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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】ロールスクリーン装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/42 20060101AFI20240603BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20240603BHJP
   E06B 9/13 20060101ALI20240603BHJP
   E06B 9/54 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
E06B9/42 B
E06B9/58 A
E06B9/13 B
E06B9/54
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020155530
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049360
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390020101
【氏名又は名称】セイキ住工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392026833
【氏名又は名称】株式会社米澤物産
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】守谷 将人
(72)【発明者】
【氏名】森田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】米澤 稔喜
(72)【発明者】
【氏名】竹嶌 佳孝
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-218814(JP,A)
【文献】特開2016-65405(JP,A)
【文献】特開平11-141250(JP,A)
【文献】実開昭60-4197(JP,U)
【文献】実開昭59-177699(JP,U)
【文献】特開2015-140542(JP,A)
【文献】特開2021-25303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/13
E06B 9/42
E06B 9/52ー9/54
E06B 9/56ー9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取りボックス内に回転可能に支持させた巻取軸に、上記巻取りボックスの両端部から平行に延びる一対のスクリーン枠にガイドさせるスクリーンを、その一端から巻取ると共に、該スクリーンの他端に上記スクリーン枠に摺動自在のスライドバーを取り付け、該スクリーンには、その巻取り方向の両側端に沿って、上記スクリーン枠内のガイド溝にガイドさせる抜け止め部材を取り付け、それを上記スクリーン枠の内側に開口する上記ガイド溝のスリットに挿通して、該抜け止め部材を該スリットの開口内縁に係合させるようにしたロールスクリーン装置において、
上記スクリーンの両側端に取り付ける抜け止め部材が、該スクリーンの側端に沿って一側辺を固定する帯状の取付部片と、その取付部片の先端部に連結端を細幅で接合した帯状の係止片とを備え、
上記抜け止め部材における取付部片及び係止片のそれぞれは、上記巻取軸の軸線方向に向けて並列させているところの、弾性的に直線性が保持された多数の硬質の経線条が、隣接する各経線条間を可撓線条で屈曲可能に連結されることにより、並列された上記多数の経線条が筒状に巻取り可能なものとして形成され、
上記スクリーンにおける抜け止め部材のスクリーン枠に対する係合は、上記取付部片と係止片との接合部が前記スリットに挿入された状態において、該係止片の遊端をスクリーン枠内の該スリットの開口内縁に近接する部位に係止させることによって行われ、それによって、上記スクリーンをスクリーン枠間に張設状態に保持させるものとしている、
ことを特徴とするロールスクリーン装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロールスクリーン装置において、
上記スクリーン枠の内側におけるスクリーンの抜け止め部材を係合させる上記スリットを、該スクリーン枠内に収容したインナーレールの内側に設けて、それをスクリーン枠の内側に開口させている、
ことを特徴とするロールスクリーン装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロールスクリーン装置において、
上記抜け止め部材を構成する取付部片と係止片とが、いずれも、それらを構成する硬質の経線条と、該経線条間を連結する可撓線条との編織により織物状に形成され、
上記取付部片の先端に沿う上記係止片との接合部においては、上記織物状をなす該取付部片と係止片とが相互に面接触する態様での編織により連結されたものとし、それによって、上記抜け止め部材における係止片を取付部片側に沿う方向に向けるように構成されている、
ことを特徴とするロールスクリーン装置。
【請求項4】
請求項3に記載のロールスクリーン装置において、
上記スクリーンにおける抜け止め部材を、スクリーン枠又は該スクリーン枠内に収容したインナーレールに対して係合させるに際し、
該ガイド溝における上記スリットの対向面に、取付部片に重ねて該対向面側に向けてガイド溝に挿入されている係止片に対し当接して、該係止片の遊端側を該取付部片から離間する方向に押圧させるためのガイド凸面を凸設しておき、それによって、上記係止片の遊端を上記スリットの開口内縁に近接する部位に係止するように保持可能に構成している、
ことを特徴とするロールスクリーン装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のロールスクリーン装置において、
スクリーン枠又はインナーレールに設けたスリットの内側の開口内縁に、抜け止め部材における係止片の遊端が係合する係合凸条を設けている、
ことを特徴とするロールスクリーン装置。
【請求項6】
請求項5に記載のロールスクリーン装置において、
上記スクリーンの両側端における上記抜け止め部材を構成するところの取付部片と係止片との間に、該係止片がガイド溝内のスリットの開口内縁の係合凸条に接触しない状態になるまで弾性的に開くように付勢して、両者間の摺動抵抗を軽減させるV字状の部分拡開部片を、上記抜け止め部材の長手方向に離散的に配設している、
ことを特徴とするロールスクリーン装置。
【請求項7】
請求項3~6のいずれかに記載のロールスクリーン装置において、
上記スクリーンの両側端に取り付けている抜け止め部材のスライドバーへの取付端側における取付部片と係止片とに、それらを上記スライドバーの操作によるスクリーンの巻取り状態からの張設始動時にスクリーン枠内のガイド溝内に導き得る形態にした形付け材を取り付け、該形付け材を、スクリーン枠にガイドされているスライドバー或いは上記ガイド溝のスリット内に保持されている取付部片に保持させることにより、スクリーンの張設始動時に、上記形付け材が抜け止め部材における取付部片を、上記スリットを通してスクリーン枠内のガイド溝内に導くと共に、上記係止片をスクリーン枠内における上記スリットの開口内縁に導く機能を有するものとしている、
ことを特徴とするロールスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種用途に適用されるロールスクリーン装置に関するものであり、更に詳しくは、巻取軸に巻取ることによって横引き或いは縦引きで張設・収納するロールスクリーンの側端を、スクリーン枠に抜け止め状態で安定的にガイドさせるためのガイド構造を備えたロールスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防虫網戸を始めとする各種用途のロールスクリーン装置において、スクリーンの巻取り方向に回転させる巻取軸に、該巻取り方向の両側端に沿ってファスナー状の抜け止め部材を取り付けたスクリーンをその一端から巻取ると共に、該スクリーンの他端にスライドバーを固定し、上記抜け止め部材はスクリーンの側端に一側辺を固定する帯状の取付部片の他側辺に沿って多数の係合子を列設した係合子列を付設することにより構成し、該係合子列を上記スクリーンの側端のガイドを行うスクリーン枠内に設けたガイドレールの係合溝に摺動自在に係合させるようにしたものは、特許文献1等に開示されていて、従来から周知のものである。当該周知のロールスクリーン装置における抜け止め部材としては、被服等において多用されているファスナーの半体を用いるのが通例である。
【0003】
上述した周知のロールスクリーン装置においては、巻取軸に取り付けたスクリーンの巻取り方向の両側端に取り付けているファスナー状の抜け止め部材の先端側の係合子が、ガイドレールの係合溝の溝幅よりも大きく、該係合溝の内側に摺動自在に係合してガイドされるので、上記スクリーンをその収納のために巻取軸に巻取った場合、スクリーン自体が巻取軸に巻取られている部分の巻径に比して、該スクリーンの両側端の抜け止め部材の係合子が巻取軸に巻取られている部分の巻径が厚くなり、両者の巻径の差が比較的大きくなると同時に、上記係合子の多数が巻取軸の軸線方向にずれ動いた状態で巻取られることにもなるので、巻取軸に巻かれているスクリーンに巻取軸方向のだぶつきや複雑な皺が生じやすくなり、それらが円滑なスクリーンの張設や巻取り、或いは、張設したスクリーンの緊張状態に悪影響を及ぼすことがあり、その解消が望まれている。
【0004】
一方、上記ロールスクリーン装置におけるスクリーンの両側端に沿うファスナー状の抜け止め部材に対応し、上記スクリーンの巻き径を増大させる係合子を備えない抜け止め部材として、特許文献2や特許文献3等には、スクリーンの巻取り方向の両側端に沿って、該両側端のガイドを行うスクリーン枠のスリットに挿通して該スクリーン枠内に係合させる合成樹脂等の帯状体を備え、該スクリーン枠内への帯状体の係合のために、その先端に沿って折返し状態で上記スクリーン枠内に係合する係止片を形成させた抜け止め部材、或いはそれに近似した種々の形態のものが開示されている。
【0005】
上記特許文献2及び3等に開示の抜け止め部材に類するものは、その基本的構成が、スクリーンの両側端に一側辺を固定する帯状体(例えば特許文献2の挿入片11)の他側辺に、該帯状体に対して折返し状に重ねてスクリーン枠内に係合させる係止片を設けたもので、この抜け止め部材を付設した上記スクリーンは、そのスクリーンの収納時に、上記帯状体及びそれに重ねた係止片からなる抜け止め部材を共に巻取軸に巻取る必要があるものである。そのため、スクリーンの両側端に取り付けている抜け止め部材を薄くて可撓性を持つものにすることができるのであれば、巻取軸へのスクリーンの巻取りに際して、該抜け止め部材の部分の巻取りに不都合が生じることはないが、以下に詳述するように、スクリーンの幅方向にある程度の緊張力を付与しておくためには、該抜け止め部材における上記係止片がスクリーンの幅方向の圧縮に対する大きな抗力を持つ必要があり、該圧縮に対する抗力を係止片に付与するためには、該係止片が圧縮に対する強度を備えた素材で必要な横断面積を有するものとする必要があるだけでなく、巻取りの方向には容易に巻取れる可撓性があるものとする必要がある。
【0006】
更に具体的に説明すると、上記抜け止め部材における上記スクリーン枠のスリットに挿通するところの、帯状体に折返し状に重ねて設ける係止片は、その先端側をスクリーン枠内において上記スリットの口縁に係合させ、該係止片自体が帯状体を介して連結されている上記スクリーンに本来付与している張力や、該スクリーンに作用するところの風その他の外力に伴う張力に対向して、それらによる圧縮力に耐える抗力を有すべきものであり、そのため、上記スクリーンから係止片に作用する力により簡単に座屈変形したり、屈曲、折損するようでは、その機能を満足に果たし得るものではなく、スクリーンの巻取り方向の可撓性を有しながら、上記圧縮に耐える強度を有することが必要である。そのため、上記帯状体及び係止片を含む抜け止め部材に、このような条件を満たす構成或いは素材を採用することには著しい困難性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-105068号公報
【文献】実開昭59-177699号公報
【文献】実開昭60-004197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の技術的課題は、各種用途に適用するロールスクリーン装置において、スクリーンの巻取り方向の両側に配設した一対のスクリーン枠に、スクリーンの巻取り方向の両側端に取り付けた抜け止め部材を係合させて該スクリーンをガイドさせるに当たり、該抜け止め部材に、既知のファスナー状の抜け止め部材のように、巻取軸へのスクリーンの巻取り時に部分的にスクリーンの巻径を大きく変える係合子を設けることなく、それによって、巻取軸に巻かれるスクリーンに複雑な皺等が生じるのを抑制して、スクリーンの緊張状態に悪影響を及ぼす原因を排除したロールスクリーン装置を提供することにある。
【0009】
更に具体的に説明すると、上記抜け止め部材としては、スクリーンの側端に一側辺を固定する取付部片と、その他側辺に沿って折返し状に連結して先端をスクリーン枠内のスリットの口縁に係合させる係止片とを、巻取軸の軸線方向に向けて並列させた多数の硬質の経線条を、それらの経線条間が可撓線条により屈曲可能に連結されたものとして構成するのが適切であることを確かめ、その知見に基づいて、スクリーンの巻取り方向には容易に巻取り得る柔軟性を有するものとしながら、スクリーンの幅方向については、上記スクリーンに本来付与している張力や、該スクリーンに作用するところの風その他の外力に伴う張力に対向して、それらによる圧縮力に対抗する機能を有するものとしたロールスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明によれば、巻取りボックス内に回転可能に支持させた巻取軸に、上記巻取りボックスの両端部から平行に延びる一対のスクリーン枠にガイドさせるスクリーンを、その一端から巻取ると共に、該スクリーンの他端に上記スクリーン枠に摺動自在のスライドバーを取り付け、該スクリーンには、その巻取り方向の両側端に沿って、上記スクリーン枠内のガイド溝にガイドさせる抜け止め部材を取り付け、それを上記スクリーン枠の内側に開口する上記ガイド溝のスリットに挿通して、該抜け止め部材を該スリットの開口内縁に係合させるようにしたロールスクリーン装置において、上記スクリーンの両側端に取り付ける抜け止め部材が、該スクリーンの側端に沿って一側辺を固定する帯状の取付部片と、その取付部片の先端部に連結端を細幅で接合した帯状の係止片とを備え、上記抜け止め部材における取付部片及び係止片のそれぞれは、上記巻取軸の軸線方向に向けて並列させているところの、弾性的に直線性が保持された多数の硬質の経線条が、隣接する各経線条間を可撓線条で屈曲可能に連結されることにより、並列された上記多数の経線条が筒状に巻取り可能なものとして形成され、上記スクリーンにおける抜け止め部材のスクリーン枠に対する係合は、上記取付部片と係止片との接合部を前記スリットに挿入された状態において、該係止片の遊端をスクリーン枠内の該スリットの開口内縁に近接する部位に係止させることによって行われ、それによって、上記スクリーンをスクリーン枠間に張設状態に保持させるものとしていることを特徴とするロールスクリーン装置が提供される。
【0011】
本発明に係る上記ロールスクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記スクリーン枠の内側におけるスクリーンの抜け止め部材を係合させる上記スリットを、該スクリーン枠内に収容したインナーレールの内側に設けて、それをスクリーン枠の内側に開口させているものとして構成される。
【0012】
また、本発明に係る上記ロールスクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記抜け止め部材を構成する取付部片と係止片とが、いずれも、それらを構成する硬質の経線条と、該経線条間を連結する可撓線条との編織により織物状に形成され、上記取付部片の先端に沿う上記係止片との接合部においては、上記織物状をなす該取付部片と係止片とが相互に面接触する態様での編織により連結されたものとし、それによって、上記抜け止め部材における係止片を取付部片側に沿う方向に向けるように構成される。
【0013】
本発明に係る上記ロールスクリーン装置においては、好ましい実施形態として、上記スクリーンにおける抜け止め部材を、スクリーン枠又は該スクリーン枠内に収容したインナーレールに対して係合させるに際し、該ガイド溝における上記スリットの対向面に、取付部片に重ねて該対向面側に向けてガイド溝に挿入されている係止片に対し当接して、該係止片の遊端側を該取付部片から離間する方向に押圧させるためのガイド凸面を凸設しておき、それによって、上記係止片の遊端を上記スリットの開口内縁に近接する部位に係止するように保持可能にした構成を採用することもできる。
【0014】
更に、本発明に係る上記ロールスクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、スクリーン枠又はインナーレールに設けたスリットの内側の開口内縁に、抜け止め部材における係止片の遊端が係合する係合凸条を設けて、スクリーンの抜け止め部材によるスクリーン枠への係合の安定性を図ることができる。
【0015】
また、該係合凸条を設けたロールスクリーン装置において、巻取軸の回転によるスクリーン枠内でのスクリーンの移動に問題が生じることがあれば、上記スクリーンの両側端における上記抜け止め部材を構成するところの取付部片と係止片との間に、該係止片がガイド溝内のスリットの開口内縁の係合凸条に接触しない状態になるまで弾性的に開くように付勢して、両者間の摺動抵抗を軽減させるV字状の部分拡開部片を、上記抜け止め部材の長手方向に離散的に配設して、その解消を図ることができる。
【0016】
更に、本発明に係る上記ロールスクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記スクリーンの両側端に取り付けている抜け止め部材のスライドバーへの取付端側における取付部片と係止片とに、それらを上記スライドバーの操作によるスクリーンの巻取り状態からの張設始動時にスクリーン枠内のガイド溝内に導き得る形態にした形付け材を取り付け、該形付け材を、スクリーン枠にガイドされているスライドバー或いは上記ガイド溝のスリット内に保持されている取付部片に保持させることにより、スクリーンの張設始動時に、上記形付け材が抜け止め部材における取付部片を、上記スリットを通してスクリーン枠内のガイド溝内に導くと共に、上記係止片をスクリーン枠内における上記スリットの開口内縁に導く機能を有するものとして構成される。
【発明の効果】
【0017】
以上に詳述した本発明のロールスクリーン装置によれば、各種用途に適用するロールスクリーン装置において、スクリーンの巻取り方向の両側に配設した一対のスクリーン枠に対し、該スクリーンの巻取り方向の両側端に取り付けた抜け止め部材を係合させて該スクリーンをガイドさせるに当たり、既知のファスナー状の抜け止め部材を用いることによってスクリーンに複雑な皺等が生じるという問題点の解消を図り、該既知の抜け止め部材に代えて、スクリーンの側端に一側辺を固定する取付部片と、その他側辺に沿って折返し状に連結して先端をスクリーン枠内のスリットの口縁に係合させる係止片とを、巻取軸の軸線方向に向けて並列させる多数の硬質の経線条間が可撓線条により屈曲可能に連結されたものとして、スクリーンの巻取り方向には容易に巻取り得る柔軟性を有するものとしながら、スクリーンの幅方向については、上記スクリーンに本来付与している張力や、該スクリーンに作用するところの風その他の外力に伴う張力に対向して、それらによる圧縮力に対抗する機能を持たせ、それによって、スクリーン枠間のスクリーンに安定的に緊張力を付与することを可能にしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るロールスクリーン装置の第1実施例の概要を模式的に示す部分破断正面図である。
図2】上記第1実施例の概要を示す一部破断側断面図である。
図3図1のA-A位置での横断面図である。
図4】本発明におけるスクリーンの巻取り方向の両側端に沿って取り付ける抜け止め部材を構成するところの取付部片及び係止片の素材の構成例を示す部分拡大説明図である。
図5】上記第1実施例において、抜け止め部材におけるスクリーンのスライドバーへの取付端側に形付け材を付設し、また、該抜け止め部材の長手方向に部分拡開部片を付設した状態を示す要部拡大断面図である。
図6図5におけるB-B位置での横断面図である。
図7図5におけるC-C位置での横断面図である。
図8】(a)は、図5に示す形付け材の斜視図、(b)は、図5に示す部分拡開部片の斜視図である。
図9】上記第1実施例におけるスクリーン枠自体の内面がインナーレールの形態を備えている変形例を、上記図6に対応する位置での断面によって示している横断面図である。
図10】本発明の第2実施例において用いる抜け止め部材と、その姿勢を調整するスクリーン枠又は該スクリーン枠内のインナーレールの内底のガイド凸面との関連性を示すところの、図5におけるB-B断面と同等位置での横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るロールスクリーン装置は、建物開口部における防虫、日除け、遮光、目隠し、防塵、密閉性の向上だけでなく、例えば、食品等を保管する戸棚類や配膳車等の開閉扉において、各種用途に適合するスクリーンを張設するために用い得るものであって、その基本的構成は、図1図3の第1実施例に示すように、巻取りボックス1内に回転可能に支持させた巻取軸2に、該巻取りボックス1の両端部から平行に延びる一対のスクリーン枠3にガイドさせるスクリーン5を、その一端から巻取ると共に、該スクリーン5の他端に上記一対のスクリーン枠3にガイドさせるスライドバー4を取り付けて、上記スクリーン5を巻取軸2に巻いた収納状態とスクリーン枠3間に展張した張設状態とに移動保持可能にしたものである。
【0020】
上記ロールスクリーン装置の巻取りボックス1内において軸受部1aに回転可能に軸支された巻取軸2は、その一端に取り付けたスプロケット7に操作用コード8を巻き掛け、該操作用コード8の操作によってスクリーン5を繰り出し、或いは巻取りするように構成したものを図では示しているが、このような巻取軸2の回転操作は、上記構成に限ることなく、他の既知の各種構成を採用することができる。上記巻取軸2の回転駆動により操作されるスクリーン5は、スクリーン枠3の内側のガイド溝9に沿ってガイドさせるため、該スクリーン5の端部に取り付けたスライドバー4は、その両端をスクリーン枠3の一部等に沿ってガイドさせるように構成する必要がある。
【0021】
なお、図1図3においては、上記ロールスクリーン装置を、上部の横枠によって構成された巻取りボックス1の両端部から下方に延びる一対のスクリーン枠3にスクリーン5の両側端をガイドさせて、巻取軸2からスクリーン5を縦引きで張設・収納するようにしたロールスクリーン装置とした場合を示しているが、巻取りボックスを構成する縦枠内に回転自在に支持させた巻取軸にスクリーンを巻取ることによって、該スクリーン5を横引きで張設・収納する横引きのロールスクリーン装置に対して以下に説明する本発明を適用することもできる。
【0022】
本発明に係るロールスクリーン装置の構成について具体的に説明すると、まず、図3図6等において示しているように、上記スクリーン5には、上記巻取軸2への巻取り方向の両側端に沿って、前記一対のスクリーン枠3の内側のガイド溝9にガイドさせるための抜け止め部材10を取り付けている。該抜け止め部材は、図6に示すように、スクリーン5の両側端に沿ってそれぞれ一側辺を溶着や接着等で固定する帯状の取付部片11と、該取付部片11の先端11a側に連結端を合わせ、細幅の接合部13において接合された帯状の係止片12とを備えたものである。上記取付部片11と接合される帯状の係止片12は、図6等に示しているように、接合部13においてそれらの切断端を揃えておくこともできるが、後述するところから明らかなように、それに限るものではない。
【0023】
次に、上記抜け止め部材10における取付部片11及び係止片12のそれぞれを構成する素材について説明する。
上記抜け止め部材10における取付部片11及び係止片12を構成する素材は、図4に例示すように、並列させた多数の硬質の経線条15を、それらの経線条15間を軟質の可撓線条16により屈曲可能に連結して、該各経線条15間を可撓に保持させている。より具体的には、該経線条15は、弾性的に直線性が保持される硬質の合成樹脂又はそれに類する線状材により構成し、並列により隣接する各経線条15間を繊細な化学繊維等で形成された可撓線条16で連結することにより、取付部片11及び係止片12のいずれにおいても、並列した上記多数の経線条15が、その軸線を巻取軸2に巻き取られるスクリーン5の幅方向に向くようにして、該スクリーンが筒状に巻き取られる際に、該巻取軸2に容易に筒状に巻取り可能なものとして形成されている。
【0024】
なお、上記硬質の経線条15と軟質の可撓線条16とによって形成される織物状の素材は、図4においては、両線条を単純な平織り状のものとして示しているが、該経線条15及び可撓線条16の織物状化は、並列された上記多数の経線条15をスクリーン5と共にすだれ状に巻取りできるものであれば、必ずしも平織りである必要はなく、経線条15間に適宜可撓線条16が編み込まれたもの等であってもよく、かかる編織はここに具体例を示すまでもなく、既知の各種編織技術を利用して容易に行うことができるものである。また、上記取付部片11及び係止片12を構成する素材は、必ずしも同一である必要は無く、異種の材質のものを選択的に使用することができる。更に、経線条15として編織しようとする織物状素材としては、ポリエステルやポリプロピレン等の原糸の硬化特性を利用し、或いは、高分子化合物の化学繊維に硬化剤を塗着して加熱乾燥するなどの硬化処理を行うとか、繊維原子の太さを調整したり、経線条15として芯鞘構造の原糸を用いたりすることにより、その弾性的な直線性を調整したものとすることができる。
【0025】
上記抜け止め部材10における取付部片11と係止片12との接合は、図6に示すように、該取付部片11の先端11a側に係止片12の連結端を合わせて形成した細幅の接合部13において、取付部片11及び係止片12が有する硬質の経線条15と、該経線条間を連結する可撓線条16との製織や編織により、両者を一体化した織物状に形成することによって行っている。このような構成は、取付部片11に対し、係止片12の遊端12a側において弾性的に直線性が保持される硬質の多数の経線条15が、できるだけ平行配置の形態を保ち、その形態が弾性的に保持されるようにするものである。
【0026】
そして、上述のように、抜け止め部材10を構成する取付部片11と係止片12とが、上記接合部13において相互に面接触する態様で連結されたものであれば、該抜け止め部材10における係止片12の経線条15を、できるだけ取付部片11におけるスクリーン5の幅方向に向けて保持させることができる。このような係止片12の姿勢は、該係止片12が、スクリーン5に本来付与しているスクリーン幅方向の張力や、該スクリーンに作用するところの風その他の外力に伴う張力に起因して係止片12に作用するところの圧縮力に抗し、屈曲、折損等に耐える強度を発揮するのに非常に適したものである。
【0027】
つまり、上記係止片12の姿勢は、該係止片12内の経線条15を、ほぼ、スクリーン5を介して該係止片12に作用する圧縮力の方向に向けるものであるため、その力により該経線条15が簡単に座屈変形したり、屈曲、折損することはなく、しかも、上記係止片12内の経線条15は、該係止片12内にその多数が配列されているので、それらによって上記圧縮力を効果的に受け止めることになる。
【0028】
また、上記抜け止め部材10のスクリーン枠3に対する係合は、弾性的に直線性が保持される硬質の多数の経線条15を備える上記取付部片11を、スクリーン枠3の内側に配設したインナーレール6内の上記ガイド溝9のスリット14に挿入することにより、その姿勢を安定化させた状態において、該取付部片11に重なっている上記係止片12の遊端12aを、スクリーン枠3内において上記スリット14の開口内縁14aに近接する部位に係止させることによって行われ、それによって、上記スクリーン5の両側端を一対のスクリーン枠3間に張設状態に保持させている。
【0029】
なお、上記第1実施例のスクリーン枠3では、その内部にインナーレール6を収容し、該インナーレール内に、上記抜け止め部材10を係合させるガイド溝9を設けているが、図9に示す変形例のスクリーン枠23のように、スクリーン枠23自体の内面に、上記インナーレール6の内面と同様なガイド溝25を形成すると共に、そのガイド溝25をスリット24によりスクリーン枠23の内側に開口させたものとして構成することもできる。
【0030】
前記第1実施例のスクリーン枠3のように、該スクリーン枠3とは別のインナーレール6を用いる構成は、例えば、該インナーレール6を抜け止め部材10との摺動性に優れた合成樹脂素材等によって形成し、該インナーレール6内のガイド溝9に係合して摺動させる抜け止め部材10の移動を円滑化するとか、多機種のスクリーン装置において用いる抜け止め部材10とそれに適合するインナーレール6を共通化して製造コストを低廉化するなどの目的で採用するのに適し、そのため、該インナーレール6を採用するか否かは適宜選択することができる。
【0031】
また、上記抜け止め部材10における係止片12の遊端12aを、上記スリット14の開口内縁14aに近接する部位に係止させるに当たっては、図6に示しているように、該スリット14の開口内縁14aに係合凸条14bを設けて、その背面側に係止片12の遊端12aを係合させるのが、スクリーン枠3に対する抜け止め部材10の係合を安定的に行うために有効である。
【0032】
しかしながら、抜け止め部材10を構成する取付部片11と係止片12とを、前述するように、上記接合部13において相互に面接触する態様で連結し、それによって、抜け止め部材10における係止片12を取付部片11に沿う方向、つまり係止片12内の硬質の経線条15を、スクリーン5に作用する外力等により取付部片11を介して該係止片12に作用する圧縮力の方向に向け、該経線条15が簡単に座屈変形したり、屈曲や折損するのを抑制しているにも拘わらず、上記係合凸条14bの存在によって、係止片12の遊端12aを取付部片11の表面から離間した位置に保持することは、上記係止片12を接合部13において取付部片11に面接触させることにより得られる作用効果を低減させるものであるから、必ずしも適切な構成とは言えない。その作用効果の低減を避けるため、上記係合凸条14bは、係止片12の遊端12aを係合させる位置が可及的に取付部片11に近い位置になるように小さくすることが望まれる。
【0033】
また、上記係合凸条14bの設置に代えて、例えば、上記取付部片11と係止片12との接合部13の編織に際し、該接合部13におけるガイド溝9のスリット14側の取付部片11と係止片12とにおける両経線条15の間に、両経線条15間の開きを調整する線条を挟み込むなどの手段で、取付部片11の経線条15に対して係止片12の経線条15の遊端12a側を若干傾斜して安定的に起き上がる状態に保持させれば、上述した問題のある係合凸条14bを設けることなく、該係止片12の遊端12aをスリット14の開口内縁14aに係止させることができる。
【0034】
更に、上記取付部片11と係止片12とを重設した抜け止め部材10は、上記スクリーン枠3内のガイド溝9(又は、図9のスクリーン枠23のガイド溝25)に対してスリット14を通して挿入可能にしておくのが、スクリーン装置の組立やメンテナンス等を容易にするために望ましいが、その場合に、上記スリット14の幅を、取付部片11と係止片12とを重設した抜け止め部材10の挿通が可能ではあるが、できるだけ該抜け止め部材10の厚さと同等なものとし、しかも、スクリーン枠3に上記スリット14を通して抜け止め部材10の組付け・離脱を行うために、該抜け止め部材10をガイド溝9の最内端まで挿入したときには、係止片12の遊端12aが係合凸条14bの先端を越える位置にあることが望ましい。
【0035】
上述したように、抜け止め部材10を取付部片11に対して係止片12を接合部13において一体化した織物状に形成し、取付部片11に対して係止片12の遊端12a側ができるだけ平行配置の形態を保ち、しかも、その形態が経線条15により弾性的に保持されるようにした構成を備えていると、巻取軸2の回転駆動により抜け止め部材10をスクリーン枠3のガイド溝9に沿って移動させたときに、上記スクリーン5の両側端の抜け止め部材10における係止片12の先端側が、前記スリット14の開口内縁14aの係合凸条14b等との接触によって摺動抵抗を受け、しかも、その摺動抵抗が巻取軸2から巻き戻されているスクリーン5の全長において抜け止め部材10に作用することになる。
【0036】
上記スクリーン5に対する摺動抵抗は、スクリーン5の巻取り方向の全長がさほど長くない場合には無視できるが、スクリーン5の全長が長くなった場合には、それを軽減させることが要求される。このような摺動抵抗の低減には、図5及び図8(b)に示しているように、上記抜け止め部材10における該取付部片11と係止片12との間に、該係止片12がガイド溝9内のスリットの開口内縁14aの係合凸条14b等に接触しない状態になるまで弾性的に開くように付勢する部分拡開部片17を、上記抜け止め部材10の両側端の長手方向に離散的に配設すればよい。スクリーン5の全長が長くないときには、スクリーンの長手方向の中間部に単一の部分拡開部片17を設ければよいのは勿論である。
【0037】
この部分拡開部片17は、金属や合成樹脂の弾性薄板によって図8(b)に示すようなV字状で、巻取軸2への巻取りに支障を来さない短幅の形態を有するものとし、それを図5に示すようなスクリーンの側端において、取付部片11と係止片12との外側に、図7において取付部片11と係止片12との外側に後述する形付け材18を固定しているのと同様な態様において、接着等により固定すればよい。
なお、上記部分拡開部片17における取付部片11に固定する側の部片17aは、該取付部片11におけるスリット14内に挿入されない範囲、或いはある程度挿入される範囲の長さを有するものとして、それを取付部片11に接着等で固定したままの、不安定ではあるがほぼ固定的に保持された状態にすることができる。また、上記部分拡開部片17における係止片12に固定する側の部片17bは、それがスクリーン5側に伸びる長さによって、係止片12と係合凸条14b等との接触による摺動抵抗を調整できるものである。
【0038】
上述したような部分拡開部片17を、抜け止め部材10の長手方向に離散的に配設すると、抜け止め部材10における該部分拡開部片17の取付位置においては、上述する係止片12と係合凸条14bとの間に隙間が形成されて、係止片12に摺動抵抗が作用しなくなる部分が生じ、該部分拡開部片17の二つの取付位置の中間部分では、ある程度の摺動抵抗が残る可能性もあり、しかしながら、その中間部分での摺動抵抗は部分拡開部片17の取付位置間の間隔等を調整することにより適当な摺動抵抗に低減させることができる。
なお、上述した部分拡開部片17による摺動抵抗の低減は、インナーレール6を用いた第1実施例の場合だけでなく、図9に示すように、インナーレールをスクリーン枠23と一体化した変形例の場合にも適用できるのは勿論である。また、上記部分拡開部片17に付する弾性は、スクリーン5の巻取り時にその円滑な巻取りを妨げないような範囲の弾性であることが必要である。
【0039】
また、上記ロールスクリーン装置において、一対のスクリーン枠3に対して巻取軸2に巻いたスクリーン5の両側端の抜け止め部材10を組み付けるに当たっては、該スクリーン5の両側端に取り付けた抜け止め部材10における取付部片11と係止片12とを、図7に示すような断面を持つスクリーン枠3内のインナーレール6中におけるガイド溝9内の適切な部位に挿通する必要がある。なお、上記抜け止め部材10のスクリーン枠3に対する組付けは、インナーレール6を用いた第1実施例の場合だけでなく、図9のスクリーン枠23内に設けたガイド溝25にスクリーン5の両側端の抜け止め部材10における取付部片11と係止片12とを挿通する場合についても同様に適用できるのは勿論である。
【0040】
それを具体的に説明すると、上記抜け止め部材10をスクリーン枠3に組み付けるためには、図5及び図7に示すように、取付部片11と係止片12とが接合部13において重ねて接合された上記抜け止め部材10を、その取付部片11をガイド溝9のスリット14に対向させた状態において、その係止片12の遊端12aをガイド溝9におけるスリット14の開口内縁14a、或いはそこに設けた係合凸条14bの背面側に係合させることによって、取付部片11がスリット14内においてスクリーン5の側縁を保持するところの抜け止め姿勢の状態にする必要がある。
【0041】
このようにして、スクリーン5の両側端に取り付けた抜け止め部材10を、一対のスクリーン枠3に対して保持させると、スクリーン5は一対のスクリーン枠3の間に張設状態で保持されることになるが、抜け止め部材10にこのような抜け止め姿勢を取らせる作業は、図5図7及び図8(a)を参照して以下に説明するような手順で行うことにより、非常に簡単に行うことができる。
【0042】
即ち、前記巻取軸2に巻取ったスクリーン5の両側端の抜け止め部材10を、一対のスクリーン枠3間に組み付けるためには、まず、上記図5及び図7からわかるように、該スクリーン5のスライドバー4への取付端側に位置する抜け止め部材10の長手方向端部に対し、図8の(a)に示すように、V字状断面の形態を有している前述した抜け止め姿勢の形態を備えた形付け材18を、接着等により連結しておく必要がある。
【0043】
また、該形付け材18は、上記抜け止め部材10の取付部片11の端縁に連結する部片18aと、上記抜け止め部材10の係止片12の端縁に連結する部片18bとがV字状に形成されたもので、そのV字状の端縁における上記取付部片11を連結した部片18aをスクリーン枠3内のガイド溝9におけるスリット14に対向させると共に、該端縁における上記係止片12を連結した部片18bを、スクリーン枠3内のガイド溝9における取付部片11と係止片12との接合部13から、該係止片12の遊端12aがガイド溝9におけるスリット14の開口内縁14aに向かう部位に対向させるようにして、上記スライドバー4に保持させる必要がある。
【0044】
なお、上記形付け材18は、それをスライドバー4に保持させるにしても、該形付け材18における取付部片11に固定する側の部片18aをスライドバー4の部位まで延長させて、該スライドバー4自体に固定的に保持させることもできるが、該形付け材18を接着等で固定した取付部片11に保持させたままの、不安定ではあるがほぼ固定的に保持された状態にすることもできる。但し、いずれにしても、上記形付け材18は、スクリーン5の巻取り時に巻取軸2に巻取られる範囲まで伸びているとスクリーン5の巻取りに支障を来すので短くする必要があり、それによって、該形付け材18は弾性を備えていなくても差し支えることは無い。また、該形付け材18における係止片12に固定する側の部片18bは、それがスライドバー4側に伸びる長さによって係合凸条14b等との接触による摺動抵抗を調整することができる。
【0045】
上記形付け材18は、基本的には上述のように抜け止め部材10の長手方向端部に取り付けて、該抜け止め部材10のスクリーン枠3への導入に先行させるものであるが、該形付け材18は、巻取軸2へのスクリーン5の全巻取り状態からの張設始動時に、スクリーン枠3内のガイド溝9内に導入されるものであっても、或いは、スクリーン5の張設始動時に、既にその先端が上記ガイド溝9内に導入されているものであっても差し支えない。
【0046】
図10は、上記第1実施例のロールスクリーン装置の場合と実質的に同種のスクリーン枠33を備え、そのスクリーン枠33内に、前記第1実施例のインナーレール6と同種のインナーレール6aを備えた第2実施例を示している。この第2実施例について更に具体的に説明すると、上記インナレール6aは、その内部のガイド溝19aに、以下に説明するような抜け止め部材20を用いる場合に適したスリット14や係合凸条14bを含む形態を備えると共に、該ガイド溝19における上記スリット14の対向面19aに、該ガイド溝に挿入されている抜け止め部材20の係止片12に対して当接し、それによって、該係止片12の遊端12a側を取付部片11から離間させて、係合凸条14bの背面側に押圧させるガイド凸面19bを凸設している。
【0047】
この第2実施例において用いている抜け止め部材20は、前述した第1実施例の場合と同様に、スクリーン5の側端に沿って一側辺を固定する帯状の取付部片11と、その取付部片の先端部に連結端を細幅の接合部13で接合した帯状の係止片12とを備えたものであり、該抜け止め部材20における取付部片11及び係止片12のそれぞれも、上記第1実施例の場合と同様な経線条15間を可撓線条16で屈曲可能に連結することにより、並列された上記多数の経線条15が筒状に巻取り可能なものとして形成されたものである。
【0048】
このような第2実施例によれば、スクリーン枠33内のインナーレール6aに対してスクリーン5に取り付けた抜け止め部材20を係合させた状態では、該ガイド溝19内におけるスリットの対向面19aに設置しているガイド凸面19bが、取付部片11に重ねて挿入されている係止片12に対して当接し、該係止片12の遊端側を該取付部片11から離間する方向に押圧するため、上記係止片の遊端を上記スリットの開口内縁に近接する部位に係止するように保持することができ、それによって、図5及び図8の(b)を参照して説明しているような部分拡開部片17の利用を省略することが可能になる。
【符号の説明】
【0049】
1 巻取りボックス
2 巻取軸
3 スクリーン枠
4 スライドバー
5 スクリーン
9 ガイド溝
10,20 抜け止め部材
11 取付部片
11a 先端
12 係止片
12a 遊端
13 接合部
14 スリット
14a 開口内縁
14b 係合凸条
15 経線条
16 可撓線条
17 部分拡開部片
18 形付け材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10