(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】ダイナミックインプラントのための音響レポート
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20240531BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20240531BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20240531BHJP
【FI】
A61B17/70
G01H17/00 Z
G01M99/00 Z
(21)【出願番号】P 2022514204
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(86)【国際出願番号】 US2020048002
(87)【国際公開番号】W WO2021045946
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-05-20
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510116244
【氏名又は名称】ニューベイシブ スペシャライズド オーソペディックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ベイ,ヤングサム
(72)【発明者】
【氏名】モエラー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シャンバオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ズイデン,エヴァーレット
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス,エドガー
(72)【発明者】
【氏名】ビルジャー,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ファム,ケン
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-502003(JP,A)
【文献】実開平02-113165(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0250674(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
G01H 17/00
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能なインプラントであって:
超音波振動のために調整された振動要素と、
前記振動要素と連絡するとともに前記拡張可能なインプラントのシャフトの回転に際し前記振動要素に超音波振動を生成させるように構成された動揺要素であって、前記動揺要素は前記シャフトに結合される、動揺要素と、を有する、
拡張可能なインプラント。
【請求項2】
超音波振動のために調整された複数の振動要素と、前記シャフト上の複数の突起部として実装された複数の動揺要素をさらに有し、前記複数の突起部は、複数の超音波振動を生成するために、前記複数の振動要素と連絡するように構成される、
請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記振動要素によって生成される前記超音波振動の総数をカウントするように構成された超音波トランスデューサをさらに有する、
請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記振動要素によって生成される前記超音波振動の総数は、前記インプラントの寸法の変化量に対応する、
請求項
3に記載のインプラント。
【請求項5】
インプラントであって:
患者の骨の第1の部分に固定されるように構成されたハウジングと;
前記ハウジングと伸縮式に係合するように構成されたロッドであって、患者の骨の第2の部分に固定されるように構成されたロッドと;
超音波振動のために調整された少なくとも1つの振動要素と;
前記振動要素と連絡するように構成された動揺要素と;
を有し、
前記動揺要素は、シャフトに結合されるとともに前記ロッドが前記ハウジングに対して移動するときに回転するように構成され;
前記動揺要素の回転は、超音波振動を生成するために前記振動要素と連絡するように構成される、
インプラント。
【請求項6】
前記振動要素によって生成される前記超音波振動の総数をカウントするように構成された圧電トランスデューサをさらに有する、
請求項
5に記載のインプラント。
【請求項7】
前記振動要素によって生成される前記超音波振動の総数は、前記ハウジングに対する前記ロッドの動きの総量に対応する、
請求項
6に記載のインプラント。
【請求項8】
前記動揺要素は、前記シャフトの回転に際して前記振動要素と連絡するように構成された少なくとも1つの突起部を有する、
請求項
5に記載のインプラント。
【請求項9】
超音波振動のために調整された複数の振動要素と前記シャフト上に配置された複数の突起部とをさらに有し、前記複数の突起部は、複数の超音波振動を生成するように前記複数の振動要素と連絡するように構成される、
請求項
8に記載のインプラント。
【請求項10】
前記超音波振動の数の合計が、前記インプラントの長さの変化に対応する、
請求項
5に記載のインプラント。
【請求項11】
前記超音波振動の数の合計が、前記インプラントの高さの変化に対応する、
請求項
5に記載のインプラント。
【請求項12】
前記超音波振動の数の合計が、前記インプラントの幅の変化に対応する、
請求項
5に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、超音波を用いた拡張可能な(expandable)インプラントの調整をモニタリングすることに関する。
【背景技術】
【0002】
拡張可能なインプラントには、その調節を非侵襲的にモニタするための正確な方法が必要である。拡張可能なインプラントの調整をモニタする現在の装置および方法は、重要な仮定がしばしばそれらの測定に誤差を導入するので、不十分である。本明細書には、この問題に対する新規な解決策が提供される。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、超音波を使用して拡張可能なインプラントの調整量を測定するための装置および方法を含む。
【0004】
いくつかの実施形態では、超音波カウンタが、超音波振動のために調整された振動要素を含み得る。振動要素は、拡張可能なインプラントの調整量に対応する各超音波振動で、動揺(agitation)に際し超音波振動を生成するように構成され得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、拡張可能なインプラントは、超音波カウンタであって:動揺要素と、超音波振動のために調整された振動要素とを有し、振動要素は、動揺要素による動揺に際し超音波振動を発生するように構成され得、各超音波振動は、拡張可能なインプラントの調整量に対応し得る、超音波カウンタを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、拡張可能なインプラントは:第1の位置で患者の骨に固定されるように構成されたハウジングと;ハウジングとの伸縮式係合(telescopic engagement)のために構成されたロッドであって、第2の位置で患者の骨に固定されるように構成されたロッドと;超音波振動のために調整された少なくとも1つの振動要素を有する超音波カウンタであって、振動要素は、拡張可能なインプラントの調整量に対応する各超音波振動で、それらの動揺に際し超音波振動を発生するように構成され得る、超音波カウンタと;を含む。
【0007】
超音波を使用してインプラントの寸法の変化を測定する方法の一実施形態は:(i)超音波振動のために調整された振動要素を有する拡張可能なインプラントを提供するステップであって、振動要素は、拡張可能なインプラントの調整に際し超音波振動を発生させるように構成される、ステップと;(ii)拡張可能なインプラントを調整するステップと;(iii)振動要素によって生成された超音波振動の数をカウントする(計数する(counting))ステップと;(iv)振動要素によって生成された振動の総数から寸法の変化を計算するステップと;を含む。
【0008】
超音波を使用してインプラントの寸法の変化を測定する方法の一実施形態は、以下のステップを含む:(i)拡張可能なインプラントであって、拡張可能なインプラントの調整に際し動くように構成された動揺要素と、超音波振動のために調整された振動要素とを有する拡張可能なインプラントを提供するステップであって、振動要素は、動揺要素による動揺に際し超音波振動を生成するように構成される、ステップ。(ii)拡張可能なインプラントを調整するステップ。(iii)振動要素によって生成された超音波振動の総数をカウントするステップ。(iv)振動要素によって生成される振動の総数から寸法の変化を計算するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
これらおよび他の特徴は、添付の図面を検討することにより、当業者によってさらに理解され得る:
【0010】
【0011】
【0012】
【
図3】第1の実施形態による拡張可能なインプラントを非侵襲的に調整するように構成された例示的な外部調整装置を示す;
【0013】
【
図4】例示的な外部調整装置の下方表面または下側表面を示す。
【0014】
【
図5】拡張可能なインプラントの埋め込まれた磁石を駆動する間の、外部調整装置の磁石の向きを概略的に示す。
【0015】
【
図6】患者内に埋め込まれた超音波カウンタを有する拡張可能なインプラントの概略図を示す。
【0016】
【
図7】第1の実施形態による超音波カウンタを示す。
【0017】
【
図8】第1の実施形態による超音波カウンタの断面図を示す。
【0018】
【
図9】超音波トランスデューサを含む第2の実施形態による超音波カウンタの斜視図を示す。
【0019】
【
図10】第3の実施形態による超音波カウンタの断面図を示す。
【0020】
【
図11】第3の実施形態による超音波カウンタの分解図を示す。
【0021】
【
図12】第3の実施形態による超音波カウンタを示し、超音波カウンタは、拡張可能なインプラントの調整に際し超音波送信を生成するように構成される。
【0022】
【
図13】第4の実施形態による超音波カウンタを示し、超音波カウンタは、隣接する表面の直線移動に際し超音波送信を生成するように構成される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
説明の目的であって、限定するものではなく、当業者が本発明を製造し、使用することができるように、特定の好ましい実施形態および方法の詳細および説明を以下に示す。これらの詳細および説明は、特定の好ましい実施形態のみを代表する。しかしながら、本明細書に明示的に記載されない無数の他の実施形態は、本明細書の徹底的なレビューにより当業者によって容易に理解されるであろう。
【0024】
医療用インプラントでは、情報の経皮的な送信は、ラジオ周波数(RF)送信周波数が人体内で経験する流体および水性組織中の減衰特性のために、ラジオ周波数において特に困難である。しかし、超音波周波数は、特にRFと比較して、流体および水性組織を介して送信されるとき、緩和された減衰特性および優れた透過特性を有する。
【0025】
超音波周波数の別の利点は、金属を介したそれらの実証された優れた伝送特性である。これは、医療用インプラント、例えば、チタンのような金属がしばしば含まれる伸延(distraction)ロッドにおいて特に有用である。
【0026】
経皮的通信のために選択される超音波信号の超音波音波の周波数は、一般に、約20キロヘルツ(kHz)より大きくなければならない。いくつかの実施形態では、超音波音波の周波数は、200~400kHzまたは約300kHzであり得る。いくつかの実施形態では、50kHzが使用され得る。超音波信号は含み得る。
【0027】
超音波信号を使用する経皮的通信のために超音波音波を利用する利点は:(1)超音波が、金属または固体媒体(例えば、金属製の医療用インプラント)を介して良好な伝播および最小限の減衰特性を有すること、および(2)超音波は、動物(例えば、ヒトの皮膚、筋肉および骨)の様々な水性組織を介して良好な伝播特性および最小限の減衰特性を有することを含む。
【0028】
拡張可能なインプラント、特に非侵襲的に調整することができるインプラントの課題の1つは、以前は、例えば、患者をさらなる量の放射線に曝露する、拡張可能なインプラントの放射線イメージングを除いて、拡張可能なインプラントの調整量を測定する信頼できるインサイチュ(in situ)の方法が、存在しなかったことである。
【0029】
例えば、伸延ロッドでは、伸延ロッドの内部磁石の回転が、定量化された量の伸延ロッドの伸延と直接的な関係を有するという事実を利用することによって、伸延ロッドの調整を監視することができる。同様に、一方の表面の他方に対する移動が、定量化された量の伸延ロッドの伸延と直接的な関係を有するという事実を利用することによって、伸延ロッドの調整を監視することができる。
【0030】
伸延ロッドを伸延する機構は、伸延ロッドの内部磁石を、外部リモートコントローラ(ERC)と呼ばれることもある外部調整装置の1つ以上の外部磁石と結合することを含み得る。従って、外部磁石の回転と内部磁石の回転との間に固定された相関があると仮定することができる。従って、外部磁石の回転をモニタすることによって、内部磁石の回転量を概算する(approximate)ことができ、従って、伸延ロッドの全伸延量を推定することができる。
【0031】
しかしながら、時折、ERCの1つ以上の磁石は、拡張可能なインプラントの内部磁石から少なくとも一時的に切り離されることがあり、1つ以上の外部磁石が回転する間、伸延ロッドの内部磁石は、切り離されていないことがある。これは、スリップまたは失速と呼ばれることがある。結果として、外部磁石の回転のみをモニタすることは、必ずしも、伸延ロッドの調整または伸延の完全に正確な測定を提供するとは限らない。
【0032】
一般的な実施形態では、超音波を使用して測定されるように構成された拡張可能なインプラントは、超音波振動のために調整された振動要素を含み、振動要素は、拡張可能なインプラントの調整に際し超音波振動を生成するように構成され、各超音波振動は、拡張可能なインプラントの調整量に対応する。
【0033】
超音波周波数は、流体、水性組織、さらには金属においても好ましい透過特性を有するため、結果として生じる超音波放射は、拡張可能なインプラントにおいてローカルに(locally)または患者の外部に配置された外部トランシーバによって観察され得る。同様に、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の他のインプラントは、超音波インプラントの調整量を検出および報告するように構成された1つまたは複数の超音波トランスデューサを含み得る。
【0034】
ここで、1つ以上の超音波トランスデューサは:圧電トランスデューサ、単結晶超音波トランスデューサ、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)超音波トランスデューサ、圧電ポリフッ化ビニリデン(PVDF)超音波トランスデューサ、容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)、または当技術分野において一般的に知られ使用される任意の超音波トランスデューサを含み得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサは、拡張可能なインプラント上およびその内部に配置され得、コントローラ、メモリ、電源、または拡張可能なインプラント上に配置された任意の他の電子コンポーネントのうちの1つまたは複数に動作可能に接続され得、超音波トランスデューサは、振動要素によって放射される超音波送信(ultrasound transmission)の数をカウントするように構成され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、結果として得られる超音波送信は、患者の外部に位置する超音波トランスデューサによって観察される。外部観察のために、増加した距離で観察される信号の量を最大にするために、超音波トランスデューサのアレイを使用することが好ましい場合がある。超音波トランスデューサは、外部装置、例えば、外部リモート制御装置(ERC)の上およびその内部に配置され得、コントローラ、メモリ、電源、および任意の既知の電子部品のうちの1つ又は複数に動作可能に接続され得、超音波トランスデューサは、振動要素によって生成される超音波送信の数をカウントするように構成され得る。いくつかの実施形態では、超音波は、空気ギャップのような界面(interfaces)で大量の反射が発生するので、超音波トランスデューサは、空気ギャップの量を最小化するために、患者の皮膚に接触して設けられる。
【0037】
いくつかの実施形態では、振動要素は、拡張可能なインプラントの表面と連絡する(communicates with(接続する))。この表面は、拡張可能なインプラントの調整に際し動くように構成され得る。表面は、1つまたは複数の動揺要素を含み得る。動揺要素は、突起部(bumps)を含み得る。振動要素との突起部の連絡(communication(接続))に際し、振動要素は超音波送信を生成する。
【0038】
いくつかの実施形態では、シャフトは、シャフトの回転時に振動要素と連絡するように構成された少なくとも1つの動揺要素を含む。いくつかの実施形態は、超音波振動のために調整された複数の振動要素と、シャフト上に配置された複数の動揺要素とを含み、複数の動揺要素は、複数の超音波送信を生成するために、複数の振動要素と連絡するように構成される。振動要素の数の増加は、生成される送信の大きさを増加させ、超音波送信の検出を改善する。信号強度の改善は、患者の外部で超音波送信を観察する場合に特に有用である。
【0039】
いくつかの実施形態では、振動要素は、拡張可能なインプラントの回転可能な内部磁石の表面と連絡する。この回転可能な内部磁石は、拡張可能なインプラントの調整に際し回転するように構成され得る。回転可能な内部磁石の表面は、1つ又は複数の動揺要素を含み得る。動揺要素の振動要素との連絡に際し、振動要素は超音波送信を生成する。
【0040】
次に、
図1を参照すると、脊柱側弯症の患者100が示されている。脊柱曲線の凹部102は、患者100の左側104に見えることができ、凸部106は、患者100の右側108に見えることができる。もちろん、他の患者では、凹部102は患者100の右側108に現れることがあり、凸部106は患者100の左側104に見つかることがある。さらに、
図1に見られるように、脊柱110のある程度の回転が存在し、左肩112と右肩114との間に不均一性が見られる。
【0041】
図2は、脊柱側弯症の患者の脊柱110のコブ角116を示す。コブ角を決定するために、線118および120が、それぞれ、椎骨122および124から引き出される。交差する垂線126および128は、線118および120から90°の角度130および132を作ることによって描かれる。垂線126および128の交差から作られる角度116は、コブ角として定義される。完全にまっすぐな背骨では、この角度は0°である。
【0042】
脊柱側弯症の患者では、矯正手術が選択されることがある。矯正手術は、拡張可能なインプラントの留置および調整を含み得る。歴史的に、調整は、拡張可能なインプラントの調整が必要とされるたびに、手術を繰り返す必要があった。現代では、非侵襲的に拡張可能なインプラントが、これらのデバイスのインサイチュでの調整を可能にしている。しかし、拡張可能なインプラントからの情報フィードバックは受けにくいことが判明している。
【0043】
図3は、拡張可能なインプラント1000を調整するために構成された、外部調整装置、例えばERC700を示す。拡張可能なインプラント1000は、例えば、米国特許出願第12/250,442号、第12/391,109号、第11/172,678号に開示されているようないくつかの伸延装置を含むことができ、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
伸延装置1000は、第1の位置で患者の骨に固定されるように構成されたハウジング1018と、ハウジング1018と伸縮式に係合するように構成されたロッド1020とを含み、ロッド1020は、第2の位置で患者の骨に固定されるように構成される。
【0045】
伸延装置1000はまた、外部調整装置700によって印加された磁界に応答して回転する回転式に取り付けられた内部磁石1010を含む。磁石1010の一方向の回転は、伸延をもたらし、磁石1010の反対方向の回転は、引込み(retraction)をもたらす。伸延は、拡張可能なインプラント1000の全長における測定可能な増加を含み、一方、引込みは、拡張可能なインプラント1000の全長における測定可能な減少を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、リードねじ(
図6、1030)に動作可能に結合され、内部磁石1010は、リードねじ1030を回転させるように構成される。リードねじ1030は、ロッド1020のねじ付き表面と連絡する(communicate with)ように構成されたねじ付き表面を含む。リードねじ1030の回転は、ロッド1020をハウジング1018に対して移動させることを可能にする。
【0047】
いくつかの実施形態では、外部調整装置700は、再充電可能バッテリによっておよび電源コード711によって給電され得る。外部調整装置700は、第1のハンドル702および第2のハンドル704を含み得る。第2のハンドル704はループ形状で示されており、外部調整装置700を持ち運ぶために使用することができる。第2のハンドル704はまた、使用中に外部調整装置700を安定させるために使用することができる。概して、本実施形態の第1のハンドル702は、外部調整装置700の第1の端部から直線的に延び、一方、第2のハンドル704は、外部調整装置700の第2の端部に位置し、実質的に軸外に延びる又は第1のハンドル702に対して角度を付けられる。
【0048】
第1のハンドル702は、
図4に最もよく示されているように、第1の外部磁石706および第2の外部磁石708を、ギヤ、ベルトなどを介して駆動するモータ705を含む。第1のハンドル702上には、身体の輪郭806と、患者の体に外部調整装置700を配置するための正しい方向を示すオプションの向きの矢印808とを有するオプションの向きの画像804があり、その結果、拡張可能なインプラント1000が相対方向に調節される。第1のハンドル702を保持しながら、オペレータは、伸延シンボル717を有し、第1の色、例えば緑である伸延ボタン722を親指で押す。これは、拡張可能なインプラント1000を伸延させる。拡張可能なインプラント1000が過度に伸延され、引込めること、または拡張可能なインプラント1000の伸延を減らすことが望ましい場合、オペレータは、引込みシンボル719を有する引込みボタン724をその親指で押す。
【0049】
伸延は、磁石706、708を一方向に回転させ、引込みは、磁石706、708を反対方向に回転させる。磁石706、708は、ウィンドウ811に見ることができるストライプ809を含む。これは、磁石706、708が静止しているのか回転しているのか、また、磁石がどの方向に回転しているのかの容易な識別を可能にする。これは、オペレータによる迅速なトラブルシューティングを可能にする。オペレータは、拡張可能なインプラント1000の内部磁石1010が位置する患者上のポイントを決定することができ、その後、患者の皮膚の対応する部分に印を付け、次いで、外部調整装置700のアライメントウィンドウ716を通してこのスポットを見ることによって、外部調整装置700を拡張可能なインプラント1000に対して正しい位置に置くことができる。
【0050】
図5は、伸延処置の間の、第1および第2の外部磁石706、708ならびに拡張可能なインプラント1000の内部磁石1010の磁極の向きを示す。説明のために、向きは、時計の数字に関連して記述される。第1の外部磁石706は、第2の外部磁石708のS極904が12時位置を指しているときに、第1の外部磁石706のN極902が12時位置を指しているように、(ギヤ、ベルト等によって)第2の外部磁石708と同期して回転される。従って、この向きでは、第1の外部磁石706のS極906が6時位置を指し、第2の外部磁石708のN極908が6時位置を指している。第1の外部磁石706および第2の外部磁石708の両方は、それぞれの矢印914、916によって示されるように第1の方向に回転される。回転磁場は、拡張可能なインプラント1000の内部磁石1010にトルクを加え、矢印918で示されるように、第2の方向に回転させる。トルク供給中の内部磁石1010のN極1012およびS極1014の例示的な向きが
図5に示されている。第1および第2の外部磁石706、708が、図示とは逆方向に回転すると、内部磁石1010は、図示とは逆方向に回転する。第1の外部磁石706および第2の外部磁石708の互いに対する向きは、埋め込まれた磁石1010へのトルク供給を最適化する働きをする。
【0051】
次に、外部磁石706、708の回転をモニタリングすることが、拡張可能なインプラント1000の内部磁石1010の回転量に関する洞察を得ることができることが示された。しかしながら、外部磁石706、708は、少なくとも一時的に内部磁石1010から切り離されようになることがあり、外部磁石706、708は、拡張可能なインプラント1000の内部磁石1010を回転させている間に切り離されていないことがある。これは、時に、スリップまたは失速と呼ばれ、拡張可能なインプラント1000の総調整量の不正確なモニタリングをもたらすことがある。
【0052】
図6は、患者100内に埋め込まれた拡張可能なインプラント1000の概略図を示し、拡張可能なインプラント1000は、その中に配置された超音波カウンタ1200を有する。拡張可能なインプラント1000は、ハウジング1018と、ハウジング1018に対して伸縮自在に動くように構成されたロッド1020とを含む。ロッド1020は、リードねじ1030と連絡するように構成されたねじ面を含む。上述のように、回転可能な内部磁石1010によるリードねじ1030の回転に際して、ロッド1020は、ハウジング1018に対して移動する。
【0053】
内部磁石1010に隣接して超音波カウンタ1200がある。超音波カウンタ1200は、例えば、リードねじ1030の各回転に際し、少なくとも1つの超音波送信を生成するように構成される。拡張可能なインプラント1000はまた、エレクトロニクスモジュール1260に動作可能に結合された超音波トランスデューサ1240を含むことが示される。
【0054】
超音波トランスデューサ1240は、超音波送信(ultrasound transmissions)Aを送信および/または受信するように構成される。ここで、本明細書に記載されているように、いくつかの実施形態では、超音波カウンタ1200は、拡張可能なインプラント1000の調整量に対応する超音波送信Aを生成するように構成される。超音波送信Aは、超音波トランスデューサ1240によって、拡張可能なインプラント1000でローカルに観察され得る。超音波トランスデューサ1240に動作可能にかつ電子的に結合されたエレクトロニクスモジュール1260は:コントローラ、メモリ、電源、および任意の他の電子コンポーネントのうちの1つ以上を含み得、超音波トランスデューサ1240は、超音波カウンタ1200によって生成される超音波送信Aの数をカウントする(数える)ように構成される。
【0055】
いくつかの実施形態では、超音波送信Aは、外部超音波トランスデューサ2000によって患者100の外部で観察され得る。外部超音波トランスデューサ2000は、拡張可能なインプラント1000の外部リモートコントロール(ERC)700の一部であってもよく、別個のデバイス2000であってもよい。外部超音波トランスデューサ2000は、例えば、RF、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、インターネット、超音波通信、および任意の既知の通信方法を含む種々の通信帯域Bを横断するスマートフォン3000のために、1つまたは複数の種々のエレクトロニクスデバイスと通信し得る。外部超音波トランスデューサ2000、スマートフォン3000、および任意の既知のエレクトロニクスデバイスのうちの1つ以上は、インターネット4000、例えば、クラウド4000に接続され得る。これは、開業医5000が、拡張可能なインプラント1000にリモートアクセスし、さらには、拡張可能なインプラント1000を調整することによって、拡張可能なインプラント1000から伸延情報をリモートで受信することを可能にする。
【0056】
図7は、第1の実施形態による超音波カウンタ1200を示す。当業者が理解するように、超音波カウンタ1200は、上述のものを含む拡張可能なインプラント1000と一体化するように設計され、超音波カウンタ1200の少なくとも一部は、例えば、内部磁石1010に隣接して拡張可能なインプラント1000のハウジング1018内に配置され得る。超音波カウンタ1200は、超音波振動のために調整された(tuned)少なくとも1つの振動要素1210を含む。便宜上、振動要素1210の一部は、振動要素1210と回転可能なシャフト1230上に配置された動揺要素1220との間の連絡を示すために、透明であるように示されている。シャフト1230は、拡張可能なインプラント1000の内部磁石1010と連通して示され、回転可能な永久磁石1010の回転に際し回転するように構成される。
【0057】
振動要素1210は、動揺要素1220による動揺の際に、超音波送信、例えば超音波周波数の振動を生成するように調整される。上述のように、外部遠隔制御装置700による起動時に生じる内部永久磁石1010の回転が、回転可能なシャフト1230に伝達され、動揺要素1220は、超音波周波数で伝達を生成するように、振動要素1210と連絡する。
【0058】
シャフト1230の各回転は、内部磁石1010の回転に相関する。内部磁石1010の回転はまた、拡張可能なインプラント1000のある固定量の調整と相関する。したがって、振動要素1210によって生成される各超音波送信は、拡張可能なインプラント1000の全長の定量化された調整量に対応する。
【0059】
図8は、第1の実施形態による超音波カウンタ1200の断面図を示す。回転可能シャフト1230は、その上に配置された複数の動揺要素1220を有するように示される。また、超音波カウンタ1200は、複数の振動要素1210を含むように示される。
【0060】
この設計の1つの明確な利点は、超音波送信の生成が純粋に機械的であることである。これは、送信を生成するために電力を必要としないので、拡張可能なインプラントにおいて有利である。必要とされるエネルギは、拡張可能なインプラントを調整するために使用される駆動機構から回収することができる。エネルギ収集、貯蔵および枯渇は、非侵襲的に拡張可能なインプラントにおいて顕著な問題である。
【0061】
図9は、超音波トランスデューサ1340を含む、第2の実施形態による超音波カウンタ1300の斜視図を示す。当業者であれば理解できるように、超音波カウンタ1300は、上述のものを含む拡張可能なインプラント1000と一体化するように設計される。超音波カウンタ1300は、超音波振動のために調整された少なくとも1つの振動要素1310と、少なくとも1つの動揺要素1320とを含む。便宜上、超音波カウンタ1300の一部は、振動要素1310と動揺要素1320との間の連絡を示すために透明で示されている。動揺要素1320は、回転可能なシャフト1330上に配置されて示されている。回転可能シャフト1330は、拡張可能なインプラント1000の内部磁石1010と連通して示される。
【0062】
振動要素1310の結果として生じる超音波送信は、超音波トランスデューサ1340によって拡張可能なインプラント1000でローカルに観察され得る。超音波トランスデューサ1340は、超音波カウンタ1300上に配置されて示されているが、いくつかの実施形態では、拡張可能なインプラント1000の一部であって、それに隣接して配置されてもよい。超音波トランスデューサ1340は、コントローラ、メモリ、電源、または任意の他の電子コンポーネントのうちの1つ以上を含むエレクトロニクスモジュール1360に動作可能に接続され、超音波トランスデューサ1340は、振動要素1310によって生成される超音波送信の数をカウントするように構成される。
【0063】
図10は、第2の実施形態による超音波カウンタ1400の断面図を示す。この実施形態では、超音波カウンタ1400は、振動要素1410と、回転防止要素1490とを有するプレート1470を含む。
図11の分解図に示すように、プレート1470は、ハウジング1460内に伸縮式に(telescopically)受け入れられるように構成される。また、プレート1470は、シャフト1430の少なくとも一部をその中に受け入れるように構成され、シャフト1430は、複数の動揺要素1420を含む。プレート1470は、共振器ハウジング1460内で伸縮式に移動されるように構成される。
【0064】
プレート1470は、シャフト1430の回転に際し構成を変更することができる。例えば、シャフト1430の望ましくない回転をロックおよび防止するように構成された第1の構成では、回転防止要素1490は動揺要素1420と接触し、回転防止要素1490と動揺要素1420との間の連絡は、シャフト1430の回転を防止するように構成される。拡張可能なインプラント1000の調整をモニタリングするための第2の構成では、振動要素1410は、動揺要素1420と連絡し、回転防止要素1490は、動揺要素1420と連絡しない。超音波カウンタ1400は、第1の構成にプレート1470を付勢する(bias)ように構成された付勢要素1465を含む。
【0065】
シャフト1430は、拡張可能なインプラント1000の駆動システム1010に動作可能に結合されるように構成され、駆動システム1010は、例えば、上述のように、拡張可能なインプラント1000の回転可能な永久磁石1010を含む。いくつかの実施形態では、シャフト1430は、ロックされた構成にあるときに駆動システムの望ましくない回転を防止するように構成され得る。また、いくつかの実施形態では、駆動システムは:電子モータ、空気圧モータ、およびインプラントにおいて既知でありかつ使用される任意のアクチュエータを含み得る。
【0066】
次に、プレート1470が第1の構成の状態で、十分なトルクを加えると、永久磁石1010の回転は、シャフト1430の回転を誘発する。十分なトルクにより、バイアス要素が屈し(yield)、プレートは第1の構成から第2の構成へと移動する。振動要素1410は、超音波送信を生成するために複数の動揺要素1420と連絡するように構成される。上述のように、これらの送信は、拡張可能なインプラント1000においてローカルに観察され得るまたは外部トランシーバによって患者の外部で観察され得る。
【0067】
超音波カウンタ1400は、さらに、超音波カウンタ1400にかかる軸方向の力の量を最小化するように構成された一対のスラストベアリング1480を含む。軸方向の力の軽減は、振動要素1410によって生成される超音波送信の特定の周波数を維持するのに有用である。
【0068】
当業者に理解されるように、上述の実施形態の振動要素は、動揺要素による動揺の際に振動要素が超音波周波数で振動を生成するように超音波周波数に調整される。一般に、この周波数は、20kHz~200MHz以上である。現在の実施形態は、約50kHzに調整されている。
【0069】
振動要素よって発生される信号を50kHzで観測するとき、ノイズは、拡張可能なインプラントの全てのコンポーネントによって生成され得る。いくつかの実施形態では、ロードセル1250、1350が、拡張可能なインプラント上の軸方向の力を測定するために含まれ得る。軸方向の力を測定することは、振動要素によって生成される超音波信号を50kHzで観測するとき、ノイズフロア(noise floor)をフィルタリングするのに役立つ。
【0070】
また、いくつかの実施形態では、動揺要素を回転可能な磁石上に配置することができ、振動要素は、回転可能な磁石の回転に際し回転可能な磁石上に配置された動揺要素と連絡するように構成され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、アクチュエータは、回転可能な磁石、電気モータ、または拡張可能なインプラントを作動させるために当技術分野において既知であり且つ使用される任意のアクチュエータであり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、拡張可能なインプラントの調整は、拡張可能なインプラントの表面の動きをもたらし得る。拡張可能なインプラントは、拡張可能なインプラントの調整の際に振動するように構成された1つ以上の振動要素を含み得る。例えば、動きが直線的である場合、1つ以上の動揺要素が第1の表面上に配置され得、1つ以上の振動要素は第2の表面上に配置され得る。第2の表面に対する第1の表面の移動に際して、1つ以上の振動要素は、1つ以上の動揺要素と連絡して、超音波振動を生成する。振動要素および/または動揺要素は、各振動が第2の表面に対する第1の表面の所与の変位量に対応するように配置され得る。
【0073】
超音波を使用してインプラントの寸法の変化を測定する方法の一実施形態は、次のステップを含む:(i)拡張可能なインプラントの調整に際して動くように構成された動揺要素と、超音波振動のために調整された振動要素とを有する拡張可能なインプラントを提供するステップであって、振動要素は、動揺要素による動揺に際して超音波振動を生成するように構成される、ステップ。(ii)拡張可能なインプラントの調整するステップ。(iii)振動要素によって生成された超音波振動の総数をカウントするステップ。(iv)振動要素によって生成される振動の総数から寸法の変化を計算するステップ。
【0074】
図12は、第3の実施形態による超音波カウンタ1500の概略図であり、超音波カウンタ1500は、拡張可能なインプラントの調整の際に超音波送信を生成するように構成される。超音波カウンタ1500は、拡張可能なインプラントと一体化されるように構成される。超音波カウンタ1500は、振動要素1510を含む。振動要素1510は、拡張可能なインプラント1000の内部磁石1010の表面と連絡するように構成される。いくつかの実施形態では、内部磁石1010は、その表面に配置された1つ以上の動揺要素1520を含み、動揺要素1520は、振動要素1510を動揺させて超音波送信Aを生成するように構成される。
【0075】
各超音波送信Aは、内部磁石1010の回転量と相関する。上述のように、インプラントにおいてローカルにまたは患者の外部からリモートで、超音波送信Aの数をカウントすることによって、拡張可能なインプラント1000の調整量を決定することができる。
【0076】
図13は、第4の実施形態による超音波カウンタ1600の概略図であり、超音波カウンタ1600は、拡張可能なインプラント1000の隣接する表面1670の直線移動の際に超音波送信Aを生成するように構成される。拡張可能なインプラントのいくつかの実施形態では、回転運動の代わりに直線運動が、拡張可能なインプラントを調整するために使用される。振動要素1610は、拡張可能なインプラント1000の移動表面1670と連絡して、表面1670の移動時に超音波送信(超音波信号)Aを生成する。表面1670は、振動要素1610と連絡するための1つ以上の動揺要素を含み得る。
【0077】
各超音波送信Aは、表面1670の移動量と相関する。超音波送信Aの数をカウントすることによって、上述のように、インプラントにおいてローカルにまたは患者の外部からリモートで、拡張可能なインプラント1000の調整量を決定することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、拡張可能なインプラントは:拡張可能なケージ(cages)、拡張可能なロッド、拡張可能なプレート、および拡張可能な医療機器の技術分野で既知であり使用される任意の医療用インプラントを含み得る。
【0079】
ここで、例示的な実施形態の前述の説明は、図示および説明の目的のためにのみ提示されており、網羅的であること、またはシステムを開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示の観点から多くの修正およびバリエーションが可能である。実施形態は、当業者が、システムおよび様々な実施形態を利用できるように、また、考えられる特定の用途に適した様々な修正を施して、システムの原理およびそれらの実際的な用途を説明するために選択され、説明された。代替的な実施形態は、その精神および範囲から逸脱することなしに、本システムが関係する当業者には明らかになる。