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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】光学機器
(51)【国際特許分類】
   F41G 1/38 20060101AFI20240603BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240603BHJP
   G02B 23/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
F41G1/38
G02B7/04 B
G02B23/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021004758
(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公開番号】P2022109448
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】397016219
【氏名又は名称】株式会社ライト光機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】酒井 健介
(72)【発明者】
【氏名】今井 正樹
(72)【発明者】
【氏名】小口 秀美
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-150699(JP,A)
【文献】特公昭47-015283(JP,B1)
【文献】特開平09-126301(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0313633(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105806156(CN,A)
【文献】特開2016-188654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41G 1/38
G02B 7/04
G02B 23/00-23/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物をユーザに視認させる光学機器であって、
前記対象物を前記ユーザに視認させる光学系と、
前記光学系を収容する筐体と、
前記ユーザの操作に応じて前記光学機器の機能に関する調整をする操作調整部と
を備え、
前記操作調整部は、
前記ユーザの操作に応じて回転する回転操作部と、
前記回転操作部の回転量に応じて前記光学機器の一部を動かすことで前記光学機器の機能に関する調整をする調整機構と、
外周面の少なくとも一部に凹凸が形成されている筒状の第1筒状部と、
前記第1筒状部の外周面における凹凸である外周凹凸と係合する形状の凹凸である内周凹凸が内周面の少なくとも一部に形成されている筒状の第2筒状部と
を備え、
前記第1筒状部及び前記第2筒状部の一方である回転側筒状部は、前記回転操作部と共に回転するように、前記回転操作部の回転軸と軸方向を平行にして、前記回転操作部に対して位置が固定され、
前記第1筒状部及び前記第2筒状部の他方は、前記回転側筒状部と軸方向を揃えて、前記筐体に対して固定した位置に配設され、
前記第1筒状部の前記外周凹凸は、前記第1筒状部の軸方向と平行な方向へ延伸する凸部と凹部とが外周面の周方向へ交互に並ぶ凹凸であり、
前記回転操作部は、前記第1筒状部の軸方向と平行な方向において進退が可能であり、前記ユーザの操作に応じて、前記回転側筒状部と共に、少なくとも、前記外周凹凸と前記内周凹凸とが離れることで前記回転操作部の回転を可能にする回転可能位置と、前記外周凹凸と前記内周凹凸とが係合することで前記回転操作部の回転を禁止する回転禁止位置とに移動し、
少なくとも前記第2筒状部に近い側の端部の近傍において、前記第1筒状部の前記外周凹凸における凸部の幅が、当該端部に向かって漸減していることを特徴とする光学機器。
【請求項2】
前記光学機器は、銃に取り付けて使用される光学照準器であり、
前記操作調整部は、着弾位置調整を行うための調整部であることを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
【請求項3】
前記回転側筒状部は、前記第2筒状部であり、
前記第2筒状部に近い側の端部の近傍以外の少なくとも一部において、前記第1筒状部の前記外周凹凸における凸部は、前記周方向における幅を一定にして、前記周方向に一定の周期で並び、
前記回転可能位置から前記回転禁止位置へ前記回転操作部を移動させる移動時において、前記第1筒状部の前記外周凹凸は、前記第2筒状部に近い側の端部に向かって幅が漸減する凸部により、前記外周凹凸と前記内周凹凸とが係合するように、前記第2筒状部の移動を案内することを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
【請求項4】
少なくとも前記第2筒状部に近い側の端部の近傍において、前記第1筒状部の前記外周凹凸における凹部の深さ及び幅が、当該端部に向かって漸増することを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
【請求項5】
前記第1筒状部の前記外周凹凸における凹部は、底部から離れるに従って幅が漸増するV字溝状の凹部であり、
少なくとも前記第2筒状部に近い側の端部の近傍において、V字溝状の凹部の底部の位置が当該端部に向かって徐々に深い位置になることで、前記第1筒状部の前記外周凹凸における凹部の深さ及び幅が、当該端部に向かって漸増することを特徴とする請求項4に記載の光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学機器、及び筒状部利用製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、狩猟用銃やスポーツ用銃に装備する光学照準器等の光学機器に関し、フォーカス調整や弾道補正等の調整機構を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、特許文献1には、フォーカス調整用の調整機構に対するロック機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-150699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学機器の調整機構に対してロック機構を設けた場合、例えば、調整のための操作部にユーザの手や物等が意図せずに接触することで調整結果にずれが生じること等を適切に防ぐことができる。しかし、ロック機構の構成によっては、例えば、実際にはロックがされていない状態で、ロックが完了したとの印象をユーザに与えてしまう場合がある。また、その結果、調整機構に対するロックが適切に行えなくなる場合がある。そのため、従来、光学機器の機能に関する調整するための構成に関し、より適切に調整を行い得る構成が望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる光学機器、及び筒状部利用製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
光学機器の機能に関する調整をするための構成としては、例えば、ユーザの操作に応じて回転する回転操作部を用いた構成等が考えられる。この場合、例えば、回転操作部と共に回転する筒状部である回転側筒状部に形成した凹凸と、回転しない筒状部である固定側筒状部に形成した凹凸とを用いて、ロック機構を実現することが考えられる。より具体的に、この場合、例えば、回転側筒状部の軸方向と平行な方向において回転操作部及び回転側筒状部を進退可能にして、所定の位置において回転側筒状部の凹凸と固定側筒状部の凹凸とを係合させることで、回転操作部の回転を禁止することができる。また、この場合、例えば、ユーザが回転操作部を押し込む動作によって、回転側筒状部及び固定側筒状部の一方が他方の少なくとも一部を収容する状態にして、回転側筒状部の凹凸と固定側筒状部の凹凸とを係合させることが考えられる。このように構成すれば、例えば、光学機器の機能に関する調整をするための構成に対するロック機構を適切に実現することができる。
【0006】
しかし、このようなロック機構の場合、例えば、回転側筒状部の凹凸と固定側筒状部の凹凸とが確実に係合する前に、ロックがされた状態になったとの印象をユーザに与える場合がある。より具体的に、例えば、ユーザが回転操作部を押し込む動作中に回転側筒状部と固定側筒状部とが接触した時点において、回転側筒状部の凹凸における凸部と固定側筒状部の凹凸における凸部とがぶつかることで、押し込みが完了したとの印象をユーザに与える場合がある。また、その結果、実際にはロックがされていない状態で、ロックがされた状態になったとの印象をユーザに与える場合がある。
【0007】
これに対し、本願の発明者は、このような誤認が生じにくくなる構成に関し、鋭意研究を行った。そして、回転側筒状部と固定側筒状部とが接触した後に、より自然に両者の凹凸が係合する構成を用いることを考えた。また、より具体的に、このような構成として、回転側筒状部及び固定側筒状部のうち、少なくとも外周面に凹凸が形成される側の筒状部について、他の筒状部に近い側の端部に向かって凸部の幅が漸減する構成を用いることを考えた。このように構成すれば、例えば、回転側筒状部と固定側筒状部とが接触した後に、より自然に両者の凹凸を係合させることができる。また、これにより、例えば、実際にはロックがされていない状態でロックがされた状態になったとの印象をユーザに与えることを適切に防止することができる。
【0008】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、対象物をユーザに視認させる光学機器であって、前記対象物を前記ユーザに視認させる光学系と、前記光学系を収容する筐体と、前記ユーザの操作に応じて前記光学機器の機能に関する調整をする操作調整部とを備え、前記操作調整部は、前記ユーザの操作に応じて回転する回転操作部と、前記回転操作部の回転量に応じて前記光学機器の一部を動かすことで前記光学機器の機能に関する調整をする調整機構と、外周面の少なくとも一部に凹凸が形成されている筒状の第1筒状部と、前記第1筒状部の外周面における凹凸である外周凹凸と係合する形状の凹凸である内周凹凸が内周面の少なくとも一部に形成されている筒状の第2筒状部とを備え、前記第1筒状部及び前記第2筒状部の一方である回転側筒状部は、前記回転操作部と共に回転するように、前記回転操作部の回転軸と軸方向を平行にして、前記回転操作部に対して位置が固定され、前記第1筒状部及び前記第2筒状部の他方は、前記回転側筒状部と軸方向を揃えて、前記筐体に対して固定した位置に配設され、前記第1筒状部の前記外周凹凸は、前記第1筒状部の軸方向と平行な方向へ延伸する凸部と凹部とが外周面の周方向へ交互に並ぶ凹凸であり、前記回転操作部は、前記第1筒状部の軸方向と平行な方向において進退が可能であり、前記ユーザの操作に応じて、前記回転側筒状部と共に、少なくとも、前記外周凹凸と前記内周凹凸とが離れることで前記回転操作部の回転を可能にする回転可能位置と、前記外周凹凸と前記内周凹凸とが係合することで前記回転操作部の回転を禁止する回転禁止位置とに移動し、少なくとも前記第2筒状部に近い側の端部の近傍において、前記第1筒状部の前記外周凹凸における凸部の幅が、当該端部に向かって漸減していることを特徴とする。
【0009】
このように構成した場合、第1筒状部の外周凹凸における凸部の幅が端部に向かって漸減していることにより、例えば、回転可能位置から回転禁止位置へ回転操作部を移動させる動作において、第1筒状部の外周凹凸と第2筒状部の内周凹凸とをより自然に係合させることができる。また、これにより、例えば、実際にはロックがされていない状態でロックがされた状態になったとの印象をユーザに与えることを適切に防止することができる。そのため、このように構成すれば、例えば、光学機器の機能に関する調整をするための構成に関し、より適切に調整を行い得る構成を適切に実現することができる。
【0010】
このような光学機器としては、例えば、銃に取り付けて使用される光学照準器を用いることが考えられる。また、操作調整部としては、例えば、光学照準器において着弾位置調整を行うための調整部を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、光学照準器に対する着弾位置調整を行う場合において、ロック機構をより適切に実現することができる。また、上記の操作調整部として、例えば、光学照準器における着弾位置調整以外の用途の調整部を用いること等も考えられる。この場合、操作調整部として、例えば、フォーカス調整部やイルミネーション調整部等を用いることが考えられる。また、操作調整部として、これら以外の調整部を用いてもよい。また、操作調整部として、例えば、光学照準器以外の光学機器における調整部を用いること等も考えられる。
【0011】
また、この構成において、より具体的には、例えば、第2筒状部が回転側筒状部になる。また、第2筒状部に近い側の端部の近傍以外の少なくとも一部において、第1筒状部の外周凹凸における凸部は、例えば、周方向における幅を一定にして、周方向に一定の周期で並ぶ。そして、第2筒状部に近い側の端部の近傍において、第1筒状部の外周凹凸における凸部の周方向における幅は、上記のように、当該端部に向かって漸減する。この場合、外周凹凸における凹部の周方向における幅は、例えば、当該端部に向かって、隣接する凸部の幅の減少に応じて、漸増する。また、回転可能位置から回転禁止位置へ回転操作部を移動させる移動時において、第1筒状部の外周凹凸は、例えば、端部に向かって幅が漸減する凸部により、外周凹凸と内周凹凸とが係合するように、第2筒状部の移動を案内する。このように構成すれば、例えば、回転可能位置から回転禁止位置へ回転操作部を移動させる移動時において、第1筒状部の外周凹凸と第2筒状部の内周凹凸とを適切かつ自然に係合させることができる。
【0012】
また、少なくとも第2筒状部に近い側の端部の近傍において、第1筒状部の外周凹凸における凹部の深さ及び幅は、例えば、当該端部に向かって漸増する。このような凹部を形成することにより、例えば、端部に向かって幅が漸減する凸部を適切に形成することができる。また、より具体的に、第1筒状部の外周凹凸における凹部は、例えば、底部から離れるに従って幅が漸増するV字溝状の凹部である。そして、この場合、少なくとも第2筒状部に近い側の端部の近傍において、例えば、V字溝状の凹部の底部の位置が当該端部に向かって徐々に深い位置になることで、第1筒状部の外周凹凸における凹部の深さ及び幅は、当該端部に向かって漸増する。このような凹部を形成することにより、例えば、端部に向かって幅が漸減する凸部をより適切に形成することができる。
【0013】
また、本発明の特徴については、例えば、第1筒状部を作成する工程等に着目して考えることもできる。また、この場合、光学機器の構成に限らず、複数の筒状部を用いる製品である筒状部利用製品について、製造方法の特徴を考えることができる。また、この場合、本発明について、例えば、複数の筒状部を用いる製品である筒状部利用製品の製造方法であって、外周面の少なくとも一部に凹凸が形成されている筒状の第1筒状部を作成する第1筒状部作成工程と、前記第1筒状部の外周面における凹凸である外周凹凸と係合する形状の凹凸である内周凹凸が内周面の少なくとも一部に形成されている筒状の第2筒状部を作成する第2筒状部作成工程とを備え、前記第1筒状部の前記外周凹凸は、前記第1筒状部の軸方向と平行な方向へ延伸する凸部と凹部とが外周面の周方向へ交互に並ぶ凹凸であり、前記第1筒状部作成工程において、切削用の刃を有する切削工具を用いて、加工される前記第1筒状部に前記刃を押し当てながら、前記第1筒状部の軸方向と平行な方向へ進みつつ前記第1筒状部の中心軸から徐々に離れる方向へ前記第1筒状部に対して相対的に前記刃を移動させることで、前記第1筒状部の前記外周凹凸における凹部の一部を形成し、その後に、前記第1筒状部に前記刃を押し当てながら、前記第1筒状部の中心軸からの距離を一定にして、前記第1筒状部に対して相対的に前記刃を移動させることで、前記外周凹凸における凹部の他の一部を形成することで、前記第1筒状部の前記外周凹凸における凸部について、少なくとも一方の端部の近傍において当該端部に向かって幅が漸減するように形成することを特徴とすると考えることができる。
【0014】
このように構成すれば、例えば、第1筒状部に対し、端部に向かって幅が漸減する凸部を有する外周凹凸を適切に形成することができる。切削工具の刃としては、例えば、被加工物に押し当てられた状態で被加工物に対して相対的に移動することで底部から離れるに従って幅が漸増するV字溝状の凹部を形成する形状の刃を用いることが考えられる。また、この場合、第1筒状部作成工程において、例えば、第1筒状部の前記外周凹凸における凹部について、深さ及び幅が当該端部に向かって漸増するように形成することが考えられる。このように構成すれば、例えば、第1筒状部の外周凹凸をより適切に形成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば、光学機器の機能に関する調整をするための構成に関し、より適切に調整を行い得る構成を適切に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る光学照準器10の構成の一例を示す図である。
図2】着弾位置調整部22の要部を構成する部品を示す図である。図2(a)、(b)は、着弾位置調整部22の要部を構成する部品の一例を示す斜視図及び断面図である。
図3】着弾位置調整部22のロック機構について説明をする図である。図3(a)は、アンロック状態になっている着弾位置調整部22を示す断面図である。図3(b)は、ロック状態になっている着弾位置調整部22を示す断面図である。
図4】着弾位置調整部22のロック時に生じる誤認について説明をする図である。図4(a)は、正しくロックができた状態の例を示す。図4(b)は、ロック時に生じる誤認の例を示す。
図5】着弾位置調整部22のロック時の動作を簡略化して示す図である。
図6】固定筒状部106の外周凹凸の凹部を形成する動作の概要について説明をする図である。図6(a)、(b)は、外周凹凸の形成時における固定筒状部106とバイト502との位置関係を示す。
図7】固定筒状部106の外周凹凸を形成する動作について説明をする図である。
図8】本例とは異なる形状の外周凹凸612を形成した固定筒状部606の構成の例を示す図である。
図9】本例における固定筒状部106の構成の例を示す図である。
図10】固定筒状部606の外周凹凸612における凸部622及び凹部624の形状を簡略化して示す図である。図10(a)は、固定筒状部606の外周面の法線方向から見た凸部622及び凹部624を示す上面図である。図10(b)、(c)は、AA線及びBB線の位置での断面図である。
図11】固定筒状部106の外周凹凸204における凸部222及び凹部224の形状を簡略化して示す図である。図11(a)は、固定筒状部106の外周面の法線方向から見た凸部222及び凹部224を示す上面図である。図11(b)、(c)は、AA線及びBB線の位置での断面図である。
図12】着弾位置調整部22の構成の変形例について説明をする図である。図12(a)、(b)は、着弾位置調整部22における回転筒状部124及び固定筒状部106の構成の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る光学照準器10の構成の一例を示す。光学照準器10は、対象物をユーザに視認させる光学機器の一例であり、狩猟用銃やスポーツ用銃等の銃に取り付けて使用される。より具体的に、本例において、光学照準器10は、長距離射撃用の銃(例えば、ライフル等)に取り付けられて、遠方にある狩猟の獲物や標的等の射撃の対象物を拡大して、ユーザに視認させる。この場合、光学照準器10について、例えば、望遠機能を有する照準望遠鏡等と考えることもできる。光学照準器10については、例えば、銃に取り付けられるスコープ(例えば、ライフル用スコープ等)等と考えることもできる。また、以下に説明をする点を除き、光学照準器10は、公知の光学照準器10と同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、以下に説明をする点を除き、光学照準器10の各部の構成としては、公知の構成と同一の機能を有する構成を好適に用いることができる。
【0018】
また、本例において、光学照準器10は、光学系12、筐体14、複数の着弾位置調整部22、フォーカス調整部24、イルミネーション調整部26、倍率調整部28、及び視度調整部30を備える。光学系12は、例えば接眼レンズ及び対物レンズ等の複数のレンズを含む光学系であり、対物レンズ側を銃の前方側へ向け、接眼レンズ側を銃の後方側に向けることで、銃の射手であるユーザに射撃の対象物を視認させる。筐体14は、光学系12を収容する筐体である。また、本例において、筐体14は、例えば図示を省略したマウントを用いて、銃における所定の位置に固定して取り付けられる。
【0019】
複数の着弾位置調整部22、フォーカス調整部24、イルミネーション調整部26、倍率調整部28、及び視度調整部30のそれぞれは、操作調整部の一例であり、ユーザの操作に応じて、光学照準器10の機能に関する調整をする。本例において、光学照準器10の機能に関する調整をすることについては、例えば、光学照準器10の光学特性や照準の調整を行うこと等と考えることができる。また、これらの調整用の構成のうち、複数の着弾位置調整部22は、光学照準器10が取り付けられる銃による弾丸の着弾点(着弾位置)と光学照準器10の光軸方向との関係の調整である着弾位置調整を行うための調整部である。この場合、例えば、狙点までの距離に応じて複数の着弾位置調整部22での調整を行うことで、着弾点の調整を行うことが考えられる。着弾位置調整部22については、例えば、銃の狙点と着弾点とを一致させるための調整を行う調整部等と考えることもできる。また、着弾位置調整部22について、例えば、銃身の向きに対して光学照準器10の光軸方向を調整する調整部等と考えることもできる。また、複数の着弾位置調整部22のそれぞれについては、例えば、光学照準器10の光軸方向の仰角及び偏角のそれぞれを調整する調整部等と考えることができる。
【0020】
また、本例において、光学照準器10は、複数の着弾位置調整部22として、水平方向における着弾位置の調整用の着弾位置調整部22と、鉛直方向における着弾位置の調整用の着弾位置調整部22とを備える。より具体的に、図1に示す構成の場合、銃に取り付けられた状態で光学照準器10の左右方向の一方側になる位置にある着弾位置調整部22が、水平方向における着弾位置の調整用の着弾位置調整部22である。この着弾位置調整部22については、例えば、筐体14を挟んでフォーカス調整部24及びイルミネーション調整部26と対向する位置にあると考えることもできる。また、銃に取り付けられた状態で鉛直方向に上側になる位置にある着弾位置調整部22が、鉛直方向における着弾位置の調整用の着弾位置調整部22である。また、本例において、複数の着弾位置調整部22のそれぞれは、所定のロック機構を有する。着弾位置調整部22のより具体的な構成やロック機構については、後に更に詳しく説明をする。また、ロック機構以外の点について、複数の着弾位置調整部22は、例えば、公知の着弾位置調整部と同一又は同様の特徴を有してよい。
【0021】
また、フォーカス調整部24は、光学照準器10のフォーカス調整用の調整部である。イルミネーション調整部26は、イルミネーション機能の調整用の調整部である。倍率調整部28は、光学照準器10の倍率を調整する調整部である。視度調整部30は、光学照準器10に搭載されるレチクルに対する視度を調整する調整部である。これらのそれぞれの調整用の構成は、調整の目的に応じて、例えば、公知の調整用の構成と同一又は同様の構成を有する。また、これらのうちの少なくとも一部として、以下において説明をする着弾位置調整部22のロック機構と同一又は同様のロック機構を有する構成を用いること等も考えられる。本例によれば、例えば、光学特性や照準に関する様々な調整が可能な光学照準器10を適切に提供することができる。
【0022】
続いて、着弾位置調整部22の特徴について、更に詳しく説明をする。図2及び図3は、光学照準器10の構成及び機能について説明をする図である。図2は、着弾位置調整部22の要部を構成する部品を示す図である。図2(a)、(b)は、着弾位置調整部22の要部を構成する部品の一例を示す斜視図及び断面図である。図3は、着弾位置調整部22のロック機構について説明をする図である。図3(a)は、ロック機構によるロックがされていない状態であるアンロック状態になっている着弾位置調整部22を示す断面図である。図3(b)は、ロック機構によるロックがされている状態であるロック状態になっている着弾位置調整部22を示す断面図である。また、図中に示すように、本例において、それぞれの着弾位置調整部22は、回転部102、上部キャップ104、固定筒状部106、軸部108、及びクリック球部110を有する。また、回転部102は、回転操作部122及び回転筒状部124を有する。これらの構成のうち、固定筒状部106は、外周面の少なくとも一部に外周凹凸が形成されている筒状の第1筒状部の一例である。回転筒状部124は、第1筒状部の外周凹凸と係合する形状の内周凹凸が内周面の少なくとも一部に形成されている筒状の第2筒状部の一例である。
【0023】
回転部102は、ユーザの操作に応じて直接回転する部分であり、上記のように、回転操作部122及び回転筒状部124を有する。また、本例において、回転操作部122及び回転筒状部124のそれぞれは、一つの部品として形成される回転部102の一部になっている。この場合、回転部102が一つの部品として形成されることについては、例えば、個別に加工される複数の部品を用いて組み立てられるのではなく、回転操作部122及び回転筒状部124として機能する部分が連続的かつ一体に繋がるように形成されること等と考えることができる。また、より具体的に、本例においては、一つの金属材料に対する加工をすることで、回転操作部122及び回転筒状部124を有する回転部102が形成されている。回転部102の構成の変形例においては、例えば、回転操作部122及び回転筒状部124のそれぞれを別部品で構成すること等も考えられる。この場合、回転部102について、例えば、複数の部品で構成されている部材(例えば、二体物)等と考えることができる。
【0024】
また、この場合、回転部102を構成する部分のうち、回転操作部122について、例えば、ユーザによる操作を受けることでユーザの操作に応じて回転する機能を実現する部分と考えることができる。また、回転筒状部124について、例えば、回転操作部122に対して位置が固定されることで回転操作部122と共に回転する部分等と考えることができる。また、回転筒状部124については、例えば、回転操作部122と共に回転するように、回転操作部122の回転軸と軸方向を平行にして、回転操作部122に対して位置が固定されていると考えることができる。この場合、回転操作部122の回転軸については、例えば、着弾位置の調整時にユーザの操作に応じて回転操作部122が回転する場合の回転軸等と考えることができる。また、回転筒状部124の軸方向については、例えば、回転筒状部124の形状を円筒で近似した場合の円筒の軸方向に相当する方向等と考えることができる。
【0025】
また、本例において、回転筒状部124の内周面には、回転筒状部124の軸方向と平行な方向へ延伸する凸部と凹部とが内周面の周方向へ交互に並ぶ凹凸である内周凹凸202が形成されている。この場合、例えば、回転部102において内周凹凸202が形成されている部分を少なくとも含む筒状の部分について、回転筒状部124に対応する部分になると考えることができる。また、回転部102における回転筒状部124以外の部分について、回転操作部122に対応する部分になると考えることができる。また、本例において、内周凹凸202は、着弾位置調整部22のロック機構を実現するために用いられる凹凸であり、後に詳しく説明をする固定筒状部106の外周凹凸204と係合する形状の凹凸になっている。また、内周凹凸202と外周凹凸204とが係合することについては、例えば、内周凹凸202の凸部が外周凹凸204の凹部に嵌まり、外周凹凸204の凸部が内周凹凸202の凹部に嵌まること等と考えることができる。また、内周凹凸202と外周凹凸204とが係合している状態については、例えば、固定筒状部106に対して相対的に回転筒状部124の周方向への回転筒状部124が回転することを禁止するように内周凹凸202と外周凹凸204とが噛み合うこと等と考えることもできる。
【0026】
また、回転部102には、回転操作部122の回転軸の位置に、軸部108が挿入される穴が形成されている。本例において、この穴は、回転筒状部124の内部の空間と繋がって回転部102の上面へ貫通する穴である。上部キャップ104は、回転部102が抜けないように回転部102の上面側からこの穴を塞ぐキャップ部材である。固定筒状部106は、回転部102における回転筒状部124と共に着弾位置調整部22のロック機構を実現する筒状部である。本例において、固定筒状部106は、図3に示すように、回転筒状部124と軸方向を揃えて、光学照準器10の筐体14(図1参照)に対して固定した位置に配設される。固定筒状部106については、例えば、回転部102と共に回転しないように筐体14に対して固定されていると考えることができる。また、上記においても説明をしたように、本例において、固定筒状部106の外周面には、外周凹凸204が形成されている。また、固定筒状部106の内周面には、クリック球部110における鋼球が押し当てられる凹凸が形成されている。回転筒状部124及び固定筒状部106によって実現するロック機能については、後に更に詳しく説明をする。
【0027】
軸部108は、回転操作部122の回転軸の位置において回転軸と平行な方向へ延伸する軸状部材であり、公知の方法で回転操作部122に対して固定されることで、回転操作部122と共に回転する。また、本例において、軸部108は、回転量に応じて光学照準器10の筐体14に対する光学系12(図1参照)の光軸方向を変位させることで、着弾位置調整部22での調整の動作を実行する。また、本例において、軸部108は、操作調整部における調整機構の一例である。この場合、調整機構については、例えば、回転操作部122の回転量に応じて光学照準器10の一部を動かすことで光学照準器10の機能に関する調整をする機構等と考えることができる。また、この調整機構は、他の構成と連動することで他の構成と共に光学照準器10の機能に関する調整をする機構であってもよい。この場合、軸部108と連動する他の構成と軸部108とを合わせた部分について、調整機構の一例と考えることもできる。クリック球部110は、回転操作部122の回転時に回転量に応じたクリック感を生じさせるための構成である。本例において、クリック球部110は、鋼球、保持部材、及びバネを有しており、固定筒状部106の内周面の凹凸に鋼球が押しつけられるように、鋼球を保持している保持部材に対し、軸部108に形成された穴に収容されるバネによって付勢をしている。
【0028】
ここで、回転筒状部124の内周凹凸202及び固定筒状部106の外周凹凸204の特徴や、回転筒状部124及び固定筒状部106によって実現するロック機能について、更に詳しく説明をする。本例において、内周凹凸202及び外周凹凸204については、例えば、互いに係合するセレーション状の凹凸等と考えることができる。また、内周凹凸202及び外周凹凸204の形状について、例えば、平目のローレット状の凹凸、スプライン状の凹凸、又は鋸歯状の凹凸等と考えることもできる。また、本例において、回転筒状部124の内周凹凸202は、回転筒状部124の軸方向と平行な方向へ延伸する凸部と凹部とが回転筒状部124の内周面の周方向へ交互に並ぶ凹凸である。内周凹凸202を構成する凸部及び凹部のそれぞれは、一定の周期で、回転筒状部124の内周面の周方向へ並ぶ。また、内周凹凸202におけるそれぞれの凸部は、回転筒状部124の内周面の周方向における幅を一定にして、回転筒状部124の軸方向へ延伸する。また、内周凹凸202におけるそれぞれの凹部も、回転筒状部124の内周面の周方向における幅を一定にして、回転筒状部124の軸方向へ延伸する。この場合、周方向における凹部の幅は、凸部の幅と異なっていてもよい。また、凸部の幅や凹部の幅は、回転筒状部124の内周面と直交する高さ方向(深さ方向)の位置によって異なっていてもよい。より具体的に、内周凹凸202の凹部としては、例えば、断面がV字状の凹部(V字溝状の凹部)を形成することが考えられる。この場合、凹部及び凸部の幅について、断面がV字状の凹部の形状に応じて、高さ方向における位置によって変化すると考えることができる。
【0029】
また、本例において、固定筒状部106の外周凹凸204は、固定筒状部106の軸方向と平行な方向へ延伸する凸部と凹部とが外周面の周方向へ交互に並ぶ凹凸である。外周凹凸204を構成する凸部及び凹部のそれぞれは、一定の周期で、固定筒状部106の外周面の周方向へ並ぶ。また、本例において、回転筒状部124に近い側の端部の近傍を除いて、外周凹凸204におけるそれぞれの凸部は、固定筒状部106の外周面の周方向における幅を一定にして、固定筒状部106の軸方向へ延伸する。この場合、回転筒状部124に近い側の端部については、例えば、図3に示すアンロック状態において回転筒状部124に近い側になる端部等と考えることができる。また、このような外周凹凸204の凸部については、例えば、回転筒状部124に近い側の端部の近傍以外の少なくとも一部において、固定筒状部106の周方向における幅を一定にして、周方向に一定の周期で並んでいると考えることができる。また、回転筒状部124に近い側の端部の近傍を除いて、外周凹凸204におけるそれぞれの凹部も、固定筒状部106の外周面の周方向における幅を一定にして、固定筒状部106の軸方向へ延伸する。また、外周凹凸204において、周方向における凹部の幅は、凸部の幅と異なっていてもよい。また、凸部の幅や凹部の幅は、固定筒状部106の外周面と直交する高さ方向(深さ方向)の位置によって異なっていてもよい。より具体的に、外周凹凸204の凹部としても、例えば、断面がV字状になる溝を形成することが考えられる。この場合、凹部及び凸部の幅について、断面がV字状の凹部の形状に応じて、高さ方向における位置によって変化すると考えることができる。
【0030】
また、本例において、回転筒状部124に近い側の端部の近傍での外周凹凸204の凸部の幅は、その端部に向かって漸減している。この場合、端部に向かって凸部の幅が漸減することについては、例えば、高さ方向における位置を一定にして凸部の幅を見た場合に、端部に近づくに従って幅が徐々に狭くなること等と考えることができる。また、本例において、凹部の幅は、凸部の幅の変化に応じて、端部に向かって漸増している。この場合、端部に向かって凹部の幅が漸増することについては、例えば、高さ方向(深さ方向)における位置を一定にして凹部の幅を見た場合に、端部に近づくに従って幅が徐々に広くなること等と考えることができる。また、外周凹凸204における凹部の周方向における幅については、例えば、端部に向かって、隣接する凸部の幅の減少に応じて漸増すると考えることもできる。外周凹凸204における凸部及び凹部の形状については、後に更に詳しく説明をする。
【0031】
また、図3に示すアンロック状態及びロック状態の比較等から理解できるように、本例において、回転操作部122及び回転筒状部124を含む部分である回転部102は、回転筒状部124の軸方向と平行な方向において進退が可能である。この場合、回転操作部122について、例えば、ユーザの操作に応じて回転筒状部124と共に移動すると考えることができる。また、本例において、回転操作部122は、ユーザの操作に応じて、少なくとも、着弾位置調整部22がアンロック状態になる回転可能位置と、着弾位置調整部22がロック状態になる回転禁止位置とに、移動する。この場合、回転可能位置については、例えば、回転筒状部124の内周凹凸202と固定筒状部106の外周凹凸204とが離れることで回転操作部122の回転を可能にする位置等と考えることができる。また、内周凹凸202と外周凹凸204とが離れることについては、例えば、図中に示すように、内周凹凸202と外周凹凸204とが係合しない位置になること等と考えることができる。また、回転禁止位置については、例えば、内周凹凸202と外周凹凸204とが係合することで回転操作部122の回転を禁止する位置等と考えることができる。回転操作部122の回転を禁止することについては、例えば、固定筒状部106に対して相対的に回転筒状部124の周方向へ回転操作部122及び回転筒状部124が回転することを禁止すること等と考えることができる。回転を禁止することについては、例えば、ロック機能に求められる精度に応じて、ロックされているとみなせるように、実質的に回転を禁止すること等と考えることができる。
【0032】
本例によれば、例えば、アンロック状態の位置にある回転操作部122を押し込むことで、着弾位置調整部22の状態をロック状態に変化させることができる。また、ロック状態にある回転操作部122を引き戻すことで、着弾位置調整部22のロック状態を適切に解除することができる。更に、本例においては、上記のように、固定筒状部106の外周凹凸204の凸部の形状について、端部に向かって幅が漸増する形状とすることで、例えば、ユーザに誤認を生じさせることなく、より適切に、着弾位置調整部22のロックをすることができる。そこで、以下、この点について、更に詳しく説明をする。
【0033】
先ず、説明の便宜上、着弾位置調整部22のロック時に生じる誤認の例について、説明をする。図4は、着弾位置調整部22のロック時に生じる誤認について説明をする図であり、本例の着弾位置調整部22とは一部が異なる構成の着弾位置調整部を用いる場合に生じる誤認の例を示す。図4(a)は、正しくロックができた状態の例を示す。図4(b)は、ロック時に生じる誤認の例を示す。より具体的に、図4に示す場合、上記において説明をした固定筒状部106(図2参照)に代えて、外周凹凸の形状のみを固定筒状部106と異ならせた固定筒状部606を用いる。固定筒状部606の外周面には、固定筒状部106における外周凹凸に代えて、凸部622及び凹部624によって構成される外周凹凸612が形成されている。また、固定筒状部606の外周凹凸612における凸部622及び凹部624は、固定筒状部606の軸方向の全体にわたって、固定筒状部606の外周面の周方向における幅が一定になっている。
【0034】
このような構成の固定筒状部606を用いる場合にも、例えば図4(a)に示すように、回転筒状部124の内周凹凸202と固定筒状部606の外周凹凸612とを係合させることで、着弾位置調整部をロック状態にすることができる。しかし、この場合、回転筒状部124と固定筒状部606との接触の仕方によっては、ロック状態にするために回転部102の回転操作部122(図2参照)を押し込む動作において、例えば図4(b)に途中停止状態と示すように、回転筒状部124の内周凹凸202と固定筒状部606の外周凹凸612とが適切に係合する前に、回転操作部122の移動(回転筒状部124の移動)が完了したとの印象をユーザに与える場合がある。より具体的に、この場合、例えば、ユーザが回転操作部122を押し込む動作において、回転筒状部124と固定筒状部606とが接触した時点において、回転筒状部124の内周凹凸202における凸部212と固定筒状部606の外周凹凸612における凸部622とがぶつかることで、押し込みが完了したとの印象をユーザに与える場合がある。また、その結果、ロックがされた状態になったとの誤った印象をユーザに与える場合がある。
【0035】
これに対し、本例においては、例えば図5に示すように、固定筒状部106の外周凹凸204における凸部222の形状について、端部に向かって幅が漸減する形状とすることで、このような誤った印象をユーザに与えにくくしている。図5は、本例における着弾位置調整部22のロック時の動作を簡略化して示す図である。
【0036】
図示した構成等から理解できるように、本例においては、固定筒状部106の一方側の端部の近傍で外周凹凸204における凸部222の幅が端部に向かって漸減していることにより、回転可能位置から回転禁止位置へ回転操作部122(図2参照)を移動させる動作において、固定筒状部106の外周凹凸204と回転筒状部124の内周凹凸202とをより自然に係合させることができる。より具体的に、この場合、端部に向かって幅が漸減する形状の凸部222を用いることで、例えば、固定筒状部106の外周凹凸204における凸部222の先端と回転筒状部124の内周凹凸202における凸部212とが接触する確率を低くすることができる。また、この場合、外周凹凸204における凸部222の先端と内周凹凸202における凸部212とが接触とが一時的に接触したとしても、端部近傍での凸部222の幅が狭くなっていることで、例えば回転操作部122を押し込む動作に伴って生じる位置のゆらぎ等の影響で、外周凹凸204における凸部222の先端が内周凹凸202における凹部214の位置へ逃げやすくなると考えられる。また、この場合、外周凹凸204における凸部222の先端が内周凹凸202における凹部214の位置へ動いた後には、例えば図5の左下側に示すように、外周凹凸204における凸部222の端部近傍の形状によって、回転筒状部124の移動を案内することができる。この場合、凸部222の端部近傍の形状によって回転筒状部124の移動を案内することについては、例えば、固定筒状部106における外周凹凸204の凸部222の側面に沿って回転筒状部124の内周凹凸202における凸部212を移動させることで、回転筒状部124を所望の位置に移動させること等と考えることができる。また、本願の発明者は、上記の形状の回転筒状部124及び固定筒状部106等を実際に作成することで、上記の効果等について、確認を行った。本例によれば、例えば、回転可能位置から回転禁止位置へ回転操作部122を移動させる移動時において、回転筒状部124の内周凹凸202と固定筒状部106の外周凹凸204とを適切かつ自然に係合させることができる。また、これにより、例えば、実際にはロックがされていない状態でロックがされた状態になったとの印象をユーザに与えることを適切に防止することができる。
【0037】
また、このような動作については、例えば、回転可能位置から回転禁止位置へ回転操作部122を移動させる移動時において、固定筒状部106の外周凹凸204における端部に向かって幅が漸減する凸部により、外周凹凸204と回転筒状部124の内周凹凸202とが係合するように、回転筒状部124の移動を案内していると考えることもできる。また、本例において、固定筒状部106の外周凹凸204での凸部222及び凹部224の幅を徐々に変化させる範囲である固定筒状部106の端部の近傍については、例えば、回転筒状部124の移動を案内できる幅の範囲等と考えることができる。また、端部の近傍について、例えば、このような効果が得られるような固定筒状部106の一部の範囲等と考えることもできる。また、実用上、外周凹凸204において凸部222及び凹部224の幅を徐々に変化させる範囲は、例えば、固定筒状部106の軸方向における凸部222及び凹部224の長さの5%以下程度(例えば、0.1~5%程度)であってよい。また、この範囲は、好ましくは、3%以下程度の範囲である。
【0038】
続いて、光学照準器10の製造方法等について、説明をする。光学照準器10の製造時には、例えば図1に示す光学照準器10の各構成に対応する部品を製造し、組み立てることで、光学照準器10の製造を行う。また、それぞれの部品についても、必要に応じて、複数の部品を組み合わせて製造する。例えば、着弾位置調整部22については、図2及び図3等に示す着弾位置調整部22の部品を製造し、組み立てることで、着弾位置調整部22に対応する部分の製造を行う。また、上記の説明等から理解できるように、本例の着弾位置調整部22については、例えば、固定筒状部106及び回転筒状部124のような複数の筒状部を用いていると考えることができる。そのため、着弾位置調整部22及び光学照準器10について、例えば、複数の筒状部を用いる製品である筒状部利用製品の一例と考えることができる。また、この場合、着弾位置調整部22における固定筒状部106を作成する工程について、例えば、第1筒状部を作成する第1筒状部作成工程の一例と考えることができる。回転筒状部124を有する回転部102を作成する工程について、例えば、第2筒状部を作成する第2筒状部作成工程の一例と考えることができる。
【0039】
また、回転部102を作成する工程や固定筒状部106を作成する工程では、回転筒状部124の内周凹凸202や固定筒状部106の外周凹凸204について、切削用の刃を有する切削工具を用いて形成することが考えられる。この場合、切削工具としては、公知のバイト(切削バイト)等を好適に用いることができる。また、より具体的に、内周凹凸202及び外周凹凸204については、例えば、公知の複合加工機(NC複合機)等の公知の工作機械を用いて形成することが考えられる。また、上記においても説明をしたように、本例において、固定筒状部106の外周凹凸204の凸部222は、端部に向かって幅が漸減する形状を有している。そして、この場合、外周凹凸204の形成時には、例えば図6及び図7を用いて以下に説明する動作により、このような凸部222に対応する形状の凹部224を形成するように、加工中の固定筒状部106に対して相対的にバイトを移動させることが考えられる。
【0040】
図6及び図7は、固定筒状部106を形成する工程において外周凹凸を形成する動作の例について説明をする図である。図6は、バイト502を用いて外周凹凸の凹部を形成する動作の概要について説明をする図である。図6(a)(b)は、外周凹凸の形成時における固定筒状部106とバイト502との位置関係を示す図である。また、図6においては、図示の便宜上、外周凹凸を形成する前の固定筒状部106について、外周凹凸が形成された状態で図示をしている。
【0041】
図中に示す事項等から理解できるように、本例においては、V字溝状の凹部を形成するための刃を有するバイト502を用いて、バイト502の刃を固定筒状部106の側面に押し当て、固定筒状部106に対して相対的にバイト502を移動させることで、固定筒状部106の外周面に対し、外周凹凸の凹部となる溝を形成する。この場合、V字溝状の凹部については、例えば、底部から離れるに従って幅が漸増する溝状の凹部等と考えることができる。また、外周凹凸の凹部がV字溝状であることについては、例えば、固定筒状部106の軸方向と直交する面による凹部の断面について、底部から離れるに従って幅が漸増する形状になっていること等と考えることもできる。また、図示した構成のバイト502を用いる場合、凹部の幅について、例えば、底面からの高さに応じて線形に増加すると考えることができる。
【0042】
また、図示した構成のバイト502の刃については、例えば、被加工物に押し当てられた状態で被加工物に対して相対的に移動することでV字溝状の凹部を形成する形状の刃等と考えることができる。この場合、例えば、固定筒状部106の外周面に対してバイト502の刃を押し当てる深さを一定にして、固定筒状部106の軸方向へ固定筒状部106に対して相対的にバイト502を移動させれば、一定の幅の凹部が形成されることになる。凹部の幅が一定であることについては、例えば、凹部の深さ方向における同じ深さの位置での凹部の幅が一定であること等と考えることができる。また、この場合、例えば、固定筒状部106の外周面に対してバイト502の刃を押し当てる深さが深くなるほど、凹部の幅が広くなると考えることができる。
【0043】
そのため、外周凹凸の形成時において、例えば、固定筒状部106における回転部102に近い側(回転筒状部124に近い側)の端部近傍以外の部分では、バイト502の刃を押し当てる深さを一定にして、例えば図6(a)に示す切込み方向へ固定筒状部106に対して相対的にバイト502を移動させることで、一定の幅の凹部を形成することが考えられる。また、この場合、回転部102に近い側になる固定筒状部106の端部の近傍に対しては、例えば図7に示すように、バイト502の刃を押し当てる深さを徐々に変化させつつ外周凹凸の凹部を形成することで、凹部及び凸部の幅を徐々に変化させることが考えられる。
【0044】
図7は、固定筒状部106の外周凹凸を形成する動作について説明をする図である。本例において、固定筒状部106の外周凹凸の形成時には、外周凹凸におけるそれぞれの凹部を形成する切削の加工について、回転部102に近い側になる固定筒状部106の端部の側から開始する。この場合、例えば図7における左側の図に切込み方向として示すように、固定筒状部106の軸方向とは非平行な方向へ固定筒状部106に対して相対的にバイト502を移動させることで、固定筒状部106の一方の端部の近傍における外周凹凸の凹部を形成する。また、より具体的に、この場合、例えば、固定筒状部106の中心軸からバイト502の刃までの距離を徐々に大きくしつつ、固定筒状部106の反対側へ向けて凹部となる溝を切り込むことで、凹部の一部を形成する。この動作での切込み方向については、例えば、固定筒状部106の軸方向に対する傾きが20~70°程度になる方向にすることが考えられる。この傾きは、好ましくは、30~60℃程度である。また、このような動作については、例えば、加工される固定筒状部106にバイト502の刃を押し当てながら、固定筒状部106の軸方向と平行な方向へ進みつつ固定筒状部106の中心軸から徐々に離れる方向へ固定筒状部106に対して相対的にバイト502の刃を移動させることで、固定筒状部106の外周凹凸における凹部の一部を形成していると考えることもできる。このように構成すれば、例えば、固定筒状部106の一方の端部の近傍において、凹部の幅を端部に向かって漸増させることができる。
【0045】
また、本例において、凹部における幅が徐々に変化する部分の形成が完了した後には、固定筒状部106の中心軸からバイト502の刃までの距離を一定に保ちつつ、固定筒状部106の軸方向と平行な方向へ固定筒状部106に対して相対的にバイト502を移動させる。また、これにより、凹部において幅が一定になる部分を固定筒状部106の外周面に形成する。この場合、例えば図7における中央の図に矢印で示すように、切込み方向が固定筒状部106の軸方向と平行になるように、所定のタイミングで切込み方向を変更して、図7における右側の図に示すように、固定筒状部106の一方の近傍以外の部分における凹部を形成する。また、このような動作については、例えば、固定筒状部106にバイト502の刃を押し当てながら、固定筒状部106の中心軸からの距離を一定にして、固定筒状部106に対して相対的にバイト502の刃を移動させることで、外周凹凸における凹部の他の一部を形成していると考えることもできる。また、本例においては、予め設定された凹凸の周期に合わせて固定筒状部106を順次回転させ、それぞれの回転位置において凹部を形成することで、外周凹凸を形成する。また、この場合、隣接する凹部に挟まれた部分が凸部になるため、凸部の幅は、端部に向かって漸減することになる。そのため、このように構成すれば、固定筒状部106を作成する工程において、端部に向かって幅が漸減する凸部を有する外周凹凸を適切に形成することができる。
【0046】
また、上記の説明等から理解できるように、本例においては、凹部において幅が徐々に変化する部分と、幅が一定の部分とについて、例えば固定筒状部106の外周面にバイト502の刃を当てた状態を維持しながら、一連の動作で連続的に形成することができる。この点に関し、凹部や凸部の幅を徐々に変化させることのみを考えた場合、例えば端部の近傍の加工に用いるバイト502と、凹部の幅を一定にする部分の加工に用いるバイト502とを異ならせること等も考えられる。しかし、この場合、一つの凹部を形成する動作の中でバイト502を変更することが必要になり、端部の近傍とその他の部分との間に、位置のずれが生じやすくなる。より具体的に、本例の固定筒状部106において、それぞれの凹部については、例えば、外周面に沿った円周を100等分程度に分割したそれぞれの位置に形成することが考えられる。そして、この場合、複数のバイト502を用いて凹部を形成しようとすると、位置合わせが困難になり、上記のようなずれが生じやすくなる。また、高い精度で位置合わせをしようとすると、加工時に要する費用や時間が大幅に増大するおそれがある。これに対し、本例によれば、一つのバイト502で上記の形状の凹部を形成することで、外周凹凸の加工を高い精度で適切に行うことができる。
【0047】
また、上記のように、本例においては、凸部及び凹部の幅を徐々に変化させる側の端部の側から、バイト502の刃を固定筒状部106に入れている。このように構成すれば、例えば、固定筒状部106に対する外周凹凸の加工をより容易かつ適切に行うことができる。また、固定筒状部106の形状によっては、例えば、凸部及び凹部の幅を徐々に変化させる側とは反対側の端部の側から、バイト502の刃を固定筒状部106に入れてもよい。この場合も、例えば、凹部における幅が一定になる部分の加工を行った後に、バイト502の刃を押し当てる深さを徐々に変化させることで、端部に向かって凸部の幅を漸減させ、凹部の幅を漸増させることができる。
【0048】
続いて、上記のようにして形成される外周凹凸の凸部及び凹部の形状について、更に詳しく説明をする。図8は、本例とは異なる形状の外周凹凸612を形成した固定筒状部606の構成の例を示す図であり、図4を用いて上記において説明をしたような凸部622及び凹部624を有する外周凹凸612を形成した場合について、固定筒状部606の構成の例を軸部108と共に示す。図8において、上側の図は、固定筒状部606の全体及びA部の斜視図である。下側の図は、固定筒状部606の全体及びB部の側面図である。この場合、固定筒状部606のA部とは、全体の斜視図において円Aで示す部分のことである。固定筒状部606のB部とは、全体の側面図において円Bで示す部分である。図8に示す固定筒状部606については、例えば、外周凹凸612の凹部624の形成時において、固定筒状部606の中心軸からバイトの刃までの距離を徐々に変化させる動作を行わずに、中心軸からバイトの刃までの距離を一定にして凹部624の全体を形成した構成等と考えることもできる。この場合、図示した構成等からも理解できるように、凹部624の深さについて、凹部624の全体にわたって一定になっていると考えることができる。
【0049】
これに対し、本例において、外周凹凸204の凸部222及び凹部224の形状は、例えば図9に示すような形状になる。図9は、本例における固定筒状部106の構成の例を示す図であり、例えば図7を用いて上記において説明をしたように外周凹凸204を形成する場合について、固定筒状部106の構成の例を軸部108と共に示す。図9において、上側の図は、固定筒状部106の全体及びA部の斜視図である。下側の図は、固定筒状部106の全体及びB部の側面図である。
【0050】
図8に示した固定筒状部606との比較等から理解できるように、本例の固定筒状部106では、回転筒状部124(図3参照)に近い側の固定筒状部106の端部の近傍において、外周凹凸204の凸部222及び外周凹凸204の形状が、図8に示す場合と異なっている。この場合、回転筒状部124に近い側とは、着弾位置調整部22が組み立てられた状態で回転筒状部124に近くなる側のことである。また、より具体的に、上記においても説明をしたように、本例において、固定筒状部106の上記の端部の近傍では、端部に向かって、凸部222の幅が漸減し、凹部224の深さ及び幅が漸増している。この場合、凹部224の深さについては、例えば、凹部224を形成する前における固定筒状部606の外周面の高さを基準とした深さ等と考えることができる。
【0051】
ここで、図8に示す固定筒状部606や図9に示す固定筒状部606では、回転部102に近くなる側の端部の近傍において外周面と端面とが繋がる部分に対し、面取り加工を行っている。この場合、端部の近傍での凹部(凹部624又は凹部224)の深さについては、例えば、面取り加工がされていないと考えた場合に外周面がある位置を基準とした深さ等と考えることもできる。また、図8及び図9においては、上記の面取り加工の影響により、外周凹凸612及び外周凹凸204の形状が図面から読み取りにくくなっている。そのため、以下において、図10及び図11を用いて、図8及び図9に示す固定筒状部606の外周凹凸612及び固定筒状部106の外周凹凸204の形状等について、更に詳しく説明をする。
【0052】
図10は、図8に示す固定筒状部606の外周凹凸612(図8参照)における凸部622及び凹部624の形状を簡略化して示す図である。図10(a)は、固定筒状部606の外周面の法線方向から見た凸部622及び凹部624を示す上面図である。図10(b)、(c)は、図10(a)に一点鎖線で示すAA線及びBB線の位置での断面図である。図11は、図9に示す固定筒状部106の外周凹凸204(図9参照)における凸部222及び凹部224の形状を簡略化して示す図である。図11(a)は、固定筒状部106の外周面の法線方向から見た凸部222及び凹部224を示す上面図である。図11(b)、(c)は、図11(a)に一点鎖線で示すAA線及びBB線の位置での断面図である。
【0053】
尚、図10及び図11では、図示の便宜上、凸部622、凹部624、凸部222、及び凹部224等の形状について、様々な簡略化をして図示をしている。より具体的に、図10及び図11において、各方向での縮尺については、各部の特徴がわかりやすくなるように、適宜変更を行っている。また、これらの図では、固定筒状部606及び固定筒状部106の外周面について、狭い範囲ではほぼ平面状になっているとみなせると考えて、外周面の湾曲の影響を除いて、固定筒状部606や固定筒状部106の一部を図示している。また、面取り加工の影響で各部の形状がわかりにくくなることを避けるために、面取り加工を省略した場合の各部の形状を図示している。実際に面取り加工を行う場合には、図10(b)及び図11(b)に破線702で示す位置が、面取り加工の位置になる。
【0054】
図10に図示した構成等から理解できるように、図8に示す固定筒状部606において、凹部624の深さは、図10(b)に深さdとして示すように、凹部624の全体にわたって、一定になる。そして、この場合、深さ方向の各位置において、凹部624の幅も、凹部624の全体にわたって、一定になる。また、その結果、凹部624の間の部分である凸部622の幅も、凹部624の全体にわたって、一定になる。
【0055】
これに対し、本例の固定筒状部106の場合、例えば図11(b)に示すように、着弾位置調整部22(図3参照)において回転筒状部124(図3参照)に近い側になる一方側の端部の近傍において、凹部224の深さは、端部に向かって、漸増する。また、上記においても説明をしたように、本例において、凹部224は、底部から離れるに従って幅が漸増するV字溝状の凹部である。そして、この場合、この端部の近傍において、凹部224の底部の位置が端部に向かって徐々に深い位置になることで、凹部224の幅も、端部に向かって漸増する。より具体的に、この場合、深さ方向の各位置において、凹部224の幅は、端部に向かって、漸増する。また、その結果、凹部224の間の部分である凸部222の幅は、例えば図11(a)に示すように、端部に向かって、漸減する。このような形状の凸部222が形成された固定筒状部106を用いることにより、上記においても説明をしたように、例えば、回転可能位置から回転禁止位置へ回転操作部122(図3参照)を移動させる移動時において、回転筒状部124(図3参照)の内周凹凸202(図3参照)と固定筒状部106の外周凹凸204とを適切かつ自然に係合させることができる。また、これにより、例えば、実際にはロックがされていない状態でロックがされた状態になったとの印象をユーザに与えることを適切に防止することができる。
【0056】
ここで、上記の説明等から理解できるように、本例の固定筒状部106において、一方の端部の近傍以外では、凹部224の深さについて、一定になっていると考えることができる。そのため、凹部224の形状については、例えば、一方の端部の近傍で徐々に深さが変化し、かつ、その他の部分では深さが一定になっていると考えることができる。また、上記においても説明をしたように、固定筒状部106においては、外周面と端面とが繋がる部分に対し、面取り加工を行うことが考えられる。そして、この場合、面取り加工が行われることで、凹部224の一部の形状にも変化が生じることが考えられる。しかし、この場合も、例えば図11(b)等から理解できるように、凹部224について、端部に向かって深さ及び幅が漸増すると考えることができる。また、この場合、端部近傍での凹部224における少なくとも一部の深さについて、例えば図11(b)に示すように、面取り加工で除去される部分よりも深くすることが考えられる。また、この場合、凹部224の形状について、例えば、面取り加工がされた面である面取り面に対しても凹む形状になっていると考えることもできる。面取り面に対しても凹むことについては、例えば、凹部224の一部となる凹みが面取り面にできること等と考えることができる。このような形状の凹部224を形成することで、例えば、固定筒状部106の端部の近傍において、凸部222及び凹部224の幅を適切に変化させることができる。
【0057】
続いて、上記において説明をした構成に関する変形例等の説明を行う。図12は、着弾位置調整部22(図3参照)の構成の変形例について説明をする図である。図12(a)は、着弾位置調整部22における回転筒状部124の構成の変形例を示す。図12(b)は、着弾位置調整部22における固定筒状部106の構成の変形例を示す。以下において説明をする点を除き、図12において、図1~11と同じ符号を付した構成は、図1~11における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
【0058】
上記においては、主に、着弾位置調整部22においてロック機能を実現するために用いる回転筒状部124及び固定筒状部106のうち、固定筒状部106の側の凸部222及び凹部224の幅を端部に向かって徐々に変化させる構成について、説明をした。しかし、着弾位置調整部22の構成の変形例においては、例えば図12(a)に示すように、回転筒状部124の側の凸部212及び凹部214についても、端部に向かって幅を徐々に変化させてもよい。この場合、回転筒状部124の内周凹凸202について、例えば、固定筒状部106に近い側の端部の近傍で端部に向かって幅が漸減する凸部212を有すると考えることができる。また、内周凹凸202における凹部214について、例えば、この端部に向かって幅が漸増すると考えることができる。このように構成した場合も、例えば、回転可能位置から回転禁止位置へ回転操作部122(図3参照)を移動させる移動時において、回転筒状部124の内周凹凸と固定筒状部106の外周凹凸204とを適切かつ自然に係合させることができる。また、回転筒状部124における凸部212及び凹部214の形状については、例えば以下において説明をする固定筒状部106の構成の変形例と同一又は同様の形状にしてもよい。また、着弾位置調整部22の構成の更なる変形例では、例えば、固定筒状部106における凸部222及び凹部224の幅を一定にして、回転部102における凸部212及び凹部214についてのみ、幅を徐々に変化させること等も考えられる。
【0059】
また、着弾位置調整部22の構成の変形例においては、例えば、上記において説明をした具体的な構成とは異なる形状で、固定筒状部106の外周凹凸204における凸部222や凹部224の幅を変化させてもよい。より具体的に、上記においては、凸部222及び凹部224の形状について、主に、外周面の周方向における一方側の形状と他方側の形状とが同じ(対称)になる形状について、説明をした。しかし、凸部222又は凹部224の形状について、例えば図12(b)に示すように、外周面の周方向における一方側の形状と他方側の形状とを異ならせてもよい。この場合も、端部に向かって幅が漸減する凸部222を用いることで、例えば、回転筒状部124の内周凹凸202と固定筒状部106の外周凹凸204とを適切かつ自然に係合させることができる。
【0060】
また、上記においては、主に、凸部222及び凹部224の一部のみに対して幅を変化させる場合の構成を説明した。しかし、着弾位置調整部22の構成の更なる変形例では、例えば、固定筒状部106の外周凹凸204における凸部222又は凹部224について、その全体にわたって、幅を徐々に変化させてもよい。この場合も、少なくとも端部の近傍において端部に向かって凸部222の幅を漸減させることで、例えば、回転筒状部124の内周凹凸202と固定筒状部106の外周凹凸204とを適切かつ自然に係合させることができる。
【0061】
また、上記においては、主に、回転筒状部124の内周面に内周凹凸202が形成され、固定筒状部106の外周面に外周凹凸204が形成される場合の構成について、説明をした。しかし、着弾位置調整部22の構成の変形例においては、例えば、回転筒状部124の外周面に対し、上記において説明をした外周凹凸204と同一又は同様の外周凹凸を形成し、固定筒状部106の内周面に対し、上記において説明をした内周凹凸202と同一又は同様の内周凹凸を形成して、この外周凹凸と内周凹凸との係合によって、ロック機能を実現してもよい。また、この場合、例えば、回転筒状部124が第1筒状部の一例になり、固定筒状部106が第2筒状部の一例になっていると考えることができる。このように構成した場合も、例えば、回転筒状部124の外周凹凸と固定筒状部106の内周凹凸とを適切かつ自然に係合させることができる。
【0062】
また、上記においては、光学照準器10において操作調整部の一例となる構成のうち、主に、着弾位置調整部22の構成について、説明をした。この点に関し、例えばフォーカス調整部24(図1参照)での調整のような光学照準器10での対象物の見え方に関する調整の場合、調整後に意図しないずれが生じると、対象物の見え方が変化することで、ユーザがずれに気づきやすいと考えることができる。これに対し、着弾位置調整部22での調整の場合、調整後に意図しないずれが生じたとしても、ユーザが気づきにくい場合がある。そのため、着弾位置調整部22において、実際にはロックがされていない状態で、ロックが完了したとの印象をユーザに与えてしまうと、意図せずに着弾位置調整部22にユーザの手や物が触れて調整結果にずれが生じ、そのずれにユーザが気づかない状態が続きやすくなる。そのため、着弾位置調整部22においては、このような誤認を防止することが特に重要である。しかし、着弾位置調整部22以外においても、ロック機構において、このような誤認を防止することは好ましい。そのため、光学照準器10において、着弾位置調整部22以外の操作調整部の構成としても、上記において説明をした着弾位置調整部22のロック機構と同一又は同様のロック機構を用いてもよい。この場合、例えば、フォーカス調整部24やイルミネーション調整部26の構成として、上記と同一又は同様のロック機構を有する構成を好適に用いることができる。このように構成すれば、例えば、より適切にロックすることが可能な操作調整部を適切に実現することができる。
【0063】
また、より一般化して考えた場合、本例の着弾位置調整部22と同一又は同様のロック機構は、光学照準器10以外の光学機器の操作調整部でも好適に用いることができる。より具体的に、例えば双眼鏡や望遠鏡等の光学機器において、その機能に関する操作調整部として、上記において説明をした着弾位置調整部22のロック機構と同一又は同様のロック機構を有する構成を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、光学機器の機能に関する調整をするための構成に関し、より適切に調整を行い得る構成を適切に実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、例えば光学機器に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0065】
10・・・光学照準器、12・・・光学系、14・・・筐体、22・・・着弾位置調整部、24・・・フォーカス調整部、26・・・イルミネーション調整部、28・・・倍率調整部、30・・・視度調整部、102・・・回転部、104・・・上部キャップ、106・・・固定筒状部、108・・・軸部、110・・・クリック球部、122・・・回転操作部、124・・・回転筒状部、202・・・内周凹凸、204・・・外周凹凸、212・・・凸部、214・・・凹部、222・・・凸部、224・・・凹部、502・・・バイト、606・・・固定筒状部、612・・・外周凹凸、622・・・凸部、624・・・凹部
図1
図2
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図5
図6
図7
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図12