(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】表示媒体、処理装置、処理方法、プログラムおよびプログラム記録媒体
(51)【国際特許分類】
G09F 19/14 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
G09F19/14
(21)【出願番号】P 2023123578
(22)【出願日】2023-07-28
【審査請求日】2023-07-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598138327
【氏名又は名称】株式会社ドワンゴ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 快勢
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-036400(JP,A)
【文献】特開2020-166296(JP,A)
【文献】特許第7261932(JP,B2)
【文献】国際公開第2019/124322(WO,A1)
【文献】特開2022-007999(JP,A)
【文献】特開2021-033253(JP,A)
【文献】特開2016-107487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に、基準コンテンツを表示し、
第2の方向に、前記基準コンテンツと構図が同じで色を変換した変換コンテンツを表示し、
前記基準コンテンツは、前記第1の方向から見える部分に着色される色で、形成され、
前記変換コンテンツは、前記第2の方向から見える部分に着色される色で、形成され
、
前記変換コンテンツの各画素の色の値は、前記基準コンテンツの各画素の色の値を、所定の関数で変換した値を有する
表示媒体。
【請求項2】
前記表示媒体が、2つの透明部材を重ねて形成され、前記第1の方向に前記基準コンテンツを表示し、前記第2の方向に前記変換コンテンツを表示する際、前記2つの透明部材のそれぞれに設けられたマーカが重なる
請求項1に記載の表示媒体。
【請求項3】
基準データを取得する取得部と、
前記基準データを、構図が同じで色を変換した変換データに変換する変換部と、
第1の方向に、前記基準データに対応する基準コンテンツを表示し、第2の方向に、前記変換データに対応する変換コンテンツを表示する表示媒体を製造するための製造データを生成する生成部
を備え、
前記生成部は、
前記基準コンテンツを、前記第1の方向から見える部分に着色される色で、形成し、
前記変換コンテンツを、前記第2の方向から見える部分に着色される色で、形成
し、
前記変換部は、所定の関数で、前記基準コンテンツの各画素の色の値を、前記変換コンテンツの各画素の色の値に変換する、
前記表示媒体を製造するための製造データを生成する処理装置。
【請求項4】
前記表示媒体は、
透明部材で形成され、複数の上面セルを有し、前記複数の上面セルのそれぞれに色領域を有する上面レイヤと、
透明部材で形成され、複数の下面セルを有し、前記複数の下面セルのそれぞれに色領域を有する下面レイヤを備え、
前記上面レイヤの上面セルと、前記上面セルに重なる前記下面レイヤの下面セルを含むセルは、第1ないし第2のそれぞれの方向から視認した際、前記下面セルの色領域において、前記上面セルの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成され、
前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれは、前記色領域と、色が与えられない透明領域とを有し、
前記色領域は、前記上面セルおよび前記下面セルのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられ、複数の画素を備え、
前記生成部は、
前記各セルについて、前記第1の方向に、前記基準データに対応する基準コンテンツを表示し、前記第2の方向に、前記変換データに対応する変換コンテンツを表示するように、前記上面セルおよび前記下面セルの各画素に色を割り当てる割り当て部を備え、
前記製造データは、
前記上面レイヤと前記下面レイヤのそれぞれを製造するためのデータである
請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記割り当て部はさらに、前記表示媒体が前記第1の方向に前記基準コンテンツを表示し、前記第2の方向に前記変換コンテンツを表示する際、前記上面レイヤと前記下面レイヤのそれぞれに設けられたマーカが重なるように、前記上面レイヤと前記下面レイヤのそれぞれにマーカを設ける
請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
コンピュータが、基準データを取得し、
コンピュータが、前記基準データを、構図が同じで色を変換した変換データに変換し、
コンピュータが、第1の方向に、前記基準データに対応する基準コンテンツを表示し、第2の方向に、前記変換データに対応する変換コンテンツを表示する表示媒体を製造するための製造データを生成し、
前記コンピュータは、
前記基準コンテンツを、前記第1の方向から見える部分に着色される色で、形成し、
前記変換コンテンツを、前記第2の方向から見える部分に着色される色で、形成する、
前記表示媒体を製造するための製造データを生成
し、
前記変換コンテンツの各画素の色の値は、前記基準コンテンツの各画素の色の値を、所定の関数で変換した値を有する
処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の処理装置として機能させるためのプログラム記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示媒体、処理装置、処理方法、プログラムおよびプログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
画像をデコレーションする方法がある。例えば特許文献1は、装飾領域に対して、色の明度が高くなるよう色を変換する。
【0003】
また、複数の方向に、それぞれ異なるコンテンツを表示する表示媒体が知られている(特許文献2-4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-74110号公報
【文献】特許第6374625号公報
【文献】特許第6758447号公報
【文献】特許第6764990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載の装飾方法は、装飾領域に対して一様な装飾を与えるものにすぎない。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、変化に富んだ装飾が施されたコンテンツを表示可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の表示媒体は、第1の方向に、基準コンテンツを表示し、第2の方向に、前記基準コンテンツと構図が同じで色を変換した変換コンテンツを表示する。
【0008】
本開示の一態様の処理装置は、基準データを取得する取得部と、前記基準データを、構図が同じで色を変換した変換データに変換する変換部と、第1の方向に、前記基準データに対応する基準コンテンツを表示し、第2の方向に、前記変換データに対応する変換コンテンツを表示する表示媒体を製造するための製造データを生成する生成部を備える。
【0009】
本開示の一態様の処理方法は、コンピュータが、基準データを取得し、コンピュータが、前記基準データを、構図が同じで色を変換した変換データに変換し、コンピュータが、第1の方向に、前記基準データに対応する基準コンテンツを表示し、第2の方向に、前記変換データに対応する変換コンテンツを表示する表示媒体を製造するための製造データを生成する。
【0010】
本開示の一態様は、上記処理装置として、コンピュータを機能させるプログラムである。
【0011】
本開示の一態様は、上記処理装置として、コンピュータを機能させるプログラム記録媒体である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、変化に富んだ装飾が施されたコンテンツを表示可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示に係る表示媒体が表示するコンテンツの一例を説明する図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態に係る表示媒体の斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態に係る表示媒体の側面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態に係る表示媒体の上面レイヤおよび下面レイヤを説明する図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態に係るセルの側面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態に係る表示媒体を製造するための製造データを生成する処理装置の機能ブロックを説明する図である。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態に係る処理方法を説明するシーケンス図である。
【
図8】
図8は、第2の実施の形態に係る表示媒体の斜視図である。
【
図9】
図9は、第2の実施の形態に係る表示媒体のセルの一例を説明する図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態に係る表示媒体において遮蔽される画素および露出する画素の一例を説明する図である。
【
図11】
図11は、第3の実施の形態に係る表示媒体の斜視図である。
【
図12】
図12(a)は、第3の実施の形態に係る表示媒体に用いられるパーティションの正面図であって、
図12(b)は、右側面図である。
【
図13】
図13は、第3の実施の形態に係る表示媒体に用いられるパーティションの断面図である。
【
図14】
図14は、処理装置に用いられるコンピュータのハードウエア構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0015】
(表示媒体)
本開示の実施の形態に係る表示媒体1は、変化に富んだ装飾が施されたコンテンツを表示することができる。
図1は、表示媒体1が表示するコンテンツの一例を説明する図である。表示媒体1は、所定のコンテンツの色が次々と変わるような装飾が施された画像を表示する。表示媒体1を見るユーザは、所定のコンテンツの色が、構造色または玉虫色のように見えたり、キラキラした装飾が施されたように見えたりする。本開示においてコンテンツは、静止画、動画、音声付き動画など、画像を含むコンテンツである。
【0016】
表示媒体1は、
図1に示すように、第1の方向D1に基準コンテンツDを表示し、第2の方向D2に第1の変換コンテンツJaを表示し、第3の方向D3に第2の変換コンテンツJbを表示する。第1の方向D1、第2の方向D2および第3の方向D3は、互いに異なる方向である。第1の変換コンテンツJaおよび第2の変換コンテンツJbは、基準コンテンツDを、構図が同じで色を変換したコンテンツである。第1の変換コンテンツJaと第2の変換コンテンツJbは、同じ構図を有し、色合いを有する。第1の変換コンテンツJaと第2の変換コンテンツJbは、互いに異なる方法で、色が変換される。第1の変換コンテンツJaおよび第2の変換コンテンツJbを特に区別しない場合、単に変換コンテンツJと記載する場合がある。
【0017】
表示媒体1は、構図が同じで色が異なる3つのコンテンツを異なる方向に表示する。ユーザが、表示媒体1に対する相対的な視点を変えて表示媒体1を見る。このときユーザは、表示媒体1に対する視点を変えても良いし、ユーザが表示媒体1を動かしても良い。表示媒体1は、ユーザに対して1つの共通する構図において色が次々と変わるコンテンツを表示することができるので、色の変化に富んだ装飾が施されたコンテンツを表示することができる。
【0018】
図1に示す例において表示媒体1は、3つの方向に1つの基準コンテンツDと2つの変換コンテンツJを表示する場合を説明するが、これに限らない。表示媒体1は、2以上の方向のそれぞれに、構図が同じで色が異なる複数のコンテンツを表示すれば良い。表示媒体1は、基準コンテンツDを表示せずに、基準コンテンツDと構図が同じで色が異なる2以上の変換コンテンツJを表示しても良い。
【0019】
(第1の実施の形態)
図2を参照して、第1の実施の形態に係る表示媒体1を説明する。第1の実施の形態に係る表示媒体1は、特許文献3に記載の表示媒体の構成を有する。
図2に示すように、表示媒体1は、基材201を備える。基材201は、紙などの薄いシート形状であっても良いし、立体形状であってもよい。基材201は、上面が平面であっても良いし、曲面であっても良い。
図2に示すように表示媒体1は、表面に複数のセルCを有する。
図2に示す例において、ユーザの視点は、Z軸方向(厚さ方向)の上方にある。
図2に示す例において表示媒体1は、直方体形状を有するが、形状は問わない。
【0020】
表示媒体1は、
図3に示すように、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbを有する。上面レイヤLuと下面レイヤLbの呼称は、重力の方向とは無関係であり、表示媒体1の配置状況に依存するものではない。第1の実施の形態において、ユーザの視点に近いレイヤは、上面レイヤLuと称される。ユーザの視点から遠いレイヤは、下面レイヤLbと称される。
【0021】
図3および
図4に示すように、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbは、XY平面に形成され、Z軸方向に平行に配設される。表示媒体1は、複数方向の光のそれぞれが、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbを通過する部分に基づいて、複数方向に対応する複数のコンテンツを表示する。上面レイヤLuおよび下面レイヤLbを通過した複数方向の光が入射する位置に設けられたそれぞれの視点において、それぞれのコンテンツが視認される。表示媒体1は、各方向について、上面レイヤLuを通過する部分の色と、下面レイヤLbを通過する部分の色との組み合わせが、異なるので、複数のコンテンツを表示する。表示媒体1は、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbに対して、Z軸方向の上方の3つの異なる視点に、コンテンツを表示する。3つの異なる視点は、少なくとも、X軸方向の値(座標)およびY軸方向の値(座標)が異なる。
【0022】
第1の実施の形態において、コンテンツを表示する際に用いられる所定方向の光は、少なくとも、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbに対して、視点と対向する方向から発せられる。視点が、Z軸方向において、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbよりも上方に設けられる場合、光は、Z軸方向において、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbよりも下方から発せられればよく、光源の位置は問わない。下面レイヤLbよりもZ軸方向の下方から上方に向かう光は、例えば、任意の位置に設けられた光源からの光が、基材Mで反射した光であっても良いし、基材Mに設けられた光源からの光であっても良い。または、基材Mの裏側に設けられた光源(図示せず)から照射され、基材Mを透過する光であってもよい。
【0023】
図3に示すように、上面レイヤLuと下面レイヤLbの間に、透明層Nが形成される。また下面レイヤLbに対して透明層NとZ軸方向の反対方向に、基材Mが設けられる。Z軸方向において、基材M、下面レイヤLb、透明層Nおよび上面レイヤLuの順で、これらの部材が積層されて、表示媒体1が形成される。
【0024】
透明層Nは、光の色成分(可視光)を吸収せずに、多くの光を透過させる材質で形成されるのが好ましい。透明層Nは、例えば、水、透明なプラスチック等の透明な材質で形成される。透明層Nは空気で形成されてもよい。換言すると、上面レイヤLuと下面レイヤLbは、所定距離離れて平行に配設されても良い。基材Mは、鏡、白い紙等であって、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbに与えられた色を視認しやすい部材で形成される。
【0025】
図3および
図4に示すように、上面レイヤLuは、透明部材で形成され、複数の上面セルCuを有する。複数の上面セルCuのそれぞれは、色領域を有する。下面レイヤLbは、透明部材で形成され、複数の下面セルCbを有する。複数の下面セルCbのそれぞれは、色領域を有する。上面セルCuおよび下面セルCbのそれぞれの位置の所定の定義によって、上面セルCuおよび下面セルCbの色領域に色を与える印刷機等が、各色領域の位置を特定できればよく、上面セルCuおよび下面セルCbのそれぞれの位置は視認されなくても良い。例えば、隣接する上面セル2つのCuまたは2つの下面セルCbの間に、明確な線、仕切り、窪み等の区切りがなくても良い。隣接する2つの上面セルCuまたは2つの下面セルCbは、物理的に区切られなくても良い。また隣接する2つの上面セルCuまたは2つの下面セルCbの境界において、2つのセルの端部のそれぞれに同じ色または同じ無色が与えられるなどにより、隣接するセルCが視認できなくても良い。
【0026】
第1の実施の形態において、上面レイヤLuの各上面セルCuと、下面レイヤLbの各下面セルCbは、各レイヤを同様に区分して形成される。つまり、上面レイヤLuの各上面セルCuは、下面レイヤLbの各下面セルCbを、X軸方向およびY軸方向における位置はそのままで、Z軸方向にずらした位置に形成される。より具体的には、
図4に示すように、本発明の実施の形態において、上面レイヤLuの上面セルCuは、下面レイヤLbの下面セルCbをZ軸方向にずらした位置に形成される。他のセルも同様である。第1の実施の形態において、上面セルCuと下面セルCbのように、Z軸方向にずらした位置に形成されるセルの関係を、「対応する」と呼ぶ。なお、第1の実施の形態では、対応する上面セルCbと下面セルCbは、X軸方向およびY軸方向の位置が同じで、Z軸方向の位置のみが異なる場合を説明するが、これに限らない。他の実施例として、対応する上面セルCbと下面セルCbは、Z軸方向のほか、X軸方向またはY軸方向の位置がずれても良い。
【0027】
第1の実施の形態において、セルCは、上面レイヤLuの上面セルCuと、上面セルCuに重なる(対応する)下面レイヤLbの下面セルCbを含む。セルCは、上面レイヤLuの各上面セルCuと下面レイヤLbの各下面セルCbのうち、対応する上面セルCuと下面セルCbの組み合わせにより特定される。
【0028】
図4に示すように、第1の実施の形態において、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbのそれぞれに、マーカVuおよびVbが設けられる。表示媒体1が、2つの透明部材が重ねられて形成され、2つの透明部材が適切に重ねられた場合、2つの透明部材のそれぞれに設けられたマーカVuおよびVbが重なる。ここで、適切に重ねられた場合とは、本開示において、表示媒体1の設計通りに、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbが重ねられた場合を指す。適切に重ねられた場合は、具体的には、第1の方向に基準コンテンツDを表示し、第2の方向に変換コンテンツJを表示する場合である。
【0029】
本開示では、マーカVuおよびVbが重なることにより、上面レイヤLuと下面レイヤLbの重なる位置を示す場合を説明するがこれに限らない。マーカVuおよびVbは、上面レイヤLuと下面レイヤLbが適切に重なる位置を示せば良い。
【0030】
図3ないし
図5に示すように、上面レイヤLuは、透明部材で形成され、複数の上面セルCuを有する。複数の上面セルCuのそれぞれに、色領域G11およびG12を有する。下面レイヤLbは、透明部材で形成され、複数の下面セルCbを有する。複数の下面セルCbのそれぞれに色領域G21、G22、G23、G24、G25およびG26を有する。色領域G11、G12、G21、G22、G23、G24、G25およびG26は、それぞれ、1以上の画素で形成される。ここで画素は、表示媒体1の製造装置が同一の色を与える最小単位である。
【0031】
第1の実施の形態において、各上面セルCuおよび各下面セルCbが、それぞれ同形状の色領域を有する場合を説明するが、上面セルCuまたは下面セルCb毎に、形状が異なっても良い。また第1の実施の形態において、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbのそれぞれにおいて、X軸方向に複数の色領域が設けられる場合を説明するが、1つの色領域が設けられても良い。またY軸方向に1つの色領域が設けられる場合を説明するが、複数の色領域が設けられても良い。さらに複数の色領域が隣接して設けられる場合を説明するが、複数の色領域の間に透明領域が設けられるなど、複数の色領域が離散的に設けられても良い。
【0032】
図5を参照して、1つのセルを形成する上面セルCuと下面セルCbを説明する。第1の実施の形態において、上面セルCuおよび下面セルCbのそれぞれは、色領域と、色が与えられない透明領域とを有する。色領域は、上面セルCuおよび下面セルCbのそれぞれのセルの端から離れた位置に設けられる。透明領域は、
図5においてハッチが入っていない部分である。上面セルCuと下面セルCbのそれぞれの境界部分に、透明領域が設けられる。透明領域よりも内側部分に、色領域が設けられる。透明領域が設けられることにより、色領域を通過する光が、隣接するセルの色領域を通過しないように形成することができるので、各色領域に割り当てる色の計算の負担が軽減される。色領域は、各レイヤにインクが塗布されることにより形成される。インクは、染料インクでも良いし、顔料インクでも良い。1つの色領域は、1または複数の画素により形成される。本開示において、1つの色領域G11内に、1つの色が均一に与えられる。他の色領域G12ないしG26についても同様である。
【0033】
1つのセルにおいて、上面セルCuの色領域を通過する光が、下面セルCb内を通過し、かつ、下面セルCbの色領域を通過する光が、上面セルCu内を通過するように、上面セルCuおよび下面セルCbの位置は設定される。第1の実施の形態において、1つのセルに含まれる上面セルCuおよび下面セルCbが、Z軸方向にずれる場合を説明するが、これに限らない。対応する上面セルCuと下面セルCbが、斜め方向にずれる、具体的にはZ軸方向のみならずX軸方向またはY軸方向にもずれても良い。
【0034】
第1の実施の形態において、セルは、第1ないし第3のそれぞれの方向から視認した際、下面セルCbの色領域において、上面セルCuの色領域が重なる部分が互いに異なるように形成される。これによりセルは、第1ないし第3の方向に、互いに異なる色を表示することができる。ここで、互いに異なるとは、完全に同一ではないこと意味し、完全に異なる場合のみならず、少なくとも一部が同じで一部が異なる場合も含む。
【0035】
例えば、
図5(a)の第1の方向において、上面セルCuの色領域G11およびG12は、下面セルCbの色領域G23よびG24と重なる。
図5(b)の第2の方向において、上面セルCuの色領域G11およびG12は、下面セルCbの色領域G25よびG26と重なる。
図5(c)の第3の方向において、上面セルCuの色領域G11およびG12は、下面セルCbの色領域G21よびG22と重なる。
【0036】
図5に示す例では、第1ないし第3の方向において、下面セルCbの色領域のうち、上面セルCuの色領域が重なる部分は、完全に重複しない場合を説明したが、一部が重複しても良い。例えば他の実施例で、第1の方向において色領域G23およびG24が上面セルCuの色領域に重なる。第2の方向において色領域G24およびG25が、上面セルCuの色領域に重なり、第3の方向において色領域G22およびG23が、上面セルCuの色領域に重なっても良い。
【0037】
なお、色領域に用いられるインクが、染料インクのように透過性が高いインクの場合、ユーザは、視認する各方向上の各視点において重なる色領域の各色が混ざった色を視認することができる。
図5(a)においてユーザは、G11とG23の各色が混ざった色と、G12とG24の各色が混ざった色を視認する。さらにユーザは、並置加法混色により、G11とG23の各色が混ざった色と、G12とG24の各色が混ざった色と、G21、G22、G25およびG26の各色が混ざった色を視認する。
【0038】
一方、色領域に用いられるインクが、顔料インクのように透過性が低いインクの場合、ユーザは、視認する方向において視点に近い色を視認することができる。
図5(a)においてユーザは、G11の色と、G12の色を視認する。さらにユーザは、並置加法混色により、G11およびG12と、G21、G22、G25およびG26の各色が混ざった色を視認する。
【0039】
このように、第1の実施の形態に係る表示媒体1の各セルは、第1の方向、第2の方向および第3の方向に対して、下面セルCbの色領域のうち、上面セルCuの色領域が重なる部分が異なるので、3つの方向に、互いに異なるコンテンツを表示することができる。
【0040】
具体的に、表示媒体1は、第1の方向に、基準コンテンツDを表示する。表示媒体1は、第2の方向に、基準コンテンツDと構図が同じで色を変換した第1の変換コンテンツJaを表示する。第3の方向に、基準コンテンツDと構図が同じで色を変換した第2の変換コンテンツJbを表示する。
【0041】
第1の実施の形態においてユーザは、表示媒体1に対する視点を、基準コンテンツDが見える視点、第1の変換コンテンツJaが見える視点および第2の変換コンテンツJbが見える視点との間で交互に変更する。具体的にユーザは、視点を、表示媒体1に対して真上方向、左斜め上方向および右斜め上方向と変更する。これによりユーザは、色の変化に富んだ装飾が施されたコンテンツを視認することができる。
【0042】
(処理装置)
図6を参照して、表示媒体1に与える色を決定する処理装置10を説明する。処理装置10は、複数の画素を備える表示媒体1において、色領域の各画素に色を割り当て、表示媒体1を生成するための製造データ13を生成する。
【0043】
処理装置10は、基準データ11、変換データ12、製造データ13、セル色データ31、条件データ32および形状データ33の各データと、取得部21、変換部22および生成部23の各機能を備える。各データは、メモリ902またはストレージ903等の記憶装置に記憶される。各機能は、CPU901に実装される。
【0044】
基準データ11は、表示媒体1が表示する基準コンテンツの元となる画像のデータである。基準データ11は、複数の画素を備え、各画素に所定の色を対応づける。基準データ11は、基準コンテンツDに対応する。
【0045】
変換データ12は、基準データ11を、構図が同じで色を変換したデータである。
図6において変換データ12は、1つのみであるが、複数であっても良い。変換データ12は、変換コンテンツJに対応する。
【0046】
製造データ13は、第1の方向に、基準データ11に対応する基準コンテンツDを表示し、第2の方向に、変換データ12に対応する変換コンテンツJを表示する表示媒体1を製造するためのデータである。第1の実施の形態において製造データ13は、上面レイヤLuと下面レイヤLbのそれぞれを製造するためのデータであっても良い。上面レイヤLuと下面レイヤLbを重ねることにより、表示媒体1が製造される。
【0047】
製造データ13は、表示媒体1の構造および色を特定するデータである。表示媒体1を印刷機による印刷により製造される場合、製造データ13は、印刷機に入力されるデータである。第1の実施の形態において製造データ13は、透明部材に対して印刷する位置と色を対応づける。
図5に示す例において製造データ13は、セル毎に、色領域G11、G12、G21、G22、G23、G24、G25およびG26のそれぞれに与える色を対応づける。製造データ13はさらに、上面レイヤLuにおいてマーカVuを設ける位置と、下面レイヤLbにおいてマーカVbを設ける位置を特定する。
【0048】
セル色データ31は、表示媒体1が有する各セルで表現すべき色のデータである。セル色データ31は、表示媒体1がコンテンツを表示する方向毎に設けられる。第1の実施の形態においてセル色データ31は、第1ないし第3の方向にそれぞれ表示する基準コンテンツD、第1の変換コンテンツJaおよび第2の変換コンテンツJbのそれぞれについて、各セルで表現すべき色を対応づける。
【0049】
条件データ32は、表示媒体1においてコンテンツを表示する方位角および仰角を特定するデータである。
【0050】
形状データ33は、表示媒体1の各セルおよび各画素の位置および大きさを特定する。形状データ33は、例えば、表示媒体1の上面レイヤLuに配置される上面セルCuの位置および大きさと、下面レイヤLbに配置される各下面セルCbの位置および大きさ、各画素の位置および大きさなどを特定する。
【0051】
取得部21は、基準データ11を取得する。取得部21は、例えばユーザ端末2等から通信ネットワークを介して基準データ11を取得しても良いし、処理装置10がアクセス可能な記憶媒体等から、基準データ11を取得しても良い。
【0052】
変換部22は、基準データ11を、構図が同じで色を変換した変換データ12に変換する。表示媒体1が、3つ以上のコンテンツを表示する場合、変換部22は、表示媒体1が表示するコンテンツの数から、基準データ11に対応するコンテンツとして-1した数の変換データ12を生成する。
【0053】
変換部22は、所定の関数を用いて、基準データ11の各画素の色を、変換データ12の各画素の色に変換する。例えば、基準データ11の各画素の色がR(赤)、G(緑)、およびB(青)の3つの要素で特定され、変換部22が2つの変換データ12を生成する場合を説明する。
【0054】
変換部22は、基準データ11の各画素のRの値を第1の変換データ12aの各画素のBの値に変換し、基準データ11の各画素のGの値を第1の変換データ12aの各画素のRの値に変換し、基準データ11の各画素のBの値を第1の変換データ12aの各画素のGの値に変換して、第1の変換データ12aを生成する。また変換部22は、基準データ11の各画素のRの値を第2の変換データ12bの各画素のGの値に変換し、基準データ11の各画素のGの値を第2の変換データ12bの各画素のBの値に変換し、基準データ11の各画素のBの値を第2の変換データ12bの各画素のRの値に変換して、第2の変換データ12bを生成する。
【0055】
この処理により、処理装置10は、色の異なる3つの画像データを得ることができる。
【0056】
変換データ12は、他の方法で生成されても良い。例えば、変換部22は、各画素のRGBの各値を、HSV(色相(Hue)、彩度(Saturation, Chroma)、明度(Value, Brightness))系の色空間に変換して、各値を変更しても良い。変換部22は、各画素の色相(Hue)の値に、所定の値を加算または減算して変更して、変換データ12を生成しても良い。
【0057】
基準データ11および変換データ12が特定されると、製造データ13が生成される。生成部23は、第1の方向に、基準データ11に対応する基準コンテンツDを表示し、第2の方向に、変換データ12に対応する変換コンテンツJを表示する表示媒体1を製造するための製造データ13を生成する。
【0058】
生成部23は、第1の方向に、基準データ11に対応する基準コンテンツDを表示し、第2の方向に、変換データ12に対応する変換コンテンツJを表示する表示媒体1を製造するための製造データ13を生成する。生成部23は、算出部36および割り当て部37を備える。
【0059】
算出部36は、各方向に表示するコンテンツについて、各セルで表示する色のRGBの各値を算出する。表示媒体1が、基準データ11に対応する基準コンテンツDと、2つの変換データ12に対応する2つの変換コンテンツJを表示する場合、算出部36は、基準データ11および2つの変換データ12について、各セルで表現する色を算出する。算出部36は、基準データ11を、表示媒体1の各セルの区分に分割し、基準データ11を各セルで表現する色を特定する。2つの変換データ12も同様に処理される。
【0060】
割り当て部37は、各セルについて、第1の方向に、基準データ11に対応する基準コンテンツDを表示し、第2の方向に、変換データ12に対応する変換コンテンツJを表示するように、上面セルCuおよび下面セルCbの各画素に色を割り当てる。表示媒体1が3つのコンテンツを表示する場合、割り当て部37は、各セルについて、第1の方向に、基準データ11に対応する基準コンテンツDを表示し、第2の方向に、第1の変換データ12aに対応する第1の変換コンテンツJaを表示し、第3の方向に、第2の変換データ12bに対応する第2の変換コンテンツJbを表示するように、上面セルCuおよび下面セルCbの各画素に色を割り当てる。
【0061】
割り当て部37は、例えば、各セルについて、第1の方向から見える各画素の組み合わせで、セル色データ31における第1の方向に対応する色を達成し、第2の方向から見える各画素の組み合わせで、セル色データ31における第2の方向に対応する色を達成し、第3の方向から見える各画素の組み合わせで、セル色データ31における第3の方向に対応する色を達成する、各画素の色を探索する。割り当て部37は、総当たりで探索しても良いし、最適化により探索しても良い。割り当て部37は、例えば、目標として、第1の方向に対して表示するRGBの値、第2の方向に対して表示するRGBの値、および第3の方向に対して表示するRGBの値を設定する。割り当て部37は、評価関数として、探索した各画素の色により実現される第1の方向に対して表示するRGBの値、第2の方向に対して表示するRGBの値、および第3の方向に対して表示するRGBの値と、目標との差分を設定する。割り当て部37は、評価関数が最小になるように、各画素に割り当てる色を決定する。
【0062】
このとき割り当て部37は、表示媒体1の仕様として、条件データ32および形状データ33を参照する。
【0063】
割り当て部37はさらに、表示媒体1が第1の方向に基準コンテンツDを表示し、第2の方向に変換コンテンツJを表示する際、上面レイヤLuと下面レイヤLbのそれぞれに設けられたマーカVuおよびVbが重なるように、上面レイヤLuと下面レイヤLbのそれぞれにマーカVuおよびVbを設けても良い。マーカVuおよびVbの形状は、例えば、各レイヤの表裏および向き、さらに上面または下面の配置位置を特定できる形状であることが好ましい。上面レイヤLuに設けられるマーカVuと、下面レイヤLbに設けられるマーカVbは、一部が共通して一部が異なり、各マーカの異なる部分で、上面レイヤLuであるか下面レイヤLbであるかが区別されても良い。ユーザは、マーカVuおよびVbの異なる部分から上面レイヤLuと下面レイヤLbを区別し、共通する部分が重なるように、下面レイヤLbの上に上面レイヤLuを重ねて、表示媒体1を製造しても良い。
【0064】
割り当て部37は、各セルの各画素に割り当てる色を決定すると、製造データ13を出力する。
【0065】
【0066】
まずステップS1においてユーザ端末2は、基準データ11を処理装置10に送信する。処理装置10は、基準データ11を取得する。
【0067】
ステップS2において処理装置10は、基準データ11から変換データ12を生成する。ステップS3において処理装置10は、基準データ11に対応する基準コンテンツDと変換データ12に対応する変換コンテンツJをそれぞれ異なる方向に表示する表示媒体1の製造データ13を生成する。
【0068】
ステップS4において処理装置10は、ユーザ端末2に製造データ13を送信する。ユーザ端末2は、製造データ13を取得すると、ステップS5において、製造データ13から表示媒体1を製造する。具体的にユーザは、製造データ13を印刷機に入力して、上面レイヤLuおよび下面レイヤLbを印刷する。ユーザは、下面レイヤLbに上面レイヤLuを重ねることで、表示媒体1を製造することができる。
【0069】
第1の実施の形態に係る表示媒体1は、異なる方向に、構図が同じで色が異なるコンテンツをそれぞれ表示することができる。ユーザに対する表示媒体1の方向を変更することで、表示媒体1はユーザに、色の変化に富んだ装飾が施されたコンテンツを表示することができる。
【0070】
また第1の実施の形態に係る処理装置10は、ユーザ端末2等から取得した任意の基準データから、表示媒体1を製造するための製造データ13を生成し、ユーザ端末2に送信することができる。これにより、表示媒体1は、例えば子供が書いた絵などの任意のコンテンツを、色の変化に富んだ装飾が施されたコンテンツとして表示することができる。
【0071】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態において、特許文献3に記載の技術を用いて表示媒体を形成する場合を説明した。第2の実施の形態において、特許文献2に記載の技術を用いて表示媒体100を形成する場合を説明する。
【0072】
第2の実施の形態に係る表示媒体100は、色の変化に富んだ装飾が施されたコンテンツを表示する。表示媒体100は、所定の仰角かつ方位角から、3つの方位角に対応する3つのコンテンツを表示する。3つのコンテンツは、基準データ11に対応する基準コンテンツDと、基準データ11と構図が同じで色を変換した2つの変換コンテンツJである。
【0073】
図8に示すように、第2の実施の形態において、表示媒体100は表面に複数のセルCを有する。
図9に示すように、セルCは、遮光性を有する突状部材と、表面に色領域を有する。セルCは、互いに異なる第1ないし第3のそれぞれの方向から視認した際、視認される色領域が異なるように形成される。ここで、色領域が異なるとは、完全に同一ではないこと意味し、完全に異なる場合のみならず、少なくとも一部が同じで一部が異なる場合も含む。表示媒体100は、第1の方向上の第1の視点から見る各セルの部分で、基準コンテンツDを、第1の方向に表示する。基準コンテンツDは、第1の視点から見える各セルの各画素で、形成される。表示媒体100は、第2の方向上の第2の視点から見る各セルの部分で、第1の変換コンテンツJaを、第2の方向に表示する。第1の変換コンテンツJaは、第2の視点から見える各セルの各画素で、形成される。表示媒体100は、第3の方向上の第3の視点から見る各セルの部分で、第2の変換コンテンツJbを、第3の方向に表示する。第2の変換コンテンツJbは、第3の視点から見える各セルの各画素で、形成される。
【0074】
図8に示すように、表示媒体100は、基材101と、基材101の上面にコンテンツの色を表現する着色部102を備える。基材101は、光を反射する面を有する。基材101は、紙などの薄いシート形状であっても良いし、立体形状であってもよい。基材101は、上面が平面であっても良いし、曲面であっても良い。
【0075】
基材101の上面は、複数のセルCに区分される。複数のセルCは、隣接して設置されても良いし、互いに離れて設置されても良い。
【0076】
図9に示すように、1つのセルCは複数のサブセルK0、K1およびK2を備える。所定の方位角に対応する各サブセルK0、K1、およびK2に、突状部材T0、T1およびT2のそれぞれが形成される。突状部材T0は、サブセルK0に形成される。突状部材T1は、サブセルK1に形成される。突状部材T2は、サブセルK2に形成される。
【0077】
突状部材T0、T1およびT2は、光を遮蔽する部材で形成される。突状部材T0、T1およびT2は、所定の方位角方向の面、より具体的には、その突状部材が形成されるサブセルに対応する方位角に平行な面を有する。
【0078】
これにより、所定の仰角かつ方位角から、所定の方位角に対応するサブセルの着色部が観察される。
【0079】
例えばユーザが、表示媒体100上のある座標を、所定の仰角ω0かつ方位角φ0で観察した場合、当該座標に対応する第1のコンテンツの座標の色値を確認できる。同様にユーザが、当該座標を、所定の仰角ω1かつ方位角φ1で観察した場合、当該座標に対応する、第1のコンテンツと異なる第2のコンテンツの座標の色値を確認できる。さらにユーザが、当該座標を、所定の仰角ω2かつ方位角φ2で観察した場合、当該座標に対応する、第1のコンテンツおよび第2のコンテンツと異なる第3のコンテンツの座標の色値を確認できる。なお、仰角ω0、ω1およびω2は、
図9に図示しないが、表示媒体100に対して同じ仰角であっても良いし、互いに異なる仰角であっても良い。
【0080】
第2の実施の形態において、
図9に示す方位角φ0で基準コンテンツDを表示し、方位角φ2で第1の変換コンテンツJaを表示し、方位角φ3で第2の変換コンテンツJbを表示する場合を説明するが、これに限らない。方位角と表示するコンテンツとの対応付けは、適宜決定される。
【0081】
図9を参照して、座標xのセルCを説明する。セルCは、サブセルK0、サブセルK1およびサブセルK2を備える。サブセルK0は、方位角φ0に対応する。サブセルK1は、方位角φ1に対応する。サブセルK2は、方位角φ2に対応する。サブセルK0に、方位角φ0の方向に平行な、3つの突状部材T0が配置される。サブセルK1に、方位角φ1の方向に平行な、2つの突状部材T1が配置される。サブセルK2に、方位角φ2の方向に平行な、3つの突状部材T2が配置される。
【0082】
突状部材Tは、所定の高さを有するので、ある仰角から表示媒体1を観察した際に、表示媒体100の表面において、突状部材Tによって遮蔽される部分と遮蔽されない部分が生じる。ユーザは、方位角φ0から観察した場合、方位角φ0と平行な突状部材T0が形成されるサブセルK0の着色部102を視認可能で、それ以外のサブセルK1またはK2の着色部102を視認しづらい。またユーザは、方位角φ1から観察した場合、方位角φ1と平行な突状部材T1が形成されるサブセルK1の着色部102を視認可能で、それ以外のサブセルK0またはK2の着色部102を視認しづらい。またユーザは、方位角φ2から観察した場合、方位角φ2と平行な突状部材T2が形成されるサブセルK2の着色部102を視認可能で、それ以外のサブセルK0またはK1の着色部102を視認しづらい。
【0083】
このような第2の実施の形態に係る表示媒体100は、3つの異なる方向に3つの異なるコンテンツを表示することができる。表示媒体100は、方位角φ0上の第1の視点に、第1の視点から見える画素で、基準コンテンツDを表示することができる。表示媒体100は、方位角φ1上の第2の視点に、第2の視点から見える画素で、第1の変換コンテンツJaを表示することができる。表示媒体100は、方位角φ2上の第3の視点に、第3の視点から見える画素で、第2の変換コンテンツJbを表示することができる。
【0084】
なお、第2の実施の形態において、ユーザは、所定の方位角から見た時、その方位角に対応するサブセルの着色部102の各画素を確認でき、その方位角に対応しないサブセルの着色部102の各画素が確認できないのが理想的ではあるが、そうならない場合がある。
【0085】
図10は、表示媒体100において遮蔽される画素および露出する画素の一例を説明する図である。
図10に示すように、サブセルK1において突状部材T1が形成される場合を考える。ユーザが、突状部材T1と平行な方位角φ1の方向から観察した場合、サブセルK1内のほぼ全部の画素を確認できる。しかしながら、サブセルK1内に配置されているにもかかわらず観察されない画素である遮蔽部K1aが形成される。また方位角φ1に対応しないサブセルK2内に配置されているにもかかわらず観察される画素である露出部K2bが形成されてしまう場合がある。そこで、後述の割り当て部37の処理において、視点毎に見える画素群を特定し、その特定された画素群で、その視点に表示するように色を割り当てる。
【0086】
次に、表示媒体100の各画素に色を割り当てる処理装置10を説明する。
【0087】
第2の実施の形態に係る処理装置10は、
図6を参照して説明した第1の実施の形態に係る処理装置10と同様の構成を備える。
【0088】
第2の実施の形態において製造データ13は、基材101の表面に対して形成される突状部材Tの位置および形状と、基材101の表面に対して印刷する位置と色を対応づける。製造装置は、例えば、突状部材Tも形成可能な3Dプリンタ等である。
【0089】
第2の実施の形態において条件データ32は、表示媒体100においてコンテンツを表示する方位角および仰角を特定するデータである。形状データ33は、表示媒体100における各セルおよび各サブセルの位置および形状、各サブセルに配置される突状部材Tの位置および形状などを特定する。
【0090】
割り当て部37は、処理対象のセル内の第1の視点から見える画素で、変換コンテンツJにおける処理対象のセルの位置の色を表示し、処理対象のセル内の第2の視点から見える画素で、第1の変換コンテンツJaにおける処理対象のセルの位置の色を表示し、処理対象のセル内の第3の視点から見える画素で、第2の変換コンテンツJbにおける処理対象のセルの位置の色を表示するように、処理対象のセル内の各画素に色を割り当てる。ここで色を割り当てる対象となる画素は、処理対象のセル内の画素のうち、突状部材が形成されない画素である。
【0091】
割り当て部37は、処理対象のセル内の画素のうち、第1の視点から見える画素群、第2の視点から見える画素群および第3の画素から見える画素群をそれぞれ特定する。例えば
図10の例において、方位角φ1から見たときに見える画素は、サブセルK2内の露出部K2bを含み、サブセルK1内の遮蔽部K1aを含まない。
【0092】
割り当て部37は、それぞれの画素群で、処理対象のセルで、各方向に表示すべき色を表現できるように、各画素に所定の色を割り当てる。
【0093】
処理装置10は、各セルについて各画素に色を割り当てる処理を繰り返し、各セルにおける画素と色の対応関係を、製造データ13に出力する。また製造データ13は、形状データ33で特定される突状部材Tの位置および形状を含む。製造データ13を、印刷機などの製造装置に入力することにより、各画素の適切な色が着色された表示媒体100が出力される。
【0094】
第2の実施の形態に係る表示媒体100は、第1の実施の形態に係る表示媒体1と同様に、ユーザに、色の変化に富んだ装飾が施されたコンテンツを表示することができる。
【0095】
(技術A)
所定の仰角かつ2つの方位角に対して、前記2つの方位角に対応する2つのコンテンツを表示可能な表示媒体であって、
光を反射する基材を備え、
前記基材を複数のセルに区分し、
前記複数のセルそれぞれを、前記2つの方位角のそれぞれに対応する3つのサブセルに区分し、
所定の方位角に対応する各サブセルに、光を遮蔽する、前記所定の方位角方向の面を有する突状部材が、形成され、
前記所定の仰角かつ方位角から、前記所定の方位角に対応するサブセルが観察され、
複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、基準コンテンツを表示し、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、基準コンテンツと構図が同じで色を変換した変換コンテンツを表示する
表示媒体。
【0096】
(技術B)
技術Aに記載の表示媒体の各画素に色を割り当てる処理装置であって、
前記表示媒体は複数のセルを備え、
基準データを取得する取得部と、
前記基準データを、構図が同じで色を変換した変換データに変換する変換部と、
前記基準データおよび変換データにおいて、所定セルで表示する各色を算出する算出部と、
前記所定セル内の前記第1の視点から見える画素で、前記基準データについて算出された色を表示し、
前記所定セル内の前記第2の視点から見える画素で、前記変換コンテンツについて算出された色を表示するように、
前記所定セル内の各画素に色を割り当てる割り当て部と、
前記割り当て部で割り当てられた色を表示する表示媒体を製造するための製造データを生成する生成部
を備える処理装置。
【0097】
(第3の実施の形態)
図11は、第3の実施の形態に係る表示媒体200の斜視図である。第1の実施の形態において、特許文献3に記載の技術を用いて表示媒体を形成する場合を説明した。第3の実施の形態において、特許文献4に記載の技術を用いて表示媒体200を形成する場合を説明する。
【0098】
第3の実施の形態に係る表示媒体200は、色の変化に富んだ装飾が施されたコンテンツである。表示媒体200は、所定の仰角かつ方位角から、3つの方位角に対応する3つのコンテンツを表示する。
【0099】
第3の実施の形態において表示媒体200の表面に複数のセルCを有する。セルCは、セルC上の空間を3つ方向に放射状に区分し、色領域を有するパーティションを備える。セルCは、第1ないし第3のそれぞれの方向から視認した際、視認される色領域が異なるように形成される。ここで、色領域が異なるとは、完全に同一ではないこと意味し、完全に異なる場合のみならず、少なくとも一部が同じで一部が異なる場合も含む。表示媒体200は、第1の方向上の第1の視点から見る各セルの部分で、基準コンテンツDを、第1の方向に表示する。基準コンテンツDは、第1の視点から見える各セルの各画素で、形成される。表示媒体200は、第2の方向上の第2の視点から見る各セルの部分で、第1の変換コンテンツJaを、第2の方向に表示する。第1の変換コンテンツJaは、第2の視点から見える各セルの各画素で、形成される。表示媒体200は、第3の方向上の第3の視点から見る各セルの部分で、第2の変換コンテンツJbを、第3の方向に表示する。第2の変換コンテンツJbは、第3の視点から見える各セルの各画素で、形成される。
【0100】
図11に示すように、表示媒体200は、基材201を備える。基材201は、紙などの薄いシート形状であっても良いし、立体形状であってもよい。基材201は、上面が平面であっても良いし、曲面であっても良い。
【0101】
基材101の上面は、複数のセルCに区分される。複数のセルは、隣接して設置されても良いし、互いに離れて設置されても良い。
【0102】
図12(a)は、表示媒体200に用いられるパーティションPの正面図である。
図12(b)は、パーティションPの右側面図である。1つのセルCに、1つのパーティションPが設けられる。パーティションPは、基材201と交わる平面上に形成される面であって、3つの方向のそれぞれから表示媒体200を観察した際に露出する部分を有する。パーティションPは、表面に、複数の画素を有する。
【0103】
図13は、表示媒体200に用いられるパーティションPの断面図である。
図13に示すように、パーティションPは、セルC上の点CSから、セルC上の空間を3つの方向毎に放射状に区分するように形成される。第3の実施の形態においてパーティションPは、表示媒体200の上方のX軸上の第1の視点、第2の視点および第3の視点を区分する。パーティションPは、セルCの外縁に接し、隣接するセルのパーティションと接続しないように設けられても良い。あるいはパーティションPは、隣接するセルCのパーティションと接続するように設けられても良い。
【0104】
パーティションPの骨格は、3つの方向の各方向上に仮想的に設けられる点を母点としたボロノイ図におけるボロノイ面の一部である。
【0105】
パーティションPの表面に複数の画素を有する。表示媒体200は、複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、基準コンテンツDを表示する。表示媒体200は、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、第1の変換コンテンツJaを表示する。表示媒体200は、複数の画素のうち第3の視点から見える画素で、第2の変換コンテンツJbを表示する。
【0106】
図13を参照して、パーティションPの形状を説明する。第3の実施の形態において、コンテンツを表示する方向上に仮想的に設けられる母点に対するボロノイ図が、仮想的に形成される。パーティションPは、ボロノイ図におけるボロノイ面を骨格に含む。パーティションPは、骨格であるボロノイ面に肉付けしたものである。パーティションPの表面は、ボロノイ面に平行な面を含む。
【0107】
図13に示す例において、3つの視点E1、E2およびE3が設けられる。各視点E1、E2およびE3からセルCの中心Csを視認する際の視線上に、母点H1、H2およびH3が設けられる。母点H1、H2およびH3は、セルCの中心Csを中心とする所定の半径の仮想球体上に設けられる。
【0108】
パーティションPは、2つの遮蔽部材W1およびW2を有する。遮蔽部材W1およびW2は、パーティションPが設置されたセルC上の空間を、3つの領域に区分する。
【0109】
遮蔽部材W1は、ボロノイ面Q1を骨格とし、厚みlの肉付けをしたものである。遮蔽部材W2は、ボロノイ面Q2を骨格とし、厚みlの肉付けをしたものである。また遮蔽部材W1の先端は、半径lとなる円状に形成する。
【0110】
遮蔽部材W1は、セルC上の空間を、視点E1に対応する空間A1と、視点E2に対応する空間A2に区分する。遮蔽部材W2は、セルC上の空間を、視点E2に対応する空間A2と、視点E2に対応する空間A3に区分する。
【0111】
パーティションPの表面のうち、3つの方向のうち所定の指定方向から表示媒体200を観察した際に露出する部分は、3つの指定方向のうち所定の指定方向以外の方向から表示媒体200を観察すると遮蔽される部分を有する。パーティションPの表面のある画素Fは、3つの方向のうちの1以上の方向に対して露出する場合でも、その他の指定方向からは見えない場合がある。パーティションPの表面は、露出する方向に対応するコンテンツの色を表現する。これにより表示媒体200は、複数の指定方向に対して、異なるコンテンツの一部を表現することが可能になるので、広色域かつ高輝度な複数のコンテンツを表示することができる。
【0112】
例えば
図13に示す例において、遮蔽部材W1の空間A1側の面は、視点E1から視認できる一方、視点E2または視点E3から視認できない部分を有する。遮蔽部材W1の空間A2側の面は、視点E2から視認できる一方、視点E1または視点E3からの視認できない部分を有する。遮蔽部材W2の空間A2側の面は、視点E2から視認できる一方、視点E1または視点E3から視認できない部分を有する。遮蔽部材W2の空間A3側の面は、視点E3から視認できる一方、視点E1または視点E2からの視認できない部分を有する。
【0113】
パーティションPが有する各面は、3つの方向のうちの1つの方向から視認しやすく、それ以外の2つの方向から視認しにくく形成される。パーティションPが有する各面は、1つの方向に対してコンテンツを形成する色を発する効果と、その方向以外から遮蔽する効果を両立する。これにより表示媒体200は、3つの方向に対して、異なるコンテンツを表示することができる。また表示媒体200は、3つの方向に対して色域が広く輝度の高いコンテンツを表示することができる。パーティションPの各面は、指定方向以外からの視線の影響が抑制されるので、指定方向から観察される面に、好適な色を与えることができる。
【0114】
次に、表示媒体200の各画素に色を割り当てる処理装置を説明する。処理装置は、
図6に示す第1の実施の形態に係る処理装置10と同様の構成を有する。
【0115】
第3の実施の形態において製造データ13は、基材201の表面に対して形成されるパーティションPの位置および形状と、パーティションのPの表面に対して印刷する位置と色を対応づける。製造装置は、例えば、パーティションPも形成可能な3Dプリンタ等である。
【0116】
第3の実施の形態において条件データ32は、表示媒体200においてコンテンツを表示する方位角および仰角を特定するデータである。形状データ33は、表示媒体200における各セルおよび各パーティションPの位置および形状などを特定する。
【0117】
第3の実施の形態における割り当て部37の処理は、第2の実施の形態における割り当て部37の処理と同様である。
【0118】
処理装置10は、各セルについて各画素に色を割り当てる処理を繰り返し、各セルにおける画素と色の対応関係を、製造データ13に出力する。製造データ13を、印刷機などの製造装置に入力することにより、各画素の適切な色が着色された表示媒体200が出力される。
【0119】
第3の実施の形態に係る表示媒体200は、第1または第2の実施の形態に係る表示媒体と同様に、ユーザに、色の変化に富んだ装飾が施されたコンテンツを表示することができる。
【0120】
(技術C)
2つの方向に、それぞれ異なる2つのコンテンツを表示する表示媒体であって、
複数の仮想的なセルを備える基材と、
前記セルに、前記基材と交わる平面上に形成される面であって、3つの方向のそれぞれから前記表示媒体を観察した際に露出する部分を有するパーティションを備え、
前記パーティションの骨格は、前記複数の方向の各方向上に仮想的に設けられる点を母点としたボロノイ図におけるボロノイ面の一部を含み、
前記パーティションに設けられる複数の画素のうち第1の視点から見える画素で、基準コンテンツを表示し、複数の画素のうち第2の視点から見える画素で、基準コンテンツと構図が同じで色を変換した変換コンテンツを表示する
表示媒体。
【0121】
(技術D)
技術Cに記載の表示媒体の各画素に色を割り当てる処理装置であって、
前記表示媒体は複数のセルを備え、
基準データを取得する取得部と、
前記基準データを、構図が同じで色を変換した変換データに変換する変換部と、
前記基準データおよび変換データにおいて、所定セルで表示する各色を算出する算出部と、
前記所定セルのパーティションの前記第1の視点から見える画素で、前記基準データについて算出された色を表示し、
前記所定セルのパーティションの前記第2の視点から見える画素で、前記変換コンテンツについて算出された色を表示するように、
前記所定セルのパーティションの各画素に色を割り当てる割り当て部と、
前記割り当て部で割り当てられた色を表示する表示媒体を製造するための製造データを生成する生成部
を備える処理装置。
【0122】
上記説明した本実施形態の処理装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)901と、メモリ902と、ストレージ903(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)と、通信装置904と、入力装置905と、出力装置906とを備える汎用的なコンピュータシステムが用いられる。このコンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされたプログラムを実行することにより、処理装置10の各機能が実現される。なお処理装置10も、処理装置10と同様に、汎用的なコンピュータシステムが用いられる。
【0123】
なお、処理装置10は、1つのコンピュータで実装されてもよく、あるいは複数のコンピュータで実装されても良い。また処理装置10は、コンピュータに実装される仮想マシンであっても良い。
【0124】
処理装置10のプログラムは、HDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD (Compact Disc)、DVD (Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。コンピュータ読取り可能な記録媒体は、例えば非一時的な(non-transitory)記録媒体である。
【0125】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0126】
本開示で述べた各機能部の任意の一部または全部は、プログラムによって実現されてもよい。本開示で言及したプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に非一時的に記録して頒布されてもよいし、インターネットなどの通信回線(無線通信も含む)を介して頒布されてもよいし、任意の端末にインストールされた状態で頒布されてもよい。
【0127】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本開示の追加の効果や種々の変形例を想到できるかもしれないが、本開示の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更または部分的削除が、可能である。
【0128】
例えば、本開示において1台の装置(あるいは部材、以下同じ)として説明されるもの(図面において1台の装置として描かれているものを含む)は、複数の装置によって実現されてもよい。逆に、本開示において複数の装置として説明されるもの(図面において複数の装置として描かれているものを含む)が、1台の装置によって実現されてもよい。あるいは、ある装置に含まれるとした手段や機能の一部または全部が、他の装置に含まれるようにしてもよい。また、「システム」は、1台の装置から構成されてもよいし、2以上の装置から構成されてもよい。
【0129】
また、本開示に記載された事項の全てが、必須の要件ではない。特に、本開示に記載され、特許請求の範囲に記載されていない事項は、任意の付加的事項ということができる。
【0130】
なお、本出願人は本開示の「先行技術文献」欄の文献に記載された文献公知発明を知っているにすぎず、本開示は必ずしも同文献公知発明における課題を解決することを目的とするものではないことにも留意されたい。本開示が解決しようとする課題は、本開示全体を考慮して認定されるべきものである。例えば、本開示において、特定の構成によって所定の効果を奏する旨の記載がある場合、当該所定の効果の裏返しとなる課題が解決されるということもできる。ただし、必ずしもそのような特定の構成を必須の要件とする趣旨ではない。
【符号の説明】
【0131】
1,100,200 表示媒体
2 ユーザ端末
10 処理装置
11 基準データ
12 変換データ
13 製造データ
21 取得部
22 変換部
23 生成部
31 セル色データ
32 条件データ
33 形状データ
36 算出部
37 割り当て部
101,201,M 基材
901 CPU
902 メモリ
903 ストレージ
904 通信装置
905 入力装置
906 出力装置
A 空間
C セル
D 基準コンテンツ
E 視点
G 色領域
H 母点
J 変換コンテンツ
K サブセル
L レイヤ
N 透明層
P パーティション
Q ボロノイ面
T 突状部材
V マーカ
W 遮蔽部材
φ 方位角
【要約】
【課題】変化に富んだ装飾が施されたコンテンツを表示する。
【解決手段】表示媒体1は、第1の方向に、基準コンテンツDを表示し、第2の方向に、基準コンテンツDと構図が同じで色を変換した変換コンテンツJを表示する。
【選択図】
図1