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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】クリアファイル殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20240603BHJP
   B42F 7/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
A61L2/10
B42F7/00 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020118788
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015744
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】500429170
【氏名又は名称】株式会社デンネツ
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】青柳 廣雄
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-014858(JP,A)
【文献】特開2013-059653(JP,A)
【文献】中国実用新案第210257738(CN,U)
【文献】中国実用新案第211567423(CN,U)
【文献】特開2017-077255(JP,A)
【文献】特開2004-166875(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111231543(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
B42F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の2枚のシートを重ねて綴じ合わせることで形成されるクリアファイルを収納するファイル収納室を有し、当該ファイル収納室の内壁の少なくとも一部を反射面に仕上げてなるケースと、
前記ファイル収納室内に収納され、複数枚の前記クリアファイルを保持するファイル保持具と、
前記ファイル収納室内に設置され、前記ファイル保持具に保持したクリアファイルに紫外線を直接または前記反射面による反射により照射する殺菌灯と、
を具備し、
前記ファイル保持具は、矩形状に組まれた外枠内に、複数の仕切部材を、これら各仕切部材の上部の部分が前記外枠の上辺よりも所定寸法上方向に突出された状態で隙間をあけて設置することで、当該隙間を前記クリアファイル挿入用のファイル挿入溝とし、且つ当該ファイル挿入溝の上部開口をファイル挿入口として構成していることを特徴とするクリアファイル殺菌装置。
【請求項2】
合成樹脂製の2枚のシートを重ねて綴じ合わせることで形成されるクリアファイルを収納するファイル収納室を有し、当該ファイル収納室の内壁の少なくとも一部を反射面に仕上げてなるケースと、
前記ファイル収納室内に収納され、複数枚の前記クリアファイルを保持するファイル保持具と、
前記ファイル収納室内に設置され、前記ファイル保持具に保持したクリアファイルに紫外線を直接または前記反射面による反射により照射する殺菌灯と、
を具備し、
前記ファイル保持具は、複数の仕切部材を、隙間をあけて設置することで、当該隙間を前記クリアファイル挿入用のファイル挿入溝として構成し、
前記殺菌灯は、前記ファイル収納室内に設置した前記クリアファイルの上下方向に向かう外周辺の外側位置に設置されており、
且つ前記殺菌灯は、前記ファイル収納室の対向する一対の内側壁に沿って一対水平に設置されていることを特徴とするクリアファイル殺菌装置。
【請求項3】
合成樹脂製の2枚のシートを重ねて綴じ合わせることで形成されるクリアファイルを収納するファイル収納室を有し、当該ファイル収納室の内壁の少なくとも一部を反射面に仕上げてなるケースと、
前記ファイル収納室内に収納され、複数枚の前記クリアファイルを保持するファイル保持具と、
前記ファイル収納室内に設置され、前記ファイル保持具に保持したクリアファイルに紫外線を直接または前記反射面による反射により照射する殺菌灯と、
を具備し、
前記ファイル保持具は、複数の仕切部材を、隙間をあけて設置することで、当該隙間を前記クリアファイル挿入用のファイル挿入溝として構成し、
且つ隣接する前記仕切部材の上辺を、交互に高低を繰り返す構成としたことを特徴とするクリアファイル殺菌装置。
【請求項4】
合成樹脂製の2枚のシートを重ねて綴じ合わせることで形成されるクリアファイルを収納するファイル収納室を有し、当該ファイル収納室の内壁の少なくとも一部を反射面に仕上げてなるケースと、
前記ファイル収納室内に収納され、複数枚の前記クリアファイルを保持するファイル保持具と、
前記ファイル収納室内に設置され、前記ファイル保持具に保持したクリアファイルに紫外線を直接または前記反射面による反射により照射する殺菌灯と、
を具備し、
前記ファイル保持具は、複数の仕切部材を、隙間をあけて設置することで、当該隙間を前記クリアファイル挿入用のファイル挿入溝として構成し、
前記仕切部材の上辺左右両側の第1,第2端部の内の第1端部の屈曲角度を、第2端部の屈曲角度に比べて緩い角度とし、
隣接する前記仕切部材の第1,第2端部の位置を、互い違いに左右逆転させたことを特徴とするクリアファイル殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリアファイルを殺菌するのに用いて好適なクリアファイル殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここでいうクリアファイルとは、主としてポリプロピレンなどの合成樹脂製のシートを2枚重ねて綴じ合わせたものであり、書類などを間に挟み、分類、整理などに用いるものをいう。
【0003】
従来、この種のクリアファイルは、例えば病院における患者のカルテなどを挟んで、当該患者の各種検査・診断・治療など(以下「各種検査など」という)を行う際に使用される。当該患者の各種検査などが終了すると、当該カルテは当該クリアファイルから取り出されて所定の棚などに収納され、一方当該クリアファイルは別の患者のカルテなどを挟んで、再び当該別の患者の各種検査などに使用される。
【0004】
上述のように複数の患者に対して繰り返し使用されるクリアファイルは、一人の患者の使用が終了する毎に、当該クリアファイルに付着している恐れがあるウィルスなどを除去するため、アルコールなどの消毒液を用いて拭いて殺菌消毒する必要がある。
【0005】
また病院に限らず、クリアファイルは各種企業、各種店舗、各種公的機関、各種家庭など、あらゆる場所で使用されているが、当該クリアファイルに付着している恐れがあるウィルスなどを除去するためには、上記と同様に、アルコールなどの消毒液を用いて殺菌消毒する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-113722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、クリアファイルの表面を1枚ずつ消毒液によって拭く作業は、手間がかかり、また拭き漏れなどによる殺菌漏れが生じる虞もある。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、クリアファイルを効果的で効率よく確実に殺菌消毒することができるクリアファイル殺菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるクリアファイル殺菌装置は、合成樹脂製の2枚のシートを重ねて綴じ合わせることで形成されるクリアファイルを収納するファイル収納室を有し、当該ファイル収納室の内壁の少なくとも一部を反射面に仕上げてなるケースと、前記ファイル収納室内に収納され、複数枚の前記クリアファイルを保持するファイル保持具と、前記ファイル収納室内に設置され、前記ファイル保持具に保持したクリアファイルに紫外線を直接または前記反射面による反射により照射する殺菌灯と、を具備し、前記ファイル保持具は、矩形状に組まれた外枠内に、複数の仕切部材を、これら各仕切部材の上部の部分が前記外枠の上辺よりも所定寸法上方向に突出された状態で隙間をあけて設置することで、当該隙間を前記クリアファイル挿入用のファイル挿入溝とし、且つ当該ファイル挿入溝の上部開口をファイル挿入口として構成していることを特徴としている。
本発明によれば、ケースのファイル収納室内に、クリアファイルを保持したファイル保持具を収納し、各クリアファイルに殺菌灯から直接または反射面による反射によって紫外線を照射するので、各クリアファイル(特にウィルスや細菌などによる汚染度が高い外表面)を効果的に殺菌消毒できる。
さらにファイル保持具に設けた各ファイル挿入溝に各クリアファイルを挿入できるので、各クリアファイルを所定の隙間を空けて併設でき、これによって、当該隙間を通して殺菌灯から照射された紫外線を容易にその奥の方まで照射できる。これによって各クリアファイルの両表面を効果的且つ確実に殺菌消毒することができる。
また、ファイル保持具に容易に複数枚のクリアファイルを保持できるので、一度に複数枚のクリアファイルを効率的に殺菌消毒することができる。
【0011】
また本発明は、合成樹脂製の2枚のシートを重ねて綴じ合わせることで形成されるクリアファイルを収納するファイル収納室を有し、当該ファイル収納室の内壁の少なくとも一部を反射面に仕上げてなるケースと、前記ファイル収納室内に収納され、複数枚の前記クリアファイルを保持するファイル保持具と、前記ファイル収納室内に設置され、前記ファイル保持具に保持したクリアファイルに紫外線を直接または前記反射面による反射により照射する殺菌灯と、を具備し、前記ファイル保持具は、複数の仕切部材を、隙間をあけて設置することで、当該隙間を前記クリアファイル挿入用のファイル挿入溝として構成し、前記殺菌灯は、前記ファイル収納室内に設置した前記クリアファイルの上下方向に向かう外周辺の外側位置に設置されており、且つ前記殺菌灯は、前記ファイル収納室の対向する一対の内側壁に沿って一対水平に設置されていることを特徴としている。
本発明によれば、殺菌灯の長尺方向が、ファイル保持具に保持されたクリアファイルの並び方向(面に垂直な方法)に向かうので、多数枚のクリアファイルに対してほぼ均等にその左右両外周辺側から紫外線を照射することができる。
なお、前記殺菌灯は、さらに前記ファイル収納室内の天面に沿って、前記内側壁に設置した一対の殺菌灯と同一方向に向けて設置されていることが好ましい。
このように構成すれば、クリアファイルの上方から紫外線がさらに照射されるので、クリアファイルのより効果的な殺菌を図ることができる。またこの殺菌灯も、その長尺方向が、ファイル保持具に保持されたクリアファイルの並び方向(面に垂直な方法)に向かうので、多数枚のクリアファイルに対してほぼ均等に当該殺菌灯からの紫外線を照射することができる。
【0012】
また本発明は、合成樹脂製の2枚のシートを重ねて綴じ合わせることで形成されるクリアファイルを収納するファイル収納室を有し、当該ファイル収納室の内壁の少なくとも一部を反射面に仕上げてなるケースと、前記ファイル収納室内に収納され、複数枚の前記クリアファイルを保持するファイル保持具と、前記ファイル収納室内に設置され、前記ファイル保持具に保持したクリアファイルに紫外線を直接または前記反射面による反射により照射する殺菌灯と、を具備し、前記ファイル保持具は、複数の仕切部材を、隙間をあけて設置することで、当該隙間を前記クリアファイル挿入用のファイル挿入溝として構成し、且つ隣接する前記仕切部材の上辺を、交互に高低を繰り返す構成としたことを特徴としている。
これによって、隣接する仕切部材の上辺間の間隔を広げることができ、各ファイル挿入溝の上部開口(ファイル挿入口)にクリアファイルを挿入し易くなる。
【0013】
また本発明は、合成樹脂製の2枚のシートを重ねて綴じ合わせることで形成されるクリアファイルを収納するファイル収納室を有し、当該ファイル収納室の内壁の少なくとも一部を反射面に仕上げてなるケースと、前記ファイル収納室内に収納され、複数枚の前記クリアファイルを保持するファイル保持具と、前記ファイル収納室内に設置され、前記ファイル保持具に保持したクリアファイルに紫外線を直接または前記反射面による反射により照射する殺菌灯と、を具備し、前記ファイル保持具は、複数の仕切部材を、隙間をあけて設置することで、当該隙間を前記クリアファイル挿入用のファイル挿入溝として構成し、前記仕切部材の上辺左右両側の第1,第2端部の内の第1端部の屈曲角度を、第2端部の屈曲角度に比べて緩い角度とし、隣接する前記仕切部材の第1,第2端部の位置を、互い違いに左右逆転させたことを特徴としている。
これによって、隣接する仕切部材の上辺の同じ側の端部に第1,第2端部が交互に位置することになり、当該隣接する第1,第2端部間の間隔を広げることができる。このため、各ファイル挿入溝の上部開口(ファイル挿入口)にクリアファイルを挿入し易くなる。特に上部開口の端部からのクリアファイルの挿入が容易に行えるので、その挿入が行い易い。
また、前記第1,第2端部の形状を有する1種類の仕切部材を用意するだけでよくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、クリアファイルを効果的で効率よく且つ確実に殺菌消毒することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】クリアファイル殺菌装置1の斜視図である。
図2】クリアファイル殺菌装置1の使用方法説明図である。
図3】外枠51の斜視図である。
図4】仕切板53の斜視図である。
図5】ファイル保持具50へのクリアファイル100の挿入状態を示す斜視図である。
図6】ケース10内に収納したクリアファイル100への紫外線の照射状態を示す概略図である。
図7】ファイル挿入溝55へのクリアファイル100の挿入方法説明概略図である。
図8】ファイル保持具50-2を示す斜視図である。
図9】ファイル挿入溝55-2へのクリアファイル100の挿入方法説明概略図である。
図10】ファイル保持具50-3を示す斜視図である。
図11】仕切板53-3を示す図であり、図11(a)は仕切板53-3を一方の側から見た斜視図、図11(b)は反対方向から見た斜視図である。
図12】ファイル挿入溝55-3へのクリアファイル100の挿入方法説明概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかるクリアファイル殺菌装置1の斜視図、図2はクリアファイル殺菌装置1の使用方法説明図である。これらの図に示すように、クリアファイル殺菌装置1は、ファイル収納室13を有するケース10と、クリアファイル100を保持するファイル保持具50とを具備して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは前記ファイル保持具50の下記するクリアファイル100を挿入する側をいい、「下」とはその反対側をいうものとする。
【0017】
ケース10は、矩形箱型であって、その一側面に開閉扉21を取り付けて構成されている。ケース10の内部には、矩形状の空間からなるファイル収納室13が形成されており、前記開閉扉21を設けた側面に開口15が形成されている。開口15は、前記開閉扉21によって塞がれる。ファイル収納室13内の開口15から見て左右両内側壁131,133と天面135には、それぞれ1本ずつ殺菌灯41,43,45が設置されている。
【0018】
ファイル収納室13の内壁の全て(左右両内側壁131,133、天面135、奥面137、底面139、開閉扉21の裏面141)は、反射面に仕上げられている。具体的には、アルミ板の表面を鏡面加工することで反射面としている。左右両内側壁131,133の略中央と、天面135の略中央には、それぞれランプ収納凹部143(図2では向かって右内側壁133の部分のみ示す)が形成され、各ランプ収納凹部143内に、前記殺菌灯41,43,45が設置されている。この例で用いられている各殺菌灯41,43,45は棒状(直線状)であり、左右両内側壁131,133に設置された殺菌灯41,43は、開口15側から奥側に向かって水平に設置され、また天面135に設置された殺菌灯45も、それらと同一方向に向かって設置されている。各殺菌灯41,43,45は、紫外線ランプである。
【0019】
開閉扉21は、片開き形式の扉であり、その外表面にこれを開閉する際に使用する取っ手151が取り付けられ、またファイル収納室13の内部を目視可能とする透明な板材からなる窓153を取り付けて構成されている。
【0020】
ファイル保持具50は、下記する多数枚のクリアファイル100を保持して前記ケース10のファイル収納室13に収納されるものであり、矩形状に組まれた外枠51内に、多数枚の仕切部材(以下「仕切板」という)53を、隙間をあけて平行に設置することで、当該隙間をファイル挿入溝55として構成している。
【0021】
図3は、外枠51を示す斜視図である。同図に示すように、外枠51は、12本の枠材511a~lを矩形状(直方体形状)になるように接合し、前後に位置する上下2本ずつの枠材511a,i,511c,kに、上下方向に向かう2本ずつの補強材513を取り付けて構成されている。従って、外枠51は、各面が大きな開口となっており、その内部に紫外線が入射し易い。
【0022】
図4は、仕切板53を示す斜視図である。同図に示すように、仕切板53は、枠材531a~dを四角形状になるように接合し、対向する上下の一対の枠材531b,dに、上下方向に向かう2本の補強材533を渡すように取り付けて構成されている。従って、仕切板53は、大きな開口を有しており、その内部を紫外線が通過し易い。
【0023】
そしてファイル保持具50は、図2に示すように、前記外枠51内に、多数枚の仕切板53を、各仕切板53が所定の間隔で平行になるように収納して設置・固定することで構成されている。各仕切板53間の隙間寸法は、1枚のクリアファイル100が無理なく挿入できる寸法に形成され、この隙間によってファイル挿入溝55が形成されている。また各ファイル挿入溝55の上部開口は、ファイル挿入口55aとなっている。ファイル保持具50は、各仕切板53の上部の部分が、外枠51の上側の枠材511a,b,c,dの上辺よりもその上方に向かって所定寸法突出するように取り付けられている。即ち、各仕切板53の左右の枠材531a,cの上部の部分が枠材511a,b,c,dの上辺よりも所定寸法上方向に突出している。
【0024】
次に、以上のように構成されたクリアファイル殺菌装置1の使用方法及び動作を説明する。まず図7の挿入方法説明概略図に示すように、ファイル保持具50の各ファイル挿入口55aからファイル挿入溝55内に、1枚ずつクリアファイル100を挿入し、図5に示すように、立てかける。ここでクリアファイル100は、図2に示すように、合成樹脂製の2枚のシート101,103を重ねて、その4辺の内の隣り合う2辺を折り曲げや溶着などによって接合した状態として形成されている。各ファイル挿入溝55に立てかけられたクリアファイル100の対向する一対の外周辺100a,cは、上下方向を向いており、もう一方の対向する一対の外周辺100b,dは、水平方向を向いている。
【0025】
前記クリアファイル100のファイル挿入口55aへの挿入は、ファイル挿入口55aの真上側からもできるが、例えば図7に示すように、左右の枠材531c(531a)の上部の部分が枠材511dの上辺よりも所定寸法上方向に突出しているので、突出した枠材531c(531a)の側面側からもクリアファイル100を挿入することができる。このためクリアファイル100の挿入を、より容易に行うことができる。
【0026】
次に、図5に示すように、クリアファイル100を保持したファイル保持具50を、図2に示すように、開閉扉21を開いたケース10のファイル収納室13内に収納する。そして前記開閉扉21を閉じ、前記3つの殺菌灯41,43,45を点灯する。
【0027】
図6は、ケース10内に収納したクリアファイル100への紫外線の照射状態を示す概略図である。同図では、クリアファイル100を上方から見ている。同図に示すように、左右一対の殺菌灯41,43から照射された紫外線UVは、同図に一点鎖線の矢印で示すように、平行に設置された各クリアファイル100の間の隙間に入り込み、対向する反対面側に向けて照射される。また天面135に設置された殺菌灯45から照射された紫外線も、図示はしないが、上記平行に設置された各クリアファイル100の間の隙間にその上側から入り込み、対向する下面側に向けて照射される。
【0028】
このとき、殺菌灯41,43は、ファイル収納室13内に設置した前記クリアファイル100の上下方向に向かう外周辺100a,cの外側位置に設置され、また殺菌灯45は、ファイル収納室13内に設置した前記クリアファイル100の上側の外周辺100bの外側位置に設置されているので、これら殺菌灯41,43,45から照射された紫外線の多くが隣接するクリアファイル100の間の反対側の外周辺まで入り込んでクリアファイル100の両面を満遍なく照射し、またクリアファイル100の間に入り込まなかった紫外線もファイル収納室13内の反射面によって1又は複数回反射された後、クリアファイル100に照射される。このように各クリアファイル100に殺菌灯41,43,45から直接または反射面による反射によって紫外線を照射するので、各クリアファイル100(特にウィルスや細菌などによる汚染度が高いその両外表面)を効果的に殺菌消毒することができる。
【0029】
言い換えれば、ファイル保持具50に設けた各ファイル挿入溝55に各クリアファイル100を挿入できるので、各クリアファイル100を所定の隙間を空けて平行に併設でき、これによって、当該隙間を通して殺菌灯41,43,45から照射された紫外線を容易にその奥の方まで照射できる。これによって各クリアファイル100の両外表面を効果的且つ確実に殺菌消毒することができる。
【0030】
また、ファイル保持具50に容易に複数枚のクリアファイル100を保持できるので、一度に多数枚のクリアファイル100を効率的に殺菌消毒することができる。
【0031】
また左右の殺菌灯41,43は、ファイル収納室13の対向する一対の内側壁131,133に沿って一対水平に設置されているので、殺菌灯41,43の長尺方向が、ファイル保持具50に保持されたクリアファイル100の並び方向(面に垂直な方法)に向かい、このため多数枚のクリアファイル100に対してほぼ均等にその左右両外周辺100a,c側から紫外線を照射することができる。
【0032】
さらに殺菌灯45は、ファイル収納室13の天面に沿って、前記一対の殺菌灯41,43と同一方向に向けて設置されているので、クリアファイル100の上方からさらに紫外線を照射することができ、クリアファイル100のより効果的な殺菌を図ることができる。またこの殺菌灯45も、その長尺方向が、ファイル保持具50に保持されたクリアファイル100の並び方向(面に垂直な方法)に向かうので、多数枚のクリアファイル100に対してほぼ均等に当該殺菌灯45からの紫外線を照射することができる。
【0033】
図8は、本発明の第2実施形態に係るファイル保持具50-2を示す斜視図である。このファイル保持具50-2において、前記図2図5に示すファイル保持具50と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し添え字「-2」を付す)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1図6に示す実施形態と同じである。
【0034】
このファイル保持具50-2において、前記ファイル保持具50と相違する点は、隣接する仕切板53-2の上辺531b-2を、平行のまま、交互に高低を繰り返す構成とした点である。高い方の上辺531b-2は何れも同一高さであり、低い方の上辺531b-2も何れも同一高さである。
【0035】
このように構成することで、図9の挿入方法説明概略図に示すように、隣接する仕切板53-2の上辺531b-2間の間隔(離間距離)H1を広げることができる。そして、何れかのファイル挿入溝55-2の上部開口55a-2にクリアファイル100を挿入しようとする際、高い方の上辺531b-2に当接するように(沿わせるように)しながら挿入できるので、その挿入がさらに行い易くなる。ファイル挿入溝55-2の幅寸法が狭くなればなるほど、その効果が大きくなる。
【0036】
図10は、本発明の第3実施形態に係るファイル保持具50-3を示す斜視図である。このファイル保持具50-3において、前記図2図5に示すファイル保持具50と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し添え字「-3」を付す)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1図6に示す実施形態と同じである。
【0037】
このファイル保持具50-3において、前記ファイル保持具50と相違する点は、仕切板53-3の形状である。図11は、仕切板53-3を示す図であり、図11(a)は仕切板53-3を一方の側から見た斜視図、図11(b)は同一の仕切板53-3を反対方向から見た斜視図である。同図および図10に示すように、仕切板53-3は、その上辺531b-3両側の第1端部535-3と第2端部537-3の内の第1端部535-3の屈曲角度を、第2端部537-2の屈曲角度に比べて緩い角度、即ち、この例の場合は、第1端部535-3は大きな円弧形状とし、第2端部537-2は略直角に屈曲している。また外枠51-3内に設置した各仕切板53-3は、図10に示すように、隣接する仕切板53-3の第1,第2端部535-3,537-3の位置(向き)を、互い違いに左右逆転させている。
【0038】
このように構成すると、図12の挿入方法説明概略図に示すように、隣接する仕切板53-3の上辺531b-3の同じ側の端部に第1,第2端部535-3,537-3が交互に位置することになり、当該隣接する第1,第2端部535-3,537-3間の間隔H2を広げることができる。このため、当該広がっている部分のファイル挿入溝55-3の上部開口55a-3にクリアファイル100を挿入し易くなる。特に上部開口55a-3の端部からのクリアファイル100の挿入が容易に行えるので、その挿入が行い易い。
【0039】
また、前記第1,第2端部535-3,537-3の形状を有する1種類の仕切板53-3を用意するだけでよくなる。このファイル保持具50-3の場合も、ファイル挿入溝55-3の幅寸法が狭くなればなるほど、その効果が大きくなる。
【0040】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、ファイル収納室の内壁の全てを反射面に仕上げる代わりに、その一部を反射面に仕上げる構成としても良い。またファイル保持具の形状・構造にも種々の変形が可能であり、要は、複数の仕切部材を、隙間をあけて設置することで当該隙間をクリアファイル挿入用のファイル挿入溝とした構成のファイル保持具であればよい。またファイル保持具を構成する仕切部材は枠材で構成する代わりに例えば平板によって構成しても良く、また板状以外の各種形状であってもよい。また上記実施形態では、殺菌灯をファイル収納室13内の左右両内側壁と天面とに設置したが、左右両内側壁のみ、又は天面のみ、又は何れか一面のみに設置しても良い。また殺菌灯は、クリアファイルの上下方向に向かう外周辺とファイル収納室の内側壁との間以外の所望の位置に設置しても良い。また殺菌灯は、水平以外の状態で設置しても良い。また殺菌灯は、直線形状に限定されず、U字形状、球形状など、他の各種形状であっても良い。
【0041】
また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0042】
1 クリアファイル殺菌装置
10 ケース
13 ファイル収納室
131 内側壁(内壁)
133 内側壁(内壁)
135 天面(内壁)
137 奥面(内壁、内側壁)
139 底面(内壁)
141 開閉扉21の裏面(内壁、内側壁)
15 開口
21 開閉扉
41,43,45 殺菌灯
50,50-2,3 ファイル保持具
51,51-2,3 外枠
53,53-2,3 仕切板(仕切部材)
55,55-2,3 ファイル挿入溝
55a、55a-2,3 ファイル挿入口(上部開口)
100 クリアファイル
100a,b,c,d 外周辺
101,103 シート
図1
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