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特許7496943磁性のまたは磁化可能な粒子を方向付ける装置および光学的可変の画像要素を生成する機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】磁性のまたは磁化可能な粒子を方向付ける装置および光学的可変の画像要素を生成する機械
(51)【国際特許分類】
   B41F 13/08 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
B41F13/08
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023550332
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2022058603
(87)【国際公開番号】W WO2022228822
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】102021110864.0
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390014188
【氏名又は名称】ケーニッヒ ウント バウアー アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Koenig & Bauer AG
【住所又は居所原語表記】Friedrich-Koenig-Str. 4, 97080 Wuerzburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オイゲン ベック
(72)【発明者】
【氏名】エトヴィン クレープス
(72)【発明者】
【氏名】ビェアン クリーゲ
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/094291(WO,A1)
【文献】特表2012-511448(JP,A)
【文献】特表2017-536258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 13/08
B41F 11/02
B41M 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング剤(06)中に含まれる磁性のまたは磁化可能な粒子(P)を方向付ける装置であって、
シリンダ(26)を備え、前記シリンダ(26)は、前記シリンダ(26)の外周の領域にマトリクス状にn×m(言葉でいうと、nかけるm;ここでn、m∈N)の数の磁界を提供する要素(24)、略して磁石要素(24)を有し、前記磁石要素(24)は、前記シリンダ(26)の周方向で延びるm個の列内に相前後して、かつ軸線平行に延びるn個の行内に相並んで配置されており、周方向で相前後して配置される磁石要素(24)の複数の前記列内で、前記列の前記磁石要素(24)は、それぞれ群として共通の担持要素(31)に接して、または共通の担持要素(31)上に支持され、かつ前記担持要素(31)とともに群として一緒に、かつ隣接する列の前記磁石要素(24)とは独立して、前記シリンダ(26)内で、または前記シリンダ(26)に接してその軸方向の位置に関して変更可能であり、
前記列内で、それぞれ、前記磁石要素(24)の少なくとも1つが、同じ列の、同じ担持要素(31)に支持される少なくとも1つの別の磁石要素(24)とは独立して、伝動機構を有する機械的な設定手段(42,43,44)を介して軸方向で調節可能に、前記シリンダ(26)の複数のパーツからなるシリンダ体(29)の前記担持要素(31)に配置および/または支持されている
装置。
【請求項2】
前記磁石要素(24)は、前記担持要素(31)において周方向で位置決め可能であり、かつ/または完全に前記シリンダ(26)から除去可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
すべての列内で、前記列の前記磁石要素(24)は、群として1つの同じ担持要素(31)に配置されており、かつ同じ群のそれぞれ複数のまたはすべての他の磁石要素(24)とは独立して、軸方向で調節可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記担持要素(31)は、前記シリンダ(26)に含まれる軸上に配置されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記磁石要素(24)のすべての群の、または少なくとも、少なくとも3つの群のうちの端面に最も近い2つの群の前記担持要素(31)は、他の前記担持要素(31)とは独立して、軸方向で調節可能に、前記シリンダ(26)内にまたは前記シリンダ(26)に接して、かつ/または前記シリンダ(26)に含まれる軸上に配置され、支持されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項6】
前記設定手段(42、43、44)は、回転運動を直線運動に変換する伝動機構を有することを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記磁石要素(24)の軸方向の運動を制限するストッパ手段を備え、前記ストッパ手段の、前記軸方向の位置を制限するストッパ面は、前記伝動機構を介して変更可能であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ストッパ手段は、ねじ山付き軸部の、または前記ねじ山付き軸部を延長する付設部の一方の端部により形成されており、前記ねじ山付き軸部は、前記磁石要素(24)に、または前記磁石要素(24)に含まれるホルダ(28)に設けられた雌ねじ山内に係合し、前記ねじ山付き軸部(42)または前記付設部の前記端部は、軸方向で前記シリンダ体(29)のシリンダに固定した部分に対して支持されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ストッパ手段は、前記ねじ山付き軸部を有する設定ねじ(42)のねじ頭部により形成されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記磁石要素(24)には、前記磁石要素(24)に力を加える手段(44)を介して、軸方向で作用する力により、前記ストッパ手段の当接方向に張力が加えられていることを特徴とする請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記磁石要素(24)、または前記磁石要素(24)に含まれるホルダ(28)は、取り付け手段(39、41、46)を有し、前記取り付け手段(39、41、46)を介して前記磁石要素(24)、または前記磁石要素(24)の前記ホルダ(28)は、前記担持要素(31)に固定可能であり、かつ前記磁石要素(24)の軸方向の設定の目的で、少なくとも、前記磁石要素(24)が少なくとも設定範囲において軸方向で相対可動に前記担持要素(31)に対して可動である程度、解離可能であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記磁石要素(24)のための前記取り付け手段(39、41、46)として、それぞれの前記磁石要素(24)と前記担持要素(31)との間にクランプ結合部(39、41、46)が設けられており、前記磁石要素(24)、または前記磁石要素(24)を担持するホルダ(28)は、半径方向で延びるウェブ(47)を介して、鉛直可動のクランプ要素(41)に結合されており、前記クランプ要素(41)は、クランプ駆動部(39)によりシリンダ内部から両側において、前記ウェブ(47)の両側に設けられたシリンダ体に固定したかつ/または担持要素に固定した支持部(46)に対して引き寄せ可能であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
軸方向で調節可能なそれぞれの前記磁石要素(24)は、ホルダ(28)内にまたはホルダ(28)に接して、解離可能に、前記担持要素(31)上にまたは前記担持要素(31)内に配置されており、かつホルダ(28)とともに前記担持要素(31)において軸方向で設定可能かつ/または周方向で位置決め可能であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12に記載の装置。
【請求項14】
被印刷物セクション(02)上に光学的可変の画像要素(03)を生成する機械(01)であって、
被印刷物供給部(13)と、
少なくとも1つの印刷装置(11;12)を有する少なくとも1つの印刷ユニット(04)であって、前記印刷装置(11;12)により、前記機械を通した運搬路上を案内される被印刷物セクション(02)に、少なくとも第1の側で、マトリクス状に複数の列および複数の行の割り付け面(09)を印刷するかつ/または印刷し得る印刷ユニット(04)と、
加工した被印刷物セクション(02)をまとめて束にすることが可能な製品受け部(22)と、
前記被印刷物セクション(02)の前記運搬路内で印刷ユニット(04)と製品受け部(22)との間に設けられた、磁性のまたは磁化可能な粒子(P)を方向付ける、請求項1から13までのいずれか1項に記載の装置(07)と、
を備える機械(01)。
【請求項15】
前記シリンダ(26)は、割り付け面(09)の前記列の数に相当する数mの、磁石要素(24)を含む群、および/または被印刷物セクション(02)毎の割り付け面(09)の行の数に相当する数nの、群毎に周方向で相前後して配置される磁石要素(24)を有することを特徴とする請求項14に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1または14に記載の、磁性のまたは磁化可能な粒子を方向付ける装置および光学的可変の画像要素を生成する機械に関する。
【0002】
欧州特許第2114678号明細書により、スクリーン印刷ユニットと、印刷インキまたはニス中に含まれる磁性のまたは磁化可能な粒子を方向付ける装置と、を備え、装置は、磁界を生じさせる要素を周に複数有するシリンダを有し、要素は、軸方向で調整可能な複数のサポートリング内に配置されている、印刷機械が公知である。
【0003】
米国特許出願公開第2011/0168088号明細書は、磁性のフレークの配向用の装置に関し、一構成では、磁石がディスクの周上に配置されており、ディスクは、一軸線上に配置されており、別の分布を有するディスクと交換可能である。
【0004】
中国特許出願公開第103192591号明細書により、コーティング剤中に含まれる磁性のまたは磁化可能な粒子を方向付ける装置であって、シリンダを備え、シリンダは、シリンダの外周の領域にマトリクス状に配置される磁石要素を有する、装置が開示されている。この場合、軸方向で相並んで配置される磁石要素の、周方向で相前後して配置される群は、それぞれ、軸方向で延びる担持要素上に配置されており、かつ担持要素上において軸方向で可動であり、その結果、同じ列の、周方向で相前後して配置される磁石要素は、同じ列の他の磁石要素とは独立して、軸方向で調節可能である。軸方向の位置決め後、担持要素内の磁石要素は、該当する担持要素内の周方向で作用するねじによりクランプ可能である。担持要素は、周方向で位置決め可能である。
【0005】
欧州特許第2892723号明細書は、複数のシリンダセクションを有する磁石シリンダであって、シリンダセクションは、シリンダセクションの周上に相前後して複数の磁石要素を有し、かつ磁石要素の両側に、吸気開口を有する環囲する領域を有する、磁石シリンダを開示している。
国際公開第2020/094291号には、基材路内に設けられた2つの磁石シリンダを有する印刷機械が開示されている。磁石は、同号では、基本的に取外し可能であり、かつ/または半径方向で延びる軸線回りに回転可能であり、かつ/またはその軸線方向の位置および/または周方向位置に関して個々にまたは群内で位置調整可能にシリンダ基体に配置されていて、このシリンダ基体と一緒にそれぞれの磁石シリンダを形成している。しかしながら、具体的な構成において、磁石は、同号では、好適には軸線方向で位置決め可能なリング要素に相前後して、好適にはリング要素に周方向で位置決め可能に配置されている。
米国特許第5,711,223号明細書は、印刷版を取り付けかつ取り外すための磁石装置を有する版シリンダに関する。一構成では、内側のシリンダに、この内側のシリンダと外側のシリンダとの間の相対運動によって外側のシリンダにおける磁気的な領域を覆うことができる磁石が配置されている。別の構成では、外側のシリンダの内部に、軸線方向の運動によって外側のシリンダにおける、環状にかつ互いに離間させられて配置された磁気的な領域を覆うことができる環状の磁石要素が設けられている。
英国特許出願公告第1261165号明細書は、フレキシブルな印刷ブランケットの取り付けであって、同明細書では、互いに間隔を置いて配置されていて、交互の極性を有しており、これによって、外側の磁界を生じさせる磁石が埋め込まれたリングが設けられている、取り付けに関する。
【0006】
本発明の根底にある課題は、磁性のまたは磁化可能な粒子を方向付ける装置および光学的可変の画像要素を生成する機械を提供することである。
【0007】
上記課題は、本発明において請求項1または14の特徴により解決される。
【0008】
本発明により達成可能な利点は、特に、方向付け装置により、光学的可変の画像要素を扱う際の改善された精度、および/または光学的可変の画像要素を提供するためのより広範なアプリケーションレンジもしくはプロセスレンジ、および/またはより細い割り付け面へのより迅速な転換が可能とされることにある。
【0009】
本発明に係る装置により、磁石要素の列間の、判型に起因した間隔変化も、個々の磁石要素の、被印刷物路に対する、かつ/または割り付け面の同じ列に関する他の磁石要素に対する、ランダムなまたはシステマチックな見当の偏差も、修正され、または場合によっては意図的に変更もされ得る。ランダムな偏差の場合、例えば磁石要素に関する製造公差および/または組み付け公差が考えられる。システマチックなエラーは、特に、例えば被印刷物の僅かな変形として現れる事前のプロセスステップに起因していることがある。例えば被印刷物シートは、事前のプロセス、例えばインタリオ印刷装置の通走時の強い機械的な荷重により、追従する端部に向かって僅かに台形状に広がることがある。このようなプロセスは、インラインでまたは個別の機械により実施され得る。レーン状の被印刷物の場合、被印刷物上の一定の割り付け面幅または被印刷物幅からのシステマチックな偏差の原因として、方向付け機構に前置されるクランプ箇所と、方向付け装置に後置されるクランプ箇所と、の間のレーンの張力の結果、生じ得る僅かな狭窄が考えられる。判型に起因した変化は、例えばより細い割り付け面の印刷に段取り替えする際に必要である。
【0010】
磁性のまたは磁化可能な粒子を含む印刷インキの塗工後、粒子は、程度の差こそあれ不規則的にインキマトリクス内に存在している。続いて、1つまたは複数の部分領域を、画像モチーフまたはパターンを作成すべく、予め印刷された面内で方向付ける(以下では、画像を付与する方向付けとも称呼する)ことにより、粒子の一部を、狙いを定めて、印刷画像を観察したときに望ましい光学的効果が作成されるように方向付ける。光学的効果により結像されるべき、特に微細なかつ/または多色の構造の場合、基材上における方向付けすべき領域に対して相対的な、磁力線の正確な位置決めおよび正しい延びは、高品質な描写には必要不可欠である。
【0011】
コーティング剤中に含まれる磁性のまたは磁化可能な粒子を方向付ける特に好ましい装置は、シリンダを備え、シリンダは、シリンダの外周の領域にマトリクス状にn×m(言葉でいうと、nかけるm;ここでn、m∈N)の数の磁石要素を有し、磁石要素は、シリンダの周方向で延びるm個の列内に相前後して、かつ軸線方向で延びるm個の行内に相並んで配置されており、周方向で相前後して配置される磁石要素の複数の列内で、それぞれ、磁石要素の少なくとも1つが、同じ列の少なくとも1つの別の磁石要素とは独立して、軸方向で調節可能に、シリンダの1つまたは複数のパーツからなるシリンダ体に配置および/または支持されており、少なくともこれらの列の磁石要素は、それぞれ群として共通の担持要素に接して、または共通の担持要素上に支持され、かつ担持要素とともに群として一緒に、かつ隣接する列の磁石要素とは独立して、シリンダ内で、またはシリンダに接してその軸方向の位置に関して変更可能である。
【0012】
換言すれば、基材上のコーティング剤中に含まれる磁性のまたは磁化可能な粒子を方向付ける装置の同じく特に有利な一構成は、例えばシリンダを備え、シリンダは、シリンダの外周の領域に、周方向で相前後して配置されるそれぞれn個の磁石要素を含む、軸方向で見て相並んでm個の群を有し、同じ群の磁石要素は、共通の担持要素上に支持され、かつ共通の担持要素と一緒に、かつ隣接する群の磁石要素とは独立して、シリンダ内で、またはシリンダに接してその軸方向の位置に関して変更可能であり、かつ担持要素上に支持された磁石要素の少なくとも1つは、同じ担持要素上に支持された少なくとも1つの別の磁石要素とは独立して、軸方向で調節可能に担持要素に配置および/または支持されている。
【0013】
好ましくは、複数のまたはそれどころかすべての群の、複数のまたはそれどころかすべての磁石要素は、そのように軸方向で調節可能に支持または支持されている。
【0014】
特に、被印刷物セクション上に光学的可変の画像要素を生成する機械、例えば有価証券印刷機械であって、特にシートフィーダとして構成される被印刷物供給部と、少なくとも1つの印刷装置、特にスクリーン印刷装置を有する少なくとも1つの印刷ユニットであって、印刷装置により、機械を通した運搬路上を案内される被印刷物セクションに、少なくとも第1の側で、マトリクス状に複数の列および複数の行の割り付け面を印刷するかつ/または印刷し得る印刷ユニットと、加工した被印刷物セクションをまとめて束にすることが可能な、特にパイルデリバリとして構成される製品受け部と、を備える機械は、好ましくは、被印刷物セクションの運搬路内で印刷ユニットと製品受け部との間に、磁性のまたは磁化可能な粒子を方向付ける上述の装置を備えている。
【0015】
さらなる詳細および実施変化態様は、以下の実施例に看取可能である。
【0016】
本発明の実施例を図面に示し、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】基材上に光学的可変の画像要素を生成する機械の一実施例を示す図である。
図2】印刷要素において光学的可変のコーティング剤により印刷された基材の概略図であって、a)は、磁性のまたは磁化可能な粒子がまだ配向されていない状態、b)は、画像を付与する部分をここでは例示的に数字の「1」の形態に方向付けした後の状態を示す図である。
図3】印刷プロセスと、下流の方向付けプロセスと、の概略図であって、画像を付与する印刷装置シリンダと、磁石要素を有するシリンダと、例示的に示す、追従する端部に向かって台形状に広がる基材シートとを含む図である。
図4】磁石要素を有するシリンダの一構成の斜視図である。
図5】a)は、周方向で相前後して複数の磁石要素を装着したまたは装着可能な図4に示す担持要素の単独図であり、b)は、a)に示す磁石要素を拡大して示す単独図である。
図6図5に示す磁石要素の台座を磁石シリンダの半径方向で見て取り付け手段および設定手段の高さでの断面図である。
図7】磁石要素を磁石シリンダの周方向で見てクランプ駆動部および設定手段の高さでの断面図である。
【0018】
光学的可変の画像要素03を基材02、例えばレーン状またはシート状の被印刷物02上に生成する機械01、例えば印刷機械01、特に有価証券印刷機械01は、光学的可変のコーティング剤06、例えば光学的可変の印刷インキ06またはニス06を基材02、例えば被印刷物02の少なくとも一方の第1の側の少なくとも1つの塗工箇所、例えば印刷箇所に全面的にまたは部分領域において印刷画像要素08の形態で被着することができる塗工装置04、例えば印刷ユニット04と、基材02上に被着された光学的可変のコーティング剤06中に含まれていて光学的可変性を担う粒子Pを方向付ける装置07と、を備えている(例えば図1参照)。この装置07は、以下では略して方向付け装置07とも称呼し、または、この装置07が、粒子Pの明確な方向付けにより、光学的可変のパターンまたはモチーフのための画像を付与するため、画像を付与する方向付け装置07とも称呼する。被印刷物02上における粒子Pを含むコーティング剤06の塗工と、以前にランダムに配向された粒子Pの、続いての画像を付与する方向付けにより獲得された画像要素03とは、例えば図2に概略的に数字の「1」の描写を基に示してある。図2において、a)は、コーティング剤06が被着され、例えばまだランダムに配向されて存在している状態を示し、b)は、画像を付与する方向付けがなされた状態を示している。
【0019】
方向付け装置07により扱われる前に、塗工装置04により基材02上に被着される、可変のコーティング剤06からなる印刷画像要素08は、大きさおよび位置に関して、生成したい光学的可変の画像要素03に相当するか、または場合によっては、それよりも大きくてもよく、場合によってはそれどころか、複数の割り付け面09の面にまたがって延在していてもよい。より大きな印刷画像要素08の場合、例えば光学的可変のコーティング剤06がコーティングされた面全体で、方向付けにより、光学的可変の画像要素03が生成されるわけではない。
【0020】
光学的可変性を担う粒子Pとして、ここでは、コーティング剤06、例えば印刷インキ06またはニス06中に、磁性のまたは磁化可能な非球状の粒子P、例えば顔料粒子P(以下では略して磁性のフレークとも称呼する)が含まれている。
【0021】
機械01は、好ましくは、割り付け面09、例えば有価証券09、特に銀行券09の製造用に構成されている。この製造の下には、特に有価証券中間製品の製造、例えば複数の有価証券09の印刷画像を有する被印刷物02、特にレーン状またはシート状の被印刷物セクション02、特に被印刷物シート02の形態の被印刷物02の製造も包摂されているものとする。基材02は、例えばセルロース繊維もしくは好ましくは木綿繊維をベースとするまたは少なくとも含む紙、プラスチックポリマーまたはこれらのハイブリッド製品により形成されていてもよい。基材02は、上述の塗工装置04内でのコーティング前にコーティングされずに存在していても、または既にコーティングされていても、印刷されていなくても、もしくは既に1つまたは複数の前置きされたプロセスで1回または複数回印刷されていても、または別の方法で機械的に加工されていてもよい。レーン状の基材02の任意の長手方向セクションにより形成されるか、またはシート状の基材02の1つのシートにより形成される被印刷物セクション02上には、好ましくは、マトリクス状に複数の割り付け面09、例えば製造すべき銀行券09またはその印刷画像が、運搬方向Tに対して横方向で延びる複数の行内に相並んで配置され、かつ運搬方向Tで延びる複数の列内に相前後して配置されており、または基材02の加工経路内に置くことが可能である(例えば図2および図3に略示)。
【0022】
印刷機械01として構成される機械01は、基本的には、任意の印刷法の1つまたは複数の印刷装置11;12を有する1つまたは複数の印刷ユニット04を備えていることができる。好ましい構成において、機械01は、しかし、フレキソ印刷法または好ましくはスクリーン印刷法によって作業する少なくとも1つの印刷装置11;12を有する印刷ユニット04を備え、印刷装置11;12により、光学的可変のコーティング剤06は、被印刷物02の第1の側に塗工される、または塗工され得る。上述の印刷法、特にスクリーン印刷法により、例えば、他の印刷法と比較して大きな層厚さのものが被着可能である。基材02または被印刷物02の「第1の側」なる表現は、ここでは恣意的に選択されており、ここでは被印刷物02の、下流で方向付け機構07により扱うべき光学的可変のコーティング剤06が塗工されている側もしくは塗工された側または塗工され得る側を称呼するものである。
【0023】
図示の好ましい構成において、印刷機械01は、被印刷物供給部13、例えばロール繰り出し機13、またはしかし、好ましくはシートフィーダ13を備え、被印刷物供給部13により、例えばレーン状または好ましくはシート状の被印刷物02は、場合によっては別の印刷ユニットまたは加工ユニットを介して、少なくとも1つの印刷装置11;12、例えばフレキソ印刷装置または好ましくはスクリーン印刷装置11;12を有する、光学的可変のコーティング剤06を塗工する印刷ユニット04、例えばフレキソ印刷ユニットまたは好ましくはスクリーン印刷ユニット04に供給される、または供給され得る。図示の有利な構成では、2つのスクリーン印刷装置11;12が設けられており、スクリーン印刷装置11;12は、好ましくは、1つの同じ印刷ユニット04にまとめられており、それぞれ1つの版シリンダ14;16、例えばスクリーン印刷シリンダ14;16と、1つの共通のインプレッションシリンダ17との間で、2つの印刷箇所を、被印刷物02の同じ側、ここでは第1の側のために形成している(例えば図1参照)。
【0024】
好ましくは、印刷装置11;12は、画像を付与するシリンダとして版シリンダ14;16を有し、版シリンダ14;16は、画像を付与する多数の印刷要素18、特に同種のかつ/または同じ印刷要素18(以下では、印刷主体18とも称呼する)、または画像を付与する印刷要素18または印刷主体18の群、特に同種のかつ/または同じ群を周に有し、印刷要素18または印刷主体18は、印刷画像長さに相当する周長上に、運搬方向Tに対して横方向で互いに間隔を置いた複数の、例えば若干数の、例えば4~8つの、特に5~7つの、例えば6つの列をなして配置され、かつ印刷画像幅に相当するシリンダ幅上に、運搬方向Tで互いに間隔を置いた複数の行をなして配置されている。これらの印刷主体18は、フレキソ印刷によって作業する印刷装置11;12の場合であれば、凸版印刷レリーフの形態で形成され、好ましくはスクリーン印刷によって作業する印刷装置11;12の場合であれば、孔版印刷版の形態で形成されている。
【0025】
画像を付与する印刷主体18の、版シリンダ14;16の周方向で延びるそれぞれの列は、基材02上に相前後して設けられるまたは設けるべき割り付け面09の1つの同じ列に関する。これらの割り付け面09は、理想的には互いに運搬方向Tに沿って一直線に整列し、かつ統一的な幅を有している。これとは異なる場合、例えば、前置きされたプロセスにおいて、または別の方法の機械的または物理的な負荷により、既に以前に割り付け面09のパターン内に印刷された基材02が台形状に変形されているとき、このように変化した幾何学形状に対しては、版シリンダ14;16上における印刷主体18の配置を相応に変更することで対処され得る。この場合、個々の列の印刷主体18は、例えば互いに厳密に周方向で一直線に整列しているわけではなく、例えば一部、周線に対して僅かに傾いたつるまき線上に位置している(例えば図3にはより良好な認知のために誇張して示してある)。基材02上における割り付け面09の幅は、この場合、例えば基材セクションまたは基材シート02の先行端から追従端にかけて増加するか、または例えば印刷機械01の入口で相応に供給したときは、場合によってはその逆もまた然りである。
【0026】
光学的可変のコーティング剤06を塗工する印刷ユニット04から、被印刷物02は、第1の搬送装置19の搬送手段を介して方向付け装置07に供給可能である。レーン状の被印刷物02の場合、搬送手段は、強制駆動されるかつ/または駆動されない1つまたは複数のローラであってもよく、このまたはこれらのローラを介して被印刷物02は、方向付け装置07の入口側へ案内可能である、または案内される。好ましいシート状の被印刷物02の場合、すなわち印刷ユニット04を通走する個々の被印刷物シート02の場合、搬送手段として、シートを搬送する手段、例えば1つまたは複数のトランスファシリンダもしくはトランスファドラムが設けられているか、または図示したように、例えばグリッパ循環コンベヤ19として形成される搬送装置19が、例えばいわゆるチェーングリッパシステム19として設けられている。
【0027】
下で詳しく説明する方向付け装置07の通走後、被印刷物02は、別の、例えば第2の搬送装置21の搬送手段を介して、機械01内で処理および/または加工された被印刷物02を受ける製品受け部22、例えばレーン状の被印刷物02の場合であれば巻き取り機22または好ましいシート状の被印刷物02の場合であればパイルデリバリ22へ案内可能である。レーン状の被印刷物02の場合、搬送手段は、やはり、強制駆動されるまたは駆動されない1つまたは複数のローラであることができ、このまたはこれらのローラは、第1の搬送装置19の運搬路を、方向付け装置07を通して延長し、このまたはこれらのローラを介して被印刷物02は、巻き取り機22の入口側へ案内可能である、または案内される。好ましくはシート状の被印刷物02の場合、搬送手段として、シートを搬送する手段、例えば1つまたは複数のトランスファシリンダもしくはトランスファドラムが設けられているか、またはここで図示したように、例えばグリッパ循環コンベヤ21として形成される搬送装置21、特にチェーングリッパシステム21が設けられており、搬送装置21により被印刷物シート02は、方向付け機構07の運搬路セクションから受け取られ、例えばパイルデリバリ22に供給される。
【0028】
方向付け装置07から出る運搬路には、被印刷物02の第1の側に向けられた1つまたは複数の乾燥機23、例えば放射乾燥機23を有する少なくとも1つの乾燥装置と、場合によっては、図示しない冷却装置、例えば冷却ローラとが設けられていてもよい。図示しない一発展形では、方向付け装置07とパイルデリバリ22との間の運搬路上に、図示しない検査装置、例えばエリアカメラまたはラインカメラが設けられていてもよい。
【0029】
以下に詳しく説明する方向付け装置07は、その構成、実施変化態様または設定に関して、確かに基本的には任意であるが、好ましくは、上述の機械01または印刷機械01内に設けられている、または設けられ得る。有利な一構成において、方向付け装置07は、モジュールの形態で構成されており、上流および下流に続く搬送システムのセクションの開放端に対する入口側および出口側のインタフェースでもって、着装したい機械01の運搬路に挿入可能である。
【0030】
光学的可変の画像要素03を形成する方向付け装置07、例えば、予め基材02、特に被印刷物02上に例えば印刷画像要素08の形態で被着された光学的可変のコーティング剤06内に光学的可変の効果を形成する方向付け装置07は、規定された運搬路を備え、この規定された運搬路に沿って、方向付け装置07を通して搬送すべき基材02は、その第1の側に光学的可変のコーティング剤06を有する扱うべき基材02が供給されるまたは供給可能である入口領域から、規定通りに、磁界を提供する要素24、略して磁石要素24を有する方向付け機構26と相互作用させられ、または相互作用させられることができ、この相互作用は、好ましくは、方向付け機構26の、画像を付与する方向付けに用いられる磁石要素24と、粒子Pを含む印刷インキ06が印刷された被印刷物02とが、少なくとも運搬路の一部セクション上で互いに同期的に動くようにして行われる。好ましくは、方向付け機構26は、磁気的作用を奏するシリンダ26、略して磁石シリンダ26として形成されており、磁石シリンダ26は、周に磁石要素24のアッセンブリを有し、磁石シリンダ26を介して被印刷物02は、方向付け装置07の入口領域から出口領域に向かって案内または搬送される。
【0031】
磁石要素24は、直接、磁石自体により形成されていてもよいし、または好ましくは、ホルダ28内にまたはホルダ28に接して好ましくは解離可能に配置されている1つまたは複数の磁石27を有していてもよい。磁石27とは、ここでは一般に、持続的にまたは切り換え可能に少なくとも運搬路の上述の側に向けて(特に、ここで説明するように、その上を案内される基材02上にあるコーティング剤06中に含まれる粒子Pを方向付けるのに十分な強さの)磁界を生じさせる、磁気的作用を奏する装置と解すべきである。磁石27は、この場合、彫り込みありまたはなしの1つまたは複数の永久磁石により、電磁石により、または1つまたは複数の永久磁石および/もしくは1つまたは複数の電磁石の組み合わせにより形成されていてもよい。磁石27が、個々の磁石、例えば永久磁石および/もしくは電磁石であるか、または複数の磁石、例えば永久磁石および/もしくは電磁石からなる組み合わせであるかにかかわらず、以下では、磁石27なる表現の下、特に断りのない限り、1つの同じ磁石要素24に割り当てられ、その全体で1つの作用ユニットを形成する複数の磁石27とも解すべきである。
【0032】
運搬路内に、基本的には、2つのこの種の方向付け機構26、特にシリンダ26が設けられていてもよく、2つの方向付け機構26、特にシリンダ26は、運搬路に沿って搬送すべき基材02の同じ側に、またはしかし、それぞれ異なる側に配置されている。
【0033】
有利な構成において、方向付け装置07には、乾燥装置および/または硬化装置37、例えば放射乾燥機37、特にUV放射乾燥機37、略してUV乾燥機37が割り当てられており、乾燥装置および/または硬化装置37は、好ましくは、UV-LED-乾燥機37として構成されており、かつ/または運搬路内の、基材02が方向付け機構と相互作用する箇所に向けられている。
【0034】
方向付け機構26、特に磁石シリンダ26は、搬送すべき基材02の運搬路内に、好ましくは、基材02の第2の側に配置されており、その結果、基材02は、基材02の第1の、特に上流においてインラインで光学的可変のコーティング剤06がコーティングされた側を、方向付け機構26を通過するとき、特に磁石シリンダ26を介して運搬するとき、外に向けている。
【0035】
方向付け機構26は、1つまたは好ましくは複数のパーツからなる磁石要素担体29を備え、磁石要素担体29に接してまたは磁石要素担体29上には、磁石要素24が好ましくは解離可能に配置されている。好ましくは回転可能に架構内に支持されるシリンダ26の場合、磁石要素担体29は、例えば1つまたは好ましくは複数のパーツからなるシリンダ体29により形成されている。この場合、シリンダ体29なる概念は、閉じた構造、すなわち、程度の差こそあれ閉じたシリンダ外套面を有する構造も、開いた構造、すなわち骨組み状またはフレーム状の構造体、例えば図4で説明する例のような構造体も包含するものである。
【0036】
好ましくは磁石シリンダ26として形成される方向付け機構26は、基材路に面した側の領域、例えば外周の領域、特にシリンダ体29の外側の円柱状の包絡面の領域に、複数の磁石要素24を有し、磁石要素24は、通過する被印刷物02上に被着されたコーティング剤06の磁性のまたは磁化可能な粒子Pの少なくとも一部を配向させるために用いられる。
【0037】
特に、基材セクション毎、例えば被印刷物シートまたは基材シート02毎に複数の割り付け面09の、ここで好ましい、かつ説明する場合、磁石要素担体29、例えばシリンダ体29には、軸方向で見て複数の、特に被印刷物セクション02上の列数に相当する数m(m∈N>1)の列または群が、それぞれ複数の、特に、扱うべき被印刷物セクション02上の割り付け面09の行数に相当する数n(n∈N>1)の、基材02の運搬方向Tおよび/またはシリンダ26の周方向で見て相前後して配置される磁石要素24を含んで、設けられており、またはn×m(言葉でいうと、nかけるm;ここでn、m∈N)の数の磁石要素24が、マトリクス状に配置されており、磁石要素24のマトリクス状の配置は、好ましくは、列または群毎に同じ数nの磁石要素24が周に設けられ、かつ軸線平行に延びる複数の行をなして配置されているように、かつ/または特に、磁石要素24が、基材02上に展開したときに、運搬方向Tでの基材位置と、シリンダ角度位置との間の正しい見当を前提として、基材02上における磁界を印加すべき画像要素03のパターンに対応するようになっている。これらの群の、相前後して配置される磁石要素24は、周方向で特に、周線に沿って転がしたとき、少なくとも重畳し、かつ/または扱うべき基材02の1つの同じ列の割り付け面09内に位置しているように、相前後して配置されている。
【0038】
このように構成される磁石シリンダ26を介して基材02を案内し、このとき、例えば第1の基材側が、第1のシリンダ26を介した運搬時、外を向いていることにより、磁石要素24を用いた、割り付け面09上に設けられた画像要素03の領域内での粒子Pの方向付けまたは配向は、ここではつまり、例えば基材02を透過して引き起こされ得る。
【0039】
この場合、群の数mは、例えば4~8、特に5~7、例えば6であり、かつ/または1つの群の磁石要素24の数nは、例えば2~12、有利には5~10である。方向付け機構26または磁石要素担体29は、好ましくは、群の数mおよび/または1つの群内に相前後して配置される磁石要素24の数nが、例えば上述の限度内で、方向付け機構26または磁石要素担体29を互いに異なる要求に適合させるために、変更可能であるように形成されている。
【0040】
個々の磁石要素24の、被印刷物路に対する、すなわち、搬送される被印刷物02の側方の位置に対する、かつ/または運搬方向Tで相前後して位置する割り付け面09の1つの同じ列に関する他の磁石要素24に対する、ランダムなまたはシステマチックな見当偏差を修正することができるように、または場合によっては意図的に変更することもできるように、磁石要素24の、周方向で延びる複数の群内で、それぞれ、磁石要素24の少なくとも1つが、同じ群の少なくとも1つの別の磁石要素24とは独立して、軸方向で調節可能または可動に、特に調整可能に、磁石要素担体29に、特に磁石シリンダ26のシリンダ体29に支持されている。好ましくは、1つの同じ群の複数の、有利には少なくとも、1つを除きすべて(すなわち少なくともn-1)の、特に有利にはしかし、すべて(すなわちn)の磁石要素24が、この群の他の磁石要素24とは独立して、軸方向で可動に、かつ/または少なくとも、少なくとも3つの群のうちの端面に最も近い2つの群の、複数の、有利には1つを除きすべて(n-1)の、またはすべての磁石要素24が、この群の他の磁石要素24とは独立して、軸方向で可動に、磁石要素担体29、特にシリンダ体29内に、または磁石要素担体29、特にシリンダ体29に接して支持されている。
【0041】
上述のマトリクス状の配置のために、磁石要素24は、磁石要素担体29、特にシリンダ体29に接して、または磁石要素担体29、特にシリンダ体29内に、少なくとも磁石要素24の同じ群の他の磁石要素24に対して相対的に、1つまたは複数のパーツからなる磁石要素担体29またはシリンダ体29に対して相対的なその軸方向の位置が変更可能に、磁石要素担体29またはシリンダ体29に接して、または磁石要素担体29またはシリンダ体29内に支持されているように、配置され、かつ支持されていることができる。
【0042】
好ましくは、磁石要素24は、好ましくは相応のホルダ28内に、または相応のホルダ28に接して、組み付けられた状態でシリンダ26の周の規定された場所に配置可能であり、かつ好ましくは完全にシリンダ26から除去可能であり、かつ/またはシリンダ26の周において軸方向および/または周方向で位置決め可能であるように、解離可能にシリンダ26に配置されている、または配置可能である。
【0043】
1つの群の磁石要素24は、この群の個々のまたはすべての磁石要素24の上述の独立的な軸方向の位置決め可能性に対して付加的に、全体としても、かつ隣接する群とは独立して、方向付け機構26またはシリンダ26内におけるその軸方向の位置に関して変更可能である。特に、こうして複数の群、有利には、少なくとも、少なくとも3つの群のうちの端面に最も近い2つの群、有利には、すべての群は、軸方向で可動に磁石要素担体29、特にシリンダ体29内に、または磁石要素担体29、特にシリンダ体29に接して支持されている。
【0044】
このために磁石要素24は、複数の、例えばm個(mは、4~8、特に5~7、例えば6である)の、軸方向で互いに間隔を置いた、かつ好ましくは、上述の一部または好ましくはすべてが軸方向で軸線または軸上で位置決め可能な担持要素31、例えばここではリング要素31内に、または担持要素31、例えばここではリング要素31に接して、配置されており、または配置可能であり、これらのリング要素31内には、またはこれらのリング要素31に接して、他方、それぞれ複数の、例えば2~12個、有利には5~10個の磁石要素24が、周方向で相前後して、かつ好ましくは、少なくとも一部またはすべてが周方向で位置決め可能に配置されている、または配置可能である(例えば図4参照)。リング要素31は、リング要素31の外周の領域で、例えば環囲するカバー32、例えばリングリブに一体形に結合される覆い32または載置される覆い金属薄板32によって閉じられており、カバー32内には、例えば吸い込み開口33と、磁石要素24のそれぞれの場所に設けられた、符号までは付していない切欠きと、が設けられている(図4に例示的に右側のリング要素31の一部について略示)。代替的には、軸方向ですべてのリング要素31にわたる覆い金属薄板32が設けられていてもよく、この覆い金属薄板32は、該当する箇所に切欠きおよび/または吸い込み開口33を有している。吸い込み開口33、特にその下に位置する吸い込み通路34は、管路により、例えば端面のロータリフィードスルーを介して真空ポンプに連通している。
【0045】
磁石シリンダ26は、レーン状の基材02の場合、基材02に作用するあらゆる保持手段なしに、例えば周方向で閉じたリング要素31を有して構成されていてよい。場合によっては上述の吸気開口33が周に設けられていてよく、吸気開口33は、真空ポンプに接続されており、外套面への基材02の確実な載置に貢献する。ここで好ましいシート状の基材02の場合、シリンダ26の周に好ましくは保持手段36、例えばいわゆるグリッパバーのグリッパ36が設けられており、保持手段36により、シリンダ26を介して搬送すべき基材シート02の先行端がくわえられ、シリンダ26の回転中、任意の角度範囲にわたって保持され得る、または保持される。この場合、このように構成される磁石シリンダ26は、同時に基材02の運搬に用いられる。リング要素31は、この場合、例えば図示したように保持手段36を収容するために周方向で中断されている。
【0046】
有利な一構成において、少なくとも1つの磁石27または磁石アッセンブリが、上述のホルダ28上にまたは上述のホルダ28内に配置されている。その際、磁石27は、ハウジング38内に収容されていてもよく、ハウジング38は、例えばホルダ28から解離可能にホルダ28内にまたはホルダ28上に配置されている。
【0047】
磁石要素24、または磁石要素24に含まれるホルダ28の、軸方向での運動または設定は、好ましくは、例えば純粋に手によるかつ/または工具なしの運動とは異なり、特に機械式の、特に伝動機構を有する設定手段42、43、44を介して、例えば、回転運動、特に入力側の回転運動を、直線運動、特に磁石要素24の、または磁石要素24を担持するホルダ28の直線運動に、例えば間接的または直接的に変換する伝動機構、好ましくはねじ伝動機構により、すなわち雌ねじ山と雄ねじ山との間の相対回転運動を介して実施される。好ましくは、この場合、相対回転運動は、一軸線回りに実施され、またはねじ山軸線は、一軸線に沿って延在し、この軸線は、シリンダ26の回転軸線に対して平行に延びている。
【0048】
この場合、図示しない一構成では、その長手方向軸線でもってシリンダ26に対して軸線平行に延在し、回転可能に、しかし、軸方向ではシリンダ体29に固定的に支持された、雄ねじ山を有するねじ山付き軸部が、雌ねじ山を有するホルダ28のねじ山付きスリーブ内に係合し、ホルダ28をねじ山の回動により軸方向で動かす。その際、ねじ山付き軸部は、ねじの一部として形成されていることができ、その端部または中間ピースは、工具により操作可能なねじ頭部により形成されている。
【0049】
別の構成では、一方の側に向かう磁石要素24の軸方向の運動を制限するストッパ手段が設けられていてよく、ストッパ手段の、軸方向の位置を制限するストッパ面は、ねじ伝動機構を介して変更可能であり、磁石要素24には、好ましくは、磁石要素24に力を加える手段44を介して、力、例えばばね力または空気圧の力により、ストッパ手段の当接方向に張力が加えられている。このようなストッパ手段は、一実施形態において、例えば雄ねじ山を有するねじ山付き軸部の一方の端部、例えばねじ頭部によって提供されていることができ、ねじ山付き軸部は、回転可能に、磁石要素担体29またはシリンダ26に設けられたねじ山付きスリーブ内に係合し、ストッパ、ひいては磁石要素24の位置は、一方向または他方向へのねじ山付きピン、例えばねじ、の回動により実施される。別の、ここに示す実施形態では、ストッパ手段は、ねじ山付き軸部42の、またはねじ山付き軸部42に設けられ、ねじ山付き軸部42を延長する、例えば設定ねじ42の軸部および頭部としての付設部の一方の端部により形成されており、ねじ山付き軸部42または設定ねじ42は、回転可能に、磁石要素24またはホルダ28に設けられたねじ山付きスリーブ内に係合し、かつ軸方向でシリンダ体29のシリンダ固定の部分に対して支持されている。その際、磁石要素24またはホルダ28には、好ましくは、軸方向でストッパの当接方向にばねにより張力が加えられている。このために、例えば、磁石要素24の、または磁石要素24に含まれるホルダ28の、設定ねじ42とは反対側に位置する側に、力を加える手段43として、ばね弾性の手段44、例えば圧縮ばね44により張力が加えられた少なくとも1つのストッパ43、例えばタペット43が設けられており、ストッパ43、例えばタペット43は、ホルダ28から突出する端部でもってシリンダ体29のシリンダ固定の部分に対して支持されている。好ましくは、2つのこの種のタペット43が設けられている。磁石要素24またはホルダ28の一方の側に設けられた設定ねじ42の、一方向への回動により、磁石要素24またはホルダ28は、ばね力に抗してさらに1つまたは複数のタペット43側に移動される一方、磁石要素24またはホルダ28は、他方向への回動によりさらに設定ねじ42側に移動される。
【0050】
軸方向での設定範囲は、中央位置から見て、例えば少なくとも±1.0mm(すなわち全体として少なくとも2mmの調節ストローク)、好ましくは、少なくとも±1.2mm、例えば±1.5mmである。
【0051】
該当する磁石要素24の軸方向の設定は、確かに、より快適な一構成では、それぞれ1つの遠隔操作可能な駆動手段、例えばねじ伝動機構を駆動する電気モータにより実施可能である。それほど手間またはコストのかからないここに示す一構成では、このことは、しかし、手動で工具48、例えば設定ねじ42に対応するレンチ48を介して、手動で行われ得る。
【0052】
基本的には、磁石要素24、または磁石要素24のホルダ28は、磁石要素24、または磁石要素24に含まれるホルダ28のはめあい部内の摩擦により、かつ/または設定駆動部、例えば上述のねじ伝動機構内の摩擦により、所定の位置に保持されていることができる。例えばより確実であるがゆえに有利な一構成では、磁石要素24、または磁石要素24に含まれるホルダ28は、例えばベース領域に、取り付け手段39、41、46を有し、取り付け手段39、41、46を介して磁石要素24、または磁石要素24のホルダ28は、磁石要素担体29またはシリンダ26に固定可能であり、かつ軸方向の調整または設定の目的で、少なくとも、磁石要素24が少なくとも設定範囲内で軸方向可動である程度、解離可能である。
【0053】
磁石要素24のための取り付け手段39、41、46として、好ましい構成では、それぞれの磁石要素24とシリンダ体29との間にクランプ結合部39、41、46が設けられていてよく、例えば磁石要素24には、鉛直可動のクランプ要素41、例えばクランプブロック41が設けられており、クランプ要素41、例えばクランプブロック41は、クランプ駆動部39、例えばねじ39により、下から、すなわちシリンダ内部から、特に両側において、シリンダ体固定の、特に担持要素固定の支持部46、例えば支持リブ46に対して引き寄せ可能である。その際、ホルダ28とクランプ要素41とは、ねじであって、磁石要素24の内部にホルダ28の底部を貫いて突入し、かつクランプ要素41内のねじ山と相互作用する、ねじによってか、またはここで図示したように、例えばねじ39を有するくさび駆動部であって、ねじ39が、くさび状または台形状に仕上げられた先端でもって、クランプ要素41を担持する、特に半径方向で延びるウェブ47の溝または貫通部49内に、くさび駆動部の形態で係合する、くさび駆動部によって、互いに引き寄せられ得る。溝または貫通部49と、ねじ39とは、ねじ39が、さらにホルダ28内の相応のねじ山を通して溝または貫通部49内に押し込まれ、移動されると、ウェブ47、ひいてはクランプ要素41が、ホルダ28に向かって引き寄せられ、クランプ要素41と支持リブ46との間のクランプが引き起こされるように、互いに配置されている。ねじ39の螺解時、これに対してクランプ要素41の持ち上げは、解除され、クランプは、弛緩される。本構成において、磁石27、または磁石27を収容するハウジング38が、ホルダ28から取り除かれる必要なしに、クランプすることが可能である。好ましくは、クランプは、同じく工具により、好ましくは、軸方向の設定と同じ工具48により引き起こすことが可能である。
【0054】
シリンダ26の軸方向での、ウェブ47の両側の支持リブ46間の間隔は、ウェブ47、または上述の、ホルダ28の底部を貫いて係合するねじが、中央の位置で見て両軸方向に向かって少なくとも設定範囲に相当する遊びを有するように寸法設定されている。
【0055】
特に有利な発展形において、上述の支持リブ46と、その間に位置する中断とは、周方向で、該当する1つの群の複数ある磁石要素24の少なくとも1つの磁石要素24を周方向で10mm超、好ましくは50mm超、特に好ましくは連続的に少なくともシリンダ半周超の少なくとも一部周セクションにわたって移動させ得る長さにわたって延びている。
【符号の説明】
【0056】
01 光学的可変の画像要素を生成する機械、印刷機械、有価証券印刷機械
02 基材、被印刷物、被印刷物セクション、被印刷物シート、基材シート
03 画像要素
04 塗工装置、印刷ユニット、フレキソ印刷ユニット、スクリーン印刷ユニット
05 -
06 コーティング剤、印刷インキ、ニス
07 画像要素内の磁性の粒子を方向付ける装置、方向付け装置
08 印刷画像要素
09 割り付け面、有価証券、銀行券
10 -
11 印刷装置、フレキソ印刷装置、スクリーン印刷装置
12 印刷装置、フレキソ印刷装置、スクリーン印刷装置
13 被印刷物供給部、ロール繰り出し機、シートフィーダ
14 版シリンダ、スクリーン印刷シリンダ
15 -
16 版シリンダ、スクリーン印刷シリンダ
17 インプレッションシリンダ
18 印刷要素、印刷主体
19 搬送装置、グリッパ循環コンベヤ、チェーングリッパシステム
20 -
21 搬送装置、グリッパ循環コンベヤ、チェーングリッパシステム
22 製品受け部、巻き取り機、パイルデリバリ
23 乾燥機、放射乾燥機
24 要素、磁石要素
25 -
26 方向付け機構、シリンダ、磁石シリンダ
27 磁石
28 担持要素、ホルダ
29 磁石要素担体、シリンダ体
30 -
31 担持要素、リング要素
32 カバー、覆い、覆い金属薄板
33 吸い込み開口
34 吸い込み通路
35 -
36 保持手段、グリッパ
37 乾燥装置および/または硬化装置、放射乾燥機、UV放射乾燥機、UV乾燥機、UV-LED-乾燥機
38 ハウジング
39 クランプ駆動部、ねじ
40 -
41 クランプ要素、クランプブロック
42 ねじ山付き軸部、設定ねじ
43 手段、ストッパ、タペット
44 手段、ばね弾性、圧縮ばね
45 -
46 支持部、支持リブ
47 ウェブ
48 工具、レンチ
49 貫通部
P 粒子、顔料粒子
T 運搬方向
図1
図2
図3
図4
図5a)】
図5b)】
図6
図7