイクロ波範囲のいずれかの周波数、すなわち、300MHz~300GHzのいずれかの周波数、を有するマイクロ波放射線が、本発明において用いられうる。しかしながら、典型的に、900MHz~4GHz、又は例えば900MHz~3GHz、の周波数を有するマイクロ波放射線が用いられる。
【0066】
一つの実施態様において、該マイクロ波放射線は、約1GHz~約4GHzの周波数を有する。好適には、該マイクロ波放射線は、約2GHz~約4GHz、好適には約2GHz~約3GHz、好適には約2.45GHz、の周波数を有する。
【0067】
炭化水素の分解をもたらして水素を生成する為に、該マイクロ波放射線を該組成物に供給するのに必要な力は、例えば、該組成物において用いられる特定の炭化水素、該組成物において用いられる特定の触媒、並びに該組成物のサイズ、誘電率、粒子充填密度、形状及び形態に従って変わることになる。しかしながら、当業者は、特定の組成物の分解をもたらすのに好適な力のレベルを容易に決定することができる。
【0068】
本発明の方法は、例えば該ガス状炭化水素を、立方センチメートル当たり少なくとも1ワットの電力を供給するマイクロ波放射線に曝露することを含みうる。しかしながら、本発明の方法は、該ガス状炭化水素を、立方センチメートル当たり少なくとも5ワットの電力を供給するマイクロ波放射線に曝露することを含みうる。
【0069】
しばしば、例えば該方法は、該ガス状炭化水素を、立方センチメートル当たり少なくとも10ワット、又は例えば少なくとも20ワット、の電力を供給するマイクロ波放射線に曝露することを含む。本発明の方法は、例えば、該ガス状炭化水素を、立方センチメートル当たり少なくとも25ワットを供給するマイクロ波放射線に曝露することを含みうる。
【0070】
しばしば、例えば該方法は、該ガス状炭化水素を、立方センチメートル当たり約0.1ワット~約5000ワットの電力を供給するマイクロ波放射線に曝露することを含む。より典型的に、該方法は、該ガス状炭化水素を、立方センチメートル当たり約0.5ワット~1000ワットの電力、又は例えば立方センチメートル当たり約1ワット~約500ワットの電力、例えば立方センチメートル当たり約1.5ワット~約200ワット、又は例えば2ワット~100ワットの電力、を供給するマイクロ波放射線に曝露することを含む。
【0071】
一部の実施態様において、該方法は、該ガス状炭化水素を、立方センチメートル当たり約5ワット~約100ワット、又は例えば立方センチメートル当たり約10ワット~約100ワット、又は例えば立方センチメートル当たり約20ワット~約80ワット、若しくは約25ワット~約80ワット、を供給するマイクロ波放射線に曝露することを含む。
【0072】
一部の実施態様において、例えば、該方法は、該ガス状炭化水素を、立方センチメートル当たり約2.5~約60ワットの電力を供給するマイクロ波放射線に曝露することを含む。従って、例えば、該ガス状炭化水素の体積が3.5cmである場合、本発明の方法は典型的に、該ガス状炭化水素を、約10W~約200W(すなわち、「吸収された電力」が約10W~約200Wである)を供給するマイクロ波放射線に曝露することを含む。
【0073】
しばしば、該ガス状炭化水素に供給された電力(又は「吸収された電力」)は、本発明の方法中に増大される。従って、該方法は、該ガス状炭化水素を、該組成物に第1の電力を供給するマイクロ波放射線に曝露し、次に、該ガス状炭化水素に第2の電力を供給するマイクロ波放射線に、該ガス状炭化水素を曝露することを含み得、該第2の電力は、第1の電力よりも大きい。該第1の電力は、例えば、該ガス状炭化水素の立方センチメートル当たり約2.5ワット~約6ワットでありうる。該第2の電力は、例えば、該ガス状炭化水素の立方センチメートル当たり約25ワット~約60ワットでありうる。
【0074】
該組成物を該マイクロ波放射線に曝露する期間はまた、本発明の方法において変わりうる。例えば、所与のガス状炭化水素が、相対的に長期間にわたってマイクロ波放射線に曝露されて、該炭化水素の持続的な分解を連続的にもたらして、長期間にわたって水素を生成する実施態様が想定される。
【0075】
電磁加熱は、誘電性及び磁性物質の、迅速な選択的加熱方法を提供する。マイクロ波を使用する急速で効率的な加熱は、誘電性混合物における不均一な電界分布及び電界集束効果が、劇的に異なる生成物分布をもたらすことができる例である。電磁加熱に関与する根本的に異なる機序は、増強された反応及び新しい反応経路を引き起こしうる。更に、関連する高い電界は、触媒仕事関数を改変することができ、触媒表面にプラズマを生成し、関連する化学的方法の特徴を更にシフトすることができる。
【0076】
一つの実施態様において、本発明の方法は、上記ガス状炭化水素をマイクロ波放射線に曝露することによって加熱することを含む。
【0077】
ガス状炭化水素
ガス状炭化水素は、標準周囲温度及び周囲圧力(SATP)において、すなわち、298.15K(25℃)の温度及び100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869気圧)において、気体状態である。上記ガス状炭化水素は典型的に、該方法が行われる条件(すなわち、温度及び圧力)下でも気体である。
【0078】
一つの実施態様において、該組成物は、1種のガス状炭化水素だけを含む。別の実施態様において、該組成物は、ガス状炭化水素の混合物を含む。
【0079】
一つの実施態様において、該ガス状炭化水素は、酸素化種を実質的に含まない。別の実施態様において、該ガス状炭化水素は、酸素化種を含まない。
【0080】
一つの実施態様において、該ガス状炭化水素は、酸素を実質的に含まない。別の実施態様において、該ガス状炭化水素は、酸素を含まない。
【0081】
一つの実施態様において、該ガス状炭化水素は、水を実質的に含まない。別の実施態様において、該ガス状炭化水素は、水を含まない。
【0082】
一つの実施態様において、該ガス状炭化水素は、酸素化種及び水を実質的に含まない。別の実施態様において、該ガス状炭化水素は、酸素化種及び水を含まない。
【0083】
一つの実施態様において、該組成物は、酸素、酸素化種及び水を含まないガス状炭化水素である。別の実施態様において、該ガス状炭化水素は、酸素、酸素化種及び水を含まない。
【0084】
一つの実施態様において、ガス状炭化水素は、1以上のC1~4炭化水素から本質的になる。別の実施態様において、該ガス状炭化水素は、1以上のC1~4炭化水素からなる。別の実施態様において、該ガス状炭化水素は、C1~4炭化水素から選択される単一炭化水素からなる。
【0085】
別の実施態様において、該ガス状炭化水素は、C1~4炭化水素から選択される単一炭化水素である。好適には、該ガス状炭化水素は、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン及びイソ-ブタンから選択される。好適には、該ガス状炭化水素は、メタン、エタン及びプロパンから選択される。好適には、該ガス状炭化水素は、メタン及びエタンから選択される。好適には、該ガス状炭化水素は、メタンである。
【0086】
固体触媒
本発明の方法において用いられる固体触媒は、少なくとも1種の鉄種を含む。
【0087】
一つの実施態様において、該鉄種は、元素鉄、酸化鉄、鉄塩、鉄合金、水酸化鉄及び鉄水素化物から選択される。好適には、該鉄種は、元素鉄、酸化鉄、鉄塩及び鉄合金から選択される。一つの実施態様において、該鉄種は、元素鉄、酸化鉄及びそれらの混合物から選択される。
【0088】
該鉄種は、鉄を含むことに加えて、更なる金属種、例えば元素金属又は金属酸化物、を更に含みうる。好適には、該更なる金属種は、遷移金属種である。
【0089】
一つの実施態様において、該更なる金属種は、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される遷移金属を加えて含む。
【0090】
別の実施態様において、該更なる金属種は、Ti、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される遷移金属を加えて含む。
【0091】
別の実施態様において、該更なる金属種は、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから選択される遷移金属を加えて含む。
【0092】
別の実施態様において、該更なる金属種は、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Mn、Pd、Pt及びCuから選択される遷移金属を加えて含む。
【0093】
別の実施態様において、該更なる金属種は、Al、Mn、Ru、Co、Ni及びCuからなる群から選択される。
【0094】
一つの実施態様において、該鉄種は、元素Fe及び元素Ni(Fe/Ni)、元素Fe及び元素コバルト(Fe/Co)、元素Fe及び元素Ru(Fe/Ru)、元素Fe及び元素Cu(Fe/Cu)、元素Fe及び元素Al(Fe/Al)、並びに元素Fe及び元素Mn(Fe/Mn)から選択される元素金属の二成分混合物を含む/それから本質的になる/それからなる。
【0095】
別の実施態様において、該鉄種は、元素Fe及び酸化マンガン(Fe/MnO)の二成分混合物又は元素Fe及び酸化アルミニウム(Fe/AlO)の二成分混合物を含む/それから本質的になる/それからなる。
【0096】
典型的に、該触媒は、上記鉄/金属種の粒子を含む。該粒子は、通常、ナノ粒子である。
【0097】
好適には、上記金属種が、元素形態の1以上の金属を含む/それから本質的になる/それからなる場合、上記種は、ナノ粒子として存在する。
【0098】
本明細書で使用される場合、語「ナノ粒子」は、そのサイズが典型的にナノメートル(nm)で測定される、顕微鏡的な粒子を意味する。ナノ粒子は典型的に、0.5nm~500nmの粒径を有する。例えば、ナノ粒子は、0.5nm~200nmの粒径を有しうる。よりしばしば、ナノ粒子は、0.5nm~100nm、又は例えば1nm~50nm、の粒径を有する。粒子、例えばナノ粒子は、球形又は非球形でありうる。非球形粒子は、例えば、プレート形状、針形状又は管状でありうる。
【0099】
語「粒径」は、本明細書で使用される場合、該粒子が球形である場合には、該粒子の直径を意味し、又は該粒子が非球形である場合には、体積に基づく粒径を意味する。該体積に基づく粒径は、当該の非球形粒子と同じ体積を有する球の直径である。
【0100】
一つの実施態様において、該鉄/金属種の粒径は、ナノスケールでありうる。例えば、該鉄/金属種の粒径直径は、ナノスケールでありうる。
【0101】
本明細書で使用される場合、ナノスケールの粒径直径は、100nm以下のd(0.5)値を有するナノ粒子の集団を云う。例えば、90nm以下のd(0.5)値。例えば、80nm以下のd(0.5)値。例えば、70nm以下のd(0.5)値。例えば、60nm以下のd(0.5)値。例えば、50nm以下のd(0.5)値。例えば、40nm以下のd(0.5)値。例えば、30nm以下のd(0.5)値。例えば、20nm以下のd(0.5)値。例えば、10nm以下のd(0.5)値。
【0102】
本明細書で使用される場合、「d(0.5)」(「d(v、0.5)」又は体積メジアン直径としても書かれうる)は、ある集団におけるd(0.5)値よりも小さい全ての粒子の累積体積が、その集団内の全ての粒子の総体積の50%に等しい、粒径(直径)を表す。
【0103】
本明細書に記載されている粒径分布(例えば、d(0.5))は、様々な慣用的な分析方法、例えばレーザー光散乱、レーザー回折、沈降方法、パルス方法、電気的帯域検知、ふるい分析及び光学顕微鏡(通常、画像分析と組み合わされる)、によって決定されることができる。
【0104】
一つの実施態様において、該方法の鉄/金属種の集団は、約1nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約1nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約80nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約50nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約40nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約30nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約20nmのd(0.5)値。例えば、約1nm~約10nmのd(0.5)値。
【0105】
別の実施態様において、該方法の鉄/金属種の集団は、約10nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約10nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約80nmのd(0.5)値を有する。例えば、約10nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約50nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約40nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約30nmのd(0.5)値。例えば、約10nm~約20nmのd(0.5)値。例えば、約10nmのd(0.5)値。
【0106】
別の実施態様において、該方法の鉄/金属種の集団は、約20nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約20nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約80nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約50nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約40nmのd(0.5)値。例えば、約20nm~約30nmのd(0.5)値。例えば、約20nmのd(0.5)値。
【0107】
別の実施態様において、該方法の鉄/金属種の集団は、約30nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約30nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約30nm~約80nmのd(0.5)値。例えば、約30nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約30nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約30nm~約50nmのd(0.5)値。例えば、約30nm~約40nmのd(0.5)値。例えば、約30nmのd(0.5)値。
【0108】
別の実施態様において、該方法の鉄/金属種の集団は、約20nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約40nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約40nm~約80nmのd(0.5)値。例えば、約40nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約40nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約40nm~約50nmのd(0.5)値。例えば、約40nmのd(0.5)値。
【0109】
別の実施態様において、該方法の鉄/金属種の集団は、約50nm~約100nmのd(0.5)値を有する。例えば、約50nm~約90nmのd(0.5)値。例えば、約50nm~約80nmのd(0.5)値。例えば、約50nm~約70nmのd(0.5)値。例えば、約50nm~約60nmのd(0.5)値。例えば、約50nmのd(0.5)値。
【0110】
本発明の方法において用いられる固体触媒の鉄種は、セラミック物質又は炭素を含む支持体上に担持される。一つの実施態様において、支持体は、セラミック支持体である。別の実施態様において、該支持体は、炭素である。
【0111】
好適な支持体は典型的に、高い熱伝導率、機械的強度及び良好な誘電特性を有する。
【0112】
一つの実施態様において、該セラミック物質は、酸素非含有セラミック、例えばホウ化物、炭化物、窒化物又はケイ化物、である。好適には、該セラミック物質は、炭化物である。
【0113】
一つの実施態様において、該セラミック物質は、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素の1以上から選択される。
【0114】
別の実施態様において、該セラミック物質は、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム及び炭化アルミニウムから選択される。好適には、該セラミック物質は、炭化ケイ素及び窒化ケイ素から選択される。例えば、一つの実施態様において、該セラミック物質は、炭化ケイ素である。
【0115】
別の実施態様において、該セラミック物質は、金属酸化物又は半金属酸化物である。好適には、該セラミック物質は、アルミニウムの酸化物、ケイ素の酸化物、チタンの酸化物及びジルコニウムの酸化物、又はそれらの混合物から選択される。一つの実施態様において、該セラミック物質は、Al、SiO、TiO、ZrO及びケイ酸アルミニウムから選択される。
【0116】
一つの実施態様において、該セラミック物質は、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、Al、SiO、TiO、ZrO及びケイ酸アルミニウムから選択される。別の実施態様において、該セラミック物質は、炭化ケイ素、Al、SiO、TiO、ZrO及びケイ酸アルミニウムから選択される。別の実施態様において、該セラミック物質は、炭化ケイ素、Al及びSiOから選択される。
【0117】
一つの実施態様において、該支持体は、炭素を含む。好適には、該支持体は、炭素支持体である。炭素の好適なタイプは、炭素同位体、例えばグラファイト、グラフェン及びカーボンナノ粒子(例えば、カーボンナノチューブ)、活性炭及びカーボンブラック、を包含する。
【0118】
一つの実施態様において、該支持体は、活性炭を含む。別の実施態様において、該支持体は、活性炭である。
【0119】
一つの実施態様において、該支持体は、モノリシック形態である。
【0120】
本発明の方法の固体触媒は、一つの実施態様において、元素鉄、酸化鉄、鉄合金、又はそれらの混合物である鉄種、及び酸素非含有セラミックであるセラミック物質を含む/それから本質的になる/それからなる。好適には、該酸素非含有セラミックは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素、より好適には炭化ケイ素、から選択される。
【0121】
別の実施態様において、本発明の方法の固体触媒は、一つの実施態様において、元素鉄、酸化鉄、鉄合金、又はそれらの混合物である鉄種、及び金属酸化物又は半金属酸化物であるセラミック物質を含む/それから本質的になる/それからなる。好適には、該金属酸化物又は半金属酸化物は、アルミニウムの酸化物、ケイ素の酸化物、チタンの酸化物及びジルコニウムの酸化物、又はそれらの混合物から選択される。
【0122】
別の実施態様において、本発明の方法の固体触媒は、一つの実施態様において、元素鉄、酸化鉄、鉄合金、又はそれらの混合物である鉄種を含み/それから本質的になり/それからなり、並びに、セラミック物質は、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、Al、SiO、TiO、ZrO及びケイ酸アルミニウムから選択される。
【0123】
別の実施態様において、本発明の方法の固体触媒は、元素鉄、酸化鉄、鉄合金、又はそれらの混合物である鉄種を含み/それから本質的になり/それからなり、並びに、セラミック物質は、炭化ケイ素、Al及びSiOから選択される。
【0124】
一つの実施態様において、本発明の方法の固体触媒は、元素鉄又は酸化鉄である鉄種、及び酸素非含有セラミックであるセラミック物質を含む/それから本質的になる/それからなる。好適には、該酸素非含有セラミックは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素、より好適には炭化ケイ素、から選択される。
【0125】
一つの実施態様において、本発明の方法の固体触媒は、元素鉄又は酸化鉄である鉄種、及び金属酸化物又は半金属酸化物であるセラミック物質を含む/それから本質的になる/それからなる。好適には、該金属酸化物又は半金属酸化物は、アルミニウムの酸化物、ケイ素の酸化物、チタンの酸化物及びジルコニウムの酸化物、又はそれらの混合物から選択される。
【0126】
一つの実施態様において、本発明の方法の固体触媒は、元素鉄又は酸化鉄である鉄種、並びに炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、Al、SiO、TiO、ZrO及びケイ酸アルミニウムから選択されるセラミック物質を含む/それから本質的になる/それからなる。
【0127】
一つの実施態様において、本発明の方法の固体触媒は、元素鉄又は酸化鉄である鉄種、並びに炭化ケイ素、Al及びSiOから選択されるセラミック物質を含む/それから本質的になる/それからなる。
【0128】
一つの実施態様において、本発明の方法の固体触媒は、元素鉄である鉄種、及び酸素非含有セラミックであるセラミック物質を含む/それから本質的になる/それからなる。好適には、該酸素非含有セラミックは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素、より好適には炭化ケイ素、から選択される。
【0129】
一つの実施態様において、本発明の方法の固体触媒は、元素鉄である鉄種、及び金属酸化物又は半金属酸化物であるセラミック物質を含む/それから本質的になる/それからなる。好適には、該金属酸化物又は半金属酸化物は、アルミニウムの酸化物、ケイ素の酸化物、チタンの酸化物及びジルコニウムの酸化物、又はそれらの混合物から選択される。
【0130】
一つの実施態様において、本発明の方法の固体触媒は、元素鉄である鉄種、並びに炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、Al、SiO、TiO、ZrO及びケイ酸アルミニウムから選択されるセラミック物質を含む/それから本質的になる/それからなる。
【0131】
一つの実施態様において、本発明の方法の固体触媒は、元素鉄である鉄種、並びに炭化ケイ素、Al及びSiOから選択されるセラミック物質を含む/それから本質的になる/それからなる。
【0132】
一つの実施態様において、該固体触媒は、炭化ケイ素支持体上に担持された元素Feを含む/それから本質的になる/それからなる。好適には、該元素Feは、該触媒の約1~約25重量%、好適には該触媒の約1~約20重量%、好適には該触媒の約1~約10重量%、好適には該触媒の約1~約5重量%、より好適には約5重量%、で存在する。
【0133】
一つの実施態様において、該固体触媒は、SiO支持体上に担持された元素Feを含む/それから本質的になる/それからなる。好適には、該元素Feは、該触媒の約1~約60重量%、好適には該触媒の約1~約50重量%、好適には該触媒の約1~約40重量%、好適には該触媒の約1~約30重量%、好適には該触媒の約1~約20重量%、好適には該触媒の約1~約10重量%、好適には該触媒の約1~約5重量%、より好適には約5重量%、で存在する。
【0134】
一つの実施態様において、該固体触媒は、Al支持体上に担持された元素Feを含む/それから本質的になる/それからなる。好適には、該元素Feは、該触媒の約1~約60重量%、好適には該触媒の約1~約50重量%、好適には該触媒の約1~約40重量%、好適には該触媒の約1~約30重量%、好適には該触媒の約1~約20重量%、好適には該触媒の約1~約10重量%、好適には該触媒の約1~約5重量%、より好適には約5重量%、で存在する。
【0135】
一つの実施態様において、該固体触媒は、活性炭支持体上に担持された元素Feを含む/それから本質的になる/それからなる。好適には、該元素Feは、該触媒の約1~約60重量%、好適には該触媒の約1~約50重量%、好適には該触媒の約1~約40重量%、好適には該触媒の約1~約30重量%、好適には該触媒の約1~約20重量%、好適には該触媒の約1~約10重量%、好適には該触媒の約1~約5重量%、より好適には約5重量%、で存在する。
【0136】
典型的に、該固体触媒において、該鉄種は、該触媒の全重量に基づいて、0.1~99重量%の量で存在する。該鉄種は、例えば、該触媒の全重量に基づいて、0.5~80重量%の量で存在しうる。しかしながら、該鉄種は、該触媒の全重量に基づいて、0.5~25重量%、より典型的に0.5~40重量%、又は例えば1~30重量%、の量で存在しうる。
【0137】
該鉄種は、例えば、該触媒の全重量に基づいて、0.1~90重量%、例えば0.1~10重量%、又は例えば20~70重量%、の量で存在しうる。
【0138】
該鉄種は、例えば、該触媒の全重量に基づいて、1~20重量%、例えば1~15重量%、又は例えば2~110重量%、の量で存在しうる。
【0139】
一つの実施態様において、該固体触媒は、約50重量%までの鉄種負荷を有する。
【0140】
別の実施態様において、該固体触媒は、約0.1重量%~約50重量%、例えば約1重量%~約20重量%、例えば約1重量%~約15重量%、例えば約1重量%~約10重量%、例えば約2重量%~約5重量%、の鉄種負荷を有する。
【0141】
別の実施態様において、該固体触媒は、約5重量%の鉄種負荷を有する。
【0142】
不均一混合物
別の観点において、本発明は、ガス状炭化水素と密接に混合されている固体触媒を含む不均一混合物であって、該触媒が、セラミック物質若しくは炭素、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、上記不均一混合物を提供する。
【0143】
該固体触媒、その組成及び特色に関して、前述の実施態様のそれぞれを、本発明のこの観点に等しく適用できる。
【0144】
本発明は更に、水素を生成する為の前述の不均一混合物の使用に関する。
【0145】
このことは、前述される通り、該不均一混合物をマイクロ波放射線に曝露することによって達成されることができる。
【0146】
マイクロ波反応器
別の観点において、本発明は、不均一混合物を有するマイクロ波反応器であって、上記混合物が、ガス状炭化水素と密接に混合されている固体触媒を含み、該触媒が、セラミック物質若しくは炭素、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、上記マイクロ波反応器に関する。
【0147】
該固体触媒、ガス状炭化水素及びその特色に関して、前述の実施態様のそれぞれを、本発明のこの観点に等しく適用できる。
【0148】
典型的に、該反応器は、放射線に曝露されることになる該ガス状炭化水素及び触媒を受け入れるように構成される。それ故に、該反応器は典型的に、該ガス状炭化水素を反応空間に含み、且つ/又は反応空間内に/反応空間へ運ぶように構成された少なくとも1つの容器又は入口を含み、上記空間は、該マイクロ波放射線の焦点になる。
【0149】
該反応器はまた、水素を排出するように構成される。従って、該反応器は典型的に、本発明の方法に従って生じさせられた水素ガスが、放出又は収集されうる為の出口を含む。
【0150】
一部の実施態様において、該マイクロ波反応器は、該組成物を、TM010モードで電場に付すように構成される。
【0151】
燃料電池モジュール
別の観点において、本発明は、(i)燃料電池、及び(ii)ガス状炭化水素と密接に混合されている固体触媒を含む不均一混合物、を含む燃料電池モジュールであって、該触媒が、セラミック物質若しくは炭素、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、上記燃料電池モジュールを提供する。
【0152】
燃料電池、例えばプロトン交換膜燃料電池は、当技術分野で周知であり、従って、当業者に容易に入手可能である。
【0153】
一つの実施態様において、該燃料電池モジュールは、(iii)マイクロ波放射線源を更に含みうる。好適には、該マイクロ波放射線源は、該ガス状炭化水素及び触媒をマイクロ波放射線に曝露し、それにより該ガス状炭化水素又はその構成成分の分解をもたらして水素を生成するのに好適である。上記分解は、触媒作用的分解でありうる。
【0154】
好適には、該マイクロ波放射線源は、好適には前述される通りのマイクロ波反応器である。
【0155】
本発明は、以下の番号付けされた段落を用いることによって更に記載される。
【0156】
1.水素を含むガス状生成物を製造する方法であって、固体触媒の存在下でガス状炭化水素をマイクロ波放射線に曝露することを含み、
ここで、該触媒が、セラミック物質若しくは炭素、又はそれらの混合物を含む支持体上に担持された少なくとも1種の鉄種を含む、上記方法。
【0157】
2.生成された該ガス状生成物が、約90体積%以上の水素、好適には約95体積%以上の水素、を含む、段落1に従う方法。
【0158】
3.生成された該ガス状生成物が、約90体積%~約100体積%の水素を含む、段落1に従う方法。
【0159】
4.生成された該ガス状生成物が、約1体積%未満の二酸化炭素、好適には約0.5体積%未満の二酸化炭素、を含む、前述のいずれかの段落に従う方法。
【0160】
5.該鉄種が、元素鉄、鉄合金、鉄塩、鉄水素化物、酸化鉄、炭化鉄及び水酸化鉄、又はそれらの混合物からなる群から選択される、前述のいずれかの段落に従う方法。
【0161】
6.該鉄種が、元素鉄、鉄合金、酸化鉄、炭化鉄及び水酸化鉄、又はそれらの混合物からなる群から選択される、段落5に従う方法。
【0162】
7.該鉄種が、元素鉄、鉄合金、酸化鉄、及び水酸化鉄、又はそれらの混合物からなる群から選択される、段落5に従う方法。
【0163】
8.該鉄種が、元素Fe、酸化鉄、及びそれらの混合物からなる群から選択される、段落5に従う方法。
【0164】
9.該少なくとも1種の鉄種が、複数の元素金属の混合物、又は複数の金属酸化物の混合物からなる、前述のいずれかの段落に従う方法。
【0165】
10.該触媒が、更なる金属種、好適には更なる遷移金属、を含む、前述のいずれかの段落に従う方法。
【0166】
11.該遷移金属が、Ti、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnの1以上から選択される、段落10に従う方法。
【0167】
12.更なる金属種が、Al、Mn、Ru、Co、Ni及びCuからなる群から選択される、段落10に従う方法。
【0168】
13.該鉄種が、元素Fe及び元素Ni(Fe/Ni)、元素Fe及び元素コバルト(Fe/Co)、元素Fe及び元素Ru(Fe/Ru)、並びに元素Fe及び元素Cu(Fe/Cu)、元素Fe及び元素Mn(Fe/Mn)、元素Fe及び元素Al(Fe/Al)、元素Fe及び酸化Mn(Fe/MnO)の二成分混合物からなる、段落10に従う方法。
【0169】
14.該更なる金属種が、元素形態又はその酸化物である、段落10~13のいずれか1つに従う方法。
【0170】
15.該鉄種が、ナノ粒子として存在する、前述のいずれかの段落に従う方法。
【0171】
16.該支持体がセラミック物質を含む、前述の段落のいずれか1つに従う方法。
【0172】
17.該セラミック物質が、酸素非含有セラミック、例えばホウ化物、炭化物、窒化物又はケイ化物、である、段落16に従う方法。
【0173】
18.該セラミック物質が、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素からなる群から選択される、段落16に従う方法。
【0174】
19.該セラミック物質が、金属酸化物又は半金属酸化物である、段落16に従う方法。
【0175】
20.該セラミック物質が、アルミニウムの酸化物、ケイ素の酸化物、チタンの酸化物又はジルコニウムの酸化物、及びそれらの混合物からなる群から選択される、段落19に従う方法。
【0176】
21.該セラミック物質が、Al、SiO、TiO、ZrO及びケイ酸アルミニウムからなる群から選択される、段落19に従う方法。
【0177】
22.該セラミック物質が、炭化ケイ素、Al、SiO、TiO、ZrO及びケイ酸アルミニウムからなる群から選択される、段落16に従う方法。
【0178】
23.該セラミック物質が、炭化ケイ素、Al及びSiOからなる群から選択される、段落16に従う方法。
【0179】
24.該セラミック物質が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び炭化ケイ素から選択される、段落16に従う方法。
【0180】
25.該支持体が炭素を含む、前述の段落のいずれか1つに従う方法。
【0181】
26.該炭素が、活性炭、グラフェン、グラファイト、カーボンブラック及びカーボンナノ粒子(例えば、カーボンナノチューブ)から選択される、段落25に従う方法。
【0182】
27.該炭素が活性炭である、段落25に従う方法。
【0183】
28.固体触媒が、元素鉄、酸化鉄、鉄合金、又はそれらの混合物からなる群から選択される鉄種、及び酸素非含有セラミックであるセラミック物質を含む、段落1~4のいずれか1つに従う方法。
【0184】
29.該酸素非含有セラミックが、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素から選択される、段落28に従う方法。
【0185】
30.該酸素非含有セラミックが、炭化ケイ素である、段落28に従う方法。
【0186】
31.固体触媒が、元素鉄、酸化鉄、鉄合金、又はそれらの混合物からなる群から選択される鉄種、及び金属酸化物又は半金属酸化物であるセラミック物質を含む、段落1~4のいずれか1つに従う方法。
【0187】
32.該金属酸化物又は半金属酸化物が、アルミニウムの酸化物、ケイ素の酸化物、チタンの酸化物又はジルコニウムの酸化物、及びそれらの混合物からなる群から選択される、段落31に従う方法。
【0188】
33.該金属酸化物又は半金属酸化物が、アルミニウムの酸化物又はケイ素の酸化物、及びそれらの混合物である、段落31に従う方法。
【0189】
34.固体触媒が、元素鉄、酸化鉄、鉄合金、又はそれらの混合物からなる群から選択される鉄種、並びに炭化ケイ素、Al及びSiOからなる群から選択されるセラミック物質を含む、段落1~4のいずれか1つに従う方法。
【0190】
35.該鉄種が、元素鉄又は酸化鉄である、段落34に従う方法。
【0191】
36.該固体触媒が、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化アルミニウム、Al、SiO、TiO、ZrO及びケイ酸アルミニウムからなる群から選択されるセラミック物質上に担持された元素鉄を含む、段落1~4のいずれか1つに従う方法。
【0192】
37.該セラミック物質が、炭化ケイ素、Al、SiO、及びケイ酸アルミニウムからなる群から選択される、段落36に従う方法。
【0193】
38.該固体触媒が、炭化ケイ素支持体上に担持された元素Fe(Fe/SiC)を含むか、又はそれからなる、段落1~4のいずれか1つに従う方法。
【0194】
39.該元素Feが、該触媒の約1~約25重量%、好適には該触媒の約1~約10重量%、好適には該触媒の約1~約5重量%、より好適には約5重量%、で存在する、段落38に従う方法。
【0195】
40.該固体触媒が、SiO支持体上に担持された元素Fe(Fe/SiO)を含むか、又はそれからなる、段落1~4のいずれか1つに従う方法。
【0196】
41.該元素Feが、該触媒の約1~約60重量%、好適には該触媒の約1~約10重量%、好適には該触媒の約1~約5重量%、より好適には約5重量%、で存在する、段落40に従う方法。
【0197】
42.該固体触媒が、Al支持体上に担持された元素Fe(Fe/Al)を含むか、又はそれからなる、段落1~4のいずれか1つに従う方法。
【0198】
43.該元素Feが、該触媒の約1~約60重量%、好適には該触媒の約1~約10重量%、好適には該触媒の約1~約5重量%、より好適には約5重量%、で存在する、段落41に従う方法。
【0199】
44.該触媒が、炭素を更に含む、前述のいずれかの段落に従う方法。
【0200】
45.該炭素が、活性炭、グラフェン、グラファイト、カーボンブラック及びカーボンナノ粒子(例えば、カーボンナノチューブ(nantotube))から選択される、段落44に従う方法。
【0201】
46.該触媒が、約50重量%までの鉄を含有する、段落1~4のいずれか1つに従う方法。
【0202】
47.該鉄含有量が、約2重量%~約10重量%、好ましくは約5重量%、である、段落46に従う方法。
【0203】
48.該ガス状炭化水素が、1以上のC1~4炭化水素から選択される、前述の段落のいずれか1つに従う方法。
【0204】
49.該ガス状炭化水素が、メタン、エタン、プロパン及びブタンの1つから選択される、前述の段落のいずれか1つに従う方法。
【0205】
50.該ガス状炭化水素が、メタンを含む、前述の段落のいずれか1つに従う方法。
【0206】
51.該ガス状炭化水素が、少なくとも約90重量%のメタンを含む、段落50に従う方法。
【0207】
52.該ガス状炭化水素が、少なくとも約98重量%のメタンを含む、段落58に従う方法。
【0208】
53.該マイクロ波放射線が、約1.0GHz~約4.0GHz、好適には約2.0GHz~約4.0GHz、の周波数である、前述の段落のいずれか1つに従う方法。
【0209】
54.酸素の非存在下で行われる、前述の段落のいずれか1つに従う方法。
【0210】
55.水の非存在下で行われる、前述の段落のいずれか1つに従う方法。
【0211】
実施例
【0212】
物質及び方法
I.触媒の調製
触媒は、初期湿式含浸(incipient wetness impregnation)法を使用して調製された。例えば、鉄種を提供する為に、Fe(NO・9HO(硝酸鉄(III)九水和物、Sigma-Aldrich)が使用され、支持体として、SiC(炭化ケイ素、Fisher Scientific)及びAC(活性炭、Sigma-Aldrich)が使用された。該支持体は、該硝酸鉄と混合されて、所望のFe負荷を生成した。次に、該混合物は、スラリーになるまで磁気ホットプレート上で150℃において3時間撹拌され、次に一晩乾燥させられた。得られた固体は、炉内で350℃において3時間焼成された。最後に、10%H/Arガス中、650℃で6時間の還元方法によって、活性触媒が得られた。
【0213】
他の触媒を調製する為に、様々な担持物質を用いて同じ方法が使用された。二成分金属触媒の調製の為に、まず、金属前駆体が蒸留水中で混合され、次に支持体粉末とブレンドされた。
【0214】
FeAlO-C触媒が、クエン酸燃焼法を介して調製された。硝酸鉄、硝酸アルミニウム及びクエン酸が、望ましい比率で混合された。次に、粘性ゲルを生成する為に、蒸留水が添加された。次に、該ゲルは点火され、空気中で350℃において3時間焼成された。最後に、緩い粉末が生成され、次に微粒子に粉砕された。例えば、硝酸鉄、硝酸アルミニウム及びクエン酸を、1:1:1のモル比で混合することによって、Fe/(Al 試料が調製された。
【0215】
II.触媒の特性決定
該触媒は、粉末X線回折(XRD:X-ray diffraction)によって、BRUKER D8 ADVANCE回折計でCu Kα X線源(45kV、40mA)を使用して特性決定された。この研究における走査範囲(2θ)は、10°~90°であった。
【0216】
図3は、メタンの存在下でのマイクロ波照射の前及び後の、Fe/(Al 触媒のXRDパターンを示す。図3において、酸化鉄の特徴的ピークが、未使用の触媒(2θ=31.3°、34.6°、36.3°、44.2°、54.9°、58.1°及び64.6°)において観察される。使用済みの触媒のパターンにおいて、2θ=42.9°、43.9°、44.8°及び46.0°の回折ピークにおける炭化鉄の特徴的ピークが検出される。加えて、約2θ=26°における回折ピークは、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の形成を示している。
【0217】
調製された触媒の表面形態は、走査電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscope)、Zeiss Evo)によって特性決定された。
【0218】
調製された触媒の形態は、走査電子顕微鏡(SEM)で特性決定された。図4は、未使用(fresh)のFe/(Al 触媒のSEM画像を示す。
【0219】
使用済み(spent)のFe/(Al 触媒のSEM画像が、図5a及び図5bに示されている。
【0220】
III.マイクロ波放射線下でのガス状炭化水素の脱水素
まず、触媒が石英管(内径6mm、外径9mm)に入れられ、軸方向に分極した(TM010)一様電場に曝露される触媒床の高さは、4cmである。次に、マイクロ波放射線下での脱分極効果を最小限に抑える為に、充填された管が、TM010マイクロ波空間の中央に、軸方向に置かれた。マイクロ波照射を開始する前に、試料は、約1.67mL.s-1の流速で約15分間、アルゴンでパージされた。次に、該試料は、20ml/分の速度でメタンに曝露しながら750Wのマイクロ波が120~240分間照射された。生じさせられたガスが収集され、Perkin-Elmer、Clarus 580 GCを使用して、ガスクロマトグラフィー(GC)によって分析された。
【0221】
水素生成に対する触媒性能の調査
メタン脱水素が、理論的に完全な分解反応(1)に対して測定され、それ故にメタン転化率が(2)として得られた。ここに記載される選択性は、GCによって排出ガス中の体積%として決定される(3)。
【0222】
【数1】
【0223】
【数2】
【0224】
【数3】
【0225】
幾つかの触媒が、水素生成について、マイクロ波で開始された触媒作用的メタン分解を介して試験された。SiC触媒によって担持されたFe触媒は、マイクロ波照射下で、メタン脱水素について優れた活性を示した。一般に、>99%の水素選択性が得られ、メタン転化率は、5重量%のFe/SiC触媒上で約70%に達した。メタン転化が開始して、180分間の試験後に低減し、240分後に約20%まで徐々に低減した(図1)。
【0226】
加えて、Fe/(Al 触媒も、マイクロ波照射下で、メタン脱水素に対して優れた触媒作用活性を示した。該試験前にH/Arガス下で還元されたFe/SiC触媒とは異なり、該Fe/(Al 触媒は、それらの酸化状態にあるものとして使用された。それ故に、水素選択性は、該試験の最初はCOが生成されたので低く、該水素選択性は、90分後に、>95%に徐々に増大した(図2)。
【0227】
他の触媒を用いて実施されたメタン脱水素実験の水素選択性及び転化率の詳細が、表1に示されている。
【0228】
【表1】
【0229】
結論
記載された本発明は、水素生成の為に固体触媒上でのガス状炭化水素のマイクロ波補助による処理を組み合わせる、新しい方法を提供する。>99%の優れた水素選択性をうることができ、約70%までのメタン転化率が達成可能になった。
【0230】
本明細書において引用される刊行物、特許出願文書、及び特許文書を包含する全ての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれるように個々に具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる(法律によって許される最大限度まで)。
【0231】
全ての見出し及び小見出しは、本明細書において単に便宜的に使用され、決して本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0232】
本明細書で提供されるありとあらゆる例、又は例示的な用語(例えば、「等」)の使用は、単に、本発明により良く光を当てることが意図され、別段段落に分けられていない限り、本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書における用語は、段落に分けられていない任意の要素を、本発明の実施に必須として示すものと解釈されるべきではない。
【0233】
本明細書における特許文書への引用及び援用は、単に便宜的に行われ、このような特許文書の有効性、特許性、及び/又は執行可能性のいかなる見解も反映しない。
【0234】
本発明は、適用できる法律によって許される通り、本明細書に添付される段落に記載される主題の全ての修正及び均等物を含む。
【0235】
参考文献
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b