(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】端子、及び端子のケーブルへの接続方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/18 20060101AFI20240603BHJP
H01R 43/048 20060101ALI20240603BHJP
H01R 43/16 20060101ALI20240603BHJP
H01R 12/58 20110101ALI20240603BHJP
【FI】
H01R4/18 A
H01R43/048 Z
H01R43/16
H01R12/58
(21)【出願番号】P 2021013847
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】和田 真人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 謙介
(72)【発明者】
【氏名】山中 和之
(72)【発明者】
【氏名】国眼 幸治
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-147689(JP,U)
【文献】特開2000-235875(JP,A)
【文献】特開平09-134749(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2280991(GB,A)
【文献】特開2014-160606(JP,A)
【文献】特開2010-097781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/00- 4/22
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
H01R43/027-43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの先端部の心線に接続される端子であって、
前記ケーブルが前記端子を介して接続される対象である接続対象物に対して接続される接続部と、前記接続部と一体に連結されて前記心線に圧着される圧着部と、を備え、
前記圧着部は、前記心線の外周を周方向に沿って囲むように設けられる心線囲み部を有し、
前記圧着部には、前記接続部と一体に連結される側と反対側の端部であって当該圧着部に圧着された状態の前記心線が引き出されて延びる側の端部である心線引き出し端部において、前記心線囲み部の内側から外側にかけて円弧状に延びる曲面部分が、前記心線囲み部の縁部に沿って設けられ
、
前記曲面部分は、前記心線囲み部を構成する板状の部分が前記心線引き出し端部で前記心線囲み部の内側から外側に向かって折り返されて重なった状態で設けられた折り返し部分の表面として設けられ、前記心線囲み部の内側から外側にかけて半円状に延びるように設けられ、
前記接続対象物は、基板であり、
前記接続部は、前記心線を外周の全周に亘って外側から覆う円筒状に設けられ、前記基板に設けられた貫通孔に挿通された状態で前記基板との間で半田付けされるように構成され、
前記ケーブルの先端部の前記心線は、前記圧着部から前記接続部に亘って配置されることを特徴とする、端子。
【請求項2】
ケーブルの先端部の心線に接続される端子を
前記ケーブルへ接続する、端子のケーブルへの接続方法であって、
前記端子は、
前記ケーブルが前記端子を介して接続される対象である接続対象物に対して接続される接続部と、前記接続部と一体に連結されて前記心線に圧着される圧着部と、を備え、
前記圧着部は、前記心線の外周を周方向に沿って囲むように設けられる心線囲み部を有し、
前記圧着部には、前記接続部と一体に連結される側と反対側の端部であって当該圧着部に圧着された状態の前記心線が引き出されて延びる側の端部である心線引き出し端部において、前記心線囲み部の内側から外側にかけて円弧状に延びる曲面部分が、前記心線囲み部の縁部に沿って設けられ、
前記接続方法は、
板状の金属部材から前記端子の素材を打ち抜く打ち抜き工程と、
前記圧着部の素材部分である圧着部素材部分の縁部分を折り返すように屈曲させることで、前記曲面部分が設けられた前記心線引き出し端部を形成する折り返し工程と、
前記圧着部素材部分が曲げられることで形成されて前記心線が圧着される前の状態の前記圧着部に前記ケーブルの先端部の前記心線を配置する心線配置工程と、
前記心線が配置された前記圧着部を上歯型及び下歯型を有する圧着部用金型で挟み込んで押圧することで、前記心線が前記圧着部で圧着された状態とする圧着工程と、
を含
み、
前記圧着部用金型は、前記心線囲み部を挟み込んで押圧する第1歯型部と、前記心線引き出し端部を挟み込んで押圧する第2歯型部とを有していることを特徴とする、端子のケーブルへの接続方法。
【請求項3】
請求項
2に記載の、端子のケーブルへの接続方法であって、
前記第1歯型部及び前記第2歯型部は互いに別体に設けられ、
前記圧着工程では、前記第1歯型部と前記第2歯型部とが重ねられた状態で用いられることを特徴とする、端子のケーブルへの接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの先端部の心線に接続される端子、及び、端子のケーブルへの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ケーブルの先端部の心線に接続される端子が用いられている。このような端子として、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1においては、ケーブルに端子を接続し、更に、ケーブルに接続した端子を基板に接続し、ケーブルを端子側から屈曲させる、端子と基板の接続構造が開示されている。そして、特許文献1においては、端子からケーブルの屈曲部分にかけて補強用の樹脂製の可撓性のチューブを装着することで、これにより、ケーブルの屈曲時における心線への負荷を軽減し、心線に損傷が生じることを抑制することが開示されている。
【0003】
また、特許文献1に開示された端子は、心線に圧着されるとともに、樹脂製の可撓性のチューブに対しても、或いは、ケーブルにおいて心線の周囲を覆う樹脂製の被覆に対しても、圧着されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された端子によると、補強用のチューブをケーブルに装着することで、ケーブルの屈曲時における心線への負荷を軽減し、心線に損傷が生じることを抑制することができる。しかしながら、特許文献1に開示された端子をケーブルに接続する場合、ケーブルに対して、補強用の樹脂製の可撓性のチューブを装着することが必要となる。このため、端子とケーブルとの接続構造における部品点数の増大を招くとともに、端子とケーブルとの接続の工数の増大を招くことになる。よって、ケーブルの屈曲時における心線への負荷を軽減して心線での損傷の発生を抑制できるとともに、端子とケーブルとの接続のための部品点数及び工数の増大を抑制できることが望ましい。
【0006】
また、特許文献1に開示された端子をケーブルに接続する場合、端子は、心線に圧着されるとともに、樹脂製の可撓性のチューブに対しても、或いは、ケーブルにおいて心線の周囲を覆う樹脂製の被覆に対しても、圧着される。このため、端子を介してケーブルを接続する対象である基板等の接続対象物に対して端子を半田付け等の方法の高温での加熱を伴う方法によって接続する場合、樹脂製の被覆或いは樹脂製のチューブのようなケーブル側の樹脂製の部材が端子からの熱伝導で溶け易くなってしまうという問題がある。とくに、半田付けによって端子を接続対象物に接続する場合、鉛合金半田の使用が禁止されて鉛フリー半田での接続が行われている状況では、半田付けの温度が高温化しており、樹脂製の被覆或いはチューブ等のケーブル側の樹脂製の部材への熱伝導を更に抑制できることが望ましい状況にある。よって、ケーブルの屈曲時における心線への負荷を軽減して心線での損傷の発生を抑制できるとともに、端子を介してケーブルを接続対象物へ接続する際に端子へ付加する熱がケーブル側の樹脂製の部材へ伝導して影響を与えてしまうことを抑制できることが望ましい。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制できるとともに、端子とケーブルとの接続のための部品点数及び工数の増大を抑制でき、更に、端子を介してケーブルを接続対象物へ接続する際に端子へ付加する熱のケーブル側の樹脂製の部材への影響を抑制できる、端子と、端子のケーブルへの接続方法と、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するために、本発明のある局面に係る端子は、ケーブルの先端部の心線に接続される端子であって、前記ケーブルが前記端子を介して接続される対象である接続対象物に対して接続される接続部と、前記接続部と一体に連結されて前記心線に圧着される圧着部と、を備え、前記圧着部は、前記心線の外周を周方向に沿って囲むように設けられる心線囲み部を有し、前記圧着部には、前記接続部と一体に連結される側と反対側の端部であって当該圧着部に圧着された状態の前記心線が引き出されて延びる側の端部である心線引き出し端部において、前記心線囲み部の内側から外側にかけて円弧状に延びる曲面部分が、前記心線囲み部の縁部に沿って設けられていることを特徴とする。
【0009】
この構成によると、ケーブルの先端部の心線が圧着部に圧着されることで、端子がケーブルに接続され、ケーブルが接続された端子の接続部が接続対象物に対して接続されることで、ケーブルと接続対象物とが端子を介して接続される。そして、ケーブルの心線は、端子の圧着部に対してその心線囲み部で外周を囲まれた状態で圧着されるとともに、心線が圧着部から引き出される心線引き出し端部の縁部に沿って設けられて心線囲み部の内側から外側にかけて円弧状に延びる曲面部分に沿って延びた状態で、圧着部から引き出される。このため、圧着部の縁部においてケーブルの心線に負荷が局部的に集中してしまうことが抑制され、心線引き出し端部の曲面部分で負荷が分散された状態で心線が支持される。これにより、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制することができる。
【0010】
また、上記の構成によると、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制することができるとともに、ケーブルの先端部は、心線が端子の圧着部に圧着されることのみによって、端子に接続される。このため、特許文献1に開示されるような補強用の部材を別途設けることは不要となる。即ち、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制するための補強用の部材を別途設けることも不要となる。よって、上記の構成によると、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制できるとともに、端子とケーブルとの接続のための部品点数及び工数の増大を抑制できる。
【0011】
また、上記の構成によると、ケーブルの先端部は、心線が端子の圧着部に圧着されることのみによって、端子に接続される。即ち、端子は、ケーブルの心線のみに圧着され、ケーブルにおける樹脂製の被覆に対して圧着されることがない。また、上記の構成によると、補強用の樹脂製の部材が別途設けられることもないため、補強用の部材に対して圧着されることもない。よって、ケーブルに接続された端子を接続対象物に対して半田付け等の方法の高温での加熱を伴う方法によって接続する場合であっても、ケーブルの被覆等のケーブル側の樹脂製の部材に端子からの熱が直接伝わることがない。これにより、端子を介してケーブルを接続対象物へ接続する際に端子へ付加する熱のケーブル側の樹脂製の部材への影響を抑制することができる。
【0012】
したがって、この構成によると、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制できるとともに、端子とケーブルとの接続のための部品点数及び工数の増大を抑制でき、更に、端子を介してケーブルを接続対象物へ接続する際に端子へ付加する熱のケーブル側の樹脂製の部材への影響を抑制できる、端子を提供することができる。
【0013】
尚、接続対象物が基板である場合、即ち、ケーブルが端子を介して基板に接続される場合、ケーブルが接続された端子が、基板に対して略垂直な姿勢で接続されることで、基板に実装されることがある。この場合、端子の長さが長くなると、端子が基板から垂直に突出する高さが高くなり、端子の基板に対する実装高さが高くなってしまう。端子の基板に対する実装高さが高くなると、基板の設置スペースの増大を招いてしまうことになる。しかし、上記の構成によると、端子は、ケーブルの心線のみに圧着され、ケーブルにおける樹脂製の被覆に対して圧着されることがない。これにより、ケーブルの心線及び被覆の両方に圧着される端子に比して、端子の圧着部の長さを短くすることができる。このため、上記の構成によると、端子が基板から垂直に突出する高さを低くでき、端子の基板に対する実装高さを低くすることができる。
【0014】
(2)前記曲面部分は、前記心線囲み部を構成する板状の部分が前記心線引き出し端部で折り返されて重なった状態で設けられた折り返し部分の表面として設けられ、前記心線囲み部の内側から外側にかけて半円状に延びるように設けられていてもよい。
【0015】
この構成によると、心線引き出し端部で折り返して重なった状態の部分を設けることで、心線囲み部の内側から外側にかけて半円状に延びる曲面部分を容易に形成することができる。また、心線引き出し端部の縁部に沿って設けられて心線囲み部の内側から外側にかけて円弧状に延びる曲面部分が、半円状に設けられるため、ケーブルの屈曲角度が大きい場合であっても、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制できる。
【0016】
(3)前記曲面部分は、前記板状の部分が前記心線引き出し端部で前記心線囲み部の内側から外側に向かって折り返されて重なった状態で設けられた折り返し部分の表面として設けられていてもよい。
【0017】
この構成によると、心線引き出し端部で板状の部分が心線囲み部の内側から外側に向かって折り返されて重なった状態で設けられる。このため、心線囲み部の内側から外側に引き出されて延びる心線が、曲面部分に更に滑らかに沿って延びるように配置されて引き出される。このため、圧着部の縁部においてケーブルの心線に負荷が局部的に集中してしまうことが更に抑制され、心線引き出し端部の曲面部分で負荷が更に分散された状態で心線が支持される。これにより、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を更に軽減して心線の損傷を更に抑制することができる。
【0018】
(4)前記接続対象物は、基板であり、前記接続部は、前記心線を外側から覆う筒状に設けられ、前記基板に設けられた貫通孔に挿通された状態で前記基板との間で半田付けされるように構成されていてもよい。
【0019】
この構成によると、基板とケーブルとを接続する端子において、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制できるとともに、端子とケーブルとの接続のための部品点数及び工数の増大を抑制でき、更に、端子を介してケーブルを基板へ接続する際に端子へ付加する熱のケーブル側の樹脂製の部材への影響を抑制できる。
【0020】
また、上記の構成によると、基板に接続される接続部が心線を覆う筒状に設けられ、その筒状の接続部が基板の貫通孔に挿通された状態で半田付けされるように構成される。このため、貫通孔の内径を筒状の接続部の外径よりもやや大きくすることで、端子が基板の貫通孔に挿通された状態において、接続部と貫通孔との間の隙間を小さくすることができる。或いは、この構成によれば、筒状の接続部が、外周から径方向内側に向かう外力が作用した際に弾性変形して縮径可能に構成されている場合、貫通孔の内径を筒状の接続部の外径と同径、又は貫通孔の内径を筒状の接続部の外径よりも僅かに小さくすることができる。このように貫通孔の内径と筒状の接続部の外径とを設定することで、端子が基板の貫通孔に挿通された状態において、接続部と貫通孔との間の隙間を極めて小さくすることができる。そうすると、端子が基板の貫通孔に挿通され且つ心線が基板に半田付けされる前の状態において、端子が基板に対して大きく傾きにくくなる。これにより、ケーブルを基板に対して略垂直に保った状態で心線と基板とを半田付けすることができる。
【0021】
また、上記の構成によれば、貫通孔の内径を筒状の接続部の外径よりもやや大きくすることで、端子が基板の貫通孔に挿通された状態において、接続部と貫通孔との間の隙間を小さくすることができる。或いは、上記の構成によれば、筒状の接続部が弾性変形して縮径可能な場合、貫通孔の内径を筒状の接続部の外径と同径、又は貫通孔の内径を筒状の接続部の外径よりも僅かに小さくすることで、端子が基板の貫通孔に挿通された状態において、接続部と貫通孔との間の隙間を極めて小さくすることができる。そうすると、基板と心線とを半田付けする際、毛細管現象によってその隙間に溶融した半田が吸い上げられ易くなる。これにより、基板と心線との間に行き渡る半田量を確保することができる。
【0022】
(5)また、上記の課題を解決するために、本発明のある局面に係る端子のケーブルへの接続方法は、本発明のある局面に係る端子をケーブルへ接続する、端子のケーブルへの接続方法に関する。そして、本発明のある局面に係る端子のケーブルへの接続方法は、板状の金属部材から前記端子の素材を打ち抜く打ち抜き工程と、前記圧着部の素材部分である圧着部素材部分の縁部分を折り返すように屈曲させることで、前記曲面部分が設けられた前記心線引き出し端部を形成する折り返し工程と、前記圧着部素材部分が曲げられることで形成されて前記心線が圧着される前の状態の前記圧着部に前記ケーブルの先端部の前記心線を配置する心線配置工程と、前記心線が配置された前記圧着部素材部分を上歯型及び下歯型を有する圧着部用金型で挟み込んで押圧することで、前記心線が前記圧着部で圧着された状態とする圧着工程と、を含んでいることを特徴とする。
【0023】
この構成によると、板状の金属部材から端子の素材を打ち抜いた後に、圧着部素材部分を折り返すように屈曲させることで、曲面部分が設けられた心線引き出し端部を容易に形成することができる。そして、圧着部素材部分に心線を配置して上歯型及び下歯型で挟み込んで押圧することで端子を圧着部において心線に圧着させ、端子をケーブルへ接続することができる。そして、上記の接続方法によって端子とケーブルとが接続された状態では、圧着部の縁部の曲面部分によって、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制することができる。また、上記の接続方法によって端子とケーブルとが接続された状態では、ケーブルの先端部は、心線が端子の圧着部に圧着されることのみによって、端子に接続される。このため、心線の損傷を抑制するための補強用の部材を別途設けることも不要となり、端子とケーブルとの接続のための部品点数及び工数の増大を抑制できる。更に、上記の接続方法によって端子とケーブルとが接続された状態では、ケーブルの先端部は、心線が端子の圧着部に圧着されることのみによって、端子に接続されるため、ケーブルにおける樹脂製の被覆に対して圧着されることも、補強用の樹脂製の部材が別途設けられることもない。このため、ケーブルに接続された端子を接続対象物に対して半田付け等の方法の高温での加熱を伴う方法によって接続する場合であっても、ケーブルの被覆或いは補強用の部材のようなケーブル側の樹脂製の部材に端子からの熱が直接伝わることがない。これにより、端子を介してケーブルを接続対象物へ接続する際に端子へ付加する熱のケーブル側の樹脂製の部材への影響を抑制することができる。
【0024】
したがって、この構成によると、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制できるとともに、端子とケーブルとの接続のための部品点数及び工数の増大を抑制でき、更に、端子を介してケーブルを接続対象物へ接続する際に端子へ付加する熱のケーブル側の樹脂製の部材への影響を抑制できる、端子のケーブルへの接続方法を提供することができる。
【0025】
(6)前記圧着部用金型は、前記心線囲み部を挟み込んで押圧する第1歯型部と、前記心線引き出し端部を挟み込んで押圧する第2歯型部とを有していてもよい。
【0026】
この構成によると、圧着部用金型において、心線囲み部及び心線引き出し端部をそれぞれ挟み込んで押圧する第1歯型部及び第2歯型部が設けられる。このため、心線の外周を囲むように覆って心線に圧着される心線囲み部と、圧着部素材部分を折り返すように屈曲させて曲面部分が設けられた心線引き出し端部とのそれぞれの形状の違いに正確に適合した圧着部用金型の構造を容易に設定することができる。そして、心線が配置された圧着部素材部分を第1歯型部及び第2歯型部を有する圧着部用金型で挟み込んで押圧する1回の押圧動作によって、心線囲み部と心線引き出し端部とを同時に押圧し、心線が圧着部で圧着された状態とすることができる。よって、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制できる、端子のケーブルへの接続方法において、心線と端子との圧着を容易に且つ効率よく実施することができる。
【0027】
(7)前記第1歯型部及び前記第2歯型部は互いに別体に設けられ、前記圧着工程では、前記第1歯型部と前記第2歯型部とが重ねられた状態で用いられてもよい。
【0028】
この構成によると、別体の第1歯型部と第2歯型部とが重ねられた状態で圧着部用金型が構成される。このため、心線囲み部と心線引き出し端部とのそれぞれの形状の違いに正確に適合した圧着部用金型の構造を更に容易に設定することができる。また、第1歯型部及び第2歯型部を個別に形成して組み合わせることができるため、圧着部用金型の製造が容易となるとともに、圧着部用金型の構造の設計の自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ケーブルの屈曲時の心線の負荷を軽減して心線の損傷を抑制できるとともに、端子とケーブルとの接続のための部品点数及び工数の増大を抑制でき、更に、端子を介してケーブルを接続対象物へ接続する際に端子へ付加する熱のケーブル側の樹脂製の部材への影響を抑制できる、端子と、端子のケーブルへの接続方法と、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1(A)及び
図1(B)は、本発明の実施形態に係る端子がケーブルの心線に接続された状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、
図1(A)に示す端子の平面図であり、
図2(B)は、
図1(A)に示す端子の側面図である。
【
図3】
図1(A)及び
図1(B)に示す端子がケーブルの先端部の心線に接続される前の状態を示す図であって、
図3(A)は、上方側から視た斜視図であり、
図3(B)は、下方側から視た斜視図である。
【
図4】
図1(A)及び
図1(B)に示す端子がキャリアから切り離される前の状態を示す平面図である。
【
図5】ケーブルの心線に接続された端子が基板の貫通孔に挿入される様子を示す図であって、
図5(A)は、挿入前の状態を示す図であり、
図5(B)は、挿入途中の状態を示す図であり、
図5(C)は、挿入後の状態を示す図である。
【
図6】
図5(C)に示す状態の端子が基板に半田付けされた状態を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る、端子のケーブルへの接続方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8(A)及び
図8(B)は、
図7に示す端子のケーブルへの接続方法における打ち抜き工程及び折り返し工程を説明するための図であって、
図8(A)は、打ち抜き工程を説明するための図であり、
図8(B)は、折り返し工程を説明するための図である。
【
図9】
図7に示す端子のケーブルへの接続方法における曲げ工程を説明するための図であって、キャリアに連結された状態の端子を示す図であり、
図9(A)は、平面図、
図9(B)は、側面図、
図9(C)は、正面図である。
【
図10】
図10(A)及び
図10(B)は、
図7に示す端子のケーブルへの接続方法における心線配置工程を説明するための図であって、
図10(A)は、端子に対してケーブルの心線が配置される前の状態を示す図であり、
図10(B)は、端子に対してケーブルの心線が配置された後の状態を示す図である。
【
図11】
図7に示す端子のケーブルへの接続方法における接続部形成工程及び圧着工程を説明するための図であって、接続部形成工程及び圧着工程において用いられる金型ユニットを示す斜視図である。
【
図12】
図7に示す端子のケーブルへの接続方法における圧着工程を説明するための図であって、圧着部用金型で心線に端子が圧着される状態を示す図である。
【
図13】第1の変形例に係る端子を示す図であって、
図13(A)は、第1の変形例に係る端子がケーブルの心線に接続される前の状態を示す斜視図であり、
図13(B)は、第1の変形例に係る端子がケーブルの心線に接続された状態であって心線の図示を省略した状態で示す斜視図である。
【
図14】第2の変形例に係る端子を示す図であって、
図14(A)は、第2の変形例に係る端子がケーブルの心線に接続される前の状態を示す斜視図であり、
図14(B)は、
図14(A)に示す端子の圧着部の一部を拡大して示す図であり、
図14(C)は、第2の変形例に係る端子がケーブルの心線に接続された状態であってケーブルの心線の図示を省略した状態で示す斜視図である。
【
図15】第3の変形例に係る端子を示す図であって、
図15(A)は、第3の変形例に係る端子がケーブルの心線に接続される前の状態を示す斜視図であり、
図15(B)は、第3の変形例に係る端子がケーブルの心線に接続された状態であってケーブルの心線の図示を省略した状態で示す斜視図である。
【
図16】第4の変形例に係る端子を示す図であって、
図16(A)は、第4の変形例に係る端子がケーブルの心線に接続される前の状態を示す斜視図であり、
図16(B)は、第4の変形例に係る端子がケーブルの心線に接続された状態であってケーブルの心線の図示を省略した状態で示す斜視図である。
【
図17】第5の変形例に係る端子を示す図であって、
図17(A)及び
図17(B)は、第5の変形例に係る端子がケーブルの心線に接続される前の状態を示す斜視図であり、
図17(C)は、第5の変形例に係る端子がケーブルの心線に接続された状態であってケーブルの心線の図示を省略した状態で示す斜視図である。
【
図18】第6の変形例に係る端子を示す図であって、
図18(A)は、第6の変形例に係る端子がケーブルの心線に接続されているとともに液晶表示装置用のバックライトに接続された状態を示す側面図であり、
図18(B)は、第6の変形例に係る端子がケーブルの心線には接続されていて液晶表示装置用のバックライトには接続されていない状態を示す正面図である。
【
図19】変形例に係る、端子のケーブルへの接続方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、ケーブルが接続される対象である基板等の接続対象物に対してケーブルを電気的に接続するための端子、及び、端子のケーブルへの接続方法に関して広く適用できる。
【0032】
図1(A)及び
図1(B)は、本発明の実施形態に係る端子2がケーブルの3の心線4に接続された状態を示す斜視図である。
図2(A)は、
図1(A)に示す端子2の平面図であり、
図2(B)は、
図1(A)に示す端子2の側面図である。
図3は、
図1(A)及び
図1(B)に示す端子2がケーブル3の先端部の心線4に接続される前の状態を示す図であって、
図3(A)は、上方側から視た斜視図であり、
図3(B)は、下方側から視た斜視図である。
図4は、
図1(A)及び
図1(B)に示す端子2がキャリア8から切り離される前の状態を示す平面図である。尚、
図3(A)、
図3(B)、及び
図4においては、ケーブル3の心線4に接続される前の状態の端子2が示されており、
図3(A)及び
図3(B)においては、端子2が、
図4に示すキャリア8から切り離された状態が例示されている。
図5は、ケーブル3の心線4に接続された端子2が基板100の貫通孔100aに挿入される様子を示す図であって、
図5(A)は、挿入前の状態を示す図であり、
図5(B)は、挿入途中の状態を示す図であり、
図5(C)は、挿入後の状態を示す図である。
図6は、
図5(C)に示す状態の端子2が基板100に半田付けされた状態を示す図である。
【0033】
本実施形態に係る端子2は、ケーブル3の先端部の心線4に接続される端子として構成される。端子2は、ケーブル3の心線4に接続された状態で、基板100に接続される。即ち、本実施形態では、ケーブル3が端子2を介して接続される対象である接続対象物が基板100である形態を例示している。
【0034】
本実施形態に係る端子2は、ボードイン端子とも呼ばれる端子である。端子2は、ケーブル3の心線4にかしめられることで圧着された状態でケーブル3の先端部の心線4に接続され、基板100に形成された貫通孔100aに挿入される。そして、その状態において端子2と基板100とが半田付けされることにより、端子2に接続された心線4と基板100とが半田付けされて電気的に接続される。即ち、ケーブル3と基板100とは、端子2を介して接続されるとともに、半田付けが行われることで接続される。このため、端子2は、ケーブル3の心線4と基板100とを半田付けする際に用いられる半田付け用部品、としての機能を有している。尚、本実施形態では、端子2とケーブル3の心線4とが接続されることで、端子2とこの端子2が接続されたケーブル3とを備えたケーブルアッシー1が構成される。そして、ケーブルアッシー1が、基板100に接続される。
【0035】
[ケーブルの心線に接続される前の端子の形状について]
端子2は、ケーブル3の先端部の心線4に対して接続可能な状態で構成され又は接続された状態で構成され、基板100に形成された貫通孔100aに挿通された状態で基板100との間で半田付けされるものである。端子2は、板状の金属部材がプレス加工によって打ち抜かれることにより所定形状を有するように形成されている。端子2は、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、中央帯状部11と、第1側壁部12と、第2側壁部13とを有し、これらが一体に形成されている。
【0036】
中央帯状部11は、長手方向Lを有する端子2においてその長手方向Lに沿って帯状に延びる壁部を構成する部分であって、端子2の長手方向Lの一方の端部から他方の端部に亘って板状に延びるように設けられている。中央帯状部11は、所定の厚みを有して且つ端子2の長手方向Lに垂直な方向である端子2の幅方向Wにおいて所定の幅寸法を有する、長手方向Lに細長い板状の部分として設けられている。尚、
図1(A)、
図1(B)、
図2(A)、
図2(B)、
図3(A)、及び
図3(B)において、端子2の長手方向Lについては、両端矢印Lで示している。また、
図1(A)、
図2(A)、及び
図3(A)において、端子2の幅方向Wについては、両端矢印Wで示している。
【0037】
第1側壁部12は、中央帯状部11に対して端子2の幅方向Wにおける一方側に設けられた壁部を構成する部分である。第1側壁部12は、中央帯状部11における幅方向Wの一方側の縁部と一体に設けられているとともに長手方向Lに沿って延びるように設けられ、幅方向Wの一方側へやや傾いている。中央帯状部11と第1側壁部12との間の部分は、曲面状に形成されている。
【0038】
第1側壁部12には、第1切欠き部12aが形成されている。この第1切欠き部12aは、第1側壁部12の長手方向Lの中央部分よりも長手方向Lにおける一方の端部側の部分に形成されている。第1切欠き部12aは、第1側壁部12における中央帯状部11と一体に設けられている部分と反対側で長手方向Lに沿って延びる縁部側から、第1側壁部12における中央帯状部11と一体に設けられている側の部分にまで亘って切り欠かれた状態で形成されている。
【0039】
第2側壁部13は、中央帯状部11に対して端子2の幅方向Wにおける他方側に設けられた壁部を構成する部分である。第2側壁部13は、中央帯状部11における幅方向Wの他方側の縁部に一体に設けられているとともに長手方向Lに沿って延びるように設けられ、幅方向Wの他方側へやや傾いている。中央帯状部11と第2側壁部13との間の部分は、曲面状に形成されている。
【0040】
第2側壁部13には、第2切欠き部13aが形成されている。この第2切欠き部13aは、第2側壁部13の長手方向Lの中央部分よりも長手方向Lにおける一方の端部側の部分に形成されている。第2切欠き部13aは、第2側壁部13における中央帯状部11と一体に設けられている部分と反対側で長手方向Lに沿って延びる縁部側から、第2側壁部13における中央帯状部11と一体に設けられている側の部分にまで亘って切り欠かれた状態で形成されている。
【0041】
端子2は、ケーブル3の心線4に接続される前の状態では、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、中央帯状部11の幅方向Wの両側に設けられた第1側壁部12及び第2側壁部13が、幅方向Wの両外方に向かって斜めに開いて開放された状態で設けられている。そして、端子2は、上述のように形成された中央帯状部11、第1側壁部12、及び第2側壁部13により、接続部15、圧着部16、及び連結部17を備えるように構成されている。
【0042】
接続部15は、ケーブル3が端子2を介して接続される対象である接続対象物に対して接続される部分として設けられている。本実施形態では、接続対象物は、基板100である。
図3(A)及び
図3(B)を参照して、接続部15は、第1接続部15aと第2接続部15bと中央接続部15cとを有して構成されている。第1接続部15aは、第1側壁部12における第1切欠き部12aよりも長手方向Lの他方の端部側の部分として設けられている。第2接続部15bは、第2側壁部13における第2切欠き部13aよりも長手方向Lの他方の端部側の部分として設けられている。中央接続部15cは、中央帯状部11における第1接続部15aと第2接続部15bとの間で挟まれている部分として設けられている。また、接続部15は、ケーブル3に接続される前の状態では、ケーブル3の心線4が内側に配置されるように、第1接続部15aの縁部と第2接続部15bの縁部との間の寸法が、ケーブル3の心線4の外径よりも大きくなるように設定されている。
【0043】
圧着部16は、接続部15と一体に連結されてケーブル3の心線4に圧着される部分として設けられている。
図3(A)及び
図3(B)を参照して、圧着部16は、第1圧着部16aと第2圧着部16bと中央圧着部16cとを有して構成されている。第1圧着部16aは、第1側壁部12における第1切欠き部12aよりも長手方向Lの一方の端部側の部分として設けられている。第2圧着部16bは、第2側壁部13における第2切欠き部13aよりも長手方向Lの一方の端部側の部分として設けられている。中央圧着部16cは、中央帯状部11における第1圧着部16aと第2圧着部16bとの間で挟まれている部分として設けられている。また、圧着部16は、ケーブル3の心線4に圧着される前の状態では、ケーブル3の心線4が内側に配置されるように、第1圧着部16aの縁部と第2圧着部16bの縁部との間の寸法が、ケーブル3の心線4の外径よりも大きくなるように設定されている。
【0044】
連結部17は、接続部15と圧着部16との間に設けられた部分であって、接続部15と圧着部16とを一体に連結する部分として設けられている。
【0045】
また、端子2は、3つのバネ部18と、3つの突出部19とを有している。バネ部18及び突出部19は、接続部15に形成されている。
【0046】
3つのバネ部18として、バネ部18aと、バネ部18bと、バネ部18cとが設けられている。
図3(A)及び
図3(B)を参照して、バネ部18aは、第1接続部15aにおける長手方向Lの他方の端部側の部分に形成されている。バネ部18bは、第2接続部15bにおける長手方向Lの他方の端部側の部分に形成されている。バネ部18cは、中央接続部15cにおける長手方向Lの他方の端部側の部分に形成されている。各バネ部18は、切り起こしによって板バネ状に形成されている。各バネ部18は、長手方向Lにおける他方の端部側の部分が、接続部15と一体に形成された支点部分として設けられ、この支点部分を支点として弾性変形可能に構成されている。各バネ部18は、長手方向Lにおける一方の端部側へ延びるに連れて接続部15の外側へ広がる片持ち梁状に形成されている。
【0047】
3つの突出部19として、突出部19aと、突出部19bと、突出部19cとが設けられている。各突出部19は、接続部15に設けられ、接続部15から外側へ突出するように設けられている。突出部19aは、第1接続部15aにおけるバネ部18aよりも長手方向Lの一方の端部側の部分に形成されている。突出部19bは、第2接続部15bにおけるバネ部18bよりも長手方向Lの一方の端部側の部分に形成されている。突出部19cは、中央接続部15cにおけるバネ部18cよりも長手方向Lの一方の端部側の部分に形成されている。突出部19aは、先端部が幅方向Wの一方側へ向かって延びるように形成された切り起こし部分である。突出部19bは、先端部が幅方向Wの他方側へ向かって延びるように形成された切り起こし部分である。突出部19cは、長手方向Lにおいて間隔を空けて形成された幅方向Wに延びる2本のスリットの間の部分が接続部15の外側に向かって切り起こされた部分である。
【0048】
[ケーブルの心線に接続された状態の端子の形状について]
端子2は、ケーブル3の心線4に接続された状態において、
図1(A)、
図1(B)、
図2(A)、及び
図2(B)に示すような形状を有している。ケーブル3は、例えば、複数の金属線が束ねられる状態で設けられて導体として構成される心線4と、絶縁性を有する樹脂材料で設けられて心線4の周囲を囲む樹脂製の被覆6とを有して構成されている。そして、ケーブル3は、その先端部分における被覆6が切除されて剥がされることにより心線4が外部に露出した部分である心線露出部5が設けられ、心線露出部5において端子2に接続される。
【0049】
ケーブル3の心線4に端子2が接続された状態では、接続部15は、ケーブル3の先端部の心線露出部5における心線4の先端側の部分が内側に配置された状態で曲げられることにより、心線4を外側から覆う筒状に設けられている。そして、本実施形態では、接続部15は、心線4を外周の全周に亘って覆う円筒状に設けられている。また、接続部15は、
図1及び
図2とともに
図5(C)及び
図6も参照して、基板100に設けられた貫通孔100aに挿通されて基板100に対して接続される部分として設けられている。更に、接続部15は、基板100に設けられた貫通孔100aに挿通された状態で基板100との間で半田付けされるように構成されている。
【0050】
また、接続部15における3つのバネ部18は、端子2がケーブル3の先端部の心線4に接続された状態において、円筒状に設けられた接続部15の周方向に沿って間隔を空けて配置されている。また、3つの突出部19も、接続部15の周方向において互いに間隔を空けて配置されている。端子2がケーブル3に接続された状態において、接続部15の長手方向Lにおける、3つのバネ部18と3つの突出部19との間の部分は、端子2が基板100の貫通孔100aに挿通された状態において貫通孔100aに貫通した状態で配置される。尚、ケーブル3の心線4に接続されて円筒状に設けられた状態の接続部15の外径は、例えば、基板100の貫通孔100aよりも僅かに小さくなるように設定されている。また、端子2がケーブル3の心線4に接続された状態では、接続部15の内側には、長手方向Lの略全長に亘って、心線4が配置されている。
【0051】
圧着部16は、ケーブル3の先端部の心線露出部5における心線4の基端側の部分が内側に配置された状態で曲げられることにより、心線4に対してかしめられて圧着される部分として設けられている。また、圧着部16は、心線露出部5の心線4に対して圧着されるとともに、ケーブル3の端部における被覆6の先端部から離間した位置で心線露出部5の心線4に圧着されるように構成されている。
【0052】
また、圧着部16は、ケーブル3の心線4に端子2が接続された状態において心線4の外周を周方向に沿って囲むように設けられる心線囲み部20を有している。心線囲み部20は、端子2の長手方向Lに沿って延びた状態で心線4を囲むように設けられる。そして、心線囲み部20は、心線露出部5の心線4に対してかしめられていることで、心線露出部5の基端側の部分に密着した扁平な断面形状に設けられている。
【0053】
圧着部16は、長手方向Lにおける一方の端部が端子2の端部を構成しており、長手方向Lにおける他方の端部において連結部17を介して接続部15と一体に設けられている。そして、圧着部16は、接続部15と一体に連結される側と反対側の端部(即ち、端子2の端部)が、圧着部16に圧着された状態の心線4が引き出されて延びる側の端部である心線引き出し端部21として構成されている。
【0054】
また、圧着部16は、心線引き出し端部21において、心線囲み部20の内側から外側にかけて円弧状に延びる曲面部分22が、心線囲み部20の縁部に沿って設けられている。即ち、曲面部分22は、心線囲み部20の縁部に沿う方向である周方向に対して垂直な断面が円弧状に形成されている部分として設けられている。また、本実施形態では、曲面部分22は、心線囲み部20の縁部の全周に亘って縁部に沿うように設けられている。
【0055】
また、曲面部分22は、心線囲み部20を構成する板状の部分20aが心線引き出し端部21で折り返されて重なった状態で設けられた折り返し部分23の表面として構成されている。尚、本実施形態では、折り返し部分23は、心線囲み部20を構成する板状の部分20aが心線引き出し端部21で心線囲み部20の内側から外側に向かって略180°近くに亘って折り返されて2枚重ねで重なった状態で設けられている。そして、折り返し部分23の表面として構成される曲面部分22は、心線囲み部20の内側から外側にかけて半円状に延びるように設けられている。
【0056】
[基板に対する端子の接続について]
端子2は、ケーブル3の心線4が圧着されて接続された状態で、基板100に接続される。即ち、ケーブル3と端子2とが接続されてケーブルアッシー1が構成された状態で、ケーブルアッシー1の端子2が基板100の貫通孔100aに挿入されて基板100に接続される。ケーブルアッシー1の端子2が基板100の貫通孔100aに挿入される様子を、
図5を用いて説明する。
【0057】
ケーブルアッシー1の端子2を貫通孔100aへ挿入する際、作業者は、ケーブルアッシー1を、基板100の貫通孔100aに向かって基板100と垂直な方向に沿って移動させ(
図5(A)参照)、端子2がその接続部15の先端部側から貫通孔100aへ挿入される(
図5(B)参照)。これにより、接続部15に設けられたバネ部18は、
図5(B)に示すように、貫通孔100aによって該貫通孔100aの内側へ弾性変形する。
【0058】
作業者が、
図5(B)に示す状態からケーブルアッシー1を更に基板100に垂直な方向へ移動させると、バネ部18が貫通孔100aを通過して接続部15におけるバネ部18と突出部19との間の部分が貫通孔100a内に到達することにより、バネ部18が弾性回復して復元する(
図5(C)参照)。また、これと同時に、
図5(C)に示すように、突出部19が基板100の表面100bに当接する。これにより、基板100が、バネ部18と突出部19との間で挟まれた状態となり、その結果、基板100に対して端子2が固定される。この状態において(言い換えれば、端子2が基板100の貫通孔100aに挿通された状態において)、接続部15におけるバネ部18と突出部19との間の部分は、貫通孔100aに貫通した状態となる。
【0059】
また、接続部15が基板100を貫通した状態において、バネ部18の一部(具体的には、
図5(C)を参照して、バネ部18の先端部)は、基板100と垂直な方向であって基板100から接続部15の先端側が突出する側からから視て(端子2の挿入方向と反対側から視て)貫通孔100aよりも外側に位置する。これにより、ケーブルアッシー1が貫通孔100aへの挿入方向と反対方向へ引っ張られても、バネ部18の先端部が基板100に引っ掛かるため、基板100に対するケーブルアッシー1の抜けを防止することができる。
【0060】
図5(C)に示す状態の後、心線4と基板100との間の半田付けが行われる。具体的には、
図6を参照して、基板100の裏面100cに設けられたランドと、端子2の接続部15における基板100の裏面100cよりも突出して露出した部分との間で半田付けが行われる。これにより、溶融した半田が、接続部15と心線4との隙間、或いは心線4を構成する複数の金属線の間に吸い上げられ、基板100のランドと心線4との間が半田付けされる。これにより、心線4と基板100との間に半田部101を設けることができる。
【0061】
そして、本実施形態に係る端子2では、
図6を参照して、端子2における円筒状に形成された接続部15の先端側の部分であって基板100から突出した部分と、基板100との間に、基板100の裏面100cに対して斜め方向に延びるバネ部18が配置された状態となる。このバネ部18により、接続部15の外周面と基板100との間に半田付けを行う際、接続部15の外周面とバネ部18との間、及びバネ部18と基板100との間に半田が行き渡るため、
図6に示すように、端子2の先端側から基板100の裏面100c側に向かって裾が広がるような理想的なフィレットを有する半田部101を形成することができる。
【0062】
[キャリアから切り離される前の端子について]
本実施形態に係る端子2は、
図4を参照して、キャリア8から切り離される前の状態では、端子2の幅方向Wと平行な方向に等間隔に並んだ状態となっている。この状態において、できるだけ隣接する端子2間の間隔を狭めることができれば、帯状の金属部材としてのコイル材から多くの端子2を形成することが可能となる。
【0063】
この点につき、本実施形態に係る端子2は、圧着部16が心線4に対して圧着される。こうすると、例えば圧着部16が心線4よりも径寸法が大きい被覆6にも圧着される場合と比べて、圧着部16の幅方向Wの長さを短くすることができる。そうすると、
図4に示す状態において、圧着部16の幅方向Wの長さが長い場合と比べて、隣接する端子2間の間隔を狭めることができる。すなわち、本実施形態に係る端子2によれば、1本のコイル材から多くの端子2を効率的に形成することができる。
【0064】
また、端子2は、キャリア8から切り離される前の状態においては、キャリア8に対して、接続部15が設けられる側の端部において、連結されている。そして、端子2における圧着部16が設けられる側の端部は、キャリア8から片持ち状に延びる端子2の自由端側に配置される。圧着部16における心線引き出し端部21は、端子2におけるキャリア8に連結される側と反対側の端部に配置されることになる。これにより、キャリア8に端子2が連結された状態のまま、曲面部分22が設けられた圧着部16の心線引き出し端部21を容易に形成することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る端子2のように、心線4に対して圧着されて被覆6に対しては圧着されない圧着部16を設けることで、圧着部16が被覆6に圧着されるような場合に生じ得る、半田付け時における被覆溶けを防止することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る端子2のように、心線4に対してのみ圧着される圧着部16を設けることで、被覆6に圧着される部分を端子2に設ける必要がなくなる。そうすると、例えば複数種類のケーブルに対して端子2を圧着する場合、心線の外径が同じであれば、被覆部分の外径が異なっていても、同じ寸法の端子2を使用することができる。言い換えれば、本実施形態に係る端子2によれば、汎用性の高い端子を提供できる。
【0067】
[端子のケーブルへの接続方法]
次に、端子をケーブルへ接続する、端子のケーブルへの接続方法について説明する。本実施形態に係る端子のケーブルへの接続方法(以下、単に、本実施形態の接続方法とも称する)は、端子をケーブルへ接続する方法に関して広く適用することができる。本実施形態では、本実施形態の接続方法について、端子2のケーブル3への接続方法を例にとって説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る、端子2のケーブル3への接続方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0068】
図7を参照して、本実施形態の接続方法は、打ち抜き工程S101、折り返し工程S102、切り起こし工程S103、曲げ工程S104、切り離し工程S105、心線配置工程S106、接続部形成工程S107、圧着工程S108を備えて構成されている。
【0069】
図8(A)及び
図8(B)は、本実施形態の接続方法における打ち抜き工程S101及び折り返し工程S102を説明するための図であって、
図8(A)は、打ち抜き工程S101を説明するための図であり、
図8(B)は、折り返し工程S102を説明するための図である。
【0070】
図8(A)を参照して、打ち抜き工程S101は、板状の金属部材から端子2の素材2Aを打ち抜く工程として構成される。尚、端子2の素材2Aは、折り返し工程S102、切り起こし工程S103、曲げ工程S104を経て成形されることで、端子2として形成される部分である。端子2の素材2Aが打ち抜かれる板状の金属部材としては、例えば、帯状に形成された板状の金属部材がコイル状に巻かれたコイル材が用いられる。端子2の素材2Aは、コイル状に巻かれたコイル材が払い出されながら延ばされた状態で、抜型として構成されたプレス金型(図示省略)を用いて打ち抜かれることで形成される。コイル材から端子2の素材2Aが打ち抜かれる場合、コイル材の長手方向に沿って端子2の素材2Aを並べて打ち抜くことができ、効率よく端子2の素材2Aを形成することができる。
【0071】
打ち抜き工程S101でコイル材から端子2の素材2Aが打ち抜かれると、
図8(A)に示すように、複数の端子2の素材2Aがそれぞれ帯状に延びるキャリア8に連結されているとともに、複数の端子2の素材2Aがキャリア8に沿って並んだ状態で形成される。端子2の素材2Aには、圧着部16の素材部分である圧着部素材部分16A、連結部17の素材部分である連結部素材部分17A、接続部15の素材部分である接続部素材部分15Aが設けられている。端子2の素材2Aは、圧着部素材部分16Aと連結部素材部分17Aと接続部素材部分15Aとが、この順番で直列に並んで一体に形成された状態で、キャリア8に一体に連結されている。また、端子2の素材2Aは、直列に並ぶ圧着部素材部分16Aと連結部素材部分17Aと接続部素材部分15Aとが、キャリア8が帯状に延びる方向に対して垂直に延びる方向に沿って延びた状態で、キャリア8に連結されている。更に、端子2の素材2Aは、接続部素材部分15Aにおいて、キャリア8に連結されている。
【0072】
打ち抜き工程S101が終了すると、折り返し工程S102が行われる。
図8(B)を参照して、折り返し工程S102は、圧着部素材部分16Aの先端部側の縁部分を略180°近くに亘って折り返すように屈曲させることで、端子2の圧着部16の曲面部分22が設けられた心線引き出し端部21を形成する工程として構成されている。折り返し工程S102では、キャリア8に連結された端子2の素材2Aが固定された状態で、曲げ型として構成されたプレス金型によって、圧着部素材部分16Aの先端側の部分が折り返すように屈曲されることで、心線引き出し端部21が形成される。折り返し工程S102の終了後の状態では、心線引き出し端部21は、圧着部素材部分16Aの端部において2枚重ねの状態で折り返された部分として設けられる。
【0073】
折り返し工程S102が終了すると、切り起こし工程S103が行われる。切り起こし工程S103は、端子2の素材2Aにおける接続部素材部分15Aに対して、複数のバネ部18と複数の突出部19とを切り起こし加工によって形成する工程として構成される。切り起こし工程S103では、キャリア8に連結された端子2の素材2Aに対して、プレス金型によって、接続部素材部分15Aにおける複数個所の部分に対して切込み加工と曲げ加工とが行われる切り起こし加工が施されることで、バネ部18及び突出部19が形成される。
【0074】
切り起こし工程S103が終了すると、曲げ工程S104が行われる。
図9は、曲げ工程S104を説明するための図であって、キャリア8に連結された状態の端子2を示す図であり、
図9(A)は、平面図、
図9(B)は、側面図、
図9(C)は、正面図である。
【0075】
図9を参照して、曲げ工程S104は、端子2の素材2Aをキャリア8が帯状に延びる方向に垂直な方向を中心軸としてその中心軸周りで略90°以上に亘って曲げるように屈曲させることで、キャリア8に連結された状態であってケーブル3の心線4に接続される前の状態の端子2を形成する工程として構成されている。より具体的には、曲げ工程S104においては、端子2の素材2Aの接続部素材部分15A、連結部素材部分17A、及び圧着部素材部分16Aを、上記の中心軸周りで略90°以上に亘って曲げるように屈曲させることで、ケーブル3の心線4に接続される前の状態の端子2の接続部15、連結部17、及び圧着部16が形成される。
【0076】
また、曲げ工程S104では、キャリア8に連結された端子2の素材2Aのそれぞれにおいて、曲げ型として構成されたプレス金型によって、接続部素材部分15A、連結部素材部分17A、及び圧着部素材部分16Aが曲げられることで、接続部15、連結部17、及び圧着部16が形成される。即ち、曲げ工程S104では、接続部素材部分15Aが曲げられることで接続部15が形成され、連結部素材部分17Aが曲げられることで連結部17が形成され、圧着部素材部分16Aが曲げられることで圧着部16が形成される。また、曲げ工程S104の終了後の状態では、
図9に示すように、キャリア8に連結された状態の端子2が形成され、端子2には、中央帯状部11、第1側壁部12、及び第2側壁部13が形成されている。
【0077】
曲げ工程S104が終了すると、切り離し工程S105が行われる。切り離し工程S105は、端子2をキャリア8から切り離す工程として構成される。本実施形態では、切り離し工程S105においては、ケーブル3の心線4が接続される前の状態の端子2がキャリア8から切り離される。曲げ工程S104が終了した後であって切り離し工程S105が行われる前の状態では、端子2は、心線4が接続される前の状態であり、第1側壁部12及び第2側壁部13が幅方向Wの両外方に向かって斜めに開いて開放された状態で、接続部15の端部においてキャリア8に連結されている。この状態で切り離し工程S105が行われ、端子2における接続部15側の端部とキャリア8との連結箇所が切断されて切り離される。
【0078】
切り離し工程S105が終了すると、心線配置工程S106が行われる。
図10(A)及び
図10(B)は、心線配置工程S106を説明するための図であって、
図10(A)は、端子2に対してケーブル3の心線4が配置される前の状態を示す図であり、
図10(B)は、端子2に対してケーブル3の心線4が配置された後の状態を示す図である。尚、
図10では、複数の金属線が束ねられる状態で設けられて導体として構成される心線4について、簡略化して図示している。
【0079】
図10を参照して、心線配置工程S106では、心線4が接続される前の状態の端子2であって、第1側壁部12及び第2側壁部13が幅方向Wの両外方に向かって斜めに開いて開放された状態の端子2に対して、第1側壁部12及び第2側壁部13の間において、ケーブル3の先端側の心線露出部5における心線4が配置される。そして、心線配置工程S106において第1側壁部12及び第2側壁部13の間にケーブル3の先端側の心線4が配置されると、その心線4は、端子2の長手方向Lに沿って延びた状態で配置され、接続部15と連結部17と圧着部16とに亘って配置された状態となる。
【0080】
上記のように、心線配置工程S106では、第1側壁部12及び第2側壁部13の間で心線4が配置されることで、接続部15と圧着部16とに心線4が配置される。これにより、心線配置工程S106は、圧着部素材部分16Aが曲げられることで形成された圧着部16であって心線4が圧着される前の状態である圧着部16にケーブル3の先端部の心線4を配置する工程として構成されている。更に、心線配置工程S106は、接続部素材部分15Aが曲げられることで形成された接続部15であって心線4が接続される前の状態である接続部15にケーブル3の先端部の心線4を配置するようにも構成されている。
【0081】
心線配置工程S106が終了すると、ケーブル3の心線4に接続された状態の接続部15を形成する接続部形成工程S107と、ケーブル3の心線4に圧着されて心線4に接続された状態の圧着部16を形成する圧着工程S108とが行われる。
図11は、接続部形成工程S107及び圧着工程S108を説明するための図であって、接続部形成工程S107及び圧着工程S108において用いられる金型ユニット30を示す斜視図である。
【0082】
図11を参照して、接続部形成工程S107及び圧着工程S108において用いられる金型ユニット30は、接続部用金型31と、圧着部用金型32とを備えて構成されている。接続部用金型31は、心線4に接続された状態の接続部15を形成するための金型として構成されている。圧着部用金型32は、心線4に圧着されて心線4に接続された状態の圧着部16を形成するための金型として構成されている。
【0083】
接続部形成工程S107では、金型ユニット30における接続部用金型31が用いられることで、心線4に接続された状態の接続部15が形成される。そして、圧着工程S108では、金型ユニット30における圧着部用金型32が用いられることで、心線4に圧着部16が圧着され、心線4に接続された状態の圧着部16が形成される。
【0084】
接続部形成工程S107と圧着工程S108とは、同時に行われてもよい。この場合は、接続部用金型31と圧着部用金型32とが同時に用いられ、心線4に接続された状態の接続部15及び圧着部16を形成する動作が同時に行われることになる。また、接続形成工程S106が先に行われてその後に圧着工程S108が行われてもよい。この場合は、接続部用金型31を用いて心線4に接続された状態の接続部15を形成する動作が先に行われ、圧着部用金型32を用いて心線4に接続された状態の圧着部16を形成する動作が後に行われることになる。尚、
図7のフローチャートでは、接続部形成工程S107が先に行われてその後に圧着工程S108が行われる場合を例示している。また、圧着工程S108が先に行われてその後に接続部形成工程S107が行われてもよい。この場合は、圧着部用金型32を用いて心線4に接続された状態の圧着部16を形成する動作が先に行われ、接続部用金型31を用いて心線4に接続された状態の接続部15を形成する動作が後に行われることになる。
【0085】
図11を参照して、接続部形成工程S107で用いられる接続部用金型31は、上歯型31aと下歯型31bとを備えて構成されている。接続部形成工程S107では、心線4が配置された接続部15を上歯型31a及び下歯型31bを有する接続部用金型31で挟みこんで押圧することで、接続部15が心線4を覆うように円筒状に屈曲される。これにより、心線4を外側から覆った状態の接続部15が形成されることになる。
【0086】
また、接続部用金型31の上歯型31aには、それぞれ溝状に凹むように形成された第1成形溝部35a、第2成形溝部36a、及び第3成形溝部37aが設けられている。第1成形溝部35a、第2成形溝部36a、及び第3成形溝部37aは、上歯型31aにおいて、直列に並んで設けられている。そして、上歯型31aにおいては、第1成形溝部35aと第2成形溝部36aとの間に第1スリット部38aが設けられ、第2成形溝部36aと第3成形溝部37aとの間に第2スリット部39aが設けられている。
【0087】
また、接続部用金型31の下歯型31bは、全体形状が、略二等辺三角形状の断面を有するとともにその略二等辺三角形状の断面における頭頂部側の部分が上歯型31aの第1成形溝部35a、第2成形溝部36a、及び第3成形溝部37aに嵌るように窄んで幅が狭くなるような形状に形成されている。そして、下歯型31bには、上歯型31aに嵌るように幅が狭くなった頭頂部側の端部において、それぞれ円弧状に凹むように形成された第1成形凹部35b、第2成形凹部36b、及び第3成形凹部37bが設けられている。第1成形凹部35b、第2成形凹部36b、及び第3成形凹部37bは、下歯型31bにおいて、直列に並んで設けられている。そして、下歯型31bにおいては、第1成形凹部35bと第2成形凹部36bとの間に第1スリット部38bが設けられ、第2成形凹部36bと第3成形凹部37bとの間に第2スリット部39bが設けられている。
【0088】
接続部形成工程S107では、心線4が配置された接続部15を上歯型31a及び下歯型31bで挟みこむ際に、上歯型31aと下歯型31bとにおいて、第1成形溝部35aと第1成形凹部35bとが対向し、第2成形溝部36aと第2成形凹部36bとが対向し、第3成形溝部37aと第3成形凹部37bとが対向する。そして、第1成形溝部35aと第1成形凹部35bとによって、接続部15におけるバネ部18よりも先端側の部分が押圧されて心線4を覆うように円筒状に屈曲される。また、第2成形溝部36aと第2成形凹部36bとによって、接続部15におけるバネ部18と突出部19との間の部分が押圧されて心線4を覆うように円筒状に屈曲される。また、第3成形溝部37aと第3成形凹部37bとによって、接続部15における突出部19よりも連結部17側の部分が押圧されて心線4を覆うように円筒状に屈曲される。また、心線4が配置された接続部15を上歯型31a及び下歯型31bで挟みこむ際に、上歯型31aと下歯型31bとにおいて、第1スリット部38aと第1スリット部38bとが対向し、第2スリット部39aと第2スリット部39bとが対向する。これにより、上歯型31a及び下歯型31bは、第1スリット部38aと第1スリット部38bとの間の空間にバネ部18が配置されてバネ部18が押圧されないように構成されている。更に、上歯型31a及び下歯型31bは、第2スリット部39aと第2スリット部39bとの間の空間に突出部19が配置されて突出部19が押圧されないように構成されている。
【0089】
図12は、圧着工程S108を説明するための図であって、圧着部用金型32で心線4に端子2が圧着される状態を示す図である。尚、
図12では、圧着部用金型32については、心線4に端子2を圧着している状態における断面を図示している。
図11及び
図12を参照して、圧着工程S108で用いられる圧着部用金型32は、第1歯型部33と第2歯型部34とを有して構成されている。第1歯型部33及び第2歯型部34は互いに別体に設けられている。第1歯型部33は、圧着部16における心線囲み部20を挟み込んで押圧する歯型部として設けられ、上歯型33aと下歯型33bとを備えて構成されている。第2歯型部34は、圧着部16における心線引き出し端部21を挟み込んで押圧する歯型部として設けられ、上歯型34aと下歯型34bとを備えて構成されている。
【0090】
そして、圧着工程S108は、心線4が配置された圧着部16を、上歯型33a及び下歯型33bを有する第1歯型部33と、上歯型34a及び下歯型34bを有する第2歯型部34と、を備える圧着部用金型32で挟み込んで押圧することで、心線4が圧着部16で圧着された状態とする工程として構成されている。また、圧着工程S108では、第1歯型部33と第2歯型部34とが重ねられた状態で用いられる。即ち、圧着工程S108では、第1歯型部33の上歯型33aと第2歯型部34の上歯型34aとが重ねられるとともに、第1歯型部33の下歯型33bと第2歯型部34の下歯型34bとが重ねられた状態の圧着部用金型32によって、心線4が配置された圧着部16が挟まれて押圧され、心線4が圧着部16に圧着される。
【0091】
また、第1歯型部33の上歯型33aには、溝状に凹むように形成された成形溝部40aが設けられている。そして、第1歯型部33の下歯型33bは、略二等辺三角形状の断面を有する部分と、略二等辺三角形状の断面を有する部分の頭頂部側から延びるとともに上歯型33aの成形溝部40aに嵌る形状に形成された角柱状の部分とを有している。そして、下歯型33bには、上歯型33aに嵌るように形成された角柱状の部分の端部において、円弧状に凹むように形成された成形凹部40bが設けられている。
【0092】
また、第2歯型部34の上歯型34aには、溝状に凹むように形成された成形溝部41aが設けられている。そして、第2歯型部34の下歯型34bは、略二等辺三角形状の断面を有する部分と、略二等辺三角形状の断面を有する部分の頭頂部側から延びるとともに上歯型34aの成形溝部41aに嵌る形状に形成された角柱状の部分とを有している。そして、下歯型34bには、上歯型34aに嵌るように形成された角柱状の部分の端部において、円弧状に凹むように形成された成形凹部41bが設けられている。
【0093】
圧着工程S108では、心線4が配置された圧着部16が、第1歯型部33と第2歯型部34とが重ねられた状態の圧着部用金型32で挟み込んで押圧される。このとき、心線4が配置された圧着部16における心線囲み部20は、第1歯型部33における上歯型33aと下歯型33bとで挟み込まれる。更にこのとき、上歯型33aと下歯型33bとにおいて、成形溝部40aと成形凹部40bとが対向する。そして、成形溝部40aと成形凹部40bとによって、圧着部16における心線囲み部20の部分が押圧されて心線4に対してかしめられて心線4に圧着される。
【0094】
また、圧着工程S108において心線4が配置された圧着部16が圧着部用金型32で挟み込んで押圧されるとき、心線4が配置された圧着部16における心線引き出し端部21は、第2歯型部34における上歯型34aと下歯型34bとで挟み込まれる。更にこのとき、上歯型34aと下歯型34bとにおいて、成形溝部41aと成形凹部41bとが対向する。そして、成形溝部41aと成形凹部41bとによって、圧着部16における心線引き出し端部21の部分が押圧されて心線4に対してかしめられて心線4に圧着される。
【0095】
尚、圧着部16では、心線囲み部20を構成する板状の部分20aが心線引き出し端部21で心線囲み部20の内側から外側に向かって折り返されて重なった状態で折り返し部分23が設けられている。このため、圧着部16は、心線4に圧着された状態では、心線4を囲むように覆った状態の心線囲み部20の径寸法よりも、心線引き出し端部21の径寸法の方が、大きく構成される。即ち、圧着部16は、心線4に圧着された状態では、心線囲み部20に対して心線引き出し端部21が段状に拡径した状態で設けられる。これに対応して、第1歯型部33においては、心線囲み部20を挟み込んで押圧する状態における上歯型33aの成形溝部40aと下歯型33bの成形凹部40bとの間の間隔寸法は、心線4を囲むように覆った状態の心線囲み部20の径寸法に対応する寸法に設定されている。そして、第2歯型部34においては、心線引き出し端部21を挟み込んで押圧する状態における上歯型34aの成形溝部41aと下歯型34bの成形凹部41bとの間の間隔寸法は、心線引き出し端部21の径寸法に対応する寸法に設定されている。
【0096】
圧着工程S108が終了することで、端子2をケーブル3へ接続する本実施形態の接続方法が終了する。尚、本実施形態の接続方法が終了して端子2がケーブル3へ接続されることで、ケーブルアッシー1が構成されることになる。
【0097】
[本実施形態の効果]
以上のように、本実施形態によると、ケーブル3の先端部の心線4が圧着部16に圧着されることで、端子2がケーブル3に接続され、ケーブル3が接続された端子2の接続部15が接続対象物である基板100に対して接続されることで、ケーブル3と基板100とが端子2を介して接続される。そして、ケーブル3の心線4は、端子2の圧着部16に対してその心線囲み部20で外周を囲まれた状態で圧着されるとともに、心線4が圧着部16から引き出される心線引き出し端部21の縁部に沿って設けられて心線囲み部20の内側から外側にかけて円弧状に延びる曲面部分22に沿って延びた状態で、圧着部16から引き出される。このため、圧着部16の縁部においてケーブル3の心線4に負荷が局部的に集中してしまうことが抑制され、心線引き出し端部21の曲面部分22で負荷が分散された状態で心線4が支持される。これにより、ケーブル3の屈曲時の心線4の負荷を軽減して心線4の損傷を抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態によると、ケーブル3の屈曲時の心線4の負荷を軽減して心線4の損傷を抑制することができるとともに、ケーブル3の先端部は、心線4が端子2の圧着部16に圧着されることのみによって、端子2に接続される。このため、ケーブル3の屈曲時の心線4の負荷を軽減して心線4の損傷を抑制するための補強用の部材を別途設けることも不要となる。よって、本実施形態によると、ケーブル3の屈曲時の心線4の負荷を軽減して心線4の損傷を抑制できるとともに、端子2とケーブル3との接続のための部品点数及び工数の増大を抑制できる。
【0099】
また、本実施形態によると、ケーブル3の先端部は、心線4が端子2の圧着部16に圧着されることのみによって、端子2に接続される。即ち、端子2は、ケーブル3の心線4のみに圧着され、ケーブル3における樹脂製の被覆6に対して圧着されることがない。また、本実施形態によると、補強用の樹脂製の部材が別途設けられることもないため、補強用の部材に対して圧着されることもない。よって、ケーブル3に接続された端子2を基板100に対して半田付けのように高温での加熱を伴う方法によって接続する場合であっても、ケーブル3の被覆6のようなケーブル3側の樹脂製の部材に端子2からの熱が直接伝わることがない。これにより、端子2を介してケーブル3を基板100へ接続する際に端子2へ付加する熱のケーブル3側の樹脂製の部材への影響を抑制することができる。
【0100】
したがって、本実施形態によると、ケーブル3の屈曲時の心線4の負荷を軽減して心線4の損傷を抑制できるとともに、端子2とケーブル3との接続のための部品点数及び工数の増大を抑制でき、更に、端子2を介してケーブル3を基板100へ接続する際に端子2へ付加する熱のケーブル3側の樹脂製の部材への影響を抑制できる、端子2を提供することができる。
【0101】
また、本実施形態では、接続対象物が基板100であり、ケーブル3が接続された端子2は、基板100に対して略垂直な姿勢で接続されることで、基板100に実装される。このため、端子2の基板100に対する実装高さは、端子2において基板100の表面100bから垂直に突出する圧着部16の高さに応じて定まることになる。そして、本実施形態によると、端子2の圧着部16は、ケーブル3の心線4のみに圧着され、ケーブル3における樹脂製の被覆6に対して圧着されることがない。これにより、本実施形態の端子2によると、ケーブル3の心線4及び被覆6の両方に圧着されるような形態の端子に比して、端子2の圧着部16の長さを短くすることができる。このため、本実施形態によると、端子2が基板100から垂直に突出する高さを低くでき、端子2の基板100に対する実装高さを低くすることができる。
【0102】
また、本実施形態によると、心線引き出し端部21で折り返して重なった状態の部分を設けることで、心線囲み部20の内側から外側にかけて半円状に延びる曲面部分22を容易に形成することができる。また、心線引き出し端部21の縁部に沿って設けられて心線囲み部20の内側から外側にかけて円弧状に延びる曲面部分22が、半円状に設けられるため、ケーブル3の屈曲角度が大きい場合であっても、ケーブル3の屈曲時の心線4の負荷を軽減して心線4の損傷を抑制できる。
【0103】
また、本実施形態によると、心線引き出し端部21で心線囲み部20を構成する板状の部分20aが心線囲み部20の内側から外側に向かって折り返されて重なった状態で設けられる。このため、心線囲み部20の内側から外側に引き出されて延びる心線4が、曲面部分22に更に滑らかに沿って延びるように配置されて引き出される。このため、圧着部16の縁部においてケーブル3の心線4に負荷が局部的に集中してしまうことが更に抑制され、心線引き出し端部21の曲面部分22で負荷が更に分散された状態で心線4が支持される。これにより、ケーブル3の屈曲時の心線4の負荷を更に軽減して心線4の損傷を更に抑制することができる。
【0104】
また、本実施形態によると、基板100に接続される接続部15が心線4を覆う筒状に設けられ、その筒状の接続部15が基板100の貫通孔100aに挿通された状態で半田付けされるように構成される。このため、貫通孔100aの内径を筒状の接続部15の外径よりもやや大きくすることで、端子2が基板100の貫通孔100aに挿通された状態において、接続部15と貫通孔100aとの間の隙間を小さくすることができる。或いは、筒状の接続部15が、外周から径方向内側に向かう外力が作用した際に弾性変形して縮径可能に構成されている場合、貫通孔100aの内径を筒状の接続部15の外径と同径、又は貫通孔100aの内径を筒状の接続部15の外径よりも僅かに小さくすることができる。このように貫通孔100aの内径と筒状の接続部15の外径とを設定することで、端子2が基板100の貫通孔100aに挿通された状態において、接続部15と貫通孔100aとの間の隙間を極めて小さくすることができる。そうすると、端子2が基板100の貫通孔100aに挿通され且つ心線4が基板100に半田付けされる前の状態において、端子2が基板100に対して大きく傾きにくくなる。これにより、ケーブル3を基板100に対して略垂直に保った状態で心線4と基板100とを半田付けすることができる。
【0105】
また、本実施形態によると、貫通孔100aの内径を筒状の接続部15の外径よりもやや大きくすることで、端子2が基板100の貫通孔100aに挿通された状態において、接続部15と貫通孔100aとの間の隙間を小さくすることができる。或いは、筒状の接続部15が弾性変形して縮径可能な場合、貫通孔100aの内径を筒状の接続部15の外径と同径、又は貫通孔100aの内径を筒状の接続部15の外径よりも僅かに小さくすることで、端子2が基板100の貫通孔100aに挿通された状態において、接続部15と貫通孔100aとの間の隙間を極めて小さくすることができる。そうすると、基板100と心線4とを半田付けする際、毛細管現象によってその隙間に溶融した半田が吸い上げられ易くなる。これにより、基板100と心線4との間に行き渡る半田量を確保することができる。
【0106】
また、本実施形態の接続方法(端子2のケーブル3への接続方法)によると、板状の金属部材から端子2の素材2Aを打ち抜いた後に、圧着部素材部分16Aを折り返すように屈曲させることで、曲面部分22が設けられた心線引き出し端部21を容易に形成することができる。そして、圧着部素材部分16Aに心線4を配置して上歯型(33a、34a)及び下歯型(33b、34b)で挟み込んで押圧することで端子2を圧着部16において心線4に圧着させ、端子2をケーブル3へ接続することができる。そして、本実施形態の接続方法によって端子2とケーブル3とが接続された状態では、圧着部16の縁部の曲面部分22によって、ケーブル3の屈曲時の心線4の負荷を軽減して心線4の損傷を抑制することができる。また、本実施形態の接続方法によって端子2とケーブル3とが接続された状態では、ケーブル3の先端部は、心線4が端子2の圧着部16に圧着されることのみによって、端子2に接続される。このため、心線4の損傷を抑制するための補強用の部材を別途設けることも不要となり、端子2とケーブル3との接続のための部品点数及び工数の増大を抑制できる。更に、本実施形態の接続方法によって端子2とケーブル3とが接続された状態では、ケーブル3の先端部は、心線4が端子2の圧着部16に圧着されることのみによって、端子2に接続されるため、ケーブル3における樹脂製の被覆6に対して圧着されることも、補強用の樹脂製の部材が別途設けられることもない。このため、ケーブル3に接続された端子2を基板100に対して半田付けのように高温での加熱を伴う方法によって接続する場合であっても、ケーブル3の被覆6のようなケーブル3側の樹脂製の部材に端子2からの熱が直接伝わることがない。これにより、端子2を介してケーブル3を基板100へ接続する際に端子2へ付加する熱のケーブル3側の樹脂製の部材への影響を抑制することができる。
【0107】
したがって、本実施形態によると、ケーブル3の屈曲時の心線4の負荷を軽減して心線4の損傷を抑制できるとともに、端子2とケーブル3との接続のための部品点数及び工数の増大を抑制でき、更に、端子2を介してケーブル3を基板100へ接続する際に端子2へ付加する熱のケーブル3側の樹脂製の部材への影響を抑制できる、端子2のケーブル3への接続方法を提供することができる。
【0108】
また、本実施形態の接続方法によると、圧着部用金型32において、心線囲み部20及び心線引き出し端部21をそれぞれ挟み込んで押圧する第1歯型部33及び第2歯型部34が設けられる。このため、心線4の外周を囲むように覆って心線4に圧着される心線囲み部20と、圧着部素材部分16Aを折り返すように屈曲させて曲面部分22が設けられた心線引き出し端部21とのそれぞれの形状の違いに正確に適合した圧着部用金型32の構造を容易に設定することができる。そして、心線4が配置された圧着部素材部分16Aを第1歯型部33及び第2歯型部34を有する圧着部用金型32で挟み込んで押圧する1回の押圧動作によって、心線囲み部20と心線引き出し端部21とを同時に押圧し、心線4が圧着部16で圧着された状態とすることができる。よって、ケーブル3の屈曲時の心線4の負荷を軽減して心線4の損傷を抑制できる、端子2のケーブル3への接続方法において、心線4と端子2との圧着を容易に且つ効率よく実施することができる。
【0109】
また、本実施形態の接続方法によると、別体の第1歯型部33と第2歯型部34とが重ねられた状態で圧着部用金型32が構成される。このため、心線囲み部20と心線引き出し端部21とのそれぞれの形状の違いに正確に適合した圧着部用金型32の構造を更に容易に設定することができる。また、第1歯型部33及び第2歯型部34を個別に形成して組み合わせることができるため、圧着部用金型32の製造が容易となるとともに、圧着部用金型32の構造の設計の自由度を向上させることができる。
【0110】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
【0111】
(1)前述の実施形態では、圧着部16の心線引き出し端部21において心線囲み部20の縁部に沿って設けられる曲面部分22が、心線囲み部20を構成する板状の部分20aが心線引き出し端部21で心線囲み部20の内側から外側に向かって折り返されて重なった状態で設けられた折り返し部分23の表面として設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、心線囲み部20を構成する板状の部分20aが心線引き出し端部21で心線囲み部20の外側から内側に向かって折り返されて重なった状態で設けられた折り返し部分23の表面として設けられた曲面部分を有する端子の形態が実施されてもよい。
【0112】
図13は、第1の変形例に係る端子51を示す図であって、
図13(A)は、第1の変形例に係る端子51がケーブル3の心線4に接続される前の状態を示す斜視図であり、
図13(B)は、第1の変形例に係る端子51がケーブル3の心線4に接続された状態であって心線4の図示を省略した状態で示す斜視図である。
図13に示す端子51は、前述の実施形態の端子2と同様に構成されている。ただし、端子51は、圧着部16の心線引き出し端部21に設けられる曲面部分22aの構成が、端子2の圧着部16の心線引き出し端部21に設けられる曲面部分22とは異なっている。尚、第1の変形例に係る端子51についての以下の説明においては、前述の実施形態と異なる曲面部分22aの構成について説明し、前述の実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0113】
端子51の圧着部16における折り返し部分23は、心線囲み部20を構成する板状の部分20aが心線引き出し端部21で心線囲み部20の外側から内側に向かって折り返されて重なった状態で設けられている。そして、端子51の圧着部16の心線引き出し端部21において心線囲み部20の縁部に沿って設けられる曲面部分22aは、心線囲み部20を構成する板状の部分20aが心線引き出し端部21で心線囲み部20の外側から内側に向かって折り返されて重なった状態で設けられた折り返し部分23の表面として設けられている。これにより、曲面部分22aは、心線囲み部20の内側から外側にかけて半円状に延びるように設けられている。
【0114】
以上説明したように、圧着部16の心線引き出し端部21において心線囲み部20を構成する板状の部分20aが心線囲み部20の外側から内側に向かって折り返された状態で設けられた折り返し部分23の表面として設けられた曲面部分22aを有する端子51の形態が実施されてもよい。
【0115】
(2)前述の実施形態では、圧着部16の心線引き出し端部21において折り返し部分23が設けられ、曲面部分22が折り返し部分23の表面として設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、折り返し部分23が設けられておらず、心線囲み部20を構成する板状の部分20aの先端側の部分において曲面部分が形成された端子の形態が実施されてもよい。
【0116】
図14は、第2の変形例に係る端子52を示す図であって、
図14(A)は、第2の変形例に係る端子52がケーブル3の心線4に接続される前の状態を示す斜視図であり、
図14(B)は、
図14(A)に示す端子52の圧着部16の一部を拡大して示す図であり、
図14(C)は、第2の変形例に係る端子52がケーブル3の心線4に接続された状態であってケーブル3の心線4の図示を省略した状態で示す斜視図である。
図14に示す端子52は、前述の実施形態の端子2と同様に構成されている。ただし、端子52は、圧着部16の心線引き出し端部21に設けられる曲面部分22bの構成が、端子2の圧着部16の心線引き出し端部21に設けられる曲面部分22とは異なっている。尚、第2の変形例に係る端子52についての以下の説明においては、前述の実施形態と異なる曲面部分22bの構成について説明し、前述の実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0117】
端子52の圧着部16においては、心線囲み部20を構成する板状の部分20aは、心線引き出し端部21で折り返されておらず、端子2の圧着部16における折り返し部分23に対応する部分は設けられていない。端子52の圧着部16の心線引き出し端部21においては、心線囲み部20を構成する板状の部分20aの長手方向Lにおける先端側の部分の内周面から先端側の端面にかけて、曲面部分22bが設けられている。曲面部分22bは、板状の部分20aにおける長手方向Lの先端側の部分の内周面から先端側の端面にかけて広がるとともに、心線囲み部20の内側から外側にかけて円弧状に延びる曲面の部分として設けられている。また、板状の部分20aの長手方向Lの先端側における曲面部分22bが設けられている部分の板厚は、長手方向Lの先端部側に向かって薄くなるように形成されている。
【0118】
以上説明したように、圧着部16の心線引き出し端部21において心線囲み部20を構成する板状の部分20aの先端側の部分の内周面から先端側の端面にかけて円弧状に広がるように設けられた曲面部分22bを有する端子52の形態が実施されてもよい。
【0119】
(3)前述の実施形態では、圧着部16の心線引き出し端部21において心線囲み部20を構成する板状の部分20aが折り返されて重なった状態の折り返し部分23が設けられ、曲面部分22が折り返し部分23の表面として設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、折り返し部分23が設けられておらず、心線囲み部20を構成する板状の部分20aの先端側の部分が心線囲み部20の外側に向かって広がりながら曲面を形成するように曲がっていることで曲面部分が設けられた端子の形態が実施されてもよい。
【0120】
図15は、第3の変形例に係る端子53を示す図であって、
図15(A)は、第3の変形例に係る端子53がケーブル3の心線4に接続される前の状態を示す斜視図であり、
図15(B)は、第3の変形例に係る端子53がケーブル3の心線4に接続された状態であってケーブル3の心線4の図示を省略した状態で示す斜視図である。
図15に示す端子53は、前述の実施形態の端子2と同様に構成されている。ただし、端子53は、圧着部16の心線引き出し端部21に設けられる曲面部分22cの構成が、端子2の圧着部16の心線引き出し端部21に設けられる曲面部分22とは異なっている。尚、第3の変形例に係る端子53についての以下の説明においては、前述の実施形態と異なる曲面部分22cの構成について説明し、前述の実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0121】
端子53の圧着部16においては、心線囲み部20を構成する板状の部分20aは、心線引き出し端部21で折り返されておらず、端子2の圧着部16における折り返し部分23に対応する部分は設けられていない。端子53の圧着部16の心線引き出し端部21においては、心線囲み部20を構成する板状の部分20aの長手方向Lにおける先端側の部分は、心線囲み部20の外側に向かって広がりながら曲面を形成するように曲がって形成されている。そして、端子53の圧着部16の心線引き出し端部21において、心線囲み部20の外側に向かって広がりながら曲面を形成するように曲がる板状の部分20aの長手方向Lにおける先端側の部分に、曲面部分22cが設けられている。曲面部分22cは、心線囲み部20の外側に向かって広がるように曲がった板状の部分20aにおける長手方向Lの先端側の部分の内周面から先端側の端面にかけて広がるとともに、心線囲み部20の内側から外側にかけて円弧状に延びる曲面の部分として設けられている。
【0122】
以上説明したように、圧着部16の心線引き出し端部21において心線囲み部20の外側に向かって広がるように曲がった板状の部分20aの先端側の部分の内周面から先端側の端面にかけて円弧状に広がるように設けられた曲面部分22cを有する端子53の形態が実施されてもよい。
【0123】
(4)前述の実施形態では、圧着部16の心線引き出し端部21において心線囲み部20を構成する板状の部分20aが略180°近くに亘って折り返されて重なった状態の折り返し部分23が設けられ、曲面部分22が折り返し部分23の表面として設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、板状の部分20aが略180°に亘って折り返されて重なった状態で形成された折り返し部分23が設けられておらず、心線囲み部20を構成する板状の部分20aの先端側の部分が180°以上に亘って円弧状に曲がるように形成されていることで曲面部分が設けられた端子の形態が実施されてもよい。
【0124】
図16は、第4の変形例に係る端子54を示す図であって、
図16(A)は、第4の変形例に係る端子54がケーブル3の心線4に接続される前の状態を示す斜視図であり、
図16(B)は、第4の変形例に係る端子54がケーブル3の心線4に接続された状態であってケーブル3の心線4の図示を省略した状態で示す斜視図である。
図16に示す端子54は、前述の実施形態の端子2と同様に構成されている。ただし、端子54は、圧着部16の心線引き出し端部21に設けられる曲面部分22dの構成が、端子2の圧着部16の心線引き出し端部21に設けられる曲面部分22とは異なっている。尚、第4の変形例に係る端子54についての以下の説明においては、前述の実施形態と異なる曲面部分22dの構成について説明し、前述の実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0125】
端子54の圧着部16においては、心線囲み部20を構成する板状の部分20aは、心線引き出し端部21で略180°に亘って折り返されて重ねられた状態では形成されておらず、端子2の圧着部16における折り返し部分23に対応する部分は設けられていない。端子54の圧着部16の心線引き出し端部21においては、心線囲み部20を構成する板状の部分20aの長手方向Lにおける先端側の部分は、心線囲み部20の内側から外側にかけて180°以上に亘って円弧状に曲がるように形成されている。このため、端子54の圧着部16の心線引き出し端部21の縁部においては、板状の部分20aの長手方向Lにおける先端側の部分が180°以上に亘って円弧状に曲げられることで形成された円管状の部分60が設けられている。そして、端子54の圧着部16の心線引き出し端部21に形成された円管状の部分60に、曲面部分22dが設けられている。曲面部分22dは、板状の部分20aが心線囲み部20の内側から外側にかけて180°以上に亘って円弧状に曲がるように形成されることで設けられた円管状の部分60の表面として設けられ、心線囲み部20の内側から外側にかけて円弧状に延びる曲面の部分として設けられている。
【0126】
以上説明したように、圧着部16の心線引き出し端部21において板状の部分20aが心線囲み部20の内側から外側にかけて180°以上に亘って円弧状に曲がるように形成されることで設けられた円管状の部分60の表面として設けられた曲面部分22dを有する端子54の形態が実施されてもよい。
【0127】
(5)前述の実施形態では、圧着部16の心線引き出し端部21において心線囲み部20を構成する板状の部分20aが折り返されることで折り返し部分23が設けられ、曲面部分22が折り返し部分23の表面として設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、心線囲み部20に折り返し部分23が設けられておらず、圧着部16が、心線囲み部20に固定される縁部材を有し、この縁部材に曲面部分が設けられた端子の形態が実施されてもよい。
【0128】
図17は、第5の変形例に係る端子55を示す図であって、
図17(A)及び
図17(B)は、第5の変形例に係る端子55がケーブル3の心線4に接続される前の状態を示す斜視図であり、
図17(C)は、第5の変形例に係る端子55がケーブル3の心線4に接続された状態であってケーブル3の心線4の図示を省略した状態で示す斜視図である。
図17に示す端子55は、前述の実施形態の端子2と同様に構成されている。ただし、端子55は、圧着部16の心線引き出し端部21に設けられる曲面部分22eの構成が、端子2の圧着部16の心線引き出し端部21に設けられる曲面部分22とは異なっている。尚、第5の変形例に係る端子55についての以下の説明においては、前述の実施形態と異なる曲面部分22eの構成について説明し、前述の実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0129】
端子55の圧着部16は、心線引き出し端部21側において心線囲み部20の縁部に固定される縁部材61を有している。
図17(A)においては、縁部材61が心線囲み部20の縁部に固定されていない状態を示しており、
図17(B)は、縁部材61が心線囲み部20の縁部に固定された状態を示している。縁部材61は、心線囲み部20の長手方向Lにおける先端側の縁部に沿って延びる細長い形状を有する部材として設けられている。そして、縁部材61は、心線囲み部20の長手方向Lにおける先端側の縁部に対して、例えば、溶接によって固定される。そして、縁部材61における心線囲み部20の縁部に固定される側と反対側の端部には、縁部材61が心線囲み部20に固定された状態で、心線囲み部20の内側から外側にかけて半円状に延びる曲面部分22eが設けられている。曲面部分22eは、縁部材61が心線囲み部20に固定された状態で、心線囲み部20の縁部に沿って延びるように設けられている。
【0130】
以上説明したように、圧着部16が心線引き出し端部21側において心線囲み部20の縁部に固定される縁部材61を有し、縁部材61に曲面部分22eが設けられた端子55の形態が実施されてもよい。
【0131】
(6)前述の実施形態では、ケーブル3が端子2を介して接続される対象である接続対象物が基板100である形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。即ち、ケーブル3が端子を介して接続される対象である接続対象物が基板100以外である形態が実施されてもよい。例えば、ケーブル3が端子を介して接続される対象である基板100以外の接続対象物が液晶表示装置用のバックライトである形態が実施されてもよい。
【0132】
図18は、第6の変形例に係る端子56を示す図であって、
図18(A)は、第6の変形例に係る端子56がケーブル3の心線4に接続されているとともに液晶表示装置用のバックライト102に接続された状態を示す側面図であり、
図18(B)は、第6の変形例に係る端子56がケーブル3の心線4には接続されていて液晶表示装置用のバックライト102には接続されていない状態を示す正面図である。
図18に示す端子56は、前述の実施形態の端子2と同様に構成されている。ただし、端子56は、ケーブル3が端子56を介して接続される接続対象物に対して接続される接続部62の構成が、端子2の接続部15とは異なっている。尚、第6の変形例に係る端子56についての以下の説明においては、前述の実施形態と異なる接続部62の構成について説明し、前述の実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0133】
ケーブル3が端子56を介して接続される接続対象物は、液晶表示装置用のバックライト102として構成される。バックライト102は、光源管102aと、光源管102aに内蔵される電極に通電するためのジメット線102bとを有している。そして、端子56の接続部62は、バックライト102に対してジメット線102bにおいて接続するように構成されている。そして、接続部62は、ジメット線102bが挿通される挿通孔63が設けられた円環状に形成され、圧着部16と一体に連結されている。端子56の接続部62は、ジメット線102bにおける光源管102aから突出した部分が挿通孔63に挿通された状態で半田付けされることにより、ジメット線102bに接続される。尚、
図18(A)は、接続部62とジメット線102bと間での半田付けによって形成されて接続部62とジメット線102bとの間を接続する半田部の図示を省略した状態で示している。
【0134】
以上説明したように、ケーブル3が端子を介して接続される対象である接続対象物が基板100以外である形態が実施されてもよい。例えば、ケーブル3が端子56を介して接続される対象である基板100以外の接続対象物が液晶表示装置用のバックライト102である形態が実施されてもよい。
【0135】
(7)前述の実施形態では、端子2のケーブル3への接続方法において、切り離し工程S105が、曲げ工程S104の後であって心線配置工程S106の前に行われ、ケーブル3の心線4が接続される前の状態の端子2がキャリア8から切り離される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。即ち、端子2をキャリア8から切り離す切り離し工程S105は、ケーブル3の心線4に接続された端子2をキャリア8から切り離す工程として構成されてもよい。
【0136】
切り離し工程S105において、ケーブル3の心線4に接続された端子2がキャリア8から切り離される場合は、曲げ工程S104の次に、心線配置工程S106が行われ、次いで、接続部形成工程S107及び圧着工程S108が行われ、その後に切り離し工程S105が行われる。この場合、心線配置工程S106では、キャリア8に連結された状態の端子2に対して心線4が配置される。そして、接続部形成工程S107では、キャリア8に連結された状態の端子2において接続部15が形成され、圧着工程S108では、キャリア8に連結された状態の端子2において心線4に圧着部16が圧着される。これにより、端子2が接続部15の端部においてキャリア8に連結されたままの状態で、ケーブル3の先端部の心線4が端子2に対して圧着部16において圧着されて接続される。
【0137】
そして、圧着工程S108が終了すると、切り離し工程S105が行われる。この切り離し工程S105においては、ケーブル3の心線4に接続された状態の端子2がキャリア8から切り離される。即ち、ケーブル3の心線4が接続された端子2における接続部15側の端部とキャリア8との連結箇所が切断されて切り離される。そして、切り離し工程S105が終了することで、端子2のケーブル3への接続方法が終了する。
【0138】
以上説明したように、端子2をキャリア8から切り離す切り離し工程S105が、ケーブル3の心線4に接続された端子2をキャリア8から切り離す工程として構成された、端子2のケーブル3への接続方法の形態が実施されてもよい。
【0139】
(8)前述の実施形態では、端子2のケーブル3への接続方法において、打ち抜き工程S101が終了して端子2の素材2Aの全体形状が打ち抜かれた後に折り返し工程S102が行われる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、板状の金属部材から端子2の素材2Aを打ち抜く打ち抜き工程が、折り返し工程S102の前と後とに亘って行われる形態が実施されてもよい。
【0140】
図19は、変形例に係る、端子2のケーブル3への接続方法を説明するためのフローチャートである。
図19に示す変形例に係る端子2のケーブル3への接続方法は、前述の実施形態に係る端子2のケーブル3への接続方法と同様に構成されている。ただし、変形例に係る端子2のケーブル3への接続方法は、打ち抜き工程(S101A、S101B)の構成が、前述の実施形態に係る端子2のケーブル3への接続方法における打ち抜き工程S101とは異なっている。尚、変形例に係る端子2のケーブル3への接続方法についての以下の説明においては、前述の実施形態と異なる打ち抜き工程(S101A、S101B)の構成について説明し、前述の実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0141】
変形例に係る端子2のケーブル3への接続方法は、板状の金属部材から端子2の素材2Aを打ち抜く打ち抜き工程(S101A、S101B)として、第1打ち抜き工程S101Aと、第2打ち抜き工程S101Bとを有している。第1打ち抜き工程S101A及び第2打ち抜き工程S101Bは、折り返し工程S101の前と後とに分かれて行われる。即ち、まず、第1打ち抜き工程S101Aが行われ、第1打ち抜き工程S101Aが終了すると、折り返し工程S102が行われ、折り返し工程S102が終了すると、第2打ち抜き工程S101Bが行われる。
【0142】
第1打ち抜き工程S101Aは、抜型として構成されたプレス金型を用いて板状の金属から端子2の素材2Aにおける圧着部素材部分16Aを打ち抜く工程として構成される。或いは、第1打ち抜き工程S101Aは、抜型として構成されたプレス金型を用いて板状の金属部材から端子2の素材2Aにおける圧着素材部分16A及び連結部素材部分17Aを打ち抜く工程として構成される。第1打ち抜き工程S101Aが行われると、端子2の素材2Aにおける圧着素材部分16Aがキャリア8に沿って並んだ状態で形成される。或いは、第1打ち抜き工程S101Aが行われると、端子2の素材2Aにおける圧着素材部分16A及び連結部素材部分17Aが一体に形成されている部分がキャリア8に沿って並んだ状態で形成される。
【0143】
第1打ち抜き工程S101Aが終了すると、折り返し工程S102が行われる。折り返し工程S102では、第1打ち抜き工程S101Aにおいて形成された圧着素材部分16Aの先端部側の縁部分が折り返すように屈曲され、曲面部分22が設けられた心線引き出し端部21が形成される。
【0144】
折り返し工程S102が終了すると、第2打ち抜き工程S101Bが行われる。第2打ち抜き工程S101Bは、抜型として構成されたプレス金型を用いて板状の金属から端子2の素材2Aにおける連結部素材部分17A及び接続部素材部分15Aを打ち抜く工程として構成される。或いは、第2打ち抜き工程S101Bは、抜型として構成されたプレス金型を用いて板状の金属部材から端子2の素材2Aにおける接続部素材部分15Aを打ち抜く工程として構成される。尚、第1打ち抜き工程S101Aにおいて圧着部素材部分16Aのみが打ち抜かれる場合は、第2打ち抜き工程S101Bにおいては、連結部素材部分17A及び接続部素材部分15Aが打ち抜かれる。一方、第1打ち抜き工程S101Aにおいて圧着素材部分16A及び連結部素材部分17Aが打ち抜かれる場合は、第2打ち抜き工程S101Bにおいては、接続部素材部分15Aのみが打ち抜かれる。
【0145】
第2打ち抜き工程S101Bが行われると、圧着部素材部分16Aと連結部素材部分17Aと接続部素材部分15Aとを有する端子2の素材2Aの打ち抜きが終了する。第2打ち抜き工程S101Bが終了して形成された端子2の素材2Aは、接続部素材部分15Aにおいてキャリア8に連結され、キャリア8に沿って並んだ状態で形成されている。そして、第2打ち抜き工程S101Bが終了して形成された端子2の素材2Aにおいては、圧着部素材部分16Aの先端側の縁部分において、曲面部分22が設けられた心線引き出し端部21が形成されている。
【0146】
第2打ち抜き工程S101Bが終了すると、切り起こし工程S103、曲げ工程S104、切り離し工程S105、心線配置工程S106、接続部形成工程S107、圧着工程S108が行われる。これにより、変形例に係る端子2のケーブル3への接続方法が終了する。
【0147】
以上説明したように、端子2の素材2Aを打ち抜く打ち抜き工程(S101A、S101B)が、折り返し工程S102の前と後とに分かれて行われる形態が実施されてもよい。即ち、打ち抜き工程(S101A、S101B)として、折り返し工程S102の前に行われて少なくとも圧着部素材部分16Aを打ち抜く第1打ち抜き工程S101Aと、折り返し工程S102の後に行われて少なくとも接続部素材部分15Aを打ち抜くことで端子2の素材2Aの全体形状を完成させる第2打ち抜き工程S101Bとが行われる形態が実施されてもよい。この形態によると、折り返し工程S102においては、板状の金属に圧着部素材部分16Aのみが形成されている状態で、或いは、板状の金属に圧着部素材部分16A及び連結部素材部分17Aのみが形成されている状態で、圧着部素材部分16Aの縁部分を折り返して心線引き出し端部21を形成することができる。このため、圧着部素材部分16Aの縁部分を折り返して心線引き出し端部21を形成する折り返し工程S102をより安定した状態で行うことができる。これにより、折り返し工程S102における生産性を更に向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、ケーブルの先端部の心線に接続される端子、及び、端子のケーブルへの接続方法に関して広く適用することができる。
【符号の説明】
【0149】
1 ケーブルアッシー
2、51、52、53、54、54、55、56 端子
3 ケーブル
4 心線
15、62 接続部
16 圧着部
20 心線囲み部
21 心線引き出し端部
22、22a、22b、22c、22d、22e 曲面部分
100 基板(接続対象物)
102 液晶表示装置用のバックライト(接続対象物)