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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】挿入装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
A61B1/00 682
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023501963
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007400
(87)【国際公開番号】W WO2022180798
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 正
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002585(WO,A1)
【文献】特開2017-217080(JP,A)
【文献】特開2020-137072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0078583(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に挿入される挿入部と、
撮像素子及び光学素子を有し、前記挿入部の先端に配置され、前記被検体内を撮像することによって画像信号を生成する撮像ユニットと、
前記挿入部における前記撮像ユニットの基端側に隣接した状態で配置され、前記画像信号をミリ波もしくはサブミリ波に載せることによって送信する送信部と、
前記挿入部における前記送信部の基端側に、先端面を前記送信部に向けた状態で前記送信部から離間した位置に配置され、前記ミリ波もしくはサブミリ波を伝搬する導波管と、を備え
前記挿入部は、
前記挿入部の長手方向の一部に設けられ、湾曲可能とする湾曲部を備え、
前記撮像ユニット及び送信部は、
前記湾曲部よりも先端側に設けられ、
前記導波管の先端面は、
前記湾曲部よりも基端側に設けられる挿入装置。
【請求項2】
前記導波管は、
可撓性を有する請求項1に記載の挿入装置。
【請求項3】
前記導波管は、
棒状の誘電体からなる芯材と、
前記芯材の外周に設けられ、平箔糸を組紐状に組んで形成した外導体と、を備える請求項に記載の挿入装置。
【請求項4】
前記湾曲部には、
空気または誘電体によって構成され、前記送信部から前記導波管の先端面に至る伝送路が設けられている請求項に記載の挿入装置。
【請求項5】
前記挿入部は、
前記湾曲部の基端側に連結され、可撓性を有する可撓管を備え、
前記導波管は、
可撓性を有し、前記可撓管内に挿通され、前記挿入部の基端側に向けて前記画像信号を伝搬する請求項に記載の挿入装置。
【請求項6】
前記挿入部の基端側に連結され、ユーザ操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記導波管は、
少なくとも前記操作部まで延設されている請求項1に記載の挿入装置。
【請求項7】
前記撮像ユニットは、
前記挿入部の先端よりもさらに先端側の外部に配置されるとともに、前記挿入部の先端に対して変位することによって撮像視野を変更可能とする請求項1に記載の挿入装置。
【請求項8】
前記撮像ユニットは、
前記挿入部の先端に対して、前記挿入部の長手方向に直交する回動軸を中心として回動することによって撮像視野を変更可能とする請求項に記載の挿入装置。
【請求項9】
前記導波管は、
他の挿入装置に設けられた送信部から送信されるミリ波もしくはサブミリ波を伝搬可能とする請求項に記載の挿入装置。
【請求項10】
被検体内に挿入される挿入部と、
前記挿入部の先端に配置された先端ユニットと、
前記挿入部における前記先端ユニットの基端側に配置され、前記先端ユニットを前記挿入部の長手軸に対して変位させる変位部と、
前記挿入部における前記変位部の基端側に配置された可撓管と、
撮像素子及び光学素子を有し、前記先端ユニットに配置され、前記被検体内を撮像することによって画像信号を生成する撮像ユニットと、
前記先端ユニットにおける前記撮像ユニットの基端側に隣接して配置され、前記画像信号をミリ波もしくはサブミリ波に載せることによって送信する送信部と、
前記可撓管内に挿通され、前記先端ユニットとの間で前記変位部を挟んだ状態で、かつ、先端面を前記送信部に向けた状態で、前記ミリ波もしくはサブミリ波を伝搬する可撓性導波管と、を備え
前記挿入部は、
前記挿入部の長手方向の一部に設けられ、湾曲可能とする湾曲部を備え、
前記撮像ユニット及び送信部は、
前記湾曲部よりも先端側に設けられ、
前記導波管の先端面は、
前記湾曲部よりも基端側に設けられる挿入装置。
【請求項11】
被検体内に挿入される挿入部と、
撮像素子及び光学素子を有し、前記挿入部の先端よりも先端側の外部において、前記挿入部の先端に対して変位可能に配置され、前記被検体内を撮像することによって画像信号を生成する撮像ユニットと、
前記撮像ユニットの基端側に隣接した状態で配置され、前記画像信号をミリ波もしくはサブミリ波に載せることによって送信する送信部と、
前記挿入部の先端部に、先端面を前記送信部に向けた状態で配置され、前記ミリ波もしくはサブミリ波を伝搬する導波管と、を備え
前記挿入部は、
前記挿入部の長手方向の一部に設けられ、湾曲可能とする湾曲部を備え、
前記撮像ユニット及び送信部は、
前記湾曲部よりも先端側に設けられ、
前記導波管の先端面は、
前記湾曲部よりも基端側に設けられる挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先端に撮像ユニットが設けられ、被検体内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、当該撮像ユニットからの画像信号を処理する制御装置とを備えた内視鏡システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の内視鏡システムでは、撮像ユニットと制御装置との間をリードワイヤによって接続し、撮像ユニットからの画像信号を当該リードワイヤによって制御装置に向けて伝送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-121590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図10は、従来の課題を説明する図である。具体的に、図10は、電気インターコネクション(リードワイヤによる接続)による伝送が可能な伝送距離と伝送速度との関係を示している。
しかしながら、特許文献1に記載の内視鏡システムでは、撮像ユニットと制御装置との間をリードワイヤによって接続しているため、伝送経路の長さを1~2m程度とした場合には、2.5Gbps程度の伝送速度が限界となってしまう。また、撮像ユニットとリードワイヤとの接合部が挿入部における先端部分の細径化を阻害してしまう。
そこで、伝送速度の限界を克服しつつ、挿入部における先端部分の細径化を図ることができる技術が要望されている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、伝送速度の限界を克服しつつ、挿入部における先端部分の細径化を図ることができる挿入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る挿入装置は、被検体内に挿入される挿入部と、撮像素子及び光学素子を有し、前記挿入部の先端に配置され、前記被検体内を撮像することによって画像信号を生成する撮像ユニットと、前記挿入部における前記撮像ユニットの基端側に隣接した状態で配置され、前記画像信号をミリ波もしくはサブミリ波に載せることによって送信する送信部と、前記挿入部における前記送信部の基端側に、先端面を前記送信部に向けた状態で前記送信部から離間した位置に配置され、前記ミリ波もしくはサブミリ波を伝搬する導波管と、を備え、前記挿入部は、前記挿入部の長手方向の一部に設けられ、湾曲可能とする湾曲部を備え、前記撮像ユニット及び送信部は、前記湾曲部よりも先端側に設けられ、前記導波管の先端面は、前記湾曲部よりも基端側に設けられる
【0007】
本発明に係る挿入装置は、被検体内に挿入される挿入部と、前記挿入部の先端に配置された先端ユニットと、前記挿入部における前記先端ユニットの基端側に配置され、前記先端ユニットを前記挿入部の長手軸に対して変位させる変位部と、前記挿入部における前記変位部の基端側に配置された可撓管と、撮像素子及び光学素子を有し、前記先端ユニットに配置され、前記被検体内を撮像することによって画像信号を生成する撮像ユニットと、前記先端ユニットにおける前記撮像ユニットの基端側に隣接して配置され、前記画像信号をミリ波もしくはサブミリ波に載せることによって送信する送信部と、前記可撓管内に挿通され、前記先端ユニットとの間で前記変位部を挟んだ状態で、かつ、先端面を前記送信部に向けた状態で、前記ミリ波もしくはサブミリ波を伝搬する可撓性導波管と、を備え、前記挿入部は、前記挿入部の長手方向の一部に設けられ、湾曲可能とする湾曲部を備え、前記撮像ユニット及び送信部は、前記湾曲部よりも先端側に設けられ、前記導波管の先端面は、前記湾曲部よりも基端側に設けられる
【0008】
本発明に係る挿入装置は、被検体内に挿入される挿入部と、撮像素子及び光学素子を有し、前記挿入部の先端よりも先端側の外部において、前記挿入部の先端に対して変位可能に配置され、前記被検体内を撮像することによって画像信号を生成する撮像ユニットと、前記撮像ユニットの基端側に隣接した状態で配置され、前記画像信号をミリ波もしくはサブミリ波に載せることによって送信する送信部と、前記挿入部の先端部に、先端面を前記送信部に向けた状態で配置され、前記ミリ波もしくはサブミリ波を伝搬する導波管と、を備え、前記挿入部は、前記挿入部の長手方向の一部に設けられ、湾曲可能とする湾曲部を備え、前記撮像ユニット及び送信部は、前記湾曲部よりも先端側に設けられ、前記導波管の先端面は、前記湾曲部よりも基端側に設けられる
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る挿入装置によれば、伝送速度の限界を克服しつつ、挿入部における先端部分の細径化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムの構成を示す図である。
図2図2は、内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
図3図3は、可撓性導波管の配設位置を説明する図である。
図4図4は、実施の形態2に係る内視鏡を示す図である。
図5図5は、実施の形態3に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
図6図6は、実施の形態3に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
図7図7は、実施の形態3に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
図8図8は、実施の形態3に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
図9図9は、実施の形態3の変形例を示す図である。
図10図10は、従来の課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0012】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの構成〕
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システム1の構成を示す図である。図2は、内視鏡システム1の要部の構成を示す図である。
内視鏡システム1は、例えば医療分野において用いられ、被検体内(生体内)を観察するシステムである。この内視鏡システム1は、図1または図2に示すように、内視鏡2と、表示装置3(図1)と、光源装置4(図1)と、制御装置5とを備える。
【0013】
内視鏡2は、本発明に係る挿入装置に相当する。この内視鏡2は、一部が生体内に挿入され、当該生体内から反射された被写体像を撮像し、当該撮像によって生成した画像信号を出力する。そして、内視鏡2は、図1に示すように、挿入部21と、操作部22と、ユニバーサルコード23と、コネクタ部24と、導波管25(図2参照)とを備える。
挿入部21は、少なくとも一部が可撓性を有し、生体内に挿入される部分である。この挿入部21は、図1または図2に示すように、先端ユニット211と、湾曲部212と、可撓管213とを備える。
【0014】
先端ユニット211は、挿入部21の先端に配置されている。この先端ユニット211は、図2に示すように、先端硬性部2111と、照明光学系(図示略)と、撮像ユニット2112と、ドライバIC(Integrated Circuit)2113とを備える。
先端硬性部2111は、例えば樹脂材料から構成された硬質部材である。
【0015】
照明光学系は、先端硬性部2111に対して支持されている。この照明光学系は、挿入部21内に引き回されたライトガイド(図示略)の一端に対向し、当該ライトガイドによって伝達された光を当該挿入部21の先端から生体内に照射する。
撮像ユニット2112は、先端硬性部2111に対して支持されている。この撮像ユニット2112は、撮像光学系2112aと、撮像素子2112bとを備える。
撮像光学系2112aは、本発明に係る光学素子に相当する。この撮像光学系2112aは、照明光学系から生体内に照射され、当該生体内から反射された光(被写体像)を取り込み、撮像素子2112bの撮像面に結像する。
【0016】
撮像素子2112bは、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子であり、撮像光学系2112aによって結像された被写体像を撮像し、当該撮像によって生成した画像信号を出力する。
この撮像素子2112bには、図2に示すように、制御装置5から当該撮像素子2112bに向けて出力される制御信号を伝送する制御信号線L1と、制御装置5から当該撮像素子2112bに対して供給される電力を伝送する電源線L2及びグランド線L3とが接続されている。
【0017】
ドライバIC2113は、撮像ユニット2112の基端側に隣接した状態で配置され、制御装置5による制御の下、撮像素子2112bを駆動するとともに、当該撮像素子2112bから出力された画像信号を送信する部分である。このドライバIC2113は、図2に示すように、アナログフロントエンド(AFE)2113aと、タイミングジェネレータ(TG)2113bと、送信回路2113cとを備える。
AFE2113aは、撮像素子2112bから出力される画像信号(アナログ信号)に対してノイズ除去及びA/D変換を行う。
TG2113bは、撮像素子2112bの駆動タイミング及びAFE2113a等における各種信号処理のパルスを発生する。
【0018】
送信回路2113cは、本発明に係る送信部に相当する。この送信回路2113cは、例えばMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)によって形成されたミリ波もしくはサブミリ波(以下、「ミリ波・サブミリ波」と称す)を用いた通信回路であり、制御装置5との間で通信を行う。具体的に、送信回路2113cは、AFE2113aから出力される画像信号をミリ波・サブミリ波に載せることによって、当該送信回路2113cに対して接続されたアンテナ2113dから送信する。そして、送信回路2113c(アンテナ2113d)から送信されたミリ波・サブミリ波は、導波管25によって制御装置5まで伝搬される。当該ミリ波は1~10mm程度の波長を、サブミリ波は0.1mm~1mm程度の波長を有する電波である。
【0019】
以上説明したドライバIC2113には、図2に示すように、制御装置5から当該ドライバIC2113に向けて出力される制御信号を伝送する制御信号線L1と、制御装置5から当該ドライバIC2113に対して供給される電力を伝送する電源線L2及びグランド線L3とが接続されている。
【0020】
湾曲部212は、先端ユニット211の基端側(操作部22側)に連結されている。言い換えれば、先端ユニット211は、湾曲部212よりも先端側に設けられている。この湾曲部212は、具体的な図示は省略したが、複数の湾曲駒が連結された構成を有し、湾曲可能とする。
可撓管213は、湾曲部212の基端側(操作部22側)に連結され、可撓性を有する長尺形状を有する。
【0021】
操作部22は、挿入部21における基端部分に対して接続されている。そして、操作部22は、内視鏡2に対する各種の操作を受け付ける。この操作部22には、図1または図2に示すように、複数の操作部材221と、湾曲ノブ222とが設けられている。
複数の操作部材221は、各種操作を受け付けるボタン等によって構成されている。
湾曲ノブ222は、ユーザ操作に応じて回動可能に構成されている。そして、湾曲ノブ222は、回動することによって、挿入部21内に配設された金属製または樹脂製のワイヤ等の湾曲機構(図示略)を動作させる。これによって、湾曲部212は、湾曲する。
【0022】
ユニバーサルコード23は、操作部22から挿入部21の延在方向とは異なる方向に延在し、上述したライトガイド、導波管25、制御信号線L1、電源線L2、及びグランド線L3等が配設されたコードである。
コネクタ部24は、ユニバーサルコード23の端部に設けられ、光源装置4及び制御装置5に対して着脱自在に接続される。
【0023】
導波管25は、可撓性を有する長尺状の導波管であり、一端から他端に向けてミリ波・サブミリ波を伝搬する。すなわち、導波管25は、本発明に係る導波管の他、可撓性導波管に相当する。この導波管25は、図2に示すように、芯材251と、外導体252とを備える。
芯材251は、導波管25の長手方向に誘電率が均一になる状態で延出された棒状の誘電体によって構成されている。
外導体252は、芯材251の外周に設けられ、平箔糸を組紐状に組むことによって形成された導体である。
なお、導波管25の配設位置については、後述する「導波管の配設位置」において説明する。
【0024】
表示装置3は、LCD(Liquid Crystal Display)、またはEL(Electro Luminescence)ディスプレイ等であり、制御装置5による制御の下、所定の画像を表示する。
光源装置4は、照明光を出射する。そして、光源装置4から出射された照明光は、コネクタ部24、ユニバーサルコード23、操作部22、及び挿入部21に引き回された上述したライトガイド及び照明光学系を経由した後、当該挿入部21の先端から生体内に向けて照射される。
【0025】
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含んで構成され、表示装置3及び光源装置4の動作を統括的に制御する。この制御装置5は、図2に示すように、受信回路51と、画像信号処理回路52と、電源供給回路53とを備える。
受信回路51は、送信回路2113cと同様に、例えばMMICによって形成されたミリ波・サブミリ波を用いた通信回路であり、アンテナ511を通して、当該送信回路2113cとの間で通信を行う。すなわち、受信回路51は、送信回路2113c(アンテナ2113d)から送信され、導波管25によって伝搬されたミリ波・サブミリ波に載った画像信号をアンテナ511によって受信する。そして、受信回路51は、当該受信した画像信号を画像信号処理回路52に出力する。
【0026】
画像信号処理回路52は、受信回路51から出力された画像信号に対して所定の処理を施して内視鏡画像を生成する。そして、画像信号処理回路52は、表示装置3の動作を制御し、当該表示装置3に当該内視鏡画像等を表示させる。
また、画像信号処理回路52は、撮像素子2112b及びドライバIC2113を制御するための制御信号(例えば、クロック信号及び同期信号等)を生成し、制御信号線L1を通して当該撮像素子2112b及び当該ドライバIC2113に対して出力する。
【0027】
電源供給回路53は、撮像素子2112b及びドライバIC2113を駆動するための電源を生成し、電源線L2及びグランド線L3を通して当該撮像素子2112b及び当該ドライバIC2113に対して供給する。
なお、本実施の形態1では、光源装置4と制御装置5とが別体で構成されているが、1つの筐体内に一体的に設けても構わない。
【0028】
〔導波管の配設位置〕
図3は、導波管25の配設位置を説明する図である。
導波管25の一端は、図2に示すように、コネクタ部24に位置する。そして、コネクタ部24を制御装置5に対して取り付けると、導波管25の一端は、アンテナ511に対向する。
そして、導波管25は、先端ユニット211の基端側に、他端を送信回路2113cに向けた状態で当該送信回路2113cから離間した位置に配置されている。本実施の形態1では、導波管25は、内視鏡2内において、コネクタ部24~ユニバーサルコード23~操作部22~可撓管213の経路を辿って、湾曲部212よりも基端側の位置まで引き回されている。そして、導波管25の他端は、図2または図3に示すように、可撓管213内に固定される。このため、送信回路2113c(アンテナ2113d)から送信されたミリ波・サブミリ波は、湾曲部212内の空気からなる伝送路を経由した後、導波管25の他端から当該導波管25内に導入され、当該導波管25によって受信回路51(アンテナ511)まで伝搬される。
なお、湾曲部212内における上述した伝送路としては、上述したように何も配設せずに空気によって構成してもよく、あるいは、充填された誘電体によって構成しても構わない。
【0029】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態1に係る内視鏡2では、先端ユニット211から画像信号をミリ波・サブミリ波に載せることによって送信するとともに、当該先端ユニット211から離間した位置に配置された導波管25を利用することによって当該ミリ波・サブミリ波を伝搬する。
すなわち、ミリ波・サブミリ波及び導波管25を利用することによって、従来の伝送経路をリードワイヤとした場合での伝送速度の限界を克服することができる。また、先端ユニット211と導波管25との接合が不要となるため、当該先端ユニット211への接合部を減少させ、挿入部21における先端部分の細径化を図ることができる。
【0030】
特に、導波管25は、可撓性を有し、可撓管213内に挿通されている。このため、可撓管213とともに導波管25を適度に撓ませることができる。すなわち、導波管25を搭載した場合であっても、挿入部21の使い勝手を損なうことがない。
また、導波管25は、湾曲部212よりも基端側に設けられている。すなわち、湾曲部212内には、何も設けられていない。このため、導波管25を搭載した場合であっても、湾曲部212を円滑に湾曲させることができる。導波管25の先端側を、例えば湾曲部212の基端側と可撓管213とを接続するための不図示の口金に固定することにより、挿入部21の内部における導波管25の先端位置が安定する。
【0031】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図4は、実施の形態2に係る内視鏡2Aを示す図である。
本実施の形態2に係る内視鏡2Aでは、図4に示すように、上述した実施の形態1において説明した内視鏡2に対して、操作部22が挿入部21側とユニバーサルコード23側とで2体に分割可能に構成されている。なお、具体的な図示は省略したが、上述したライトガイド、導波管25、制御信号線L1、電源線L2、グランド線L3は、操作部22における上述した分割位置において、それぞれコネクタによって2体に分割可能に構成されている。
【0032】
以上説明した本実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本実施の形態2に係る内視鏡2Aでは、操作部22が挿入部21側とユニバーサルコード23側とで2体に分割可能とする。このため、内視鏡2Aにおいて、当該分割された2体のうち、ユニバーサルコード23側をリユース部分とし、挿入部21側をシングルユース部分とすることができる。
【0033】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図5ないし図8は、実施の形態3に係る内視鏡システム1Bの要部の構成を示す図である。具体的に、図5は、腹腔鏡手術時における腹腔内を示す図である。そして、図5では、腹腔内に、内視鏡システム1Bを構成する内視鏡2Bにおける挿入部21Bの他、3つの処置具TT1~TT3の各先端部分が挿入されている。図6及び図7は、内視鏡システム1Bを構成する内視鏡2Bにおける挿入部21Bの先端部分(図5の破線の円で示した部分)を示す図である。図8は、内視鏡システム1Bを構成する表示装置3Bを示す図である。
【0034】
本実施の形態3に係る内視鏡システム1Bでは、図5ないし図8に示すように、上述した実施の形態1において説明した内視鏡システム1に対して、以下の点を変更している。
すなわち、内視鏡システム1Bでは、上述した実施の形態1において説明した内視鏡2の代わりに、図5ないし図7に示すように、先端ユニット211とは異なる構成の先端ユニット211Bが搭載された内視鏡2Bを採用している。
また、内視鏡システム1Bでは、上述した実施の形態1において説明した表示装置3の代わりに、図8に示すように、ヘッドアップディスプレイによって構成した表示装置3Bを採用している。
【0035】
先端ユニット211Bは、挿入部21の先端に配置されている。本実施の形態2では、先端ユニット211Bは、図6または図7に示すように、挿入部21の先端よりもさらに先端側の外部に配置されている。
ここで、先端ユニット211Bでは、上述した実施の形態1において説明した先端ユニット211と略同様の構成を有しているが、ステレオカメラの機能を有している点が異なる。すなわち、先端ユニット211Bでは、上述した実施の形態1において説明した撮像ユニット2112の代わりに、図6または図7に示すように、左目用撮像ユニット2112Lと、右目用撮像ユニット2112Rとが採用されている。なお、左,右目用撮像ユニット2112L,2112Rの構成については、具体的な図示は省略したが、撮像ユニット2112と同様の構成である。これら左,右目用撮像ユニット2112L,2112Rは、先端ユニット211Bの長手方向に沿って並設されている。そして、左,右目用撮像ユニット2112L,2112Rは、互いに視差のある左目用画像信号(左目用画像)及び右目用画像信号(右目用画像)をそれぞれ生成する。
【0036】
また、先端ユニット211Bでは、具体的な図示は省略したが、上述した実施の形態1において説明したドライバIC2113の代わりに、左,右目用撮像ユニット2112L,2112Rにそれぞれ対応するドライバICが採用されている。なお、先端ユニット211Bでは、1つのみの送信回路が設けられている。
そして、先端ユニット211Bでは、当該送信回路は、各ドライバICを構成するAFEからそれぞれ出力される左,右目用画像信号をミリ波・サブミリ波にそれぞれ載せることによって、当該送信回路に対して接続されたアンテナから送信する。当該ミリ波・サブミリ波は、上述した実施の形態1と同様に、導波管25によって制御装置5まで伝搬される。制御装置5は、当該ミリ波・サブミリ波に載った左,右目用画像信号を受信した後、左目用画像信号に基づく左目用画像、及び右目用画像信号に基づく右目用画像から例えばサイドバイサイド方式等の3次元映像信号を生成し、表示装置3Bに対して出力する。そして、表示装置3Bは、当該3次元映像信号に基づく左目用画像及び右目用画像を3D表示する。
【0037】
以上説明した先端ユニット211Bは、挿入部21の先端に対して変位することによって撮像視野を変更可能とする。具体的に、先端ユニット211Bは、挿入部21の長手方向に直交する回動軸Ax1(図6図7)を中心として回動することによって撮像視野を変更可能とする。例えば、先端ユニット211Bは、操作部材221へのユーザ操作に応じて、回動軸Ax1を中心として回動する。例えば、先端ユニット211Bは、生体内への挿入部21の挿入時には、当該ユーザ操作に応じて、回動軸Ax1を中心として回動することによって、その長手方向が挿入部21の長手方向と略同一の方向となる姿勢に設定される。そして、先端ユニット211Bは、内視鏡システム1Bの使用時には、当該ユーザ操作に応じて、その長手方向が挿入部21の長手方向と略直交する方向となる姿勢に設定される。
【0038】
ここで、表示装置3Bには、具体的な図示は省略したが、当該表示装置3Bの姿勢を検出するジャイロセンサ等の検出センサが設けられている。そして、検出センサは、検出した表示装置3Bの姿勢を示す信号を制御装置5に対して出力する。また、制御装置5は、当該検出センサから出力される信号に基づいて、回動軸Ax1を中心として先端ユニット211Bを回動させる。これによって、表示装置3Bが図8に示す矢印の方向D1に回動した場合には、当該方向D1への回動に連動して先端ユニット211Bが回動軸Ax1を中心として回動する。
なお、先端ユニット211Bの回動軸としては、回動軸Ax1の他、回動軸Ax2を設けても構わない。当該回動軸Ax2は、挿入部21の長手方向と、回動軸Ax1とにそれぞれ直交する軸である。そして、制御装置5は、上述した検出センサから出力される信号に基づいて、回動軸Ax1,Ax2を中心として先端ユニット211Bをそれぞれ回動させる。これによって、先端ユニット211Bは、表示装置3Bの図8に示す矢印の方向D1への回動に連動して回動軸Ax1を中心として回動するとともに、当該表示装置3Bの図8に示す矢印の方向D2への回動に連動して回動軸Ax2を中心として回動する。
【0039】
以上説明した本実施の形態3によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本実施の形態3に係る内視鏡2Bでは、先端ユニット211Bは、挿入部21の先端よりもさらに先端側の外部に配置されるとともに、当該挿入部21の先端に対して変位することによって撮像視野を変更可能とする。
このため、撮像視野を変更することによって、観察することができる範囲を拡大することができ、利便性を向上させることができる。
特に、先端ユニット211Bには、左,右目用撮像ユニット2112L,2112Rが設けられている。そして、制御装置5は、左,右目用撮像ユニット2112L,2112Rによって撮像された左,右目用画像を表示装置3Bに3D表示する。このため、ユーザに患部の画像を立体的な3次元画像として観測させることができる。
【0040】
(実施の形態3の変形例3-1)
図9は、実施の形態3の変形例を示す図である。具体的に、図9は、図5に対応した図である。
上述した実施の形態3において、図9に示すように、3つの処置具TT1~TT3の少なくともいずれかの処置具に対して、補助カメラ211Cを取り付けても構わない。図9では、補助カメラ211Cが処置具TT1に対して取り付けられた状態を図示している。
補助カメラ211Cは、本発明に係る「他の挿入装置に設けられた送信部」を含む構成である。この補助カメラ211Cは、具体的な図示は省略したが、上述した実施の形態1において説明した先端ユニット211と同様の構成を有する。そして、補助カメラ211Cは、当該補助カメラ211Cが取り付けられた処置具TT1の先端部分を撮像視野として撮像することによって画像信号を生成する。また、補助カメラ211Cは、当該画像信号をミリ波・サブミリ波に載せることによって送信する。
ここで、内視鏡2B内に設けられた導波管25は、補助カメラ211Cから送信されたミリ波・サブミリ波を取り込み、制御装置5まで伝搬する。そして、制御装置5は、当該補助カメラ211Cによって撮像された画像信号を受信し、当該画像信号に基づく画像を表示装置3Bに表示させる。
【0041】
以上説明した本変形例3-1によれば、上述した実施の形態3と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本変形例3-1によれば、導波管25は、処置具TT1に設けられた補助カメラ211Cから送信されるミリ波・サブミリ波を伝搬可能とする。このため、患部を撮像するカメラを増加させ、異なる視点から撮像された種々の画像を表示装置4Bに表示させることができる。
【0042】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1~3によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1~3では、導波管25は、可撓性を有していたが、これに限らず、可撓性を有していなくても構わない。
上述した実施の形態1~3では、導波管25は、コネクタ部24まで延設されていたが、これに限らず、少なくとも操作部22まで延設されていればよい。そして、導波管25を操作部22まで延設した構成を採用した場合には、操作部22内に受信回路51及び画像信号処理回路52を設けても構わない。そして、画像信号処理回路52と制御装置5との間を例えばリードワイヤによって接続する。
上述した実施の形態1~3では、本発明に係る挿入装置を医療分野において用いていたが、これに限らず、工業分野において用いても構わない。
【符号の説明】
【0043】
1,1B 内視鏡システム
2,2A,2B 内視鏡
3,3B 表示装置
4 光源装置
5 制御装置
21,21B 挿入部
22 操作部
23 ユニバーサルコード
24 コネクタ部
25 導波管
51 受信回路
52 画像信号処理回路
53 電源供給回路
211,211B 先端ユニット
211C 補助カメラ
212 湾曲部
213 可撓管
221 操作部材
222 湾曲ノブ
251 芯材
252 外導体
511 アンテナ
2111 先端硬性部
2112 撮像ユニット
2112L 左目用撮像ユニット
2112R 右目用撮像ユニット
2112a 撮像光学系
2112b 撮像素子
2113 ドライバIC
2113a AFE
2113b TG
2113c 送信回路
2113d アンテナ
Ax1,Ax2 回動軸
D1,D2 方向
L1 制御信号線
L2 電源線
L3 グランド線
TT1~TT3 処置具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10