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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】ダイナミックマルチコイルチューニング
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20240603BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20240603BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240603BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20240603BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
H02J7/00 301D
H02J50/80
H01F38/14
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022541827
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 US2021012198
(87)【国際公開番号】W WO2021141908
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】62/957,420
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/140,948
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドチャイルド,エリック,ハインデル
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターズ,ジョン
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0207334(US,A1)
【文献】特開2015-177578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0134154(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0267828(US,A1)
【文献】特表2014-518502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/40
H02J 50/12
H02J 7/00
H02J 50/80
H01F 38/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス充電装置の作動方法において、
前記ワイヤレス充電装置の表面の第1の充電コイルに充電電流を供給するステップと、
共振回路のインピーダンスが閾値または設定点インピーダンスから変化したことを特定するステップであって、前記共振回路は前記第1の充電コイルを含む、ステップと、
充電電流の周波数を変更することにより、前記閾値または設定点インピーダンスを復元するステップと、
第2の充電コイルを前記共振回路に結合するステップと、
充電電流を前記第2の充電コイルに提供するステップであって、前記第2の充電コイルを結合することにより、前記共振回路のインピーダンスが変更されるものであるステップと、
前記第2の充電コイルが前記共振回路に結合された後に使用されるべき充電電流の周波数を決定するためにルックアップテーブルを使用するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記共振回路から第2の充電コイルを切り離すステップをさらに含み、前記第2の充電コイルを切り離すことにより、前記共振回路のインピーダンスが変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の充電コイルが前記共振回路から切り離された後に使用されるべき充電電流の周波数を決定するためにルックアップテーブルを使用するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記共振回路のインピーダンスは、前記ワイヤレス充電装置の表面上の受電デバイスの位置の変化によって変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記共振回路を流れる監視電流の変化を検出するステップと、
前記監視電流の変化に基づいて、前記共振回路のインピーダンスが変化したことを判断するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記監視電流の変化を表すフィードバック信号を受信するステップと、
前記フィードバック信号を用いて充電電流の周波数を制御するステップとを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記充電電流の周波数を制御するステップは、
前記共振回路のインピーダンスが前記閾値または設定点インピーダンスと一致するまで、充電電流の周波数を段階的に調整するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記充電電流の周波数を制御するステップは、
充電電流の周波数の変更を遅らせるステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ワイヤレス充電装置において、
前記ワイヤレス充電装置の表面に設けられた複数の充電セルと、
プロセッサであって、
前記ワイヤレス充電装置の第1の充電コイルに充電電流を供給し、
共振回路のインピーダンスが閾値または設定点インピーダンスから変化したことを判断し、ここで前記共振回路は前記第1の充電コイルを含み、
充電電流の周波数を変更することによって、前記閾値または設定点インピーダンスを復元し、
第2の充電コイルを前記共振回路に結合し、
充電電流を前記第2の充電コイルに供給して、前記第2の充電コイルを結合することによって前記共振回路のインピーダンスが変更され、
ルックアップテーブルを使用して、前記第2の充電コイルが前記共振回路に結合された後に使用されるべき充電電流の周波数を特定する、ように構成されたプロセッサと、
を具えることを特徴とするワイヤレス充電装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記共振回路から第2の充電コイルを切り離すように構成され、ここで前記第2の充電コイルを切り離すことによって前記共振回路のインピーダンスが変更される、請求項9に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記ルックアップテーブルを使用して、前記第2の充電コイルが前記共振回路から切り離された後に使用されるべき充電電流の周波数を決定するように構成される、請求項10に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項12】
前記共振回路のインピーダンスは、前記ワイヤレス充電装置の表面上の受電デバイスの位置の変化によって変更される、請求項9に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記共振回路を流れる監視電流の変化を検出し、
前記監視電流の変化に基づいて、前記共振回路のインピーダンスが変化したことを判断するように構成される、請求項9に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記監視電流の変化を表すフィードバック信号を受信し、
前記フィードバック信号を使用して充電電流の周波数を制御する、請求項13に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記共振回路のインピーダンスが前記閾値または設定点インピーダンスと一致するまで、充電電流の周波数を段階的に調整するように構成される、請求項13に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記充電電流の周波数の変更を遅らせるように構成される、請求項13に記載のワイヤレス充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2021年1月4日に米国特許庁に出願された米国特許出願番号17/140,948および2020年1月6日に米国特許庁に出願された米国仮特許出願番号62/957,420の優先権と利益を主張するものであり、これらの出願内容の全体は、すべての適用可能な目的のために以下に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、一般にバッテリのワイヤレス充電に関し、マルチコイルワイヤレス充電装置の表面におけるモバイルデバイスの位置に関係なく、モバイルデバイス内のバッテリを充電するためのマルチコイルワイヤレス充電装置の使用を含む。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス充電システムは、特定のタイプのデバイスが物理的な充電接続を使用せずに内部バッテリを充電できるようにするために開発されてきた。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル処理デバイスおよび/または通信デバイスが含まれる。Wireless Power Consortiumにより規定されたQi規格などの標準規格により、第1のサプライヤによって製造されたデバイスを、第2のサプライヤによって製造された充電器を使ってワイヤレスで充電することができる。ワイヤレス充電の規格は、比較的単純な構成のデバイス向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
【0004】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスや変化するフォームファクタに対応するために必要である。例えば、マルチコイル、マルチデバイス充電パッドのための改善された充電技術が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本明細書に開示される特定の態様に係る充電面を提供するために用いられる充電セルの一例を示している。
図2図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された充電面のセグメントの単一層上に提供される充電セルの配置の一例を示している。
図3図3は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された充電面のセグメント内に複数の層が重ねられた場合の充電セルの配置の一例を示している。
図4図4は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された充電セルの複数の層を用いた充電面によって提供される電力伝送領域の配置を示している。
図5図5は、本明細書に開示される特定の態様による、充電器基地局に提供され得るワイヤレストランスミッタを示す。
図6図6は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合されたワイヤレス充電装置で使用するためのマトリックス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジーを示す。
図7図7は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合されたワイヤレス充電装置における直流駆動をサポートする第2のトポロジーを示す。
図8図8は、本明細書に開示される特定の態様に従って提供されるワイヤレストランスミッタを示す。
図9図9は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る共振回路のインピーダンス特性の第1の例を示す。
図10図10は、本明細書に開示される特定の態様に従って提供される連続調整可能なワイヤレストランスミッタを示す。
図11図11は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る共振回路のインピーダンス特性の第2の例を示す。
図12図12は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る制御回路の例を示す。
図13図13は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合されたワイヤレス充電装置に設けられたコントローラによって実行される物体検出方法の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る処理回路を使用する装置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図しており、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0007】
次に、ワイヤレス充電システムの特定の態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。これらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実装することができる。そのような要素がハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0008】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1または複数のプロセッサを含む「処理システム」で実装され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載された様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1または複数のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離無線通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0009】
概要
本開示の特定の態様は、複数の伝送コイルを有する、または複数の受電デバイスを同時に充電できる自由配置充電面を提供するワイヤレス充電装置に適用可能なシステム、装置、および方法に関する。一態様では、ワイヤレス充電装置のコントローラは、充電されるデバイスの位置を特定し、受電デバイスに電力を供給するように最適に配置された1つまたは複数の伝送コイルを構成することができる。充電セルは、1つまたは複数の誘導送電コイルを備えるかこれを構成することができ、複数の充電セルは、充電面を提供するように配置または構成することができる。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付けるセンシング技術を介して検出することができる。いくつかの例では、位置の感知は、容量性、抵抗性、誘導性、接触、圧力、負荷、歪み、および/または別の適切なタイプの感知を使用して実装することができる。
【0010】
本明細書に開示される特定の態様は、改善されたワイヤレス充電技術に関する。マルチコイルワイヤレス充電装置の表面上に充電式デバイスを自由に配置できるようにするシステム、装置、および方法が開示される。特定の態様は、受電デバイスへのワイヤレス電力伝送の効率および容量を改善することができる。一例では、ワイヤレス充電装置は、バッテリ充電電源と、マトリックス状に構成された複数の充電セルと、各スイッチがマトリックス内のコイルの横列(row)をバッテリ充電電源の第1の端子に結合するように構成されている第1の複数のスイッチと、各スイッチがマトリックス内のコイルの縦列(column)をバッテリ充電電源の第2の端子に結合するように構成されている第2の複数のスイッチとを具える。複数の充電セルのうちの各充電セルは、電力伝送領域を取り囲む1または複数のコイルを含むことができる。複数の充電セルは、複数の充電セルのうちの充電セルの電力伝送領域が重なることなく、充電面に隣接して配置されるものであってもよい。
【0011】
本開示の一態様では、装置は、バッテリ充電電源および複数の充電セルを有し、コントローラは、必要または所望に応じて、各充電セルを選択して電源に結合することができる。複数の充電セルの各充電セルは、電力伝送領域を取り囲む1つまたは複数のコイルを含み得る。複数の充電セルは、充電セルの電力伝送領域が重なることなく、充電面に隣接して配置することができる。
【0012】
本開示の特定の態様は、充電装置の充電面内の特定の幾何学的形状または位置を一致させる必要なく、充電装置に置かれた対象装置を充電できる積層コイルを使用するワイヤレス充電システム、装置、および方法に関する。各コイルは、実質的に多角形の形状を有することができる。一例では、各コイルは六角形の形状を有することができる。各コイルは、螺旋状に設けられたワイヤ、プリント回路基板トレース、および/または他のコネクタを使用して実装することができる。各コイルは、異なる層のコイルが共通の軸を中心とするように、絶縁体または基板によって分離された2以上の層にまたがることができる。
【0013】
本明細書に開示される特定の態様によれば、充電が可能になっている任意の個別の配置場所に関係なく、任意に規定されたサイズおよび/または形状を有することができる充電面上の任意の場所に配置された受電デバイスに電力をワイヤレスで伝送することができる。単一の充電面上で複数のデバイスを同時に充電することができる。充電面は、プリント回路基板技術を用いて、低コストでかつ/またはコンパクトな設計で製造することができる。
【0014】
充電セル
本開示の特定の態様は、複数の送電コイルを有するか、複数の受電デバイスを同時に充電できる自由配置充電面を提供するワイヤレス充電装置に適用可能なシステム、装置、および方法に関する。一態様では、自由配置充電面に結合された処理回路は、充電されるデバイスの位置を特定するように構成され、受電デバイスに電力を供給するために最適に配置された1つまたは複数の伝送コイルを選択および構成することができる。充電セルは、1つまたは複数の誘導送電コイルを用いて構成することができ、複数の充電セルは、充電面を提供するように配置または構成することができる。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付けるセンシング技術によって検出することができる。いくつかの例では、位置の感知は、容量性、抵抗性、誘導性、接触、圧力、負荷、歪み、および/または別の適切なタイプの感知を用いて実装することができる。
【0015】
本明細書に開示される特定の態様によれば、充電面に隣接して展開される充電セルを用いて充電面を提供することができる。一例では、充電セルが、ハニカムパッケージ形態に従って配置される。充電セルは、それぞれがコイルに隣接する充電面に実質的に直交する軸に沿って磁場を誘導することができる1または複数のコイルを用いて実装することができる。本明細書では、充電セルが1または複数のコイルを有する要素を指し、各コイルが、充電セル内の他のコイルによって生成される電磁場に対して加算的でありかつ共通の軸に沿って又は近接して向けられる電磁場を生成するように構成されている。本明細書では、充電セルのコイルは充電コイルまたは送電コイルと呼ばれる。
【0016】
いくつかの実装例では、充電セルが、共通の軸に沿って重ねられたコイルを含む。1以上のコイルが、充電面に実質的に直交する誘導磁場に寄与するように重なり合ってもよい。いくつかの実施例では、充電セルが、充電面の規定された部分内に配置され、充電面の規定された部分内の誘導磁場に寄与するコイルを含み、この磁場は充電面にほぼ直交方向に流れる磁束に寄与する。いくつかの実施形態では、充電セルは、動的に規定された充電セルに含まれるコイルに起動電流を提供することによって構成可能であってもよい。例えば、ワイヤレス充電装置は、充電面にわたって展開された複数のコイルのスタックを含むことができ、ワイヤレス充電装置は、充電されるデバイスの位置を検出するとともに、コイルのスタックのいくつかの組合せを選択して、充電されるデバイスに隣接する充電セルを提供することができる。いくつかの実施形態では、充電セルは、単一のコイルを含むか、または単一のコイルとして特徴付けられるものであってもよい。しかしながら、充電セルは、複数の積み重ねられたコイルおよび/または複数の隣接するコイルまたはコイルのスタックを含み得ることを理解されたい。
【0017】
図1は、ワイヤレス受電デバイスに充電面を提供するように展開または構成され得る充電セル100の一例を示している。この例では、充電セル100は、電力伝送領域104において電磁場を生成するのに十分な電流を受け取ることができる導体、ワイヤまたは回路基板トレースを使用して構成された1または複数のコイル102を囲む実質的に六角形の形状を有する。様々な実施形態では、いくつかのコイル102が、図1に示す六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形の形状を有することができる。他の実施形態では、他の形状を有するコイル102を含むか有するようにしてもよい。コイル102の形状は、少なくとも部分的に、製造技術の能力または制限によって、またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するために決定されてもよい。各コイル102は、ワイヤ、プリント回路基板トレースおよび/または他のコネクタを使用して、螺旋状に実装されるようにしてもよい。各充電セル100は、様々な層のコイル102が共通の軸108を中心にして配置されるように、絶縁体または基板106によって分離された2つ以上の層に跨がるようにしてもよい。
【0018】
図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された充電面のセグメントまたは部分の単一層上に提供された充電セル202の配置200の一例を示している。充電セル202は、ハニカムパッケージ形態に従って配置されている。この例では、充電セル202が、重なり合うことなく端と端を並べて配置されている。この配置は、スルーホールまたはワイヤ相互接続なしで提供することができる。充電セル202の一部が重なる配置を含む他の配置も可能である。例えば、2以上のコイルのワイヤがある程度交互に配置されるようにしてもよい。
【0019】
図3は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された充電面のセグメントまたは部分内に複数の層が重なり合う場合の、2つの視点300、310からの充電セルの配置の一例を示している。充電セルの層302、304、306、308が、充電面内に提供されている。充電セルの各層302、304、306、308内の充電セルは、ハニカムパッケージ形態に従って配置されている。一例では、充電セルの各層302、304、306、308が、4以上の層を有するプリント回路基板上に形成されるものであってもよい。充電セル100の配置は、図示されたセグメントに隣接する指定された充電領域を完全にカバーするように選択することができる。
【0020】
図4は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された複数層の充電セルを採用する充電面400において提供される電力伝送領域の配置を示している。図示された充電面は、充電セルの4つの層402、404、406、408から構成されている。図4において、充電セルの第1の層402の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L1」と記され、充電セルの第2の層404の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L2」と記され、充電セルの第3の層406の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L3」と記され、充電セルの第4の層408の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L4」と記されている。
【0021】
ワイヤレストランスミッタ
図5は、ワイヤレス充電装置の基地局(base station)に設けることができるワイヤレストランスミッタ500の一例を示す。ワイヤレス充電装置内の基地局は、ワイヤレス充電装置の動作を制御するために使用される1つまたは複数の処理回路を含むことができる。コントローラ502は、フィルタ回路508によってフィルタリングされた、または他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、共振回路506に交流電流を供給するドライバ回路504の動作を制御することができる。いくつかの例では、コントローラ502は、ドライバ回路504によって出力される交流電流の周波数を制御するために使用されるデジタル周波数基準信号を生成し得る。いくつかの実施例では、デジタル周波数基準信号は、プログラマブルカウンタなどを使用して生成され得る。いくつかの例では、ドライバ回路504は、直流電源または入力から交流を生成するように協働する電力インバータ回路と1つまたは複数の電力増幅器とを含む。いくつかの例では、デジタル周波数基準信号は、ドライバ回路504または別の回路によって生成されてもよい。共振回路506は、コンデンサ512およびインダクタ514を含む。インダクタ514は、交流に応答して磁束を生成する充電セル内の1つまたは複数の伝送コイルを表すか、または含み得る。共振回路506は、本明細書ではタンク回路、LCタンク回路、またはLCタンクとも呼ばれ、共振回路506のLCノード510で測定される電圧516はタンク電圧とも呼ばれる。
【0022】
パッシブping技術は、LCノード510で測定または観察された電圧および/または電流を使用して、本明細書に開示された特定の態様に従って適合されたデバイスの充電パッドに近接する受信コイルの存在を識別することができる。いくつかの従来のワイヤレス充電装置は、共振回路506のLCノード510における電圧または共振回路506における電流を測定する回路を含む。これらの電圧および電流は、電力調整目的および/またはデバイス間の通信をサポートするために監視され得る。本開示の特定の態様によれば、図5に示されるワイヤレストランスミッタ500のLCノード510における電圧を監視してパッシブping技術をサポートし、共振回路506を介して送信される短いエネルギーバースト(ping)に対する共振回路506の応答に基づいて充電式デバイスまたは他の物体の存在を検出することができる。
【0023】
パッシブping検知技術は、高速かつ低電力の検知を提供するために用いることができる。パッシブpingは、共振回路506を含むネットワークを少量のエネルギーを含む高速パルスで駆動することによって生成され得る。高速パルスは共振回路506を励起し、注入されたエネルギーが減衰して消散するまでネットワークをその自然共振周波数で振動させる。高速パルスに対する共振回路506の応答は、共振LC回路の共振周波数によって部分的に決定され得る。初期電圧=V0を有するパッシブpingに対する共振回路506の応答は、LCノード510で観察される電圧VLCで表すことができ、以下のようになる。
【0024】
共振回路506は、コントローラ502または別のプロセッサがデジタルpingを使用して物体の存在を検出するときに監視することができる。デジタルpingは、共振回路506をある期間駆動することによって生成される。共振回路506は、ワイヤレス充電装置の伝送コイルを含む同調ネットワークである。受電デバイスは、変調信号のシグナリング状態に従って、その受電回路が呈するインピーダンスを変更することによって、共振回路506で観測される電圧または電流を変調することができる。その後、コントローラ502または他のプロセッサが、受電デバイスが近くにあることを示すデータ変調応答を待つ。
【0025】
コイルの選択的アクティブ化
本明細書に開示される特定の態様によれば、1つまたは複数の充電セル内のコイルを選択的にアクティブ化して、互換性のあるデバイスを充電するための最適な電磁場を提供することができる。いくつかの実施例では、コイルが充電セルに割り当てられ、一部の充電セルは他の充電セルと重なり得る。最適な充電構成は、充電セルレベルで選択され得る。いくつかの例では、充電構成は、充電されるデバイスと整列しているか近くに配置されると判断される充電面内の充電セルを含み得る。コントローラは、充電されるデバイスの位置の検出に基づいた充電構成に基づいて、単一のコイルまたはコイルの組み合わせを作動させることができる。いくつかの実施形態では、ワイヤレス充電装置は、充電イベント中に1以上の送電コイルまたは1以上の予め規定された充電セルを選択的にアクティブ化できるドライバ回路を有してもよい。
【0026】
図6は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合されたワイヤレス充電装置で使用するためのマトリックス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジー600を示す。ワイヤレス充電装置は、受電デバイスを充電するために1つまたは複数の充電セル100を選択することができる。使用されない充電セル100は、電流の流れから切り離すことができる。比較的多数の充電セル100を、図2および図3に示すハニカムパッケージ構成で使用することができ、これには対応する数のスイッチが必要とされ得る。本明細書に開示される特定の態様によれば、充電セル100は、特定のセルに電力を供給可能にする2つ以上のスイッチに接続された複数のセルを有するマトリックス608に論理的に配置され得る。図示のトポロジー600では、二次元マトリックス608が提供され、そのディメンションはX座標とY座標で表すことができる。スイッチ606の第1のセットの各々は、セル列内の各セルの第1の端子を、ワイヤレス充電中に1つまたは複数の充電セル内のコイルを作動させる電流を提供する電圧源または電流源602の第1の端子に選択的に結合するように構成される。第2のセットのスイッチ604の各々は、セルの行内の各セルの第2の端子を電圧源または電流源602の第2端子に選択的に結合するように構成される。充電セルは、セルの両方の端子が電圧源または電流源602に結合されるとアクティブになる。
【0027】
マトリックス608の使用により、同調LC回路のネットワークを動作させるために必要とされるスイッチング部品の数を大幅に削減することができる。例えば、N個の個別に接続されたセルは少なくともN個のスイッチを必要とするが、N個のセルを有する二次元マトリックス608は、√N個のスイッチで操作することができる。マトリックス608を使用すると、コストを大幅に節約し、回路および/またはレイアウトの複雑さを軽減することができる。一例では、9セルの実装例は、6つのスイッチを使用して3×3マトリックス608で実装することができ、3つのスイッチを節約することができる。別の例では、16セルの実装例を8個のスイッチを使用して4×4マトリックス608で実装することができ、8個のスイッチを節約することができる。
【0028】
動作中、少なくとも2つのスイッチが、1つのコイルまたは充電セルを電圧源または電流源602に能動的に結合するために閉じられる。複数のコイルまたは充電セルを電圧源または電流源602への接続を容易にするために、複数のスイッチを一度に閉じることができる。複数のスイッチを閉じて、例えば、受電デバイスに電力を転送する際に複数の伝送コイルを駆動する動作モードを有効にすることができる。
【0029】
図7は、本明細書に開示される特定の態様に従って、個々のコイルまたは充電セルのそれぞれがドライバ回路702によって直接駆動される第2のトポロジー700を示す。ドライバ回路702は、コイル群704から1つまたは複数のコイルまたは充電セル100を選択して、受電デバイスを充電するように構成され得る。充電セル100に関してここに開示された概念は、個々のコイルまたはコイルのスタックの選択的アクティブ化に適用され得ることが理解されるであろう。使用されていない充電セル100には電流が流れない。比較的多数の充電セル100を使用することができ、個々のコイルまたはコイル群を駆動するためにスイッチングマトリックスを使用することができる。一例では、第1のスイッチングマトリックスは、充電イベント中に使用される充電セルまたはコイル群を規定する接続を構成することができ、第2のスイッチングマトリックスは、充電セルおよび/または選択されたコイル群をアクティブ化させるために使用され得る。
【0030】
ダイナミックマルチコイルチューニング
本明細書で開示される特定の態様は、1つまたは複数のコンデンサと、1つまたは複数のインダクタとを含む同調ネットワークに関する。同調ネットワークは、基地局が受電デバイスに電磁気的に結合される充電システムで使用され得る。ネットワークは、電力伝送を最適化し、基地局と受電デバイス間の通信を可能にし、または基地局が受電デバイスの存在を検出できるように調整することができる。一部のワイヤレス充電装置と電源は、一定の設定値を維持するように設計されており、設定値によって電力、電流、または電圧のレベルが定義される。
【0031】
本開示の特定の態様は、同調回路を使用する回路の性能を維持または持続させるためにワイヤレス充電装置で使用可能な技術を提供する。図8は、ワイヤレス充電装置の基地局に設けられたワイヤレス伝送回路800を示し、このワイヤレス伝送回路800は、充電および/または検出動作中に共振回路806内の1つまたは複数のコイル812a、812b、812cにドライバ804を結合することができる。一例では、各コイル812a、812b、812cは、充電構成によってアクティブ化される伝送コイルに相当する。別の例では、各コイル812a、812b、812cは、充電構成によって電力を伝送するために選択された1つの充電セルを表す。図示の例は、3つのコイル812a、812b、812cを示しているが、より多くのコイルが充電構成によって選択され、または影響を受け得ることを理解されたい。ドライバ804に結合されたコイル812a、812b、812cは、充電面上に配置された受電デバイスの位置への電力送達を容易にするように最適化された充電構成を提供するように選択され得る。図示の例では、共振回路806は、各コイル812a、812b、812cを、コンデンサ808を介してドライバ804によって提供される充電電流源810に選択的に結合できるようにするスイッチ814a、814b、814cのセットによって構成される。共振回路806のインピーダンスは、公称静電容量(Cres)を有するコンデンサ808と、結合されたコイル812a、812b、812cの組み合わせとによって定義される。図示の例では、コイル812a、812b、812cのそれぞれは公称インダクタンス(Lres)を有する。共振回路806のインピーダンスは、ドライバ804に結合されたコイル812a、812b、812cの数によって変化する。したがって、コンデンサ808と1つまたは複数のコイル812a、812b、812cを含むときに同調された共振回路806は、コイル812a、812b、812cの数が変更されると離調される。
【0032】
本開示の特定の態様では、共振回路806の構成が変更されたときに、テーブルベースの動的チューニングが使用され得る。同調された共振回路806の共振周波数は、追加のインダクタが共振回路806に切り替えられると変化し得る。ワイヤレス伝送回路800の電力伝送レベルまたは効率は、充電電流810の周波数が共振回路806の共振周波数と一致するように調整されると最適化され、共振回路806の周波数が変更された後に充電電流810の周波数を再調整することによって最適化を維持することができる。ワイヤレス伝送回路800に関連する設定点は、充電電流810の周波数を調整して所望のまたは指定されたレベルの電力、電流および/または電圧を得ることによって維持することができる。
【0033】
充電電流810の周波数は、本明細書では動作点(operating point)と呼ぶことができる。動作点は、共振回路806に含まれるコイルの数、タイプ、および/またはアイデンティティに周波数を関連付けるルックアップテーブルを介して選択され得る。一例では、ルックアップテーブルは、共振回路806に含まれる個々のコイルに関連するインダクタンスの既知の値に周波数を関連付けることができる。ルックアップテーブルを使用すると、ワイヤレス伝送回路800からの電源からの出力をほぼ一定に維持することができる。例えば、ルックアップテーブルは、コントローラ802または別のプロセッサが、コイル構成の変化と同時にドライバ804によって提供される充電電流810の周波数を変更できるようにする情報を提供してもよい。
【0034】
図9のグラフ900は、共振回路806の2つの構成についてのインピーダンス特性902、904を示し、これらの構成は異なる数のコイル812a、812b、812cを含む。共振回路806は、共振回路806が公称または最適インピーダンス910を有するときに得られる設定点を用いて設計され得る。インピーダンス特性902、904は、インピーダンスが充電電流810の周波数の関数であり、また共振周波数によって変化することを示す。共振回路806の構成が変化すると、コントローラ802は充電電流810の周波数を変更して公称または最適インピーダンス910を得ることができる。共振回路806の構成数が有限または限られた数である実装例では、ルックアップテーブルを用いて、共振回路806の各構成に対する充電電流810の周波数を定義することができる。テーブルに記録された周波数は、装置の組み立て時または製造時の初期構成中に得られてもよく、および/または、ワイヤレス伝送回路800の動作中に更新または較正されてもよい。ルックアップテーブルベースのアプローチは、動作点906、908の間の高速かつ低オーバーヘッドのチューニングを可能にするために使用され得る。
【0035】
本開示の特定の態様によれば、共振回路806は、いくつかの実装例において連続的に同調され得る。図10は、ワイヤレス充電装置の基地局に設けられた連続的に同調可能なワイヤレストランスミッタ1000を示し、図11のグラフ1100は、共振回路806の2つの異なる構成に対応するインピーダンス特性1102、1104、および/または共振回路806に結合された受電デバイスの位置の違いによって影響を受けた共振回路806の構成を示す。図11に示されるように、共振回路806は、第1の動作点1106から第2の動作点1108に遷移1110している。動作点1106、1108間の遷移は、共振回路806においてアクティブ化されたコイル812a、812b、812cの数の変化、および/または共振回路806と受電デバイス間の電磁結合に影響を及ぼす受電デバイスの再配置によって引き起こされ得る。
【0036】
連続的に同調可能なワイヤレストランスミッタ1000は、図8のワイヤレス伝送回路800の要素に、追加のフィードバックループ1002を含む。一例では、フィードバックループ1002は、ドライバ804またはコントローラ802が、共振回路806を流れる電流によって示される電力伝送を監視できるようにする電流検知フィードバックループとして動作する。ドライバ804またはまたはコントローラ802は、動作点1106、1108を調整して、共振回路806のインピーダンスの変化を追跡することができる。一例では、共振回路806のインピーダンスの変化は、充電電流810の周波数を段階的に調整することによって追跡される。
【0037】
ドライバ804またはコントローラ802は、比例積分微分(PID)チューニングを含むか、または実装することができる。PIDチューニングは、電流感知フィードバック1002を含む制御ループを使用して実施することができる。ドライバ804またはコントローラ802は、共振回路806内の電流の流れに対する所望の設定点と、電流感知フィードバック1002によって示される共振回路806で測定された電流の流れとの間の差として誤差値を連続的に計算することができる。ドライバ804またはコントローラ802は、比例値、積分値、および微分値(それぞれP値、I値、およびD値と呼ばれる)の何らかの組み合わせとして計算された補正を適用することができる。
【0038】
PIDベースのダイナミックチューニングは、共振回路806の構成の変更後および/または変更中に有効化されるPIDループとして実施することができる。十分に高速なPIDループはフリーランニングし、追加遅延なしに変更を適用することができる。場合によっては、ドライバ804またはコントローラ802によって実装されるPIDループは、共振回路806の構成の変更に十分な速度で応答できない場合があり、1つの動作点から別の動作点に徐々に構成を変化させる遷移期間を追加することができる。一例では、スイッチ814a、814b、814cに適用されるパルス幅変調を使用して、または線形動作モードで遷移するスイッチ814a、814b、814cを介して、遅延が導入されてもよい。
【0039】
図12は、PID制御回路1200の例を示す。定義された設定点1202および電流感知フィードバック1204が受信され、組み合わされて、PIDプロセッサ1208に提供される誤差値1206が得られる。PIDプロセッサ1208は、充電電流810を供給するのに用いられる周波数発生器1212を制御する制御信号1210を生成する。タイミング図1220は、ドライバ804またはコントローラ802が共振回路806の構成の変化に十分な速度で応答できないときの充電電流810の周波数が漸進的に遷移する様子を示している。例えば、プラントル・イシュリンスキー(Prandtl-Ishlinskii:PI)ヒステリシスなどに基づくコントローラを使用するシステムを含む、他の制御回路および/またはアルゴリズムが使用されてもよいことが理解されるであろう。用いられる制御ループのタイプは、システム要件または仕様に基づいて選択される。
【0040】
図13は、ワイヤレス充電装置の作動方法の一例を示すフローチャート1300である。この方法は、ワイヤレス充電装置に設けられたコントローラによって実行され得る。ブロック1302において、コントローラは、ワイヤレス充電装置の表面の第1の充電コイルに充電電流を提供することができる。ブロック1304において、コントローラは、共振回路のインピーダンスが閾値または設定点インピーダンスから変化したと判断することができる。共振回路は、第1の充電コイルを含み得る。ブロック1306において、コントローラは、充電電流の周波数を変更することによって閾値または設定点インピーダンスを復元することができる。
【0041】
特定の実装形態では、コントローラは第2の充電コイルを共振回路に結合することができる。コントローラは、充電電流を第2の充電コイルに提供することができる。第2の充電コイルの結合は、共振回路のインピーダンスを変更し得る。コントローラは、ルックアップテーブルを使用して、第2の充電コイルが共振回路に結合された後に使用されるべき充電電流の周波数を決定することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、コントローラは、共振回路から第2の充電コイルを切り離すことができる。第2の充電コイルを切り離すと、共振回路のインピーダンスが変化し得る。コントローラは、ルックアップテーブルを使用して、第2の充電コイルが共振回路から切り離された後に使用されるべき充電電流の周波数を決定することができる。
【0043】
一例では、共振回路のインピーダンスは、ワイヤレス充電装置の表面上の受電デバイスの位置の変化によって変更される。
【0044】
特定の実施形態では、コントローラは、共振回路に流れる監視電流の変化を検出し、監視電流の変化に基づいて共振回路のインピーダンスが変化したと判断することができる。コントローラは、監視電流の変化を表すフィードバック信号を受信し、フィードバック信号を使用して充電電流の周波数を制御することができる。充電電流の周波数を制御することは、共振回路のインピーダンスが閾値または設定点インピーダンスと一致するまで、充電電流の周波数を段階的に調整することを含み得る。充電電流の周波数を制御することは、充電電流の周波数の変更を遅らせることを含み得る。
【0045】
処理回路の例
図14は、バッテリをワイヤレス充電することを可能にするワイヤレス充電装置または受電デバイスに組み込むことができる装置1400のハードウェア実装の一例を示す図である。いくつかの例では、装置1400が、本明細書に開示の1または複数の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せを、処理回路1402を用いて実装することができる。処理回路1402は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1または複数のプロセッサ1404を含むことができる。プロセッサ1404の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1または複数のプロセッサ1404は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1416の1つによって構成、増強または制御され得る。1または複数のプロセッサ1404は、初期化中にロードされるソフトウェアモジュール1416の組合せを通じて構成されてもよく、動作中に1または複数のソフトウェアモジュール1416をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されてもよい。
【0046】
図示の例では、処理回路1402が、概してバス1410で示されるバスアーキテクチャで実装され得る。バス1410は、処理回路1402の特定の用途および全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1410は、1または複数のプロセッサ1404およびストレージ1406を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1406は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1406は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0047】
バス1410は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路をリンクしてもよい。バスインターフェース1408は、バス1410と1または複数のトランシーバ1412との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1400が充電装置または受電デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1412を設けることができる。また、装置1400の性質に応じて、ユーザインタフェース1418(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイク、ジョイスティック)が提供されてもよく、バス1410に直接またはバスインタフェース1408を介して通信可能に結合することができる。
【0048】
プロセッサ1404は、バス1410の管理と、ストレージ1406を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1404を含む処理回路1402は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実装するために使用することができる。ストレージ1406は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1404によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0049】
処理回路1402の1または複数のプロセッサ1404は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかに拘わらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、関数、アルゴリズムなどを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1406に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1406は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1406は、例えば、搬送波、伝送線、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を伝送するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1406は、処理回路1402に存在していても、プロセッサ1404に存在していても、処理回路1402の外部にあっても、処理回路1402を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1406は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0050】
ストレージ1406は、本明細書ではいくつかまたは全部がソフトウェアモジュール1416とも呼ばれる、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどのソフトウェアを維持および/または編成することができる。ソフトウェアモジュール1416の各々は、処理回路1402にインストールまたはロードされて、1または複数のプロセッサ1404によって実行されると、1または複数のプロセッサ1404の動作を制御するランタイムイメージ1414に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1402に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0051】
ソフトウェアモジュール1416のいくつかは、処理回路1402の初期化中にロードされるものであってもよく、これらのソフトウェアモジュール1416は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1402を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1416は、プロセッサ1404の内部デバイスおよび/または論理回路1422を構成することができ、トランシーバ1412、バスインターフェース1408、ユーザインターフェース1418、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1416は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1402が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1412へのアクセス、ユーザインタフェース1418などを含むことができる。
【0052】
処理回路1402の1または複数のプロセッサ1404は多機能であり、それによってソフトウェアモジュール1416のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1または複数のプロセッサ1404は、例えばユーザインタフェース1418、トランシーバ1412およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1または複数のプロセッサ1404は、マルチタスク環境を提供するように構成されてもよく、それによって複数の機能の各々が、必要に応じて1または複数のプロセッサ1404によって提供されるタスクのセットとして実装される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1404の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1420を使用して実装されてもよく、それによって各タスクは、未処理の動作の完了時かつ/または割り込みなどの入力に応答して、1または複数のプロセッサ1404の制御をタイムシェアリングプログラム1420に戻す。タスクが1または複数のプロセッサ1404の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1420は、オペレーティングシステム、ラウンドロビン方式で制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1または複数のプロセッサ1404の制御を割り当てる機能、および/または、1または複数のプロセッサ1404の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0053】
一実施例では、装置1400は、充電回路、複数の充電セル、および1つまたは複数のプロセッサ1404に含まれ得るコントローラに結合されたバッテリ充電電源を有するワイヤレス充電装置を含むか、またはワイヤレス充電装置として動作する。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成することができる。少なくとも1つのコイルは、各充電セルの電荷転送領域を介して電磁界を誘導するように構成され得る。
【0054】
コントローラは、ワイヤレス充電装置の表面内の第1の充電コイルに充電電流を供給し、共振回路のインピーダンスが閾値または設定点インピーダンスから変化したことを判断し、充電電流の周波数を変更することによって閾値または設定点インピーダンスを復元するように構成され得る。共振回路は、第1の充電コイルを含むことができる。
【0055】
特定の例では、コントローラは、第2の充電コイルを共振回路に結合し、充電電流を第2の充電コイルに提供することができる。第2の充電コイルの結合は、共振回路のインピーダンスを変更し得る。コントローラは、ルックアップテーブルを使用して、第2の充電コイルが共振回路に結合された後に使用されるべき充電電流の周波数を決定することができる。
【0056】
特定の例では、コントローラは、第2の充電コイルを共振回路から切り離すことができる。第2の充電コイルを切り離すと、共振回路のインピーダンスが変化し得る。コントローラは、ルックアップテーブルを使用して、第2の充電コイルが共振回路から切り離された後に使用されるべき充電電流の周波数を決定することができる。
【0057】
一例では、共振回路のインピーダンスは、ワイヤレス充電装置の表面上の受電デバイスの位置の変化によって変更される。
【0058】
特定の例では、コントローラは、共振回路を流れる監視電流の変化を検出し、監視電流の変化に基づいて共振回路のインピーダンスが変化したと判断することができる。コントローラは、監視電流の変化を表すフィードバック信号を受信し、フィードバック信号を使用して充電電流の周波数を制御することができる。充電電流の周波数を制御することは、共振回路のインピーダンスが閾値または設定点インピーダンスと一致するまで、充電電流の周波数を段階的に調整することを含み得る。充電電流の周波数を制御することは、充電電流の周波数の変更を遅らせることを含み得る。
【0059】
特定の例では、ストレージ1406は命令および情報を維持し、この命令はコントローラに、ワイヤレス充電装置の表面の第1の充電コイルに充電電流を提供させ、共振回路のインピーダンスが閾値または設定点インピーダンスから変動したと判断し、充電電流の周波数を変更することによって閾値または設定点インピーダンスを復元させるように構成されている。共振回路は、第1の充電コイルを含むことができる。
【0060】
いくつかの例では、命令は、コントローラに、第2の充電コイルを共振回路に結合させ、充電電流を第2の充電コイルに提供させるように構成される。第2の充電コイルの結合は、共振回路のインピーダンスを変更し得る。命令は、コントローラに、ルックアップテーブルを使用して第2の充電コイルが共振回路に結合された後に使用されるべき充電電流の周波数を決定させるように構成され得る。
【0061】
いくつかの例では、命令は、コントローラに、第2の充電コイルを共振回路から切り離すように構成される。第2の充電コイルを切り離すと、共振回路のインピーダンスが変化し得る。コントローラは、ルックアップテーブルを使用して、第2の充電コイルが共振回路から切り離された後に使用されるべき充電電流の周波数を決定することができる。
【0062】
一例では、共振回路のインピーダンスは、ワイヤレス充電装置の表面上の受電デバイスの位置の変化によって変更される。
【0063】
いくつかの例では、命令は、コントローラに、共振回路を流れる監視電流の変化を検出させ、監視電流の変化に基づいて共振回路のインピーダンスが変化したことを判断させるように構成される。コントローラは、監視電流の変化を表すフィードバック信号を受信し、フィードバック信号を使用して充電電流の周波数を制御することができる。充電電流の周波数を制御することは、共振回路のインピーダンスが閾値または設定点インピーダンスと一致するまで、充電電流の周波数を段階的に調整することを含み得る。充電電流の周波数を制御することは、充電電流の周波数の変更を遅らせることを含み得る。
【0064】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1または複数」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1または複数を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。請求項の要素が「のための手段(means for)」という文言を使用して明示的に記載されていない限り、また、方法の請求項の場合には、「のためのステップ(step for)」という文言を使用して記載されていない限りは、何れの請求項の要素も、米国特許法第112条第6項の規定に基づいて解釈されるべきではない。

図1
図2
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図14