(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】カバン底面の汚れ防止カバー
(51)【国際特許分類】
A45C 13/00 20060101AFI20240603BHJP
A45C 13/10 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
A45C13/00 Z
A45C13/10 A
A45C13/00 F
(21)【出願番号】P 2020117392
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】507158905
【氏名又は名称】株式会社アルトエイジ
(72)【発明者】
【氏名】馬場 潤
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-305255(JP,A)
【文献】実開昭52-004310(JP,U)
【文献】実開昭57-071414(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0124107(US,A1)
【文献】実開平05-009318(JP,U)
【文献】特開2003-093131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/00
A45C 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバンと、
前記カバンの底面と同程度の面積の基本部と、
前記基本部の中央を通る中央線の両側が線対称となるように
前記中央線に沿って固着され、前記中央線沿いに固着された部分以外は動かすことができる可動部とを有し、
前記可動部は地面など汚れた場所に置く時には前記中央線を境として
基本部の内、一方の半分を覆うことで、
可動部によって覆われた基本部の一方の半分を汚さないように保護し、
地面などから持ち上げて汚れていない場所に置く時には
基本部の内、他方の半分を覆うことで、
可動部によって覆われた基本部の他方の半分を隠して、前記汚れていない場所を汚さない
ことを特徴とするカバン底面カバー
【請求項2】
カバンと、
前記カバンの底面と同程度の面積であり、前記カバンと一体となった基本部と、
前記基本部の中央を通る中央線の両側が線対称となるように
前記中央線に沿って固着され、前記中央線沿いに固着された部分以外は動かすことができる可動部とを有し、
前記可動部は地面など汚れた場所に置く時には前記中央線を境として
基本部の内、一方の半分を覆うことで、
可動部によって覆われた基本部の一方の半分を汚さないように保護し、
地面などから持ち上げて汚れていない場所に置く時には
基本部の内、他方の半分を覆うことで、
可動部によって覆われた基本部の他方の半分を隠して、前記汚れていない場所を汚さない
ことを特徴とする請求項1に記載のカバン底面カバー
【請求項3】
着脱可能なカバンと、
前記カバンの底面と同程度の面積であり、前記カバンと着脱できる基本部と、
前記カバンと前記基本部とを着脱できるようにする着脱部と、
前記基本部の中央を通る前記中央線の両側が線対称となるように
前記中央線に沿って固着され、前記中央線沿いに固着された部分以外は動かすことができる可動部とを有し、
前記可動部は地面など汚れた場所に置く時には中央線を境として
基本部の内、一方の半分を覆うことで、
可動部によって覆われた基本部の一方の半分を汚さないように保護し、
地面などから持ち上げて汚れていない場所に置く時には
基本部の内、他方の半分を覆うことで、
可動部によって覆われた基本部の他方の半分を隠して、前記汚れていない場所を汚さない
ことを特徴とする請求項1に記載のカバン底面カバー
【請求項4】
カバンの底面と同程度の面積であり、前記カバンと着脱できる基本部と、
前記カバンと前記基本部とを着脱できるようにする着脱部と、
前記基本部の中央を通る前記中央線の両側が線対称となるように
前記中央線に沿って固着され、前記中央線沿いに固着された部分以外は動かすことができる可動部とを有し、
前記可動部は地面など汚れた場所に置く時には中央線を境として
基本部の内、一方の半分を覆うことで、
可動部によって覆われた基本部の一方の半分を汚さないように保護し、
地面などから持ち上げて汚れていない場所に置く時には
基本部の内、他方の半分を覆うことで、
可動部によって覆われた基本部の他方の半分を隠して、前記汚れていない場所を汚さない
ことを特徴とする請求項1に記載のカバン底面カバー
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバンを地面に置いたときにつく汚れや雑菌、ウィルスなどを他の汚れていない場所などで拡散しにくくするようにするためのカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カバンを地面に置いたときに汚さないようにするカバーやトレーとしては、商品化されたものはほとんどないが発明されたものが複数存在する。
【0003】
例えば特許文献1では、折りたたんでカバンに装着できるシートが提案されている。これを利用すれば、既に所有しているカバンに取り付けて利用することができ、カバンを濡らしたり汚したりすることはなくなる。
【0004】
次いで特許文献2では、折りたたみ式のバッグトレーが提案されている。これを袋から取り出して地面に置き、その上にカバンを置けばカバンを汚れるのを防ぐことができる。これも既に所有しているカバンを使用する際に利用できることに加えて、カバンに固定する訳ではないため、汚れている場所と汚れていない場所で使い分けることができる。
【0005】
また特許文献3及び特許文献4では、デザインや仕様は少し違うが、カバンに着脱できるカバーが提案されている。これらも利用すれば、カバンを汚してしまうのを防ぐことができる。これらも既に所有しているカバンに取り付けて利用できることに加えて、カバンに固定する訳ではないため、汚れている場所と汚れていない場所で使い分けることができる。
【0006】
さらに特許文献5では、底面を二重化してその下側のカバーをめくり上げることができる構造を提案している。これによって、汚れた場所に置く場合には前記下側のカバーをめくり上げ、汚れていない場所に置く場合には前記下側を底面に戻して底面を隠すことで、汚れが他に付着することがなくなる。
【先行技術文献】
【文献】特開平10-327924公報
【文献】実用新案登録第3224315号公報
【文献】実用新案登録第3019565号公報
【文献】実用新案登録第3161084号公報
【文献】特開2004-305255公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1で提案されているシートだと、底面防水シートをカバンに固定して利用するしかないという弱点がある。そのため、濡れたり汚れたりしている場所にカバンを置いて底が濡れたり汚れたりしてしまった状態で、汚れていない場所やイスに座った時の膝上にカバンを置くと、前記汚れていない場所や膝上も汚れてしまう。
【0008】
特許文献2で提案されているバッグトレーだと、汚れている場所と汚れていない場所で使い分けることができるが、移動のたびに前記トレーを袋から出して地面に置いたり、また拾い上げて袋に片付けたりという手間が発生するため非常に煩雑になる。電車で待っている場合だと待っている間だけ前記トレーを置いてカバンも置き、電車が来て座席に座る時にはまた片付けるという手間が発生するため、混雑していれば利用は現実的ではなくなってしまう。
【0009】
特許文献3及び特許文献4で提案されているカバーだと、特許文献2のトレーと違ってカバンに直接着脱できるため、地面に置いたり拾い上げたりという手間はなくなる。しかし、地面に置こうとするたびにカバンから取り出して取り付けたり、また取り外して収納したりする手間は依然残ってしまう。
【0010】
特許文献5で提案されているカバーだと、最初からカバンと一体化されているため、既に所有しているカバンに取り付けて利用することはできない。つまり、カバンごと新しく買い替える必要がある。また前記カバーにしつこい汚れが付いてしまっても、カバンと一体化させている以上前記カバーだけ交換することはできない。さらに、かなり大きいスペースで前記カバーを側面に固定できるようにする必要があるため、その固定するスペースではポケットを付けたりするなどのデザイン性に大幅な制限を設ける必要が出てくる。
【0011】
そして何より、特許文献5のカバーだと、前記カバーを動かした時に隠していた汚れが露出してしまう。特許文献5で例示している使い方の場合、汚れた場所に置く際には前記カバーをめくり上げ、汚れていない場所に置く際には前記カバーを底面に戻して底面を隠すことで、汚れが他に付着することがなくなるとしている。しかし前記の使い方だと、汚れた場所に置いた後で汚れていない場所に置く場合には、汚れた場所に置いた際の底面のところにめくり上げていた前記カバーを戻すことになる。そうすると汚れている底面に接した前記カバーも汚れてしまう。この後でまた汚れた場所にカバンを置くべく前記カバーをめくり上げると、汚れた部分が側面に露になってしまうことになる。
【0012】
また、特許文献5の中で例示したカバーの利用方法と逆の方法で利用する場合も同様である。汚れた場所に置く際に前記カバーを底面に戻し、汚れていない場所に置く際には前記カバーをめくり上げるようにすれば、前記カバーについた汚れを隠すことができ、汚れが他に付着することがなくなるように思える。しかし実際には、汚れが付いた前記カバーとカバンの側面が接することになるため、カバンの側面も汚れてしまう。この後でまた汚れた場所にカバンを置くべく前記カバーを底面に戻すと、汚れた部分が側面に露になってしまうことになる。これでは、汚れの拡散防止は十分とは言えない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、カバンと、前記カバンの底面と同程度の面積の基本部と、前記基本部の中央を通る中央線の両側が線対称となるように前記中央線に沿って固着され、前記中央線沿いに固着された部分以外は動かすことができる可動部とを有し、前記可動部は地面など汚れた場所に置く時には前記中央線を境として基本部の内、一方の半分を覆うことで、可動部によって覆われた基本部の一方の半分を汚さないように保護し、地面などから持ち上げて汚れていない場所に置く時には基本部の内、他方の半分を覆うことで、可動部によって覆われた基本部の他方の半分を隠して、前記汚れていない場所を汚さないことを特徴とするカバン底面カバーである。
【0014】
請求項2の発明は、カバンと、前記カバンの底面と同程度の面積であり、前記カバンと一体となった基本部と、前記基本部の中央を通る中央線の両側が線対称となるように前記中央線に沿って固着され、前記中央線沿いに固着された部分以外は動かすことができる可動部とを有し、前記可動部は地面など汚れた場所に置く時には前記中央線を境として基本部の内、一方の半分を覆うことで、可動部によって覆われた基本部の一方の半分を汚さないように保護し、地面などから持ち上げて汚れていない場所に置く時には基本部の内、他方の半分を覆うことで、可動部によって覆われた基本部の他方の半分を隠して、前記汚れていない場所を汚さないことを特徴とする請求項1に記載のカバン底面カバーである。
【0015】
請求項3の発明は、着脱可能なカバンと、前記カバンの底面と同程度の面積であり、前記カバンと着脱できる基本部と、前記カバンと前記基本部とを着脱できるようにする着脱部と、前記基本部の中央を通る前記中央線の両側が線対称となるように前記中央線に沿って固着され、前記中央線沿いに固着された部分以外は動かすことができる可動部とを有し、前記可動部は地面など汚れた場所に置く時には中央線を境として基本部の内、一方の半分を覆うことで、可動部によって覆われた基本部の一方の半分を汚さないように保護し、地面などから持ち上げて汚れていない場所に置く時には基本部の内、他方の半分を覆うことで、可動部によって覆われた基本部の他方の半分を隠して、前記汚れていない場所を汚さないことを特徴とする請求項1に記載のカバン底面カバーである。
【0016】
請求項4の発明は、カバンの底面と同程度の面積であり、前記カバンと着脱できる基本部と、前記カバンと前記基本部とを着脱できるようにする着脱部と、前記基本部の中央を通る前記中央線の両側が線対称となるように前記中央線に沿って固着され、前記中央線沿いに固着された部分以外は動かすことができる可動部とを有し、前記可動部は地面など汚れた場所に置く時には中央線を境として基本部の内、一方の半分を覆うことで、可動部によって覆われた基本部の一方の半分を汚さないように保護し、地面などから持ち上げて汚れていない場所に置く時には基本部の内、他方の半分を覆うことで、可動部によって覆われた基本部の他方の半分を隠して、前記汚れていない場所を汚さないことを特徴とする請求項1に記載のカバン底面カバーである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基本的にはカバン使用時には底面カバーは前記カバンに固着させているため、持ち運びの都度カバーやトレーを地面に置いたり拾ったりする手間もない。また前記底面カバーの基本部に固着された可動部を動かすことで、汚れた場所に置く場合と汚れていない場所で置く場合の切替が非常に容易になり、汚れを拡散しにくくできる。
【0018】
さらに、前記可動部は中央線の両側が線対称となるように固着されているため、前記基本部の一方の半分の汚れていない部分を覆って保護し、汚れている場所に置くことができる。その後汚れていない場所に置く時には、前記可動部で前記基本部のもう一方の半分の汚れている部分を覆えば、汚れを拡散させてしまうこともない。またこの構造であれば、側面で汚れが露になることもない。加えて、前記可動部は基本的に底面だけでしか動かさないため、カバン側面のデザインに制約を課すこともあまりない。
【0019】
そして底面カバーはカバンと一体型のものと着脱型のものの好きな方を選ぶことができる。着脱型のものなら既に所有している複数のカバンでも使い回すことができるし、汚れが頑固な場合には底面カバーだけ買い替えることも可能である。逆に一体型なら着脱型の場合に比べて着脱部などの部材が不要になるため少し軽くできるし、底面カバーを何かに引っ掛けて落としてしまうこともない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1に示すように、底面カバー基本部1はカバン本体3の底面に取り付けられており、基本部1の中央線上に底面カバー可動部2が固着されている。可動部2は汚れていない場所に置く時に一方の半分を覆い、汚れている場所に置く時には向きを変えてもう一方の半分を覆うようにする。その際に可動部2が留められなくて下に垂れ下がらないように、基本部1に基本部上可動部接合部10を設置し、可動部2にそれに対応する可動部上基本部接合部11を設置する。なお
図1では基本部上可動部接合部10を基本部1の四隅に配置し、可動部上基本部接合部11を可動部の二隅に設置しているが、カバン3のサイズや構造、材質によって設置場所や数が変わりうるため、
図1の実施例に限定されるものではない。
【0022】
可動部を固着する向きは縦でも横でも問題ない。あくまで重要なのは底面をしっかりとカバーすることであって、可動部を固着する中央線の両側が線対称になっていればよいためである。そのため、
図1に示すように可動部2を基本部1の長辺と平行方向に固着しても構わないし、
図2に示すように可動部2を基本部1の短辺と平行方向に固着しても構わない。ただ可動部2の向きの切替えをより容易にして使いやすくした方が良いことを考えれば、
図2の場合よりも
図1の方が向きの切替えの動きをより小さくできるため使いやすくなると考える。
【0023】
また
図1と
図2では、基本部の形は長方形となっている。しかし
図3のように楕円形でも問題ない。この場合も重要なのは底面をカバーできることであり、基本部1上で可動部2を固着している中央線の両側が線対称になっていればよい。
【0024】
さらに、基本部上可動部接合部10と可動部上基本部接合部11との接合方法や材料としてはマジックテープや磁石、ボタンなどがある。ただマジックテープだと、汚れた場所に置く時に、繊維の隙間に砂などが入ってしまうおそれがある。またボタンの場合だと砂などが入ってしまう可能性が高いことに加えて、カバン底面についているボタンにはめ込むのは意外に難しい。そのため、磁石で接合できるようにするのが最もよいと考える。
【0025】
他方、着脱型の底面カバーをカバンと着脱させる着脱部は、可動部と違ってそれほど頻繁に着脱することはない。また基本的に地面に接することはなく、繊維の隙間などに砂などが入ってしまうこともない。そのため、最初からカバンと底面カバーをセットで買っている場合なら、
図4に示すような構造で各種ボタンやマジックテープなどで留めても問題ない。
【0026】
ただし、既に所有しているカバンで使うために、底面カバーだけ購入される場合には、カバンには各種ボタンやマジックテープなどは取り付けられていない。購入者の方が自分でカバンに各種ボタンやマジックテープなどを縫い付けるなどし、前記ボタンや前記マジックテープで着脱できるようにするのは簡単ではない。そのため、例えば
図5のように基本部1に基本部上可動部接合部10とは別に磁石の着脱部4aを付け、カバン3の中にも磁石4bを付けた帯状の着脱部4を入れて対応させて着脱できるようにすることも可能である。なお
図5の中では着脱部4aと4bを3個ずつ取り付けているがあくまで例示に過ぎず、取り付ける場所と数は記載の内容に限られない。
【0027】
その他
図6のように基本部1の周りに着脱部4として余白を付け、さらにその余白にゴム紐を通して留めるようにしたり、通した紐を結んで留めることも可能である。また紐などを通さなくても、カバン本体3と着脱部4とを安全ピンやクリップなどで留めることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態を示し、底面カバーをカバンの長辺と平行方向に固着した下方斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態を示し、底面カバーをカバンの短辺と平行方向に固着した下方斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態を示し、底面カバーを円形のカバンに固着した下方斜視図である。
【
図4】着脱型の底面カバーとカバン本体とを、それぞれに取り付けられた底面カバー着脱部で着脱するイメージ図
【
図5】本発明の一実施形態を示し、カバン内部に入れた磁石付き着脱部を利用して、着脱型の底面カバーを取り付けたカバンの断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態を示し、底面カバー基本部の周囲についた着脱部でカバンに取り付けている側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 底面カバー基本部
2 底面カバー可動部
3 カバン本体
4 底面カバー着脱部
4a 底面カバー基本部に取り付けられた磁石の着脱部
4b カバン内部に入れる着脱部に取り付けられた磁石の着脱部
5 紐やゴムなど着脱部を締め付けるもの
10 基本部上可動部接合部
11 可動部上基本部接合部