(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】ガラス製の基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240531BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
H05K1/02 B
H05K1/02 C
H05K1/03 610B
H05K1/03 670
(21)【出願番号】P 2023505379
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2021063533
(87)【国際公開番号】W WO2022022873
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】102020119929.5
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399007154
【氏名又は名称】エル・ピー・ケー・エフ・レーザー・アンド・エレクトロニクス・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】オストホルト・ローマン
(72)【発明者】
【氏名】アンブロジウス・ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンカー・ダーニエール
(72)【発明者】
【氏名】フォークト・アーロン・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー・セルゲイ
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-539067(JP,A)
【文献】特表2001-507641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0294495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 - 1/03
C03C 15/00 - 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製の基板(1)であって、
この基板(1)は、基本的に形状の安定な少なくとも一つの部分(4)と、少なくとも1つの可撓性、特に曲げ可能、弾性及び/又は折りたたみ可能な部分(5)とから構成され、
その際、少なくとも可撓性の部分(5)内に1つの片側の凹部(6)又は基板(1)を貫通しない凹部(6)が、基板(1)の外面に導入されていて、これにより可撓性の部分(5)における基板(1)の材料厚さ(D)は、隣接する部分(4)に対して減少されていて、
その際、少なくとも一つの凹部(6)は、複数の、特に規則的に配置されている、凹状のくぼみ部(3)によって形成されていて、このくぼみ部(3)は微細構造(12)によって区切られ、その微細構造の推移によって、基板(1)の可撓性の部分(5)における残存材料厚さ(残存厚さd)が決定されていて、
その際、くぼみ部(3)は少なくとも部分的に、厚さ(S)を有する、かつ
基板(1)の曲げ加工時に、基板(1)の伸張ゾーン(9)と圧縮ゾーン(10)の間の中心線部(8)の平面を取り囲む基板1の領域までに、外面に対して平行に延在する、
ことを特徴とする基板(1)。
【請求項2】
中心線部(8)の平面は、領域を、くぼみ部(3)が不連続性を持たない外面とは反対を向いている第1の部分領域と、くぼみ部(3)が連続的及び/又は非連続的な推移を有する第2の部分領域とに分割することを特徴とする請求項1に記載の基板(1)。
【請求項3】
中心線部(8)の平面が、凹状のくぼみ部(3)の底部と、隣接するくぼみ部(3)間のエッジ領域との間に延在することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板(1)。
【請求項4】
中心線部(8)の平面が、くぼみ部(3)の不連続部がないくぼみ部(3)の領域のみを通って延在することを特徴とする請求項1~3のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項5】
少なくとも個々の凹部(6)が、特に隣接する部分(4)に対応する充填レベルをもつポリマー充填材料を有することを特徴とする請求項1~4のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項6】
ポリマー充填材料は、少なくとも基本的に、ガラスの可視スペクトル内の屈折率に対応する屈折率を有することを特徴とする請求項1~5のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項7】
ポリマー充填材料が可撓性材料特性及び/又は弾性材料特性を有することを特徴とする請求項1~6のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項8】
くぼみ部(3)は、少なくとも部分的に周期的なパターンに又は規則的なパターンに配置されている微細構造(12)によって形成されていることを特徴とする請求項1~7のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項9】
くぼみ部(3)は幾何学的、特に矩形のパターンで配置されていることを特徴とする請求項1~8のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項10】
隣接するくぼみ部(3)の間の間隔が、屈曲部又は折り目部に対して横切る方向よりも屈曲部又は折り目部の方向において、特に少なくとも20%大きいことを特徴とする請求項1~9のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項11】
くぼみ部(3)は、それぞれ、可撓性部分(5)における基板(1)の残存材料厚さ(残存厚さd)が最も小さくなる中央部を有することを特徴とする請求項1~10のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項12】
くぼみ部(3)は、回転対称、特に球形であるように実行されることを特徴とする請求項1~11のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項13】
くぼみ部(3)が延在する領域は、表面から異なる距離で異なる可撓性部分(5)に配置されている、及び/又は異なる厚さ(S)を有することを特徴とする請求項1~12のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項14】
少なくとも1つ、特に、複数の隣接する可撓性の部分(5)において、基板(1)の残存材料厚さ(残存厚さd)が、異なるくぼみ部(3)によって、特に連続的に、減少するように又増加するように実行されることを特徴とする請求項1~13のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項15】
可撓性の部分(5)における残存材料厚さ(残存厚さd)が、100μm未満、好ましくは50μm未満、好ましくは30μm未満であることを特徴とする請求項1~14のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項16】
くぼみ部(3)は、可撓性の部分(5)内に、密な球体のパッキング、六角形又は四角形配置の原理に従って配置されていることを特徴とする請求項1~15のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項17】
くぼみ部(3)がゴシック教会屋根の原理に従って導入されることを特徴とする請求項1~16のうちの少なくとも一項に記載の基板(1)。
【請求項18】
請求項1~17の少なくとも一項に記載のガラス製の基板(1)を製造する方法であって、
ガラス製の基板が基本的に形状の安定な少なくとも一つの部分(4)と、少なくとも可撓性の部分(5)を備え、
定義された改質部深さ(t)を有する改質部(2)が、外面に対して平行に、領域にまでレーザ放射によって可撓性の部分(5)内に導入され、その後、生じたこのようなくぼみ部(3)が少なくとも基板(1)の材料厚さの大部分にわたって領域内に延在するまで、改質部(2)はエッチング処理が実行され、このエッチング処理によって材料除去が生じることによって、
少なくとも可撓性の部分(5)内に片側の凹部(6)又は基板(1)を貫通しない凹部(6)が、微細構造(12)として基板(1)の外面に導入されていて、これにより可撓性の部分における基板(1)の材料厚さ(D)は、エッチングプロセスを用いた材料除去によって、隣接する部分に対して減少されていて、
等方的な材料除去が行われ、これによってくぼみ部(3)の少なくとも大部分は連続した推移が生成されるまで、先ず、改質部(2)の領域で、異方性の材料除去が生じ、その後、エッチングプロセスが続けられることによって、
凹状のくぼみ部(3)としてくぼみ部(3)が生成される
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
等方的な材料の除去は、くぼみ部(3)の、特に球状の、丸みが領域に生じるまで継続されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
エッチングプロセスで使用されるエッチング液は、基板材料の特定のパラメータに基づいて、エッチングプロセスの可能な限り選択的なエッチング除去ステップ及び/又は可能な限りの最高のエッチング速度が達成されるように、調整されることを特徴とする請求項18又は19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの基本的に形状の安定な部分と、少なくとも一つの可撓性の部分とを有するガラス製の基板、及びその基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなガラス製の基板は、ディスプレイとして、例えば、ディスプレイ目的のための有機発光ダイオード(OLED)に基づくものとして、特に、携帯可能なモバイルデバイスのような小型装置の場合に、ますます重要になっている。
【0003】
OLEDディスプレイをフレキシブルに実装することが知られている。この目的のために、可撓性の有機発光ダイオード(FOLED)を後から構造化するための、レーザ照射を用いて段階的に1つ以上の層が積層されている層配置から再び除去される(アブレーション)方法が既に知られている。
【0004】
これらは、可撓性なドライバ回路を含む、可撓性なキャリア基板上の有機材料の層から製造することができるので、平らではない面に適合することができるか、又はそれ自体が可撓性な特性をもつ構造体への使用が可能である。
【0005】
OLED材料の酸素及び/又は水分に対する感度は、問題があることが証明されていて、その結果、寿命は比較的短い。これは、例えば、基本的に酸素及び/又は蒸気拡散がない2つのガラス層の間に実際のOLEDの構成要素が導入されることによって解決することができる。
【0006】
別の1つの可能性は、バリア層を有するガラス基板上にOLEDディスプレイを使用することである。これらのバリア層は、例えば、シリコン酸化物(SiO2)、(ボロ)シリケート、アルミン酸塩(Al2O3)又は金属層(Al、Ag、Au、Rh)又は他の対応する材料から構成することができる。
【0007】
このようなOLED構造体又はOLEDデバイスは、ガラス層がある一定の限界以下の厚さを有する場合、フレキシブルなままである。典型的には、ガラス層及び100μm以下の厚さを有するOLEDは、ほとんどの目的のために依然として必要な可撓性を有する。
【0008】
しかし、このような薄いガラス層、すなわち、50μm未満、又は20μm未満では、脆弱であり、そのもろさで破壊する傾向がある。したがって、この観点から、安定化の目的で、このようなOLEDを機械的に強い(可撓性又は非可撓性の)キャリア基板に接合することが望ましい。
【0009】
スマートフォン用の古典的なディスプレイの製造では、下部層、いわゆる「バックプレーン」としてガラス製のキャリア基板が使用される。テクニカルグラスの特性は、バックプレーンの要件に最適である。
【0010】
新しいタイプのスマートフォンのための折りたたみ可能なディスプレイの開発は、プロセスシーケンスの顕著な変化を伴っている。現在のアプローチでは、もともと電子部品を安定させて固定させるためのガラス製のバックプレーンを、部品の適用後にコスト高で欠陥品の増加を伴うプロセス(レーザリフトオフプロセス)で取り外さなければならない。これにより、保護バックプレーンなしで、ディスプレイの曲げやすい構成要素のみが残される。
【0011】
レーザリフトオフプロセスは、より軽くて薄い新しいキャリア基板上にマイクロエレクトロニクス機能層を転写することを含む。この場合、層の分離は大抵、高吸収性の中間層、通常はポリマー層、の選択的レーザアブレーション及び気化によって行う。レーザ放射のエネルギーによって隣接するマイクロエレクトロニクス機能層を損なわないことが重要である。
【0012】
スマートフォン、タブレット、電子リーダーなどで使用する可撓性のディスプレイの製造は、個別の画素制御のための回路層が、もはや堅いガラス支持体上ではなく、曲げやすい層上にあるという、共通のものを常に有している。
【0013】
従来のレーザリフトオフ法の欠点は、プロセス時間/生産コストが高く、この方法ではディスプレイが破損する可能性があるため、この方法によって追加で発生する廃棄物である。
【0014】
このような可撓性のディスプレイ装置は、例えば、特許文献1(EP 3 206 108 B1)、特許文献2(EP 3 456 036 A1)又は特許文献3(EP 2 709 091 B1)から知られている。
【0015】
さらに、特許文献4(US 2016/0 057 834 A1)は、ディスプレイモジュール用の基板を製造する方法に関する。信号回路領域を有する基板本体は、透明な支持板上に載置される。透明支持板から基板本体から分離するために、基板本体には複数の開口部が導入され、かつ透明支持板を通る高エネルギー光によって下面がエッチングされる。
【0016】
特許文献5(特開2013-009016号公報)は、半導体層上の複数の薄膜素子に関するもので、これはエッチング溝がレーザエッチングによって複数の薄膜素子の間に導入されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】欧州特許第3206108号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3456036号明細書
【文献】欧州特許第2709091号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/057834号明細書
【文献】特開2013-009016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の課題は、ディスプレイ用の支持基板を作製することであり、大幅に改善された可撓性の特性を有し、同時に、例えば、いわゆるペン落下試験の形態で、ガラス表面上の応力に対する高い要求を満たすディスプレイ用キャリア基板を作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によれば、特にディスプレイ用途のための折りたたみ可能なガラス製基板は、以下の特性を有する。
1.ガラスの厚さを薄くするために、片側に貫通しない構造の導入→折りたたみ可能かつ機械的に高い安定性(ペン落下試験により実証)
2.異なる厚さの、少なくとも2つの領域
3.連結部の領域における厚さ<100μm、好ましくは<50μm、好ましくは<30μm
4.ポリマー充填
5.底面は球状のくぼみ部から形成される
6.くぼみ部は、異なる方法、例えば、密な球体のパッキング(若しくは六角形の配列)又は正方形の配列で配置することができる。
7.(単純に薄い領域とは違って)ペン落下試験に合格
8.複数の領域が異なるガラス厚さ、また元の厚さを有し得る
【0020】
本発明は、様々な実施形態を可能にする。その基本原理をさらに明確に説明するために、その一つが図で示され、且つ以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4】平面図における基板内のくぼみ部の概略的な分布
【
図5】段階的なエッチングにおける改質部の丸み付けの経過
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、少なくとも二つの領域をもつガラスからなる装置に関し、
・少なくとも一つの領域は、折りたたみ不可能
・少なくとも一つの領域は、折りたたみ可能
・折りたたみ可能な領域は、片側に微細構造を備える
・微細構造は、中心線部より下に滑らかな凹領域を備える
・微細構造は、中心線部より上に滑らかではない凸領域を有する
【0023】
ガラス製基板1を製造する方法は、
図5で見られるように、基板1の残存厚みdとz方向に延在する、及び、
図4で見られるように規定の間隔を有する、ライン状の改質部2の製造に基づく。各改質部2は、基板1の容積内において改質部深さtとなる。ウェットエッチングによって基板1の改質したガラスが除去されるとすぐに、残りの基板1におけるエッチング処理が等方的に進行する。くぼみ部3は、基板1の反対側の表面までの間隔と残留厚さdで形成され、その到達がエッチング時間全体を規定する。
【0024】
図1に示されるように、ここで例として示されている基板1は、基本的に形状の安定な部分4と、少なくとも1つの可撓性、特に曲げ可能、弾性及び/又は折りたたみ可能な部分5とから構成され、その際、少なくとも可撓性の部分5内には1つの片側の凹部6又は基板1を貫通しない凹部6が、複数のくぼみ部3によって基板1の外面に微細構造12として導入されていて、これにより可撓性の部分5における基板1の材料厚さDは、隣接する部分4に対して残留厚さdまで減少させる。凹部6にはポリマー7が充填され、このポリマーは、例えば、基板1のガラス材料と同様の光学特性を有することができる。
【0025】
この場合、凹部6は、残りの基板材料内に数個又は複数のくぼみ部3によって形成され、かつ複数の規則的に配置されている、凹状の微細構造12によって区切られ、その形状によって、可撓性の部分5における基板1の残留厚さdとして残りの材料厚さが同時に決定される。くぼみ部3は、厚さSを有する基板1の領域において、それらの最小深さから最大深さまで外面に対して平行に延在していて、この領域が外側の力の作用(外力)Fによって曲げられたときに、基板1の伸長ゾーン9と圧縮ゾーン10との間の中心線部8の平面を囲む。
【0026】
以下の様態は、本発明の基本的な実施形態を形成する:
・ 周期的に配置されている微細構造12によって区切られているくぼみ部3を有する折りたたみ可能な部分5又は可撓性の部分5
・ 周期的に配置されている微細構造12は、それぞれ、ガラス厚さ又は残留厚さdが最小である中心を有する
・ 周期的に配置されている微細構造12は、矩形に配置してもよい
・ 矩形の配置は、微細構造12の中心の間隔Axが、折りたたみ方向11に対して横方向に微細構造12の中心の間隔Ayよりも、折りたたみ方向11に沿って少なくとも約20%大きい
・ くぼみ部3はポリマー7で充填される
・ ポリマー7は、基板1のガラス材料と可視スペクトルにおいてほぼ同じ屈折率を有する
・ ポリマー7は可撓性である
・ ポリマーの充填を含む基板1は、折りたたみ領域においてペン落下試験に合格する
・ 形状安定部分4と可撓性の部分5との間に、連続的に減少する残留厚さdと連続的に減少するガラス厚さを有する移行領域を作ることができる。
その際、以下の規定を適用する:
「折りたたみ可能」:曲率半径<20cm
「上部」:ガラスとは反対を向いている面
「下部」:ガラスに面する側
「凹状」:ガラスの方向に湾曲
「凸状」:凹状の曲線に対して湾曲
「中心線部」:ガラス中の微細構造の最上の点と最下の点までの距離が同じ仮想線
「ペン落下試験」:ボールペン(BICイージーグライド、重さ5.73g)を、そのとがった先(直径0.7mmの炭化タングステン製)を先に20cmの高さからワークピース上に落下させ、そしてワークピースの破壊が確認される
「ガラス」:ガラス含有材料、ガラスセラミックも含む
「x方向」:ガラス体の表面に沿って、折りたたみ方向に対して直交
「y方向」:ガラス体の表面に沿って、折りたたみ方向に対して平行
「z方向」:x及びyに対して垂直
【0027】
くぼみ部3の底面での凹状のくぼみ部3を区切る微細構造12は、小さなガラス厚さの領域における機械的安定性を保証する。ゴシック教会の屋根と同様に、基板1の残りのガラス材料に面する側の微細構造12の境界面は、丸みを帯びた凹状の構造のみを有する。尖端部を回避することによって、完全に滑らかな底面の場合よりも薄い領域又は複数の領域の機械的安定性が大きい。
【0028】
これはペン落下試験によって実証された:このテストは、ディスプレイのために使用されるガラスの場合、特に重要で、実用的である。ペンがとがった先端からガラス上に落とされる。ガラスが割れると、ディスプレイ用途に対しては十分に頑丈ではない。これは平らな薄いガラスで起こる。上記の特徴を満たす本発明に従って構造が導入された場合、ガラスの厚さは増加しないが、ガラスはペン落下試験に合格する。
【0029】
図3で盛られるように、ポリマー7と基板1の厚さは、中心線部8が、可能な限り球形の底部に近く、凹状の微細構造12の領域内にあるように選択される。理想的には、中心線部8は底面と一致する。
【0030】
可撓性部分5におけるくぼみ部3の対応する設計が、
図2と
図3に示されている。微細構造12の球形の形態によって、充填材料としてポリマー7の方向にだけ向けられている、突出したテーパ状の中間領域13をくぼみ部3の間にもたらす。基板1の残りのガラス材料の方向において、微細構造体12の境界面は、専ら平滑で、丸みを帯びた構造を有する。この互いに隣接する複数の球状または球状表面部分から形成される界面が、残留厚さdが減少するにもかかわらず高い耐荷重性と、ポリマー7の充填方向への曲げやすさとの両方をもたらす。
【0031】
この場合、
図3に示すように、ポリマー7が充填されているくぼみ部3とガラス基板の残留厚さdとの比は、中心線部8が凹状の微細構造12の領域内に、好ましくは最小の残留厚さdminを有する微細構造12の中央で球状底部にあるように、改質部深さtによって選択される。理想的には、中心線部8は、最小の残留厚さdminによって決定される平面と一致する。
【0032】
基板1におけるくぼみ部3の可能な配置又は分布が
図4に描画されている。
図4aに示す六角形の配置又は密な球体のパッキングは、球状のくぼみ部3の最深部がくぼみ部3の中心にあり、かつポリマー充填に面する先端又はテーパ状の中間領域13がくぼみ部3の間で最小化されていいて、応力が表面にわたってほぼ均質に分布しているので、異なる方向へのねじれに有利である。
【0033】
図4bは、全ての隣接するくぼみ部3に対して一致した距離及びそれに対応して均一な可撓性の特性を有する正方形の配置を示しているが、
図4cは、一例として、折りたたみ方向11に対応するx方向の異なる間隔Axとy方向の異なる間隔Ayを有する、水平方向に折りたたむための有利な配置を示す。
【0034】
図5に示されているように、改質部深さtが達成されるとすぐに、基板1におけるエッチング除去ステップが基本的には等方的に進行し、改質部2の端部の先端の領域において、生じるくぼみ部3が次第に丸くなっていく。特に、エッチング時に基板1が薄くなり、かつくぼみ部3の直径D1~D3が大きくなる。従って、丸め処理は、「オーバーエッチング」によって達成される。
【符号の説明】
【0035】
1 基板
2 改質部
3 くぼみ部
4 部分
5 部分
6 凹部
7 ポリマー
8 中心線部
9 伸長ゾーン
10 圧縮ゾーン
11 折りたたみ方向
12 微細構造
13 中間領域
t 改質部深さ
d 残留厚さ
D 材料厚さ
S 厚さ
F 力の作用
Ax 間隔
Ay 間隔
D1 直径
D2 直径
D3 直径