(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】解錠システムおよび該解錠システムの制御方法、制御装置および該制御装置の制御方法、判定装置および判定方法
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20240531BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20240531BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20240531BHJP
【FI】
E05B49/00 K
B60R25/24
G01S5/02 Z
(21)【出願番号】P 2022544878
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 IB2021057521
(87)【国際公開番号】W WO2022043821
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2020145299
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】吉田 新
(72)【発明者】
【氏名】水梨 勇河
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0010050(US,A1)
【文献】特開2013-133623(JP,A)
【文献】特開2019-158765(JP,A)
【文献】特開2019-73960(JP,A)
【文献】特開2009-155864(JP,A)
【文献】特開2019-100055(JP,A)
【文献】特表2020-516859(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0143942(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B60R 25/00-25/40
G01S 5/00- 5/14
G01S 19/00-19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末(10)から電波により搬送される無線信号をアンテナ(20a~20e)で受信し、該無線信号に基づいて錠(21)の解除を制御する解錠システム(100)であって、
前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波の強度に関する強度情報(RI)を取得する取得部(30a)と、前記錠(21)の解除を制御する解錠処理を実行する実行部(30b、40b)と、を備え、
前記解錠処理では、前記実行部(30b、40b)は、前記強度情報(RI)に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態に関する遮蔽情報(SI)を取得し、該遮蔽情報(SI)を用いて補正された強度情報に基づいて前記錠(21)を解除する制御を実行する
とともに、前記強度情報(RI)の出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状に基づいて前記遮蔽情報(SI)を取得する
解錠システム。
【請求項2】
前記解錠処理では、前記実行部(30b)は、前記アンテナ(20a~20e)における前記強度情報(RI)の時間変化を分析し、該強度情報(RI)の時間変化量に基づいて前記遮蔽情報(SI)を取得する
請求項
1に記載の解錠システム。
【請求項3】
前記アンテナ(20a~20e)は、第1アンテナ(20a)と、該第1アンテナとは電波の受信環境の異なる第2アンテナ(20b~20e)と、を含み、
前記解錠処理では、前記実行部(30b)は、前記第1アンテナ(20a)における強度情報(RI)と前記第2アンテナ(20b~20e)における強度情報(RI)との差分に基づいて前記遮蔽情報(SI)を取得する
請求項1
または2に記載の解錠システム。
【請求項4】
前記解錠処理では、前記実行部(30b)は、前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析し、前記出現頻度分布の形状が基準形状である場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態に対応する遮蔽情報(SI)を用いて前記強度情報(RI)を補正する
請求項1に記載の解錠システム。
【請求項5】
前記解錠処理では、前記実行部(30b)は、前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析し、前記出現頻度分布の形状が基準形状でない状態であり、前記アンテナ(20a~20e)での電波強度が第1基準量(α1)を超えて低下することが前記強度情報(RI)に基づいて特定される場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態に対応する遮蔽情報(SI)を用いて前記強度情報(RI)を補正する
請求項1または
4に記載の解錠システム。
【請求項6】
前記アンテナ(20a~20e)は、第1アンテナ(20a)と、該第1アンテナ(20a)とは電波の受信環境の異なる第2アンテナ(21b~21e)と、を含み、
前記解錠処理では、前記実行部(30b)は、前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析し、前記出現頻度分布の形状が基準形状である状態であり、かつ、前記第1アンテナ(20a)における電波強度と前記第2アンテナ(20b~20e)における電波強度との差分量が第2基準量(α2)を下回ることが前記強度情報(RI)に基づいて特定される場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態に対応する遮蔽情報(SI)を用いて前記強度情報(RI)を補正する
請求項1、
4、5のいずれか1項に記載の解錠システム。
【請求項7】
前記遮蔽体は、前記無線端末(10)の所持者(U)であり、
前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態に対応する遮蔽情報(SI)は、前記無線端末(10)が該無線端末(10)の所持者(U)により遮蔽されている遮蔽状態に対応する情報である
請求項
4~6のいずれか1項に記載の解錠システム。
【請求項8】
前記解錠処理では、前記実行部(30b、40b)は、前記遮蔽情報(SI)を用いて補正された強度情報(RIc)に基づいて前記無線端末(10)の位置する領域に関する領域情報(ZI)を取得し、該領域情報(ZI)に基づいて前記錠(21)を解除する制御を実行する
請求項1~
6のいずれか1項に記載の解錠システム。
【請求項9】
無線端末(10)から電波により搬送される無線信号をアンテナ(20a~20e)で受信し、該無線信号に基づいて錠(21)の解除を制御する解錠システム(100)の制御方法であって、
前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波強度に関する強度情報(RI)を取得部(30a)により取得するステップと、前記錠(21)の解除を制御する解錠処理を実行部(30b、40b)により実行するステップと、を含み、
前記解錠処理では、前記実行部(30b、40b)は、前記強度情報(RI)に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態に関する遮蔽情報(SI)を取得し、該遮蔽情報(SI)を用いて補正された強度情報(RIc)に基づいて前記錠(21)を解除する制御を実行する
とともに、前記強度情報(RI)の出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状に基づいて前記遮蔽情報(SI)を取得する制御を実行する
解錠システムの制御方法。
【請求項10】
無線端末(10)から送信されて電波により搬送され、アンテナ(20a~20e)で受信される無線信号に基づいて錠(21)の解除を制御する制御装置(30)であって、
前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波強度に関する強度情報(RI)を取得する取得部(30a)と、前記錠(21)の解除を制御する解錠処理を実行する実行部(30b)と、を備え、
前記解錠処理では、前記実行部(30b)は、前記強度情報(RI)に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態に関する遮蔽情報(SI)を取得し、該遮蔽情報(SI)を用いて補正された強度情報(RIc)に基づいて前記錠(21)の解除の制御に関連する情報を出力する制御を実行する
とともに、前記強度情報(RI)の出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状に基づいて前記遮蔽情報(SI)を取得する制御を実行する
制御装置。
【請求項11】
無線端末(10)から送信されて電波により搬送され、アンテナ(20a~20e)で受信される無線信号に基づいて錠(21)の解除を制御する制御装置(20)の制御方法であって、
前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波強度に関する強度情報(RI)を取得部(30a)により取得するステップと、前記錠(21)の解除を制御する解錠処理を実行部(30b)により実行するステップと、を含み、
前記解錠処理では、前記実行部(30b)は、前記強度情報(RI)に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態に関する遮蔽情報(SI)を取得し、該遮蔽情報(SI)を用いて補正された強度情報(RIc)に基づいて前記錠(21)の解除の制御に関連する情報を出力する制御を実行する
とともに、前記強度情報(RI)の出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状に基づいて前記遮蔽情報(SI)を取得する制御を実行する
制御装置(30)の制御方法。
【請求項12】
無線端末(10)からの電波により搬送される無線信号をアンテナ(20a~20e)で受信し、該無線信号の前記アンテナ(20a~20e)での電波強度に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態を判定する判定装置(30)であって、
前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波強度に関する強度情報(RI)を取得する取得部(30a)と、前記無線端末(10)の遮蔽状態を判定する判定処理を実行する実行部(30b)と、を備え、
前記判定処理では、前記実行部(30b)は、前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して少なくとも前記出現頻度分布の形状が基準形状である場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、
前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して前記出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、前記強度情報(RI)に基づいて前記アンテナ(20a~20e)での電波強度が第1基準量(α1)を超えて低下することが特定される場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、
前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して前記出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、前記強度情報(RI)に基づいて前記アンテナでの電波強度が第1基準量を超えて低下することが特定されない場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態でないと判定する
判定装置。
【請求項13】
無線端末(10)からの電波により搬送される無線信号をアンテナ(20a~20e)で受信し、該無線信号の前記アンテナ(20a~20e)での電波強度に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態を判定する判定方法であって、
前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波強度に関する強度情報(RI)を取得部(30a)により取得するステップと、前記無線端末(10)の遮蔽状態を判定する遮蔽状態判定処理を実行部(30b)により実行するステップと、を含み、
前記遮蔽状態判定処理では、前記実行部(30b)は、前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して少なくとも前記出現頻度分布の形状が基準形状である場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、
前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して前記出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、前記強度情報(RI)に基づいて前記アンテナ(20a~20e)での電波強度が第1基準量(α1)を超えて低下することが特定される場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、
前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して前記出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、前記強度情報(RI)に基づいて前記アンテナでの電波強度が第1基準量を超えて低下することが特定されない場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態でないと判定する
判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠を解除する解錠システムおよび該解錠システムの制御方法、錠の解除を制御する制御装置および該制御装置の制御方法、無線端末の遮蔽状態を判定する判定装置および無線端末の遮蔽状態を判定する判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線端末からの無線信号に基づいて錠を解除する解錠システムとして、例えば、ユーザに携帯される携帯機と車両に設けられた車載装置との間で電波により無線信号が送受信され、該車載装置において受信される無線信号の電波の強度に基づいて携帯機と車両の位置関係を判定し、該位置関係に基づいて車両のドアの錠を解除するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような技術では、例えば、携帯機と車両の間に電波を遮蔽する遮蔽体(例えば、携帯機を所持するユーザの体等)が存在する場合に、携帯機と車両の位置関係の判定精度が低下することにより、実際の位置関係が所定条件を満たしていてもドアの錠が解除されないような事態等が生じて、ユーザの利便性が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、前述の課題を背景としてなされたものであり、ユーザの利便性を向上させることができる解錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る解錠システム(100)は、無線端末(10)から電波により搬送される無線信号をアンテナ(20a~20e)で受信し、該無線信号に基づいて錠(21)の解除を制御する解錠システム(100)であって、前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波の強度に関する強度情報(RI)を取得する取得部(30a)と、前記錠(21)の解除を制御する解錠処理を実行する実行部(30b、40b)と、を備え、前記解錠処理では、前記実行部(30b、40b)は、前記強度情報(RI)に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態に関する遮蔽情報(SI)を取得し、該遮蔽情報(SI)を用いて補正された強度情報に基づいて前記錠(21)を解除する制御を実行するとともに、前記強度情報(RI)の出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状に基づいて前記遮蔽情報(SI)を取得する構成である。
【0007】
このような構成によれば、解錠システムでは、遮蔽情報を用いて補正された強度情報に基づいて錠を解除する制御が実行部により実行されることにより、無線端末の遮蔽状態に応じて解錠の精度を高めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0008】
本発明に係る解錠システム(100)の制御方法は、無線端末(10)から電波により搬送される無線信号をアンテナ(20a~20e)で受信し、該無線信号に基づいて錠(21)の解除を制御する解錠システム(100)の制御方法であって、前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波強度に関する強度情報(RI)を取得部(30a)により取得するステップと、前記錠(21)の解除を制御する解錠処理を実行部(30b、40b)により実行するステップと、を含み、前記解錠処理では、前記実行部(30b、40b)は、前記強度情報(RI)に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態に関する遮蔽情報(SI)を取得し、該遮蔽情報(SI)を用いて補正された強度情報(RIc)に基づいて前記錠(21)を解除する制御を実行するとともに、前記強度情報(RI)の出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状に基づいて前記遮蔽情報(SI)を取得する制御を実行する構成である。
【0009】
このような構成によれば、解錠システムの制御方法では、遮蔽情報を用いて補正された強度情報に基づいて錠を解除する制御が実行部により実行されることにより、無線端末の遮蔽状態に応じて解錠の精度を高めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0010】
本発明にかかる制御装置は、無線端末(10)から送信されて電波により搬送され、アンテナ(20a~20e)で受信される無線信号に基づいて錠(21)の解除を制御する制御装置(30)であって、前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波強度に関する強度情報(RI)を取得する取得部(30a)と、前記錠(21)の解除を制御する解錠処理を実行する実行部(30b)と、を備え、前記解錠処理では、前記実行部(30b)は、前記強度情報(RI)に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態に関する遮蔽情報(SI)を取得し、該遮蔽情報(SI)を用いて補正された強度情報(RIc)に基づいて前記錠(21)の解除の制御に関連する情報を出力する制御を実行するとともに、前記強度情報(RI)の出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状に基づいて前記遮蔽情報(SI)を取得する制御を実行する制御装置。
【0011】
このような構成によれば、制御装置では、遮蔽情報を用いて補正された強度情報に基づいて錠を解除する制御を実行部により実行することにより、無線端末の遮蔽状態に応じて解錠の精度を高めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0012】
本発明に係る制御装置の制御方法は、無線端末(10)から送信されて電波により搬送され、アンテナ(20a~20e)で受信される無線信号に基づいて錠(21)の解除を制御する制御装置(30)の制御方法であって、前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波強度に関する強度情報(RI)を取得部(30a)により取得するステップと、前記錠(21)の解除を制御する解錠処理を実行部(30b)により実行するステップと、を含み、前記解錠処理では、前記実行部(30b)は、前記強度情報(RI)に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態に関する遮蔽情報(SI)を取得し、該遮蔽情報(SI)を用いて補正された強度情報(RIc)に基づいて前記錠(21)の解除の制御に関連する情報を出力する制御を実行するとともに、前記強度情報(RI)の出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状に基づいて前記遮蔽情報(SI)を取得する制御を実行する構成である。
【0013】
このような構成によれば、制御装置の制御方法では、遮蔽情報を用いて補正された強度情報に基づいて錠を解除する制御を実行部により実行することにより、無線端末の遮蔽状態に応じて解錠の精度を高めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0014】
本発明に係る判定装置(20)は、無線端末(20)からの電波により搬送される無線信号をアンテナ(20a~20e)で受信し、該無線信号の前記アンテナ(20a~20e)での電波強度に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態を判定する判定装置(30)であって、前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波強度に関する強度情報(RI)を取得する取得部(30a)と、前記無線端末(10)の遮蔽状態を判定する判定処理を実行する実行部(30b)と、を備え、前記判定処理では、前記実行部(30b)は、前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して少なくとも前記出現頻度分布の形状が基準形状である場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して前記出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、前記強度情報(RI)に基づいて前記アンテナ(20a~20e)での電波強度が第1基準量(α1)を超えて低下することが特定される場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して前記出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、前記強度情報(RI)に基づいて前記アンテナでの電波強度が第1基準量を超えて低下することが特定されない場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態でないと判定する構成である。
【0015】
このような構成によれば、判定装置は、無線端末が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態を判定することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0016】
本発明に係る判定方法は、無線端末(10)からの電波により搬送される無線信号をアンテナ(20a~20e)で受信し、該無線信号の前記アンテナ(20a~20e)での電波強度に基づいて前記無線端末(10)の遮蔽状態を判定する判定方法であって、前記アンテナ(20a~20e)で受信された前記無線信号の電波強度に関する強度情報(RI)を取得部(30a)により取得するステップと、前記無線端末(10)の遮蔽状態を判定する遮蔽状態判定処理を実行部(30b)により実行するステップと、を含み、前記判定処理では、前記実行部(30b)は、前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して少なくとも前記出現頻度分布の形状が基準形状である場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して前記出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、前記強度情報(RI)に基づいて前記アンテナ(20a~20e)での電波強度が第1基準量(α1)を超えて低下することが特定される場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、前記強度情報(RI)に基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して前記出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、前記強度情報(RI)に基づいて前記アンテナでの電波強度が第1基準量を超えて低下することが特定されない場合に、前記無線端末(10)が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態でないと判定する構成である。
【0017】
このような構成によれば、判定方法では、無線端末が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態を判定することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0018】
なお、本発明は、本発明の請求項に記載された発明特定事項のみを有するものであって良いし、本発明の請求項に記載された発明特定事項とともに該発明特定事項以外の構成を有するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態における解錠システムの構成について説明するための図である。
【
図2】無線端末の構成について説明するための図である。
【
図3】車載ECUの構成について説明するための図である。
【
図4】DKECUが実行する遮蔽状態判定処理の流れについて説明するための図である。
【
図5】電波強度の出現頻度分布の例について説明するための図である。
【
図6】電波強度の時間変化の例1について説明するための図である。
【
図7】電波強度の時間変化の例2について説明するための図である。
【
図8】DKECUが実行する領域判定処理の流れについて説明するための図である。
【
図9】錠制御装置が実行する解錠制御処理の流れについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る解錠システムおよび該解錠システムの制御方法、制御装置および該制御装置の制御方法、判定装置および判定方法の実施形態の例について図面を用いて説明する。なお、以下で説明する実施形態の構成、動作等は、一例であり、本発明は、そのような構成、動作等である場合に限定されない。また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略する。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分について、符号を付することを省略するか、又は同一の符号を付する。また、構造の細部等については、図示を適宜簡略化又は省略する。
【0021】
本実施形態に係る解錠システムおよび該解錠システムの制御方法は、自動車に設けられた錠を解除する解錠システムを例に説明するが、本発明は、特にこれに限定されるものではなく、自動車以外、例えば、自動二輪車や自転車等、オフィスや住居、什器や家具等に設けられた錠を解除するシステムに適用することができる。
【0022】
<実施形態>
[解錠システムについて]
本実施形態に係る解錠システム100について、
図1~
図3に基づいて説明する。本実施形態の解錠システム100は、無線端末10から電波により送信される無線信号に基づいて自動車1のドアの錠21を解錠するシステムである。
【0023】
図1に示すように、解錠システム100は、ユーザUにより所持される無線端末10と、自動車1に搭載される車載ECU20と、該自動車1のドアに設けられた錠21を制御する錠装置40と、を含む。
【0024】
無線端末10は、ユーザU(例えば、自動車1の利用者等)により所持可能な小型可搬型の電子装置であり、該ユーザUによる操作に基づいて電波による無線信号を車載ECU20に対して送信する装置である。例えば、ユーザUは、該ユーザUの手Uaで無線端末10を所持したり、該ユーザUのズボンの後側のポケットUb内に無線端末10を入れて所持したりできる。
【0025】
なお、無線端末10は、電波により無線信号を車載ECU20に対して送信する機能を備えるものであれば良く、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレットPC等の汎用型の情報処理装置により構成されても良いし、リモコンキー等の専用装置により構成されるものでも良い。
【0026】
図2に示すように、無線端末10は、車載ECU20から電波により送信された無線信号を受信する端末受信部10aと、車載ECU20に対して電波により無線信号を送信する端末送信部10bと、ユーザUによる操作を受け付ける端末操作部10cと、無線端末10を制御する端末制御部10dと、を備える。
【0027】
端末受信部10aは、近距離無線通信技術の通信規格に準拠した電波による無線信号を車載ECU20から受信し、端末送信部10bは、当該通信規格に準拠した電波による無線信号を車載ECU20に対して送信することで、無線端末10は、当該通信規格に準拠して電波による無線通信を車載ECU20と行うことができる。
【0028】
近距離無線通信技術の通信規格として、例えば、Bluetooth(登録商標)による低電力通信規格であるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を適用することができ、BLEを適用することにより、無線端末10は、相手機器を検知することで通信を開始できる。なお、無線端末10の通信モジュールは、近距離無線通信技術の通信規格として、BLE以外の無線通信規格に準拠する構成でも良く、例えば、UWB(Ultra-Wideband)、NFC(Near Field Communication)、WiFi(登録商標)等の電波による無線通信の規格に準拠するものでも良い。また、無線端末10の通信モジュールは、近距離無線通信技術以外の電波により通信を行う技術を用いて通信を行うものでも良い。
【0029】
端末操作部10cは、ユーザU等による操作を受け付ける機能を備え、例えば、自動車1のドアに設けられた錠21の施錠のための操作を受ける施錠ボタンおよび該錠21の解錠のための操作を受け付ける解錠ボタン等の機能を備える。そして、ユーザU等による操作を受け付けたときに、該操作に関する情報を端末制御部10dに対して出力する。なお、端末操作部10cは、例えば、ボタンスイッチやタッチディスプレイ等により操作を受け付ける構成でも良いし、音声認識等の技術等を利用して操作を受け付ける構成でも良い。
【0030】
端末制御部10dは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える電子回路等から構成される。ROM等の記憶装置に記憶された各種プログラムがCPUにより実行されること等により、後述の各種処理を実行する機能等が実現されて、無線端末10が制御されるようになっている。例えば、端末制御部10dは、所定情報を含む無線信号を端末送信部10bから送信する制御や、無線信号を端末受信部10aにより受信する制御等を実行する。なお、端末制御部10dは、専用のハードウェア資源、専用のソフトウェア資源により構成されても良いし、例えば、無線端末10において他の制御を実行する装置等に含まれる共通のハードウェア資源、共通のソフトウェア資源により構成されても良い。端末制御部10dは、無線端末10に設けられたバッテリ(図示略)から電力供給を受けて動作する。
【0031】
また、端末制御部10dは、端末受信部10aにて受信された無線信号に関する情報や端末操作部10cにより受け付けた操作に関する情報等を取得する端末取得部10eと、該端末取得部10eにより取得された各種情報等に基づいて所定処理等を実行する端末実行部10fと、を備える。
【0032】
端末実行部10fが実行する所定処理には、例えば、該錠21の施錠を指示する無線信号を送信する施錠信号送信処理や、錠21の解錠を指示する無線信号を送信する解錠信号送信処理等が含まれる。施錠信号送信処理は、錠21の施錠のための操作が受け付けられたときに実行される処理であり、当処理において、端末実行部10fは、錠21の施錠を指示する指示情報IIaを含む無線信号を前述の近距離無線通信技術の通信規格に準拠させて端末送信部10bから送信させる制御を実行する。解錠信号送信処理は、錠21の解錠のための操作が受け付けられたときに実行される処理であり、当処理において、端末実行部10fは、錠21の解錠を指示する指示情報IIbを含む無線信号を前述の近距離無線通信技術の通信規格に準拠させて端末送信部10bから送信させる制御を実行する。
【0033】
なお、端末実行部10fは、各無線信号を送信させる制御において、該無線信号の送信元である無線端末10を識別するための固有の識別情報IDを各無線信号に含めるように制御する。これにより、無線端末10により送信された無線信号を受信した車載ECU20側において該無線信号の送信元を特定できるようになっている。
【0034】
図3に示すように、車載ECU20は、無線端末10から電波により送信された無線信号を受信する受信アンテナ20a~20eと、無線端末10に対して電波により無線信号を送信する送信アンテナ20fと、受信アンテナ20a~20eを介して取得される無線信号に基づいて錠21の制御に関連する処理を行う制御装置30(以下、Digital Key Electronic Unit (DKECU)と呼ぶ場合がある。)と、錠21の施錠および解錠を制御する錠装置40とを備える。そして、DKECU30には、受信アンテナ20a~20eと、送信アンテナ20fと、錠装置40とが該DKECU30からそれぞれ制御可能に接続されている。
【0035】
受信アンテナ(20a~20e)は、自動車1の所定位置に各々配置され
ており、各受信アンテナ(例えば、受信アンテナ20aと受信アンテナ20b~20e)の電波の受信環境が互いに異なる。例えば、受信アンテナ20aは、自動車1の左側のサイドガーニッシュに配置され、受信アンテナ20bは、自動車1のセンターコンソールに配置され、受信アンテナ20cは、自動車1の右側のサイドガーニッシュに配置され、受信アンテナ20dは、自動車1の後側のリャガーニッシュに配置され、受信アンテナ20eは、自動車1の後側のバンパーに配置されている(
図1参照)。なお、本実施形態では、受信アンテナ20a~20eは、自動車1のサイドガーニッシュ、リヤガーニッシュ、センターコンソールに配置される構成であるが、受信アンテナ20a~20eは、電波の受信環境が異なる位置関係で配置される構成であれば良く、サイドガーニッシュ、リヤガーニッシュ、センターコンソール以外の位置、例えば、自動車1の天井、床、キャビン等に配置される構成でも良い。また、車載ECU20は、無線端末10からの無線信号を受信する複数のアンテナを備え、該複数のアンテナは、該複数のアンテナのうち1のアンテナで受信される無線信号の電波強度に比較して他のアンテナで受信される無線信号の電波強度が予め定められた基準量よりも大きくなるように配置されることが好ましい。
【0036】
DKECU30(制御装置30)は、前述の受信アンテナ20a~20eを介して受信された無線信号に基づいて錠21の解錠等を制御する制御装置であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える電子回路等から構成され、ROM等の記憶装置に記憶された各種プログラムがCPUにより実行されること等により後述の所定処理等を実現して錠21の解錠等の制御を実行するようになっている。DKECU30は、専用のハードウェア資源、専用のソフトウェア資源により構成されても良いし、例えば、自動車1に搭載されて他の制御を実行する制御装置等(例えば、錠装置40等)に含まれる共通のハードウェア資源、共通のソフトウェア資源により構成されても良い。また、DKECU30を構成するハードウェア資源は、1つのハードウェア資源により構成されても良いし、2つ以上の複数のハードウェア資源により構成されても良い。また、DKECU30を構成するソフトウェア資源は、1つのソフトウェア資源により構成されても良いし、2つ以上の複数のソフトウェア資源により構成されても良い。
【0037】
また、DKECU30は、受信アンテナ20a~20eにより前述の近距離無線通信技術の通信規格に準拠した電波による無線信号を受信する一方、送信アンテナ20fにより当該通信規格に準拠した電波による無線信号を送信することで、前述の無線端末10と当該通信規格に準拠した電波による無線通信を行うことができるように構成されている。
【0038】
また、
図3に示すように、DKECU30は、受信アンテナ20a~20eを介して無線信号を取得するDK取得部30aと、該DK取得部30aにより取得され無線信号に基づいて所定処理を実行するDK実行部30bと、を備える。
【0039】
DK取得部30aは、受信アンテナ20a~20eを介して無線信号を取得して、該無線信号に含まれる前述の指示情報IIa、IIb等を取得する。また、各受信アンテナ20a~20eにおいて受信される無線信号の電波の強度に関する強度情報RIを受信アンテナ20a~20e毎に取得する。
【0040】
DK実行部30bは、所定処理等を実行する。該所定処理には、例えば、後述するように、各受信アンテナ20a~20eにより受信された無線信号に基づいて無線端末10の遮蔽状態を判定する遮蔽状態判定処理、無線信号に基づいて無線端末10の位置する領域に関する領域情報ZIを取得して錠21の解除の制御に関連する情報として出力する領域情報処理等が含まれる。
【0041】
錠装置40は、DKECU30により出力される情報(例えば、指示情報IIa、IIb、領域情報ZI等を含む)に基づいて錠21を動作させる制御する制御装置であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える電子回路等から構成され、ROM等の記憶装置に記憶された各種プログラムがCPUにより実行されること等により所定処理を実現して、解錠するために錠21を動作させる制御を実行するようになっている。錠装置40は、専用のハードウェア資源、専用のソフトウェア資源により構成されても良いし、他の制御装置等に含まれる共通のハードウェア資源、共通のソフトウェア資源により構成されても良い。また、錠装置40を構成するハードウェア資源は、1つのハードウェア資源により構成されても良いし、2つ以上の複数のハードウェア資源により構成されても良い。また、錠装置40を構成するソフトウェア資源は、1つのソフトウェア資源により構成されても良いし、2つ以上の複数のソフトウェア資源により構成されても良い。
【0042】
錠装置40は、
図3に示すように、前述のDKECU30から出力される指示情報IIbおよび領域情報ZIを取得する情報取得部40aと、後述するように、該指示情報IIbおよび領域情報ZIに基づいて、解錠させるために錠21の動作を制御する解錠制御処理を実行する解錠実行部40bと、を備える。また、錠装置40には、自動車1のドアに設けられた錠21が制御可能に接続されている。また、錠装置40は、自動車1に搭載されており、該自動車1のバッテリから電力供給を受けて動作する。
【0043】
以上のように、本実施形態の解錠システム100は、無線端末10と、車載ECU20と、錠装置40と、錠21とを含む構成である。無線端末10は、ユーザUによる錠21の解錠のための操作が端末操作部10cにより受け付けられたときに、錠21の解錠を指示する指示情報IIbを含む無線信号を車載ECU20に対して送信する。これに対して、車載ECU20のDKECU30は、無線端末10から受信した無線信号に基づいて指示情報IIbおよび領域情報ZIを取得して錠装置40に対して出力する。そして、錠装置40は、指示情報IIbおよび領域情報ZIに基づいて解錠のための錠21の動作を制御するようになっている。
【0044】
なお、本実施形態では、DKECU30および錠装置40により解錠ための動作が制御される錠21は、自動車1のドアに設けられる構成であるが、当該錠21は、自動車1のドアに設けられる構成でも良く、例えば、自動車1のトランクルームに設けられる構成や自動車1の給油口に設けられる構成でも良いし、これらの構成の組合せでも良い。
【0045】
また、本実施形態では、車載ECU20は、DKECU30および錠装置40を備え、錠装置40は、DKECU30により取得された指示情報IIbおよび領域情報ZIを該DKECU30から取得する構成であるが、例えば、錠装置40は、受信アンテナ20a~20eで受信される無線信号からDKECU30を介さずに指示情報IIbを取得する構成等でも良い。
【0046】
また、本実施形態では、車載ECU20は、DKECU30および錠装置40を備え、錠装置40は、DKECU30により取得された指示情報IIbおよび領域情報ZIに基づいて解錠するための錠21の動作を制御する構成であるが、例えば、DKECU30に錠21が制御可能に接続され、該DKECU30は、錠装置40を介さずに、解錠するための錠21の動作を制御する構成でも良い。
【0047】
[解錠システムの制御方法について]
本実施形態に係る解錠システム100の制御方法の例として、DKECU30により実行される遮蔽状態判定処理Saおよび領域判定処理Sb、錠装置40により実行される解錠制御処理Scについて、
図4~
図6に基づいて説明する。本発明の解除処理は、遮蔽状態判定処理Sa、領域判定処理Sbおよび解錠制御処理Scに相当する。
【0048】
図4に示すように、遮蔽状態判定処理Saでは、まず、DKECU30は、各受信アンテナ20a~20eにおける無線信号の電波の強度に関する強度情報RIを取得する情報取得処理を実行する(Sa01)。情報取得処理では、DK取得部30aは、予め定められた所定期間(例えば、2秒間等)にわたり、各受信アンテナ20a~20eにおいて受信されている無線信号の電波の強度を取得してDKECU30の記憶部(図示略)の所定領域に強度情報RIとして順次記憶させる制御を、所定時間間隔毎(例えば、0.01秒毎等)に繰り返し行う。これにより、受信アンテナ20a~20e毎の強度情報RIの遷移がDKECU30の記憶部に取得される。
【0049】
Sa1のステップの情報取得処理において強度情報RIが取得された後、DKECU30は、情報取得処理において取得された強度情報RIを分析する分析処理1を実行する(Sa02)。分析処理1では、DK実行部30bは、該当する受信アンテナ20a~20eにおける強度情報RIの出現頻度の分布、および該当する2つの受信アンテナ20a~20eでの強度情報RIの差分量について分析して、分析の結果に基づいて無線端末10の遮蔽状態を判定する。
【0050】
具体的には、DK実行部30bは、まず、DKECU30の記憶部に記憶されている受信アンテナ20a~20e毎の強度情報RIの遷移を参照して、所定期間(例えば、2秒間等)における強度情報RIの平均値が最も高い受信アンテナを第1特定アンテナとして特定する。そして、第1特定アンテナについて強度情報RIの出現頻度ROの分布に関する情報を生成する。そして、出現頻度の分布を分析して該分布の形状が基準形状であるか否かを判定し、判定の結果をDKECU30の記憶部の所定領域に記憶させる。例えば、無線端末10が自動車1の左側の車外に位置する場合には、自動車1の左側のサイドガーニッシュに配置されている受信アンテナ20aが第1特定アンテナとして特定されて、該受信アンテナ20aでの強度情報RIの出現頻度の分布の形状が基準形状であるか判定される。
【0051】
ここで、各受信アンテナ20a~20eについて受信される無線信号の電波強度と各電波強度の出現頻度ROとの関係について、電波強度を横軸とし、出現頻度ROを縦軸として描かれるグラフにより示される出現頻度分布の形状は、後述するように、無線端末10における電波の遮蔽状態に応じて所定の傾向を有する。
【0052】
図5に、無線端末10が自動車1の左側の車外に位置し、かつ、無線端末10がユーザUの手Uhに所持されている状態(
図1参照)、すなわち、無線端末10がユーザUの体と受信アンテナ20a~20eの間に位置しており、無線端末10と受信アンテナ20a~20eとの間に電波を遮蔽する遮蔽体(例えば、無線端末10の所持者であるユーザUの体等)が存在しない状態(以下、第1遮蔽状態と呼ぶ場合がある。)における受信アンテナ20aでの強度情報RIの出現頻度分布の形状ROaの例を示す。また、
図5に、無線端末10が自動車1の右側の車外に位置し、かつ、無線端末10がユーザUのズボンの後側ポケットに入れられて所持されている状態(
図1参照)、すなわち、ユーザUの体が無線端末10と受信アンテナ20a~20eの間に位置しており、無線端末10と受信アンテナ20a~20eとの間に電波を遮蔽する遮蔽体(例えば、無線端末10の所持者であるユーザUの体等)が存在する状態(以下、第2遮蔽状態と呼ぶ場合がある。)における受信アンテナ20aでの強度情報RIの出現頻度分布の形状RObの例を示す。
【0053】
図5に示すように、第1遮蔽状態では、無線端末10から発せられた無線信号の電波は、無線端末10から受信アンテナ20a~20eまで概ね直線状の1つの経路を通って受信アンテナ20a~20eに到達することにより、受信アンテナ20aでの強度情報RIの出現頻度分布の形状ROaは、概ね1つのピークを有するような形状(例えば、強度情報RIを出現頻度の高い順に抽出したときに、最も高い強度情報RIと2番目に高い強度情報RIとの強度の差分が所定量未満であるような形状等)となる傾向がある。一方、第2遮蔽状態では、無線端末10から発せられた無線信号の電波は、電波の回析現象や透過現象等により、遮蔽体を迂回する経路や遮蔽体内を透過する経路等の複数の経路(例えば、2つ等)を通って受信アンテナ20a~20eに到達することにより、受信アンテナ20aでの強度情報RIの出現頻度分布の形状RObは、複数のピーク(例えば、2つ等)を有するような形状(例えば、強度情報RIを出現頻度の高い順に抽出したときに、最も高い強度情報RIと2番目に高い強度情報RIとの強度の差分が所定量以上であるような形状等)となる傾向がある。なお、具体例を省略するが、受信アンテナ20a以外の受信アンテナ20b~20eでの強度情報RIの出現頻度分布の形状についても、無線端末10における電波の遮蔽状態に応じて、前述の受信アンテナ20aでの強度情報RIの出現頻度分布の形状と同様の傾向を有する。
【0054】
DKECU30の記憶部には、予め行われる実験等において、第2遮蔽状態で測定されて取得された各受信アンテナ20a~20eでの出現頻度分布の形状に基づいて設定された基準形状(例えば、2つのピークを有する形状等)の情報が予め登録されている。分析処理1において、DK実行部30bは、分析により得られた第1特定アンテナについての強度情報RIの出現頻度の分布の形状を基準形状と比較し、該出現頻度分布の形状と基準形状との一致度合いが予め定められた基準量以上である場合に、該出現頻度分布の形状が基準形状であると判定する一方、該一致度合いが基準量を下回る場合に、該出現頻度分布の形状が基準形状でないと判定する。
【0055】
また、分析処理1では、DK実行部30bは、DKECU30の記憶部に記憶されている受信アンテナ20a~20e毎の強度情報RIの遷移を参照して、所定期間(例えば、2秒間等)における強度情報RIの平均値が前述の第1特定アンテナの次に高い受信アンテナを第2特定アンテナとして特定する。そして、第2特定アンテナでの強度情報RIの遷移から第1特定アンテナでの強度情報RIの遷移を差し引いた差分量の遷移に関する差分情報を生成する。そして、該差分量が予め定められた第2基準量α2を上回っている状態か否かを判定して、判定の結果をDKECU30の記憶部の所定領域に記憶させる。例えば、無線端末10が自動車1の左側の車外に位置する場合には、自動車1の左側のサイドガーニッシュに配置されている受信アンテナ20aが第1特定アンテナとして特定され、自動車1の後側のバンパーに配置されている受信アンテナ20eが第2特定アンテナとして特定されて、第1特定アンテナでの強度情報RIと第2特定アンテナでの強度情報RIとの差分量が第2基準量α2を上回っている状態であるか否かが判定される。
【0056】
ここで、各受信アンテナ20a~20eでの強度情報RIと第1特定アンテナでの強度情報RIとの差分量は、後述するように、無線端末10における電波の遮蔽状態に応じて所定の傾向を有する。
【0057】
図6に、受信アンテナ20aを第1特定アンテナとし、受信アンテナ20eを第2特定アンテナとして生成される差分情報について、無線端末10が前述の第1遮蔽状態であるときの差分情報RIa(20e)の例と、前述の第2遮蔽状態であるときの差分情報RIb(20e)の例とを示す。
【0058】
図6に示すように、第2遮蔽状態では、無線端末10と受信アンテナ20a~20eの間に遮蔽体(例えば、ユーザUの体等)が第1遮蔽状態に比較して増えることにより、第2遮蔽状態での差分情報RIb(20e)は、第1遮蔽状態での差分情報RIa(20e)に比較して小さい状態となる傾向がある。なお、具体例を省略するが、受信アンテナ20e以外の受信アンテナ20b~20dでの差分情報についても、第2遮蔽状態では第1遮蔽状態に比較して小さい状態となる傾向がある。
【0059】
DKECU30の記憶部には、予め行われる実験等において測定された第1遮蔽状態での各受信アンテナについての差分情報RIaおよび第2遮蔽状態での各受信アンテナについての差分情報RIbに基づいて設定された第2基準量α2に関する情報が予め登録されている。第2基準量α2は、第1遮蔽状態で測定された各受信アンテナについての差分情報RIaよりも小さい値であり、かつ、第2遮蔽状態で測定された各受信アンテナについての差分情報RIbよりも大きな値であり、例えば、差分情報RIaと差分情報RIbとの中間値に設定される。
【0060】
そして、DK実行部30bは、強度情報の出現頻度分布の形状が基準形状でないと判定された場合に、無線端末10の遮蔽状態が第1遮蔽状態であると判定する。また、強度情報の出現頻度分布の形状が基準形状であると判定され、かつ、差分情報が第2基準量α2を上回っている状態でないと判定された場合に、無線端末10の遮蔽状態が第1遮蔽状態であると判定する。一方、分析処理1において強度情報の出現頻度分布の形状が基準形状であると判定され、かつ、差分情報が第2基準量α2を上回っている状態であると判定された場合に、無線端末10の遮蔽状態が第2遮蔽状態であると判定する。
【0061】
Sa2のステップにおいて分析処理1が実行されて無線端末10の遮蔽状態が判定された後は、DKECU30は、該分析処理1での各判定結果に基づいて、現在の無線端末10の遮蔽状態を示す遮蔽情報SIを設定する状態設定処理を実行する(Sa03)。
【0062】
状態設定処理では、DK実行部30bは、分析処理1において無線端末10が第1遮蔽状態であると判定された場合に、現在の無線端末10の遮蔽状態が第1遮蔽状態である旨を示す遮蔽情報SIをDKECU30の記憶部の所定領域に設定する一方、無線端末10が第2遮蔽状態であると判定された場合に、現在の無線端末10の遮蔽状態が第2遮蔽状態である旨を示す遮蔽情報SIをDKECU30の記憶部の所定領域に設定する。該記憶部の所定領域に設定された遮蔽情報SIは、領域判定処理Sbにおいて参照可能である。
【0063】
Sa3のステップにおいて状態設定処理が実行されて遮蔽情報SIが設定された後は、DKECU30は、各受信アンテナ20a~20eでの強度情報RIをDK取得部30aにより取得する強度情報取得処理を実行する(Sa04)。
【0064】
Sa4のステップにおいて強度情報取得処理が実行されて強度情報RIが取得された後は、DKECU30は、強度情報RIを分析する分析処理2を実行する(Sa05)。分析処理2では、該当する2つの受信アンテナでの強度情報RIの差分量、および該当する受信アンテナでの強度情報RIの時間変化量について分析されて、分析の結果に基づいて無線端末10の遮蔽状態が判定される。
【0065】
具体的には、DK実行部30bは、まず、前述の分析処理1と同様に、DKECU30の記憶部に記憶されている受信アンテナ20a~20e毎の強度情報RIの遷移を参照して、第1特定アンテナおよび第2特定アンテナを特定し、差分情報を生成する。そして、該差分情報に基づいて差分量が第2基準量α2を上回っている状態か否かを判定して、判定の結果をDKECU30の記憶部の所定領域に記憶させる。
【0066】
また、分析処理2では、DK実行部30bは、DKECU30の記憶部に記憶されている受信アンテナ20a~20e毎の強度情報RIの遷移を参照して、第1特定アンテナでの強度情報RIの時間変化量が取得される。そして、該時間変化量が予め定められた第1基準量α1を上回るか否かを判定して、判定の結果をDKECU30の記憶部の所定領域に記憶させる。例えば、無線端末10が自動車1の左側の車外に位置する場合には、自動車1の左側のサイドガーニッシュに配置されている受信アンテナ20aが第1特定アンテナとして特定されて、該受信アンテナ20aでの強度情報RIの時間変化量が第1基準量α1を上回るか否かが判定される。
【0067】
ここで、各受信アンテナ20a~20eでの強度情報RIの時間変化量は、無線端末10における電波の遮蔽状態に応じて所定の傾向を有する。
【0068】
図7に、無線端末10が自動車1の左側の車外でユーザUにより所持されているときに、該無線端末10のユーザUによる所持の状態が、該ユーザUの手Uhで所持されている状態すなわち第1遮蔽状態(RIa)から該ユーザUのズボンの後側のポケットUp内に所持されている状態すなわち第2遮蔽状態(RIb)に変化する場合における受信アンテナ20aでの強度情報RIの遷移を示す。
【0069】
図7に示すように、受信アンテナ20aでの強度情報RIの遷移では、無線端末10の遮蔽状態が第1遮蔽状態から第2遮蔽状態に変化したときに、強度情報RIが予め定められた第1基準量α1を超えて低下する傾向を有する。なお、具体例を省略するが、受信アンテナ20a以外の受信アンテナ20b~20eでの強度情報RIの遷移についても、無線端末10の遮蔽状態が第1遮蔽状態から第2遮蔽状態に変化することに応じて、前述の受信アンテナ20aでの強度情報RIの変化と同様の傾向を有する。
【0070】
DKECU30の記憶部には、予め行われる実験等により測定された第1遮蔽状態における各受信アンテナ20a~20eでの強度情報RIと、第2遮蔽状態における各受信アンテナ20a~20eでの強度情報RIとに基づいて設定された第1基準量α1に関する情報が予め登録されている。第1基準量α1は、各受信アンテナ20a~20eについて設定されており、例えば、無線端末10が第1遮蔽状態であるときに測定される強度情報RIaと第2遮蔽状態で測定される強度情報RIbとの差分量が、該当受信アンテナでの強度情報RIの時間変化量として設定される。
【0071】
そして、DK実行部30bは、強度情報RIの差分量に基づいて無線端末10が第2遮蔽状態であると判定されるとともに、強度情報RIの時間変化量に基づいて無線端末10が第2遮蔽状態であると判定された場合に、無線端末10の遮蔽状態が第2遮蔽状態であると判定する。一方、強度情報RIの差分量および時間変化量の少なくとも一方において第2遮蔽状態でないと判定された場合に、無線端末10の遮蔽状態が第1遮蔽状態であると判定する。
【0072】
Sa5のステップにおいて分析処理2が実行されて無線端末10の遮蔽状態が判定された後は、DKECU30は、DKECU30の記憶部に設定されている遮蔽情報SIを取得する。そして、該遮蔽情報SIに基づいて特定される現在の無線端末10の遮蔽状態と、Sa05のステップでの分析処理2において判定された無線端末10の遮蔽状態とが一致するか否かを判定し(Sa06)、一致しないと判定された場合には(N)、DKECU30の記憶部の遮蔽情報SIを更新する状態更新処理を実行する(Sa07)。状態更新処理では、DK実行部30bは、DKECU30の記憶部の所定領域に設定されている遮蔽情報SIを分析処理2により判定された遮蔽状態に更新する。
【0073】
一方、Sa06のステップにおいて、遮蔽情報SIに基づいて特定される無線端末10の遮蔽状態と、Sa05のステップでの分析処理2において判定された該遮蔽状態とが一致すると判定された場合には(Y)、Sa02のステップにて実行された分析処理1を再び実行する(Sa08)。そして、該遮蔽情報SIに基づいて特定される現在の無線端末10の遮蔽状態と、Sa08のステップでの分析処理1において判定された無線端末10の遮蔽状態とが一致するか否かを判定し(Sa09)、一致すると判定された場合には(Y)、DKECU30の記憶部に設定されている遮蔽情報SIを更新せずに維持して、前述のSa04のステップに戻る。Sa09のステップにおいて、遮蔽情報SIに基づいて特定される無線端末10の遮蔽状態と、Sa08のステップでの分析処理1において判定された該遮蔽状態とが一致しないと判定された場合には(N)、Sa07のステップを実行して、DKECU30の記憶部に設定されている遮蔽情報SIを、Sa08のステップでの分析処理1において判定された該遮蔽状態に更新して、前述のSa04のステップに戻る。
【0074】
Sa07のステップまたはSa09のステップからSa04のステップへ戻った後は、DK実行部30bは、Sa04~Sa09のステップを繰り返し実行することにより、DKECU30の記憶部に設定されている遮蔽情報SIを随時更新させるように制御する。
【0075】
このように、本実施形態の解錠システムで100におけるDKECU30は、遮蔽状態判定処理Saを実行することにより、受信アンテナ20a~20eを介して受信された無線端末10からの無線情報に基づいて該無線端末10の遮蔽状態を判定する判定装置として機能する。該DKECU30は、無線端末10の遮蔽状態の判定装置として、無線端末10が遮蔽体(例えば、無線端末10を所持するユーザUの体等)により遮蔽されていない第1遮蔽状態であるか、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている第2遮蔽状態であるかを判定するようになっている。
【0076】
なお、本実施形態の遮蔽状態判定処理では、DK実行部30bは、各受信アンテナ20a~20eでの強度情報RIに基づいて第1特定アンテナおよび第2特定アンテナを特定し、第1特定アンテナの強度情報RIおよび第2特定アンテナでの強度情報RIに基づいて無線端末10の遮蔽状態を判定する構成であるが、例えば、DK実行部30bは、第1特定アンテナおよび第2特定アンテナでの強度情報RIだけなく、すべての受信アンテナ20a~20eでの強度情報RIに基づいて無線端末10の遮蔽状態を判定する構成でも良い。
【0077】
次いで、DKECU30が実行する領域判定処理Sbについて、
図8に基づいて説明する。
【0078】
図8に示すように、領域判定処理Sbでは、まず、DKECU30は、強度情報RIおよび遮蔽情報SIを取得する情報取得処理を実行する(Sb01)。情報取得処理では、DK取得部30aは、各受信アンテナ20a~20eで受信される無線信号の強度情報RIを取得する。また、DK取得部30aは、DKECU30の記憶部の所定領域を参照して遮蔽情報SIを取得する。
【0079】
Sb01のステップでの情報取得処理において強度情報RIおよび遮蔽情報SIが取得された後、DKECU30は、遮蔽情報SIに基づいて無線端末10の遮蔽状態が第1遮蔽状態であるか第2遮蔽状態であるかを判定する(Sb02)。
【0080】
Sb02のステップにおいて、無線端末10が第2遮蔽状態であると判定された場合には(Y)、DKECU30は、強度情報RIを補正する補正処理(Sb03)を実行した後、無線端末10の位置する領域を判定する領域設定処理(Sb04)を実行する。一方、Sb02のステップにおいて、無線端末10が第1遮蔽状態であると判定された場合には(N)、補正処理(Sb03)を実行せずに領域設定処理(Sb04)を実行する。
【0081】
補正処理では、DK実行部30bは、DKECU30の記憶部の所定領域に設定されている補正データを取得する。そして、Sb01のステップにおいてDK取得部30aにより取得された強度情報RIを該補正データを用いて補正する。補正データは、予め行われる実験やシミュレーション等に基づいて作成されており、例えば、第1遮蔽状態において測定された強度情報RIと第2遮蔽状態において測定された強度情報RIの比率が、受信アンテナ20a~20e毎にマップ化されて補正データとしてDKECU30の記憶部に登録されている。
【0082】
領域設定処理では、DK実行部30bは、DKECU30の記憶部の所定領域に設定されている領域判定データを参照し、該領域判定データおよび強度情報RIに基づいて無線端末10の位置する領域を判定する。
【0083】
領域設定処理にて用いられる強度情報RIは、前述のSb03のステップが実行された場合すなわちSb02のステップにおいて無線端末10が第1遮蔽状態であると判定された場合には、Sb01のステップにて取得された強度情報RIである一方、Sb03のステップが実行されなかった場合すなわちSb02のステップにて無線端末10が第2遮蔽状態であると判定された場合には、Sb01のステップにて取得された強度情報RIが補正データを用いて補正された強度情報RIである。
【0084】
領域判定データは、予め行われる実験やシミュレーション等に基づいて作成されており、例えば、第1遮蔽状態において測定される強度情報RIと、各受信アンテナ20a~20eに対して無線端末10が位置する領域との関係がマップ化されて領域判定データとしてDKECU30の記憶部に登録されている。領域判定データと強度情報RIとに基づいて無線端末10が位置する領域を特定できるようになっている。
【0085】
そして、領域設定処理では、DKECU30は、無線端末10の位置する領域を判定した後、判定された領域を示す領域情報ZIをDKECU30の記憶部の所定領域に設定する。
【0086】
その後、DKECU30は、指示情報IIおよび領域情報ZIを出力する情報出力処理を実行する(Sb05)。情報出力処理では、DK実行部30bは、DKECU30の記憶部の所定領域を参照して、指示情報IIおよび領域情報ZIを取得し、これらの情報を錠装置40に対して出力する制御を行う。
【0087】
Sb05のステップでの情報出力処理にて指示情報IIおよび領域情報ZIを出力した後は、DKECU30は、領域判定処理Sbを終了させる。
【0088】
このように、本実施形態の解錠システムで100のDKECU30が実行する領域判定処理Sbでは、DK実行部30bは、前述の遮蔽状態判定処理により取得された遮蔽情報SIを用いて、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている第2遮蔽状態であるか否かを判定し、該第2遮蔽状態であると判定される場合に、補正データを用いて強度情報RIを補正する構成であり、DK実行部30bは、遮蔽情報SIを用いて強度情報RIを補正するようになっている。
【0089】
また、領域判定処理Sbでは、DK実行部30bは、無線端末10が第2遮蔽状態であると判定される場合に、補正データを用いて強度情報RIを補正し、補正された強度情報RIに基づいて無線端末10の位置する領域に関する領域情報ZIを取得する構成であり、DK実行部30bは、遮蔽情報SIを用いて補正された強度情報RIに基づいて領域情報ZIを取得するようになっている。そして、領域情報ZIは、錠装置40に対して出力され、錠装置40にて錠21を解除する制御が実行される際に参照される。
【0090】
また、領域判定処理Sbでは、DK実行部30bは、情報出力処理を実行して指示情報IIa、IIb、領域情報ZIを錠装置40に対して出力する構成であり、例えば、各受信アンテナ20a~20eにより受信された無線信号に基づいて無線端末10により錠21を解除するための操作が受け付けられた場合に、指示情報IIbを錠装置40に対して送信することにより、錠装置40に対して錠21を解除するように指示するようになっている。
【0091】
次いで、錠装置40が実行する解錠制御処理Scについて、
図9に基づいて説明する。
【0092】
図9に示すように、解錠制御処理Scでは、まず、錠装置40は、錠21の施錠および解錠を指示する指示情報IIbを取得する情報取得処理を実行する(Sc01)。情報取得処理では、情報取得部40aは、前述のDKECU30により実行される領域判定処理Sbにより出力される情報を取得し、該情報に錠21を解錠する旨の指示情報IIbが含まれる場合に、さらに領域情報ZIを取得する。なお、情報取得部40aは、DKECU30の記憶部の所定領域を参照して、指示情報IIbが記憶されている場合に、該記憶部から指示情報IIbおよび領域情報ZIを取得する構成でも良い。
【0093】
その後、解錠実行部40bは、情報取得部40aにより指示情報IIbが取得されたか否かを判定し(Sc02)、指示情報IIbが取得されたと判定された場合には(Y)、錠装置40の記憶部の所定領域に予め設定されている許可領域情報ZIaと、情報取得部40aにより取得された領域情報ZIとに基づいて、無線端末10の位置する領域が錠21の解錠を許可する許可領域内であるか否かを判定する(Sc03)。許可領域情報ZIaは、無線端末10が該当する領域内に位置する場合に解錠実行部40bによる錠21の解錠が許容される許可領域を示す情報であり、例えば、DKECU30から所定距離(例えば、2m等)内の領域が許可領域として予め設定される。
【0094】
Sc03のステップにおいて無線端末10の位置する領域が許可領域内であると判定された場合には(Y)、解錠のための錠21の動作を制御する解錠制御処理を実行する(Sc04)。解錠制御処理では、解錠実行部40bは、錠21の解錠を指示する制御信号を錠21に対して出力して、解錠させるように錠21を動作させる。
【0095】
一方、Sc3のステップにおいて無線端末10の位置する領域が許可領域内でないと判定された場合には(N)、エラーに関する処理を実行するエラー処理を実行する(Sc05)。エラー処理では、解錠実行部40bは、エラーに関する処理として、例えば、無線端末10が許可領域内にない状態で指示情報IIbを取得したことをエラーログとして錠装置40の記憶領域に設定する処理等を実行する。なお、エラー処理では、解錠実行部40bは、例えば、エラーログに基づいて異常が生じているか否かを判定して異常が生じていると判定された場合に、自動車1の内外の所定装置(例えば、無線端末10、車載ECU20等)に報知する構成等でも良い。
【0096】
そして、錠装置40は、Sc02のステップにおいて指示情報IIbが取得されたと判定されなかった場合や、Sc04のステップでの解錠制御処理またはSc05のステップでのエラー処理が実行された後の場合には、解錠制御処理Scを終了させる。
【0097】
このように、本実施形態の解錠システムで100の錠装置40が実行する解錠制御処理Scでは、解錠実行部40bは、DKECU30から取得される指示情報IIbおよび領域情報ZIに基づいて、無線端末10により錠21を解除するための操作が受け付けられた場合であり、かつ、無線端末10が許可領域内にある場合に、錠21の解錠を指示する制御信号を錠21に対して出力して、解錠させるように錠21を動作させるようになっている。
【0098】
[作用効果について]
本実施形態の解錠システム100は、ユーザUによる操作に応じて電波による無線信号を送信する無線端末10と、受信アンテナ20a~20eを介して受信された該無線信号に基づいて錠21の解錠を制御する車載ECU20と、を含む構成である。このような構成のシステムでは、例えば、無線端末10と車載ECU30の受信アンテナ20a~20eとの間に電波を遮蔽する遮蔽体(例えば、携帯機を所持するユーザの体等)が存在する場合に、ユーザUにより解錠のための操作が行われても錠21が解除されないような事態等が生じて、ユーザUの利便性が低下する虞がある。
【0099】
これに対して、本実施形態の解錠システム100は、無線端末10から電波により搬送される無線信号を受信アンテナ20a~20eで受信し、該無線信号に基づいて自動車1に設けられた錠21の解除を制御する解錠システムであって、受信アンテナ20a~20eで受信された無線信号の電波の強度に関する強度情報RIを取得するDKECU30のDK取得部30aと、錠21の解除を制御する解錠処理として遮蔽状態判定処理Sa、領域判定処理Sbおよび解錠制御処理Scを実行するDKECU30のDK実行部30bおよび錠装置40の解錠実行部40bと、を備え、DK実行部30bは、遮蔽状態判定処理Saにおいて強度情報RIに基づいて無線端末10の遮蔽状態に関する遮蔽情報SIを取得し、領域判定処理Sbにおいて該遮蔽情報SIを用いて強度情報RIを補正し、解錠実行部40bは、解錠制御処理Scにおいて補正された強度情報RIに基づいて取得された領域情報ZIに基づいて錠21を解除する制御を実行する構成である。このような構成によれば、解錠システム100では、遮蔽情報SIを用いて補正された強度情報RIに基づいて錠21を解除する制御がDK実行部30bおよび解錠実行部40bにより実行されることにより、無線端末10の遮蔽状態に応じて解錠の精度を高めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0100】
本実施形態の遮蔽状態判定処理Saでは、DK実行部30bは、強度情報RIの出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状に基づいて遮蔽情報SIを取得する構成である。このような構成によれば、解錠システム100では、強度情報RIの出現頻度分布の形状に基づいて遮蔽情報SIを取得することができる。
【0101】
本実施形態の遮蔽状態判定処理Saでは、DK実行部30bは、受信アンテナ20a~20eにおける強度情報RIの時間変化を分析し、該強度情報RIの時間変化量に基づいて遮蔽情報SIを取得する構成である。このような構成によれば、解錠システム100では、強度情報RIの時間変化量に基づいて遮蔽情報SIを取得することができる。
【0102】
本実施形態の解錠システム100は、無線端末10からの無線信号を受信する受信アンテナ20a~20eを備え、受信アンテナ20a~20eは、第1アンテナとして受信アンテナ20aと、該第1アンテナとは電波の受信環境の異なる第2アンテナとして受信アンテナ20b~20eと、を含み、遮蔽状態判定処理Saでは、DK実行部30bは、第1の受信アンテナ20aにおける強度情報RIと第2の受信アンテナ20b~20eにおける強度情報RIとの差分に基づいて遮蔽情報SIを取得する構成である。このような構成によれば、解錠システム100では、第1の受信アンテナ20aにおける強度情報RIと第2の受信アンテナ20b~20eにおける強度情報RIとの差分に基づいて遮蔽情報SIを取得することができる。
【0103】
本実施形態の遮蔽状態判定処理Saでは、DK実行部30bは、強度情報RIに基づいて電波の強度の出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状が基準形状である場合に、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態に対応する遮蔽情報SIすなわち現在の無線端末10の遮蔽状態が第2遮蔽状態である旨を示す遮蔽情報SIを取得し、領域判定処理Sbでは、DK実行部30bは、遮蔽情報SIを用いて無線端末10の遮蔽状態を特定し、特定された遮蔽状態に応じた補正データにより強度情報RIを補正する構成である。このような構成によれば、解錠システム100では、強度情報RIに基づいて無線端末10の遮蔽状態を判定し、判定された遮蔽状態に応じた補正データにより強度情報RIを補正し、補正された強度情報RIに基づいて錠21の解錠を制御することができるので、解錠の精度を高めることができる。
【0104】
本実施形態の遮蔽状態判定処理Saでは、DK実行部30bは、強度情報RIに基づいて電波の強度の出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状が基準形状でない状態であり、受信アンテナ20a~20eでの電波の強度が第1基準量α1を超えて低下することが強度情報RIに基づいて特定される場合に、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている第2遮蔽状態であると判定し、領域判定処理Sbでは、遮蔽情報SIを用いて無線端末10の遮蔽状態を特定し、特定された遮蔽状態に応じた補正データにより強度情報RIを補正する構成である。このような構成によれば、解錠システム100では、強度情報RIに基づいて無線端末10の遮蔽状態を判定し、判定された遮蔽状態に応じた補正データにより強度情報RIを補正し、補正された強度情報RIに基づいて錠21の解錠を制御することができるので、解錠の精度を高めることができる。
【0105】
本実施形態の解錠システム100は、無線端末10からの無線信号を受信する受信アンテナ20a~20eを備え、受信アンテナ20a~20eは、第1アンテナとして受信アンテナ20aと、該第1アンテナとは電波の受信環境の異なる第2アンテナとして受信アンテナ20b~20eと、を含み、遮蔽状態判定処理Saでは、DK実行部30bは、強度情報RIに基づいて電波の強度の出現頻度分布を分析し、該出現頻度分布の形状が基準形状である状態であり、かつ、第1アの受信アンテナ20aにおける電波強度と第2の受信アンテナ20b~20eにおける電波強度との差分量が第2基準量α2を下回ることが強度情報RIに基づいて特定される場合に、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態に対応する遮蔽情報SIを用いて強度情報RIを補正する構成である。このような構成によれば、解錠システム100では、強度情報RIに基づいて無線端末10の遮蔽状態を判定し、判定された遮蔽状態に応じた補正データにより強度情報RIを補正し、補正された強度情報RIに基づいて錠21の解錠を制御することができるので、解錠の精度を高めることができる。
【0106】
本実施形態の解錠システム100では、DK実行部30bは、遮蔽状態判定処理Saにおいて、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されていない第1遮蔽状態と、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている第2遮蔽状態とを判定する構成であり、遮蔽体は、無線端末10の所持者U(ユーザU)であり、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態に対応する遮蔽情報SIは、無線端末10が該無線端末10の所持者Uにより遮蔽されている遮蔽状態に対応する情報である。このような構成によれば、解錠システム100では、無線端末10がユーザUの体により遮蔽されていない第1遮蔽状態と、無線端末10がユーザUの体により遮蔽されている第2遮蔽状態とを判定することができる。
【0107】
本実施形態の領域判定処理Sbでは、DK実行部30bは、遮蔽情報SIを用いて補正された強度情報RIcに基づいて無線端末10の位置する領域に関する領域情報ZIを取得し、解錠制御処理Scでは、解錠実行部40bは、該領域情報ZIに基づいて錠21を解除する制御を実行する構成である。
【0108】
本実施形態の解錠システム100の制御方法は、無線端末10から電波により搬送される無線信号を受信アンテナ20a~20eで受信し、該無線信号に基づいて自動車1に設けられた錠21の解除を制御する解錠システムの制御方法であって、受信アンテナ20a~20eで受信された無線信号の電波の強度に関する強度情報RIをDKECU30のDK取得部30aにより取得するステップと、錠21の解除を制御する解錠処理として遮蔽状態判定処理Saおよび領域判定処理SbをDKECU30のDK実行部30bにより実行するステップ、および該解錠処理として解錠制御処理Scを錠装置40の解錠実行部40bにより実行するステップと、を含み、DK実行部30bは、遮蔽状態判定処理Saにおいて強度情報RIに基づいて無線端末10の遮蔽状態に関する遮蔽情報SIを取得し、領域判定処理Sbにおいて該遮蔽情報SIを用いて強度情報RIを補正し、解錠実行部40bは、解錠制御処理Scにおいて補正された強度情報RIに基づいて取得された領域情報ZIに基づいて錠21を解除する制御を実行する構成である。このような構成によれば、解錠システム100の制御方法では、遮蔽情報SIを用いて補正された強度情報RIに基づいて錠21を解除する制御がDK実行部30bおよび解錠実行部40bにより実行されることにより、無線端末10の遮蔽状態に応じて解錠の精度を高めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0109】
本実施形態のDKECU30は、無線端末10から送信されて電波により搬送され、受信アンテナ20a~20eで受信される無線信号に基づいて錠21の解除を制御する制御装置であって、受信アンテナ20a~20eで受信された無線信号の電波の強度に関する強度情報RIを取得するDK取得部30aと、錠21の解除を制御する解錠処理として遮蔽状態判定処理Saおよび領域判定処理Sbを実行するDK実行部30bと、を備え、DK実行部30bは、遮蔽状態判定処理Saにおいて強度情報RIに基づいて無線端末10の遮蔽状態に関する遮蔽情報SIを取得し、領域判定処理Sbにおいて該遮蔽情報SIを用いて強度情報RIを補正して、補正された強度情報RIに基づいて領域情報ZIを取得し、錠21の解除の制御に関連する情報として、領域情報ZIおよび無線信号に含まれる指示情報IIbを出力する制御を実行する構成である。このような構成によれば、DKECU30は、遮蔽情報SIを用いて強度情報RIを補正し、補正された強度情報RIに基づいて領域情報ZIを取得し、錠21の解除の制御に関連する情報として、領域情報ZIおよび無線信号に含まれる指示情報IIbを出力することにより、DKECU30は、錠装置40における錠21を解除する制御することができる。
【0110】
本実施形態のDKECU30の制御方法では、無線端末10から送信されて電波により搬送され、受信アンテナ20a~20eで受信される無線信号に基づいて錠21の解除を制御する制御装置の制御方法であって、受信アンテナ20a~20eで受信された無線信号の電波の強度に関する強度情報RIをDK取得部30aにより取得するステップと、錠21の解除を制御する解錠処理として遮蔽状態判定処理Saおよび領域判定処理SbをDK実行部30bにより実行するステップと、を含み、DK実行部30bは、遮蔽状態判定処理Saにおいて強度情報RIに基づいて無線端末10の遮蔽状態に関する遮蔽情報SIを取得し、領域判定処理Sbにおいて該遮蔽情報SIを用いて強度情報RIを補正して、補正された強度情報RIに基づいて領域情報ZIを取得し、錠21の解除の制御に関連する情報として、領域情報ZIおよび無線信号に含まれる指示情報IIbを出力する制御を実行する構成である。このような構成によれば、DKECU30の制御方法では、遮蔽情報SIを用いて強度情報RIを補正し、補正された強度情報RIに基づいて領域情報ZIを取得し、錠21の解除の制御に関連する情報として、領域情報ZIおよび無線信号に含まれる指示情報IIbを出力することにより、DKECU30は、錠装置40における錠21を解除する制御することができる。
【0111】
本実施形態のDKECU30は、無線端末10からの電波により搬送される無線信号を受信アンテナ20a~20eで受信し、該無線信号の受信アンテナ20a~20eでの電波強度に基づいて無線端末10の遮蔽状態を判定する判定装置であって、受信アンテナ20a~20eで受信された無線信号の電波の強度に関する強度情報RIを取得するDK取得部30aと、無線端末10の遮蔽状態を判定する遮蔽状態判定処理を実行するDK実行部30bと、を備え、遮蔽状態判定処理では、DK実行部30bは、強度情報RIに基づいて電波の強度の出現頻度分布を分析して少なくとも該出現頻度分布の形状が基準形状である場合に、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、強度情報RIに基づいて電波の強度の出現頻度分布を分析して該出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、強度情報RIに基づいて受信アンテナ20a~20eでの電波強度が第1基準量(α1)を超えて低下することが特定される場合に、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、強度情報RIに基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して該出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、強度情報RIに基づいて受信アンテナでの電波強度が第1基準量を超えて低下することが特定されない場合に、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態でないと判定する構成である。このような構成によれば、DKECU30では、無線信号を送信する無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であるか否かを判定することができる。
【0112】
本実施形態の遮蔽状態判定処理Saは、無線端末10からの電波により搬送される無線信号を受信アンテナ20a~20eで受信し、該無線信号の受信アンテナ20a~20eでの電波強度に基づいて無線端末10の遮蔽状態を判定する判定方法であって、受信アンテナ20a~20eで受信された無線信号の電波の強度に関する強度情報RIをDK取得部30aにより取得するステップと、無線端末10の遮蔽状態を判定する遮蔽状態判定処理をDK実行部30bにより実行するステップと、を含み、遮蔽状態判定処理では、DK実行部30bは、強度情報RIに基づいて電波の強度の出現頻度分布を分析して少なくとも該出現頻度分布の形状が基準形状である場合に、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、強度情報RIに基づいて電波の強度の出現頻度分布を分析して該出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、強度情報RIに基づいて受信アンテナ20a~20eでの電波強度が第1基準量(α1)を超えて低下することが特定される場合に、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であると判定し、強度情報RIに基づいて電波強度の出現頻度分布を分析して該出現頻度分布の形状が基準形状でない場合、かつ、強度情報RIに基づいて受信アンテナでの電波強度が第1基準量を超えて低下することが特定されない場合に、無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態でないと判定する構成である。このような構成によれば、遮蔽状態判定処理では、無線信号を送信する無線端末10が遮蔽体により遮蔽されている遮蔽状態であるか否かを判定することができる。
【0113】
以上、本発明の実施形態の例を説明してきたが、本発明はこの実施形態の例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0114】
1 自動車
10 無線端末
20 車載ECU
20a~20e 受信アンテナ
21 錠
30 DKECU
30a DK取得部
30b DK実行部
40 錠装置
40a 情報取得部
40b 解錠実行部
100 解錠システム